コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議(第2回)議事録

1.日時

令和3年5月27日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議を併用して開催

3.議題

  1. コミュニティ・スクールに関する取組発表
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事録

【松田座長】 定刻になりましたので、ただいまからコミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議(第2回)を開催させていただきます。
本日は、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、ウェブ会議システムを併用した開催とし、多くの方にはオンラインでの御出席に御協力をいただいております。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言のとき以外はマイクをオフにしていただくようお願いしたいと思います。委員の皆様には御不便をおかけすることがあるかと思いますが、御理解のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は全ての委員の皆様方の御出席予定でございますが、若干、今ネット環境の関係で、少し遅れてお入りになられる方がいらっしゃると伺っております。及びオブザーバーとして、総務省地域力創造グループより鈴木課長補佐、国立教育政策研究所生涯学習政策研究部、志々田総括研究官にも御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
また、会議の模様は、報道関係者の皆様及び一般の皆様に向けて、ウェブ会議システム上で配信しておりますので、御承知おきください。
それでは、初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【榎木地域学校協働活動推進室長補佐】 事務局の総合教育政策局地域学習推進課の榎木と申します。よろしくお願いいたします。
本日の配付資料につきましてですが、議事次第の配付資料にありますとおり、資料が1-1から5まで、参考資料が1から3までとなっております。事前にお送りしているもの等で不備等ございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。
以上となります。
【松田座長】 ありがとうございました。
では、本日の議題でございますが、行政、学校、地域のお立場の3名の委員から、それぞれお取組について御発表いただき、委員の皆様から御意見を頂き、後半の議論につなげていきたいと考えております。
それでは、議題1、コミュニティ・スクールに関する取組の発表ということで、早速議事のほうへ入らせていただきます。
本日は、繁吉委員、安齋委員、井上委員の各委員の皆様に、15分程度ずつ、お取組を御紹介いただきます。3名の発表が終わられましたら、30分程度、意見交換の時間としたいと思います。
なお、本日は、井上委員が14時20分頃に退席される予定となっておりますため、意見交換は、井上委員の御発表について、まずお伺いする形としたいと思います。
それでは、繁吉委員、よろしくお願いいたします。
【繁吉委員】 皆さん、こんにちは。山口県教育長の繁吉でございます。私からは、山口県の地域連携教育に係る伴走支援について説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
今の画面なんですけど、これは本日お話をさせていただく流れでございます。
それでは、まず初めに、本県の伴走支援の捉えと地域連携教育推進に当たり重視したことについて御説明をいたします。
平成20年に策定をされました国の教育振興基本計画に掲げられました学校・家庭・地域の連携協力を強化し社会全体の教育力を向上させることを目指しまして、本県では、そこに掲げております子供たちの「生きる力」の育成、幼保・小・中の連携の促進、学校づくりと地域づくりの一体的な推進、家庭の教育力の向上、この4つを柱に取り組むことといたしまして、その取組の上で重視したのが、コミュニティ・スクールの導入促進とともに、社会教育との一体的な施策を展開すること、それと関係する人材の育成を図ること、こちらの2点でございました。この2点を推進する基盤となったのが、本県独自の仕組みでございます地域協育ネットでございます。
地域協育ネットとは、おおむね中学校区を1つの単位として、学校関係者でありますとか保護者、地域の社会教育団体、専門機関等とのネットワークを形成し、地域ぐるみで子供たちの育ちや学びを支援する仕組みでございまして、この地域協育ネットの活動は、現在国が進めております地域学校協働活動に当たるものでございます。
本県では、平成23年度から各市町での地域協育ネットの体制整備を進め、学校・家庭・地域の三者がつながる仕組みづくり、その調整、支援を行う人材の育成に力を入れてまいりました。そして、これが後のコミュニティ・スクールを核とした地域協育ネットとの一体的な取組、「やまぐち型地域連携教育」の誕生へとつながっていくこととなります。
こちらのグラフを御覧ください。こちらはコミュニティ・スクールの導入率を示したグラフでございますが、先行して導入を開始した、平成17年から導入開始しておりますけれども、18年以降、小・中学校において平成25年ぐらいまでは緩やかな導入率となっておりますが、25年以降の急激な伸びの背景には、先ほど申しました、これまで市町に導入の理解を求めてきたことに加えまして、この地域協育ネットの体制整備による後押しがあったことがお分かりいただけるかと思います。
そして、もう一点重視をしてまいりましたのが、人材の育成と配置でございます。
上から3つ目の丸になりますが、従前からの家庭教育アドバイザー養成講座に加えまして、1つ目の丸、地域協育ネットコーディネーター養成講座まで幅を広げたことで、各講座の修了者が地域連携教育に携わる人材として、各小・中学校と円滑に関わることを可能としました。
併せて、これまでコミュニティ・スクールの導入を牽引してまいりました退職校長等を、平成27年度より山口CSコンダクターとして各市町に配置をしまして、各学校運営協議会での助言・支援を行うなど、全県での推進体制の構築を図ってまいりました。
このように、コミュニティ・スクールの導入には、学校教育と社会教育を両輪とした関係者への理解促進と、その資質やスキルを担保しながら平準化を図っていくことが大切であり、その推進施策を展開することを、本県では伴走支援と捉えております。
そこで、本県の伴走支援への具体的な取組を、次に御説明をいたします。
まず推進の方向性の明示、市町教育委員会との連携強化を踏まえ、核としたのは、やはり学校教育と社会教育が連携した施策の展開でございます。
お示しをしております図は平成27年度以降の施策展開をまとめたものでございますが、図の左側、コミュニティ・スクールの充実促進を図るもの、つまり、学校教育の領域と、図の右側、地域協育ネットの充実促進を図るもの、言い換えれば社会教育の領域とを整理をいたしまして、両者を一体的に推進する新規取組事項等を示せるよう、施策の組替えを行ったところでございます。
これらの取組をより円滑に推進するため、県教委内の推進体制も段階的に強化をいたしました。
具体的には、県内全ての市町立小・中学校がコミュニティ・スクールとなった平成28年度から、小・中学校のコミュニティ・スクールを所管する義務教育課内に「やまぐち型地域連携教育推進班」を設置をいたしまして、地域協教育ネットを所管する社会教育・文化財課との連携を強化いたしました。
その後、関係各課との連携を深めながら取組を進め、県内全ての公立学校がコミュニティ・スクールとなった昨年度には、地域連携教育推進室を立ち上げ、体制を強化したところでございます。
このように、本県教育委員会の体制を強化するとともに、市町及び関係者への伴走支援を図っていくわけでございますが、その伴走支援の取組は、大きく4つの柱で構成をされておりました。
1つ目の柱は、全県的な推進体制の強化であり、学校教育、社会教育の各関係団体の代表者から成る推進協議会を母体といたしまして、その下にプロジェクト部会を位置づけ、全県的な推進体制を取ることといたしました。
2つ目の柱は、研修の充実でございます。主として学校教職員を対象といたしまして、それぞれのキャリアステージに合わせた内容の研修機会を設定すること、また教育研修である、やまぐち地域連携教育の集いでは、保護者や地域住民にも好事例の発表等を通して、地域連携教育の学びを深めていただくことに努めてまいりました。
また、本県では毎年、積極的に社会教育主事講習の受講をあっせんをしておりまして、学校現場や行政部局での有資格者を対象とした研修にも力を入れているところでございます。
3つ目の柱は、推進の核となる人材の配置及び養成でございます。これにつきましては、先ほど申し上げました内容と重なりますので、説明は省略いたしますが、近年は、統括コーディネーター等に対する地域学校協働活動推進員への委嘱の促進を図るなど、養成講座修了者が学校と家庭と地域をつなぐキーパーソンとして活躍できる場を創出することにも力を入れているところでございます。
4つ目の柱は、活動の充実に向けた普及啓発と支援です。本県では、各種リーフレット、実践事例集の作成やウェブページ、広報番組等、あらゆるメディアを最大限に活用いたしまして、戦略的な広報を展開してまいりました。地域連携教育に対しまして、少しでも多くの地域住民が当事者意識を持ち主体的に参画していただけるよう、機運の醸成に現在も努めているところでございます。
以上が、4つの柱を基に、これまで取り組んできた内容となります。
続いて、今後に向けてですが、全ての公立学校がコミュニティ・スクールとなった昨年度から、本県では、そこにありますように、人づくりと地域づくりの好循環の創出を目指して、コミュニティ・スクールの仕組みを生かした学校と家庭、地域住民、企業・大学等の連携・協働により、郷土への誇りや愛着を育むとともに、子供の豊かな学びや育ちを実現していく教育、こちらを「山口県の地域連携教育」として新たに定義をいたしまして、推進をしているところでございます。
こちらの図につきましては、令和3年度の山口県の地域連携教育の推進図でございます。それぞれの校種において、地域学校協働活動との連携・協働により学校運営の質の向上を図る体制を整えております。
特に県立高校におきましては、広域から生徒が通学しているという特性でありますとか、各学校の学びやテーマも様々であるという専門性などから、学校や企業、関係機関等を含めた多様な連携先を地域と考え、これを「テーマ型コミュニティ・スクール」と呼んで取り組んでいるところでございます。
各校種でコミュニティ・スクールの内容は様々ですけれども、県教委では、義務教育段階で、コミュニティ・スクールの仕組みを生かした「やまぐち型地域連携教育」での横のつながりによって育まれた子供たちが、小・中学校から高校等へ、縦のつながりの中で豊かな学びを連続させられるよう努めてまいりたいと考えております。
今後は、地域連携教育アドバイザーの配置を終了したことに伴います各市町の自走体制に向けた支援、こちらを行うとともに、退職校長や大学教授等の学識経験者6名を地域連携教育エキスパートとして県立高校へ派遣をいたしまして、学校運営協議会等での助言・支援を行っていく予定としております。
また、市町立小・中学校と県立学校それぞれのコミュニティ・スクールの仕組みを生かした校種間連携の充実に向けまして、イメージ図の真ん中にございます県立高校に配置をしております地域人材、CS活動推進員の効果的な活用促進等、新たな伴走支援にも取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、各校種へのコミュニティ・スクール導入完了につきましては、本県ではゴールではなく、新たなステージの始まりと捉えており、山口県の地域連携教育の一層の充実に向けまして、それを持続可能とする学校教育と社会教育との一体的な体制づくりと施策の展開こそが、これまでも、そしてこれからも本県の伴走支援であることを強調いたしまして、私からの説明を終了させていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。
【松田座長】 どうもありがとうございました。伴走支援という形で、山口県のお取組を御紹介いただきました。
今日の御報告は、3名の御報告、大変関連づいたものでございますので、まず3者の方々から御報告いただきまして、併せて、少し質疑応答を進めさせていただければと思います。
少しネットの状況でお入りになれなかった委員も、皆さん入られましたので、御報告だけしておきたいと思います。
それでは、続きまして安齋委員、お願いいたします。
【安齋委員】 福島県本宮市立本宮まゆみ小学校校長の安齋宏之です。
私は、今年で校長になりまして12年目となります。その間、3校のコミュニティ・スクールの立ち上げと、コミュニティ・スクールを活用した学校運営を行ってきました。
今日は、そこで、校長の立場から、学校経営をする上でのコミュニティ・スクール活用の意義、そしてコミュニティ・スクールを推進するために今後どのような取組が必要かについて、お話をさせていただきたいと思います。
まず、全国の公立小学校の校長先生方は、今、様々な課題山積の厳しい中で学校経営をされているのではないかと思います。
特に昨年から、新型コロナウイルス感染拡大により、感染防止策の徹底をはじめ、長期にわたる臨時休業、学びの継続を図るためのオンライン授業への対応、人、物、時間、スキル、そういったものがない中で、必死に取り組んでこられているんじゃないかと思います。
さらに、昨年度から小学校で新学習指導要領が全面的に実施され、今年度は中学校で全面実施され、小学校では外国語科やプログラミング教育といった新たな教育に対応しつつ、「社会に開かれた教育課程」の実現が求められています。
一方、新たな取組が増える中、働き方改革も喫緊の課題となっています。子供と向き合う時間を増やし、在校時間を減らしていかなければ、教育職が魅力のある仕事として認知されず、教師を志す若者の減少に拍車がかかるおそれがあります。
そのほかにも、不登校やいじめ、児童虐待など、日々対応を求められる課題も多く、学校経営の困難さは年々増しているように思います。
コロナ禍の状況だからこそ、学校の本質も見えてきたように思います。ピンチをチャンスに変え、1月の中教審答申にあるように、令和の日本型学校教育を実現するための改革・改善のチャンスが今、到来したと思っています。
しかし、これまでの校長や教職員だけが頑張る昭和型の学校では改革が成し遂げられません。保護者・地域住民が参画し、共有できる目標の設定、その目標達成のために対話、協働し、そして評価する令和型──平成型とも言うのかもしれませんが、令和型の新たな学校への改革が今、必要なんだろうと感じています。
それは、まさにスクール・ガバナンスの確立、そして自律的な学校への転換だと感じています。そこにコミュニティ・スクールを活用する意義があると思います。
学校運営協議会制度は、御承知のとおり、ステークホルダーである保護者や地域住民の学校経営の参画を可能にし、熟議等を通して学校改善のアイデアを創出したり、地域学校協働活動を活用して具体的な取組を行ったり、学校関係者評価を通して自律的な学校経営ができるようにする仕組みです。
これまで3校でコミュニティ・スクールを活用した学校経営を進めてきましたが、それぞれの学校の強みを最大限に生かし、保護者・地域住民の参画を得ることで、自律的な学校経営ができました。
その成果は、10年前、あの東日本大震災が発災したとき、校長1年目を迎えておりましたが、放射能で、今よりももっと厳しい教育環境の中ででも、そして、実は2年前には東日本台風、台風19号の被害で、本宮市は多くの犠牲者も出しました。そういったときにあっても、そして今回のコロナ禍においても、保護者や地域住民の御理解と御協力の下に、混乱なく安定した学校経営を行い、子供たちを未来に導いていくことができたように思います。
また、コミュニティ・スクールの機能を活用することで、地域の目標を共有し、特色ある教育課程を再編し、地域の人的、物的資源を活用した教育活動を展開することができました。
「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた基盤構築が今、進みつつあります。私たち校長が取り組んでいる、この学校改革、学校の改善は、全て、この「社会に開かれた教育課程」の実現のためだと思います。
未来を担う子供たちに、今、学校だけではつけることができない資質・能力を育む。そのために、やはり、このコミュニティ・スクールという仕組みを生かした学校運営、スクール・ガバナンスの確立が必要なんだろうと思います。
このような取組、学校経営を行うことで、学校と保護者・地域住民の相互理解も深まってまいりました。
少しずつではありますが、ICTの活用なども取り込みながら、働き方改革が進んでいるところです。
まさに、「令和の日本型学校教育」の構築のために改革が進んでいると言えるのではないでしょうか。
そこで、コミュニティ・スクール導入を推進し、その活用の充実を図るために、私からは大きく3点、意見を述べさせていただきたいなと思います。
校長だけでなく、コミュニティ・スクール推進員、CSマイスター等の経験も踏まえて、コミュニティ・スクール導入には、設置者である教育委員会への支援が欠かせない、そんなふうに考えています。
各調査結果を見ても、未導入の教育委員会は、コミュニティ・スクールの正しい理解ができていないケース──例えば同様の仕組みがあるとか、既に地域連携がうまくいっているとか、問題が特にないとか、そういったものであったり、成果が見えないなどといったことを理由に導入を見送っているケースが見られます。
コミュニティ・スクールの必要性や効果、有効性等が、エビデンスに基づいて、きちっと教育委員会に理解されていないのではないかな、そんなふうに感じています。
まずは文部科学省が各都道府県教育委員会へ積極的に働きかけ、そして、先ほどの御発表にあったように、県が各市町村教育委員会に働きかけ、そして各市町村教育委員会の支援によって各学校の導入が進む、そんな構図にしていく必要があるのではないかと思っています。
また、コミュニティ・スクール導入、活用のキーパーソンは校長です。教育委員会が管理職へのマネジメント研修を継続的に計画的に行うよう働きかけが必要かと思います。
同時に、管理職以外への研修。今、地域連携担当教職員というのが各学校で任命されておりますが、校長先生方の話を聞いても、この職員をどう活用するんだということが分からない、また、そういう連携の時間が十分に確保できない、そういった悩みも聞いています。地域連携担当教職員の研修機会をつくるとともに、この活動時間を保障する仕組み、そういったものも早急に整備する必要があるかと思います。
また、教員の養成段階においても、このコミュニティ・スクールや、それからマネジメント研修というものを計画的に行っていくことも必要ではないでしょうか。総合的な教職員の育成というんでしょうか、そういうことがないと、持続可能な取組にはなっていかないように思います。
2つ目として、財政的な支援についてです。財政的な理由から導入に消極的な教育委員会は現に存在しています。また、導入しても、財政的な理由からということで、委員の人数を学校評議員制度と変わらないような人数で設置したり、会議の回数を年間3回とか、少ない数に制限して、今から形骸化が懸念されるようなケースも散見されています。
また、依然として、コミュニティ・スクールの運営に係る業務が教頭や教務主任の仕事となって、多忙化を招く新たな要因となっているケースもあります。このことがコミュニティ・スクールの効果的な活用につながっていないということも見られます。
本市では、コミュニティ・スクールディレクターというものを各中学校区ごとに1名ずつ配置し、そのディレクターが学校運営協議会の運営業務については一切担って、そしてディレクターが各学校、校長先生方と連携を取りながら運営を進めています。
ディレクターがいることによって、新たに赴任した校長であったり、初めて校長になったときなど、ディレクターからコミュニティ・スクールの運営について、しっかりとレクチャーを受けながら活用を図ることができるということもメリットとして挙がっています。
ぜひ、このコミュニティ・スクールディレクターの配置については、各学校、各コミュニティ・スクールに公費で配置するよう望みたいところです。
最後、3つ目ですが、学校評価の改善についてです。よりよい学校教育、学校経営を行うためのツールとして学校評価があるわけですが、現在、各学校を見ているときに、その目的にかなった運用がされていないケースが見られます。目標に準拠した評価を行うことが、学校改善には欠かせません。
平成28年度に学校評価の改訂が行われておりますが、その後、文部科学省からの新たな取組はないせいか、学校評価に対する取組が形骸化しつつあると感じています。
また、そのことが、学校評価が学校改善につながっていないということも感じています。
コミュニティ・スクールの導入が進んでいることも踏まえた新たな学校評価の在り方、またコミュニティ・スクールと連動した効果的な運用の見直し等が今後、求められるのかなと思っています。
「おわりに」ということで、全国の校長は今、あらゆる困難と闘いながら、学校改革の先頭に立って取り組んでいます。
しかし、残念ながら、戦う武器を持たずして、丸腰の状態で戦わなければならない校長もいます。
コミュニティ・スクールや地域学校協働活動は、学校改革のツールとして、全ての学校が、校長が持ち、コミュニティ・スクールとなることを強く望みます。
今、校長の本気度が問われています。それと同時に、この改革に臨む文部科学省や各教育委員会の本気度も問われているのではないでしょうか。
以上で私の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございました。学校現場からの御報告をいただきました。
それでは、最後に、井上委員よりお願いしたいと思います。井上委員、よろしくお願いいたします。
【井上委員】 それでは、井上尚子でございます。よろしくお願いいたします。
私のほうからはコーディネーター(地域学校協働活動推進員等)と役割と重要性ということでお話をさせていただく機会も頂きましたので、始めさせていただきたいと思います。
私は、PTA活動を経て、杉並区が学校支援地域本部事業を導入する前、2002年に学校教育コーディネーターという制度をつくっておりまして、その時代からコーディネーターとして、学校と地域をつなげるという活動に関わっております。
今や本当に社会には地域学校協働活動の様々な担い手の人たちがいます。地域学校協働活動推進員、地域により名称は様々ですが、地域コーディネーター、そのほかにも公民館や教育委員会、学校職員としての役割。いずれの立場にあっても、地域学校協働活動を推進するために欠かせない人々ですが、ここからは地域学校協働活動推進員、地域コーディネーター等という地域人材のコーディネーターの話を中心としてさせていただきたいと思っております。
特に地域学校協働活動推進員は、一般の地域住民が信頼されながら活動していくために、正式に教育委員会から委嘱された職となっているということで、法律に位置づけられたということは、とても大きな意義があると考えています。
私も活動を開始した当初は、学校の教職員でない地域の人間がなぜそのような活動をするのかということで理解をされず、とても苦労した思い出があります。
学校と地域とをつなぐ地域学校協働活動推進員、地域コーディネーターは、何といっても地域学校協働活動推進のキーパーソンになると考えています。
地域学校協働活動推進員、地域コーディネーター、少し名称が長いので、これからは両者を総称してコーディネーターと呼ばせていただくことがありますので、御了承ください。
学校ごとに担当のコーディネーターがいることで、学校との直接的な連携が取りやすいのは事実です。何といってもコミュニケーションが取りやすい。
生涯学習の観点からいっても、地域住民である人が活躍することは大いに期待されています。推進員や地域コーディネーターのように、学校に直結して専任で関われる人たちの力は大きいと考えています。
こうした人たちは、地域をよく知っていますので、地域ネットワークを広げつつ、フットワーク豊かに学校と地域をつなげる活動を進めていく。このことは、ますます必要になっていくんじゃないかと思います。
地域学校協働活動にはいろいろな活動がありますが、例えば学校教育における協働を考えてみると、推進員、地域コーディネーターがいない場合は、体験場所の開拓やゲスト講師への依頼、サポーター等ボランティアの調整などは、教職員や教頭、副校長が行うことになるでしょう。教職員は他の多くの業務を持っており、これでは働き方改革への懸念、また地域ネットワークの拡大への懸念が生じます。
しかし、推進員、地域コーディネーターがつなぎ役となることで、学校と地域の連携による多様な活動が進められます。地域のことをよく知っている地域住民のコーディネーターが学校と地域をつないでいきます。
本校でも、地域人材であるコーディネーターがこうした調整を行っていますが、地域連携担当の教員も校務分掌の中に存在します。
地域連携担当教員は、校内や中学校等他校との調整、教育委員会との連絡・調整、また校内の教職員との連携や、地域学校協働活動の企画や総括など、いわゆる校内のコーディネートをしてくださっています。また、地域学校協働活動を進める上での学校教育内容についてのアドバイス等もしてくださっているので、大変に安心して活動を進めることができています。
ここからは、具体的なコーディネーターの活動について少し紹介していきます。
本校のホームページ「校長室だより」に掲載された内容なんですが、分かりやすい内容となっているので引用させていただきました。
まず、「今日は2年生の『町たんけん』です。この日は、2年生のうち2クラスがグループに分かれて近隣のお店や施設を訪問します。地域学校協働本部(AW)のサポーターと、保護者の方々が、14グループの付き添いをしてくれます。」
ちなみに、天沼小の本部は愛称を「あまぬまワンダラーズ」と言っており、校内では、頭文字を取ってAWさんと呼ばれています。
「実は出発の前に、サポーターや保護者の方々にAWのコーディネーターから『町たんけん』の目的や、付き添いの際の諸注意を伝えていました。」
「他の学校であればこういう説明も教員がやらなければならないところですが、天沼小の先生たちはその時間も子どもたちの指導に専念することができるのです。」
つまり、学習の協働推進者として、目的等をきちんと理解してサポートをお願いしているということになります。
「グループに分かれて出発しました。AWのコーディネーターがあらかじめ訪問の調整をしてくれている近隣の施設やお店に向かいます。」
郵便局や商店街のお店、近隣の公共施設などを訪問して学習を進めてきました。
この日を迎えるまでは、事前に教員とコーディネーターの打合せをしています。本校では本部室があります。コーディネーターたちは、ここを拠点にすることができていますので、とても活動がしやすい環境になっています。
写真のように、担当教員も本部室に声かけをしてくださったり、また打合せの場所ともなっています。
教員から学習の目的を聞き、コーディネーターは地域の訪問先の候補を出していました。
学習の目的と合っていることを双方向で確認し合います。
訪問先の方々は、コーディネーターを介して、この学習の目的と子供たちへの対応を理解します。
その後、調整結果を教員に伝えて、訪問先が決定します。
この学習では、さらに子供たちのグループに引率をつけるため、この後、サポーターや保護者の方々を集めます。
そして当日を迎え、先ほど御紹介したとおり、出発前のミーティングを経て、「町たんけん」に出かけていきます。
地域からのニーズを学校とともに解決するという取組もあります。
この例は、中学生による防災活動の協働です。万が一の災害が発生したとき、地域住民だけでは力が及ばないという声が地域から寄せられました。中学生は防災活動を大いに力を発揮できる存在です。
そこで、地域の課題を共に解決するために、中学校に呼びかけ、地域学校協働活動が実現しています。
中学生たちも、地域活動に参加することにより、自らが社会で役立つ喜びを知ることができています。
これは休日の活動ですので、当日は教員が引率するのではなく、コーディネーターと地域の人たちが地域の先生として、中学生の活動をフォローしています。
今や学校運営協議会と地域学校協働活動の一体的推進の必要性については理解が広まってきていると思います。学校運営協議会は、学校運営方針の承認をはじめとして、地域の委員が学校運営への参画を行います。
一方、地域学校協働本部は、地域の緩やかなネットワークを生かしながら地域学校協働活動を実践していきます。
学校運営協議会があって地域学校協働活動がなければ、学校と地域の連携・協働は成り立ちません。
また、地域学校協働活動のキーパーソンであるコーディネーターが存在しなければならないことは既にお話をしたところです。
そして、コーディネーターが学校運営協議会の委員でなければ、これも意味がないと思います。
学校と地域の連携・協働に当たっては、双方が目指す子供像を共有した上で、ベクトルを合わせて活動することが必要です。
コーディネーターは、学校と日頃から直接的な連携を取っていますし、地域の実情もよく分かっています。
また、学校運営の基本方針を承認して、そこは地域学校協働活動の方針も含まれているわけですから、実際に地域学校協働活動を実践するコーディネーターが、その場に誰もいないということだと、双方向の理解が進まないことになります。
学校運営協議会において熟議を通して目標を共有し、それを踏まえて地域との協働を進めること、地域の思いや実情、地域学校協働活動の実践をコーディネーターが学校運営協議会で紹介するということなどをすることで、双方向の理解が進みます。それでこそ一体的推進をなすものです。
本校でも、コーディネーターが学校運営協議会の協議の中心となって活躍しています。
コーディネーターとの連携による効果ですが、文部科学省の実証研究からも、このような多くの効果が示されています。この表は一部ですが、ほかにもいろいろな効果に関するデータが示されています。
このほか、ここに掲載した効果については、既にコーディネーターと連携した実績のある学校の教員から語られている内容です。
授業の狙いに適した講師・サポーターを確保できる。教員は、コーディネーターがいることで、開拓や調整を託せますので、安心して積極的に学習活動を行おうと考えます。
また、子供たちにとっては多様な人とのコミュニケーションを経験することができます。本物に触れる学習にも取り組むことができます。
コミュニティ・スクールで育った大学生になった卒業生と話をする機会がありましたが、いろいろな体験を行ったことは忘れないし、今の生活──ちょうど就活などをしている時期なんですけれども、とても役立っている。他校の出身の友達とお話をすると、うらやましがられるというようなことを話してくれました。
こうした効果を経験した教職員は、学校と地域の連携・協働についての必要性を実感していきます。
本校のコーディネーターも、他地域に転勤した教員から、その地域にコーディネーターがいないということで、ゲスト講師等の相談に乗ってほしいなどの依頼が入ることもあります。
右下の円グラフは、平成26年度の杉並区調査ですが、教員への「あなたは(転勤後)地域に開かれた学校で勤務したいですか?」という質問に対して、肯定的な回答が83%に及んでおり、その優位性は、連携年数の長い学校の教員ほど高かったという結果が示されています。
このデータは少し古いものでありますが、また取り直してみると、さらに高い肯定的な意見が示されるのではないかと考えています。
活動に関わっている地域の皆さんも、子供たちと関わることで喜びを感じるとともに、もっとよい内容にしていかなくてはという意欲も生まれています。
この写真は、読み聞かせチームの勉強会の様子です。毎月1回の勉強会を行うことで、読み聞かせやお話会のスキルをアップさせています。まさに、これは学校教育と社会教育、生涯学習の連携だと思います。
最後に、コーディネーターとの連携で必要と考えられる支援策についてお話しします。
ここに挙げるのは、日本各地で既に活動している地域学校協働活動推進員、地域コーディネーター、10人程度なんですけれども、聞いてみた内容です。コーディネーターの活動を行いやすくするために必要なことは何かという質問への答えです。
思いがけず、コーディネーターたちから出てきた声はとてもよく似ていました。学校へのお願いは、教職員との連携が大切であるということから、コーディネーターの紹介機会や連携機会などをつくるなどして、学校関係者の一員として認知させてほしいこと、地域学校協働活動への理解を深めてほしいことなどを望んでいました。そして、居場所、活動拠点を工夫してほしいということです。
私も活動を始めた当初は、学校に地域の立場で入るということに、とても敷居の高さを感じたものです。居場所がないと、学校に行くことに遠慮を感じるという声がありました。これは大切なことだと思っています。
教育委員会にお願いしたいことです。行政内の理解を促進し、学校教育部門と社会教育部門が連携してほしい。その上で情報提供、相談体制をつくってほしい。予算は地域によって様々であることは理解しており、お金のためにコーディネーターをやっているわけではないのですが、やはり必要経費や報酬等の措置もしていただくことで、持続可能な活動への意欲が生まれるのではないかという声が聞かれました。
また、仲間の存在は大きいということも、みんなが語っていました。活動を補完し合える仲間、同じような感覚を持つ仲間の存在があることで、前向きになれるものです。
そして、役所内であっても、意外とコーディネーターの存在が知られていない現実への懸念。地域の中間支援組織などは協働していくことが多いので、そうした組織への周知も行ってほしいということでした。
研修はとても大切です。活動ステージに応じた研修をしてほしいこと、また他校のコーディネーターとの情報共有機会を設けて実践事例を共有したり、地域の教育資源を共有したりすること。地域でコーディネーターのなり手がいないという声はよく聞きますが、初めからコーディネーターである人はほとんどいません。研修や交流を経て、コーディネーターとしてのスキルが磨かれていきます。
私もPTA活動はしていましたが、コーディネーターとしてのノウハウは持っておらず、本当に手探りで始めてきました。やはり研修や情報交換の機会があったことで続けられたと思っています。
さらに、他の地域の研修情報がコーディネーターに届く仕組みを意識してほしいとの声もありました。
例えば、文部科学省の「地域とともにある学校づくり推進フォーラム」等も教育委員会内でストップしてしまい、コーディネーターまで入ってこないので残念だという声も聞かれました。自ら学びたいというコーディネーターもおり、情報提供は必要だと思いました。
ここまでお話を聞いていただいてありがとうございました。地域学校協働活動推進員、地域コーディネーターは地域学校協働活動推進のキーパーソンであると御紹介しましたが、ボランティア的な活動であるにもかかわらず重要な活動をしている背景には、やはり子供たちのために自らができることをしたいという気持ち、教員や保護者に感謝されるうれしさ、また、それによるやりがいや楽しさを感じるとともに、いろいろな人とのつながりが持てるということでの自分自身の学びに役立っているという声もありました。
とはいえ、本当に大切な活動を担っている人たちであるということを意識すること、地域学校協働活動推進員として地域住民が法律に基づき委嘱されるようになったということは、重要性が認識されているということにほかならないと考えています。
より活躍できる環境整備をしていくことは必須であると考えます。活動環境の整備に努める必然性があるということをお伝えして、私のお話を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございました。
それでは、ここまでの御発表につきまして、委員の皆様方から、御報告を聞かれてひもづいてお持ちになられた意見だとか、あるいは御報告に対する直接的な御質問等を頂けたらと思います。
なお、先ほども申し上げましたとおり、井上委員が少しお時間がございますので、井上委員の御報告、御発表につきまして、まず御意見、御質問等を頂けたらと思います。
お手を挙げていただく機能を、委員の皆様にはお使いいただければと思います。また、こちら側のリアルな場で御参加いただいている委員には、ネームプレートを立てていただくというような形でお知らせいただければと思います。
それでは、いかがでしょうか。では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 ありがとうございました。最初に井上委員にちょっとお聞きしたいことがございます。
コーディネーターの役割等を中心にお話しいただいて、非常に具体的で参考になったわけなんですが、ちょっと御発表の枠からずれるんですが、学校運営協議会との関わりは、貴校の場合、杉並の場合と言ってもいいんでしょうが、どんな形になっているか教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【井上委員】 ありがとうございます。学校運営協議会との関わりについてなんですけれども、コーディネーターは、ほとんどの学校で学校運営協議会の委員になっています。
杉並の場合は、コーディネーターが1校に複数いるというところも多いので、その中の誰かが学校運営協議会に加わっています。
そこで地域学校協働活動、どのようなことをしたかということを報告する機会を必ず設けていると思います。
それにより、委員の皆さんにも連携・協働をどういうふうにしているかということが伝わっていきます。そもそも、地域学校協働活動の方針は、学校運営協議会で承認される基本方針に基づいているわけですから、その場にコーディネーターも加わっている必要性があります。
また、コーディネーターの年数が長い人たちも多いので、ファシリテート力が結構ついているんですね。そうすると、コーディネーターが学校運営協議会の中での進行を担っているという人たちも増えてきていると思います。
コーディネーターは一定の研修を受けており、熟議の方法が分かっています。さらにスキルアップ研修というのも区教委のほうで計画してやってきていますので、必要性があるときには様々なノウハウ研修をしたりということもありますので、学校運営協議会の中では中心的な活動をしているのではないかと思っています。
【佐藤委員】 ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
前回会議の中で、なかなかオンラインだと、話したいことはいっぱいあるんだけれども意思表明がしにくいというようなニュアンスのことを頂いていましたけれども、ぜひ、その場でお手を挙げていただいても、挙手機能を使っていただいても結構ですので、いかがでございましょうか。
御報告の御質問、御意見につきましては、井上委員のものに限らず、本日の3名からのもので少し頂ければと思いますが。菅野委員、お願いいたします。
【菅野委員】 よろしいでしょうか。お話、聞かせいただいてありがとうございました。
山口県さんの取組について質問をさせてください。山口県の取組は非常に重要な取組であると感じていて、これからコミュニティ・スクールをさらに進めていく中で、なかなか理解が進まないような学校にも、都道府県教育委員会なり市町村教育委員会から働きかけて導入していくという事例が、これから出てくるようにも思います。
地域協育ネットの取組のお話もありましたけれども、地域学校協働本部の取組というのは、ある程度理解されながら進んでいくと思うんですけれども、学校運営協議会の取組が、なかなか山口県の中でも形骸化してしまうようなこととかということがあったのではないかなと推察しています。
その中で、コンダクターだったり、アドバイザーだったり、様々な役割の方がいらっしゃったかと思うんですけれども、どのような役割がどのような機能を発揮したのか。そこに、都道府県や市町村が予算配置していく上では、どの機能を予算配置していくと、さらに進んでいくのかについて、御意見を聞かせていただければ幸いです。
【松田座長】 それでは、繁吉委員、お願いしてよろしいですか。
【繁吉委員】 山口県の繁吉でございます。まず、学校運営協議会のほうの取組で、学校運営協議会が形骸化しているところもあったんじゃないかということなんですけれども、山口県の場合は、資料の6ページ、コミュニティ・スクールの推移のところを見ていただければと思いますが、先ほども委員のほうからお話がありましたけれども、山口県の場合は、県教委が中心になって市町教委に働きかけて、まずはコミュニティ・スクールを導入する方向で強力に推し進めてまいりました。平成17年から23年ぐらいまでは、その理解を深めていただくということで、当時の審議監等を中心に市町教委のほうに働きかけをしましたけれども、なかなか導入が進んでいなかった。
そこへ、地域協育ネット等の取組、これを踏まえて、地域協育ネットとセットになって取り組むことによって、ようやく社会の中で、学校運営協議会といいますか、コミュニティ・スクールの役割が必要になってくるのが分かってきたということで、その後どーんと増えて、平成27年、まず平成28年には100%になったと、そういう状況が続いてきております。
そういったことで、導入当初は確かに各市町で取組のほうが、やっぱり温度差があって、学校運営協議会設置したけれども従来のものとほとんど変わっていないとか、そういったところもございましたけれども、そこについては、平成27年に山口CSコンダクター、これを県内13市に配置をしました。というのが、平成27年というのが、コミュニティ・スクールが大体90%導入が完了しまして、ほぼ100%になっているという状況で、取りあえずは、先般の会議で話がありましたけれども、看板だけ100%になっても意味がないんじゃないかということで話がありましたけれども、山口県の場合は、まずは100%にする、そこで新しいものが見えてくる、そういったことで、100%にすることを、まずコミュニティ・スクールの前提条件といいますか、そこをスタートラインにしようということで取り組んできた。それが27年にはほぼ完了したということで、それを踏まえて、次は、この学校運営協議会をどうやって運営していくか、生かしていくかということで、山口CSコンダクター、これを平成27年に県内13市に13名、それぞれ配置をしまして、モデル校であります中学校区を中心に、合同学校運営協議会の体制づくりでありますとか、小中連携の取組の充実を支援するとともに、好事例の共有とか普及を図る、そういうこと、また学校と地域の連携を図り、各コミュニティ・スクールの取組を充実させる役割を担うようなものとして、山口CSコンダクター、こちらを配置をして取り組んでまいりました。
それから、形骸化があるんじゃないかということですけれども、これについては、各コミュニティ・スクールの中で熟議、よく話し合うことによって、この話合いを大切にする、そういった中で、カリキュラムの策定とかも行った上で形骸化をなくすということで、そういったものにも取り組んだというような経緯がありまして、形骸化というものはなくなってきているんじゃないかと思っております。
その後、平成27年から今度は、次が平成30年、地域連携教育アドバイザーの配置をしまして、令和2年には一応、市町のコミュニティ・スクールといいますか、義務教育段階でのコミュニティ・スクール、こちらについては各市町教委のほうで自立して運営ができる、そういう体制づくりができたということで、市町のほうの自走体制を今度は支援するということで、ステージを変えまして、その次に、今度は山口県の場合は、県立学校に令和2年に100%コミスクを導入しましたので、今度は義務教育段階で、コミュニティ・スクールの中で育ってきた子供たち、これを県立学校といいますか、高校にどうやってつなげていくか、高校のコミュニティ・スクールにどうやってつなげていくかというところにステージを移しまして、そこで県立高校に、今度はCS活動推進員、こちらを配置をいたしまして──これ全ての県立学校に1名配置しております。そのCS活動推進員を配置した上で、今の義務教育段階で、コミュニティ・スクールの中で育ってきた子供たちを高校へつなげていく、そういった仕組みづくりに今、取り組んでいるという状況になっております。
よろしいでしょうかね。
【菅野委員】 ありがとうございます。非常に興味深くお聞きしました。
地域学校協働本部の活動の理解が進むと学校運営協議会の理解も進んでいくというお話と、CSコンダクターが学校運営協議会を組織する初期段階で重要な役割を果たすということを理解しました。ありがとうございます。
【松田座長】 ありがとうございます。大変興味深いお話だと思いますけれども。
貝ノ瀨委員、お願いいたします。
【貝ノ瀨委員】 貝ノ瀨です。失礼します。今の菅野さんの御質問とも関連をしますが、繁吉委員のお話の中で、プレゼンの中で、市町との共有、合意を得ながら、地域協育ネットの後押しで、平成25年ぐらいから一挙に拡大したということでのお話がありました。また今のお話の中で、まずは100%設置をするということを目標にして、もっとシンプルに言えば、まずは設置ありきと。そして、その後に中身というか、このコミュニティ・スクール、地域協育ネットの理解を図っていくと、そういう手法だったんでしょうか。その辺のところ、大事なところですので、ちょっとお聞きしたいということです。
そうは言っても、やはり23年、4年、5年ぐらいのときには、ざっくばらんに言って、いろいろ設置について、市町もいろいろお考えがあったかと思うんですが、県としては、ざっくばらんに言って、何でできないんだとか、それから、もうみんなやるんだと、いいものなんだからやらなきゃ駄目だとかと、そういうことじゃないとは思うんですが、どういった具体的なアプローチといいますか、市町の教育長なり教育関係者に、どういう具体的なアプローチをなさったかということについて教えていただければありがたいなと思っています。よろしくお願いします。
【繁吉委員】 強力に推し進めたとは言いましたけれども、強引にやれというところまでは言っていないと。要は、コミュニティ・スクールの有用性といいますか、そちらを市町教委のほうに、まずはお話をしまして、市町の教育長さんに理解を深めてもらったと。市町の教育長さんのほうで学校のほうにも働きかけをしてもらったという流れがございます。
それと併せて、100%つくるというだけではなくて、当然、学校運営協議会、それはやっぱり充実させていかないといけないということで、その重要な役割を担ったのが社会教育主事。山口県の場合は社会教育主事がちょうど、これはちょっと私の私見になるかも分かりませんけれども、平成23年ぐらい、ちょうど40から50代、教頭の直前ぐらいから教頭になるぐらいの世代に社会教育主事が多かった。今はもう55から60ぐらいになっておりますけれども、そういった方が中心になって、地域づくりといいますか、学校運営協議会の必要性というのを学校の中でも熟議をしながら説明をしていただいて、地域とのつながりを深めていく中で100%になっていったということで、その後、それを今度は自走式で、今度は各市町のほうでできるような体制づくりも、今度は管理職になった、社会教育主事となった教頭とか校長が中心になって、学校の先生方とか地域の方々とかにも働きかけをしながら、学校運営協議会を充実したものにしていったと、そういった流れになっております。
【貝ノ瀨委員】 ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございました。
それでは、あと山﨑委員と山本委員から挙手いただいておりまして、時間的なこともございますので、一旦このお二人でということでよろしいでしょうか。
それでは、まず山﨑委員からお願いいたします。
【山﨑委員】 それでは、ありがとうございます。福岡県春日東中学校校長の山﨑でございます。
安齋校長先生の発表を聞かせていただきまして、大変共感をしたところでございます。安齋委員の発表を基に3点から、これは私の意見になりますが、述べさせていただきます。
1点目は学校の改善・改革の面から、2点目はコミュニティ・スクールの成果について、3点目がコミュニティ・スクール推進のために必要な支援について、この3点から少し述べさせていただきます。
学校の改善・改革の面からですけれども、まずはコミュニティ・スクールを円滑に推進させるためにも、学校内における組織体制の整備、確立というのは、当然これは不可欠な問題でございます。目標の共有化をしたり、施策の組織的運営等々を推進することによって、コミュニティ・スクールとしての効果は間違いなく倍増するのではないのかなと思っています。そのためにも、やっぱり学校の中でのそれぞれの役割というのをきちっと明確化することは不可欠であろうと思っています。
次に、保護者・地域住民の当事者意識の高揚についてですけれども、これはもしかしたら中学校の実態なのかもしれませんが、特に若い教師の急激な増加に伴っての研修体制の充実を図る必要があると考えております。
これ実態として、年々教師の、言葉は悪いかもしれませんが、質の低下を来しているのは、これは間違いない現実問題でございます。
具体的に言いますと、教師になったんですけれども、目の前の生徒のことが見えていない。場当たり的な指導で見通しを持てない。当然、コミュニケーション能力が低い。実は、最悪の状況としては、教師の保護者がクレームをつけてくる。こういった実態が、実は学校の中にあるんです。
ということは、逆を言えば、そういう実態があるからこそ、地域と家庭がしっかり学校を支えていただけるコミュニティ・スクールの意義は大変大きいものになるのではないのかなと思っています。
合意形成の重視の面からなんですけれども、学校評価のお話が出ておりましたけれども、私も同感なんです。どうも多くの学校では、学校評価が目的化している、目的で終わっている。学校評価は、ある意味、手段でなければならないと考えております。
ですから、これからは、やはり各学校で学校評価項目を精選した上で、さらに最重要項目を位置づけて、その最重要項目について、学校関係者評価委員会あるいは学校運営協議会等で具体的な御意見を頂きながら、確実に改善をしていくような、そんな学校改善の体制が必要だろうと思っています。
2点目のコミュニティ・スクールの成果についてですけれども、中学校は生徒指導が多々ございます。生徒指導における様々な問題の根っこにあるのは、私は2つしかないと思っております。
1つはコミュニケーション能力の低下、もう一つは直接体験の不足、この2つをどうやって補っていくか。これは家庭とか地域の支援を得る以外、僕はないのかなと思っているところです。
コミュニティ・スクールの中で、子供たちは学校の中では経験することができない体験をたくさんしてまいります。そして、学校外の方々とコミュニケーションの場もたくさん設けられています。怒られたり褒められたりすることによって、子供たちの自己肯定感も確実に僕は向上しておるのではないのかなと思っております。その意味で、大きな成果があったのかなと思っています。
最後に3点目ですけれども、推進のための必要な支援。やはり一番は、いかに学校内で研修体制を確立するか。若年教員に対しての研修。
本校においては4月、教職員の異動等もございますので、4月の最初の段階で異動者を対象とした、初任者も含めて、コミュニティ・スクールの研修を行っておるところです。
それも一つの成果なのかもしれませんけれども、円滑に1年間の活動を進めることができておるという状況でございます。
こういったことが中学校の実態だということで御理解いただければありがたいと思っております。
以上でございます。
【松田座長】 ありがとうございます。安齋委員より、今のお話につきまして何かコメントございますでしょうか。
【安齋委員】 校内研修の大切さというところで、本校でも校内研修を行いつつ、1年間に1回は学校運営協議会に参加していただいて、そして推進員の人やPTAの方たちと一緒に熟議に参加してもらっています。
そして、そのことは、実は研修にもなるし、教職員と保護者・地域住民の相互理解、相互信頼関係に大きな効果を出しています。
そういったことで、コミュニティ・スクールの機能を最大限に活用していくということで、要するに学校が回るような、きちっと自律できる学校運営ができるような形に成長していくのかなと思っています。
山﨑委員、本当にありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 青山学院大学の山本と申します。私も安齋委員に質問をさせていただきたいことが2点ほどございます。よろしくお願いします。大変興味深い御発表をありがとうございました。
お尋ねしたいまず1点目、CSディレクターというものを置いていらっしゃるというお話が出てきたんですけれども、この方々は一体どのような御経歴を持っている方だろうかということを聞かせていただきたいと思います。山口県のほうではCSコンダクターなど、
それぞれの自治体で独自の名称をつけていらっしゃるので、時々、この役割はどういう人かと思ってしまうことがあるんです。山口県のCSコンダクターさんの場合は退職した校長先生と書かれてあったんですけれども、このCSディレクターというのがどういう方なのか。
先ほど、役割は、教頭先生の代わりに事務的なことをなさるというようなことをおっしゃっていたと思いますが、コーディネーターとはまた違うのか、ちょっとその辺りをお聞かせください。それが1点目です。
2点目です。先ほど山口県教育委さんのほうで形骸化ということが話題として出てきました。先ほど安齋委員がぽろっと、学校運営協議会は3回なんて少ない回数ではなくてみたいなことをおっしゃっていたかと思います。もちろん会議の回数が多ければ多いほどいいとか、少ないから形骸化していると一概にも言えないのかもしれないんですけれども、実際問題、学校運営協議会はどのぐらいの回数、開催されていらっしゃるのかといった辺りを教えてください。また、具体的にどんなことが議論されていらっしゃるのか。地教行法上、こういうことを議論しなさいというのはありますが、実際どのようなことを議論されていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【松田座長】 じゃ、安齋委員、お願いいたします。
【安齋委員】 御質問ありがとうございます。まずCSディレクターについてなんですけれども、これはCSディレクターという言い方をしたのは文部科学省なので、正確なCSディレクターの捉えについては文部科学省から説明いただくといいとは思うんですけれども。具体的には、地区でのディレクターの主な任務というのは、会議の開催準備、または会議記録を教育委員会に送るための準備、それから一番重要なのは、事務局会というのを開いていまして、事務局会というのは、校長、教頭と学校運営協議会の会長、副会長、そしてディレクターが入って、どんなテーマで次の学校運営協議会を話し合うか。例えば熟議のテーマも、どんなテーマで話合いを進めていくかという、その学校運営協議会を効果的、そして効率的に進めていくための準備会において、学校と委員さんたちの間をうまくつないでいく、そういう役割をしています。
当然、学校運営協議会は学校の課題解決のためにあっていいわけですけれども、でも校長だけの思いで運営されてしまうと、保護者や地域が置き去りになってしまいますので、やっぱりそういう保護者や地域の声も生かして学校運営協議会を進めていくということで、そういった形。
それから、学校運営協議会、さっき井上委員のほうから出た地域コーディネーターの人たちとつなぐ役割、または実際に地域の人たちとつなぐ役割。簡単に言えばコミュニティ・スクールのコーディネーターみたいな形なんだと私は理解しています。
どんな人材をというところで、これは地域学校協働活動のコーディネーターと同じで、最初からこういう人がいるわけではなくて、やはり育てていくというか、そういう形で、実際に本地区3名いるんですが、3名とも、基本的には保護者、そしてPTAの役員等を経験しながら、なおかつ地域にも顔が広い。3名のうち1名はお坊さん、日中、時間内。もう1名は神主さん。そして、あともう1名は主婦の方です。
ですから、雇用的に時間給でやっていますから、やはり、ある程度自由が利く方でないと難しいということです。
そして、回数の件だったんですけれども、結局、例えば3回。学校評議員制度などは、全国調査でいくと、全国の九十何%が大体多くて3回ぐらいまでが行われていて形骸化している例なんですけれども、学校運営協議会も、例えば3回と言ってしまうと、そのうち1回は多分、最後になって、基本方針の承認になっちゃうし、もう一回は、4月当初に委員が集まって、学校運営について確認する。じゃあ、実際に学校のことについて話し合うのは残り1回しかないですよね。
じゃ、残り1回をどう使うかといったときに、結局は、熟議を例えば1回やっても、熟議のやりっ放しで終わってしまうわけです。
熟議はすごく大切なんですが、熟議をやって、またそれを具体的な活動に練り上げていく話合いの場、そういったものがやっぱり必要になってきて、私はCSマイスターとしては、最低でも5回ぐらいはやったらどうですかという話をしています。
現在うちの学校は6回ですが、東京の三鷹さんとか東京の多くは、結構10回ぐらいとか、月一ぐらいでやっているところもあって。ただ、それはあくまで、その学校の実態にもよるんですけれども、5回以下になってしまうと、どうしても報告が多くなって、協議が少なくなってしまう。そうすると、本質的な学校運営の改善に結びついていかないという懸念があるなと感じています。
よろしいでしょうか。
【山本委員】 どうもありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございます。
井上委員、お時間なんですけれども、もし何か今までのところを聞かれて最後コメントございましたら、お願いしてよろしいですか。
【井上委員】 ありがとうございます。コーディネーターの活動が大事だということをお伝えしたくて、とても早口にいろいろなことをお話ししましたが、少しでも御理解いただければうれしいと思います。
学校運営協議会の中でも、地域学校協働活動をどうやって進めるのかということの認識を学校ときちんと双方向で理解し合わないと、地域だけが走っていってもいけないし、学校だけで進めていってもいけないし、同じ方向を向いて同じ子供たちを育てるという上では、コーディネーターの学校運営協議会の中での立ち位置というのはとても大きいと思っています。
そこの辺りも御理解いただけるとうれしく思います。ありがとうございます。
【松田座長】 ありがとうございました。
それでは、井上委員はここで御退席となられます。
【井上委員】 すみません、失礼いたします。
【松田座長】 ありがとうございました。
では、今の御議論も議題の2に相当踏み込んでいくようなお話も含まれておりますので、このまま議題2に入っていきたいと思います。
では、事務局より、第1回目の会議における主な意見について、まずは御説明をお願いしたいと思います。
【岡地域学校協働活動推進室長】 それでは、事務局より失礼いたします。配付資料2のほうを御覧いただけますでしょうか。
前回第1回の会議におきます主な意見につきまして、簡単に御紹介させていただきます。
まず、これからのコミュニティ・スクールの在り方、総論に関しまして、1ページ目の上から5つ目のポツでございますが、第三期教育振興基本計画にあるように、1日でも早く全ての公立学校がコミュニティ・スクールになってほしいといった御意見、またその2つ下でございますが、看板だけ100%導入というのはあまりよくない、形骸化させないための仕組みを視野に入れた導入や展開が必要であるといった御意見頂きました。
また、これからのコミュニティ・スクールに求められる役割・機能といたしまして、一番下のポツでございますけれども、コロナ禍において学校だけでは決められない事態が数多く起きており、子供たちの安全・安心を第一としながら学力を保障していくために、保護者や地域住民と信頼関係を醸成していかなければ具体的な活動・取組につなげることは困難である。このコンセンサスを得る仕組みこそがコミュニティ・スクールであるといった御意見頂いております。
また、2ページ目でございます。「社会に開かれた教育課程」の実現において担う役割といたしまして、「社会に開かれた教育課程」の実現の上でコミュニティ・スクールの役割は大きい。目指す児童の姿や身に付けたい力について学校運営協議会で話し合い、教育目標の具現化の手立てを話し合うことこそが、「社会に開かれた教育課程」の実現につながるといった御意見頂いております。
また、コミュニティ・スクールの設置促進、活動の充実方策といたしまして、総論の一番上のポツでございます。仕組みの良さや強み、意義・必要性について行政・学校・地域が広く十分に理解していくことが継続性の観点からも重要であるといった御意見頂いております。
また、資料の3ページ目でございます。地域学校協働活動との一体的な取組の推進方策(特にコーディネーターの役割を担う地域学校協働活動推進員等について)という項目につきましては、2つ目のポツでございますが、地域学校協働活動においてのキーパーソンはコーディネーターである。地域をよく知るコーディネーターが学校とパートナーとなることで地域と学校の連携・協働は進められる。
また、その下でございますが、学校運営協議会にはファシリテーター的な委員の存在が欠かせないが、地域に最初からスキルを持っている人は多くない。教育委員会が主体となって研修を行い、情報交換の場をつくることで力をつけることができるといった御意見頂いております。
また、その2つ下でございますが、学校運営協議会の導入促進には、コーディネーターなどの様々なプラスアルファの人材配置が必要ではないかといった御意見もございました。
また、首長の理解という部分でございますが、吉田委員から御意見頂いております。市長という立場から見ると、地域と学校がつながっているということはとてもよいことであると。もともと学校応援団があったことで円滑に学校運営協議会の設置につながった。地域と学校が互いに胸襟を開いて意見交換をしながら学校運営がなされていくことは大切といった御意見頂いております。
また、先ほどの御発表でもございました、学校評価との一体的な運用に関する考え方に関しまして、学校評価が保護者アンケートのみで終わってしまい、まだきちんと行われていない実態があるのではないか。学校評価とコミュニティ・スクールがどのように関わっていくべきか検討することにより、ガバナンスの部分で学校経営の改善を図るためにも学校評価が重要といった御意見頂いております。
また、4ページ目でございます。その他、地域と学校の連携・協働に関することといたしまして、総論でございます。
コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の進め方は地域により様々であり、一つの方法での進め方では語れない。地域住民の地域を思う思いと学校がどのように双方向に分かり合いながら協働していけるかが重要であるといった御意見ございました。
また、教員の資質、社会教育の観点でございます。
4ページ一番下のポツでございますが、学校側にも社会教育主事等の地域側の資格や視点を持った教職員が必要ではないか。管理職になってからではなく、中堅や若手の段階から社会教育の視点を持つことも学校には必要ではないか。そういった人材をどのように養成していくかを考えていくことが重要といった御意見もございました。
続きまして、資料の3でございます。主な検討事項となっております。
こちらの資料は、前回第1回の会議におきまして配付させていただきました主な検討事項の中から、本日、第2回の会議におきまして、特に重点的に御議論いただきたい事項を抜粋させていただいたものでございます。
特に御議論いただきたいところといたしまして、コミュニティ・スクールの設置促進、活動の充実方策といたしまして、1つ目の丸でございます。まだまだ地域におきまして取組状況の差がございますが、それを解消するために、特に未導入地域におきまして関係者の理解を得ながら導入を進めていくための方策として、どのようなことが考えられるか。
また、山口県さんからも御発表いただきましたが、各都道府県単位での取組を広め、伴走体制を充実させるために、どのような方策が考えられるか。
3つ目でございます。コミュニティ・スクールの効果的な運営を継続するとともに、地域学校協働活動との一体的な取組を進めるため、どのような方策が考えられるか。特に地域学校協働活動推進員等への支援方策として、どのようなことが求められるか。
4つ目でございます。各自治体におきまして重要施策としてコミュニティ・スクールが位置付けられるように、首長部局との連携、首長の理解を促すための方策として、どのようなことが考えられるか。
こういった部分につきまして、本日、御意見頂きたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
説明、以上でございます。
【松田座長】 ありがとうございます。今、第1回目の主な御意見を御説明いただきまして、本日の検討事項ということで、最後に御説明いただいたところかと思います。
今日の御報告も、第1回の御意見と非常に重なるところ、あるいは深掘っていくような内容になってございまして、今回のお話合いと次回の委員会でもって、一定程度、このコミュニティ・スクールの設置促進と活動の充実方策というところをあらあら少しまとめていくことができればということを緩やかには考えてございます。
先ほどの御報告の中でもありましたけれども、設置を促進するという、いわば横に広げていくというフェーズと、それと活動を充実させていくという、主に縦といいますか、その2つの並立のそれぞれ、あるいはその関係みたいなところで、今日も非常に多くの御意見頂いているところかと思いますので、委員の皆様方から、できるだけ闊達な御意見頂きながら、柱をつくっていくというようなことができればと思っております。
それでは、先ほどのように挙手機能を使っていただきまして、どこからでも結構でございますので、御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
貝ノ瀨委員、お願いいたします。
【貝ノ瀨委員】 貝ノ瀨です。質問させてください。先ほど山口県教委からのお話がございました。力強く推進されてきたことを敬意を表したいと思います。
山口県の場合は、特に知事の方、村岡先生でしたか、非常にこのコミュニティ・スクールについては理解をしていらっしゃって、積極的に指導権を執るぐらいに活動してくださっているというお話は聞いておりますけれども、そういうきっかけというのは、教育委員会から首長さんに、または首長さんが別なところから、そういったコミュニティ・スクールの意義について御理解いただいて活発に動かれていらっしゃるのか。
また、今日は特に吉田委員もいらしておりますけれども、市長会の中で、コミュニティ・スクールについて、どんなふうに話題になっていらっしゃるか。地域連携は大事だとは多分、皆さん思っていらっしゃると思いますし、地方の創生とか、地方を活性化するという意味でも、コミュニティ・スクールは有力なツールだと皆さん御理解していらっしゃると思いますけれども、吉田委員のお立場から、コミュニティ・スクールをさらに推進、拡大していくというような観点から、どんなふうに捉えたらいいかということで、お二方にお聞きしたいと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【松田座長】 ありがとうございます。
それでは、まず繁吉委員のほうからお願いしてよろしいでしょうか。
【繁吉委員】 貝ノ瀨委員から首長さんへの理解、どういうふうに進めたかということなんですけれども、まず市町のほうについては、県教委のほうから市町教委を通じてお願いもしましたし、直接、市町の首長さんのほうにも県教委のほうが出向いていって、コミスクの有用性等について理解を深めていったという経緯がございます。それが100%のほうにつながっていったと思っております。
また、知事については、こちらのほうから就任時に、コミュニティ・スクールのことについて協議をする場を設けていただいて、そこの場でコミュニティ・スクール、山口県は100%になっているというようなことも説明をした上で、それを生かした地域総がかりでの子供を育てていく仕組みづくりを、これから一生懸命やっていかないといけないということで理解をいただきましたし、知事のほうも、各市町のコミュニティ・スクールのほうの事例とか積極的に見ていただいて、その有用性について、実際に現場を見てもらって理解をいただいたということになっております。
以上でございます。
【松田座長】 ありがとうございます。
では吉田委員、続けてお願いしてよろしいでしょうか。
【吉田委員】 埼玉県本庄市の吉田でございます。この今日の主な検討事項の中で、各自治体における重要施策としてコミュニティ・スクールが位置づけられるよう首長部局との連携、首長の理解を促すための方策としてどのようなことが考えられるかということと、先ほどの御質問を聞く中で、ちょっと所感めいた言い方になってしまうので、それは御勘弁いただきたいんですけれども。
実は、このコミュニティ・スクールというものが存在して、そして学校の運営に当たって地域の皆さん方のお声を聴いて、そしてその内容が大変、この地域と一緒になって学校運営しっかり取り組んでいる学校もあれば、なかなかうまく機能していないところもあれば、あるいは、まだこういう仕組み自体ができていないという状況もあれば、そういった千差万別、まだ非常に様々な実態があるということ自体を首長が知らないというのが、全国的な状況ではないかなと私は感じているところでございます。
首長によっては非常に教育に熱心な方々ももちろんいらっしゃいますので、そういう方にとっては非常に関心のある事項だとは思うんですけれども、全部の首長がそうではございませんで、全くそういう状況を知らない方も非常に多いのではないかなと私は感じます。
全国市長会においても、このコミュニティ・スクールの在り方をどうというような議論が今出ているかというと、出ていないですね。
実は、評価したいこととして、学校について首長部局がしっかり関わりましょうということで総合教育会議がつくられまして、今は私の地元でも、もちろんそれはありますし、自分の地元の教育はどうあるべきかということで、教育大綱を策定し、そして年に何回も、この総合教育会議を開く中で、首長部局も一緒になって教育を考えていきましょうという仕組みをつくったことは、私は評価しております。
そういう意味では、以前よりは首長が、また首長部局が教育に関わるようになったという状況はあると思います。あると思いますけれども、現実に、このコミュニティ・スクール自体は知られていない。首長によってはですね。それは偽らざる実態だと思っています。
しからば、今後どうあるべきなのかと。知っておくということは私は絶対これは必要かなと思います。これ地域社会のことでございますので、特に学校で、次世代を担うお子さん方がどういう教育環境に置かれているか。そこに先生と生徒さん、児童さんだけじゃなくて、地域が関わって学校をどういうふうに運営していくかを皆さんでやっていますよという、その実態は、首長はやはり知らなければならないだろうと思うんですけど、知るためのツールがなかなかできていないという状況はあるかなと思います。
総合教育会議等で教育委員会から報告があるぐらいのところしか、そういう場面ぐらいしか、ある意味、公的に知るツールがないというんでしょうかね。それが実態です。
ですから、関心のある首長が教育長であるとか、あるいは教育委員会に、今うちのほうのコミュニティ・スクールどうなっているんだと、こういうふうに聞けば、当然、今これこれこういうことをやっておりますという報告は上がってきますけれども、そういう積極的な首長からの働きかけがない限り、首長にはこれは知らされない状況。別に意図的というだけじゃなくて、構造的に市長が知らない状況になっているというのが、私は実態だろうと思っております。
だからどうすればいいかということについては、ちょっとこの後また考えてみたいと思いますけど、現実はそういう状況です。
【貝ノ瀨委員】 繁吉委員、吉田委員、率直なお話ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
じゃ、佐藤委員お願いします。
【佐藤委員】 佐藤でございます。繁吉委員の御発表ともちょっと絡むんですが、コミュニティ・スクールの導入時に、よく、もめるわけじゃないんですけど、検討事項になるのが、学校教育関係の部署が所轄、所管するか、社会教育関係が主導権を持つか。自治体によっては、学校から社会教育、社会教育から学校を行ったり来たりするところもあるんですね。
お話聞いていると、山口県の場合には社会教育主事の方がかなりリーダーシップを発揮されたというお話で、これ県、あるいは市町村によって大分違うわけなんですが、どういう形が望ましいのか。もちろん地域によって違うと。
例えば地域学校協働本部が置かれているところは社会教育系がいいのか、置かれていないところは学校教育系がいいのか。
実は学校教育系が主導権を持つと、校長さんは言うことを聞いてくれると。だけど、地域とのつながりがちょっと弱い。社会教育系がリードすると、校長さんたちが知らんぷりすると。そういうような、ちょっと一長一短があるんですが。
まず繁吉委員のところでは、やはり社会教育関係の部署がリードしたかどうか。多分、福田委員のところも社会教育系かなと思ってはいますが、まず繁吉委員、いかがでしょうか。
【松田座長】 繁吉委員、お願いいたします。
【繁吉委員】 社会教育主事が主力になったというのは、これは学校の中での話になりまして、県教委の中では当然、学校教育については義務教育課、それから社会教育については社会教育・文化財課というところがそれぞれ所管しておりますが、うちの場合は、義務教育課の中に、やまぐち型地域連携教育推進班──これは小・中学校義務教育段階でのコミュニティ・スクールが100%になった段階で、やまぐち型地域連携教育推進班というのを設けて、社会教育の部分を取り入れるような形で、義務教育課のこの班が主導して、体制づくりといいますか、各市町の体制づくりを進めていったという状況になっております。
学校において、やっぱりコミュニティ・スクールをいかに有効なものにしていくかと、そういう部分で、社会教育主事の資格を持っている教頭とか教諭、それから校長が主導的な役割を果たしていったと理解しております。
以上です。
【佐藤委員】 ありがとうございます。県内の市町も大体そういうスタイルを取っているとなっているわけでしょうか。
【繁吉委員】 はい。ほとんどの市町がそうだと思っております。よろしいでしょうか。
【佐藤委員】 分かりました。福田委員、南部町はどうでしょうか。
【福田委員】 鳥取県南部町の福田でございます。本町においては所管をしているのは、学校教育課のほうが所管をしております。しかしながら、この地域学校協働活動、今日の検討事項にもありますが、今まで社会教育をやってきた人間は、社会教育はやっているんだけど、地域学校協働活動は何という理解のところがあるのではないのかな。改めてコミュニティ・スクールをやる学校教育サイド──山口県も分けておられましたが、社会教育サイドでこそ、もう一度、今までの社会教育と地域学校協働活動はどうリンクをしているのかとか、どこが重なっているのか、どこが同じことなのか、どこが新しい違う部分なのかということをきちんと、先ほどから出ている社会教育主事、社会教育士のような方々が整理をして、それを県の教育委員会の中で、しっかり各市町村へ、こういうことなんだということを示していかないと、みんなそれぞれ特徴はあっていいと思うんですが、地域学校協働本部という言葉に紛らわされて、何か物をつくるんだみたいなことの理解のところもあったり、ちゃんと理解しているところもあったりするのではないのかなと思います。
その辺りで、やはり山口県、先ほど言われましたように、地域連携教育推進班、各課横断的な、これが組織がいいのか、プロジェクトがいいのか分かりませんが、必要だな。
うちも昨年度から教育委員会、学校教育側にはコミュニティ・スクール担当者を設けた。社会教育側には地域学校協働活動担当を設けた。会議を一緒にやっていくと。
社会教育の側にコミュニティ・スクール担当というのを設けたら、社会教育の担当者から、それは学校教育じゃないんですかみたいなところがやっぱり出てきましたので、それぞれのカテゴリーの中でやる活動をジョイントすることが必要かなと思って、やまぐち型地域連携教育推進班ですか、またお話を聞きたいなと思った次第です。
以上です。
【佐藤委員】 繁吉委員、福田委員、ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
大島委員、お願いいたします。
【大島委員】 ありがとうございます。日本PTA常務理事の大島でございます。よろしくお願いします。
本日の主な検討事項の1つ目の丸に該当するわけでありますが、よろしくお願いいたします。
先ほど御説明がありました資料2の、これからのコミュニティ・スクールの在り方の総論の1つ目の最後のところに、なぜコミュニティ・スクールが必要なのかという点を明確な言葉にしていきたいということが書かれておりますが、まさに今やるべきことはここなのかなと私自身は感じております。
前回、この会議があってから、この1か月、教育委員会ですとか学校長、また保護者、地域の方にヒアリングをさせていただきました。その中で、このコミュニティ・スクールの仕組みがうまくいっている状態はどういう状態なのかといったところが、皆さんイメージの共有ができていないなというところを感じております。
このコミュニティ・スクールはツール、仕組みであったり、やり方でありますので、こういった状態を目指しているとか、ありたい姿というものが共有されていることが、とても大切かなと感じておりまして、それは、もしかしたら学校から見た姿であったり、家庭から見た姿であったり、また地域社会から見た姿、それぞれ必要かもしれませんが、その辺りの、こういう状態を目指しているというところの共有が、現場を見ると、まだまだ不足しているのかなと感じております。
その中で、場合によっては、コミュニティ・スクールの仕組みがなくても、うまくいっている状態というものがつくり出している学校もありますので、それはそれでよいのかもしれませんし、また学校の規模ですとか課題によって、今、法的に定められているコミュニティ・スクール、または類似の仕組みが選択できてもよいのではないかなと感じております。
前回この会議で申し上げましたが、このコミュニティ・スクールが導入されまして数年が経過しておりますので、あらゆるデータ、事例が集まっておりますので、学校の規模や特性に応じたモデルケースのようなものが提示をできれば、例えば、うまくいっていない学校であったり、未導入の学校においても、立ち上げが容易になるのではないかなと私は感じております。
ゆえに、法的に定められたコミュニティ・スクールと、その類似の仕組みというのは、どちらがというよりは、どちらでもよいのではないかなというところと、可能であれば現行の努力義務のまま、実態に見合った仕組みを導入して、そのありたい姿に近づけていくことが大切なんじゃないかなと私は感じております。
また、仮に全国的に法的に定められたコミュニティ・スクールに移行していくというような方針になったとしても、いきなり来年度からということではなくて、3年とか5年とかいったように、段階的に移行していかれればいいのではないかなというようなことですね。
この1か月、現場の皆さんと、いろいろヒアリングをして、いろいろ対応する中で、私自身が感じていたことになりますが、今日ちょうど1つ目の課題の中に、そのような項目がありましたので、お話のほうをさせていただきました。ありがとうございました。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。福田委員、お願いいたします。
【福田委員】 今日の主な検討事項のうち何点か、お話ができればと思います。
1つ目の中で、まさに今日、全国学力・学習状況調査をやって終わった日なんですが、やはり改めて見て、せっかくそういう調査があるのに、そことコミュニティ・スクールがなかなかリンクをした形で見えてこないということが、少しあるのではないのかな。しっかりその辺りを、エビデンスなのか成果なのか分かりませんが、そういうことが今後、コミュニティ・スクールをこれから、特に未導入の地域においては、やっぱり成果というもののある程度具体的に示すということが必要ではないのかな。
多分、今まで皆さんがたくさん、いいとは聞いているんだけど、いいとは聞いているけどもというところではないのかな。改めて整理をして、エビデンスであったり成果だったりというものが、全国学力・学習状況調査等を通じて示していくということは必要なことではないのかなと思います。
それから、2つ目の都道府県単位。今、随分、貝ノ瀨委員をはじめ皆さんの御努力で、設置校、設置エリアが増えてきたと思うんですが、今、ボトムアップは下からは上がってきているように思います。やりたい学校、やりたい市町村は上がってきた。
ただ、県としてやっていくんだというような強い意思表示が、残念ながら全部ではないのかな。その辺りは啐啄同時ではないですが、市町村からもやりたい、学校からもやりたい、県もやってほしいんだ、やるんだという、この両方がタイミングが合わないとうまくいかないとすれば、そこを文部科学省にもお願いをして、ぜひ都道府県教委にも、そういう部分ができていくといいかなと思います。
その辺りで伴走体制では、先ほど山口県のあったコンダクターのような、昔で言えば派遣社教主事のような形になるのかどうか分かりませんが、そういう市町村への人的な支援なのか、そういうことも必要ではないのかな。
3つ目の話は先ほど申し上げたとおりでありますから、4つ目の、先ほどありましたが、やっぱり首長さんにしてみれば、でも学校が開かれて地域と共にあるって当たり前過ぎて多分、今さら何でそんなことを言うんだという話ではないかなという気もしています。
学校は地域と共にある、地域のためにあるって当たり前のことで、なぜそれを教育委員会が閉じているんだ、学校が開かないんだというところだと思うので、改めてその辺は、もっと総合教育会議とかで言っていくことは必要だなと思います。
最後になりますが、コロナ禍の中で、本当はコミュニティ・スクールが導入されているエリアこそ、コロナ禍でも学びを止めない、体験もできているというふうになっていくべきだと思いますが、残念ながら、私どもも会議もできない、熟議もできない中ですが、以前、梶原先生(大分県玖珠町教育委員会教育長・CSマイスター)に聞いたとき、熊本の地震のときに、益城町だったでしょうか、コミュニティ・スクールが導入されていて学校の学びが守られた、グラウンドを地域の方に開放しないでという話があったと思います。まさにこういう時期だからこそ、コミュニティ・スクールによって学びを止めなかったという事例が出てきて、それが広がっていくことも大事じゃないのかなと。
いろんなことを申し上げましたが、以上、感想も含めてです。
【松田座長】 ありがとうございました。
吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 先ほどは現状ということでお話をさせていただいたんですけれども、今、福田委員さんからもちょっとお話が出たので、これ首長としての、どんな立ち位置が望ましいのかなというのは、いつもそう私も感じるんですね。学校が、まずは、そこに学ぶ児童生徒にとって、学びの場として、知・徳・体の自分の成長に大きく役立っている場であって、仲間がいて、先生がいて、学校へ行って楽しい、自分もどんどん成長しているなと。何か悩みがあっても、それを解決できる場であったり、御家庭に例えばいろいろ問題があっても、学校に行くと、それが逆に補完、癒やされるというか、励まされるというか、いろんな面で学校というのは、お子さん方にとって、いい場であってほしいと思うわけでございます。
そうであれば、そのことを知っておくぐらいで、私は首長はいいのではないかなと思っているところでありまして、この辺スタンスをどこに保つかというのは非常に大事でありまして、過度に熱心なあまり、常に報告せい報告せいと言うと、それだけまた報告にも、書類だ何だ時間がかかって、かえって、ただでさえ忙しい学校を、もっと忙しくしちゃうのもどうなのかな。
よく議会なんかで議員さんからいろんな質問があるんですけれども、市民の代表としていろんな質問するのは当然なんですけれども、その資料を作るために学校が忙殺されたりして、聞かなくてもいいことまで聞いていて、それだけ学校がくたびれちゃうなんていう事例もあると思うので、いつも私は行政あるいは首長部局としての学校への立ち位置は難しいと思っている。
しかしながら、学校の状況が見えないって、これよくないと思うんですね。見えてなきゃいけないと思っております。
ですから、なかなか首長としてどう関わっていくかというのは難しいなと思っているんですけれども。
私、先ほどから議論を聞いていて、学校運営協議会が本当にいいものとして成功事例があって、それを、できればいろんなところに知らしめて、いいものはどんどん取り入れてやっていきたい、その気持ちはすごく分かるんですけれども、それにはやっぱり個別具体の成功事例というか、校長先生から見てのよかった点、参加している方々にとってのよかった点、お子さんや保護者から見てのよかった点、地域の皆さん方から見てよかった点等々、あまり一般論ではなくて、個別具体な事例みたいなものがどんどん出てくると、ああ、こんなこともできるんだとか、こんな問題の解決にも至ったんだとか、何かそういう事例集みたいなものがあると、じゃあ、うちもちょっとトライしてみようかとか、チャレンジしてみようかとかということになってくるのではないかな。
何か一般論で語られていても、いいよいいよというだけで、何がいいんだか、ちょっとよく分からないという状況があるのかな。
裏もあって、こんな形をしちゃうとあまりよくないよとか、こんなことをすると失敗しちゃうよとか、そういう個別具体の話が。これ別に、そんなに公にする必要はないと思うんですね。あまり公にして、それこそあまり関わりのないんだけれども関心だけある人が、それを見つけて、うちのほうは、これ何でできないんだって騒がれても、また大騒ぎになっちゃうだけだとは思うんですけれども、学校関係者であるとか、行政関係者であるとか、そういった人たちがお互いに共有できるような情報として、個別具体のそういう成功例、あるいは失敗例、問題点例、そんなものがあるといいのではないかなということを、お話を聞きながら感じたところでございます。
【松田座長】 ありがとうございます。菅野委員、お手を挙げていただいているんですけれども、ここで義本局長のほうから少しコメントいただきたいと思います。
【義本総合教育政策局長】 今日、3名の方のプレゼンテーションあるいは御議論伺いまして、いろんな進めていく課題とかヒントがあったと理解しておりますので、我々としても、それをしっかり受け止めて、座長、副座長と相談しながら今後議論を進めていきたいと思いますけれども。
吉田委員からお話がありました点について、確かに首長部局と教育委員会の適正な距離感とかバランスというのは非常に大事であると思いますけど、一方、個別具体の話としては、これも一例でございますけれども、資料4の中の47ページ、48ページ、安齋委員からも少し御紹介がありましたけれども、やはり学校を拠点としまして、地域の方々をつないでいくということができることによって、防災の拠点として、平時からのいろんなつながり自身が、この資料にもありますように、避難所としての組織が立ち上がったということで、かなりそういうスムーズな連携が進んでいるということもございますので。防災は、まさしく首長の方々自身が住民のやはり生命、身体を守ると、基本でございます。そういう点からの具体の例としては御紹介できるんじゃないかと思いますし、また市長会等でもし議論があれば、そういうことで、文部科学省からも出かけまして御紹介するとか、あるいは貝ノ瀨委員からプレゼンいただくということもあるんじゃないか。これも思いつきでございます。そう思った次第でございます。ありがとうございました。
【松田座長】 ありがとうございます。
会議の時間のほうがそろそろ来るんですけれども、菅野委員の御発言いただいて、一旦、今日はまとめていきたいと思います。恐縮いたします。
菅野委員、最後お願いいたします。
【菅野委員】 時間がない中なので短く終わらせていただきたいと思います。
今回お話を聞いていて、改めてコミュニティ・スクールの本来の役割というのはガバナンスへの地域参画なのだと感じました。そうしたところから考えると、地域学校協働活動のコーディネーターは非常に広まってきていると思うんですけれども、安齋委員おっしゃっていたように、やっぱり学校運営協議会のコーディネート機能ということをしっかりつくっていく必要があるのではないかなと思います。
それは、ある種、中央の国からのやり方ではなくて、都道府県ごと、市町村ごとの実態に応じたコーディネートができるような人材を育成していかねばならならないと思っています。それが社会教育士だったり、そのような方になるのかもしれないのですけれども、学校教育が分かるコーディネーターということをしっかり置いていかなくてはならないのだろうと思います。
もう一つ、一律に、このコミュニティ・スクールを導入するというのはなかなか難しいんだろうと思っています。地域でも地方と都市部でももちろん違いますし、学校種でも違うと思います。
私は特に高等学校に取り組んでいるので、高等学校のコミュニティ・スクールは、前回も少しお伝えしましたけれども、初等中等教育局参事官付(高等学校担当)のほうでも検討を進めていると思います。コミュニティ・スクールではないにせよ、地域協働についてやっていると思うので、そこの成果と課題、これからの期待について、どこかでお話ししていただく機会をつくっていただければなと思っています。初中局との連携ということについても、ぜひ進めていただければなと思っております。
以上です。
【松田座長】 ありがとうございます。
本日いろいろ御意見頂きながら、主に、ざっくり言いますと、理解を広げるということで、例えば誰にどの部署にだとか、あるいは、どのようにというようなことでエビデンスベースで資料を示す、あるいは好事例を示す、さらには、それをどの場でというような意味で、総合教育会議だとか、コミュニケーションの場というような在り方等々、御議論いただいたと思います。
理解を広げるということでは、報告でも再三触れられておりました、私も非常に針のむしろのようなお話の伺い方していたんですけど、教員の養成とか研修というような問題もありますし、もう少しこの辺り御議論はいただきながら、設置促進、活動の充実方策ということについて、次回さらに詰めてまいりたいと思います。
時間のほう参りましたので、これで本日は終了させていただければと思います。
時間内で御発言いただき尽くせなかったことも多々あると思いますので、事務局のほうまで、メール等で御連絡をいただければと思います。
本日頂きました御意見は、後ほど頂きました意見も含めまして、事務局のほうで次回までに整理をさせていただければと思います。
では最後に、事務局より連絡事項があれば、お願いしたいと思います。
【榎木地域学校協働活動推進室長補佐】 事務局でございます。
資料5を御覧ください。次回の開催日時でございますが、6月24日(木曜日)の午前10時から12時を予定しております。本会議に引き続き、ウェブ会議との併用を予定しております。
事務局からは以上でございます。
【松田座長】 ありがとうございます。
では、本日はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

お問合せ先

文部科学省総合教育政策局地域学習推進課地域学校協働活動推進室