教育データの利活用に関する有識者会議(第13回)議事要旨

1.日時

令和4年10月11日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

※Web会議での開催

3.議題

  1. 教育データの利活用の推進について
  2. 教育データの利活用に係る留意点について
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、藤村座長代理、梅屋委員、緒方委員、小﨑委員、佐藤委員、三部委員、白水委員、高橋委員、田村委員、戸ヶ﨑委員、中村委員、橋田委員、渡邉委員
 

文部科学省

藤江総合教育政策局長、里見官房審議官、森友社会教育振興総括官、山田修学支援・教材課長、桐生教育DX推進室長、野口教育DX推進室室長補佐
 

オブザーバー

平本 デジタル庁データ戦略統括、加納 滋賀大学教育学部教授、株式会社ウフル、EY新日本有限責任監査法人、個人情報保護委員会事務局、一般財団法人 全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人 ICT CONNECT 21、一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)
 

5.議事要旨

議事1.教育データの利活用の推進について

※資料1-1「デジタル庁提出資料(政府相互運用性フレームワーク(GIF)について)」について平本デジタル庁データ戦略統括、資料1-2「文部科学省WEB調査システム(EduSurvey)について」について事務局よりそれぞれ説明を行い、委員から意見、質問が出された。
 
(意見)
 
【座長代理】  私の方から、まずGIFで1点、EduSurveyの方で2点、少し御質問したいと思います。
 まず、GIF、大変すばらしい仕組みをつくっていただいて、本当にありがとうございました。
 私は、この教育データの利活用の核になるものだなと思っていますが、先ほど、字が小さくて、ガイドブックに教育分野版があるかどうか見えなかったものですから、その辺の予定があるかどうか、少し御教示いただければなという点を1点御質問したいと思います。
 それから、EduSurveyについては、大変よく作り込まれていて、非常に便利なものができたなということで喜んでおります。私も以前から調査企画課の方でこういうものが必要だよねという話はしていましたので、とうとう実現したと喜んでおります。
 そこで、EduSurveyは、基本的に文部科学省さんの調査を行うということで設計されているかなと思うんですが、今後の展開としてでも結構なんですけれども、実は同じように、各自治体、学校設置者が、各種調査を行っていて、調査企画課の過去の委員会では、ほぼ同じような内容を設置者ごととか、各都道府県教委、市町村教委から来たりということで、重複しているような点も問題になっていたんです。その辺、うまく整理できた暁には、自治体と学校設置者等も利用可能になるのかどうかというのが1点。
 また、今、お話ししたような、項目名を参照して重複が起こらないようなことがEduSurveyの現状の機能で可能かどうかということを少しお聞きしたいなと思いました。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【デジタル庁】  教育分野のガイドがあるかというお話なんですけれども、まだございません。
 それはなぜかというと、まだ標準のデータを作っているところで、主体情報などをやっているところでございまして、まだ教材や学習履歴のところができておりませんので、そういうものができたところで、また、教育の専門家の皆様方と御相談しながら、作成を検討させていただければと思います。
 
【事務局】  国の調査と、県・市の調査の重複、それから、同じシステムでできないかといったお問合せだったと思います。
 我々の方でも、今、検討はしております。しかし、今、差し当たり国費で投入してやっている調査として、まず、国調査を対象にして、EduSurveyで実施しているというのが現状になっています。
 ただ、おっしゃるように、本来的には県や市町村も同じシステムで、同じような使い勝手でできるといいのではないかといった議論は当然あり得るので、今後、どういったやり方があるのかということは、議論はしていきたいなと思っております。
 ただ、現状、やはり国費を投入して調査としてやっているのがEduSurveyとなっているので、今、国の調査に限定されているというのが現状となっております。
 もう1点、項目名なんですけれども、項目名は、入れる際に事前に照会する、要は重複があるかどうかということをチェックする機能はないのですが、これまで調査企画課の事業でも、少なくとも文部科学省内の業務調査としてやっている項目というのは、重複がないのはこれまでも確認はされているので、同じことは聞いていないんだけれども、今後、新たな業務調査というのは、年度途中で発生していくものなので、そのときに同じようなことを聞かないといったことを、同じシステムだからできるということは、恐らくあるはずなので、今後、設計は考えていきたいなと考えております。
 
【委員】  GIFと、もう一つのEduSurveyのことで、それぞれ一つずつ意見を述べさせていただけたらと思います。
 まず、GIFのことですが、こうした仕組みというのは、資料にもありますように、インターオペラビリティを確保する上でも大変重要なことだと思います。他方で、実は私もそうでしたが、こうした取組をデジタル庁が進められていることについては、恐らく教育関係者で知っている者はほとんどいないのではないかと思います。こうした大変すばらしい挑戦が知られていないこと自体が大変もったいないので、ぜひ様々な教育関係の場等でも、積極的に周知していただきたいと思いました。
 また、いわゆる準公共分野として、教育と医療の他分野が連携する際に、それぞれが整合性のない実装データモデルを採用してしまっていては、当然、相互運用性というものが、絵に描いた餅になってしまいます。デジタル庁で整備したコア語彙やコアデータモデルについて、ぜひ文部科学省と関係省庁ともしっかり連携を図っていただいて、ユーザー目線から見ても、全体として使いやすいデータレイアウトが整備されるよう、デジタル庁の方々には、ぜひ今後も司令塔としての役割を大いに頑張っていただければと思っております。
 さらに、これはデジタル庁なのか、文部科学省なのか、どちらなのかは分かりませんが、教育データの標準化について、昨年の第2版以降特段の動きがなく、まだ内容情報や活動情報については、当然、これからであると認識しています。早速、本市でもデジタル庁の実証事業等に採択され、いわゆる教育総合データベースの取組を進めているわけです。しかし、このデータの標準化が進んでいないことから、正直申し上げて、作業が非常に難航しています。せめて法令や国の調査等で収集することになっているデータ項目については、早急に標準化を進めていただかないと、自治体間をつなぐデータの連携ついては、夢のまた夢になってしまうという危惧がありますので、ぜひ御検討いただけるとありがたいです。
 また、それらと同時並行して、学習支援システムや校務支援システムなどが標準的に備えておくべき機能、また、ほかのシステムとの連携の可否についても、ベンダーを巻き込みながら、ぜひ検討を進めていただきたいです。というのは、ベンダーが違うと、当然、連携できるサービスも違ってきたり、基本的な機能に差異が生じてしまったりとなる状況は、学校や教育委員会にとって、今後、教育データの利活用を進める上で、環境整備の妨げになってしまうのではないかと危惧していますので、この点もぜひお願いできればと思います。
 次に、EduSurveyのことについてです。こうした取組は、デジタル化のメリットを学校現場や教育委員会、また、文部科学省、それぞれが感じられるということにつながり、ある意味、負担軽減の効果もあるので、極めて重要なことだと思っています。何よりも、あまりこういった観点での御指摘はありませんでしたが、私が考える1番のメリットは何かというと、教育委員会のこういう調査は、教育委員会のコントロールやバイアスがどうしてもかかるという傾向があるので、学校現場の声がダイレクトに文部科学省に伝わるというメリットは大きいと思っています。
 他方で、4ページの円グラフの中にありますように、「負担が増えた」や「変わらない」と感じている自治体については、こういうネガティブな回答をした理由を、具体的にしっかりと聞き取って改善していかないと、せっかくのこういういい取組も、なかなか波及していくことが今後も難しくなってしまうと感じました。また、調査の必要性を学校現場や教育委員会に少しでも伝えていくために、何の調査なのか、分析してどういうことが分かったのかなども、併せて、できるだけ迅速にフィードバックしていくという仕組みも必要だと感じました。
 
【事務局】  2点、お話があったかと思うんですけれども、最初、GIFに関連した教育データの標準の話がありましたので、少し現状をお話ししたいと思います。
 教育データ標準の第3版を今年中に出しますといった話は進めておりまして、中でも活動情報をきちんと検討して、その枠組みと具体的な姿をお示しできるように、今、文部科学省の委託事業の中で検討を始めております。
 この中で、学習のログもeポータルからxAPI形式で吐き出す場合に、どういった考え方で、どのようにやっていくのかという議論を進めております。これは、また近々、こちらの会議でも諮らせていただいて、御議論を進めさせていただければと思いますが、現状、進めているところはありますというお話をさせていただきたいのが1点です。
 もう1点、EduSurveyのお話ですけれども、EduSurveyのアンケートでもあった部分の原因の特定と解明というのは、やはりおっしゃるように非常に大事なことですので、その部分は我々もしていきたいと思いました。、また、フィードバックのお話についても、結局、EduSurveyを利用して楽になったなだけではなくて、フィードバックして、各学校や自治体での政策立案なり、取組の改善につながることが我々の一番の目的ですので、そちらのループを早く回すといったことは、御指摘のとおり重要だなと思いました。
 
【委員】  GIFとEduSurvey、それぞれ二つずつ、大きな話と小さな話です。
 まず、GIFですけれども、これはちょうど自治体システム標準化の作業が進んでいて、先般、いろいろな仕様書が公開されたところです。あの中身を見ていますと、私は健康管理ぐらいしか見ていないんですけれども、あの中身でGIFを前提にしたような具体的なスキーマが、あまり網羅的にはできていないような気がしたので、少し教育から離れますけれども、今後、どのような予定で、先ほどのGIFと自治体システムの標準化の話が連携していくのか、それとも関係ないかということをお伺いしたいというのが一つです。
 それから、細かい話としては、GIFで自前のスキーマを定義しようと思ったときに、こういう意味のクラスなりプロパティなりがあったら検索したいということが生ずると思うんです。そのときのUI、ユーザー・インターフェースはどうなっているのか。もし何か具体的なものがあればお見せいただけるとありがたいと思います。
 それから、EduSurveyですけれども、これはさっきの自治体システムとも関連しますが、EduSurveyのシステムは、さっきも少し議論にあったように、いろいろな教育委員会や自治体でも使ってもらうために、これも少し将来の話になりますが、ガバメントクラウドに置いておいて、誰でも簡単に使えるようにするといいのではないかなと考えました。
 そういうことを中心として、さっきのGIFとも関係しますけれども、パブリックセクターがハブになって、プライベートセクターにもそのデータの標準化を広めていくという方向になるといいなと感じています。
 それから、もう一つ、細かい話ですけれども、EduSurveyを使って回答するデモをさっきお見せいただいたんですが、あのときに学校を選んで、メアドを入れてログインしてというシークエンスだったように見えたんです。そのメアドの本人が、その学校に関して答える権限を持っているかどうかみたいな認証はあるんでしょうかという、これは純粋な質問です。
 
【デジタル庁】  自治体システム標準化との関係性でございますけれども、データのパーツの部分については、ある程度標準化というのが採用されていて、我々のノウハウを使ってもらっているんですけれども、正直言って、データモデルの全体がきちんと反映されているかというと、並行して作業しているところがありまして、そのところが完全に反映されているわけではないですけれども、今後、進めていく中で、そういうところはすり合わせていきたいなと思っているところでございます。
 あとは、クラスなどを検索する仕組みということなんですけれども、本来は、ここでデータディクショナリーなどを作りたいなと思っているんですが、我々もまだまだそこまで到達していないところでございます。今、マークダウンでは出しているんですけれども、そういうもので強引に全文検索するしかないんですが、そこについては、徐々にそういう環境も整備していきたいと思っておりますので、もう少しお待ちいただければと思っております。
 
【事務局】  1点目のお話なんですけれども、本来的には、この調査システム全体が国、県、市町村で、分野も問わず、かなりユニバーサルな仕組みであると一番いいんだろうなと我々も思っていたんです。
 ただ、そうは言っても、省庁ごと、あるいは調査も、基幹調査、要は統計調査のようなものは、また別の仕組みでやっておりまして、業務調査だけを各課ごとにばらばらとやっていた形になっていたので、統合的な、将来的な姿を描いていくことも大事なんですけれども、差し当たり、できるところから手をつけていく、そういった観点から、文部科学省の各教育関係の業務調査に今回、手をつけております。
 将来的には、先ほどお話にありましたように、国、県、市町村で業務調査というのも整理していく必要があるでしょうし、分野が違っても、調査はどうしていったらいいかといった議論は、やはり必要であるかなと考えております。
 2点目の回答の本人かどうかという部分は、御指摘のとおり、ネット上で入れているだけなので、今、本当に本人がやっているかどうかという点を確認するという仕組みがない状態です。
 ただ、仕組みとしましては、そもそもこれを知る人が、国から都道府県、市町村、学校へという通知の中でしか知ることのできない情報なので、一般の分からない第三者が入ってくるということがない前提で、今、こちらを設計しているといった段階になっております。
 
【委員】  よその学校のことを答えてしまうというのは、すぐにばれるからやらないだろうという考え方ですね。
 
【事務局】  はい。
 
【委員】  1番目の御発表のGIFについてなんですけれども、調べていたら自己解決してしまったので、確認になってしまうんですけれども、スライドの3枚目のフレームワークの一番下にあります文字データです。教育の分野ですと、よく外字はどう扱うんだという問題が議論されますけれども、これはX0213に統一するという認識でよろしかったでしょうかという確認です。
 
【デジタル庁】  御指摘のとおりで、JISのX0213で統一していこうという方針で考えております。
 
【座長】  私から一言申し上げておきます。
 デジタル庁の平本統括の御説明からは、GIFということで、政府全体でデータのフレームワークを整備されているということです。国によっては、かなり行政が主導でこういうことをやってきて、民間が後からついていったような国もありますが、我が国はどちらかというと行政の情報化が、基礎自治体数が多いこともあって、どちらかというと民間より後ろになってしまっています。今、こうやって一生懸命標準化していても、もう遅いよという人もいる中で、そうはいっても、いずれ相互乗り入れをしていくためには、こういうデータの標準化は極めて重要なことです。教育のデータについても、こういう一般的なデータの一部が教育のデータだとしておかないと、ほかの教育関係以外のデータとのクロスができないということになりますので、そういう意味では、今日、平本さんに御紹介いただいた政府の動きと、文部科学省、私どもの専門家会議で議論している教育データの標準化というものの方向性が同じであるようにしておくことの重要さを改めて感じました。
 もう一つ、EduSurveyについては、業務改善、あるいは働き方改革等にもつながることです。例えば私たち研究者は科研費の申請などをするときも、昔は全部ファイル添付みたいなやり方だったり、その前は紙でやっていたわけですけれども、今はもうクラウドで申請ですし、審査もクラウドでやりますし、それによって随分とやっぱり軽減されたなと思います。何といってもリアルタイムに可視化されるいろいろなデータが、判断を早くすることにつながると思います。そういう経験からいっても、こういうEduSurveyのようなものがあることで、途中途中でいろいろなことが判断できるのかなと思います。
 文部科学省においては、さらに取組を加速していただきたいと思いますし、こういう基盤整備は、都道府県でも市町村でも行っていく必要があるし、かといって、これを全部独自にやると、また標準化が大変になりますので、まず、国がやってみせるという動きが非常に重要なのかなと思って聞いておりました。ありがとうございました。

 

議事2:教育データの利活用に係る留意点について

※資料2-1「滋賀大学加納教授提出資料(ELSI(倫理的・法的・社会的課題)について)」について加納滋賀大学教育学部教授、資料2-2「教育データの利活用にあたっての安全・安心の確保に向けた検討」について事務局、資料2-3「Q&A集のQ項目(案) (教育データの利活用に係る留意事項等に関する調査研究状況報告)」についてEY新日本有限責任監査法人よりそれぞれ説明を行い、委員から意見が出された。
 
(意見)
 
【委員】  私もEY様と一緒に協力して、関係者ヒアリングを全件参加させていただきました。皆さん、御協力ありがとうございました。
 先ほど、EY様からお話があったとおり、やはり皆様の質問が非常に共通しているなということと、どのように利活用すればいいのかということに不安を覚えて、少し慎重になり過ぎている部分もあるのではないかなというところも散見されたところです。
 例えば、利用目的の明示だけでいいところを、同意も取っているのではないかなと感じられるところもありました。
 まさに、このQ&Aというのは、学校の先生方が見て理解できる内容ということですから、あまり専門的にならず、今回、最初に我々でQを作ったところ、結構マニアックなQもありましたので、そういったところをより敷衍した形に直した形で、今回、御提案させていただいております。ここに出ている問というのは、学校の先生が共通する悩みなのかなと思っております。
 このQにつきましては、基本的には公立学校に対するQを前提とはしておりますけれども、また別に私立学校の方も、このQに当てはめて回答を作っていくのかなと思っております。
 皆さん御存じのとおり、個人情報保護法は、行政分野と民間分野だと、かなり取扱いが違うところがありますので、特に行政分野につきましては、令和5年4月に個人情報保護法に地方公共団体の個人情報保護条例が一元化していく中で、全く新しい取扱いだと思いますので、そういったところについても、不安感を撤廃できるような内容になればなと思っております。
 そういった意味で、ここに書いているQというのは、極めてシンプルなQが多くて、まず、第1回の取扱いとしては、ここに書いているような割とシンプルなものでやっていくべきではないかなと思っております。
 
【委員】  まず、資料2-1の4ページの事例ですが、非常にリアルで衝撃的でもあると思いました。背景としては、データというのは、そもそも冷たくて温かみのないものであるとか、また、課題そのものや、課題のある人をあぶり出すためだけに使われるというような、何か漠とした不安感や懸念がまだまだあるのではないかと思っています。この点は、本市においても大変苦労しておりまして、毎年、全部の学校で行われる学校訪問等の場で、目的を持ってデータを収集・活用するということや、課題を指摘するだけではなく、褒めるためにデータを活用すること、データは学力調査等のテストの結果だけではなく、様々な量的・質的なデータが存在していること、また、データの利活用の文化を醸成していくためには、学校管理職等のキーパーソンが何と言っても必要であるということなどを強調しながら伝えているというところです。
 しかし、そうは言っても、この前の調査では、残念ながら学校現場ではICTの活用を1日1回以上使用している学校はまだ大多数ではなく、ましてや、このデータの利活用となると、まだ芽さえも生まれていない段階であるというのが正直なところです。繰り返しになりますが、この辺は関係省庁一体となって、今後、周知や情報発信に努めていただけるとありがたいなと感じました。
 次に、資料2-2の方ですが、こちらも先ほど述べましたように、本市ではデジタル庁の実証事業において、子供たちのSOSのデータアラートによる早期発見や学校現場の継続的なフィードバックの提供などを目的にして、教育総合データベースの構築を進めています。このデータベースの構築運用に当たっては、学校はもちろん、住民等に対しても、「何のためのデータ連携なのか」などについての考え方を説明し、理解を得る必要性を強く感じています。また、今般、デジタル庁からも実証事業の公募に当たって、「データの利活用に係る倫理的な課題について検討する体制を可能な限り整備すること」を求められておりますことから、本年7月に本市でも開催した、教育政策シンクタンクのアドバイザリーボードにおいて、ここの委員でもあります三部先生からも、安全管理措置や、また研究機関における2次利用等について、何らかのガイドラインが必要ではないかという御意見をいただきました。そこで、これはもしお時間があったらということなのですが、国としても、このQ&Aは学校現場への落とし込みという点では大変よいと思いますが、いきなり各論に入る前に、総論としてのガイドラインの存在も必要なのではないかと思っています。もしお時間ありましたら、回答していただけるとありがたいです。
 いずれにしても、本市においても、倫理面での配慮も含め、教育データの利活用に関するガイドライン、こちら仮称ですが、今後、策定する予定です。もし機会があれば、この会議でも資料提供をして、皆さん方の御指導をいただけたらなと思っております。
 
【委員】  まず、Q&Aの方なんですけれども、1点、事務局様の方に質問したいと思います。
 事前にQの一覧を拝見して、こちらからも抜けているようなものをお送りしようと思ったんですが、それぞれのQの抽象度が高うございましたので、現場などで集めてきた具体的なQが抽象度の高いQに包含されているなと思いました。ですので、この抽象度のままのQで行くかどうか。それとも、2つ目のパターンとして、抽象度は高いのですが、問いが大きくなっていますので、例えば1-1-2の「教育データ利活用にどういうメリットがあるか」といった大きい問いがございますので、Aのところでかなり具体的に書いていくのかどうか。そのQ&Aの方針について教えていただきたく存じます。
 例えば、今日、加納先生がお出しになったような資料は、かなりエッジの効いた具体的な質問ですけれども、こういうものを照らし合わせたときに、このQ&AのQとして立ってくるようなものなのか、これはAの中で答えるのか、それともこれを包含したような抽象度が高い問に含めていくかという辺りを教えてもらえればと思います。
 加納先生の方については、「こういう理解でよろしいでしょうか」という整理のために一つ質問させてください。
 基本的には、「原理」、「準則」、「文化的背景」の全部で22項目と、そこに活用の萌芽性を掛け合わせて分類することによって、101の論点を整理したと。それで、この101の論点について、活用時か、アルゴリズムか、取得時か、それから、EdTech導入前からあったか、導入後に起きた課題かというのをコーディングなさったと理解しました。
 先ほど、ざっと数を数えてみますと、101あるうちの80がEdTech導入後に生まれてきている課題だという意味では、EdTechの導入が生んでいる課題が多いのだなと思いました。さらに、どのタイミングで対処していくかというのが、アルゴリズムそのものよりは圧倒的にデータ活用時が101件中83件と多くありましたので、やはりその解決というのを社会的に考えていくしかないという示唆を強く与える101の論点の整理かなと感じました。そのような示唆の受け止め方でよろしいでしょうか。
 
【委員】  Q&Aについて少しコメントさせてください。
 今のコメントと大変似ているんですが、粒度というか、粒の大きさに関してです。
 私は、全国いろいろな学校を回っていて、特にGIGAスクール関係ですけれども、刻々と考え方が変わっていっている。慣れとともに変わっていく地域や、あまり活用が進んでおらず、慣れないので、非常に考えが古いいままの地域など、非常に大きな差を感じております。
 したがいまして、今あるような大きな方針で、大きく皆さんの考えを調整して、桁をそろえていくような段階なのではないか。こういった問題提起そのものからやっていかなければいけないのではないのかということを感じております。
 そういった意味では、むしろこのQ&Aがどうして必要なのかと、そのぐらい大きな話を、大きな意味や価値みたいなところから説明していかなければいけないのかなと思っております。
 項目のうち、僕はこの1-1、2-1、2-2みたいな項目がだんだん明らかになってきていることがすごく大きくて、こういう項目が明らかになっていくと、だんだん学習指導要領Q&Aなども、こんな感じでだんだん項目が増えていったりしていますので、非常にこの項目もよくできているのではないかなと感じております。
 ただ、1点だけ、「パート3(個人情報保護法関係)」というところと、教育データというところの関連の説明が少しあるといいかなと。つまり、教育データは全て個人情報ですかとか、その辺の大前提が抜けていて、いきなり個人情報だけ特別扱いされているような気がするので、個人情報と教育データの関係、項目としてはいろいろ細かく書かれているんですけれども、それぐらい大ざっぱな1、2、3というか、2と3の関係というか、そういうものがあるといいかなと思いました。
 
【座長代理】  私の方からは、実は、学校現場のことを考える場合と、恐らく教育委員会さんと、この教育データの利活用を進める立場を考えるという2つの視点が要るのかなと思って拝見しておりました。
 ファーストステップとしてのQ&Aは大変よくできていて、問題は、この具体をどこまで落とせるかということだと思っております。先ほど委員がおっしゃったところまで落とし込むことをぜひお願いしたいというのが1点目でございます。
 2点目は、アジャイル的にデータの扱いの問題を解決していくとしたら、ファーストステップはこのQ&Aでいいと思います。
 次に必要なのは、教育データの利活用に関しては、教育情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインというものも、先んじて作りました。そのおかげで、二つの役割を果たせたと思っています。
 一つは、あるべき姿、目指すべき姿を示していくということと、もう一つは、これに準拠していれば安心して進めていいですよと、自治体が後押しするという二つの側面があったかと思います。
 今、実は、いろいろな自治体で教育データの利活用、そして、まさに萌芽的な研究も含めて助言していると、これは訴えられるのではないか、保護者からクレームがつくのではないかと恐れて足踏みしているところがたくさんあります。そういった意味では、Q&Aの次のステップで、ぜひ教育データの利活用に関するガイドラインをつくっていただくことが本当に必要ではないかなと思いましたので、私からも付け加えさせていただきました。
 
【委員】  本日、私も、データのダッシュボードを作っている上で、非常に学び多き時間を過ごさせていただいております。1点、質問と、1点、感想となります。
 一つ目は、EduSurveyについては、私もなかなか理解が追いつかず、よくよく話を聞いているところなんですが、重複して聞いてしまったら申し訳ございません。
 まず、調査項目をデータとして一つ結果を出した後に、どうしても自治体や県などは、独自の調査をしたがるという傾向がありまして、自治体は、その独自調査をまた集約しなくてはいけないという、本当に効率的にならない状況が続いているんですけれども、例えば、EduSurveyの内容を2次利用する、データを2次活用するときには、例えば、同意は要らないのかどうか、できるのかどうかといったところが伺えたらなと思っております。
 また、オプトアウトという考え方が出てきているんですが、これはシステム上、可能なのかということを伺えたらと思っております。
 もう一つ、感想としましては、先ほどEdTechというキーワードの中で、関連があるかどうか分からないんですが、現在、アプリケーションがデータを集約していくという動きも聞こえてくるところです。そうなってくると、非常に多様なアプリケーションでデータを利活用していこうという動きがちらほら見えてくるところになると、自治体としてはどこに柱を置いてデータを集約していったらいいのか、非常に揺れ動く時代が来るのではないかなということを思いながら聞かせていただきました。
 
【滋賀大学加納教授】  活用時の課題が多い。つまり、EdTechのテクノロジー自体は、割と汎用性が高いテクノロジーと言ったらいいでしょうか。ほかのAI分野などでも使われているようなテクノロジーが教育分野に適用されているという形でして、テクノロジー自体に関する論点というのは、それほど多くないなと感じています。
 僕自身もアルゴリズムを組んで作っているところですけれども、開発者としても同じような感触を持っていまして、むしろこれを子供たち、特に13歳未満を対象にするとなってくると、アメリカの方でも特別な法律があるんですけれども、そういった小・中学生ぐらい、特に小学生対象になってくると、気になることが増えてくるように思います。
 個人情報保護法に関しても、特に子供についてという形でもなかったりしますので、そういった観点でも、子供に対して活用していくという観点が、EdTechの中では非常に大きな活用時の課題になってくると感じています。
 EdTech自体は、非常に豊かなサービスを提供するもので、教育DXや、教育データの利活用、さらに個別最適化をしていく上では、非常に欠かせないツールであります。それを、より適切に使っていくステアリングやナビゲーションシステムとして、これらの論点がある種のガイドラインになるのではないかということを期待して作っています。我々もプロジェクトの中でガイドラインを作ろうという話が出ていましたので、今回、ガイドラインに踏み込んだ方がいいのではないかという御意見に対しては、我々もぜひ貢献していきたいなと思っているところです。
 全員が全員、きちんとEdTechや教育データを活用していただける先生方であれば問題は起こらないということは、常々感じているところです。特に褒めるために、教育的に教育データを使うというのが本来であるべきだと思うのですが、そうは言っても、そうではない考えが出てきたときに、歯止めが利かないということではまずいとも思いますので、そういったときに適切なガイドができるようなガイドラインというものは、どうしても必要になろうかと思っています。
 途中で紹介させていただいたのですが、企業によるボトムアップのPledgeという仕組みなんですけれども、こういったものが民間団体自体もボトムアップに考えていくということ、つまり、現場だけではなくて、行政だけではなくて、民間事業者自体もそういったものを考えていき、それに署名する。例えば、今回のQ&Aであれば、新たな学習ソフトウエアを導入するとき、どんなところに気をつければいいですかというところの1つに、Pledgeに宣言しているかどうかを注意してくださいと言えるようになれば、非常に学校の先生にとってもフレンドリーになると感じています。
 これは、行政だけの問題ではなくて、サービスプロバイダー自体も、ELSIについて考えていくべき段階なのではないかということを感じています。
 ほかの先生方もおっしゃっていましたが、僕としては総論のところが非常に重要だと感じています。なぜ教育のために教育データの利活用が必要なのか。教育データ利活用のためのQ&Aとなると、何のためにやっているのかにこたえることも重要です。先生方が忙しい中で、「やれ」と言われてQ&Aを見てやるということはできるかもしれませんが、それが自分たちの教育にとって、本当に意味のあることなんだというような、1-1の(2)はかなり大きな問だという御指摘がありましたが、そういったところに、より答えていければなと思っています。
 いずれにせよ、アジャイルにされていくことだと思いますので、できるところからやっていくという形で進められればありがたいなと思いました。ありがとうございました。
 
【事務局】  まず、1点目、ガイドラインの件です。今日お配りした資料2-2の12ページに第9回資料ということで、一度お出ししていますが、今回のQ&A集は、基本的に2部構成にしていまして、1部は総論的なポイント、2部がQ&Aとなっております。この総論部分で、何らかのポイントを書いていくことになるんですが、恐らく、ここが何をもってガイドラインというかにもよりますけれども、一般論としての留意事項としてどういったことが必要なのかということは、今回挙がっている論点を全て書けるかどうかはともかくとしまして、総論として書く予定です。その後、2部として、個別具体的な当てはめや、よくある質問ということでQ&Aという立てつけにしようかと考えております。
 今回は、そのうちのQ&AのQを御覧いただきたいということで、本来は総論がちゃんとあって、それを示した上でQ&Aというのが筋かと思うんですけれども、Q&Aもかなり時間がかかりそうなので、まずQ&AのうちのQということで、今回、紹介させていただいております。
 ガイドラインという名称かどうかはともかく、総論として留意事項をお示しするといったことは、当然、やっていきたいなと考えておりますので、そこの具体的な内容として何が盛り込まれて、どのようにやっていくのかといった点は、また、この会議において、議論の対象とさせていただければと思います。
 2点目で、Qの抽象度なんですけれども、これまで我々がヒアリング等で集めてきたもののうち、共通部分を抽出するといった形になるというのが、今回のお示しの仕方です。
 このQの下に、例えば、具体的な事例として、同じことを違う場面で聞いているといったことを括弧で加えていくのが分かりやすいのか、それとも、このQをさらにブレークダウンした方が分かりやすいのかといったことは、また今後、検討させていただければと思います。そのままの生のQですと、かえってたどり着くのが大変かなと思いまして、要は、何を聞きたいのかといった入り口の部分、特に前提知識がない自治体さん、学校さんでも分かるような形で、入り口が広い問を、まず、今回は立ててみようということで、この方針にしていますけれども、立て方の粒度は、また検討させていただければと思います。
 最後、EduSurveyにおいて使っている調査の情報の2次利用に関するお伺いだったと思います。
 こちらは、基本的に調査を実施する各担当課の取決めによっております。
 これまでの使われ方ですと、例えば、今日お示しした資料の最初の事例では、副教材の冊数を聞いているんですけれども、これは、恐らく、聞いた調査だけではなくて、ほかにも転用が可能な形の数なので、こういった形のやり方であれば、自治体において取扱いということも可能となっております。
 なお、調査によっては、公表の取扱いは、統計法の準用も受けるといったところもあって、この業務調査というのは、かなりいろいろな調査のタイプがあるので、統一的にこういった取扱いだということはやっていないのですけれども、使い方や使用用途、やりようによっては、2次転用のような形で自治体や学校でお使いいただくといったことも可能です。
 その辺りは、我々の方でももう少し整理してお伝えしたり、こういう部分は使えますよといった形のやり方は、確かにあるのかなと思って伺っておりました。ありがとうございます。
 
【座長】  ありがとうございました。
 お時間が来ておりますので、まとめとさせていただきますが、今日、まず、加納先生にはお忙しいところ、私どものこの会議で丁寧に御発表いただきまして、ありがとうございます。大変考えさせられる内容でございまして、大変参考になりました。本当にありがとうございます。
 Q&AのQのリストを作っていくに当たっては、委員の皆様方、とりわけ現場サイドの先生方の御協力もさらにいただきながら、文部科学省で、引き続き、留意事項の整理を続けていただければと思うところです。
 本日はここまでとなりますが、まだ言い足りないことがありましたら、事務局にメール等でお知らせいただければと思います。
 特にQの整理の仕方、抽象度の話もありましたけれども、御意見をいただければ幸いでございます。
 次回、第14回ですが、委員の皆様には先週お知らせしておりますとおり、11月14日月曜日の14時から16時となっております。本日と同じ時間となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 時間を超過して大変申し訳ございませんでした。本日はここまでといたします。どうもありがとうございました。
 

(以上)

お問合せ先

 総合教育政策局教育DX推進室

(総合教育政策局教育DX推進室)