「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議(第4回)議事録

1.日時

令和3年3月19日(月曜日)

2.場所

文部科学省5F5会議室(オンライン会議システム使用)

3.議題

  1. 現在の取組み状況について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬座長】 皆さん、おはようございます。少し遅れましたが、ただいまから第4回「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議を開催いたします。本日、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、会議に入る前に、委員の出欠状況につきまして、事務局から御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【事務局】 本日の欠席の委員の先生は、岡本和夫先生、長塚篤夫先生、萩原聡先生、前川眞一先生の4名でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
それでは、本日の配付資料につきまして、重ねてよろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 本日の配付資料でございますけれども、議事次第にございますように、資料1「『高校生のための学びの基礎診断』の認定基準・手続等に関する規程」の改訂(案)について、資料2「高校生のための学びの基礎診断」の今後の取組(案)について、参考資料1「『高校生のための学びの基礎診断』の認定基準・手続等に関する規程」を用意しております。
資料につきましては、ペーパーレス化の取組を推進するため、委員の先生方には事前にメールで送信しておりますほか、文部科学省ホームページにも掲載しておりますので、そちらを御参照ください。
【荒瀬座長】 よろしいでしょうか。それでは、議事に入りたいと思います。今日は2つの議題であります。1つ目は、「『高校生のための学びの基礎診断』の認定基準・手続等に関する規程」の改訂(案)につきまして、2つ目は、今後の学びの基礎診断に関する事柄につきましてという2つであります。
では、まず1つ目でありますけれども、「『高校生のための学びの基礎診断』の認定基準・手続等に関する規程」の改訂(案)を資料1に基づいて、齊藤参事官補佐から御説明をよろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 よろしくお願いいたします。それでは、「『高校生のための学びの基礎診断』の認定基準・手続等に関する規程」の改訂(案)について御説明させていただきます。
まず1ページ目、認定基準についてでございますけれども、まずこちらの改訂理由といたしましては、こちらの認定基準策定時、平成30年3月段階では、まだ学習指導要領が出たというところで、学習指導要領に基づく学習評価の考え方というのを国として示しておりませんでしたけれども、今、現段階では学習評価に関する考え方というのをお示ししておりますので、それに関する基準を追加するというところでございます。
具体的には、改訂後のところを御覧いただければと思いますけれども、出題に関することの中に追記させていただいて、内容としましては、ツールによって測定する資質・能力が新高等学校学習指導要領に示されている各教科の目標と、それから、通知の改訂(案)を踏まえて、各教科の評価の観点等の趣旨に対応していることを書かせていただいております。
それから、下段のところにつきましては、英語の教科の考え方、示し方について、出題に関することの基本方針を追記させていただいております。
それから、2ページ目を御覧いただければと思います。2ページ目のところは、こちらも認定基準に関することでございますけれども、出題に関することとして、現行の基準では、3教科セットの測定ツールにおける英語の「話す」技能については、2021年度までの間に利活用されるものに限り、「話す」技能について、測定することに変えて、問題解答例、採点基準を学校に提供することでも構わないという規程になってございますけれども、先日の事業者からの取組状況であるとか、学校現場のパソコンの整備状況等を鑑みまして、2021年度までの弾力的な運用のところを2024年度までの間に延長させていただくという趣旨でございます。
それから、3点目でございますけれども、認定基準についてでございますが、こちらはもともと、基礎診断の結果提供については、目標準拠というのが基本となっております。30年10月の認定のときにも改訂理由のところに書かせていただいておりますが、採点、偏差値等の大学の合格度合いを提供する集団準拠は、達成度目標、目標準拠を主とする基礎診断の本来の趣旨から異なるということなので、その内容を改めて認定基準に設けさせていただいているところでございます。
具体的には、基礎診断の結果提供については、目標準拠とする。なお、高等学校の希望があった場合に限り、集団準拠の結果提供することを妨げるものではない。ただ、認定された結果提供と明確に区分した上で提供することとさせていただいているところでございます。
それから、4つ目、2ページ目の一番最後の段落でございますけれども、これは第3回目の会議のときにも、宇佐美先生だったでしょうか。御指摘があったかと思いますが、実施後の検証について、検証の内容が事業者によって結構ばらつきがあると。いろいろと検証されているところもあれば、検証の内容が簡素化されているところもあるという御指摘もあったように思います。
その内容を踏まえまして、認定基準の運用その他に関することといたしまして、基本的にこちらの様々な検証の方法を提示させていただいて、これらの取組を実施していただくことと併せて、これらの取組を実施できるような専門家の意見を聞いて、継続的に改善し続ける体制を有することということで、基準に書かせていただいております。
なお、この表現は、もともと様式6として、事業概要報告書に記入例として記載されている内容が認定基準に上がってきたと御理解いただければと思います。
それから、3ページ目を御覧いただければと思います。3ページ目は指摘事項に関することでございます。現在、指摘事項に関しましては、指摘するということが書かれているところでございますが、その指摘を受けて認定事業者が対応いただけるように、指摘事項についても追記させていただこうと考えておりまして、改訂後の欄を見ていただくと、朱書き、赤書きのところを見ていただければと思いますけれども、認定を受ける際、指摘事項を通知された場合は、その指摘事項を踏まえ、適切な改善を図るとともに、改善した内容は速やかに文部科学省に報告することと規程を追記させていただこうと考えております。
それから、最後になりますけれども、変更届の扱いについてでございますが、変更届の扱いについては、変更届を提出する際は、3か月前に提出することと、それから、変更の内容が認定基準に関する事柄である場合は、必要に応じて審査会を経て、変更届の内容を審査し、認定または不認定を決定すると規程を盛り込ませていただこうと考えております。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今、御説明いただきました7か所、修正するということでありますが、これにつきましては、前回の会議でも先生方からの御意見をいただきましたので、それを踏まえた改訂であるということであります。これにつきまして、御意見、御質問等ございましたらお願いしたいと思います。
いつものように、手を挙げるボタンを押していただきたいですけれども、私のほうが、手を挙げるボタンを見るのが少し時間かかるかもしれませんので、もしよろしければ、実際にお顔は見えていますので、手を挙げていただけると分かりやすいかと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
竹内先生、お願いします。
【竹内委員】 ありがとうございます。第4の認定基準の(1)認定基準、マル1の出題に関するところということで、英語に関する「話す」技能に関しては、2024年まで利活用に限り、弾力的に運用するとありますけれども、これは事情もよく分かりますので理解はできるのですけども、このように書いてしまうと、またどんどん先延ばしになるかなという危惧を若干持っておりまして、この期間に出題に向けて整備するようにというようなニュアンスの言葉が入っていればよいかなと感じました。一度御検討いただければありがたいと思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。以上です。大変重要な御指摘であります。ありがとうございました。盛り込むことでお願いしたいと思います。
他にはいかがでしょうか。藤森先生、どうぞ。
【藤森委員】 藤森です。よろしくお願いいたします。一番最後の変更届の扱いについてのところでございますけども、変更する3か月前には提出することという、こういう文言がございます。委員会の審査等の日程を考えると、これは大原則だと思うのですけど、いろいろな事情が考えられますので、このように規定してしまうと、3か月を切った場合にはもうこれはどうにもならないのかというふうに、認定業者のほうで法規制をしてしまう可能性がありますので、例えば変更届については原則としてという一言を添えておいていただくと、弾力性のある運用ができるのではないかなと思って拝見しました。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。藤森先生の御指摘も大変重要な点だと思います。盛り込むようにお願いしたいと思います。
他にいかがでしょうか。中村先生、どうぞ。
【中村委員】 おはようございます。中村です。先ほど竹内先生にも御指摘をいただいている認定基準の2024年のところについて少し述べさせていただきたいと思いますが、スピーキングテストについて、やはり県内の全校とか、それから、校内の全生徒というような、大規模で活用することを考えると、CBTが現実的だと思います。学校現場からも負担が少なくてできるようなそういうCBTの開発が望まれる。しかも、それが複数のツールから選べるというような環境を望む声を聞いています。ですから、ぜひその辺の開発というのは、引き続きお願いしたいと思います。それから、前回の会議で、高校側のネットワーク環境の整備が急速に進んでいるということを申し上げましたが、本県でも先進的にやっているところは、既にCBTの認定ツールを活用したり、日々の授業でも民間のオンライン英会話など、リアルタイムで評価が返されるようなものを活用しているのですけれども、学校全体とか県全体ということを考えると、やっとスタート地点に立った状態ですので、生徒の側も、指導する教員の側も機器操作への慣れとかトラブルとかそのようなことを考えると、やはり受け入れる側、使う側の準備というのは十分ではないと思っています。ですから、2024年というのも、これは現実的な対応であるのかなと思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。これは大学入試の会議でもそういった議論が行われているわけですけれども、CBTの開発というのは、これは簡単にはできませんので、本当にしっかりと地道に進めていってもらうということが、これはぜひとも業者の皆さんにもお願いしないといけないと思います。ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。既にいただきました御意見を反映したものでありますので、今おっしゃっていただきましたようなことを付け加えるということで改訂していただこうということですが、よろしいでしょうか。
そういたしましたら、最終的な修正の文案は、大変恐縮ですが、座長の私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
それでは、今後のことにつきまして御議論いただきたいと思うのですが、議論の前に、資料2の「高校生のための学びの基礎診断」の今後の取組(案)につきまして、齊藤参事官補佐から御説明をいただきたいと思います。これは活用実態調査の概要、サンプル数がそんなにたくさんあるわけではないですけれども、これについての御説明も含めてお願いいたしますので、時間が長くなりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
では、齊藤参事官補佐、お願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 すみません。先ほどの改訂に関する件でございますけれども、参考資料1のほうが改訂の文言を溶け込ませていただいておりますので、また、こちらのほうも参照いただければと思います。よろしくお願いします。
それから、資料2について、御説明させていただければと思います。まず資料2に入る前に、先日、荒瀬先生からも御紹介いただきましたアンケート調査というのを実施しておりまして、その結果の概要を御説明させていただきながら、資料2についても御説明したいと思います。
まずアンケート調査の概要につきましては、アンケート調査の概要を見ていただきますと、A4判で見えづらいかもしれませんけれども、実施したのが、照会をかけたのが、令和元年度測定ツールを活用したというのが分かった全国91校の学校に照会をかけさせていただいて、回答があったのが65校となっております。調査を実施した実施機関が約2週間ぐらいとなっております。
今回の説明につきましては、特徴的なところについて御説明させていただければと思うのですけれども、まずアンケート結果の2ページ目を確認いただければと。こちら、回答いただいた学校の設置している学科の数でございますけれども、普通科が52校、専門学科が21学科、総合学科が5学科となっております。
それから、測定した、選択した測定ツールの使用を決定したときでございますけれども、令和元年度からスタートしている測定ツールでございますが、令和元年度以前からずっと使っていたというところが、国語が61%、それから、数学が91.7%、英語が87.5%、それから、3教科セットが55.7%ということで、逆に、令和元年度から測定ツールを開始しましたという学校が、国語が33.3%、数学はそういうところはないと。英語は12.5%と、3教科セットが41%となっております。
令和元年度からスタートしたというところにつきましては、学びの基礎診断というのがスタートして、改めて認定していただいた、検討していただいたという可能性が見えてくるのかなと考えております。
それから、3ページ目、4ページ目を御覧いただきたいと思うのですけれども、測定ツールの活用として、測定ツールを選んだ理由についても聞いております。一つ一つの選択肢であると結構特徴的なところが見えるのですけども、それをある程度まとめてグループとして見たときには、それが平準化されてしまっておりまして、あまり特徴が見えてこないですが、まずグループとして見た場合の傾向として御説明させていただきますと、全体の傾向としては、サービスの内容。サービスの内容は4ページ目を御覧いただければと思いますけれども、ツールのサービス内容として、例えば手軽に測定できるとか、測定結果の提供内容が充実しているとか、そのような内容が選んだ理由と回答いただいているのが32.5%と。それから、学力に関すること、これは3ページ目を御覧いただければと思いますけれども、学力に関することとしては、生徒の平均的学力を合っているとか、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」の測定ができると。そういうようなところからツールを選んだと回答いただいたところが29.6%となっております。
これが教科別に関しますと、国語は、学力に関することが33.3%。それから、授業の代替。授業の代替は4ページ目に記載されておりますが、測定時に学力の目標値や出題範囲が設定できるとか、テストの作成や採点等に係る教員の負荷軽減が図れる。そういうようなことから選んだというところが24.1%となっております。
次に、数学でございますけれども、数学は、回答が一番多かったのが、資格や入試への対応として、こちらは資格として就職時に有利となると考えられると回答があったような、資格や入試への対応が41.7%。それから、出題に関すること、両問が出題されていると回答があったように、出題に関することが22.2%となっております。
それから、英語でございますけれども、資格や入試への対応というのが29.2%、サービス内容が18.8%、3教科の場合はサービス内容が42.6%で、学力に関することが33.3%となっていると。
次に、測定ツールの活用として重視している点というのが、こちらは5ページ目を御覧いただければと思うのですけれども、全体の傾向としては、状況の把握、偏差値や志望先への合格率のためというところの選択が一番多かったのが59.8%となっておりまして、次に、教員の指導力の向上のために、そのツールを使いますと回答いただいているのが54.2%の回答となっております。
これを教科別に見てみますと、こちら、国語のほうにつきましては、卒業後に役立つ学力への活用というのが77.8%と高い数字を示しておりまして、2番目に、教員の指導力の向上というのが61.1%となっております。
それから、数学でございますが、数学に関しましては、得意分野を伸ばすことと、卒業後に役立つ学力、それから、現状の把握というのが、この3つが同列で58.3%となっております。
それから、英語に関しましては、現状の把握というのが75%と、それから、教員の指導力の向上というのが62.5%となっております。
3教科セットに関しましては、不得意分野の克服への活用。それから、現状の把握が60.7%と同率で上がっております。
それから、5ページ目の下のところに、受験している試験形態、複数回答で回答いただいていますけれども、現在のところはやっぱりPBTでの活用というのが97.2%で、非常に多くて、英語の活用以外では大体PBTへの活用となっております。
次に、6ページ目を御覧いただければと思うのですけれども、6ページ目は、受験回数はおおむね1回から3回で90%を占めております。その内容について、その数が妥当性があるかというところについては、68.2%が妥当と回答いただいております。
次に、7ページ目の受検費用でございますけれども、受検費用、一番高いところで申しますと、国語は4,000円未満が72.2%、それから、数学が5,000円未満が75%、英語が5,000円以上というところが75%となっており、3教科セットの場合は、3,000円未満が26.2%と、4,000円未満が45.9%となっており、それらの金額に対する妥当性については、72%が妥当であると回答いただいているところでございます。
次に、10ページ目を御覧いただければと思うのですけれども、これはページが大きくなっておりますが、10ページ目の内容というのは、事業者より提供された結果の提供の内容がどういうものがあったかということと、その提供された内容を活用しているかどうかということについて質問しておりまして、それがパーセンテージに変えられたものが10ページ、11ページになります。
こちらもグルーピングにしてしまうと数字が平準化して、特徴があまり見えてこないですけれども、グルーピングの中で結果をお知らせしますと、結果提供のうち、合否判定、資格認定であるとか志望校判定であるとか、そのような結果提供を活用していると回答いただいたのが64.3%。それから生徒自身の復習を促すものというのが57.6%を活用していて、この2つが一番大きな活用率となっております。
それから、教科別に御説明いたしますと、国語は、合否判定、資格認定などが85.7%と、それから、素点、これは10ページ目にございますけれども、総括の得点や出題された問題ごとの合否、整理ですね。正誤が63.3%となっております。
数学に転じますと、生徒自身の復習を促すものと、それから、学習意欲を促進させるもの、これは11ページにございます。学習意欲を促進させるというのは、例えば問題解決のテキストや問題解説の動画が提供されるというような、そういう復習を促すものというところが50%となっております。
それから、英語でございますけれども、同じく学習意欲を促進させるものが85.7%、それから、観点別評価。これは10ページ目にございます。観点別の評価というのは、「知識・技能」の評価や、「思考力・判断力・表現力」の評価、このような評価を活用するというのが73.7%となっております。
3教科セットについて申しますと、合否判定が60.7%、それから、生徒自身の復習を促すものが59.8%となっております。こちらをざっと見ていただきますと、やっぱり教科によって活用の状況が、パーセンテージが全体として高い教科もあれば、ちょっと活用しているというのが全体として割合が低いというのも見えてくるようなところがございます。
次に、13ページ目を御覧いただければと思うのですけれども、13ページ目のところです。生徒の基礎学力の確実な習得に向けて、実施しているPDCAと測定ツールの活用。これは測定ツールを使ってPDCAをどのように実施しているかというところを聞かせていただいております。
全体としては、生徒の学力の向上、改善としまして、学習計画の作成への指導や、学習方法の工夫などを入れた生徒の学習向上の改善というのが57.3%、それから、教員の取組による改善、生徒個々への補習等による改善、クラス単位での補習というのが45.5%となっております。
教科別に申しますと、国語、こちらは生徒の学習向上・改善が46.8%で、教員の取組改善が34.4%、数学が、生徒の学習向上や改善が25%で、教員の取組による改善が14.3%、英語は生徒の学習向上・改善が70.3%で、教員の取組改善が61.1%、3教科セットは、生徒の学習向上・改善が62.2%で、教員の取組改善が51.1%となっております。
次に、学校の取組改善というのが14ページにございますけれども、14ページの学校の取組改善は、全体としては30.2%の回答となっております。
それから、最後に15ページ目にツールを使った生徒の意見というのがございまして、これは委員の先生方から、そういう声が聞けたらいいという御指摘がありましたので、挙げさせていただいております。これは学校数として回答いただいているのですけれども、一応、その学校の中で一番多い回答があったというのが、それぞれピックアップしていただいておりまして、その結果がこちらの表になっております。
簡単ではございますけれども、あと、16ページ目、17ページ目のところでは、測定ツールを活用するに当たった先生方の自由記述の回答を掲載しておりますので、参照いただければと思います。
簡単ではございますが、調査結果としては以上でございます。
その結果を踏まえまして、資料2に進みたいと思うのですけど、資料2の1ページ目を御覧いただければと思います。こちらは、「高校生のための学びの基礎診断」の今後の取組(案)についてでございますけれども、先生方から3回目のところでも御指摘をいただきまして、その指摘を踏まえて取りまとめさせていただいたところでございます。
まず1番のこれまでの取組というところは、基礎診断の制度を創設したというところを、30年12月に初めての認定を行ったというところでございまして、今後、その運用開始から3年経過を目途に、文部科学省によって実施状況等について検証を行うということが書いております。
それから、2番目の高校生における現在の利活用の状況でございますけれども、(2)として、今回御説明させていただいた実施状況調査の概要を載せております。内容としては、現状の把握です。偏差値や志望校への合格率が59.8%、教員の指導力の向上が54.2%となっていて、これまでの取組のようなニーズが依然としてありながらも、教育のPDCAを促進するための活動、活用というのもうかがえるとなっております。
今後の取組の方向性でございますけれども、本会議を通じて、学校現場における利活用の実態として、こちらは3回目に御発言、委員の先生方からもいろいろ御発言いただいた内容について取りまとめております。それから、3ポツ目のところには、今回の調査、実態調査を踏まえた内容を書かせていただいております。
今後の学びの基礎診断の普及促進に関する取組といたしまして、生徒の学力の伸びの把握や指導の工夫改善の状況、学習評価との関係を踏まえつつ、授業改善・学校の取組改善の実現を図るためのPDCAサイクルの促進の在り方について、事例研究による調査研究を実施して、モデル事例を多く創出させていただいて、その取組事例をホームページに掲載させていただいて、それぞれの学校がそれを参照していただきながら、高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクルの取組促進を図りたいと書かせていただいております。
資料2の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。資料2は1枚物でありますけれども、アンケート結果の分析というのでしょうか。実態調査につきましては、大変細かい数字がたくさんありまして、ところどころ、あれですね。例えば2ページですけれども、調査結果の2ページですが、一番下、右下の表の1番、「令和元年度より」というのは、これは「令和元年度以前より」ですよね。「以前」という字が抜けていたりするのかなと思います。
データにつきましては、大変広範にわたっておりますけれども、このことに関しましても、あるいは2つ目の議題であります今後の取組ということにつきましても、御質問、御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
資料の共有を外していただいて、皆さんのお顔が。ああ、見えました。いかがでしょうか。藤森先生、どうぞ。
【藤森委員】 よろしくお願いします。全体的な指摘という形で、小さなところを1点と、若干大きな点を申し上げさせてもらってよろしいでしょうか。
【荒瀬座長】 どうぞ。
【藤森委員】 小さなところから申し上げるのですけど、「授業の代替」という言葉が資料の測定ツールの実態調査の概要についてというところにあるんですけど、内容を見てみますと、先生方の授業の中で、これは実際に今回の基礎診断の結果を利用されている、活用されているケースと、それから、負担軽減というケースがあって、授業の代替という言葉を直感的に読むと、あたかもテストしている時間を授業時間に充てて、楽をするようなマイナスのイメージを与えるので、ここの文言は工夫が必要ではないかと思いました。
続けて申し上げてよろしいですか。
【荒瀬座長】 はい、どうぞ。
【藤森委員】 2点目は、1ページ目ですけども、前回の会議でも出ましたように、今後、基礎診断の利活用について、取組として好事例をどんどん発信していくという、こういう意見が出たことを記憶しておりますが、せっかくですので、かなりこれについて前向きにやっていらっしゃる学校現場には、例えば奨励金ですとか、幾つかのインセンティブを与えて、国としても大々的に、例えばベストスクールというお名前でメディアを通じて、大々的にこれを公表していただくと、やる気にもなるし、いいのではないかなと思いました。
3点目が若干大きいですけれども、簡潔に申し上げます。測定ツールの最後のページに近いところの先生方の御意見の中で、全範囲にわたる基礎学力を測定することができないという、こういう御指摘がありました。
それで、ざっとアンケートを拝見しましたところ、例えば5ページのところの測定ツールとして、あえて言えば重視していることの中で、卒業後に役立つ学力への活用という部分が各教科ともかなり大きなウエートを占めております。ただ、気になるのが、3教科分の中で言うと、これは比較的低くて、少しここが気になりました。
何が言いたいかと申し上げますと、実は、実際に測定ツールの使用で、回答された学校の中で、普通科としては最も多くが3教科分を一斉に行っています。これは学びの基礎診断のコンセプトから見たときに、教科別のそれぞれの達成度も大事には違いないのですけども、それにあまりにも傾斜し過ぎると、結果的には受験判定みたいな形に傾斜していく傾向は、これは克服できない気がしていて、特に3教科分を一斉にやるところでは、例えば国英数の相関を見ながら、それぞれの教科にまたがる、これは学力の育成に関する文科省の答申でもありましたように、基礎的、汎用的な力として、どういうふうな考える力、判断する力、表現する力がこの3つを横串で貫いているのかという、これについての分析ができるような、こういう工夫改善は、今後さらに求められるのではないかなと思います。
これは経産省でも社会人基礎力で同じようなことが示されていますけれども、やっぱり基礎的な、汎用的な学力は何なのかというところに光を当てていくと、思考力・判断力・表現力につながるような要素が出てくると思うのですけど、少しくどくなって申し訳ありませんが、例えば国語で何かを考えるときに、置換して捉えていく思考ですとか、あるいは英語論文でよく行われるように、まず結論を述べて、それを論証していくという思考スタイルですとか、そういった部分で教科間はかなりいろんなつながりを持っていますので、そこについて、あなたの根っこの考える力、判断する力、表現する力はこんなところにあるんですよということが発信できるような基礎診断のテストの改善になっていくといいなというふうに思いながら、このアンケートを見ておりました。
以上、3点、申し上げました。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。藤森先生が今おっしゃった3つ目、大変重要な御指摘かと思うのですが、それは、一つは事業者の皆さんにそういったようなデータと言うのでしょうか。あるいは返し方と言うのでしょうか。そういったことについて考えていただくということと、一方では、やっぱり学校自体がどうこれを使っていくかという点で、そこのところを考える必要があるという両方の御指摘と受け止めさせていただいてよろしいでしょうか。
【藤森委員】 おっしゃるとおりです。事業者の問題もありますけど、今回の学びの基礎診断室診断で大きく期待したいのは、ややもすると教科主義になってしまって、利益団体みたいな形になりがちな高等学校の中での教科間の先生方のスクラムや連携をより強化して、学年だけじゃなくて、教科も超えて、生徒の成長に貢献できるようなことは何なのだろうかという、そこに対する先生方のモチベーションと情熱を、アクセルを踏めるようなそういう形になってくるといいなと。これはかなり漠然とした言い方ですけども、あるなと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。それぞれの学校として、生徒にどういう力をつけるのかという、前回も申し上げましたけれども、それこそ今後、各高等学校でスクール・ポリシーをつくっていくというところで、卒業時点の姿というグラデュエーション・ポリシーに向けたカリキュラムをどう整備していくかという、そのカリキュラム・ポリシーに、この基礎診断、PDCAサイクルを回していくということで、非常に深く関わっていると思いますので、今の御指摘は、高等学校のほうにもしっかりと発信していく必要があるなと思って伺いました。ありがとうございました。
【藤森委員】 ありがとうございます。
【荒瀬座長】 他にいかがでしょうか。清水先生、手を挙げてくださった。すみません。
【清水委員】 清水です。貴重なデータの御提供ありがとうございました。まず第一は、2月に行われたばかりですので、時間的な厳しさもあったのだと思いますけど、ぜひ表の形式よりも、グラフの形式にして、教科のコントラストを見せていただきたいと思います。あと、項目による特徴的な部分もいろいろあって、非常に面白いデータだと思いますので、そういう整理の仕方を時間が許される範囲でお願いできればというのが、全体的な1点目のお願いです。
それから、2つ目は、これをどういう形でフィードバックしていくかという点も非常に重要かと思っています。調査対象が91の、2019年度に実施した学校のうち66校ですので、72%の回収率で、非常に高い回答をいただいていますので、そういう学校にもぜひビジュアル化した形で、ほかの学校やトレンドとして、どういう状況があるというのをまたフィードバックしていただくことも大事かなと思いました。
もう一つは、これは個別の高校の動きに焦点を当てた調査ですけれども、以前、岡山県教育委員会のように、各自治体の教育委員会等がいろいろ工夫しておられる、そういういい事例もありますので、教育委員会レベルのそういう行政サイドの動きについての実態も、これから先、情報をいただきたいなと思いました。
調査の中身ではなくて、一般的なことをまず3つ申し上げました。時間があれば、また個別の話もさせていただきたいと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。確かに教育委員会がどんな取組をして、この取組をどう評価しているのか。あるいは今後にどう生かしていこうとしているのかと、非常に重要な案件だと思います。ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。中村先生、どうぞ。お願いします。
【中村委員】 中村です。先ほど清水先生からも御指摘がありましたけれども、各学校はもちろん取り組まないといけないのですが、なかなか学校だけの取組でこういった改善が進むというのは難しいと思っています。それから、好事例などを例えばホームページに載せて、ここにあるよということで提示しても、やはりそれだけではなかなか改善が進まないというのが、今、正直感覚としてございます。そういうことで、学校間のネットワーク、岡山県の場合は、例えば合同分析会をやっていると申し上げましたけれども、その中で同じ課題を持っている、例えば専門科、それから、普通科、進学校という、そういうようなグルーピングで研究協議も併せてやっています。
そういう、他の学校のノウハウとか同じ土俵で話し合えるような、プラットフォームじゃないですけど、そういったものが県レベルでできるのもいいし、さらには、国のレベルでも何かそういう共通で話ができるような、そんなネットワークができたり、そういったことも大きな話ですけれども、改善に資するような方向性になるのではないかなと思っています。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。今おっしゃった話で言うと、私が関わって、大変興味深かったのは、SSH校が近畿、北陸、県を超えて、つながりを持って、その中で評価の方法をどう改善していくのかとか、指導の在り方をどう工夫するのかといったようなことを研究している、そういうグループができているのですね。そんなことも含めて、この学びの基礎診断が学校間、教員間で本当に高校生のための取組をどう工夫、改善していくかというところにつながるような場をつくっていくというのは本当にすばらしいと思います。ありがとうございました。
他にはいかがでしょうか。田村先生、手を挙げていただきましたでしょうか。ありがとうございます。お願いいたします。
【田村委員】 ありがとうございました。よろしくお願いします。調査の結果を拝見していますと、学校として授業改善の取組、それから、評価をするといったようなことに関して、学校によって、いろいろな状況があるのだなということはまず分かったということですね。そして、そのいろいろな状況の中で、この測定ツールを扱っている学校もあれば、使い切れていない学校もあるということが分かったということですね。まずこうやって実態を把握する。そして、それを共有していくということに意味があったかなと思います。
やっぱり学校によって、授業改善のきっかけであるとか方法であるというのは、それぞれいろいろなパターンがあると思いますので、測定ツールが一つのきっかけを提供できるのであれば、測定ツールが機能を果たしたということでよかったと思うのですけれども、逆に言うと、無理に測定ツールを使っていく必要もないのかなと思います。ただ、この結果を見ていただいて、測定ツールを提供する側の皆様には、学校の先生方に、どうやったら役立つのかということをぜひ工夫して伝えていただいたり、そういったことを念頭に提供する資料なども少しずつ改善を加えていっていただけたらよいと思います。
そういうコミュニケーションというのが学校と業者の間にも必要だと思いますし、先ほど中村委員がおっしゃったように、いろんな学校間をつないで、それぞれ学校は、やはり高校だといろいろニーズが、学校によって違うグループというのができてくると思いますので、そういうニーズの違ったグループ同士のコミュニケーションの場、プラットフォームというものができて、それぞれにやはりお互いの知恵を共有し合い、そこから知恵をつくっていくような、そういううねりになっていくのであれば、学校の先生方の内発的な授業改善ということにつながっていくのかなと思いました。
以上です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。最後におっしゃった内発的な改善というのは非常に重要なことだと思いました。ぜひ高等学校が、学習指導要領がいよいよ始まりますので、具体的に進めていっていただければと思います。
ほかにいかがでしょうか。
【清水委員】 清水です。よろしいでしょうか。
【荒瀬座長】 はい。お願いいたします。
【清水委員】 資料2の2ページにサマリーのような形でまとめていただいているものの、結果提供に関する活用についてのものがあります。これは学びの基礎診断の趣旨から見ますと、生徒自身が復習を促されたり、学習意欲が促進されたりするというのはまさに狙いどおりのところだと思いますけども、副次的と申しますか、合否判定ですとか資格認定というところ、これが従来から高校では検定等も受検しているという自治体があると思いますけど、その部分をどういうふうに解釈したらよいかというところが、少し私はまだよく理解できていないところもあります。特に国語、あるいは3教科の85%とか、これは元のデータの表で申しますと、どこでしたかね。活用の8ページ以降に結果提供の有無というところがありますけど、対応する場所を教えていただきたいと思って、すみません。
【荒瀬座長】 8ページですかね。10、11ページに割合が出ているということです。
【清水委員】 相対評価等の合否判定というのは10ページにありますね。
【荒瀬座長】 はい。志望校判定ですかね。
【清水委員】 この数字でしょうか。85.7という国語の資格認定等というのは、この77.8と何かを合算したものでしょうか。すみません。その数字が私は十分理解できません。
【荒瀬座長】 なるほど。確かにそうですね。齊藤さんから御説明いただきます。
【齊藤参事官補佐】 恐縮でございます。10ページ目、11ページ目の見方でございますが、まず結果提供の有無というところがございます。この結果提供の有無というところは、母数がそれぞれの結果提供の母数というところが、例えば全体として、国語は18、それから、数学は12、英語は16、3教科分が61というのが分母でありまして、その分母に対して、結果提供があったと回答いただいている数がこちらの結果提供の有無(a)の部分であります。ですから、例えばですけれども、国語の絶対評価の1番のところ、目標に対する到達度が8と書いておりますが、これは18分の8という数字になりまして、その結果として、10ページ目の該当箇所、左上の箇所ですね。18分の8ということで44.4%となっております。
これが(a)の箇所の割合となっております。これに対して、(b)の箇所の割合でございますが、こちらは、例えば8ページ目を御覧いただきますと、同じく絶対評価の国語の箇所、目標に対する到達度が8校ですね。結果提供がありましたというのが、8が分母となっておりまして、この8に対して、(b)のところですね。(a)のうち、活用しているものが5となっております。
ですので、こちらは10ページ目を御覧いただきますと、分母が8に対して、分子が5、8分の5ということになりますので、こちらの割合、10ページ目のこちらの割合というのが62.5%となっております。
この考え方に基づきまして、先ほど資料2の2枚目、3枚目のところが主なポイントとして書かせていただいているものでございますが、国語の合否判定、資格認定などが85.7となっているのは、10ページ目のところの国語(a)のうち、活用しているものの(b)の欄の国語を見ていただいて、かつ、そこの左のところの合否判定のところの合計が85.7となっておりますので、この割合が国語の中では一番高いという形となっております。
分かりにくくて恐縮ですけれども、資料の内容としては以上でございます。
【清水委員】 ありがとうございました。やっと分かりました。要するに、分母が回答と違っているということですね。分かりました。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 先生、よろしいでしょうか。ありがとうございました。大変見づらいといいますか、覚えづらいので、ちょっと字が細かかったりして大変ですけれども。ほかにはいかがでしょうか。
本年度の最後の会議にもなりますので、この2つの内容、全体を通じまして、あるいはまた、学びの基礎診断に関しましてお考えをお聞かせいただくというのもぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですか。ともかく始まって、まだ十分に考え方なども浸透していない面があるかと思いましたが、逆に、意外にと言うと、変な言い方ですけれども、それぞれの学校あるいは設置者の教育委員会をはじめ、皆さんがいろいろと学びの基礎診断を活用して、高校生にしっかりとした基礎学力をつけようという方向で動いていただいているというのが見えたということではないかと思っております。
これからこれがどのような形で動いていくのか、今日いただきました御意見の中にも、それに関するところがたくさんあったわけですけれども、ぜひ学びの基礎診断が趣旨に沿った形で、さらには、その趣旨がよりよいものに改善されていって、使われていくようにということを願いながら、今年度最後の会議をこれで閉じることになりますが、よろしいですか。何かございましたら、ぜひお願いしたいと思います。
清水先生、どうぞ。
【清水委員】 度々すみません。やはり先ほど藤森委員から教科間の温度差の問題等々がありましたが、実際データを見ますと、教科によって相当違う色が見えているところがありますので、そこを注視しておく必要があるかなと思った次第です。
今日の資料2の3の今後の取組の方向性の1つ目に挙げられていますけども、「思考・判断・表現」というところを評価するということを狙ってツールを選んだという、そのデータがとても興味深いというか、注目すべきデータになっていて、3ページの学力に関することというものの特に国語ですね。ナンバー6の「思考・判断・表現」の状況が測定できるというところの数値が60%を超えているということで、いわゆる「知識・技能」と両方が非常に高い。それに対して数学あるいは英語は割と「知識・技能」側に焦点が当たっているような感じもありますので、逆に教科によって、そこら辺の先生方の認識の違いというか、そういうところがあるようにも思いまして、その辺を全体の設計の中でどういうふうに位置づけていくのかというのが今後の課題のような感じがして、データを拝見しました。
感想みたいになってしまいましたけど、1点、ちょっと申し上げました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。これはデータを見ていくと、いろんなことがまた見えてくるかと思いますので、これでおしまいじゃなくて、今後のこういった調査というのを続けていくことになるのですよね。そういう中で、さらに、データをしっかりと見た上で、今、清水先生おっしゃったように、どう全体に返していくか、あるいは位置づけていくかということを考えていく必要があるなと思います。ありがとうございました。
他、よろしいでしょうか。田村先生、どうぞ。
【田村委員】 失礼いたします。自由記述のところで少し気になる記述がありまして、生徒の学力への対応というところがあるのですけれども、例えば全範囲にわたる基礎学力を測定できる、測定することができないとか、それから、低学力校向けの測定ツールが少ないとあるのですけれども、これというのは、基礎学力を何だというふうに定義するかというところに関わってくるのかなと思うのですけれども、まだ現状ではどちらかというと、基礎学力を測るということよりも、進路実現との関連で使われているほうが多いのかなというように、全体の結果を見ても思います。
本当に基礎学力が定着しているかどうかということを測っていくツールについて、どういうものが望まれているのかといったところを調査していくということも一つ、方向性としてあるのではないかと思いました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。エピソードみたいな話ですけども、基礎診断の話が動いていた時期に、いわゆる進学校の先生とお話をすると、うちには関係ないとおっしゃるケースが結構ありました。では、先生の学校の基礎学力というのは何ですかと聞くと、いや、そんなものはうちの生徒はみんな持っていますよとおっしゃるのですが、それはやっぱり、いわゆる「知識・技能」の面が多いように思うのですね。さっきも御意見が出ていましたけれども、それこそ「思考・判断・表現」といったところの基礎は何なのか。あるいは、これは藤森先生がおっしゃっていた汎用的な能力というのは一体何なのかという、こういったところになかなか各高等学校での議論というのが進んでいない面もなきにしもあらずかと思いますので、この基礎診断がひとつそういったことを始めていく、議論を始めていく上でのきっかけにもなったらいいなと思っております。ありがとうございました。
すみません。藤森先生、お待たせしました。どうぞ。
【藤森委員】 先ほど清水先生のお話で言及がございましたので、私もそれに併せて、感想めいたことを申し上げます。
先ほど、「思考・判断・表現」の力を総合的に育てていくという視点から、基礎的、汎用的な能力というお話をしましたけど、汎用性というのは簡単に言っても、いろんなタイプがございまして、特に高校生の中等教育の段階では、もちろん各分野の固有性というものをきちんととらえた上で、それを俯瞰しながら貫いていく学力というのは何なのかという。ややこれも茫漠とした言い方ですけども、それに対するまなざしが重要ではないかと思います。
1例を申し上げると、今、各地でやっている国際バカロレアのTheory of Knowledgeでしたか。TOK。あそこの理念などを見ると、やっぱり教科それぞれの固有の教科内容を貫いていく要素というのは何なのかということについての分析というのが進んでいます。こういったものについて、例えば先ほど出てきた教育委員会と学校とのタイアップで言うと、各都道府県でいろいろ学校からそういう委員を集めて、例えばこれについてしっかり考えてみるというふうな、こういう形でネットワークを組んでいくとか、何といいますか、現状把握だけじゃなくて、こういうふうなティスティングというのが生徒にとって福音になるのですよという、そういった前向きの発信を、これは業者だけじゃなくて、これを主導する側として進めていく必要があるなと感じた次第です。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
皆さん、いかがでしょうか。今、御発言いただきました内容に関することでももちろん結構ですので。よろしいですか。
そうしましたら、さっき申しましたように、これで本年度最後の会議となります。本当にありがとうございました。いろいろいただきました御意見、最初のものにつきましては、修正も図りたいと思いますし、今いただきました今後に向けてのお話につきましては、文部科学省のほうできちんと受け止めていただいていると思いますので、これからの取組に生かしていただきたいと思っております。
最後ということでありますので、事務局から、塩川参事官、御挨拶を頂戴できればと思います。
【塩川参事官】 担当の高校参事官の塩川でございます。本当に今年もありがとうございました。今回の調査について、若干個人的な意見になる部分もあるかなと思っておりますけど、先生方の御意見と、かつ、重複するところも多々あると思いますが、こういう調査そのものが一定程度の、まさにエビデンスになるもの、それから、調査自体がいわゆる缶切型として、いろんなものをさらにサジェスティブなものが加わる、そういった調査もあるわけでございますけど、まさに後者の観点から非常に考えさせられるデータが出ているかなと思っております。
その中で、国、英、数、3教科型、それから、その個別の教科の中で、学校の意志的なものですとか、事業者側の、もちろんどのようなものをつくっていくか考えていたものというのも出ていますし、それから、変わってきている部分が多々ある中で、同時に、どうしても、その3教科型とか、数学とか英語については、やっぱり入試のことを念頭に置いている相関性が高かったりといった課題も垣間見えているところかなと思っているところでございます。
同時に、中を見ていますと、PDCAと言いながら、なかなか教育課程そのものの改善の部分について、学校の数字もそうですし、縦覧期日を見てもばらつきが出ているところかなと思っております。我々としては、文科省としては、28の答申、それから、今回の令和2年の1月の答申、それは一貫している話だと思っておりますし、当然その中で高校改革については、指導要領が再来年度から進む中で、言わば来年度はグラウンドゼロになるかなと思っております。そうした中で、学校においてもしっかりとポリシーもつくって、取り組んでいくという中で、学校の取組として、本当に学校の生徒にとって、どういった学力を3年間で作ってあげるか。それについて、特に進路、卒業のすぐ先ではなくて、可変的な、非連続的な社会の先の先、社会の先、それから、進路の先の先を見据えてやっていくのが非常に大事だと思っております。
そうした中で、一つはやっぱり課題かなと思っていますのは、いい取組例の学校について、あるいは学校設置者さんの取組の中で、いい取組なのですけど、やっぱり言語化されていない、明瞭化されていない取組というのは多々あると思っていますし、その辺りについてしっかりと言語化していくということ、そのこと自体が一つ大きな課題であり、そのことをやっていくこと自体が、ずっと課題になっています好事例の横展開にもつながっていくかなと思っております。
そうした取組について、できる限り、今回の御意見も踏まえながらですけど、来年度のほうもそうした課題をしっかり踏まえて進めてまいりたいと思っているところでございます。いろいろな過程の中でできているものでございます。いい取組が出てきている一方で、不十分な部分も多々あると思っておりますので、来年度以降も先生方の様々な御知見もいただきながら取り組んでまいりたいと思いますので、すみません。まとまりを得ない挨拶になりましたけど、お礼と引き続きの御協力のほうをお願い申し上げさせていただいて、私からの挨拶とさせていただきます。
どうもすみません。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
最後ということですので、私も申し上げたいと思います。本当に先生方、ありがとうございました。様々な形で、御意見頂戴しましたものをいかにして生かしていくのかということを考えたくなるといいますか、そのような御意見をたくさんいただきました。本当にありがとうございました。
私は長らく高等学校の教員をしておりましたので、本当に一人一人の高校生が高校卒業した後、具体的に大学に行くとか、就職するとか、専門学校に行くとか、いろんな進路はたどるわけですけれども、いずれ社会の中で、いろいろな人と関わって生きていく。そのときに必要な力になるものを自ら身につけていくための基礎的な学力というのは何だろうかというのは、これは非常に関心を持っておりました。
主権者にもなるわけですし、生活者としても生きていくわけですし、社会の構成員として、どう幸せに生きていくのか。そのための基礎学力というのをどうつけていくのか。そういったことを各高等学校は当然考えているわけですし、高校関係の皆さんも真剣に考えていらっしゃるわけですけれども、それが具体的に一つの形として、どう結んでいくことになるのかというときに、この「高校生のための学びの基礎診断」というのが、たくさんある答えの中の一つであるというふうに思っている次第です。これが本当にいい形で進んでいくことを心から願っております。本当にありがとうございました。
それでは、今年度の有識者会議を終了したいと思います。本当にありがとうございました。

── 了 ──

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