教育データの利活用に関する有識者会議(第23回)議事要旨

1.日時

令和6年7月10日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議での開催

3.議題

  1. 前回会議の振り返り
  2. 有識者からのヒアリング
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、藤村座長代理、大久保委員、小﨑委員、佐藤委員、讃井委員、白坂委員、高橋委員、戸ヶ﨑委員、中川委員、春山委員、平田委員

文部科学省

望月総合教育政策局長、淵上大臣官房審議官、平野社会教育振興総括官、寺島学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、藤原教育DX推進室長、白井教育DX推進室室長補佐、稲葉教育DX推進室室長補佐

オブザーバー

奈須 上智大学総合人間科学部教育学科教授、デジタル庁、総務省、経済産業省、一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人ICT CONNECT 21、一般社団法人日本教育日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)

5.議事要旨

議事1.前回会議の振り返り

※資料1-1「委員からの主な意見(第21・22回分)」、資料1-2「教育データ利活用ケース例(たたき台)」について事務局より説明を行った。

議事2.有識者からのヒアリング

※資料2-1「奈須教授(上智大学総合人間科学部教育学科)提出資料」について奈須正裕 上智大学総合人間科学部教育学科教授より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【座長】  奈須先生にはこの有識者会議の外側の立場からお越しいただいて御意見をいただいたところですので、できればこれまで私たちが議論してきたこと、委員の皆さんのお考えとつなげる形で話合いが進めばと思うところです。全体的な話合いは最後にまたもう一度やりますが、このタイミングでぜひ御質問いただければと思うところです。
 
【座長代理】  これまで、なぜ教育データの利活用をするのか、皆さん腹落ちしていただけるようにということで議論を重ねてきましたが、私がかねがね、足りないなと思った具体例を挙げることではなく、なぜこういうことをしなければならないのかというそもそも論、つまり、今日奈須先生にお話しいただいた教育改革の方向性となぜそれが必要か、そのときにどういう留意点があるのかということについてお話しいただけたと思います。
 私たちは、ついつい教育データの利活用からスタートして話してしまうのですが、教育改革と教育DX、新しい価値観への転換も含めてお話しいただけたので、ぜひ資料1-1として本会議のまとめの冒頭にこれをつけたほうがいいのではないかなと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
 大変共感いたしました。
 
【座長】  私も今同じようなことを考えておりました。委員の意見ではないですけれども、こういう意見をいただいて、私たちがそれをなるほどと思ったということは、委員の総意として書き込めるのではないかと思っております。
 
【委員】  私も全く今の座長代理と座長のお話とかぶるところがあるわけですけれども、ただいまの御発表については、やはり教育課程とICT、さらには教育課程とデータの利活用の関係を考えていく上で、大変重要な視座をいただいたと思っています。
 デジタルによってもたされるその変化を包括的、根本的に捉えて、学習プロセスですとか、学習規律に関する価値観といったものも含めて、新しい学びや指導の在り方を改めて検討していくという重要性を感じました。この会議においても、学力論や学びの在り方などの話題が出るということは大変重要なのかなと考えています。
 やはり教育者が重視していかなくてはならないことは、あくまでも子供の学びのプロセスであり、学びの質の向上であります。
 そういったことを踏まえても、これまで私もこだわって繰り返し申し上げてきたこととして、教育データの「標準化」を進めていくことが必要だと思っています。これまで文科省のほうでもトライしてきた学習指導要領のコード化を活用して、子供の資質・能力の評価を適切に行えるような仕組みがあれば、自由度の高い学びを下支えすることになるでしょうし、また技術的な標準化が進んでいくことで、民間企業が提供するコンテンツを活用する上でも、教師の裁量が広がるようになるのではないかと考えています。こういった仕組みづくりを戦略的に検討して、徐々に具体的にできるようになればいいのではないかと考えました。
あわせて、国策としてGIGAスクール構想を進める中で、教育データの標準化が進まなければ、場合によっては現在精力的に取り組んでいる教育委員会や学校のはしごを外すことにもなりかねず、国が主導して直ちに整備していくべき課題であると改めて思っています。
 また、お話にありました資料2-1 6ページの「3 デジタルコンテンツを巡って」というところの2点目と3点目で御指摘されている「パッケージ化していて、全て丸ごとそのまま使うしかない」という御指摘についても、まさに今、本市で痛感しているところでございます。
 現在のところ、校務支援システムや学習eポータルでは、取り込むことのできるデータは、それらのシステムを提供しているベンダーや当該ベンダーと連携している企業の製品を中心とした一部のアプリケーションにとどまっていると認識しています。
 また、データの取り込みだけでなく、校務支援システムですとか、学習eポータル、各種アプリからのデータの取り出し、吐き出しについても難しいケースというのはよくあります。
 つまり、学校や教育委員会が使ってみたい学習系のアプリやデジタルコンテンツを使用したときに、これらの使用データと、自前で作ったアンケートや他のデータを組み合わせて分析してみるといった「現場の創意工夫から生まれるデータ利活用」は、現状では非常に行いにくい環境です。例えばGoogleフォームで作成した子供のアンケートと民間業者が提供しているスタディログサービスのデータを独自に組み合わせて分析をしたいと思ったときでも、スタディログサービスからデータを取り出すことができないという現状では、分析がままならない状況です。そのような創意工夫を行いにくい環境は、まさに今先生が御指摘のとおり、「パッケージ化していて、全て丸ごとそのまま使うしかない」という環境なのだろうと思っています。
 本会議で議論している利活用のケースを展開していくに当たっても、再度議論の必要があるトピックではないかと感じましたので、意見をさせていただきました。
 
【委員】  今日のお話は大変共感をしておりまして、一言で言えば、まさに教育DXのXの部分が大事であるというお話だったかなと思いました。
 文科省のことを悪く言うわけではないですけれども、やはりデジタルの話をしたときに、デジタイゼーション、デジタライゼーションというところからデジタル化をステップで進めていくという話はありますけれども、本来大事なことは、やはりXの部分です。つまり、デジタルを使って何が変わっていくかを決めることが一番大事ということ。そして、そのXの根幹は、学習観や教育観、や能力観が変わっていくところであるというお話をいただけたことを、とてもうれしく思いながら聞いておりました。
 幾つか私からも話をできたらと思います。まずパッケージ化というところの問題点については、いろいろな角度があるとは思うのですけれども、今回の会議の主題である教育データの利活用というところに関連すると、今、委員のほうからもお話をいただきましたオープンで疎結合なデータ利活用をしていくべきというお話なのかなと思いました。
 全体のパッケージがあって、データのダッシュボードの形が固定的で、データストレージを介して、一定のツールズからしかデータは入れられませんというようながちっと固めたパッケージになってしまうと、学校現場でやりたい学習の中で使いたいツールズが自由に使えなくなるとか、各自治体・学校が自分たちで集めたデータをダッシュボードに取り入れることができないといったことが起こる可能性があります。やはり密結合でかちっとロックするのではなくて、疎結合で様々なツールやデータを使えるような状態をつくっていくということが、大きく今回のデータ利活用を考える上で重要な話であると理解しました。これが1点目です。
 2点目は、民間のコンテンツについてというところで、旧来的な学力観にとどまっているものが多いのではないかという御指摘があったと捉えています。事前に資料を頂いて、この部分はなぜなのかと私も考えたんですけれども、民間の教材がそうなってしまう理由というのは、教育の出口が内容中心の旧来的な学力観のまま変わっていない部分がまだ多くあるからだと思っています。
 文科省の学習指導要領を含めて理想状態としては、学力観の変化についてはこの10年にとどまらず、ここ20年、30年と言ってこられているところだとは理解をしています。しかし、中学校の受験、特に高校の受験かなと思ったりもしますが、あとは大学受験でも、内容中心の学力観が変わらないところがある限り、背に腹は代えられないというところで、現場の先生も内容中心のコンテンツを求めることになると思います。だからこそ民間の事業者がその現場の課題解決やニーズに対して、内容中心のコンテンツを作っているというところがあると思うんです。
 私から文科省などにお願いしたいことは、テスト、受験も含めて学力観を本当に変えていくことを先にやっていかないと、民間事業者の動きも理想状態に寄ってくることはないのではということです。現場から必要とされ、ビジネスにもなるところで、必ずデジタルコンテンツはたくさん出てきます。ですから、教育の出口が変わらないというところが問題の根幹であるということをお伝えしたいと思いました。
 最後になります。今回、DXに関連してティーチャープルーフになりやすい構造があるという話も、奈須先生からあったかなと思います。ここはなかなか難しい部分もあるなと思っていまして、デジタルということは、格差なくかつ効率的にどこの学校でも最低限同じことができる状態をつくっていくというよさがあるということであり、共通の環境を整えるということは、構造的にティーチャープルーフになりがちということだと思うんです。
 こういったアフターGIGAの時代の教育を考える我々の立場としては、デジタルなティーチャープルーフになりがちな環境の上でも、先生方が自由演技をしていく、創意工夫をしていくといった新しい教員像や教育像を考えていく必要があると思っています。
 そうしたときには、学習デザインであるとか、授業デザインの力ということがより求められていくと思います。そして、創意工夫を促すようなデジタルの使い方もより重要になります。例えば生成AIの使い方についても、決まった仕事の効率化だけでなく、先生方の創意工夫を広げ、仕事の質を上げていくとか、アイデアを創発していくような使い方が、事例としてどんどん上がっていくようなことが大事ではないかという話です。
 教育データ利活用の話に戻りますと、データを分析する力についても同じなのかなと思います。途中のブラックボックス化というところの御指摘に関しては、当然アルゴリズムが一定ブラックボックスなところはいつまでも残ります。それはもうGoogleのサービスも、Microsoftのサービスなどでも、当然そういったことは残るわけです。
 出てきているアウトプットや数字みたいなものに対して、利用者がきちんとそれを理解することができれば、そのブラックボックス化されているところを乗り越えられると思っていますので、教育データ利活用の中でも、データを分析し、出てきている数値を理解していくための教員養成の在り方や先生方のリスキリングの在り方が、今回の会議での重要な論点になるのではないかということを奈須先生のお話から感じたところでした。
 
 
【委員】  いただいた御意見、大変賛同するところでして、感想を一つ手短にお話ししようと思います。
 デジタル環境とデジタルコンテンツの2つに関して言及をされたと思っていまして、私からは特に環境について少しコメントをしたいと思います。
 環境を通して行う教育の考え方において、デジタル環境というのは非常にノイズが多いというところが特徴としてあると思っており、先生のお言葉で言うと、横滑りの発生があるという部分を私も感じております。
 この部分に関してどのような取組をするべきなのかなということを考えた際に、当然、誰が見ても倫理的にもしくは公序良俗の観点からガードすべきであるというガードと、我々大人でもあると思うのですが、締切りに追われているときには余計なコンテンツを見ないが、少し余裕があるときには余計なコンテンツを見てしまい、それが発想を膨らませるときもあれば、これはやめておけばよかったと後悔することもたくさんあります。
 我々はそれを振り返りながら、時間の使い方をもう少し効率的にやらないといけないということを思うのですが、きっと子供たちはまだそのトレーニングがしっかりできていないと思います。要は、我々は仕事をして対価をもらう、お金をもらうことで、その辺の感覚が研ぎ澄まされていくのですが、子供は勉強に前向きになれないときに、振り返って、今、横滑りをしたのかどうかという評価を行うということが1人の力では難しいのではないかと考えます。データを使って教師とともに振り返りを行い、適切な行動だったのか、ベストだったのだろうかということを行うことは重要なのかなと思っています。
 奈須先生がお持ちになられたガードレールがかなり限定的だというか、公序良俗に関するようなレベルのことなのだということを念押ししておかないと、全て禁止しようということにならないかなということを少し心配しておりますが、適切なガードレールを設けることと横滑りをしたのではないかということを振り返っていくことを、データを利活用しながら教師と子供が行っていくということが非常に重要なのではないかなと思い、コメントをさせていただきました。
 
【委員】  もちろん賛同するところでございます。質問というか感想も含めてなんですけれども、奈須先生のおっしゃる話が実現するとしたら、データの取扱いというものが、本当に子供の単位というか、子供が真ん中というか、子供中心になっていくんだなと思っています。
 どうしてそういう言い方をするかというと、やはり多くのデータの扱いは学級単位で行われていることのほうが多いと僕は思うんです。例えば同じ目標、同じ内容、同じ方法、同じペースで一斉指導だと、奈須先生はおっしゃいますけれども、それはどの単位で行われているのかというと学級の単位で行われていますし、標準時数はどこで計算しているんですかというと、学級の単位で計算されていること、あるいは学級担任というか教科の担任、先生の単位ということです。その先生もやはり学級の単位で、予算から何から、教員の定数から、結構みんな決まっているような感じが僕はすごくしています。
 そういうものが変わるということはなかなか難しいとは思うのですけれども、我々はデータの処理の仕方として可能性を見せていくのであれば、時代を見据えたときに、疎結合という言い方していますが、具体に言えば、子供単位でデータが保持できるようにしていくということです。
 奈須先生のお話でいえば、将来、学級という存在が柔軟になっていく可能性が強いわけです。そういうふうに柔軟になったときでも、子供がいろいろな場所で、いろいろ学べることも可能になるように、データの保持などに自由度を持たせていくということなのかなと伺いました。
 このまま進んでいくと、学習指導要領をコードにより一層実現するためにデータ利活用はどうするんだという学習指導要領のほうから、データ活用を考えていかなければいけません。
 そう考えると、今の学習指導要領は、カリキュラム・オーバーロードという言い方をしていますが、もしも個人個人が学んでいくとしたときに、オーバーロードとは、誰かが教えなければいけないと思っているから、オーバーロードと言っている可能性すらあるわけです。だから、そういったときにも対応できるようなデータの持たせ方と、奈須先生がおっしゃるような本当に理想的な姿になったときでもデータが扱えるように考えていくには、子供単位でデータを保持するのかなどと思ったところです。
 僕は、やはりデータのほうで支えないと、学習指導要領のほうも思い切った変更は難しいと思うところがありますので、我々はしっかりこの辺を考えていかなければいけないということの思いを新たにしたところです。
 
【奈須教授】  まず1つ目のパッケージ化やブラックボックス化が、入試などにかかっているのではないかということは、マーケットニーズがあるから、そちらに行くのだという御指摘はそのとおりだと思います。これは幼稚園などでもよく言われることで、遊び込むことが大事だと幾ら言っても、お母さんたちのニーズが習い事なので、どうしてもそっちに行かざるを得ないというような状況と同じだと思います。
 民間の動きということに対して、政策や行政がどう関わるかは非常に難しいところがあると思います。従来は、小学校以上は多くは公立だったので、ある意味で、コントロールしやすかった部分がありますが、デジタルが入ってくるということは、いい意味で民間の参画が増えるということですし、僕らもいろいろなお助けをいただきたいと思います。そうなったときに民間の論理の一つは、当然マーケットニーズや資本主義の論理ですので、そこら辺とどう付き合っていくかという話は、今後すごく難しい話になると思っています。
 2つ目のこととして、ガードレールということを申し上げましたが、委員がおっしゃるようにノイズが多い。なるほどそういうことですよね。私は、基本的には子供の学びをオーセンティックにすることが大事だと思います。オーセンティックにするということは、ガードレールはできるだけ外すということです。そうなったときに、失敗なども含めて、多様な経験をして、それを振り返って自分の学びのありようを徐々につくっていくということだと思うのですが、そこにおいて、よく欧米でかつて言われたことは契約という概念です。
 今、単元内自由進度学習なども広がっていますけれども、あれが面白いのは、8時間でこういう内容をやってください、その上で、これはあなたが選んでくださいと、全部、情報を渡すわけです。そこで、ここは必ずやる部分とここは自分で判断していい部分と、時間の使い方も1時間、1時間ではなく、8時間でとにかく、つじつまを合わせればいいんです。日本の先生は、亀さんが好きなんです。着実に毎時間決まったとおり行くことが好きで、ウサギさんはあんまり好きではないんです。でも、ウサギさんもいいんです。ウサギさんがとんとん行けば、それで生み出した時間で横滑りしても構わないんです。
 だから、そういうことを全部自分で考えて判断して、そして今回これは違ったな、ウサギさんが昼寝してしまって、亀さんに追い抜かれたなという経験をするといいと思うんです。そういういろいろな経験をして、自分の学びのスタイルや自分の学びの得意などを見つけていくということが、個別最適な学びが目指していることです。
 ただ、そうなったときに、子供たちにはかなり大きな桁で、学びの時間的なこともそうですし、選択肢もそうですし、判断を委ねていくことになります。教師から見て、短いスパンで思いどおりにしていないからといって、すぐに指導はしない。場合によっては1時間無為に過ごす子供がいても、それを見過ごすことができるかは、すごく大事なことで、子供を信頼するということは、そのぐらいの桁になってきます。
 裏切られることもあります。だから、8時間終わったときに結局やれていなかったということもありますが、やはりそこに契約という概念が必要で、契約を履行していないということについてはしっかりとした指導を行い、次の単元ではちゃんとやりなさいという関係をつくっていくことが大事なんだろうと思っています。
 それは、ある意味では鍛え上げることだと思うんです。委ねると同時に、鍛える。任されたから頑張る。そういう関係をつくっていくことが、教師と子供の新しい意味の信頼関係ということの形成だろうと思っています。
 委員から御指摘のあった子供中心というか、子供一人一人を単位にするということもとても大事なことで、どうしても学級という単位でいろいろなことが進んできました。これは、学級という単位で進むことが合理的であったし、それしかなかったからですが、デジタル等の活用によって、もっと個人の単位でいろいろなハンドリングが可能になってきました。学習もそうですし、評価もそうですし、データの利活用もそうですが、そこにおいて、当然、個人を単位としてやっていくことになってきます。これは結局、学校教育のいろいろなデザインのベースが変わってくるということだと思います。カリキュラムという考え方を変えるのだろうと思うんです。カリキュラムの定義として、いわゆる意図されたカリキュラム、また、教師の側で実行したカリキュラムがありますが、つまりこれを教えるべきだとなっていて、私はこれを教えたはずだというものがあるわけですが、一人一人の子供がそれを学んだ保証はないわけで、一人一人の子供の経験の総体をカリキュラムとして見ることだと思います。
 カリキュラム・アズ・エクスペリエンスというデューイ以来の発想がありますけれども、今でいうと学習履歴という言い方をしています。経験としてのカリキュラムですけれども、そこに定位して、一人一人の学びということを見ていきます。
 先ほどの契約という概念とも関わってきますが、一人一人の学びの履歴がよりよいものになっていくように、先生は環境を整備し指導もするわけですけれども、子供一人一人としても、自分の学びの履歴が今どんな質のものであり、それは要求されているものにきちんと応えているか、あるいは、自分が納得できるものになっているか、それを真摯に見詰め、誠実にやっていけるような子供にしていく。そこの指導、信頼して委ねる、そして鍛え上げるということが大事になってくるし、それをデジタルやデジタルデータの利活用ということは可能にするし、強力にサポートをするのだと思います。
 それはデジタルが登場する前から、今デューイと言いましたが、ある意味では100年前から、教育はそれを目指すべきだとされてきたわけですけれども、従来の学習基盤では、いろいろな障害があってうまくできなかったのです。我々はアナログでその一部やってきましたけれども、とんでもないイニシャルコストがかかって、とても無理でした。そこをデジタルという技術革新が大きく突破しようとしています。
 その意味ではデジタルが今もたらしていることは、すっかり新しいことではありません。でも、それはいけないことではなくて、100年も前から、教育の理想として、原理的にも実践的にも積み上げられたことで、それがいよいよ今の日本で、技術的にもコスト的にも可能な状況になったということです。これを非常に大きな好機として見て、進んでいきたいなと思っております。
 
【座長】  子供の多様性などが進む中で、民間の参入がしやすくなるということが、このデジタルの一つの特徴ですけれども、これは多様性への対応として非常に貴重なことだと思います。
 そのためにはやはり教育課程が柔軟であるということが必要ですし、それをちゃんと学習機会の保障あるいは学力保障として、学習環境でどうやって支えていくかということかと思うので、様々なデジタルのツールあるいはコンテンツが出てきますけれども、それらの学習材、教材が疎結合でうまくつながるような教育データの標準化の在り方や、学習指導要領コードのもっと精緻化の辺りが非常に重要で、そこまでいかないと、この経験されたカリキュラムがちゃんと正しく評価され得るという形にはなかなかなりません。
 そうすると、今度はデジタルだけではなくて、アナログで子供たちが体験的に学ぶことは非常に重要ですので、その部分のデジタル化ということです。デジタルでやれという意味ではなくて、体験したことをどうやってデジタルで残していくかという辺りが、私たちが検討しなければいけないことかなと、非常に大きな御示唆をいただいたと思います。
 
 
※資料2-2「平田委員提出資料(群馬県における教育データ利活用に関する取組)」について平田委員より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【委員】  私は資料2-2 11ページの内容がとてもいいお話だと思いました。また関心があります。全県で合計8回の会議の開催を経たことにより、参加した自治体に県が考えるデータ活用の方向性が伝わったというお話があったと思うのですが、会議を重ねた中での変化、変わっていった過程を教えていただけたらと存じます。
 
【委員】  この策定自体は、外部有識者に入っていただき、昨年1年間かけてつくったものです。
 学校への周知は昨年の2月頃から始めていきましたが、今年度になってから8回、校長の方々と懇談会をしました。そうした中で、本当にこの方向性で行ってよいのかという校長が結構いました。
 例えば単元内自由進度学習を行っている学校もあり、校長はもっと子供に任せて、子供に決定権を渡して、様々なことを学校で行いたいが、本当によいのかと思っているところが割とあるのだと感じました。
 また、今までの考え方と違うため、躊躇されている学校もありました。そういう学校の校長に対しては、これは今までの第3期の教育振興基本計画と同じであると伝え、時代の流れに応じて、より子供が主体性をもてるようにするとともに、子供がもともともっているよいものを信じて、伸びるようにしていくことが教育だと考えるという話をしたところ、相当数の理解をいただきました。また教育事務所等も相当取り組んでおり、学校差はありますが、先生方が本当に楽しんで行っている感じがいたしました。
 長崎県でも同じような取組をされていて、先日長崎東高校の先生に本県で話をしていただきましたが、生き生きと話をされていたことがとても印象的でした。
 表現は違うところもありますが、群馬県の取組と同じような内容をお話されていました。例えばある1日、ある1時間を子供が自分で何を勉強するかを決めて、先生はその内容にはあまりタッチしないというような時間をつくるような取組についても紹介されていました。もちろん学校差はありますが、世の中が変わってきているのではないかなという思いをしました。
 
【委員】  一つ感想、一つ質問ということで述べさせていただきたいと思います。
 一つですけれども、課題のところに挙げていただいたところにも近いのですが、資料2-2 9ページの取組の成果のところにあった問題ですが、全県に広がらなくて、市町村ごとになってしまった部分があったという話があって、なかなか難しいところだなと思いました。結局、財源というか、データ利活用の広がりにあたってはお金の問題がかなり大きいなと改めて感じたお話でした。
 つまり、国で予算を持つということが決まれば、全市町村で確実に揃えてほしい要件、仕様などもしっかり統一することができるということで、住基ネットやマイナンバーなどは、そういった形で進んでいるのかなと思います。もともとは学習eポータル、今はダッシュボードという言葉で言われますけれども、この部分の財源負担がどこになるかによって、進め方が変わってくると思っています。やはり財源を国が確保することとセットだと、本当に全国統一してシステムをしっかりつくれるよさがあるので、私はそういった選択肢もあるのではないかと今も思います。
 一方で、市町村ごとに財源を用意となると、予算上できるところ、できないところが出てしまい、仕様を縛ることができないので、あくまでガイドラインを示すということになっていくと思います。ですから、財源をどうしていくかというところが議論の大きな分かれ道になっているということを改めて思いました。この辺りの議論は、今後も大事だなと思ったということが1点目の感想です。
 2点目は質問です。群馬県の取組みの中で特にすばらしいなと私が思ったことが、資料5ページのところです。教育DX推進センターをつくられて、現場のサポートをするために推進リーダーを5か所、1名ずつ、アシスタントの方を全県で25名も配置されているというカスタマーサクセス、つまり、現場でICTが活用されていく伴走支援の体制をつくられたということが本当にすばらしいなと思ったんです。
 特に推進リーダー、アシスタントの方を合計30名、専門的な方を配置するということ自体がかなり難しいことだと思ったのですけれども、この30名の方というのは教育委員会の指導主事の方なのか、それとも外部の事業者の御協力を得られたかでというと、どういった方を配置されたんでしょうか。
 
【委員】  外部の方です。元々企業に務めていた方等が大部分で、事業開始当初は予算がもっと多かったのですが、県費では当然なかなか続かないため、絞らざるを得なくなりました。そのときに、いかに効率的に配置するかということを考えて、このシステムとアシスタントの人選をした次第です。
 
【委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
 
【座長】  今の議論でも、国がどこまでと、特に予算の話になると、極めて難しい点がございますが、次の学習指導要領に向けて、私たちがデジタル学習基盤というものをどのように描き、そしてそれをどのぐらい統一性を持ったものを提案、提言できるのかということが非常に重要なことかと思っております。
 
 
※「※小﨑委員発表時に使用したホームページ」について小﨑委員より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【座長】  この後、2つ議論をしたいと思います。一つは、小﨑委員の今の御発表に対しての質疑、応答。
 2つ目は、全体のお話として、前回までずっと議論してきたことを基に話合いをしたいと思います。
 小﨑委員のお話につきましては、デジタル学習基盤における県教委の役割の大きさとか、ここがうまく動くことによって特に義務教育においての設置者への支援などというようなことを非常に考えさせられる御発表だったと思います。オープンガバナンスというようなことを堂々と教育データがうまく使われるべき時代にやっていらっしゃることの強みみたいなことを非常に感じたところです。
有識者会議第3期になりますが、立ち上がったときに5つのことを議論しましょうということになりました。いま一度確認ですが、
1つ目は、現場の実態とかニーズの話。
 2つ目は、ユースケースの話。
 3つ目は、サービスやシステム構成。今日は大分そういう話も出ました。
 4つ目は、いろいろな自治体、いろいろなレイヤーの役割分担のお話等が出ました。
 5つ目は、今後中期的に必要な論点の話です。
 この1から4のうち、1と2は随分とこれまでの会議でも議論が集まってきたところです。今日は、もちろん1や2と関係すると思いますが、できれば3や4を中心に、何かここで御主張いただいたほうがいいようなことがありましたら、御意見を承りたいと思います。
 
【委員】  全体的な感想も踏まえてお話しさせていただきます。
 デジタル学習基盤の早急な実現に向けて、さらに危機感を持って取り組まないといけないなということを改めて感じました。平田委員や小﨑委員からの御発表ですと、現場が今できることを積極的に取り組んでいただいて、いろいろな積極的な取組をお話しいただいたと思うのですが、平田委員からはまだ少し広がっていないという話もありました。現場における混乱や迷いというものが、まだまだあるということだと思います。
 これは奈須先生におっしゃっていただいたところではありますが、向かうべき学力論やゴールは皆さん同じで、向かうべきゴールは明確になっております。問題は、これだけ中長期的にわたる大きな規模のデジタル学習基盤、データ標準化プロジェクトの推進の難しさというところにあるのかなと思っています。
 奈須先生からは、できるものから始めるということがいいのだけれども、できるもので終わらないことが重要だとおっしゃっていただきました。もっと言うと、できるものから始めるということは、試行錯誤という意味で本当にとても重要なことではある反面、現場のデータ標準やシステム構築という観点で話すと、現場の混乱をもたらしてはいないかという懸念も同時に感じました。
 緊急性、重要性もものすごく高い中長期的なプロジェクトなわけですけれども、さらに細分化した論点を絞ったプロジェクト化の提案をしたいなと思っています。例えば目的の実現に向けては、デジタル環境というのはGIGAでできつつあるわけです。
 もう一つ多様性を支えるための個別最適化は、まずデータの標準化の部分については、デジタル庁も入っていただく。技術的なところについては、ここで議論していると思うのですが、学習者の個別最適化という観点で見たときには、資質・能力を支えるためのデジタルウィズテック時代におけるデジタルを活用した学習評価というものがどうなのか。例えばダッシュボードやLMSを作るわけですけれども、その際において、何のデータをどこまでどうなったら評価として見取れるのかというような、これまでの教育の大胆な見直しというところも、早急にプロジェクト化してでもやるべきではないかなと思います。
 もう一つ多様なコンテンツの活用を可能にするような標準化について、デジタル教科書を含めたところでいいますと、コンテンツの標準化というと、何か一元的にコンテンツを丸めるような形に聞こえるかもしれませんが、動画も民間教材も含めた多様なコンテンツを、学習者中心に使っていくための標準化ということに関しては、学習指導要領コードのさらなるアップデートも必要になってまいります。例えば次期学習指導要領をデジタルに合うような構造化を含めた形で明確化するとデジタルでも読めるような学習指導要領の改編も必要になってくるでしょう。
 最後に、先ほど言いましたデータオーナーシップです。ここもまだ議論が不十分だと思っていまして、校務支援からの学習データという話が出ておりますけれども、学習者一人一人がデータを持つという形が、人権やセキュリティ、いろいろなものを踏まえて、どういう形で持てるべきなのかということを、それぞれ非常に中長期的なプロジェクトで、緊急性、重要性も高いと認識しておりますが、論点を絞って、集中的に進めていくことが重要なんではないかなということを改めて感じた次第です。
 
【委員】  実際こうやって現場のほうでも、もういろいろなことを頑張っている。奈須先生からありましたが、なかなかうまくいかないところもありながらも頑張って、事例が出てきている。それでもやはりばらばらにいろいろなことが起きている中で、パッケージ化といったもので自由に組み合わせられない例も起きている。
 こういった形でベンダーロックインが起きるような形は、いろいろな分野の公共のDXで起きていることと近いなと聞いていて感じました。例えばデジタルDXでは、やはり都市OSみたいなものに同じようなことが起きて、どうやって進めていくかという話が出てきているわけですが、全体観を捉えて、一つ上で設計せざるを得ないということが、ほかの分野で起きていることかなと思っております。
 私はアーキテクチャが専門ですが、このアーキテクチャというのは、目的があって、それを実現するのがアーキテクチャです。目的に向かうところ、ゴールというのは、本日の奈須先生のお話でもう完全にそこでしっかりと示されているなと思っております。
 それをどう実現するかという全体の設計のときに、ITはITのアーキテクチャ、データはデータのアーキテクチャ、ルールはルールのアーキテクチャ、組織は組織のアーキテクチャで、ビジネスはビジネスのアーキテクチャで、分けてやってしまうと、全体の設計として成立はしないといいますか、目指すところに行きづらくなってしまうということが起きるので、これらを統合的に設計、デザインをせざるを得ないかと思っております。
 先ほどのコメントにもありましたが、コンテンツの標準化、インターフェースの標準化であって、中身の標準化ではないということになるわけです。どこに自由にいろいろな人たちが入ってくるようにするのが、ビジネス上、多いのか、あるいは教育に目的上多いのか、そう考えるときには、自由に入ってくるところは、標準にして決めていかなければいけないとなります。
 事例からいくと、メーカーは、自分たちで自分たちの範囲を、捉えたいということは、もちろんビジネス上そうなってしまいますので、それは、メーカーやベンダーの言うとおりにすると、どうしてもそっちに引っ張られてしまうので、そこは一歩上で、教育システムあるいは教育のDXを考えたときに、自由にいろいろなところが入ってくることが、多様な学生たちに、多様な教育を提供するためにいいのか。あるいは、自分たちで仕事をする上で、多様なサービスを受けられるようにするのがいいのか。これはやはり一歩引いて見ざるを得ないので、ひとつ一歩引いたところの全体のアーキテクチャのデザインというところが、まさに必要になってきているタイミングなんだなというのを感じました。
 ただこれはほかの分野でも全く同じような形で、今そういった動きが起きておりますので、この教育のDXの分野でもそこをやっていく方向になれば、これまでやってきた経験といったものが生きた形でいい方向を目指していけるのではないかと感じました。
 
【委員】  今日は奈須先生から学力論からの提起があり、今年度から参加した私にとっては、そのような観点の重要性を感じておりましたので、大変嬉しく、良い機会だったと感じております。現在の日本は、非常に多様化が進みました。特に教育に対する考え方は一人一人様々な思いがあり、立場も違い、現在の学校教育もその中に巻き込まれていて、議論をまとめていくことが難しいと思うからです。
江戸時代、日本は義務でないにも関わらず、寺子屋というような形で庶民にも教育が普及し、識字率では欧米を凌駕していたようでもあります。それを土台にしたからこそ、欧米を参考にした学校教育制度の導入による、学校での全国民への一斉教育は、日本の近代化には大いに役立ちました。ただ、現在、日本でのそのこと自身の是非が問われ、多種多様な立場で議論されている時代になっています。
 様々な論点はありますが、私の願いは、日本の学校教育が子供たちの選択を増やしていただける方向に進んでほしいということです。そういう意味では、ウサギと亀では、ウサギには選択肢が多くあるのではないでしょうか。亀の方はなかなか選択肢が少なく、選択肢が狭まっている現状を何とかしたいと思います。ついていけない児童・生徒をどうやって救うかということだと思うのです。
 GIGAにより、どのような状況の家庭の児童・生徒でもデジタル端末を使える機会を持つことができました。ついていけない児童・生徒のこの状況をデジタル端末が救えるなら、まずは一番の努力をそこに向けて動員をかけたいと思うわけであります。コンピューターの導入初期、またインターネットの導入初期から関わり、私自身も夢を描いて、この40年やってきております。学会にも参加するようになったのも同様です。ただ一方で、デジタルが全てを救えるとは私は思っておりません。学校全体、社会全体が環境づくりを一緒に考える。そのなかでデジタルは力を持ちます。必ずまた次の変化があると期待します。
次は一転してシステムの標準化についてです。今日は多くの委員の皆さんの発言の中で疎結合という単語が数多く話され、驚きました。私は、教育での標準化を進める国際団体の1EdTech Consortium(ワンエドテック・コンソーシアム)の日本での立上げに8年前から関わっておりますが、発足当初、こういう標準化が日本ではなかなか進まないだろうと感じていました。ここに来てようやく急速に気運が出て来たことは大変うれしいことです。しかし、先行した米国や欧米が順調に進んだかといったら実はそうではなく、遅々とした期間が相当あった上で、ようやく参加する提供者とユーザーたちの、教育というフィールドならという納得感から進みだしたようです。
 その方向はずばり疎結合です。それぞれのアプリケーションはアプリケーションです。その間のつなぐものをいかに標準化するということです。参考に別の業界を見てみましょう。運送業のパレットです。その標準化と流通の共同運用の仕組みが進めば、手間を下げることができます。ただなかなか進まなかったのが、ここにきて人手不足が大きな推進力となり、ようやく進みだそうとしています。
標準化にはいろいろなやり方がありますが、全部を標準化することは難しいし、逆に発展を停める危険性があります。まずは連携のための、繋ぐ仕組みの標準化とデータの形式の標準化はしっかり推し進める。その後の議論は、将来の発展の中に残していく。まだまだその段階をしっかりと進める時期と感じている次第でございます。
 
【委員】  本会議内検討事項の3番に関係するところで、学力論の拡張がないまま、デジタルを持ち込んでしまっても、一斉授業がデジタル一斉授業になって、一斉授業より強化するのではないかという御心配の点を奈須先生からいただいたところに関して感じたところがありました。
 今、ダッシュボードありきで議論されているような気がするのですが、そのダッシュボードというものは結局意思決定のツールだとして、学校や学校運営がモダナイズされた上で必要なデータがあり、意思決定が行われていくと考えると、ダッシュボードがこの状態ですぐにデザインできるんだろうかということに関しては、かなり不安を覚えました。
 それよりも個別最適な学びを推進するという観点では、例えば民間企業はCRMみたいなものを導入して、顧客をデータの観点からより理解しようとするわけなんです。これを学校で例えてスクール・リレーション・マネジメントやスチューデント・リレーション・マネジメントみたいなことをし、まず個別の学習者のありようをしっかり見詰め、それが最終的にデータがたまってきた段階で、意思決定に何かその共通項があるのであれば、ダッシュボードを作ればいいんです。
 しかし、ダッシュボードありきで、ダッシュボードを作ることがゴールになって展開したら、使えないからやめましたみたいになってないのかなというところは、いま一度振り返ってみたいと思っております。
 
【委員】  奈須先生のお話に重なりますが、多様で個別最適な学びを実現するために、様々なICTツールを文具的に使える状態をつくるというところは、ぜひロックして考えていただきたいと思いました。そのためには、「オープンで疎結合な教育データの利活用」という方針を重視することになると思います。
 今回、資料1-2の教育データ利活用のケース例ですが、目的を明記いただいたことはとてもよかったと思っているのですが、目的変数KGIやKPIに何を置くかというところも重要な論点だと思っています。例えばそれはウェルビーイング指標や非認知能力などを目的変数としてもっと意識していかないと、単純な進捗データや回答データを一覧化してダッシュボードで見るとなっても、示唆が得られなかったり、結局目的は何だったのかという話になりかねないと思いました。データ利活用にあたって何を目的変数として置いていくかというところも資料に入れていく必要があるかなと思いました。
 最後に、教科書データの話があまり出てきていない気がしているんですけれども、その辺りも今は実態としてどうなっているかというところは少し気になっているところです。
 
【座長】  子供たちのニーズが多様になっているということに私たちがどのように対応していくか、そのためのデジタル学習基盤をどう整え、教育データをどのように利活用していくかということかと思います。
 また、次の学習指導要領に向けて、より多様性にフィットしていくためには、教育課程をどうしていくかということは別のところで議論されていくわけですけれども、恐らく自治体ごとにそれぞれ取組の重点が異なるであろうと考えたときに、基礎的なことは当然、全体でやるとして、それぞれの自治体が特徴を持って取り組むということに対して、教育データをどのように利用できるのかということです。
 自治体の選択制とそれのエビデンスとしての教育データみたいな形のところをちゃんと探求していかなければならないということが分かったということになります。
 それでは、もう時間が過ぎていて大変申し訳ございませんでした。
 次回の会議日程ですが、事務局から委員の皆様には御連絡しておりますが、8月2日金曜日の13時からということになります。
 また、本日、慌ただしかったこともありまして、言い足りないこと、御意見等がございましたら、事務局まで急ぎメールでお送りいただければと思うところでございます。
 それでは、今日も長い時間ありがとうございました。これにてお開きとしたいと思います。
 
(以上)

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