義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議(第4回)議事概要

1.日時

令和3年7月21日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

髙木座長、大字委員(Web参加)、貞広委員(Web参加)、鈴木委員(Web参加)、村田委員(Web参加)

文部科学省

塩見大臣官房学習基盤審議官、村尾財務課長、能見財務課課長補佐、松下財務課教職員配置計画専門官、丹羽教育人材政策課専門官、白井初等中等教育企画課教育制度改革室室長補佐、新見教育課程課専門官、古市スポーツ庁政策課学校体育室室長補佐

5.議事要旨

1.開会

【髙木座長】

  • 定刻となりましたので、ただいまから第4回義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議を開催いたします。本日は、皆様お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  • 本日の会議につきましても、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、ウェブ会議システムを併用した開催としております。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言のとき以外はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。また、会議の模様は報道関係者の皆様及び一般の皆様に向けて、ユーチューブ上で配信しておりますので、御承知おきください。
  • それでは、初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【能見財務課課長補佐】

  • 初等中等教育局財務課の能見でございます。本日もよろしくお願いいたします。本日の配付資料ですけれども、お手元の議事次第の4.配付資料にございますとおり、資料が1、それから参考資料が1から3までとなっております。御確認いただきまして、不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。ここで、7月1日付の文部科学省の人事異動により、村尾初等中等教育局財務課長が事務局の担当課長として着任しておりますので、御紹介申し上げます。

【村尾財務課長】

  • スポーツ庁競技スポーツ課長から着任しました村尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【髙木座長】

  • 続いて本日の議題ですが、義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について、本検討会議でのこれまでの御意見を踏まえ、事務局において主要な論点の整理を含む報告(案)として準備いただいておりますので、前回の会議でも確認されましたように、来年度予算の概算要求を見据えて取りまとめを行うべく議論を、本日は深めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

2.議題(1)義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について

【高木座長】

  • それでは、早速議事に入ります。まず、資料1、義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について(報告)(案)について、事務局より御説明をお願いします。

【能見財務課課長補佐】

  • 改めまして、初等中等教育局財務課の能見でございます。
  •  資料1の説明に入ります前に、参考資料1を御覧いただければと思います。政府方針等における関連記述ということで、1ページ目は、いずれも6月18日に閣議決定された政府文書ですが、一つ目がいわゆる骨太の方針2021、二つ目が成長戦略フォローアップ、共に、小学校における高学年の教科担任制の推進という文言が盛り込まれておるところです。また、三つ目の統合イノベーション戦略2021ですけれども、理数教育の強化の観点からも、小学校高学年における教科担任制の推進という政策が盛り込まれています。
  •  また、2ページ目を御覧いただきますと、6月3日に取りまとめられました教育再生実行会議の第12次提言にも文言がございますほか、少々前のものになりますけれども、第2期のスポーツ基本計画におきましては、小学校における体育の専科教員の導入を促進するといった取組が、具体的施策として記載されています。
  • こういった大きな方向性も踏まえ、資料1の報告(案)について、前回会議時の論点メモから加筆修正した箇所を中心に、かいつまんで御説明させていただきます。
  • まず、「1.はじめに」ですけれども、この検討会議における検討の経緯について記載した上で、二つ目の○の後段ですが、ここに令和4年度予算の概算要求を見据え、義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に係る論点ごとの考え方について一定の整理を行うものであるとしております。
  • 2の(1)におきましては、これまでの定数措置の経緯について整理をいたしております。二つ目の○ですけれども、いわゆる基礎定数における学級担任外の教員定数を活用し、技能系教科を中心とした専科指導が実施されている場合があるとしております。
  • 2ページ目に参りまして、新学習指導要領の円滑な実施や学校における働き方改革の推進を図るため、平成30年度以降、小学校の専科指導の充実に向けた新たな定数措置を順次講じてきたということで、加配措置の経緯についても記載しております。
  • 2の(2)におきましては、先進的な取組事例とその効果について記載しております。まず先進的な取組事例ですけれども、一つ目の○ですが、上述の(1)に記載の定数措置、基礎定数と加配定数がございますけれども、その活用ですとか、中学校教員によるいわゆる乗り入れ授業の実施、独自予算による教員配置等の方策を組み合わせることで、現状においても、高学年段階を中心に各地域・学校の実情に応じた多様な実践が行われるとした上で、本検討会議における議論の過程で参照した先進的な取組事例として、この検討会議でも事例発表をいただきました群馬県、兵庫県の事例を含め、掲載しております。
  • 続いて3ページ目の取組の効果のところにつきましては、具体の説明は割愛させていただきますけれども、前回会議で事業者様から御報告いただきました令和2年度の調査研究の結果を基に、丸1 授業の質の向上/学習内容の理解度・定着度の向上、丸2 小・中学校間の円滑な接続、丸3 多面的な児童理解、丸4 教師の負担軽減といった観点ごとに、取組の効果が確認されている旨を整理いたしております。
  • その上で、4ページ目の中ほどの○ですけれども、調査研究の報告書におきましては、国においては、教員定数の改善を含め地方自治体の工夫のみでは難しい事項への対応を検討することなどが望まれる旨述べられているということを御紹介する形で、3以降の提言部分につなぐ形としております。
  • 3.小学校高学年における教科担任制の推進方策についてにつきましては、これまで御議論いただいてきた論点ごとに、冒頭の箱書き部分で結論を記した上で、その具体を記述するスタイルとしております。(1)教科担任制推進の考え方につきましては、箱書きの中ですけれども、国として小学校高学年における教科担任制の推進を図るため、各地域・学校の実情に応じた取組が可能となるような定数措置により、特定教科における教科担任制の推進(専科指導の充実)を図ることを中心に考えるべきとしております。
  • 少し飛びますけれども、6ページにお進みいただければと思います。6ページの上段、○が四つございますけれども、ここにおきましては、四つ目の○にございます結論部分、新たな定数措置により特定教科における教科担任制の推進(専科指導の充実)を図ることを中心に考えるべきという結論を導くための論理構成を明確化する観点などから、文言整理を行っております。
  • (2)の優先的に専科指導の対象とすべき教科についてでございますが、箱書きにございますように、外国語、理科、算数及び体育について優先的に専科指導の対象とすべき教科とすることが適当と、まず結論を示しております。その上で、一つ目の○の書き出しの部分ですけれども、(1)のところで総論としても記載しておりますが、この対象教科についても運用の際の柔軟性に係る御意見を強くいただいておりましたことから、各地域・学校の実情に応じた取組を可能とすることに留意しつつということで、この各論部分にも記載をしてございます。
  • それからまた少し飛びまして、8ページ目を御覧いただきたいと思います。中教審で示されておりました外国語、理科、算数に加えてということで、体育についてです。前回集中的に御議論いただいたところですが、その際の御議論も踏まえまして、子供の体力向上に資するといった観点を追記いたしますとともに、教科指導の専門性、系統的な指導の必要性につきまして、体育と記載してある部分にその具体を盛り込んでございます。
  • 具体的には、運動が苦手な児童をはじめ全ての児童に、できる喜びを味わわせていくことが求められるですとか、個々の能力に適した指導・支援を安全・安心を確保しながら行う必要があるということ、さらに中学校の内容も見据えた系統的な指導ということにつきましては、脚注7を設けまして、小学校から高等学校までの12年間の系統性を4年ごとに整理してきたことですとか、そのうち小学校5年生から中学校2年生までの期間を多くの領域の学習を経験する期間として、生涯にわたって運動に親しむ資質・能力を育てることなどを目指してきたといったような、平成20年告示の旧学習指導要領以来の整理について記載をしてございます。
  • 続きまして、(3)の専門性を担保する方策についてでございます。四角囲みの中ですけれども、これはあくまで国として定数措置を講ずるに当たっての話として、教科ごとの実態・特性を考慮しつつ、例えば、中・高の免許状の保有、免許法認定講習の受講・活用、教科研究会などの活動実績といった要件を組み合わせるなどして適用することが考えられるとしております。
  • 9ページに参りまして、新たに加筆をしておりますのが、上から三つ目の○でございます。これまでにも何度か御意見をいただいておったところですけれども、小学校英語専科加配の要件につきまして、この間、小学校外国語科の新設に対応した研修や、新学習指導要領への移行措置期間を含む実践が積み重ねられ、小学校教員がその指導力を身に付けつつある状況等を踏まえて見直すことも考えられると追記してございます。
  • 続きまして、10ページの冒頭の○でございます。前回会議での御意見を踏まえまして、各教育委員会などの指導・支援の下、小学校の専科教員に対し、担当教科に係る中学校進学後の生徒の学びの状況を把握し、小学校の指導の特質を踏まえつつ、系統的な指導の検証・改善に資する機会を提供することも重要ということで、新たに記載してございます。
  •  続きまして、(4)学校規模や地理的条件に応じた教職員配置の在り方についてでございます。四角囲みの中ですけれども、(2)の対象教科について専科指導のさらなる充実を図るための措置を講ずる必要があるとした上で、学校規模、地理的条件に応じ、例えば、学年1学級程度の小規模校間における小小・小中連携、義務教育学校化を促すことなどにより対応することも考えられるとしております。
  • 最後に12ページ目の「おわりに」でございます。○を三つ設けておりますけれども、一つ目の○は、言わば全体の結論部分に当たろうかと思います。当面は、以上の整理を踏まえ、特定教科における教科担任制の推進を図ることを中心に定数措置を進めることが適当とした上で、今回の対象教科に係る専科指導の取組・定着状況、少人数学級や義務教育学校化、教員免許制度改革の進展状況等の関連動向を踏まえつつ、将来像を検討する必要があるとしております。
  •  それから、二つ目、三つ目の○では、これまでの御意見を踏まえた検討会議としてのメッセージを2点記載してございます。二つ目の○につきましては、本日御欠席であられますけれども、齊藤委員に事前にいただいた御意見を基に記載してございます。すなわち、義務教育9年間を見通した取組の重要性ということになりますけれども、この小学校高学年における教科担任制の推進については、義務教育9年間を見通した指導体制の構築を目指すものであるということを振り返った上で、これまで以上にブロック内の小・中学校が相互に連携し、義務教育9年間を見通して児童生徒の資質・能力を育成することができるよう取り組むことが望まれるとしてございます。
  • 最後の○につきましては、貞広委員からいただいた御意見を基に記載してございます。どのような形態の教科担任制を構想・推進するのか、各教育委員会等の指導・支援の下に校長のマネジメントの幅が広がることとなる、そのような意味で、校長のマネジメント力の発揮に期待したいというふうに結んでございます。
  • 以上の報告(案)について、本日、詰めの御議論をいただければと考えております。よろしくお願いいたします。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。それでは、ただいま御説明のございました報告(案)について、なるべく議論を焦点化するために、前回と同様ですが、項目ごとに区切りまして議論を進めていきたいと思っています。
  • まず、「はじめに」、それから2番目の取組の経緯、4ページまでということです。1ページから4ページまで、ここにつきまして御意見、御質問がございましたら、各委員から御発言をお願いいたします。ございませんか。それでは、また先へ進みながら、この「はじめに」及び取組の経緯、取組の経緯ですのでなかなか御意見はないかもしれませんが、もしありましたら戻りまして話を進めます。
  • 続きまして、本報告の中心となるところでございますが、4ページから11ページになります。3の小学校高学年における教科担任制の推進方策について、本検討会議でのこれまでの議論を踏まえまして論点ごとに整理した部分でございます。取りまとめに向けて詰めの御意見の交換ができればと思いますので、お願いいたします。

【貞広委員】

  • 全体的に議論を反映した形で丁寧に取りまとめていただきましてありがとうございます。3.小学校高学年における教科担任制の推進方策についての四角囲みの部分について、御質問を申し上げたいと思います。
  • 地域特性や、かつ各教育委員会や都道府県における事情も様々であることから、その地域特性に応じたもろもろの方策を選択することを前提にしている一方で、この四角囲みの部分にありますとおり、定数措置を考えていくということでございますが、このときの定数措置する基準であるとか、ルールといいますか、措置基準というものをどう想定したらいいのか、すごく難しいと思うんですけれども、現時点の財務課のお考えがありましたらお示しいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【松下財務課教職員配置計画専門官】

  • 財務課の松下でございます。ただいまの貞広先生の御質問ですけれども、もちろんこれは予算編成過程で、財務省との折衝の中で、要件なり配分の仕方なりというところも詰めていくことになりますので、結果としてどうなるかというのはありますけれども、基本的には自治体からの加配の申請を基に、例えばこの4教科について優先的に配分を進めていくことになろうかと思います。具体にその際に、学校の規模とか、どこまで細かく要件を見ながら配分していくかというのは、またこれからしっかりと考えていくことにはなるかと思っています。以上です。

【貞広委員】

  • よく分かりました。やはり少しつくり方が難しいのだと思います。学校規模などに応じてという定数措置的なやり方のほうが非常に透明性もありますし、各学校も見込みがあるので、来年度の体制などについて見通しを持てますよね。それが望ましいとは思うのですけれども、恐らく予算制約であるとか、あとは、あまりにも多様過ぎてそういう基準をつくるのになじまないということで、加配的な扱いをするということなんだと思います。
  • でもそうするとその一方で心配となるのは、やはり財政状況によってカットされかねない部分であるとか、本当に来年は来るのかとか、もう何年続くのかという懸念を現場の方が持たざるを得ないことを懸念します。私は校長先生のマネジメントに期待をしますと申し上げましたけれども、その見通しがないと手足を縛られた状態でマネジメントしろと言っているようなところですので、その辺りの見通しの部分については、今私にも知恵はありませんけれども、現場の方の御負担にならないように、ちょっと仕掛けが必要なのかなというふうにも思います。以上です。ありがとうございます。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。大字委員、お願いします。

【大字委員】

  • 全連小の大字です。今の貞広先生の御質問とほとんど内容は同じで、私も聞きたかったことは今のあたりです。今まで平成30年度から3年間で、英語専科が3,000人配置されて、今回のこの教科担任制を推進するに当たって、一体どれくらい規模で配置をして、またその時間の経過といいますか、やはり何年間かかけて一定の数の位置するのかあたりのことを、なかなかお話ししづらいとは思うんですけれども、少しでもお聞かせいただけると現場としては心構え等ができるので、ありがたいなと思ってお聞きしました。お願いします。

【村尾財務課長】

  • 財務課長の村尾でございます。今の御質問について、現段階では、具体的な規模とか何年間かけてというのは、即座にちょっとお答えできる答えは持っていないですけれども、段階としては2段階あって、まずは8月末の概算要求という段階、それから最終的に政府予算案が固まる年末という段階がございます。ですので、その概算要求の段階までに、これまでにいただいた御意見を踏まえて文部科学省としての方向性を固めて、その上で年末までの間に予算の折衝をしながら固めていくということになろうかとは思っております。
  • 少なくともその1年間で整備をするのは、もしかするとなかなか難しいかなというふうには思っておりますけれども、どのように考え方を、現実的なところも踏まえて整理していくかということについては、今後また概算要求までに詰めていきたいと思っております。以上でございます。

【大字委員】

  • ありがとうございます。ただ新聞報道等で、今日の新聞にも出ていましたけれども、来年度から、指定された教科が教科担任制になるというような受け止めをされている方も、かなり声が聞こえてくるんです。その辺りも含めて、うまく周知していただけるとありがたいなと思ってはおります。お願いします。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。学校の期待度が大変この制度については多いものですから。ただ一方で予算措置の問題もありますので、なかなかそこの両方からの詰めの難しさというのは当然出てくると思います。今後の概算要求・予算編成でどの程度予算がつくかということで全ては決まりますが、できるだけ多くの予算がつければいいなというふうに個人的には思っています。
  • ほかにはいかがでございましょうか。貞広委員、お願いいたします。

【貞広委員】

  • 3のところに限定して、あと二つ申し上げたいと思います。まずページで申しますと、6ページの(2)の1個上のところに、「新たな定数措置により特定教科における教科担任制の推進を図ることを中心に考えるべきである」という、文言がありますけれども、これをもうちょっと強くするために、定数措置がない状況では、取組ができる学校や地域が限定的で、それにより子供たちの学びに差異もしくは格差が生じる可能性があるのでというような、何も措置を講じないと、一部の地域の子供たちだけがこういう新しい教育の在り方の恩恵を被ることになってしまうという文言をどこかに挟んでいただき、国全体としての定数の措置がいかに重要かということを強調していただきたいと思う点が1点です。
  • 9ページ、専科指導の専門性を担保する方策についての部分で、二つ目の○に、併有状況に都道府県間でばらつきが見られるということが書いてあって、それに代わるような代替の措置によって質の担保をするということが書いてあるのですけれども、やはりできるだけ併有を促進する、推進するということを、可能であれば書いていただきたいと思います。
  • もちろん免許法の認定講習などで、小学校で例えば算数の優れた取組をやっている先生方が中学校の数学の免許を取っていく、それによって系統的な学びをより保障できるようになるということは、制度上は先生方に汗をかいていただかないとできないですけれども、できるわけですので、今のようなばらつきではなく、どこの都道府県でも、可能であれば免許の併有がある先生が教科担任をするという意味で、この辺りももう少し踏み込んで書いていただいてもいいかなと思いました。
  • 最初ですので、もう少し理想も書きたいというようなところがあって。もちろん調整はお任せしますけれども。以上でございます。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。大変ありがたい御意見で、もし今、貞広委員の御発言をお聞きになった方、ほかのところをもう一回御覧になっていただいて、書き加えられるところというか、ある意味で言うと、教育の保障、機会均等を保障するために、一部だけではなくて、日本中でできるような形の文言にしていくというのは一つの在り方だと思いますので、もしそういった形がございましたら御意見を賜りたいのですがいかがでしょうか。
  • 鈴木委員と村田委員、それぞれの地域でやはり今貞広委員が言われたようなことで、職員配置の問題とかいろいろ出てくるかと思いますが、少し具体的な立場からもし御意見があったらお伺いしたいのですが、いかがでございましょうか。村田委員、お願いします。

【村田委員】

  • それぞれの学校の実情に応じて、教科担任制の対象教科も考えていただいて、校長先生のマネジメント力の下、推進していくということを記載していただき、すごくありがたいなと思っています。やはり学校長というのは、先ほども少しあったと思いますが、今の学年だけを見ているわけではなくて、6年間あるいは9年間以上を見据えて、今後学校がどのようになるのかということで、恐らく人員を配置していきたいというところもありますので、そういった意味では、しっかりと定数措置、それから定数がどんなふうに配置されるのか、前もって教えていただきたいという声はよく聞いております。
  • あわせまして、先ほどの格差の話ですが、一番懸念するのは、小規模校の学校に人がつくか、つかないかというところです。実際に定数措置の段階でも、小規模校には数が少ないですので、定数が措置されるのは大規模校とか、都市部に固まっていくのではないかという懸念をされている声も聞きますので、本当にその辺は平等に、子供たちがどこでも学びができるように取り組んでいきたいということは、しっかりと国としても伝えていただきたいと思っています。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】

  • ありがとうございます。基本的には私も、これまでの経緯を踏まえてよくまとめていただいたなという、まずは実感がございます。先ほどから既にお話しいただいているように、これから年度末に向けて人事異動等を考えていかなくてはならないときに、やはりどういう人がどの程度配置されるのかというのは、学校にとっては非常に大きなことなので、そのことができるだけ早く分かることが大事かなと思っています。先ほど、なかなか今の段階では難しいというお話がありましたけれども、そういった方向性は、まずはこの8月の末の概算要求の状況を見せていただいて、こちらでも考えていきたいと思っていたところです。
  • それで、今、英語専科の加配を措置していただいているわけですけれども、それぞれの例えば算数、理科、体育などの教科についても、基本的には英語専科と同じような考え方で措置を検討していく、そういう方向でよろしいのかということが、1点お伺いしたいところです。
  • あともう一点、この9ページで、先ほどの小・中の免許状の併有の促進のお話をいただきました。群馬県は昭和の時代から、小・中両方の免許状の取得をずっと推奨してきている県でございますので、ある程度は両方の免許状を持っている方がいますけれども、やはり昨今、そういったところも少し減少傾向にあるようなところもありますので、一層そこは推進していきたいなと思っています。この欄外にある、中学校免許状を持つ教員が小学校免許状を取得する際の要件の弾力化というのは、小学校専科教員としての勤務経験を考慮して、小学校で例えば体育の専科をすれば、そのことが小学校の免許を取ることにつながっていくということを意味しているのかなと捉えておりますけれども、こういった制度の変更というのは、どの程度を目安に考えていらっしゃるのかということがもし分かれば、教えていただければなと思っているところです。以上です。

【松下財務課教職員配置計画専門官】

  • 今、鈴木委員から御質問のありました一つ目の点ですけれども、私から答えさせていただきます。算数、理科、体育、こちらももちろんどの程度しっかり予算がつけられるかということもございますけれども、基本は英語の専科指導の加配と同じような形で、配分を進めていくことになるのではないかとは考えております。その際に要件をどうするかですとか、先ほど貞広委員からも御質問がありましたけれども、学校の規模といった要素も加えていくのかどうか、そういったものは今後またしっかりと詰めていきたいと考えております。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。もう一つ制度のほうの御質問がありましたので、丹羽専門官のほうからお願いいたします。

【丹羽教育人材政策課専門官】

  • 御質問いただきありがとうございます。教育人材政策課の丹羽と申します。スケジュールのお尋ねですけれども、この中学校の免許を持つ教員が小学校の免許状を取得する話については、法律の事項になっておりまして、これを実際制度改正しようとしますと、法律を改正しないといけないということになっております。今後の国会の状況とかを見極めながらやっていきたいので、いつのタイミングでというのはなかなか申し上げづらいですけれども、可能な限り早く制度改正をして、この取組自体を進めていきたいと思っております。

【鈴木委員】

  • 大変ありがとうございました。まず大きな方向としては、英語と同じようなことで考えていけばいいということが分かったことは、大変ありがたいなと思っています。また、免許法を改正しなくてはいけないということは、こちらとしても十分承知しておりますので、できるだけ早く、ぜひ小学校で専科を経験した人が小学校の免許を取れるような仕組みをつくっていただけると、大変ありがたいなと思います。以上です。ありがとうございました。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。今の箇所はそれでよろしいでしょうか。ちょうど9ページのところで、上から二つ目の免許併有の話が出ましたが、そのページの一番最後、「併せて」というところで、案では「例えば、外国語など」というふうに入っているところなんですが、教科の特性を踏まえるということや、その後、「専門性を有する人材」ということが書いてありますが、多様な知識や経験を有する人材というような書き方も、ここではできるのではないかなと思いますので、あわせて、教える側の先生方の免許とか、それからどういう資格があれば学校で様々な授業に取り組めるかというところを少し検討いただきますと、もう少し先生方の授業への取組のやりやすさというか、それから、先ほどから出ています校長先生のマネジメントのやりやすさというか、多様な人を学校で取り組みながら、授業への可能性が出てくるということができますので、その辺りも検討いただきたいと思います。
  • いかがでございましょうか、ページ数で言うと、ここがやっぱり今回の中心になるところですので、4ページから11ページまで、重複の御意見でも構いませんので、お気づきになったところをぜひ今日出していただけると、かなり詰めの段階ですので、最終的な検討ができると思います。
  • 私たちは、委員の皆さんもそうだと思いますが、単純に5年生、6年生で教科担任を導入してということだけではなくて、その後ろに例えば免許制の問題とか、それから全国の学校規模の問題であるとか、多様な問題、教育のある意味では非常に今までやってきて、先生方が本当に足りていない部分やこうしてほしいという部分の内容がかなり含まれていると思いますので、そういったことも含めて全体的に考えていくと、制度そのものの大きな改革に、我々のこの検討会議の中から新たな視点が生まれてくるかなと思っていますので、できるだけ前向きに、いろんな制度ができるように御意見をいただければ大変ありがたいんですが、いかがでございましょうか。貞広委員、お願いします。

【貞広委員】

  • もう一つ申し上げたいと思いますが、いろいろな地域で、特に今御参加くださっている兵庫県であるとか群馬県のように、先進的に既に教科担任制をやってきた前史をお持ちのところもあれば、今までほとんどやっていなくて、今回初めてやるというところもありますし、加えて何度もここの会議に出ているように、地域特性や学校規模等相当バリエーションがあって、結構この方程式を解くのは難しいと思うんです。
  • 現場の人が試行錯誤しながらやるのだと思いますので、最初に取り組んだものが正解というわけではないこともあると思います。教育は失敗しないことになっているようですけれども、試行錯誤してよくなかったら、例えば他市の取組を参照しながらやり方を変えてみたりとか、他市どころかもっと遠くの他都道府県の取組に変えてみたりとか、または、例えば我々のような研究者と協働してみて制度を見直してみたりとか、そういう新しい制度なので、試行錯誤をするということも含みつつ、よいものをこれから生み出していこうというような、そういうことも書いていただいていいのかなと思いました。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。例えば私の身近なところで言いますと、近いところの学校が、1年間全部教科担任するのではなくて、学期に分けたりそういうところで、例えば先生方が産休や育休に急に入ってしまったり、それから病気で休まれた部分を教科担任制に持っていってとか、やり方は様々な事例が考えられると思うんです。予算というのは、ただ一方でかなり固定してかからないと配分できないところがあって、それとの問題が一つある。
  • それからもう一つは、例えば今回挙がっているように、算数と理科と英語と体育とやってしまうと、例えば若い先生方が学校に入ったときに、もうそこは専科の先生が入っていて、小学校の先生で、1年間その科目を教える経験がなくなってしまうなんていうことも出てくる。それは年度で考えるとどうしたってそういうことは出てくるわけで、スパンを広くしながら小学校教育全体の中でどうするか。
  • さらに、齊藤委員もご意見をお出しくださっていますけど、中学校の先生方が実はこの小学校の教科担任制にどう関わるかということも、大変大事になってくると思います。この検討会議のそもそもの名前が、義務教育9年間を見通した指導体制という、ここの部分をきちんとしておかないと、単なる教科担任を小学校で行えばいいというような形になってしまって、矮小化されてしまうことにもなりかねない。
  • その辺りも留意しながらこの制度を考えてみたいと思っていますが、今日残念ながら齋藤委員は御欠席なので、大字委員この辺り、小学校のお立場から、例えば中学とどういう連携や接続をしながら、中学校と小学校をどういうふうにしていったらいいかみたいなことで、少しお話ししていただけないでしょうか。

【大字委員】

  • ありがとうございます。今回の報告(案)を事前に拝見させていただいて、とても納得感のある報告(案)になっているなというのがまず前提にございます。あとは今までのお話の中で、ある程度柔軟に制度変更もできるような形で、それは現場がやりやすいような形で進めていくのが大切だというお話もいただいて、非常にありがたいなと思っています。
  • 今の髙木座長のお話しに関連して、小中連携は非常に進んでいるかなというふうに感じています。実際に、この小中一貫とか小中連携という言葉が出るまでは、中学校の先生は小学校の教科書を一回も開いたことがないとか、小学校の教員は中学校の目的、教科の目標が何だか分からないというのが、もう当たり前のようなことになっていましたので、幾ら教科担任で授業の質を上げたとしても、やっぱり一般の教員が小学校も中学校どちらもよく知っていて、きちんと連携を取りながら進めるということは、非常に重要だろうなと。その取組は、今後もより一層進めていかなければいけないなと思っています。
  • 私が勤めている世田谷区には「学び舎」というのがあって、これはもう小学校区、中学校区が一体となって、義務教育9年間で子供を育てようという取組をしています。こういったことが全国的に広がっていくといいなというのは感じているところです。
  • もう一点は、やはり義務教育9年間の質を上げるということで考えると、小学校も経験した、中学校も経験したという、どちらの経験もあるような教員を増やしていくことはとても重要で、これをそれぞれの自治体が何とか推し進めていただけると、義務教育9年間そのものの質が上がるのではないかなと、そのように考えているところです。以上です。

【髙木座長】

  • では、次のところですが、まずは4の「おわりに」だけ少し扱いまして、特に前回御意見がございました校長のマネジメント力発揮の期待とか、それから先ほども御紹介がありましたが、齊藤委員から、さらには貞広委員からの御意見もありますので、「おわりに」のところでもう少し御意見があれば頂戴したいと思いますが、いかがでございましょうか。鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】

  • 意見というか、質問になるかもしれないですけれども、最初の○のところで、当面は、特定教科における教科担任制の推進を図ることを中心に定数措置を進めることが適当であるとありまして、そうすると、今回特定教科ということで4教科出ていますので、その4教科の定数措置を進めて、教科担任制を進めていくということなのかなと思いますが、多分来年から全ての4教科を教科担任制にすることは難しいと思います。定数措置をして、行く行くはその4教科については小学校の5、6年は教科担任制にしていくという方向を考えていらっしゃるのか、地域や学校の実態に応じてということが大分前面に出されていますので、そこはできるところからやっていき、なかなか難しいようなところについてはそういったことに限らないというのか、この辺の方向性というのはどんなふうに、今の時点では捉えておけばよろしいでしょうか。

【村尾財務課長】

  • ありがとうございます。今の「おわりに」の一つ目の○のところですけれども、まさに今おっしゃっていただいたように、まずはこういった形で、その四つの教科について定数措置で進めていくということなんだろうと思いますけれども、おっしゃったように、地域によっていろんな状況が違ったりとか、やっていく中で出てくるような課題、あるいはもっと進めたほうがいいんじゃないか、こういう教科も進めたほうがいいんじゃないかということも出てくるかもしれません。
  • そういったことも、今ちょっとここにも書かせていただいていますけれども、状況を踏まえて、またその次の道、ステップ・バイ・ステップで進んでいくということかなと思っておりますけれども、現段階で固定的に判断をするというよりは、まずはそれを進めていった上で、その次のステップはその段階でまた考えていくということで考えております。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。鈴木委員、質問というだけではなくて、こうしたらいいかなとか、もっとこうなるとよくなるというのは、実際に教育委員会として担当されている中でありましたら、御意見として少し出していただけないでしょうか。

【鈴木委員】

  • 小規模校について、今回もいろいろ課題になっていますけれども、1学年1学級程度の小学校、中学校がある地域では、義務教育学校化というような意見も述べられています。そういう方向が本県でもあるように思っています。
  • そうなってくると、いわゆる小学校に当たるところでどういうふうに教科担任制を入れていくかということを、一つの学校として考えられていくと思うのですけれども、やっぱり小学校と中学校が分かれているところでは、なかなかそこがちょっと難しいといいますか、やっぱり学校が違うので、そんなにすぐにはできないところもあったりする中で、そういったところがうまく小中連携を進めていけるような指導体制の在り方が検討できるといいかなとは思っています。
  • 今、小学校の教科担任制ということですので、多分定数措置が小学校のほうにされていくのかなと思うのですけれども、小中連携ということを考えて、中学校の先生が小学校で授業をするというようなことで、5、6年の教科担任制をしていくことがあったときには、中学校に加配がされて、中学校の先生が、例えば管内の二つの小学校に行くとか、そういうこともあるのかなと、個人的には思っているところがあります。義務教育9年間を見通したということですので、ぜひそういった指導体制を、本当に小・中学校が連携して考えられるような、推進、後押しができる施策になるといいかなと思っています。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。この制度自体が、実は世の中が大きく変わってきています。例えば今学校でもそうですけど、GIGAスクール構想を含めて学校の中にPCが入ってきたり、簡単に言ってしまえば、それこそ電話だって、ダイヤル式の回しているような電話の時代ではもうなくなってきて、学校に教科というものが入ってきたのが明治のときから、もう150年たっていて、そういった教科の学習の中身自体は変わりつつあるけれども、これはフランスの制度で、明治期、小学と中学と大学が入ってきているんだけれども、その制度自体が時代に伴ってやっぱり変わっていかざるを得ないだろう。
  • その変わっていく中で、今ここで出てきている、例えば義務教育として何をするかということ自体も、大きなパラダイムシフトを図っていかないと未来をつくることはできない、そういったところの中で今、こういったものが検討されてきていると思います。だからかなり制度自体が可変的な状況の中で構築していかざるを得ない部分がありますから、それはやってみて分かるとか。
  • 一番いいのは予算がたくさんついていろいろできる、これが一番でして、未来をつくるためには予算が絶対要るわけで、予算をつけてもらえることが一番ありがたいなと。私は、今回のこの検討会がそのきっかけにもなる会議かなというふうには思っています。それに向けてもし、まだ委員の中で御意見がありましたらお願いします。村田委員、先ほど委員会関係の話で少しお話しいただきましたが、現実にこれは制度として委員会でやっていくとなると、例えばどういったプラスが出てくるでしょう。当然マイナスを考えていくよりも、プラスになることをぜひ考えて、制度設計ってできていったらいいと思いますが、その辺り、何か夢と希望みたいなのがあったらぜひこういうところで語っていただけると、制度的にはプラスになると思いますがいかがでしょうか。

【村田委員】

  • この制度が入ることで、子供たちの学びの質が深まることが、一番大事なことだと思っています。あわせて、先生方が、教科による自分のプロ意識も高まり、なおかつ小学校なのでいろんなクラスを見て、自分の学級経営とか、そういうものも見直しができて、いろんなところを学ぶことができればなということで、すごく大きな制度だとは思っています。ですので、先ほども出ていましたが、だからといってすぐに入ってしまうと難しいと思いますので、できるところから徐々に、現場の先生方と一緒にやっていきましょうねというふうに持っていくことが大切なのかなと思っています。
  • 本県でも兵庫型の教科担任制を入れたときも、先ほども出ていましたが、いきなり1学期の最初からしなさいというふうには言っていません。学校の事情に応じて、途中からでもいいので、子供たちの様子を見ながら、2学期からでもできればしてもいいですよというふうに、ある程度の柔軟性を持たせていますので、そういうことも大事にしていかないといけないかなとは思っています。
  • あわせて、先ほどの9年間の学びのことですけれど、中学校区のブロック単位での連携というのが、これからより重要になってくると思います。そこに仕掛けていくのは市町教委であり県教委であると思いますので、その辺の学びの連続性を意識したいろんな施策、例えばキャリア教育など、そういう施策からも、教科に対するアプローチができるように指導していくことが大事かなと思っていますので、そういった観点も書いていただければありがたいかなとは思っています。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。全体に関わりまして、今「おわりに」のところでは御意見賜りましたが、もう一回俯瞰しながら、もしありましたらということと、最後に委員名簿の順番に、この義務教育9年間を見通した指導体制の在り方に対しての思いというのですか、期待するものをお一人ずつ、最後ですから少しお伺いしたいと思いますが、その前に全体を通しまして、この今日お配りされています報告(案)についての御意見、もう一回見直しておいたほうがいい、さらにここを強調したいということがございましたら、まずそこをちょっと御意見いただきたいなと思います。貞広委員、お願いします。

【貞広委員】

  • 意見ということではなくて、ちょっと御相談的なものです。それは、効果検証の検証デザインをどうするかということと、それについて先取りしてここの書類、資料に入れておくべきかどうかということです。私には判断がつきませんので、御相談ということです。
  • 私自身は定量的なデータを用いて研究をしておりますけれども、定量的なデータで切り取れるものは物事の一部分であるというふうに、抑制的にそれを使っています。ただ、なかなか全体の時流としてそうはいかないというようなところもあって、先行してこちらのほうから検証デザインをしっかりつくっておかないと、テストスコアだけで検証しなさいとか、数値化できるものだけで検証しなさいという圧力が出かねないことを大変懸念しております。
  • また、検証デザインをこちらでつくっておかないと、ゼロ地点データがないというか、検証できるデータを収集しようとしても教科担任制が導入された後のデータしかなくて、導入される前にどうだったのかというデータがない状態で、導入したらこんなにいいことになりましたというような検証になりますけれども、それは私たちから見たら、そう、よかったねということになると思うのですが、第三者から外側から見たときに、だってゼロのときは分からないじゃないということになると思うのです。
  • ですから、効果検証の検証デザインとか効果検証の必要性、見通しを、書類の中に入れるかどうかということは別として、どういうふうにちゃんと教育的な文脈を踏まえた上で検証するのか、そのためには、実際に来年の4月から導入する、または先ほど村田委員の御発言で、むしろあえて2学期から導入するようにして、その変化をきっちりと捉えるという、幾つかの学校にそういうやり方をお願いするようなデザインのやり方もあると思いますけれども、ちょっと外圧で検証せざるを得なくなるというのではなく、検証の見通しを持ちたいなと思います。
  • ただ、それはあくまでも意見で、それを今回の書類に入れ込むのかどうかということは、もう事務局の御判断で考えるところです。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。とかくするとすぐエビデンスという、これはもともと医学用語から出てきている言葉ですが、貞広委員はよく分かっていて言われていますけれど、定量的なものだけで教育を全て語れない、定性的なものが非常に大事になってきている。だけれど定性的なものというのは、統計的に処理できない部分があり、なかなか人を説得するときに難しさがあるので、そういうことを含めて、今の検証というか、こんなに効果が上がる、成果があると、やっぱり子供たちのためになるようなことを取り上げていくのは大事かなと思います。ありがとうございました。本当に貴重な意見だと思います。
  • それでは、先ほど少し申し上げましたが、この義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について、報告(案)がまとまってきていますので、最後にそれぞれの委員から、それに向けて御意見、それからお考えをお聞かせいただいて、この会自体を閉じてまいりたいと思います。名簿の順で大変恐縮ですが、時間制限もしませんので、思いの丈全て述べていただければと思います。大字委員からお願いいたします。

【大字委員】

  • 今回は本当にありがとうございました。現場から一番考えることは、やはり授業の質を向上させること、子供が学習内容をよく理解して、しっかり定着すること。ここが一番重要だろうなと思っています。そのためには、やはり教材研究の質と量を増やす、高めるということや、相互が授業を見合って授業研究に割く時間であったり、その内容の精度を高めることがとても重要だと思っていて、そういった面から授業の質の向上ということを考えれば、この小学校の教科担任制というのは非常に未来があるというか、明るい期待の持てる取組だなと、現場の者としては強く思っています。
  • あとは、制度が導入されるとどうしても、人を配置したのだからこういうやり方でやってよということが今までも非常に多かったので、そこがまとめにも書いていただいたように、校長が本当にマネジメントしやすくなるような、そういう制度設計で進めていただけるとありがたいなと思っています。こういう形で教科担任が進み、授業の質が上がれば、先生方は真の意味でのやりがいというか、この仕事に就いてよかったなと思えるようになると思いますので、そうなるように力を尽くしていきたいなと、そのように思っています。今回はありがとうございました。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。それでは、貞広委員、お願いします。

【貞広委員】

  • ありがとうございます。私は個人的にこの高学年における教科担任制は、子供も教師も育つ学校の実現という意味で、大変期待をしております。子供は当然系統的な学びの保障ということで育つわけですけれども、先ほど来委員の方々のお話にもありましたとおり、小学校、中学校を見通した指導をしたりとか、または他のクラスに行って自分の学級経営を見直したり、または自分が担当している教科の指導をより充実させることを職能開発のエンジンとして、教員の質がより高まっていくということも考えると、子供だけではなく、教師も育つために重要な条件整備の一つになるのではないかと期待しております。
  • また学校の観点からしても、今回学級規模が縮小されて35人学級になりました。それもとても重要なことだと思います。学級規模自体を縮小するということも非常に大事ですが、学校にとってはいろいろ事情が違いますので、遊軍的に追加的な人がついて、その人等を活用することによって機動的な学級編成を行い、多様な教育活動ができたりとか、その学校固有の教育課題に応えられる、これは非常にパワーになることだと思いますし、校長先生にとってはマネジメント空間が広がって、管理職とかマネジメントを行う校長、トップリーダーの仕事がもっと面白くなると思います。
  • 自分でいろいろマネジメントすることで学校の中を変え、子供たちを変えていける余地が少し広がって、自律的な学校経営ができ、管理職の方々が職能効用感を感じると。そういう意味でも大変期待をしているところですので、少しでも多くの追加的な定数がつくといいなということも、併せて期待しているところです。お世話になりました。どうもありがとうございます。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。それでは、鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】

  • ありがとうございます。先ほども申し上げましたけれども、本当にこれまでの議論を上手にまとめて、この報告(案)をつくっていただいたと思っているところです。
  • 多分私がこの会議の委員に選ばれたのも、群馬県がこれまで教科担任制をある程度推進してきたというところからではないかなと思います。国としてもそういうふうに教科担任制を推進するための加配をいろいろと出していくという方向性を示していただいたことは、本県にとっても大変ありがたいことだと思っているところです。
  • ただ、群馬県は今、教科を縛っていないところがございます。先ほども御質問させていただきましたが、この後加配措置をして、算数、理科、体育、英語を基本的にまずは進めていく、そういう方向があるということですけれども、個人的なことを申し上げると、私は小学校も中学校も教員として勤めたことがあるのですが、小学校では、やはり全部の教科を教えることの面白さとかがあったり、また逆にそのことで、いろんな教材研究をしなくてはいけない、負担というか、大変さみたいのものもありましたので、その辺が、今後最終的に進んだときに、小学校の5、6年は算数、理科、体育、英語は、もう全部必ず教科担任制にしなくてはいけないということではなくて、学校の実態に応じて少し工夫できるような、そういう余地も残るといいのではないかなと思っているところがあります。
  • 中学校に勤務しているときは、小学校で、もう少しこういうことができるようにして中学校に上げてほしいと思っていたところがありましたが、いざ小学校に赴任してみると、小学校のきめ細かさとか、また違う体制の指導の在り方みたいなのを経験して、やはり小学校、中学校それぞれが子供たちの実態に応じた指導を充実させていって、それがうまく9年間つながっていけばいいなと思っているところです。大変お世話になりました。ありがとうございました。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。村田委員、お願いします。

【村田委員】

  • ありがとうございました。本当にこういう機会をいただいて、本県としてもずっと教科担任制をやってきて、ある意味、それが全国に広がっていくというのも自信になったところもありますし、逆にこれから、もっといろいろと考えていかなければならないかなということも勉強させていただきましてありがとうございます。
  • 一番思うのは、これだけコロナがあって、今の子供たちの学校の環境というのが変わってきていて、そんな中で、これから将来、子供たちにつけないといけない力というのはすごく重要だと思っています。そこに対する先生方の質が問われ、子供たちへの多面的な理解というのは絶対に必要なので、多くの先生方、多くの教科から支えて子供たちの学びを深めていっていただきたい。この制度が入ることで、よりそれが深まっていくことをすごく期待します。
  • あとは、やはり9年間の学びが、今まで大分深まってきているとは思いますが、より一層小・中の連携、あるいは中学校の先生が小学校に入ってくることで深まっていくことも期待されると思いますので、そういう今後の全国的な子供たちの学びの高まりというのを、すごく期待しているところです。
  • 加えて、この制度を、より社会に発信して、今、本当に先生の成り手がないというふうによく言われていますので、面白いことをしているよね、学校の先生っていろんなことできるよねということを発信し、今後の先生方の育成にもつながっていってほしいなと思っています。
  • 今後も県としても学校を支えていきたいと思っていますし、よりよいこの制度設計がうまく進んでいくように応援もしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。今回この機会をいただきましてありがとうございました。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。私も少し考えるところを述べたいと思っていますが、この指導体制の在り方ということだけなんですが、私自身は今回の学習指導要領改訂、平成29年告示のものですが、日本の学校教育史の中では非常に大きな結節点にあるだろうと。学校では学習指導要領が変わっても、どう変わったかとなかなか具体が見えてこないところはあるのですが、戦後教育の中で今回、大きく学習指導要領が求めるものが変わってきているというふうに認識しています。
  • それは何かというと、例えば今話している教科の学習ということに関しても、これまでのコンテンツベースだけじゃなくてコンピテンシーベースを同時にやっていくとか、それが学びに向かう力、人間性になって、世界的に言われているwell-beingのところへの資質・能力の育成とか、これまで以上に、単に教科の学習だけをやっていればいいということではなくて、授業づくりそのものがかなり高度化されて難しくなってきているだろう。その中では、この教科担任制を取り上げることによって、算数や理科や英語や体育の授業が、よりこれまでの授業そのものの在り方を問うとともに、新しい授業開発や授業内容になっていくということに期待をしています。
  • ただ、この四つの教科だけがやることではなくて、本来なら全ての教科によって、その教科の授業の内容と質がこれまで以上に高まっていくことが期待されていると思っていますので、まずはこの四つの教科を中心にしながら、この教科だけで学校教育が成り立ちませんので、全ての教科でこれまでのそれぞれの教科のよさというのを継承しながら、これからの未来をつくる新しい授業づくりを、学校教育で考えていかなければならない時代、その中でそういった時代が形成されているからこそ、この制度を考えようとしているのだというふうに受け止めています。
  • 教科担任制によって授業づくりの再構築が始まる。まさにリストラクチャーすることによって、全ての教科、学校教育の中で、もう一度授業の在り方そのもの、今回は主体的・対話的で深い学びということをかなり大きく取り上げて、学校でも少しずつそういった授業づくりが行われている。さらに、そういった授業づくりの新しいこれからの教育に向けての後押しを、こういった義務教育9年間を見通した指導体制の在り方の中で、より学校がそれぞれ特徴を持って、教育委員会もそれを後押ししながら、日本の学校教育の中で特に授業そのものを対象化して、その授業づくりを考えるきっかけになっていくかなというふうに捉えているところであります。
  • 本日いただいた御意見を踏まえながら、報告の最終調整を行うこととして、本検討会議の議論を取りまとめていきたいというふうに考えております。
  • 報告(案)の最終的な調整につきましては、座長である私に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  • ありがとうございます。それでは本日、それからここまでの御意見を十分に踏まえまして、速やかに最終的な調整を行った後、報告書の公表に際しては委員の皆様にもお知らせさせていただきますので、その旨お含みいただきたいと思います。それでは、ここで事務局を代表いたしまして、塩見学習基盤審議官より一言御挨拶を頂戴したいと思います。お願いいたします。

【塩見学習基盤審議官】

  • それでは失礼します。学習基盤審議官の塩見と申します。委員の皆様には本当にお忙しい中、精力的に御審議いただきまして、本当にありがとうございました。この義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議につきましては、本日で一応のまとめということでございます。今日もいろいろ御議論いただきましたが、本当に昨今、GIGAスクール構想の下での1人1台端末環境の整備でありますとか、あるいは小学校での35人学級の計画的な整備といったことをはじめとしまして、新しい時代の学びの環境整備に向けた取組の状況というものが着実に進んできているというふうに感じております。
  • また、既に皆様御承知のとおりでありますけれども、先般の中教審答申「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」におきまして、会議で御議論いただきました小学校高学年における教科担任制の推進ということも、環境整備の一環として位置づけられているわけでありまして、それを踏まえまして、この会議で、昨年の9月の立ち上げ以降、熱心な御議論を進めていただいたということにでございます。
  • 文部科学省としましては、この検討会議において整理いただきました内容を踏まえまして、義務教育9年間を見通したよりよい教育の実現、また、より充実した授業の質の向上に向けまして、小学校35人学級の計画的な整備のための年次進行と併せまして、この小学校高学年における教科担任制の推進というものにつきましても、令和4年度、来年度の概算要求に盛り込むべく、しっかりと調整を進めていきたいと考えております。
  • 皆様には本当にお忙しい中、御議論を精力的に重ねていただきましたことに感謝申し上げます。またこの課題につきまして、これからまた我々のほうでもさらに取り組んでまいりますけれども、その際またそれぞれのお立場からお力添えいただき、また御指導、御助言いただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。

3.閉会

【髙木座長】

  • ありがとうございました。本日予定いたしました議事は全て終了いたしましたので、この辺りで会を閉じたいと思います。この間、昨年の9月より様々な御意見をいただきました。また会議の進行にも御協力いただきまして、誠にありがとうございました。これでこの会を閉じたいと思います。ありがとうございました。

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