令和6年9月20日(金曜日)10時00分~12時00分
WEB会議での開催
堀田座長、藤村座長代理、大久保委員、木田委員、小﨑委員、佐藤委員、讃井委員、高橋委員、戸ヶ﨑委員、中川委員、春山委員
茂里総合教育政策局長、江﨑大臣官房審議官、平野社会教育振興総括官、寺島学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、木村教育DX推進室長、白井教育DX推進室室長補佐、稲葉教育DX推進室室長補佐
渡部 一般社団法人日本図書教材協会 理事・事務局長/一般社団法人全国図書教材協議会 専務理事・事務局長、岡本 一般社団法人教科書協会デジタル化専門委員会 委員長、石坂 一般社団法人ICT CONNECT 21 フェロー、デジタル庁、総務省、経済産業省、個人情報保護委員会事務局、一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人ICT CONNECT 21、一般社団法人日本教育日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)
※資料1-1「委員等からの主な意見(第21-24回分)」、資料1-2「教育データ利活用ケース例(たたき台)」について事務局より説明を行った。
※資料2-1「岡本氏提出資料(デジタル教科書からみた学習eポータル)」について岡本 一般社団法人教科書協会デジタル化専門委員会委員長より、資料2-2「渡部氏提出資料(学校用教材の現状と教育データ利活用における課題について)」について渡部 一般社団法人日本図書教材協会 理事・事務局長 一般社団法人全国図書教材協議会 専務理事・事務局長よりそれぞれ説明を行い、委員から意見、質問が出された。
(意見)
【委員】 お二人、御発表ありがとうございました。すごく共感するところも多い御発表だったなというふうにお聞きしていて思いました。
1点だけ質問させていただきたいと思います。資料2-2の15ページの御提案の1番目のところになります。その中で、インフラとも言えるデジタル学習基盤(学習eポータル等)は公共性を担保することが重要というふうな一節があるんですけれども、ここで言う公共性というのが何を指すか、そして、公共性が逆に担保されていない状態があるとすると今どういう状態なのか、ここの公共性のところについて、お聞きができればと思います。
【日本図書教材協会・全国図書教材協議会】 学習eポータルというのは、MEXCBTと連携するなど、公教育のインフラに当たると考えております。その中で、やはりeポータル事業者が主体となって運用するということが果たしてその公教育のところとマッチングするのかなということがございまして、具体的には先生、子供たちといった利用者だけでなく、教材会社側、ツールズ側にとっても公平であり、接続コストにおいても、費用面での過負担でない、ベンダーロックインを生じることない運用が望ましいのではないかということが、私どもの申し上げている公共性の担保でありまして、それがクリアされることが、学習eポータルの活用のますますの進展につながっていくのではないかなというふうに考えております。
【委員】 最近のデジタル教科書の現状をキャッチアップできていないので教えていただきたいのですが、個別最適化が大きな目的の一つになっているということをお話しされていまして、デジタル教科書における学習ログまたは読書ログや、中には小テストのようなものも含まれるかもしれませんが、そういったもののログを把握するための識別子、IDは今どういった形になっているのでしょうか。また、そのデータはどこに保管、保存されるのかということをお伺いできたらなと思います。
【教科書協会】 学習者用のデジタル教科書に関しては、昨年度までが文科省の普及促進事業、実証事業の中での配布がほぼ全てでございまして、一般で販売されているものの数というのは非常に限られて少ない状態でございます。それは今年から「導入」になっても同様の傾向で、国の予算で配られているものが学習者に関してはほぼ全てと言ってよろしいかと思います。
文科省の事業の中での取組ですので、まずは、そのデジタル教科書というものに触れ、慣れ親しむ、デジタル環境に慣れるための主たる教材の投入というふうに認識しておりまして、いわゆるEdTechが行っているようなログを使って、それを解析して、リコメンドしていくような機能がデジタル教科書にあるかと言われますと、各社とも、その機能充実までは至っていないというのが正直なところかと思います。
ただ、アクセスした履歴ですとか、どのページを開いているのかというのは、各社様々な配信基盤の下にデータを提供しておりまして、それぞれのクラウド配信サーバーにデータは蓄積されている状況でございます。
このような説明でよろしいでしょうか。
【委員】 もうちょっとシンプルに言います。識別子、IDなどはどうしているのかということです。
【教科書協会】 IDは今、利用者に児童生徒のリストをアップロードして、ユーザー情報を登録していただくという手続で児童生徒の区別をしているという状況でございます。
【委員】 では、今後、国等々で共通のIDなどが作られれば、それに準拠できるような状態にはなっているという認識でよろしいですね。今、その実証上で、リストで仮にIDをつけているというふうに認識したんですけど、そういう認識でよろしいですか。
【教科書協会】 利用者側で共通のIDを規定のフォーマットに入れてアップロードしていただければ、同じように使える状態になると思います。
【委員】 ちょっとアナログ人間なもので的外れな質問かもしれませんが、岡本様からデジタル教科書、eポータル載せる際に、非常にそのプラットフォームが難しいというようなお話を聞きました。渡部様に御質問ですが、デジタル教材、教育データも同じようにeポータル載せる際、いろいろ難しい面があるのか、あるいは先ほど岡本様のほうが、教科書の特質性によっていろいろ難しい面が出てくるけども、デジタル教材に関しては比較的、簡略化されて載せることができるのか、もし分かったら教えてください。
【日本図書教材協会・全国図書教材協議会】 この辺り、技術的な観点であったり、運用面であったり、幾つかあるとは思うのですけれども、コストの部分に関して言いますと、教科書と同様に、複数のeポータルに対して同じように1つの教材を搭載するということは、なかなか負荷がかかっているところなのかなというのが実態と聞いております。
恐らく技術的なところでは、ある程度搭載することは、それなりに、ひょっとしたらデジタル教科書よりは柔軟に対応することはできる可能性はあるかとは思っておりますけれども、まず、やはり導入するところのハードルが教科書と同等にあるのではないかなと聞いております。
【委員】 私は学習eポータルとデジタル教科書、デジタル教材との連携、もしくは接合に関して、少し私見を交えてお伺いしたいと思います。具体的には教師側からの利便性、有効性ということはもちろんのことなんですけど、教育データの主体者である児童生徒による教育データの利活用という視点で1点お聞きしたいと思います。
今後、第2期GIGAスクール構想の環境下におきましては、個別最適な学びは、これまで以上に推進されるものと考えております。その際に、子供たちがそれぞれ自分の課題を解決する上で最も有効な方略は何かというと、まずは、デジタル版も含めて教科書を使うということだろうと思うわけです。ただ、それは、これまでもそうでしたし、これからも大きくは変わらないだろうと思っております。
一方で、これから指導の個別化ですとか、学習の個性化といった個別最適な学びの実現のためには、子供たちが自分に合った多様な解決の方略、これを自由に選択することができるということが保障されるべきだと考えております。そうなりますと、子供たちによっては教科書は、いつもオンリーワンの方略ではなくて、ワン・オブ・ゼムになることも考えられると思っております。
このように考えますと、子供たちが課題解決、あるいは課題達成後に自らの学びについて振り返り、例えば、こんな課題のときにはデジタル教科書のこの記述の部分が非常に私にとっては有効だった、といったようなログですとか、あるいは別の場面では、その他のデジタル教材やウェブサイトの利用が役に立ったといったような情報が一元的に記録され、一連の課題解決までのプロセス等を、ログとして必要に応じて子供たち自身で閲覧できるということが非常に重要になってくるのではないかなと考えております。
そう考えますと、学習eポータル等をはじめ教育データの有効な利活用のためには、子供たちが自らのデータを自らで容易に閲覧できるようなマイポータル的な仕組みの充実ということが必要だろうと考えておりますし、そこに可能な限り有効な方略となり得るログは一元化して閲覧できるようになるということは、子供たちが自律的に学びを成立させるようになるという意味では大変重要だと考えております。
ただ、実現のために御指摘の課題が多々あるということは私も改めて理解できたところでございますけれども、このような子供たちの視点で、デジタル教科書やデジタル教材等を含めた多様な方略が統合的かつ一元的にログとして記録されて、子供たちにとって有効に利活用できるといったようなことについては、どのようにお考えなのか、あるいはどのような展望をお持ちなのか、もしよろしければお教えいただけたらと思うところでございます。
【座長】 それでは、お一人ずつ、手短にお願いいたします。
【教科書協会】 御質問ありがとうございます。おっしゃるとおり、やはり子供たちを取り巻く教育に関するデータが全てログとして取れて、それを振り返られるというのは本当に理想だと私も思っておりまして、そこに向けてデジタル教科書が何を果たすことができるのか、貢献できるのかというところは常に考えているところではありますが、まだまだアナログの教材ですとか、なかなかデータ化しにくい学習行動などもありまして、その全部を統合的にログ化できない状況があるという認識でありますので、そこに向けて、学び全体をどのように可視化していくかというのは課題だと思っております。
【日本図書教材協会・全国図書教材協議会】 貴重な御意見ありがとうございます。子供たちの視点から見ると、統合的なデータの利活用って非常に大事だと思いますけれども、やはり民間同士の教材会社の中で、なかなか統一化することは難しいところであります。今回、文科省の「【参考資料】本会議の今後の進め方イメージ」の3ページ、「自治体等が整備することが望ましいシステム構成や必要な機能等について」の中でも、必要な仕組みや機能等にデータを必要な形式で書き出す仕組みというのがあると思います。こういったところの学習履歴で集まったものの標準的な仕様ができてくるだけでも、ある程度民間のほうで統一することができるのではないかと、たくさんの課題はありますけれども、そういったところから形ができていければいいかなと思って聞いておりました。
【委員】 質問を2つそれぞれ、させていただこうと思います。教科書協会の皆さんのところに関しては、プレゼンテーションの中で、学習eポータルとの連携で教師側のメリットに授業管理機能というのを挙げられていたんですけれども、これは私の理解だと、校務支援システムとか、そちらでやられていた話なのかなと思っていまして、何か別のことなのか、どういうことを想定しておっしゃっているのか教えていただきたいというのと、日図協さんのほうに関しては、アナログの教材にデジタルがどんどん付加されていってというお話だったんですけれども、実際のところ、今、普及率がどれぐらいとか、もしくは成長率というか、どのぐらい使われているのか教えていただきたいです。私たちの感覚だと、まだまだ紙がたくさんあってというところだと思うんですけれども、紙のよさは残しつつデジタルのよさというのが今どれぐらい受け入れられているのかというのを、それぞれ教えていただければと思います。
【教科書協会】 仮にハブのような形で子供たちの学習に関するログが一元化されて、それがダッシュボードにたまっていくということになりますと、授業に関する子供たちの状況が今までよりも簡易に把握することができるという意味で、その授業における子供たちの状況把握を、授業管理機能という言葉で表現したつもりでございます。
【日本図書教材協会・全国図書教材協議会】 今のデジタル教材の導入使用率というところで言いますと、先ほど申し上げたように、すぐに使えるというところで、図書教材から二次元コードを読み取ってというところがありますので、なかなかアカウント管理をしているものが少ないのですけれども、ある加盟社の小学校教材のアカウント管理をしている教材の話を聞いたところですと、全国の小学校の2割の学校で導入、登録はされているというふうに聞いております。それが一教材会社の事例でもありますので、それに加えて、ほかの教材会社、それから二次元コードですぐに読み取れるものということから考えると、かなりの割合で使われているようにはなってきているのかなと推測はできます。
あと、紙をやめてデジタルに変わっていくというよりは、紙も使いながらデジタルをさらに補完したり、発展的に使っているという事例が多くて、我々の紙教材が完全にデジタルに移行しているというよりかは、紙教材もしっかり採用していただいた上でデジタルも使っていただいているというのが、今の現状かなと思っております。
【座長】 ありがとうございました。では、この2つの発表についての質疑はここまでとさせていただきます。
※資料2-3「讃井委員提出資料(EdTechの今日的な役割とデータ利活用を進める上での障壁) 」について讃井委員より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
(意見)
【座長】 今、最後に文科省にお願いしたいこととありましたので、文科省から何か、現状をお伝えいただければと思うんですけども、いかがでしょうか、事務局。
【事務局】 資料2-3の17ページの御要望いただいたもののうち、学習eポータルのことについては、この後、事務局からも御説明をさせていただくこと、また、今日の議論の中でも、必要な機能として何があるべきかや、それからコスト面も含めた役割分担の話は、をしていただけたらなと思うので後に送ります。14ページでも重要論点という形でいただいたので、少し補足をさせていただくと、1つ目について、まさにこの点、有識者会議にお集まりいただいている委員の皆様に、この会議でも、今後の方向性も含めまして具体的に御議論いただきながら、とはいえ、目標設定の目途とかは、全ての市町村教育委員会で同一とか統一的なことも難しいだろうとも思いますし、具体的なケースを設定しながら、意義とか効果を整理して提示などさせていただきたいと思います。
IDについては、これまでもこの会議でも言及させていただいており、今日の冒頭のまとめですとか、今年6月のデジタル行財政改革会議でも年次更新ですとか、転校、進学を想定した指導要録、健康診断票等の提供を円滑にするためにということで、ID管理の実現方策の検討をするようにとされており、現状、今後の方向性をどうするかということで、調査研究を実施しているところでございます。
それから、3つ目の「教材・EdTechの学習データをどういう粒度で共有するか」のところですが、その手段として学習eポータルを使うかどうかとか、それ以外のBIツールを使うかどうかについては、市町村教育委員会とか学校がニーズに基づいて選択できることが望ましいというふうに文科省としても考えています。
どのデータを使うことでどういう効果が生まれるかや、それも踏まえた教育データの利活用の在り方をどう考えるべきかということに関しては、1つ目の「教育データ利活用の目的・目標の具体化」に戻るようでもありますが、今後も引き続きこれまでの、いろいろな自治体や学校の取組、それから、今後出てくる取組なども踏まえながら、この有識者会議でも議論を続けていけたらと思っています。
【座長】 今の回答のことを、座長として申し上げますと、まだ現在議論していて、制度としては決まっていないものもあるにもかかわらず、世の中でいろんなことが起こっているということに対する警鐘もいただいたのかなと思っておりまして、これについて文科省がどうするかというのは、文科省ができるかどうかというあたりもありながら、私どものこの会議としても、慎重かつ非常に冷静に議論すべきところかと思っております。
貴重な御指摘をいただいたと思います。
※資料2-4「石坂氏提出資料(学習eポータルが目指すもの)」について石坂 一般社団法人ICT CONNECT 21フェローより説明を行い、委員から意見、質問が出された。
(意見)
【座長】 それでは、今の3番目と4番目の御発表につきまして質疑を受けたいと思います。その後に全体の意見交換の時間を取りたいと思いますが、もう残りは既に30分を切っておりますので、質疑応答をまず受けたいと思います。質疑がある方は挙手いただければと思います。
【委員】 ちょっと大事なところなので、少し話させていただきます。
まず讃井委員がお話し、御指摘されたところで、私もEdTech推進でという立場で、本当に教育というものが、これからのデジタルプラットフォームとした時代においては、民間サービスの力、スピードとかクリエイティビティが本当に必要になってくる時代になってくるということで、そういったプレーヤーさんたちは積極的に応援していきたいと思っている立場です。
けれども、今起こっている問題というのは、その学習eポータルに準拠しないと学校導入がなかなかできないという、シンプルに言えば、問題かなというふうに思うんですけれども、先ほど手数料の話はありましたが、これは論外で、後のほうでお話をさせていただきたいと思うんですが。
それと、ハブに絞った方向性で議論していきましょうということについては、私もとても賛成です。
ただ、学習のために各教材が連携するということは、本当に必要なことで、これからの時代マストでして、その上で、お話に出てきたダッシュボードですとかBIツールというのは非常に有効なツールではあるものの、基となるデータがしっかり標準化されて整っている状態でないと、やはり出てくるものが質の悪いものになってしまうというのは今の現状だと思います。
そういう意味で、データの標準化というのはとても必要で、例えば標準化ですから、どこか1つで決めなきゃいけないわけですが、その決まったものに対して、各民間事業者というものは、それに合わせなきゃいけないシーンというのは、これから必ず出てくると思います。そこには、やはり労力でしたりコストがかかってしまいますので、そこに対して対応が可能かということは算段しておいていただけたらなというふうに思うんです。
もう一つ、仮に、AというEdTechサービスが入りました。それは技術的にも連携しながら入りました。ですが、もう一つ重要なことというのは、教育コンテンツの標準化というのが必要になってくると思っていまして、今、技術の標準化の話をメインに話していますけれども、何のデータを使って何ができたら公教育の一つの教育の質保証としてのものができるのかという、教育システムの標準化。
例えばAサービスのものができたと言っているけれども、実は公教育が求めているものというのは、そこではないという場合もあったりもする。もちろん補助教材だったら自由で結構なんですけれども、公教育に入るというのはそういうことで、先ほども公的なプレーヤーであるという定義の部分については、もちろんセキュアであったり、学則で表しているような、質保証が表している学習指導要領の中に、どこに位置して、何ができたらどう評価できるのかというところまでしっかりできているというところも、民間事業者として、技術標準とともに教育コンテンツの標準化というところに合わせていく必要があるということも認識していないといけない時代になってきたなということが1点です。
それと、石坂さんにコメントですけれども、改めて向かうべきビジョンというのを御説明いただいて、向かっている方向性としては本当に正しいなと思います。ただ、今のままでは実現が僕は難しいと思います。
今の状態ができれば、自治体も含めて、何か桃源郷があるような、本当に目標が実現できるというように若干聞こえるところがありまして、例えば最後に見せていただいた動画、拝見しました。その中でも、本当にすばらしい動画だなと思ったんですけれども、例えば動画にある活用イメージの部分で、各教材を時間割表示のようにして学びたい箇所を直接クリックすればアクセスできますみたいなことになっているんですけど、これ各コンテンツが学びたい箇所というけど、その位置情報って、学習指導要領コードがしっかり標準化されない限り、そんなことできるわけないのに、いや、多分できますみたいなことが表現されている。これ時間軸の問題だと思います。
または学習評価の観点からも、幾らAIが進化したとしても、公教育としての評価基準というものが、いわゆる学習の質保証というところが定義されないと、いいか悪いかという分析ができないんですね。それが必要になるので、やはり教育側の評価基準、つまり今のICONさんがやられているのは、技術標準の部分を実装されているということで理解をしておりますけれども、この目標を達成する上では教育コンテンツの標準化も必要だということを、文科省も含めて、ぜひ伝えていただきたい。それが両輪である、セットであるということがとても僕は重要なことであり、なおかつ、その技術標準の状態で今、公開し、自治体を巻き込んでいるということが、さっき讃井さん御指摘してきているような、起こっている問題の原因だと思っております。
最後に、文科省にどうしても伝えなければいけない点があるのかなと思うので、お話ししますと、先ほど来お話ししているように、そもそも、例えば学習eポータルの運営をなぜ民間にしたのかというのが、やはり今、改めて疑問に思います。もちろんMEXCBT、PISAと連携した状態でCBTということを国全体でデータとして持つということはとても重要で、そういったデータとの連携も含めて、やはり国または、それに準ずるような組織で、このハブ機能というところに関しては持つべきではないかなという、その運営主体の問題を改めて疑問に感じました。
なぜかというと、ビジネスモデルがそこにどうしても絡んでしまって、各学習eポータル系がどうしてもその運営をするためにやりくりするための苦肉の策として、そのビジネスモデルを持ち込んでいるという理解をしていまして、それはやっぱり学習者のためにならないというのが一番の理由です。
2つ目は、先ほど来申し上げているんですが、技術標準ばかりにフォーカスされた議論をしていまして、これはデジタル庁もそこに入っていますし、結構進んでいるところもあります。また不確実な要素として、デジタル庁はEUとデジタルパートナーシップ協定というのを結んで、学習歴のデジタル化の相互運用試験を一緒にやりましょうという話を合意されているんですよね。これを考えると、やっぱりEUからいきなり、その標準化のものがどんと落ちてくる可能性もなきにしもあらず。ここには信頼性のある自由なデータ流通、DFFTと言われるものも含まれているので、こういったものも不確定要素として、やっぱり僕らは認識しておかなければいけないと思っています。
なので、ここはある程度、その不確定要素としながら確定ではない状態で走らせる必要があり、それ以前にできることは何かというと、こういったGIGAスクール時代、ITをベースとする時代において、まず、文科省でできることというのは、教育コンテンツの標準化だと思っています。
例えば学習指導要領のコードを持って位置情報をしっかり定義するとか、どこまでその学習の質保証ができる、質保証としてのできるという評価基準としての深さ情報、位置と深さと言っていますけど、そういったものを今からでも、やっぱりやっていかないと。それは不変のもの、日本という国が教育をどうするかというものですので、不変のものになると思っていますので、やっぱりこういうところをしっかり先に詰めていく必要があるのかなと思っています。教育コンテンツの標準化が最優先であるべきじゃないかという意味ですね。もちろん両輪でありますけれども。
それができると、BIとか、ダッシュボードとか、最近ラーニングアナリティクスプラットフォームと言われるような生成AIを使った学習分析ツールなんかも出てきていますので、その位置情報と深みを加えると、学習者にとっての新たな便利なツールもできますし、その部分というのは競争領域として民間が活躍していただける場になってくるんじゃないかなというふうに思います。
【座長】 質疑応答というよりも総合的な意見交換になってきております。残り時間から考えますと、総合的な意見をいただきたいところなんですけども、文部科学省から、この後の意見交換に向けて、こういうことを今回議論していただきたいという提示がありますので、それを聞いた後、委員お二人、この後、御発言ある方は挙手をいただいておくというふうにさせていただきたいと思います。ちょっと時間が押しておりまして、大変申し訳ございませんが、そのようにさせていただきます。
では、まず事務局、よろしくお願いいたします。
【事務局】 資料3「デジタル学習基盤に必要なシステム構成・機能の検討に向けて」に基づいて御説明させていただきます。
ヒアリングをお聞きしまして、課題の所在とか、課題に対するアプローチの方法ですとか、あるべき世界観ですとか、それから必要な機能として何をマストとすべきか、ということについて、お立場によっても、お考えや御意向に大きな違いもあるなと思いつつ、MEXCBTや学習eポータル、それからルールの在り方などについては、現状とともに文部科学省の考え方についても確認をさせていただけたらと思い、意見交換に先立ちまして、こうした時間を取っていただくことといたしました。
文部科学省としても教育DXを進めていく、さらにその先の、全ての子供たちの力を最大限に引き出すということを進めるために、これまでツール、ルールの整備とともに、データの利活用の具体を進めるために、どういったことができるかということを、この有識者会議でも御議論をいただいてまいりました。
目的に関しては、これまで奈須教授、白坂委員にお話をいただき、データ利活用については木田委員、高橋委員、平田委員、小﨑委員、戸ヶ﨑委員からもお話をいただきました。
今回、特に資料3の2ページ目マル1とマル2に関してのヒアリングだと捉えております。
ツールとしては、MEXCBTについては、学習eポータルの議論に入る前に言及させていただけたらなと思っています。MEXCBTの現状としては、ほぼ全ての公立中学校が登録し、約890万のアカウントの振出しを行っています。今後も令和9年度から全国学力・学習状況調査の全面CBT化が予定されておりますが、そこで活用予定のCBTシステムとしてMEXCBTが想定されております。このMEXCBTへのアクセス機能を有するツールとして学習eポータルがあると捉えています。
文部科学省では、今、学習eポータルを含む学習リソース間相互の運用性を確保するために、どのような技術指針や運用指針が可能かについて具体的な検討を行っているところです。
例えば、4ページでは、学習eポータルがシステムとしてどうあるべきか、そのシステムが他のシステムとどうつながるかということについて、ルールで定めております。
1つ目ですが、今後、学習eポータルに関係する連携だけではなくて、多様な学習リソースを活用して取得できる教育データの相互運用性を確保することで、教育委員会、学校、それぞれのニーズに合ったデジタル学習基盤を柔軟に構築できるようなルールを目指したいと考えています。
ルールを設定する際には、協調領域と競争領域の組合せによってデジタル学習基盤の充実を促進できるようなルールをつくっていくことができないかと考えています。
4ページ下の枠囲みですが、1つ目に、主に日本の小中学校において学習eポータルが使われておりまして、学習eポータルは様々な学習リソースを便利に使うために、国の定める共通で必要な機能、協調領域を備えつつ、民間事業者の創意工夫も生かした機能、競争領域も併せ持つソフトウェアとして開発されました。
2つ目は、事業者、研究者、学校関係者等の皆様に御協力をいただきまして、これまで学習eポータルの標準モデルですとか、他の学習リソースとどうつながるかということの技術規格などを検討してまいりました。協調領域だけではなく競争領域として、民間事業者の皆様の創意工夫を最大限発揮いただく機能も装備できるというルールにすることで、学習eポータル自体が発展していくことにより、最終的には児童生徒の学びの充実につながればと思ってまいりました。
3つ目ですが、民間事業者が提供する学習eポータルの代表として、先ほど石坂様からお話をいただきました。
ここから、文部科学省からの事務局説明ということもありまして、御紹介をさせていただくと、民間が提供するものとは別に文部科学省が提供する学習eポータルがあり、実証用学習eポータルと呼んでおります。
4ページの下に機能の例がありますが、協調領域、それから競争領域という視点から、民間学習eポータルと、文部科学省が提供する実証用学習eポータルとの違いについてもお話をさせていただきます。
文部科学省が無償で提供している実証用学習eポータルにかかる費用については公費で負担をしております。こちらは1つ目のMEXCBTへのアクセス機能のみであり、最低限の機能のみで構成されているものになります。
一方で民間事業者が提供する学習eポータルについては、創意工夫により、先ほど石坂さんから言及のありました2つ目の連携のハブ機能ですとか、それから3つ目、学習の窓口機能について有しているものもあります。
例えば、この連携のハブ機能にある学習ツールの連携機能によりまして、今日ヒアリングをさせていただいている皆様の各種学習リソース、デジタル教科書や教材、各種ツール等に連携している民間学習eポータルもありますが、この機能については全ての学校で活用できる機能とはなっておりません。文部科学省が提供している実証用学習eポータルでは活用できない機能になります。
市町村教育委員会や学校が民間学習eポータルを選択して、民間学習eポータルを経由して各種学習リソースにつながりたいという場合には、学習eポータルと他の学習リソースが相互に連携できるように、技術指針や運用指針を定めております。一方で、その機能を活用するかどうか、直接、学習リソースにつながるかどうか、それから販売の形態も、従前なされていた直接販売をするかどうかも含めて、市町村教育委員会や学校のニーズに合わせて、市町村教育委員会や学校がどちらでも選択できるようになっています。
それから、この機能を活用して他のツールと教材とどうつながるかについては、双方ができるだけ負荷が少なくなるように技術指針、運用方針としてどうあるべきか、それから検証の方法をどうあるべきかについては、今後の意見交換も踏まえて、今後どういうルールであるべきかということを引き続き検討していけたらと思っています。
この3つの機能以外に関する指摘としては、先ほど学習eポータルの乗換えという話もございました。最近、学習eポータルの事業を撤退する事業者もあり、そうしたことからも、学習eポータルの乗換えも検討をしたらいいのではないかとか、検討すべきではないかというお声もいただいております。
それから、ダッシュボード機能については、先ほども言及をいただきました。これまでも有識者会議でデータの見える化の方策としてダッシュボード機能については言及をしておりますが、学習eポータルの機能としては、先ほど讃井委員からも言及いただきましたが、こちらについてはMAYの機能としています。いわゆる競争領域として整理されているものですし、文部科学省が提供する無償の最低限の機能を有した実証用学習eポータルについては装備されていない機能になります。なので、データの利活用の見える化の方策として、学習eポータルの機能を使うことも、それ以外の一般的なツールを使うことも、それはニーズに基づく選択となります。
ここまで少しヒアリングで言及いただいたそれぞれの項目に対する現状ですとか、文部科学省の考え方について述べさせていただきましたが、少し論点というか、テーマを設定させていただけたらということで、最後のページにまとめております。
やはり立場の異なる、様々な御意見をいただいたからこそ、意見交換の時間は、初めに座長からも言及いただきました目的に立ち返ること、それからツールやルールも全ては最終的には子供たちの力を最大限に引き出すものであるということを念頭に、これからの時間御議論いただけたらと思っています。
その上で検討をお願いしたいことですが、4月の本有識者会議の当初からお示しをさせていただいているものを、抜粋したものですが、5ページの3―1として、自治体等が整備することが望ましいシステム構成や必要な機能ですとか、3―2として、全ての自治体で最低限整備が必要なこと、それから各自治体がニーズに合わせて選択することができることを分けて今後、意見交換をお願いできたらと思っています。
そうした文脈の中で、先ほど来言及をいただいております学習eポータルについても、文部科学省が提供する、最低限の機能としてMEXCBTにつながる機能を有している実証用学習eポータル、それから民間学習eポータル、それぞれ機能の状況は違います。そして、ある機能が民間学習eポータルに実装されていたとして、それを使うかどうかも含めて、現状、市町村教育委員会や学校のニーズに合わせて選択できるものになっています。こうした機能についても併せて御意見いただければと思っています。
それから4番として、3―1,3―2で議論した必要なシステム構成や機能に向けて、国、地方自治体、民間企業、それから研究機関等が、それぞれどのような役割を果たすかについても御議論いただきたいと思っています。
公共性というワードもございましたが、文部科学省としては、学習eポータルだけでなく学習リソースそれぞれがどういうふうにつながるかということに関しても技術指針、運用指針を定めていけたらと思っています。その辺りについても皆様から御意見をいただけたらなと思っております。
最後に、デジタル学習基盤のシステム構成、機能に関して、この分野は民間事業者の皆様の創意工夫や切磋琢磨によって、ここまで発展してきた経緯があるものと思っています。ですので、協調領域とか、競争領域とか、それからルールとか、制約的なお話だけでなく、これからどういうふうにデジタル学習基盤のシステム構成、機能に向けて、どういう発展可能性があるかですとか、今後どういう豊かな学習環境を構築できるかについて、前向きな意見交換をお願いできたらと考えています。
【座長】 意見交換をしたいんですが、7分しかありませんので、次回もこの意見交換の続きをやれるように、事務局には段取りしていただきたいと思います。
今日はたくさん、4つのお立場からいろいろお話いただきましたので、だからこそ指摘されたことや浮かび上がった課題がいろいろあります。深い議論は、ですので、この後、あるいは次回で進めてまいりたいと思いますが、今、挙手いただいている方については御指名したいと思いますので、手短に御協力いただければと思います。
【委員】 手短に、次回もいろいろと御意見させていただけるという前提でお話しします。
まず、議論が非常に多岐にわたっていまして、論点を整理しながら話していく必要があるかなと思っています。学習eポータルは、お聞きするだけでも、データのハブだったり、ID、シングルサインオンだったり、ポータルだったり、ダッシュボードだったり、様々な機能がありますので、そこについて1つずつ丁寧に議論していく必要があるかなと思います。
今日はMEXCBTとの入り口、MEXCBTへの入り口という観点で事務局からもお話いただきましたので、将来、学習eポータルが費用を伴うようなことの可能性として、今はないと聞いていますけれども、あるとすると、全国学力・学習状況調査を行うMEXCBTで費用が発生してしまうというのは、やはり自治体としてはなかなか受け入れ難いところがありますので。今お聞きすると、文部科学省も持っていますよということなんですが、名前が実証用ということだと、なかなか実証はやめられてしまう前提だという捉えがありますので、ここ、ネーミングも含めて御検討いただいたらいいなというのが、まず学習eポータルの論点を整理していくのと実証用という位置づけ、MEXCBTとの位置づけというところについての意見です。
もう一つ、全体に関して、ここはデータ利活用の意見であって、学習eポータルの会議ではないと承知しておりますので、データ利活用の観点というと、やはりデータを統合的に見るべき領域と、それから個別に見て十分な領域というのが、きっとあるんだろうと思うんです。先ほど委員のほうからも、例えば引っ越ししたときに、AドリルからBドリルに変わったときに、そこのデータを本当に持っていく必要があるのかというと、私もないように思うんです。そのドリルを勉強したときに、達成できたとか、支援をしてもらう、そのシステムの中で完結するものと、あるいは一方、連携したほうが絶対によいようなデータというのがあったときに、今、比較的、枠が大きいというか、何でもかんでも統合しましょうというように見えてしまっている側面は現場の捉えとしてありまして、ここにありますように国として、自治体として、取り組むべき領域、最低限やるべきことがどこなのかってアンダーラインが引かれていますけれども、やはりその最低限行うべき統合する領域はどこなのかというのを明確にした上で、そのデータをどのように利活用するのか。技術の進歩とともに、その最低限が少しずつ上がっていくということがあると思うんですが、いきなりビッグピクチャーをぼんと、風呂敷を広げられても、なかなか自治体としては一気に取り組めないというところもありますので、統合的に見るべきもの、個別に見るべきもの、データの観点、ここをしっかりと見極めながら議論を進めていければなというふうに思っております。
【委員】 今日はいきなり4つの団体のご発表があった印象で、内容が多岐にわたり、また各団体毎に検討分野の違う詳細の事項に入ることから、初めてその話題を伺う方からはなかなか背景も含めて理解も難しいだろうという感じが感想です。ただ逆に、多くの課題が全体を通じて見えてきており、そう意味では課題が提起された良い機会であるとも思います。
第1回目のときにお話ししましたが、私は40年近く教育の情報化に関わってきました。最初は会社の教育市場事業の一員として、その後は教育の情報化の進展とともに多くの教育団体が登場しそこに深く関わってきておりますが、今回出ております広い意味での標準化に関する多くの課題は、過去からも何度も出てきて繰り返すということを見てまいりました。当然ながら現在の教育データは過去よりはるかに質量とも大きく広がっておりますが、よりよく過去の経験も生かしながら、関係者の中での協議から少しでも前に進めばというふうに考えております。
もう一つの立場は、世界の教育データの標準化団体IMS(現在の名前は1EdTechコンソーシアム)です。現在では世界で最も参加者が多くなった団体ですが、2015年末はまだそれほどではなかったと記憶しています。その団体の日本での普及を支援する団体の立ち上げに関わるお誘いをある先生から受けた際、日本では過去の歴史からもこういう標準化はなかなか難しいと申し上げたことを思い出します。現在の日本はその時点よりは大きく進んだと考えますが、本日の議論を受け、広げていく過程の中では、やはり過去から難しいことは変わらないものだというのが率直な感想です。
今日は多くの発表者からお話が出された大きな課題、小さなか課題も含めていろいろな課題が提示されましたが、ただその上でも多くは時間をかければこれは解決できていく課題であると考えます。今の日本はまだまだ過渡期ですから、いろんなことが出てまいります。それを落ち着けても、近い将来、また新しいことも出てくるでしょうが、また解決していくこういうことの繰り返しの中で、日本での本当の意味での前進があると考えます。
全てのことに通じることですが、「どこかが何かに決めればいい」例えば、極端な話、学校で使うOSは国中でどこか1つにしてしまえば、大変楽かもしれません。ではそうすればよいのか。またアプリケーションも全部1本にすればいい。そうすれば標準化の議論はもう必要ありません。ただそうだとしても、そのようなものがいつまで続くのか。いつかはまた変えなくてはいけません。その際はどうするか。また世界とデータの交換はどうするか、いや日本でも、役所のデータや教育以外の他の分野が持つデータとのやり取りはどうするか。本日のご発表はこうしたお話をされたわけではないのですが、ご提示された課題の解決のための答えは、ゼロか1かにあるのではなく、現在必要なのは、やはりデジタルデータとそのやりとりのための標準化であると強く感じた次第です。
私は前回の際、有名なゲーム理論をご紹介しました。ちょっとは皆が手間がかかるのだけれど、一度手間をかければ実はみんなが得をする。囚人のジレンマと言われているゲーム理論に出てくるのは、参加者が自分にとって一番都合の良いことを選択すると、結果は全員が損をする。このジレンマに陥らないよう、少しずつでも手間をかけて前に進むことをやることによって、結果は全員、全国民で成果が増えるということが実現できたらなというふうに思っています。
もう一つの視点があると今日の話で感じました。それは日本の商習慣です。これは民間だけを指すものではなく、自治体を含めた社会全体の話です。私自身、変えたらいいなと思うことは大昔からたくさんありますが、一方で、これらは、日本の社会、文化の中にも関わっており、残念ながら少しずつしか変わっていっていません。その中には、費用の負担をどういうふうにしたらいいのかも含まれます。こういうような話が多く残っています。手間がかかるものにただでできるものはないので、これをどうするか。大事なお話ですが、標準化とは違う話として切り分けて考えていければと思いました。 以上のような大きな二つの視点でこれからの議論が進めばと期待しております。
少し具体的な話に入りますが、例えば讃井委員のところにあったお話で、非構造のデータというのを標準化するのは難しいということがありました。それは無理で、今するべきではないことと私も考えます。ただ将来的には、そのようなものでも構造化されていくものがあるかもしれませんが。それよりも今できることは何なのかが大事なのだと思います。最大公約数でできるもの、まずは生徒のIDです。そしてデータのやりとりのための形式です。例えば現在でもCSV形式は全てのシステムで使えますが、以前に戸田市でご報告があったように、本体のCSVデータ以外に属性データが共通化されてないと、組み合わせるためのデータ移行が簡単には出来ず、なかなか共通した分析が進みませんから、少なくともこれはやっていこうというのが、今その最大公約数のIDにデータの在り方を共通にできる部分だけはそうしましょうというお話です。もう一つがアプリ同士のつなぎ方です。つないで使うためには、インターオペラビリティのところを押さえないとつないで使えません。
そういうふうな形のことを、先ほど出ました学習eポータルの中では取り入れられています。最も多く使われているものが1EdTechコンソーシアムの形式です。
この団体、現在は世界で1200の参加団体があります。6年前は2300しかなかったのですがここにきて急速に増えています。世界では大学や教育機関、教育委員会のユーザーの方が増えています。アプリケーションを提供するベンダーもユーザーもみんなが最初はちょっと面倒ですが、一旦合わせたら、その後はそれ以上のことはしなくて済むという利点があるからです。 私はその団体をPRするわけではありませんが、その団体の経験は見習いたいと思います。教育データの活用のための標準化では今回の議論でもありますように、同様に米国、世界でやはり相当なことで苦しんでいる時期があったようです。それがある時期から、互いに乗り越えようという話に進んだところは、ぜひ見ていっていただけたらなと思います。
基本は、デジタルエコシステムで合わせるところは合わせていきましょう。最大公約数的に合わせるところは合わそう。これが企業も、自治体も、大学も入って進んだ議論です。その中のエッセンスを日本に取り入れるという形になればと思います。
今日の学習eポータルの話は、OSがアプリケーションをどんどん組み込んでいく中で、OS対アプリというコンフリクションがあったことに多少似ているのかなと思いながら伺っておりました。私は一番大事なメインはやっぱり、つなぐというところをどうやって標準化するということのお話かと考えます。そこに附属しているアプリがあっても、学習eポータルはOSではありませんから、学習eポータルとアプリ付きの学習eポータルも標準化されてるので、それら同士をつなぎ、必要ないものは使わなければ良いのです。標準化というのはそれができることが良いのです。ぜひつなぎ、どうやってより良く進めるかということに向けて、これからお話しする。もちろん最大の目的は子供たちと、それからそこに向き合う先生が使いやすいようにしていく。そういうことでは、ちょうど今、全国の自治体のシステムの標準化が進んでいます。これも長い期間、相当いろんなことはありましたし、今も時間が想定以上にかかるということも起きていますが、次に向かって進んでいっているところでございますから、教育のデータの活用に関しては、ある種、ミニマムエッセンスとしての標準化を伴いながら、ぜひ前に進んでいっていただければなと思います。
今日のお話は、表現的にはいろいろぶつかるところは出たと思いますが、逆に言えば、そこを上手く整理すれば進むということに感じましたので、ぜひ次回そちらの方向に進んでいただけることを強く期待しております。
【座長】 大変恐縮ですけども、今、挙手いただいている委員までとしたいと思います。
それと、既に時間過ぎておりますので、一言ずつということでお願いできればと思います。
【座長代理】 私のほうから手短にお話ししたいと思います。
今日、皆さんのお話をお聞きして大変、成果と課題の両方が見えてきたというふうに思います。そこで私から1点だけ、今後の議論の進め方についてお話ししたいと思います。
それは端的に申し上げると、納得解を生み出すために、みんなで子供たちのためにというキーワードで汗をかきませんかという点でございます。どうも議論していく中で、それぞれのお立場での意見が結構強く散見するところもありましたけど、やはり子供たちと子供たちの学びのよりよい姿、そしてウェルビーイングのために、そしてさらには教職員等の、それを支える人たちのウェルビーイングのためにどうあるべきかという議論をしていただきたいということです。
そのために、ちょっと3つ、お気をつけいただきたいのは、今回の議論のこの有識者会議、最初のときに確認したペダゴジー・ファースト、テクノロジー・セカンド。教育としての在り方、子供たちのためにということを第一ということが1つ目。
2つ目は、先ほどお話あったように手数料を取る取らないの話ですが、いろいろありましたが、持続可能なモデルなのかということを考えると、ペダゴジー・ファースト、サステナビリティ・セカンド、テクノロジー・サードって言うべきかもしれないな。この辺も含めて、みんなで納得解を生むために知恵を合わせていただきたいと思います。
3点目は、その納得解。もし生み出されたら、それを広げる努力というのは、実は自治体とか事業者では不可能ですので、ここは文部科学省さんが強力なリーダーシップを執って普及促進を図っていただきたいなというふうに思ったということだけお話ししておきたいと思います。
【委員】 学習eポータル、あるいはデジタル教材の活用は、教育の質の向上に向けて大変大きな可能性を持っているということを今日お示しいただきました。また同時に、市町村教育委員会や学校は実態に適したものを選択できるようにすることが求められているということも今日、理解することができました。
私たち全国市町村教育委員会連合会としましては、教育の現場が自主的に教材やツールを選択できるように、現場のニーズに耳を傾け、柔軟で多様な教育の質の実現に向けて支援していくことが求められていると理解しております。
また全国市町村教育委員会連合会としましては、各教育現場が、民間学習eポータルだけでなく、先ほど御説明のあった文科省が提供している無償の実証用ポータル、eポータルなども含めて、効果的に選択できるようにすることが求められており、そのためには国からの具体的な支援も必要であると思います。
例えば民間学習eポータル、実証用学習eポータルの機能や特徴を比較できる情報や、各ポータルの提供する教材の内容、学習スタイル、サポート体制、これなどを整理した比較表など与えていただけると非常にありがたいです。
さらに国が推奨するeポータルの評価基準、自治体で活用されているeポータルの事例などもお示しいただくとありがたいと思っております。
こうした取組により、各学校、現場の教員が自校の教育カリキュラム、子供たちのニーズに合わせた適切な選択ができると考えております。
【委員】 時間が過ぎておりますので、次回会議あるいは文書等で申し上げたいと思います。
【座長】 座長として一言申し上げておきたいと思います。我が国の教科書や教材、あるいは教具に関しては、様々な制度の下で、しっかりと堅牢に進んできたわけですが、一旦これにデジタルが入ってきた段階で、そちらには非常に大きな可能性と未来がありそうだ。しかし、これからどうなるかはまだ分からない、そういう段階で、この教育データの利活用の会議がスタートしています。当時の見積りや決めが甘かった部分があったとしたら、それは座長である私の責任ですけども、実際やってみて、運用し始めてみて分かる様々なことがありました。
技術標準については、先ほど石坂さんから御説明いただきましたけど、文部科学省と調整しながら、いろいろ進めてきました。一方でまた商習慣のところが変わるときに、いろいろな形で、ちょっとこれでいいのかみたいな議論があったのかなというふうに思います。
今、あるいはこれから、学習指導要領が改善されていく、そういうタイミングにありますし、デジタルが戻っていくということはほぼないわけですから、これからどうしていくかということについて前向きな、そして趣旨としては子供ファーストの議論をしていきたいと思いますし、これもやりながらでないと進まない。委員もおっしゃっていただいたことですけども、過去にも同様のことはいろいろあったわけで、それを含み込みながら、私どもとしては前に進んでまいりたいと思います。
今日は非常に貴重なお時間をいただきまして、この4人の発表者に丁寧に発表いただいたわけです。議論の時間は少しなくなりまして大変申し訳なかったんですけども、次回またこの続きを議論させていただくということにさせていただきたいと思います。
次回は11月6日水曜日10時からになっておりまして、少し間が空きますので、逆に申し上げれば、皆さんの今日、発言され損なった御意見を、ぜひメール等で事務局にお寄せいただきまして、事務局は11月6日までに、さらに議論が論点別に行われるように進めていけるように、私も含めて、そこを議論して組み立てていきたいと思いますので、早めに御議論、御意見をいただければ幸いでございます。
15分過ぎてしまって大変申し訳ございませんでした。これで今日の会議はお開きにしたいと思います。どうもありがとうございました。
(以上)
総合教育政策局教育DX推進室