教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議(第1回)議事録

1.日時

令和2年11月24日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議の運営について
  2. 教職課程の質保証に関する取組の状況について
  3. その他

4.議事録

【尾白教員免許企画室専門官】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第1回教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議を開催させていただきます。
冒頭、会議立ち上げの諸手続を行うため、非公開とさせていただきますので、傍聴者の方々には大変恐縮ですが、5分か10分程度でございますけれども、一旦配信を停止させていただきますので、しばらくお待ちください。

(非公開)

【尾白教員免許企画室専門官】 配信再開いたしましたので、森山座長、よろしくお願いします。
【森山座長】 それでは、教職課程の質保証のためのガイドラインの検討会議の立ち上げに必要な手続を終了いたしましたので、これより議事を公開いたします。
改めまして、本検討会議の座長を仰せつかりました玉川大学の森山と申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、文部科学省の中野課長から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中野教育人材政策課長】 改めまして、第1回の検討会議の開催に当たりまして、事務局を代表いたしまして、御挨拶をさせていただきます。
このたび、先生方におかれましては、教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議の委員に御就任いただきまして、誠にありがとうございます。また、本日第1回の会議ということで、御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
さて、本年2月の中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会におきまして、教職課程の基準に関するワーキングの報告書を頂いております。その報告書の中では、全学的に教職課程に責任を持つ組織体制を備えること、それから、当該組織が中心になって、大学が自主的に教職課程の水準を維持・向上させていく仕組みを確立することが必要であるといった提言をいただいているところでございます。
これを踏まえまして、文部科学省におきましては、教育職員免許法施行規則を改正し、これは令和4年4月にここの部分を施行の予定でございますけれども、今後教職課程を置く大学におきまして、教職課程の全学的な組織体制の充実、そして、自己点検・評価の実施が求められることになります。
この検討会議でございますけれども、各大学の取組の参考となるように、全学的な組織体制や自己点検・評価に関するガイドラインを作成することを目的としたものでございまして、令和4年4月からの各大学の取組開始に向けた準備に御活用いただけるように、本会議で作成いただいたガイドラインについては、できましたら年度内に各大学に送付したいと考えております。
委員の皆様におかれましては、今後の我が国の教職課程の質のさらなる向上に向けまして、闊達な御議論を頂戴できますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【森山座長】 中野課長、ありがとうございました。
今の課長のお話のとおりでございます。全学的に教職課程に責任を持つ体制、それから、当該組織が中心となって大学が自主的に教職課程の水準を維持・向上させていく仕組み、いわゆる自己点検・評価を確立するというのが狙いということで、今日、課長からお話のありましたとおりでございます。よろしくお願いいたします。
それでは、議事の(2)教職課程の質保証に関する取組の状況に移らせていただきたいと思います。まず事務局より、教職課程の質保証に関しまして提言した、教職課程の基準に関するワーキングの本年2月の報告書、あるいは論点を含めた検討の進め方について、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【尾白教員免許企画室専門官】 事務局から説明させていただきます。まずは資料3の「教職課程の質保証に関する基礎資料」というものをお出しください。これの2ページを御覧ください。
まずは、教職課程の全学的な組織体制や、教職課程の自己点検・評価の義務化、これらのガイドライン作成について提言をいただきました、本年2月の教職課程の基準に関するワーキンググループの報告書の関連部分を説明させていただきます。2ページの二、教職課程の実施体制に関する基本的な方向性というところです。
この報告書におきましては、教職課程の運営について、これまで学科を基本的な単位としてきましたが、今後の方向性として、効果的・効率的に実施する観点から、複数の学科で科目や教員を共通化しつつ、連携・協力して教職課程を運営できるようにする方向で見直していくことが適当であるとしています。
ただし一方で、複数の組織の間で教職課程の運営の責任が不明確となったり、カリキュラムの体系性が失われたりすることで、質が低下することのないよう、全学的に教職課程に責任を持つ組織体制を備え、当該組織が中心となって、大学が自主的に教職課程の水準を維持・向上させていく仕組みを確立することが必要としております。
続いて、その下の五の1ポツのところです。全学的に教職課程を実施する組織体制というところです。
その上で、まずは全学的に教職課程を実施する組織体制について、多くの大学で教職課程センターや、教職課程のカリキュラムを協議する委員会などが整備されてきていますが、複数の学科の連携・協力体制を拡大する場合には、学科間のカリキュラムや教員の調整、他学科科目まで視野に入れた学生への履修指導など、全学的に教職課程を実施する組織体制が整えられていることが、これまで以上に重要となります。
このことから、全学的に教職課程を実施する組織体制を整備することを義務化し、この全学的な組織体制に期待される役割・機能についてガイドラインを作成して、その充実を促進すべきとしております。
続いて、3ページの上の2ポツ、教職課程の自己点検・評価のところでございます。
この自己点検・評価につきましては、その実施の義務化が適当であるとした上で、評価事務の過重負担とならないよう、学校教育法第109条第1項に基づいて行われる大学教育全体の自己点検・評価の中で、教職課程についても扱うことを可能とするような、柔軟な対応が可能となるよう留意すべきであり、ガイドラインを作成すべきとしております。
続いて、その下の4ポツの教員養成の状況に関する情報の公表と、その次のページの教職員に対する研修です。この2つとも併せての話ですけれども、教員養成の状況に関する情報の公表であるとか、教職員に対する研修につきましても、全学的に教職課程を実施する組織体制が中心となって実施をして、自己点検・評価の中で適切に行われているかチェックすることが必要であり、これらにつきましてもガイドラインに位置づけ、各大学の取組の充実を促していくことが必要であるとしております。
続きまして、資料が5ページに移ります。教職課程の基準に関するWGの報告を受けた制度改正についてという資料です。
教職課程の全学的な組織体制や自己点検・評価につきましては、教育職員免許法施行規則を改正しまして、令和4年4月1日から義務化を予定しております。このため、各大学においては令和3年度中に準備をしていただくことが必要となるため、その際にも参考となるよう、本検討会議においてガイドラインを作成いただきたいというものでございます。
続きまして、資料は7ページに入ります。ここからは、教職課程の質保証に関する取組状況を表すデータが幾つか続きます。7ページにつきましては、全学的に教職課程を実施する体制について、平成29年の調査では、教職課程センターといった独立の組織を設置している大学が35.7%、教職課程運営委員会といった会議体を設置している大学が78.2%という数値となっております。
次の8ページについては、自己点検・評価でございます。自己点検・評価については、学校教育法第109条第1項に基づく自己点検・評価の中で、教職課程の自己点検・評価を実施しているという大学が35.9%という数値となっております。
続いて、9ページは、教員養成の状況に関する情報公表に関するデータになっております。各項目の数値は以下のとおりとなっております。情報公表については、平成27年度から免許法施行規則に位置づけて、各大学に義務づけられているというものです。
続いて、10ページは、教職課程を担当する教員に関する研修に関するデータとなっています。既に取り組まれている大学もあるといった状況でございます。
次は11ページになります。今度は教学マネジメント指針の概要でございます。各大学の教学面での改善・改革に係る取組を促していくために、各大学における取組に際して、どのような点に留意して充実を図っていくべきかなどを網羅的にまとめた教学マネジメント指針が、本年1月にまとめられたところでございます。
本指針におきましては、「三つの方針」を通じた学習目標の具体化、授業科目・教育課程の編成・実施、学修成果・教育成果の把握・可視化、FD・SDなど教学マネジメント指針を支える基盤、情報公表といった取組を、大学全体、学位プログラム、あるいは授業科目の各レベルで実施をして、教学マネジメントがシステムとして確立することを目指すものでございます。教職課程の質保証につきましても、こうした大学全体の内部質保証体制の充実に係る方向性を踏まえることが必要と考えられます。
続きまして、資料4をお出しください。資料4は、教職課程の質保証のためのガイドラインの検討の進め方についてです。
教職課程は、小学校や中学校などの免許状の種類、また、それらを設置する大学、大学院、短大などの学校の種類などにより様々でございます。こうした多様な教職課程の質保証に関する取組が各大学の状況に応じて取り組みやすいよう、ガイドラインとしては大枠を示すこととして、教学マネジメント指針も踏まえ、次のような論点について検討してはどうかとしております。
その下の論点例のところです。まず1つ目に、自己点検・評価のところで、(1)です。自己点検・評価に当たっては、まず1つ目の手順のところでございますけれども、例えばアンケートなどを通じた教職課程の状況の把握であるとか、観点に照らした分析評価など、そういった手順をどうするのかといったところとか、続いて、その実施間隔でございますけれども、毎年行うのか、何年置きに行うのかといったところ。実施単位につきましては、大学を単位としてやるのか、学部なのか、学科なのか、教職課程なのかといったところ。それから、実施体制につきましては、どのような組織体制で点検・評価を行うのか。こういったことなどの基本的な考え方について、大枠としてどのような内容を示すことが適当かということがございます。
それから、(2)のところで、自己点検・評価の観点について、大枠としてどのような内容を示すことが適当かというところ。
続いて、2のところが全学的な組織体制でございます。(1)で、教職課程センターや教職課程のカリキュラムなどを協議する委員会など、全学的に教職課程を実施する組織体制の構築に関して留意すべき事項について、大枠としてどのような内容を示すことが適当であるのかというところ。(2)では、全学的な組織体制に求められる役割や機能について、大枠としてどのような内容を示すことが適当かというところでございます。
事務局から資料の説明については、以上になります。
【森山座長】 ありがとうございました。
それでは、今日のメインですけれども、続いて、教職課程の質保証に関して、文部科学省の委託研究を実施した3つの団体について、関係の委員から順次発表していただきます。
まず川手委員より、教員養成評価機構の取組について、15分程度で発表をお願いできればありがたいと思います。
なお、時間の都合上、これまでの事務局説明や、事例発表に対する御質問、御意見についても、後ほど意見交換の際に一括してお受けするという形にしたいと思いますので、御理解をお願いいたします。
それでは、川手委員、よろしくお願いいたします。
【川手委員】 川手でございます。よろしくお願いします。今、画面を共有しようとしているんですが、ちょっとお待ちください。
よろしいでしょうか。森山先生、映っておりますか。
【森山座長】 大丈夫です。ありがとうございます。
【川手委員】 では、限られた時間ですので、早速始めさせていただきます。
私からは、昨年度、一昨年度に教員養成評価機構が取り組んだ文科省の受託事業から、自己分析、自己評価に係る部分を中心にしてお話しさせていただきます。
スライドの2です。この事業は、大きく2つの柱から成るものでした。まず一つは、各教員養成機関に対して、自己分析活動の実施を提案するということ。そしてもう一つが、第三者評価としての評価事業の可能性について検討するというものです。
2年目の事業では、1年目の事業を踏まえて、さらに教職課程の内部質保証システムのモデル開発事業を進めるとして、教員養成機関が作成した自己分析書に対して、外からフィードバックを試み、その効果を検証するということを行いました。この狙いは、自己分析活動をより有効なものとし、第三者評価の障壁となる費用の抑制にも資すると考えたことにあります。前提、基礎となったのは、かつて東京学芸大学が中心になって開発した教員養成教育認定システムですが、これについては既にいろいろなところで取り上げており、関係の皆様も御存じのことと思いますので、最低限の確認だけにとどめさせていただきます。
スライドの3ページ目です。以下、11ページまでがこれに当たるんですが、まずこの3ページ目を御覧ください。これが1つ目の教員養成評価プロジェクトです。ここでは、大学の学部における教員養成教育の質向上を目指し、コミュニティーを形成しながら、教員養成教育を評価するシステムを開発しました。
そして、スライドの4ですが、今、映っております。この2014年度から2017年度の開発研究で、さきに開発した教員養成教育認定評価システムを用いた教員養成認定評価の試行を行いました。参加大学は、ここに示されているとおりのものです。
スライドの5に移ります。以下の7枚のスライドに、これの考え方と特徴がまとめられていますが、今御覧いただいている5ページ目のスライドに挙がっている4点は、認定評価システムを開発するに当たり、核となった考え方であり、このたびの受託事業の中でも繰り返し立ち返った諸点ですので、確認しておきたいと思います。御覧ください。
まず、1つ目です。設置主体や目的の異なる、つまり、多様な教員養成機関が教員養成を行う開放制の原則ということを踏まえ、教員養成教育の多様性に対応するものとしたこと。そして、各大学が適切に、自律的に内部質保証を行っているかを、外部から評価するということ。そして、相互に学び合う教員養成機関が自発的に参加するということ。また、教員養成教育を担っている大学学部だけでなく、大学間、学校、教育委員会、学会、評価団体などと連携した評価システムであり、ピア・レビューを中心とした相互に学び合うコミュニティーの形成を目指すという点でした。
スライドの6ページです。これが評価の実施体制です。時間がないので、どんどん進みます。
スライド7ページ、これが評価チームの構成でした。
そして、スライドの8ページ、これが基準の構成です。教員養成教育認定基準では、教員免許状を取得する学生に対して、カリキュラム全体をどう保証するかという観点から、教員養成教育を総合的に評価する5つの評価基準領域、13の基準、40の観点を設けています。
スライドの9です。これが全体の5つの基準領域と、その関係性を示すイメージ図になっています。ここは少し説明をいたします。
まず、図の真ん中にある1の「構成員の合意に基づく主体的な教員養成教育の取り組み」が、全体の核になる部分で、カリキュラムの全体像を構成員がどれほど主体的に捉えられているかどうかを検証します。ここは、ほかよりも多い4つの基準があり、基準は、理念を共有できているか、カリキュラム編成の工夫、教職員の組織体制に関する工夫、自律的・恒常的な改善システムの構築と運用という4つを設定しておりました。
一方、2から3の縦軸は教職を担う人材、つまり学生をどのように受け入れ、送り出しているかを検証する部分です。つまり、学生が入学してから卒業するまで、教職に係る教育と支援をどのように行っているかを検証します。
次に、4から5の横軸ですが、ここでは、各機関が大学としての自律性・主体性を持って教員養成カリキュラムを運営しているか、そしてそれが同時に、教育関連の諸機関、教育委員会や学校ですけれども、とどのように組織的な連携・協力体制をつくっているか、社会的要請にどのように応えているかを検証します。矢印が示すとおり、各基準領域はこのように相互に関連し合い、全体を構成しておりました。
スライドの10です。これがその評価方法ですね。
そして、11ページ。これが認定の要件と評価結果の公表についてです。
では、スライドの12です。今、御覧いただいたところまでが、東京学芸大学が中心になって開発・試行した教員養成教育認定評価であったわけですが、これらのプロジェクトを踏まえて教員養成評価機構が実施したのが、今回のプロジェクトということになります。今映っているローマ数字の2からです。
冒頭に申し上げましたとおり、今回、2年間行った受託事業の柱は2つありました。つまり、一つが、この場でも問題となる、各教員養成機関が自律的に教員養成教育の質保証・向上の取組に着手する提案として、自己分析(自己点検・評価)活動の支援の実施を行うということ。そしてもう一つが、その先にある第三者評価としての評価事業の可能性を検討するということでした。2年目には、教員養成機関が作成した自己分析書に対して外からフィードバックを試み、その効果を検証しました。
スライドの13です。まず、1年目の事業においては、1つ目の自己分析、つまり自己点検・評価活動の支援の実施の提案を行いました。その際には、1つには、意向調査をまず行うこと。2つ目、着手予定等の回答を寄せてくれた教員養成機関に対して教員養成評価機構のメンバーが、訪問を通し事業の説明を行い、自己分析の提案をしました。そしてその一方で、自己分析活動を支援するツールとしての解説動画を作成しました。
スライド14です。意向調査の概要は、ここに示したとおりです。ここにあるように、主に4つの質問を行いましたが、そのまとめが、次の15のスライドになります。
15のスライドを御覧ください。これは、メンバーでもある国立教育政策研究所の渡辺先生がまとめられたものですが、上から見ていきましょう。
教職課程の自己分析に関しては、まだ4分の3の教員養成機関で体制が整えられていない。取り組むなら、学部単位より全学的にと考える教員養成機関が多い。全ての基準領域を用いた自己分析の実施が効果的と考えられている。自己分析活動を実施しようという教員養成機関も少なくない。また、体制づくりができたり、時間的な余裕が生まれれば、取り組んでみようと考える潜在的なニーズは、一定程度あるということでした。
そして、スライドの16です。この意向調査からも、自己分析のニーズがあると判断できたので、それを踏まえて、今回、教員養成機関の関係者などが活用できるインターネット上のツールとしての解説動画の開発を行いました。自己分析活動の手助けとなるように、分かりやすい教材になるように心がけました。
そして、スライドの17。これがそれらの動画です。
そして、スライドの18に移ります。次に、自己分析書作成の観点と基本的な考え方についてですが、今回、教員養成教育認定評価の全体の中から、自己分析の部分だけを取り出して実施しました。無論、自己分析だけに特化したということは、資金がないなど、教員養成教育認定評価システム全体を事業展開する物理的な条件が整っていないということがありましたが、しかし、自己分析活動だけでも、教員養成教育の質をどのように向上・改善しようとしているかという観点から自己分析を行うこと自体に、内部質保証という観点から一定の意義があると考えました。
そして、その結果である各大学の優れた取組を他大学にも情報提供できれば、大学間で相互啓発的に質の向上を図ることも可能と考えました。その意味で、自己分析書については、教員養成評価機構ウェブサイトへの掲載ということを提案しました。
なお、自己分析活動を行う際に重要な点は、単に現状の点検を行うのではなく、特徴や課題の析出を大学自らが行うことにより、問題・課題の解決・解消の具体的な措置を講じているかどうかを自ら考える機会となり、そのことで改善につながるということがポイントになると考えております。
スライドの19です。これを踏まえて昨年度の事業、教職課程の内部質保証システムのモデル開発、自己分析とフィードバックを行いました。この外からのフィードバックを行う取組に参加してくれたのが、ここに記載されている大学機関となっております。
スライドの20ページです。これは、自己分析について、参加機関から寄せられた意見ですが、少し読ませていただきます。
上からですが、数多くの視点が体系的に準備されており、幅広い視点から自己分析し、問題・課題を体系的に整理できた。ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを体系的に考察できた。これまで築いてきた実績と地域のつながり、自らの役割を再認識できた。自己分析活動を通して、教職員間の相互理解が深まった。相互理解を通して、今後の組織の在り方を考えることができた。自らのよい点を認識でき、今後の学生指導につながる。教員養成教育の質向上に向けた集団形成の機会となった。時間軸の中で中長期的に、現在の状況と課題を認識できたというような御意見をいただきました。
スライドの21に移りますが、フィードバックの有効性についても、ここに挙げられたとおりの意見をいただきました。これも少し読みます。
洗い出された問題・課題について、外から客観的な評価を受けることで、これらを教職員全体で共有できた。自己分析とフィードバックは、今後の改善のスピード化につながる。今後も自己分析の視点として継続活用できる。客観的な意見が得られる。自らが考えていた課題に外からフィードバックを受けたことで、学内の体制の見直しが容易になり、何をなすべきかの道筋が見えた。自らの特徴・課題が明らかになり、改善への意欲が持てた。自信につながる。ピア・レビューのスタンスは、共に教員養成をよくしていく協働作業と感じられる。フィードバックは、過去・現在・未来をつなぎ、見通しを持つための経験となった。フィードバックとともに、第一着手に関する対話ができるとなおよいといった意見をいただきました。
スライドの22です。また、フィードバックと併せて、教員養成教育認定基準が質の確保・向上につながるかどうかの意識調査も行いました。1,163機関に調査を依頼し、160機関から回答を得ました。それを、教育系学部・学科と非教育系学部・学科に分けて分析した結果のまとめの一部が、次のスライドの23になります。
このように、この調査では70%以上の機関から、ほぼ全ての基準・観点が有効との回答を得ましたが、一部、教育系と非教育系の差も見られました。ただし、それは当然の結果と言えるものであり、これは教員養成が開放制原則の下、多様な学部・学科によって担われていることの反映でもあります。つまり、それを踏まえた評価が必要であるということを物語っているかと思います。
スライドの24です。以下のスライドは、事業のもう一つの柱である教員養成教育認定評価を第三者評価として実施する上での課題を検討したものです。私たちが第三者評価を行う上で課題・障害となるものを列挙していますが、詳細は割愛させていただきます。基本的には、ここに挙げた5点について、実施単位をどうするかから始まり、評価費用の問題まで検討しました。
特にこの場で重要と思われるのは、スライドの26に飛びます。ここにありますように、教員養成系大学、教員養成系大学以外の大学、総合大学あるいは単科大学などタイプの異なる大学の教員養成をどう位置づけるかということかと考えます。
また、先ほども述べましたが、タイプの異なる教員養成機関が同じ基準で行う場合、汎用性が求められるということも明らかです。事実、さきの教員養成教育認定評価の基準領域における基準・観点についても、私たちは全てを満たす必要はないとしてきましたが、そこについては実際に様々な意見をいただきました。ほかにも、初等教育と中等教育の教員養成の違い、特別支援、工業高校や商業高校といったものへの対応も求められていくかと考えます。
最後の2枚のスライドですが、ここにありますように、この受託事業を通して私たちは、第三者評価の実施について議論・検討しましたが、そこから導き出されたのは、複数の教員養成機関が集まり、相互にフィードバックするというピア・レビューの実施でした。
最後のスライドですけれども、そうした形で各教員養成機関がコミュニティーを形成することが、教員養成機関の主体的・自律的な改善、質の向上を担保していくのではないかと考えました。そのプロセスを通して、教職員の意識改革を図ることが肝要ではないかと教員養成評価機構では考えています。
以上、大変急ぎ足でしたけれども、以上で私の報告を終わらせていただきます。
【森山座長】 川手先生、どうもありがとうございました。
それでは、早田委員より、大学基準協会の取組について、同じく15分程度で御発表をお願いしたいと思います。早田先生、お願いいたします。
【早田委員】 それでは、報告を始めます。
まず、スライド3に行きます。この調査は、大学基準協会が文部科学省より、2年にわたる委託調査をし、アンケートは1年目に行ったものです。まず、このアンケートですけれども、全国の教職課程を持っている大学の82%から回答を得ています。
次のスライドをお願いします。これは教育情報の公表に関わるものです。ここにありますように、68.7%の大学が教職課程の教育情報を公表しているということになっています。国立が多いんですけれども、この時点では、必ずしもほとんどの大学が公表しているという状況ではありませんでした。
その次をお願いします。内部質保証体制の構築状況というところについて見ていきますと、これについては、内部質保証体制について教職課程に固有のものをつくっているというところは、ほとんど見られませんでした。半分程度の大学は、教職課程のカリキュラム委員会が、その役割を兼ねているといったもの、あるいは、シラバス・チェックを行うことを通じて、教職課程の改善を目指しているということでした。全体の3分の1は、学部等の自己点検・評価の中で教職課程の検証も行っているということのようです。
それから、次のスライドをお願いします。教職課程の人材育成目標、教育目標ということについて、実際にそのための可視化に向けたアセスメントをすべく、指標や基準を設定しているかどうかということについては、やはり半分を超えるところが大学として未設定だということです。ただし、4分の1の大学は、それでもそういう指標を設定しているという流れでした。
それから、その次のスライドです。ここでは、教職課程に特化したFDの仕組みというところですが、実際には、そういうものは制度化していないというところが60%をやや超えるという状況になっています。とはいえ、一方で、9%の大学で教職課程担当の全専任教員によるFDが実施されているという結果も示されています。
その次をお願いします。実際、FDとしてどういうことが行われているのかということですが、大学全体の傾向として見ていきますと、授業アンケートを基に改善・改革を進めているだとか、それから、授業の相互参観を通じて内容・方法の改善を図っている。それから、教育政策の最新動向を踏まえて、求められる教員像の理解を深めていっているといった内容ではあります。ここに書かれているFDの中身はもっともなんですけれども、これが本当に教職課程に特化したFDの中身かどうかということについては、私どもは十分確認はできませんでした。
その次のスライドです。教職課程の全学的なマネジメント体制に関わることですが、先ほども事務局の方からも紹介がありましたが、教職課程センターをつくっているというところが3分の1、35.7%です。最も高い比率なのが、全学教職課程運営委員会といった全学的な会議体を設置しているということです。これはセンターを設置しているのか、運営委員会を設置しているとか、いずれかでマネジメント体制を作っているという形で見るのではなくて、相当程度の大学がセンターと運営委員会を両方設置して、車の両輪として両方を動かしているという大学が多かったということが言えるかと思います。
その次をお願いします。組織体制については、専任教員と専任職員で組織体制が運営されているという状況でした。
11枚目のスライドをお願いします。実際、教職課程センターに注目して、そこでどういう役割が演じられているのかということですが、上から順に5つほど見てまいりたいと思います。大体この5つが、我々が調べた中では、その役割として挙げられたものです。カリキュラムのコーディネート、教育実習のコーディネート、インターンシップやボランティアのコーディネート、学生からの履修相談、それから、教員採用選考試験への対応といったようなことです。ここには挙がっていませんけれども、その他のところに、教職課程の質保証に密接にコミットしているという回答もございました。
次のスライドをお願いします。ここでは、教職課程の運営においては、教職協働をやっているという回答がほとんどを占めているということがお分かりかと思います。
その次のスライドをお願いします。なお、念のためにといいますか、教職課程の第三者評価について、どう考えていますかというのを自由記述で聞いてみたんですけれども、重要と答えた大学は21%、それから、効果が期待できないと答えた大学は15%でした。その他を除くそれ以外のところは、実は第三者評価をやることを前提に、どうすれば負担が少なくて済むかという内容です。それから、その他の49%も、第三者評価がなされることを前提に、それが適切に運営されるためには、評価基準、評価者の在り方について工夫を加えないといけないという建設的な意見であって、第三者評価に否定的な意見というのはそれほど多くはなかったということが、アンケート調査から判明したことです。
14ページ目のスライドに移りたいと思います。そこで、このアンケート調査を通して、内部質保証に関わる課題としてどんなことが見えてきたかということです。総じて言うと、教職課程の内部質保証というのは、まだ漸進的な段階にとどまっていたということ。それから、FD・SDについても状況が同じということです。
また、FD・SDが脆弱であるということの関連において、教科専門担当教員が、自分が教職課程担当者であるという自覚が希薄だということ。それから、これは教科専門、教職に関わりなく、研究者教員と、主として教科教育法を担当される実務家教員との連携・協働が、必ずしも十分うまくいっていないということ。それから、教職課程についての知識・理解が、教員間で共有化が十分できていないということが、課題として挙げられました。
その次はSDに関わることなんですが、職員が異動していく中で、その異動の早さに対して、うまく後任者に教職課程についての知識・理解が継承されていない。教職課程というのは、法制度も具体的な仕組みもすごく複雑なんですけれども、それが十分継承されていないことで、教職協働が必ずしもうまく回っていないという課題もあったということです。
その次のスライドをお願いします。ここでは、教職課程の内部質保証ということについて、どのようなことがその内容となるのかが明らかにされています。これは、実は次のスライドで、教職課程の内部質保証の構成要素としてどういうものがあるかということも示しているんですけれども、これは2つ一体のものとして、スライド15のところで見ていきたいと思います。
まず第1が、教職課程の内部質保証というのは、PDCAサイクルを内包させた自己点検・評価を基礎に行うということが大切だということ。
2番目として、教職課程としてどういう資質・能力を持つ教員を育成していくのか、本当にその目的が達成できたか、そういう人材育成目標との関係で、教職課程の質というものを考えていくためには、ラーニング・アウトカム・アセスメントの手法を、この内部質保証の仕組みの中に導入することが大切だということ。
3番目として、これはよく指摘されていることですが、大学レベル、教職課程レベル、授業科目レベルの3層構造として行うことが、程度の差はあっても必要不可欠であるということ。
4番目として、教職課程センターといった全学組織の役割を明確化するということ。それから、FD・SDの機能ということについても、やはりその中身を明確化していく必要があるということです。このことは、教職課程マネジメントにおけるFD・SDの位置づけと同時に、全学の内部質保証と教職課程の内部質保証の関係性をどう見るかということとの関連でも重要です。
5番目に、今述べたような関係性を明確化することによって、両者すなわち大学の内部質保証と教職課程の内部質保証の協働と役割分担の調整を図るということが、非常に大事になるということだと思います。
その次のスライドを飛ばして、17をお願いします。これが内部質保証の概括的な仕組みということで、御確認いただければと思います。PDCAサイクルを基本に、これは回っていくということです。
その次のスライドをお願いします。これは、我々の委託調査の2年目に、内部質保証のことをしっかり学ぶ中で、内部質保証の対象項目を3層構造の中で例示したものです。これは教員養成評価機構の試みだとか、文部科学省の実地調査の項目とか、再課程認定に関わるものだとか、それから、大学基準協会がこのアンケート調査を行う際に、新たに調査項目として設定したもの、そういうものの中から最大公約数的なものを挙げたものです。ちょっと早口で簡単に読ませてもらいます。
大学レベルにつきましては、教育情報公表義務の遵守、教職課程をつかさどる全学組織の設置・運営状況、教職課程をつかさどる全学組織と全学的な内部質保証をつかさどる組織との関係性、教職課程をつかさどる全学組織と各教職課程の関係性、教育目標・計画等における学習成果(ラーニング・アウトカム)の位置づけとその測定手段の確立・運用の調整、といったものが挙げられます。
教職課程レベルについては、次のような項目を示しています。学習成果、すなわちラーニング・アウトカムの達成に向けたPDCAベースの自己点検・評価体制の構築・運営の状況、全員参加型の組織的なFD・SDの構築・運営、教育目標・計画それから目指すべき教員像と教員育成指標等との関係性の検証、この教員育成指標とは、都道府県、政令指定都市といった教員任命権者が設定している教員育成指標のことです。
それから、その次です。カリキュラム編成及びこれを支える教員組織の検証、教育内容・方法を学校現場の要請と乖離させないために講じている措置、ラーニング・アウトカムや学習成果の達成状況を測定・評価し、その結果を教育改善に連結させる仕組みの導入・運用の状況及びその有効性の検証、教育実習の手はず及び学外組織との連携・協働の検証学習支援・学生のキャリア支援とその検証、といったものが挙げられます。
それから、授業レベルすなわち授業科目レベルについて申しますと、教育目標・計画とそれらを具現化したラーニング・アウトカムや学習成果の周知、授業内容・方法などへのラーニング・アウトカムや学習成果の反映状況とその達成度の検証、シラバスにおける学習指導要領との整合性の検証、授業アンケートへの対応、学習者に対する学修指導上の配慮、こういったものが例として挙げられるということで、ここに示しています。
その次のスライドをお願いします。ここでは、教職課程の外部質保証の可能性について示していますが、なかなかこれは難しいということ、教職課程の設置件数が膨大であることや、免許状の種類等との関係で、分野別評価の手法が必要であるということで、外部質保証を機関別認証評価の手法でやるのは非常に難しい。ただし、実は大学基準協会はこれまでも、教職課程の教育情報公表義務が遵守されているかどうかということについては、機関別認証評価の枠組みの中で、チェックをしてきたということのようです。
実は、先ほどの文部科学省の事務局の方の紹介にもありましたが、こうした教育情報公表義務の中で、教員の養成に係る教育の質の向上の取組という部分は、私どもの調査でもあまり公表状況がよくないようですし、私も若干その中身を見たんですが、質保証をどうするかということと若干かけ離れているような内容の文言、内容のことが報告・公表されているということで、まずはそうした大学機関別認証評価の枠組みの中で、法令遵守状況を確認する。その中にある教職課程の質保証に関わる部分が、どう社会に公表されているのかということを見ていくということが、外部質保証を行うための第一歩かなという印象を持っています。
以上で、私の報告を終わりたいと思います。
【森山座長】 早田先生、ありがとうございました。
では続きまして、私からでございますが、全国私立大学教職課程協会の取組について発表させていただきます。画面共有はパワーポイントで、報告書のほうは参考として御参照いただければありがたいと思います。
まず、タイトルですけれども、教職課程質保証評価の構築ということで、全私教協の会員校における資料調査と訪問調査を基にして、本日は報告させていただきたいと思います。
資料7の1枚目をお願いします。研究の背景ですけれども、報告書は3-4ページに記してございますが、この研究は平成30年度に、文部科学省の委託研究の「私立大学における教職課程質保証に関する基礎的研究」、私立大学における教職課程の質保証の在り方に関する調査を行いました。420大学が加盟しておりますが、348校から御協力いただきました。
それから令和元年度には、これも同じく文部科学省の委託研究です。「私立大学における教職課程質保証の在り方に関する研究」ということでここでは、自己点検、そして評価を行っていると回答した12大学の自己点検・評価基準の分析、自己点検・評価を行っていると回答した8大学の訪問調査を行いました。これらの知見を踏まえまして、「『教職課程 自己点検・評価報告書』作成の手引き」を作成いたしました。この辺りが今日の中心になろうかと思います。
次のページですが、次に、教職課程自己点検・評価の基本的な考え方、進め方についてです。これは自己点検・自己評価の目的として、学校教育法の第109条第1項、それから学校教育法の施行規則の第166条に示されているところでございます。これを教職課程でどのような形で共有して進めていくかということで、このことを示しました。
2つ目が、次のページですけれども、これは報告書の52ページにあります。
教職課程の自己点検・評価の進め方につきましては、教職課程を対象とした自己点検・評価について、まだ今日まで定型的な実施手順というのが存在していません。それで、各大学の、特に規模の問題、そして地理的な条件、例えば各学部が分散しているという大学、そして、教職課程の種類・性格、例えば大きく分けるとすれば、開放制のところと養成系のところと、こういうことに応じて大学の固有の実施手順を確立し、これを誠意ある公正な姿勢で進めるということが求められているということで、各学部の教職課程の運営を統括する全学的な組織として、教職課程支援センターなどを設置している大学において、自己点検・評価を実施する場合を例にして、幾つかのプロセスを踏まえて進めるということを行いました。
次のページを御覧ください。ここでは具体的に、教職課程自己点検・評価報告書の作成の観点についてお示しをしています。報告書は、先生方、50ページをお開きいただければと思います。
これは8項目ございまして、まずは自己点検・評価の内容について。そして、自己点検・評価報告書の構成及び様式について。3番目として、教職課程の現況及び特色。4番目として、基準領域ごとの自己点検・評価の記述の方法。5番目として、基準領域・基準項目・取組の観点例。6番目として、自己点検・評価に関する資料、データ等のリスト。7番目として、教職課程自己点検・評価報告書作成のプロセスの記述。8番目、最後のところですが、現況基礎データ票の作成ということで、8項目を示しました。
それで、次のページを御覧ください。ここでは、自己点検・評価を実施する場合のプロセスについて簡単に示してあります。報告書の内容につきましては、52ページから54ページに詳細に掲載をされております。
第1プロセスは、教職課程支援センターによる自己点検・評価の決定・合意です。第2プロセスとして、教職課程支援センターによる法令由来事項の点検と各教職課程へのデータ等の扱いについての意見聴取です。第3プロセスとして、各教職課程における自己点検・評価の進め方の検討・協議を行います。第4プロセスとして、教職課程支援センターと各学部教職課程との実施手順の最終調整をしていただきます。第5プロセスとして、教職課程の自己点検・評価のための対象項目についての点検・評価活動の実施をいたします。第6プロセスとして、教職課程を対象とする自己点検・評価報告書の確定、そして公表ということになります。第7プロセスにつきましては、自己点検・評価報告書を基礎とした教職課程に関わる新たなアクションプランの策定をしていくことになります。以上のような流れになります。
次のページを御覧ください。全国私立大学教職課程協会が教職課程自己点検・評価基準を示したものとして、これは公にした文書になります。63ページに詳しく記述がされています。
(1)の教職課程の自己点検・評価基準については、63ページの報告書になりますが、これは特に開放制、そして多様性等、様々な組織形態を有するというところでの課題と、それに加えて、実施可能で、なお公正かつ質の保証、向上に資する評価の在り方ということを明らかにするということを目的にして、大綱的かつ汎用的なものとして、自己点検・評価基準自体を検討するのが必要であると思います。加えて、当然ですけれども、各大学の主体的・自律的な取組にかなうことをきちんと掲げようということで、こういうものを加盟大学に御相談したわけです。
それで、具体的に評価の領域と項目につきましては、次のページにあります。赤でお示ししたものが評価基準になります。この評価基準につきましては、3つの基準領域を設けています。
基準領域1の中には、教職課程に関わる教職員の共通理解に基づく協働的な取組ということで、項目を2つ掲げています。この2つの項目は、教職課程教育に対する目的・目標の共有ということと、教職課程に関する組織的工夫ということです。
基準領域2におきましては、学生の確保・指導・キャリア支援という基準領域を掲げて、その中に基準項目として、教職を担うべき適切な人材の確保、そして教職へのキャリア支援という2つの項目を領域の中に入れました。
そして、最後の基準領域3につきましては、適切な教職課程カリキュラムということで、教職課程カリキュラムの編成・実施と、実践的指導力養成と地域との連携という、基準項目を2つ、この領域の中に示してございます。
それぞれの基準領域につきましての項目に、具体的にどのような形でそれを確認していくかという作業をするに当たりまして、次のページを見ていただきますと、例えば基準領域の1につきましては、基準項目が2つございました。それぞれの基準項目に対して、先ほど申し上げたとおり、具体的に確認をするポイントになるところの項目を、数字の丸1から丸3、丸1から丸6という形で具体的に示したものが、基準領域1の画像でございます。よく御覧いただきますと、非常に具体的に、そして判断がなるべくできるようにということで、内容をそれぞれ工夫したという点がございます。
基準領域2につきましては、学生の確保・指導・キャリア支援というところですけれども、ここにつきましても、先ほど申し上げたように、基準項目ごとにそれぞれ2項目並びに6項目の具体的な内容を示して、これについてそれぞれの大学が確認をしていただくということになります。
同じような作業で、例えば基準領域の3につきましては、次のページを御覧ください。適切な教職課程カリキュラムという内容です。これについても、基準項目の1については8項目、基準項目の2については7項目、この辺りの実践的指導力養成と地域との連携の中には、教育実習の必要な履修要件とか、それぞれの体験活動等、具体的な教育委員会との関係というのが、それぞれのところに、まず最初に示されるということです。
それで、次のスライドを御覧ください。これが最後のところでございますが、実際に「『教職課程 自己点検・評価報告書』作成の手引き」というものを作りました。これは、今までの研究を踏まえまして、当協会の会員校ほか、開放制を取る教職課程において、教職課程自己点検・評価を実施し、これを客観的に取りまとめることを可能とする手引書を、今のところは完成版を作成しております。これは報告書の49ページから62ページに、そのものを委託事業の中での成果としてお示しいたしております。御覧いただければと思います。
全私教協では2年にわたって、現在も研究を進めているわけですけれども、特に本委託研究の到達点と今後の課題については、到達点としては、教職課程に関する自己点検・評価が大学評価の一環として行われる現状を、資料調査から明らかにしました。資料調査、実地の訪問調査の積み重ねによって、開放制の教職課程に適した教職課程自己点検・評価基準を取りまとめることができました。的確な評価基準・項目の準備と評価の具体的な方法の提示があれば、教職課程の自己点検・評価は制度的な実施が可能と判断し、大学における自己点検・評価を行う場合の手引書として、「『教職課程 自己点検・評価報告書』作成の手引き」を完成させたわけでございます。
ただ、いろいろ課題もございまして、今後の課題として、自己点検・評価の内容・方法に関しては、まだまだ試行を重ねて、さらに実施段階の完成度の高いものとしないと、なかなかまだ厳しいところはあります。それから、各大学の自己点検・評価を支援する、例えば全私教協でもそうですけれども、組織体制の確立を行わないと、これをそのまま各大学に投げても、しっかりとしたものにならないだろうという課題が挙げられます。
委託研究の体制については、この体制で現在も行っております。現在、最後のページにございますように、加盟大学がどんどん増えまして、正会員大学が今、405大学、準会員、短期大学の大学で19大学、それから特別会員大学としまして、公立大学の入会がございまして、現在426大学が加盟しております。そういう意味では、先ほど申し上げたとおり、多様性、汎用性ということも非常に課題になるところでもございます。
今日はお話しする機会を与えていただきまして、ありがとうございました。以上でございます。
ちょっと音声が途中、途切れまして、失礼いたしました。すいませんでした。
それでは、本日は第1回の会議でございますので、ただいま3つの団体から御説明がありました。それから論点案も踏まえて、自由に御意見をいただきたく思います。事務局の説明並びに取組の発表に関する質疑も含めて、これから時間まで、何とか質疑をする時間を取りたいと思います。
御発言の際、挙手ボタンを押すか、実際に挙手をお願いできればありがたいと思います。それではよろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございますので。
早田先生、お願いします。
【早田委員】 これは事務局の方に、提出された資料としての部分で確認したいんですけれども、提出された資料3、基礎資料の中の3ページ目ですが、それの上から4行目に、「評価に係る事務負担を過度に増大させることとならないよう、学校教育法第109条第1項に基づいて行われている教育研究等の状況についての自己点検・評価の中で教職課程についても扱うこととするなど、柔軟な取組が可能となるように留意すべき」という、この部分についてなんですけれども、これがガイドラインの中に盛り込まれる可能性があるということなのかどうかということと、これは基本的なことなんですが、ガイドラインというのは参考的な指針であるとはいえ、これが何らかの拘束性を持つということも想定されているのかどうかということについて、お教えいただければと思います。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 教員免許企画室長の平野でございます。
【森山座長】 平野室長、お願いします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 御質問いただきまして、ありがとうございました。2点お尋ねがございました。
1点目は、このワーキングの報告書に書かれている、評価負担を過度に増大させることとならないようというのは、このワーキングをまとめていただいた先生たちが、本当に現場の方々がいわゆる「評価疲れ」ということで、苦労されているということをよく分かった上で、今後我々が今後の制度を考える上での留意点として、残していただいた表現だと思っております。
ガイドラインにどう盛り込むかというのは、これから考えていくところでありますけれども、今私どもが思っているところは、最初の論点でも説明申し上げましたけれども、自己点検・評価が学校教育法に基づくものがあって、全く別トラックで教職課程の自己点検・評価があるということになりますと、似たようなことを別々のトラックで別々の人間が担うということになり、極めて現実的でないと思っております。その観点からは、既存で行っている自己点検・評価というものの中において、教職課程も取り扱うと。
でも、取り扱うということになりますと、ガイドラインに盛り込まれる教職課程の自己点検・評価のほうも、これとこれを項目としてやりなさいと言いますと、今、自己点検・評価の実態としては、各認証評価機関がつくられている認証評価のものの前段階として行われているケースもあり、認証評価機関により内容というのもかなり異なっているというところがありますので、全てに対応した項目をつくるというのは、恐らく現実的じゃない。
そうすると、考えられるものとしては、いろいろな項目というのはあると思うけれども、その中で、こういう観点について取り扱ってはどうかと。項目にどう溶け込ませるかは、各大学の御判断ではあるけれども、こういう観点のものは、その中に取り込んでやるべきではないですかと。そういった意味においては、認証評価機関が求めている自己点検・評価のやり方というものと、うまく接合できるようなものを示していくというやり方が考えられるんじゃないか。
自己点検・評価は実際、もう先行して平成3年から始まっていますので、30年近くの歴史があるということもございます。そのような中で、既存のやり方とフィットするやり方、また大学の多様性を踏まえたやり方ということであれば、最初に御説明したように、内容はある程度、今日御説明いただいた中で共通する部分も多かったわけでありますけれども、そういう部分を中心とした大枠というものについて考えていくということにならざるを得ないんだろうと思います。これはまさに、大学に過重な負担をかけないという観点から、また効果的に実施するという両面の観点から重要だと思っております。
2点目のガイドラインということでございます。ガイドラインということでございますので、これは、まず法的な拘束力はないということははっきりと申し上げておきたいと思います。その上で、今回の主眼というのは、法令ということで申し上げますと、自己点検・評価を行ってくださいということが書いてあるということになりますが、これについては、どのような形でそれを行っていいのかどうか分からないということが、各大学の規模などに応じてあるかもしれませんし、また、教職課程の自己点検・評価というのは、新しい概念と申しますか、新しい取組、公式に位置づけられたものとしては、そういうことになってまいりますので、一定、各大学の自主性というものを担保しながら、一方で、各大学のある程度の取組というものが平準化されるような、そういったところを目指して行っていくというものであります。法的拘束力はありませんけれども、しっかり参考にしていただけるような骨太なものを示していきたいと考えております。
以上でございます。
【早田委員】 ありがとうございました。
【森山座長】 ありがとうございました。早田先生、よろしいでしょうか。
ほかに御意見、あるいは確認したい点等、ございますでしょうか。お願いいたします。
では、髙旗先生、お願いします。
【髙旗委員】 この会議に加えていただきまして、ありがとうございました。
一番そもそものことに関わってくると思うんですけれども、今日、文科省からも御説明がありましたし、それから、先ほど3つの御発表があったわけですけれども、今、我々に課されている使命は、教職課程の質保証のためのガイドラインを検討すると。その質保証のためのというものとしては、一つは、全学的な教職を束ねていく組織をつくるということがあって、もう一つは、自己点検・評価のための項目といいましょうか、内容を考えると。
組織をどうつくるかということのガイドラインと、自己点検・評価をどうするかということのガイドラインとの両方があるのかなと思って、伺っていたんですけれども、その2つということが同時に進みゆくものなのか、かなりハードルが高いなと思いながら、大学によっても事情が随分違うものですから、そういう多様性を考慮していく中で、私たちは限られた回数の中で何を考えて、どういう結論を出さなきゃいけないのかなということを、今、思っているんですけれども、そこの点はいかがでしょうか。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 失礼いたします。ありがとうございます。
最初のお尋ねでございますけれども、もともとのワーキングの報告書にガイドラインという表現が出てくるのが、自己点検・評価の観点ということと、全学の体制についてということで上がっているわけでございます。これは、私どもも事務的に、予備的に検討させていただいた中においては、事項としては、複数の教職課程を有する大学さんがどう学内をコーディネートする体制をつくるかという話と、別に教職課程が複数あろうと、一つあろうと、どのように自己点検・評価をするのかという話は、概念としては、本来は違うのであろうと。
ただ一方で、実は、この自己点検・評価をどのような体制において行うのかとか、自己点検・評価の結果というものをどのような形で、また学内にフィードバックして改善に生かしていくのか。このような観点からは、全学的な組織体制というものが担う役割についても同時に整理をしておくことが、サイクルを構築する上では有効であると思っておりますので、ガイドラインとしては一本の形にさせていただいて、相互の連携というのをある程度意識しながら、柱1、自己点検・評価、柱2、組織体制ということを、今のところ想定させていただいております。
今日の各委員からの発表をも踏まえまして、また、次回以降、事務局から原案などをお示しさせていただきたいと思っているわけでございますけれども、大きな柱としては、そういうところを考えております。
また、先生からも御指摘いただきましたように、とにかく教職課程は、本当に大大学から中小の短期大学というところまで、かなり多様なわけであります。そのような意味において、例えば組織体制のほうにおいて、必ず教職課程センターをつくるべきであると、いかに法的拘束力がないガイドラインとはいえども、そのようなことを求めることは現実的ではないし、なおかつ非常に有益でない、有害であると考えております。
その観点からは、先ほどの御発表、また事務局からの説明にもありましたけれども、かなり多様な形で、センターをつくられているところ、委員会をつくられているところ、両方、また自己点検・評価などを一緒にやっていくということを考えると、これは既存の組織というものをしっかり活用していくということが必要であります。
私は個人的には、今回の全学的に教職課程を実施する組織体制という言葉になっているところに肝があるかと思っておりまして、組織だけというよりは、体制でありますので、複数の既存の組織なども組み合わさったシステムとして、そういったものが機能していくということが重要だと思っております。
それは大きな大学、小さな大学、それなりのやり方というものがあると思っておりますが、一方で、こういった教職課程が質を向上するという観点から、様々な組織というのはあると思うんですけれども、その中で一つ、中核として、教職課程という観点からリーダーシップを発揮していく組織、中核となるような組織、こういったものというのは一定、役割分担としては意識しておいたほうがいいのかなと。そのような中核的な組織と、既存の学内体制、評価の体制、またカリキュラムマネジメントの体制といったものと、うまく結びつけられるような在り方を、大枠として示していく。このようなことを考えているところでございます。
以上でございます。
【森山座長】 髙旗先生、よろしいでしょうか。
【髙旗委員】 大変丁寧に回答いただきまして、ありがとうございました。今の御説明を受けながら、重なるようなところもあれば、重なりにくいようなところもあって、いろいろな多様性を含めて検討して、原案をまたお示しいただけるということでしたが、一つ気になっておりますのは、冒頭に課長が御挨拶された中で、令和4年4月から動かしていくと。これは、そういう全学組織も設置義務を課して、つくりなさいとなるわけですよね。
そういたしますと、組織体制のほうについては、ガイドラインレベルでは済まない、かなり法的な根拠を持った組織として置かれることになるのかなと思うんですね。その辺りについて、このワーキングが検討しなきゃいけないことは、どの水準のものを求められているのかというところがちょっと見えにくくて、お尋ねしたということもあるわけです。
【森山座長】 平野室長、お願いできますか。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 先ほど尾白から説明いたしましたけれども、教育職員免許法の施行規則のほうを変えまして、教職課程の自己点検・評価の仕組みに加えまして、全学的な組織体制というものを整えなければいけないということについては、法的な義務とするということを考えているものでございます。
一方で、法的に書かれたことというのがどの程度までできれば、実現されているのかというところ、最低限ここまではやってほしいというところを示すのが、このガイドラインの策定の中の一つの肝かと思っておりまして、その意味においては、これは言い方が志を下げるわけではないんですが、なるほど、ここまでは最低やらなければいけないんだなと。もちろん、その上を超えて充実をしていっていただくということを、チア・アップしていくことは重要なんですけれども、そういったところまでは最低示さなければいけない。
そうすると、おおむね考えられるのが、どのような組織形態が考えられるのかというところを例示としてお示しするということと、システム全体、組織体制全体として、また、その中で中核となる組織というものが、どういった役割を担うことが考えられるのかということ。大学によって、全て行うとも限りませんし、また多様性というのもありますので、そこはあくまで例示という部分にとどまるのかなと思っておりますけれども、最低限見て、なるほど、こういうことを行うのであるなというところが捉えられるという程度までは、最低お示しをするということが、来年1年間かけて準備をしていただくという上で必要なのかなと思っているところでございます。
以上です。
【森山座長】 ありがとうございました。髙旗先生、よろしいでしょうか。
【髙旗委員】 ありがとうございました。幾つか、まだ気になるところはあるんですけれども、私ばかりお尋ねしましたので、申し訳ありません、ありがとうございました。大変御丁寧に回答いただきまして、ありがとうございました。
【森山座長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。今、共有しておくことということについても、委員の先生方からお話しいただければありがたいと思います。いかがでしょうか。
では添田先生、お願いします。
【添田委員】 すいません。先ほど御説明いただいたことで、ちょっとだけ分からないことがあるんですが、機関別の認証評価がありますよね。そこで既にされているような基準とかがありますよね。このたび、教職課程についてガイドラインをつくって、それの観点に沿って自己評価をするということなんですけれども、それは既存の機関別の認証評価の項目の中に埋め込んで、大学が公表するのか、それとも別途書き出して、そこだけ抜粋した形で、また情報公開ページみたいなもののところに、報告書としてつくるというイメージなのか。それによって、かなり負担の量も違うのかなということ。
もう一つは、今回から機関別評価のほうは、データベースということ、エビデンスベースということで、かなりの量の資料等を添付することを求められていますけれども、そういったことについてもどの程度なのかということも、それは各大学のほうで判断する程度の基準ということでよろしいのでしょうか。2点、お教えいただければと思います。
【森山座長】 ありがとうございます。例えば教職大学なんかもそうですよね。専門職大学院については外部評価を導入して、法的にもそういう形もございます。そういうところでの課題もあろうかと思いますので、ぜひ、今の時点でので結構ですので、お教えいただけますでしょうか。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 1点目の、教職課程の自己点検・評価の出し方、書き出し方といいますか、まとめ方というところになってくるかと思いますが、これは私どものほうで法令上、またはガイドライン上も、こういう形でやるべきだということを一律で示すのは難しいと思っております。それは、御発表の中でもございましたけれども、いわゆる教員養成大学、ディプロマ・ポリシーそのものが教員養成とかなり密着している大学。こういった大学で単科の大学というのは、機関別認証評価というものが、実はそのまま教職課程の認証評価に近いということになることが大いに想定される。
一方で、開放制の大学というところにおいて、いかに教職課程を埋め込めといっても、埋め込み切れない部分というのもあるでしょうし、そういうところは教職課程の部分について、主要な部分を抜き出したものをつくるというやり方もあるかもしれないと。そこは大学において、最終的には教職課程というものについても、しっかり関係者が点検・評価をしてやったんだよということが、外部に認知をされるようなやり方ということをしてくださいというところにとどまるのかなと。そこは大学のやり方というものを尊重するということが必要かなと思います。
やはり自己点検・評価でありまして、これは今、認証評価というものが入って、平成3年に導入されたときから進化してきたというところはありますけれども、本来的には、これは大学が自らの手で取り組む教育改善の一環というところがスタートでありますので、大学がそれぞれのやり方で、目的に照らして十分説明責任を果たせるということで、やっていただければいいのかなと思っております。
データベースということがございましたけれども、この評価というのが当然、感覚的な評価とかいうことになったらいけないという意味において、いわゆるエビデンスが求められるということについては、恐らく触れることにならざるを得ないんだろうと思います。ただ一方で、網羅的に全てデータを添付しろということではなく、その判断に至った根拠というものを、定量的または定性的にしっかりと説明できるようにすると。
特に関係する部分としては、例えば学習成果というものについてもそうでしょうけれども、これも定量的なものであり、また定性的なものもあるだろうということもありますので、ここについては、点検する観点というものに、なぜそういう結論に至ったのかということをお示しするに足りるデータというものは、やはり示していただくことが必要だということでありますが、それとは無関係な形で、データを電話帳ぐらい作るといったことを求めることを意図しているものでは全くないということは申し上げておきたいと思います。
以上です。
【森山座長】 ありがとうございます。添田先生、よろしいでしょうか。
ほかにございますでしょうか。安部先生、お願いします。
【安部委員】 安部です。全学的な組織体制をつくるということは、自己点検をするために必須だと思います。教職課程を持つ大学の規模や教職課程の数は、本当に千差万別ですが、各大学にはもともと自己点検・評価をする組織というのがありますので、教職課程の質保証に対する自己点検を行うための全学的な組織体制を必ず置くことによって、それが大学全体の自己点検・評価とどのような関わりを持つかということについて、ガイドラインの中でしっかりと示す必要があるのではないかなと思います。
各調査によりますと、教職課程の評価は、なかなか大学の自己点検・評価のメインとして取り扱われてはいないということでもありますので、ぜひ教職課程の質保証に対しては、全学的な組織体制を確立して大学全体の自己点検の体制との関係性がどうあるなるべきかを、ガイドラインで示すべきではないかなという感想を持ちます。
それが1点です。また、私は短期大学関係ですけれども、要は、教職課程に特化した自己点検を実施しなければいけないというのは、大変な負担が生じます。最後に森山先生が御発表いただいた評価基準を見るとかなり機関の自己点検の項目とかぶっているとは思いますが、多くの短期大学の二種免課程は、4年制大学の一種免許課程、大学院の専修免許課程とは少し違ったところがありますので、学校種においての自己点検の在り方等についても示していただくとありがたいと思います。
以上です。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 両方とも非常に重要な論点だと思っております。大学全体の自己点検・評価の体制自体も、実はかなり多様だと思っておりまして、大学全体に、大きな大学さんですと教授を置いて、評価室みたいなものをつくられて、そこが司令塔になって、各学部が評価を分担するといった形態もあれば、実際には単科に近いところになると、そのような体制ではなく、学部そのものがやっている、このような体制もあるかと思います。
基本的には、先ほど申し上げたように、自己点検・評価、また各大学の認証評価も含めた評価の体制というものは、各大学のやり方が既に確立したものというのがございますので、教職課程の在り方というのが入ってくることによって、全体の在り方に変動を及ぼすということを意図しているものではありません。
基本的には、既存のものを扱っていただきながらやっていただくということが大前提の上で、どちらかというと足りない観点とか、必要な観点というものを、何らかの形でそういった組織体制の中において中核を占めるところというものが、しっかりとコミュニケーションを図ってやっていくということになってくるかと思いますので、実務を誰が担うのかということと、また、どうやって戦略を立てていくのかというところは、どこまで行っても、教職課程についてはこういうところがリーダーシップを取っていただきたいわけでありますけれども、既存の体制との調和というものをしっかり図っていく、連携していくということに尽きるのかなと思っております。
2点目は、学校種ごとの違いという部分は、もちろんあるんだと思うんですが、これは若干、個人的な見解でありますけれども、学校種ごとに書き始めると、実は短期大学でも大きい短期大学と小さい短期大学があったり、大学でも非常に小さいレベルの、2桁の人数しかいないような大学もあったりということになってまいりますので、ここは大学種とか学校種ということに着目して、あえて申し上げるというよりは、むしろどのようなところであっても、最低限やっていただきたいところについて、しっかりお示ししていくというやり方なのかなと思っております。
これは教学マネジメント特別委員会の議論などでもありましたし、大学分科会の議論でもありましたけれども、最近の高等教育行政のトレンドを見ますと、自己点検・評価自体というのは最終的には、今日の御発表にも縷々ございましたように、養成すべき教職像、教員像というものに対して、必要なレベルの授業というものがしっかり開設されて成果を上げているかというところを、しっかり問うていくという、まさにこういったところの教学マネジメントに関わる部分を、教職課程においても回していっていただくということに尽きるんだと思っています。
ですので、自己点検・評価のほうは、各認証評価機関も今、内部質保証というところを認証評価基準に入れ込んでいただくということで、かなり進んでおりますので、その中に乗っけていけば、基本的な科目のいろいろなチェックとか、体系性のチェックというところは乗ってくるはずなんですが、最後につながってくる部分が、それがディプロマ・ポリシーというところを念頭にやったものなのか、教職課程の場合には教職像、各大学の養成したい教職員像というところにつながってくるのかと。ここの経路が変わってくるということになるんだろうなと思います。
その意味において、教職課程というのは、私どもが申し上げるのも変ですけれども、開設すべき科目というのは基本的に、法的な枠組みとして決まっている部分がありますので、そういうごく基本的な部分で、科目が足りているのか、足りていないのかという議論を、あまりする必要はないんだと思いますが、これからこういうことをやるときに一番問い直されるのは、各大学が養成すべき教員像というものを、法律・省令のレベルというものを超えて、各大学の独自のカラーを踏まえたものというのをしっかりと定義できているかと。こういうところからがスタートになってくるのかなと思います。
お伺いいただいたところと違ったところもお答えしましたが、以上でございます。
【安部委員】 ありがとうございました。
【森山座長】 安部先生、ありがとうございました。質保証というところの観点からということですので、今後、議論をする必要もあろうかと思います。
ほかにございますでしょうか。川手先生、お願いします。

【川手委員】 どうも皆さん、ありがとうございました。今のやり取りを伺っていて、私たちの課題というか、大分はっきりしてきたなと思いながら伺っていました。
多分、大前提としては2つあって、一つは先ほど来、ずっとお話にあるように、開放制の下で多様な設置形態があって、それを踏まえてどのようにつくっていくのか。それから、これもありましたけれども、評価疲れのようなことがある中で、無理のない形でのものをどのようにつくっていくのかということが、もう一つかなと思っています。
組織の話もずっと先ほど来、全学的な組織をどうしていくのかというのもありましたけれども、あわせて、さっき早田先生の御報告の中にあった、大学レベルと、教職課程レベルと、それから授業レベルに分けていくというのは、整理の仕方としては非常に分かりやすくて、対応もうまく図ってくれるのかなと思いながら伺っておりました。
それから、一方では基準というか、観点をどうつくっていくのかということも課題ですけれども、それについては、今お話があったように、なるべく汎用性のある形でつくっていく、そこが肝かなと思いながら、感想にすぎませんけれども、皆さんのお話を伺っていて思いました。
【森山座長】 川手先生、ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。平野室長、お願いします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 今、川手先生から非常に重要な指摘をいただいたと思っています。早田先生の御発表にもありましたけれども、今、内部質保証ということを考えた3つのレベルで考えていくというのは、非常にトレンドといいますか、常識的な内容になってきつつあると感じております。大学全体レベル、教職課程でいうと学科等で認定されていますので、学科等ということになるんだと思いますが、これと授業科目レベル、この3つのレベルというものについては、今回ガイドラインを考える上でもしっかりと意識をしていく必要があるのかなと思っております。
その意味において、今日、事務方から御紹介させていただいた教学マネジメント指針というものについては、この3つのレベルというものを踏まえた整理というのがもともとされているということになっております。また、開放制も含めて、いろいろなところに汎用的に使えるということを考えてまいりますと、私は今日、各先生方の発表を聞かせていただいていて、3つの発表それぞれが、3つ独自の形で観点をお示しいただいているわけでございますけれども、実はかなりの部分、共通している要素があったということが明らかになったと思っております。
この共通する部分というのは、取りも直さず、各大学に最低限、ここの部分は質保証の観点から取り組んでいただきたいという各団体の結果だと思っておりますので、こういう項目、観点というのは、大切にしていくということが必要なんだろうと思っております。その上で、この団体のこれを使ってくださいということには、国の会議である以上、そういうことにはなりませんので、この3つのよいところ、共通する部分等もしっかり抽出しながら、また、各大学になじみのある形でしっかりお示ししていくという観点からは、教学マネジメント指針の分類学、整理学というのを使っていくということは、一つ有効なやり方かなと思っておりますので、そのような方向で、また今日の御議論を踏まえて、内部でも検討させていただきたいと思っております。
【森山座長】 平野室長、ありがとうございました。今日のまとめというか、その辺りのところもお伺いできたかと思います。
時間がもうそろそろですけれども、今日のところはよろしいでしょうか。
それでは、時間が参りましたので、この辺にしたいと思います。本日は皆様から非常に多くの意見をいただきました。誠にありがとうございます。
最後に、次回以降の予定につきまして、事務局からお願いします。
【尾白教員免許企画室専門官】 長い時間、どうもありがとうございました。
今後のスケジュールにつきましては、資料8に記載してございます。第2回を12月21日(月曜日)、第3回を1月18日(月曜日)に予定させていただいております。詳細につきましては、追って事務局から御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。森山先生、お願いします。
【森山座長】 では、ありがとうございました。
それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会といたしたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

── 了 ──

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