義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議(第1回)議事概要

1.日時

令和2年10月7日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省東館13階 13F1・2会議室

3.議題

  1. 義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について
  2. 令和2年度 義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究について
  3. その他

4.出席者

委員

喜名委員、齊藤委員、貞広委員(Web参加)、鈴木委員(Web参加)、高木委員、村田委員

文部科学省

瀧本初等中等教育局長、蝦名大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、南野初等中等教育局企画官、田中教育制度改革室長、能見財務課課長補佐、田島教育課程課課長補佐、松下財務課教職員配置計画専門官、丹羽教育人材政策課専門官

5.議事要旨


1.開会
【能見財務課課長補佐】

  • 本日はお忙しい中皆様ご出席をいただき誠にありがとうございます。本会議事務局を担当しております初等中等教育局財務課課長補佐の能見と申します。本日は第1回の会議でございますので、冒頭の議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。

  • 本日の会議につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からWEB会議システムを併用した開催とさせていただきます。WEB会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、ご発言の時以外はマイクをオフにしていただくようお願い致します。委員の皆様にはご不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

  • それでは配布資料の確認をいただければと思います。本日の配布資料は、お手元の議事次第「4.配布資料」に記載のとおり、資料が1から9までと、参考資料が1から3までとなっております。ご確認をいただきまして、過不足等ございましたらお申し付けいただければと思います。

  • それでは開会に当たりまして、事務局を代表し、初等中等教育局長の瀧本よりご挨拶申し上げます。

【瀧本局長】

  • 初等中等教育局長の瀧本と申します。義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議第1回の開催に当たり、一言ご挨拶させていただきたいと思います。6名の委員の先生方におかれましては、ご多用のところ、本検討会議にご参加をいただきまして本当にありがとうございます。

  • 本検討会議につきましては、【資料1】「1.趣旨」に記載がございますが、「新しい時代の初等中等教育のあり方」に関する中央教育審議会の審議状況を踏まえまして、令和4年度を目途に本格的に導入すべきとの方向性が示されております、小学校高学年からの教科担任制に関して、その導入に向けた教職員定数の確保のあり方について専門的技術的見地から検討を行うために開催するとされているところでございます。

  • 具体的には「2.検討事項」にございますとおり、優先的に対象とすべき教科、あるいは専門性を担保するための方策について、さらには、学校規模や地理的条件に応じた教職員配置の在り方等の検討課題につきまして、検討の具体化を進めていただければと考えているところでございます。令和4年度目途の本格導入となりますと、来年の夏には令和4年度の概算要求を出さなければなりませんので、それに十分間に合い反映できるような形で一定の整理をお願いできればありがたいと考えているところでございます。

  • また併せまして、本日の議題(2)、資料でいうと【資料8、9】にございますが、義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究につきましても併せてご助言を賜りたいところでございます。この調査研究は、小学校高学年からの教科担任制導入に向けたエビデンスの体系的な整理・分析を行うことを主眼としておりまして、本検討会議における検討の具体化と連携を図りながら進めていく必要があると考えております。こちらにつきましても、それぞれのお立場からご助言を賜りたいと思っております。

  • 以上、本検討会議におきます闊達な議論をお願い申し上げて開会に当たっての私からの挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。

【能見財務課課長補佐】

  • ありがとうございました。続きまして本検討会議にご参加いただきます委員の皆様を紹介させていただきます。まず、江東区立明治小学校統括校長の喜名委員でございます。

【喜名委員】

  • 全国連合小学校長会会長の喜名でございます。どうぞよろしくお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 続きまして、文京区立本郷台中学校長の齊藤委員でございます。

【齊藤委員】

  • 全日本中学校長会の齊藤でございます。どうぞよろしくお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 千葉大学教育学部教授の貞広委員でございます。本日はリモートでのご参加でございます。

【貞広委員】

  • 千葉大学教育学部の貞広と申します。リモートで大変申し訳ありません。よろしくお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 群馬県教育委員会事務局学校人事課長の鈴木委員でございます。同じくリモートでご参加いただいております。

【鈴木委員】

  • 私もリモートで失礼いたします。群馬県教育委員会事務局学校人事課長をしております鈴木と申します。どうぞよろしくお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 横浜国立大学名誉教授の髙木委員でございます。

【髙木委員】

  • 髙木でございます。どうぞよろしくお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 最後に、兵庫県教育委員会事務局義務教育課長の村田委員でございます。

【村田委員】

  • 村田です。どうぞよろしくお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 以上6名の皆様に委員としてご参加いただきます。どうぞよろしくお願い致します。

  • また、本会議の座長につきましては予め事務局より髙木委員にご依頼を致しましてご承諾をいただいております。髙木委員、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  • それでは座長をお務めいただくに当たりまして、髙木委員より一言ご挨拶をいただきます。

【髙木座長】

  • 委員の皆様初めまして。髙木でございます。これから義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議の運営を致します。十分なことができるかわかりませんが、先生方とともに子供たちのこれからの未来の学校をつくるために良い形で答申案を出してまいりたいと思います。先生方どうぞよろしくお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • それでは以降の進行は座長である髙木委員に司会をお願いしたいと存じます。座長よろしくお願い致します。


2.会議の運営規則について
【髙木座長】

  • それではここから会議に入りたいと思います。まず、本検討会議の運営につきまして、事務局から説明をお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 本会議の運営についてご説明致します。資料2をご覧下さい。主に会議、会議資料、議事概要の公開について定めるものでございまして、第1条から3条のとおりいずれも原則として公開とさせていただいた上で、例外的に座長が非公開することが適当と認める場合には、一部又は全部を非公開とすることができる規定としております。以上でございます。

【髙木座長】

  • 本会議の運営についてはこの案のとおりとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。委員の皆様のご承諾をいただきたいと思います。(委員承諾。)それでは本会議の運営について資料2のとおりにさせていただきます。


3. 議題(1)義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について
(1)中央教育審議会中間まとめ(案)について
【髙木座長】

  • それではこれから次第に従いまして、議題(1)から進行してまいります。議題(1)義務教育9年間を見通した指導体制の在り方について、に移ります。

  • まず、事務局より中央教育審議会中間まとめの関係部分とそれを踏まえました本会議の論点案及び令和3年度の概算要求につきまして簡潔にご説明をお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • それでは事務局より議題(1)の関係でご説明させていただきます。まず【資料3】をご覧いただきたいと思います。

  • 中央教育審議会の方で審議を進めていただいております「新しい時代の初等中等教育の在り方に関する中間まとめ(案)」のうち教科担任制の議論を進めるに当たっての関係部分の抜粋でございます。去る9月28日の初等中等教育分科会に提示された資料の抜粋となります。

  • まず1ページ目、第1部の総論から抜粋しております。第3章に2020 年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿という章立てがございますが、その「(1)子供の学び」の中で、今回の中間まとめの一つのキーワードとなります「個別最適な学び」の概念整理を行った上で、この中間まとめのタイトルでもあります目指すべき学びの在り方を、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」とすることの考え方について整理されております。

  • 5ページからが各論部分になります。その各論部分の第2章で、9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について整理をいただいております。(1)の「基本的な考え方」の2つ目の○をご覧いただきますと、後段からになりますが、新学習指導要領の着実な実施により義務教育の目的・目標を達成する観点から、義務教育9年間を見通した上で,指導方法や教師の養成等の在り方について一体的に検討を進める必要がある、としていただいております。

  • そのうえで、(2)以降がこの義務教育の章の各論部分になります。まず教育課程の在り方、でございます。6ページの2つ目の○以降、学校・学年段階に応じた児童生徒の資質・能力の育成に関して、整理をいただいております。

  • 3つ目の○については、小学校低・中学年において基礎的・基本的な知識及び技能を確実に定着させるとともに、知識及び技能の習得や活用の喜び、充実感を味わう活動を充実することが重要である、と整理いただいております。次の○では、小学校中学年以上の指導において、各教科等における見方・考え方の理解に向けて徐々にその中核的な概念による指導を進めるとともに、体験活動と教科の内容との関連づけを自覚的に行えるように指導することが重要である、としていただいた上で、扱う情報が高度かつ大量になる小学校高学年以降においては、理解を重視した学習方略を活用させたりするなどの学習指導をしていくことも重要である、と指摘いただいております。次の○においては、このため、小学校高学年への教科担任制の導入や、小学校と中学校など学校段階間の連携などが必要である、とされております。

  • 8ページ目をご覧いただければと思います。この小学校高学年の教科担任制に当たりましては、これまで以上に中学年までの基礎基本の確実な定着が必要といった議論もあるところではございます。そのような議論も念頭に、カリキュラム・マネジメントの充実という項目におきましては、9ページ目の1つ目の○にもありますように、総枠としての授業時数は引き続き確保しつつ、カリキュラム・マネジメントに係る学校裁量の幅の拡大の一環として、教科等の特質を踏まえつつ、教科ごとの授業時数の配分について一定の弾力化を認める仕組みを設けることも考えられる、とされております。

  • 続きまして、「(3)義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方」につきまして、まず1で、教科担任制導入の方向性について整理をいただいております。1つ目の○では、義務教育9年間を見通した教育課程を支える指導体制の構築が必要ということ、2つ目の○では、児童生徒の発達段階を踏まえれば、小学校高学年では、小学校における学習指導の特長を生かしながら、中学校以上のより抽象的で高度な学習を見通し、系統的な指導による中学校への円滑な接続を図ることが求められる、とされております。

  • 3つ目の○では、個別最適な学びを実現する観点からは、ICT の効果的な活用と相俟って、教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導を可能とする教科担任制の導入により、授業の質の向上や学習内容の理解度・定着度の向上、学びの高度化を図ることが重要である、としていただいております。

  • 4つ目の○では、教師の持ちコマ数の軽減や授業準備の効率化は、学校教育活動の充実や教師の負担軽減に資するものである、としております。

  • このようなことを踏まえまして、令和4年度を目途に教科担任制の本格的導入を、という方向性でございます。

  • 5つ目の○ですが、導入に当たりましては、地域の実情に応じて多様な実践が行われている現状も考慮しつつ、対象教科や学校規模・地理的条件に着目した教育環境の違いを踏まえて、効果的な指導体制の在り方を検討する必要がある、とされております。

  • 6つ目の○では、対象教科に関しまして、系統的な学びの重要性、教科指導の専門性といった観点から検討する必要があるとしたうえで、グローバル化の進展やSTEAM 教育の充実・強化に向けた社会的要請の高まりを踏まえれば、例えば、外国語・理科・算数を対象とすることが考えられる、としております。専科指導の専門性の担保方策や専門性を有する人材確保方策と併せて、必要な教員定数の確保に向けた検討の具体化を図る必要がある、とされております。

  • 次の2は、義務教育9年間を見通した教師の養成等の在り方について、でございます。2つ目の○後段からになりますが、教員養成段階では、小学校教諭の免許状と中学校教諭の免許状の両方の教職課程を修了し、両方の免許状を取得することが望ましい一方、負担が大きいため、小学校と中学校の教職課程それぞれに開設を求めていた授業科目を共通に開設できる特例を設けることにより、学生が小学校と中学校の教諭の免許状を取得しやすい環境を整備する必要がある、という、いわゆる小中免許の併有を促進するという方向性をお示しいただいております。

  • 次のページが各論部分の7番目の章立てとなりますが、新時代の学びを支える環境整備について、でございます。「(3)新時代の学びを支える指導体制等の計画的な整備」について、義務教育9年間を見通しつつ、きめ細かな指導の充実などに向けて少人数によるきめ細かな指導体制や小学校高学年からの教科担任制の在り方等の検討を進めるという方向性をお示しいただいております。

  • 続きまして、第8章の人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設の在り方について、でございます。(2)の「1公立小中学校等の適正規模・適正配置等について」という項目の中では、1つ目の○にありますように、統合等による学校・学級規模の確保について、義務教育学校化を含む地方公共団体内での統合のほか、分校を活用することで低学年中学年は地域に身近な分校に、高学年はスクールバス等により本校に通う方法など地域の実情に応じた様々な選択肢が考えられるとしたうえで、その際、複数の学校(学校群)が連携して専科指導の充実を図る取組を継続的に支援する必要がある、としていただいております。

  • 「2小中一貫教育の推進」という項目の中では、小学校高学年からの教科担任制の導入も踏まえ、引き続き義務教育9年間を見通した教育課程編成を可能とする学校の裁量拡大を検討するなど、小中一貫教育を推進していくことが必要である、とされております。

  • 以上、中央教育審議会中間まとめ(案)の中での関係部分の紹介でございます。


(2)論点メモ(案)について
【能見財務課課長補佐】

  • 中央教育審議会中間まとめ案の方向性も踏まえまして、【資料4】の論点メモ(案)をご覧いただきたいと思います。

  • まず「1.小学校高学年からの教科担任制導入の考え方」につきまして、四角囲みの中に中央教育審議会での整理をお示ししておりますが、説明が重複致しますので、割愛させていただきます。このような整理を踏まえ、追加すべき視点や留意点はあるか、を論点とさせていただいております。若干補足させていただきますと、2ページの上段に留意すべき事項がございます。この中では、組織的・教科横断的な教育課程の編成・実施が可能となるよう留意する必要があるということ、全ての小学校の教師が教科等について広く理解し、その連関を踏まえながら指導力を向上し、広い視野で指導が行われるよう留意する必要があるということを整理させていただいております。

  • 「2.専科指導の対象教科の考え方」につきましては、本検討会議の主な検討事項(1)に対応致します。優先的に専科指導の対象とすべき教科についてどのように考えるか、ということでございます。四角囲みの中に同様に中央教育審議会での整理をお示ししております。基本的な考え方のところで補足的に言及させていただきますと、2つ目の●にありますように、既存の教職員定数において、学校規模に応じて音楽、図画工作、家庭、体育を中心とした専科指導を実施することが考慮されていることや、地域の実情に応じて多様な実践が行われている現状を踏まえ、これらの点について引き続き配慮することに加えて、新たに専科指導の対象とすべき教科を検討する、つまり、次の●にありますように、系統的な学びの重要性、教科指導の専門性といった観点から優先的に専科指導の対象とすべき教科を検討する、という考え方でございます。対象教科につきましては、以上の基本的な考え方を踏まえれば、例えば、先ほど中間まとめでもご紹介した3つの教科について対象とすることが考えられるのではないかとされております。

  • 3ページ目の上段では、外国語、理科、算数それぞれについて、系統的な指導の必要性といった観点から教科特性を整理しておりますので、こちらもご参照のうえで、ご意見をいただきたいと考えております。下段は、主な検討課題の(2)に該当するものでございます。これらの教科の専門性をどのように担保するか、例えば、専科教員が当該教科の中学校免許状を保有することを要件とすることについて、どのように考えるかという論点でございます。四角囲みの中に、参考といたしまして、既存の小学校英語の専科指導のための加配措置において英語力に関する要件を設けていることを記載しておりますが、このようなことも参照のうえで、ご意見を賜りたいと考えております。

  • 最後の論点と致しまして、4ページ目、「3.教職員配置の在り方」でございます。本検討会議の検討事項(3)に対応するものになります。学校規模(学級数)や地理的条件に着目した教育環境の違いを踏まえ、小・中学校の連携方策を含む、義務教育9年間を見通した効果的な指導体制の在り方についてどのように考えるか、という論点とさせていただいております。四角囲みの中で、参考として、学校規模に着目した教育環境の違いについて若干の整理を致しております。学校規模すなわち学級数に応じて、3つの区分に分けておりますが、例えば、7~12学級の小学校、これは1学年1~2学級程度となりますが、このような規模の小学校に関しては、義務教育学校化等により中学校区単位の一体的な学校マネジメントができる可能性がある、といったことがいえようかと考えております。また、どの区分であっても、小中学校の連携方策を検討する上では中学校教員の持ちコマ数を踏まえる必要がございますが、6学級以下の小学校、複式学級を含む学級編制の小学校というカテゴリーに関しましては、学区内の中学校の規模が小さい傾向にあり、中学校教員の持ちコマ数に比較的余裕があるということで、比較的連携しやすいのではないかということでございます。最後の●では、へき地に多く所在していることから、遠隔合同授業等を効果的に活用できるのではないかということも記載させていただいております。


(3)令和3年度概算要求関係について
【能見財務課課長補佐】

  • 関連して、令和3年度の概算要求関係の資料を、【資料5】として用意させていただいております。令和3年度の義務教育費国庫負担金に係る概算要求につきまして、学校における働き方改革を引き続き進めるための定数改善が青枠の部分でございます。併せて、新しい時代の学びの環境における少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備については、予算編成過程で検討するということで、事項要求としております。オレンジ色の枠囲いでございます。

  • 左側の青い枠の中は、この教科担任制にも関わるものでございますが、教員の持ちコマ数軽減による教育の質の向上、小学校専科指導の充実、義務教育9年間を見通した指導体制への支援ということで、※のところにありますように、小学校のティーム・ティーチング6,800人の加配定数を今年度と来年度の2年間で、そのうち4,000人分につきましては、専科指導のための加配定数として発展的に見直すこととしています。

  • この点につきまして、今年度予算になりますが4ページ目をご覧いただきたいと思います。1つ目の●のところで、今申し上げた専科指導に係る加配定数の振り替えの考え方についてより詳細に記載しておりますので、ご参照いただきたいと考えております。次の●のところでは、先ほどの中間まとめの中でもありましたが、いわゆる学校群に対する支援ということで、小学校高学年において専科指導等に積極的に取り組む複数の学校、いわゆる「学園」を支援するための加配定数を今年度予算から措置しておりまして、これを継続することとしております。予算の関係につきましては、簡単にではありますが以上でございます。


(4)鈴木委員よりご発表(群馬県の取り組み事例)
【髙木座長】

  • 小学校高学年からの教科担任制の本格導入に向け、地域の実情に応じた多様な実践の現状を考慮する必要がございます。このことを踏まえ、先進的・積極的な取組を進めてきた群馬県、兵庫県の取組事例の発表をお願い致します。まず鈴木委員より発表をお願い致します。

【鈴木委員】

  • 【資料6】の1ページ目は、文部科学省にて実施した平成30年度の公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査から、全国と群馬県の小学校における教科担任制の実施状況を抜粋し比較したものでございます。第1学年、第2学年では全国と群馬県とであまり差がありませんが、高学年になるにつれて、教科によっては、群馬県が全国平均の何倍も教科担任制の実施率が高いことが分かります。例として、群馬県において教科担任制を導入している割合は、第6学年の音楽においては92.1%で全国平均の55%の2倍に近い値となっており、理科においても9割の学校で専科の教員による授業を行っています。また、6年生の家庭科の専科指導も、58%と高い水準を達成しております。それ以外でも、外国語については、加配定数として専科教員を配置したり、小中連携のもと中学校の先生が小学校に出向いて授業をする形態を実施したりしていることなどから、割合が高くなっている状況です。

  • こうした状況の背景として、群馬県では13学級以下の学校には専科の教員が1人、14学級以上の学校には2人という配当基準を敷いており、従来から専科の教員の配当が1人ならば音楽の専科となり、2人ならば理科の専科を加え、その理科専科の教員が教務主任になるという傾向がございます。教材研究など授業の質の向上と教員の多忙さに配慮し、平成24年から理科専科特配の配置を契機に教科担当制を推進してまいりました。特に、近年は国語・算数を含む4教科以上で教科担当制を導入し、学力向上特配として国の加配を1人つける方策を打ち出しています。学力向上特配とは、各学校の学力向上計画に基づいて教員を配置していくもので、観点の一つに中学校区や地域との連携がございます。兼務発令をして小小連携や小中連携を推進するような学校や、教科担当制や専科指導が充実した小学校に教員を配置するという制度で、教科担当制の導入を推進する要因となっております。

  • 資料の次ページ(2ページ目)に、実際の5・6年における、一学年当たり3クラス・2クラスの学級規模における導入事例を挙げております。一番上の5・6年3クラスの事例の学校には学力向上特配を2人、専科教員として配置しております。5年生の国語は5年1組の担任、社会と家庭科(合わせて週5時間ほど)は5年2組の担任、算数は5年3組の担任が担当しております。理科は学力向上特配の専科教員、音楽は専科教員が、図工は教務主任が専科で入ることで担当を分担しております。結果として、備考欄のように、各教員の持ち時数が20~21時間程度に収まるようになっております。

  • 次の5・6年2クラスの事例の学校では、学力向上特配を1人配置しており、表中、「教務」として理科の指導に当たっております。この事例においては、5・6年全体の国語の授業を6年2組の担任が担当し、14学級以上の学校のため専科教員が2人、担任を持たずに、5・6年それぞれ社会、図工等の教科を指導しております。また、家庭科と外国語の「中兼務」は、小中連携のもと、中学校の家庭科や英語の教員が小学校に来て授業を担当しているものを表現しております。一番下の表の事例の説明は割愛致しますが、群馬県においては、このようにそれぞれの学校で学力向上特配を活用して、教科担当制を推進しております。

  • 次のページ(3ページ目)は群馬県における、小小連携・小中連携による学力向上特配に係る兼務の状況をまとめたものです。例として、中学校から小学校に行って指導している教員は104人で、群馬県の中学校約160校のうちおおよそ3分の2から、小学校へ専科指導のために訪問している形となっております。特に、英語は66人と多くの教員が小学校で指導しております。また、本年は群馬県全体で英語専科の特配を47人いただいており、69校に勤務している状況でございます。中学校から小学校に赴いて指導をしている66人と、英語専科の加配の教員が指導を担当している69校を合わせて135校、つまり群馬県の小学校のおおよそ半分の学校において、英語の専科指導が実施されている状況となっております。

  • 資料4ページ目は、本年度の群馬県における小学校教諭・中学校教諭の両免許状の保有率をまとめたものです。一番右に平成28年の文部科学省公表値を掲載しております。平成28年時点での小学校教諭の両免保有率は88.1%、現在も87.4%と全国平均の62.1%(平成28年度時点)に比して高い数字を保っております。中学校教諭の場合も両免保有率が平成28年時点で83.0%、今も82.6%であり、全国平均の26.6%(平成28年度時点)に比して高水準を保っている実態がございます。この実態の要因としては、昭和59年から平成23年度まで、小学校免許を持っていない者に対して、採用5年以内に免許を取得するという旨の誓約制度を設けていたことが挙げられると思います。平成24年度以降、当該誓約制度がない中でも両免の保有を奨励しており、また、教員も伝統的に小中両免を持っていることが群馬県の教員としてふさわしいという意識もあるので、小中両方の免許状をとることに対して意欲的なのだと思われます。採用試験も小中一括で行っており、両免を持っている場合は加点するといった配慮も行っております。また、旧来から人事異動は小中の区別なく行っているので、教員からの理解も得られている状況です。先ほどの論点整理の中で指導力の担保の問題が挙げられましたが、群馬県では初め、「教科担当制」という呼称で教科担任制を推進し、指導力の担保を図ってきた経緯がございます。小学校の免許はどの教科も指導できることが前提であるため、必ずしも小学校でも英語の免許を持っている人が英語、理科の免許を持っている人が理科、というように限定することはしておらず、教科への興味が強い教員に担当してもらうという考え方に基づいて、本制度を推進しているに留まるのが現状です。学校を異動した場合などはその学校の実情に応じて教科を担当いただくこととしております。さらに、最後に一言だけ付け加えさせていただくと、群馬県においては、各教科の基本的な指導法を掲載した指導プランを小中一貫で全ての先生に配っており、指導力や教科の専門性を担保しております。


(5)村田委員よりご発表(兵庫県の取り組み事例)
【村田委員】

  • 兵庫県の兵庫型教科担任制の説明をさせていただきます。兵庫県では、平成13年度から、個に応じたきめ細かな指導の一層の充実を図る目的で、加配教員を活用する学習システムを推進してまいりました。第1学年から第4学年までは35人学級編成を主に推進し、他に小規模校における複式学級、兵庫型教科担任制、平成30年度からは国の加配が入った英語の専科指導、令和2年度からは小学校高学年における専科指導などを行っております。

  • 2ページ目において、2つの星印をつけている取組は、教員の負担軽減も目的にして実施しております。平成13年度の中教審の答申でも言及されていることですが、小学校4年生前後の発達の区切りにより、高学年での従来の指導を工夫・改善をする必要があること、またいじめや不登校、校内暴力などの件数が中学校1年生で増加するなど新しい環境への円滑な接続が必要ということの指摘を受け、本県では兵庫型教科担任制を推進することと致しました。本取組は、もとより実施していた少人数授業と教科担任制とを組み合わせたもので、平成21年度から兵庫型教科担任制という呼称に変えて導入し、平成24年度からは全県で実施しております。全県と言いながらも学校規模は多様であるため、小学校5・6年生のいずれか20人以上の学級を有する学校という基準を設けております。「+α」と表記する部分は、学級人数が20人に満たない学校でも、自主的に兵庫型教科担任制を実施しているところがあることを意味しております。

  • 仕組みとして、おおよその科目を学級担任が指導する一方で、社会と理科とで別クラスの担任同士が交代して指導する例があります。この社会・理科の交換の場合などは授業時間数もほとんど同じなので、齟齬なく交換することが可能になっております。また少人数授業との組み合わせの例として、算数では特に個別の関わりやきめ細かな指導が必要ということで、選択制ではありますが、多くの学校で加配教員を加えて授業を行っています。推進に当たっての要綱として、交換授業は国語・算数・理科・社会のうち2教科以上から必ず選択し、交換授業を実施するという制限を設けています。資料8ページの左の例はBの先生が両クラスの算数を担当し、Aの先生が国語を担当する場合であり要綱に適合しますが、右の例は音楽と図工での交換であり、4教科内での交換となっていないため要綱にそぐわない場合として扱われます。ただし9ページのように例外もございます。国語・算数・理科・社会の4教科において専科指導を行っている場合、例えば理科で専科指導を行っている場合に、学級担任が社会と体育で授業を交換するという対応については可能としています。

  • 取組に関し、持ち時間数の観点からも説明させていただきます。社会と理科は先述のとおり授業時数の差異が小さいということで交換を実施しやすいですが、授業数の異なる教科については、A先生が2クラス分の国語を教えて、B先生が2クラス分の理科と体育の2教科を担当するといった形で時間数を調整する方法をとっている学校もございます。ただし、3クラスの場合はかなり複雑な運用になるため、社会と理科と体育というように時間数が多少異なる場合でも交換を行う場合があります。資料12ページは3クラスによる交換授業を行う場合における、児童から見た時間割表の例です。色付けをしている部分は担任以外の先生が授業を行っている時間であり、このカリキュラムにおいて、多くの先生が関われるということが見てとれるかと思います。13ページの推進状況調査の結果からみると、最も交換が頻繁に行われているのが社会と理科になっております。

  • 14ページに記載しております少人数授業の取組については、「少人数指導」と「同室複数指導」に分けられると考えております。「少人数指導」は学級を二つに分け、一方を担任、もう一方を加配教員が指導するものです。40人クラスの場合20人と20人とに分かれ、よりきめ細かな指導が可能となります。一方で「同室複数指導」の場合は同じ教室に2人の教員が入り、同じ授業の中で配慮の必要な生徒を補助しながら指導していく形態でございます。どちらの形態をとるかは教科の適性や習熟度によって選択できるようにしており、対象教科も国語・算数・理科・外国語活動から選択する形としております。教科ごとの実施割合は効果が一番高いとされる算数が最も高く、次いで理科となっております。

  • 16ページについて、兵庫型教科担任制の効果として、児童へのアンケート結果によれば、教科担任制で指導する教員が変わることにより、81.8%の児童が「授業を楽しいと思うことが多くなった」と回答しており、また、77.4%の児童が「担任の先生以外の先生に気軽に話ができるようになったと思う」と回答しております。その他にも、「授業が分かりやすくなった」、「複数の教員と人間関係ができて気持ちが楽になった」といった、教員との人間関係や学習経験の広がりによる子供たちの成長が見られている状況です。保護者からも、多くの先生方との関わりによって子供の成長を実感する声が寄せられております。教員の立場からも、「児童の良さの変化に気づき、多面的な児童理解に繋がっている」といった声や、「限られた時間の中でも全ての教科の教材研究をする必要がなくなったため、担当教科の教材研究に多くの時間を費やすことができるようになった」というメリットが挙げられております。また、中学校1年生に上がった生徒を対象にしたアンケートで、小学校で教科担任制を導入している教科が多い程、「中学校の学習や生活に慣れることに役立った」と回答する割合が高くなっており、教科担任制の取組が小中の円滑な接続に寄与していることが伺えます。

  • 次いで21ページの英語専科加配の活用について、本県では平成30年度は62校からスタートし、本年度は171校に専科教員を配置している状況でございます。昨年度のアンケート結果で、教員の負担軽減や中学校への円滑な接続等の観点で効果が出ているという声を得ている一方、加配教員の条件が厳しいために本当は欲しいけれどもなかなか配置ができない、という現状もございます。

  • 22ページについて、今年度から配置が始まっている高学年専科は、現在92校に教員を配置しており、実施教科については、理科、家庭科、図工、国語の順で活用されている状況でございます。

  • 最後に23ページになりますが、兵庫型教科担任制の実施上の課題を3点挙げております。まず一つ目は、3クラス、5クラスなどクラス数が奇数の場合、授業交換が複雑となることでございます。次に、5・6年生が1クラスあるいは5・6年の担任による授業交換を行う場合、つまり学年をまたぐ場合には、教員の負担軽減に繋がりにくいということでございます。3点目は、授業交換により、特定の教科の指導の機会が減ることでございます。例えば、毎年社会ばかりを担当しているために理科の指導を何年間か行わないようなことが起こる場合が想定されます。別の学校に異動した際に、ある程度経験のある教員であれば、久しぶりに指導する教科であっても対応可能ですが、若手の先生が最初からそのような状態になった場合には指導が困難になることが想定されるため、特定の教科の指導機会が減ることは課題だと感じております。こうした中で令和4年度から教科担任制が導入されるということで、本県でも兵庫型教科担任制の組み替え・再構築を今後考えていきたいと思っております。


(6)意見交換
【髙木座長】

  • ご発表いただきましてありがとうございました。これから意見交換に入っていきたいと思います。本日は第一回会議なので、説明のあった先ほどの論点案も踏まえて自由にご意見をいただきたいと思います。それでは、事務局からの説明および群馬県・兵庫県の事例発表に関する質疑を自由にご発言下さい。

【貞広委員】

  • 議論をする上で二点、前提を確認させていただきたいと思います。一点目は、教科担任制を働き方改革の観点を重視して導入するのか、系統的学びの保証の観点を重視して導入するのか、という点でございます。例えば、教科担任制を導入する科目を例にとりますと、現在配置されている教員の負担を考慮して実施しやすい科目を選定するのと、指導効果の教科特性を踏まえて教科担任制が望ましい科目を選定するということになると思っております。私も参加させていただいております中央教育審議会の特別部会の議論においては、本制度の導入の発端は働き方改革の観点からであったと記憶しておりますが、昨今のご意見・議論では、むしろ本筋が系統的な学びの保証を先取的に実施するという方に傾いていると思っております。

  • 二点目は、地域特性に配慮した多様な教員配置システムを前提に教科担任制を導入するのか、中国上海地区のように一律のスタンダードなシステムを想定して教科担任制を導入するのか、という点の確認です。参考までに上海地区では小学校のクラス数×2.8人の教員を配置するという一律のスタンダードを設けて教科担任制を導入しております。予算制約に加えて、日本の地域特性が多様であることを想定すると、地域特性に配慮して導入することになると思いますが、例えば学校規模に応じた教員の配置パターンを国が用意するのか、基礎自治体にパターンをある程度選択していただくのか、ということも検討する必要があると思っております。本日の【資料4】の4ページ目に、学校規模に応じた整理という論点がありましたが、私見では、どのような教員配置の在り方が導入可能かというのは、学校規模だけでなく学校のある地域特性とも強く連動する事項であると考えております。規模のみに依拠して教員の配置基準を国が設定することは困難と考えますので、基礎自治体の選択の余地をある程度認めることも必要ではないかと思います。もちろん、政策選択の経験のない自治体が多いと考えられる点も考慮すべきと考えますが、学校規模だけに連動して教職員配置の仕組みを考え、教科担任制を導入することは難しいと考えます。昨年、文部科学省から研究予算をいただて実施した調査の中で、小学校高学年の生徒が中学校にスクールバスで移動し教科担任制を実施できる学校を調査致しました。調査結果、おおよそ1割の学校は距離が遠く、スクールバスの活用が不可能だということが分かりました。つまり全国約2万校の小学校の中で1,800校を超える学校の子供たちは、中学校に移動して勉強するということが、学校の置かれている地域特性のために不可能な状況であると言えると思います。

【喜名委員】

  • 教科担任制について、全国連合小学校長会としても実現を目指してお願いをしてきた経緯がございましたので、より良い制度設計ができればと思っております。色々話を聞いておりますと、学校規模や教員集団の状況によって多様な課題が出るかと考えております。昨日は大阪、本日は福岡で、教科担任制に関わる会議に参加致しましたが、教科担任制については学校によってかなり認識に違いがあると実感致しました。加配定数を全て少人数学級の実現に向けて使っている自治体もありますし、例えば、東京都のように、最初から音楽・図工は2人ずつ必ず専科教員を配置し、26学級以上になれば専科の教員が1人追加として入る自治体もございます。また、昨日は、滋賀県の取組だったように記憶しておりますが、6年生の29コマの授業全てを担当しているところもあるというお話でした。こうした中、専科制度というもの自体への理解を共通した認識で持つことはなかなか難しいと考えております。各自治体の取組を実際に伺うと、+αで入るならば、どの教科でも指導出来る汎用性の高い先生が必要であるという自治体もあるようです。

  • また、今回、対象教科が外国語と理科と算数を中心に検討されるということでしたが、説明にもあったように教科担任制を導入するに当たって大事な視点ではないかと思っております。一点、前提として確認したいのは、今回は加配という形だと思っておりますが、教科担任制としての定数が入ることによって、いわゆる音楽や図工、英語等の専科として配置する形を目指すのか、あるいは、先ほど群馬・兵庫の事例にもお話がありましたように、それと組み合わせる形で5・6年生については、交換授業も含めた全学年として教科担任制を敷いていくのか、どの目標を目指していくのかが気になっております。教科担任制の導入はかなりハードルが高く、学級規模がある一定以上の学校でないとなかなか導入が難しいというのが従来の取組から分かっている状況だと思います。どの目標を目指すのか、全教科において教科担任制を導入するのか、または授業を交換し持ち合いの授業という形で導入を目指していくのか、それとも担任制の授業の補助的な役割として、一部教科担任制を取り入れていくのか、この辺りの目標の設定がどのようになっているかを確認できればと思っております。

【鈴木委員】

  • 今、喜名委員から話していただいたように、私も教科担任制で何を目指すのかをお聞きしたいと思っておりました。地域により実態が大きく異なるので、例えば1学級などの小規模校で全部の教科において教科担任制を導入するのはなかなか難しいと考えております。もう一点、対象教科が外国語、理科、算数という話がありましたが、外国語についてはもともと小学校の免許を取得する際の対象教科に入っていなかったため、今の小学校の先生たちのほとんどが英語を教えることを想定していなかったと思われます。こうした事情からも、外国語は専科という形、あるいは中学校との連携という形で、小学校における指導を実施していくのが良いと考えます。ただし、やはり学校の実態に応じて、算数や理科を優先的に導入することができるのかという点については、懸念しております。群馬県の場合は、理科の教科担任制を9割程度の学校で実施しているため、外国語と理科における導入は実施できるとは思っております。その他の地域においても、まずは優先的な三教科から導入し、その他の教科を検討するというような対象教科の優先順位が明確に決まっているのかも、ご教示いただきたい次第です。

【村田委員】

  • 働き方改革の観点からなのか、子供たちの学力向上という観点からなのか、導入の際の観点によって考え方が変わってくると思っております。本県も今の指導形態を維持していこうと思うと、働き方改革には程遠くなってしまいます。働き方改革を優先すれば持ちコマ数を減らすことも考えられますが、小学校の場合は授業の持ちコマ数だけでなく、学級担任が抱えている生徒指導面やそれ以外の事務的な作業などの多くの負担に関しても、働き方改革という点で一緒に考えていかなければならないと思っております。

【齊藤委員】

  • 群馬県と兵庫県の事例、また、現時点の議論の中でも、中学校としてどのように小学校の教科担任制の導入に関わっていくのかが若干見えていない部分もあるかと思っております。例えば、小中連携の推進や、中学校の教員の専門性を小学校に還元することで教科担任制に中学校の教員が役に立てれば、という観点がありましたが、両県の実践においては、あまり中学校との関わりが推進されていないのかなと、委員のお二人のご説明からの推測ですが感じた次第でございます。その点について、今後の方針も含め、お話を伺えたらと思います。

【髙木座長】

  • 齊藤委員から小中連携についてご質問が出ている部分について、鈴木委員、村田委員よりご発言いただけないでしょうか。

【鈴木委員】

  • 群馬県には、中学校から小学校へ兼務という形で指導を行っている教員が104人いるという実績がございます。お手持ちの資料には記載がございませんが、104人が兼務しているということは、160校のうち65%において、中学校から小学校への教員の派遣という形で小中連携を実施していることになります。中学校の先生が小学校に行って指導することで専門性を担保しつつ、小中の接続も滑らかになっていくという考え方で、群馬県は小中連携も非常に大事にしております。特に、6学年がそれぞれ1学級しかないような小規模な小学校であると教科担任制は難しいですが、そのような地域の中学校は3学級程度の場合が多い実態があります。例えば、英語の先生を例にとると、週4時間×3学年分の12時間で持ち時間数にはある程度余裕があるので、その英語の先生が小学校の5・6年生の英語をあと4時間分担当しても、16時間の持ち時間数ということになり、対応可能だと考えます。小規模校においては、そのような形で中学校と連携して教科担当制を運営しつつ、子供たちの学びの連続性も保証するという取組を進めているところが多いと考えております。

【髙木委員】

  • 【資料6】の2ページ中、赤字で記されている「中兼務」も今お話しいただいた内容を表しているのでしょうか。

【鈴木委員】

  • 「中兼務」は、中学校の先生が6年生の授業を教えているという意味でございます。

【村田委員】

  • 兵庫県の場合、小中教員の兼務発令は少ない状況でございます。中学校の教員が小学校に行くことの負担があるということで、県としての取組がなかなか進んでいない状況にあります。小中一貫教育の調査研究を平成27年度から進めている中で、取組が進んでいる自治体については、その校区内の学校の中で兼務発令を出している状況でございます。その事例を除くと、小中連携はなかなか実現できていない現状ですが、義務教育学校である地域においては、当然、小中連携が意識されているので取組が実施されているかと思います。同じ校区内での小中の学びの連携に関しては、県として指導しており、できていると思っております。英語の指導の問題について、高学年専科において特に英語の指導には免許が必要ということでしたので、小中兼務で指導を推進することについて各市町にもご意見を伺いました。しかし、実際問題としては、授業時間数のことや学校間の移動の負担などの事情があり中学校から小学校に教員が行って指導をするという事例は少ない状態でございます。

【髙木座長】

  • 貞広委員や喜名委員、鈴木委員からの質疑について、この会議の方向性を定める上で事務局としての考えをご説明いただきたいと思います。

【能見財務課課長補佐】

  • 貞広委員から2点、ご質問があったと理解しております。まず一点目、働き方改革と系統的な学びのどちらに重きを置くかについて、ご説明致します。貞広委員には中央教育審議会の議論にもご参画いただいていているため、基本的な方向性についてはご認識いただいていると思っておりますが、先ほどご説明した中央教育審議会の中間まとめでも考え方を示しているように、まずは子供たちの学びをベースに考える必要があると考えております。子供たちの学習内容の理解度・定着度の向上、学びの高度化を図っていくために授業の質の向上を図っていく、そのための教科担任制の導入ということをベースとして考えており、当該観点から中教審の中間まとめの整理を進めてまいりました。他方、従前、教員の働き方改革についても中央教育審議会で議論いただいた経緯があり、2019年1月の答申にまとめられておりますが、課題として指摘された大きな事柄の一つが、小学校高学年からの教科担任制の導入でありました。その議論の経過の中で、導入が検討された経緯があることも踏まえますと、働き方改革の観点は引き続き検討していく必要があると考えております。中間まとめの中でも、教科担任制の導入が教師の負担軽減に資するという見方をしております。従って、これから教科担任制の仕組みを具体化していくに当たっては、教師の持ちコマ数の軽減も併せて検討していく必要があると考えております。

  • 二点目の、多様な形態なのか固定的な形態なのかについて、入口のところではこれも中間まとめに記載されているように地域の実情に応じて多様な実践が行われていると理解しており、多様な形態を尊重した形で整理していく必要があると考えております。将来、どこを目指していくのかという意味では、導入する形を段階的に変えていく必要があると考えております。まず短期的に教科担任制をどのように考えていくのか、最終的にどのような形を目指していくのか、時間軸も含めてご意見をいただければと思っております。

【松下財務課専門官】

  • 補足として、加配定数、基礎定数という形で教員数を担保するのかという趣旨のおたずねがございましたが、その部分についても検討会議の場でご意見をいただきたいと思っております。基本的な考え方としては、教員を増やして教科担任制を実施していくことを考えております。一方、これまでの群馬県や兵庫県の取組、すなわち授業交換という形態を決して否定するわけではないので、部分的に追加教員を増員するなどして、より時代にあった教科担任制を進めていければと考えております。

【髙木座長】

  • 今、ご意見頂いている検討会議の議題は非常に難しいものでありますが、この場で検討している内容が、今後の9年間の義務教育の可能性を広げるものになると感じております。検討会議の議論において、委員の皆様と一緒にその可能性の追求を具体的に行っていきたいと考えております。当然、予算措置や教員の数を含めて導入に当たっては考慮すべき事項はあると思いますが、委員の皆様からは是非、導入に当たってこのような可能性が考えられないか、といった、議論を広げるための意見を賜れればと思っております。

【貞広委員】

  • 先ほど財務課よりご説明があったように、制度改革を短期的・長期的な二段構えでどのように導入を進めるか考えていらっしゃるということで、優れた見通しであると思っております。これは本日の議題(2)とも関連する部分で、短期的な取組の中でどのように有効な取組を抽出し、横に展開していくかということを考える上で、各地域の取組の中でどの形を長期的な制度改革として国のスタンダードにしていくかということをきちんと実証することが非常に重要だと認識致しました。我々がここで検討できるのは短期的な仕組みかもしれませんし、長期的な仕組みの着地点を見出すのは(2)の調査研究の結果が出てからということになるのかと思いました。一気に長期的な仕組みを策定するということではないことが分かり、安心出来ました。

【喜名委員】

  • 概算要求の説明にもございましたが、少人数学級の実現はすぐに来年度に、ということではないと思うのですが、実現に当たっては加配教員の定数の改善が必要になってくると思います。そのことと今回の教科担任制による定数の加配について、どう折り合いをつけるのかを心配しております。

【松下財務課専門官】

  • 少人数によるきめ細かな指導体制の整備については、教科担任制の議論と目的も異なるので、別途検討していくことになると考えております。仮の話ですが、もし学級編制について標準法を見直して定数改善を計画的に進めていくとなった場合、小学校も同様に担任以外の教員が増員されることとなるので、教科担任制も取り組みやすくなるという点はあるかと考えます。ただ、それぞれの目的があるので、その目的に応じてしっかり検討していくことになるかと思います。

【齊藤委員】

  • 小学校に中学校の教員を送るとなった場合、現行の免許制度が制度面でのネックになると考えております。その課題解決には、当然、法律を含めた改正が必要になってくると思うので、その辺りの見通しを立てることが必要だと考えております。また、中学校の教員が小学校に行く場合の現行制度の変更がどうなるのかについて、もし何か情報があれば言及いただきたいと思います。

【髙木座長】

  • 本件については、教育人材政策課の方からお願い致します。

【丹羽教育人材政策課専門官】

  • 教育人材政策課の丹羽と申します。今、ご質問いただいた教員免許の関連について、中央教育審議会の中間まとめにも記載をしておりますが、基本的には、例えば、中学校の免許を持っている方が担当する教科が数学の場合、小学校に算数を教えに行くことなどは出来るようになっております。ただ、ご指摘いただいたように特定の教科しか教えられないので、小学校に行った後、関連する教科以外の教科も教える場合には小学校の免許の取得も必要となります。その場合に備え、両方の免許を取得するための仕組み作りを今後検討していきたいと考えております。

【髙木座長】

  • 委員の皆様から様々な質問やご意見が出ておりますが、この会議での検討内容が今後の教育全般の施策等に関わっていくことになります。予算の問題や他の部局との関係も出てくるとは思いますが、出来るだけ、「このような問題点があるがこのような解決をしていけば良い」ですとか、「このようなことを行うと先生方がより良い状態で働けるようになる」、「子供たちの学習状況がより良くなる」など、ポジティブな意見をもっと挙げてまいりたいと思いますが、いかがでしょうか。

【鈴木委員】

  • 先ほど文部科学省から、まずは部分的に専科教員を増員して教科担任制を進めるというお話がございました。外国語と理科と算数の先生を増員していく上で、教員確保についてのご意見を伺いたいと思います。英語については、国で専科の加配をしていただいていることに加え、中学校で英語を教えることの出来る人だけでなく、小学校でも英語の専科を担当できるような教員を採用しようということで、群馬県では多くの英語の教員を採用している状態でございます。算数や理科の指導について、小学校免許を持つ教員が、理科や算数を専門的に指導するという考えであれば問題ないと思いますが、もし中学校の免許も持った教員に指導してもらうということであれば、採用等の教員数確保は課題となってくる部分かと思いますが、いかがでしょうか。ご意見を伺えればと存じます。

【松下財務課専門官】

  • 教員の専門性の担保についての議論もこの検討会議の場で進めたいと思っておりますが、現状としては兵庫県の村田委員からもご指摘があったように、英語の加配については条件を付している状態でございます。同様に、理科、算数も加配で順次措置していくとなった場合に、その部分の専門性をどう担保するのかという議論次第ではありますが、同じような条件を付していくことも考えられなくはないと思っております。当該条件によって採用が困難ということであれば、その点も考慮した制度設計にしていかなければならないと考えます。ただし、予算を獲得するためにある一定の条件を設けることの必要性についてもご理解いただければ幸いです。

【髙木座長】

  • 委員の皆様、ここまでどうもありがとうございました。


4. 議題(2)令和2年度 義務教育9年間を見通した指導体制に関する調査研究について
(1)調査研究概要について
【能見財務課課長補佐】

  • 文部科学省財務課の方から、調査研究の趣旨、狙いにつきまして簡単にご説明をさせていただきます。【資料8】を、ご覧を下さい。「調査研究の目的」という欄に記載をしておりますが、本調査研究につきましては、義務教育9年間を見通した指導体制の整備を推進している先導的な取組、研究事例を整理分析することで、中央教育審議会における検討、効果的な政策立案に資することを目的としております。

  • 「調査研究の内容(概要)」の欄をご覧下さい。中心的なところは左側の1でございまして、国内外の文献調査や、地方教育行政機関を対象とした先進事例調査などを実施致します。教科担任制に係る取組の意義・効果や、学校規模、地理的条件に応じた工夫、さらには取組を進める上での課題・コスト等について、整理をしていければと思います。冒頭の局長挨拶にもありましたが、教科担任制に関わる、これまでの取組の蓄積をエビデンスとして整理・分析していく趣旨で考えています。また、注釈に記載しておりますが、受託者に対しては、多様な実践形態を踏まえるということ、今般のコロナ禍を踏まえて調査先の業務負担を考慮して実施いただくことの2点をご依頼しております。それでは事業計画につきまして、PwCコンサルティング合同会社よりご説明いただきます。


(2)調査研究事業計画について
【PwCコンサルティング合同会社】

  • 本事業概要のご説明に当たっては、【資料9】をご参照頂ければと思います。本調査研究は主に二つの方法で実施致します。一つ目は、教科担任制を既に導入している先進的な自治体の事例を各都道府県の教育委員会にヒアリングする先進事例調査、二つ目は、国内外の関連文献調査でございます。

  • 成果物としては、年度末までに調査研究報告書を取りまとめることを予定しております。4ページの「Process」に記載しているとおり、教科担任制導入の「意義及び効果」、「対象学年・対象教科」、「学校規模・地理的条件に応じた工夫」、「課題・コスト」の観点から情報を整理し、教科担任制の導入・運営のポイントを抽出し、とりまとめる方向で検討しております。

  • 5ページ目にございますとおり、現時点では、全国において実施されている取組を整理すると、教科担任制は連携範囲で大まかに4つの大分類に分類されると考えております。1つ目が「単一小学校内における教科担任制」、2つ目が「複数小学校間での教科担任制」、3つ目が「小中一貫教育」、4つ目が「中学校区内での小中連携」です。2つ目の「複数小学校間での教科担任制」は、実態として、4つ目の「中学校区内での小中連携」と近い形で実施されているものと想定しております。さらに、表中の「中分類」に記載がございますが、1つ目の「単一小学校内における教科担任制」は、「担任間での授業交換」など指導形態によって4つに分けられると考えております。今回、10~15程度の自治体の取組をヒアリングをもとに整理致しますが、その整理の仕方として、それぞれの分類ごとの特徴などをまとめていくことを想定しております。

  • 6ページには、本調査研究で明らかにすべきことを整理しております。一つは「実施効果」、もう一つは「運営のポイント」でございます。「実施効果」については、「教育の質の向上が実現しているか」、「教員の負担が軽減されているか」という、大きく二つのポイントを想定しております。「運営のポイント」は、教科担任制を円滑に運営していくために必要なリソースを「ヒト」、「モノ」、「カネ」の観点で整理し、好事例を抽出致します。例えば、「最大の効果を得るためにどのようなカリキュラムネジメントを行うか」等を整理の観点として想定しております。

  • 9ページには、先進事例調査の具体的な調査の進め方を記載しております。都道府県の教育委員会を対象とし、A、B、Cの3ステップで調査を進めていくこと想定しております。まず、A「地方公共団体等の報告書・レポート調査」においては、公表されている各地域での実践事例の報告書、レポートを確認し、どの自治体にヒアリング調査を実施するかを決定致します。そのうえで、B「地方公共団体への書面調査」で調査票を展開・収集し、基礎情報を整理した上で、C「地方公共団体へのヒアリング調査」を実施致します。また、ヒアリング対象自治体の絞り込みに当たっては、A´として記載しておりますとおり、47全ての都道府県教育委員会に対して、教科担任制の実態調査を行うことも検討中でございます。

  • 10、11ページには、今回調査する各地域での実践事例の報告書、レポートの例の一部を抜粋しております。当該調査はヒアリングの実施に当たっての事前インプットとして重要であると認識しており、参考になる報告書・レポートをこの他にご存知であれば、後ほど是非アドバイスをいただければと存じます。

  • 12ページは、書面調査・ヒアリング調査の概要でございます。「地方公共団体等の報告書・レポート調査」を経て対象を絞り込み、10~15程度の都道府県の教育委員会にご協力頂いてヒアリングさせていただく想定でおります。ヒアリング調査は11月中を目途に終了させたいと考えて、本検討会議の終了後速やかに調査票を作成、展開していく予定でございます。

  • 13ページの表は、現時点での書面・ヒアリング調査対象候補の地方公共団体の例を、弊社にて教科担任制の分類ごとにプロットしたものでございます。現在、表内の都道府県数は16でございます。一点、大変失礼ながら、誤植がございまして、表中「群馬県(高槻市)」は、正しくは「大阪府(高槻市)」でございます。先ほど、鈴木委員にご発表いただいたとおり、群馬県も本表内に入ってくると考えられます。

  • 14、15ページには、現時点でのヒアリング調査項目案を纏めております。「1教科担任制導入の意義及び効果」については、「導入の経緯」、「具体的な取組の内容」、「取組の効果」、「円滑な運営のポイント」等について訊きたいと考えております。「取組の効果」については、「GIGAスクール構想下での取組との連動が生まれているか」、「教科担任制導入の成果を、どのような指標でどのように測定しているか」ということにも触れてヒアリングし、なるべく定量的に効果の説明が出来るよう整理していく想定でございます。そのため、各地域で既に収集されているアンケート調査データなども可能な限り拝読し、整理していく考えでおります。「どのような点に留意すると教科担任制の導入・運用が円滑に進むのか」についても、表中に記載の各観点から、ヒアリングさせていただき、取りまとめることを予定しております。

  • 17~19ページには、国内外の文献調査の対象となる文献の例をリスト化しております。現在弊社にて調査を進行している最中ではございますが、現段階で抜け漏れ等あればご指摘を頂きたいと存じます。国外の文献について、現時点では教科担任制を導入している国として中国のみ把握ができておりますが、もしそれ以外の国についての情報もお持ちであれば、ご教示いただけますと幸いでございます。

  • 21ページ以降には、調査研究報告書と事業工程について記載しております。事業工程について、11月末を目途にヒアリング調査を終わらせ、後続の検討会議において、随時、途中経過をご報告させていただく予定でございます。

  • 25ページにおいては、本議事について、委員の皆様よりご意見いただきたい事項を纏めております。


(3)意見交換
 【喜名委員】

  • 5ページにある大分類の「単一小学校の教科担任制」についてのヒアリングの内容について、従来、研究成果としてなかなか出ていないのが、教師集団の背景についてだと思っており、そういったものが教科担任制の運用にかなり影響すると思われます。例えば、算数なら算数を研究している教員が指導に当たっているのか等、得意分野の教員が専科指導に当たっているのか、年齢構成、学校の教員としての経験年数、また、高学年における授業担当数等、教員に関わる要素が「ヒト」、「モノ」、「カネ」の「ヒト」の部分に大きな影響を与えると思います。なかなか既存の調査報告書では、そのようなところが整理できていないため、是非、どのような条件、または、要件が整えば同一小学校内での教科担任制がうまくいくかについても、ヒアリングにおいてお訊きいただければと思います。学級編成や、6年生、5年生をどの教員に持たせるのか等、学校運営を考える上で、重要なファクターになると思います。

【貞広委員】

  • PwCコンサルティング合同会社からご説明いただき、半年の間にこれだけの計画のもと、これだけの作業量のものを調査研究されるのかと思うと、盛り沢山であると感じます。この調査研究に組み込むことは難しいかもしれませんが、可能であれば、教科担任制を政策として導入する前の、ゼロ地点での基礎データの収集をして頂くことは出来ないでしょうか。半年という時間の枠組みの中では、ご提示いただいた研究設計になると思うのですが、ご承知のとおり、スナップショットで効果等のエビデンスをとるのはまず無理だと思います。やはり少なくとも、今回の調査で分析はしないまでも事前事後のパネルデータを取り、望ましくは、特性の似ている自治体間で、違う形態を導入している自治体と比較できると良いと思います。

  • 先ほど財務課から、短期的な制度設計から長期的な制度設計に向け、どこかの時点でシフトチェンジをするというようなお話がありましたが、短期的な制度設計の場合、恐らく、色々な形態の教科担任制のパターンが全国津々浦々、地域特性に応じて出現すると思われます。これはいわゆる自然実験に相当するようなものだと思いますので、どの形態で、どのような効果が、誰にあるのかというようなことを、可能な限り、地域特性等が似ている、または学力達成のゼロ地点のデータが似ているようなところでデータが取れると良いと思います。この視点は長期的なもので、今回の半年の研究とは関係しませんが、教科担任制を政策として導入する前の、ゼロ地点のデータが取れる時期というのは、今年度と来年度しかありません。事前データ無くしては導入効果等の検討は十分にできません。可能であれば、その辺りもご配慮をいただきたいと思います。このことは偶然ですが、3年から4年位の今後の調査設計の立て付けによっては、自然実験からパネルデータが取れる稀有な社会実験のような状況が生まれると思います。これはPwCコンサルティングというよりも、文部科学省へのお願いですが、やり方によっては、しっかりとしたエビデンスが取れる事例になるのではないかと考えておりますので、今後の調査研究の仕方を考えて頂きたいと思っております。


5. 閉会
【髙木座長】

  • 本日の会議はこの辺りにしたいと思います。皆様からは様々なご意見をいただきましてありがとうございました。人数の少ない検討会議ですので、ざっくばらんに、色々な問題点をこれからも会議の折に挙げてまいりたいと思います。次回までに、委員の皆様も、この件に関しましてご意見を纏めておいていただければと思います。それでは最後に次回の予定について事務局からお願い致します。

【能見財務課課長補佐】

  • 委員の皆様方、本日は誠にありがとうございました。また、次回に向けまして、本日ご説明致しました論点メモ案より詳細なものをお示しさせていただき、委員の皆様に議論を深めていただくべく、事務局にて作業を進めていければと考えております。本会議の次回の日程については、2020年11月24日(火曜日)の開催を予定しております。少し間が空きますが、詳細につきましては追って事務局の方からご連絡をさせていただきますので、よろしくお願い致します。

【髙木座長】

  • 本日予定をしておりました議題はすべて終了致しましたので、これにて閉会に致します。委員の皆様ありがとうございました。

 

お問合せ先

初等中等教育局財務課