教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議(第3回)議事録

1.日時

令和3年1月18日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 教職課程の自己点検・評価及び全学的に教職課程を実施する組織に関するガイドライン(案)について
  2. その他

4.議事録

【森山座長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議を開催させていただきます。
本日は、皆様お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
初めに、事務局から、本日の配布資料の確認をお願いいたします。

【尾白教員免許企画室専門官】 おはようございます。まず、資料の確認をさせていただきます。
本日の配布資料は、お手元の議事次第の配布資料に記載のありますとおり、資料1から資料2、それから、参考資料1から参考資料3までとなってございます。御確認いただきまして、過不足等ございましたら事務局までお申しつけください。
以上です。

【森山座長】 よろしいでしょうか。
それでは、本日は議事(1)として、まず事務局から、ガイドライン(案)の前回からの修正点につきまして説明をいただきたいと思います。その後、委員の皆様から自由に御意見をいただければと思います。
なお、前回、おおよその御意見はいただいたかと思いますので、本日は、御意見が出そろったところで終了させていただきたいと思います。予定時間よりも早く終了する可能性がありますので、御承知おきいただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議事(1)のところでございますが、事務局から説明をお願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。
資料1に基づきまして、前回からの修正点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
資料の1ページ目でございます。
最初の段落、2つ目の段落辺りというか、前半の部分は技術的な修正でございます。
最後の段落でございます。前回の御意見の中で、「教学マネジメント指針」という中で、学修者本位の教育というところを強調されている中で、このガイドラインにおいてもそのような観点というのを盛り込んでいくべきではないかという御意見をいただいてございます。
その観点から、まず、「教学マネジメント指針」に、学修者本位の教育を実現する観点からということで、一番大事な概念というのが見えるような形にした上で、最後から3行目でございますけれども、ここの部分、既に「教学マネジメント指針」というものが、各大学において取組が進められている中で、教職課程についても同じベクトルというものを目指していくんだよということを強調して、多少なりとも、教職課程独自で何かされるというような負担感を軽減するような表現が考えられないかという御意見をいただいておりました。
そのため、既に「教学マネジメント指針」に基づく各大学の教学面での改革・改善に係る取組が各大学において進められているところであるがとした上で、教職課程の自己点検・評価についても、各大学の既存のシステムを前提とした「供給者目線」ではなく、学生が必要な資質・能力を身に付ける観点から教職課程が最適化されているかという「学修者目線」で行われていくことが強く期待されるものであるということで、「教学マネジメント指針」の基本的な表現というものを引く形で修正をさせていただいてございます。
「教学マネジメント指針」の中で強調されているものをここで引っ張った上で、前回、御意見をいただいている、「学修者目線」の強調というところと既にみんなが向かっている方向で教職課程へ向かっていくんだというところを盛り込んだということでございます。
2ページでございます。
2ページのローマ数字2ポツの1ポツ、基本的考え方の2行目でございます。「教職課程が」という後に、「教員の養成の目標及び当該目標を達成するための計画」という言葉があって、これが前回、「教員養成の」とか「教員の養成の」というようなところの言葉の指摘もあって、何を指しているのか分かりにくいようなところもあるかと思いますので、「教員の養成の目標及び当該目標を達成するための計画」というものが法令に由来する用語であるということを明らかにするために、根拠規定を入れさせていただいてございます。
2段落目でございます。教職課程の自己点検・評価を、やりっ放しにするのではなくて、改革・改善につなげていくということが必要であるという御指摘、また、その観点から、特にFD・SDという部分が重要である、これをもうちょっと強調できないのかといったような御指摘がございました。
ですので、まず、1文目でございますが、「教職課程の自己点検・評価は実施すること自体が目的ではなく、最終的に教職課程の改善につなげてこそ意味がある」といったような出口を意識した表現、この上で、「このため」、「教職課程の改善に向けたアクションプランの策定」ということで前回、片づけていたんですが、更に、FD・SDの実施などということを加えた上で、「特に」ということで、「FD・SDについては、教職課程の自己点検・評価により得られた課題の分析等を通じて教職員の意識の向上を図るとともに、教育課程や授業科目に関する改善方策の立案につなげていく活動として」、実施されることが望まれる。
後ろのほうで、FD・SDということは、観点として盛り込んでいるわけでありますけれども、FD・SDそのものの重要性を読んで分かるようにするという修正をさせていただきました。
最後の段落は、前回あった記述というものの場所を移動させていただいているだけでございます。
続きまして、4ページ目でございます。
4ページ目は、修正1か所のみでございます。ここは、大学全体のレベル、学科等のレベル、授業科目のレベルということになっていて、授業科目のレベルという部分についても、これは実際の主体としては、学科がかなり関わってくるということではないかという御指摘がありました。
ですので、「学科等が組織としてその改善に主体的に関与する授業科目のレベル」という、「授業科目」という言葉について、枕言葉をつけさせていただきました。
続いて、5ページでございます。
5ページの部分、実はここは本質に関わる難しい部分でございますけれども、マル1、教育理念・学修目標の中に、もともと、いわゆる開放制も含めた、教員養成大学、学部でないところも含めて、法令用語でありますところの「教員の養成の目標及び当該目標を達成するための計画」というものに照らして自己点検・評価をしていただくという体でありますので、その部分とプラス教員養成を主たる目的とする大学、学科等の場合には、3ポリも照らして考えようということでありましたけれども、ここは、教員の養成の目標及び当該目標を達成するための計画と3つのポリシーの関係という部分がどう意識されているかどうか、そういうことをしっかり考えた上で教員養成を行うということも必要ではないかということもあります。
そこの部分は、「教員の養成の目標及び当該目標を達成するための計画と3つの方針との関係が意識されているか」としたいところでありますが、ここは、「必要に応じて」を当面は入れておく必要があるかなと思っております。
その心というのは、実際問題、かなり考えて、3つのポリシーと教員養成の目標とを連結させていただいている大学というのもあると思うんですが、私どもの感触からすると、現状はあまり意識がされていないで、3つのポリシーは3つのポリシー、特に中高になればなるほど、専門分野のポリシーというのがあって、教員の養成の目標というものと直接リンクしていないケースが多いと思うんですけれども、ここで、3つのポリシーとそのものとの整合性を考えるということを十把一からげに言ってしまうと、かなり大変なところがあるということと、あとはもう一個、このガイドラインはあくまで教職課程のガイドラインでありますので、教職課程のガイドラインで教員養成の目標をいじるという観点で、もちろん3つのポリシーとの関係は考えていただく必要があるんですが、このガイドライン対応の過程をもって、また3つのポリシーそのものを見直せというようなメッセージになってしまうと、それはそれで、ガイドラインの性格そのものに関わってくる部分がございます。そのようなところを意識して、「必要に応じて」を入れさせていただいてございます。
5ページのもう一個の修正でございます。「学修成果」という言葉を前回はさらっと使っておりました。「一人一人の学生が教職課程での学修を通じて得た自らの学びの成果」ということで、「学修成果」とさせていただきました。
実は、「教学マネジメント指針」のほうは、これに加えて「教育成果」という言葉がありまして、学生の側から見た自分が学んだ成果という「学修成果」と、大学がどのような能力を身に付けさせることができたのかという「教育成果」という概念がありまして、これが2つ並んでいるわけでありますけれども、今回、一回、両方書いてみたり、書かなかったり、いろいろなことを触ってみたんですけれども、2つ入っていても論理的にはおかしくないんですけれども、限られた紙幅の中で、そこまで理解していただくことが難しいということでありますとか、短い中で2つ盛り込んでしまうと教職課程のガイドラインを見た人が混乱するということもあるかと思いますので、ここは論理的には、「学修成果」が入っていれば成立すると考えまして、そちらのほうにとどめております。
6ページでございます。
シラバスの記載内容ということでございます。教員の養成の目標及び当該目標を達成するための計画と授業科目との関係、普通の学位プログラムで言いますと、ディプロマ・ポリシーとその科目の関係というところを表す表現でありますけれども、教職課程についても、教員の養成の目標とこれがどう対応しているのかが見えるようにすることが必要ではないかということでございます。
7ページ目でございます。
7ページも、教員の養成の目標との関係を書かせていただいているのと、「履修カルテ」ということがさらっと書かれ過ぎているんじゃないかということがございました。「履修カルテ」は、なかなか本文のほうに入れるのは難しかったわけでありますけれども、学修成果を把握するという観点から、「履修カルテ」というものをしっかり使うというのが一番の眼目かと思います。
前回は、「履修カルテ」の部分というのが1か所、どこか別のところに入っていただけで、重要性が見えにくかったところでありますので、学修成果の把握、可視化の観点から、「履修カルテ」をしっかり適切に活用できているかを自己点検・評価していただくということで書かせていただいてございます。
8ページでございます。
上は、技術的な修正であります。
一番下のほうでございます。個々の学生の教職に対する意欲というものを踏まえる必要があるのではないかという御指摘が前回ございました。その一方で、私のほうから、私学の団体さんが調べていただいたときに、意欲を把握するということが一番難しいんだといったようなコメントがあった。そこで、ハードルの高さをどこに設定するかということで、少し考えさせていただいたところであります。
ということで、履修指導に当たって、個々の学生の教職に対する意欲を踏まえながら、しっかりと考えてほしいということで、学生に対する意欲というものについては、視野に取り入れていただくということが必要かと思いますが、その意欲の把握の仕方とか深さという部分については、当面はまず各大学のやり方に委ねるということが適切なのかなと思っております。
ただ、ここに入れることによって、個々の学生の教職に対する意欲というものを、ゼロというか、等閑視するというか、なかったことにするということはないようにということで書かせていただいております。
この点においても、履修指導、重要なものとして、「履修カルテ」というものを加えさせていただいてございます。
9ページは、技術的な修正でございます。
10ページは、全学的な組織体制その他でございます。
一番下に、また「履修カルテ」を、学修成果に関するという部分で、重要なものとして上げさせていただいております。
11ページでございます。
ここの部分は、中核組織というものが何かをやっても、それが学内の意思決定の回路につながっていくことがしっかりと保証されていないと、ここで決めたことというのが学内で宙ぶらりんになってしまうことも懸念されるということでございます。
一方で、中核組織というものの在り方そのものが多様でありますので、これを一体、誰が管理して、どう指揮命令系統に取り入れるのかといった部分については、各大学のやり方というものがあるのであろうと思っております。
その観点から、記述としては、「中核組織が実効性を持ってリーダーシップを発揮できるように」と、まず中核組織がしっかり機能を果たすことができるようにということで、「大学として中核組織の位置づけを明確にしつつ、その活動を支援する」という表現にさせていただきました。
大学としての中核組織の位置づけを明確にする中で、当然、その中核組織が扱っている話題というものを学内的にどう昇華していくのかということも考えていただくことが必要になりますし、その活動を支援するということは、いわゆる丸投げとか、または、やったものについて取り合わないとかそういうことではなくて、大学全体としてということで、責任を持っていただくことを求めるという趣旨の記述でございます。
11ページの一番下の部分は、事務職員の積極的な参加を確保する、たしか前回、そのような表現だったと思いますけれども、そう書くことによって、かえって弱くなってしまうように見えるという御指摘がございました。
ここの部分は、「事務職員の参加を確保すること」とフラットに書くことによって、そのまま普通に参加することを求めているということが、当たり前なんだよと。わざわざ積極的に、消極的にということではなくて、参加することが当たり前なんだというメッセージが伝わるようにいたしました。
一番下の、「代表者の参加を十分確保すること」という部分があって、この「十分」というのも、取ろうか取るまいか悩んだんですけれども、ここは、確保するだけではなくて、やっぱり十分確保することが必要かなと思いまして、量の問題ということで、そのまま残させていただいてございます。
前回の各先生からいただいた御意見の中で、私どもとして検討すると言ったことについては、一旦入れさせていただいているという認識でありますけれども、取り漏らした点とか意図に沿わない点などがあるかもしれませんので、その点については御意見をいただければと思います。
よろしくお願いします。ありがとうございました。

【森山座長】 平野室長、どうもありがとうございました。
それでは、御質問等も含めまして、御意見をいただきたいと思います。御発言の際は、挙手ボタンを押すか、実際に挙手をお願いいたします。
それでは、どうぞ、意見交換の時間としたいと思います。よろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございます。
では、大森先生、お願いします。

【大森委員】 おはようございます。大森でございます。
誰かが最初にしゃべらないと、と思うので、そんなに大きな意見ではないんですが、今、室長に御説明いただいたお話の中で、すっと筋が通ったなと思ったのは、必要な資質・能力を身に付けているかということが、それを学生自身が確認をしていく手段としての「履修カルテ」があって、その「履修カルテ」をしっかりつけていくことで、結果として、学生が自らどんな力がついたかを理解し、表現できるようになるという、学修成果につながっていく。
その「履修カルテ」の結果を、ここには書いていないけど、うまくきちんと大人がまとめることによって、教育成果も見える化をしていくことができるだろうという流れ、非常に分かりいいなと思いました。
もう一つ、最後の、本当にこれは細かいことですけれども、中核組織の形態のところで、「事務職員の」とか「代表者の」のところはあえて、1ポツの「参画」ではなくて、「参加」なんですね。気持ちとしては「参画」で、全部「参画」にしてもいいぐらいじゃないかという気もしなくはないんですが、強いこだわりがあるわけではないですけど、何かみんなで一緒にやっていけたらいいなという思いはあります。
最後に、もう1点だけなんですけど、最近のいろいろな指針やそういったことを見ると、私自身がそういう立場にあるので気になっているのかもしれないですけど、大抵が、学長のリーダーシップみたいなことが必ず書かれてくるわけですけれども、今回の文章の中には、「学長」という言葉は一回も出てこないですが、これは結構、意識的にそこを外しているのか、教職課程が大学運営のメインストリームに乗るか、乗らないかみたいな話の中で、ちゃんと乗せるんですよというときには、大学単位となれば、やっぱり学長もということが出てくるんだろうと思う。
ただ一方で、ずっと議論になっている、開放制の大学さんが一生懸命ぎりぎりのところで教職課程を持っていただいている中で、あまり強めに出していくところのしんどさみたいなものに配慮してなのか、その辺、学長のリーダーシップ的な表現があえてここには出てこないというところの意図が、もし何かあれば、お聞きできればと思いました。
以上です。

【森山座長】 ありがとうございます。
では、平野室長、お願いいたします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 御指摘ありがとうございました。
「参加」という言葉と「参画」という言葉は、今、先生がおっしゃったように、どっちがいいのかなということを改めて考えてみたんですが、どちらかというと、組織形態ですので、メンバーシップとして入るというイメージを持って、「参加」にしております。
「参画」というともうちょっと、言葉としては今、手元で調べてみると、「参加」というものは、既にあるものに参加する。「参画」というのはもうちょっと広く、プロセスを通じて関与するといったような意味があるようでございますけれども、ここはどっちかというと、センターと委員会組織で違うんだと思うんですが、「参画」というと、携わっているけどメンバーではありませんみたいなイメージよりは、直截にメンバーとして入っているということで、「参加」のほうがいいかなと思いますが、ここは、もしほかの先生からも御意見があればというところでございます。
もう一個のほうが、学長でございます。実は前回、たしかこの話が出たときに、どうしても私たちが書くと、すぐ「学長のリーダーシップ」と書いてしまって、平板な表現になってしまうので、ちょっとそこは考えたいということを申し上げました。多分、私も無意識的に、ここで「学長」といきなり書いてしまって大丈夫なのかという思いが、そのときにはあったんだと思います。
改めて考えてみますと、先生のおっしゃるとおりでして、いろいろな大学の組織形態とか教職課程の重みがあるという中で、教育大学であれば当然ということでありますけれども、例えば大学によっては、複数の学部の複数学科がある中で、ほんの一部しか教職課程を持っていないところがあります。
それまで含めて学長でということになると、何でもかんでも学長なのかと。中教審の大学分科会でも、「学長」と書けば書くほど必ず、何でもかんでも学長なのかというお話が出たりすることがありますけれども、その部分は、学長ということではないんだと思うんです。
ただ、学長ということではないけど、全ての道は学長に通じるんですが、それを書いてしまうと、かえって自由度もなくなってしまうし、小回りも利かなくなるということも現実的にあるかもしれませんので、そこは、「大学として」というところに、そういうものも必要に応じて、ニュアンスとして入っているということで読んでいただけるとありがたいなと、現段階では思ってございます。
以上です。

【大森委員】 ありがとうございます。

【森山座長】 今、2点ほど、大森先生のお話の中から、平野室長からの御回答いただいたわけですけど、その点につきまして、少し委員の先生方の御意見もいただければありがたいと思いますが。1点は、「参加」、「参画」のところと、学長のリーダーシップというところですね。いかがでしょうか、御意見をいただければありがたいと思います。
では、添田先生、お願いします。

【添田委員】 今、平野さんがおっしゃったように、総合大学の場合は、何でもかんでも学長ということが出てくると、少しやりづらいところがありますし、中核的な組織のつくり方というのが、複数学部があるところはつくり方が違うと思いますので、最終的には、うちの学長に、こういうことが決まったというようなことは行くんですけれども、直接的に、「学長のリーダーシップの下」と書かれると、学長がそこで意見等々、方針等を立てないといけないというような解釈になってしまうと、複数学部があるところでは難しいのかなと。
教員養成をやっている学部、やっていない学部というのがある中で、学長がそこに直接出てくるというようなイメージを持たれると、なかなか学内でコンセンサスというか、バランスが取りにくいところはあるように思うので、最終的に、理事や役員のところに決定事項が到達すればいいのかなと読ませていただいております。
前回、私のほうが、中核になっているところがちゃんとリーダーシップを持って全学とつながるということを強調していただきたいということで、そういうふうに書いていただきましたので、私はこれで十分かなと思っております。

【森山座長】 添田先生、ありがとうございました。
今、学長のリーダーシップ等の件についての解釈といいますか、考え方についての表記はこのような形でよろしいのではないかという御意見でしたけど、ほかの委員の先生方、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それに加えましてもう1点、先ほど大森先生からお話しいただきましたけど、「参画」、「参加」等につきましても、平野室長からもお話をいただきましたが、その点につきましては、この文面どおり、文言どおりでよろしいか、あるいは少し検討したほうがいいかという点につきまして、御意見をいただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
髙旗先生、お願いします。

【髙旗委員】 幾つかお伝えしたいことの一つに、今の「参加」、「参画」のことがありましたので、先にそこをお伝えできればと思います。
先ほど平野室長がおっしゃってくださった意味で良いのかなと思っておりましたし、「中核組織」に対して、私は、積極的に関与することを求めている言葉だと理解して、これでも良いのかなと思っていたのですが、一つは、11ページの下から2つ目の中ポツの「事務職員」の方のことについては、「参加」というと何か後退した感じがあって、むしろ、「事務職員を確保すること」で良いのではないかなと思いました。
ガイドラインでそこまで書いてしまうと、きつ過ぎるニュアンスはあるのかもしれませんが、「教員のみならず」というところも削除して、端的に「教職課程の運営を担う事務職員を確保すること」としていただくときつ過ぎるのかなと。
ちょっとそこを御検討いただけたらと思います。ほかの委員の先生方の御意見もいただければと思います。

【森山座長】 ありがとうございます。
平野室長、お願いします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 今、髙旗先生からいただいた件なんですけれども、これは私が申し上げるのもちょっとあれなんですけど、「事務職員を確保すること」と言うと、事務職員が、私のニュアンスからすると、いかにも手段的に確保されているみたいな、どちらかというと教職協働の概念で、事務職員も教員も、対等とは申し上げないかもしれませんけれども、入っていくというイメージがある中で、教員のみならず事務職員を確保することと言うと、議論は教員でしていて、それを下支えする事務職員もしっかり採っておけというニュアンスで捉えられないかというところは、少し心配があるというところであります。

【髙旗委員】 よろしいでしょうか。

【森山座長】 お願いします。

【髙旗委員】 ありがとうございます。私も全く、平野室長がおっしゃってくださったのと同じイメージは確かにあります。ただ、私が申し上げたかったのは、こういうものを回していくときに、事務職員の方がしっかり議論に当然参加をしていただき、創造的に課題解決してくださる知恵をいただける、そういう事務職員、専門職員的な位置づけだと思いますが、そういう方がおられない限り、こういう組織は回っていかないんじゃないかということが申し上げたかった。
その点におきましては、単なる「事務仕事を下支えする人を置いておけ」という話ではなくて、同じスタッフとして、課題解決できる人をしっかり確保しておかなければ回りませんよというニュアンスを伝えていただけないかなということです。ですから、「参加を確保する」ということだと、むしろ後退しているイメージが私の中にあったものですから、今のような意見を申し上げたということです。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 先生がおっしゃることを少し私も理解してきましたけど、メンバーとして、人として参加するということと、事務体制がしっかりと存在するということを一つの表現で表そうとしているので、何となくごっちゃになっていると思いますので、しっかりとオペレーションを確保するという意味での体制の話と一人一人の識見を生かすという意味で参加するというところが、両方分かるような形で、むしろ記述を充実させたほうがいいのかなと今、お話をお伺いして思いました。

【森山座長】 ありがとうございます。
この件につきまして、いかがでしょうか。
大森先生、どうぞ。

【大森委員】 今の事務職員のところですけど、その前提が多分、各大学で様々だから、あれなんですけど、私の認識だと、教職課程の運営を担う事務職員がいないということ自体がまずあり得ないという感じでいるんだけど、もし、そうじゃなくて、先生だけで頑張ってやっている大学さんがあるんだとすると、確保がちゃんと、事務局のスタッフも参画できる、しなくてはならないという話になるのかなというか、そこの前提の認識がどうなのかなと思っていて、本来であれば、先ほどの体制を確保するということであって、人の部分は、1ポツのところで、教科専門と教職専門の教員双方並びに運営を担う事務職員の参画を得るという、並列なんだと思うんですよね、当然ながらというか。
そこまで書いてしまうのか、でも、そうじゃなくてなのかというのは、ちょっと分からない。先生方のニュアンスというか、御経験をお聞きできればと思うんですけれども。

【森山座長】 ありがとうございます。
いかがでしょうか、この点。表記の問題というか、恐らく委員の先生方の御意見としては、先ほどの平野室長のお話のとおりで、共有しているのではないかと思いますが、あとは文言の点かなと思います。いかがでしょうか。
FD・SD関係も並列に示しておりますので、その辺りのことも踏まえて、共有するところということで、いかがでしょうか。
髙旗先生、お願いします。

【髙旗委員】 大森先生が今おっしゃってくださったように、そもそも事務職員がいないということはあり得ないと思うのですが、私が気にしていますのは、こういう中核組織を持っている大学は、私学でも国立でも、幾つかあると思うのですけれども、その中で、教職課程を運営していくことだけで事務職員の方がお仕事をなさっているかというと、実は免許更新講習の業務もそこにかぶさってきている現実がある,ということなんですね。
ある意味、それは大学によっては非常に負担過重を強いている側面がある。なおかつ、この中核組織というものがガイドラインによって、こうやって義務化されてガイドラインを持つようになったときに、その方々に教職課程のことに特化してお仕事していただくようなことを、何らかの形で保障していくことができないかなと思うのです。
そう考えましたときに、そこまでなかなか書きにくい部分があるんですけれども、どういうふうに捉えたらいいのかなというところで、ちょっと御意見申し上げたと理解していただけるとありがたいと思います。

【森山座長】 ありがとうございます。髙旗先生、何か案がありますか。

【髙旗委員】 先ほど申し上げましたように、「教員のみならず、教職課程の運営を担う事務職員の参加を確保すること」になっているんですけれども……。

【森山座長】 「参加」を取るという。

【髙旗委員】 そこを、「教員のみならず」も取ってしまって、「教職課程の運営を担う事務職員を確保すること」とシンプルにしてしまうとどうかなということ、それが私の意見です。思っていることの全部は表現し切れないんですけれども。

【森山座長】 ありがとうございます。
今、一つの案といいますか、御意見をいただきましたけど、いかがでしょうか。
平野室長、お願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 先ほど大森先生のほうから、1個目のポツで、教員の話と事務職員を並べてもいいのかなという話がありましたけれども、前のポツと併せて、文案のほうは考えさせていただいて、先ほどのメンバーシップの世界というか、そういう世界と事務体制の確保ということが双方読み取れるような形で、確かに、1ポツのほうは教員、2ポツは事務職員という分け方自体が、ちょっとクラシック過ぎる分け方だったかもしれませんので、しっかりと教科、教職、事務職員、参加、参画、ちょっとここを考えますけど、を得るということと事務職員を確保するということが両方読み取れるということを念頭に、少し考えて、座長とも相談したいと思います。

【森山座長】 今、平野室長のほうからおまとめいただきましたけれども、そのような方向で、少しお時間をいただくという形でよろしいでしょうか。
ありがとうございます。髙旗先生も、御提案いただきましてありがとうございます。それでは、この件は今のような方向で進めていきたいと思います。
それ以外の点で、どうぞ、御質問も含めまして、御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
早田先生、お願いします。

【早田委員】 特に意見というほどでもないんですけれども、何もしゃべらずに終わればそれも申し訳ないなと思うような、その程度のことです。
7ページですけど、学修成果の把握・可視化というところがあります。そこで、※2のところで、達成状況を明らかにするための情報というところなんですけれども、教職への就職状況というのがあります。「就職状況」というと、正規職員として、あるいは任期つきとして就職できたかというイメージなんですけれども、もう一つは、雇用先とか、それから、教育委員会も含めるのかも分かりませんけれども、そういうところでの卒業生の活躍の状況というのも結構大事なんじゃないかなと思います。
9ページを見ますと、「関係機関との連携」ということで、その部分が除かれているわけではないのは理解できるんですけれども、学修成果の把握・可視化というところで、要するに、「雇用主の評価」というのは割に大事だというように理解されている。それを教職課程のところでも、持ってくることはできないか、例示として何か入れられないかなという気がいたしました。
以上です。

【森山座長】 ありがとうございます。
では、平野室長、お願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 早田先生から今いただいた御意見なんですけれども、実は、私がこれをつくる過程で悩んで考えていたところを、まさにずばりと指摘していただいた部分であります。
今日、お手元にあるかどうかはあれですけど、「教学マネジメント指針」というものがあって、この中に、学修成果を把握する情報というものについて、例示が挙げられてございます。その中で、一番最後のほうに、卒業生に対する評価というものが学修成果の項目として上がっております。
例えば、進学先の大学院や就職先の企業などにおける卒業生に対する評価を通じて、これは教職課程ではありませんけれども、学位プログラムを修了した学生が、実際にディプロマ・ポリシーに定められた資質・能力を身に付けているかどうかを明らかにするんだと。その方法としては、卒業生の雇用主や進学先の教員からのアンケート・ヒアリング等により収集するんだといったことが上げられているわけであります。
実は、※2の部分の、「教学マネジメント指針」を参考としつつ各大学において設定することが考えられるというところで、それも含めて考えてねというニュアンスを込めているわけでありますけれども、これを頭から出してしまうということにすると、「教学マネジメント指針」の学修成果をやるときにも、いろいろな区分分けの議論があったんですが、今、最終的に落ち着いているのは、大学の教育活動に伴う基本的な情報であって全ての大学で可能なものというカテゴリーと、もう一個が、教学マネジメントを行う上で各大学の判断の下で収集されることが想定されるという、2段階に分かれております。
つまりは、どの大学であっても絶対これはできるよねというものと、各大学の判断でここまであるよねという、これをどっちに入れるか、どう区分するかというのは当時、相当の議論があったわけですが、卒業生に対する評価という部分は極めて重要である一方で、これを、まだ全部の大学に求めるというところまではちょっと早いんじゃないかというか、厳しいんじゃないかというような議論もありまして、これについては、各大学の判断で行うことが考えられるとしました。
そもそも、「教学マネジメント指針」の学修成果の情報というのは全て例示であるという大前提があるわけでありますけれども、その上でそういう整理にしております。
ということを考えていったときに、※2の最初のほうの教員免許状の取得状況や教員の就職状況というものは、既に、教育職員免許法施行規則の情報公表の項目として入っているものを上げさせていただいております。
その後の部分については、あまり事細かにやって、そこまでやるということになると、まさにこの会議の主題でもありますけど、開放制の大学も含めて全ての大学にそこまで求めることが、現段階において適当なのかというところの価値判断になってくるかと思います。
以上です。

【森山座長】 ありがとうございました。
今、教学マネジメントとの関係の中での御説明をいただいたわけですけれども、そういう中での教職への就職状況ということ、出口保障的な要素ですけれども、その辺りをどう捉えるかというところでの御意見をいただいたわけですが、いかがでしょうか。委員の先生方からの御意見もいただければと思います。
早田先生、引き続きお願いいたします。

【早田委員】 先ほどの御見解、了解しました。実は私、大学基準協会の中で今、学修成果の可視化の委員会で、この問題も含めて検討しているんですけれども、雇用先の評価というのを取り入れている大学というのは、国立大学が多いんですね。私立はそうでもないんですね。
その理由が何かというのを、一つの切り口として見たんですけれども、認証評価で、大学改革支援・学位授与機構はそこを強く求めているんですよ。ところが、大学基準協会も、日本高等教育評価機構も、そこのところを強く求めていない。そこにもちょっと違いがあるのかな。
要するに、なかなかそこには温度差があるというのは十分理解できましたので、了解いたしました。

【森山座長】 ありがとうございます。
今のような方向で、今回、お示しをするということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、それ以外の点で、いかがでしょうか。どうぞ委員の先生方からの御意見、御質問も含めてお伺いいたしたいと思います。
川手先生、お願いします。

【川手委員】 私、中身はこのとおりだと思うんですけど、本当に細かな表現のことで、幾つかお伺いしてよろしいですか。
まず、2ページ目で、一番下の入れ替えたところなんですけれども、「評価のための評価」にならないように、効率的に行っていくという、「効率的」という言葉に引っかかってしまって、つまり、単に効率を図ればいいわけではなくて、必要なことはしていかなくてはいけないということだと思うんですね。
そのときに、もちろんそれは各大学の特性を踏まえて、それぞれが必要なことをやっていくということだと思うので、そのことは、「効率的」という言葉だけで担い切れるかなというのがちょっと気になったところです。
なので、例えば、今も言いましたけれども、「それぞれ自分の大学の特性を踏まえて、効率的に行っていく」というふうにあればどうかなと思いました。
これが1つ目で、それから、2つ目なんですけれども、次の3ページ目の実施間隔のところで、書かれている趣旨は本当にこのとおりであって、各大学が判断していくんですけれども、1段落目で、各大学が判断をしていかなくてはいけない、委ねられていると。次の段落のところでは、しかし、毎年やっていくこともあり得るというふうに書かれていて、ちょっとここに開きがあるかなという感覚を持ちました。
なので、例えば2段落目の後のところに、いずれにしても、各大学の特性を踏まえつつ、教職課程の改革・改善につながっていくようにしていかなくてはいけないとか、何かそんなふうにあってもいいのかなと個人的には思いました。
ただ、書かれている内容はこのとおりだと思いますので、これでよろしければ、特にこれ以上言うものではありません。
もう一つなんですけれども、さっきの中核組織の話とも若干関わってくるんですが、先ほどは、中核組織をどう担っていくのかというお話だったと思うんですね。そのときに、さっき平野室長がおっしゃられたことなんですけれども、中核組織ができてくることによって、要するに、そこがやってくれればいいやみたいにならないようにする。これについては、教員養成評価機構のほうで幾つか大学をこれまで訪問したときに、そういうお話を結構いろいろなところで伺いました。
それについては、10ページ目の2段落目のところに、まさに、そうならないようにしなくてはいけないということも書かれていて、かつ、10ページの下のほうでもそのことに触れられているので、これでも十分だと言えるとも思うんですけれども、つまり、中核組織ができていく、しかし、併せて、教職課程を担っていく責任体制というのはしっかりつくっていかなくてはいけないということが、もう一言あってもいいのかなと思いました。
ただ、これも既に中身としては入っていることなので、あえて書かなくていいということであれば、それはよろしいかと思います。
以上3点です。

【森山座長】 先生、ありがとうございます。
2点いただきましたが、まず、平野室長、お願いいたします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 最初の効率的という部分は、ここが効率的にならないことが多いから効率的という意味で、ある意味、牽制的な表現になっているんですけれども、効果的にも行わなくてはいけないので、その部分は少し考えたいと思います。
実施間隔の部分も、まさに書いていても、どっちなんだよと思われるところがあるかなと思いながら書いているところもあるんですが、両方ある中で、どう考えるかということは、各大学の特性に基づいて判断すべきことかと思いますので、記述の追加を検討したいと思います。
最後のもう一声という部分は、これを読んだ方がどう感じるかというニュアンスが大切な部分でもありますので、先生の御意見も踏まえて、もう一声、考えてみたいと思います。

【森山座長】 ありがとうございます。
今の平野室長からのお話の中で、確認をいたしたいと思います。効果的、効率的というものについて、少し慎重に今後、検討するということでよろしいでしょうか。
もう1点、各大学の取組の2段階といいますか、2つについて少し記述の追加をしながら、誤解のないような方向で記述していくということ。
また、中核組織については、実際にこれから動かしていく中で、もう少し強固なものとして示せるような形での記述を追加するような御提案ということで、平野室長からおまとめいただきましたが、2点については、今のような方向で進めさせていただくということでよろしいでしょうか。御異議、あるいは御意見がありましたら、またここでお話しいただければと思います。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
川手先生、どうもありがとうございます。今のような方向で、御示唆いただければありがたいと思います。
それでは、それ以外のところで、御質問を含めまして、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
安部先生、どうぞよろしくお願いします。

【安部委員】 本案は、大変整理されていて、まとまった分かりやすいガイドラインになっていると思いますので、文言については、先ほどから出ておりました中核組織のメンバーに関して、職員の役割については、大学の教育と研究を充実させるためには、職員の専門性が重要というような指摘が大学分科会の審議の中でも出ておりますので、職員の役割に言及していただければと思います。
それ以外に、これは個人的な感想として聞いていただければいいのですが、2ページの下段には、自己点検・評価というのがコストを要するので、いわゆる「評価のための評価」となることがないようにということが書いてあります。
そうならないためには、考えてみますと、教職課程の自己点検が、教職課程を履修する学生の利益につながるかという視点は重要です。教員養成をめぐる昨今の課題として、養成目的の学部・学科の学生、あるいは、開放制と言われる一般学部の学生で、教職を履修する者のうちで、養成目的の学部・学科の学生の中でも、履修しても教員を志願しない学生が増えたり、また、一般の学部においては、そもそも教職を履修する希望者が減っているというような実態があるわけです。そのため、教職への学生のモチベーションを上げるための課程の質の保証や質の向上に資する自己点検になっているかが非常に問われていると感じます。
私は小さな短期大学の学長です。大きな大学の教育学部や教員養成の目的の学部・学科を外から見ていつも思いますのは、大学としての教育のあり方を、国立大学の教育学部とか教員養成を目的とする学部・学科が率先する姿勢を示し、大学全体の改革の実践的なリーダーを果たし、それを学生にアピールすることができれば、教職を志願する学生も増えてくることを期待するわけです。
教職課程の自己点検・評価が、大学教育そのものの質の保証につながるようにとの願いで、ガイドラインとして出していただければと思います。
すみません、感想みたいなことになってしまいましたけれども、この検討会議に参加させていただいて、小さな教職課程を持つ大学の責任者として感じるところでございます。
以上でございます。

【森山座長】 安部先生、どうもありがとうございます。
最初にいただきました御意見につきましては、事務職員の点での中核組織の中での位置を明確にしていただくということで、これは方向として今後、文言等を修正をさせていただきたいと思います。
その後の御意見、どうぞその方向で、このガイドラインが使われるような形で進められていくとありがたいと思います。いろいろありがとうございます。
それでは、それ以外の御意見等、ございますでしょうか。
髙旗先生、お願いいたします。

【髙旗委員】 1ページの一番下の行から次のページへ続く文章ですが、現在、こうなっています。「教職課程の自己点検・評価についても、各大学の既存のシステムを前提とした「供給者目線」ではなく、学生が必要な資質・能力を身に付ける観点から」云々かんぬん、「最適化されているかという「学修者目線」で行われていくことが強く期待される」というふうになっています。
私、これを読ませていただいて、確かにそのとおりだなと思いますし、恐らく、「教学マネジメント指針」の中にある言葉を引いてくるとこういう形になるのかなとも思うのですが、どうも、前段の部分の「「供給者目線」ではなく」というのが、ちょっと貶め過ぎかなという感じを受けます。例えば一案ですけれども、こんなふうにならないかなと思うのは、ちょっと申し上げますと、「教職課程の自己点検・評価についても」、ここは同じですね。
その後なんですが、「教職課程の自己点検・評価についても、教職課程に対する大学の自律性と主体性を発揮し、学生が必要な資質・能力を身に付ける観点から教職課程を最適化しているか、また、各地の教員育成指標に照らして十分な資質・能力を備えた初任者を輩出できているか等を検証し得ることが強く期待されるものである。」
ちょっと長ったらしくなって恐縮なんですが、「供給者目線」というのを貶めるよりも、「大学の主体性・自律性」というものを「教職課程に対してしっかり発揮するための自己点検・評価ですよ」ということが言いたい,ということと、もう一つは、学生に身に付けさせた能力を最適化されているかどうか、これは原文のままです。
それに加えて、先ほど早田先生等もおっしゃられたと思うんですが、雇用者調査というところにつながるような目線といいますか、「各地の教員育成指標に照らして十分な資質・能力を備えた初任者を輩出できているか等を検証し得る」,というニュアンスが入ってくるといいのかなと思って、基本的な考え方の本文の部分ですので、そういった言葉が入るといいかなと思って申し上げました。
以上です。

【森山座長】 ありがとうございます。
それに関わってということで、川手先生、お願いいたします。

【川手委員】 私も実はここがすごく気になっていて、さっき言いそびれてしまったんですが、「供給者目線」という言葉が私もちょっと気になって、見てみたら、やっぱり「教学マネジメント指針」のほうにある言葉なのでと思いながら、結局、言いませんでした。 しかし、今、髙旗先生が言われたとおりだと思うんですが、趣旨は、前回の議論からありますように、とにかく学修者本位の教育の実現ということにあって、なので、今、髙旗先生も文案をお示しになりましたけれども、例えば、1ページ目の一番下のところで、教職課程の自己点検・評価についても、例えば、各大学が現状の教育体制を追認するのではなくとか、その中で、学修者本位の教育の実現を図るみたいな内容かなと思いながら、趣旨は書かれているとおりだと思うんですが、私も、「供給者目線」という言葉が気になりました。

【森山座長】 ありがとうございます。
今のところの論点ですけれども、それ以外に御意見等ございますでしょうか。
まず、髙旗先生、それから、川手先生から今、お話をいただいた点ですけれども、教職課程の事項について、非常に重要なところですけれども、自己点検・自己評価についても、大学の自律性とか主体性のような要素を1つと、学生が必要な資質・能力を身に付ける観点ということ、加えて、早田先生からも先ほどお話がございましたが、出口の問題としての評価についても少しここに加えて、「供給者目線」というところを検討してはどうかというお話でございますが、いかがでしょうか。
平野室長、どうぞお願いします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 「供給者目線」という部分について、複数の先生から御指摘をいただきました。
「教学マネジメント指針」、以前のグランドデザイン答申というものから多分、このことは引っ張られてきているので、「供給者目線」から「学修者目線」へというのが一番の肝であったということの前提の上ではありますが、ここの部分で「供給者目線」という用語を用いないでも論理的には成立するというところはあります。
一方で、なぜ、あえてグランドデザイン答申とか「教学マネジメント指針」に、「供給者目線」というある意味、刺激的な言葉が盛り込まれているかというと、各大学がもう一回、自分の教育の供給スタイルというものを見直していただくためのきっかけとして、まさに自分たちのやっていることが今どういう状態になっているのかということを見直していくためにということで多分、そういう言葉が盛り込まれているんだろうと思います。
ただ一方で、これを読んで、またおとしめられているとげんなりされてもいけないというところもありますので、途中で先生から、既存のものを追認するのではなくみたいな表現もあったかと思いますので、そういうことに書き換えるというのもあり得るのかなと思っております。
それとの関係性で見ると、大学の自律性と主体性という要素というのも、これは言うまでもなく大事な話でありますので、入れるということもあり得るんだろう。
なので、「供給者目線」という言葉の書換えというのは、完全にニュアンスをなくしてしまうと、またここが既存のものをよしとするところに戻ってしまうということになってもいけませんので、要素は残させていただきたいんですが、中身はかみ砕いて説明する。主体性・自律性の話は書く。
あと、教員育成指標の部分の御提案もいただいたんですが、ここは、学生が必要な資質・能力を身に付ける観点からという中に含まれる、必要な資質・能力という中に含まれるということもあるのかなと思って、あえて特出しはしなくていいのかなとも思っております。
これは非常に本質に関わる問題なんですが、大学が一体どのような教員を育成すべきなのかというところについては、大学が主体的・自律的に考えて設定する。もっと言ってしまえば、社会が、世間がどう言おうと、自分の大学として、建学の精神とか理念を踏まえれば絶対こういうものが必要だということを、世の中のものを先取りして、もしくは独自の観点を加えてということは、やはり尊重されるべきなんだろうと思います。
その考慮の要素として、教員育成指標といったものも当然考えるべきではありますけれども、最後はやはり大学の主体性・自律性というところが一番大切な、これがまさに大学における教員養成の眼目なんだと思います。
そのような意味においては、教員育成指標というものに必ず合わせなくてはいけないというようなことになってしまっても、これは大学の主体性・自律性という観点からはよろしくないかと思いますので、ここは大学の主体性・自律性という言葉を入れさせていただいた上で、学生が必要な資質・能力をというところの最終的な定義は、やはり大学が行うべきであるというニュアンスで書かせていただければありがたいなと思っております。
以上です。

【森山座長】 ありがとうございます。
髙旗先生、どうぞお願いします。

【髙旗委員】 平野室長、ありがとうございました。私も、育成指標の記述についてはちょっと言い過ぎだなというのは重々承知しながら、(それでもお伝えしたのは)先ほど申し上げたような経緯であります。
ただ、それをなぜ言わせていただいたかというと、前提としての教職課程の自律性・主体性という言葉が、この文章の最初に無いというところがちょっと気になったものですから、そういう趣旨で付け加えさせていただいたということで、今、平野室長が言ってくださった改訂の方向で、全くいいのではないかと思います。
どうもありがとうございました。

【森山座長】 今、髙旗先生からおまとめいただきましたけど、説明が、「供給者目線」という文言だけではなく、もう少し具体的な説明を入れたほうがいいだろうという御提案だったと思います。その辺りは、具体的な自律性・主体性とか、あるいは、学生が身に付けるのところなど、もう少し分かりやすい文言を付け加えるという形での対応をさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。
早田先生、どうぞお願いします。

【早田委員】 その方向に賛成しますけど、「供給者目線」というところは、確かに誤解を招くので、別の言葉に置き換えた方がいいように思います。今、平野様から御説明を受けたように、要するに昨今の改革が、「何を教えるかではなくて、何を身に付けることができるか」という、小学校から大学まで全てそういう教育が求められているので、その姿勢が分かるような表現にしていただければと思います。
以上です。

【森山座長】 早田先生、どうもありがとうございます。
今のようなことも踏まえた上で、具体的に説明をして、誤解のないような形での記述にするということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、今の点は、私どものほうでも確認をしながら進めてまいりたいと思います。
それ以外に、委員の先生方から御質問、あるいは御意見はありますでしょうか。
添田先生、お願いします。

【添田委員】 こことかあそこという問題ではなくて、全体のガイドラインについてということで、先ほどからありますように、大学の自律とか主体性を持って創意工夫をするということがこのガイドラインの前提だというようなことを、どこかで言っていただいて、創意工夫をして、最初から到達点を求めるのではなくて、だんだんと自己点検・自己評価の中身を上げていくんだという趣旨で、どこかで触れていただくと、一気にあるレベルまで上げないといけないとか、このとおりなのかとか、どちらかというと横並びになりがちですので、よその大学はどうしているのかみたいなところに走ってしまいますので、その辺りを、読めばそこここに書いてあるとは思うんですけれども、触れていただけますと大変、受け取り側としてはよいかなと思います。
よろしくお願いいたします。

【森山座長】 添田先生ありがとうございます。おっしゃるとおりで、自己点検・自己評価そのものが、そういう観点からの認識、理解をしなくてはいけませんので、その辺りのところを、再度確認をしながら、明確に示せるような形でのガイドラインの案に進めていくということで、了解をいたしました。
ほかにございますでしょうか。
大森先生、お願いします。

【大森委員】 今、添田先生がおっしゃってくださったことに乗っかるというか、私も同感ですということなんですけれども、このガイドラインを示すときに、特に点検・評価ということを考えるときには、その完成までの時間軸を考えると2つのポイントがあると思います。1点目は、点検・評価をするということは、結果として悪い結果が出るということを含むわけですよね。悪い結果が出たら、それを改善していくという不断の努力ということが非常に重要だということなので、まず、点検・評価をした結果、思った目標、自分たちがつくった目標に達成できていないということも、社会が、あるいは文科省が認めて、だけど、ちゃんと改善のために努力しているんだということを見てあげるという姿勢が、まず一つ必要ということ
もう1点は、添田先生がおっしゃったところに関わると思うんですけど、ガイドラインで示されたことを全部フルマックスでできるようになるには、ちょっと時間がかかりますよということで、多分、各大学さんが、これができるとちょっとどきどきするのは、例えば実地調査のときに、これが全部できていないとやばいんじゃないかとか、新しい課程申請のときにどのぐらいできていたらいいんですかみたいな話とか、その辺、ここに書き込むのは違うと思うんだけれども、公表するときとか説明のときに、そこが安心感を持って、でも、やっぱり取り組みましょうねと思えるような説明が必要なんだろうなと。
明日からこれが全部できている大学は多分ないので、ということでちょっと賛同の意見を申し上げます。
以上です。

【森山座長】 ありがとうございます。
では、平野室長、お願いします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 今、両先生からいただいた御意見については、非常によく理解させていただきました。
「教学マネジメント指針」のほうも、「おわりに」という項目があって、そこにこういったことを書かれてございます。ちょっと抜粋してみますけれども、「教学マネジメントの確立も、各大学において短期的に完全な形で実現されることは想定できず、関係者により安定的・継続的に取り組まれることにより実現されるものである」ということ、また、下のほう、その後のほうですけれども、「教学マネジメントの確立に向けた取組の過程では、成果のみならず課題が明らかとなることも容易に想定される。課題が明らかになったとしても、各大学が真摯に教学マネジメントの確立に取り組み続けること自体を肯定的に捉え、長期的な視点でその取組を評価する」ということが必要である。まさにこういった2つの観点があったわけであります。
教職課程の自己点検評価のガイドラインということでありますけれども、これもなかなか難しいところで、すぐにやらなくていいんだよというニュアンスになると、また、ガイドラインの実効性そのものに影響する部分もありますけれども、最初の背景とか総論的なところに、先ほどの創意工夫を生かしてという話もあったと思いますけれども、大学が自主的・自律的に創意工夫を生かしてしっかりと取り組んでいく。その中で課題が明らかになったとしても、その課題を解決するということ自体が、評価すると書くのかどうかはあれですけれども、ということ自体はしっかりと、関係者がそういうことはあり得るんだなということが分かる記述というのは、何か考えたいと思います。
ただ、答申ではありませんので、さらっと書くという形になると思いますけれども、検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【森山座長】 ありがとうございます。
平野室長の今のお話にございましたとおり、この中に少し書き込むということでの対応をしてもらうということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、それ以外に御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
多くの委員の先生方から御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。皆様方からの御意見も出そろったようなので、意見交換をこの場で終了させていただきたいと思います。
本日、幾つかの貴重な御意見もいただきましたが、本ガイドライン(案)について、大筋の合意はいただけたものと思いますので、本日いただきました御意見を踏まえた修正につきましては、座長の私のほうに御一任いただき、修正を踏まえたものを本検討会議の最終取りまとめとすることについて、お認めをいただきたいと思いますが、異論ございますでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、今後については座長に御一任いただくということで御了解いただきましたので、今後、語句等の修正を行う可能性はございますが、本検討会議の最終取りまとめとさせていただきたいと思います。
教職課程は、御承知のとおり、小学校、中学校などの免許状の種類、また、それを設置する大学、大学院、短大など学校種類等により多様なところでございましたけれども、こういう多様な教職課程の質保証に関する取組が、各大学の状況に応じて実施しやすいようにというガイドラインとして大枠を示すということが、今日のこの会の目的として示されたわけでございます。自己点検・自己評価、そして全学的な組織体制ということを踏まえて議論をさせていただいて、一通りの、方向性をお示しすることができたと思っております。本当にありがとうございます。
なお、本ガイドラインの日付につきましては、今後、免許法施行規則の改正が成立した日に合わせることといたしたいと思います。
それでは、今後の予定につきまして、事務局から説明をお願いします。
平野室長、お願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございました。
今、森山座長からお話がありましたように、このガイドラインの前提になる制度改正、すなわち自己点検・評価の義務化という話と、また、大学等連携推進法人等を踏まえた複数法人の連携の中も含めた、全学的な組織体制の話というようなところ、この制度改正自体がまだ施行されておりません。施行がされたタイミングというところで日付については入れさせていただくということで、御了解をいただきたいと思います。
このガイドラインについては、この会議の名称でつくられるものでありますけれども、今後、教員養成部会のほうに報告をさせていただきます。大学に周知をして、令和4年度からの実施ということで、来年度いっぱいかけて準備をしていただくということを想定してございます。
委員の先生方におかれましては、昨年11月より計3回という駆け足でございましたけれども、教職課程の質保証に資するような自己点検・評価の実施というところに当たって、参考になる観点、組織体制の在り方について御意見をいただきました。
また、単なる自己点検・評価とか組織体制という話を超えて、大学そのものの在り方、教職課程そのものの在り方もしっかり踏まえた上でのものになりつつあるなと考えております。
最後まで、今日いただいた意見も踏まえて、座長と相談をしながら、しっかりと内容は固めてまいりたいと思います。
また、第1回で発表していただいた各団体の調査というものに、今回のガイドラインの成果の多くをよっているものでございます。関係団体の方々とか、また、そのような調査に参画していただいた方々にもお礼を申し上げたいと思います。
全てオンラインというところで、なかなか会議の取り回し、私どもも不手際があったかと思いますけれども、大変御熱心に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
また、今後とも、どこかでお力をお借りすることがあるかと思いますので、その際はぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【森山座長】 ありがとうございました。
委員の先生方におかれましては、第1回を開催いたしました昨年11月24日以来、計3回にわたって御議論に御参画いただきまして、大変ありがとうございました。委員の先生方の御協力につきまして、心より感謝をいたしております。
それでは、本日予定いたしました議事は全て終了いたしました。これにて本検討会議を閉会とさせていただきます。本当にありがとうございました。


── 了 ──

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