コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議(第1回)議事録

1.日時

令和3年4月23日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議を併用して開催

3.議題

  1. コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議の運営について
  2. コミュニティ・スクールの在り方等について
  3. その他

4.議事録

【松田座長】 それでは、時間になりましたので、議事のほうを進めさせていただきたいと思います。運営規則の第2条に基づきまして、ただいまから会議を公開いたします。
改めまして、本検討会議の座長を担います東京学芸大学の松田と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますが、議題2、「コミュニティ・スクールの在り方等について」に移らせていただきます。
まずは、事務局よりコミュニティ・スクールの在り方等について、また本会議の検討事項について、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【岡地域学校協働活動推進室長】 お待たせしました。それでは、事務局のほうからコミュニティ・スクールの在り方等につきまして、まず現状につきまして御説明させていただきます。資料の5の方を御覧いただければと思います。コミュニティ・スクールに関します参考資料でございます。
まず、地域と学校の連携・協働につきまして、スライドの2ページ、経緯でございます。平成16年に地教行法が改正されまして、学校運営協議会の制度が創設されたところでございます。また、平成29年の3月、地教行法の改正によりまして、学校運営協議会の設置が全ての教育委員会におきまして努力義務化とされたところでございます。
また、スライドの3ページ、こちらについては協働体制の概要となっております。学校におきましては、学校運営協議会の設置が努力義務となったところでございます。また、地域におきましては、地域学校協働本部を整備し、地域と学校をつなぐコーディネーターの役割を担う地域学校協働活動推進員の方を中心といたしまして、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進を進めているというものでございます。
続きまして、スライドの9ページ以降で現在の導入状況等を御説明させていただきます。
スライド9ページ、全国の学校のうち、9,788校におきましてコミュニティ・スクールが導入されているという状況でございます。割合といたしましては27.2%となっております。
スライド10ページでございます。こちらは、学校の設置者の数となっております。全国の学校の中の879の設置者におきましてコミュニティ・スクールが導入されておりまして、割合といたしましては48.5%という形になっております。
スライドの12ページでございます。こちらが、都道府県別のコミュニティ・スクールの導入状況の全学校種の割合となっております。オレンジの棒グラフの方が運営協議会の導入率となっておりまして、例えば山口県あるいは和歌山県といったところでは9割以上の導入率となっておりますが、まだ導入は進んでいないというような地域もございまして、都道府県によってまだばらつきがあるというような状況でございます。
続きまして、スライドの14ページでございます。こちら、いわゆる「類似の仕組み」の導入の状況、実施状況の県別の状況となっております。薄いオレンジの部分が類似の仕組み、濃いオレンジは法律に基づく学校運営協議会を導入している割合となっておりまして、例えば福井県などにおきましては、類似の仕組みのほうが99.6%という形で実施をされておりますが、法律に基づく学校運営協議会につきましては0パーセントというような状況になっております。
続きまして、19ページ以降で各種データつきまして御紹介させていただきたいと思います。令和2年度の委託事業におきまして、コミュニティ・スクールの基礎的な調査を実施しております。その調査結果につきまして幾つか御紹介させていただきたいと思います。
スライドの19ページでございます。コミュニティ・スクールの導入理由でございますが、平成17年の調査と比較しまして、特に「学校改善に有効と考えたから」といったものですとか、「教育課程の改善・充実に有効と考えた」といった割合が高くなっているというものでございます。
続きまして、スライド20ページでございます。コミュニティ・スクールによる成果認識でございますが、「学校と地域が情報を共有するようになった」、「地域が学校に協力的になった」、「特色ある学校づくりが進んだ」といった部分で、肯定的な回答が8割を超えているという状況でございます。
続きまして、コミュニティ・スクールを導入していない理由でございます。大きい理由といたしましては、「学校評議員制度や類似制度があるから」あるいは「地域連携がうまく行われているから」、また、「既に保護者や地域の意見が反映されているから」、こういった意見が多くなっております。
続きまして、スライド23ページになります。コミュニティ・スクールの導入時、また、効果的な運営の継続――これは形骸化させないためにということでございますけれども、において重要な事項ということで、どういったことが挙げられるかというものでございます。割合として多いものが、「校長が学校運営協議会の意義を十分に理解していること」ということですとか、あるいは「運営協議会の委員として適切な人材が確保できること」、また、「コミュニティ・スクール担当コーディネーターが配置されること」、また、「地域学校協働本部との一体的推進を図ること」といったことで割合が高くなっております。
続きまして、スライド24ページでございます。学校運営協議会で多く取り上げられた事項となっております。全体といたしまして、「学校評価」の割合が73.7%ということで最も多くなっております。また、平成27年の調査と比較しまして、「地域・保護者との連携に関すること」あるいは「地域人材の活用に関すること」といった割合が大幅に増加をしております。
続きまして、スライド27ページでございます。教職員の任用に関する意見の申出とその反映状況でございます。左側の部分でございますが、教職員の任用に関する意見に関しましては、申出がなされていないという割合が9割ということで、圧倒的な多数となっております。一方、右側のグラフでございますが、意見が出されたものの中からの反映状況となっておりまして、各項目につきまして意見が出された方に関しましては、反映されたとする割合が高くなっているというものでございます。
また、スライド28ページでございますが、教職員の任用に関する意見があった学校の中で、学校運営の混乱が生じていたかどうかというものでございます。97.1%におきまして「特段の混乱は起きていない」ということで回答いただいております。
続きまして、スライド29から30でございますが、教育委員会による支援策とコミュニティ・スクールが有益だと強く感じている学校の関係を示したものでございます。教育委員会による支援といたしまして、例えば「部局の垣根を超えた支援」でありますとか「地域住民への説明・意見交換の実施」あるいは「教育委員会の定期的なアドバイス」、また、「総括コーディネーターの配置」でありますとか「他の導入校に関する情報提供」、こういった支援策を行っているという学校におきまして、学校運営協議会の活動が有益だと感じる割合が高いといったような傾向が見られています。
続きまして、スライドの32ページでございます。コミュニティ・スクールへの地域学校協働活動推進員等の配置による効果を表したものでございます。上のグラフでございますが、コミュニティ・スクール導入校に対しましてコーディネーターを配置している自治体につきましては、そうでない自治体に比べまして、「特色ある学校づくりが進んだ」あるいは「地域と連携した取組が組織的に行えるようになった」と回答する割合が多くなっております。
また、スライド33ページでございます。下のグラフでございますけれども、地域学校協働本部と学校運営協議会が連携しているという学校のほうが、「特色ある学校づくりが進んだ」あるいは「学校運営協議会の活動は学校運営に有益な成果を及ぼしている」と感じている割合が高いということが表れております。
続きまして、スライド34ページでございます。学校運営協議会の必置に対する考えということで、こちらはコミュニティ・スクールを導入している教育委員会に聞いたものでございますが、「全ての教育委員会で必置とすべき」と回答した割合が28.9%、「現行どおり努力義務のままとすべき」と回答した割合が67.1%となっております。
続きまして、スライド38ページでございます。今後コーディネーターに期待する職務・活動内容でございますが、多い割合といたしまして、「地域人材の発掘や教育資源の収集・整理」あるいは「学校と行政、企業、NPO等との連携・協働体制の構築」といった割合が高くなっております。
スライド41ページでございます。コーディネーター機能の強化・充実に向けて求められる役割といたしまして、国に求められる役割といたしましては、「財政面での支援の充実」が最も多くなっております。また、市区町村に求められる役割といたしましては、「コーディネーターへの日常的なサポート体制の充実」といったものが多くなっております。
続きまして、スライド42ページでございます。こちらも昨年度委託事業を活用したものでございますが、CSポートフォリオということで、コミュニティ・スクールの関係者に対するアンケートの結果を相互に関連付けまして、コミュニティ・スクールの運営状態ですとか取組の効果をグラフ化・視覚化するCSポートフォリオモデルというものを作成しております。今後、具体的な活用につなげていきたいというふうに考えております。
続きまして、各地の事例でございます。
スライドの46ページでございます。こちらは福岡県春日市さんの事例ですが、コミュニティ・スクールが生徒指導上の成果につながったというものでございます。
また、スライドの49ページでございます。こちらは岩手県大槌町でございますけれども、東日本大震災後に、学校の課題解決に向けて小中一貫教育、またコミュニティ・スクールを導入したというものでございます。
また、スライドの51ページでございます。こちらは山口県さんの事例でございますが、コミュニティ・スクールにおきまして児童生徒が意見を述べる機会を取り入れたと、そういった取組を行っているという事例でございます。
また、コミュニティ・スクールの導入促進のための文科省の取組でございます。
1つ、スライドの55ページでございますが、地域と学校の連携・協働体制構築事業といった事業におきまして、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進のために財政支援を行っているものでございます。
また、スライド56ページでございます。CSマイスターの派遣ということで、実際に経験と知識が豊富で、コミュニティ・スクール等実践に携わった方をCSマイスターとして委嘱いたしまして、各教育委員会等に対しまして継続的な助言あるいは支援等を行っております。
また、その他、各種、学習指導要領改訂の考え方ですとか中教審答申の抜粋等をおつけしておりますので、御参考いただければと思います。
また、最後に総務省さんのほうから提供いただきました地域運営組織の状況等の資料もつけておりますので、また御参照いただければと思います。
すみません、資料4のほうに戻りますが、主な検討事項(案)になります。
1つが、これからのコミュニティ・スクールの在り方ということで、2つ目の丸でございますが、学校や地域が抱える課題が多様化・複雑化する中、これからのコミュニティ・スクールに求められる役割・機能はどうあるべきかということ。
また、コミュニティ・スクールの設置促進、活動の充実方策といたしまして、まだコミュニティ・スクールの導入状況につきましては地域において差がございます。こういった取組状況の差を解消するために、特に未導入地域におきまして、関係者の理解を得ながら導入を進めていくための方策としてどういったことが考えられるか。
また、各都道府県単位での取組を広め、伴走体制を充実させるために、どのような方策が考えられるか。
また、コミュニティ・スクールの効果的な運営を継続するとともに、地域学校協働活動との一体的な取組を進めるためにどういった方策が考えられるか。特に、地域と学校をつなぐコーディネーターの役割を担います地域学校協働活動推進員等への支援方策として、どういったことが求められるか。
また、3つ下の丸でございますが、いわゆる「類似の仕組み」につきまして、法律に基づく学校運営協議会制度への移行を促すということについてどのように考えるか。
こういった論点につきまして、委員の先生方からぜひ御意見いただきたいと思っております。
以上、駆け足となりましたが、私の説明は以上でございます。
【松田座長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を受けまして、これから検討を始めていきたいと思うわけでございますけれども、本日は第1回目の会議でございますので、各委員より、自己紹介もお兼ねいただきまして、御自身の実践等の紹介や、検討事項への御意見等をいただければと思っております。本日はたくさんの委員の皆様から御発言をいただく予定でございますので、お一人当たり3分程度をめどに、御発言をいただければと思います。また、大変恐縮いたしますが、お時間を超えた場合は、事務局より少しお声をかけさせていただければと思います。
それでは、こういう場合は名簿順でというようなことが多うございますので、安齋委員のほうからまず口火を切っていただければと思います。安齋委員、すみません、よろしくお願いいたします。
【安齋委員】 皆さん、こんにちは。福島県本宮市立本宮まゆみ小学校校長の安齋宏之です。平成25年度からCSマイスターを務めさせていただいております。本日は委員の皆様に直接お目にかかれないのがとても残念なんですが、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私は、東日本大震災が発生する前の年、平成22年に校長となりました。最初のコミュニティ・スクールの立ち上げとコミュニティ・スクールを活用した学校運営に取り組んでから、あっという間に今年で12年目を迎えています。その後、3校の校長として新たなコミュニティ・スクールの立ち上げに2度関わりました。現在の学校は、この4月からコミュニティ・スクールがスタートしたばかりです。10年前の東日本大震災のときもコミュニティ・スクールの仕組みがある学校の校長でよかったなということを感じておりました。
今まさにコロナ禍の中で、私と同じ立場の校長先生方は、学校運営に大変な困難を感じつつも頑張っていらっしゃるのかなというふうに思うわけですが、そういった中で、このコミュニティ・スクールがあるということが、私は今後、学校にとってはとても必要なのかなというふうに思っています。なぜならば、学校だけでは決められないような、そういった事態が今たくさん起きているということです。そういうときに、まずは子供の安全・安心を第一としながらも、学びを止めず、子供たちの学力を保障していくためには、保護者や地域の皆さんと相互理解を図って信頼関係を醸成していかなければ、具体的な活動・取組につなげることが困難です。このコンセンサスを得る仕組みこそが、私はまさにこのコミュニティ・スクールだと思っています。
また、この4月から中学校でも新学習指導要領が全面実施されましたが、社会に開かれた教育課程の実現のためにもコミュニティ・スクールの役割は大きいと考えています。本校では、コミュニティ・スクールのスタートに合わせて、目指す児童の姿や身につけたい力について保護者や地域住民の皆さんと話し合って、その結果、新たな教育目標、児童像を掲げました。今後、教育目標の具現化の手だてをコミュニティ・スクールで話し合っていくわけですが、それこそが社会に開かれた教育課程の実現につながる取組と考えています。
平成29年度の法改正で努力義務化となり、コミュニティ・スクールを導入する市区町村・学校数は増えておりますが、残念ながら、いまだ5割には届いていません。平成27年の12月の中教審答申や第3期教育推進基本計画にあるように、私はやっぱり一日も早く全ての公立学校がコミュニティ・スクールになってほしいなというふうに願っている一人です。
本日の会議、コミュニティ・スクールの在り方を再検討する場に参加できることをとても楽しみにしております。どうぞこれからよろしくお願いいたします。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】 井上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、学校運営協議会の委員や地域学校協働本部においてコーディネート活動をさせていただいております。また、文部科学省CSマイスターやコンサルタントとして各地域を訪問させていただきまして、これから導入する、また、導入はしたんだけれども、今後の進め方についてどうしたらいいかというようなところに伺いまして、研修、相談や助言活動などをさせていただいてきました。
各地を訪問させていただいて感じたことなんですけれども、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の進め方というのは、地域性によって様々であるということです。都市部、地方都市、小さな市町村にも伺いましたけれども、一つの方法での進め方では語れないということが多様にございました。しかし、そこには必ず地域を愛する人たちが居住していて、その人たちの思いと学校がどう双方向に分かり合いながら協働していけるかということが大切なポイントとなると思っています。
地域との協働には、学校によくあると言われている、地域が学校に入ることへのハードルを撤去するということだと思います。地域の人たちはウエルカムしていただければ本当に大いに学校に協力してくれます。この頃は大分開かれていますが、しかし、「学校がウエルカムしてくれない」と訴えてくるコーディネーター、推進員も少なからずいまだに存在しているということは、大いに残念なことだと思っています。「このコロナ禍で、本来は学校と共にある、こんな時期だからこそ、先生方の苦悩も共有して共に活動したいという思いがあるのに、扉を閉ざしてしまっている」という学校の学校運営協議会委員の声も聞きました。
また、地域学校協働活動においてのキーパーソンは、何といってもコーディネーター(地域学校協働活動推進員)であると私は考えています。地域をよく知るコーディネーターが学校ともパートナーとなることによって、学校と地域の連携・協働は進められていきます。しかし、現状、無報酬で活動しているコーディネーターたちも非常に多くいる。持ち出しで活動しているという人たちも多くいます。コミュニティ・スクールの委員は報酬がありますが、コーディネーターは保障がないというところが課題かなというふうにも思っています。
また、学校運営協議会が合議体として協議しながら、熟議を重んじながら進められていくには、運営を行うファシリテーター的な委員の存在というのも欠かせないと感じています。しかし、コーディネーターもファシリテーターも初めからスキルを持っている人というのは地域にそんなにはいないです。私もPTAの出身でしたので、そんなスキルは全くなく、やっているうちに何とかというところがございました。そこは、教育委員会が主体となってきちんとした研修をしていただくということ、また、仲間同士の情報交換の場をつくっていただくということで、当事者の思いが芽生えて力をつけていったんだと思っています。
一人一人が学校を中心として思いと役割をしっかりと認識して進めていく、この仕組みというのは本当に大切だと思っています。これからもますますこの仕組みに着目していただきたいなと思っております。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございました。
じゃあ、続きまして、大島委員、お願いいたします。
【大島委員】 日本PTA全国協議会常務理事を務めております大島修と申します。よろしくお願いいたします。
私は、長野県PTA連合会の会長として、平成29年から令和元年までですかね、3年間、会長のほうを務めさせていただきました。そして、令和元年から日本PTAのほうに関わりまして、本年度は常務理事という立場で活動のほうをさせていただいております。
その間、長野県におきまして、私が会長のときに独自の「信州型コミュニティ・スクール」というものの導入をいたしまして、その当時、平成30年の3月までにということで教育委員会のほうと連携を取りまして、公立小・中学校におきましてはコミュニティ・スクールの仕組みを100%導入したというところに御協力をさせていただきました。そのときにコミュニティ・スクールについては勉強できたかなというところでございます。
先ほど井上先生からもお話がありましたが、やはり長野県、全国におきましても、このコミュニティ・スクールの形とか形態というのは非常にばらばらといいますか、まちまちでございまして、やはり中山間地の小規模校であったり、都市部の大規模校、一律にその仕組みが同じように運営できるかというとそうでもないということも、長野県の中でも全国でも感じておりますので、ここ数年、成功している学校もございますし、様々な地域がありますので、できればそういった各地域の成功事例をレベル分けといいますか、グループ分けをして、各地域の事情に応じた何かいいやり方みたいなものを御提案できればなというふうに考えております。
私も、娘の小学校で今まさに学校運営委員として活動をしておりますので、本当に学校単位のそういった細かな課題ですとか、また、日本全体としての課題というものをまたこの場で御紹介できればというふうに思っております。
今の学校における働き方改革ですとか、GIGAスクール構想ですとか、やはりこれからは家庭と学校と地域と連携をしていかなければいけませんので、この委員の先生方のように知識はございませんが、私もできる限り勉強しながら、保護者の代表として、またPTAの代表として、様々な意見をこの場でお届けできればというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございました。
それでは、貝ノ瀨委員、お願いいたします。
【貝ノ瀨委員】 失礼します。三鷹市教育委員会の貝ノ瀨滋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は2年前にまた三鷹市に教育長として復帰いたしまして、7年ぐらい間がありましたけれど、その前の教育長時代に、コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育という旗を掲げて教育改革を進めてきたというまちでございます。10年以上、コミュニティ・スクールの歴史があるわけですが、今やもう、先ほどのお話に出ていますように1万校近くがコミュニティ・スクールというふうな状況の中で、必ずしも三鷹市のコミュニティ・スクールが充実したものになっているのかどうかというようなことで見直しを図っていたところ、平成28年度から地域学校協働活動という社会教育法上の位置づけのものも出てきて、本市の場合はどちらかというと、社教主事さんとか公民館というものが存在しませんので、似たコミュニティセンターというようなものはありますけれども、コミュニティ・スクールが先行してきたという中で、地域学校協働活動をどう一体化して進めていくべきかと。そして、これが学校づくり、そして地域づくりにどう効果的に力が発揮できるかということを、今後、課題として捉えているところです。
特にこの両者については車の両輪というふうに言われて、一体的に運営していくんだというふうに言われていますけれども、車の両輪ということは2つあるということで、取りようによっては、現場のほうは別々なものをやはり意識するというようなことで、また、屋上屋を重ねるのかというような現場の認識もあるわけですが、その辺のところを、私は現場を持っているという立場から、実践的にこれを具体的に一体化するということはどのようにしていくのか、見える化するというのはどういうふうにしたらいいのかということについて、今後、努力していきたいと思っています。
今のところ、この一体化したイメージというのは、本市の場合は、コミュニティ・スクールからスクール・コミュニティへという、スクール・コミュニティというコンセプトでもって包摂していこうというふうに考えているところです。これを確かなものにしていく必要があると思っておりますが、これをどのように学校づくりから地域づくりへということとうまくマッチングさせられるかということを考えております。
また同時に、教育と、それから福祉の子供の貧困等、格差の問題も指摘される中で、それをどう一体的に教育を進めていくかという問題意識も同時に持っています。
また、全国コミュニティ・スクール連絡協議会の会長という立場も仰せつかっておりますので、本市だけの実情だけではなくて、全国のコミュニティ・スクールのこれからの拡大促進に向けてどうお手伝いできるかということを同時に課題としております。特に類似のいわゆるコミュニティ・スクールですね、この自治体の例なども勉強させていただいて、きっとそれは私どもが長くやっているコミュニティ・スクールにまた足りないものもあるのかもしれませんので、そういった点も勉強しながら、さらにどうこれを充実・発展させていくかということをしっかりと考えていきたいというふうに思っています。
ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございました。
では、続きまして、菅野委員、お願いいたします。
【菅野委員】 皆さん、よろしくお願いします。私は今、岩手県の大槌町から参加をしております。このような若輩者でありますけど、皆さんと一緒にこうやって議論に参加させていただけること、大変光栄に思っております。
私は、認定NPO法人カタリバというNPOに所属していますが、岩手県大槌町に、東日本大震災以降9年、暮らしております。復興途上にあった大槌町が地域と学校とでどのように協働的にしていくのかという政策にずっと関わってまいりました。私はもともと放課後の学習塾のような方法で仮設住宅に住む子どもたちに学習場所を提供するということをやりながら、その後、教育委員会からの依頼で学校支援コーディネーターを行いました。その後、教育委員会に出向になり、今は高校の中で仕事をしているという形になります。
もともと義務教育のところでのコミュニティ・スクールの立ち上げということを経験してまいりました。やはり震災復興の中でこのコミュニティ・スクールというのが非常に重要な役割を果たしました。特に防災活動に当たっては、例えば下校時の避難訓練を行うときには、地域との協働というのは確実に欠かせないものとして機能してきたかなというふうに思います。
ただ、何年もたってくる中で、学校運営協議会が形骸化してきてしまうという側面もあるかなというふうに思っております。コミュニティ・スクールの持つ3権限を効果的に活用しながら学校運営協議会を運営できているかと言えばそうではないように思います。ここにはやっぱり学校の経営課題を共有できる問い化していきながら、お互いにアイデアを出していく土壌づくりができる――さっき井上委員からファシリテーターの話もありましたけれども、そういうような機能をどのようにしてということもすごく重要なことなんだろうなというふうに思っております。
また、もう一つ取り組んでいるのは高校のコミュニティ・スクール化です。今、私のいる大槌高校は、初中局が所管している地域協働事業の指定校となっています。みなしコミュニティ・スクールの形で、今、町だったり地域と高校でコンソーシアム――初中局のほうではコンソーシアムという言葉が使われると思うんですけれども、を組織していますけれども、首長と県立学校の校長が一体となって、どのような方向で学校を変えていくのかということをともに考え、ともにつくるよいモデルというのが、この地域協働事業で見えてきているんじゃないかなというふうに思っております。
今回の検討会議では必置にするかという議論が中心となって、今参加できていない学校をこれからどう参加させていくかという議論が中心となることはもちろんなんですけれども、参加したらどのようなメリットがあるのかというところも含めて、今やっている学校運営協議会の活動をよりよい学校運営協議会していくためにはどのようにしたらよいのかという議論をしながら、検討していければなというふうに思っております。どうぞ皆様よろしくお願いします。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 日本大学の佐藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、コミュニティ・スクールの関わりは、平成14年に国が新しいタイプの学校運営に関する調査研究を導入したときに足立区の五反野小学校で関わっていまして、そのときに、三鷹の学校に訪問したとき貝ノ瀨先生が校長だったと。平成14年10月だと思いましたけど。その1年半後に制度化されたわけですが、その後、文科省のほうで委託調査研究が公募されていたので、3回ほど公募に応募して、そして2011年、2013年、2015年に受託して全国調査を実施させていただきました。大変ありがたく思っています。
それで、最近のコミュニティ・スクールをめぐる状況なんですが、かいつまんで話すと、実は去年の五、六月頃、ちょうど大学が授業がオンラインになりまして、通勤時間が要らなくなったので、家でずっと籠もっていまして、全国の学校運営協議会設置規則を収集しました。717のうち611集まりまして、あと残りは公開していないようなので、あまり探ることはしなかったんですね。時々、間違っているのもあるので。その結果、幾つか変化が現れたということなんですが、2017年の法改正以後にコミュニティ・スクールを導入した教育委員会の規則、さらに、それ以後、教育委員会規則を改正したところ、これを1つのグループにしました。そうすると、かなりの数が、全体で幾つかの変化が起こるんですが、特に注目したのが、任用に関する意見申出のうち、校長さんに事前の意見聴取をせよという条件付の設置規則、これが増えているんです。これ、弾力的な運用を可能にしたということがそのまま影響しているかなということで、2016年以前の制定ないしは、以後、改正してないところは、その数の割合が大体26%だったんですね。27年以降のものは47%に増えているということです。
ただ、今ちょっと類似制度の話をしましたけれども、事実上、任用意見を設置規則に盛り込んでいないところは35%ぐらいあります。これは、2016年以前、2017年以降変わってないんですね。だから、もともと任用意見に関しては除外しているというんでしょうかね、そういうところはあります。ただ、これは地教行法に基づくということで、一応意見は言えるということ。ただし、設置規則に置いてない。ある意味で、こういうところの規則は事実上の類似施設とあまり変わらないんじゃないかということがまず言えると。
あと、2つ目に、個人を特定しないということが増えてきたんです。教員を任用するとき御指名しないと、そういうのをあえて書いているところが全体で17%あります。一応そういう変化があった。
さらに、指定という考え方を今回なくしたわけですけれども、まだ指定制を残しているところが二十五、六%残っています。政令市では京都市が残しています、1か所だけ。あと、岡山がよく分からないんです。設置と言いながらも指定の扱いという項目があるんです。そんなようなので、結局、指定機関をまだ置いておきたいところがあるみたいなんですね。これは多分、委員が発言でいろいろ混乱するとか、そういうことを考えているのかなというところはあります。委員を代えるのが特に町村は難しい、人間関係で。だから、その場合、再指定を残したいのかなというふうな考え方ができるかなと思います。
あと、もう1点だけ申し上げますと、2015年のコミュニティ・スクール全国調査、これを行ったときも、まだ未導入教育委員会、このデータに後から学校運営協議会の設置規則のデータを投入したんです。その結果、簡単に申し上げますと、2015年段階では未導入だったところで、それ以後にコミュニティ・スクールを導入した教育委員会と、それ以後も未導入の教育委員会の特徴、幾つかあるんですが、基本的には教育長の意見が結構出ているところで、教育長がコミュニティ・スクールに対して話題にしていると、あるいは教育委員会事務職員も話題にしているところは、やはりその後、導入率が高い。あとは、事務局職員数が多いんです、導入したところは。こういうのが多分、コーディネーターとかいろんなプラスアルファのスタッフの配置というのが求められるかなと。あとは、学校支援地域本部等の設置導入教育委員会のほうは、やはり導入率がちょっと高くなっています。そのほか、地域本部以外に、教育施策、例えば学校関係者評価、評議員制度とか、そういう施策を導入しているところのほうが、その後、導入率は高かったというような、そんな結果で、何かそのうちまた細かいデータをお示しできればと思います。
そんなことで、データの結果を申し上げましたが、特に地域形成により役に立つのがコミュニティ・スクールというのを実感したのが、山口県の柳井市立の平郡東小学校というところを訪問したときです。児童4人なんですね。だけど、この学校運営協議会が置かれることによって、地域の人が学校に入りやすくなったというんですね。めったに子供はいないらしいんです、まちの中で。そんなんで、学校中心に地域の人が活発になったなんて、そんなのがちょっと印象に残っております。
簡単ですが、そんなような結果が出たということをお知らせしておきたいと思います。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございました。
では、続きまして、繁吉委員、お願いいたします。
【繁吉委員】 失礼いたします。この4月から山口県教育委員会の教育長に就任いたしました繁吉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、山口県の地域連携教育の取組についてお話をさせていただきます。山口県では、市町教育委員会と連携をいたしまして、平成16年度から公立小・中学校で先行してコミュニティ・スクールの導入を進めてまいりまして、平成28年度からは県立高校や特別支援学校にもコミュニティ・スクールの導入を進め、昨年度、令和2年4月1日をもって、全国に先駆けまして、県内全ての公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等へのコミュニティ・スクール導入が完了したところでございます。
あと、小中学校へのコミュニティ・スクールの導入に併せまして、コミュニティ・スクールが核となって、おおむね中学校区を一つの単位といたしまして、学校関係者や保護者、地域の社会教育団体、専門機関等とのネットワークを形成いたしまして、地域ぐるみで子供たちの育ちや学びを支援いたします地域学校協働活動、本県ではこれを「地域協育ネット」、協力して育てるという意味での「協育ネット」ということで言っておりますけれども、こちらの仕組みとの一体的な推進を図る「やまぐち型地域連携教育」を平成27年度から展開しているところでございます。
これまでの取組の成果ですが、昨年度、本県におきましても、新型コロナウイルス感染症によりましてあらゆる教育活動が制限される中、小・中学校の児童生徒を対象に、本県独自で、地域や社会をよくするために何をすべきか考えたことはあるかといった意識調査を実施しましたところ、「ある」と答えた子供の割合が小・中学校いずれも前年度の調査から上昇しておりまして、特に中学校では43.1%から54.1%と前年度を11ポイント上回る結果を得たところでございます。
また、地域学校協働活動推進員の委嘱数や家庭教育支援チームの設置数、文科省登録が33チームとなっておりまして、これ、現在、全国1位となっておりますけれども、こちらも大きく伸びてきておりまして、これらは、学校・家庭・地域が協働することへの保護者・地域住民の理解の大きさの表れだと受け止めております。
その一方で、先ほど、本県の場合、義務教育課程で先行してコミュニティ・スクールを導入したと申し上げましたが、小・中学校時代をコミュニティ・スクールの中で育った子供たちの学び、これをいかに高校につなげていくかが今後の課題ということになっております。このため、今年度は、昨年度から全ての県立高校に配置をしておりますコミュニティ・スクール活動推進員の効果的な活用促進に重点を置きまして、県内市町立小・中学校と県立学校それぞれのコミュニティ・スクールの仕組みを生かした校種間連携の推進に向けまして、県と市町の連携・協働体制の一層の充実でありますとか、県立学校におけるコミュニティ・スクールの充実に取り組むこととしております。
私としましては、「やまぐち型地域連携教育」の取組によりまして、学校・家庭・地域が協働した横のつながりによって育まれた子供たちが、小・中学校から高校等へと連続する縦のつながりの中で豊かな学びを実現させ、郷土を愛する心や地域の担い手としての意識が醸成されるよう、今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【松田座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、竹原委員、お願いいたします。
【竹原委員】 竹原でございます。よろしくお願いいたします。私は、平成17年に開校しました横浜市立東山田中学校学校運営協議会にかかわってきました。当初は誰もがコミュニティ・スクールという言葉も知りませんし、それは何だろうというところから、試行錯誤を重ねながらここまで来ました。平成21年には地域学校協働本部の前身である学校支援地域本部事業を受け一体的に推進するようになりました。その間、中学校の中庭に面したコミュニティハウスの館長として11年間、学校に一番近い場所にいる地域の人として日常的に学校と地域をつないでまいりました。
現在は、神奈川県立特別支援学校と高校の学校運営協議会の委員の他、各地の学校運営協議会立ち上げ、コーディネーター研修などに関わらせていただいています。この15年間で学校現場の状況、子供のおかれた環境、カリキュラムが変わってきており、コミュニティ・スクールの果たす役割を改めて考える必要があります。
特に社会に開かれた教育課程がスタートする中で、学校と地域はなぜ連携するかというと究極はカリキュラムだと思っています。そうではないところに大きな力を入れて、先生方が疲れてしまっていたり、地域と連携することをおっくうに思うということがないように、これからの社会を担う子供の育ちと学びに学校運営協議会や地域学校協働本部が必要かを整理したほうがいいと思っています。
そして、先生方が教科指導を行い児童生徒に向き合うという本来業務に専念できるよう、働く環境や学校の機能を見直すことにもなるのではないかと思っております。
コミュニティ・スクールは立ち上げがゴールではなくて、これを仕組みとして地域に根差していくということが大事だと考えております。
そしてコミュニティ・スクールをなぜやるのかということを教育委員会の方も校長先生も地域の人も語れるように、そのためにはどうしたらいいか、皆様と考えたいと思っています。
さらに福祉の問題やGIGAスクールのスタートを考えると、チーム学校の視点で、様々な人とともに、協働的に動いていくということを学校運営協議会で視野に入れることが大切です。
そのためには教員養成段階からコミュニティ・スクールについて学ぶことが重要で、管理職になってからでは遅いと思います。若手から管理職までさらに、地域も研修を重ねてはじめてコミュニティ・スクールを推進していくことが可能になるのではないか。やはり本物の学校運営協議会を継続していかなければいけないので、看板だけ100%というのはよくないし、逆にお荷物になるのではないかなと思っております。これからの教育、予測不能な時代の教育現場にコミュニティ・スクールは不可欠な仕組みだと思っております。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして、福田委員、お願いいたします。
【福田委員】 よろしくお願いします。平成24年度に私は県の教育委員会の社会教育課から本町に課長として出向しまして、やがて県に帰りまして、再びの務めで、現在、単身赴任の教育長として3年目でございます。今日おいでの委員の中に、貝ノ瀨委員や竹原委員に、鳥取県はその当時遅れておりましたので、ちょうど文科省がやっておられたブロック大会を鳥取県でやってはどうかということでスタートしたように思います。やっぱりその中で随分広がってきたなというふうに思っています。
本町は、小学校3校、中学校2校、人口1万1,000人ほどの小さな町です。そんな中で平成18年度から永江前教育長がコミュニティ・スクールで学校改革をするんだということで順次導入して、平成29年度より町内5校でコミュニティ・スクールが導入をされているという状況にございます。
本町では、地域とともにある学校づくりというのを一歩進めたというか、本町では「地域とともに歩む学校づくり」というような名前にしまして、しっかり信頼される学校から、さらに地域から期待をされるような学校づくりを進めていきたいということで取り組んで、教育委員会事務局も学校をしっかり支援しているというところでございます。
その中で、学校の自立ということも求めようということで、ここ数年、実は教育委員会からCSディレクターというようなことも置いた時期もありましたが、一旦中止をしました。「学校で自立です」と言ったが、やはり自立できなかった。支援がなくなったら、途端にいろんな方向に進み出すということがございました。昨年度は中学校区での学校運営協議会をスタートさせて、本町の長い歴史のあるコミュニティ・スクールを次のステップへ向かわせましたが、それぞれ学校に歴史があり、それを中学校区でまとめることに非常に労力をかけました。ゼロのスタートのほうがよかったかなと思うぐらいエネルギーを要しましたが、やっと今年度から中学校区の運営協議会がスタートしたところでございます。
本町は社会教育にも随分力を入れておりまして、先ほどの絵にもありましたが、小・中学校でコミュニティ・スクール世代が出た後にどうするのかということで、本町では高校生サークルをつくりました。高校生サークルを3年間つくったら、高校生サークルを出たらどうするのということで、何十年もなくなっていた青年団を新☆青年団という形で立ち上げて、今、いろんなジャンパーを着て町内の活動に様々出ています。成人式の実行委員もやったりもしました。そんな中で町民の方から理解をいただくように、期待をされるようになったなというふうに思っています。
本検討会議では、小さな町ではありますけれども、教育行政の長として、コミュニティ・スクールが、さっき言われたように形だけ入れるとかそういうことではなくて、本当に子供たちの豊かな学びになる、地域も元気になるというようなコミュニティ・スクール。それぞれの地域が金太郎あめじゃなく地域に合ったコミュニティ・スクールが展開されるように、しっかりと参加をさせていただきたいというふうに思います。
今回のチケットは5月のほうに変更しましたので、5月に会えることを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、増渕委員、お願いいたします。
【増渕委員】 神奈川県立総合教育センターの増渕と申します。よろしくお願いします。おととしの3月まで県立市ケ尾高校の校長を務めていました。
私とコミュニティ・スクールとの関わりは、最後に校長を務めた市ケ尾高校がコミュニティ・スクールに指定され、定年までの2年間、コミュニティ・スクールを生かした学校づくりに取り組んだことがスタートです。その中で、学びのフィールドを地域に広げることで、子供たちの成長や変容が私たち大人の想像をはるかに超えていることを目の当たりにしています。そして、学校経営の可能性や視野の広がり、それが、学校運営協議会を導入することによって非常に確かなものになったということを実感しています。
全国的に見て、コミュニティ・スクールの導入については大きく2つの形があります。一つは100%導入を前提に一斉に導入する、あるいは年度を限定して段階的に導入するタイプ、もう一つは学校からの希望を受けて指定するタイプ、この2つがあると思いますが、神奈川県は前者でした。県立高校については、平成28年度から4年間をかけて全校を指定しました。市ケ尾高校は2年目の指定です。そして、特別支援学校も4校のモデル校を経て、昨年度、全校を指定しています。ですから、今、神奈川県の県立学校は全てがコミュニティ・スクールになっています。
法改正を経て5年後に当たる来年度、令和4年度は、一斉に導入する自治体も多いかと思います。全校導入で懸念されるのが導入後の形骸化、すでに何人かの委員もおっしゃっているとおり、100%導入して終わりではなく、形骸化させないための仕組みを視野に入れた導入や展開が必要だと考えています。また、学校の希望を受けて指定する場合、確かに学校自体に導入の必要性があったり、あるいはよりより学校づくりに意欲を持った学校だったりするので、充実した取組が期待されるわけですが、その反面、自治体全体における導入にはかなりの時間がかかるのではないかと思います。その間の学校間格差、子供たちの学びの質の差が気にかかります。
いずれにしても、大切なことは、コミュニティ・スクールの仕組みとそのよさや強み、そしてその意義や必要性、なぜ導入するのかということ、これらについて、行政も、学校も、地域の方々も、広く十分に理解していくことが導入においても継続性についても確かなものを導いてくれるのではないかと思っています。
全ての学校・地域が、この仕組みを生かして、子供の学びや育ち、そして地域の活性化が進むことを心から願っています。今回、これまでの経験を踏まえて、何かしらこの会議の中で貢献できたらと思っています。よろしくお願いします。
【松田座長】 よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、山﨑委員、お願いいたします。
【山﨑委員】 皆様、こんにちは。先ほど資料の46ページで紹介していただきました福岡県の春日市立春日東中学校の校長、山﨑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
春日市のコミュニティ・スクールにつきましては、平成17年度から設置が始まりまして、平成22年度に小・中18校全ての学校で導入をされてきております。実は私は一番最後に設置されました学校のコミュニティ・スクールの立ち上げに関わったわけでございますが、今でも忘れないのは、最初は学校と地域との厚い壁、あの苦労は忘れません。実はそれから8年間、春日市から離れておったわけです。昨年、久々、春日市に戻ってきたわけですけれども、もう全くと言っていいほど学校と地域の壁はもうなくなっておるという印象を強く持ったところです。共育の基盤がきっちり整備されてきたということを実感しておるところです。
ただ、やはり1つだけ案じておりますのは、8年間離れていても、それぞれの学校での取組が8年前とほとんど変わらない、同じ活動をやっている、そういう実態が見えております。新たな仕掛けがない。そこで私は、昨年度、本校に赴任したわけですけれども、思いっ切りコミュニティ・スクールのコンセプトといいますか、今まで、中学生ですから、地域にいろいろ貢献をしようとする活動をたくさん取り組んでまいったんですけれども、地域貢献から地域参画への転換というのを一つの柱にして、住みよいまちづくりのための活動、そして具体的には、2年生が自分たちの住むまちをよりよく、住みよいまちづくりにするためにどんなことをすればいいのかというのを考えて、そして自治会長様たちに積極的に提言をする、自治会長との大討論会というのを今年計画しております。3年生につきましては、実は、市役所の議会事務局と選挙管理委員会と連携を取りまして、春日市政、春日市の政治について、一歩、中学生の立場から様々な質問や提言を、春日市の議員さんたちを学校にお招きして市会議員へのアタックという、そういう活動を取り入れて、地域貢献も当然引き続きやるわけですけれども、地域参画というステップに上げてまいりたいなと考えておるところです。
やはりコミュニティ・スクールの今後の課題というのは、これまで築いてきた様々な仕掛けがあると思いますが、その仕掛けをいかに見直し、よりよいものに改善していくか、そこが一つの大きな課題ではなかろうかなと考えておるところです。私もまだまだ力不足ではございますが、コミュニティ・スクールが本当にワクワク、ドキドキするような学校経営につながっておりますので、そういったものを皆様とともに一緒に考えていけたらいいなと考えておるところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【松田座長】 ありがとうございました。
それでは、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 青山学院大学の山本珠美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、今は青山学院大学に所属しておりますけれども、地教行法が改正されてコミュニティ・スクールが設置されるようになった平成16年から最近まで、四国の高松市にあります香川大学に勤めておりました。香川大学時代も、今、青学に移ってからも、基本的に大学では社会教育主事の養成課程を担当しております。教員免許状更新講習も地域と学校の連携というところを担当していたわけなんですけれども、香川時代、先生方の前でコミュニティ・スクールのことをお話ししても、ほとんど誰も知らないというような状況が長く続いておりました。といいますのも、47都道府県のグラフを見ていただくと、本当にここ数年ですね、この二、三年ぐらいだと思いますが、香川県も導入率は少しずつ上がってきましたが、ずっと、ほとんど導入されていないという状況が長く続いておりました。そういうこともありまして、学校の先生方の間にもコミュニティ・スクールって何なのという状況が長いこと続いておりました。だからといって地域と学校の連携が進んでいないのかといったら、そんなことはなくて、コミュニティ・スクールが導入されていなくても、別の形で、それぞれの地域の実情というのがございますので、今までの委員の皆様方が発言なさったことと重なってはきますけれども、それぞれの地域の実情に応じて地域との連携が進んでいる学校というものも存在するわけです。そのような学校は非常に多くございました。
あるいは、ここ数年なんですけれども、福井県の方とちょっと御縁ができました。福井県は47都道府県を並べて見るとすごく目立つんですよね。コミュニティ・スクールの導入率ゼロパーセントでずっと続いておりますので。ですが、ここも非常に地域との連携というのを熱心になさっていらっしゃるところで、数値では見えない部分というのも多々あるのではないかなというふうに感じております。今、国全体としては地方分権の流れですので、一律に法でコミュニティ・スクールを導入するという方向に行くかどうかについては、議論を慎重にしていかなければいけないのではないかなと個人的には考えております。
まだまだ私も知らないことが多いんですけれども、少しでも貢献できるようにと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【松田座長】 ありがとうございました。
それでは、吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 埼玉県本庄市の市長でございます。全国市長会の社会文教委員会委員長を務めております吉田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私どもの市では、小・中合わせて16校ございまして、現在、学校運営協議会は全校に設置してございます。平成29年に始まってまだ日は浅いわけなんですが、平成30年、そして令和元年ということで、全部の学校に学校運営協議会が設置されました。
非常に上手に機能していると私も見ているんですけれども、何で学校運営協議会がスムーズにできたのかと。これ、実は前段階が幾つかございまして、私自身、実は今から20年ぐらい前に、市議会議員の時代に学校評議員制度が始まって、地元の中学校の評議員に校長先生から委嘱を受けまして、当時、まだ評議員という方がちょっと学校に出入りするような状態、あとはPTAはもちろんもともとございますので、PTAと先生のつながりという状況がございました。その後、これ、いつ頃からなのかというのは私もまだ詳しく聞いてはいないんですけれども、実は埼玉県が学校応援団という制度を始めまして、この学校応援団というのは、その学校の地域における自治会長さんであるとか、いろんな方々が入っているんですが、例えば子供さんたちの見守り活動を行う団体、例えば老人会の方なんかはこんなところで入っておりまして、朝夕の見守りをしていただいていたり、あるいは交通指導員の方がいらっしゃったり、それから地域によっては、学校の児童の課外活動として例えば農業体験をしようというときに、地域の農業団体の方々と一緒に、それこそ米づくりから始まって、お餅つきをやったり、あるいは町場ですと子供たちにお囃子なんか教える、郷土芸能を教えてくれる、そういう団体があったり、いろんな団体が学校応援団という形でその学校を応援していこうよということで、そういう動きというのが埼玉県内どんどん増えていまして、実は埼玉県内全部の学校にこの学校応援団というのが組織されております。
実は、教育委員会に、本庄市においてこの学校運営協議会をつくる際にどういう手順でやったのかということを聞きましたところ、もともとあった学校応援団の長の方にお願いをして、これまで学校応援団というのはそれぞれの活動がばらばらの中で各学校とつながっている状況でございましたけれども、それを校長先生から学校運営協議会に入っていただく形にしまして、それで年に、1学期、2学期、3学期それぞれの学期のときにこの学校運営協議会を開いて、新年度が始まったら校長先生から学校の今年の運営方針等をお話しいただいて、それについて意見交換をし、御理解をいただくというような、そんな形で今始めている状況でございます。
私もこの学校運営協議会の内容についてのペーパーを見させてもらったんですけれども、本当に地域の状況に合わせて、学校の校長先生と地域の状況それぞれ個性的で、いろんな形で学校と地域の関わりというのがあるなと。一つとして同じものがないというか、非常に個性的で面白いなというふうに感じているところでございます。市長という立場から見ますと、地域と学校がつながるってとてもいいことでして、もともと学校応援団という、これは、それこそ1校当たり70人も80人もいるわけでして、その代表が集まって1校当たり10人から15人ぐらいの学校運営協議会を形成していると。非常に地域と学校がお互いに胸襟を開いて、それぞれ意見交換をしながら学校の運営がなされているんだなということを今感じているところでございます。
そんな地域の状況等も踏まえて、また首長という立場からも、皆様方に何かお話等ができればなと思います。また、先進的にいろいろなことをやっている実情等も勉強させていただければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、本日、オブザーバーで御出席いただいている志々田先生にもお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
【志々田国立教育政策研究所総括研究官】 国立教育政策研究所におります志々田まなみと申します。私は社会教育の研究者でして、かつては学校支援地域本部と呼ばれていた、地域の皆さんが地域の子供たちの成長にどう支援していけるのかというような組織づくり辺りからこの研究を始めました。ただ、地域の方たちの一つ一つの思いであったり、それから保護者の皆さんの思いというものを、学校とともに足並みをそろえて教育を考えていきたいといったときに、実は、地域側というのは学校側に対してなかなかチャネルを持っていなくて、そういう意味では、よく「うちの学校には何の課題もないんですよ。だから、別に地域の方たちに何かしてもらわなくても結構です」ということをおっしゃられる先生たちにたくさんお会いしていて、「本当なのか、それは」というような、こんなに地域の人たちや子供たちのいろいろな思いや、保護者の方たちはいろいろな思いを持っておられるのに、なぜ学校側は真摯に向き合わないのだろうという、社会教育の研究者ですので、ついそういう思いから、その学校の先生たちが本気になっていただく仕組みとしてコミュニティ・スクールという法的な制度にのっとったものに非常に関心を持ちまして、地域学校協働本部と言われているものとコミュニティ・スクールと言われている先生方たちとともに新しい教育をつくっていく仕組みづくりというところに興味・関心を持っています。
皆さんの実践の知恵をぜひとも新しい仕組みづくりに反映できるような、そんな裏方として仕事をしていきたいというふうに思っておりますので、勉強させていただければというふうに思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【松田座長】 ありがとうございました。
これで一通り委員の皆様方並びに志々田先生のほうからお話をいただいたところでございますけれども、本日5時ということで時間を予定いただいておりまして、少し全体的に話合いをさらにさせていただける時間があるかなと思っております。
特に、冒頭で岡室長のほうから少し御説明がございましたけれども、資料4のほうに検討事項が記されてございます。そのことと、今、各委員の皆様方から相当多様な、あるいは非常に重要な御視点を、もう既にいっぱいいっぱい本当に示していただいていますので、この辺りを踏まえていただいて、さらに今後この会議で取り上げたほうがよい論点、あるいは積極的にちょっと検討していきたいというような点がございましたら、引き続き積極的に御発言いただきたいと思います。
ここからはお手を挙げていただきますか、会場内の委員の皆様方はプレートを縦にしていただきますと、私のほうから御指名させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、いかがでしょうか。どちらからでも結構でございます。
じゃあ、佐藤委員にちょっとお話しいただきたいんですけれども、今、今の全体の自己紹介の中で私が抜けてしまったという御指摘をいただきまして、冒頭でちょっとお話しさせていただいたので、お話しさせていただいたような気になっておりまして、改めまして、東京学芸大学の松田でございます。
私も、コミュニティということに関して、あるいは学校と地域の協働ということに関して、長らく本当にいろんな立場でいろんな形で関わらせていただいておりまして、近年、特にコレクティブ・インパクトというような実践が非常に注目を浴びていく中で、セクターを超えたつながりで社会課題を解決していくというようなことがより広く進んでいるという認識を持っております。そんな中で、このコミュニティ・スクールというのはまさに積み重ねてきたものでございますし、そういう意味での先行事例、好事例でもございますし、いろんな知見をさらにコミュニティ・スクールに逆に戻していくことで、非常に大きな可能性を持っている制度ではないかと思っておりますので、皆様方と本当に御一緒になって勉強させていただきながら、本会議でいい形での取りまとめができればなと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ちょっとお待たせしてしまいして申し訳ございません。では、佐藤委員からお願いいたします。
【佐藤委員】 じゃあ、少し、私のほうから従来考えていることを1点だけ絞って申し上げたいと思います。
委託調査を受託したときも、最初は成果検証ということで、成果はどれくらいあるのかということを中心に調査をやらせていただいたわけですが、その成果というのは、例えばさっき冒頭の参考資料に基づく御説明にありましたけど、意見がどの程度出たか、実現したかということで、これは成果としてはいいわけなんですが、むしろそういう成果を重視するのと同時に、もう一つ、保護者とか地域とか児童生徒とか、いわゆる利害関係者の状況を酌み取る、あるいはニーズを酌み取るという仕組みとして、こういうコミュニティ・スクール制度というのは重要なのかなということなんですね。成果の問題はもちろん重視すべきだけど、仕組みとしての意義ですね。
世の中のいろんな業種のうち、お客さんのニーズをあまり酌み取らないというか、そういうところはあんまりないんじゃないかと思うんですね。必ず状況とかニーズを酌み取って、そしてそれに対するサービスを行うと、そういう産業が多いのかなと思うんですが、どうも学校の場合は必ずしもそうとは言えないのかなと。先生方も異動があるし、全然子供の様子が分からないまま最初は授業をやるという、そういうようなことがあるので、だから、成果と同時に仕組み、ガバナンスの意義と言っていいんでしょうか、そういう意味でもちょっとこれから注目していく必要があるかなと思って、ちょっと余計な一言を述べさせていただきました。
【松田座長】 ありがとうございます。なるほど。
この時間は本当に御自由にいろいろ御議論いただければと思いますので、関連してでも結構ですし、違う話題でも結構ですので、お願いできればと思います。いかがでしょうか。では、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】 井上でございます。私のほうからちょっと僣越なんですけれども、私どもの学校運営協議会で取り組んでいることとして、この学校評価との一体的な運用を進めるというところなんです。私どもの学校運営協議会が当初発足したときに、意見を述べるというところで、何をもって意見を述べるのかということをすごく議論しました。委員個人個人の思いを語るというような意見でいいのだろうかというところに思い至りまして、学校運営協議会独自に学校評価というものに取り組んでみようということで、教育活動の内容を承認していくというところもありますので、教育活動の内容について一つ一つアンケートを作成し、保護者・地域・教職員・児童の皆さんにそのアンケートを記入してフィードバックしてもらう。その設問全部作りまして、そして、年度末、冬休みに取り組んでもらって、3月期の頭に学校運営協議会で考察をかけて、その中から評価の低いものについての理由を考えていって、そこを次年度どうやって効果的にするかというようなことを学校とも話し合い、保護者・地域の皆さんに、こういう形で改善していきますよというようなフィードバックをする。
また、情報が足りていない部分もすごく感じられる。やっているんだけれども、届いていないというところも、そこはよく分かってきますので、それを情報誌という形で発信して御紹介するというような活動をしています。
「学校運営協議会が何をやっているかよく分からない」という声はすごく聞くんです。これを進め始めてから、学校運営協議会というところは、学校と一緒になって、教育活動の内容を効果的に進めるためにはどうすればいいか、みんなの意見を聞いているんだよということが分かってくれているかなというところで、認知度が高まっているかなという気はしております。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございます。本当になるほどと思いますけれども、いかがでしょうか。オンラインのほうの先生方、どうぞお手を挙げていただいて御発言いただければと思います。
今日、オンラインと会場でということでハイブリッド方式でやってございますが、オンライン会議はなかなか空気感が共有しにくいところもあって、手をちょっと挙げにくいとか、沈黙が時に生じるんですけれども、この沈黙をマイナスに感じないほうがいいのだということをこの1年で非常に学習しておりまして、ですので、のんびりと進めてまいりたいと思いますので、御意見があるところでお願いできればと思います。
じゃあ、お願いいたします。
【菅野委員】 岩手県から参加しています菅野と申します。1つ、高等学校でのコミュニティ・スクール導入が進んでいかないというところについて意見を述べさせていただきます。
私は今、高等学校でコミュニティ・スクール化に取り組んでおります。先ほど申し上げたように、みなしコミュニティ・スクールのような形でコンソーシアムを組んでおりますけれども、やはり非常に効果的に機能しているなというふうに感じています。それは、先ほどコレクティブ・インパクトの話が出ていましたけれども、1つ重要だったのは、お互いでビジョンを共有していくことということが非常に重要でした。熟議を通してビジョンを策定し、教育課程に関しても積極的にする会議になっています。
そうなるために、1つ重要だったというふうに思っているのが、市町村が県立学校の取組に対してお金を出しているということです。お金を出しているからこそ、意見をなるべく言ってよりよくしていくんだという共通目標を持った上で、自らもリソースを提供しているんだからとかというふうな形で責任があり当事者性のある意見を言っていく形というのが出てきています。これまでは3権限の中で人事の特に任用のところということが使われないという話もありましたけれども、権限だけあって、そこにリソースのコミットもしていない中で、どれだけ言っていいんだろうかというところもあったように思います。なので、どちらかというと、地域の方々だったり、高校では市町村ですけれども、もっとリソースを提供していいというような形になっていけば、よりよい学校運営協議会の会議になるんじゃないかなというふうに思っています。多分、両輪でという話、よく言われていますけど、地域学校協働活動をうまくやっているほうが、やっぱりいろんなリソースを学校側に提供しているので、より責任と当事者性のある意見を言いたくなるというところもあって、よい学校運営協議会になっているんじゃないかなというふうに思うので、リソースを提供していける形ということを模索していくということも考えていければなと感じます。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。少しここまでの御発言や実践の中等でお感じになられていること、論点としてできるだけ今日は挙げていただけますと、今後さらに深まっていくかなと思いますので、お感じになられていることがございましたらお願いしたいと思います。お願いいたします。
【福田委員】 鳥取県の福田です。今日の参考資料の3ページにポンチ絵があると思うんですが、「地域と学校の協働体制の概要」という。私、昔、これが始まった頃に――学校側の絵の中に、地域学校協働活動推進員というアンダーラインを引いたところがあると思うんですが、そこを担う者は、社会教育主事講習の受講者、今年度から社会教育士ということになったと思うんですが、そこのところが何となく薄くなった気がしています。本町においては、学校の教職員に社会教育主事講習を、山口県さんなんかはもっとたくさん行っておいでですが、チーム学校と言いながら、結局、何か学校の教職員ばっかりになってしまっているような、なかなか広がっていない状況もあって、学校の教職員の中の地域学校協働活動推進教員だったかな、何かそんな表記があったような気がしているので、その辺りは今はどういう状況にあるのかというのが分かれば教えていただきたい。私としては、やはりしっかりそこのところに、そういう資格とか視点を持った教職員というのも学校側にも必要なことではないのかなと。さっきどなたかが言われましたが、校長・教頭になってからコミュニティ・スクールを勉強したのでは遅きに失している感があるとすれば、中堅教員の段階とか若手の段階でそういう社会教育の視点を持つということも学校側には必要ではないかなというふうに思いました。
すみません、追加でした。
【松田座長】 ありがとうございます。
じゃあ、事務局のほうからコメントいただいてよろしいですか。
【岡地域学校協働活動推進室長】 御指摘ありがとうございます。学校側で地域連携担当教員というような形で、まさにそういった社会教育主事の資格を持ったような方が学校側の窓口としてなっているというようなケースもあるかと思います。今、現状の方は、法律にのっとった記載という形で地域学校協働活動推進員とさせていただいておりますけれども、当然、福田先生から御指摘ありましたように、社会教育の部分につきましても知見を持った方が運営協議会の委員として御活躍いただくということも非常に重要な視点になるかと思っております。
以上でございます。
【松田座長】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
【福田委員】 はい。ぜひその辺りもしっかり議論をしていく中で、その者がどういう意味で必要で、どういうふうにそれを国全体というか、都道府県とか市町村で養成していくのかということもセットで考えていかないと、よいことなんだけど、現場ではなかなか養成できないということになるなと思ったので、今後また議論させてもらえればと思います。よろしくお願いします。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、先ほど安齋委員、手を挙げてくださっていたのに、ちょっと私が気づかずに申し訳ございませんでした。じゃあ、お願いしてよろしいでしょうか。
【安齋委員】 先ほど井上委員のほうから学校評価のお話があったと思うんですが、私も学校評価の部分ってすごく大切だなと思っているんですけど、私の学校は、井上委員の学校さんとはちょっと違って、コミュニティ・スクールの委員さんたちには学校関係者評価の部分で関わっていただいているわけなんですけれども、今の学校評価のいろんな文科省が出している取組の中で、学校の自己評価と、それから学校関係者評価、第三者評価という3つの分類があるかと思うんですが、基本的に、全国の学校、コミュニティ・スクール、CSマイスターとして歩いたときに、なかなかまだまだ学校評価ということがきちっと行われていない。保護者アンケートで終わってしまっているなんていうところも多くて、この学校評価のことについて、文科省として何か新たな見直しとか改善とか、そういった学校評価をもう少し正しく学校で行えるような働きかけというのが文科省のほうで今後行われる予定なのかどうかというのも1つ聞きたいことと、やっぱりそういった学校評価とコミュニティ・スクールがどう関わっていくのかというところもしっかりと今回検討していくことで、単に協働活動だけをやればいいじゃなくて、やっぱりガバナンスの部分でしっかりと学校経営の改善を図っていくコミュニティ・スクールにしていくために、学校評価というのが非常に重要だなというふうに感じています。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございます。
では、岡室長からお願いいたします。
【岡地域学校協働活動推進室長】 御指摘ありがとうございます。学校評価に関しましては、資料のスライド7ページのほうで制度の概要の方を載せておりますけれども、直近におきますと、これ、初中局の資料にございますが、学校評価のガイドラインというものを平成28年の3月に改訂しております。このガイドラインの中でも、学校運営協議会と学校関係者評価を一体的に推進するということが非常に重要だと。学校の運営の評価・改善サイクルの充実につながるというようなことで明記はされております。こういった部分に関しまして、再度、文科省としてもきちんと周知をしていくということは大変重要かと思っております。
また、先ほどCSのポートフォリオモデルということでスライドの42ページで御紹介させていただいたんですが、実はこれ、いろいろな保護者の方ですとか子供に対してもアンケートを取って、学校運営の状態、どうなっているのかということを示すものになるんですが、これは学校評価も兼ねて実施をするということで、学校運営の改善にもつなげられる仕組みになるのかなというふうに感じております。これ、まだモデルでございますけれども、具体的な活用につなげられるようにということを考えております。
主な検討事項、資料の4でもお示しさせていただいておりますが、今御指摘いただいておりますように、学校運営の改善に資するということで、学校評価との一体的な運用ということは非常に重要な視点になるかと思っておりますので、ぜひこの点に関しても委員の先生方からいろいろ御意見いただきたいと思っております。
以上でございます。
【松田座長】 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。お願いいたします。
【増渕委員】 学校関係者評価ということで、参考までにお話ししたいと思います。神奈川県のコミュニティ・スクールでは、学校運営協議会の中に部会を置くことができます。部会については、各校の特色やニーズに従って必要な部会を置くわけなんですが、評価部会については全ての学校で必ず置くことになっています。この評価部会の中で学校関係者評価も行っていくんですが、本校ではその前提となる保護者等へのアンケートそのものについても学校運営協議会で検討しました。それまでも行っていたアンケートですが、分かりにくい部分があったり、項目が多かったりしたので、いろいろな意味で評価部会を置くということが非常に有効に働いています。また、在職中にはできませんでしたが、学校運営協議会自体の自己評価もできたらよかったと思っています。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございます。先ほどから重ねていろいろ御意見いただいているところかと思います。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。竹原委員、お願いいたします。
【竹原委員】 コミュニティ・スクールというのは、学校の運営の在り方、学校そのものを見直すことだと思っています。そのガバナンス、学校運営をどうやっていくかであり、社会総がかりで子供に関わる仕組みとしての学校運営協議会を考えたときに、会議の在り方、評価の在り方を考えていかなければならないと思います。学校運営協議会の委員でも、先生でも保護者でも社会総がかりで教育にかかわり、誰もが地域の教育の担い手であるという風土をつくっていく、その原点になるのが学校運営協議会だと思っています。そう考えたときには、学校運営協議会に管理職だけが出席するのではなくて、教職員や生徒会メンバーと懇談したり、時には教職員、地域の人が参加する拡大のワークショップで、熟議をしたりということを重ねる必要があります。そこではファシリテーションスキルが大事になります。なぜコミュニティ・スクールなのかということを共通認識し、みんなが担い手になるという風土をつくるということが、求められていると思います。学校や地域によって活動は様々でいいと思いますが、根底に流れる「Why」というのは共通であると思っていますので、この会議の中で明確な言葉にしていきたいと考えています。
【松田座長】 なるほど。ありがとうございます。
それでは、山本委員もお手を挙げてくださっていたのに、すみません。お願いいたします。
【山本委員】 山本です。少し違った観点から一言申し上げたいなと思っております。この会議自体はコミュニティ・スクールの在り方の検討会ということですが、それを考えるに当たって地域学校協働活動というのは非常に大きな問題だろうと思うんですが、そこを現実的に担っているといいますか、教育委員会側からサポートしている人材として、先ほどもちょっと出ましたけれども、社会教育主事が大きな役割を果たしているのではないかと思います。ところが、コミュニティ・スクールが創設された頃の平成16年度辺りと現在、社会教育調査のデータを見ますと、社会教育主事の数が激減しています。3分の1ぐらいになっちゃっているという状況がございます。地域学校協働活動を盛んにしていくためには、その学校の周りに社会教育の豊かな活動があるということが学校を支えることにもなるし、学校が地域を支えるというようなことにもなろうかと思うんですけれども、社会教育主事の状況というのも少し念頭に置いて議論していくことが必要なのではないかなと思います。
私自身の経験を振り返っても、平成16年の頃は社会教育主事の資格を取りたいと思っていた学生ってそれなりにいて、その資格を取った学生たちが地方公務員の試験を受けて、自治体に就職してというようなことはそこそこあったんですけれども、今、かなり減ってきてしまっている。というのは、資格を取っても、結局こんなに数が減ってきてしまうと意味ないよねというような感じに、学生としては現状を知れば知るほどそう思ってしまうというのはやむを得ないかと思います。もちろん、今、社会教育士というものが新しく称号としてできたわけなんですけれども、学校そのものを見るだけではなくて、間接的な議論になるかもしれないんですが、その周辺の社会教育の状況というものも併せて見ておかないと、学校だけが栄えてということになっても、それは違うのではないかと感じております。
私からは以上です。
【松田座長】 ありがとうございます。
時間のほうもそろそろというような時間になってきましたが、いかがでしょうか。本日言い残すことがないような形で、もし御意見、御質問等ございましたらお願いしたいんですけれども、よろしいでしょうか。
じゃあ、貝ノ瀨先生。
【貝ノ瀨委員】 じゃあ、失礼します。これから、最初の御案内ですと月1回ぐらいで進めるということで、ずっと12月ぐらいまでというふうなお話がありましたけれども、コミュニティ・スクールを設置している自治体の方とか、推進している方が圧倒的に多いメンバーだと思いますが、結局、コミュニティ・スクールを設置するきっかけといいますか、地教行法が平成16年に改正されましたけど、その法律ができたから始めたんだというところもあるかとは思いますが、教育論として、子供たちのためにプラスになるんだとか、地域づくりにプラスになるんだとか、そういう何かもっと価値観があったと思うんですが、そこのところをぜひ聞きたいというふうなことがありますよね。そのポリシーというか、哲学をやっぱり見える化して、そしてこれからやろうというところに勇気づけていくと。
また同時に、堂々と、やらないとは言わないですけど、さっき山本委員さんからも香川の例を出されましたが、福井の例も出されましたけれども、必ずしも今の制度に乗らなくてもいいというか、違う道があるというふうなこともあるだろうと思いますね。ですから、そういう何々型というふうに冠をつけたまちの何々型コミュニティ・スクールというふうにつけているところはなおさら、そのポリシーといいますか、それを勉強したいなとも思うんですよね。それをお聞きしながら、やはりこれからのコミュニティ・スクールの在り方というのが見えてくるんじゃないかなと思うんですね。だから、必ずしも成功事例と言うのはおかしいですけど、どんどんどんどん進められているところと、いや、必ずしもそういうことじゃなくていくんですよというふうなところもあるということですので、そういうところのお話もヒアリングみたいな形でお聞きできたらいいなというふうに思いますので、要望しておきます。
【松田座長】 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、本日、本当に多様な、様々な御意見をいただきまして、ありがとうございました。時間のほうがほぼ予定していた時間になりましたので、審議のほうはこれで終わりたいと思います。
今日の委員の皆様方のお話をお伺いさせていただきましても、やはりコミュニティ・スクールによって目指されているものというのが、現在の中心的な教育課題の一翼を担っているというのを改めて感じますし、社会的にも期待の大きな制度ではないかと思います。そのような意味合いで、本日いただきました意見をまた事務局のほうでも御整理いただきまして、手順を追ってしっかりと検討していければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日の会議時間内で御発言が少し足りなかった、あるいは御意見、御質問がこの後出てくるようなことがございましたら、事務局のほうへメール等で御連絡いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日、本当に限られた時間の中で積極的な御審議をいただきまして、ありがとうございました。
最後に、事務局より連絡事項があればと思いますので、お願いしたいと思います。
【榎木地域学校協働活動推進室長補佐】 事務局でございます。
資料の6を御覧ください。次回の開催日程でございますけれども、次回の開催日時につきましては、5月27日(木曜日)の13時から15時を予定しております。本日と同様な形でウェブ会議との併用を予定しております。
連絡事項は以上でございます。
【松田座長】 それでは、本日の会議はこれにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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