教育データの利活用に関する有識者会議(第15回)議事要旨

1.日時

令和4年12月19日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

※Web会議での開催

3.議題

  1. 教育データの利活用の推進について
  2. 教育データの利活用に係る留意点について
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、藤村座長代理、石井委員、梅屋委員、緒方委員、小﨑委員、佐藤委員、三部委員、白水委員、田村委員、戸ヶ﨑委員、中村委員、橋田委員、渡邉委員

文部科学省

里見官房審議官、森友社会教育振興総括官、山田修学支援・教材課長、桐生教育DX推進室長、伊藤学校デジタル化プロジェクトチーム専門官、野口教育DX推進室室長補佐
 

オブザーバー

株式会社内田洋行、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社、一般社団法人ICT CONNECT 21、EY新日本有限責任監査法人、一般財団法人 全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)、個人情報保護委員会事務局、デジタル庁
 

5.議事要旨

議事1.教育データの利活用の推進について

※資料1-1「「文部科学省 教育データ標準 3.0」について」について一般社団法人ICT CONNECT 21、資料1-2「「教育データの効果的な活用を見据えた教育情報システムの在り方に関する調査研究」状況報告」について株式会社内田洋行、資料1-3「「MEXCBT データ等の効果的な分析活用に関する調査研究」状況報告」についてみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社、資料1-4「「GIGA スクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」の検討状況について」について伊藤学校デジタル化プロジェクトチーム専門官よりそれぞれ説明を行い、委員から意見、質問が出された。

(意見)
 
【委員】  教育データ利活用を進めるために、環境の整備に関する調査研究、また、既存データの活用に関する調査研究、さらに校務の情報化に関する議論の状況など、それぞれに大変勉強になりました。ありがとうございました。データ利活用を進めやすい環境づくりと事例の積み上げは、今後も非常に重要になると感じました。
 一方で、御発表の中にもありましたが、これらが学校現場で、教師が有用感を持って取り組める内容かと言われると、これまでの議論はまだまだ現場の実態との乖離があるように感じられます。最低限のリテラシーを求めていくことはもちろん必要ですが、教師自身が定量的なデータを分析して研究的に得られた知見を活用していくことは難しいでしょう。しかし、研究者の方等、他者が分析した情報をそのまま学校現場で活用できるかというと、それもまた難しさがあると思います。この会議の場でも何度か申し上げていますが、何のために教育データを利活用するのか、その視点で考えると、教師にとっては定性的なデータも非常に重要になってきます。
 例えば、本市で今進めている、学校現場でデータを活用する取組、つまり教育委員会の主体ではなく学校が自走している取組として、生徒指導において一人一人の子供を全ての教師で見つめ抜いていく「ケース会議」が良い例だと思います。対話や相談の記録という定性的なデータ、学力調査や心のアンケートなどの定量的なデータを一元的に管理し、共有が図れるように学校とも連携を進めており、それを活用する会議を現在目指しているところであります。
 複数の教師による見取りという定性的なデータを共有して、議論し、アウフヘーベンによって客観性をどんどん高めて練り上げていく、こういったところにある意味での教師の専門性を発揮することで、組織として生徒の理解を深め、生徒指導力を高めることもできると思っています。日々、自分たちが得る定性的なデータを管理して、自分たちの活動に生かしていくということができれば、教育データの利活用は、教師の自分ごとになっていくと思います。そういった契機づくりをもっと進めていく必要があると感じております。
 
【座長】  大変貴重な御意見と思います。私どもはどうしてもデータの連携とか標準化とかシステム周りのこと、あるいは法制度のことを今のうちにしっかりと考え方を固めていかないと、現場で今、委員がおっしゃったようなことができないと思って、そちらから進めておる関係もありますので、これから先はできるだけ教師にとっての自分事となるような事案、事例を考えていくようにしたいと思います。
 
【委員】  資料1-2の1ページに、全体のアーキテクチャーが書いてある絵がありましたけども、その下にPHR(Personal Health Record)というのがあって、母子健康情報というのと、学校健診情報というのが入ってくるという話になっていますがこれは単なるPHRということではなくてPDS(Personal Data Store)ということで、学習eポータルからもここにデータが入ってくるというふうにすると、もうちょっとすっきりするんじゃないかと思います。
 それに関連して申しますと、学習eポータルの間でどうやってデータポータビリティーを実現するかという議論が以前からありましたけども、PDSに一遍データを引き取って、そこから別の学習eポータルにデータを送るというやり方が十分有力だと思うので、そういう実証実験をやるということも含めて、アーキテクチャーを少し拡張するといいのではないかというふうに思いました。
 ちなみに東大で、ちょっと研究用ですけども、LTI(Learning Tools Interoperability)コンシューマーとして振る舞うシステム、つまり簡単な学習eポータルになるようなシステムをPDSと連携させて運用しておりますので、もう一つ学習eポータルとそれをつなげば、学習eポータルの間でのデータポータビリティーに関する実証実験は可能になっていたりするので、そういうフィージビリティーも含めて、少し一般化したほうがいいのではないかと思いました。
 それともう一つは、資料1-4と関連すると思いますが、いろんなユースケースを御紹介いただきまして勉強になりましたけど、例えばダッシュボードというのは、主に教員がたくさんの学習者を見渡して、あるいはそれを前提として各学習者に個別に介入するためのツールだと思いますけども、そういう場面では多数の学習者のデータを集中管理する必要があるわけで、じゃあ、そういう業務は何かということを整理する必要があるという議論だったと思います。
 一方で、集中管理する必要がなくて、各学習者が自分のデータを持って、自分のアプリでそれを分析したりして、次に何を勉強すればいいかとか、そういうふうなガイダンスを売るみたいな、いろんなユースケースが分散管理の下でも考えられて、そっちのほうがより機微なデータを安心して使えるというメリットもありますので、そちら側のユースケースも同時に検討するといいのではないかというふうに思います。
 
【委員】  すごく細かい議論で申し訳ございません。チャットに書かせていただいたんですけれども、資料1-2にありますアーキテクチャーのところで、グループウエアというのがありました。これは、校務支援の一部としてのグループウエアということで認識はしたんですけれども、一方で教育現場で使っている、いわゆる共同学習に用いるグループウエアというのも別途ありますので、実際、今、例えばデジタル庁の事業とかでログを出力する事業者様などがいらっしゃるんですけど、その中にもグループウエアを扱っている方もいらっしゃるということで、そういったシステムもこの右のほうに含めてはどうかという御提案です。
 
【委員】  だんだんデータが、形が具体的に見えてきてるというところで、ものすごくよく整理できました。ありがとうございます。まず、学校の課題に基づいてデータを見ないと、結局同じデータでも課題によって扱い方や見え方が変わってくるというところがありますので、現時点ではまだ探索的に、できるだけ広くデータが扱えるような設計をしておいて、その中からだんだん必要なものを重点化したり絞っていくことをしていくとき、大事なことは、まずはいわゆるインセンティブ設計というんですかね、先生たちがこういうことをしたらこういうふうに役立つかもしれないよねということが考えられるような見せ方なのか、整理の仕方なのか、その辺はシステム的な発想よりも、先生たちの、もしくは子供たちの活用しやすさというところに置いたような設計が必要だろうなと思ったのが一つ。
 あともう一つは、先生たちがデータを扱おうとしたときに、ほかの子たち、他者との比較ということのウエートもあるんですけども、ほとんどの場合は個人を時間軸で追っていく、成長を見取るという流れの中で、何かできることがないかなということをすごく考えるので、そういう点で1回決めたらとか、あるものをどう活用するというウエートは当然あるんですけど、それはずっと変化をしていったり積み上がっていくものだという、幅のあるものだという押さえ方をしっかりしたようなまとめ方にしておく必要があるのかなと感じました。
 
【委員】  私のほうからは、このダッシュボードの構造図、資料1-2のところになるかと思うんですけども、将来的なイメージというところで、学習系システムにも校務系システムにもグループウエアのようなものがある。これは自治体の困り感なんですが、学習系システムを連携させるためのアプリケーション側にもそういった機能を持たせたようなアプリケーションが出始めていたり、ダッシュボードも学習系システムにも校務系システムにも持つ機能があったりというようなことが進もうとしている。
 だとしたらいろんなものにこういう機能をつけたらいいんじゃないかというふうに、皆さん競争領域で考えられるのはいいと思うんですけれども、そうすると自治体は、いろんなダッシュボードを持っている機能のアプリケーションやシステムをどんなふうに連携することが自分の自治体に一番合ったダッシュボードの構造図になるのかということを、自分の自治体の困り感に応じて設定しなくちゃいけなくなってくる。でも、その絵を描ける力が本当に自治体にあるのかというと、なかなか難しいところがあって、今度は標準仕様書みたいなものが欲しくなってくるというような困り感を今、非常に持っているところです。
 例えば、この先に行政系のシステムと連携したときに、同じような仕組みが向こうにもあったりする。じゃあ、どれをチョイスして自分の自治体に合った形にしていったらいいのかというのが、すごく今困っているというような状況にあるので、そういったもの、最終的に標準仕様書みたいな形が出てくるといいなと思っているところです。
 
【座長】  最後におっしゃった件については、まだまだ文部科学省側もというか、専門家会議側も想定でやっておりますし、事業者の方々もいろんな競争領域としてこういうことを製品としてつくっていらっしゃって、製品としてつくったけど、採択されるかということもありますし、しばらくは試行錯誤が続きます。そんな状況の中で、国が「これが標準です」と出してしまうリスクみたいなこともあることを考えると、自治体の不安を分かりながら、これをどこまで踏み込めるかというのは難しいところかと思っております。
 一方で、何と言ったらいいんでしょうか、校務支援システムで必要になる情報というのはいろんなところで発生する、発生元が多様な情報で、どれとどれをどのような人にフィードバックすることがその人にとってよいか。例えば、学習者にとってどうか、保護者にとってどうか、先生にとってどうかみたいなことがあるとなると、これはやっぱりデータの標準化は不可避でございまして、この辺りがこちらの専門家会議との連携の必要性を物語るところかなと思っております。
 そのために行ってきた、この教育データの標準化、教育データ標準については、もう3.1まである程度見えていますので、今日は3.0が御好評でしたけども、3.1に向けて、あるいはその先、3.2あるいは4.0に向けてさらに検討を進めていただければと思うところです。ICONの皆さんには御負担をかけますけれども、また専門家会議の皆さんにも御負担をかけますけれども、よろしくお願いします。
 また、アーキテクチャー事業や分析事業については、大分具体的に洗い出していただいておりますので、これによって教育データ利活用の、何というか輪郭みたいなことがはっきりしてきたところかなと思います。これも3月に向けて、調査研究をぜひ進めていただいて、まとめていただくと。そして現状において、何が課題になっているがために全体が止まっているかというようなところがもし見受けられましたら、何が今一番大変なのかというところをしっかりと明記していただいて、次なる課題がフォーカスされるようにしていただければと思うところでございます。
 校務の情報化の会議については、私が座長ですので、引き続き本会議との情報共有を進めていきながら、検討を進めてまいりたいと思います。いずれも2月ぐらいには何らかのまとめ、中間か最終か、いろいろですけど、まとめがやっぱり必要になる。今年度中に大体のいろんなことがはっきりしてくるところもありますので、そうすると教育データの利活用は何も決まってないから進まないじゃないかと言われてきた部分が、随分と検討が進んだというふうに言えるようになるのかな。そうするといろんな自治体が、じゃあうちもちょっと取り組んでみようかなというふうに1歩目を歩き出せるようになるのかなと。現段階ではそういうことのビジョンを持ってやっていらっしゃる自治体しかできておりませんけれども、次、少し幅広に参画していただけるようになるのかなと思っております。

議事2:教育データの利活用に係る留意点について

※資料2-1「教育データの利活用に係る留意事項の今後の道行き」について事務局、資料2-2「「教育データの利活用に係る留意事項」(案)(「教育データの利活用に係る留意事項等に関する調査研究」状況報告)」についてEY新日本有限責任監査法人よりそれぞれ説明を行い、委員から意見、質問が出された。(なお、文脈上誤解を生む恐れがあることから、本人の同意の上、一部委員の個人名を掲載している。)

(意見)
 
【委員】  33ページの第三者提供の話ですけど、脚注ですかね、「民間企業など、公的機関以外に提供する場合」のところに関係するかと思いますが、一応大学に属している人間としては、学術研究目的での第三者提供には同意は要らないんだというということを書いておいていただけるとありがたいというのがあります。GDPRの十分性認定に関連してそれを見直そうという話があるのは存じているので、あんまりそういうことを書くと、先ほどの分かりやすさを旨とするというのと反してしまうかもしれないので、それを落とされたのかもしれませんけれども、その辺り、もし何か御意見あれば伺いたいと思います。
 
【委員】  こちらについては、やはり今、委員からも御意見があったとおり、学校の先生において判断できることということを前提に本文のほうでは書かせていただいております。なので、脚注のほうの中でその他の場合というのもあるということを触れさせていただいておりますので、そこは御理解いただければなと思っております。
 
【石井委員】  Q&A作成のほう、大変お疲れさまです。
 私のほうからは、気になる点がありますので、何点かコメントさせていただきたいと思います。
 まず、全体的な観点で申し上げますと、そもそもの設問の抽象度が非常に高くて、具体的なユースケースが挙げられていない割には、問題ありませんというような回答が複数箇所にありまして、教育データを利用することのリスクに配慮した文章になっているのかというところが非常に懸念されると。パート2の事例関係が事例になってないというのが私の理解になります。
 それから、個別のQ&Aについても特に気になる点の意見を申し上げたいと思います。
 個別論点については、個人情報保護委員会様がオブザーバーとして参加されていますので、個人情報保護委員会様に御発言いただくのはどうかということも併せて御提案いたします。
 まず、設問23のあたりですが、28ページ目のあたりですか、利用目的の範囲外で利用・提供する場合に、基本的に同意が必要という書きぶりになっている点です。渡邉先生からコメントがありましたけれども、69条2項に定める個別の例外について、優先関係があるように見えないようにする必要があるかと思いました。
 それから、同意のところで非常に気になる点として、そもそも同意を取れば適法になるという考えかもしれませんが、児童生徒のデータの利活用を行うという場面では、有効な同意が取れるのかというところに非常に疑問があります。
 同意というのは自由意思に基づくことが有効性の前提になるはずでして、学校という環境で、法的に又は事実上、教育を受けなければならない立場にある児童に自由意思を担保することが果たして可能なのかと。欧州のGDPRの解釈でも、一方当事者の立場が強い場合は自由意思が担保されないという考え方になっています。自由意思が必要というのは自明の解釈になりますので、当然、日本においてもそれは考えられるべきです。
 そういう観点からすると、保護者であったとしても、子供を学校に行かせなければならない立場にある以上、自由意思が担保できるというわけでもない。さらにはオプトアウトが認められるのかどうかもよく分からないところがありますし、高校生レベルであったとしても、取扱いに伴うリスクをきちんと理解できるかという点も非常に懸念がありますので、そういう意味で特に、説明して承諾を得られれば同意は有効だという前提で書かれると、この分野は危うくなるのではないかというのが心配な点になります。
 説明内容について、12ページのところで、「利活用の目的、方法、メリットなどを丁寧に説明し」というくだりのあたりですが、同意を得る前提での説明事項を意図しているのであれば、リスクをきちんと説明しないと駄目なのではないかと思います。個人情報を取り扱う目的と、それに伴うリスクを十分把握した上で取扱いに同意をしないと、そもそも意思表示として有効性に問題が生じるのではないか。メリットがあるから承諾してくださいという同意の取り方は同意ではないと考えます。
 設問6のところです。データを分析する行為について、ユースケースが示されていないのに、利用目的に含まれていれば問題ないという書きぶりで本当に大丈夫ですか、というところが、私から見ると非常にラフに見えてしまい、誤解を与えやすいように思います。
 設問6は69条を前提にお書きだと思いますが、そもそもその保有制限の61条の規定の中に、法令の定める所掌事務や業務を遂行するために必要な場合に限るという制限があるはずで、情報の統合・分析、その結果としての情報の保有というのが必要性の範囲に含まれるのか、というのも気になるところです。その辺りの説明は、私が拝見する限りではないと思われる。利活用のメリットがあることをもって必要性の要件を満たすとは考えにくいので、この辺りは整理が要るのではないかと思いました。
 69条のほうも利用目的にキーワードを置いてというお話がありましたが、分析に伴う予想外の結果が生じるリスクというのは、まさにプライバシーの観点から配慮しないといけないことであるはずです。こうしたこともユースケースベースできちんと考えないと、いい・悪いの評価はできないと思います。
 問いの立て方に関しても、「問題ないか」という問いに対して「問題ない」という回答をするような書き方ではなくて、法令をきちんと守るのであれば、異なる種類のデータを統合したり分析したりするためにはどういうルールを守ることが必要かという問いかけにして、統合・分析する場合の利用目的の具体例や、利用目的の通知・公表、利用目的の伝え方、明示が必要な場合は明示の仕方を示すというのが、誤解を与えない上では妥当だと思います。
 その他も気になる点はありますが、私から特に申し上げたい点として、同意を取れば有効だという前提で考えると非常に危ないのではないかということと、ユースケースが見えない中で、いい・悪いは言えないのではないかと、その2点を申し上げたいと思います。
 個人情報保護委員会様から、法解釈については、せっかくですので何かコメントいただけるとよろしいのではないかと思いました。
 
【委員】  まず、御指摘いただきました設問の抽象度というところでございますけれども、こちらに今回出ている質問につきましては、多数の関係者ヒアリングを経た上で、その中で出た質問をまとめたものということになっております。
 質問のほうをある程度抽象化しておりますけれども、その中で、解説の中では具体的な場合についても書いていくということで、一覧性としてどこを見れば分かるかなという形にしておりますので、その点は御理解いただければなと思います。
 それから、Qの23に関して、同意について原則とするのはいかがなのか。要は69条2項について、1号から4号の各号がある中で、同意が原則ではないんじゃないかという御意見をいただきましたが、それはおっしゃるとおりでございまして、ただ、まずもって、民間分野と違って公的分野においては同意原則による提供、利用というものではなくて、あくまでも利用目的の範囲での利用ということが原則で、あくまでもこの69条2項各号というのは例外的な場合というのが列挙されているという理解でございます。
 その中で、ただ学校の教職員の皆様の現場で実際に対応ができるというのは、やはり同意ということになるということで、2号以下のところは脚注で書くにとどめているというふうに御理解いただければと思います。
 あわせて、同意について、有効な同意ということで、自由意志に基づくという点について御指摘をいただきましたが、そこはおっしゃるとおりというところでございまして、もちろん、保護者の同意だからといって、要は保護者が子供をネグレクトしているようなケースはどうなんだとか、そういった場合もあったり、いろいろなケースというのはあると思いますので、今回は出ていませんけれども、例えばQの24とか、そういった場合も含めて対応していくということなのかなというふうに思っております。
 なお、オプトアウト的な同意については、今回、実はもう既に書いておりまして、31ページのQの25の一番最後の段落に書いてございます。「同意を取得する際には、児童生徒本人や保護者の意思が明確に確認できることが必要です。したがって、『●日以内に回答しない場合には同意したものとみなします』などというように、一定期間回答がなかったことをもって一律に同意を得たものとすることはできません。」という回答で書いているところでございます。
 また、利用目的については、単に示すだけではなく、リスクも示すべきではないかということでございますけれども、学校教育の場でいろいろな御対応がある中で、まず共通に対応いただくことというのは、やはり利用目的を分かりやすく明示していくこと。それがプライバシーの保護にもつながることかなと理解しております。プライバシーの保護のやり方については、個人情報保護法が許す範囲でどこまでできるかということもございますし、いろいろなやり方というのがある中で、正解がなかなか一つということで示されない中では、やはり利用目的をしっかり明示していくということが重要で、要はGDPRの中でインフォームド・コンセント的な、リスクも示した上で同意を取るというのはもちろん一つの方法ではございますけれども、そこを全てのやり方というふうには、共通でQ&Aで書いていくことではないのかなというふうに考えているところです。
 また、61条で、利用目的の特定の前に、まず法令とか所掌事務の範囲ということが問題になるんじゃないかというところ、要は必要性のお話をいただきましたけれども、それは当然のことでございますが、利用目的の特定については、今回出ていないQの17の2というところで今後新たにお示しする予定でございますけども、その前提として、法令とか所掌事務というのがあるというのは当然のことでございますが、あくまでも、繰り返しになりますけれども、この留意事項Q&Aは、学校の先生、それから教育委員会の皆様に見ていただくというところでございまして、要はもうちょっと高度な政策判断をするようなところから考えるとすれば、そういったところも書いていくというのがあるかもしれませんけれども、今回の留意事項に書くところまではいかないのかなというふうに考えているところです。
 非常に長くなりまして、御質問を全て拾えているか分からないですが、我々としても、いろいろ議論があるのは十分理解しておりますけれども、あくまでも、我々自身の中でも、かなりかんかんがくがく議論してきた中で、一番分かりやすく、そして、誤解を与えないようにということでつくっていると御理解いただければなと思います。
 
【個人情報保護委員会】  まず、石井委員から御指摘のあったところは、基本的には、我々も同じ問題意識を持ってございます。分かりやすさというのももちろん大事でございますが、一方で、少し個人情報保護法を誤解してこのままいってしまい、運用されてしまうところもやはりあるということについては、我々も調整いただいている中で何度も申し上げているところですので、分かりやすさとともに、同法を守っていただかないと、これまでと大きな違いは、我々、来年4月から自治体の方々に対して監視監督という執行権限も持っているところでございますので、やはり我々として、この資料2-1でも我々と調整ということでわざわざ丁寧にお書きいただいているのであれば、その点をしっかりくんでいただかないと、今回の議論でも、そもそもユースケースが具体的でない中で、抽象度の高いところで、今、議論されたようなところが誤って現場の方々の頭に浸透してしまうと、法律の観点からと、教育データとしてそもそも何を進めていきたいのかというところが、ちょっと分からなくなってしまうような感じもしております。
 先ほど座長のほうからも、システムの文脈でも、ある意味、国が標準化を進め過ぎると、現場の自治体とか民間企業さんの創意工夫の阻害になってしまうのではないかという点もおっしゃったように聞いておりますので、個人情報保護法上の整理、これは分かりやすさというのは十分大事だと思いますが、一方で、我々も常に法律を守っていただかないと、個人情報の保護ではなくて、個人情報の適正な取扱いによる、まさしく教育データの利活用による新しい今後の教育の世界というのがなかなか円滑に進まなくなってしまうんじゃないかというところを懸念しておりますので、その点について、また引き続き調整ということであれば、我々としっかりコミュニケーションを取っていただければと思います。
 総論としては以上でございまして、各論としては、基本的に石井委員から御指摘のあったところ、そのとおりということで、取りあえず私からコメントとさせていただきます。
 
【委員】  2点あって、個人情報としてテストの評点という記述が25ページ目にあるんですけども、誰が25点取ったとか、そういう誰がという情報が紐付くと、これは個人情報になるんですけども、テストの評点とかそれ自体は、多分個人情報にはならないのではないかと思います。ここを誤解してしまうと、いわゆる2次利用ができなくなってしまうので、そこを気にしましたということです。
 それから、履歴に関して言うと、例えば教科書とか教材の閲覧情報、こういったものも含まれるので端末の操作履歴に含まれるのかもしれませんけども、ちょっと考えていただければというふうに思います。
 
【委員】  テストの評点については、それ単独で取り出す、要は、個別の生徒等と切り離して出せれば、それは個人情報じゃないというふうに言えるかもしれませんけども、学校にある限りは容易に他の情報と照合、要は、氏名等と紐付けて、特定の個人をということで識別できちゃうと思いますので、これは基本的に個人情報になっちゃうというふうに理解しております。
 
【委員】  ですので、そこの紐付けるかどうかというところが多分焦点になると思いますね。
 
【委員】  なので、第三者提供においても、御存じのとおり提供元基準というのがございまして、そこを紐付けないで提供する場合でも、やはり個人情報の提供ということにはなってしまいますので、紐付いてないから個人情報の提供じゃないというふうにはなかなか難しいかなというふうに、我々は理解しております。
 
【座長】  先ほど事務局から、資料2-1で今後の道行きの話が出ました。有識者会議は2月と3月に計画されていますが、できれば2月の下旬頃にはこの留意事項を公表したいと考えております。
 そのためには、ちょっと急ぐ形になって申し訳ないんですが、この留意事項を次回も、今後、追加したり修正したりしていく、そういう性質のものでございまして、そういう意味では留意事項1.0なのかもしれませんが、そういう観点で、できるだけ不安をたくさん持っている現場に、早めに確実な範囲で提供したいと考えております。
 また、法令等の厳密さから見れば、現場の先生の問い方は非常に漠然としていたり、不明瞭だったりするのかもしれませんけども、ここは読者を考えたときに、やっぱり現場目線でまとめていくというのが私どもの有識者会議の役割かと思いますので、そういうふうにさせていただいております。
 その結果、法令に、かなり厳密に行う立場の方々から見れば、ここが不明瞭だというふうにおっしゃるかもしれませんが、この辺については、ここについては注意が必要であるということをしっかりと書いた上で、またそういうニーズが出てきたときに詳細を足していくという形でやっていくしかないのかなと。もちろん法令を違反することを誘導してしまうようなことは適切ではないと思いますので、そういう観点でいろいろと御指導いただいているところでございます。
 この後、文部科学省が一通りまとめていただきましたら、また委員の皆様に照会がかかりますので、そのときにいろいろとまた、お気づきの点、御指摘いただければと思うところでございます。
 ユースケースが少ないことは、私、座長として一番理解しているところでございますが、それは今まで何もできなかったからでもあると思いますので、決まってないことはやっていいわけではないですけど、まずは少し、いろんな業界、教育業界以外の業界の常識的な範囲を学校教育でもできるようにすることによって先生たちが働きやすくなったり、子供たちに適切な指導ができたりするようにしたいと考えておりますので、そういう意味で、まずはある程度の段階で、この留意事項を公表していくということで進めさせていただいておりますことを御理解いただければと思います。
 お時間ちょっと過ぎてしまって大変申し訳ございません。本日はここまでとさせていただきます。
 言い足りないこと等ございましたら、メール等で、また事務局までいつものようにお願いしたいと思います。
 次回の第16回につきましては、委員の皆様には事前にお伝えしているところでございますけれども、2月6日月曜日の13時から15時となっておりますので、何とぞ御協力をよろしくお願いします。それまでの間に、委員の皆様にはメール等で照会が入りますので、それへの御対応をよろしくお願いいたします。
 事務局におかれましては、パブリックコメント等大変かと思いますが、段取りをよろしくお願いいたします。
 それでは、今日はここまでといたします。ありがとうございました。
 

(以上)

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 総合教育政策局教育DX推進室

(総合教育政策局教育DX推進室)