教育データの利活用に関する有識者会議(第14回)議事要旨

1.日時

令和4年11月14日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

※Web会議での開催

3.議題

  1. 教育データの利活用の推進について
  2. 教育データの利活用に係る留意点について
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、梅屋委員、緒方委員、小﨑委員、佐藤委員、三部委員、白水委員、高橋委員、田村委員、中村委員、橋田委員、石井委員、渡邉委員
 

文部科学省

里見官房審議官、森友社会教育振興総括官、山田修学支援・教材課長、武藤学校デジタル化プロジェクトチームリーダー、桐生教育DX推進室長、野口教育DX推進室室長補佐
 

オブザーバー

玉木 群馬県教育委員会総務課デジタル教育推進室指導主事、丹羽 デジタル庁総括官参事官付参事官補佐、一般社団法人 ICT CONNECT 21、EY新日本有限責任監査法人、個人情報保護委員会事務局、一般財団法人 全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)
 

5.議事要旨

議事1.教育データの利活用の推進について

※資料1-1「民間企業との連携による健康データ活用の調査研究について」について玉木 群馬県教育委員会総務課デジタル教育推進室指導主事、資料1-2「教育データの標準化に関する事業状況報告」について一般社団法人 ICT CONNECT 21、資料1-3「学習eポータルの標準化推進に関する事業状況報告」について事務局、資料1-4「教育関連データのデータ連携の実現に向けた実証研究事業報告」について丹羽 デジタル庁総括官参事官付参事官補佐よりそれぞれ説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【委員】  私のほうからは、群馬県様に御質問をさせていただければと思います。大きく分けて2点になります。
 1点目は、民間企業との連携というところで御説明いただきました中で、具体的な小学校の取組による声が示されているスライドが8ページ目や10ページ目に示されていまして、その旨が御説明あったかと思います。これについて、先生方の声ではなくて、実際に児童御本人や保護者の方、自分のデータを利活用される側の声がどうなっているかについて、お聞きできればと思います。これが1点目です。
 2点目は個人情報保護関係ではありますが、どのような対応を取られているのかについて確認をさせていただければと思いました。御説明の中で、データを蓄積することや健康データを使われるといった御指摘があったかと思いますが、蓄積されるデータをどの程度保存されるのか、健康データは機微性のある情報と位置づけていいかと思いますが、その保護のマニュアルがどのようになっているか、さらには予想外に使われないようにする仕組みが取られているのか。教育データと結びつけて分析されるのだと思いますが、学習向上計画に使いたいといったようなお話もありましたところ、当初の目的と異なる使い方が必要になってきたときに、それが、児童や保護者の方から見て、予想外の使われ方になったりしないかといった点、また、委託先に頼むことを民間企業との連携とおっしゃっているようですが、委託先のほうで、何か主体的に活用するような場面が想定されるのか、その辺りを含めて、個人情報保護やプライバシー保護への配慮事項をお聞きできればと思います。
 
【群馬県教育委員会】  まず、一つ目のことについてなんですけども、今回、御紹介させていただきました成果については、主にデータを活用されていた学校の先生たちの声を届けさせていただいたということになります。実際、訪問させていただきますと、管理職の先生とかが、声をかけるきっかけになったですとか、養護の先生がチャンス相談として活用する機会になっているとか、これは先生方の成果ではあるんですけども、一方で、子供がそういったSOSを出すツールになっている。例えば1週間、曇った表情の顔を選択している子に対して、特にコメントはないんですけども、声をかけて、解決につながったという事例も聞いております。直接的な保護者とか子供に対して、アンケート等は実施してはいないんですけども、先生方の成果の裏側には、子供たちのそういった声が届いている。
 学校によっては、子供自身の入力した、ふりかえりを見られるような設定をされている学校もあるので、子供たち自身がデータの活用をしている、そういった側面もあるのかと思います。
 
【委員】  データを使われるのは子供の側ですので、使いたい側のメリットだけを観点にされると一方的な見方になってしまうのではないかというのが懸念点になります。子供さんは成長過程にありますので、保護者の方から見たときに、こういう取組がどう評価されるのかということもしっかり見ていただいた上で取組を進めていただきたいと思いました。
 
【群馬県教育委員会】  2点目については、詳しく回答するのが現状では難しいんですけども、クラウド活用については、許可申請をそれぞれ取っているという状況で進めているんですけども、その他の細かい点については、また少し勉強させていただければと思うんですが。課題等があるようでしたら、逆にお示しいただければと思うんですけれども。
 
【委員】  先ほどお伝えしたとおり、健康データを使われることやデータを蓄積されること、民間企業と連携することはどういう意味を持っているのかということ。データが目的外に使われるリスクがないのか、いろいろ考慮しなければならない事項がありますので、その辺りを個人情報保護制度との関係、プライバシー保護との関係で、論点を整理しておく必要があるのではないかと思います。
 
【群馬県教育委員会】  御指導ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 
【座長】  先生たちが子供たちを見取るときに、先生たちの目だけでは十分に見取れないことはたくさんありますので、そのことを子供たちからの発信された情報でうまく捉えて、生徒指導や学習指導に還元するということだと私は理解しています。ですから、それは日頃行われていることの延長で、せっかく端末があるんだから、こういうふうにも使ってみましょうというお取組を今、挑戦されているのかと思いますので、今、委員から御指摘いただいたようなことも配慮しておかなきゃいけないこととして、今後、御検討いただければと理解していただければと思います。
 
【委員】  今の御質問とも関連するんですけれども、群馬県さんに二つほどあります。それから、学習eポータルに関して、文科省さんとデジタル庁さんにあります。
 まず、群馬県さんのほうですけども、先ほどの話と関連して、本人、子供たち自身もデータを使っているような場面があったとおっしゃったような気がするんですが、それは、与えられたアプリでデータを見て、何かやっているということなんでしょうか。もしかしたら、そのデータを本人の、例えば別のアプリで分析するとかということも、やっていいかどうかもデータの性質にもよりますけれども、そういうことも考えられたほうがいいんじゃないかというのが一つ。
 それから、学習計画表をこれまでやっていたのを、それを取りやめて、代わりにライフログを取るようにしたという話だったと思いますけど、学習計画表の内容と、今回のライフログの内容というのは、前者が後者を代替できるような形になっているのかというのが2番目の質問です。
 それから、もう一つ、学習eポータルに関しても、文科省さんとデジタル庁さんにお伺いいたしますけれども、これはひょっとしたら、次のバージョン3じゃなくて、バージョン4ぐらいの話かもしれないんですが、学習eポータルの間のデータポータビリティーとかいうことを考えると、各学習eポータルとPDSを連携させると、例えばそういうことが必要になってくるかと思いますが、恐らくその場合には、PDSは学習eポータルをサーバーの1つとして動くと。つまり学習eポータルがウェブAPIを開示していて、それを個人のアプリがたたくみたいな、そういう方向性がいいのではないかと考えていますが、もし、何かその辺りの方針などがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
 
【群馬県教育委員会】  まず、1点目のふりかえりについては、各学校のニーズによるカスタマイズの延長上で起こったことで、初めは想定していませんでした。ふりかえりレポート機能を追加したい、子供たちが回答履歴を見たいという要望が学校から出て、企業に対応していただいたという流れがございます。なので、偶発的に発生した要素ではあるんですけども、子供たちがデータを活用する機会をつくっていただいたというのは、こちらも勉強させていただいたということにつながっているようなところです。
 2点目の学習計画表については、具体的に勉強時間とか、あとは勉強した教科、こういったものを子供たちがテスト期間中に入力をするような、これも各学校のニーズによって対応していただいたカスタマイズの一部になるんですけども、そういったのがグラフで可視化して、どの教科を何時間勉強したですとか、そういったところが見えてきて、それがもしかしたら、今後、何か別の形で生かせるのではないかという学校の先生たちからの声になります。
 
【委員】  子供たちが自ら活用するというプラクティスをどんどん横展開できるといいなと思います。
 
【座長】  今の件については、先生たち、これは学習計画表のようなものは各学校の運用で結構あるもので、紙でやっていたものよりも、こっちでやったほうが便利だということに気づいた先生たちが、かつてのやり方はもういいんじゃないかとなっていったということで、体験して初めて分かることがあったということかと思います。
 
【事務局】  現状ですと、パーソナルデータストア(PDS: Personal Data Store)という仕組みが、検討俎上のままでして、まだ仕組みとしてできていないというのが、まず一つあります。
 また、学習eポータルのほうも、まだ学校設置者と学校と、それから今出てきているアクターとしては、MEXCBTですとかツール、ここのやり取りをするということで、まだ個人のほうのやり取りというのを想定している規格になっておりません。ですので、将来的におっしゃったような形のPDSという仕組みが見えてきて、それから、eポータル、もしくはLRS(Learning Record Store)という形になるかもしれないですが、そことのやり取りというのを、将来的に規定していくという方向にはなるかと思うんですけど、今のところ、まだその姿として見ているわけではありません。恐らく将来的にはPDSというアクターが登場して、PDSのやり取りというものを規定していくという想定は持っておりますけど、今現在では、検討もまだ始まってもいないという段階なんですけど、将来的にはそういった方向かとは考えております。
 
【委員】  まず、活動情報というのがどういうものに使うイメージなのかを教えてください。ICT CONNECT 21様と、デジタル庁の方もちらっとおっしゃっていたような気がしました。それが一つ目の質問でございます。
 結構、この作業は膨大になってくると思います。最初のジャーニーのところを見ていると、普通に登校したか、遅刻したか、早退したかと、割と一般的な、児童生徒がどう過ごしているかというレベルの活動をイメージしているように見えます。反面、結果情報を含めると、内容というかクオリティーまで入ってしまうので、結構バランスが悪くなるように見えるところもあります。どのような活動情報をどう使うというイメージなのかというのを教えていただければと思います。
 それとも絡むのですが、群馬県様にもし何かお答えできることがあれば教えていただきたいことがあります。今回、この取組で、結局いじめアンケートの「補充」になったという御意見だったのですが、これまでの試みに比べて、いじめが少なくなったのか、それとも早期発見につながってきたのか、23校で実施なさっていますが、量的なデータでどういう傾向になっているかというのが見えてくるかどうか、ということです。そのときに、例えば早期発見になるとすると、クラスの中でいじめられている子だけが下位の項目、「怒りっぽい」とか「元気がない」というものが出て、少し言いにくいですが、いじめているほうは快な状態になる、という分断していく傾向にあるのか、それともクラス全体が何となく雰囲気が悪くなっているのかというあたりが見えてくると、項目を新しくするという意味でのクエスチョンの雛形づくりというよりは、クエスチョンの結果の読みが深まり、その読みが普及できて、最後の「価値の付与」ということにつながってくるんじゃないかと。
 そう考えると、どんなパターンで、どういうメリットがあったかについて、もしあればお答えいただけますと、最初の話に戻ってくるのですけど、活動情報というのをどこまで踏み込むか、かなり形式的な、外形的な情報でも結構、生徒の暮らしや学校の中での雰囲気や状況の把握という意味では役に立つのか、そこで活動情報を止めても構わないのかが見えてくると思います。そのあたりの、活動情報を使うイメージとどういうデータをどう取るかというあたりの皆さんのお考えを聞ければと思いました。
 
【ICT CONNECT 21】  活動情報をどのように使うかといったところは、先生のおっしゃったとおり、非常に難しい問題でして、我々は標準化といった作業を進める観点から、例えば、どこを標準化すれば、より校務が効率化されて先生方に便利になるのかとか、そういう標準化優先度のような視点もある一方で、じゃあ、実際に我々が見ている標準化の優先度の高さというのは、本当に全体像を見た上で検討されているんだろうかと、今年度はそこの疑問がどうしてもありましたので、まずは本当に関連的なところからかもしれませんけれども、まず、全体像をどれだけ、本当に薄くてもいいので幅広く、その後に、先生もおっしゃったような、どこまで細かく見ていくのかといったところ、粒度でありますとか構造でありますとか、そういったところをどこまで掘り下げていけるのか、[A1] そういった検討を進めていって、その中からピックアップしていくように、例えば技術的に、あるいは優先度的に可能な標準化の範囲を標準化していくということに、作業としてはそうなるかと思います。
 実際にどのように活用されるかという意味では、標準の場合は技術的な要件も関わってきますので難しいところだと思うんですけれども、やはり標準化の目的であります、1次利用と2次利用と考えたときに、1次利用は比較的想定しやすいんですけれども、2次利用はまだまだ先が見えていない部分も多かったりとかしますので、その辺り、予想を見定めながら、これから先、何年間、もしかしたらなるかもしれないですけれども、少しずつ進められるものを進めていければと、まずは考えております。
 
【デジタル庁】  デジタル庁実証事業の技術規格の紹介みたいな感じになってしまうかもしれないんですけれども、今回やろうとしています活動情報といいますのは、xAPIという技術規格を使っておりまして、これは文法でいいますと、誰が何を具体的にどうやって、それがいつ、どのタイミングで行われたかと。あとは結果についてと、学習活動に特化したような取組で、例えばGIGA端末で児童生徒さんが何か打ち込んだとか、あと、一番分かりやすいのは多分MEXCBTで、この問題をどれぐらいのスピードで解いたのかみたいな、そういった技術規格の内容で、記録を蓄積していくということを考えています。
 それが蓄積されていくことで、例えば勉強ができる子と、進度があまり芳しくない子を比較したときに、どういった学習の手法がいいのかとか、授業手法がいいかというところに生かしていくような使い方ができればいいかと考えております。
 
【群馬県教育委員会】  まず、いじめアンケートにつきましては、通常、学校で月に1回程度、実施されることが多いのかと思うんですけども、Gライフログについては、基本的にもう毎日、子供たちが入力しておりますので、子供たちがSOSを出す手だての一つにはなっているかと思います。
 ただ、まだそれが量的なものでどれぐらい増えたとか、年度途中でまだそういったデータは、こちらも持っていないのが正直なところです。
 それと、自分も話していて非常に勉強なったんですけど、どうしてもいじめられている側の目線で考えていたところもございますので、例えば、いじめている側がどういう数値が出てくるのか、クラスとしてどのように出てくるのか、そういった見取り方につきましては、本当に貴重なアドバイスをいただけたと思っていますので、群馬県のこれからの宿題として、また今後、検討していきたいと思います。
 
【座長】  いろいろお取り組み始められたところを、早速私たちが御発表いただいているわけで、まだ十分な成果のところまで検証できていないところかと思いますが、今できる範囲でお答えいただいていることを感謝申し上げます。
 
【委員】  2点ございます。
 1点は、ICT CONNECT 21さんの教育データ標準に関する確認です。もう1点は学習eポータルに関する事務局への御質問です。
 ICT CONNECT 21さんへの教育データ標準の部分ですけれども、先ほどの御質問とややかぶっているところがあるので、確認だけで結構です。本当に何をどう使うかという部分について、何をという部分を、まず幅広く薄く、とにかく広く見ておこうというところで理解をしました。どう使うかは、これからの部分だとなっています。
 どう見ているかというところですけれども、多くのジャーニーマップをつくっていただきましたけれども、早退とかありましたけど、自宅での学び、自学習、ひいては病気療養や、場合によって不登校、ここに関する教育データの標準、ここも薄く広く、どう使うかは別としても、一応見ているという理解でよろしいですかという確認です。
 もう1点、学習eポータルのほうですけれども、協調領域や競争領域、ここをオープンに、公平に進めていこうという学習eポータルの部分はよく理解できました。今後も学習eポータル事業者というのは増えていくと理解をしていますが、ここへの参加条件とか規定、こういう技術の公開条件に基づいていれば誰でもいいですよということなのか、ある種、今後は公序良俗とか、貴重なデータにアクセスするわけですから、そこへの規定とか、制限といったらいけないかもしれませんが、必要になってくると思います。この辺りの状況がどうなっているのかということと、あと、既存の事業者さんがいらっしゃると思いますけれども、MEXCBTという貴重な公なデータにアクセスする権利、権限を持つということになります。そして、今回の学習eポータルの重要な機能の1つに窓口機能というのがあり、コンテンツや、そういったものを紹介するという機能がある以上、独占とか既得権益化とか、ベンダーロックインにならないかとかという、そういった規定や工夫というのが現状、どうなされているのかという2点、お伺いしたいと思います。
 
【ICT CONNECT 21】  まず、自学習や不登校などを想定に入れているかというところに関しては、入れているかいないかといいますと、入れて検討を進めております。ただ、先生の御質問の意図が、例えば公教育と民間教育の事業者との連携というものを前提にされているのであれば、今回の検討に関して、実は民間教育事業者との連携をあまり強く前提には置いていません。ここは最初に、どれだけ検討の範囲をヘッジングして、それから検討を進めていくかといったところの議論がありまして、今回に関しては、一旦公教育の中における活動情報を整理しようという形で進めております。
 ただ、当然、教育データ標準、あるいは教育データの利活用というのは2次利用と、あるいは個人のPDSへ吐き出した後に、民間事業者との連携などといったものは当然考えられるものですので、常にそこに対してどういったデータが将来的に持っていけるのか、どういったデータで連携するのかといったところは、当然議論の対象にはなってきますけれども、今回はあまり前提とはしていないということで御回答いたします。
 
【委員】  ステップとか、やはり優先事項という形での理解をしております。そのような形で理解しておりますが、例えば自学習とか自宅での学び、または今後の教育コンテンツや教育サービスというのは、どうしたって民間の力を借りなきゃいけないシーンというのが多々出てくると思います。そのために、学習eポータルなどは、その境目というものが、いずれ明確につかない場合が出てくると思いますので懸念しています。ステップということは理解しましたが、いずれにしても、民間と公教育の接点というところについては、今後も注視する必要があると思っております。
 
【事務局】  御質問ありがとうございます。御指摘の学習eポータルの今後、事業者が増えていって、ベンダーロックインであるとか、それ以外の、要は技術的要件以外のもので何らか規定して、工夫をしていく必要があるんじゃないかという御指摘なんですが、まさにそのとおりだと思っています。
 先ほど御説明した資料1-3の4ページの中で、学習eポータルに関する調査研究というのがあるんですけど、その中で、学習eポータル標準モデルに関する適合性評価の在り方というものをこちらに書いてあるんですけど、これ、何を言っているかといいますと、eポータル標準モデルの中に、技術的要件だけじゃなくて、データポータビリティー、その他、技術以外の要件で守らなければいけないものというのは規定する必要があると思っています。
 それがちゃんと守られているかどうかといったものを適合性評価と呼んでいますけども、何らかの形で、それがちゃんと当てはまるといったところを、eポータルは取り扱うと。取り扱う人はちゃんと、この適合性を満たすようにしましょうといったことは何らか必要であるかと考えておりまして、海外事例とか他分野事例も聞きながら、どのような形の適合性評価というのがあるかといったものを、ちゃんと仕組みとして取り入れていこうということを今、検討していこうと考えているところです。
 
【委員】  今後、検討していくということで理解をしましたが、現状でも特に窓口部分の機能においては、ある種の独占、または既得権益かとも思えるようなビジネスモデルのような動きというのも出かねませんので、その辺については、今からでもオープンに、公平にという観点でしっかり決めるべきではないでしょうか。そして、それをどこが管轄するのかというのも少し疑問でして、文科省がダイレクトにそこを直接的に見ていくことができるのかどうか、または、そういった中間法人のようなものが必要なのかどうか。その辺りも含めて、今後、MEXCBT、学習eポータルを大きくしていくのであれば整えていく必要があるのではないかと思っています。
 
【委員】  群馬県様、本当に貴重な取組をありがとうございました。データの集約をあえてカスタマイズさせるといったところは、先生たちが何が欲しいかというのを、あえてピックアップできる手法としてはすばらしいと思って聞かせていただきました。2点、質問がございます。
 もしかすると御発表にあったかと思われるんですが、ライセンスについてです。今、見られる、見ることができるライセンスは誰までが持っているのか。例えば先生全員なのか、保護者まであるのか、子供が全員なのかといったところ、また、編集権限を持っているライセンスは誰までが持てているのかといったところを教えていただきたいと思います。
 2点目です。今後、データを拡張していきたいとおっしゃられていたんですが、この拡張については、契約範囲内でやっていただけるのか。それとも拡張はデータを追加することに費用がかかるのか、この2点を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【群馬県教育委員会】  まず、閲覧制限については、各学校で御判断いただいております。管理職の先生は全員見られるとか、学年主任とか生徒指導の方は全員見られるとか、学年の職員は学年の生徒のものだけ見られるとか、その辺りについては、学校に御判断を委ねているという状況にあります。
 それと、編集権限については、こちらについてもカスタマイズの要望等が学校から出た場合に、直接そこは事業者のほうとやり取りをいただいておりましたので、教頭がやっていた学校もあれば、情報担当のほうで編集について相談をしていた学校もあるというような状況にあります。
 二つ目の拡張機能に係る費用等については、今年度、発生をしなかったんですけども、来年度、また横展開していく中で、精査していく中で、それについては相談しながらということにはなるのかと思います
 
【委員】  本当にデータを持つにしても見るにしてもお金がかかるということもありますので、本当に御苦労されているのではないかと拝察したところです。
 
【座長】  議題1はここまでとしたいんですが、最後、私から少し。まず、群馬県さんの御発表は、取り組み始めたところとはいえ、非常に貴重な御示唆があったかと思います。各先生方に少し委ねた部分があって、その部分から学校現場のニーズみたいなのが拾えているところもあるし、先生たちが何をしようとしたのか、あるいは、子供たちが何にメリットがあったのかみたいなことを、今のところ先生たちからしか得ていないとはいえ、見えてくるところはいろいろあったのかと。
 これ、やってみないと分からないことがいろいろある中で、今後、細かいことをいろいろ気にしなきゃいけないことは出てくるにしても、その取組をここで御公表いただいたことに対して、私は大変感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
 あと、教育データ標準の第3版については、これからも着々と公表に向けていきたいということと、もう一つ、第4版に向けてみたいな話も先ほど出ましたけども、これも決めながらやっていくしかないので、少しずつ決めて、また、デジタル庁との調整等もしながら進めていくということをぜひよろしくお願いします。
 学習eポータルの標準モデルについても、これもやりながら、バージョンをだんだん上げていくという方向しかありませんので、それで、デジタル庁とこちらも協力してやっていただくということになると思いますが、業界に随分とお願いしなきゃいけない部分がある一方で、そこが不公平にならないような形で、参入障壁がちゃんと下がったような形で、たくさんの人たちが参入できるようにしていくということに気を配りながらやっていくということは非常に重要なことだと思います。これからもそういう点に気をつけながら進めていただきたいと思います。

議事2:教育データの利活用に係る留意点について

※資料2-1「教育データの利活用にあたっての安全・安心の確保に向けた検討」について事務局、資料2-2「『教育データの利活用に係る留意事項(仮称)』(案)(教育データの利活用に係る留意事項等に関する調査研究状況報告)」についてEY新日本有限責任監査法人よりそれぞれ説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
 【座長】  留意事項が幾つか挙げられて、そして、それへの回答が、学校の先生方や教育委員会の不安を解消できるようなものにちゃんとなっているかという観点で、いろいろ今日は議論したいと思いますし、あと、そのためには読みやすさが必要でございますので、その点、正確さも大事なんだけども、むしろ現場の先生がこれを読んでくれるということを大事にして検討してまいりたいと思いますので、そういう御意見をいただければと思います。
 
【委員】  草案、おつくりいただきまして、どうもありがとうございました。2点お願いします。
 1点目は、先ほど先生方を対象にしたQ&Aというお話があって、そこから外れてしまう可能性があるので、これは内部で御検討いただきたいんですが、事業者の方、それから、生徒、保護者の立場から見た場合の項目もあっていいのではないかと思いました。この取組は、事業者の方の協力なしには、こういうデータの取扱いというのはできないので、何を気をつけなきゃいけないかということを、事業者視点で入れたらいいのではないかと個人的には考えています。
 具体的には、1ページ目の、0の2番、役割分担というお話がありますけども、そこのところで、国・地方公共団体、学校の役割分担に加えて、事業者がどういう役割をするのかということも述べてもいいと感じました。
 同じように、そのお話については、例えば2ページ目の目的のところで、児童生徒、教師、学校設置者というような、今、お示ししていただいておりますけども、そこのところに並べて、例えば事業者というのは、こういうことができる、こういうことに気をつけなきゃいけないということがあってもいいのかなと考えました。
 同じことが、生徒、保護者に関しては、例えば同意を受けることがあるので、それに、例えば答えることがありますというようなことです。一般論としては、教育データに関して、その活用方法に不安を覚えていらっしゃる保護者の方も結構多いと思います。そういった方々の不安を解消するという内容も含めてもいいのかなと思いました。
 これに関して、例えば4ページ目のところから構成案ということで、例えば2-1、(3)教育データを取得するときにはというような、今、お示しいただいているところがありますけども、ここ、実は今、これ主語が全部、先生方とか学校さんですよね、多分ね。ここのところに、事業者は一体何をしなきゃいけないんだということ、何に気をつけなきゃいけないんだということを入れてもいいのかなと思っています。
 具体的には、例えば同意を取るということを、事業者の方が独自に取るということは、今の個人情報保護法の範疇ではあり得ないわけですよね。学校から委託を受けて、その委託の内容として同意を取るというような流れになると思います。後ほど添付で、以前お示ししたスライドを出しますけども、そういったものを踏まえた中身にしてもいいのかなと思いました。
 それから、2番目ですけども、一番最後、12ページ目のところに、例えば個人識別符号のお話が書いてあります。(5)のところです。一番最後のページになります。現在、これ、学習eポータルの仕様などでは、UUIDという記号を使って個人を識別しようというお話がありますので、少し専門的になるかもしれませんけれども、UUIDのお話がここに入ってもいいのかなと思いました。
 
【座長】  特に保護者の立場とか、あるいは事業者の立場について、どうしても漏れがちになるところですけど、今の御指摘を踏まえて、組み込める範囲で組み込みたいと思いました。
 
【委員】  私からは2点、お聞きできればと思います。
 非常に分かりやすくまとめていただくという方向について、全く異論はございません。Q&Aのつくり方ですが、これについては、公立学校向けと私立学校向けで、分けて書く必要はないのですかというのが質問です。脚注のところで、行政機関、保有個人情報などを御説明いただいている箇所がありますが、こういう書き方でいいのかということです。保有個人情報を扱う分野の学校と、個人データや保有個人データを扱う私立の学校について、ルールが違うのではないかという点が気になっているところです。Q&Aの書き方を、分かりやすく書くとしても、その辺りを主体別にする必要はないのだろうかというのが質問です。
 さらに、今日の資料では、まだお作りいただいていないのかと思いましたが、開示請求、訂正停止、利用停止の請求など、その辺りのところでは、教育分野ですと成績情報の開示が、昔からよく問題になる事例ですが、教育データの分析結果として、自分がどういう評価をされているかを知りたい、また、教育データを利活用することによって新しく生じる情報を開示欲しいという請求があったときに、格別問題は出てこないのかななど、その辺りも気になっておりますので、現状のお考えをお聞かせいただければと思います。
 
【委員】  今回のガイドラインといいますか、Q&A、全体につきましては、まずは、公立学校中心のものをつくる。今後、もちろん私立学校とか、そういったことも検討していくということは、恐らく必要だと思うんですけども、我々といいますか、多分、事務局のほうから御説明いただいたほうがいいと思うんですけども、まずもって、公立学校に関するものを作っていこうということで、御指摘のとおり、公立学校の行政機関等の個人情報の条文等を中心に載せさせていただいているというところでございます。
 2点目の開示停止等につきましては、おっしゃるとおり、重要な点と理解しておりますが、今回、Q&Aに出している部分が、基本的には、関係者ヒアリングの中で、質問をさせていただいたところで、重要だというところを中心に書かせていただいておりまして、そこをQ&Aで追加でするかどうか、あるいは、本体のほうで書くかどうかというのは、検討なのかと思いました。
 
【事務局】  公立学校と私立、国立学校の適用の関係なんですけども、御指摘のように、個人情報保護法においても、公立学校と私立、国立は別条文です。そういう観点からすると、当然、国公私立全部がこの対象になるんですけども、マンパワー的なものと、来年度の個人情報保護法の地方自治体への適用といった観点と、それから全体に占める割合の公立学校の多さという観点から、まず、公立学校を中心に書かせていただく方針です。もちろん私立、国立で共通に適用があるようなものは当然入れていくんですけども、まず、公立学校中心でつくらせていただいて、その後に私立、国立もきちんと含めていくような、そういった段取りで考えております。
 
【委員】  公立学校が中心であれば、それを最初にきちんと示していただいて、徐々に私立も対象にするのであれば、その旨が分かりやすく示されることが必要かと思います。
 
【委員】  私もよく、素人といえば素人なので、これを読ませていただいて、大変よく分かりました。
 2ページ目の図のところには、五つの関係者が書いてあるんですけど、上の本文のところでは四つの関係者しかないので、保護者があってもいいんじゃないのかなと思ったことです。それが一つ目です。
 それと、教育データの中で配慮しなきゃいけないのは、個人情報保護に当たることとかプライバシーだと思っていくと、その後の具体的な活用はこれからだと思うんですけど、プライバシーに配慮しなきゃいけないとか、個人情報に配慮しなきゃいけないという場合によって扱いが変わっていくのかみたいなところに、今後、すごく興味が湧きました。
 あと、もう一つ、現在、紙が中心だと思いますけど、先生方が当たり前に集めている様々な子供の情報に関しても、これを読んでいくと、何も許可をもらっていない、当たり前のように集めていたとか、そういうことが心配になっちゃうような気がするので、そういった点については、どう考えていいのかということが何かあるといいかもしれないと思いました。
 
【座長】  これまでの教育活動と、デジタルにするときの話を、デジタルにした途端に急に厳しくなるみたいなのはよくないと思う一方で、これまでがルーズ過ぎたという考え方もあるかと思います。この辺りについての整理は、また文科省のほうでしていただくとしたいと思います。
 今日はそろそろ予定時刻になりますので、ここまでとさせていただきたいと思います。この留意事項の整理は、大変重要で、そしてインパクトのあることになると思いますので、丁寧に皆さんの御協力でまとめていければと思うところでございます。
 今日の段階で御意見をいただける方は、ぜひメール等で事務局までに、できるだけ早いタイミングで、小さいことでも結構ですので、お寄せいただければと思うところでございます。
 それでは、次回なんですけど、次回の会議日程は、委員の皆様にはもう既にお知らせしておりますが、12月19日、月曜日の13時から15時に行うということになっておりますので、また、御参集いただければと思います。
 それでは、細かい議論いろいろありましたが、たくさん意見いただきまして、ありがとうございました。本日はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
 

(以上)

お問合せ先

 総合教育政策局教育DX推進室

(総合教育政策局教育DX推進室)