教育データの利活用に関する有識者会議(第17回)議事要旨

1.日時

令和5年3月22日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

※Web会議での開催

3.議題

  1. 教育データの利活用の推進について
  2. 教育データの利活用に係る留意点について
  3. 教育データの利活用の今後の在り方の展望

4.出席者

委員

堀田座長、藤村座長代理、石井委員、梅屋委員、緒方委員、小﨑委員、佐藤委員、三部委員、白水委員、神内委員、高橋委員、田村委員、戸ヶ﨑委員、中村委員、渡邉委員 

文部科学省

里見官房審議官、山田修学支援・教材課長、武藤学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、桐生教育DX推進室長、伊藤学校デジタル化プロジェクトチーム専門官、野口教育DX推進室室長補佐 
 

オブザーバー

三平 千葉県君津市立清和小学校教諭、田邊 熊本県大津町立大津小学校教諭、喜連川 国立情報学研究所長、EY新日本有限責任監査法人、個人情報保護委員会事務局、デジタル庁 、経済産業省、総務省、国立教育政策研究所、一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人ICT CONNECT 21
 

5.議事要旨

議事1.教育データの利活用の推進について

※資料1-1「MEXCBTの普段の授業等における活用について」について事務局、資料1-2「MEXCBTの活用について~全国学調、独自作成問題、自動採点機能など便利に」について千葉県君津市立清和小学校 三平教諭、資料1-3「MEXCBT問題作成に関わって」について熊本県大津町立大津小学校 田邉教諭よりそれぞれ説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【座長代理】  これまで教育データの利活用の中でMEXCBTの成績を個別最適な学びに結びつけようとしても、年間で1本か2本の学力テストの結果を基に個別最適な学びというので、どうしても粒度が粗かったんです。ところが、単元テストのようなところまで来ると本当に役立つ個別最適な学びができるようになるということで、大変感心いたしました。
 ぜひお聞きしたいのは、これを横展開するとき、恐らく不安がる先生がいっぱいいらっしゃるかと思うんですが、どの程度の応用力でできるのか、横展開の見通しについてお聞かせいただければと思います。
 
【千葉県君津市立清和小学校】  まず、校内の横展開につきましては、日頃から活用について雑談等をしながら、また授業をお互いに見合うことで日頃からできるよと、自信を持ってできるようにということでしておりますので、そんなに不安なくできると思います。
 市内、また近隣の自治体との連携につきましては教育研究会というのがありますので、そちらで私が年に1度ないし2度程度話をしていく中で、少しでも先生方が使いやすいような助言等ができるようにということを考えて話をしているので、そういったところでの横展開を意識して定期的に情報共有をしているようになっております。
 
【熊本県大津町立大津小学校】  私の学校でも、どう広げていくかというのはすごく課題になっていて、抵抗がある先生はやっぱり抵抗があるので、まずやってみようというのが一番なのかなと思っております。昨年、私たちが取り組んだときも、取りあえずやってみよう、まずやってみようという精神でやっていたので、まずは使ってもらえるようにしていくというところかなと思っております。
 
【座長代理】  ぜひ国としてもそれを応援するような動きができればいいのかなと思って聞いておりました。
 
【委員】  日常的に大変すばらしい実践をされており、私も感銘を受けました。
 質問は作問についてで、当面は導入しやすい知識、技能が中心になるということで、いいと思いますが、今後は思考・判断・表現の観点、また見方・考え方の習熟度をCBTでどのように評価していくのが望ましいかは必ずや話題になると思います。現時点で、もし工夫されていること、またはCBTで感じている可能性などについてあれば、後ほどお考えを教えていただければと思います。
 先に私なりの意見を申し上げますと、デジタル教科書や、CBTの問題作成となどで現場のニーズが高いは、たしか英語に次いで算数、数学になっていたかと思います。このニーズがどのようなニーズなのかについて心配をしています。というのは、「思考過程を簡単に把握や共有できる」などのメリットならまだしも、このシミュレーションなどにより指導や理解が容易になることなどをニーズにしているのであれば、少し注意が必要だと思います。例えば、多面体の回転や展開図などで動画を見れば頭でイメージできる、つまり思考実験や念頭操作をする必然性がなくなってしまう可能性があります。要は動画で理解したつもりなっていても本質的な構造を理解してないと、問題が類似の問題であっても解けないことになりかねません。一言で言えば、手順等を文章化できない子供が育ってしまう可能性を危惧しています。
 また、紙に向かって手を動かして考えながら作図や計算をするような活動も、時には当然大切です。特に小学生の場合には、まず思考力や判断力の基礎となる学力に加えて、ノートの取り方や予習復習の仕方、資料の探し方などを学ぶ方法も併せて一緒にやっていかなくてはならないと思います。そう考えていくと、長年築き上げてきた紙の学習スタイルがデジタルに代わることができるかどうかを、今後はある意味公平な目で判断することも重要になると思います。その際同時に、MEXCBTに登録されている問題の質をどのように担保していくのか、そういった基準も今後は重要になってくると思いました。
 さらに、MEXCBTが今後の学校教育の中でどのような位置づけになっていくのかも十分示されていないので、この学習系のアプリケーション等の環境をどのように整備していくのか、今後示されてくれば参考になると思います。
 さらに全国を見ていくと、ICTのドリル等を既に導入している自治体にとっては、現在のMEXCBTを導入するメリットがあまり感じられない場合があるので、そうでない自治体に向けた補完的なツールに今後はなっていくのか、それとも機能を増すなどして、全国統一のツールに築き上げていくのか、今後の展望も話題にしていかなくてはいけないと感じました。
 冒頭の質問にお答えいただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
 
【千葉県君津市立清和小学校】  では、私のほうから理科の視点でお話をさせていただければと思います。
 本校では、先ほどの動画、理科の流れる水の実験で動画を取り入れた問題を作成しました。先ほどは正面からの動画だけを見ていただいたんですが、子供たちは、実際のときには3方向から動画を撮っています。横から、水を流す側、上からも撮って、それぞれを見比べて、それぞれの位置から見ると流れる川にはどのような変化があって、どのような働きがあったのかというようなことに活用するようにしています。なので、一方向ではなく、動画だからできる多面的な見方というところで撮影し、それを問題に生かすような形にしております。なので、そういったところで知識、技能だけを問うものではないという問題を、これからも作問に生かしていけるように、指導者としてもまた色々な問題作りについて研究していく必要があると思いました。
 
【熊本県大津町立大津小学校】  昨年度に取り組んだ5年生の面積の問題のときに、思考力を問う問題として、面積を求めるときの等積変形の仕方を問うたんです。そのときも動画を使って平行四辺形の面積を求めるときに三角形二つ分に分けている補助線が入っている動画などを見て、式に合う考え方はどれかというような問い方をして思考力を問いました。
 それから、先ほど少しお話に出ていた念頭操作がデジタルに代えられるのかというところだったんですが、この間、4年生が直方体と立方体の問題を解いていたときに、展開図の動画を見ながら自分の机の中からノートを取り出して、「あの展開図はこうなっているから…」といって自分で実際に組み立て始めるということがあったんです。なので、子供たちにとっても紙やノート、模型などのこれまで学んだことを、2.5次元というんですか、デジタルの様子で表してあるものを、もう一回確認するという積み重ねを通じて子供たちが獲得していくことができるのかなというのを、この間、子供たちの様子を見ながら感じたところでした。
 
【委員】  今日は本当に積極的な学校でのCBT活用の様子を見させていただきまして、非常に参考になりました。ありがとうございます。このように積極的に使ってくださる先生方がこういったシステムの良さを引き出して下さっているんだろうなと、拝見したところです。
 そこで、2点お伺いしたいことがございます。まず1点目は、個別デジタル教材、いわゆる自治体が導入しているドリルとのすみ分けというような趣旨の発言があったかと思います。どのような視点で個別デジタル教材とMEXCBTを棲み分け、使い分けというような意識を持たれているのかということについてです。
 2点目です。問題の作成に当たって何か参考にされている文献または書籍のようなものがもしありましたら、教えていただければと思います。
 
【千葉県君津市立清和小学校】  1点目につきまして、本校で言うとMEXCBTを含めて三つデジタルドリルを使っております。年1回行われる市で提供されている学力調査に関係する復習の場合には、市販のデジタルドリル。そのデジタルドリルにない問題のときには別のドリルで、自治体の問題ですとか、あと全国調査、またMEXCBTに搭載されている問題の中身を見て、この問題が今目の前にいる子供たちには定着できるといったときにはMEXCBTというところで、それぞれの問題を事前に確認しながら出題しています。
 2点目につきまして、問題の作成に当たって一応参考にしているのは市販のドリルですとか、あと、授業を行った後に問題作成をしていることもありますので自分の板書、子供たちのノート、子供たちがデジタルで作成したもの等を参考に問題作成をしているところになります。
 
【熊本県大津町立大津小学校】  私も、1点目につきましてはデジタルドリルが一問一答式の解答のものが多いので、全国学調の問題の、理科において出題の仕方が生活により密着した形で出されているものがあった場合は、子供たちにも身近に感じてほしいと思ってMEXCBTを使ってもらう感じになっています。
 2点目の参考文献についてなんですが、去年算数の問題をつくったときにはいろいろな出版社の教科書をかき集めてきて、そこの出題の方法をプロジェクトチームで見比べながら、こんな出し方はどうだろうかといった話をしながら問題を作成した経緯があります。今年度やっている理科の問題については、身近なところから、完全に私の生活の中から持ってくるような形が多いかなと思っております。
 以上です。
 
【委員】  これから新しいタイプの問題を作っていくという方向で考えるだけではなくて、例えば知識・技能の問題を「どういう解き方をするか」という、その解き方の幅を広げるということでも思考力等を問うていくということは可能かなと思いました。
具体的には、例えば念頭操作が必要そうな問題について、実際に動画を見たときに生徒がどれぐらい分かった気がするかというのと、それを自分の言葉で説明して、どれぐらいあなたは分かっていますかというのを比較してみると、自分の言葉で説明すると全然分かっていないということが分かってくることがあります。その意味では、念頭操作に代え難いものがあると思います。
同じ問題でも、友達と相談したらできたとか、自分で説明してできた、動画を見なくてもできた、みたいな解答の仕方の幅を広げていくことによってそこで働いている思考力を推察していくというやり方もあるかなと思いました。
 
【座長】  PISA2018で結構話題になりましたけど、我が国の児童生徒は学校においてICTを使って学習するという経験が諸外国に比べると低い、その理由の一つにCBTそのものにほぼ慣れてないということがあったわけです。世の中、資格試験等はほぼCBTになっているわけです。ただしテストと言っても、評価されるようなテストを受けるというようなレベルから、単元テストのようなものを受ける、あるいはドリルのようなものをやるなど、いろいろな幅があると思いますし、それぞれにフォーカスした市販の製品等も出てきていますので、これは市販かMEXCBTかという話でもないし、紙かデジタルかという話でもないと思います。多様なものの中で、それを使い分けながら使っていくのかなというふうに思います。
 昔から小学校の単元テスト等は、評価テスト等が民間業者によってつくられているわけです。中学校は大体教師が自作しているわけです。こういうようなところからも分かるように、専門性が高くなると評価問題ごと作れるという、そこに教師の矜持みたいなのがあるというところもあろうかと思いますし、一方で、市販のテストが思考力を問えないかというとそんなこともないと、それだけ研究されている部分もありますし、解答の仕方を変えることによって様々なレベルが問えるということもあります。紙の場合ではなかなかできない出題があったとしたら、それはCBTでやることのメリットもあろうかと思いますし、ある程度標準化が進んでいる小学校の単元テストとかがある中で、小学校の先生はやっぱり自作のプリントも作るわけで、こういう市販か、自作かというような話は昔からあって、市販だけで全てが賄えるわけではないという現実が学校現場の、特に最前線で子供を指導していらっしゃる先生方のところにあると思いますので、こういう観点からも先生たちが少し自由度高く使えて、それが標準のテストシステムにもなっているというMEXCBTの存在意義というのは、私はそれなりにあるんじゃないかと思います。これをどのように上手に使って今日期待されている学力あるいは資質・能力をしっかりと測っていけるか、そして定着させていけるか、そういう使い方をどのようにやっていくかという辺りのお話を、今日いただいたのかなという風に思っておりまして、これを横展開させていくというのはこれから非常に重要なお仕事かと思っております。皆さんの貴重な御意見に感謝しております。

議事2:教育データの利活用に係る留意点について

※資料2「教育データの利活用に係る留意事項(第1版)について」について事務局より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【委員】  留意事項の取りまとめ、大変お疲れ様でした。パブリックコメント(パブコメ)の関係で事務局に質問2点と、あと意見を述べておきたいと思います。
 まず、1点目の留意事項本体に関してですが、今、パブコメを経てユースケースですとか用語の意見があったというような御説明ありましたが、パブコメに出されたバージョンと正式公表版で、具体的にどこにどのような修正がかかっているのかというのを御説明いただいたほうがいいかと思います。今回のパブコメについてはウェブサイト上で意見募集結果の概要は公表されていますが、資料としてこの場に出されていない状況ですし、事務局側の対応がちょっと見えない状況かなと思います。私が概要を拝見する限りでは非常に簡単なまとめ方になってしまっておりまして、個人からの意見なのか、団体からの意見であるのか、団体であればどこの団体からの意見であるのかも分からないと、そういう意味ではちょっと透明性に欠けた対応になってしまっているのではないかと思います。この点についての事務局の受け止めをお聞きしたいというのが1点目になります。
 2点目は、パブコメの趣旨についての御質問になります。今回のパブコメは行政手続法によるものではありませんが、パブコメという方法を取る以上は、第1版の確定版を出す前に、募った意見を丁寧に考慮した上で、それを反映させるプロセスを取る必要があったのではないかと思います。諸々の調整に時間がかかったということは承知しておりますが、13日にパブコメを終了し、17日に正式版を公表するというスケジュールですと、外形的に見ても、もともと第1版にその意見を十分反映できるようなスケジュールにはなっていなかったというように思われてしまうと思います。私がこれまで関わってきた政府の検討会の中では、行政手続法によるものでなかったとしてもパブコメの結果を一つ一つ丁寧に精査した上で検討会の俎上に載せると、最終確定前に有識者会合を開き、パブコメを受けて委員の意見を最後に取るという着実なプロセスが踏まれてきていると、これが私が理解するパブコメを受けた政府省庁の取るべき対応だと思っております。内容的にも、今回の留意事項は児童の内心の自由ですとか、プライバシーや個人情報保護といった権利に関する重要な内容を含んでいますので、そういう意味でも広く募った意見を十分考慮した上で慎重なプロセスを踏むということが必須だと考えております。その意味で、今回取られた手順というのは、パブコメという制度の趣旨を十分踏まえたものになっているのかという点に疑問があります。この点についてもお考えをお聞かせいただきたいというのが2点目です。
 3点目は意見になります。今回の留意事項は第1版ですので、これから第2版へと展開されていくものと思われます。これは来年度になるかと思いますが、来年度の検討が始まる段階では、必ず今回のパブコメの結果を細部まで十分精査していただいた上で、平場にきちんと出して検討するということが必要だと思います。これは意見として申し上げたいと思います。
 内容面でさらにコメントを申し上げますと、例えばMyData Japan様ですとか、JST-RISTEXのチームの方々が今回の留意事項へのパブコメを自ら公表されているという点があります。その中には非常に重要な指摘が含まれていまして、例えば本留意事項の狙いに関しては心配や不安感を取り除くことを強調し、教育データの利活用を進めていくということに重きが置かれ過ぎているのではないかですとか、取得しようとする情報が利用目的の達成に必要な範囲かどうかを慎重に吟味するということが法令上の要求であるはずだという点。それから、教育データの利活用において想定されるプライバシー侵害のおそれについては、プライバシーに関する裁判例を精査しつつ具体的に検討すべきではないか。そして、教育データには行政系データが含まれていることが示されており、それらの行政系データに対して教育委員会や学校がアクセスし、児童生徒の情報に紐付けて利用するということについて社会的受容性があるとは言い難いのではないか、プロファイリングのところでプライバシー権との関係では重大な問題じゃないかですとか、あとは、児童が家庭における生活まで監視されているような印象を与えてしまうと児童の不安を助長するのではないかと、非常に数多くの重要な意見が出てきていると思います。こういう意見を丁寧に拾い上げた上で具体的な議論につなげていくことが、今後の留意事項の改正においては必要であるというように考えました。
 以上の点から、今回のパブリックコメントについては丁寧な対応を事務局に求めたいと思います。お考えをお聞かせいただければと思います。
 
【事務局】  御質問で一つ目の点ですけど、パブコメの反映状況なんですけども、パブコメを今回反映した点は大きく2点でして、1点目はデータ利活用の目的のところの言い方を、多分今回はちょっと分かりづらいといった御指摘があったと思うんです。心配があるからということではなくて、利活用と安全・安心の両立がやはり必要だということ、これは文部科学省もいつも言っている言い方なんですけども、これを改めて明示できるような形で、プライバシー保護を大前提としながら、利活用と安全・安心の両立が実現できること、そういった点を加筆しているのが1点でございます。
 もう1点は用語の修正なんですけども、オンプレミスといったような専門用語の言い方というのは分かりづらいといった御指摘がありましたので、この点を加筆しておりますということになります。
 それから、二つ目の御質問の、今後のパブコメへの当たり方なんですけども、今回、留意事項の趣旨がそもそも現時点において解釈できるもの、現時点において皆様に、自治体、学校で共有できる知見の共有といったことで、それを3月中にやりたいといった内容の点と、それから期間の点の両立が今回必要であったというのが大前提になります。今回のパブリックコメントも重要な点は多々あると思うんですけども、今後の仕組み自体の変更ですとか、それからやり方そのものを全部変えていくといったような、そもそもそうすべきといった御意見もあったんですけども、今回の留意事項の対象としてはかなり扱うものとしては大きいお話が多かったと思います。これは第2版以降、あるいは第2版ではなくて、そもそも仕組みそのものとなりますと、ガイドラインとしてこういうふうな解釈ですよねといったところで言うんじゃなくて、仕組みの話になれば仕組みの話として捉えていく必要があるので、そういった今回、ガイドラインとして落とし込めるものとそうでないものといったものが内容としてあるかと思いますので精査が必要であって、今後の議論としてちゃんと受け止めていく必要があるかと考えております。
 
【座長】  年度内に何とか第1版を出したいという思いがありまして、今こういう風にやったところもありますので、御指摘の部分につきましては第2版以降に丁寧に議論していくことが必要なことがあろうかと思います。
 
【委員】  このところ教育データの利活用に関して、全国の自治体や教育委員会などから、多くの問合せや視察が増えている現状があります。実は先週も自治体の首長の方と教育長などがお見えになりました。問合せ、視察等の中で特に質問が多いのが、不登校やいじめ、さらに虐待やヤングケアラーに関して、子供たちの小さなSOSを事前にキャッチしたり、将来的にプッシュ型の支援につなげたりするためのデータ利活用の分析についてです。具体的には、今はデジタル庁で、今後はこども家庭庁の行う「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」についての内容のことです。それぞれ教育委員会や首長部局に分散している子供に関わるデータを、首長なりに「総合データベース」を構築していきたいという思いが増えている現状があります。
 その中で、子供に関するデータは、それぞれの政策目的、分野に応じ、部局・機関、情報システムごとにばらばらに保存されていて、かつ紙の情報でデジタル化されてないものもたくさんあります。それぞれ関心を持っている首長さんたちの問題意識として、これは教育委員会に任せるよりも首長部局がイニシアチブを執ってデジタル化したり、データベース化するシステムの中に教育委員会の持っている様々なデータを入れ込んでいきたいので、何からどうやって手をつけたらいいのかを問合せしてきている現状があります。
 その際、教育委員会の立場では、新たにデータを収集していくのは学校等の負担にもなるのでできるだけ避けたいが、教育委員会として散在している様々なデータを、力業でもいいのでどのように突合していったらいいかという問題意識を持っています。また、教育データを利活用していく必要性について、学校現場ではまだまだ理解が追いついていないので、どのようなことをきっかけにしていったらよいか、また教師にデータリテラシーを育成するための研修はどういうものがあるのかなどの質問も、教育委員会側として寄せられています。
ここからが結論なんですけど、今回作成された「教育データの利活用に係る留意事項について」は、どちらかというと既に動き始めている自治体や教育委員会にとってはとても参考になりますが、これから何らか着手したいというところにとっては、まだこの現状ですと一知半解になってしまう可能性もあると思います。ぜひこれからチャレンジしてみようという自治体や学校がスモールスタートできるように、「スタートアップマニュアル」のようなものができてくるといいのかなと思います。併せてこういう留意点は、今のところ教育委員会側にフォーカスされていますが、これは全国の教育委員会だけではなく、大いに自治体内の情報統計などを扱う部署にも積極的に周知していく必要があると感じました。
 
【座長】  今おっしゃったように子供たちの大変な実情というのがございます。それを何とかしたい先生たちや学校の実情というのがございます。そこにはある程度正確なデータとか過去のデータとかがないと適切な対応が難しいという、あるいは組織を超えた連携が必要なこともたくさんあります。既に個別には持っているこれらの情報をどのようにうまく組み合わせるかといったときに、現状ではこれは個人情報なので、それはある場所には出しちゃいけないんじゃないかという、やや不明瞭な段階での警戒みたいなことで、どうしても動けないという現実がありました。これを不明瞭なままではやはり良くないだろう、ただし現状ではまだ不明瞭なこともたくさんあると。でも少しでもやっていいことですよとか、あるいはこれは絶対にやってはいけないことですよというのを少しでもはっきりさせていこう、それの第1版というのが今回でございます。ただ、現場から見れば少し難しいものができてしまって、これをこれからどうやってかみ砕いて、各現場でもちょっとやってみようかなと思うようにしていくかというのは、私たちのこれからの課題かと思います。

議事3:教育データの利活用の今後の在り方の展望 


※教育データの利活用の今後の在り方の展望について喜連川 国立情報学研究所長より説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【委員】  先週も世界で最も進んでいるラーニングアナリティクスの国際会議で、その中でも日本はデバイスをGIGAスクールで配りまして、ボトムアップにそのデバイスからデータを集めようとしている、しかもアメリカがやっているような成績とかを中心としたデータだけではなくて、細かな活動情報も集めようとしている、ということですごく注目されています。データ量としても莫大な量のデータが各学校で集まって、それが匿名化されて研究者が利用できるようになるということを考えているということで注目されているわけなんですけど、そういった意味で、まずは各学校でちゃんとデータを集めてフィードバックするということが、ラーニングアナリティクスという観点で言うと大事になってきます。アメリカではそうしたフィードバックがあまりできておらず、州レベルで匿名化された、誰が誰だかわからない情報、傾向を見ているだけになっています。ですので、そういうフィードバックも同時にできるような仕組みを考えているということですごく意味のあることだと思っております。日本は日本で進めているところはあります。しかしながら、失敗を恐れて何もできないでは困るので、どんどんそういうことを進めていくように、ぜひいろいろなところで後押ししていただければと思います。
 
【委員】  まさにアメリカの例は一つ大きな参考になると思います。それが正解だとは思わないんですが、参考になると思います。特にSIS、先生のところではスクール・インフォメーション・システムというふうに出ていたような気がするんですけれども、私の理解で言うとSISとはスチューデント・インフォメーション・システムでして、多分両方あるのかなというふうに思いますけれども、生徒の情報を取っていると理解しております。それをED Factにためて、実は先日カフートというノルウェーの会社が買収したクレバーというベンチャー企業がありまして、これが各州のシステムをまさに共有化し、APIでつないで分析可能にできるというシステムが出ております。それを例えばGoogleとかマイクロソフト、アップル、そういった汎用的なツールにつなぎ込むAuthの接続をさせたりしていて、出てきたデータを先生方がGoogleとかマイクロソフトのシステムをつなぎながら簡単にデータを活用できるというオープンデータ、ED Fact自体がオープンデータ化されているので、そういうことが可能だというところまで行っていると認識しています。
それが正解かどうか分からないと言ったのは、最終的にデータベースをどういう形で持つかという、例えば分散型みたいな議論も最近は出ているんですが、確かにそれは早いとしても、データベースをどこに持つか、アメリカに関してはオープンデータをED Factという形でしっかり持って国の上で管理していると認識しているんですけれども、今回のMEXCBTまたは学習eポータルがこういった教育の基幹、共通基盤になり得る上で、データベースをどこで管理するかというところは非常に大きな問題かと思っています。今、例えば自治体の中に入っているとか、あとは民間ですね、学習eポータルですと民間のほうでデータベースを持っている、どこか、国なり中間法人でしっかりデータベースを管理しながら安心・安全に一元的に管理していくというのが、まずアメリカに追いつくためのフェーズの一つだと考えているんですけれども、いかがお考えでしょうか
 
【国立情報学研究所】  結論から言いますと、データベースは100%一元化すべきだと思っています。これは論理的に分散しているものを1個に見えるようにする技術というのを様々なデータベース関連の事業者が模索してきました。こういうのをフェデレーションというんですけれども、一言で言うとこれはそうそう簡単にできないです。例えば、EUは統合したとはいいながら、各国全部ばらばらなんです。EOSC(European Open Science Cloud)というのをやっているんですけれども、個々に作るとその流儀に固執せざるを得ないところがあって、統合ビューに行くまでに非常に時間がかかると、もたついてしまうんです。
 それから、情報と情報のリンケージというのはばらばらにやられますと、進んでいるところはどんどん進めさせてあげなくてはいけないから、それはかわいそうなので自由度を上げるべきなんですけれども、自分たちが一体何のデータを持っているのか分からなくなってしまうことになります。これを経団連に置き換えて話すと何が起こるかというと、経団連のフォーラムというのは社長しか出てこないので、自分の会社に一体どんなデータがあるか分かっている社長は誰一人いないです。それと同じように、教育委員会から見るとどこの学校がどんなものを持っているかというのは分からないんです。分からないことをどうやって克服するかというと、まずそれぞれの担当者が常に同じものを何度も何度も見られるようにしながらそのデータに慣れていくことが重要で、そこはユニファイされたきっちりした空間気にせずそこのシステムがどんどんバージョンアップされていくということでないと、全都道府県を1個1個バージョンアップするなんてことはやっていられないわけです。ですから、データベースについては一面だけが見えるようにするということがぜひ必要だと思っています。これは、こういうデータベースを長年山のようにいろいろな種類をつくってきた人間の理論的な帰結というよりも、エンピリカルな帰結だと御理解いただければありがたいと思います。
 
【委員】  データ駆動社会を受けて、利活用に向けた非常に幅広いお話をいただきまして、ありがとうございました。教育分野においても教育の効率化を図ることや、子供のSOSをキャッチするというような場面において、活用のメリットは数多くあるだろうと思います。
 他方で、教育分野においてデータ駆動型社会が進んでいるので、教育データもどんどん利活用すべきだということを一般論として述べてしまうことについては、私は慎重な立場であります。理由としましては、児童という存在が置かれている環境と、児童の性質において十分に配慮しなければいけない要素がたくさんあるからです。
 具体的には、児童は教育を受ける立場に立つという環境に置かれるわけですので、そもそも情報を収集されるということに対して抵抗しづらい環境にあるということ。それから、児童は成長過程にありますので、同意の能力の問題もさることながら、判断能力の限界がどうしてもあります。さらに児童が教育を受ける環境で、例えば生体データを取得されて感情分析などをされてしまうと児童の内面的な精神作用に立ち入ることにもなりかねないというような機微な問題が多々発生し得る領域になりますので、プライバシーとはまた別の観点で思想・良心の自由に触れるリスクなどがあると、こうした点を踏まえてきちんと議論するということが求められるべきだと思います。
 国際的に見ても、例えば教育領域ですと欧州評議会というところが教育分野のデータ保護に関する指針を出していたりしまして、その中では児童のプロファイリングというのは、児童の最善の利益を追求するという例外的な場合を除いて使ってはいけない、法律で禁止すべきだということが書いてあります。また、バイオメトリクスデータに関しても、教育データで日常的に処理されるべきではなく、より侵害的ではないほかの方法で目的を達成できない場合に限って認めるべきというようなことが解説されていたりすると。人権保障を重視する地域においては、教育領域における児童の保護については特別な配慮をしているということも十分踏まえた上での検討が必要だというように考えております。
 もう1点申し上げたい点がございます。今後の検討を進めるに当たっては、国際的に児童のデータを保護するための立法化が進んでいるという点を踏まえた検討が必要だろうと思います。教育分野のものでは、例えばEUのデジタルサービス法ですとか、イギリスのチルドレンズコード、それからアメリカの連邦法、州法、さらには中国や韓国の個人情報保護法の中にも児童の保護に関する規定があります。それに対して日本はガイドラインで一部同意の部分への言及があるということにとどまっていまして、児童のデータ保護に関する法制度というのがそもそも手薄であるという面は否めないかと思います。個人情報保護法という一般法しかない中で、教育データの利活用を進めるということを一般論として述べてしまうと、そのこと自体の社会的受容性もさることながら、国際的動向にもそぐわない政策が進んでしまう可能性があると、この点が非常に懸念されます。そもそも立法が必要な議論なのかなという気もしているということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、先ほど事務局からパブコメに関する私の御質問について御回答いただきましたが、パブコメを踏まえ修正していただいた点が2点しかないということと、留意事項の範疇に含まれるパブコメであったかどうかというのも、そもそもどういうパブコメが上がったかというのを全て見せていただかないと判断もできないという面がありますし、スケジュールを非常に重視にされたというのが外形的にも見えてしまいますので、必ず第2版を検討されるときには、丁寧に出てきた意見を検討していただいた上での改訂を進めていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 
【国立情報学研究所】  おっしゃるとおりのところはあります。つまり、全面展開するときにどこをスレッショルドポイントにするのかというのは極めて慎重にやるべきだと思います。しかしながら、一方で私が別の会議に出たときに感じられましたのは、極めてエピソーディカルなんです。こんなことをしたらこんなふうになりましたということの羅列でしかないんです。我々から見ますと、これを集めてサイエンスにできるのかなと、つまり僕らはほかの学問を山のように見ているものですから、教育に対してはかなり驚くところがあって、そこがややうまく歯車が回っていかないような構図になっているんじゃないかなと思います。小・中学校の先生もFERPA(Family Educational Rights and Privacy Act)
の中で原則全部親同意です。それから、早期卒業できた子供だけは親でなく本人同意になっているかと思いますので、もちろん子供自身が同意できるかどうかなどという話はありますけれども、米国も非常にきっちりとやっている。
 そんな中で私が思いますのは、これだけ日本の子供たち、あるいは今の学生たちの論文創出量が減って国力が落ちている、これは一体どこに原因があるのかということを見出すことそのものは国家の義務だと思います。したがいまして、そのためには一定程度オプトインしていただいた空間の中でいろいろなことを解析するということを、私は文部科学省も奨励してもいいんじゃないのかなという気がします。これはあくまでもオプトインを取るということでありまして、その空間の中で、我々、今一番あれなのは、こんなにデジタルテクノロジーが役に立たないのかというぐらい使い物にならないということが分かったんです、このコロナで。だから今日、僕も文部科学省に来ているわけですけれども、Zoomというのは対面で伝わる情報量の約10%に過ぎないというようなことが言われています。つまり、子供に対して一体どうやって情報といいますか教示を丁寧に伝えられるのかということそのものがまだアンノウンなんです。ここをきっちり科学にするというところで先生の御理解をいただきたくて、個人の権限をインベードするのではなくて、あなたの教育環境をインプルーブするんですと、そのために僕たちにいろいろなことをやらせてくださいと、それを土下座して頼んでオプトインを取れば、そこを否定するということにはならないんじゃないかなと。私の発言がそういう誤解を生んだとすると大変失礼かもしれなくて、丁寧に同意を取りながらというように御理解いただければ幸いです。
 
【座長代理】  まず、最初に私が言いたかった1点目は、直前にご指摘のあったところです。歩みを止めないといっても、人権侵害などをするのではなくて、丁寧に説明した上でオプトイン、同意を得た上でやるのであれば、それは決して侵害に当たらないと思う、そのような歩みを止めない努力というのは続けるべきだというのが1点目です。
 2点目としては、日本で今心配しているデータの種別についてです。先ほどは「層別化医療」ということで、層、つまりこういうタイプの患者に対してはこういう支援が有効だという、それがデータで語れることだという御示唆をいただきました。教育においては、それは個別最適な学びというキーワードの中における、指導の個別化ということになります。それを為すためには、現状よく取られているスタディログとライフログだけではなく、アシストログ、つまり教師がどういう支援をして、どういう子供に対して効果があったけれども、こういう子供に対しては効果がなかったみたいなデータを取っていくということも大事なのかなということで、個別最適な学びの支援は、本当は実態から言うと層別化教育支援なんだということを考えました。
 
【国立情報学研究所】  子供にとっては子供自身と親と先生と、この三者関係しかありませんので、それぞれ家庭の介入、世の中の介入、それと先生の直接的な介入、この介入データを与え、捕捉することによって子供がどう育っているかを計測する、逆に言うとアシストログといいますか、それを取っていなかったことそのものが非常に大きな問題なんです。だから普通のサイエンスに戻るべきなんです。何か物があって、何か入れると化学反応するというのと原則同じで、その原点に基づいてデータをきっちり取るというのを頑張らせていただければと思います。
 
【委員】  特に冒頭のMEXCBTの御実践は本当に具体的で、なるほどということがたくさんありました。単元内容の定着を確認するテストみたいなことをやって、間違えたらすぐにやり直す子がいたというお話を伺うと、そういった子供の取組が繰り返されていくと、答えが合うまで取り組めば定着したことになりますから、そもそもテストする必要もなくなるんじゃないかと思います。だからこれはテストのシステムだったんだけど、実は学習のシステムにも転用できる、そういうような感覚を受けました。
 そういうふうになっていくと、予想外の展開になることまで今予測して全てのルールをつくることは非常に困難だというふうに思いますので、大綱的なイメージでしっかりルールを伝えていって、イノベーションの芽を取らないというのが先ほどのお話だったんじゃないのかなという風に私は思いました。
 MEXCBTの実践は確かにすばらしいんですけど、一方でこのぐらいのデータだったらまだまだ十分ではないというか、今想定している未来はもっともっと複雑なデータを扱おうとしていますので、まだまだ安心できるようなタイプのデータなんじゃないかなという風に思いました。
 その一方で、過去から子供がICTを使うことについていろいろなトラブルがあり、児童ポルノであるとか、出会い系アプリとか、そういうタイプのルールが厳しく制定されて、それが結果的に子供を守ることにはなったんですけども、それが今でも尾を引いている部分、活用に尾を引いている部分がございます。そういった意味で、今回、授業で使うときにも役に立つような著作権法とか、個人情報保護であるとか、プライバシーについて一定の見解が示されたということについて、非常に意味があったというふうに思っています。子供はどうなのかというお話が先ほどからありますけども、一人一人の子供の顔が見えている教師から見れば、どちらかというと、こういうお話があった場合、厳しく柔軟にルールを適用すると私は信じていますし、そういうのが現実で、どちらかというとこういうメッセージを送ると厳しめになるというほうが多いような気がしますので、そういった意味で、今回の会議体で良い情報提供ができたんじゃないのかなというふうに思います。その上で、これまで恐れを抱き過ぎて使っていなかった部分についてしっかり学んで、失敗を恐れずに進んでいくということが非常に重要なんじゃないかというふうに感じたところです。
 
【国立情報学研究所】  MEXCBTを活用したら勝手に子供が実は問題を再勉強するという話について、それが一体何人、nを100としたときに何%で起こっているのか、そのデータを捕捉しないとそのルールを援用することかできないということなんです。私どもは、データをエビデンスとして取るということをもっと積極的にやらないと常にエピソードで終わってしまって、こうやったら絶対いいんだということを誰も胸を張って発信できない、このための基礎的なデータを取る基盤をまず作りましょうというのが私のメッセージです。
 
※資料3「「教育データの利活用に関する有識者会議」のこれまでとこれから」について事務局より説明を行った。
 
【座長】  大きく言えば教育DXになるわけですけど、皆様におかれましては、様々な立場からこの教育データの利活用についてたくさんの御意見、御示唆をいただいたと思っています。資料3のルール、ツール、利活用というところですが、一番最初の段階ではこの整理もまだ十分にはできていなかったんです。何といっても学校ごとにIDが振られてなかったわけです。これは、そもそも学校の設置者は国ではありませんので、国が振るべきかどうかという議論もいろいろあったわけで、特に義務教育段階も含めますと1,700以上もある設置者それぞれに個人情報については条例があったり、ルールがいろいろあったりして、それが自治体を超えてデータをうまく集め、突合していくというようなことを進めていかないと、エビデンスベースドでデータ駆動の指導を全部人力でやり続けるというのはもう無理な時代になっています。人口減少社会とかを見据えた上でそういうことをやっていく方向にしていこうということで、いろいろなことを標準化するということをやりながら、そのためにツールも開発し、政策としてはこれに予算をつけながら利活用を推進してきたわけで、これが途中でできたデジタル庁との連携とか、これからできるこども家庭庁との連携とか、あるいは中央教育審議会を含むほかの会議体において、デジタル教科書のほう、デジタル教材のほうとか、あるいは先生方の校務のDX、働きやすさをどう保障するかみたいなことについて様々な検討が進みますと、それら全てが結局どういうプラットフォームで、どういうデータを基に工夫、改善、今までのシステムを見直してリニューアルしていくかという話に帰着するなと思っております。
 そういう意味では、これから先どのような体制で、どのような審議をうまく組み合わせていくかというのは、これは中教審のデザインをしていらっしゃるような方々でいろいろ今検討されているというふうに聞いておりますので、委員の皆様にはこれからもいろいろと御教示いただくことになろうかと思いますし、教育データの利活用はこれからも非常に重要な議題であります。一度にみんな集まって、同じ土俵で全部を同時に議論するということが専門性等の観点、あるいは各論の込み入った話になりつつある今、もう少しうまく区分けしてそれぞれに議論していかないと論点がずれていく可能性があるなというところもありまして、今日の資料3、これはきれいに資料をまとめていただいたというところになります。
 まだまだ公教育データというのは、これはどこからどこまでかとか、個人データとしてどこまで外に出すかといった議論があります。そもそもデジタルになる前から先生方は子供たちを指導するに当たって個人情報については丁寧に気をつけながらも、その個人情報を踏まえた学習指導、生徒指導をしてきたわけでございまして、これがデジタルをちょっとやろうとすると急にレギュレーションが強くなっていくみたいなことはデジタルから遠ざかる形になりがちというところがありまして、この辺りをどうやってうまく落ち着かせていくかというところが今の課題かと思います。もしかしたら教育データに関する何らかの法律等ができて、それに従ってやっていくということも今後はもしかしたら考え得るのかもしれませんけど、そういう大きな話は、この私たちの有識者会議だけでいろいろ議論するということではないと思っております。
 そういう意味で、皆様にいろいろ御協力いただきながら会議を17回進めてきまして、様々に議論しなきゃいけない論点がこれだけこれからも残っているということが明らかになったという、そういう状況でございまして、これからも数年かけて、しかもデジタルはどんどん進化していきますので、社会の形をそれにうまく合わせていくという意味で、決して学校が乗り遅れ、先生たちや子供たちが苦労し続けるみたいなことがないようにしていきたいというふうに思っておりますので、今後とも非常にお力添えいただければと思います。
 予定していた時間をちょうど10分過ぎてしまいまして、大変申し訳ございませんでした。もし言い足りないこと等がございましたら、いつものとおりメールで等で事務局まで御連絡いただければと思います。
 今後どのような会議の形で、あるいは日程でやっていくかにつきましては関係の各会議体と調整した上で、皆様に改めまして事務局より御連絡さしあげたいと思います。
 本日までどうもありがとうございました。


(以上)

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