コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議(第6回)議事録

1.日時

令和3年10月13日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議を併用して開催

3.議題

  1. 「社会に開かれた教育課程」の実現において担う役割について
  2. 学校評価とコミュニティ・スクールの関わりについて
  3. その他

4.議事録

【松田座長】  定刻になりましたので、ただいまから、コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議、第6回目を開催いたします。
 本日はお忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 また、本日は新型コロナウイルス感染症の拡大予防のため、ウェブ会議システムを併用した開催としております。
 ウェブ会議システムにて御参加の皆様方におかれましては、会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをオフにしていただくようにお願いいたします。委員の皆様には、御不便をおかけすることがあるかと存じますが、御理解のほどよろしくお願いいたします。
 また、会議の模様は報道関係者の皆様及び一般の皆様に向けて、ウェブ会議システム上で配信しておりますので、御承知おきください。
 本日会場のほうは少し新しい取組みで、1人1台、コンピューターのカメラを使って、使用しておりますので、委員お一人お一人のお顔が見えている状態かと思います。また、音声のほうもちょっと工夫がされておりまして、特に座長の声が聞こえにくいというお声をいただいておりますので、ちょっと声を張ってしゃべってくださいと言われていますので、菅野委員、聞こえますでしょうか。
【菅野委員】  ばっちりです。
【松田座長】  ありがとうございます。
 それでは、初めに、事務局より配付資料の確認などをお願いします。
【榎木地域学校協働活動推進室長補佐】  事務局、総合教育政策局地域学習推進課、榎木と申します。
 本日の配付資料につきましては、お手元の議事次第の配付資料にありますとおり、資料が1-1から4まで、参考資料が1から4までとなっております。不備等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 本日は、全ての委員及びオブザーバーの皆様の御出席をいただいております。なお、山本委員は、会議途中からの御出席になる旨、伺っております。
 また、本日の会議は議事2で御発表いただきます、宮城教育大学学長付特任教授の野澤令照様、東京都八王子市立松木中学校長の大熊一正様にオンラインで御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 事務局からは、藤原総合教育政策局長、根本社会教育振興総括官(兼)地域学習推進課長、郷家地域学校協働活動推進室長、白井初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室長、石田初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長、ほか関係者が出席しております。
 事務局のほうに体制変更がございまして、総合教育政策局長に藤原が、社会教育振興総括官に根本がそれぞれ着任しております。
 事務局からは以上となります。
【松田座長】  ありがとうございました。それでは、早速でございますが、議事に入りたいと思います。
 本日は中間まとめにおいて、今後の検討事項としております「社会に開かれた教育課程」の実現において担う役割について、及び学校評価との関わりについて、以上二つの議題について、文部科学省の担当課からの概要説明と取組発表を交えて議論を行っていきたいと考えております。
 本日は議題ごとに質疑応答、意見交換の時間を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず議題1、「社会に開かれた教育課程」の実現において担う役割についてでございます。
 本件もここまでで、幾度もこの内容について触れて、御意見いただいているところでございますが、まず「社会に開かれた教育課程」の実現において、コミュニティ・スクールが担う役割について議論を進めたいと思います。
 初めに、文部科学省初等中等教育局教育課程課、石田教育課程企画室長より、「社会に開かれた教育課程」について、また、9月30日に開催された中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会において、関連の御議論があったと伺っておりますので、そちらの御報告をお願いしたいと思います。
 次に、この教育課程部会では、山口県教育委員会と岩手県大槌町の取組が取り上げられておりますので、これらの取組について、山口県教育委員会は繁吉委員から、岩手県大槌町は菅野委員からそれぞれ補足の説明をお願いしたいと思います。その後、意見交換の時間としたいと考えております。
 それでは、まず石田室長からどうぞよろしくお願いいたします。
【石田初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長】  よろしくお願いいたします。御紹介いただきました教育課程課の石田です。
 資料1-1に基づいてお話を申し上げます。
 私からは「社会に開かれた教育課程」ということに関わりまして、新学習指導要領にどのように位置づけられているかということと、先般の9月30日の教育課程部会での御議論について御紹介申し上げたいと思います。
 3点です。学習指導要領改訂に当たっての中央教育審議会での御議論、学習指導要領とその解説における位置づけ、そして、9月30日の教育課程部会における御議論ということでございます。
 こちらは中央教育審議会の平成28年の答申の抜粋でございます。これを受けまして、小・中・高等学校の学習指導要領を改訂してございますが、「社会に開かれた教育課程」ということに関わって御指摘いただいた部分を抜粋してございます。
 一つ目の丸にございますように、答申では新しい学習指導要領では、教育課程を通じて、子供たちが変化の激しい社会を生きるために、社会とのつながりを重視しながら、学校の特色づくりを図っていくこと、また、現実の社会との関わりの中で、子供たち一人一人の豊かな学びを実現していくことが課題としており、これを乗り越えていくためには、ということで、二つ目の丸でございますが、学校が社会や世界と接点を持ちながら、多様な人々とつながりを保って学ぶことのできる開かれた環境となることが不可欠であり、学校が社会や地域とのつながりを意識し、社会の中の学校であるためには、学校教育の中核となる教育課程もまた社会とのつながりを大切にする必要があると、こういった御指摘とともに、三つ目にございますように、特に子供たちが、身近な地域を含めた社会とのつながりの中で学び、自らの人生や社会をよりよく変えていくことができるという実感を持つことは、困難を乗り越え、未来に向けて進む希望という力を与えることにつながると、こういった形で整理いただいているところでございます。
そうした社会とのつながりの必要性や意義を踏まえまして、これからの教育課程には社会の変化に目を向け、教育が普遍的に目指す根幹を堅持しながら、社会の変化を柔軟に受け止めていく「社会に開かれた教育課程」としての役割が期待されているということで、特に次の3点が重要との御提言を頂戴してございます。
 1点目は、社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。
 2点目は、これからの社会をつくり出していく子供たちが社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り開いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと。
 3点目は、編成した教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。これが重要ということで、答申をおまとめいただいたところでございます。こうした答申の御指摘を踏まえまして、今回、学習指導要領に初めて前文というのを置いてございますが、その前文の中にも社会に開かれた教育課程の実現が重要ということで、先ほど1、2、3と御紹介したような答申のエッセンスを前文の中に含めて、お示しをさせていただいているところでございます。また、前文でこの「社会に開かれた教育課程」と書いてございますが、学習指導要領や解説にも、関わりの深い記述が多くございます。これは第1章、総則の第1の1の規定、まさに一丁目一番地の規定でございます。これは学校が、教育課程の編成・実施に当たる際の留意事項をお示ししたものでございますが、子供たちの「心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を考慮する」と、こういうことを書いてございます。この「地域の実態」という規定に関わって、学習指導要領の解説というのが示しておりますが、そこにコミュニティ・スクール、社会に開かれた教育課程に係る規定がございますので御紹介したいと思います。
 解説では地域の実態を踏まえることの必要性あるいは重要性とコミュニティ・スクールへの取組の期待が示されてございます。
 まずは地域の実態を踏まえることの必要性や重要性に関わることでございますけれども、1行目からございますように、学校の教育目標や指導内容の選択に当たっては地域の実態を考慮することが重要、あるいは地域社会の現状はもちろんのこと、歴史的な経緯や将来への展望など、広く社会の変化に注目しながら地域社会の実態を十分分析し検討して的確に把握することが必要、といった形で、重要性、必要性が述べられた上で、学校における教育活動が、学校の教育目標に沿って一層効果的に展開されるためには、家庭や地域社会と学校との連携を密にすることが必要であるとされています。
 具体的には、学校の教育方針、特色ある教育活動の取組、児童生徒の状況などを家庭や地域社会に説明し理解を求め協力を得ること、学校が家庭や地域社会からの要望に応えていくこと、こういった2点の重要性が述べられているところでございます。
 その上で、解説ではコミュニティ・スクール、学校運営協議会制度の重要性にも言及してございます。ここの部分は、今回の解説で新たに追記された部分でございますけれども、保護者や地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)や、幅広い地域住民等の参画により地域全体で児童の成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動等の推進により、学校と地域の連携及び協働の取組が進められてきているところであり、これらの取組を更に広げ、教育課程を介して学校と地域がつながることにより、地域でどのような子供を育てるのか、何を実現していくのかという目標やビジョンの共有が促進され、地域とともにある学校づくりが一層効果的に進められていくことが期待されるということで示されているところでございます。
 ただいま御紹介したような「社会に開かれた教育課程」という考え方の下、教育課程を軸に学校づくりを進めていくことを考えますと、新学習指導要領で重視しておりますカリキュラム・マネジメントの推進ということと、この「社会に開かれた教育課程」というのは非常に関わりが深うございます。
 このため国で行っているカリキュラム・マネジメントの在り方に関する調査研究の中でも、実はこのコミュニティ・スクールの取組を先進的に進めておられる-今日、検討会議の中でも御発表いただけるということでございますけれども-山口県教育委員会様にも、国のカリキュラム・マネジメントの研究に継続的にお力添えをいただいているというところでございます。こちらが山口県教育委員会様に令和元年度、2年度にわたりまして、カリキュラム・マネジメントの調査研究に取り組んでいただいた成果をおまとめいただいた手引でございます。こちらを、今日御紹介いただけるのではないかなと思ってございますが、こういった取組を進めておるところでございます。
 このような学習指導要領の改訂に至る中央教育委員会での御議論、あるいは学習指導要領や解説の趣旨を踏まえて、今、取組を進めておるところでございますが、先般9月30日に開催をいたしました教育課程部会におきましても、「社会に開かれた教育課程」というものをテーマにいたしまして、本検討会議でおまとめいただいた中間まとめの御報告、並びに山口県教育委員会様における取組の御発表、そして学校と企業との連携協働、学校と家庭・地域との連携ということをテーマに、グループ別協議をお願いしたところでございます。
 二つ目の学校と家庭・地域との連携という部分では、カタリバの代表を務めておられる今村先生からも、大槌高校の事例について御発表いただいたところです。グループ別協議の中で出された主な意見をスライドにまとめてございます。
 学校と企業との連携・協働という部分では、学校としては、どうしても企業に迷惑をかけてはいけない、果たして企業に対してメリットがあるのかという考えから、連携に対する敷居が高かったんだけれども、お互いがウィン・ウィンの関係を目指していくことが重要ではないか。人材育成を重要であると考える企業側としても、人材育成のプロである学校から学ぶことも多いのではないか。企業としても、学校との連携について、コストではなく、投資という意識を持っていくということも今後必要ではないかという御意見を頂戴してございます。
 また、学校と家庭、地域との連携・協働という協議の中では、連携のキーワードとしては、やはり共に育てる「共育」ということが重要ではないか。あるいは連携に際して学校の負担感の増加、学校と家庭、地域との様々な認識や価値観の擦れ違いというのがあるんだけれども、それを乗り越えていくことが今後必要になるのではないか。また、今後の学校教育を考えていくと、教職員だけではなく、外部の方も学校教育の本丸として学校を支えていくと、そういう関係性が重要になってくるのではないかと、このような御議論を頂戴したところでございます。
御報告は以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございました。それでは、引き続き関連しまして、繁吉委員から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【繁吉委員】  それでは、山口県教育委員会教育長の繁吉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私から、本県が主に小中学校において取り組んでおります学校・地域連携カリキュラムの策定と運用につきまして、その概要を説明いたします。
 現在の小中学校学習指導要領には、育成を目指す資質・能力、学校の教育目標等を家庭や地域と共有するとともに、総合的な学習の時間の目標とも関連を図ることと示されております。
 本県では、社会に開かれた教育課程を実現するために、家庭、地域を含めた学校全体で組織やカリキュラムを見直していくことを重視しておりまして、学校と地域が連携・協働する教育活動を体系的に示したカリキュラムであります学校・地域連携カリキュラムを作成をしております。
 昨年度末には、先ほど文部科学省の説明でもありましたけれども、各学校でカリキュラム・マネジメントを進めていくための小中学校向けのリーフレットを作成し、配付をいたしました。
 県教育委員会では市町教育委員会を通じまして、全ての公立中学校区におきまして、学校・地域連携カリキュラムの策定とその運用を進めるように指導しております。
 本県におきます学校・地域連携カリキュラムは、大きく学校の基本方針を示すグランドデザインと、総合的な学習の時間を核とした9年間の単元配列表を効果的に活用する形で構成をされております。
 まず、グランドデザインですけれども、グランドデザインには、各学校の教育目標のほかに、児童生徒の育成すべき資質・能力や、中学校区で目指す子供像などについて熟議などを通して共有された内容を学校の基本方針として分かりやすくまとめ、児童生徒や家庭、地域に広く公表をしております。
 中学校区の教育目標が示されていること、中学校区の重点取組事項について分かりやすく示されているということ、それから、誰にとっても分かりやすい言葉で示されているというこの3点がこのグランドデザインのポイントとなります。
 次に、9年間の単元配列表については、学校教育目標と総合的な学習の時間、各教科等との関連を明確にし、児童生徒にとっての学びの羅針盤としていくことを目的としております。
 先ほど申し上げましたグランドデザインに基づきまして、児童生徒に身につけさせたい資質・能力を教科横断的な視点から見つめ直し、地域との連携による取組について、既存の活動も含めて再整理をしております。
 この9年間の単元配列表は、児童生徒や学校、地域の実態等に応じた探求課題を設定する上での資料となるだけでなく、教職員が異動しても引き継がれていく持続可能なカリキュラムとして運用されています。
 本県では、全ての小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校などがコミュニティ・スクールとなり、本県の地域連携教育も新たなステージに入っております。そうしたことを踏まえまして、本県では、コミュニティ・スクールの仕組みを生かした社会に開かれた教育課程の実現に向け、現在、次の2点に力を注いでおります。
 まず1点目は、学校、家庭、地域が目標やビジョンを共有し、連携・協働へとつなげていく場である熟議のさらなる活性化を図ること。
 そして2点目は、連携・協働の姿をカリキュラムによって可視化し、具体的な検討、評価、改善を実施するためのツールとして充実させるということです。
 学校・地域連携カリキュラムの策定・運用は、これら2点の充実につながるものと考えております。
 カリキュラムの可視化と具体化について、もう少し詳しく説明させていただきます。
 学校・地域連携カリキュラムの策定・運用を通じ、カリキュラムの可視化、具体化を推進することによって期待される効果として、本県では、次の3点を考えております。
 まず1点目は、連携・協働した取組を評価したり、改善したりする上での指針となり、地域連携におけるPDCAサイクルの構築につながるということ。
 2点目は、カリキュラムが可視化されることにより、地域・家庭等、関係者の理解や参画を得やすいということ。
 3点目は、カリキュラムの見直しに児童生徒が参加することにより、児童生徒の意思が反映される機会が増え、学習者の主体的な学びにつながるということです。
 コミュニティ・スクールの仕組みを活用したカリキュラム・マネジメントを推進することにより、持続可能な地域連携教育の仕組みがさらに強固なものになるものと考えております。
 それでは、ここで資料動画を御覧いただきます。山口県教育委員会の広報番組「はつらつ山口っ子」で紹介された山陽小野田市立埴生小中学校の取組の様子です。
(映像再生)
【繁吉委員】  音声が途切れて申し訳ありませんでした。
 最後に、今御覧いただきました動画の内容も踏まえまして、今後の本県の展望についてお話をしたいと思います。
 学校・地域連携カリキュラムによって行われております教育活動に、完成形はありません。本県では、毎年の振り返りと改善について、学校運営協議会において協議し、継続的なブラッシュアップを図ることによって、持続的な地域連携の実現へとつなげてまいりたいと考えております。
 また、小中学校の総合的な学習の時間の学び、こちらを高校における総合的な探究の時間の学びへとつなぐため、カリキュラム・マネジメントによる校種間連携や、児童生徒と社会とのつながりのさらなる充実を図っていくとともに、児童生徒が自身の成長を実感し、自己肯定感が高まるような確かな変容へとつなげてまいりたいと考えております。
 そして、地域で展開されておりますカリキュラム・マネジメントの実際や児童生徒が参加する熟議の取組などを好事例として広く共有し、全県的な推進へとつなげていきながら、人づくりと地域づくりの好循環の創出を目指して、社会総がかりで子供たちの学びや育ちを見守り、支援する本県ならではの地域連携教育の一層の充実に向けた取組を推進してまいります。
 以上で私からの説明を終わります。どうもありがとうございました。
【松田座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、菅野委員から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【菅野委員】  資料出ますでしょうか。ありがとうございます。私の発表時間5分なので、ぱっといきたいと思います。
 前回、今村が教育課程部会で発表させてもらった内容を受けてというところでお話しさせてもらいたいと思います。
 今回御紹介するのは、大槌高校で行った事例です。大槌高校は、東日本大震災で大きな被害を受けた大槌町の中で、復興のリーダーを育成するということを目標に取り組んでいった事例です。
 震災の影響で住民が減少し、生徒数が急減しておりまして、その中で魅力的な学校をつくる必要があると危機感を持っていました。その魅力的な学校のためには、カリキュラムを魅力的にする必要があるというところから、カリキュラム開発に取り組んでいきました。
 その中で、地域と取り組んでいくカリキュラムというのが、もちろん文部科学省が示されたところもありましたけれども、それが地域の願いだったというところもあって、「三陸みらい探究」という科目と、それぞれの教科5科目に対して一つずつ探究科目を設定、地域との探究科目を設定していくということで、17単位、この社会に開かれた教育課程となるような科目を新しく新設しました。
まず地域との熟議を行うというところで行っていきました。こちらの目標の共有のところで行ったところなんですけれども、これで生徒、住民、保護者と教員も入って100人以上の方々が、どんな力を生徒たちに身につけてほしいかという熟議を行って、魅力化構想(骨子)という形でこれをまとめていくということを行いました。
 そこから、これは地域からの願いを受けて、ルーブリックをつくっていくと行っていって、もう一つが、5番にありますコンソーシアムをつくっていくというところの取組を行っていきました。
 今回のテーマにも挙がっていました生徒と教職員、地域にどのような変化が起きたかというところなんですけれども、生徒にとってはやっぱりこの社会に開かれた教育課程ということを行うと、本当のリアルな課題に向き合うというところで、探究への意欲向上が非常に見られました。
 実際に、防災行政無線の中身を変えるという探究を行っている生徒も出てきて、町に具体的な貢献をし始めるなんていう生徒も出てきたところも非常に大きかったかと思います。
 また、教職員の変化のところでは、この熟議のところで、皆さんももちろん御経験あると思うんですけど、先生方は地域の方からは批判をされると思っていたという声が非常に多かったです。なんですけれども、いや、もっと先生たちに期待していますとか先生たち、頑張っているんですよねという声をもらって、いや、私たちも地域にもっと貢献をしていかなきゃなと先生たちは変わっていきました。
 だからこそ、探究の時間中に生徒らが外にヒアリングしに行きたいですと言ったら、ああ、もう自分一人で行ってきなと、先生がついていかなくても地域を頼ろうとするようになって、大きく先生側のコストも下がったというところも見えてきたかなと思います。
 また、最後の地域のところになるんですけども、やっぱり地域は子供たちと話すと、そこに向かってどういうことを話すかということも考えて、また、新たな学びがあるというところで、生きがいにつながる社会教育の機会になっているなと思います。
 また、地域の方々が、学校の先生ってこんなに苦労されているんだというところをよく理解してくださって、先生に対して非常に協力的になったところもあります。また、教育課程をつくる前に、目指す姿を共有したというところもあって、地域がこの生徒たちに関わるときに、すごく主体性を重んじた関わり方をしてくれるようになりました。まずは生徒の声を聞いてみようと変わったというところも、やっぱりこの教育課程の目指すところを共有したからこそ生まれてきた事例なんじゃないかなと思います。
 それで実際に上がった成果として1番下に書いてありますけれども、生徒数が非常に増えております。町の中で通える管内の学校は、ほぼ生徒数減少している中で、唯一大槌高校だけが生徒数が増えています。これは地域、保護者の深い理解につながったところが大きいんじゃないかなと思います。
 これは次のページ、行ってください。
 これを支えたのがもともと大槌町の小中学校で行っていたコミュニティ・スクールの事例かなと思います。ふるさと科ということを震災後に始めた取組であるんですけれども、これもコミュニティ・スクールの中の図の中の下のほうにあります地域学校協働部会というところがまさにふるさと科をどのようにしていくかということを話し合って上げていくような部会になるんですけれども、こういう部会活動を通して、地域が学校に連携するということが大槌町の中で当たり前のようにされてきたところが、この大槌高校の教育課程の魅力化にもつながっていったんじゃないかなと思います。
 私からの報告は以上です。ありがとうございます。
【松田座長】  ありがとうございました。
 それでは、ここまでの御報告、発表を伺っていただきまして、あるいは関連の項目について皆様方から御意見や御質問をいただきたいと思います。
 事前に事務局のほうから資料をお送りしておりますが、中間まとめまでの議論で、特に社会に開かれた教育課程の実現に向けて、コミュニティ・スクールの役割は大きい。あるいは関わりや役割については、今後の検討における重要項目であるというような、さらなる議論が必要だという御意見がございましたので、特にこれを踏まえまして、教育課程の編成・実践におけるコミュニティ・スクールの必要性、並びに教育課程の編成・実践へのコミュニティ・スクールの関わり方、役割という観点を中心に、ぜひ御意見をいただければと思っております。
 では、御発言のある方は、オンライン出席の方は手を挙げるという機能を使っていただきまして、会場出席の方は、ネームプレートを立ててお示しいただければと思います。
 それでは、早速でございますが、いかがでしょうか。安齋委員、お願いいたします。
【安齋委員】  安齋でございます。よろしくお願いします。
 二つの発表を聞かせていただいて、全くそのとおりだなと思っているんですけども、社会に開かれた教育課程を実現するために、私、やっぱり欠かせないのが、先ほど菅野委員からも御説明ありましたように、共有する目標をつくり上げていくという、それがまずとても大事な、第一段階、それを学校運営協議会というそのシステムを使ってつくっていく。多くの学校でよく教育課程の編成のところで行われているのが、なかなかその教育目標の検討なしに、教育課程の中身だけの検討で進んでいるという実態があって、結局、教育目標が具現化のために行う教育課程の編成であるんですが、それが教育課程の編成だけにとどまっている。
 ですから、学校運営協議会の機能を生かすことによって、この地域と共有できる目標が決まる。そのことによって育てたい資質・能力が明確になり、そこが教育課程に反映されてくるという、この一連の流れだと思うんです。
 でも現場としては、実はこの社会に開かれた教育課程という学習指導要領の理念は分かるんだが、具体的にどうしていいかが分からないという声を聞いています。その意味で、この山口県の取組というのは大いに参考になるので、ぜひこういったものを広く発信することによって、学校運営協議会の必要性とともに、それを生かした社会に開かれた教育課程の実現にこんなに有効なんだということをアピールしていくことが大切なのではないか、そんなふうに感じて二つの発表を聞かせていただきました。
【松田座長】  ありがとうございます。それでは、山﨑委員、お願いいたします。
【山﨑委員】  安齋委員が言われたとおりでございます。やっぱり山口県が示されております学校・地域連携カリキュラムのようなものを、各学校できちっと具体化することが必要だと思っております。
 ちょっとだけ僕、危惧することがあるんですけども、社会に開かれた教育課程、まさに僕はコミュニティ・スクールそのものであろうと思っております。そうすると、コミュニティ・スクールである学校はコミュニティ・スクールだから、まさにもう社会に開かれた教育課程をうちの学校はやっているということで、歩みを止めてしまう。そういう学校がもしかしたらあるのではないのかなと。僕はコミュニティ・スクールだからこそ、さらなる一歩を社会に開かれた教育課程として位置づける必要があるのかな。
 例えば地域を巻き込んで、学校と地域を巻き込んで、教育課程の編成を行う。それも1から100ではなくて、学校と家庭、地域でともにやる教育活動についての教育課程の編成を一緒にやる。地域活用の教育の在り方、地域支援の教育の在り方、学校活用の教育の在り方、学校支援の教育の在り方、さらには協働する教育の在り方、そういったカテゴリーの中で、それぞれの学校の実態があると思いますので、その中で一緒になってともにつくっていく。そしてそれを教育課程にのせて実施をする。さらに、それをPDCAのラインにのせてつなげていくことによって、まさにカリキュラム・マネジメントが回り始めるのではないのかなと思うし、学校運営協議会が学校参画を具体的にしていくことになるのではないのかな。
 このカリキュラム・マネジメントを推進させるためにも、恐らく次の話題で出てくると思いますけれども、やはりそこには学校評価の充実が必要になってくるのかなという気がいたします。ですから、各学校でコミュニティ・スクールだから、うちは社会に開かれた教育課程をしているんだって、そういう考えは絶対持ってはならないと考えております。
 以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。皆さん方の御意見と大体同じです。やはり社会に開かれた教育課程ということで、社会とのつながりを重視するということを学習していくというところであるわけですから、何よりも社会で活躍する人たちの声を反映させるという上でも、教育課程との連携、コミュニティ・スクールとの連携は必要であり、また、やはり当該学校の教育内容の透明性というところも、きちんと考えなければいけないかなと思います。この山口県の協働のカリキュラム・マネジメント、この見える化はとても大事だとすごくつくづく思いました。やはり協力者の皆さん、全体に透明性ある、見える化をしていくということが必要であろうと思います。
 特にまた総合学習等は、その取り扱う内容について、例えば担任が替わると、毎年内容が変わるというところもまだちょっと見えるかなということがあり、懸念しています。やはり体系的に目的を持っていかないと、難しいのではないかということと、特色ある教育活動でも、地域の特色とか学校ならではの特色を生かした活動というのを、もっと前面に出して行うことがコミュニティ・スクールらしさかなと思っています。
 ただ実践に当たってはやはりコミュニティ・スクールでいろいろ計画立てていったところを地域学校協働活動推進員の力というのが、またここで重要になってくるかなというところをつくづく感じるところです。
 以上です。
【松田座長】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。竹原委員、お願いします。
【竹原委員】  社会に開かれた教育課程と言われても地域の方も先生方もどうすればいいのだろうかというとき、東山田中学校区では、まず学校と地域がつながり、どのような学びがあるか、可視化し現状把握をしました。具体的には9年間の各教科の学びとして整理し、次の動きにつなげています。
 またコミュニティ・スクールや地域学校協働活動の研修時に、地域の方から学んだこと、地域に出て学んだことをカリキュラム表に記入するワークショップで情報共有することがあります。長い伝統があるものをがらりと変えることは難しいのですが、このワークショップによって改めて価値づけたり、時にはスクラップすることができ、どのような資質・能力を育てるのか確認しながら進めることができます。
【松田座長】  ありがとうございます。福田委員、お願いいたします。
【福田委員】  お二方の発表、ありがとうございました。私もとても大事なところだと思っておりまして、ただ、この教育課程って何となく学校の先生は、自分たちの領分だ的に思っておいでのところが随分あるのではないのかな。ひょっとすると教育委員会、県市町村のレベルであっても、教育課程というと学校教育がやるもの、そこの中で完結しようとするから、そこに地域の方が入っていけないので、学校だけがつくってしまいがちになるので、まさにコミュニティ・スクールというのは、ある意味では社会に開かれた教育課程を実現するためには必須のものであって、コミュニティ・スクールの学校運営協議会なしに、社会に開かれた教育課程がつくれるかという究極の問いになるのではないのかなと思うところがあります。
 その一方で、うちの町もいろんなところに学ばせていただいて、「まち未来課」というカリキュラムをつくって、9年間で、もっと言うと年長児からの10年間をつくっているんですが、つくるときのエネルギーってすごいんですが、なぜかつくってしまうとほっとしてしまうというか、つくったことに満足をしてしまう。
 ところが、どうしてもつくるのが大変だから余計あるのかもしれませんが、そういう意味では山口県さんが言われたように、常にブラッシュアップをする。先ほどもありましたけども、この後でも出てくるのかも分かりませんが、評価と一体化するとか、カリキュラムをつくったらなんかもう絵ができてしまった。先ほどからあったように、うちはコミュニティ・スクール入れています。カリキュラムをつくりました、もう万全ですよ。ところが魂がどんどん抜けていって、初期のメンバーが1人抜け、2人抜けするとイベントをこなしていく教員が出来上がるという、そうならないために今後このコミュニティ・スクールをどう続けていくのかというのがまさに大事かな。
 学習指導要領とかでも言われていることを、やっぱり現場の先生はまだまだ教育課程をつくる上で、例えば県でも、文部科学省からの教育課程の伝達講習なんかでも、指導主事がしゃべって終わるんですが、そこに地域の声というのはなかなかないのではないのかな。その辺りがもっといろんなところで教育行政の段階でも、教育課程をつくる段階で地域の声が入るということを仕組みとして提案していくことが必要ではないかなと思うところであります。
 以上です。
【松田座長】  ありがとうございます。それでは、増渕委員、お願いいたします。
【増渕委員】  ありがとうございます。先ほど菅野委員の発表がありまして、非常に共感するところがありました。
 一般的にこういう発表を聞くと、特別な状況がある、あるいはそれをサポートする特別な環境が整っているからできるのであり、うちとはちょっと違う、うちは普通の学校だからというふうに考えがちかもしれませんが、発端はいろいろな事情や状況があったとしても、私がもし現役だったら、ここはぜひ参考にさせていただきたいというところが随所にあります。学校がこういう好事例をうちとは状況が違うとか、環境が違うということで見逃さず、学べるところは大いに学び、生かせるところは生かしていけたらと思いますし、今回の事例に限らず、高校における好事例がどんどん広がっていくとよいと思います。
 以上です。
【松田座長】  ありがとうございます。委員の皆様方からいろんな御意見をいただいているところですが、ここまでの意見をいただきまして、繁吉委員、菅野委員のほうから何かコメントがございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、まず、繁吉委員、いかがでしょうか。
【繁吉委員】  皆さん、どうもありがとうございました。
 昨年末に、こちらの社会に開かれた教育課程の実現に向けてというリーフレットをつくったんですけれども、その中にもありますが、学校・地域連携カリキュラム、こちらは学校だけでつくるのではなくて、家庭や地域とともにつくっていくプロセスにこそ大きな価値があって、その上で何度も見直す仕組みをつくることが大切だと触れております。
 まさにそのとおりでありまして、毎年毎年見直して、ブラッシュアップしていくことが必要なんで、本県も全ての学校がコミュニティ・スクールになっておりますが、コミュニティ・スクールになったことが、もう目的を達成したということではなくて、そこがスタートで、そこから社会に開かれた教育課程、こちらに向けて学校・地域連携カリキュラム、こちらのほうに毎年毎年ブラッシュアップしていく、そういうことを目指していきたいと考えております。
 以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございます。では、菅野委員、いかがですか。
【菅野委員】  ありがとうございます。地域学校協働は教育課程の連携こそだという話がやっぱりあるかと思うんですけれども、まさに教育課程課のほうから社会に開かれた教育課程ということで出てきたことで、本当に地域と学校が連携していけるのかというところが試されているところなんだろうなと思います。
 その上で、高校では学校設定科目、また文部科学省も夏に教育課程の特例で10時間でしたっけ、移せるみたいなことを発表されていましたけれども、学校長が何か新しいことをやりたいと言ったときに、やっぱりコミュニティ・スクールは、その学校長の意思決定を正当化するような、そういう役割があるんだと思います。
 なのでやっぱり特色ある取組をやっていく上で、下支えする学校運営協議会の役割というのがあるんだろうなと思います。
 それともう一つ、先ほどコーディネーターの役割というところが出てきていましたけれども、地域からこういう力を育んでほしいという思いが出てきたときに、それを教育課程に落とし込んでいくというところは、まさに教育委員会指導主事だったり、また学校管理職だったりするような方々の力というのはすごく必要になってくるんだろうなと思います。
 そこをコーディネーターがやれるかというとなかなか難しいところもあるかと思うんですけれども、やっぱり研修の機会を充実させることで、そうした思いから家庭への読替えというところをつくっていくということが必要なんだろうなと思います。
 私から以上です。
【松田座長】  ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。志々田先生、お願いします。
【志々田国立教育政策研究所生涯学習政策研究部総括研究官】  志々田です。今皆さんのお話を聞いていて、私、学校の先生方にも研修をしますし、社会教育の主事たちにも研修するんですけれども、教育の狙いとか目指す子供像だとか学校目標だとかスクールポリシーだとかスクールミッションだとか、いろんな目指すべき目標というか目当みたいなものが言葉がぐちゃぐちゃになってしまって、みんな階層化ができないというところが、地域と学校が一緒にカリキュラムの話をするときに、とても足かせになっているなということをいつも感じています。
 なので、そろそろ高校のところで、今年、ある県のスクールミッション、県立学校がだっと一覧を出しているのを見たんですけど、学校目標なんですよね、スクールミッションじゃない一覧表が載っていて、ここの大項目、中項目、小項目というか、構造化がやっぱりなかなか難しい現状があるので、これは社会教育でも学校教育でも同じことなので、そこをカリキュラム・マネジメントの中で統一していったりだとか、ある程度のアウトラインを見せていく必要があるのかなということを、今日、山口県の事例を見ても、それから菅野委員の大槌を見ても言葉が違うんです。そうすると見る人からすると、どっちがどっちだったかみたいになってしまいやすいので、その辺りの整理は行政の側でできるんじゃないかなということを今ちょっと思いました。
 以上です。
【松田座長】  ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
 全体の時間を考えますとそろそろで、少し次の議題のほうにも移っていきたいと思うんですが、大変貴重な御報告をいただいて、まずコミュニティ・スクールの必要性ということ、特に教育課程の編成、実践に関わってというあたりでは、皆さんがやはり一様に非常に重要なものであるという御意見を総じておっしゃってくださいました。特に教育課程というのが単に方法というのではなくて、目標、内容、方法、評価という、四つの一貫性を調整していくような作業であるということが、やはり皆さんの含みの中にすごくあって、その教育全体のプロセスを実社会との接点の中で共有していくということ。そういうことが、やはり学校運営協議会というものがある種ハブになって果たしていくという、その必然性がすごく意見としては共通してお話しくださったのかなと、ちょっと感じておりました。
 また一方で、少し言葉は正確ではないかもしれませんけど、そういう教育課程の一貫性に対して、さらにその上位にある目的というんでしょうか、育てたい子供像というものですね。そういうものにおいてもやはり共有の必要性ということがすごく指摘してくださったかなと思います。
 他方で、その関わり方、役割という点では、やはりセクターを超えた皆さんが地域特性に応じて一つの課題で集まって進めていくということになりますから、その運営協議会の役割ということになると思うんですけれども、その協働する具体的な在り方、方法というんでしょうか、特に御発表にツールという言葉がありましたけれども、それはそのプロセスを見える化したり、あるいは成果を共有化していくということにもあったと思いますし、さらにもう1点、今日それを持続、継続させていくためにはまさに探求的なカリキュラムという言葉がありましたけれども、そういうものが、関わり方としてはひもづく必要があるのではないかとの意見もいただけたかと思います。
 その意味では、コミュニティ・スクールと社会に開かれた教育課程の関係というのが、非常に幅広に今日御議論いただけたかなと思いますので、また、取りまとめの中では、生かしていきたいなとちょっと思ったところでございます。
 それでは、お二人の御報告どうもありがとうございました。
 では、引き続きまして、議題2の学校評価とコミュニティ・スクールの関わり方についてに移らせていただきたいと思います。
 この議題では、初めに文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課、白井教育制度改革室長より、学校評価について御説明いただき、事例といたしまして教育委員会の取組、学校の取組、関連の情報提供の発表を続けて行っていただきたいと思います。
 事例の一つ目は、宮城県仙台市の取組を、宮城教育大学学長付特任教授、野澤令照様にお願いしております。野澤先生は、仙台市教育委員会に御在職中に、本日御発表いただく仙台市の学校評価システムの構築に携わられ、現在は文部科学省のCSマイスターとしても御活躍されています。
 事例二つ目は、東京都八王子市立中学校の取組を、八王子市立松木中学校長、大熊一正様にお願いしております。大熊先生は、学校運営協議会と学校評価の具体的な実践について、2校の御勤務経験を踏まえた御発表をいただきます。
 最後に、学校評価に関連した話題といたしまして、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(以下「MURC」と表記する。)政策研究事業本部研究員、永野様に情報提供をお願いしています。永野様からは、各校のコミュニティ・スクールの取組状況を見える化するツールであるCSポートフォリオについて御発表いただきたいと思います。
 それでは、それぞれの御発表者の方は、この後、会議の最後まで御出席いただけるということになっておりますので、早速御報告をいただきたいと思います。
 では、白井室長のほうからどうぞよろしくお願いいたします。
【白井初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室長】  初等中等教育企画課の白井と申します。よろしくお願いいたします。
 資料2-1に基づきまして、学校評価について、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 学校評価の仕組みですけれども、平成18年に教育基本法が改正されまして、その翌年になりますけれども、当時教育三法と言っておりました地教行法、それから教育免許法と一緒に学校教育法について改正が行われまして、制度として位置づけられたものでございます。
 大きく分けて三つ、右上のところにございますけれども、自己評価、学校関係者評価、それから第三者評価という評価の在り方があろうかと思います。若干法令上の位置づけが違っておりまして、1番目の自己評価に関しては法令上実施する義務、それから公表する義務、さらに実施した場合には、設置者に対する報告の義務というのが課されております。
 2番目の学校関係者評価ですけれども、こちらについては、現状では公表についても、実施についても努力義務ということになっております。
 それから3番目の第三者評価ということで、外部の専門家から評価を行っていただくということも、これまた別途法令外の仕組みとして、各学校において行われている場合があるということでございます。
 左側の中段のところです。学校評価の現状と課題ということで、若干古いデータになりますけれども、当時、96%の公立学校において既に行われているという状況が平成26年の時点でございました。
 ただ一方で、課題としては、大いに効果があったとおっしゃっているところが20%程度にとどまっているということで、その実効性をどう高めていくのかということが課題であったということでございます。
 右下の部分を御覧いただきたいと思います。各学校における取組ということでございますけれども、実効性の高い評価というものはどういうものかというと、やはりその子供の成長等につながっているような有用感のある取組ということについて指摘があるようでございます。評価のための評価であったり、やらされている感があるような評価ということではなくて、具体的にそれを感じられるように評価していきたいというところが一つポイントになってくるのかなと思います。
 2ページのほうを御覧いただきたいと存じます。文部科学省におきましては、こういった学校評価について、これを後押しするためにガイドラインをつくっております。平成28年に少し改定を行ったものが直近のものとなっておりますけれども、そこの一部のケースについて御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、上段の赤字の部分を御覧いただきたいと思います。学校評価により期待される取組と効果という点ですけれども、特にこの学校運営協議会との関係ということでありますけれども、教職員、保護者、地域住民等が学校運営について意見交換をして、また、課題意識を共有することによって相互理解を深めることが重要である。学校評価をコミュニケーション・ツールとして活用することによって、学校運営に保護者・地域住民の参画を促して、共通理解に基づいて開かれた学校づくりを進めるということを期待されるということが記されております。
 それからもう1点、2番の下のところになりますけれども、学校関係者評価に関する記述がございます。1番下の赤字の部分になりますけれども、学校関係者評価委員会を新たに組織するということももちろん可能なんですけれども、そうでなくて、既存の学校評議員だったり学校運営協議会だったりと、そういった組織を活用して評価を行うということも考えられるのではないかということです。
 実際、学校運営協議会に学校評価の機能を位置づけているということもございまして、これらを一体的に、学校の運営と評価のところを一つの協議会で行っていただくということも有用ではないかという指摘がございます。ただ、その場合、注意する点として、一部の方、学校運営協議会に関わっている方とか、評議員さんだけということにならないように、より透明性の高い広がりを持った評価になるようにということも留意点として書かせていただいているところでございます。
 簡単ですけれども、こちらからは以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございました。それでは、続きまして野澤先生、よろしくお願いいたします。
【野澤宮城教育大学学長付特任教授】  宮城教育大学の野澤と申します。今日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、資料に従いまして、説明をさせていただきたいと思います。共有を許していただいてよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、こちらの資料を御覧いただきながらお話を聞いていただければと思います。先ほど御紹介ありましたように、私、宮城教育大学に勤務しておるんですけれども、仙台市に勤務していた時代にこの制度をつくり上げたものですから、仙台市の担当に代わりまして、今日は御紹介、御説明をさせていただきたいと思います。
 仙台市では、これまで教育活動の基盤として、地域とともに歩む学校づくりということを長く取り組んできました。仙台では、コミュニティ・スクールを導入すること、そのタイミングに合わせまして、学校運営協議会と既存の学校を支える地域活動との協働によって、地域総ぐるみでの教育を実現するということを目的としております。
 その中で、学校評価をどう実施するかということがやはり重要になりますけれども、その際、仙台市では従来から取り組んできた、今日御紹介をする「協働型学校評価」を生かすということにしてございます。
 それでは、前段として、現在の仙台市のコミュニティ・スクールの取組について御説明をさせていただきます。まず、仙台市で導入をするときの視点として、三つの部分を掲げてございます。
 先ほども説明がございましたけれども、学校評議員あるいは学校関係者評価委員会、これまで設置をしていたわけですけれども、やはり複数の組織を学校内に立ち上げることが非常に現在の学校の状況が難しいということがありまして、それを学校運営協議会の中へ一本化する、一体化するということを視点の一つ目として考えています。
 それから学校・家庭・地域がやはりビジョンの共有、先ほど来お話がありましたが、それが重要だということで「育む子ども像」というものをしっかりと共有し、社会総がかりの教育体制を構築するということを目指してございます。
 それから、学校支援地域本部事業は、今で言う地域学校協働活動になる、協働本部になるわけですけれども、その取組、仙台市としては長く積み上げてきた実績がございますので、それを一体化する、それを生かして、「地域とともに歩む学校」づくりを推進すると、そういったことを導入の視点としたところです。
 それで、経緯でございますけれども、令和元年度に検討委員会を設置いたしまして、令和2年度、昨年17校、コミュニティ・スクールを導入いたしました。小学校13校、中学校4校でございますけれども、中学校は全て中学校区で設置してございます。ですから、校区の小学校を合わせて一つの学校運営協議会を設置するということになってございます。
 令和5年度までには、市立学校全てをコミュニティ・スクールとするという方針を立てておりまして、小学校118校・中学校64校・高等学校4校・中等教育学校・特別支援学校・幼稚園それぞれ1校園ずつという形で進んでいるところでございます。
 その協働型学校評価でございますけれども、これがそのイメージ図ということになりますので、御覧をいただければと思います。仙台市は、平成22年度からこの協働型学校評価を実施してきてございます。この根底には、子供たちの将来や成長について学校・家庭・地域が共に願いや期待を込めて行動し、子供たちを支えていくという考えがございます。そこで、ここにPDCAを回すということを整理して示し、制度化したものでございます。
 この特徴でございますけれども、やはり学校評価の本質、先ほど来お話がありましたけれども、「児童生徒のより良い姿」を実現する教育活動の改善になるわけでございますけれども、仙台市では協働型学校評価を仙台独自の学校評価として、これまで取り組んでまいりました。
 その特徴ですが、学校・家庭・地域の三者が協働して重点目標を設定し、それぞれの立場で改善活動に取り組む。その成果を次年度に生かし、新たな重点目標設定につなげていくというPDCAサイクルを回して、そして改善活動を継続的に行ってきたということがございます。
 学校の教育活動、多岐にわたりますけれども、協働型学校評価の対象とするのは、当該年度の重点目標に限定して、学校は一点突破型の実践並びに評価を目指すという取組をしてまいりました。
 一つの項目、重点目標が改善される、達成されると、それに引きずられるようにほかの目標も達成できてくるということを考えながら進めてきたものでございます。下のところにイメージ図として示してございますので、参考に御覧いただければと思います。
 それで協働型学校評価でございますけれども、当該年度の重点目標設定の在り方が最も重要だと考えております。そうなんですけれども、学校ではほかにも目標として掲げるものがありまして、それぞれの目標と協働型学校評価との関係を整理するということも、また必要、重要だと考えます。
 重点目標は重要性、必要性、緊急性の高い課題の中から設定されていくわけですけれども、幾つかの重点目標が掲げられる中で、学校が単独で取り組むべき課題というものもございますが、一方で、学校が家庭や地域とともに取り組んでこそ、教育効果が期待できるという課題もございます。
 この三者で課題解決を目指す重点目標、そのことが「協働型学校評価における到達目標」となると考えて、取り組んでまいったところでございます。
 これがこの制度を設置した当時の説明した資料でございますけれども、先ほども御説明がありましたが、自己評価、それから学校関係者評価、そして、右側には協働型学校評価の年間のスケジュールとしてまとめてございます。学校関係者評価につきまして、学校関係者評価委員会を設置して行ってきたわけですけれども、これはコミュニティ・スクールを設置するに当たりましては、冒頭御説明をさせていただいたように、学校運営協議会の中にこの機能を持たせるということで進めていくということを考えてございます。
 それから、市教育委員会では有識者でチームをつくり、各学校を訪問して、その都度現状を把握し、指導する、助言をするということも併せて取り組んできたところでございます。
 最後に、取り組んだ学校の現状ということで、アンケート調査の結果をちょっと御紹介させていただきたいと思います。
 まず、左上ですけれども、これはPDCAサイクルが機能しているかという質問でございますけれども、とてもそう思う、そう思うというプラスの答えが9割近くということになります。
 二つ目は、教職員のモチベーション向上につながっているかということですが、これも多くの学校からそう思う、とてもそう思うという答えが多く出てきております。
 重点目標の取組が、ほかの教育活動の改善につながっているかという、下の左側三つ目のことですけれども、これもとてもそう思うということが非常に多い結果が実は出てきております。
 さらには最後ですけれども、保護者や地域との連携が深まってきているかということでも、非常にプラスの評価、結果が出てきたということでございます。
 仙台市では、学校評価についての理解、この協働型学校評価についても理解も深まっておりますことから、今後コミュニティ・スクールを設置し、それを運用していく中でもこの制度を生かしていく、そんな方針で取り組むことにしております。
 私からの説明は以上です。ありがとうございます。
【松田座長】  ありがとうございました。続きまして、大熊先生、よろしくお願いいたします。
【大熊東京都八王子市立松木中学校長】  
 それでは、学校評価における学校運営協議会の関わりについてということでお話をさせていただきたいと思います。
 私は東京の八王子市の公立中学校の校長ですが、現在、八王子市は全ての学校が地域運営学校になっております。八王子市では、今コミュニティ・スクールという言い方ではなくて、地域運営学校という言い方をしておりますので、この画面上でも地域運営学校という形で紹介をさせていただきますけれども、今議論させていただいているコミュニティ・スクールのことでございます。
 まず、私自身の関わってきた2校について御紹介をさせていただきたいと思います。
 私は、平成25年4月に八王子市立宮上中学校に新任の校長として着任をしました。この宮上中学校は、地域運営学校の制度が発足した年に導入された学校で、その1年前に試行も取り組んだ、そういう学校でございます。
 それから、平成30年4月に八王子市立松木中学校へ異動いたしました。松木中学校はこの制度の2年目に導入した学校で、どちらの学校ももう10年以上、15年、この地域運営学校として、コミュニティ・スクールとして歩んだ歴史がございます。
 これは私が宮上中学校の最後の年の学校運営協議会での議論の内容、予定の内容です。今日は学校評価ということでお題をいただいているんですが、第10回、第11回、この辺りに学校評価に関する、議題が出てきております。それを受けての教育課程というのが第12回のところであります。
 こういう形で、学校運営協議会が学校関係者評価を行いながら、次の年の教育課程に反映させるという流れをつくることができています。
 それから、ここにも生活指導の課題、学習指導の課題ということが出ているんですけれども、ここは実際に教育課程がスタートして、1学期が終わったところでの課題を確認するということになります。こういう形で学校運営協議会があることで、学校と学校運営協議会をつなぐ形で、学校評価、教育課程が進んでいくということが行われていました。
 地域運営学校になってどんなメリットがあるかということをぜひお話ししてくださいということなんですが、私たち校長も含めて、教職員というのはどんどん異動していきます。そうすると、学校の柱というものはあるわけですけれども、教職員が異動することによってそこに携わる教職員がこの学校はどういった柱なのかといったことが分からなくなってしまうことがあるんです。ですから、そういった意味で、先生方が替わっても、あるいは校長が替わってもこの学校はこういうところが大事なんだよということが、やはりきちんと伝えられるということが大きなメリットだなと思います。また、その中でどういった歴史を歩んできたのか、そういったことも大事なことだなと思います。
 もちろん学校にとって危機的な状況のときに一緒に考える母体があること、それから、生徒のためにいろいろな関わりを今求められている中で、地域の分かっている方が関わっていただけること、それから、子供たちもそういった関わりを持っている地域の方がいらっしゃるんだということを早く知ることができる、それもメリットだなと思います。そして、社会に貢献している具体的な人の姿を身近で感じることができる、そういったことも大きなメリットだなと思います。
 実は宮上中学校も、それから今いる松木中学校も多摩ニュータウン、新興住宅街における学校でございます。ここでは、今まで非常に人口が少なかったところを切り開いて、住宅街をつくったわけです。そのために、地域の基盤というものが最初は全くないわけです。それを地域のないところで地域をつくっていく、それが学校運営協議会、地域運営学校になる一つの大きな役割でもありました。
 学校が最初のうちは地域をつなぐ唯一の仕組みで、PTAでのネットワーク、それから子供同士のネットワーク、これが徐々に地域のネットワークになっていく、そういった経緯をたどっています。地域運営学校になることで、学校が地域を結びつける役割を担う、そういったことも行われています。
 両校では地域祭り、地方では多分学校でお祭りをやるということはあまりないのかもしれませんけれども、両校では、地域祭りを学校で開催していました。それから、本校では今松木アカデミーという文化活動を、保護者・地域の方と一緒にやっています。それから宮上中学校では、みやかみミュージアムという、いわゆる学校博物館のようなもの、基本は生徒の作品を展示している場所ですけれども、保護者・地域の方が運営を携わっていきながら、保護者・地域の方の活動の場として今活動しています。
 学校評価について、具体的な内容ということになるんですが、宮上中学校では、学校運営協議会が発足した当初は非常に大変だったということを聞いています。様々な要望やクレーム、これが学校に寄せられるんですが、学校へ直接関わることでないこともみんな学校に結局来てしまうわけです。
 これは地域で考えなきゃいけないことだね、そういったものはこの学校運営協議会で考えようと。学校が本来答える、その教育活動に関するものは学校が答えるものだ、そういう切り分けを最初にしたと聞いています。そういう形で学校評価に携わりながら、結果として、学校評価にいい評価をいただくように変わっていったと聞いております。
 私が着任したときに、この宮上中学校ではその取組はもう完全に定着をしておりまして、学校評価、学校が出す評価について、地域に関することが出てくるとか、そういうことはほとんどありませんでした。
 したがって、そういった意味ではもう次の段階に進まなきゃいけないねということで、先ほど出てきたみやかみミュージアムなど、もっと積極的に地域の方と学校を結びつける場をつくっていきましょうと、そういったことを取り組んでおりました。
 そのときの課題なんですけれども、実は両校ともにそうなんですが、学校評価というものを学校から保護者・地域、あるいは子供たちに行うと、実はそれほど低い評価ではないんです。どちらの学校も肯定的な評価はとても多いんです。そうすると、やっぱりどうしても現状でいいんだという考え方になってしまいがちです。そして、学校運営協議会として取り組みたいこともあるのですが、それと学校評価とが意外に結びついていなかったりするわけです。
 例えば、みやかみミュージアムというのをつくろうよということは、その以前から、地域の方々が学校で活動できる場が欲しいということを要望としては受けていたんですが、いわゆる学校評価という形ではなくて、学校運営協議会への要望という形で出ていたものでした。でも、これはやはり切実なものだなということを考えて、実現することができたということです。
 そして、今現在の松木中学校ですが、松木中学校では分科会の一つに評価部会があります。その中で、学校評価について検討することが一つの役割であり、また、もう一つとして、学校運営協議会の活動を評価する。どういう活動ができたのかということを評価するということも行っております。ただ、今この評価部会ではどちらかといえば、学校運営協議会の活動に対する評価を中心に取り組んでいるというのが現状としてあります。
 松木中学校は、学校が取りまとめた学校評価を学校運営協議会にて検討しており、また年数回、委員による授業観察があったり、教職員一人一人と委員の方が面談をしたりして、そういった形でつかんだことと関係づけながら、学校評価を行っています。
 学校評価の課題を改めて考えたときに、この学校評価を行うに当たって、学校運営協議会が項目の設定であるとか、結果の検討、そして提言といった学校評価の過程にどのように関わっていったらいいんだろうかというのは、やはり委員の方々、我々管理職、教職員も含めて、明確になってないなということを感じました。
 どちらの学校でも学校運営協議会の活動で、学校に対する保護者、関係者の評価をアンケートでいただいて、次年度の活動へ生かしている。これはもうかなり定着をしています。
 学校運営協議会に関する認知度も高く、学校運営協議会が学校や子供たちのことを協議している場だということを多くの保護者が知っています。学校運営協議会が、子供たちの様々な支援のために活動していることも知っている。そういう評価になります。
 では、学校評価の現状ということで、ぜひ今やっているものをお示しします。
 八王子市では、現在12の項目を市共通の学校評価項目として示していて、ここは学校では一切いじることができません。そして、学校独自で項目を設定していいですよということで、本校では18項目を設定しています。そのほかに御意見をいただきたいということで自由記述欄を設けています。
 そして現在、これを年2回実施しているんです。具体的には7月と12月、こちらにその項目がございます。左側が共通項目、右側が独自の項目ですが、御覧なって分かりますが、学校の教育活動に関する評価ということになりますので、かなり学校全般のことについて評価をしている。
 したがって、この項目というのはそれほど大きく変わるものではないなと思っています。学校独自のほうは例えば、思考力・判断力・表現力という新しい学習指導要領にのっとったところであるとか、そういったところを加えているんですけれども、それでもやっぱり、短期的なものでの学校評価というのになっていないんじゃないかなということを感じることがございます。
 課題なんですけれども、やはりその学校独自の項目設定というところにもっと学校運営協議会が関わっていくといったことは大事なことだなと思います。全般的な教育活動について聞くこともこれは大事なので、そういったところではなくて、今年はこのうちの学校としてこういうことに取り組んでみよう、こういうことをやろう、あるいはこういうふうに子供を育てようといったことについて直接、評価をいただくということが大事だなと思っています。
 それから、これはそうでないところもあるのかもしれませんけれども、今、本校では2回学校評価を、同じ項目でやっているんですけれども、そうすると評価を取ってまとめて、検討して、またすぐ評価になってしまう。そういった現状があります。この辺りも少し改善の余地があるんじゃないかなと思っています。
 7月の学校評価で同じ項目を問うと、特に中学校1年生では入学して1学期しか経験していないために、よく分からないという評価の割合が多くなってくるんです。こういったところも、年2回がいいのかどうかというところもあるのかなと思っています。
 これは私見が入ってしまっておりますので、議論いただいていければと思っているところですけれども、学校評価において、全般的な学校活動を聞く評価とともに、その年、あるいは2年間、3年間ぐらい、短期で学校が取り組むこと、あるいは学校の特色について、そういった項目を例えば三つ程度絞って、学校運営協議会と協議の上で、評価するというのは、良い取組ではないかと思います。
 また、7月の学校評価を中間評価、12月、年度末にこれをまとめていくわけですけれども、そこを年度評価として、評価の意味づけを変えてもいいんじゃないかなと思っています。
 学校運営協議会の学校評価についての関わりを、特に学校が今年重点的に取り組むことは、こういうことだよねということで検討しながら、次年度へ向けて教育課程に生かし、そして学校評価にも取り入れる、こういった形が定着すれば、さらに学校評価というものが生きていくんじゃないかなと思っています。
 「おわりに」ということですが、2校、地域運営学校の歴史を刻んだ学校に携わらせていただいて、やはり本当にこの制度は定着しているなということを実感しています。八王子市では、ここで全ての学校が地域運営学校になりました。そういうことで、どんなふうに運営しているのかなとか、そういったこともよく聞かれますけれども、各学校、工夫して地域運営学校、コミュニティ・スクールとしてやっているなということを感じています。
 その中で、地域の中に存在している学校だという意識というのも高まっていっているなと思います。卒業した生徒が地域の中で活躍していたり、地域の人たちが学校を通じて次世代を育てる、そういったことに関わっていただく、あるいは、地域のお年寄りと子供たちとの関わり、こういったことがかなり進んでいく。そういったことで学校ということが一つのきっかけになって、地域に住んでいる全ての人たちにとって有意義な生活が送れる、そういう地域であってほしいなと願っております。
 私のほうからは以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございました。それでは最後に、永野様、よろしくお願いいたします。
【永野三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部公共経営・地域政策部研究員】  よろしくお願いいたします。では、資料共有しながら御説明をさせていただきます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの永野と申します。
 本日は、学校評価との関連ということで、弊社が行っております文部科学省様の「学校と地域との新たな協働体制の構築のための実証研究」で作成しているCSポートフォリオについての情報提供という形でお話しさせていただきます。
 まず、このポートフォリオをつくるときに、コミュニティ・スクールの成果というのは何かということを考えました。先ほど皆様の議論の中でも、地域と学校の連携には目標設定が重要だというお話が出たと思いますが、まさに目標に関連して、コミュニティ・スクールの関係者の皆様に、コミュニティ・スクールでどういう成果を期待していますかということを尋ねました。そうしましたら、スライド2ページ目でお示しするような要素が出されました。
 「児童生徒の資質・能力」ですとか「教職員の多忙化の解消」ですとか、いろいろな要素が出されました。これらは文部科学省などの政策文書の中でも言及されている要素かと思います。皆様御案内のとおり、コミュニティ・スクールで期待するところとしては、「生徒の資質・能力」や「地域への愛着」など生徒に関することだけではなくて、もう少し波及的には教職員や地域住民、保護者への影響も含まれているということが明らかになりました。
 これらの期待される成果を踏まえ、先ほどの委託事業において、それぞれの学校でコミュニティ・スクールの状態を見える化するためのツールとして、CSポートフォリオというものの開発を進めております。このポートフォリオの特徴としては、スライド3ページ目右側の緑のところでお示ししている、波及的に生み出されるコミュニティ・スクールの成果だけではなくて、それを生み出す前段階にある、「学校運営協議会の状態」、また、そこと成果をつなぐ「関係者の意識や活動の状態」についても把握するものとしました。
 このような構造にした理由として、コミュニティ・スクールの成果部分だけを検証したときに、なぜそのような成果が出ているのか、あるいはなぜ出ていないのかというところがなかなか分かりづらく、関係者の活動の改善につなげるための振り返りに使うことが難しいという課題がございました。
 そのため、コミュニティ・スクールの評価に当たっては、コミュニティ・スクールの成果発現に至る、まずは「協議会運営の状態」、そして「関係者の意識・活動」、そして「波及効果」というこの3要素を把握して、関係者の次のアクションの検討に使っていただこうというように考えました。
 繰り返しになりますけれども、このポートフォリオにおきましては、スライド4ページ目左側にお示ししている5つの主体が含まれると考えております。
 そこでこの5つの主体に対してアンケートを実施することで、このポートフォリオを作成します。その回答を集計しまして、それぞれの学校において、スライド4ページ目右側に示している3要素がグラフ化、可視化されるような形で、ポートフォリオが示されるというものになります。
 続いて、スライド5ページ目でお示ししている画像が、ポートフォリオのイメージになります。このような形で表示をされます。ポートフォリオは人で言うと健康診断のようなものです。というのも、例えば150センチの方の体重と170センチの方の体重が違うのが当たり前であるように、各学校において地域性や、そこで行われているプログラムの特性など様々違いがあると思いますので、単純に他校と比べられるものではないという考えによります。
 ですので、他校や他地域との優劣とか順位をつけるというものではなくて、あくまで自校の状態を把握・可視化していただいて、関係者での共有や改善に向けた検討に使えるものにしたいと考えて作成をしております。
 繰り返しになりますが、ポートフォリオはあくまで状態診断であって、評価優劣を下すものではありませんので、これを基に関係者で「気になる数値はあるか」、「なぜ今の状態になっているのか」、「頑張ってやっている取組の成果が期待したとおりに出ているか」ですとか、そういったところを対話していただくことが一番重要かなと考えております。
 また、指標が結構多岐にわたっておりますが、この全ての指標を気にする必要もないと考えておりまして、自分たちの学校に合う要素や指標を取り出して、活用していただくものになればよいなと考えています。
 このポートフォリオはアンケート項目を加工していただいたり、学校評価に組み込んでいただいたりすることで、学校評価に活用していただくことも考えられるのかなと考え、本日、関連情報として紹介させていただいた次第でございます。
 7ページ目以降のスライドは、参考資料としてポートフォリオを構成している要素を少し詳細に示しておりますので、もし御関心を持っていただけましたら、こちらも御確認いただければと思います。
 私からの情報提供は以上になります。
【松田座長】  ありがとうございました。それでは、ここまでの御発表について、皆様方から御意見、御質問をいただきたいと思います。中間まとめでの議論では、コミュニティ・スクールとして、学校関係者評価を学校運営の評価改善サイクルの充実に確実につなげていくということが求められるのではないかという御意見や、あるいは学校運営協議会と学校関係者評価の一体的な運用を進めることで、教育目標等の検討においても、コミュニティ・スクールが役割を果たすことを確認することの必要性等の御意見をいただいているところでございます。
 これを踏まえまして、先ほどの議題と一緒に学校評価におけるコミュニティ・スクールの必要性、あるいはコミュニティ・スクールの関わり方、役割などの観点から、御意見、特にいただけたらと思うところでございます。
 それでは、早速でございますが、御質問、御意見ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。竹原委員、お願いします。
【竹原委員】  ありがとうございました。仙台市、八王子市のお話を参考にさせていただきます。総花的になりがちな学校関係者評価を日頃から熟議、対話を重ねている学校運営協議会委員がすることは大きな力になりますが、クリティカルフレンド、辛口の友人としてどういう基準で評価するかとても難しいと思ってきました。その中で仙台市の重点目標を設定し、深く議論し、そこを改善していくということに関心を持ちました。
 沢山の字で埋め尽くされた評価表を見せていただきながら、読み解くのは難しく、時には分担して書かれていて全体像として見えないこともあります。そのような時、校長先生や担当の先生に何がポイントなのか、どこを議論したいのかまずお聴きし、前年度の学校評価もふまえ焦点化して学校関係者評価をしてきましたが、仙台市の重点目標設定はとても参考になります。
 学校評価に関して学校の自己評価と学校関係者評価について、学校現場では十分理解されてないのが現状です。学校評価は学校運営の改善のツールであるとともに、コミュニケーション・ツールであるということを、もう一度私たちは学ばなければいけないと思いました。
【松田座長】  ありがとうございます。では、山﨑委員からお願いします。
【山﨑委員】  ありがとうございました。学校現場にいる人間として、非常に耳の痛いお話もたくさん聞きました。野澤先生、大熊校長先生からも学んだことは、お二人共通しているのは、コミュニティ・スクールの中での学校関係者評価、評価内容についてやっぱり重点化、焦点化を図っていくべきであろうというのを感じたところでございます。
 実は大変お恥ずかしい話なんですけども、私の学校の事例を少しだけ紹介させてください。
 先月、前期の学校関係者評価委員会を運営協議会の中で行わせていただきました。昨年度まで、もう何十個もある評価項目を一つ一つ、これができました、これはできませんでしたとか、もうそれを繰り返しやるものですから、今年はもう校長命令で一切フリーズということで、委員の皆様方には紙面で、時間をおいて、御意見は書面でお受けしますということで出させていただいて、こちらから出した評価項目は1点、全国学力・学習状況調査の中であった質問項目を二つだけ出させていただきました。
 一つは地域行事に参加をしていますかという質問に対して、ありがたいことに本校の生徒は57.4%が参加をしている。実は国の平均は43.7%。非常に参加しているんです。
 ところがもう1点、地域や社会をよくするために何をすべきか考えますかという質問に対して、本校は43.1%、国の平均は43.8%なんです。つまり国平均よりも低いわけなんです。
 そこで、私は経営の重点として、地域貢献から地域参画への転換というところを視点に当てておりますので、そのことを説明させていただいた上で、皆さん、地域の中で中学生が果たすべき役割は何でしょうというところで投げかけますと、これまでにない活発な議論をしていただくことができました。
 その成果の一つが、ある地区が防災訓練をやると。体育館の中でやるんですけども、一つブースを中学生にあげるから、中学生が考える防災についてやってごらんということで、今十数名の子供たちが企画を練っているところです。
 その中で、子供らしいなと思ったのは、食材、食料、子供が喜ぶ食料はないじゃないかという中学生の視点で出てまいりまして、地域の方と今度、これ企業名を言っていいんでしょうか、CoCo壱番というカレー屋さんがございますが、そこと連携をしてレトルトのカレーをいただいて、子供たちがそれを使って食料を配布するという、そういう訓練形式を実は子供たち自身が考えているんです。
 そういう結果に結びつくような関係者評価、学校評価でなければならないのかなと思っています。
 もう最後に一つだけ、学校現場の一番いけないところ、学校評価が目的になっているんです。要するにPDCAのCA、僕は再三言うんですけども、CAがなかなか学校は動かない。そこを動かすことによって、学校改善もつながるのではないのかなという考えを持っています。
 以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございます。続きまして、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。私もちょっと我が校の事例になってしまうところは大変に恐縮なんですけれども、コミュニティ・スクールをスタートしたときに、学校運営協議会の機能として、委員が意見を述べることができるというところで、私どもの学校運営協議会では何をもって意見とするのかということを非常に悩みまして、委員個人の知見とか思いとかを意見にするというのもいいのだけれども、これはやはり協議会としては広く、児童生徒、教職員、保護者、地域関係者の意見を聞きながら、そこを俯瞰して、掌握して、意見を出せないものかということを考えまして、学校評価の結果を検討しながら、皆さんがどういうことを考えていらっしゃるのかということを把握した上で、そこを学校運営協議会の中で練って、次の年の意見等を出すということでPDCAを回すということを考え出しまして、取り組んでいます。
 そうすることによって、やはり学校運営協議会の機能が結構はっきりするというか、それも保護者の皆さんも教職員の皆さんにも浸透してきているので、今のところはそこのやはり学校評価と学校運営協議会の関係性というのは非常に大切だと実感値としては持っています。
 教育委員会からの設問というのももちろんあるんですが、学校運営協議会で独自に聞きたいことも、その中から出てきていて、そこはそこで追加で聞いていく。それを基に考えるということをしています。
 分からないという回答がとても大事で、分からないという答えをいただいたときには、学校と協議して、分からないイコール情報提供の不足というところがあるので、では、次年度、情報提供を強化しようかということを考えて、実行したりということができます。
 学校の負担軽減ということもあるので、学校運営協議会が聞きたいことについては学校運営協議会の中で、評価部会というのをつくってそこで集計して、まとめるということをしています。
 また、学校・家庭・地域が共に取り組む共通の目標をつくろうというところ、これは仙台の事例を野澤先生が、御紹介くださいましたけれども、実は以前に仙台の学校に伺いまして、その学校の校長先生にどうやってこの指標をつくるんですかということを聞きに行ったことがありました。その時には「共につくることが大切。」「当事者がつくるので、保護者さんに話を聞いて一緒につくる。」「地域の人たちと一緒につくる。」などという話を聞いて、それはすごく参考になりました。今、そのことが私どもの学校には生きています。
【松田座長】  ありがとうございます。安齋委員、お願いします。
【安齋委員】  安齋です。学校評価の意義については、今、井上委員からもお話ありましたし、事例発表でもあった通りだと思うのですが、実際にはこの学校評価というものの捉え方のずれが非常に大きいんじゃないのかなと思っています。
 先ほど文部科学省のほうから、学校評価について御説明いただいた通り、自己評価、学校関係者評価、第三者評価という三つの評価をもって学校評価と呼んでいますが、その自己評価の進め方自体にずれがあります。一番大きいのは学校関係者評価のずれで、文部科学省の資料にも書いてあるように、「学校の自己評価の結果を踏まえて行う」というところが、ともすると学校関係者評価委員の人たちが学校をそのまま評価するという行われ方をしているところも多く見られます。
 まず、その辺の学校関係者評価の理解のずれということが取組の仕方、それから、その効果にも大きな影響を表している。先ほど効果が20%しかないと言われていましたが、それはまさに正しく学校関係者評価が行われていないからではないのかなと思うんです。
 私の学校では、学校関係者評価を学校運営協議会の委員の人たちがやってくれることによって、学校を後押ししてくれる効果、学校改善をしていく効果になっています。ですから、この学校関係者評価は本当に効果があるわけです。その辺が、正しく理解されていない。
 一方で、学校評価に学校運営協議会がどんなふうに関わっていくのかというところでもずれがあります。学校関係者評価の部分にしっかりと関わっていくというのが基本なのかなと私は思うんですが、学校運営協議会が独自に項目を設定してアンケートも取って進め、そして分析も進めていく。結果的に、学校が改善されて子供がよくなるわけですから、別にそれはいいんですけども、そこにはかなり学校運営協議会委員のスキルの差が大きくて、できるところとできないところがある。
 だから、コミュニティ・スクールを推進し、さらに先ほど話題になった社会に開かれた教育課程を実現していくためも、「こういうモデルで取り組んでいくことが、効果がありますよ」ということをやはり明確化させていく必要があるのかなと。
 もう一方で、先ほどMURC永野さんが言われたように、もちろんコミュニティ・スクールがきちっと機能しているかどうかも、やっぱり評価することは重要。学校を評価するのか、学校運営協議会を評価するのか、いろんなことがごちゃ混ぜになっていて評価が分かりにくくなっているんじゃないのかと思います。その辺を整理していく必要があるんじゃないのか、そんなふうに考えています。
【松田座長】  ありがとうございます。それでは、貝ノ瀨副座長、お願いします。
【貝ノ瀨委員】  ありがとうございます。今日も大変勉強になりました。ありがとうございました。
 特に社会に開かれた教育課程の実現について、そして、学校評価を充実させていくということで、コミュニティ・スクール、学校運営協議会が必須の存在だということがよく分かりました。また、中身が付け焼き刃じゃなくて、広い視野で、深くこう捉えられているんだなと思って、大変敬意を持ってお聞きしていました。
 そういうことを前提にして、別な視点でちょっと感想なんですけれど、学校運営協議会の委員さんと学校側との深くなればなるほど、例えばカリキュラムづくりにしても、それから、評価の項目づくりから、評価の充実にしても、深くなればなるほどサロン化するおそれがあると感じるときがあります。
 つまり、限られた学校運営協議会の委員さんがいらっしゃるわけですけれども、この方たちは地域の言わば代表としていらっしゃって、今日の特にその二つのテーマは非常に割と専門的な内容ですよね。ですから、これがいわゆるその学校を支え、学校運営協議会委員さんを支えている多くの地域の住民の方々、学区域の住民の方々がどれほど当事者意識を持って、この学校運営協議会と学校側とのいわゆる評価にしても、教育課程にしても、同じような意識でもって学校改善を図っていこうと思ってくれているのかなと。
 つまり、当事者意識を学校運営協議会委員さんは当然お持ちですけれども、それを支えている地域住民の方々、これは最後に御報告いただいたMURC永野さんのコミュニティ・スクールに関する主体の中で、地域住民ということがちゃんと出ていますけど、その方たちとの関係をどういうふうに維持していくかと。
 ですから、その地域住民の方々も当事者意識を持って、何らかの形で関わりを持ってもらわないと、まちづくりなんていうふうにコミュニティ・スクール、学校づくりから地域づくりへ発展させましょうなんて言っても、絵に描いた餅になっちゃう。
 ということは、学校評価にしても、それからカリキュラムをつくるにしても、これは地域住民の人たちを、いかに多くの地域住民を巻き込んでいけるのかという、ですから、運営委員さんたちだけ学校側とだけのサロン化しないようにいかにしていくかということの工夫がやっぱり必要になってくるだろうと思うんです。
 ですから、そういう点では、やっていらっしゃると思うんですが、ちょっともう少しその辺をお聞きできればよかったなと思うんですが、もしそういうふうなことで御工夫いただいているところがあれば、時間も限りがありますので、お話しいただければありがたいと。
 例えば、評価部がつくられていたとしても、その地域の皆さん方に今は1人1台タブレットの時代ですから、そんなものを利用しながら、多くの方々の御意見も集約しながら、教員の学校評価と一緒にすり合わせをしていくということも、工夫も考えられるだろうしということで、そういった意味で、地域住民の当事者意識をいかに持たせ、また、持続していくかということがやっぱりコミュニティ・スクールの持続性ということに関わってくるのではないかなというふうに感想です。これは今日の御発表の皆さん方が大変にすばらしい取組をしているということを前提にした上での話ですので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【松田座長】  ありがとうございます。今のもし事例があればということで、ちょっと後ほどまた伺えればと思います。大島委員、いかがですか、今までのところのお話を伺っていただいて。
【大島委員】  ありがとうございます。今日もたくさん勉強させていただきまして、ありがとうございました。
 私から、学校評価のアンケートにつきまして、各学校で分析を行っていると思うんですが、こちらの各学校に1人ずつ、分析の専門家がいるわけでは当然ないと思うんですけれども、アンケートを取ったんだけれども、適切に課題抽出ができなくて、その結果、改善策に結びつかず、改善されないといったこともあろうかなと思います。
 これは誰がこれを分析するかというところも当然大事だと思うんですが、これをどう分析をして、しっかり改善に結びつけるかといったところが大切かと思いますので、この辺りの学校の取組について、適切に分析をするための対策についてですか、こちらもしっかり手当てをしていくことが大事かなと聞いていて、思いました。これは意見でございます。
 もう一つ、質問になりますが、CSポートフォリオのお話が出ましたが、こちらについては、学校評価には自己評価と学校関係者評価と第三者評価があるというお話を伺いましたけれども、この中の第三者評価の一つとして、今回こういった事例を御説明いただいたのかというところがちょっと私は理解できなかったので、どういう位置づけで今回CSポートフォリオのお話をいただいたのかというところの御説明をいただければなと思います。よろしくお願いします。
【松田座長】  ありがとうございます。では、先ほど貝ノ瀨委員からいただきました、当事者意識を広げるということでの好事例がもしあればということなんですけれども、野澤先生、大熊先生いかがですか、もしございましたらお願いしたいと思いますが。
【野澤宮城教育大学学長付特任教授】  ありがとうございます。
 今、貝ノ瀨委員からお話がございましたけれども、一つ、先ほどお見せした資料の中にもあったんですが、それが多くの人たちがその評価に関わってもらうような工夫ということです。例えば気持ちのいい挨拶ができるようにしようという目標、こういった目標が実は非常にいろんな学校で取り組まれています。1点突破の重点的な目標というお話をいたしましたけれど、これはやはり家庭にとっても地域の方々にとっても非常に分かりやすい、そして具体的に取り組みやすいということになります。その結果が、例えば教育活動からすると言語活動、各教科における言語活動につながってくるとか、それから、縦割り活動とか、あるいは小中連携の活動とか、そういった中にもその挨拶ということが一つの視点になって広がっているという事例、これは現場のほうから多く上がってきたということがございました。
 ですから、学校運営協議会の中で、その評価を導入するというときに、先ほど委員から御説明、御指摘があったように、やっぱり広く多くの地域の方々や保護者の方々に、それをどう共有してもらうかという仕掛けはやはり必要ではないかと思いますし、仙台市ではそういったことはこれまでも取り組んできたことから、効果的なことというのは今後も続けていけるかな、そんなふうに思っていたところです。
 以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございます。大熊先生いかがですか。
【大熊東京都八王子市立松木中学校長】  正直言いますと、この学校関係者評価で大きな位置づけを持っているのは、保護者からの評価になっています。
 先ほども言いましたように、学校のいろいろな細かなことについて、今、学校評価では聞いていますので、これは例えば地域住民からとってみると実は大変分かりづらいんだと思うんです。ですから、地域住民にとってもよく分からないというところは正直なところで、お子さんを実際に通わせている保護者にとってみれば、それは逆に切実な問題だと思いますので、答えやすいんですけども、そういったことがあると思います。
 先ほど出てきたように、例えば挨拶とかそういったことというのは、実際外へ向かっていることなので、地域の住民からとってみてもそれは答えやすい。この学校の子供たちはとても挨拶してくれるよとか、ちょっと挨拶がなかなかないよねとかということは、評価しやすいと思います。
 ですから、そういった課題の設定もこれからは大事だなと思いますし、そういったところで地域の方に関わっていただくということも考えていいのかなと思います。答えになってないかもしれません。ありがとうございます。
【松田座長】  ありがとうございます。あと大島委員からの御質問は、事務局のほうからちょっとお答えいただきたいと思います。
【榎木地域学校協働活動推進室長補佐】  すいません、事務局の榎木と申します。ちょっとMURC永野さんに代わりまして、文部科学省のほうからもちょっと補足させていただきますと、大島委員から御質問いただきました件に関しましては、このポートフォリオ自体そのものは、学校運営協議会のいわゆる状態を見える化するものでありまして、その中に先ほどMURC永野さんのほうから御説明いただきましたように、例えば地域住民の方や保護者や教職員に対してアンケートを集計するという部分もございますので、そこの項目について、学校評価や、それこそ自己評価や関係者評価に関連するような質問を追加するとか、あるいはもともと設定されている質問と似通っていて、そこをうまく使えるものがあれば、学校評価そのものにも活用が可能なものになり得るということで、御紹介させていただいたところでございます。
 以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございます。佐藤委員、いかがでしょうか。
【佐藤委員】  すみません、途中で席を外したので聞き逃しもあるかもしれません。簡単に2点ほど、感想です。
 最初の社会に開かれた教育課程なんですが、しばしば聞くのが教育課程といっても各教科の指導要領あるいは教科書がある中で、どれだけいじれるかということがよく聞かれる声です。
 ですから、教科書からどれだけ外せるかという言い方は変ですけど、結局そうなると教育目標、あるいは総合や特別活動をいじるということになると思うんですが、ただ、今日の繁吉委員の発表と菅野委員の発表をお伺いしたら、それだけじゃないというヒント、特に菅野委員の大槌町の学校設定教科・科目ですね。あの辺が非常にずばりと刺さるような取組なので、こういうのはもっと宣伝されるといいかなと。
 2点目は学校評価なんですが、簡単に言うと学校関係者評価をどこで行うかというのははっきりしないから、学校運営協議会でやるという例がかなり多いわけです。ただ問題は、学校評価とアンケートがちょっと混同されてしまうということです。
 よくあるのはYESという答えが10%でも多い場合があります。90%でも少ない場合があります。数値が少ない、多いと見るのが多分評価です。ところが要するに一つの視点だけで見てしまうとどうしても数字が多いほう、YESの数字が多いほうがいいと取られちゃうこともなくはないんで、そういう意味で言うと学校運営協議会が少し違った視点で評価していくということに大きな意味があるかなと思って、改めて感じた次第です。
 御発表のほう、いろいろと参考になりまして、ありがとうございました。以上です。
【松田座長】  ありがとうございました。続きまして、吉田委員いかがでしょうか。
【吉田委員】  全国市長会の社会文教委員長の埼玉県本庄市長の吉田でございます。
 私、今日はずっと拝聴しておりまして、本当にいろいろな地域において学校の評価の在り方、また運営協議会の在り方、地域に開かれた学校づくりの在り方、御苦労されているなということをずっと拝聴していたところでございます。
 私自身、細かいところは分かりませんけども、実はその数値、あるいはその数字においていろんなものを表していくということが、いろんな関係者のストレスになるということも結構あるんだろうなと思うんです。
 学校の評価というのは、果たしてその地域住民全員に何か話を聞いて、数値アンケートでも取って数値化するものでもないでしょうし、しなくていいものだろうと私は思っております。また、運営協議会に入っている方々の意見だけで評価すればよいとも限らないだろうと思います。
 お子さん方がしっかりと学力がついて、知・徳・体しっかりと伸び伸びと頑張っていけば、おのずとその地域においてその学校というのは評価されるし、徳育の面がしっかりしていれば、外に行ったときにちゃんと挨拶できるお子さんになっているでしょうし、ぜひ学校の評価あるいはその協議会の在り方等も、今日もいろんな事案の中で私もなるほどなと思ったんですけど、シンプルにしていくというのは非常に大事なんだろうなと。あまりいろんなものを詰め込んで、先生方がそちらのほうでまた疲れてしまってもしようがない。なるべくいろんなものがシンプルであるべきだということを聞きながら感じたところでございます。
 本当に感想ということでございますけども、以上でございます。
【松田座長】  ありがとうございました。大変いろんな御意見いただいているところですけれども、予定されております時間が近づいておりますので、もし言い足りないような御意見とかお気づきの点ございましたら、また事務局のほうへ、よろしくお願いいたします。
 この学校評価の御議論は、コミュニティ・スクールとの関係で重点目標とか焦点化という絞り込みということがやはり重要ではないかということや、あるいはコミュニケーションのツールになるという意味での評価ですので、一つは先ほどもシンプルにとかいろんな言葉がありましたけれども、一方では、全員が主体者となれるというその当事者意識をどう持つことができるかというその具体的な在り方、さらにフィードバック情報ですので、やはり閉じたメンバーでのものではなくて、開かれたメンバーにいかに届く情報にしていくのか等々、具体的なその行い方についての御意見、御議論がたくさんいただけたかなと思います。
 また、よく言われる目的と手段ということが、すぐにひっくり返ってしまうというような、特に評価においてはあり得ることだという御意見もございましたし、その意味では目標と評価の一体的な運用といいますか、そのようなところへのやはり同様の配慮が必要だということもあったかと思います。
 そもそもこのコミュニティ・スクールと学校評価ということ自体が非常に錯綜とまでは言いませんけれども、観点がいろいろあって、ごちゃごちゃしているというような、ちょっと御意見もあったかと思います。
 確かに学校教育法で制度概要として述べられているのは、どちらかというと評価を、どこでとか誰がという観点から区別されていると思うんですけれども、今日、御報告いただいたものは、何をという観点で、例えば教育課程を評価するのか、あるいはそれを含む学校の教育活動全体を評価するのか、あるいは学校運営協議会自体の活動を評価するのか、それが多分最後のポートフォリオの御報告では統合されたといいますか、それをまず一まとめにして行っているという関係でもあったかと思いますので、その評価に関して少し整理をして、考えていくということの必要性もちょっと御議論いただけたかなと思います。ありがとうございました。
 それでは、本日は非常に限られた時間で積極的に、しかしながら御発言いただきまして、御議論をまた報告書のほうへ反映させていければと思います。
 では、最後に、藤原総合教育政策局長から、本日の議論も受けていただきまして、御挨拶をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【藤原総合教育政策局長】  どうも皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました、総合教育政策局長の藤原でございます。
 前職が内閣官房のオリパラ事務局長でございまして、3年間、オリパラの実現に向けて全力を注いできたわけでございますけれども、大会が無事に終わりまして、文部科学省のほうに復帰した次第でございます。
 こちらのコミュニティ・スクールの会議に今日出させていただきましたけれども、戻ってみますと、懐かしい顔がたくさんいらっしゃいまして、大変心強く感じている次第でございます。
 また当時、数年前の段階でもこのコミュニティ・スクールについていろいろ議論をしておったわけでございますけども、数年を経て、やっぱり着実に進化をしてきているのかなという印象を改めて持った次第でございます。
 学校現場が今様々な課題を抱えているわけでございますけども、その中でやっぱりこのコミュニティ・スクールというのが、その解決に向けての一つの大きな力になっていくのかなということを今改めて感じております。
 どうぞ引き続き、このコミュニティ・スクールの制度の発展のために、委員の先生方の御支援と御協力のほどよろしくお願いを申し上げます。どうもありがとうございました。
【松田座長】  それでは、時間になりましたので、最後に事務局より連絡事項があればお願いいたします。
【榎木地域学校協働活動推進室長補佐】  事務局でございます。資料の4を御覧ください。
 次回の開催日時につきましては、11月22日月曜日の16時から18時を予定しております。本会議に引き続きまして、ウェブ会議との併用を予定しております。
 また、その後の会議日程につきまして、当初、年内に取りまとめをという目途で目指すスケジュールとさせていただいておりましたが、中間まとめまでに様々な個別の検討事項も出していただきましたことも踏まえまして、年明け以降の会議開催を含むスケジュールに変更しておりますので、引き続き御協力をお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【松田座長】  では、改めまして、皆様どうもありがとうございました。これで本日の会議を閉会としたいと思います。重ねまして、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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