「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議(第3回)議事録

1.日時

令和3年3月19日(金曜日)

2.場所

文部科学省5F5会議室(オンライン会議システム使用)

3.議題

  1. 現在の取組状況について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬座長】 大変お待たせいたしました、荒瀬でございます。ちょっと調整をしていただいていました。声は聞こえますでしょうか。大丈夫でしょうか。ありがとうございます。それでは、ちょっと定刻を過ぎましたが、ただいまから第3回「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議を開催いたします。御多忙の中、本日は御出席いただきましてありがとうございます。
それでは、会議に入ります前に、委員の出欠状況につきまして、事務局から御紹介いただきたいと思います。
【齊藤参事官補佐】 本日の欠席の委員でございますけれども、前川眞一委員お一人でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
では、配付資料につきまして、御説明をよろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 本日の配付資料でございますけれども、議事次第にございますように、資料1、「高校生のための学びの基礎診断」認定事業者のヒアリング概要、参考資料1、「高校生のための学びの基礎診断」・認定基準手続等について、参考資料2、教育のPDCAサイクル促進のための取組事例についてを御用意しております。
資料につきましては、ペーパーレス化の取組を推進するため、委員の先生方には事前にメールで配信しておりますほか、文部科学省ホームページにも掲載しておりますので、そちらを御参照ください。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。議題の1でありますが、現在の取組状況についてということですが、「高校生のための学びの基礎診断」認定事業者のヒアリングの概要につきまして、事務局から概要を御報告いただきたいと思います。その後に、審査委員会の委員長でいらっしゃる岡本委員から、ヒアリングを踏まえた御発言をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 それでは、事務局より、ヒアリング概要に沿って説明させていただきます。
こちらは令和2年10月30日に、「高校生のための学びの基礎診断」に関する審査委員会で実施したものでございます。
ヒアリングは、「高校生のための学びの基礎診断の認定基準・手続等に関する規程」の5番、認定に関する手続、(4)の認定後の手続、事業概要報告として、昨年6月末に報告された事業概要報告の内容と、認定時に通知した指摘事項への対応状況の2点についてヒアリングをしたものでございます。今回は、事業概要報告を中心に報告させていただきます。
それでは、資料1のほうの一覧表。こちらのほうは、各事業者から、実施校数・実施生徒数について報告をいただいております。一覧表のとおりでございますけれども、一部バーがついている箇所がございまして、こちらは各事業者から、社外秘の情報であるため、公表は差し控えるということで回答がございましたので、バーとなってございます。
それでは、1ページ目、学研教育みらいから御説明をさせていただきます。まず、学研教育みらいでございますけれども、実施校数・実受検数は103校、1万64名でございます。
それから、試験実施後の検証内容としては、作問委員会での検討を行う。小問前の正答率について、学校平均や全国平均と比較しながら、問題の妥当性について、作問委員と話合いを持ったというふうに回答いただいております。
それから、今後の改良の方向性でございますけれども、基礎学力の定着率が低い層では、学習速度がそう早くないため、履修状況に応じた出題を行うとなっております。
それから、CBTでの実施に向けた展望・検討状況でございますけれども、コロナ禍においては、年明け第3回の実施を自宅受検で行ったケースもありCBTによる運用の必要性も強く感じたと。開発、運用も含めてこれから検討しているところということでございました。
ページをめくっていただきまして、2ページ目でございます。IRT導入に向けた展望でございますけれども、IRTの導入にはまだ課題が山積していて、検討に至るまでには至っていないというところでございます。
それから、適応型テスト導入に向けた展望でございますが、検討が進んでいないというところです。
その他、特記事項でございますけれども、英語スピーキングテストについて、かかる費用、実施から結果を戻すまでの一連の運用に多大な費用と労力がかかることから、実施に踏み切るまでには至っていないと。また実際、現場からの要請も、今ないという状況だということでございます。
それから次に、5ページ目、数検協会、数学検定協会でございますけれども、実施校数・実受検者数について、第3級は1校75名、準2級位は1校74名でございます。
試験実施後の検証内容でございますけれども、外部の調査会社に検定結果に関する分析を委託して、今回の検定問題の水準が一定に保たれているかを検証しているというところでございます。それから、受検者に関するアンケートも行って、検定時間の適否、問題の難易を調査しているとなっております。
それから、CBTでの取組状況・展望でございますけれども、CBTについて、問題の配信や解答の回収を含めて検討していると。
IRTの導入に向けた検討としましては、IRTを使って個々の問題が適切であるかということを検証できるよう検討しているとなっております。
それから、適応型テスト導入に向けた展望でございますけれども、ある一定水準の数学力を持った受検者を合格者として認定するという検定という特性から、適応型テストを導入する予定はないと回答がありました。
続きまして、9ページ目、こちらは数検協会の数検スコアの基礎診断、数1、数A、数検スコア総合診断、数1、数Aでございます。
実施校数・受検者数は、2019年度に実施した学校はなかったというところでございます。
実施後の検証状況でございますけれども、誤答のデータが集まり次第、検討するとなっております。
今後の改良の方向性でございますが、学習指導要領の改訂を考慮し、測定する資質・能力について検討し、問題等に変更を加えるとしております。
CBTでの展望でございますが、測定ツール自体、CBTで実施しているというところです。
それから、IRT導入に向けた展望でございますけれども、診断分析においては、個人、クラス能力をIRT同等もしくはそれ以上の項目別分析ができる手法を用いているので、IRT導入の予定はないというところでございます。
それから、適応型テスト導入に向けた展望でございますが、こちらも適応型テストの導入の予定はないとなっております。
続きまして、13ページを御覧ください。Z会ソリューションズでございますけれども、測定対象ツールは、CAN-DOテストのレベル2・3でございます。
実施校数・実受検者数ともに、認定事業者のほうで非公開としております。
それから、受検実施後、試験実施後の検証内容でございますけれども、「聞くこと」「読むこと」のスコアは、試験実施前に数百名規模のモニター調査を実施しており、各問題の妥当性・信頼性の検証を行っているとしております。それから、試験実施後には、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」のスコア分布等の分析を社外の監修者等とともに行い、外れ値・異常値に対しての要因を検証しているというところでございます。
それから次に、CBTでの実施展望でございますが、CBTでの受検が既に可能となっております。
それから、IRTに向けた展望でございますが、IRTを既に導入しております。
適応型テスト導入に向けた展望でございますが、適応型テスト導入に向けて、アクティブ・ラーニングサービスを既に実施しているとしております。
続きまして、リクルートでございます。16ページを御覧ください。
16ページ目でございますけれども、実施校数・実受検者数ですが、ベーシックが27校、1万1,265名、スタンダードが32校、1万5,051名となっております。
試験実施後の検証内容でございますけれども、信頼性係数は0.7から0.95程度であったことから、信頼性は比較的高いと言えると。実施校の先生方からのヒアリングも営業を通して行い、その結果を難易度や実施時期についてなどの企画に反映しているとしております。
それから次に、CBT、IRT適応型テストの導入に向けた展望でございますが、この学びの基礎診断については、2022年度以降は販売中止となるため、同社の他アセスメントについての研究を進めているというところでございます。
続きまして、20ページのベネッセコーポレーションを確認してください。
20ページのベネッセコーポレーションですけれども、こちらは測定ツールが9ツールございまして、それぞれ1番から9番に番号を振っております。その後の検証内容等についても、その番号が対比しておりますので、参考にしていただければと思います。
それと、実施校数、実受検者数ででございますけれども、進路マップ 基礎力診断テストにつきましては510校、15万7,830名。それから、進路マップ 実力診断テストにつきましては、1,457校、53万566名。3番、スタディーサポート αタイプ、βタイプ、θタイプでございますけれども、590校、23万8,344名。4番、スタディープログラム、92校、6万6,313名。5番、ベネッセ総合学力テスト、3,621校、287万7,565名となっております。こちらベネッセさんにつきましては、学校数は実学校数でございますが、利用者数は延べとなっておりますので、その点に留意いただければと思います。
それから、試験実施後の検証内容でございますけれども、ちょっと内容が多いですので、代表的なところだけ御説明させていただきます。全体・大問別・小問別の平均得点率や得点度数分布、標準偏差を算出し、想定の値と比較して、その妥当性を作問者と検証しているとなっております。
それから、具体的な検証内容、21ページ目になりますけれども、具体的な検証項目・内容でございますが、出題内容の妥当性として、問題内容に関する教員の評価を確認し、学校の指導内容に沿った問題内容になっているかを検証するとしております。
それから、22ページ目、今後の改良の方向性でございますけれども、出題内容・形式を考えるに当たり、どのような力を測定するものなのかを定義し、出題設計を行っている。事後の検証についても、学校現場にも御意見をいただきながら行っているとしております。
それから、24ページ目になりますけれども、CBTでの実施に向けた展望でございますが、現段階では検討していないが、教育環境の変化及び社会のニーズを踏まえて、検討の可能性もあるとしております。
それから、IRT、適応型テストの導入に向けた展望でございますが、これも同じく、現段階では検討していないが、教育環境の変化及び社会のニーズを踏まえ、検討の可能性もあるという回答をいただいております。
それから、続きまして、26ページ目、ブリティッシュ・カウンシルでございます。測定ツールがAptis for Teensとなっております。
実施校数・実受検者数ですけれども、これは両方ともゼロ。今回は、学びの基礎診断としての受検者数はなかったということとなっております。
試験実施後の検証内容ですが、受検者がなかったために未実施となっております。
それから、CBTでの実施に向けた展望ですが、現段階においてCBTで通常行っているというところでございます。
IRT導入に向けた展望でございますが、Modified Angoff法によって、CEFRを対照しテストの難易度を測っていると。IRTを導入する予定はないというところでございます。
それから、適応型テスト導入に向けた展望につきましても、導入は現段階では未検討というところでございます。
それから、続きまして、29ページ目、ケンブリッジ大学英語検定機構ででございます。
こちらも実施校数・実受検者数ですが、「学びの基礎診断測定ツール」としては、いずれも採用がなかったと回答いただいております。
それから、試験実施後の検証内容でございますが、ケンブリッジK2 Key for Schoolsのほうは、高校生約3,000名のCambridge Englishスケールスコアのスコア分布から検証を行っていると回答いただいております。
それから、その他として、30ページになりますけれども、第三者による評価として、ALTEによる監査があるとしております。
次に、ケンブリッジ英語検定4技能CBTでございますけれども、1,732名の成績スコアデータを集積したスコア分布から検証行っているとしております。また、第三者評価としては、イングランド政府の教育・資格の質評価に関する監督機関による監査も受けているとしております。
それから、31ページ目、CBTでの実施に向けた展望でございますけれども、ケンブリッジのほうにつきまして、A2 Key for Schoolsのほうでございますが、少数だがCBTでの実施があると。ただし、CBT版でもスピーキングテストはPCに向かって話すのではなく、対面式テストとなっているという状況でございます。
それから、ケンブリッジの4技能CBTでございますけれども、現在CBTで実施していると。インターネット環境のあるところであれば、実施可能なオンラインテストとなっているというところでございます。
IRTに向けた展望でございますけれども、両方とも既に導入済みということころでございます。
それから、適応型テストに向けた展望でございますが、A2 Key for Schoolsのほうは、導入検討はなしとなっております。
それから、4技能のCBTにつきましては、リーディング&リスニングのモジュールは適応型テストとなっているというところでございます。
それから、続きまして、34ページ目の教育測定研究所の、英検IBAテストCでございますけれども、こちらも学びの基礎診断として、実施校数・実受検者数の数は未実施というところでございます。
それから、実施後の検証結果についても、受検者がゼロのため、未実施というところでございます。
今後の改良の方向性でございますけれども、受検時間が長く、授業の1コマの中での受検が終えられないため、学校現場の授業のコマを有効活用しながら実施することが難しいという実態があると。今後は、学校授業のコマを活用した運用の御提案をする予定だというところでございます。
それから、CBTでの実施に向けた展望でございますけれども、英検IBAのスピーキングテストは、タブレットを貸し出して実施する形態となっているとのことでございます。
それから、IRT導入に向けた展望でございますが、英語IBA自体が、IRTに基づき設計されたテストであるというところでございます。
それから、続きまして、最後になりますけれども、37ページ目、漢字能力検定協会でございます。
実施校数・実受検者数は265校、1万5,364名となっております。
試験実施後の検証内容でございますが、大問・小問ごとの正答率、ダミー選択肢の誤答率をまとめ、監修者と作問担当チームで検証を行い、作問検討会にフィードバックしているというところでございます。
それから、CBTでの実施に向けた展望でございますが、現段階で検討していると。IRT導入に向けた展望としましては、現時点では進んでいない。
適応型テスト導入に向けた展望でございますが、現時点では進んでいないという回答でございます。
一応、事業概要報告で報告をいただいた内容をかいつまんで御説明しました。以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。先ほども申しましたが、ヒアリングをしておりますので、審査委員会の委員長の岡本先生のほうから、その際お受けになった印象も含めて、御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【岡本委員】 岡本でございます。おはようございます。よろしくお願いします。
まず、基礎診断制度の目的というのは、学校における基礎学力の定着に向けたPDCAサイクルの取組を促進していくということにあろうということです。指導要領におきましても、知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等をバランスよく教えていくというのが今までの仕組みだったんですが、今回の学習指導要領の改訂におきましても、知識の理解の質をさらに高めて、確かな学力を育成するということを目的にして、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性と3つの柱で整理し直して、令和4年度からの新指導要領が学年進行で実施されていくという状況です。
その新指導要領の解説・総論におきましても、「高校生のための学びの基礎診断」を、高等学校における多様な学習成果を測定するツールの1つとして活用し、生徒自身の学習改善や教師による指導の改善に生かすことも考えられると、こういうふうに位置づけられています。
これらのことを前提にして、ヒアリングの結果についての概略は今御紹介いただいたとおりなんですか、私のほうで気になったところを3つ申し上げます。
まず、3教科セットで、測定ツールに英語で、特に「話す」という技能についてなんですが、これにつきましては2021年度、来年度までは利活用されるものに限りまして測定することに変えて、問題、解答例及び採点基準を提供するということにして差し支えないという弾力的運用しております。一方、4技能測定について、令和元年度におけるニーズはあまりなくて、費用対効果の観点からも着手できないというような事業者もございました。
また、学びの基礎診断では、今申し上げたとおり、主として知識・技能等の問題に加えて、思考力・判断力・表現力を問う問題を出しているわけですけれども、学校現場ではいまだ知識・技能の問題のニーズは高いように見受けられる、そういう認識を述べた業者もいました。
3点目、これは今日の議題かどうか分からないんですけど、評価結果につきまして、大学の合格可能性の集団準拠の評価結果を求めるか求めないかというような選択肢を求めている事業者があります。資料にもありますが、集団準拠の評価結果を求めないということを選択した学校あまり多くないとのことです。聞き方の問題もあろうと思います、基礎診断を受けた結果、偏差値とか大学合格可能性とか、いわゆる集団準拠のニーズというのは依然として高いように見受けられるという認識の業者もありました。
以上のことを踏まえますと、業者のほうの問題も、学校現場の問題もあろうと思いますが、少なくともヒアリングから見る限りでは、先ほど最初に冒頭申し上げた指導要領の趣旨が、全国各地の学校においてまだ十分には浸透していないというような状況もあるのかなと思います。
これから先は、私の個人的意見ということにしておきます。指導要領の趣旨を踏まえて学びの定着を重視するカリキュラム・マネジメントを実現するという観点から見ますと、令和4年以降を視野に入れて、基礎診断が効果的に機能するという取組事例を深掘り調査して、効果的な好事例を周知しということはとても大事なのではないか。これは2年後の指導要領実施にむけて学校現場と業者、両方に必要ではないかと思います。
その際には、今回のヒアリングを踏まえると、例えば英語4技能を測定できるツールというのを活用して、聞く、読む、話す、書くの基礎学力定着に向けた取組事例、知識及び技能だけではなく、思考力・判断力・表現力も大事にしたいい取組があるという、そういう取組事例の周知について、もっとより検討していくことが求められるものではないかなと思っております。
は現場と業者のやり取りを通してということもあり、我々の立場というのもございますが、私の印象は以上のとおりです。委員の方から、もしも何か補足があればご発言をお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。
今、最後に岡本先生からございましたが、どなたか補足がございましたらお願いしたいと思いますが、手を挙げるボタンを押していただきまして、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。藤森先生どうぞ。
【藤森委員】 よろしくお願いします。先ほどの事務局の御説明の中で、これは数研でしたっけ、Z会でしたっけね、アクティブ・ラーニングサービスという言葉がありました。この具体的内容をちょっと教えてもらえるとありがたいんですけれども。今の岡本先生の、思考・判断・表現に関わってくるようなアプローチじゃないかなという印象を持っているんですけど、これについての情報いただけますでしょうか。
【荒瀬座長】 アダプティブ・ラーニングじゃなかったですかね。
【藤森委員】 アダプティブでしたっけ。
【荒瀬座長】 私もアクティブ・ラーニングと聞こえましたが、書いてあったのはどっちでしたかね。Z会ですか。14ページを開けていただきますと、ここはアダプティブ・ラーニングサービスという表現になっていますが、これ、具体の中身ということでしょうか。
【藤森委員】 ええ。どういうふうなアプローチなのか、参考までに伺わせていただけると。ちょっと意味が分からなかったものですから。
【荒瀬座長】 ちょっと時間いただけますか、確認していただきますので。藤森先生、よろしいでしょうか。ちょっとお待ちください。
【藤森委員】 結構です。確認している間、議事を進めてください。
【荒瀬座長】 ほかにはいかがでしょうか。どなたか、御質問も含めまして。よろしいでしょうかね。
今、岡本先生から御説明いただいた3点ですけれども、1つ目のところで、3教科セットで英語の「話す」を入れるのはなかなか厳しそうだというような事業者の声があったということなんですけれども、2つ目のことと3つ目のことについて言うと、ちょっとここは本当に基礎診断の趣旨というのがどれほどしっかりと、1つ目も当然関わるんでしょうけれども、特に2つ目、3つ目については趣旨がちゃんと伝わってないということが言えるわけで、この辺は広報の問題もありますし、現場での取組をしっかりと支えていくという上では、さっき最後におっしゃった、周知することと好事例の紹介というのは必要だということですので、これはあれですよね、好事例の紹介というその以前の問題として、現場での取組の状況というのが、まだ全てが把握できているわけではないということですよね。ということだそうです。今現在、集計中なんだそうです。
ちょっと先ほどの藤村先生の御質問には時間がかかりそうです。すいません。
【藤森委員】 かかるようであれば、後でメールか何かで教えていただければ結構です。
【荒瀬座長】 後で委員全員に送っていただくということでよろしいですか。ちょっと確認をしていただくことも必要なんじゃないですかね、Z会に直接の。ぜひよろしくお願いいたします。藤森先生、申し訳ありません。そのようにお願いいたします。
ほか、いかがでしょうか。宇佐美先生、お願いいたします。
【宇佐美委員】 宇佐美です。ちょっと測定のところで、全体的に気になることがありましたので、1点申し上げたいんですけれども、各事業、試験実施後の検証内容の項目分析とかと呼ばれているようなところで、かなりやっていることの実態がまちまちだなという印象を、ちょっと改めて思った次第です。例えば、正答率しか計算しないところもあれば、識別力みたいなものも、信頼性みたいなものを報告して評価している。IRTも検討しているとか実施している、様々なところで、どこの事業者でもこういった項目分析、正答率の算出とか識別力とか文法を評価するですとかということはやっぱりできることかなと思うので、こういったことというのは今申し上げることじゃないのかもしれないんですけれども、なるべく統一的にお願いするということを検討してもいいのではないかなと思いました。
あと、ちょっと関連しまして、これもかなり個人的な意見ではあるんですけど、これも事業者によって受検者数とか事業規模というのはそもそもかなりばらつきがあります。特に数十人しか実施実績がないようなものに対して、やっぱりIRTを導入するというのは、長期的な目標としてはあってはいいと思うんですけれども、ちょっと性急というか、これ自体をあまり統一的にお願いするとか報告させるというのも、やや趣旨としておかしいのかなという、ちょっとそういう感覚がありました。もちろん項目分析みたいな、どこでも基本的にはできるだろうというところをもっと強調して、これからお願いできるといいんじゃないかなということをちょっと雑感として思いました。
すいません、以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。すいません、竹内先生、申し訳ありません。実は岡本先生がこの後御用がおありで抜けられますので、先に岡本先生に。岡本先生、お願いいたします。
【岡本委員】 竹内先生、すみませんがお先に一言だけ。
今、宇佐美先生がおっしゃったことというのはとても大事なことなんですけれども、ヒアリング等やっていて、なかなか業者に統一的にやれと言っても、御存じのとおり会社の規模等々あります。まさに先ほど申し上げた、よい事例みたいな中でこういうのがあるよということを、学校現場等々に発信していくことで、だんだんよくなっていくんじゃないかなと思っています。少し基本に戻ったほうがいいんじゃないかなという印象を持っています。
以上でございます。竹内先生、失礼しました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。では、竹内先生、お願いいたします。
【竹内委員】 既に岡本先生のほうからも御指摘いただきましたが、英語の4技能の、特にスピーキングに関しては、ちょっとこの記載事項を見てみますと、やはりお金がかかるとか需要が薄いとか、いろいろと理由をつけてこのまま放置しておくと前へ進まない可能性が非常に高いなと思いますので、この辺り、たくさんの学校がいい授業をしていますので、その授業をこのように展開して成果を測定するんだというようなひな形にして、ちょっとこちらからも働きかけていかないと、このままの状況で終わってしまうのはとても危険だなというふうに思いました。感想までに。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。では、ちょっと今、御発言のあったことも関わることで、齊藤参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 すいません。失礼いたします。
先ほど検証内容のところで、ちょっと回答に、事業者によってちょっと凸凹があるという御指摘がございました。それに関連しまして、ちょっと今、資料のほうは用意しているところでございますけれども、学びの基礎診断の認定基準手続等に関する規程の中の、様式6という形で、各年度の事業概要報告書として、各事業者から報告を求める事項をお示ししております。その中で、事業実施後の検証内容として、検証方法についても、検証方法を書いてくださいというふうに指定しているんですが、一応記入例としまして、事業実施後の検証方法について、可能な限り具体的な内容を記載することと、括弧して作問委員会による事後検証、信頼性などの統計資料による検証、それから第三者による評価などという、こういう事項を、取り組まれている内容を踏まえて記載してくださいというふうに書いておりまして、事業者によってちょっと凸凹があるというところでございます。
会議資料、ちょっと様式のほうが現段階でお示しができないところでございますので、また後ほど、参考として委員の先生方に、先ほどの御質問と併せて御提示させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 よろしいでしょうか。
ほかに御意見とか御質問とかございませんでしょうか。
それでは、今、岡本先生からも御紹介いただきました、事業者のヒアリングから得た内容も含め、次年度以降の基礎診断の利活用と、それから、本来の目的であるPDCAサイクルの定着を目指して、今後どういった取組が必要になってくるか、今も御発言いただきましたけれども、そういった内容に関しましても御発言をお願いしたいと思います。
その前に、まず事務局のほうから、次年度以降に検証する事項について、御説明をお願いしたいと思います。齊藤参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【齊藤参事官補佐】 すいません。失礼いたします。それでは、説明の内容でございますけれども、参考資料1を御覧いただければと思います。
こちらが、「高校生のための学びの基礎診断」の認定基準・手続等についてということで、30年3月に取りまとめていただいた提言でございますけれども、こちらの9ページ目を御確認いただきますと、基礎診断に望まれる事項として、今後、こういう事柄について検証してくださいということが書かれております。
読み上げさせていただきますと、基礎診断の制度については、運営開始から3年経過後を目途に文部科学省において実施条件について検証を行い、その結果に基づき、2022年度から実施される予定の次期学習指導要領への対応等の必要な措置を講じること。今後、本制度の定着を図りつつ、望ましい姿に近づくよう発展的に改善していくことを視野に、文部科学省において継続的に実施状況のフォローアップ・検証を行い、必要な制度の見直しを行っていくこととされております。
事項としまして、以下に示されておりますけれども、名称、効果的な結果提供、3教科セットに測定ツールにおける英語の「話す」技能の扱い、多様なレベルの問題セット、低廉な受検料、CBT・IRTの活用、異なる事業者間の測定ツールの難易度比較・共通尺度による評価、対象教科・科目等の在り方、結果の副次的な利用、調査研究の推進というところが挙げられているところでございます。
今後の検討に向けて、現段階でお気づきの点があれば併せて御意見を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。参考資料の9ページから12ページのところを、今、画面でも見ていただいているようですが、これに関しまして、これに関しましてと言いますが、これも含めて、今後のPDCAサイクルの定着に向けてどういった取組が必要かということで、御意見を頂戴できればということであります。
竹内先生、これは前の手を挙げておられる状態のままですよね。ありがとうございます。
【竹内委員】 ちょっと前のままになっていました。すみません。
【荒瀬座長】 いえいえ、ありがとうございます。いかがでしょうか。田村先生、どうぞ。
【田村委員】 田村です。失礼いたします。ありがとうございます。
このテストそのものについてなんですけれども、先ほどあまりニーズが高校側のほうでなかったというお話があったんですけれども、その理由として、ポジティブな想像をすれば、学校のほうで十分に測るべき能力を書かれているというような、例えば期末考査であったり、パフォーマンス課題であったりということで、そういうことを努力していて、教育課程、あるいは授業の評価・改善を適切に行えているのであれば、この「学びの基礎診断」のシステムも使わなくてもいいわけですよね。
「学びのための基礎診断」を認定するということで、基本的には企業様が行っていることで、お金を払っていくということになりますので、そのことを非常に積極的に推していくということに関しては、若干の違和感もないわけではないんですね。学校のほうでそれが適切にできるのであれば、あるいは前回、北海道だったでしょうか。北海道のほうで、自治体としてつくられたテストによってそれが適切にできるのであれば、あまり使われなくても、それがネガティブな判断には即座に結びつくものではないのかなというふうに思うわけなんです。
それで知りたいところは、学校のほうがなぜニーズがないのか。それはポジティブな理由なのか、それとも本当に、例えば思考力・判断力等を測る必要性というのを、ほぼ意識していないというネガティブな理由なのかというところは知りたいなと思いました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。全くおっしゃるとおりで、本来、「学びの基礎診断」というのが考案されていく過程で、先ほどから何度も出ていますように、学校における生徒の学びに関するPDCAがちゃんと回るかどうかというのが大事で、業者テストを使うかどうかということが目的ではもちろんないわけですね。ですから、今、田村先生おっしゃったように、ポジティブに考えれば、学校で十分やっているからということになるんでしょうけれども、そうなってくると、ますます各学校の取組がどうなのかということを知る必要が出てくるわけで、その辺り、これは業者テストを使ってても、単にそれこそさっきお話がありましたけれども、合格判定とひもづけて、そこで使っているというだけでは、これはちょっといわゆる大学入試の模擬テストと変わらないことになりますので、それはちょっと使い方として十分ではもちろんないわけですので、その辺りも含めて、調査がやっぱり非常に重要になるということではないかと思います。ありがとうございます。
すいません。では、岡本先生お願いいたします。
【岡本委員】 岡本でございます。私、そろそろほかの会議がありまして失礼いたしますので、一言申し上げます。
今の田村先生と、それから荒瀬委員長がおっしゃったとおりで、このテストというのは、先ほど最初に述べた目的に沿って行われるものだから、目的はあくまでもそういう高等学校の教育が進んで、いろんな意味で進んで、高大接続が進むかということです。特定の業者ということではないんですが、業者の取ったアンケートということで、いかに数が多くても、それなりのバイアスがかかっているかもしれないなという気がしています。どうしても出てきた答えが、業者さんからみればうだろうというものになっている。学校現場も、聞かれればそれは大事だよねという答えになってくるという印象です。私が申し上げたいのは、だからこそもう1回、指導要領の改訂に向けて何が必要なのかということになっていこうと思うんです。
入試との関係も、今、在り方委員会でいろいろ議論されているところであり、あまりそっちに絡むと話がどんどんややこしくなっていくと思ってます。やっぱりそこで今は基本に立ち戻って、何が必要なのかというのを考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。具体的には、だから先ほど申し上げたとおり、もう1回いろいろな現場を見てみるということで、いろいろ分かってくるかなと思っております。
【荒瀬座長】 岡本先生、ありがとうございました。
【岡本委員】 失礼いたします。
【荒瀬座長】 失礼いたします。
では、手がたくさん挙がっていますので、清水先生、お願いできますでしょうか。
【清水委員】 筑波大、清水です。手を後から挙げて、先になってしまって申し訳ございません。
【荒瀬座長】 私もしっかりと見られていなかったので申し訳ありません。どうぞ。
【清水委員】 今、田村先生、岡本先生からお話があった点、私も同じような感想を持っていました。その一方で、今回の活用状況を拝見しますと、いろいろなオプションが学校側からはあったほうがいいということ、それから、子供というか高校生の学力のいろいろな層に合わせたバラエティーを担保するという、そういうことも仕組みとしては大事だと思いますので、こういうシステム、あるいは、それぞれの測定ツール自体の改善の仕組みというのはやはり大事かなと思っておりまして、そういう観点から見ますと、今日の御報告の中には、CBTとかIRTとか、割と長いスパンで改善を図るようなこともありましたけれども、直近のと申しますか、学習指導要領の趣旨で、思考・判断・表現の問題を大事にしようというような、そういう岡本先生からも御指摘ありましたけども、そういう観点から、もう一度業者さんのほうにフィードバックをするような、そういうステップが今後どういう形で進むのかなというところをちょっとお伺いしてみたいなと思いました。
教科の立場から拝見した限り、割と基礎学力と申しますので、計算力ですとかいろいろ、本当に基礎学力を担保したいという趣旨がありつつ、一方でやっぱり新しい学習指導要領の趣旨を大事にした思考・判断・表現の問題や、記述式も大事にしていきましょうという、そういう趣旨でしたので、そういう観点からのもう一度のフィードバックというか、その辺が必要かなというふうにちょっと思いましたので、御発言させていただきました。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。それでは、藤森先生お願いいたします。
【藤森委員】 よろしくお願いいたします。
率直に申し上げると、業者のこれまでの実施規模を見ると、かなり先ほどからあるように、ベネッセさんを筆頭として、相当な差があるなという印象があるんですけれども、それによって基礎診断の在り方というのがあると思うんですけど、1点申し上げたいことがあります。それは、これを授業改善に生かして、PDCAサイクルの中でこれを位置づけるというところに多くの重点があります。どうしても業者テストという形になっちゃうと、印象は個別の学力の到達度の診断というイメージが非常に強くて、勢い学校としては、有体に申し上げると、大学受験にどのぐらいこの子がいけるかどうかという、こういったある意味でいうと測定診断という要素が強いように思うんですけれども、この後の要望としてもう一つ大事なことは、学校自体が診断されているということだと思うんです。
学校にも、学校自体の取組としての思考・判断・表現の力が必要だというふうに感じまして、何が申し上げたいかというと、コンサルタントとしてのこのテストを行っているんだという、その要素をもっと色濃く出しいただきたい。すなわち、この学校は今、こういうふうな実態にあるので、よりこれを改善するとするならば、学校全体の取組として、こういうふうな形での学校の取り組み方がありますよ、あるいはこういうふうな他の好事例もありますよといったこの辺りの情報は、実は文科省のほうの持っているデータとの相関になると思うんですけれども、それについての力点というのも、今後、より検討していく必要があるんじゃないかと思うんです。
この程度の学力なのはあの子たちのせいだというふうに、どうも言いがちな雰囲気が、私自身高校教師を15年やっていて感じることがあって、この程度だというふうにもしも先生が感じるとしたら、その程度の指導しかできてなかったという、その自覚の下で学校全体が協力して、一人一人の生徒の学力伸長にどういうふうに貢献できるかという、そちらのほうに重点が実はあるんだという、そういった色彩を、特にフィードバックの段階で、より具体的に検討してもらえたらいいなというふうに思いました。以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。まさに生徒の学力はどうなっているかというのは、先生がどう指導しているか、何を指導しているかということに直結していますので、今おっしゃったとおりであろうと思います。ありがとうございました。
では、長塚先生お願いいたします。
【長塚委員】 ありがとうございます。長塚です。
本来ならば、先ほど岡本先生が報告いただいたところで言うべきだったのかもしれませんが、今回の各事業者の報告を受けて、改めて思ったことから先にお話ししたいと思います。この基礎診断、これは民間事業者が既に開発していた、それを利用している高校の実態からつながっていることでございますので、従来から高校現場では、任意に使っていたということがまずベースにあって、それで基礎診断として、ある意味言葉は悪いですが、看板を変えて使っているというのが実態ではないかと言えます。
しかし、基礎診断ツールということで、それを利用することで、教員の意識がどういうふうに変わっていったかということ。あるいは、生徒の意識の変化などがまだまだ見えないわけなんですけれども、それでも今回の基礎診断の認定制度をいろいろと検討する中で、そして事業報告を受けて分かったことは、全国の高校でどのようなツールが使われているのか。民間のテストの利用がどの程度進もうとしているのか、あるいは各県の教育委員会が実施している様子なども含めて、かなりのことが分かったなというふうには思うんです。ですから、まだある意味でスタートラインについたばかりということなんですね。
一方、高校生の多様な基礎能力を測るということからすれば、いろんなツールが、今回認められたというかあるということ、その中身を確認できたということ、それも大きな意味があったと思うんです。しかし、岡本先生のまとめにもございましたけども、特に英語については、4技能のうちのスピーキングの測定があまり進んでないようです。この辺から新しい基礎診断としての活用が始まるのかなと期待しています。CBTとか、あるいはIRTの活用などは、英語の分野においては特に有用性があるということも、今回の事業報告を受けて思わされたところなんですが、そんなことを思うと、やっと緒についたというような印象であることを先に申し上げました。すいません。
以上でございます。ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。本当にまさに始まったばかりであるということはそのとおりだと思いますので、いかによいものにしていくのかといいますか、これは民間事業所の方の問題をよくしていくというのはもちろんそうなんですけれども、やっぱり主体は、学校がどのようにして授業改善を図っていくかということが軸だと思いますので、そっちをよい方向にしていくためにも、既に何人かの方からも御指摘ありましたけれども、文科省の持っておられるネットワークを使って、あるいはこれまでの蓄積を使って、好事例の発信であるとか、あるいは調査ですよね、そこのところをしっかりしていただく必要があるかなということを思いました。
すいません。では、中村先生お願いいたします。
【中村委員】 中村です。お世話になります。
たくさんお話ししたいこともあるんですけれども、教育委員会の立場ということで、1つは、英語が進まないということで、恐らくCBTのほうが、インターネットを介しての調査環境が整えば、1つ突破口になるんじゃないかと思っています。今、コロナのこともあったり、GIGAスクールのこともあったりして、高校現場も急速にICT環境が整っています。本県においても、1人1台端末が来年度から順次入っていくことになります。インターネットの回線も、校内だけでなく校外も高速回線になってまいります。ですから、これまで障害になっていたそこの部分が、数か月前と比べると、状況が変わっているということも業者へしっかり伝えていただいて、取り組んでほしいという感想を持っています。
それからもう一つ、学校現場とか教育委員会の「学びの基礎診断」を活用した取組ということでお話をさせていただきますが、本県でも、今年度で2年目の「学びの基礎診断」を、原則全ての県立高校で活用した取組をやっているんですが、本県の場合はベネッセが多いものですから、ベネッセの、GTZを使って、その改善というところを共通に話ができる、要は県立高校全体で、同じ土俵で話ができるようになったというのは、この「学びの基礎診断」をやっての大きい成果だったと思っています。
合同分析会を年に1回開いていまして、各学校の進路指導主事の先生に集まっていただいて基礎診断を学校の中でどう生かしているのか、中間評価をやって、それを集まって話をする機会を設けています。こういった話は、各学校の中での定期考査のサイクルだけではなかなかできないと。そういう意味で、ノウハウを共有したり、いったところは成功だなと。ただ実際、合同分析会で改善案が共有できているかというと、まだ課題の共有レベルにとどまっているというのが現状で、これがさらにこういうことでよくなったとか、レベルアップしていくというのが、これからの大きい課題だと思っています。
それから、学びそのものが、各学校の中で変わっていかないといけないと思っているんですが、1つには、教科横断的な学びといいますか、そういった学びに変わっていかないといけないと思っています。前の会議でもお話ししましたが、専門学科での普通教科の学びというのも非常に大きい課題がありまして、そういった辺りもどうやって延ばしていくのか、これもまた機会があればお話しができたらなと思っていますが、そんなようなこととか、そもそもなぜ学ぶのかというような、こともしっかり語っていかないと、本当に主体的な学びにつながっていかない、学びの必要性といいますか、恐らくこれは社会とのつながりを学びの中でしっかり意識させないと、例えば専門学科の生徒においてもなかなか伝わらないということも、感想としては持っています。
なかなか時間があって言い足りませんけれども、以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。中村先生、また教育委員会として、県立高校全体を見ていらっしゃるお立場から、どしどしまた御発言いただければと思います。
今承っておりまして、ちょっと私の個人的といいますか、私の経験からの話で大変恐縮ですが、何校か集まって、実際に模擬テストとか、あるいはそれに付随する質問肢の調査の結果とかを持ち寄って、最初の話は今おっしゃったように、進路指導主事が中心の話だったんですけれども、それがだんだんと、どうしたら自分で学んでいくような生徒に育っていくんだろうかと。そのために基礎学力をつけ、それこそ今言うところの思考・判断・表現の力をつけ、あるいはもっと言えば、学習意欲を喚起するような取組にどうしたら転換していけるんだろうかということで、進路指導主事はもちろん3年間の総和ということで進路は非常に大事ですけれども、一方で日々の授業ということでいうと、教務主任であるとか、あるいは学年主任であるとか、当然のことながら校長も集まってというふうに、会議自体がどんどんどんどん広がっていって、薄まるというんじゃなくて、それぞれの立場から具体的な取組について振り返り、そして次、どうしていったらいいかというふうな相談をするみたいなところにいったケースというのが経験としてありまして。
だから、さっき長塚先生が、スタートラインについたところなんだというお話でしたけれども、今後そういった取組が進んでいくことによって、高校生たちに、本当に大切な力が身についていくようになればいいなというふうなことを思いながらお聞きしました。ありがとうございました。すいません、長くしゃべってしまいました。
田村先生、さっき手を挙げていらっしゃったかと思うんですが、お願いいたします。
【田村委員】 ありがとうございます。失礼いたします。
先ほどはポジティブに考えればということで申し上げたんですけれども、実は一方で、業者さんが高校の先生方と話して聞き取られた内容のほうが、もしかしたら文科省様が調査するよりは本音が聞けているんじゃないかなというようなところもありまして、実態としては、思考力・判断力・表現力の育成とか、学習意欲の涵養というのももちろん必要だけれども、苦戦していらっしゃると。必要だと認識しつつも苦戦していらっしゃるというところが多いのかなというような実感を持っております。
そうした中で、こういう業者の皆様も、今すぐニーズはなくても、思考力・判断力・表現力を測るような、そんな問題を開発し続けていただいて、学校現場とのコミュニケーションを取りながら、こういう測定方法が可能なんだというところを開発して示していただけるということであれば、非常に双方にとってメリットが、もちろん学校にとってメリットがあるだろうなと思うので、ニーズが多少少なくても頑張っていただきたいなというふうに思っております。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
まさに今、そのとおりですね。これからどんどんそういう形の動きというのが広がっていくといいなと思います。
御指名して恐縮ですが、萩原先生、全高長の御立場からいろいろと現場の声もお聞きかと思うんですけれども、今、皆さんがお話になっている中身に関していかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
【萩原委員】 萩原ですけれども、高等学校での学習の実態を踏まえつつということで、この基礎診断では、業者を使ったテストを使っていくという学校もあれば、自校で作成をした定期考査等々で診断をしながら、足りない分を補っていくということで指導をしている部分もあるかと思っています。
今回も、例えばこの前のベネッセさんのお話でもあったかもしれませんが、総合学力テストはかなりの人数が受けていると思うんですけれども、学校では、基礎診断の一環として総合学力テストを実施していたかどうかというと定かではないのではないかと思っています。ベネッセさんは、自分のところは総合学力テストが学びの基礎診断だということで、受験者数を出されているのではないかと思っています。
確かに総合学力テストを受けますと、全国平均に比して各設問ごと、自分の学校がまだ至ってない部分であるとか、県内の平均の値に対しての状況を見ていくことができる。先ほど岡山県の先生からもお話がありましたように、そういう部分での分析をしていく。足りない部分が何なのかということについて分かってくると思いますが、本来、学習指導要領等で求められている思考力・判断力・表現力等々がどうなのかという点で、きちっと各学校で押さえていけるというような形には、まだまだ十分ではないのかなとは思っているところです。なかなか高等学校で基礎診断をどういうふうに利用していくのかというところが、まだ始まったばかり、長塚先生も先ほどお話しされていましたけど、始まったばかりと思っています。
あと、英語に関しては、校内においてスピーキングテストやパフォーマンス等を実施している学校は徐々に増えてきていると思います。この実施に当たっての標準化をどうやってしていくのか、させていくのかということについても、1つ大きな課題になってくると思っています。
私のほうからは以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。萩原先生、御指名申しまして失礼いたしまして、ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。長塚先生お願いいたします。
【長塚委員】 ありがとうございます。
今、議題が2つ目に移って、今後の基礎診断の在り方、3年たって検証するという、そういう視点での議論になってきたと思います。既に述べられていることを重ねて言うようで恐縮なんですけども、従来からあるテストをツールとしているということで、特に結果提供の在り方というのが、当初から、これはしっかり変えてほしいという要望を各事業者にはお願いしていたんですが、結果提供の在り方というのは、やはり各事業者さんも苦労しているという状況は見えるわけです。しかし、今後新しい学習指導要領で、学力の3観点に対応する評価というんでしょうか、あるいは集団準拠というよりも目標準拠、目標を明確にして評価診断をするということにいかにつなげていけるかが大切です。国の認定で行っていく基礎診断ですから、そこのところを、今までなかなか難しい分野ではあるんですが、そこをいかに開発できるかが、各事業者さんの力の見せどころになるんだろうと期待をしているわけです。
なかなか各高校現場だけでは、1つの学校の中だけではそういうものをつくり上げていけないところもありますので、いろいろな立場からそれをつくっていっていただくということが必要だろうなと思っているわけです。
特に今後、地歴や公民、理科などのツールも実施するかどうかも検討することになっています。これらの教科目については、単に知識の量の診断を広げるというだけではなくて、たとえば、義務教育段階で学んだ社会的事象とか科学的現象を総合的に捉えて、課題を解決するような力を診断するとか、高校生に刺激を与えていく。学びの意欲を引き出していくような診断というのはできないものか。多少理想かもしれませんが、そんな思いを持って、次の段階へつなげていってほしいなと強く希望しているところでございます。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。これからの在り方ということで、いろいろと御意見いただいていますが、ほかにいかがでしょうか。
何度も同じことを申し上げて恐縮ですが、まだ始まったばかりで、業者のほうは認定を受けるということで意識があるのかもしれませんが、学校のほうが今までと同じような感じのものを使っていると、なかなか切替えが難しい面もあるというのも事実だろうと思いますので、これからどうしていったらいいのかというところで、今もう既にいただいているような御意見が非常に重要かと思うんですけれども。
またお話しして恐縮ですが、去年の11月13日でしたか、今、御参加の委員の中にも御一緒に検討した委員の方がいらっしゃいますけれども、高等学校のこれからについて考えるワーキンググループの審議まとめが出ました。それを踏まえて、高等学校に関することが盛り込まれたものが、今年の1月26日の中教審答申であったわけですけれども、高等学校に関しては、全ての高等学校で、今後スクールポリシーというのを考えていく必要があると。卒業時にどんな資質・能力を養っているのか、そのためにどんな教育課程を編成していくのか、そういったポリシーをしっかりと打ち立てていく。それを中学生にも理解できるように、アドミッションポリシーといったことも考えていくという、3つのポリシーの話があるわけですけれども、そのスクールポリシーというところと、それから、「学びの基礎診断」というのが、本当に目指すべき生徒の資質・能力がどの程度、どの時点で養われているのかというのを振り返る上での測定ツールになっていくということが非常に重要で。
その際、既に委員の方からも御意見ありましたし、私も申し上げましたけれども、業者のものを使うことがどうかということが、そこのところの誤解がもしまだあるのであれば、これはしっかりと払拭しなければならないし、あくまでも自分の学校の生徒たちにどんな力をつけて卒業させていくのかということのベースになる力をどう測定して、しっかりと授業改善に生かしていくのかということでありますので、その辺りにつながっていくような広報も、今後文部科学省としてもしていただきたいと思いますし、関係する我々もいろんな機会に捉えて、お伝えしていく必要があるなということを思いました。
すみません、いかがでしょうか。これ、下手な司会は、常にいかがでしょうかとか、こんなことばかりしか言えないんですけども。清水先生どうぞ。
【清水委員】 ありがとうございます。清水です。
今日頂いている参考資料の1ですが、平成30年3月時点のワーキングがまとめたものだと思いますが、ここの9ページに当たるところでしょうか、資料としては。ここにPDCAサイクル構築のためのツールの効果的な選択・活用という、当時の基本的な考え方が書かれております。文科省の「学びの基礎診断」のサイトではリーフレットがあったり、もう少し情報が細かくというか、具体的な活用方法等の情報が提供されていると思いますし、今日、先ほど岡本先生から御指摘のあった3点ですとか、カリキュラム・マネジメントの問題ですとか、そして今、荒瀬座長からお話のあった新しい高校の在り方というか、そういういろいろな情報がもう少しここに付加されて、アップデートというかブラッシュアップされて、選択・活用の基本的な考え方というか、そういうものが明示されることも一方では必要かなということもちょっと思いました。
先ほど岡山県の情報についてもたくさんいただきましたけども、各高校あるいは自治体の教育委員会、そして何よりも生徒がどういう形でこれを活用しているかという状況を反映させたような形で、2に当たる項目を少しブラッシュアップして、併せて取組として、よりグッドプラクティスのようなものを集めるようなことを、今後やっていってはいかがかななんていうことを、今、座長のお話を伺ってちょっと思いました。
感想みたいになってしまいましたけど、以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。藤森先生お願いいたします。
【藤森委員】 度々藤森です。よろしくお願いいたします。2点、感想的な形で申し上げます。
1点目ですけど、今回の基礎診断を、業者をはじめとして、外部にこうやって委託してみるというものは、学校自体を外部評価の視点から、より客観的に診断していく、そういった意味合いが非常に大きいと思うんですよね。東京都はたしか平成10年以前に、一度外部評価に係る指導資料の作成を都として行っていたんですけれども、外部からどういうふうに全体として見えるのかという問題、非常に大きいんじゃないかなというふうに思いました。
それから、もう1点ですけれども、たしか来年度以降、高等学校では各教科で、評価に関する指導資料がまとめられて、それが公開されるはずだと思います。その中で、いわゆる資質・能力ベースの評価というのは一体どういう理念の下なのかということが、具体的な指導事例とともに出てきますので、それと基礎診断との整合性というのをきちんと図っていかないと、一方ではいわゆるアテイントメントを中心とした評価からの脱却と叫びながら、もう一方では、アテイントメント中心の測定になっているという、そういった誤謬を先生方が抱かないように、きちんと両者の関連と意義というのを位置づけていく必要があるだろうなというふうに思っております。
以上、2点申し上げました。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、具体的に今日いただきました御意見を踏まえて、次回以降のこの会議の取組ということにつきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。会議自体は今のところあと2回予定されているわけですけれども、ちょっとさっきも申し上げましたけれども、具体の実態調査といいますか、どんな取組の状況であるのか、各学校におけるものですが、それがまだ集約できていないということにもなっていますし、今いただきました御意見も、これからに向けた幾つもの大変重要な御指摘でありますので、それらを踏まえて、今後どのような形でこの会議で進めていくのかということを、齊藤参事官補佐から御説明いただきたいと思います。
【齊藤参事官補佐】 ありがとうございました。今回委員の先生方からいただいた御意見を踏まえまして、あと2回会議の開催を予定しておりますけれども、御指摘を踏まえた今後の取組、例えば、ツールの改善に向けた事業者へのフィードバックをどうすべきかとか、そういうような観点も踏まえまして、今後の取組であるとか、あと今、認定基準が決まっているものがあるわけですけれども、今回の御指摘を踏まえまして、改定をどうするべきかというところについて、御提示をさせていただいて御議論いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ということであります。次は3月12日が予定かと思いますが、そのときに可能な限り、文部科学省のほうからも資料を出していただくということでよろしくお願いしたいと思います。
委員の皆さん、いかがでしょう。何か今のお話も含めましてございましたらお願いをしたいと思いますが。よろしいでしょうか。
そうしましたら、また後ほどこういった点も重要だというようなことがございましたら、事務局のほうにメール等でお送りいただくということで、今日は少し早いですが、この辺りで会は終了したいと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、今日の会議はこれで閉じたいと思います。いろいろと本当に御意見いただきましてありがとうございました。終了いたします。お疲れさまでございました。

── 了 ──

お問合せ先

初等中等教育局参事官(高等学校担当)