教育データの利活用に関する有識者会議(第26回)議事要旨

1.日時

令和6年11月6日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議での開催

3.議題

  1. 前回会議の振り返り
  2. 意見交換
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、藤村座長代理、大久保委員、木田委員、小﨑委員、佐藤委員、讃井委員、高橋委員、戸ヶ﨑委員、中川委員、春山委員、平田委員

文部科学省

江﨑大臣官房審議官、平野社会教育振興総括官、神山政策課長、木村教育DX推進室長、白井教育DX推進室室長補佐、稲葉教育DX推進室室長補佐

オブザーバー

渡部 一般社団法人日本図書教材協会 理事・事務局長/一般社団法人全国図書教材協議会 専務理事・事務局長、岡本 一般社団法人教科書協会デジタル化専門委員会 委員長、石坂 一般社団法人ICT CONNECT 21 フェロー、デジタル庁、総務省、経済産業省、個人情報保護委員会事務局、一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人ICT CONNECT 21、一般社団法人日本教育日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)

5.議事要旨

議事1.前回会議の振り返り

※資料1-1「委員等からの主な意見(第21-25回分)」、資料1-2「教育データ利活用ケース例(たたき台)」について事務局、資料1-3「第25回後に委員から提出された意見(高橋委員)」について高橋委員よりそれぞれ説明を行った。

議事2.意見交換

※資料2「デジタル学習基盤に必要なシステム構成・機能の検討に向けて」について事務局より説明を行い、委員・オブザーバーから意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【座長】  それでは、ここから、確認的な意見交換をしたいと思いますが、具体的な議論は議題(2)で行おうと思います。資料1-1で、皆さんの御発言を事務局で位置づけて入れていただいています。これはいずれ最終まとめに向かっていく資料になりますので、このレベルで何か御質問がありましたら、御発言いただければと思うところでございます。
 もはや20ページを超える、たくさんの御意見をいただいているということであり、それは必ずしも簡単に整理できるものではないということだと思います。今日もこの後の議論でたくさんの意見が付け足されるものと思いますが、一つ、座長として押さえておきたいのは、現状の枠組みでベストかと思われるような、しかしながら一定程度の多様なやり方を認めるような、そういう落としどころを検討していくわけですけれども、それでもなお今の段階の私たちには想像がついていないような新しい価値が創造されるようなソリューションが出てくるみたいなことを考えたときに、今の私たちから見えている分け方で、いろんなものをモデル化して当てはめるというやり方だけでは通用しないかもしれない、それではスポイルされてしまうもったいない価値があるかもしれない、ということも視野に入れた上で、そういうものを認められるような形で、何らかの標準的な進め方を検討していくということが大事かと思います。
 資料1-1に対しては、特に御質問等はないということであれば、議題(2)のほうに移りたいと思います。
 それでは、議題(2)です。これは、デジタル学習基盤に必要なシステム構成・機能の検討ということで、私たちは今までも議論してきました。これまで様々な立場の方からヒアリングをしてきました。ヒアリングとその質疑、あと意見交換で、いつもちょっと時間切れのようになってきておりましたので、ここでそれをまとめて、いろいろとそれぞれのお立場から御意見等を伺いたいと思っております。
 前回の会議では、民間事業者のお立場から、デジタル学習基盤を支える関係者の4名に御発表いただきました。そのときに、まず教育データ利活用に向けて全体としてどのような目的でどのような取組を進めてきているかを再度確認して、それから議論したいと思いますので、まずは事務局に、この資料2を基に整理枠を御説明いただきまして、それに対して皆さんに御意見をいただきたいと思います。
 では、まず事務局から御説明をお願いいたします。
 
【事務局】  資料2に基づきまして、事務局より御説明させていただきます。資料2の2ページから御説明させていただきます。
 これまでの審議の状況でございますが、この利活用会議では、下にございます、教育データの効果的な利活用を通して児童生徒の力を最大限に引き出すこと、そこに向けた教育データの利活用の効果的な促進、これを大目的として議論を進めてまいりました。
 一番左のコラムですが、他の委員会等で検討されることもございますが、これまでの本会議においては、教育データ利活用の現状やニーズ、利活用ケース例、意義や効果、それから、利活用に向けた課題や支援策について、主に御意見をいただいてきたところでございます。
 前回から、この真ん中のコラム、③-1、必要なシステム構成や機能、③-2、ニーズに合わせた選択、それから、選択を可能とするための条件整備、一番右のコラム、それらを実現するために、関係者の役割分担としてどのようなことが考えられるかについて、意見交換を主にスタートしたところでございます。
 なお、この①、②、③-1、③-2、④については、4月にお示しさせていただきました「検討をお願いしたいこと」に大きく沿った形で作成しております。「検討をお願いしたいこと」は今日は参考資料として配付させていただいております。今回、この③-1、③-2、④について、主に意見交換をいただく予定でございますが、具体的な論点の整理案については、資料の最後のページでお示しをさせていただきます。
 3ページに移りまして、論点の整理案に至る前に、念のため現状を整理してお示しをさせていただいております。
 基本的には、自治体においてどの学習リソースを活用するかについては、ニーズに合わせて選択可能だということを、前提として確認させていただきたいと思います。
 とはいえ、2ポツ目、全国学力・学習状況調査に参加する自治体は、この調査で活用する予定のMEXCBT、それから、MEXCBTへのアクセス機能を持つ学習eポータルを導入することが必要になります。
 3ポツ目ですが、学習eポータルには2つのタイプがございます。1つ目、民間学習eポータル、これはMEXCBTへのアクセス機能に加えまして、民間事業者の創意工夫に基づく独自の機能を実装したものになります。2つ目、実証用学習eポータル、これはMEXCBTへのアクセス機能のみを備えたものでございまして、こちらは文部科学省が無償で提供しております。2つのタイプの学習eポータルがございますが、左下の吹き出しにもありますが、どの学習eポータルを使うかは、各自治体がニーズに合わせて選択可能です。
 そして、4ポツ目、民間学習eポータルを利用するか、MEXCBT以外の教材等を活用する場合に学習eポータルを経由するか否かについては、各自治体がニーズに合わせて選択可能でございます。
 念のため右側にイメージ図を示していますが、現状、グレーの線、実証用学習eポータル、民間学習eポータル、いずれからでもMEXCBTにつなぐことができます。一方で、水色の線、デジタル教材等につながる場合ですが、基本的に学習eポータルを経由せずに直接利用することができます。
 次に、ピンクの線を御説明させていただきます。民間学習eポータルの場合には、民間学習eポータルを経由することもできますが、実証用学習eポータルでは、デジタル教材等につながるというピンクの線は伸びていません。実証用学習eポータルを活用している自治体は、基本的には直接利用する水色の線となっています。
 さらに、念のための確認ですが、民間学習eポータルを使っていても直接、デジタル教材等を利用することが可能です。右下の吹き出しにもございますが、どの教材を利用するに当たっても、学習eポータルを経由するか否かについて、自治体がニーズに合わせて選択可能となっています。
 4ページ目に参ります。このように、どの学習eポータルを使うか、それからどの学習リソースを使うか、教材等を活用する場合に民間学習eポータルを経由するか否か、自治体にとって必要な機能を整備したい場合に、民間学習eポータルを活用してその機能を実現するか否かも含めて、自治体がニーズに合わせて選択できるものとなっています。こうした現状の考え方を確認した上で、その自治体の選択を可能とするために、これまでにも様々な条件整備をしてまいりました。
 これまでお示ししている標準やガイドライン等を御紹介させていただきますと、様々な学習リソースについて、各自治体が状況やニーズに合わせて、その組合せも含めて自主的に選択し、どのような学習リソースで取得したデータであっても自由に組み合わせて利活用できるようにするために、これまでデータ項目の内容の規格及び技術的な規格をそろえるとともに、様々な学習リソースが技術的にどう連携するかを定めた技術指針、各自治体の選択自由の確保ですとかデータの取扱いなどを定めた運用指針などを策定、更新してまいりました。
 また、安全・安心な活用のためには個人情報の適正な取扱いを行うこと、十分な情報セキュリティ対策を講じることが不可欠でございます。そのため、教育委員会や学校が児童生徒の教育データを取り扱う際に留意すべきポイントをまとめるとともに、教育委員会等が教育情報セキュリティポリシーの策定、それから見直しを行う際の参考として、ガイドラインを策定、更新してまいりました。
 5ページ目に参ります。最後のページになりますが、これまでの審議を踏まえて、ここからの時間を充実させるために、論点の整理案を作成しております。
 ③-1、必要なシステム構成や機能に関してですが、前提として、MEXCBTを利用できる環境は実証用学習eポータル、民間学習eポータルにより、もう既に整備されているところでございます。
 論点としては、鍵の2つ目、教育データ利活用を進めるための仕組みや機能として、a)の部分、今後、全ての子供たちの力を最大限引き出すための教育データ利活用を効果的に進める上で、全ての自治体、それから学校における整備を目指すべき仕組みや機能は何かということで、論点を設定させていただいております。イメージとしては、例えばですが、データ連携のハブ的な機能ですとか、データ分析を可能・容易にする仕組み、教育データを可視化する仕組みなどをイメージしておりますが、この点はまさに御意見をこれからいただければと思います。
 次に、3つ目の鍵ですが、具体的な内容や実現手法の自治体による選択に関する論点としてb)、これらのa)の部分での仕組みや機能の整備に当たりまして、どのデータを重視するかですとか、それを踏まえて校務支援システムなどの既存の仕組みとの関係を含め、何をどう活用するのかなど、具体的な内容や実現の手法については、各自治体がニーズに合わせて選択できるものとする方向性でよいかと論点を設定させていただいております。この辺りも御意見をいただければと思います。
 それから、③-2として、ニーズに合わせた選択(選択を可能とするための条件整備)に関するものとして、前提としては、教育データを効果的に活用できるように、先ほども御紹介させていただきましたが、各データ項目の内容の規格、それから技術的な規格については、教育データ標準を策定、更新などしてきているところでございます。論点としてはa)の部分、複数の学習リソース及び教育データの連携に関しては、民間学習eポータルの利用に限らず、自治体が独自システムを構築する場合など、様々な場合が想定されますが、今後も教育データ利活用の多様な展開を可能とするとの観点から、いずれの場合であっても、既に一定程度普及している技術的標準等によることを基本としまして、その標準等の更新を進めていくことでよいでしょうかということで、論点を設定させていただいております。
 次に、b)の部分ですが、自治体の選択肢が狭められないようにするために、ハブ的な機能を有するサービスなどの利用に関しまして、どのような標準やルールが必要かという論点を設定させていただいております。例えばですが、標準などの取決めに従ったほかの学習リソースとの接続の拒否を禁止することですとか、ハブ的機能を有するサービスなどの提供事業者が新規参入ですとか撤退する場合などを受けまして、事業者を乗り換える際の円滑なデータ移行の保障ですとか、適正な費用の負担の在り方などが考えられるものとして記載させていただいております。この点も御意見をいただければと思います。
 それから、③-1、③-2、これらを実現するために④の部分、関係者の役割分担に関するものとして、a)、b)、c)を挙げさせていただいております。これまでの審議を踏まえて、国、自治体、民間企業についてそれぞれ論点を設定させていただいております。なお、民間企業のところでございますが、前回の御意見も踏まえまして、ユーザー視点での違いなどの分かりやすい発信に向けても、民間企業の役割として追加をさせていただいております。
 これまで審議の中で出ました意見などを踏まえまして、論点整理の案をお示しさせていただきましたが、これらを中心に、この後のお時間で御意見をいただければと思っております。
 以上です。
 
【座長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、意見交換をしたいと思いますので、御意見のある方は挙手をお願いしたいのですが、資料2の5ページ目「これまでの審議を踏まえた論点の整理」のどこを今から発言するのか言っていただいたほうがありがたいかなと思います。
 また、大前提としては、資料2の2ページ目にポンチ絵がありますけれども、今日は③-1、2、そして④のところを中心に議論しますが、いろんなお立場からの意見があろうと思いますけど、一番下に書いてあるように、私たちはこれから個別最適な学びをより一層子供たちと進めていきたいわけで、それを多忙な教員が上手に支援していくような、あるいは子供たちが自律的に学んでいくような学習環境、あるいはデータの利活用を進めていきたいわけです。そういう、子供たちの力をしっかりと引き出していくんだという観点、誰一人取り残さないようにしていくんだという観点から、大局的にはそういうことが大目標であることを踏まえて御意見をいただければと思います。
 早速、挙手いただいている委員から参りたいと思います。ほかの方もぜひ、御意見のある方は挙手をお願いします。
 
【委員】  それでは、今の論点整理案を中心にして、意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、MEXCBTへの接続について、令和9年度から全国学力・学習状況調査の全面CBT化が予定されている中、調査を成立させるためのMEXCBT及びMEXCBTへのアクセス機能を最低限有する学習eポータルは、少なくとも現在のシステム構成として必要なものであって、恐らくこれからも様々な意見が出るのではないかなと思うんですけれども、課題はあるにせよ、一旦は学習eポータルの位置づけを大きく変更することは得策ではないと思います。
 次に教育データ利活用を進めるための仕組みや機能については、このMEXCBTですとかMEXCBTへのアクセス機能を最低限有する学習eポータルだけでは、教育データ利活用を全国の教育委員会・学校に広めるためのシステムとしては十分とはいえず、教育データの分析可視化に向けて必要な仕組みについては、全ての自治体等が整備することが望ましいシステム構成や機能等と整理することができるのではないかなと思います。
 とはいえ、初めて取り組む自治体等で、取組の当初から完璧なものを必要とするのは当然難しいですし、教育データ利活用に関する自治体の状況や実態、またニーズはそれぞれであって、当然、実現方法は様々であろうと思います。様々な機能をどう組み合わせるか、どう実現するかということも含めて、各自治体がニーズに合わせて「選択」できるものであるということが必要ではないかなと考えています。
 次に、ニーズに合わせた選択、なかでも選択を可能とするための条件整備に関することの意見ですが、この自治体による選択を実質的に可能とするために、文部科学省には、より具体的な環境整備やルール設定を検討していただきたいなと思います。
 連携のハブ機能を担うものとしては、民間の学習eポータルのほかに校務支援システム、あるいはGoogleとかMicrosoftといったOSなどを活用するケースもありますが、データ連携を行う場合には、どれを使うかは当然自治体の選択に委ねられるべきであろうと考えます。また、学習ツールも様々あるわけですけれども、それらがハブ機能を持つシステムに疎結合で自在に連携できる仕組みが整うならば、自治体が学習ツールを検討する際の一つの制限が取り払われます。この仕組みを実現するためには、まずは学習ツール等とハブ機能との相互連携の技術的なルール設定が必要ですし、自治体に自由に選択してもらうためにも、学習ツール及びハブ機能を持つシステムの事業者には、できるだけそのルールを遵守してほしいと思います。そして、くれぐれもルールを遵守している事業者がシステム間の相互連携に参画できないなどといったことがあってはならないと考えています。
 また、連携だけでなくて、学習ツール等の運用面においても、民間学習eポータルですとか学習ツール側の事情によって、自治体の選択の自由が制限されないようにしていくことも必要かなと思います。あくまでもこれは例えですけれども、特定の民間学習eポータルを選択すると特定の教材を使うことができないというように、民間学習eポータルが自治体の選択の幅を狭めるという事態は絶対避けるべきですし、自治体の選択の幅を狭めかねない費用負担の在り方についても、適正化していくことが必要だろうと考えています。
 なお、最後に、前々回の讃井委員が問題提起されたことのうちに、学習eポータルのビジネスモデルについての論点が抜けているのかなと感じています。特に学習eポータルの販売プラットフォーム化については、私も、現在の状況は、学習eポータルの本来の理念からは離れるものではないかなと感じています。学習eポータル事業者側も、接続のための調整やサーバーの費用負担を回収する必要は生じるため、理念と相反するようなひずみがあるビジネスモデルになってしまってはいないかと感じています。学習eポータルの公共性を鑑みた場合に、協調領域・競争領域及び国側で責任を持って運営する領域について、費用負担の所在も含めて、この辺は国主導で議論していくべきではないかなと思います。
 もし時間があれば最後のほうに、全体の今後の流れについても意見をまとめて述べたいと思います。
 
【委員】  この会議の委員として私の立ち位置がどんな感じなのか、いつも自問自答しながら参加しているんですけれども、前回の皆さんの発言と、今日の委員のお話を聞いて、私の周りにいる先生たちの考えを前提に整理して、資料2の5ページの④についてお話ししたいと思います。
 私の同級生とか友達が今、日本全国で校長、教頭とか教育委員会の管理職をする年齢になりました。共通していることがありまして、一つは、教育の改善のためにシステムやデジタル化について、いろいろ考えたり検討したりして世の中が進んでいるのはありがたいという声が多いです。例えば、保護者連絡システムによって朝の電話がなくなったこと、職員会議が劇的に短くなったことなどです。子供たちのいろいろな生活ぶりとか考え方がデータで見えるようになった。オリンピックなどを見ていても、データを活用することの大切さも非常によく分かるとのことです。
 ただ、文部科学省とか事業者から説明される内容というのが、データ、データと高度化されているように感じて、専門家とか技術者がセキュリティのこととかデータの扱いを語ることによって、もうどんどん私たちが取り残されて、ギャップが広がって、もう私たちと関係のない世界になってきましたよね、という声も聞こえてきています。
 先日もある会議で、教育データの利活用の会議、この会議のことなんでしょうけど、最初の頃は教育環境がどうやって改善するのかなと注目していたんだけれども、だんだんとシステムとか仕組みの話に陥っていて、委員さんたちが教育を語らなくなったことはとても残念だよねという話になりました。私が委員をやっているのを知っている人たちの顔色は変わっていましたけれども、そういうことを発言した人の思いとしたときに、議論が大人の話になるのは当然のことなんですけど、肝腎のデータを生かす先生たちとか子供たちのところに届く前の段階の議論にしか見えていない。先生たちにとっては、子供たちの学ぶことが楽しいという笑顔のためにデータを生かしたいし、国が自治体とか学校に任せるよと言っても、私たちは分からないんだから丸投げにしか感じられない。それに、これから入試がどうなるんだろうとかという不安に陥っている。
 要するに、今のこの会議の議論の示し方が、先生と子供たちが最前線でそれを支えるんだというニュアンスよりも、何となく学校が末端になっていて、仕組みをつくってデータが流れてこうなったら、あなたたちは上手に使ってね、みたいなことに対して、ちょっとした違和感と不安を感じている。ダッシュボードがその典型だろうなと思うんですけれども、つくったことはいい、可視化もできたんだけど、押しつけにしか感じられない。だから使う気持ちにならないと。
 それではすごく残念なので、学校教育というのは、先生も子供たちも、学びも遊びもなく、人を成長させて、少なくとも子供たちのいいところを見つけて、それを伸ばしてあげようという場だと考えたときに、データの管理のこととか、その仕組みを構築するということはとても大事なので、こういう場でしっかり議論をしていって、データの管理やデータの流れということについて、俯瞰的に見ないといけないと思うんです。
 学習データはもう子供たちは持ち歩いていて、今、奈良市でも通知表はスマートフォンで見られるようになりましたから、親も子供も、もう面談の前に通知表のデータを見て、それに基づいて先生たちと話し合っている。塾でも、リアルタイムでテストの結果が偏差値つきで保護者の下に届く時代ですから、塾から帰ってくる前に、既に親は「今日、国語のテスト頑張っていたよね」という話ができるという、もうそういう次元に来ましたよね。
 学習eポータルなんかは、もうそうなってくると、MEXCBTの入口というような捉え方ではなくて、まさに先ほどから出ているような、ハブという位置付けにどんな役割を持たせていくのという、広がりをつくるためのものであるべきだし、運用だけではなく、公平性の担保を目指したデータ連携に向けた適切なルールづくりは、こういう場でしっかり議論しないといけないし、モニタリングとかを通して、実効性のある運用の機会をどうやってつくるか、仕組みをどうやってつくるかということに関しては、もうちょっと先生たちを巻き込みたいところです。巻き込むというのは、ヒアリングするとかその場に行ってどうこうということではなく、示していくときに、常に、先生たちが自分ごとだと分かるような部分もしっかりつくっていく。データの利活用は普及、周知、とにかく知ってもらうことだというのが、このまとめの中の、また別にポンチ絵みたいなのができてもいいのかなと思います。
 ④ですが、自治体を指名して、何々県はこんな取組をしている、何々市、何々町はこんな取組をしているということは結構たくさん上がってきているんですけれども、その自治体の特徴をそれぞれ生かしてということからもう一歩進んで、たとえば、自治体にチームを組ませて、何々県と何々県でこれを取り組むとか、何々市と何々町と何々、離れていてもいいんですから、そういう複数の自治体がチームになって、データ活用・運用の仕組みというのはどうなのかということをもう少し議論していくことによって、私はステージが1つ上がるんじゃないかなと最近は考えています。
 
【座長】  ありがとうございました。それでは、ほかの委員の方、いかがでしょうか。
 
【委員】  まず、資料2の3ページの現状の図について、MEXCBTとデジタル教材の2つがデータリソースとして書かれています。資料の図に書かれていない実際の活動として、端末そのものの使用から得られるデータとか、学習者のアウトプットが今クラウドを用いて協働的な学びで実施されていると思います。実際、学校に行って子供たちがたくさん入力してくれているチャットの内容とか、資料を作った内容というのを、現場の先生は今まだ目で全部チェックしているという状態です。
 こういったデータがたくさんたまってきたときに、分析の対象になり得るでしょう。しかし、どうもこの議論を見ていると、もちろんそれも必要だと思うんですが、ドリルのようなものだったりテストのようなものだったりに、ちょっと注目し過ぎな気がします。もっとふだんの子供たちの活動を、データとして先生に分析して提供できる余地はあると思うのです。この図にそこが描かれていないので、どうも何かドリルをやってデータを取ってためてとか、学力調査のデータを扱うとか、テストのところばかりに目が行くような気がしていまして、全体像をもう少しベーシックな部分からつくり直したほうがいいんじゃないかなというのを、3ページを見ながら思っておりました。
 次に、5ページ目③-1のa)の部分です。全体を通してデータを統合して意味があるものと、単体で十分意味があるので、その単体のデータをしっかり見せて、先生方や子供たちに有効なアクション、学習が進むような手だてのアドバイスをするようなことというのがリアリティーかなと思うんですけれども、委員もおっしゃったように、どうも何か風呂敷が大きいというか桁が大きくて、何かいっぱいデータを混ぜて分析したらすごいことが起こるように、一般の方には映っていないかなというのを心配しています。もっと単純に、子供が夜遅い時間に何か勉強、学習とは関係ない動画をたくさん見ているようなことがあったときに、「生活のリズムをもうちょっと整えようねというアドバイスをしたらどうですか、先生」とリコメンドしてくれて、データを見たら「そうだな、この子供にこんな声をかけよう」みたいな、とてもすぐにできるベーシックなことがたくさんあるんですが、どうもこういう資料だと桁の大きいところから入るのでリアリティーが出づらいのかなと思っています。端末の利活用のデータ、GIGAスクール構想の更新でも、要件の中にデータをしっかり取って、利活用状況については見るようにというところがありますので、そういった部分にも触れていけないかなと思いながら資料を見ていました。
 
【委員】  私からは、現状、自治体、私の市とか私の県でどのような取組が行われているかということを、ちょっとお話ししたいと思います。
 本市の場合、令和4年の2月に、市内全ての小・中・高等学校に民間の学習eポータルを導入いたしました。もちろん当初はMEXCBTを利用するためのものでしたし、その後は全国学力・学習状況調査を受検するためであったということは、最初は確かなことではございます。
 ただ、それ以降、もう2年半ほどが経過する中で、学習eポータルの活用につきましては、まさにデータを見るとかデータを活用するといったような、これまでももちろん行われてきたんでしょうけれども、それを指導に生かすとか学校経営に生かすといったような文化という意味では、あまり行われてこなかったんじゃないかなということを考えますけれども、実際にデータを使って指導と学級経営に生かすということをどのように行っていくのかということを考える上で、学習eポータルを通してデータの有効性を実感してもらうということを目的に、本市及び鹿児島県においても、例えば県の情報化フォーラムといった場所での研修ですとか、県の総合教育センターの講座の一つですとか、あるいは、鹿児島市としては活用に関する様々な周知、あるいはオンラインでの研修等を行ってきております。
 これによって、まだまだ十分とは言えないまでも、データを見るとかデータを生かすといったことについての下地が、学校現場において少しずつ醸成されつつあるという状況にあるかと考えております。これは本市本県だけではなくて、私は学校DX戦略アドバイザーとして全国を支援に回らせていただいておりますけれども、その過程でも、そのような自治体を最近では多く見受けるようになりましたし、そのような依頼も受けるようになってきております。
 例えばMEXCBTを活用するということについては、MEXCBTに掲載されているような、主体的、対話的で深い学びの実現に関する児童生徒に行う質問紙調査みたいなものも、非常に各学校で取組が始まっておりますし、これは県外ですけど、自治体によってはこれを学校評価の基準にしようと、指標にしようというところも出てきたりするところもあります。そういった形で、様々なデータを少しずつ使っていこうという下地が高まっていく中で、この学習eポータルというのは今、基盤になりながら使われ始めているという状況であるかと思います。
 ただ、これが今の形が大きく変わるということになってしまいますと、今まで培ってきた、取り組んできた取組というのを、一からまた見直さなければならないということになり、教育データの利活用についての機運というのがそがれてしまうのではないかなと考えておりますので、もちろんこれまで議論されていたようなことを課題解決していく、あるいは改善をしていくということは当然必要だと考えておりますけれども、今少しずつ高まりつつあるこの機運のほうを高めていく。そして、先生方、学校において、データを利活用することは非常に有効なんだということについての腹落ちの経験をどれだけさせていくかということを数えていきながら進めていくことが必要だろうと思っています。
 その過程で、先ほど委員もおっしゃいましたけど、あまり最初から多くのデータをポンと出されても、なかなか食傷気味になってしまいますので、どんなデータとどんなデータを見ればどういうことが分かるのか、それによってどういうふうな対応が今後求められていくのかみたいなことを、少しずつ少しずつ積み重ねていくということによって、それが実現できるだろうと考えていますので、こういった視点で、スモールステップのほうで進めていくということを考えていきたいと、自治体としては取組を進めていきたいと思っているところでございます。
  
【委員】  今回、学習eポータルの皆さんの立場に立ったときにも、結構大変なところがあるんじゃなかろうかという推察の中で少しまとめてきたものがありますので、画面共有をさせていただきながら、こちらの資料の御説明をさせていただきたいと思います。
 前回、私のほうでいろいろとお話をさせていただいたところについて、私もその後考えてきたところがありますので、そこをちょっとお話ししたいなと思っています。
 ただ、その個別の話に入る前にというところなんですけれども、まさに委員の方々からもおっしゃっていただいたとおり、全体として、やっぱり現場におけるデータ利活用のイメージであり、あとはやっぱり目的ですね、どんな課題を解決していくことにデータ利活用が寄与できるのかということをしっかりと意識をしながら、この会議の議論を進めなきゃいけないというところは、本当に一番大事なところだと思っています。そういったところについて、きちんとユースケースであるとか、なぜ、どういう課題を解決するためにあるのかということは常に考えながら私自身も議論していきたいと思ったというところを、まずここまでの感想として述べさせていただきます。
 その中でお伝えしたいことは端的に3つなんですが、1つ目は議論すべき領域の整理をしていく必要があるんじゃないか、2つ目は、連携がスムーズに進んでいないのって何でなんだろうか、3番目が、学校の学習可能性に関わる重要局面で必要なことということで、ここは前回の内容に近いんですが、最後のほうでお伝えできればと思います。
 今回、見方の御提案というところになるんですが、学習eポータル全体に関わる領域の見方というのを、協調領域と競争領域だけではなくて、公的領域と民間領域、さらにその中の協調領域、競争領域ということで、分けて議論したほうがいいんじゃないかと思っています。どういうことかといいますと、ここで示した公的な領域については、全ての学校、自治体への無償提供が保障され、無償提供が継続される前提でなければならないものというのが、学習eポータルの全機能の中でも一部あると思っています。具体的にはMEXCBT関連のところ、あとは、今後、自治体を超えた共通IDを発行する機能等が入る場合というのは、公的領域になると思います。その場合は、資料の下にありますが、運用方針は、やはり厳格なルールの下、統一的に国が管理することになると思いますし、収益事業にしてはならないもの。一方で、無償で続けられるように国が継続的に予算を持つところになるのかなと思っています。
 私の問題意識としては、今、学習eポータルの管理とか入り口を民間の事業者が持っているにもかかわらず、その民間事業者に対して誰もお金を払っていないというのって、持続不可能なんじゃないかと思っていて、それが、学習eポータル事業者の皆さんを悩ませている。だから、いろんなビジネスモデルを別で考えなきゃいけないという苦しさにつながっているんじゃないかと思っていて、この公的領域については国が予算を持つべきじゃないかと思っています。
 2つ目なんですが、民間事業領域の中でも協調領域については、きちんとガイドラインが示され、厳格なルールの下、国が認可・認証していくという仕組みの中で、こういった要件は必ず統一して入れてねとか、あとは、連携をするときに拒否をしないようにしてねといったルールの下、学習eポータルとしてきちんと認可・認証されるといった領域になるのかなと。ただ、ここも、全自治体になるべく持ってほしい機能になるので、ここでは最低でも収支がとんとんにはなるように、きちんと受益者負担でお金を取っていく必要があると思っているんですが、高収益を上げていくような収益事業化は、やってはいけない領域だと思っています。
 一方で、最後になりますが、競争領域、これは今、学習eポータルの機能要件のバージョン4.0のときに整理をいただいているものから持ってきた中の、MAYとかRECOMMENDED機能をここに並べていますが、こういったものについては、ガイドラインはあっても自由に競争できる領域で、一定収益事業化はできる。ただし、やっぱりデータ連携先からの徴収とかということは不可能として、一定のルールは必要かなと思います。ここについては、やっぱり自治体のニーズによって提供するサービスやそのコストがかなり変わってくる部分だと思いますので、受益者負担になるというように考えています。ここまでの議論の中でも、予算をどう持っていくかとか、どういうルールを決めていくかというところを整理すると、こういった形になるのだろうと思っています。
 そうした場合に、公的領域については、やっぱり議論を切り離すべきじゃないかなと思っています。ここは、国が統一的に管理する前提で議論、運用するということだと思いますし、あとは、今、実証用学習eポータルという名前になっているものが、実証用というとどこかでなくなるというふうにしか聞こえないと思っていますので、国営学習eポータルなどと名前を変えて、最低限継続配備するという形にして、資料4ページの①の議論は他と切り離すべきじゃないかと思っています。
 最も議論していく必要があるのは、資料の②「民間領域の協調領域」の部分だと思っていて、全自治体統一的に標準化をしていく部分とか、あと接続の最適化をしていくという部分について、議論をしていく必要があるのかなと思います。民間事業者の自由な競争の範囲でつけてもつけなくてもいい機能とするのであれば、③の競争領域は議論の優先度を落とすべきだと思います。ただし、この中で、いやいや、LRSは必須だよねとかということがあれば、必要な要件をやはり②の領域に移していくというふうな、学習eポータル標準モデルVer.4.00にあるMUST、MAY、RECOMMENDEDの各機能の入替えとか付け替えみたいなところも、一定議論をしていく必要があるとも思っています。
 次に、現在起きている懸念の整理というところが、前回ちょっとお見せしたところから持ってきているものにはなるんですけれども、あるべき姿は資料5ページの左側のような疎結合でオープンなもので、今、一般的な民間企業のBIツールで使われるような形です。これであれば、ツールズの立場からするとハブに接続する障壁が低くて連携がスムーズで、学習eポータルの皆さんからしても、個別のツールズと個別のやり取りとか接続作業とかが出ないので、接続工数が少なくて接続手数料を要求する必要がないというスムーズな世界になりますので、目指す世界はこっちかなと思っています。
 ただ、今は、5ページの右側にあるように、やっぱり個別のやり取りがツールズ、学習eポータル双方に出てしまって、そこに接続コストが重くのしかかっている状態になっているかなと思っています。ですので、そもそもとして、そういった接続コストが出ないようなデータ標準化と同時に接続最適化についても、議論を深めていく必要があると思っています。そうすることで、学習eポータル側が手数料を取らなくても持続可能な、社会全体での接続コストを下げていくという設計が可能になると思っています。
 最後になりますが、こちらは繰り返しになりますし、他の委員からまさに御指摘をいただいたところかなと思っていますけれども、やっぱり今回、ハブ機能的なものが何かしら必要になり、特にデータを見える化するとなった場合には必要になっていくものだと思いますが、その際に資料7ページの右側のような、自由に教材、EdTechが選べないとか、場合によっては教科書とかも入ってくる可能性があると思うんですが、それらを自由に選べない社会にならないために、やっぱり運用に当たっての厳格なルール設定、接続拒否の禁止であるとか接続手数料の要求禁止などを定めるであるとか、先ほど申し上げた接続コストの最小化に向けた議論は必須です。
あと最後に、予算負担元を文部科学省のほうで決定をせず、曖昧にして、民間事業者、つまり学習eポータル事業者の皆さんに甘えてきた構図の中で、まさに学習eポータル事業者の皆さんが苦労されている部分があると思っていますので、やっぱり国でマストでやってほしいと依頼している部分については国で予算を持つということを、学習eポータル事業者の皆さんに対してもきちんと宣言をいただくことが必要じゃないかと思っているという、私からの意見表明でございました。
 
【委員】  委員の方々からいろいろお話をお伺いしましたので、改めて私の立ち位置を再度お話しします。私自身コンピューターの導入にはもう40年近く関わってきておりますが、コンピューターだけが目立つ世界というのはあまり良いこととは思っておりません。人の教育を進めるうえで、どのような時にはコンピューターが活かせるのだろうか、助けることが出来るのだろうかを考えておりました。もちろん、情報化社会に対応できる資質を育てることも同様に重要なことではありますが。ですから理科教育を推進する社団法人の会長の立場でも、コンピューターはデータ解析を助ける便利な道具ではありますが、まずは実験、観察の機会を増やして児童生徒の気づきや好奇心を伸ばし、実際の社会で起きる事象に応用できるかを大事にしています。これは他の教科でも大事な所です。
 ただ、せっかくタブレットが入りました。この1人1台のタブレットは、各アプリケーションの中で得られるデータ以外にも、どういうソフトを使っているか、あるいは起動時間もデータに残りますので、先ほど委員が話された夜遅くやっているとかということもレコードとしては残ります。あるいはチャットのデータも含めて取り出すことも設定次第で可能です。MEXCBTを使って行われる学力調査や各種調査のようなデータ以外に、タブレットはいわば個人のデータ発生機であり、膨大な教育データが発生します。
そうするとそれらを組み合わせることでもっと有効に使えないかということが出てきます。さらに学校以外でも子供たちのデータはあります。家庭や学校外で起きていること、また教育委員会以外の役所の中の別の組織の例えば民生や厚生関連、もしくは福祉の部門、そういうところのデータも時には突き合わせたほうが困っている子供を助けることもできればその活用範囲は広がっていき、子供を助けるためのデータ活用の応用事例は増えると思われます。ここでデータのやり取りについて大きな障壁が登場するのです。
現状の組織や学校の中だけで個別にデータ活用を行っている際には意識する必要は出てきませんし、過剰に意識させるようなものになってはいけないのですが、今後せっかくのデータを組み合わせればと考えた際に、初めて標準化ということが必要になってくるのです。
 データのやり取りの際の一番のポイントは、まず個別のアカウントがはっきりしていないといけません。今、アプリケーション間の連携という形では、シングルサインオンという仕組みで一度何かにログインしたらつながって利用できる便利な仕組みとなっていますが、その世界から出た際のデータ連携には、このデータは誰のものかという児童生徒のアカウントの元であるIDの標準化が必須になります。
 それともう一つ、それぞれのところやそれぞれのアプリケーションが持つデータを組み合わせる際には、データをポータビリティにするためのものが必要になります。データの形式や属性を互換性のために規定が必要になるのは、他のデータと組合わせる際に初めて必要になるものです。ですから、まず最低限のことは揃えたらどうでしょうかということです。これから今以上にデータ活用は増えていきますので、データにきっとこういうものも付加していかなきゃいけない、ポータビリティを高めるためにはこういうことも決めていかなきゃいけないというのは将来はさらに増えるかもしれませんが、今はまず最低限ここまでを決めましょうということです。今後データ利活用が大きく拡大する前に、将来の手間をできる限り減らすためにも、まずここはぜひやっていただきたいと考えます。
 今、文部科学省やデータに関わる各団体が連携しながら学習eポータルの中で進行しているものは、児童生徒のアカウントの基になるものとしてのUUIDというものの考え方、これは名簿のもとになるものです。それから名簿に関係する属性の持ち方をOneRosterという国際標準に沿う形式で決めましょうと。この中には日本特有のものもありますから、ジャパンプロファイルという形で決めていきましょうと。アプリケーション間の連携はLTIという同じく国際標準のデータの連携の方式でやりましょうと。また、それぞれのデータの記述は同じく国際標準のひとつであるxAPIという形で記述をしましょう。そうすれば、このデータがどういうものかと互いに読み取れるようになり、交換できるようになる、つなげあうことが出来るようになる。そういうことを相談しながら学習eポータルが運用されている、また運用を拡大しようとしている。これが疎結合です。ですから、MEXCBTと学習eポータル、学習eポータルと教材、学習eポータル同士も含めて、この標準に沿えばつながる状況に近づいているということであります。今現在は必要を感じない領域においても、こういう基盤がそろったということで、将来の標準化の拡張もやりやすくなり、私は大変喜ばしいことだと思っております。また、このような標準化に進む状況が上手く伝えられていないのなら、残念なことです。
 一方、データ活用は標準化だけがすべてではありません。いろんな面での運用をどうするかは現場ではとても大事なことです。委員のお話にもありました接続を拒否するということ、これ自身はもともと、学習eポータルだけじゃなくて全てのシステムが互いにつなげ合えるこれからの世界の中で、拒否するということはぜひやめてもらいたいものです。もちろんそのデータが正しく使われるかどうかの疑義から何らかの制限が生じるのはある意味では当然かと思いますが、ぜひ原則はそうではなない形で進めてほしいものです。ただデータの標準化に関係しないことで、これまでの商取引や自治体での契約の面などで変えたらよい課題は、従来から数多くあったのです。これらは今の時代に対応した形で、様々な事情はあるものの合理的に進めほしいものです。
 ただ、皆さん、教育の世界では、できる限りはデータ活用のことでは、まずは合わせていきませんかということだけは声を大にして言いたいと思います。たまたま国でやるMEXCBTがきっかけになり、標準化が進みだそうとしています。この標準化というのは、国際的な標準化を見てこれから長い間使えるだろうという方向性でこうやろうとした。これは全てのことを標準にするということではなくて、基本はアカウントとデータのポータビリティ、アカウントをちゃんと決めて、そのデータがどんなもので、それをどんなやり取りでつなぎ合えるようにしましょうということです。データ全て持っていかれるというそういう話もありますが、それより前に、まずは形式やつなぎあう方式を揃えませんか。そうやって疎結合を進めようということがまずは大事なことですし、結局は将来の全ての参加者にメリットがあります。
 子供たちや先生が、今の範囲の中で行ったときに、それ自身、意識するものでは全くありません。ただ、その先生や、あるいはその子が、自分の小学校のときのデータと中学校のデータくっつけたいと思ったときには、それができていればやりやすくなり、中学校の先生が他の教科との関連を見たいときにやりやすくなり、引っ越して違うところに行ったら必要になり、学校を終えたのちも必要になる。このようなことが大事なお話かと思っております。将来のいろんな発展もよりやりやすくしましょうと。
ただ標準化を進めていく際には当初は多少の手間や費用もかかります。それ以外でもそこで発生する費用、クラウドなどはというのはいろんな意味でプラットフォームとして利用していますから、その費用をどんなふうにそれぞれが負担し合おう、こういうことは標準化とは違う意味で是非大いに協議をしていっていただたきたいものです。また、システムやデータのセキュリティの面があります。もちろんその中では子供たちのデータが大事です。そこをどういうふうに扱っていこうかが最も重要なことです。
以上のようなそれぞれの御議論を切り分けて進め、将来に向けてより発展をするために、教育データの利活用の上で、将来の子供たちの力を最大限に引き出すために使っていける方向で何が大事か、という形にぜひこの議論が進んでいければなと期待しているところでございます。
 
【座長代理】  私から3点申し上げたいと思います。
 1点目は、ここ数回の議論をお聞きしていて気になっていたところでございます。それは、やはり目的の議論から、手段の議論で終始してしまう状況になっていたのが気になっています。私たちは、子供たちのため、そして、その学びを支える教職員をはじめとした教育関係者のためにどうあるべきかという議論をしていたんだと思っています。ですから、全ての判断はここに立ち返ってするということを、いま一度確認したいなと思っています。
 そして、その先に、国としての役割、民間事業者の協調領域と競争領域みたいなところは、実は子供たちやそれを支える教職員等のためにやることが、どうサステナビリティを持って、事業継続性を持って実現していけばいいのかという議論の部分だと思っています。それをしっかりと整理しつつ、目的とつなげて判断するというふうにしていただきたいと思います。事業継続性のためにというのが最大の論点になってしまうと、そこは誤った判断になるのではないかなという点を危惧しておりました。
 そこで、ちょっと国のほうにも要望がございます。先ほど国の役割や自治体の役割が担う部分という整理がございました。その中で、国際比較が絶対だとは思いませんけれども、教育費のGDP比が日本は182か国中138位で、ずっとG7先進7か国最下位で、世界の中でも非常に低い水準にあるという点を危惧しています。これは裏を返せば、保護者負担ばっかりかとか、そういったことになってしまって、結局は持続可能性がなくなってしまう。先ほど国が担って持続可能にする部分というのは、私はしっかりとお願いしたいなと思っています。それが1点目でございます。
 もしその1点目、子供のため、それを支える先生のためということを前提にさせていただくと、どうもこれまでの議論が学習系のみに偏っていないかということが気になっております。もともとこの教育データの利活用に関する有識者会議を始めるとき、また文部科学省の教育DX推進室を立ち上げるときにも議論させていただきましたが、教育データって学習データだけじゃないんですよね。先ほど座長から確認していただいたとおり、誰一人取り残さず全ての子供たちの力を最大限に引き出す。これは学習はもちろんのこと、生活で人格形成とか健やかな心を育てるということも含みますし、様々な悩みの解消、最近はいじめとか不登校の問題がございますので、そういった子供たちを支えるために教育データは活用されるべきと考えています。
 したがって、スタディログばっかり話題になりますけれども、生活・健康系、いじめに遭っていないか、悩みを抱えていないかとか、不登校の予兆はないかといったことを早期発見するためのライフログ、生活・健康系のデータとか、教師がこういう支援をしたら有効だったよというようなグッドプラクティスですね、教員側の集合知を形成して、初任者だろうとベテランだろうといい教育ができるようにする。それによって先生方が少ない負担でいい教育ができるみたいな、そういったことを含めたアシストログも含めてやっていくということで言うと、校務系、学習系という発想がもう古いのではないかと考えています。
 学習系というのは、子供の学びに直接関わるフロントエンドのシステムで、校務系は子供たちの知・徳・体、それが令和の日本型学校教育で日本型ですよね。欧米の学校なんかは、学習は担うけど、徳の部分は宗教の仕事だからやらない。体の部分は社会体育だとか、健康の話であれば家庭の話なので、学校はやらないとかではなく、日本は知・徳・体をやるのが優れた点ですので、そういった点で、学習系の話だけじゃなく、その子供を支えるバックエンド側に校務系システムがあって、一体のものとして教育データを活用しながらよりよい教育を行うんだという発想に、転換しなければならないということを強く感じています。
 なので、今後の議論においては、学習系のみならず、子供の役に立つ情報は全て扱って、それを支えるために必要な情報は扱っていくんだというふうに、発想の転換をお願いしたいと思います。
 そこで、これまでの資料で気になる言葉が、デジタル学習基盤ということなんです。教育データの利活用はもちろんデジタル学習基盤も含みますが、それ以外の校務系、その他のシステムも含めて議論すべきではないか。そういった意味では、「デジタル学習・支援基盤」みたいになるのかもしれませんけど、新たな概念をつくる必要があるのではないかと考えているのが、2点目のお話です。
 3点目ですけれども、委員の方々がたくさんおっしゃっていたように、学習eポータルには学習eポータルの価値があると考えております。ただ、そこでの問題点は、疎結合で全てが連携動作するという世界が望ましいということ。NGDLEを学習系のみならず校務系も含めて全ての教育システムに広げた発想で、データ標準とデータ連携標準でうまく連携動作して、全ての教育データを有効活用できて、それは子供たちと先生たちの役に立つようにするというのがここの役割だと思っていますので、そういった意味では、学習eポータルの役割は持ちつつも、それはメッシュ構造の一つとして役割を担いますし、あれがあることで共通認証基盤を全てのシステムは持つ必要がなくなったり、データ連携がうまくいったり、先ほど委員が、今もめているのはビジネスモデルという視点じゃないですかと。それはサステナビリティの視点で全くそのとおりだと思っていまして、やっぱり目的に応じてどうあるべきかということと、事業継続性を図るためにビジネスモデルをどうするかということについては、整理して議論すべきではないかなと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
 
【座長】  挙手いただいておりますので、オブザーバーですが、デジタル庁、お願いします。
 
【デジタル庁】  発言の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。デジタル庁でございます。
 骨太の目的の発言をいただいた後に枝葉の議論になってしまって大変恐縮なんですけれども、委員の皆様方からハブ機能であったり、もしくはルールの設定というところの御発言がありましたので、若干言語化しておいたほうがいいことについて発言させていただきます。
 御存じのとおり、文部科学省とデジタル庁が連携いたしまして、国際標準規格OneRosterなどの実証、そして実装支援を行ってまいったところでございますけれども、これは釈迦に説法の方々も多いと思いますが、技術というのはやはり実装したから動くというものではなくて、実際にテストしてみて、実際につながるかなどを試してみなくてはいけないと。その観点で、デジタル庁のほうでテスト環境を用意いたしまして、それについての様々な実装の支援などを行ってきたというところがございます。
 そのような観点で申し上げますと、先ほどのハブ機能というものを、安心して自治体の皆様方が選んでいけるようにしていくであったり、あとルール設定というところが、例えば技術のほうにも関わってくるものであるときには、そのようなテスト環境と同じような形の、何かしらの適合性の評価をする仕組みというものをちゃんと設けていかないと実効性は担保されないのではないかなというところは感じ、発言させていただきました。
 もちろんこれまで御発言いただいた委員の皆様方も、その辺りを念頭に置いて発言されたのかと思いますけれども、一応そこのところをさらに細かく言語化しておいたほうがいいと思いましたので、補足的な発言というふうに捉えていただけたらと思います。
 
【座長】  同じくオブザーバーで今回お越しいただいていますICT CONNECT 21からお願いします。
 
【ICT CONNECT 21】  ICT CONNECT 21でございます。よろしくお願いいたします。
 ICT CONNECT 21は業界団体ですので、特定の層の意見を代弁する立場ではございませんが、この場では学習eポータルを代表しての意見をということで求められておりますので、その立場での発言をさせていただきます。
 皆さん、委員の御意見を様々お聞きしておりまして、委員の御発言とか、学習eポータルがデータ連携、データ利活用の基盤づくりに役立っているというお話をお聞きして、大変心強く思っております。ここでの議論でも、ハブの機能がデータ利活用には必要だということは共通認識になっていると理解しておりますが、そのために学習eポータルがどのように発展するべきかということで、御意見をいただければと思っております。
 まだ発展の途中でございます。本来でしたら、様々なラーニングリソース、教材が自由に選択できるようなことを目指しての基盤ということでつくられているものですけれども、まだまだ途中ですので、なかなか接続とかが間に合っていない、そういう状況が起こっております。本来でしたら、この会議でもおっしゃっていたような、先生や学校が、あるいは児童生徒が、自分に合ったデジタル学習環境をつくれること、そのための仕組みとしてデザインされているものです。そうすると、エコシステムが変化することが当然起こってきます。いろんなものが連携して動いてきますので、そこが今、調整の段階にあると理解しております。
 委員から、接続コストの話が出ました。前回のこの会議の場でも、例えばデジタル教科書との連携のようなところでも話題になっているところなんですけれども、標準モデルに従って、LTIという規格で連携することになっているんですけれども、これでやることによってかなりセキュアに、例えば児童生徒を識別するIDが統一されたり、学校コードが送られたり、基本的なところはこれだけで実現するようになっています。
 これで連携するには、学習eポータルは今10種類近くのものがあるんですけれども、ここの差は技術的には出ません。契約は今のところ別に結ばなければいけないので、契約の標準化というのは手がついていない。それは学習eポータルに限らず全般に言えることなんですけれども、技術的には、これを1回実装すれば、テストは必要ですけれども、つながるはずです。
 それ以外のコストがかかっているのは、むしろ学習ツール側、コンテンツ側が、やっぱりこういうこともやってほしいみたいな、追加のリクエストが出ているケースがあると理解しております。例えば、建て売り住宅だとある程度コストが下げられるわけですけど、やっぱりここをこうしてほしいとか、いろんなリクエストが出ると、そこはコストが上がってきます。そういう関係だと御理解いただければと思います。
 それから、全体の公平性を考えるにはマーケットプレイスが必要なんだけど、それは今の状況で学習eポータルが担うことって適切ではないんじゃないかという御指摘がございました。これもなかなか難しいところなんですけれども、学習eポータル提供事業者はそれぞれ、各社ビジネスモデルが異なっていたりします。以前からあった学習ツールを学習eポータル化しているようなケースもございます。
 いわゆる代理店機能をどう考えるかということになるんだと思うんですけれども、紙の世界でも代理店がございました。それがデジタルになってくると、単に販売代行とか契約の代行とかだけではなくて、例えばIDを統一しましょうとか、アカウント管理をどうしましょうとか、何か不具合があった場合のバグの調査とか、いろんなことが出てまいります。事業者側も、コンテンツの内容をよくするために徹したいという事業者はいらっしゃいますので、いろんな機能を全部備えるのってなかなか大変なはずです。そういう意味で、デジタルに即した代理店機能みたいなことというのはあり得るんだと思っています。
 ただ、これは、全部の学習eポータル提供事業者が備えているものではなかったりします。この辺の整理が少し必要です。販売代行ということですと、例えばOSとかブラウザのメーカーって、何とかストアというのは皆さんもお使いになっていることだと思いますので、いろんな形というのはあり得ます。あるいは国がということで、デジタルマーケットプレイスみたいなこともあるのかもしれません。このような整理が必要になってきていると思っています。
 何かしらのルール、規制があるのであれば、これは対学習eポータルという話だけではなくて、広い範囲での公平性を持った、何らかのルールづくりが必要なのではないかと思っております。
ハブの対象を広げてちゃんと考えるべきなんじゃないか、もっといろいろなシナリオを視野に入れなければいけないんじゃないか、あるいは、教育データってスタディログだけではないんじゃないかみたいなお話もありました。ハブとしては、最初に手をつけているのが、xAPI、MEXCBTが吐き出せるデータということですので、原理的にはほかのデータを扱うことも可能です。これは皆さんの御議論で、こういうデータをみんなで流通させよう、共有しよう、指導に生かそうということであれば、それに対する技術的なものは、ちゃんと仕様はつくれますし、ルール化も可能ですし、拡張可能であるというふうに御理解いただければと思います。
 
【日本図書教材協会・全国図書教材協議会】  日本図書教材協会です。今回もオブザーバーということで参加させていただいておりますが、僭越ながら発言をさせていただきたいと思います。
 2点ございまして、1つは今お話が出ている学習eポータルのこと、それから、データ利活用についての今回の論点の整理の中の1点につきまして、お話をさせていただきたいと思います。
 まず、学習eポータルにつきましては、先ほど委員からの御提案の部分として、3つの部分に整理して表を見せていただきましたが、この方向性について賛同できるところです。
 まずはMEXCBTのつながるところは国が費用負担をしてというところ、それから、ハブ機能を持っていったところについては受益者負担というお話がありましたけれども、場合によったら、自治体で民間の学習eポータルを契約したとしても、MEXCBTの部分だけとつながるという選択ができるのであれば、受益者負担として自治体がすぐに費用負担ができない場合でも、選択肢として、1年間はまずはMEXCBTとつながるところのみ導入して、ニーズが増えていけば、ハブ機能の予算をつけていくこともやりやすくなってくると思いますので、そういった柔軟な運用もあるのかなと思って、今聞いておりました。
 それから、今後、学習eポータルの検討の中で、改めて運用面のルールを定めていくということの必要性を感じております。今回の資料2の中の4ページのところに、標準ルールの策定で、学習eポータル標準モデルVer.4.00というものが2024年3月に出ていますけれども、令和6年度も「相互運用標準モデル」という名前に変えて更新していくということが書かれております。今後の運用面も含めた在り方についての記載もぜひやっていただきたいとともに、この更新についても、これまでの標準モデルの際と同等に、関係する方々の議論をぜひ公開して、しっかりとした議論の下でつくっていっていただきたい。これは文部科学省さんにお願いしたいところであります。
 続きまして、データ利活用のところで、資料2の5ページの③-1a)のところです。先ほどお話がありましたけれども、やはりデータ利活用と言ったときにどこまでをやるかというところで、これまでの議論の中にもあったと思いますけれども、子供たちの学習状況の把握、適切なフォローといった、特に我々、学校用教材を使ってのデータ利活用のところも多いのですが、そういった学習状況の把握、適切なフォローといった部分について、一時的にその場で必要なデータというところもあると思います。それと、今後蓄積していって価値が見いだせるデータというもの、その辺りは整理をしていきますと、自治体、大きな単位での整備を目指していくものは何かということが、もう少し見えてくるかなと思います。
 最後に、やはり目的としての先生や子供たち、あと保護者にとってというようなところ、特に先生、子供たちにとって、データ利活用で本当に必要なものが何かというところを考えていくに当たり、我々の教材制作の観点からしても、もともとデータ利活用のための教材制作ではなく、もちろんですけれども、子供たちの学力をいかに定着させていくかという大目的の下で教材をつくっていくという使命がございます。そこには、今はデジタルだけでなく、紙も含めた、両方の教材のいいところをうまく組み合わせながら、先ほどの目的を達成していく。その達成していく教材を作っていって、その先に、じゃあ、この教材をどうデータ利活用につなげていくか。こういった視点も、実際の現場目線として、本来求められている、我々が言う学校教材の在り方の視点をちゃんと維持しながらデータ利活用に生かしていくという観点も、非常に大事だと思っておりますので、ぜひともそういったことも含めて、本質を見据えながらの議論を引き続きお願いできればと思います。
 以上になります。
 
【委員】  またちょっとお時間をいただいて恐縮ですが、ICT CONNECT 21からいただいた意見について、質問になります。
 まず、接続コストの部分というところで、標準モデルに従ってデータ連携するとコストがかからないという話と、追加リクエストがある場合はコストがかかっているという話があったかなと思います。その点で言うと、今後、データの標準モデルをどうしていくかという議論は継続的に続くと思うんですが、そこで決まった標準モデルに、ツールズ及び、教科書さんなどが、のっとった場合には、接続コストはかからない。つまり、原則手数料はかからないということを御明言されたということでよろしいでしょうか。
 もう一つは、とはいえ、追加リクエストが物すごく多いのだとしたら、そもそものデータ標準自体に問題がある。つまりツールズとしては、「いやいや、このデータを見られないと学校の先生たちが困りますよね」と、一方で学習eポータル事業者としては「いやいや、でもそれは追加コストだから、お金を払ってもらわないとデータは表示できませんよ」となっているんであれば、そもそものデータ標準自体がずれているということかと思います。そこについても、追加リクエストが多いのだとすれば検討していく必要があると思うんですが、追加リクエストって実際、結構多いんですかね。
 
【ICT CONNECT 21】  まず、コストということですが、私がコストという単語を使ったのは、取引上の代金というわけではなくて、技術的にどういう手間がかかるかという意味での発言をしたつもりでございます。具体的に、いわゆるお金のやり取りを含むエコシステムがどう整理されるかは、最初に申し上げましたが、事業者を代表する立場ではございませんので、その発言ではないということを御理解いただければと思います。全体、トータルのコスト、いわゆる手間を下げるにはどうするかということだと御理解ください。
 それから、もう1点、追加のリクエストがどのくらいあるのかということなんですけれども、私も細かく把握しているわけではないですが、要は、今までのやり方そのものを実現してほしいみたいなリクエストって、やってくるんだと思います。そうではなくて、標準にのっとるとこれが簡単になるんだということ。ですから、標準に乗っていただくための手間はどうしても少しかかってきます。かかることによって全体がよくなるという、しかもデータの利活用が進んでいく。これが技術標準の意味ですので、委員からもお話があったような、そういうことの理解が広がっていくことで、全体の底上げができればという思いで活動しております。以上です。
 
【委員】  ありがとうございます。まさにおっしゃっていただいたとおりのところかなとは思うんですけれども、技術的にコストがかからないという、恐らく最小化されていく、標準化をしていくという話と、実際にそこにどんな手間とか金額的なコストがかかるかという話は、やっぱり分けて議論していく必要があると思います。後者の話も含めて、いわゆる手間、金額コストもなるべく最小化するような議論を続けていく必要があると思いました。
 もう1点です。マーケットプレイスのところについては、これはちょっと意見といいますか、考え方になりますけれども、やはり民間企業であるGoogleであるとか、内田洋行が、これまで民間としてやってこられた代理店的な販売代理のビジネスと、今回のMEXCBTを含む学習eポータルにおける販売代理機能というのは、性質を分けて考える必要があると思っています。
 民間のこれまでの努力の中での、代理店販売については、これからも当然続いていくものだと私も思っていますので、そこについては今回の議論の対象外だと思っています。
 ただし、国が必須のものであると、しかも全国学力・学習状況調査で使っていくようなシステム上で代理店販売がなされるということは、一般国民から見ても一体どうなのかと思われるものです。民間のビジネスとは全く違う類いのものです。なので、MEXCBT上、あるいは学習eポータル上で代理店販売のビジネスモデルをやらなきゃいけない状態になっているのであれば、その状態を正すべき。そういったビジネスモデルを採用しないといけなくなってしまうことが全ての不幸のはじまりだと思っていますので、学習eポータル事業者の皆さんが代理店販売をeポータル上でしなければいけない状態を脱するためのきちんとした予算措置とか、受益者負担の議論というものをやっていく必要があると思っているということです。
 ここについては、もう絶対に学習eポータル上での代理店販売機能はやるべきではないという考えを、はっきりとさせたいと思います。
 
【委員】  この会議に第1回目から参加させていただいて、今までも自治体の立場でトライアルしてきたことから、今後に向けて意見をさせていただきます。
 まず1つ目に、私自身このデータ利活用を進めていくと、どうしても獣道を傷だらけで歩むような感じで、時には危ないぎりぎりのところを攻めざるを得ないといったこともあったわけですけれども、本日、民間学習eポータル事業者、デジタル教材会社をはじめとした関係の皆様方のそれぞれのお立場の御苦労が非常によく理解できて、部分最適ではなくて全体最適に近づけていくためにはどうしたらいいかを考えながら、お話を伺っていました。
 GIGAスクール構想が開始されて、連携ハブ機能を持ったツール間の相互運用性の担保等を目的とする学習eポータルが構想されて、座長や文部科学省はじめ関係者の御協力によってここまでまずは発展してきたということに、感謝と敬意を申し上げたいと思います。
 一方で、この民間の学習eポータルが、連携ハブ機能のほかに、全国学調のMEXCBTへの接続機能も果たすとともに、様々なツール事業者の市場参加が進んだことで、民間事業者それぞれの立場の利害関係を調整したり、自治体にとって様々な選択の可能性を確保したりする必要性が、今までのお話の中にもありましたように生じてきています。具体的には、本日の論点にもあります、要件に従ったツールとの接続拒否の禁止、データポータビリティの保障、費用負担の在り方の適正化がありますが、文部科学省と各学習eポータル事業者とが協力することで、ぜひ進めていただきたいと思います。
 本市では早い段階から様々なツールを導入して、各ツールへのアクセスのハブとしてGoogleアカウントのシングルサインオン機能を使っていたということもあって、この学習eポータルは、ほぼ全国学力・学習状況調査のためのMEXCBT接続にしか使用しておりませんでした。繰り返しになりますが、それぞれの自治体がシステム構成や機能を選択できることが不可欠であって、文部科学省は、各自治体がそれぞれの実態に応じて、学習eポータルを選択しなくても、例えば実証用学習eポータルと他のハブ機能を有するサービスによってデータ利活用を進める選択をすることも可能であることなどを、改めて明確に示していただきたいと思います。その一環として、例えば民間の学習eポータルを介さずにMEXCBTとの接続が今後も可能であることを明確にするために、実証用の学習eポータルの名称変更をするということも一案かと思います。
 最後に、これは先月25日の中央教育審議会の部会でも発言しましたが、全国学力・学習状況調査は、今後CBT、IRTが導入されることで、これまで1教科およそ15問の調査問題での分析から、幅広い領域から出題されることになって、分析の幅も広がって、結果の情報もより多く伝わることになると思います。さらに、その結果のローデータを使って、都道府県あるいは市町村教育委員会の意欲や創意工夫次第で、教育委員会単位で分析も進めることができると、より有意義なデータ利活用につながる可能性があります。加えて、地方学調や新体力テストなどのスタディログ、ライフログ、アシストログといった様々なデータと組み合わせてダッシュボード化や分析を進めることで、新たな切り口から授業改善を進めることも可能になると思います。そう考えると大変わくわくしてくるわけですけれども、このタイミングこそ教育データ利活用のエポックメイキングになると思います。
そのために、教育委員会や学校が、このデータ利活用は、ありがたいものだ、なくてはならないものだ、学校の中での共通言語になる、というような有用性をしっかりと理解して、オーナーシップを持って教育データの利活用ができる基盤づくりやデータリテラシーの育成が急務であると思っています。そこで、今こそ産官学が、学習eポータルの運用など様々な課題や垣根を越えて持てる力を結集して、基盤づくりやリテラシー育成をしていくべきときだと思います。以上です。
 
【座長】  ありがとうございました。
 皆さん、たくさんの御意見をいただきましたが、私、座長として、少し申し述べておきたいと思います。
 私どもの今回の教育データの利活用に関する有識者会議は、第3期になります。この第3期は今年度4月に立ち上がって、今年度中に結審するという短期決戦的なことで、この第3期の目標は、これから安定的に様々な形で運用していくために、第3期では決め切れないと思うんだけど、今後ちゃんと決めなきゃいけないことを洗い出すということが課題です。そういう意味では、いろいろな課題が洗い出されてきているのかなと思います。
 思い起こせば、第1期は令和2年6月にスタートしているんですけれども、第1期、第2期とMEXCBTが構想され、あと教育データ標準等が、これはICT CONNECT 21にお願いして、いろいろと業界をまとめていただくような形でお話を進めていただいたりしたわけですけれども、その間に、第1期、第2期の間に、私どもはコロナ禍も体験しましたし、「令和の日本型学校教育」の中教審答申も出ましたし、それが弾みになった部分もあってGIGAスクール構想の本格的運用がスタートし、教育データの利活用については、夢と、あとは大きな誤解とか不安とか、そういうものも伴っておりまして、そういうものに対して私どもは、留意点も含めていろいろ検討を進めてきた。ようやく様々な形でいろいろ広がってきた結果、現場から見るとやや混乱してしまうような、あるいは、これを請け負っていただく様々な事業者から見れば、いろいろと不都合があるようなことが露呈しつつあるということなんだと思います。
 というわけで、今日議論になったような、この一連のサステナビリティを保つための費用負担も含めた議論が進んできているんだと思います。この議論は、委員の発言から言えば、学校現場から少し遠いものになっているのではないか。もっと立ち戻ってみたいなお話をいただきましたが、そのとおりなんですけれども、とはいえ、学校現場を支える様々なツール、教材、データ利活用を進めていただく民間の事業者の方々の、何というか、安定的なビジネスが進まないといけないみたいなところもあります。
 先ほど、公的な部分と民間の部分を分けていろいろ御提案いただきましたが、そのとおりで、ただ、どこまで国が予算を見るべきか、あるいは地方が予算を見るべきかみたいなことについても、実際の運用を進めてみないと分からなかった当時の段階から、ようやくこういうことが議論の俎上に明確に載るようになったという段階に、今来たんだと思います。
 私、3期とも座長を務めてきて、当時、私が見据え切れていなかったこともたくさんあったと思うという観点ではおわびしたいと思うんですけれども、進めながらでしかできない、こういう新しい、GIGAスクール構想そのものが新しいわけで、そういうことがあったと。それによって、現場あるいは事業者の方々に様々な御苦労を強いてしまったということについては、おわびを申し上げたいと思います。
 MEXCBTというCBTのツールを国が提供するという話と、それを使って全国学力・学習状況調査を明確に実施するということが決まってくるというタイミングですね。この辺りも、ならば、MEXCBTごと公的なこととして全部国が見るべきではないか、MEXCBTへの接続も含めて予算を見るべきではないかと考えるのか、全国学力・学習状況調査の部分だけをそうすると考えるのか、この辺りもまた非常にデリケートで難しい議論もあります。
 また、御存じのとおり教育予算は確かに厳しいわけですけれども、そういう状況の中で文部科学省の方々が様々な省庁と連携して、いろいろ闘っていただいている様子も、私は事務局と接していて見ているところでございまして、今日の議論も含めて、非常に、大変悩ましい思いで聞いておりました。
 とはいえ、皆さんからいただいた御意見を含めて、この論点をずっと二十何ページにわたって事務局にまとめていただいておりますので、これを基に最終の審議のまとめに向けて、これからあと何回か進めてまいりたいと思います。またさらなる御協力を何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。
 もし今日、意見を言い残した等のことがございましたら、事務局までメールをいただければと思うところです。
 では、予定していた時刻も1分過ぎておりますので、ここまでとしたいと思います。
 次回の会議は12月19日水曜日の10時ということになっております。次回もまた御協力をよろしくお願いいたしたいと思います。その間に、事務局といろいろ接触等あって、いろいろ御調整いただくこともあるかもしれませんけれども、御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今日はここまでといたします。皆さん、御協力ありがとうございました。

(以上)

お問合せ先

 総合教育政策局教育DX推進室

(総合教育政策局教育DX推進室)