令和7年1月31日(金曜日)15時00分~17時00分
WEB会議での開催
堀田座長、藤村座長代理、大久保委員、木田委員、小﨑委員、佐藤委員、讃井委員、戸ヶ﨑委員、中川委員、春山委員
茂里総合教育政策局長、平野社会教育振興総括官、神山政策課長、寺島学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、木村教育DX推進室長、白井教育DX推進室室長補佐、稲葉教育DX推進室室長補佐
デジタル庁、総務省、個人情報保護委員会事務局、一般財団法人 全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人 ICT CONNECT 21、一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)
※資料1「令和7年度教育 DX・GIGA スクール構想関係予算(案)の内容」について事務局より説明を行った。
※資料2-1『「教育データの利活用に係る留意事項」に関する自己点検及び実態把握調査結果【概要】』、資料2-2『「教育データの利活用に係る留意事項」に関する自己点検及び実態把握調査結果』について事務局より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
(意見)
【座長】 年末に公表されて、少し報道されたものでございますが、こちらにつきまして、この場で御質問あるいは御意見、いかがでしょうか。
【委員】 1点だけ、これは要望という形になるかもしれませんが、今見せていただきましたこの自己点検及び実態把握調査結果は、非常に細部にわたって調査・集計されておりまして、各自治体において適切な個人情報の扱いを行う上で寄与するものだと思っているところでございます。
ただ、この資料2-2の中の21ページ4-2のところ、個人情報の取扱いについての相談体制は、16%の自治体が「相談できる体制がない」と答えております。また、もし相談できる体制があったとしても、恐らく専門的知見を持つ方との契約の関係でそう何度も細かに相談することができないというようなこともあろうかと考えております。
実はほかの自治体から、どのような方法でどのような文書を出したらよいか分からないというふうな相談を受けることもあります。利用目的の明示とか委託先の事業者との契約書、これについて例があったらぜひ見せてほしいというふうなことをよく聞かれることがございます。「教育データの利活用に係る留意事項」が今後改訂されるということですので、もし可能ならば、一つのひな形、テンプレート的なものを、なかなか難しいところもあろうかと思いますけれども、お示ししていただくことで、各自治体は適切な取扱いができるようになるのではないかなと考えておりますので、要望としてちょっとお話をさせていただきました。
【座長】 委員には、そういう意味ではいろいろな自治体の模範を市としてお手伝いいただいているんだと思いました。ありがとうございました。事務局には後でまとめてもう一度回したいと思います。
【委員】 資料2-1の主な結果の丸4と丸5に関係するところで、これまで教育のソフトウェアはインストール型のオンプレミスのものが多かったと思うのですけれども、これは当然教育委員会の中のサーバーにデータがたまってということなので、自分がしっかり管理するという管理者意識が教育委員会にもあると思うのですけれども、SaaS型のサービスを契約しているというような場合は、教育委員会としては過去の体験から、自分たちが持っているような認識でいる方もいらっしゃると思いますが、実態は事業者が事業者の管理の下でサービスだけを提供しているというような形になっています。契約の形態が全然違うわけです。なので、業務委託にもなっていないというような状態ですので、この改訂でそこがしっかり語られているとか、現場の認識が、私が今お話ししたような認識と同じであれば問題ないのですが、私がお話ししている多くの教育委員会は、そこの意識がまだ、SaaS型のデータが委託ではなくて事業者さん側にあって、管理主体が向こうにあるということを御理解されていないケースも多いように感じておりますので、この留意事項の改訂版でSaaS型のサービスの場合のデータの取扱いについてしっかりと書いていただくといいかなと思います。
【委員】 今御提示をいただきました資料2-1に関連してなんですけれども、まず、こういった全体把握をされていることはすばらしいなと思っています。
まだ対応できてないという自治体が、調査によって1割から3割ぐらいまであると思うのですけれども、できている自治体とできてない自治体の違いは何なのだろうということがちょっと気になっています。委員がおっしゃられたとおり、例えば進め方の型みたいなものを入手できてないからできないということが問題のケースもかなりあるとも思いますし、あとはできていない自治体の多くが、こういった情報セキュリティ周りの担当者を決められていないということが問題なのであれば、それを必ず決めるように、文科省のほうでウォッチをしていくとか、あるいは自治体規模的に難しい場合は、そこを県と連携をして、県のほうでそういった小規模自治体を支援していくような役割を逆に県の教育委員会に依頼をしていくという形もあるのかなと思います。
この結果を基にして、何が結局問題になっているのか、その問題に対してどういった手だてをしていくのかというところが整理をされていくとすごく良い方向に向くんじゃないかなと思ったというところでございました。
【座長代理】 関連してですが、問題は、これから増えていくであろうSaaS型サービスの場合の情報のオーナーが誰かという整理をきちんと明示していただくということかと思いました。管理自身は恐らく提供事業者さんのほうでしっかりしていただくのですが、あくまでも情報のオーナーは契約主である教育委員会等学校設置者だと思いますので、ぜひそこを明示してひな形も作って提示していくと良いと思ったので一言申し上げました。
【事務局】 御意見いただきまして、ありがとうございます。
少し回答させていただきますと、まず、委員からいただいた、実効的に教育委員会で個人情報保護法等を守っていただけるようにする取組ということでは、まさに先ほど今後の取組で申し上げた民間の学習ソフトウェアを利用する際に留意すべき点として、教育委員会で御判断いただく際の補助になるようなものを作成しようと考えております。また、利用目的やその他の情報を示すある種お手紙のようなもののひな形については、今、留意事項の事例編のほうで項目等の例示はさせていただいているのですが、もう少し分かりやすくなると良い、という御示唆かと思いますので、今後の検討事項とさせていただきたいと思います。
また、委員方からいただいたSaaS型の部分については、まさにそういった製品が今どんどん増えていっている中で、これは教育分野に限らないことですので、個人情報保護委員会のほうでも検討が進んでいて、少しずつ考え方が整理されていっている状況と認識しております。留意事項の改訂に当たっても個人情報保護委員会とも連携しながら進めておりますので、今後も書けることができたら速やかに載せていきたいと思ってございます。
また、広く今後実効的な方策をしっかりしていくべきという御示唆もいただいたと思っておりますので、まずは説明会での周知徹底や、留意すべきポイント、研修資料の公表等を行ってまいりますけれども、おっしゃっていただいたとおり、できているところとできていないところの差の要因等も考えながら、実効的な方策を進めていけるようにしてまいりたいと思います。
※資料3-1「効果的な教育データ利活用に向けた推進方策について(令和6年度議論のまとめ)(案)」、資料3-2「効果的な教育データ利活用に向けた推進方策について(令和6年度議論のまとめ)(案) 参考資料集」、参考資料「効果的な教育データ利活用に向けた推進方策について(令和6年度議論のまとめ)(案) 【概要】」について事務局より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
(意見)
【座長】 皆さんからたくさんの御意見をいただきましたので、まずもってそのことに感謝申し上げたいと思います。また、事務局には、それをその意図のとおりにできるだけ詳細に検討していただきまして、反映させていただいたところでございます。この事務局の御努力にも感謝申し上げたいと思います。
先ほど事務局が最後におっしゃったように、ほかの文書にもあったりとか、ほかの会議体との関係もあったりとか、いろいろな判断もありますが、それらについては、また皆さんの御意見を今日いただきながら、さらに検討してまいりたいと思います。
まず、一応確認しておきます。その後議論したいと思うんですが、前回12月19日の私たちの会議の後、12月25日に中教審に対して大臣からの諮問がありました。諮問は2つありましたが、一つは教育課程の、つまり、次期学習指導要領に対して検討がスタートするということがありました。昨日、その検討を中心で行う教育課程企画特別部会が開催されたところでございます。
このように大きな教育改革が今始まったところでございますので、大目標みたいなことをいま一度、確認しておきたいと思います。それは、今日この文書にも書いてありますとおり、1人1台の端末や通信ネットワークの一体的な整備によって、誰一人取り残すことなく全ての子供たちの力を最大限に引き出すという、このことが大目標でございます。それは、各学校あるいは各自治体の様々な御努力の中で行われることでありますので、国として標準的に決めなければいけないこともある一方で、とりわけ、自治体の選択の自由度をきちんと保障するということが必要だろうと考えております。このことは今までの議論でもあったことだと思います。
その上で、国がやらなければいけないことと、自治体がやらなければいけないこと、民間等がやらなければいけないことということについて、役割分担という言い方で検討してきたというところでございます。皆さんの、前回の御意見をいただきましたので随分と書き加えられていますが、これに対してまた皆さんの御意見を今日しっかりといただきたいと思います。それでまとめに持っていきたいというところでございます。
では、挙手いただいた方から、私のほうで御指名さしあげます。残り時間はこれに使えますので、皆さん御協力をよろしくお願いいたします。
【委員】 資料3-1の4ページについてよろしいでしょうか。4ページにデジタルとアナログのことについて触れているのですが、先ほど資料1「令和7年度教育DX・GIGAスクール構想関係予算(案)の内容」の7ページで、デジタル教科書について令和7年度の取組が書かれておりました。そこでは実践的に活用している教師が約5割ということですが、一部新聞報道などを見ますと、IT先進国では学習への影響から脱デジタルの動きもあるとのことです。例えばデジタル教科書に重点を置き過ぎると、日本もそんなことにならないかと大変不安でもあります。日本の教育では、こちらの報告書にあるように、デジタルに全面的に置き換えるのではなくて、アナログとデジタルのそれぞれのよさを生かして相互に補完するべきではないかと思っております。
また、デジタル教科書の将来性について、ハイブリッドの教科書という話も新聞などで見ます。そういったデジタル教科書の、新学習指導要領では、例えば各自治体がデジタル教科書を採択するに当たって、学習eポータルを活用する必要が出てくると思うのですが、実証用学習eポータルと民間学習eポータルでそれぞれどう違うのか、それぞれ何ができて何ができないのかということをこれから詳しく知っていく必要があると思いますので、今後ともそういったことの説明をよろしくお願いします。
【座長】 デジタル教科書については、中教審の中のワーキンググループで現在検討が進んでいるところでございます。先ほど申し上げたように、中教審は、次の学習指導要領に向けて、これから令和の学びをどういうふうにさらに進めていくかという検討の中で、多様な子供たちを支援するために、紙のよさのみならず、デジタルのよさもしっかり生かしていこうと。その場合、紙かデジタルかどっちかを選ぶみたいなことではなく、その両方を上手に使い分けていくというような考え方で制度をどのようにつくっていくかということの検討がまだ始まったところでございますが、場合によってはちょっと先走って報道してしまっているところもあるのかなと私は感じております。
ほかの国については、人口をはじめいろいろな違いがありまして、我が国としては、1億人を超えているこの国でどのように制度運用していくのかというのは、他国がこうだからうちもこうだというふうに簡単には決められないような部分もございまして、この辺りも慎重に今検討が進んでいるところでございます。
このことと学習eポータルとの関係については、また、後ほど事務局に回したときに少し御説明いただこうと思いますが、そのことがいろいろな自治体や各学校に適切に周知されるような形が必要であるという委員のお考えかと思います。そのことは大変重要なことだと私も思います。
【委員】 これまで様々な観点から多くのお話が出ているところを、大変良くまとめていただきまして、本当にありがとうございます。このまとめを拝見し、私自身が全体の議論の振りかえりがあまりできていなかったことに気がつかされております。そのうえで改めて全体を通して見て気づいたことや感じたことを述べさせていただきます。
最初に、2ページ「はじめに」と3ページ「1.教育データ利活用に関する基本的な考え方」のところですが、本年の議論の中で検討された様々な観点を良くまとめていただき、17ページ「終わりに」というところでは、これからの大事な方向性をうまくまとめていただきました。ありがとうございます。
一方で、その途中のところでは幾つか気になるところがございます。7ページ「2.データ利活用に当たって必要となるシステム構成や機能等とその選択」のデータ利活用に当たってというところの中で、9ページではMEXCBTや学習eポータルや教育データ利活用という話が入り混じっているように感じました。全体の流れからしますと、まずはデータ利活用から入るのが適切かと思われますので、順番としては、9ページのところの一番下から次の10ページにつながるところのほうが最初にあってから、その次にMEXCBTなどの項目になるほうがいいように感じました。
併せまして11ページ「3-2.自治体等の主体的な選択に向けた課題及び今後の対応」の上から2つ目の丸のところに、児童生徒のデータリテラシーのことが他の話題の間に入っているように見えます。ここの章は、教職員や教育委員会の観点で書かれていますので、教職員のデータ活用のリテラシーを中心に展開されたほうが良いと感じましたので、外されたらどうかと思います。
順序という意味ではもう1点ございます。13ページのところが同様に、幾つかのものが大変多く出ておりますので順番はつけづらいのですが、13ページの最初のところの丸2つぐらいの後ろには、14ページの下から2つ目3つ目辺りのことが書かれるようにした方が全体の流れが良くなるのでは感じました。
また学校用教材という単語は外部のよく知らない方にはわかりづらいので、もう少しこのようなものだという説明が必要かと思います。またここでの一番のポイントは、学校用教材がこういうふうに使われていて重要な目的で使われているということでしょうから、いきなり学習eポータルの接続の話題より、まずこれをしっかりと説明し、こういう教材をしっかり選択するということで、学習eポータルの話題は、その後ろにあったほうが分かりやすいかと感じました。
それから、15ページのところと16ページも、いろいろな形で議論が活発にされたところでありますが、ここの中で、国の役割の中に実証用学習eポータルのお話が書かれていますが、この話題だけがこの章では違うお話で出ている感じがしております。ここは学習eポータルの章で、14ページの下のベンダーロックインのような懸念も指摘されるというところのなかに、この話題も整理されたほうが良いのではないかと思います。
そして最後ですが、参考資料「効果的な教育データ利活用に向けた推進方策について(令和6年度議論のまとめ)(案)【概要】」です。このように議論全体を一表にしていただくことはわかりやすくなり大事でありますが。一方でシンプルにまとめるには難しい点もあるかと思います。そのうえで感じたことですが、今回の議論全体としての方向性は、まずは試行錯誤しながらでも、もっと教育データを利活用していこうという方向性かと思います。そういうことからすれば、「3.効果的で持続可能なデータ利活用に向けた取組」のなかで、自治体等の選択の幅をというようなところの記述としてはいかがなものかと感じました。また「2.データ利活用に当たって必要となるシステム構成や機能等とその選択」の中で学習eポータルの記述は面積を取り過ぎではないかと少し感じます。まずは全体としてのリテラシー向上や、様々な観点に留意しながらも、子供たちや先生の未来に向けて対応していくということが最も大事なので、ここは全体のバランスを少し考えていただけたらなと思った次第です。
とにかく冒頭に座長がおっしゃいましたが、GIGA等の投資というのが、これからの教育の本当に重要な時期に、是非有効に使われたらということが大事なのだと思います。教育関連では、教員のなり手が少なくなっているような暗い話題が最近は多い中でこの教育データ利活用に関してはもっと前に出ていくようなお話にしたく、そのトーンが出るようなまとめになればと願っております。
【座長】 大変しっかり通読していただいて、分かりやすい順序になるようにという御指摘だったかと思います。こちらについては、事務局と相談して変更してまいりたいと思います。
【委員】 まずは多岐にわたる様々な委員の意見等をこのように短時間に、また大変よくまとめていただいており、座長並びに事務局の皆様方の御労苦に対して感謝とお礼を申し上げます。
まとめを読みながら、恐らく今後に向けて様々な事情や含みがあるものと思いますので、私からは細かな記述はともかく、何点か全体的に気になったことを申し上げたいと思います。
1点目は、まとめの中に国の役割として記載されていますが、今後重要になってくるのが、国として教育データ利活用によって具体的にどのような世界を実現していこうと考えているのかという未来像や姿を分かりやすく示していただくことかと思います。まとめに沿って進められた後の教育委員会事務局や学校現場などの具体的な将来のイメージがいま一つよく見えておらず、厳しい言い方をしますと、イメージできないものは実現しないと思い危惧しております。大事なことは、先ほど座長からもあり、次期学習指導要領の議論と同様で、納得と共感がこの教育データにおいても非常に重要になってくるかなと思います。
今年度のここまでの議論は、特にデジタルの学習リソースの在り方に関するものが多かったように思っていて、その点においてはテキストベースではよくまとまっていると思います。ただ、心配しているのは、この議論に参加して、ここに今参加している方々をはじめとして関心を持っている方々は理解できたとしても、そうでない教育委員会や学校現場、また、事業者などの関係者が理解できないのでは、なかなか実現が滞ってしまうと思います。難しいところではありますが、誰にでも分かりやすいイメージ図や、全体が見える絵を描いていただけると、このまとめがより意味や説得力のあるものになるのではないかと思います。
それから2つ目は、基礎自治体の役割として、教育データの利活用のメリットや重要性を学校現場と共有しながら協働して進めていくことが強く求められています。都道府県には、そのための支援を行うという役割が求められるとまとめていただいていますが、都道府県によっても考え方や理解度にどうしても差が大きく生じることが考えられます。
したがって、このメリットや重要性が学校現場にきちんと浸透していくように、国としても都道府県、そして基礎自治体それぞれに対して適切な支援を継続的にしていただいて、さらなる支援強化をしていただけるように改めてお願いできたらと思います。安易に任されたままになっていると、どんどん差が広がってくる危険性もありますので、そのことも考えていただきたいと思います。
最後に3点目として、やはり子供の学びが重要ということで、それに直接関連するデータの議論がこれまで大変多かったと思います。この教育データの一つとして分類される、教師の指導支援等に関するアシスト・ログの取得や管理、また、活用をどうするのかというさらなる議論、また関連して、教職員や教育委員会事務局の業務の価値向上や負担軽減に教育データ利活用を含めたDXがどう生かせるのかについても、今後の調査研究も必要になってくると思います。加えて、研修履歴のことも含めて、その基盤として教職員や指導主事のID管理なども含めて、これらを中長期的な課題としてぜひ議論していけたらいいのかなと思います。
【座長】 大変貴重な御意見でございまして、この議論のまとめにどこまで入れられるかはまた検討して御相談差し上げますが、今後私どもが検討していかなければいけない大きなことを御指摘いただいたと思います。ありがとうございました。
【委員】 資料3-1を拝見しまして、推進するために足りない記述は何かなという視点で見たんですけれども、結論から言いますと、データサイエンティストの存在というのがこの中には全くなくて、システムにややフォーカスした側面があるかなと思います。戸田市の事例を聞いておりましたら、データサイエンティストを配置されて、そこが問題を見いだして、戸田市が解決したい問題をデータサイエンティストが中心になって紐解いていったというような事例があったかと思います。
1-3の辺りに、推進するためにまずデータサイエンティストを配置して、その地域特有の問題を、地域特有なのか、ひょっとしたら全国で共通の問題もあるかもしれないですけれども、まずしっかりと問題提起をし、業務要件を洗い出す必要があると思います。GIGAスクール構想の整備環境も地域ごとに全くばらばらな、共通仕様に従って独自性があるという状態だと思うんですね。全部同じですという地域を私は見たことがないので、地域の特性があることを思うと、そういったデータサイエンティストがCIOのような存在と連携しながらシステムを引っ張っていくということが大事なのではないかなと思っておりました。
あと、ちょっと余談というか、委員が御発言されたデジタル教科書のところに関しては、座長からも幾つかコメントがありましたけれども、この文章を読む限りにおいては、学習eポータルがないとデジタル教科書がワークしないというようなことはないという認識でおりますので、全体的に誤解をもし招くようなドキュメントの仕立てになっているようであれば、もう一度見直して、誤解がないように読んでいきたいな、見ていきたいなと思っております。
【座長代理】 たくさんの議論を非常に分かりやすくまとめていただいた座長と事務局に心から御礼申し上げたいと思います。非常によく分かりました。それをさらに生かすためにという視点で、話をしていきたいと思います。
1点目は、今期のこの議論を始めるとき、各教育委員会、そして教職員が腹落ちするようなそういうものにしなければならないというのを最大のミッションとするというお話をいただいたかと思います。そういう視点で、文章で書いていただいたこのまとめについては誤解のないように非常によく出来ているのですが、先ほどおっしゃっていただいたように、それを読んでくれる人は多分ほとんどいないと思うので、参考資料を拝見していくと、これは一目で分かるという点では大変よろしいんです。
これはこのままで結構ですが、もう1個大変恐縮ですが、参考資料だと1枚なので、粒度が大きいかなと思います。もう少し数枚で、例えば留意点についても、先ほどSaaS型モデルの場合はこうだとか、各教育委員会がこの参考資料だけ見ればおおよそ分かるとか、各先生方が、こういうメリットがあってこういうふうにすればいいとか、そういった数枚のパワポレベルのビジュアルなものを、しかも構造的なものを用意していただければ大変ありがたいと思いましたので、それを1点目で申し上げたいと思います。
2点目です。2点目は、ここに書かれている教育データの利活用の文脈は、どうも自治体内での活用に終わっていないかなという点でございます。私が全国の市町村、都道府県のデータの利活用の助言に回っていますと、自治体クローズドな議論で何千万もかけて開発したダッシュボードが、そこでしか使えない、そのノウハウも他県に波及しないというような状態で、いわゆるガラパゴス化したデータの利活用になっていないかという点についてちょっと付け足して、みんなで最大限に成果を共有できるようなそういう文脈を加えていただければありがたいなと思いました。市町村、それから都道府県はもちろんですけれども、もちろん国のEBPMにもちゃんと活用できるはずだなと思います。
もう一つは、ダッシュボードを個別に開発するという発想だけではなく、今は生成AIを上手に活用すれば、データを個人情報が漏れないような形で加工した上で食わせれば、非常にビジュアル的に、BIツールと組み合わせて分かりやすいデータの分析ができるということもありますので、その辺も触れていただく。ダッシュボードも共有できるものは共有するとか、ノウハウを共有できるようなものは共有するといったガラパゴス化防止をして、最大限に国全体にこの取組を広げる工夫について記述をお願いしたいと。
もう1点は、それをやるためには、実はデータ連携の標準化が必要だと思っています。データの標準化とデータ連携を標準化しないとうまくいかないと思いますので、その辺のこととか、前回申し上げたそれを支える共通認証基盤の話とか、そういったガラパゴス化という過ちはもう二度と起こさないということについて触れていただければ大変ありがたいなと思いました。
【座長】 確かに座長代理がおっしゃったように、私たち今期は8回検討しているわけですけれども、その8回の途上で出ていきたいろいろな提案とか、文部科学省として提示したモデルとか、そういうものを十分に思い出せるように書かれているかどうかという点においてはいま一度確認をして、必要な文言を付け足し、できるだけ現場の先生方に分かるように、腹落ちするように、これなかなか難しいことだと思いますが、できるだけのことをしたいと思います。
【委員】 まず、このまとめを取りまとめていただいた関係者の皆さんに深く御礼を申し上げたいと思います。これまでの会議の中でも大変恐縮ながらいろいろな意見を言わせていただいたところもありましたけれども、そういったところも非常に配慮をいただきまして、こういったまとめをつくり上げていただけたことに感謝を申し上げたいと思います。
まず、全体的なところですけれども、やっぱり今回、国策として教育データ利活用を推進していく。その中で、MEXCBTにしても、学習eポータルにしても公的な仕組みを導入していくというところに当たって、持続可能であり、公共性を担保していくために継続的に議論をしていくとか改善を続けていくということを明言いただいたことが、全体としては非常に大きかったと思います。
特にその中でも10ページのほうに触れていただきましたけれども、公教育を持続的に民間企業が支えるための「エコシステム」という言葉、そのエコシステムの確立が不可欠と明言をいただいています。こちらについては、文部科学省として官民連携の新しい在り方をつくっていくというスタンスを表明いただいた、非常に重要なキーワードだとも思っています。
やはりその一環として通常の民間だけでの自由競争の中の取組とは違う性質の政策であるという前提に立った上で、適合性評価の実施とか、あとは適正な取引を求めるなど、国としても継続的にこの施策に関与していくと。要は、民間の自由競争にまるっと任せるということではないと御明言いただいたことというのも、非常に大きく、業界の関係者にとってのこれは安心感にもつながってくる部分だと思っています。
さらには、技術的な視点については、12ページのほうで御指摘をいただきましたけれども、今現に起こっている問題の特定と見直しを明言いただいたということで、継続的な議論が続いていくと同時に、その中で、現場で起きている問題が解消されることを期待しております。
こういった学習 eポータル含む教育データ利活用の仕組みづくりというのは、本当に大事な、子供たちの未来を左右する施策だと思っていますので、一つ間違うと自由な教材選択ができなくなってしまうとか、オープンなデータ利活用が逆に阻害されてしまうというリスクが、潜在的にというより、現在も顕在的にあると考えていますので、国として今後も問題がないか注視をして、解決に当たって厳しく監視や是正というところは担っていただきたいと思っています。
ここからは、細かな点になりますけれども、資料3-1に関してなんですが、9ページのところで、「学習eポータルに関する標準・指針等の在り方を検討していく際には、こうした役割等も踏まえることが必要である。」という記載がありまして、そこの「こうした役割」というのがどういう性質のものなのか。これは恐らくMEXCBTを指していることだとは思うのですけれども、どういったものかということをきちんと意味づけるために、「こうした公共的な役割」、あるいは「こうした公教育の基盤となる役割」という言い方にしたほうがいいかなと思いました。ちなみに、公共的な役割というのは14ページの注釈21にも「公共的な役割」という言葉が出てきておりますので、そこと一致して公共的な役割という書き方でもいいのではないかとは思いました。
次に、14ページの下から2番目の項目のところになるのですが、「通常の商慣行に照らして適正な取引となるよう努めること」という記載が14ページ下から2番目のポチのところにあります。そこの部分を少しだけ加筆いただいて、「通常の商慣行に照らして適正で透明性のある取引となるよう努める」というふうな言葉にしてみてはどうかと思いました。この辺りは実際、会議後も私がいろいろな業界関係者のヒアリングをするに当たって、やはり取引条件が隠された状態で、接続に当たっても、それぞれの学習リソースと学習eポータルの関係の中でばらばらの条件になっているみたいな話も出てきている中で、やはりこういった公共的な性質を持つ取引に関しては、適正であると同時に、きちんとコストとか契約条件というところをオープンに公開していく、自治体もそれを知ることができるというような、そういった透明性というキーワードも大事ではないかと思う次第でございます。
16ページのところ、ここは、コメントだけですけれども、国の役割のところで、国として「自治体が整備に際して負担した費用の支援」というところの可能性も残したことも非常にありがたいなと思っています。私としては、この会議の中では、やはり特に公的な性質が強いMEXCBTの部分については、今民間の学習eポータル事業者の方が担っている部分に関しても、国として財政的な支援をしていくことによって、MEXCBTを担われている民間学習eポータルの方が持続的にビジネスというよりも運営を継続することができる。言い方はあれですけれども、何かオプションのビジネスを考えなくてもMEXCBTの運営に集中できるという、そういった体制をつくっていくことは理想だと思っていますので、MEXCBTの費用負担についても今後継続して考えていただきたいなと思います。
次に、これまで議論をあまりされてこなかった点を2点触れたいと思います。一つが、私自身がいわゆる教材、EdTechの人間ということもありまして、教科書とか、あと、校務支援システムとの連携というところについての議論とか言及がちょっと少ないのかなとも思っています。デジタル教科書と学習eポータルとか、校務支援システムと学習eポータルというような接続のところにも、それは学習eポータル事業者側から見てのやりづらさとか、逆に教科書会社と校務支援システムの側から見てのやりづらさとかというものがきっとあるのではないかと思いますので、そういったところについても今後の議論の中で扱っていく必要があるかなと思いました。
次は、これは私の立場で言うのは若干おかしいですが、学習eポータル事業者の立場に立ったときに、データ移行の重要性というところの話が出たと思います。データ移行するに当たってというところも、ひょっとしたら必要なコストがかかってくる可能性があるのではないか。データ移行に当たっての必要経費についても何か適正な費用でとか必要な経費の範囲でとかそういったところについて考える必要があると思います。要は、もう移行するから、学習eポータルは何でもただでやってくれということはちょっと乱暴なやり取りかなと思いますので、そういったところに対してのケアも必要かなと思いました。
最後にまとめになりますけれども、今回、私自身もその責任はちょっとあると思うのですが、学習eポータルを中心とした大がかりな仕組みの話が多くなってしまってはいるんですけれども、本来、データ利活用というのは、今手元にあるデータ、それこそ今までやってきた学力の調査とか個別の学習リソースで取れているデータみたいなことでもできるものだと考えています。なので、データのハブ、学習eポータルみたいなものでデータを統合するとか、ましてや統合的なダッシュボードというものを作り切らなくてもデータ利活用は始められるんだということをやはりメッセージとして強く自治体・学校関係者には伝えていただきたいと思います。何よりそういった自治体・学校関係者が具体的なイメージと手触り感を持って始められる、まさに身近なデータ利活用こそすごく価値があることだと思っていますので、そういった身近なデータ利活用が拡大し広がっていくための支援というところを私たちも文部科学省や経済産業省などの皆さまとこれからまた御一緒していけたらと思っております。
【座長】 この8回の第3期の会議の最初のほうの議論と最後のほうの議論でいうと、後半はやっぱりビジネスモデルに代表されるような話に随分と傾斜した部分はあります。最後におっしゃった手触り感みたいな話を忘れているわけではもちろんないですけれども、学校現場を支える民間の方々のビジネスの仕組みを視野に入れながら現場を支えるという辺りを後半は中心にやってきたのかなと思っております。まだまだ解決しなければならないことはたくさんありますので、今年度のこの議論のまとめはどこまで書けるかというのは様々調整がありますけれども、今後の課題みたいなこともしっかりと御提示いただいたと思います。
【委員】 この今回のまとめはじっくり読ませていただいて、大変細かなところまで配慮と気遣いが見られまして、いろいろなことをご検討いただいて書きあげていただいているというのがよく分かりました。座長と文部科学省、事務局のみなさまに感謝申し上げます。
感想とイメージしていることですが、まず、ここのところ毎日のように小学校、中学校を訪問しています。子供たちと話す機会も増えました。それで、例えば他の委員がおっしゃっていた、ICTを使うことはどうなのか、デジタル教科書はどうなのかということを、子供たちに聞くために直接話してみると、私のイメージしていたのとは全く違いまして、とにかく、「早く全部デジタル教科書にしてほしいとか、持って帰るのは重たいけど、いつでも自由に好きなときに触れるということで、もしかすると、私たち大人が思っていることとか、私たちが子どもたちはこう考えていて、こうなっているんじゃないかと、想像して進めていることが、実際にデータを享受したり活用したりする先生たちや子供たちに届いたときに、子供自身は大人よりもずっと前向きに捉えていたり、もっとこうなったらいいのにということを感じているのだな、というのが、多分この二、三年、まさにGIGAスクール構想の成果として徐々に子供たちの中に浸透してきて、子供たちの中にもはっきりとした変化が出ているのではないかなと感じています。
ですので、これまでの子供たちという視点で見ながら、データはこうだよね、こういうことを活用していったらいいよねという議論はもちろんですけれども、感覚もイメージも、自分たちの中で持っている子供たちということに対して、私たちはそれを邪魔しないようなデータの管理の仕方ということが大事になってくるのではないかなと思いました。それが感想です。
あと、1人1台端末というところに関わる表現ですけれども、恐らくGIGAスクール構想というのは、高速・大容量のネットワークを整備して、それを活用するために1人1台のデバイス、端末という表現でしたけれども、まさにネットワーク上にあるデータや、私たちがシェアしたり自分で作り上げたりしたものを、上手に活用するために手元に端末を置こうという発想でスタートして、そういう整理になっていると思うんですけれども、数年前の形で考えておられる方々はまず手元にパソコンがあって、それをインターネットにつないだり、パソコンで処理したデータをネット上に置いたり取ったりという、そういうイメージに捉えていますから、どうしても、活用となると、学校の先生たちは特にそうですけれども、コンピューターもしくは手元にある何かにすごく縛られているようなところがあって、それがクラウド上にあったりとか、いわゆるみんなでシェアして見るということになったりした途端に、自分の手元から離れて、データが他者と共有されることはちょっと気持ち悪いとか、見えないことに対して、不安を感じるということに陥っているというのを、特に強く感じるようになってきました。
多分IDのこととかもそうですし、それから、学習eポータルとかいわゆるデジタル学習基盤ということもそうですけれども、まずデータを活用するためには、環境がしっかり整っていて、その環境はこうこうこうなれば、皆さんが考えていることが実現できますよねという整理の部分が必要。そしてそれを運用するためにはちゃんとした組織が必要。教育委員会とか、それから国とか、それから実際の学校ではこういうことで進めていくのですよという、組織もしくはチーム、そのようなものが要ります。それとデータを活用する人たちがいて、こういうエビデンス、データがあるので、こういうふうな形でデータを保存したり、活用したりすればいいのではないですか、という提案につながれば、まさに教育的効果が高まりますよね、というイメージが湧きやすいようにしておく必要がある。
パソコンがとか、1人1台端末が、という表現が最初に来ているのではなくて、ネットワークとかインフラとか、それを活用できる環境があって、それを利活用するために、1人1台端末があると見えるような、話の流れになっていたらいいのではないかなと感じました。
【委員】 ダッシュボードの位置づけについて、いろいろな皆さんの意見もお聞きしながら、ちょっと読み手に誤解が生じるのではないかなと心配に思ってお話をします。
データフォーマットに関して標準化は必要だと思っていまして、分析をするときに、後から、ここのキーが足りないから結合ができなかったとかということがないように標準化する必要があると私は思っているのですが、ダッシュボードに関しては、もし標準化をする必要があるような側面があるようでしたら、これは標準化ですから、国が主導してやればいいと思うんですね。
恐らく、私は民間企業のデータを用いた意思決定とかダッシュボードを何年も前にやった経験からいうと、それぞれの活動主体で発生する問題が異なることが多いですので、標準化されたダッシュボードは割と形骸化してしまって、見た目もいいので、経営者とかは一瞬喜んで、グラフなどが動いたら、「あ、いいね」とか言って導入するのですが、大体しばらくすると使われなくなるんですね。
そういったパッケージものをまず使ってみようというようなところと、それから資料3-2の12ページ、13ページ辺りを見ていると、まず使ってみようで、パッケージングされているようなダッシュボードをまず入れてみようみたいな短絡的なアプローチになってしまわないかなというのを大変心配してお話をお聞きしております。委員がおっしゃるような成功事例を共有していくようなコミュニティとか議論というのは大変重要だと思うのですが、紋切り型のダッシュボードを入れていくというのは少し違うのかなと。
そういう意味でいうと資料3-2の11ページと12ページの間に少し論理の飛躍というか、ステップがちょっと足りないのではないかなと思っています。ケースがたくさんあって、11ページ目まで、なるほど、こんな成功事例があるのかというのを見られるのですが、こういったことを、データサイエンティストを置いて問題を明らかにして、それが誰もが簡単に見えるような、データサイエンティストがあなたの隣について1人ずつ専用のダッシュボードを作るのではなくて、地域や学校で必要なダッシュボードを作るというプロセスが求められるのではないかなと思うと、そこのガイドが少しないので、紋切り型のダッシュボードがいっぱい入れられて、誰も使わないというふうにならないかというのをちょっと心配しております。具体的には9ページとかといった部分に、あと、6ページのまず使ってみるというところにもう少し丁寧な書きぶりが何かできないかなと思って見ておりました。
【座長】 ダッシュボード等についても、自前で作るような先進的な自治体と、取りあえず何か大体こんなものかなというものを中間的に提供して、それをまず使って見てもらうみたいな話と、何かもっとパッケージ化されたものが可能なのかどうかという議論が以前にあったと思うのですけれども、そういうことがちゃんと読み取れるように書くということかと思いました。
まさにダッシュボードって、いろいろなところで発生する発生源が異なるデータをどうやって一覧化するかというのは、どのような問題に対応するためにどのようなデータを一覧化するかということになるので、今、委員がおっしゃったように、立場が違えば、あるいは範囲が違えば、目標・目的が違えば、ダッシュボードは異なるということになります。BIツールというのはそういう意味ではよく出来ているものだと思うんですけれども、こういう教育BIツールみたいなものが何かもっと簡便に用いられるようなものが製品になるといいなと僕も思っているところでございました。
【委員】 私からはもう本当にもう瑣末なところ、細かなところかもしれませんが、資料3-1の9ページの3つ目のセンテンスのところ、教育データを可視化する仕組み、脚注のところにはダッシュボードだというふうなことが書かれているのですが、この上のところには、児童生徒に関する学習面、生活・健康面のデータを云々と書いてあります。一方、この参考資料集のほうを見たときに、資料3-2の12ページ、ここのところにダッシュボード機能として*印がついて説明がついているのですが、「様々なデジタル教材等で得られたデータを集約して可視化し」と書いてありますので、こうするとスタディ・ログをまとめるのがダッシュボードみたいに読めてしまうかと思いますので、ここについては表記を統一する。
もしかしたら、アンケートを取ったときにこのような形で出されていたので、それをそのまま転記されたのかもしれませんけれども、割と自治体から見ると、見やすい1枚物を見て、ダッシュボードってこういうものなんだねというふうにして誤読してしまう可能性もあるので、本来、本文に書いてあるところの表記にできれば統一していったほうが、今後恐らく校務支援システムとの連携等を考えて、ライフ・ログとかアシスト・ログみたいなものもこの中に反映されていくのだろうと思いますので、ここは表記を統一するという形で進めていったほうがいいのではないかなと思ったところでした。
【委員】 ちょっと全体的な話になってしまって恐縮ですけれども、本会議はGIGAスクール構想に基づく1人1台端末環境を整えた後どう使うかという本当に次の大事なテーマに取り組むために、データをどう使っていこうかということが議論される会議体だと思って、とても重要だと思っています。
その上で今の議論の中でも、やっぱりデータという定義が、例えば技術的な標準化の話から教員の育成とかリテラシーのほうまで多岐にわたってしまって少し分散している議論になってしまったのは、自責の念も込めて少し反省すべき点だったのかなと思っています。ただ、本当に現場を見られている方々、私も見ますけれども、現場のさらなる活用の必要性、まだまだ使われてないという、理解も含めてされていないという問題点と、片や劇的なテクノロジーの進化に伴う社会変革の両方のはざまの中に挟まれながら、我々は施策を考えていかなければいけないという難しさを改めて認識したところです。
私の読み方が間違っているかもしれない、独善的な読み方かもしれませんが、今回はMEXCBTで実施される全国学力・学習状況調査というある種の限定的なデータと学習eポータルにつながっている民間教材、これを通して、自治体の自由度を妨げない、ある意味裁量に任せるのだという方向性になったと理解しているのですが、果たしてこれで、冒頭座長もおっしゃられた大目的、誰一人取り残すことなく全ての子供たちの力を最大限に引き出すことがこれでできるのだろうか、この状況でできるのだろうか、ということに改めてちょっと疑問を感じております。
本来、先ほど来出ている、BIツールとか自分たちの手元のデータをどうするかという話と、もう一つはやっぱり、先ほどの全国学力・学習状況調査を中心とした、国が目指す恒久的なデータ基盤というのを、教育データ基盤をつくらなければいけない、これを国で、この場で本来は考えなければいけないのではないかなと僕は思っています。
それをまず定義しまして、そして何よりその上で大事なことが、この大目標達成に向けてどんなステップでどうやって進むのかというロードマップ、委員も未来像とか将来のイメージというふうにお話しされていましたけれども、やはりそれがどこかに、今回はこういう形でいろいろな問題も解決しながら進めてまいりましたが、今後のというところにおいて、未来像をつくっていくとか、私はLMSとかダッシュボードの導入に向けた基盤的なデータ連携の必要性、それに伴う技術的な標準化と、あとは学習指導要領のほうでデータによる評価規準などの教育の標準化、技術の評価標準化と教育の標準化、教育の標準化というのはちょっと語弊のある言葉かもしれませんけれども、この2つが必要だと思っています。
そういったものをビジョン、ロードマップに記載し、5年かかっても10年かかってでもそこに取り組むという国の基本的な姿勢というのを見せるべきではないかなと思っている次第です。今回はこういう形でしたけれども、次回、今後という観点でいうと、こういったロードマップの必要性ということもどこかに書いていただければいいなということを期待しております。
【座長】 それでは、一旦皆さんの御意見をいただくのはここまでと致します。たくさんの御意見をありがとうございました。
それでは、事務局に一旦お戻ししますので、もし何か可能なことがありましたら、付言いただければと思います。
【事務局】 本当に貴重なたくさんの御意見いただき、さらに気づいていなかったような観点等も新たにいただきまして、大変ありがたく感じております。
全部について一つ一つというわけにはいかないですけれども、特にいただいたような御要望については、例えば委員が重要だと言ってくださった、資料3-1の16ページの適合性評価の辺りに見える化という記載がございますけれども、国の役割の下から2つ目に、「先に述べた標準・指針等の策定・更新、自治体等がシステム構成や機能等を選択するための支援」と書かれているところに、例えば、自治体等が主体的に選択しやすいモデルの提示や適合性評価の仕組みなど標準を満たしていることの見える化に向けた取組の推進や、自治体へ実装する際の支援など書かせていただいて、さらに、民間企業のほうでも連携・協働いただくようなことを書かせていただいているところでございます。
ここの脚注のところにあるセルフチェックについても、これが導入されますと、まだ不十分な部分はありますけれども、このツールはこの標準に合っているということ自体も自己宣言できるようになり、ステップ・バイ・ステップでだんだん分かりやすくなってくる部分は出てくるのではないかと考えているところでございます。
何名かの委員の皆様から、未来像を示すイメージがよく分からないというお話がございました。例えば9ページの下から2つ目ですけれども、「幅広い教育データの利活用を一層効果的に進めるとの観点から、データ分析を可能・容易にする仕組み、教育データを可視化する仕組みなどについては、今後、データ利活用の進捗状況や財政負担等を踏まえつつさらに検討を進めた上で、全ての自治体等における整備を目指すべきものとしていくことも考えられる。」というふうに、財政負担などの関係もあり明確には書いておりませんけれども、こういう方向性が国としても目指すべき方向性かどうか検討を進めていく、そのような先に、先ほどおっしゃられた未来像を描いていくということもあるかと思っているところでございます。
そのような未来像の中で、17ページにございますような認証基盤などが必要となり、これは文部科学省だけではなく政府全体で構築していくものですので、政府全体のロードマップも描く中で、文部科学省だけというよりはデジタル庁等と連携しながら、ロードマップの改訂も踏まえつつ、文部科学省としては教育分野のビジョンについての検討も進めることになってくると考えております。
【事務局】 いただいた御意見、細かい部分は今、御説明をさせていただきましたけれども、文言を修正したほうがいいのではないかという御指摘もありましたし、そういう趣旨ではなくて、このまとめを踏まえて今後施策を進めていく上でこういった視点を踏まえるべきじゃないかといった御指摘もあったものと受け止めてございます。その意味で、また座長とも御相談させていただいて修正をさせていただくという、文言についてはそうさせていただき、また、大きな方向性などの御意見については、それを踏まえて、まずはまとめとしてお示しをいただければ、それをまとめの中には十分書き切れなかった部分だとしても、今日御意見いただいたものを踏まえながら施策を進めていく上での指針にしていくということかなと思っております。
1点だけ、参考資料でつけさせていただいた概要につきましても御意見を幾つかいただいてございましたけれども、本日は参考資料についてはまさに便宜上1枚のものをお示ししてございますけれども、これを唯一の公式のものとして確定させるというよりは、今後様々な場面で今回おまとめいただくものを概要のような形でお示ししていくということが必要になってくると思いますので、本日いただいた御指摘も、この参考資料を直す、もしくは別の形にしていくときに踏まえながら対応していくと。場面ごとに恐らくいろいろなものを使わせていただくことになると思いますので、そこは行政側にお任せいただければと思っておりますが、本日の御意見を踏まえながら、趣旨がしっかりと伝わるようにはしていきたいと考えてございます。
【座長】 私、座長の立場からも少し申し上げておきたいと思います。
まず、最初に今日申し上げたように、ちょうど初等中等教育においては、教育課程の大幅な改定に向けた検討が進み始めるところだと思います。そして、それは恐らく夏や秋とかにある程度の方向が出来て、それから多分まだそれから1年以上かけてまた精緻に検討されていくということになろうかと思います。デジタル学習基盤は、その教育課程の方向、子供たちへの教育の在り方をどのように支えていけるかという目的で特別委員会がつくられ、これが中教審の中で今検討されているところでございます。その下に端末の整備や周辺機器の整備やあるいはデジタル教科書の在り方みたいなことがワーキングとして動いているということになります。
そういう大きな流れがある中で、一方でこの教育データの利活用というのは、そもそもこの会議の名前を見ていただくと、教育データの利活用に関する有識者会議と非常に漠然としているんですね。いろいろやらなければいけないことがあろうから、漠然とした名前で広く捉えられるようにしていたということだと私は認識しています。令和2年7月にスタートして、もう間もなく5年が経とうとするわけですが、そういう状況の中で、教育データ標準の策定とか、個人情報の取り扱いの留意点とか、また、世界との標準化の連携、グローバル化していく、あるいはAIとかが出てきて非常に速度の速いビジネスの世界、そういうようなものがありながら、早々にいろいろと決めることの必要性と、決めてしまうことのリスクみたいなことを検討しながら少しずつ進んできたということになります。
このところ、第2期も第3期も、1年ごとに大体の目標を決めて、まずは、今年はこれをやりましょうみたいな形で進めてきたこともありまして、そういう意味では目標が小さいので、大きなピクチャーを十分に提示できていないということは申し訳ないところでございますが、それもまた、文部科学省だけで描けるものでもなく、政府全体の方向観の中でやっていくことになりますので、この辺りの難しさがあると思います。
また、この教育データの一般論で言えば、教育だけではない、データの保護とかそういうような個人情報とかいろいろなこと等が関わりますし、教育データにおいても、学習に関するデータは、教育課程とか教育方法の改善、そういうような話になりますし、生活に関するデータ、ライフ・ログのようなものは、生徒指導上のこともありますし、健康のこととか安全とか、あと、不適切な行動とかいろいろなことへの対応がありますし、アシスト・ログについては、教員の指導力みたいなことや、場合によっては、それは、服務とか人事とかそういうことにも関係してくるのかなと思います。なので、教育データとして見ればそれぞれのデータだけれども、その裏側にある本質的な意義というのは、教育課程だったり、生徒指導だったり、教員の在り方だったりするような、個別にそれぞれが中教審の委員会として出来ているような、そういうような大きな話になりますので、私たちの会議体のような教育データを扱う側だけでこうやって決めましょうみたいにはなかなかなりにくい、難しいところがあるなと私としては思っております。
これからの時期のことを考えますと、恐らく今日皆さんに御意見をいただいたこのまとめは、これから今期のまとめとして出すとして、次にやるべきことは恐らく教育課程の改定に伴って子供たちに対する教育を充実させていくに当たって、とにかくまずもって必要なこと、しかもそれは現場の先生たちから見て非常に、手触り感のあるという言葉が出ましたけれども、そういう既にあるデータや、教師が感じているいろいろなデータ、実感と、速やかに取れるデータをどのように組み合わせて、それは学習指導とは限りませんけれども、実際の指導に生かしていくかというところを中教審の審議に合わせて進めていくというのが一番優先されるべきことかなと思います。
こういうふうに言うと、いや、もっとデータの形式をとか、もっと個人情報の取り扱いの留意点をとかいろいろな御意見が出てくると思いますけれども、教育データの一般論というのはまだ片づいてないことがたくさんありまして、これからも恐らく、この有識者会議が今後どうなるか今の段階で分かりませんけれども、検討を続けていかなければならない分野かなと感じております。
ともあれ今期につきましては、皆さんの非常に熱心な御協力によりまして、一旦今日議論のまとめの文書が出来、そして皆さんに改善・修正の御要求をいただきましたし、先ほど事務局がおっしゃったように、文言の修正等はこれからの委員の皆さんに御相談しながら、座長の私と事務局で検討してまいりたいと思います。
ある程度今期のことについては、意見はもう随分出尽くしたかなと思っておりますが、この後事務局に必要な修正をしていただくという前提で、基本的には座長の私に一旦お預けいただくということでよろしいでしょうかということをまずお諮りしたいと思います。いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【座長】 ありがとうございます。それでは、「異議なし」というお声に基づきまして、これから修正をしてまいりたいと思います。
議論のまとめを取りまとめたら公表もしますので、皆さんに御調整の御協力をいただきながら、いつどのようにしていくかということについては事務局とまた日程的な相談もしてまいりたいと思います。
今日はここまでと致したいと思います。皆さん、今日も大変御協力ありがとうございました。
(以上)
総合教育政策局教育DX推進室