「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議(第1回)議事録

1.日時

令和2年11月30日(月曜日)

2.場所

文部科学省13F1会議室(オンライン会議システム使用)

3.議題

  1. 「高校生のための学びの基礎診断」の活用状況について
  2. その他

4.議事録

【齊藤参事官補佐】 すみません、それでは、定刻を過ぎてしまいましたけれども、ただいまから、第1回の「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は第1回目の会議でございますので、しばらくの間、事務局のほうで進行させていただきます。
なお、この会議はWebexで開催しておりまして、一応基本的には一般の方も視聴できる形となっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、後ほど議事次第をアップさせていただきますけれども、資料として、資料1から3を用意しております。まず、資料1により、本有識者会議について説明させていただいた上で、委員の皆様の紹介に移りたいと思います。
それでは、資料1でございますけれども、本有識者会議は、平成30年3月6日に策定されました「高校生のための学びの基礎診断」認定基準等に基づき、高校生のための学びの基礎診断制度及び高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクルの構築に向けた測定ツールの普及促進等に関する検討を行うために設置されたものでございます。
資料1がまだ表示されておりませんが、簡単に資料1、有識者会議の設置要綱について御説明させていただきます。
まず、有識者会議の設置の趣旨でございますけれども、高等学校教育の質の確保・向上のため、高校生のための基礎診断制度及び高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクル構築に向けた測定ツールの普及促進等に関する検討を行うものでございます。
検討事項は今申し上げましたとおり、基礎診断制度に関する事項、それから測定ツールの普及促進に関する事項となっております。
次に3番目、構成員でございますけれども、後ほど御紹介させていただきますとおりとなります。それと、必要に応じまして、構成員以外の者から意見を求めることができるとなっております。
4番目、有識者会議の運営でございますが、有識者会議は構成員の過半数が出席しなければ会議は成立しないとされております。
その他、有識者会議に係る庶務は、初等中等教育局参事官付において処理するとなっております。
5番目、開示・公開でございますけれども、有識者会議は、検討の円滑な実施に影響が生じるものとして非公開とすることが適切であると座長が判断する場合を除きまして、原則として公開するものとしております。それから、有識者会議の会議資料につきましても、同じく検討の円滑な実施に影響が生じるものとして非公開とすることが適当であると座長が判断する資料を除き、原則として公開するものとされております。
検討期間でございますけれども、2で挙げました検討事項に掲げる事項について、検討の必要がある場合に有識者会議を開催しまして、開催に係る議題が取りまとめられたときに廃止をするとなっております。
それでは、後ほどまた委員の紹介はさせていただきますけれども、資料2でございますが、こちらは本有識者会議の基となる「高校生のための学びの基礎診断」の認定基準等について検討を行いますので、認定基準・手続等に関する規程をつけさせていただいております。
最後に、資料3でございますけれども、本日発表いただく3道県の資料を用意しております。
それでは、資料1の名簿に沿って、委員の紹介をさせていただきます。
まず、荒瀬克己委員でございます。
それから、宇佐美慧委員でございます。
それから、岡本和夫委員でございます。
【岡本委員】 よろしくお願いします。
【齊藤参事官補佐】 清水実憲委員でございます。
竹内理委員でございます。
田村知子委員でございます。
長塚篤夫委員でございます。
【長塚委員】 すみません、映像がちょっと映っておりません。申し訳ありません。
【齊藤参事官補佐】 すみません。
中村正芳委員でございます。
藤森裕治委員でございます。
それから、前川眞一委員でございます。
なお、萩原聡委員におかれましては、本日は御欠席でございます。
事務局の出席者については、時間の都合上、大変恐縮ですが、座席表をもって代えさせていただければと思います。
それでは、この有識者会議の座長を選出したいと思いますが、事務局案として、この有識者会議の座長を荒瀬克己委員、それから副座長を岡本和夫委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【齊藤参事官補佐】 ありがとうございます。
それでは、荒瀬座長から一言御挨拶をお願いいたします。
【荒瀬座長】 皆さん、おはようございます。関西国際大学の荒瀬でございます。座長にということで、岡本先生のお助けを得まして、皆様の御協力を得て、務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
先ほど齊籐参事官補佐から御説明のありました資料1と2でありますけれども、とりわけ資料2の規程のほうに、この「高校生のための学びの基礎診断」は、全ての高校生の基礎学力をしっかりとつけて、そして高校生の学習意欲を喚起するために、学校としてのカリキュラム・マネジメントを進めていくための一つの測定ツールとして使うんだということであります。
若干誤解が生じている面があろうかと思うんですけれども、この基礎診断は、民間の事業者の方がおつくりになったツールが幾つかあるわけですけれども、それを使うか、使わないかということが重要ではなくて、高校生の基礎学力をどうつけていったらいいのか、それをどのようにして測定して、カリキュラム・マネジメントに生かしていくのかということが一番大事であります。
先頃、中教審の特別部会の下に設置されました高等学校ワーキンググループが、次の時代の高校教育について幾つかの提言をしたわけであります。今日お集まりの委員の中にも御協力いただいた方がいらっしゃるわけですけれども、そういったところでどう生かしていくのかが重要であるということで、その点につきまして私たちが具体的に、この円滑な運営について検討していくということでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、今日は3つの教育委員会からお話を伺うということが中心になっておりますので、最後、時間の関係によりますけれども、全体的な話をまた委員の皆様にお願いすることになろうかと思います。では早速この活用状況につきまして、教育委員会のヒアリングを行いたいと思います。
今日は大変お忙しい中、大分県教育委員会、高知県教育委員会、そして北海道教育委員会の皆さんから御説明をいただきます。15分程度お話をいただくことで、あと15分程度、質疑応答ということでお願いしたいと思います。
では、早速でございますが、大分県教育委員会の中村企画課長、どうぞよろしくお願いいたします。
【大分県教育委員会】 皆様、こんにちは。大分県教育庁の教育改革企画課長の中村でございます。本日はこうした発表の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。大分県における取組は、好事例としてであるとか、取組のよしあしといったような観点ではなく、現在の状況、現在の県教委の考え方という観点からお話をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、スライドの2ページ、大分県立高等学校の配置でございます。大分県立高等学校は、全日制40校、定時制の昼夜を合わせて5校、通信制1校がございます。普通科は25校、専門学科は延べで34校でございますが、複数の専門学科を有する学校をまとめて1校とカウントしますと、21校ございます。総合学科は延べ4校、総合学科のみを持つ高校は2校という構成でございます。
学校基本調査による本年5月1日時点のデータでは、公立の全日制、定時制合わせて約2万1,000人の生徒、私立の高校に通う生徒が約9,000人でございますので、大分県は1学年当たり約1万人の生徒、そのうち7割が公立という構成になっております。本日の説明は県立高校における取組を中心にお話をさせていただきます。
スライドの3枚目、本日の説明事項は大きく3点でございます。大分県における「高校生のための学びの基礎診断」の実施状況の全体像、続いて、大分県教育委員会、県立高校における現在の取組を紹介させていただきます。取組が十分でない部分もございますので、今後の展望についても触れたいと思います。
スライドの4枚目、まず、平成30年12月の文部科学省通知がございました。通知の内容は御覧のとおりであります。大分県ではその翌月、平成31年1月に、各県立高校に対して「高校生のための学びの基礎診断」に関する通知を発出し、周知をするとともに、大分県としての活用方針は別途通知するといたしました。
スライドの5枚目を御覧ください。別途通知した内容についてです。平成31年2月、大分県立高校における活用方針を策定いたしました。方向性は4点ございます。
まず1点目として、原則として全ての県立高校において「学びの基礎診断」を受検することを示しました。この点は、これまで民間事業者が提供する模擬試験を利用していなかった専門高校においても、生徒の基礎学力を習得させることや、基礎学力の習得の状況を定期的に把握することに対する意識を高めることができたという意味で、大きかったと感じております。
続きまして2点目として、これまで大分県立高校に求めてきた授業改善のための取組に、「学びの基礎診断」を活用するということを示しました。模擬試験を授業改善に生かすということ自体は、大分県にとっては新しい取組ではございませんでした。授業改善に向けてPDCAサイクルを回すことをこれまでも求めてきた大分県の取組と、「学びの基礎診断」との関連づけを意識したものです。
3点目として、中高連携を意識した方向性を示しました。この点の具体化はなかなか難しいところということではあります。
そして4点目としては、「学びの基礎診断」を利用しない場合には、認定ツール以外でも、ほかの学力診断ツールを利用したり、各学校独自に作成した問題を使用することを求めています。
国語・数学・英語の3点セット型を、1年、2年の各学年で少なくとも1回受検することとしていますが、時期や回数は各校で決定することにしています。
そして各校は、年度当初に活用計画を作成し、9月末、3月末には活用報告書を作成し、県教育委員会に提出することとしています。高校教育課は、活用計画やその活用報告を取りまとめ、生徒一人一人及び集団全体のつまずきの分析に基づく指導の工夫、充実、そして、生徒の学習状況を踏まえた教育課程編成と教育活動の改善などに関して、各校への指導・助言に活用することとしています。
続いてスライドの6枚目を御覧ください。先ほど方向性の2点目の部分で、大分県では授業改善に向けてPDCAサイクルを回すことをこれまで求めてきたと申し上げました。その点に関する補足ですが、学力向上など、各校の課題についてPDCAサイクルを回す学校マネジメントの取組は、大分県全体で平成24年度から行っておりますが、授業改善に向けた県立高校の組織的な取組は、平成27年度から行っております。各校の計画に当たるスクールプランと、その学校に勤務する教員一人一人の授業改善に向けた計画であるマイプランを策定させ、授業改善のPDCAサイクルを回す取組を行っておりました。
このような流れがありますので、「高校生のための学びの基礎診断」をそれ単体として活用するのではなく、組織的な授業改善のサイクルと関連づけて、マネジメントに活用するという方向性を打ち出すことになっています。
さて、先ほど5ページ目で御説明した活用方針の下で、令和2年4月に提出された各県立高校の活用計画を見ますと、各校それぞれ使用する認定ツールは異なっております。基本タイプ、これを使用しているのが25校、標準タイプを使用しているのが38校、その他が6校となっております。こちらの合計数が県立高校の学校数と一致しない理由は、1つの学校で複数の認定ツールを併用していたり、1つの学校で生徒の進路に応じて認定ツールを選択できるようにしていたりするためです。
さらに、各学校が高校1年と高校2年の間に何回、どの時期に受検しているかを見てみますと、こちらも各校ごとにそれぞれ異なってまいります。一つ一つのドットはそれぞれの高校を表しています。黒のドットは普通科、赤のドットは専門学科を表しています。横軸は高校1年4月から高校2年3月までの24か月を表しています。例えば進路マップ基礎力診断テストの一番上の行を御覧いただくと、ある普通科高校では1学年の7月、11月、1月、2学年の7月、11月、1月の計6回、基礎診断を使っているということを示しています。
本県の活用方針では、各学年少なくとも1回受検を求めていますが、基本タイプを活用している高校の受検回数は、実際には2回から6回までの範囲で幅があり、受検時期も各校によって異なっております。専門学科を持つ高校では、基本タイプの活用が多いことが見て取れます。
続いて、標準タイプを活用している高校においても見ていきますと、受検回数は1回から6回までの範囲で幅があり、受検時期も各校によって異なりますが、ツールによっては一定の傾向も見て取れます。普通科の高校では標準タイプの活用が多いことが見て取れます。
幾つかのツールで受検回数が1回となっている高校がありますが、これは例えば、スタディーサポートを1学年の4月または5月に受検した上で、それ以降は別の認定ツールを使うというように、2種類を併用しているためです。また、1回だけ受検をしていて、それ以外は自己作成の独自ツールと併用しているという高校もございます。
複数のツールを使っている学校がありますので、例えば一番多い高校では、1年から2年間で3教科セット型を計8回、英語のみのツールを2回、合計で10回受検するという高校もございます。また、塗り潰しがない行に受検回数1とカウントされているのは、第3学年に受検時期を設定している高校があるためでございます。
ここまで、大分県における「学びの基礎診断」の実施状況について御説明いたしました。
続いて、大分県教育委員会、県立高校における現在の取組の御紹介です。令和元年度から「学びの基礎診断」の認定ツール、あるいは各校独自のツールを全ての高校で活用する方針とともに、県教育委員会としては年度内に2回、各高校から報告を求めることとしています。
各高校に求める報告は、実施内容と活用内容の2項目としています。活用内容の小項目として、生徒の学習改善、教師の授業改善、教育課程編成と教育活動の改善について、3点を設定しています。この活用内容に関する報告書の体裁は、県教委が示す様式にこだわらず、各高校で行われている既存の資料の様式でも構わないとしています。
また、報告の記載に当たって求める点として、知識・技能の確実な習得と思考力・判断力・表現力の育成の観点から記入すること、そして各項目の記載については、数値に加えて、各校で分析した成果あるいは課題の要因、具体的な方策について記載することを求めています。
各校から提出される活用報告をひもといてみますと、それぞれに利用した認定ツールの結果を基に、自校の生徒の成績の分布、例えばS層、A層、B層、C層といった分布を把握し、S層の人数を増やそう、あるいはB層の人数を減らそうといった、次の取組で重視するポイントを定めています。そこから授業担当者が全員で、授業計画の中にはこういうレベルの問題を組み込んでいこう、この教科の学習時間の確保ができるように課題の量を調整しようといった、授業改善や教育活動の改善について、校内で話合いがされていることがうかがえます。
また、各校が過去利用してきた外部模試が「学びの基礎診断」の認定ツールとなっている場合には、経年変化を比較したり、他校の状況と比較したりして、自校の目標設定を調整している高校の取組も見られます。
また、教育課程編成については、国語科を中心に、教科を問わない語彙力、技術力を高めていく意識を共有することが必要だといった視点を見いだしている高校の取組も見られます。
対しまして令和元年度は、各学校から上がってくる報告の内容が、意図する内容となっていない部分もありました。例えば、数値による経年比較はしていますが、単に前年比で上下したことを捉える分析にとどまり、自校の取組の成果や課題の要因まで分析が至っていないもの、様式を自校で作成した資料に代えて報告することを認めた結果として、活用内容の3点の小項目全てに対応する記載がされていなかったもの、これまでどおりの指導を継続して、授業改善としては大幅に変更はしないとの結論になっているものなどの報告も見られたところです。
俯瞰してみますと、大分県教育委員会としても、各回の受検ごとに振り返りを求めているわけではないこと、生徒個々人の学習到達度に関する分析までを求めていないことなどから、各高校による報告も、細かく分析しているものとそうでないものが混在しているという実情にあります。
こうした現状を踏まえまして、初年度の取組を振り返りますと、大分県の場合は、認定ツールの選択や報告の様式について、各学校の自由度が高い方法を取っている反面、県教育委員会による統一した結果分析が難しい状況となっています。
また、各学校における「学びの基礎診断」の受検回数や受検時期が様々であることからも、様々な切り口からの評価、分析をする余地はあると考えておりますが、多くの選択肢がある「学びの基礎診断」をどのように効果的に活用するのか、こうした視点で取り組むことで、今後も活用のレベルを上げていく必要性を感じております。
今後の展望といたしましては、各高校から報告される活用報告を基にして、各高校の個別の状況に合わせた指導・助言をきめ細かく行っていくこと、そして複数年度の取組の蓄積から、より効果的な使い方を研究することといった展望が見えてくると考えております。
ここからは少し仮定の話になります。多くの種類が用意されている「学びの基礎診断」認定ツールの各設問が、国が進めている学習指導要領コードと対応したものに変わるような状況となれば、少し前提条件も変わってくると考えています。
県教育委員会として、複数の認定ツールをまたぐ共通の視点を持てることになれば、統一的な分析が可能になったり、より効果的な認定ツールの選定ができるかもしれない。こうした発想を持ちまして、国の教育データの標準化の動きも注視しておく必要があると考えております。
また、「学びの基礎診断」が目的とするところを別の手段で代替できるとするならば、そうした取組にも一部チャレンジしてみるという選択肢もあるのかもしれません。
「学びの基礎診断」により、年間のその時点、時点で評価される生徒の学びの結果が、日々の生徒の学習履歴の蓄積から得られるのかどうか、こういった発想での取組も、予算の制約など様々な難しさがありますけれども、想定の範囲は入れておこうと考えております。
現実的にできる今後の展望から、まだ不透明な今後の展望まで、恥ずかしげもなくお話しをさせていただきました。
以上で、大分県からの御説明を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。
【荒瀬座長】 中村課長、どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問等いただきたいと思います。御発言されますときは、挙手ボタンをお挙げいただきたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。
では、私のほうから1点御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、中村課長、ちょっと御発言の中でもありましたが、個々の生徒についての話です。例えばこういう取組をすることによって、個々の生徒の学習意欲が喚起されたといったような現場の声とか、あるいは、やっているんだけれどもあまり効果が感じられないといった逆の声とか、そういったデータとか生の声とかがありましたら、御存じでしたらお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
すみません、中村課長、ミュートになっています。申し訳ありません。すみません、中村課長、ちょっと聞こえなくなってしまっているんですが。
【大分県教育委員会】 大分県、中村でございますが、事務局の方の声が入っていないようです。
【荒瀬座長】 じゃ、もう一度申し上げます。現場のいろんなデータということではないんですけれども、例えば、ある学校でこういった取組をすることによって、生徒の学習意欲が喚起されたとか、あるいは、やっているんだけれども全然変わらないわとか、そういったような生のお声があればお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
【大分県教育委員会】 荒瀬先生、ありがとうございます。大分県高校教育課の中川課長補佐より御説明させていただきたいと思います。
【大分県教育委員会】 中川です。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 よろしくお願いします。
【大分県教育委員会】 お願いいたします。中村課長の説明からありましたが、「学びの基礎診断」は、本県が行っている授業改善と関連づけながら取組を進めております。例年学習習慣等実態調査ということで、生徒の声を聞く場面を全校でつくっておりますけれども、ここ数年は、学力向上の実感があるとか、授業の理解度が高まっているというような声がございます。「学びの基礎診断」単体での成果ということではないかもしれませんけれども、そういった取組が県全体の生徒の学習意欲の喚起にはつながっているものというふうに考えております。
以上です。
【荒瀬座長】 どうもありがとうございました。委員の皆様いかがでしょうか。
では、大分県の中村課長と中川課長補佐のお二人は最後までいてくださるそうですので、また後ほど、御質問等ございましたらお願いしたいと思います。
では、お二人どうもありがとうございました。ちょっと次に進ませていただきたいと思います。
では、続きまして、高知県教育委員会から、長岡企画監に御説明をよろしくお願いいたします。
【高知県教育委員会】 高知県教育委員会事務局高等学校課の企画監、長岡と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
【荒瀬座長】 お願いいたします。
【高知県教育委員会】 スライドを映すようにしたいと思いますので、少しお待ちください。共有の許可は出ていますでしょうか。
【齊藤参事官補佐】 事務局でございますけれども、今ちょっとスライドを用意しますのでしばらくお待ちください。
【高知県教育委員会】 改めまして、高知県教育委員会事務局高等学校課の長岡と申します。どうぞよろしくお願いします。それでは、スライドのほうで御説明をさせていただきたいと思います。
まず1枚目ですけれども、1枚目は高知県の高等学校の現状ということで、高知県の地図を示しております。県立高等学校は本校、分校合わせまして36校、全日制は36校、それから定時制は10校、多部制・単位制は2校、そして通信制は2校という形になっております。
地図の中に緑色の印がついているかと思いますが、こちらが本県の中で進学拠点校として設定させていただいている学校7校というような形になっております。
生徒数につきましては、令和2年5月8日現在で1万1,810名。10年ほど前の平成21年の段階では1万5,474名ですので、約3,700名、この10年強で減少しているというような状況です。
次のスライドです。3ページになりますが、10年余り前のところですけれども、全国学力・学習状況調査によって、高知県の子供たちの知・徳・体の現状が全国平均を大きく下回るという、危機的な状況が明らかとなってきました。このため、これまで取り組んできた取組を徹底的に検証いたしまして、危機的状況の改善に向けた教育改革を推進してきているところです。
平成20年代に様々な取組によって一定の成果が表れてきたところもありますが、依然として課題が残る。そういったものへ対応するために、平成28年の3月に、総合教育会議での議論を経まして、教育等の振興に関する施策の大綱を策定し、こちらに挙げております2つの理念を踏まえ、第2期教育振興基本計画を策定していきました。
計画の中では、この理念にとどまらず、実効性のある具体策を念頭に入れながら、取組の成果を測る基本的な目標を設定して取り組むこととしています。基本目標のうち、高等学校の知に関するものとして、こちらの赤の枠で示しておりますが、高校3年生の4月の学力定着把握検査におけるD3層の生徒の割合を15%に引き下げる、そういった目標を掲げて取り組んでおります。
D3層とは、学習内容が十分に定着しておらず、進学や就職の際に困難が生じることが予想される層に当たることから、子供たちの自らの夢や志を実現するために、最低限必要となる基礎的な学力の習得を目指して取組を進めてまいりました。
さらに本年度からですけれども、第2期教育大綱に基づいて、第3期の教育振興基本計画では、この基本目標のうち、高等学校の知の目標については、高校2年生の1月の学力定着把握検査におけるD3層の生徒の割合を10%以下、こういう目標を引き続き掲げまして取り組んでいるところです。
この第2期教育大綱の施策の体系では、高等学校の学力向上の施策の位置づけというところで、まず6つの基本方針のうちの1つ目に、チーム学校の推進という形で、大きく2つ施策を定めています。その中身は、学校の組織力の強化と教育の質の向上というところになってきます。
加えてデジタル社会に向けた教育の推進というところで、先端技術の活用による学びの個別最適化、中山間を中心にした遠隔教育のシステムを整備するなどして取り組んでいるところです。
それでは、学力向上に向けたPDCAの構築、すなわち組織力の強化を行うためにマネジメントの仕組みを構築していく、そういった全体像をスライドのほうに示させていただいています。
まず学校の目標や課題などを教職員がしっかりと共有し、そして学校がチームとして個々の様々な取組を組織的に進めていく。そのためにはやはりプランを立てる前に、きちっと生徒の現状や保護者、地域のニーズ、そういった現状分析をしっかり行いながら、学校経営計画をしっかりと作成し、そして進捗管理を行い、評価し改善を行っていく。いわゆるRVPDCAがしっかり全職員でそれぞれのレベルで行われていくということが大切かと考えています。
まずはPのところですけれども、前年度の取組結果や学力把握検査、県のオリジナルアンケートなどの結果に基づいて、管理職、それから各分掌の長、教科長、教科会と、様々なところで検討していただき、学力向上や生徒の社会性の育成を柱に、取組指標の具体の取組などの計画を策定していただきます。そしてその計画に基づいて、実際に教科会などで学力向上プランというものを作成していただいて、学校全体で進めていっていただいています。
そして、このDのところでは、県教育委員会に設置した学校支援チームが実際に学校訪問を行いまして、授業参観、研究協議を経て、授業改善を進める仕組みを投入してきております。この支援チームの取組については、後ほどまた説明をさせていただきたいと思っております。
次にCでは、学力定着把握検査を実際に実施し、そして授業改善に係る生徒の変容の把握であるとか、取組の検証を行っていき、この学力定着把握検査についても後ほど少しお話をさせていただきたいと思います。
最後にアクションとして、教科会による改善策の検討、検討内容の共有、そういったことを行っていただき、そしてここにも、先ほど申しました県の学校支援チームが指導・助言を行っていくといったような形で進めております。
こちらは、実際の学校経営計画の1枚を載せております。目指すべき姿、それから目指すべき姿を実現するための取組、そして大きく2つ、学力向上と社会性の育成といった取組、それから評価の指標、具体の取組などをここに記載していただく。この際に評価指標として、先ほどの学力定着把握検査の自校の数値であるとか、そういったものも学校のほうで計画の中に入れていただいています。そして中間評価、年度末評価といった形で改善を図っていっているということになります。
また、こちらの下のほうに少し枠囲みをしておりますが、ここにはこの学校経営計画の補助シートというような形で、1から5までの内容があります。そこには、先ほどの県の教育振興基本計画の目標の数値であったり、学校の進路状況であったり、そういったものを記載するようなところであるとか、それから学力の状況や進路状況を経年別に記載する場所であったり、それから社会性の育成、こういった取組を簡潔にまとめる、そういったシートも用意して、そこに記入しながら、各学校のエビデンスといったものをきちっと整理していただいております。
学力向上プランというものも作成していただいておりまして、これについては入学してからの生徒の学力定着把握検査、またGTECの結果なんかを経年別変化で分かるように、データと目標を見える化して、各先生方が共有できるような形のものを用意して、活用していただいております。そこには具体的な目標であったり、手だて、現状分析、そういったものを教科会で協議をしながら、記載していっていただいております。
次のこの11のスライドですが、先ほど客観的なデータが必要となるというところで、この学力定着把握検査の本県の経緯を少しお話しさせていただきます。導入としましては、平成21年までは県版実力テストというような形で作成して、全校で実施していたんですけれども、全国的な状況と比べ、生徒の学力状況はどのようになっているのかとか、そういったところが不明確であったことから、全国的な調査で一定数データが必要で、学校としても、その後結果的に授業改善等に生かせるような形で平成21年から導入を図りました。
検査の種類としては、現在は3種類を利用しています。そして英・数・国の3教科を対象に実施しております。平成21年からはまず指定校で実施し、24年からは全ての県立学校の全日制で実施しております。そして平成30年のところで事務局に学校支援チームを設置して、学校訪問を行いながら、指導・助言を行う形に変更しております。
先ほど説明しましたこの学力定着把握検査は、文部科学省のほうの「高校生のための学びの基礎診断」と理念や目的が共通と考え、令和元年度からは、この認定ツールを利用させていただいて年度進行で進めています。実際にはこちらのものを使わせていただいております。
1年間の各学年の検査のほうですが、以前は4月、9月で各学年で実施し、最後が3年の4月という形でしたけれども、現在学年進行で移行しながら、令和2年度からは、1年生が4月、それから11月、2年生が6月、1月というような形で進めています。これは一定期間、7か月という期間を設けながらPDCAサイクルをしっかり回していこうというような形にしております。
学校支援チームのメンバーのスタッフとしてはこういった形で、企画監を1名、それから課長補佐1名、チーフ・指導主事を8名、そして退職された、経験を持たれている校長先生方を学校経営アドバイザーとして1名、それから授業改善アドバイザーとして6名の方に御協力をいただいております。それと英・数・国以外の教科についても、指導主事1名を理科、それから地歴公民に配置して、そして今年度につきましては、授業改善アドバイザーを1名配置させていただいております。
学校訪問と授業改善に係るところですけれども、重点校とか支援校、それから小規模校、そういった形に分けて、学校訪問を年間5回から8回させていただいています。まずは学校支援チームは学校と共有を図り、そして学校は学力定着把握検査や学力向上プランを出していただきながら、年間、授業改善の支援を1学期、それから2学期、主に2学期を中心にしながら学校に入らせていただいているといったところです。
それから学力向上プランについても、一定どういう成果もしくは課題があるかということの共有を、学校支援チームと各学校と、年間2回させていただいております。
こちらはその目標に対しての結果というところになろうかと思います。平成28年からの数値を前のほうに棒グラフで示させていただいています。D3層の割合は、当初3割ほどあったものが、現在23.5%まで減少し、そして特にこのC層以上の割合が増加してきているというような状況があります。
それから各学年別の経緯については、こちら3教科総合の形を折れ線グラフで示させていただいております。
最後ですけれども、全体の成果としては、スライドのほうにも書かせていただいていますが、教員の授業改善への意識の変化が、各アドバイザーも学校訪問しながら具体的に感じ取られている。さらにはまた、その意識だけではなくて、実際の授業の中に変化が見られてきているという状況になってきているところです。
それから、「学びの基礎診断」の結果を基にしながら学力向上プランを作成して、そしてそれを教科会で協議していく、そして次の取組に向けての改善を図っていくというPDCAが、少しずつ回り始めてきているような状況かと思っています。
そして学校経営計画の中にも、学校の組織として授業改善に係る校内研修とか、公開授業週間・月間、そういったものを各学校の現状に合わせて工夫した取組が進められているといったことが、顕著に見えてきたかなと思っております。
以上、高知県の発表とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】 長岡企画監、どうもありがとうございました。
今の御説明につきまして、御質問がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。長岡企画監にも最後までいていただくということだそうですので、また後ほどでも御質問はいただけるということで、長岡企画監、どうぞよろしくお願いいたします。
さっき大分県教育委員会の方にもお尋ねしたんですけれども、長岡企画監は実際に学校に行っていらっしゃるこのチームの代表をなさっているということで、行かれたときに、例えばこんなことがあったとか、そういった何か具体的な生徒の学習意欲に関するような事例などがございましたら、ちょっと御紹介いただけるとありがたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
【高知県教育委員会】 具体的な話にはなかなかならないかもしれませんけれども、この「学びの基礎診断」だけという形ではないんですが、例えば本県で行っている学習支援員というような形で、各授業にはTTで入る方が各学校に入って、一緒に授業をしていったり、それから放課後の補習といったところを、また学習支援員が見ていったりという指導をしながら、全体としてやはり今まではD3層のパーセントを各学校少なくしようという意識だったものが、少しずつC層以上が増えてきたことによって、そういった各学校の状況によって、今度はC層以上を伸ばす手だてを考えていこうという話が、各学校の先生方から聞こえてきたりしています。
個別の生徒さんの学習意欲というところまでは少し御説明できないんですけれども、そういった各学校の先生方の実感というのは伝わってきております。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
お手が挙がっております。では順に、長塚委員、田村委員、清水委員の順にお願いいたします。
長塚先生、お願いいたします。
【長塚委員】 長塚です。画像が映っていなくて申し訳ございません。不具合のため失礼いたします。
一つ二つお伺いしたいんですが、学力定着把握検査、これは県が独自に開発しておられているのか、あるいは認定ツールと同様に、民間事業者にお手伝いもいただきながらなさっているのかということが1点。
もう一つは、認定ツールを活用する場合には、この費用というのは県のほうで負担していただくのか、その辺について教えていただければと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
長岡委員、すみません、まとめてお願いいたします。よろしいでしょうか。
【高知県教育委員会】 はい。
【荒瀬座長】 では、田村先生、お願いいたします。
【田村委員】 失礼いたします。お尋ねしたいのは、結果によって、学習支援員も配置されているというお話があったかと思うんですが、これは学校によってその支援員の数に軽重をつけたりとか、学校の支援のめり張りをつけるようなこと、その方針のためにこのツールを使われているのかどうかということをお尋ねしたいです。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
では、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 筑波大学の清水でございます。1点、中学校、あるいは義務教育段階との関連についてお尋ねしたいと思います。もともと「学びの基礎診断」は、義務教育の内容もカバーするような形で、多様な学力層を想定して行うように設計されていると考えていますけれども、高知県の場合は、特に中学校段階での全国学力・学習状況調査の課題等があり、それを第2期の基本計画の中でいろいろ手を打って向上してきたという流れの中に、今回の「学びの基礎診断」が位置づいていると思いますので、幾つかの学習者層で見たときの義務教育との高校のつながりですか、その辺をどういうふうに考えていらっしゃるのか、ちょっと教えていただければなと思いました。
先ほども大分のほうの御発表でも、中高の一体的な改善というか、そういう視点のお話がありましたので、少しお話しいただければありがたいと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。
では、長岡企画監、すみません、今3人の方から4点の御質問がございました。お願いいたします。
【高知県教育委員会】 まず、最初の2つの御質問です。まずはツールのほうですけれども、資料3-2の14ページを御覧ください。英・数・国のツール、「学びの基礎診断」のベネッセコーポレーションの進路マップ、基礎力診断テストというのを、全体29校、約70%の学校で使っています。それからあとは標準のスタディーサポート、総合学力テスト、こちらについては7校が使用しております。
費用につきましては、県費で負担させていただいて実施しております。
それから、学習支援員の件ですけれども、学習支援員は、この基礎診断の結果で何人かの支援員を配置するというような形とは連携しておりません。各学校が学校の状況に応じてこういった支援員を要請してきて、それを県のほうでそういった事業と相まってやっているというような形になっています。
それから最後、中学校段階の多様な学びに対してというところですけれども、実際にこの基礎力診断テストを実施してきている段階で、最後から2番目の資料になりますけれども、3教科総合の1年生の1回目の折れ線グラフのところなんですが、本当に年々D3層の割合が減少してくる。これはまさに義務教育段階の問題が100%の状況ですので、そういったところでは、それぞれ中学校段階までで、現在こういった形の結果が出てきているというところになろうかと思います。
そういったところでよろしいでしょうか。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
長塚先生、先生がおっしゃったのは、「学びの基礎診断」が導入される前のもともとやっておられた学力定着把握検査は県独自の問題かどうか、そういう御質問だったと思うんですが。
【長塚委員】 はい。そうなんです。
【荒瀬座長】 長岡企画監、その辺はどうでしょうか。
【高知県教育委員会】 平成21年までは県版の実力テストというような形で、県が独自に作成して実施しておりました。平成21年以降は、こういった段階的に業者のものを利用させていただきながら進めてきて、現在に至っております。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
長塚先生、よろしいでしょうか。
【長塚委員】 はい。分かりました。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 田村先生、清水先生、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【田村委員】 分かりました。ありがとうございました。
【清水委員】 私もひとまず結構です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 どうもありがとうございました。
ほかにはいかがでしょう。よろしいですか。
じゃ、長岡企画監、どうもありがとうございます。また後ほど御質問が出るかもしれませんので、その際よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【高知県教育委員会】 どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】 それでは続いて、北海道教育委員会なんですが、ちょっと事務局のほうから御説明があるそうです。
【齊藤参事官補佐】 すみません、資料のほうが先ほどからちょっと準備に手間取っておりまして申し訳ありません。北海道教育委員会の資料もこれから準備させていただきますので、しばらくお待ちください。
【荒瀬座長】 では、大変お待たせいたしました。教育委員会からの御発表の最後に、北海道教育委員会の唐川高校教育課長からお願いいたします。
唐川課長、どうぞよろしくお願いいたします。
【北海道教育委員会】 北海道教育庁高校教育課の唐川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に確認させていただきたいんですけれども、今回68ページにわたる資料を送付させていただいているんですが、それぞれの委員の方のお手元にその資料というのは配付されているのかどうか、まず確認したかったんですけれどもいかがでしょうか。
【荒瀬座長】 事務局のほうから配付していただいているようです。
【北海道教育委員会】 ありがとうございます。それでは早速、資料3-3にあります資料を基にして、全体像を御説明したいと思います。
道教委独自の学力テストを活用したPDCAサイクルの構築ということで、本道の取組について、経緯から現在の現状まで御説明をしていきたいと思います。
【齊藤参事官補佐】 事務局より失礼いたします。画面の共有で資料を共有いただけますでしょうか。唐川先生、資料の共有はできますでしょうか。
【北海道教育委員会】 申し訳ありません。お手元の資料で説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 承知いたしました。資料はこちらで映すようにいたします。
【北海道教育委員会】 申し訳ありません。
それでは早速、資料の1番、学力テストについてということで、これまでの本道の学力テストの実施の経緯についてでございますが、道教委では平成16年度から、学力向上に関わる事業の一環としまして、学力テスト等を実施してきております。詳細の経緯につきましては資料の3ページにありますので、後ほど御覧いただきたいと思います。
続きまして2番、「高校生のための学びの基礎診断」としての活用についてでございますが、道教委では、「高校生のための学びの基礎診断」活用の基本的な考え方というのを作成しておりまして、基礎診断の実施方法や測定ツールの選択の際の留意点、活用方法等について、各学校に周知しております。その資料が4ページ、5ページになります。
次に、(2)の学力テストの概要についてでございますが、本テストは高校教育の質の確保・向上の観点から、基礎学力の定着や学習意欲の喚起を促すPDCAサイクルの構築・確立に向けた取組の推進を目的として実施しておりまして、ウの対象のところにありますように、資料のほうは1年となっておりますけれども訂正いただきたいんですが、道立高校の1・2学年及び中等教育学校につきましては、こちらも訂正願います、4・5年次。
【齊藤参事官補佐】 事務局より失礼いたします。ページ番号を教えていただけますでしょうか。
【北海道教育委員会】 そして定時制につきましては、2・3学年も実施できるということで実施をしております。
【荒瀬座長】 唐川課長、御発言の途中申し訳ありません。資料のページ番号をおっしゃっていただけますでしょうか。
【北海道教育委員会】 ページ番号ですね。
【荒瀬座長】 はい。
【北海道教育委員会】 今は資料の1ページに基づいてお話をさせてもらっております。
【荒瀬座長】 1ページですか。
【北海道教育委員会】 はい。申し訳ありません。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。これから後もページ番号をよろしくお願いいたします。
【北海道教育委員会】 分かりました。
続きまして、エの実施科目についてですが、記載のとおり、国語、数学、外国語という3教科を基本とし、平成25年度からは、農業、工業、商業、水産の科目も実施しております。表には3つのモデルを示しておりますが、こちらは国語・数学・英語のそれぞれにおきまして、各学校の生徒の実態に応じて、選択して活用できるように配慮しているものでございます。
なお、学力テストに合わせて、学習に関する生徒の意識等を把握するための学習状況等調査を実施しておりまして、道教委の教育施策を踏まえて調査結果を分析するなどの活用を図っております。
次に、2ページを御覧ください。2ページの上段、オ、問題等の作成についてでございますが、問題等の作成につきましては、学力テスト開発委員会議というのを設置しておりまして、教科、科目ごとに、教科指導力の優れた教員と指導主事が協力して、学力テストの問題等を作成しております。
次に、(3)のPDCAサイクルの構築に向けてという項目ですが、まず学力テスト開発委員会議におきまして、学力テストに基づいた国語・数学・英語の分析マニュアルを作成し、各学校に配付しております。この分析マニュアルにつきましては、資料の6ページ以降になります。
この分析マニュアルの活用につきまして、この資料を基に御説明したいと思いますので、分析マニュアルの資料の通し番号28ページを御覧ください。ここでは選抜性のある大学希望する生徒向けのベーシックモデルの数学を取り上げて、例として御説明したいと思います。
Step1としまして、まず学校全体の傾向分析を行います。分析シートでは、設問ごと、観点別・領域別の正答率や、過去の正答率を一覧で表示しております。例えば28ページの真ん中から下の例では、全道との比較におきまして、観点別では「数と式」の領域の「数学的な見方や考え方」、領域別では「場合の数と確率」が生徒の弱点であるということを明らかにしております。
続きまして、29ページを御覧ください。Step2といたしまして、分析を踏まえた授業改善の例を示しています。こちらの例では、生徒の弱点であると分析した「場合の数と確率」の領域に関して、「数学的な見方や考え方を重視した指導例」を紹介し、具体的な授業改善の方法を促しております。
次に30ページを御覧ください。次にStep3になりますけれども、分析結果は学校全体だけではなく、生徒個人にも知らせることができるようになっておりまして、校内や全道との比較、観点別・領域別に生徒の成果や課題を把握させるといったことが可能になっております。各学校におきましては、今後の学習の具体的なアドバイスを行うことによりまして、学習意欲の向上につながるものと考えております。
次に31ページを御覧ください。Step4といたしまして、道教委が作成し、ウェブページに掲載している教材を紹介しています。これらの教材は、モデル別、領域、単元別に作成しておりまして、生徒が自分の学習進度に合わせて活用することができるほか、苦手な領域や単元に集中的に取り組むなど、生徒の自学自習を促進することをねらいとして掲載しているものでございます。
資料を戻りまして、2ページのイの分析のところになりますが、この分析の流れについて説明したいと思います。道教委が学力テスト及び学習状況等の調査の全道集計を行いまして、結果を各学校に送付します。送付したものがどのようなものかといいますと、先ほどの資料の後ろにありますが、52ページを御覧ください。
52ページ、53ページは、ある学校が保護者向けに学校通信の中に載せた各学校の分析結果でございます。このようにして、自校において学習の定着状況等を保護者と共有しながら、生徒の基礎学力を身につけさせる取組を進めるということを図っております。
さらに次のページ、54ページ、55ページを御覧ください。54ページ、55ページは、ある学校の生徒向けの学習だよりの一部でございます。こうした取組を通しまして、各学校において自校における学習指導の成果や生徒の課題等を把握して、授業改善につなげているという流れになっております。
次に56ページを御覧ください。この56ページの資料は、道教委が毎年作成している「高等学校教育課程編成・実施の手引」の一部でございます。この中に学力テストにおける生徒の課題と考えられる事項を掲載し、その改善に向けた実践例を記載することによりまして、具体的な授業改善の方策等を示しています。
さらに道教委では、指導主事による学校教育指導訪問や校内研修等の機会に、各学校ごとの学力テストの分析や学習状況等調査の結果を教務主任と確認しながら、学力向上に向けた具体的な指導・助言を行ったり、全道の教務主任等を対象とした北海道高等学校教育課程研究協議会におきまして、手引等の活用について指導・助言を行っているところでございます。
資料の2ページにお戻りください。2ページ中段にあります、3の学力テスト等による成果・課題等についてでございますけれども、その(1)成果についてですが、道教委の調査において、生徒による授業評価を実施している学校は99.6%、授業評価結果に基づく授業改善を実施している学校は99.6%となっておりまして、ほぼ全ての学校において授業改善の取組を進めていると把握しているところでございます。
また、学力テストにおいては主に表にありますように、正答率の向上が見られております。
さらに学習状況等調査におきましては、課題解決型の学習に学校で取り組んでいると回答した生徒の割合が、調査開始の平成29年度の68.7%から、令和元年度では71.3%に上昇するなど、各学校で授業改善に向けた取組が進められていると把握しているところでございます。
課題、そして今後の方向性についてでございますが、本学力テストを「高校生のための学びの基礎診断」に活用するため、現在、主に1学年で実施しているテストを複数回実施できるよう、今後新しいテスト問題及び分析マニュアル等を作成することとしております。
また、学力テストの集計作業に多くの時間を要しておりまして、今後国の動向も見ながら、CBT方式による実施も検討したいと考えているところです。
北海道の取組につきましては以上ということになります。今後も皆様方から様々な情報等いただきながら、充実したものにしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【荒瀬座長】 唐川課長、どうもありがとうございました。
それでは、今御発表いただきました北海道教育委員会のお取組につきまして、御質問等ございます方は挙手ボタンをよろしくお願いいたします。
では、田村先生、よろしくお願いします。
【田村委員】 御発表ありがとうございました。道のほうで独自にずっと調査をつくって実施もされているということで、大変熱心なお取組のご報告をありがとうございます。御質問ですけれども、独自でテスト問題を開発されている、その理由というのを教えていただけたらと思います。
【荒瀬座長】 唐川課長、まとめて後からお答えをいただきたいと思います。
藤森先生、どうぞ。
【藤森委員】 ありがとうございました。1つに絞って御質問したいんですけど、ほかの県にも関わってくるんですが、この「学びの基礎診断」によって授業評価を行って、そして授業改善をかなりの高い頻度で行われていると伺いまして、大変心惹かれました。伺いたいのは、これは感触で結構なんですけど、具体的にどういうふうに改善していこうという見通しが観察されたのか、あるいはうかがわれたのか、今後の特に高等学校改革の指針になっていく重要な情報だと思いますので、教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。これは藤森先生、ほかの大分県や高知県にもお尋ねすればいいんでしょうか。
【藤森委員】 もし時間に余裕があるようでしたら、ぜひ伺いたいところだと思います。特にPDCAサイクルで考えた場合に、どういうふうに授業改善を具体的に進めていくことが、いわゆる高校が豊かになってくるのかという、その問題に多分関わってくると思いますので。個人的な感覚で結構です。
【荒瀬座長】 分かりました。
ほかにはいかがでしょうか。中村委員、よろしくお願いします。
【中村委員】 ありがとうございます。私どもの県でも、「学びの基礎診断」については県で方針を出して、31年度から取組を進めているんですが、認定ツールを使っている関係もありまして、やはり3教科ということになります。特に専門学科でのこの3教科の学びという部分で、非常に課題が見えてきています。
本県の場合は県の指標として、1つは高知県さんもありましたDゾーンの割合、これの改善具合、それからもう一つは授業以外での学習時間という、2つの切り口で数値的に追っていくというようなことを、全県的にやっているんですけれども、普通科と専門科ではかなり違いもありますし、特に専門科での教員の意識というものも、やっぱり専門教科へ寄っているという課題も浮き彫りになってきております。この辺りへのアプローチ、特に高知県さんなんか数値が改善されているので、もし知見があれば教えていただけたらと思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。中村先生、これは3つの教育委員会、皆さんにお尋ねするということでよろしいんですね。
【中村委員】 できましたら全ての教育委員会さんにお聞きしたいところです。
【荒瀬座長】 分かりました。
田村先生、どうぞ。
【田村委員】 何度も失礼いたします。3つの教育委員会様にお尋ねしたいんですけれども、この基礎診断のテストがあることによって、例えば中間考査や期末考査といった、学校の先生方が独自につくられるテスト問題にも変化が見られたといったような、学校における評価の仕方、それに影響があったのかどうかということがあれば教えていただきたいです。お願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
では、前川先生、どうぞ。
【前川委員】 前川です。3つの都道府県の方々にお伺いしたいんですが、特に複数の測定ツールをお使いになっている高知県並びに大分県の方々ですけれども、ツールを1つ選ぶとき、何か難しいことはなかったのか、それに伴う困難はなかったのかということと、あとは結果が上がってきたときに、複数のツールの結果をどのように比較されているのか、その点に関してお伺いしたいと思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今お聞きしたのをちょっとまとめますと、まず田村先生が最初に御質問いただきました北海道教育委員会、唐川課長、申し訳ありません、独自テストを開発なさって使っていらっしゃる理由を、まず教えていただければと思います。
【北海道教育委員会】 2点あったかと思うんですが、この独自テストと、それから授業改善の具体的な方策について、私のほうから御回答させていただきたいと思います。
独自問題につきましては、一番最初に経緯でお話をしたとおり、北海道の学力向上の授業の中で、生徒の学力の定着度を客観的に把握する必要があるということで、平成16年度から、学力向上の指定校に指定された学校の教員が集まって学力テストを作成したのが始まりであります。その問題を、今度は指定校のみならず、北海道全体に広げていくということで、開発会議を経て今日に至っているということで、そういった流れで独自の問題をずっと策定し、北海道の生徒の学力というのを経年で比較していっている、そういう現状でございます。
それから、2点目の授業改善の具体的な方策についてでございますが、一度道教委のほうで集計したデータは学校に送られていきます。学校全体のこのデータを基にして、各学校では教科ごとに分析を行って、それで各学校の教科における授業改善の具体的な方策というのを検討していただいて、道教委に提出するという流れになっております。
ですので、この資料に基づきまして、それぞれの生徒の弱点になっている部分、あるいは定着がまだしっかりできていない項目について、どのように改善するかというのをそれぞれの学校で分析し、そして改善方策を立てて、次の年度、あるいはその年度の中でリカバリーをする、そういった流れが構築されているのが現状でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。唐川課長、続けて、専門学科でのお取組について、また北海道の場合は複数ではなさそうなんですけれども、もう一つは、この取組が中間とか期末とか定期考査なんかで先生方が作問されたり、あるいはそれを使って指導なさっていくときに、どういった変化が見られるかというあたりもお願いできればと思います。
【北海道教育委員会】 専門学科等の関係につきましては、詳細を分析しているわけではございませんので、なかなか明解な回答はできないんですが、北海道全体としては、学習時間が増加する傾向というのがありまして、これは専門学科のほうの生徒も含めて、そういった改善傾向は見られるのかなと思っているところです。
それから、定期考査の変化ということですけれども、もともとこの独自の問題につきましては、全て観点を明記して観点別に問題を作成しておりますので、そういったものを各教科で分析する中で、問題等もきちっとそういったつくりになっていることを各教員も認識できると思っておりますので、定期考査等にはそういった形での反映がなされているんではないかなと思っているところです。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
御質問いただきました委員の皆様、もしさらにということがありましたら、後ほどお願いするといたしまして、大分県の中村課長と高知県の長岡企画監にも同様に御質問がありましたので、お答えいただきたいと思います。
1つは授業評価とかから授業改善にどのような取組が行われているかという、その様子をお聞かせいただきたいということ、それからまた、専門学科でのお取組はどうだろうかということ、そして複数の測定ツールをお使いになっているようですけれども、選定の際、ないしは結果の取扱いで、何か困難といいますか、課題はなかったかということ、さらには定期考査への影響、変化といったようなこと、この辺りをお答えいただけるとありがたいです。
では、まず中村企画課長、よろしくお願いいたします。
【大分県教育委員会】 それでは大分県から幾つかの質問について、高校教育課の中川課長補佐のほうから御説明をさせていただきたいと思います。
【大分県教育委員会】 中川です。よろしくお願いいたします。
まず1点目、PDCAサイクルを回す中で、具体的に授業改善をどのように行っているかということでございますけれども、大分県では、「学びの基礎診断」を授業改善、スクールプラン、各学校が年間を通して、どのように授業改善を進めるのかという年間計画を策定しておりまして、その指標に位置づけながら授業改善をということにしてございます。
授業づくりの視点として6点、目標とか、学習課題とか、そういうような授業づくりのポイントとなるものを示しておりまして、各学校が生徒の実態、それから事業者の実態等を踏まえて、年間でどこに重点的に取り組むかというようなことで定めてございます。
いわゆる「学びの基礎診断」の結果等も踏まえながら、そういった各学校独自に定めたスクールプランに基づきながら、授業改善を行っておりますが、私ども指導主事も、各学校が行うそのスクールプランに基づいた授業研究会を、年間に2度ほど学校全体で行ってくださいということで通知をしてございますけれども、そこに入っていって、どういう点をより改善することが必要なのか、生徒の実態を踏まえながら、どのような授業づくりが求められるのかということで指導しているところでございます。
2点目の家庭学習時間ということでございますけれども、本県全体で生徒の家庭学習の時間が増加しているとか、減少しているというような数値的な把握はできてございません。ただ、学校では学校評価等に生徒の学習時間というような項目を設定して、その伸びを成果指標として上げているような学校もたくさんございます。
私たちとしては、単に家庭学習時間が延びるということで、時間を延ばすための学習課題を課すよりも、家庭学習の質を高めるような授業の在り方を指導してございます。生徒が家庭で取り組んだ学習が、次の授業に生きる、授業の中で考えたことがおのずと解決したいがために家庭学習時間が取られる、そういった授業づくりを進めていきましょうということで取り組んでいるところです。
3点目、定期テストの変容ということで、「学びの基礎診断」との関係ということでございましたけれども、先ほど申し上げたスクールプランで、各教科ごとに年度内に取り組む目標を定めているわけですけれども、その中で、定期考査で思考力・判断力・表現力を問う出題について、生徒の正答率が何%であるというようなことを目標としている教科もたくさんございます。そういった点からは、「学びの基礎診断」との連動を図りながら、定期テストの質の向上というところにも取り組んでいるのであろうと捉えてございます。
最後、複数のツールを使用する際の選択についてですけれども、本県ではもう各学校が実態に応じて認定ツールを選ぶようにしてございますので、特段こちらからこういう観点でというようなことを申し上げているものはありません。また統一してその結果を比較するということもしていないような状況でございます。
以上でございます。
【荒瀬座長】 中川課長補佐、ありがとうございました。専門学科でのお取組の様子も併せてお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
【大分県教育委員会】 これは中村のほうから回答いたします。
【荒瀬座長】 はい。
【大分県教育委員会】 専門学科についてはこれまで、民間の模擬試験を使うという取組をしていなかったところから、この「学びの基礎診断」をきっかけに、新しく民間の事業者のテストを全校で導入するということを、平成31年度に入ってから考え始めることになっております。
この専門学科それぞれについては、やはり基本タイプというような、中学校までの学習内容も加味しているタイプを導入していこうということで、多くの専門学科を持つ高校が導入していますが、一部、生徒の進路に合わせて、専門学科であっても、この認定ツールとこの認定ツールを選んでいいですよと、学校は1つなんだけれども、生徒のレベルに応じて2つのツールを併用したいというような学校があれば、そのように活用しているのが実態でありまして、1つの認定ツールしか使ってはいけないというふうに決めておりませんので、生徒の実態に合わせて学校が選ぶという形になっております。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
では、高知県の長岡企画監、同じ質問でございます。よろしくお願いいたします。
【高知県教育委員会】 まず授業改善の状況ですけれども、実際高知県のほうは学校支援チームという形で、各5教科、特に3教科、英・数・国については年間5回から8回、学校に応じてアドバイザーと一緒に訪問させていただいておりますので、その訪問の際、授業参観、それからその後の研究協議、そういった形で授業改善に関するアドバイスや指導・助言をさせていただいています。
その中で特に大切にしているところとしましては、学習の目標の提示であったり、それから振り返る場面の設定であったり、子供たちの発表の機会であったり、思考する場面であったりというようなことを大切にしながら、指導をさせていただいています。生徒の評価であったり、それから本人の自己評価の先生方の評価であったり、そういった部分も学期を追うごとに、評価、アンケートのほうも高まっているというような状況です。
それから専門科のほうのアプローチですけれども、これは実際に自分たちが学校経営の関係で学校へ行かせていただいたときに、校長先生方からお聞きしている話なんですけれども、全ての専門科ではありませんが、専門科の先生方が3教科の学び直しの補習に携わって指導をしていくことを、実際に学校として取り組んでいかれている学校、そういったところが出てきています。
そういった補習の部分で担当しながら、基礎的な学力をしっかりと身につけていく必要性というのを、専門学科の先生方も一緒に確認ができてきている証拠ではないかなというふうに思っています。
それから定期考査の部分ですけれども、定期考査については、「学びの基礎診断」を教科会のほうで分析していただいておりますので、そういったところで学校の学年の、もしくはクラスの生徒の状況といったものを確認しながら、作問にも入っていただいているのではないかというふうに思っております。
それから複数のツールのところですけれども、複数のツールを使用した場合の評価というところも含めてですが、まず複数のツールは、本県29校が基礎力に関係するツールを使用しています。残りの6校は、進学を希望する生徒が非常に多いところについては、標準のツールを選択していただいております。そういった形で選択していただき、その両者の学校の比較というところですけれども、それはお願いしている会社の指標にGTZという指標がありまして、そのGTZで比較ができるというような形になっております。
それから、それぞれの検査を実施した際に、途中発表の際にも少し御説明させていただきましたが、各科、英・数・国に関係する生徒の状況を基にした、学力向上プランというのを各学校に作成していただいて、どういう取組の改善をされているのかとか、そういったことを年間2回、学校支援チームと一緒に、各学校個別に確認を取らせてもらっています。そういった形で進めさせてもらっています。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
今、お三方にお答えいただきましたが、御質問いただきました先生方、いかがでしょうか。中村先生、手が挙がっている状態のようですが、これはもうよろしいですか。
【中村委員】 これはいいです。了解しました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。ほかの方はよろしいでしょうか。
では、ほかに御質問ございませんでしょうか。よろしいですか。
では、大分県、高知県、北海道教育委員会の皆さん、どうもありがとうございました。今日はお忙しい中お越しいただきまして、御説明、そして御質問に対する御回答も大変ありがとうございました。引き続き、生徒一人一人の学習意欲が高まるようなお取組を進めていただければと心から願っております。本日はありがとうございました。
それでは委員の皆さん、あともう時間はあまりないんですけれども、今日は1回目の会議ということもございますので、今後我々の取組といたしまして、全体を通じて何か御意見、あるいは御質問等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、清水先生、お願いします。
【清水委員】 ありがとうございます。今日は非常に貴重な改善の取組までも含めた現状報告をいただいて、大変参考になりました。その中で、この「高校生のための学びの基礎診断」というネーミングからも想定されますように、フィードバックされた情報に対して、高校生自身がどういうふうに考えているかというあたりの感触というか、データというか、そういうものがあると、今後のいろんな仕組みを考える上で非常に参考になるかなと思いましたので、その辺のところも何か機会があれば、ぜひ伺ってみたいなと思いました。感想ですみません。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。大変重要なお話かと思います。私も本当に一人一人の生徒の学習意欲を喚起するというのが目的でありますので、そこのところの振り返りといいますか、評価が十分できないと、やっている価値が随分と変わってくると思いますので。ありがとうございます。
では、長塚先生、お願いします。
【長塚委員】 長塚です。ありがとうございます。昨年でしたか、文科省のほうで、この「学びの基礎診断」の利用状況を調査されて、公表されています。それを拝見しますと、やはり3教科セットがほとんど8割を占めていて、調査からでは分からないんですけれども、各高校で既に活用していた、民間事業者のテストが認定されているという経緯もありますので、その意味では、認定前と認定後がつながっているというような感じもしたわけでございます。
ただ、最初の認定のときに、最初だからということで認定したものの、厳しい条件がついていたということがありました。それは特に結果の提供に関してなんですけれども、結果提供の仕方については、今後これをしっかりと見直していこうじゃないかということだったと思うんです。しかし、従来型の3教科のツールは、どうしても従来の結果提供の方策に引きずられているようですので、やはり事業者さんのほうも課題ですし、高校現場のほうも、その受け止め方、あるいは見方を自らどう変えていくかが大事ではないかと思います。
そういう中で、私は今回、北海道教育委員会さんが独自におつくりになっている中で、今提示はできないかもしれませんが、47ページに、難易度の高い、Aモデルで国語の生徒用の自習問題があったんです。映せますか。47ページです。このStep4で、生徒自身がこれを教材として自習できるよということで、誰でも使える教材になっているんですが、この問4は記述問題なんです。
このAモデルの問題には必ず記述問題が含まれていて、そこに記述式の問題の評価の仕方、評価段階がルーブリックになっていて、生徒自身がどういうような記述をすることがよいのかということも分かるようになっているんです。これは問題の形式、それからその評価の仕方、結果提供の仕方にも参考になるのではないかと。民間事業者の方々も、ルーブリックの段階を考えた問題をつくるということ、そして評価を出していくということが、大変難しいんだという話でもありましたけれども、こういうのもむしろ参考になるのではないかなと。こういう出題の仕方なり評価の仕方が、ある意味期待されているのかなというふうに思いました。
県教委さんも、この採点と評価の仕方というんでしょうか、その結果の出し方がこれからの課題でもあるというふうに、最後にお話しなさっていましたけれども、難しいことだとは思うんですが、大いに参考になったところではないかと思ったところでございます。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
確かに、今、長塚先生がおっしゃった、結果の返し方というのが、全く大学入試の模擬テストをやっているということになってしまっているのであれば、これは「学びの基礎診断」の趣旨からして違ったものになるわけで、それが改善されているかどうかというあたりは、本当にこれから注意して見ていく必要があろうかと思います。ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
では最後に、岡本先生から御発言いただきたいと思います。岡本先生、よろしくお願いいたします。
【岡本委員】 岡本でございます。別に最後だからって特別なことを言うことではないんですけれども、先生方の御意見は非常にそのとおりだと思っています。
全然別の視点からなんですけれども、「学びの基礎診断」ということなので、独自に北海道のようにつくられている場合、あるいは業者のいろいろなテストを使う場合、前川さんもそれもちょっと触れていらしたけど、問題の質について、点検というか、今目的のために、子供にフィードバックしたりするのに、それが本当にいい問題なのかという、いい意味での批判がこれから必要になってくるんだろうなということを、ちょっと漠然と思っています。
入試の模擬テストならば、何点取ったって最後に勝負するんだから、別に問題の質をそこで議論してもしようがないんですけれども、「学びの基礎診断」ですから、先ほど長塚先生が褒めていらっしゃったように、そういう問題の質を少し、現場の先生方がいろいろ点検するということで、今フィードバックするにつけても、先生方の授業改善につけてもいろいろ役に立つのではないかなと、ちょっと別の視点でそういうことを思いました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。まさに基礎診断の活用というのは、今、岡本先生がおっしゃったことに尽きるのではないかと思います。ありがとうございました。
それでは、ちょっと途中、この会議では初めてのWebexを活用しての会議であるということでいろいろございまして、委員の皆様もちょっとはらはらなさったかもしれませんが、今日はこれで終わりたいと思います。
今後の予定につきまして、齊籐さん、よろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 ありがとうございます。本日は資料の提示が遅れまして誠に申し訳ありませんでした。また次回には改善させていただければと思います。
次回の有識者会議でございますけれども、12月21日、月曜日の10時から12時までを予定しております。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 それでは、本日の議事はこれで終了といたします。委員の皆様方、ありがとうございました。それから3つの教育委員会の皆様も本当にありがとうございました。これにて終了いたします。ありがとうございました。

── 了 ──

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