義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議(第3回)議事概要

1.日時

令和3年6月11日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 令和2年度 義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究について
  2. 義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

髙木座長、齊藤委員、大字委員(Web参加)、貞広委員(Web参加)、鈴木委員(Web参加)、村田委員(Web参加)

文部科学省

瀧本初等中等教育局長、塩見大臣官房学習基盤審議官(初等中等教育局担当)、森友財務課長、南野初等中等教育局企画官、能見財務課課長補佐、松下財務課教職員配置計画専門官、丹羽教育人材政策課専門官、松岡初等中等教育企画課教育制度改革室室長補佐、新見教育課程課専門官、古市スポーツ庁政策課学校体育室室長補佐

5.議事要旨

1.開会

【髙木座長】

  • 定刻になりましたので、ただいまから第3回義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議を開催いたします。本日はお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  • 本日の会議につきましても、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、ウェブ会議システムを併用した開催としております。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言のとき以外はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることがあるかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。また、会議の模様は報道関係者の皆様及び一般の皆様に向けて、ユーチューブ上で配信しておりますので、御承知おきください。
  • それでは、初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【能見財務課課長補佐】

  • 初等中等教育局財務課の能見でございます。よろしくお願いいたします。本日の配付資料ですが、お手元の議事次第の4.配付資料にございますとおり、資料が1から3まで、参考資料が1から7までとなっております。御確認をいただきまして、不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。それでは、ここで、本検討会議委員の交代等がありましたので、御紹介いたします。参考資料1「検討会議の開催について」の別紙、委員名簿を御覧ください。
  • このたび、全国連合小学校長会の会長交代に伴い、喜名委員が御退任され、新たに、大字世田谷区立下北沢小学校統括校長に委員として御就任いただいております。大字委員より一言御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【大字委員】

  • ただいま御紹介をいただきました大字弘一郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【髙木座長】

  • 併せて、本年度当初の文部科学省の組織改正及び所掌事務の変更に伴い、塩見大臣官房学習基盤審議官が事務局の担当審議官となられました。御紹介しておきます。
  • 続きまして、本日の議題でございますが、まず、本検討会議における検討と連携を図りながら進めることとされていた令和2年度の「義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究」について報告いただき、本題の「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方」に関する議論につなげていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

2.議題(1)令和2年度 義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究について

  • それでは、早速、議題1、「令和2年度義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究について」に入ります。
  • 本調査研究は、本検討会議における検討と連携を図りながら進めるものとされていたことから、昨年度中、本検討会議に随時その進捗状況を報告いただくとともに、年度末にかけて報告書をおまとめいただくに当たっても、オンラインを含め、委員の皆様から御助言をいただいたところでございます。そうした経緯を踏まえまして、本日は、調査研究結果のまとめの部分に比重を置いて、事業受託者であるPwCコンサルティング合同会社様より御報告をいただきます。よろしくお願いいたします。

【PwCコンサルティング合同会社(林氏)】

  • ありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりましたPwC、林でございます。昨年度、令和2年度義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究を担当させていただきました。ありがとうございました。
  • 本日は、年度末に納品させていただきました当該調査研究の報告書より要点を抜粋した形で、概要の御報告をさせていただきたいと思います。まずは、本調査研究報告書の作成に当たりまして、大変御丁寧に御助言、御指導いただきました昨年の委員の先生方、それから、文部科学省の皆様に改めまして心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
  • 本日の報告でございますが、大きく2部構成とさせていただきたいと思います。1部ではこの調査研究の目的や全体設計を簡単に振り返らせていただき、2部では、その調査研究の結果について、要点を中心に御説明させていただきたいと思います。

(1) 調査研究の目的・全体設計

  • それでは早速、調査研究概要の振り返りからでございます。資料、3ページでございます。こちらの調査研究は、学校間の連携や教員配置の工夫等により、義務教育9年間を見通した指導体制を整備している先進的な取組や研究事例の整理・分析を行い、教職員配置の在り方や支援体制の在り方等の検討に資するアウトプットを出していくということを目的として実施いたしました。
  • 大きく国内外の文献調査と、それから、日本国内の教科担任制を先進的に実践されている自治体への書面聞き取り調査というところの二本立てで調査を実施してまいりましたが、両方の調査を通じて明らかにすべきこととしまして、一つは、教科担任制の実施効果、もう一つは、教科担任制の運営のポイントという、この2点を念頭に調査研究を進めてまいりました。
  • 続きまして、4ページから7ページ目です。実際、今回の文献調査の中で対象とさせていただいた国内の文献のリストを挙げています。本日は御説明を割愛させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  • それから、8ページですが、ここでは、地方教育行政機関を対象とした先進事例調査、実際に教科担任制を先進的に導入されている自治体に対する書面ヒアリング調査を行い、その際に御協力をいただきました全16の自治体を列挙させていただいております。これらの前提で実施しました調査研究の結果について、次のページから御説明させていただきます。

(2) 調査研究の結果

  • 調査研究の結果ですが、大きく実施効果と教科担任制運営のポイント、この2点で整理いたしました。
  • まず11ページ目からが実施効果についての整理でございます。11ページ、12ページ、13ページ、14ページ、この4ページにわたりまして、国内外の文献調査から確認できたポイントについて整理しています。観点としては大きく四つ、教科担任制を導入、実施することでの授業の質の向上がいかに図られているか。児童の多面的な理解がいかに実現しているか。教員の負担軽減が実現できているのか。小中連携はどのように進めているのか。この4点について整理しているところでございます。
  • 昨年度の検討会議の中でも少し触れさせていただきましたが、国内の先行研究については、やや時点の古いものが中心であったこと、それから、国外の文献についても、公表されている情報がやや不十分なところがありましたので、明確に確認できた事項というのはやや限定的ではありましたけれども、さきに申し上げました授業の質向上、児童の多面的な理解、教員の負担軽減、小中連携、この全ての観点において、教員や児童へのインタビュー、アンケート結果等の定性的な情報からは、教科担任制を導入することによって効果的な指導が可能になったですとか、教員の負担やストレスの軽減につながった、中学校進学の際の心理的な障壁がなくなったといった、教科担任制の実施効果が確認できたところでございました。
  • 続いて、15ページと16ページは、もう一つの調査の柱でありました国内の教科担任制を積極的に先進的に実施されている自治体への調査から確認できたポイントについて、同様に、授業の質向上、多面的な児童理解、教員の負担軽減、小中連携、この四つの観点から取りまとめをさせていただきました。
  • 全体を通じて、定性的な効果の確認というのは大変豊富にできたところでございました。一方で、定量的なデータの把握・分析については、まだこれから取り組んでいきますという自治体も多くありましたので、今回の調査研究の中では限られたものとなりましたけれども、教員の皆様の実感としましては、さきに申し上げたいずれの四つの観点においても実施効果が得られているといった声が確認できました。
  • それから、児童についても、教科担任制の導入により、学級担任以外にも相談できる教員を持つことができている児童が増加しているということでしたり、中学校教員が乗り入れ授業をしてくださることによって、顔なじみの教員が中学校進学時に存在することで、心理的安定が高まるといった心理面にも効果があるといったことなどが主に確認されたところでございます。
  • 15ページ、16ページのところは、今日は時間の都合で詳細の御説明は割愛させていただきますが、左側の列に、聞き取りなどを通じて確認できた定量的・定性的な効果の具体例を記載しており、そこから要点をまとめたポイントを右側に記載させていただいております。
  • 続きまして、2点目に移らせていただきます。教科担任制を運営する際のポイントについてという話題でございます。18ページを御覧いただけますでしょうか。今回の国内の先進事例調査の中から得られた示唆をこのページに表の形式でまとめさせていただいております。
  • 教科担任制を運営していくに当たって、キーリソースとなりますヒト、モノ、カネ、それぞれのところについて、今、実際に推進する上での課題は何か。それに関して、その課題を解消するために、実際にどのような活動を実践で取り入れているかといったヒアリングで聞き取れた内容の整理を左側の列に記載しています。それに対して、例えば、今後その工夫をより強めていくためには、課題の解消を前に進めていくためには、こういった政策的打ち手が考えられるのではないかという案について、一番右側の列に整理させていただいている格好になっております。
  • 全体としまして、小学校における教科担任制導入に係る今後の政策を検討する上では、既に約7割の都道府県において、何らかの形態で教科担任制が推進されている実情を踏まえまして、また、それぞれの地域の中で、実情に応じて多様な設定が行われているという実態も踏まえて、この後の打ち手を検討していく必要がありますということと、あと、それぞれの地方公共団体の中でも独自の工夫というのが様々なされていた中、国の役割としては、それらの先進的な自治体の工夫事例の周知などを行うことによって、取組の広がりを後押ししていくことなのではないかということについて触れさせていただいております。
  • 実際の表の中身に少し触れさせていただきたいと思いますけれども、例えばキーリソースとなる「ヒト」の部分では、教員の配置、それから、教員の専門性の担保、教科担任制に関わる教員のモチベーションの維持向上、それから、物理的環境、教育環境の整備、対象とする学年・教科をどうするか。この辺りのところが主な説明の骨子となっているところでございますが、それぞれ聞き取れた課題や工夫事例を踏まえて挙げさせていただいている政策的な打ち手というのは大きく3種類に分かれています。
  • 一つは、学校の規模に応じた指導形態等の工夫。二つ目が、その指導形態等に応じた柔軟な対象教科の選定。三つ目に、既に実施されている自治体の取組の工夫や事例について、より広範に周知、啓蒙していくべきではないか。この三つの観点で政策的打ち手のところを最後、整理させていただきました。
  • 20ページでは、今申し上げましたA、B、C、三つの政策的打ち手の案について、例えばこういったところが要点になるのではないかという事項を列挙させていただきました。
  • まず1点目、学校規模に応じた指導形態等の工夫についてでございます。今回、15から16の自治体に書面調査、聞き取りをさせていただきました中で、指導形態の選定、そもそも教科担任制導入の難易度というところについて、学校規模、ニアリーイコールですが、その学校の中の学級数というところが影響を与えていることが確認できました。特に難しさがあったのが、単学級、それから、大規模校である5学級以上を要する学校での事例でした。特に5学級以上のところですと、時間割の調整がより煩雑になるなど、運営上も工数というのがさらに増えがちだというところが確認されています。
  • それから、指導形態の方法として、授業交換を行う場合には、やはり複数の数、2学級もしくは4学級の学級数を擁する学校のほうがやりやすいですとか、その辺りのポイントというのが見えてきたところでございました。
  • ヒアリングで確認できた学級数ごとの特徴というのを左の列に書いています。ポイントは、今、私が申し上げたようなところにはなりますが、それぞれの特徴、特性を踏まえまして、今後、指導形態を工夫していくのであれば、こういったやり方があるのではないかというところを右側の列に書かせていただいています。
  • 全体感といたしまして、教員の確保が難しい単学級規模の小学校、それから、さきに申し上げた時間割編成や調整が難しい5学級以上の規模の小学校においては、特別な職務、例えば単学級規模の小学校については、中学校からの乗り入れ授業を担う教員または複数小学校間で指導を行うという専科教員の配置が有効なのではないか。それから、大規模の5学級以上の小学校については、時間割をはじめとする各種調整ごとも、そこの業務を担うミドルリーダーの存在というのが期待されるのではないかといったところを整理させていただいております。
  • 続いて、2点目、21ページに移らせていただきます。考え得る政策的打ち手、2点目、指導形態等に応じた対象教科の選定についてでございます。この表の中に、今回のヒアリング調査で確認できた教科ごとの特徴、教科担任制を実施する上での特徴というのを整理させていただいています。
  • 今回、音楽、図工、家庭の三つのものについては、固有の特徴というのは確認ができなかったのですが、例えば国語であれば、やはり授業時数が多い上に、全ての学習のベースになるので、学級担任が自分で指導したいという声がまだまだ多いことでしたり、算数であれば、TTの形で実践されていることが多いですとか、そのほか、少人数授業の形態を採用されているケースも多いということ。それから、理科ですと、実験などがあるので、やはり専門性を有する教員の配置というのが大変有効であるということ。あと、ここは先生たちの授業の準備負担の軽減に大きく寄与するということなどの特性がそれぞれに考えられたところでありました。
  • 全体を通しまして、対象教科については、各自治体、それから、各小学校により認識が様々で、実際、今回、調査させていただいた自治体についても、特定の教科に限定して、教科担任制を推進しているケースというのはほとんど見られず、何教科以上を対象とするといったような教科の選択制とするケース、その教科の選び方を小学校に委ねているというケースが主に確認されたところでございました。
  • それらの実態ですとか特徴を踏まえまして、今、外国語、理科、算数という三つの教科が例示されているところではありますけれども、実際に対象教科をどうするかということについては、各地域、自治体、それから、学校ごとに一定の選択の余地を設けることを含め、検討することが考えられるのではないかという整理を最後させていただいております。
  • 最後、22ページでございます。政策的打ち手で考えられるものの三つ目として、「手引き・事例集の提供」というものを挙げさせていただきました。今回、15から16の自治体に、書面ヒアリング調査させていただいた中で、ほかの地域はどうやっているのかというお問合せを多くいただきました。
  • これから新たに導入をされていく地域の皆様に対しては、特に現行の制度における枠組みの中で、どのような工夫事例が存在するのか、どのようなところが運営のポイントになるのかといったところの手引きや事例集をお渡ししていくことが、さらなる教科担任制の導入推進の後押しになるのではないかということで、このようなまとめをさせていただいております。
  • 以上、駆け足ではございましたが、昨年度の調査研究の中で確認ができた事項、それから、それらを踏まえて、今後実施していくべきではないかと考えられる事項について、御案内させていただきました。

【髙木座長】

  • どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御報告内容につきまして、これから10時35分ぐらいを目途に質疑、それから、意見交換の時間を取りたいと思います。本題となります「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方」に関する議論につなげる観点からも、ぜひ御意見をいただきたくお願いいたします。

【大字委員】

  • 全連小の大字です。質問させていただきたいことは、教科担任制を実施している自治体で、自治体独自の予算で加配教員をつけているというような事例があるのかどうかという辺りを教えてください。

【PwCコンサルティング合同会社(三瓶氏)】

  • PwCの三瓶です。実際に自治体において、市単費などで、加配的な形で新たに教員をつけているという事例は、確認することができております。

【髙木座長】

  • 大字先生、今の内容ぐらいでよろしいですか。もう少し踏み込むことはよろしいですか。例えばどのくらい、数とかよろしいですか。

【大字委員】

  • ええ。例えば加配がないような状態で教科担任制を行うと、教員の持ち時数ですね。週当たりの持ち授業時数にきっと変化が生じなくて、なかなか今と環境が変わらないのかなというところもありましたのでお聞きしました。ありがとうございます。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等いかがでしょうか。

【貞広委員】

  • 千葉大学の貞広と申します。大変丁寧で分かりやすい御説明をいただきまして、ありがとうございます。先ほどの林さんの御説明の中に、この効果検証に当たって、定性的なものについては比較的自治体も把握されているけれども、定量的な評価は今後というようなお話がありました。この今後やる定量的な評価をどういうものを想定されているのかということはヒアリングをされていますでしょうか。
  • なぜそんなことを伺うかというと、評価の方法やデータというのは、それぞれの自治体がどのような目的で、どの効果を上げるために教科担任制を導入しているのかということと連動するからです。子供の観点で言えば、例えば特定の教科のテストスコアに象徴される学力、または、先生方の働き方改革で言えば、勤務時間の縮減であるとか、もしくは、今お話が出た持ちコマ数が減っている云々という話になるかと思います。また、その両方を見越して、両方のいいところ取りをしたいということを見込んでいるのでしょうか。何を使って評価しているのかということから、ぜひその目的を知りたいのですけれども、その辺り、情報がありましたら教えてください。

【PwCコンサルティング合同会社(林氏)】

  • 貞広先生、ありがとうございます。実態として、既に調査されていることが確認できたものは、例えば先ほど先生のおっしゃったテストスコアの部分でしたり、あと、教科担任制の授業を受けた子供たちが実際それを受けて、どういうふうに感じたか、授業が分かりやすかったか、中学校に行ったときに心理的安定が高まったかどうかといったところのアンケートを取るようなもの。それから、教員の負担軽減を確認するために、残業時間について変遷を確認されているところもありました。
  • ただ、一部の自治体から、本当にこの教科担任制の目的、狙いが果たされたかということを確認するために、このような指標の確認だけでいいのだろうかということも含めて検討中との状況も伺っております。例えば学力については、テストスコアだけの確認でいいのかですとか、そういった声が一部上がっていたように記憶しています。
  • それから、まだほとんどのというか、どこもできていなかったかもしれず、これからやりたいとおっしゃっていたところは、追跡調査とおっしゃっていました。例えば小学校5年生のときに教科担任制の授業を受けた子供たちを中学校まで追いかけて、その後の学力の変容はどうかですとか、より中長期的に見ていくというところについては、まだなかなか調整ができていなくて、今後考えていきたいといったコメントがあったことを記憶しております。
  • 三瓶さん、もし補足があればお願いしてもよろしいでしょうか。

【PwCコンサルティング合同会社(三瓶氏)】

  • PwC、三瓶です。林から御説明させていただいたとおりですけれども、今回、やはり推進を始めたばかりのところが自治体として結構多いというところがございまして、昨年度辺り、効果検証しようと思っている自治体は複数あったかと思っています。ただ、コロナの影響で検討が進まなかったというところがあって、どういった分析をするかというところも含めて、今、検討しているということをおっしゃっていた自治体が多数あったと確認できております。

【貞広委員】

  • ありがとうございます。今、伺いまして、教科担任制を導入する目的が、そもそも複数のものを曖昧にミックスしたような形で導入している感じがしています。また、今の林さんのお話ですと、かなり学力に軸足を置いたような評価をしていこうとしている自治体が多いのかなという印象を受けたのですけれども、そのときに言っている学力というのは、中学まで行って、ずっと検証し続けるというと、想定されている学力というのは、恐らく算数、数学、英語に相当すると思うのですが、実際に教科担任制を行われているのは、英語は別として、それらの教科よりも、むしろ理科と社会の入替えなどがすごく多いということで、何かやっていること、できることと、目的として据えていることがちぐはぐな感じがして、それで質問させていただきました。

【齊藤委員】

  • 齊藤でございます。よろしくお願いします。今、大字先生、貞広先生の御意見を伺いまして、やはり教科担任制によって、どのような効果をもたらすかという検証は非常に難しい部分があると思います。具体的に申しますと貞広先生おっしゃったように、数値等に表れる効果と、数値等に表れない効果というものがあるということを、中学校の校長をやっていまして、非常に感じます。
  • その中で、例えばテストをやって100点満点で何点取るかということももちろん検証としては要素になるかと思うのですけども、あとは評価・評定の部分で、いわゆる中学校は5段階評価ですので、5から1まで評定がつきます。
  • さらには、評価につきましては観点別でA、B、Cの3段階の評価がつきますけれども、この評価・評定の評定の部分だけではなくて、評価、例えば学びに向かう姿勢や、今年から学習指導要領が変わりましたので、学びに向かう姿勢が5年生のときから教科担任制の授業を受けて向上したかとか、あるいは思考・判断・表現が向上したか、さらには知識理解が向上したかという部分も含めて検証していただくことによって、教科担任制の成果というものが具体的になってくるのかなと感じます。
  • ですので、これはやはりスコアに表れる部分での評価検証ということだけではなくて、評価・評定もスコアにはなるのかもしれませんが、表に出ないところもきっちりと見ていただくような、そういうシステムをつくっていただければ、中学校としても、あるいは小学校で教科担任をやる、中学校もちろん関係していきますけれども、共に取り組んでいけるのかなと感じました。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。私からも少し意見を申し上げておきたいと思うのですが、貞広先生、齊藤先生がおっしゃられたことと、それをもう一歩前進させるためには、今後として、やっぱり教科担任制をした場合に、学校独自のカリキュラムマネジメント、それから、教育課程の編成のし直しですね。例えば、繰り返し学んだり、それから、低学年でやって、まだ身についていないことの学び直しをしてみたりということも、学校ごとで、これからは必要になってくるのかなと思います。
  • 今、制度的な設計の部分で行わなければならないことは幾つもあるわけですが、さらにそれが現実になったときに、ソフトの面で、学習内容の部分から各学校の実態に合った教科ごとの内容、例えば思考・判断・表現とか、主体的に学習に取り組む態度だとかといったことも考えていかなければいけないのではないかと思っています。以上です。
  • それでは、PwCコンサルティング合同会社様におかれましては、この間、本検討会議の運営にも御協力いただき、大変感謝申し上げます。調査研究に関する議題は以上となりますので、もし、この後の御都合によりまして、御退席いただけたらと思います。ありがとうございました。

3.議題(2) 義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について

【髙木座長】

  • それでは、議題2、「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について」に移ります。
  • まず、令和3年度予算、義務標準法改正等の関連動向について、事務局より御報告いただきます。

【能見財務課課長補佐】

  • 改めまして、初等中等教育局財務課の能見と申します。それでは、お手元の資料2に基づきまして、関連動向について御報告させていただきます。
  • まず資料2の1ページ目は、義務教育費国庫負担金の予算資料でございます。新しい時代の学びの環境の整備といたしまして、学校における働き方改革を進めるとともに、少人数によるきめ細かな指導体制を構築するため、令和3年度におきましては、3,141人の教職員定数の改善を図っております。
  • その下に四角囲みが2つございます。左側、学校における働き方改革等でございますけれども、この部分につきましては、第1回の会議でも御報告しておりました概算要求時点から変更はございません。小学校専科指導の充実と◆がございますけれども、小学校の専科指導に積極的に取り組む学校を支援するため、2,000人の定数改善を行っております。その具体につきましては、※で記載がございます。指導方法工夫改善定数のうち、従来、小学校のティームティーチングに活用されておりました6,800人のうち4,000人につきまして、専科指導のための加配定数に発展的に見直すということとしまして、令和2年度、令和3年度の2か年で2,000人ずつ振替を行っておるところでございます。
  • 右側の箱でございます。少人数によるきめ細かな指導体制を構築するため、年末の予算編成の結果、義務標準法を改正することとし、小学校につきまして、学級編制の標準を5年かけて、学年進行で、35人に計画的に引き下げることとしまして、そのための定数改善を図ることとしたところでございます。
  • 年次計画につきましては、右下の表にあるとおり改善総数は1万3,574人でございまして、令和3年度は、小学校2年生につきまして、平成24年度以降、加配で35人学級を措置してきたという経緯もございますので、今回、基礎定数化することにより増となります学級担任外の部分と、教頭の複数配置といった改善で、計744名ということになっております。
  • 続きまして、2ページ目が、昨年度末に国会におきまして全会一致で可決・成立いたしました、義務標準法の改正法の概要でございます。右側に概要を記載しておりますけれども、簡単におさらいをさせていただきますと、まず(1)のとおり小学校の学級編制の標準を35人に引き下げることとしたところでございます。
  • (2)の経過措置規定ですけれども、教師の確保、教室の確保といったことを考慮いたしまして、中ほどの表にありますように、学年進行により今年度の小2から段階的に学級編制の標準を引き下げることとしております。
  • また、(3)の検討規定ですけれども、今回の少人数学級の効果検証ですとか、外部人材の活用の効果に関する実証的な研究などを行いまして、それらの結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされております。
  • 続きまして、3ページ目、4ページ目ですが、法案審議の結果、衆参それぞれ委員会において附帯決議が付されております。その中で赤字にしておるところ、衆参共に共通の内容ですけれども、教科担任制に係る項目も盛り込まれてございます。働き方改革に資するためということで、教員の定数増を含め検討し、小学校教員の持ち授業時数の軽減を図ること。また、中学校教員が小学校で指導する場合には十分な負担軽減策を講ずることとされております。
  • これに関連しまして、法案審議の際に、小学校教科担任制に関連する質疑がございましたので、口頭で恐縮ですけれども、簡単に御紹介させていただきたいと思います。
  • 大きく三つほど御紹介させていただきます。まず1点目につきましては、今回の少人数学級の実現に関連しまして、今後の課題について、大臣のお考えをという質問がございました。それに対して、大臣からは、小学校高学年における教科担任制についても言及をいただいております。理科、体育といった教科にも言及しつつ、小学校高学年における教科担任制についてもしっかり検討を進めてまいりたいと答弁してございます。
  • また、この後の議論でも一つの論点になっております対象教科に関しまして、文科省で教科を指定するのか、あるいは柔軟に教育委員会が判断することを可能とするのかといった質問がなされたのに対しまして、政府参考人からは、中教審答申において、外国語、理科、算数の3教科が例示されているということに言及しました上で、対象教科を含む教科担任制の導入の在り方については、地域の実情に応じて多様な実践が行われているという現状も踏まえる必要があるということ。その上で、検討会議において検討していくと答弁させていただいております。
  • もう1点、中学校教員のいわゆる乗り入れ授業といったことについても質問がございまして、小学校の指導に充てるという考え方もあり、その場合の負担軽減策をどうするのかですとか、それから、持ち授業時数につきまして上限を設けるべきではないかといったような質問がございました。
  • それに対しましては、小中学校の連携方策を検討するに当たっては、教科ごとの教員配置、教員の持ちコマ数の状況など、中学校側の指導体制を考慮する必要がある。また、持ちコマ数の上限に関しましては、教員配置の状況ですとか担当教科などによって異なってくるため、国が一律の上限を設けるのではなく、各教育委員会、学校において、特定の教員に過度な負担が生じないように配慮しながら、適切に判断すべきことであると答弁しております。
  • 説明は以上になりますけれども、参考資料2と3でございますが、この間、本年1月に今回の教科担任制検討の契機となっております中央教育審議会における議論、答申をおまとめいただいております。その概要資料と関連記述の抜粋版を御用意しておりますので、御参照いただければと思います。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。ただいまの御報告につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。特にございませんか。よろしいでしょうか。
  • では、次の議事に移ります。「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に関する論点メモ(案)」がございます。資料3ですが、事務局より御説明をいただきます。

【能見財務課課長補佐】

  • それでは、続きまして、資料3の論点メモ(案)につきまして御説明させていただきたいと思います。この論点メモ(案)につきましては、1.から4.まで柱を設けておりますけれども、柱ごとに冒頭、箱書きを設けて論点を明記し、その具体を記述いたしますとともに、その後ろには、中央教育審議会での整理ですとか、検討会議におけるこれまでの御議論、御意見のポイントなどを記載してございます。併せて御参照いただければと思っております。
  • まず1.小学校高学年における教科担任制推進の考え方ですけれども、箱書きの論点でございます。地域や学校の状況に応じて多様な実践が行われている現状を考慮しつつ、国として推進を図る上での考え方をどのようにすべきか、としております。
  • その上で、二つ目の○を御覧いただければと思います。小学校のよさを生かしつつ、高学年段階における教科担任制を推進することで、義務教育9年間を見通した指導体制の構築と小・中学校の円滑な接続を図ることを念頭に、教科指導の専門性を持った教師による指導の充実を図る観点から、教師の負担軽減を図る観点にも留意しつつ検討することが求められるとしております。
  • 次の○ですけれども、各地域の実情に応じた取組が可能となるような措置とする必要があると考えられるとした上で、これらのことを踏まえれば、繰り返しになりますけれども、国として推進を図る上でということでありますが、定数措置により特定教科における教科担任制の推進(専科指導の充実)を図ることを中心に考えてはどうかとしてございます。
  • 中教審答申における整理の中では、本格的な導入といったような表現も使われておるところでございますけれども、ややもしますと、中学校並みの教科担任制が導入されるのではないかといった捉え方もなきにしもあらずという中で、そういうことではなくてという趣旨を込めて記載してございます。
  • 続きまして、3ページ目の2.優先的に専科指導の対象とすべき教科についてでございます。中教審答申におきましては、外国語・理科・算数の3教科を例示しているところですけれども、対象教科についてどのように考えるかという論点でございます。
  • 一つ目の○にありますように、教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導、系統的な指導の充実を図る観点から対象教科について検討する必要があるとした上で、中教審答申で例示されております3教科に加えて、体育について論点提示をさせていただいております。
  • 円滑な学級経営等の観点から学級担任が担うべきという声も聞かれますけれども、前回会議において、5ページ目の冒頭にその要点を記載しておりますが、専門性の観点から対象教科に加えることが考えられるという趣旨の御意見をいただいておるところでございまして、そういった御意見も踏まえて、また、教科指導の専門性ですとか、脚注の5に記載しておりますけれども、今般、公務員の定年延長に関わる法改正がなされたところでございます。定年延長を巡る動向の中での教師の年齢構成ですとか再任用を含む人材確保の観点も踏まえて、どのように考えるかということについて御議論をいただきたいと考えております。
  • 続きまして、5ページ目の3.専科指導の専門性を担保する方策についてですけれども、箱書きに記載しておりますように、2.の対象教科について、国として定数措置を講じ、推進を図る上で、専科指導の専門性をどのように担保するかという論点でございます。
  • 6ページの冒頭には、既存の小学校英語の専科加配の要件なども記載しておりますので、御参照いただければと思いますけれども、一つ目の○にありますように、客観性のある形で担保することが望ましいと考えられます一方で、OJTを通じて専門性が培われる側面も考慮いたしますと、「例えば」ですけれども、①中学校免許状の保有のほかに、②認定講習の受講・活用ですとか、③教科研究会等の活動実績といった要件を組み合わせるなどして適用するということが考えられるが、どうかとしております。その際ですけれども、教科ごとの実態・特性を考慮して要件に差異を設けることが適当と考えられますけれども、どうかということについて御議論いただきたいと思っております。
  • 次の○につきましては、①の中学校免許状の保有を要件とすることについて記載しております。第2回会議でも少し議論ございましたけれども、小・中学校免許状の併有状況には都道府県間でばらつきがある状況。他方で、脚注6に記載しておりますけれども、小・中学校免許状の併有促進に向けた制度改正が予定されております。これらを踏まえてどのように考えるかという論点です。
  • 次の○ですけれども、併せまして、専門性を有する人材確保の観点からですけれども、特別免許状のさらなる活用、これにつきましては、脚注7にありますように、文部科学省として策定しております特別免許状の授与に係る指針、これをこのたび改訂し、通知しております。また、中学校教員が、いわゆる乗り入れ授業を行うなど、小中学校の連携などを進める必要があるのではないかという論点についても併せて御議論をいただきたいと考えております。
  • 最後に、7ページ目、4.について箱書きの中にございますように、学級規模(学級数)や地理的条件に着目した教育環境の違いを踏まえ、小・中学校の連携方策を含む、義務教育9年間を見通した効果的な指導体制の在り方について、どのように考えるかという点でございます。
  • 一つ目の○にありますように、教師の負担軽減に資するためには、既存の定数措置も踏まえつつ、2.の対象教科について、専科指導のさらなる充実を図るための措置を講ずる必要があるとした上で、「しかしながら」でございますけれども、人材確保の観点等を考慮しますと、学校規模、地理的条件に応じまして、例えば、これも前回の会議でも議論ございました小規模校間における小小連携・小中連携ですとか、義務教育学校化を促すことなどにより対応することも考えられるが、どうかということにつきまして御議論いただきたいと考えております。
  • 二つ目の○、「併せて」ということで、持ちコマ数減とはなりませんけれども、授業準備の効率化、教材研究の深化にも資するべく、学級数に応じた学級担任間の授業交換を促進することも考えられるが、どうかということでございます。
  • 議題1の調査研究の報告にもございましたし、今回、参考資料5として取組事例をお付けしております。第1回会議の参考資料としてお配りした取組事例に加えまして、昨年度末、文部科学省において公表しております働き方改革事例集から関連するものもピックアップしておりますので、併せて御参照いただければと考えております。
  • 論点メモの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。それでは、本日御報告いただきました調査研究結果や関連動向も踏まえつつ、ただいま御説明のございました論点に沿って、「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方」について議論を深めてまいりたいと思いますが、この後の議論は、先に申し上げますと、今の論点メモ(案)に沿って行いますが、1だけを最初に取り上げます。それから、続いて2と3をセットで取り上げます。そして、最後に4ということで、時間を分けながら論点ごとに議論を進めたいと思います。
  • まず1.の「小学校高学年における教科担任制推進の考え方」について、質疑、御意見をいただきたいと思います。お願いいたします。

【大字委員】

  • 全国連合小学校長会の大字でございます。全連小で、令和2年度の状況を踏まえて、昨年度2月に調査をまとめました。その中で全国の校長の4%を対象に調査を行ったところ、教員の増員があった場合にはやはり専科指導を充実させたいという声が7割と圧倒的に多くなっております。小学校の校長としては、小学校に専科が入り、教科担任制が進んでいくということに対しての期待はかなりあるのかなと、そのように考えられます。
  • ただ、その際に、やはり加配があるという条件はなぜかというと、現状、小学校の教員の持ち授業時数は23から28ぐらいの層が一番多くなっています。これと校長が考える小学校の教員の適正な持ち授業時数は20から22ぐらいという声が一番多いです。そうなってくると、現状と理想の間に、2時間ないしは3時間のギャップがありますので、そこを埋めるためには、論点1の一番下にあるように、「定数措置により特定教科における教科担任制の推進を図ることを中心に考えては」というのは、大変賛成というか、納得できるところであります。この1.に関しては以上です。

【鈴木委員】

  • 今、大字先生からもお話ありましたけれども、群馬県は、小学校の高学年の教科担任制は進んでいるほうかと考えております。それはなぜかというと、指導法の工夫改善のための国からの加配を、小学校の教科担任制を推進するという目的で活用し、国語、算数、理科、英語を含む4教科以上で、教科担任制の導入を考えてくださいと申し上げてきましたので、そこが学校のほうでも考えていくスタンスになってきたのかと思われます。
  • 交換授業ももちろんありますけれども、やはり先生の負担軽減というところから考えると、もちろん交換授業でも教材研究をする教科の数が少なくなるので、一定の効果はあると考えますけれども、やはり抜本的な先生の負担軽減ということになると、空き時間をつくるということがとても重要かなと思っております。ぜひ、この定数措置による教科担任制の推進というところを考えていただけると大変ありがたいかと思っているところです。以上です。

【村田委員】

  • 村田です。定数のことについてですけれども、定数を増加した上で、教科担任制を進めていくということには賛成です。ただ、今回、今年から35人学級が段階的に導入されて、総枠の加配数というのは変わらず、その中の一部が定数化されたという現状がある中で、今後、教科担任制の定数措置がなされても、それぞれの県独自で使える加配が減らされるとなると、先ほど来出ています小学校の先生方の業務改善及び子ども達の学びの深まりにはつながらないのかなとは思っています。
  • その観点からも、本県では今年、調査研究を行っているのですが、いわゆる交換授業と、それから、実際に教科担任制を進めてもらっているところには、今までのつけていた非常勤の加配を常勤に上げて、加配を余分につけている形で研究をしていただいています。そういう状態を学校につくっていただくと、先ほど来、23コマぐらいの平均と言われていました学校の先生の持ち時間数が、実際は20ぐらいに減っているという現状があります。ですので、やはり定数を別枠で増加させるのと併せて、今の加配の枠も維持していただきたいというのが必要になってくるかなとは思います。以上です。

【齊藤委員】

  • 齊藤でございます。よろしくお願いします。3ページの検討会議での議論の二つ目の●ですが、単純に小学校高学年を中学校的にするのではないという部分が、どういう意図だったかについての記憶が曖昧なために、中学校的にするというのはどういう意味なのかを私も確認をしなくてはいけないところだと思います。
  • あとは、義務教育9年間を見通した教科担任制ですから、中学校の教員がどのように小学校で実施される教科担任制に関わっていくかというところは非常に大事だと思っています。そのために、中学校がしっかりと役割を果たさなくてはならないという考え方を明確に盛り込んでいただくと、中学校としても、どのように今後取り組んでいく課題が明確になりますので、確認したいと思います。以上です。

【髙木座長】

  • 今の齊藤委員のところ、とても大事なので、事務局が前回のところで入れたこととやり取りをしたいと思いますので、事務局、お願いします。

【能見財務課課長補佐】

  • 今の小学校を中学校的にするのではなくというところの御議論ですけれども、第2回の検討会議におきまして、専科指導の専門性を担保する方策の中で、中学校免許保有者を小学校に配置するですとか、それから、小中学校免許状、両校種の免許状の併有を促進するといったような御議論の中で、単に中学校免許を持つ方が小学校に配置されて、小学校の文化ですとか特性ですとかそういったことを理解しないままに、中学校的にしていくというようなことではないと、そのような流れの御議論であったものと認識しております。

【齊藤委員】

  • そこで、中学校まではどのようにやっていく、教員がどのような役割を果たせるかというところだと思いますので、そこもやはり明確にしていかないといけないと思います。ありがとうございました。

【貞広委員】

  • しつこいようで申し訳ないですけれども、やはり国として推進を図る上での考え方というところを整理するに当たっては、目的が働き方改革にあるのか、英語を中心とした系統的な学びの保障にあるのかという、どっちもだとおっしゃると思うのですけれども、国として推進していくときの優先順位はどっちにあるのかということを確認する必要があると思います。
  • なぜそのようなことを申し上げるかといいますと、先ほど村田委員の御発言にもありましたけれども、恐らくパイは限られているということです。加配全体のパイは限られているということと、働き方改革という文脈でいったときに、この教科担任制を実施する加配のようなものがほかの加配に優先されて、学校に還元されるのかどうかということも若干クエスチョンです。私は現場は分かりませんけれども、どちらかというと現場の方々は遊軍的な、何に使ってもいいですよというような加配をもらって、それぞれの学校の事情に応じて機動的に働いてもらうという、そういう加配の在り方がきっと一番ありがたいのではないかと思うので、そういう加配を引きはがされて、いや、これは教科担任に全部使ってくださいと言われるのは、学校は本当にいいんだろうかと思うんです。
  • その上でですけれども、もちろんどっちも全部加配をつけてやれれば一番いいんですけれども、そうじゃないときに、じゃあ、国はどっちを優先的にやるかということだと思います。そうすると、先ほど担当されたコンサルティング会社の林さんの御説明によりますと、学校内での工夫では、例えば社会と理科の時間が同じなので、それを入れ替えるというのは学校内の工夫で行うことができて、教材開発の時間が減るので働き方改革になりますと、これは本当は加配をつけたいけれども、学校の工夫でやってください、できるところまではやってくださいということになるのだと思うのです。
  • 学校の工夫でどうにもならなくて、でも、どうしても系統的な学びの保障をしたいという特定の教科に関してはちゃんと加配をしていくというような、私も教育村の人間ですので、もう教育の予算はどんどん増やしてほしいし、学級規模は縮小してほしいし、加配もたくさんつけてほしいと思いますけれども、実際そうじゃないときに、どこを優先して推進していくかということをしっかりと確認しないと、学校にとって、加配はついたけど、「えっ?」というような結果になってしまいかねないような気がしまして、発言をさせていただきました。以上でございます。

【森友財務課長】

  • 貞広先生、ありがとうございます。先生がおっしゃっているように、系統的な学び、中教審の議論の中では、系統的な学びということもありますし、STEAM教育の重視ということの中で、より抽象的な思考が必要になってくる小学校5・6年生の中で、専門性の高い授業を中学校につなげていくという観点から、理科とか算数、英語ということが例示に上がっているところでございまして、働き方改革と専門性のある指導というのをどちらがより優先度が高いのかというのは先生も何度もおっしゃっていただいているように、こちらのほうが重要だということがなかなか優先度をつけにくいものでございまして、正直申し上げますと、やはり両方あるんだろうと言わざるを得ないのかなと思っています。
  • その中で、現場の先生が一番気にされていることというのは、これは少人数学級の法案審議の中でも、何度も何度も国会議員の先生方から御意見いただいたものでございますが、結局、加配も含めた定数の総数が変わらない中での数字のやり取りであると何も変わらない、全体として増えていかないと、現場が変わらないというような御意見をいただいていますし、少人数学級をこれから進めていく中でも、少人数指導をはじめとする種々の加配が減らないように、少人数学級にかかる財源を別途しっかりと確保していくということが大事だと考えております。
  • そういった意味では、先ほど来出ております、今回の教科担任制に係る定数措置についても、しっかり別枠で措置ができるようにしていきたいと考えております。もちろん現場で今、様々な工夫の中で、理科と社会の交換、分担制をするという取組もございますので、そういったことも、できるところはそういうのも進めていただきながら、学校規模とかもありますので、そういったものに応じて進めていただきながら、国としてここについては定数をしっかり取っていくという大きな考え方でやっていきたいと思っております。貞広先生の御質問、御意見にダイレクトにお答えする内容にはなっていないですけれども、そのような考え方で今、進めたいと考えているところでございます。

【貞広委員】

  • ありがとうございます。文科省さんとしてはそういうお答えをしていただき、それはとても力強いですけれども、戦略的に、どこというふうに傾斜的に考えなきゃいけない場面に至ったときにどうするのかということは、やはり共有しておくとか、議論しておく必要があるのかなと思っていたところでの発言でした。ありがとうございます。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。貞広先生のお考えも私はよく分かりますが、結局、現状の問題から言うと、制度を一歩前進させていって、もう一つは、具体的な学校での様々な取組を、今度は学校の工夫でやっていくというような形にしていきませんと、結局、形だけがつくられて、学校のほうでは身動きが取れなくなってしまう。今、我々がやっている義務教育9年間を見通した指導体制の在り方というのは、まさにその制度整備のことになっていくと思いますので、制度整備の中で様々な具体の事例というのを積み上げていくしかないのかなと思います。
  • 学校ごとに状況は違います。大規模校、特に貞広先生がいらっしゃる千葉県は今、学級数が相当増えていて、教室も足りないというような状況もありますし、ほかのところへ行きますと、単級の学校で、例えば先生方6人か7人しかいない学校で教科担任制をどうやっていくかというところもありますので、この辺りは教育委員会の先生方も今回御参加いただいていますので、それぞれのところで制度を決めた上で、実際の具体的なものを、今度は各教育委員会ごとに図っていくという、そういった方向で考えていくしかないのかなと私的には考えております。
  • ですから、まずは、この教科担任制という制度をつくり、そこに予算配当をしていくということが学校の、さらには教育委員会への支援になっていくかなと私は考えております。大変重要な御指摘ありがとうございました。この辺りもさらに深めていければと思っております。
  • それでは、今、各委員からそれぞれ1については御意見ございましたので、2に進めたいと思います。2.の「優先的に専科指導の対象とすべき教科について」と併せまして、3.の「専科指導の専門性を担保する方策について」と関連性が強い論点、併せて御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【大字委員】

  • 大字です。よろしくお願いいたします。優先的に専科指導の対象とすべき教科ということで、率直に申し上げると、学校の課題に応じて、校長のマネジメントで、この教科を専科にするということが可能であれば、それが学校経営にとって、また、子供たちにとって一番いい形かなとは考えます。
  • そうはいっても、どの教科ということでお話をすれば、先ほどの全連小の調査で言えば、実施すべき専科の教科として一番多かったものは理科です。これはもう67%近い校長が理科と言っています。二つ選べという選択ですけれども。二つ目が外国語。これも63%近いもの。3点目が音楽。音楽だと、ぐっと減って35%ぐらいになります。その後はさらに減って、算数、5番目が体育、家庭科、図工と続くということですので、現場の校長の声としては、理科、外国語、音楽といったところの意見が強いというところであります。以上です。

【齊藤委員】

  • 齊藤でございます。よろしくお願いします。ただいま大字先生のお話もありました。中学校では、小学校の児童に対して、体験入学等、あるいは授業体験をしてもらうときに、理科はほぼ実験をやる傾向が強いです。そのことからも、やはり実験等を含めて理科の専門性というのは非常に重要だということが分かります。また、東京都の場合ですと、外国語と数学について、指導方法の工夫改善加配を配置していますので、そのことから、この2教科についても教科指導の上では重要になってくることがうかがえます。
  • そして、最後にありますように、体育ですね。体育についてもやはり安全を確保する上で、専門性の高さというのは要求されるであろうと。また、高学年になりますと、思春期に差しかかりますので、特に保健の面ですね。体育実技だけではなくて、保健指導の部分についても、保健体育、中学校では実施していますけども、そういったような専門性も必要になってくるのかなというところから、この示されている外国語、理科、算数に加えて、体育というものを考慮していただければいいのかなと思います。以上です。

【鈴木委員】

  • ただいま大字校長先生から、全国の校長先生方への調査では、理科、外国語、音楽というお話ありましたけれども、本県でも基礎定数の中で、専科の教員が学級規模に応じているわけですけれども、このお話は前にもさせていただいたかもしれませんが、専科の教員が1人だった場合には、音楽、2人いると、理科、そして3人目は、最近の状況ではやはり外国語というところが多くて、先ほどの校長先生の御発言と同じような傾向が本県でもあるように思われます。
  • 一方、齊藤校長先生のほうからありました体育ですけれども、本県では、平成27年ぐらいから、体力向上の指定校というのがありまして、その指定校がこれまでに小中学校併せて15校ぐらいあり、そのうち8校ぐらいが小学校だったのですけれども、指定校には、1人、専科の体育の先生をつけておりまして、中学校の場合には、学校区の小学校に兼務で授業に行くというような取組もございます。
  • そういった学校の結果を見てみますと、子供たちへの影響としては、体力の向上、つまり、新体力テストというのをやっておりますけれども、その指定校になったところは、基本的には県の平均を上回っております。例えば、ある学校では、A、B、C、Dという4段階の評価でいくと、Aが7%だったのが13%、Bが21%だったのが30%、Cは逆に、41%だったのが33%に、Dは32%だったのが24%というふうに、上位のA、Bが増えて、C、Dが減るという傾向もございました。
  • また、子供たちを対象としたアンケートの結果を見ても、90%以上の子供から体育が好きとか運動が好きという回答があったということもございます。それはなぜかというと、やはり専門の先生が苦手な子供への指導の工夫、コツをしっかりと御存じで、それを教えることによって、その子ができるようになって楽しくなっていく。また、教科書がないので、なかなか系統的な指導がやりにくいところもある中で、専科の先生が何学年かを継続して教えていくことで、そういったところも担保されていくところがあるようです。
  • また、先生にとって体育の授業の準備は、例えば体育館で跳び箱を出したり、マットを出したりというところに時間がかかるわけですけれども、そういったことも、専科の先生が教えることで、そのまま1組、2組と継続して時間割を組み、準備をそのままにできるとか、先生方の業務改善にもつながったり、先ほど定年延長というようなお話がありましたけれども、やはり年齢が高くなってくると、精神面、体力面で、ちょっときついなということもあり、そういった先生にとっても、非常に専科教員がありがたかったというような声もありました。そのようなことから、体育についても、ぜひ加えていただけるといいのかなと思っているところでございます。以上です。

【大字委員】

  • 専科指導の専門性の担保ということについてもというお話でしたので、少しお話をさせていただくと、これに関してはあまり心配はしておりません。小学校の中で、各教科の教科研究と学校であったり、それを超えた形で、教科を専門的に研究するという研究会は大変盛んです。これは都道府県レベルでも、自治体レベルでも、市町のレベルでも、例えば国語研究会、社会科研究会というものは非常に盛んで、その中で、例えば中学や高校の専門の免許を持っているにはこしたことはないですけれども、小学校全科の免許だけでもずっと国語を研究してくれば、本当に一流の指導ができるような教員はたくさんおります。
  • そういった中で、例えば教育委員会の指導主事の方が授業を見にきて、この方は間違いないと、そういうようなお墨つきでもいいですし、違うやり方でもいいですけれども、そういう中で専門性が高い方を専科教員にするというのは十分できるかなと、そのように思っています。以上です。

【村田委員】

  • 先ほどの大字委員と同様の意見ですけれども、免許にこだわることはなくて、本県でも教科の研究会を熱心に行っておられますので、何年間か専門的に研究されている先生方というのは、とても授業の質も高まっています。そういった先生方を活用した専科教員ということは現場の中ではあり得ると思っています。
  • 一方で、英語のように、そもそも今の英語の教授法というのを習ってきていない先生がいるという現状がある中で、今は免許を持っている人を優先的にということでしています。研修会等も5年以上重ねてくる中で、英語についても免許を持っていない先生方も授業ができるようになってきている現状がある中で、英語の要件というものも少し緩和はできると考えていますから、そこも含めて、専科の教科というのを考えていくべきかなというふうには思っています。
  • 加えまして、優先的にする教科については、英語、理科、算数というのは賛成ですけれども、たくさんの教科を提示すれば提示するほど、どの程度の縛りがかかってくるのか。言葉として優先的にということで、それぞれの学校で柔軟性が認められますよというのがあるのであれば、使い勝手はよくなるかと思いますが、教科数が増えていけば増えていくほど、その点は難しくなるかなということも懸念はしております。以上です。

【髙木座長】

  • 私は先ほど鈴木委員が御発言の中で、子供の視点から教科担任制が、子供たち、分かりやすいという発言がとても大事だと思います。私もそうですけど、制度設計というのは、大人の目線とか、文教政策とか、教師の視点がどうしても必要になってくるから、そちら側のサイドからの目線ですが、やっぱり教育を受ける子供たちがこういった教科担任であるとか、それぞれの専門性の高い先生に授業を習ったときに、どういうよい結果がというか、例えば教科が好きになるとかそういったことが出てくるかという問題も、PwCさんの調査研究にも少しはそういうのがございましたけど、やはり我々もそこもなかなか難しい視点ではありますが、考えながら、この制度設計をしてまいりたいなと思っております。

【鈴木委員】

  • 鈴木です。しっかりとした調査の結果があるわけではありませんけれども、先ほど申し上げたように、本県では理科の専科というのが非常に盛んでありまして、多分、8割、9割の学校で、理科の専科の先生が入っていると認識しています。全国学力・学習状況調査の中に、理科が好きですかという質問紙調査があったかと思いますが、そういったところも、全国平均より上回っているということがありまして、それは専科の先生が理科室で実験もやりながら、子供たちに楽しく、興味関心を持たせながら教えているということがあるのではないかと分析しているところでございます。
  • あと、進んでいるところでは、専科の先生による授業や、交換授業で、6年生になると、7教科とか6教科で、いわゆる教科担任制のような形を敷いている学校もございます。そういったところでは、子供たちからは、いろいろな先生に教われて楽しいとか、どうしても担任の先生と合わない子供がいる中で、基本的には好評だという意見を伺っています。以上です。

【村田委員】

  • 御紹介ということになりますけれども、本県がやってきていた新学習システム、教科担任制のことで、今年度、ちょうど今から8月ぐらいにかけて、高学年の小学生、保護者と先生方にアンケートを取る予定にしています。その中でも、子供たちにも専門の先生にどの教科に教えていただきたいのかというのを聞いたりとか、それから、今までの教科担任制の効果であったりというのを、保護者と同じように聞くことにしています。9月までには集計する予定にはしていますけれども、その結果が出ましたら、また御紹介できればと思っています。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。学級担任制のよさもありますし、教科担任制のよさもあります。一律にどちらがいいと簡単には言えない問題ではありますが、やはり子供たちの学校生活がより豊かになったり、それから、学校が、感覚的な言葉で言えば、好きになっていくような、そういった制度の在り方を大人がやっぱり少しでも条件整備を整えていくということがこれから大事だと思っておりますので、今、先生方の、例えば兵庫県の今のアンケートも、今回の概算要求に向けた検討には間に合いませんが、注目してまいりたいなと思っております。

【貞広委員】

  • 委員の方々の御意見から、例えば中学校免許の保有を条件にするということが難しいことであるとか、免許とは全く別で、非常に小学校の中で研究することで優れた授業を行っていっている実態があるということも伺いました。ただ、その上で、これは専科の先生だけでは実際にはないのだと思うのですけれども、専科の先生に特に系統性の保障ということを求めたいということを考えたときに、免許はいいので、できれば各地の教育委員会などの支援で、子供たちが小学校を卒業して、中学校で担当した教科をどのように学び、その学びの姿がどのように小学校のときと違い、場合によってはどこにつまずいてしまっているのかということを体感で知るような機会を保障して、義務教育は9年間で教えていくのだということを、特にその教科をまたコアにして、より強固にしていく。それをチャンスにしていくような、そういう御支援をぜひいただきたいと思っています。
  • いろいろな学校に調査に行きますと、かなり昔とは変わりましたが、やはり小学校の文化と中学校の文化は相当違って、意識的にそれを、お互いの違いを学んで意識して指導されている先生も本当にたくさんいらっしゃいますけれども、なかなかそういう働き方というか、勤務時間が非常にきつくて、そういうところに目を配ることができないような先生方も、残念ながら、いらっしゃるやに見えますので、この教科担任制については、その部分を教育委員会の御支援でしっかりと保障して、それによって質の担保をしていくということをしていただきたいと思います。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。大変重要な御指摘でして、今、貞広先生からは、制度的なお話でしたけど、内容的な話から言いますと、例えば、私もいろんな学校を伺っていて、現在の平成29年改訂の学習指導要領は各教科の解説で、全て小中学校で学ぶものが系統表で示されています。ところが、学習指導要領の本体の内容そのものを読むという時間的なものも、先生方、なかなか十分に確保できないような状況がありまして、内容的にもそういった系統性が十分に把握できていないというようなこともありますので、教科担任制という、その制度の中で、そういったことが確立していけばいいなと思っています。
  • これは前にも申し上げましたが、例えば中学で習う関数の最初は、小学校2年生の表とグラフだということが、なかなか小学校の先生も御存じない部分もあったりする。だから、ぜひそういった専門性を高めると同時に、そこのところで内容の系統性とか、子供の指導の具体の中にそういうことが生かされてくるようなことになるといいかなと考えております。

【齊藤委員】

  • 意見というよりも、今の貞広先生のお話を伺っていまして、やはり全国学力調査の結果、小学校でも実施していますので、その結果をやはり中学校に提供していただいて、中学校がそれを活用するということを改めてやっていかなければいけないと、お話を伺っていて感じた次第です。ありがとうございます。今後に生かしてまいります。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。それでは、4.の「学校規模や地理的条件に応じた教職員配置の在り方について」ということと、それから全体も通して、これからの時間で御意見をいただきたいと思います。
  • 私のほうからお伺いしたいのですが、群馬県は割とこういった教科担任制が進んでいる感じを私は受けているのですが、こういった学校規模、群馬も単級の学校もかなりあると思いますし、それから、都市のほうでは大きな規模の学校等がございますが、そういったところで、教科担任制について問題点とか考えておいたほうがいいような点、もしありましたら御示唆をいただきたいのですが、いかがでございましょうか。

【鈴木委員】

  • おっしゃるとおり、今の論点メモの中にもあるとおり、やはり学年1学級程度の小規模校だと、6人の担任の先生と専科の先生が1人というような配置になりますので、そういう中で教科担任制を推進するのはなかなか難しいかなというところもあります。
  • でも、そういったところでは、例えば理科の専科がいたとすると、その人が3年、4年、5年、6年の理科を持ち、6年生の担任の先生が体育が得意だったとすると、違う学年の体育、例えば4年生、5年生の体育を持つ。1学年分の体育は、空いた理科の時間を活用し、もう1学年分は、違う学年の先生が音楽や図工で持つというような形の交換授業をしながら教科担任制を進めているというような例もございます。
  • また、先ほど申し上げたように、教科担任制を推進する形で、先生を加配しておりますので、小規模校で1つの学校だと時間的に余裕がありますので、2校、小小連携するような形で配置しております。あるいは、小中連携で、中学校の先生が小学校に指導に来るというような、まさにここに書いてあるような形で教科担任制を推進しているような状況がございます。
  • 特に小学校は、英語専科加配をいただいておりますので、その英語の先生が小小連携により、それぞれの学校の英語を担当して、その分、担任の空き時間をつくり、先生方の負担軽減になったり、先ほど申し上げたような、もともといる専科の先生との工夫の中で、違う教科についても教科担任制に取り組んだりしています。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。そうですね。今、小学校などでは、英語の先生が二つの学校に行きながら専科教員としてやっている事例が結構、出てきておりますが、そういった事例も含めまして、もしこういうふうにやれるとか、こうやったらうまくいったということももしありましたら、併せて考えていけると、これからの制度づくりにはいいかと思いますが、それ以外でも、特に4.の学校規模と地理的条件、教員配置という、この辺りを少し考えたいのですがいかがでしょうか。
  • 兵庫県も結構、瀬戸内海のほうはたくさん人口がありますが、日本海側までありますが、実際的にはいかがですか。

【村田委員】

  • 本当に学校規模でいうと様々ですので、いろんなパターンがあります。基本的に本県がやっている教科担任制というのは、5・6年生、どちらか、20人以上の学級を対象にしています。ただ、それ以下のところでも、自主的に学校としてやっているところがあるという状況ですが、小規模の学校になると専科というのは難しいのかなと。といいますのも、専科の先生が、学校、学年を越えて、全ての学年を担任するという状態になっていますので、そういう意味では、いろんな学年、いろんな教科を教えるということで結構苦労されている事例もあります。
  • 一方で、地理的にも割と学校間が離れていますので、同じ小学校と隣の小学校を兼務するというのが難しい地域がありますから、そこで、なかなか1人を加配というのは難しいので、結局は時間で区切ってしまうという配置の仕方をしています。
  • ですので、加配の配置の仕方についても、フルタイムで学校の先生に専科として入れるというよりかは、時間の講師という形のものが、もしかしたら小規模校、あるいは地理的に離れているところは、そういう使い方のほうが便利なのかなというふうには思っています。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。ここのところの教員配置というのはそれぞれの学校の現実がありますので、それに合わせていくということが制度的に、簡単にはいかないところがありますが、これがいいということはなかなか言えないので、いろんな事例を考えながら、その中で各教育委員会のほうで考えていただくという形を取らざるを得ないと思うのですが、大字先生、いかがですか。全連小からそういった先生方の御意見というのは出ておりませんか。

【大字委員】

  • 私はこの前職が全連小の対策部長で、その中で、47都道府県の対策を担当する校長先生方と、年に一度、直接お会いして、話をする機会があるのですけれども、この中で専科の話になると、こちらは東京の校長ですので、東京の話題を出すわけですが、東京は音楽と図工は初めから専科で、どの学校にも配置していると。このような話をすると非常に驚かれる。多分、前の喜名会長もこの話はしているかもしれません。大変驚かれて、非常にそれは学校経営がやりにくくなる、校長の差配が大変しづらくなるというので、なかなかいい反応はございませんでした。まさに全国津々浦々ですので、その場所、その場所に合った何かうまいやり方を柔軟に考えていくという辺りが大切なのかなとは思っておりますが、なかなかこれは明確なお話ができないのが現状です。以上です。

【髙木座長】

  • おっしゃるとおりだと思いますので、これは制度というのをつくらなきゃいけない難しさというのが、そういったところにもあるかなというふうには思っていますが、人数が今、学校で、特に小学校では、先生方の授業時数を含めて、それから指導体制を含めて、私もいろんな学校を伺っていると足りていないなということは肌身で感じておりまして、そういったことが一歩でも進んでいく、これは一つの制度にはなるかなとは思っています。あとの工夫というところで、今後それぞれの地域の実情に合った形にしていくというような制度設計をするしかないのかなというふうには、今、先生方の御意見を伺いながら個人的には思っているところでございます。
  • さて、4の部分というのはなかなか難しいところでございますが、1.から4.まで含めて、この在り方についての論点メモ(案)につきまして、もう一度振り返りながら、意見をもう少し足したいということや考えたいということがありましたら、御意見等承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。

【鈴木委員】

  • 質問というか、確認ですけれども、この小学校の教科担任制の導入というのは、基本的には令和4年度から、もしかしたら試行的になるかもしれませんけれども、基本的には導入していくというお考えでよろしいのかということで、先ほどから、プラスで、これまでの加配にプラスして、別枠で取っていくというようなお話がありましたけれども、それを次の概算要求でしっかりと出していくというような形でしょうか。
  • そうすると、かなり、今までとまた違ったような仕組みができてくるのかなというふうには思いますので、方向性みたいなものをできるだけ早くお示しをしていただくと大変ありがたいかなと思っていますが、その辺の見通しとかスケジュールとか、分かる範囲で教えていただけるとありがたいかなと思っています。以上です。

【髙木座長】

  • 事務局から回答していただきたいと思います。そもそもこの検討会議自体がその目的でつくられていますので、そこのところを、では、もう1回確認という意味でお願いします。

【森友財務課長】

  • ありがとうございます。委員の御指摘、御質問のように、まさに概算要求に向けて、どういう形でその内容を考えていくのか。中教審の答申の内容を踏まえまして、ここまで御議論いただいていますので、この論点メモの中でもにじみ出ていますけれども、繰り返し申し上げますと、中学校のような免許制度をつくるということにはなっておりませんので、そういった中で、加配というツールを用いて、教科担任制を促進していくということを我々は考えております。どういった規模で改善をしていくのかというのは、まさにここの御議論を踏まえながら、しっかり考えていきたいと考えております。令和4年で全部がっちりできるということは、人数的にも非常にそこは、もう皆さん御案内のとおり、難しい面ございますので、そういったことも含めながら、考えていく必要があるかなと思っております。

【髙木座長】

  • もう少し時間もありますので、もしここで御意見等ございましたら。全体にわたってお願いしたいのですが、いかがでございますか。後でも申し上げますが、次回が7月21日になっておりまして、それまでに論点の整理という形にしていく上で、今日は大変大事な会議でして、ここでもし様々な先生方の御意見を賜っておきますと、論点整理の中で検討課題として挙げることもできますので、できましたら、今、先生方がお考えになっていることをこの時点で挙げていただきますと大変助かります。

【貞広委員】

  • 1点だけ、全く違う観点ですけれども、先ほど大字委員から校長が判断する、マネジメントが難しくなるというようなお話もありましたけれども、実際は教科担任をしてくださいという加配が学校に来たときに、校長先生が、誰がやるのか。加配の先生は決まっているからその人なのかもしれませんけれども、どの教科でやるのか、どういう形でやるのかということを学校の実情に応じて決められるのだと思うのですけれども、ということは、校長先生のマネジメント空間が広がるということだと思うのです。別の言葉で言うならば、校長先生のマネジメント力にうまくいくかどうかがすごく関わっているということだと思います。
  • 世界的に見ると、日本の学校の校長先生は、予算の権限もありませんし、人事を決める権限もありませんし、カリキュラムもナショナルスタンダードで決まっていますので、非常にマネジメント力を発揮する空間が狭いですけれども、少しでも校長先生のマネジメント空間が広くなり、校長先生の仕事が少し面白くなり、かつ、だからこそ、責任が少し重くなるというものがこの教科担任の導入でもあると思いますので、そういう校長先生の力に成否がかかっているというような部分も、場合によっては書き込んでいただくこともあるのかなと思いました。時間があるということですので、ちょっと蛇足的な意見ですけれども、申し上げました。以上です。

【髙木座長】

  • ありがとうございました。今の貞広委員の発言はとても大事でして、私も関わっている学校が、この教科担任制が来年度から入ってくるということで、既に教職員と話し合ってどうするかといって、まさに本当に校長先生のマネジメント力がこれからかなり問われてくる事例、私も本当に目の前でそういったことがありました。この制度は、そういった様々な、これまでの学校教育の在り方そのものをもう一度捉え直すきっかけにもなっていくと思いますので、大変重要だと思います。
  • ほかにいかがでしょうか。学校にいらっしゃる先生がそのままお話しするというのはなかなか、かえって難しいのかもしれませんが、何かここで発言しておくべきことというのがございましたら、再度お伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
  • それでは、御意見ございませんようですので、もう少し時間はございますが、この辺りで本日の会は終わりにしていきたいと思います。様々な御意見、ありがとうございました。本検討会議の次回は、7月21日水曜日を予定しております。本日の御意見を踏まえまして、事務局において論点の整理を進めていただきたいと思いますが、詳細は追って事務局から御連絡いたします。
  • それでは、本日予定した議事は全て終了しましたので、これで閉会といたします。委員の皆さん、どうもありがとうございました。

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