教育データの利活用に関する有識者会議(第11回)議事要旨

1.日時

令和4年8月5日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

※Web会議での開催

3.議題

  1. 教育データの利活用の推進について
  2. 教育データの利活用に係る留意点について
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、梅屋委員、緒方委員、小﨑委員、佐藤委員、三部委員、白水委員、高橋委員、田村委員、中村委員、橋田委員、戸ヶ﨑委員、石井委員、神内委員、渡邉委員

文部科学省

藤原総合教育政策局長、里見大臣官房審議官(総合教育政策局担当)、桐生教育DX推進室長、野口教育DX推進室室長補佐

オブザーバー

越塚東京大学大学院情報学環教授、木田鹿児島市立学校推進センター所長、丹羽デジタル庁統括官参事官付参事官補佐、EY新日本有限責任監査法人、個人情報保護委員会事務局、一般社団法人 ICT CONNECT 21、一般財団法人 全国地域情報化推進協会(APPLIC)、一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)

5.議事要旨

議事1.教育データの利活用の推進について

※資料1-1「鹿児島市の取組と学習eポータルの活用と可能性」について鹿児島市立学校ICT推進センター 木田所長、資料1-2「学習・教育データの活用について」について東京大学大学院情報学環 越塚教授、資料1-3「教育データの利活用の推進に関する報告:海外のEdTechガイドブックおよびエビデンスサイトの示唆から」について国立教育政策研究所初等中等教育研究部 白水総括研究官、資料1-4「こどもに関する情報・データ連携について」についてデジタル庁よりそれぞれ説明を行い、委員から意見が出された。
 
(意見)
【委員】  2点質問させていただきます。1点目、鹿児島市の木田先生から御紹介をいただいた先進的な取組、ありがとうございました。スライドの20枚目ですが、保護者にアクセス状況を提示する取組について御紹介いただきました。これについて、どれぐらいの頻度で保護者からアクセスいただいているのか、また、こういう情報が見たいという要望があるのか、ございましたら御教授ください。
 2点目、東京大学の越塚先生ありがとうございました。スライドの48枚目で、データ共有ガイドライン、あるいは匿名加工ガイドラインというものを御紹介いただいているのですが、もし公開が可能であれば、御教示いただければと思います。
以上、2点よろしくお願いいたします。
 
【鹿児島市立学校ICT推進センター 木田所長】  実はこの取組、始まって数か月とお話し申し上げたと思うのですが、夏休みの端末の持ち帰り等も本格的に始まったのが今回からということで、保護者の声という部分につきましては、まだ上がってきていないというところでございます。ただ、先行的に始めた学校においては、アンケートから、子供がどれだけ頑張っているかが非常に見えるようになったということで、家庭での会話が増えたというような声をいただいております。どのぐらいの頻度というのはまだつかんでないところなので、データがまとまりましたら何かの機会にご紹介できればと思っております。
 
【東京大学大学院情報学環 越塚教授】  御質問ありがとうございます。48ページ目のデータのワーキンググループでの、ディスカッションのテーマでとして少し挙げさせていただいているものなので、議論の対象ではあるのですが、まだ、ガイドラインとして取りまとめる段階のところまでの議論は進んでおりませんので、御関心を持っていただいて大変ありがたく思いますが、まだお出しできるようなガイドラインはありません。
 
【委員】  まず、資料1-1、資料1-3につきまして、大変御示唆に富む事例の紹介や、データ利活用推進に係る非常に貴重な御知見をいただき、大変勉強になり感謝申し上げます。これらを踏まえた本質的な好事例のさらなる創出が望まれると思いました。
 また、データ利活用の取組を、全国の学校現場等に広めていくという点では、点の取組はだんだん出来つつありますが、なかなか線の取組にまではつながっていっていないという現状があります。つまり、本市もそうですが、単独で様々な取組を進めても、なかなかそれが都道府県と市区町村、また市区町村間とのつながりや一貫性がなく進められているということです。その原因を考えていくと、やはりデータ利活用の有用性に関する共通理解がないばかりか、データというと、冷たいもの、危ないものといった意識があって、データ利活用推進の土壌形成が進んでいないからではないかと思っています。
 この問題を解決するための一つの手だてとしては、都道府県にイニシアチブを取ってもらって、縦と横のつながりがある好事例を創出すること、そこに研究者の方々に積極的に加わっていただきながら、より本質的な実践研究を進めることが大事だと思います。
 次に、資料1-4に関してです。本市でも資料1-4で紹介があったデジタル庁の実証実験に取り組んでおりまして、先月にも、本日ここにいらっしゃる三部先生をはじめとして、各分野の著名な有識者の方々にデータ利活用について議論していただく「教育シンクタンク・アドバイザリーボード」を開催しました。国、地方自治体、教育関係者、民間事業、民間企業など、全国各地から、想像以上に多くの方々の傍聴があったわけですが、これでもまだまだごく一部だというふうに考えております。そこで、これまでのフェイスブック等に加えて、クリエイター向けのプラットフォームとして人気のあるnoteを戸田市教育委員会として開設して、現在も教育データ利活用にかける思いなどを逐次つづっているという段階であります。これから、教育データの利活用に当たっての留意事項などもまとめていこうと考えています。
この会議もそうですが、どんなにすばらしい議論をして成果物を出しても、コアな一部の教育関係者だけが知っている状態では、教育データ利活用に関する理解を深めたり懸念を払拭したりするということは、難しいと思います。国においても、単にホームページに資料をアップする、といった手法だけではなく、あらゆる広報媒体を活用して、より一層、国民の理解を得られるように、取り組んでいただければと思います。以上です。
 
【委員】  私からは、共通の質問になりますが、鹿児島市 木田様、越塚先生、デジタル庁様にお聞きしたい点があります。
 資料で申し上げますと、鹿児島市の資料では23ページ、越塚先生の資料では学習者のプライバシーの問題と書いてあるページ、デジタル庁では広島県の事業計画についてお聞きできればと思います。
 鹿児島市では、個々の児童生徒の各種状況などを踏まえ、一定のアルゴリズムに基づいたレコメンドやアラートを表示できるようにすることを検討されているとのことですが、危険な子供だということのレッテル貼りの話は、プロファイリング等の絡みで言いますとプライバシーの侵害の重要な側面になってきます。特に機微データがたくさん含まれているような教育分野において、あらゆるデータを学習させるのが望ましいのか、という点が問題になると思います。アルゴリズムに偏りがないか、学習データに偏りがないか、その辺りの適切性が担保されているのか、担保するための取組がなされているのかということについてお聞きしたいと思いました。
 越塚先生には、学習者のプライバシーの問題と、そうしたレッテル貼りのようなリスクがどの程度検討されてきているのかについてお聞きしたいと思います。
 デジタル庁には、広島県の取組についても同じような課題があるかと思いますので、その辺りの課題認識のようなところをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【委員】  ありがとうございます。子供のデータのデータベースの話や、鹿児島市の取組のお話などいろいろお聞かせいただきましたが、データの管理主体がどこになるのかということと、先ほどのプライバシーの問題や、法制度上の整合性のことが少し気になっています。
 統計を見ると、1年間に国民の2%以上が都道府県の境を越えて転居します。ということは、小中高12年たつと、国民の2割ぐらいがその間、都道府県の境を越えて転居するということになるわけです。市町村の境を越えて転居する人はもっと多いはずなので、例えば子供DBの管理主体が市町村だとすると、市町村の間のデータの連携がちゃんとできていないとワークしないということになるわけですよね。それと、小中は市町村立が多いですけど、高校は都道府県立が多いので、高校のデータを市町村が取り扱うとかというのは法律的にどうなのかということも、クリアにしておいていただけるとありがたいと思います。
 また、データの管理主体が、そういうデータを集中管理してリスクのある場合にはアラートを出すといったことは当然必要で、そのための法整備も必要だろうと思うのですが、その一方で、個別適用した学習とかということを考えると、各学習者に本人のデータを集約するということも必要で、それができれば、都道府県とか市町村の境を越えて移動するということにもかなり対応できるわけです。そういう個人レベルの話と集中管理に基づいてアラートを出すといった話をちゃんと両立させ全体の設計の整合性をしっかり考えたいと思っております。もし、この点に関して何かコメントあれば、鹿児島市の方や、それからデジタル庁の方からいただければと思います。以上です。
 
【委員】  よろしくお願いいたします。本日の発表、いずれも核心に迫るような内容で大変勉強になりました。私は、今、教員養成の大学で教職大学院に勤めていますので、今日の越塚先生のお話を前提にすると、63ページで11の提言の中で、越塚先生のほうの感覚として、そもそも教員養成といいますか、そういうところで役立つ部分があるのではないかというような視点があれば教えていただきたいのが1つです。
 それから、白水委員のEdTechの開発の視点ということで、まとめていただいて的確な御指摘をいただいているのですが、教員としてどう関わるべきかという辺りの視点でありましたら、白水委員がおっしゃっていた、先生自身が前に進んでいくということにつながってくるのではないかと思いますので、4年から6年間、教員になる前に、準備期間なのか卵の期間なのか分からないですが、そこで育てていく期間を持っておりますので、ぜひ先生になってからのことの前段階で何かヒントをいただければと思います。以上です。
 
【鹿児島市立学校ICT推進センター 木田所長】  ありがとうございます。子供たちの様子、変化に応じてレコメンドとかアラートを上げるということの目的としては、子供たちを、例えばレッテル貼りするということは全然考えておらず、子供の変化を見逃さないということが目的です。日々の大変忙しい先生方の多忙化の中で、先生方は子供たちの変化を見落とさないように毎日努めているわけです。ところが、やはりその中でどうしても見落としてしまう、あるいは、ある先生は気づくけども、ほかの先生はあまり気にしないといったようなことがあった場合に、どうしても後手に対応が回ってしまうということが、これまでも、現在も行われていると思います。アルゴリズムについてはある程度これからブラッシュアップされていかなくてはならず、本当にそれが正しいかどうかというのはシェアされていかないといけないとは思いますが、それによってある程度のアラートが上がることによって、先生方がちょっと立ち止まってその子のために何ができるかということを考える良いきっかけにはなるかと思います。
 私の発表の中でもお話し申し上げましたが、勘や経験によるもの、例えばベテランの先生方からするとこれまで積み上げてきた経験というものが、今の子供たちには通用しなくなってきている部分もあります。あるいは、若い先生方からすると、まだキャリアが少ない分、いろいろなことに気づかない面があり、対応を誤る場合もあるかと思います。このことを、データであらかじめアラートが上がることによって、みんなで一緒に考えるという機会を持てるということは、学校現場においては非常に重要なことだと考えておりますので、そのきっかけをつくるために、どうしてもデータに裏づけされるということが必要だと考えております。ゆくゆくはこのような形で、様々な面でデータの分析ができるような形にしていきたいという意図でございます。
 
【東京大学大学院情報学環 越塚教授】  もちろんレッテル貼りということは、どの先生も考えないかと思います。ただ、昨日のEdTech研究会で出てきたのが、例えばデータを使ってというのは、結局人間が、簡単なインターフェースを通しただけでは見えないものを見たいためにデータを使うことだと思います。鹿児島市もおっしゃっておりましたが、そうしたときに、見えないものが見えてくるときの見えないものの対象が、人間の心理や内心であったときに、それは機械で見てよいのかというのが、例えばよくAIを使って子供が集中しているだとか興味があるかないかだとか、そういうところを見たいねと言うのですけど、そういう比較的単純なところまではいいのかもしれませんが、もうちょっと深い心理的なところに来ると、本人が隠しておきたくて内心に秘めている本音を、データで本当に見ていいのかとか、そういう議論というのは、実は教育の分野で随分なされてきたとお伺いしました。どちらかというと、先ほど出していただいた問題は深いところも含めて非常に重要なテーマで、そもそもということも含めても考えなくてはいけないと認識をしています。
 また、小崎先生からいただいた教員養成のことで言うと、私も提言を書かせていただいて思ったのは、やはり教員養成の段階でデータというのがどういうものかということであったり、プライバシーのことであったり、教育の過程での事務処理的なことに関わることも、教員養成の中にあってもいいのかなと思いました。以上です。
 
【白水委員】  現場の先生には、開発者や製品に対して声を上げていいのだ、提案していっていいのだ、いろんな要望をしていいのだというマインドセットを持っていただきたいと思います。それを出していくときに、自らの把握する学びの事実に基づいた提案や要望を出していただきたいとも思います。先ほどAIを使って脳波などを測るといったときに、測られたものと自分の直感でいいので、それとのずれも含めてマルチメジャーで見とったことを寄せ集めていくと、みんなで学びがいろんな方向から見えてくるはずだと思います。そんなマインドセットが育てられるといいですね。
 
【デジタル庁(丹羽参事官補佐)】  ありがとうございます。御質問というか、御指摘をいただいたと我々は受け止めておりまして、あるプライバシーの話、まさにこれはテーマトピックスとして重要だなと思っているのですが、我々としても、まだ広島県府中町の取組の中でどのように扱っていいのかというのは、なかなか悩ましいと感じています。今回の取組の中でいうと、複数の自治体のデータというものは台帳表示する形になって、その中で厚生労働省が出されている児童虐待防止のガイドラインみたいなもので、出欠席が何日以上だと、この子は危険そうだねという一種のアラートというか、目をつけていくというような形で、この子の危険リスクというものを表示するということを考えているのですが、そのときに、その子が危険だというようなことを一種レッテル貼りのような形でプライバシーに踏み込んでしまうかどうかというところ含め、検討していかないといけないと思っているところではあります。
 橋田委員からお話があった、小中高と学校下の転校の際の情報データ連携、これについても結構難しい問題だと思っておりまして、個人情報保護法上、特定の自治体の中で扱っている情報については、内部の中で利用目的を適切に設定すれば、その中で使えるということなのですが、主体を超えて情報をやり取りするときに、どういう利用目的の設定が適切かや目的外利用になってしまうのかなど個人情報保護法上の扱いとしてどのようにしていくのかというのも、まさに副大臣PTの論点整理でも挙げられていたところでして、今回の実証事業では各団体内の取組に閉じてしまうのですが、今後の課題として、引き続き検討していきたいと思っております。以上になります。
 
【座長】  ありがとうございました。もっといろいろ意見が出てくるところかと思いますが、お時間の関係もありましてここまでとしますが、今日は木田先生にお越しいただいて、学習eポータルで、しかも県域でいろいろやっていらっしゃることによる現場の、これは利用の促進、あるいは負担の軽減に非常に寄与しているなということを感じました。
これを都道府県がちゃんとイニシアチブを取ってやっていただいているというところが非常に大事なことかなと思っております。データ連携というのは、市町村の中でももちろん重要ですが、市町村を越えたデータ連携を上手にやっていくということは、私たちの大きな課題かと思います。
 また、学習eポータルでSSOができるということ以外にも、学習ログが一元的に蓄積されて、それを基に、学習者の様々な学習状況を把握するという、そういう観点でお話しいただきましたが、これについては、本人が学習改善に用いるということもあるし、教師が指導改善に用いるということもあると思います。
 それで、なかなか人間だけでは気づき得ないことを何らかの形を浮かび上がらせる、これは越塚先生もおっしゃいましたが、そういう意味でのリコメンドなどが出てくる。これをレッテルと思うかどうかというところは、非常に人間の感覚上重要なところかと思いますし、慎重に扱わなければならないところかと思いますが、学習指導においては、学校の公教育においては、先生が適切に把握するということと、それをダイレクトにみんなに開示するかというのは、また別の話で、そこには様々な配慮が今までもありましたので、そういう学校現場の指導の現実の中でどのように取り扱っていくかという運用の問題が大きいのかなと思います。
 本日は十分なお時間がなかったのですが、越塚先生に他分野の様子をいろいろ教えていただきましたし、白水先生からは海外の様子をいろいろ教えていただきました。デジタル庁の丹羽補佐からは、データのガバナンスをどのように省庁を超えて検討しているかというようなことを御紹介いただきましたので、これは管理主体の問題、この辺りとも関係して、どのように検討していくのかということ、これは留意事項につながるかと思います。この後の議論につながるかと思いますが、私どもの大事なミッションの1つかと思っております。
 御協力いただいた委員の先生方、発表にお越しいただいた先生方、本当にありがとうございました。

 

議事2:教育データの利活用に係る留意点について

※資料2-1「他分野のガイドライン等について(教育データの利活用に係る留意事項等に関する調査研究状況報告)」についてEY新日本有限責任監査法人より、資料2-2「教育データの利活用にあたっての安全・安心の確保に向けた検討」について教育DX推進室よりそれぞれ説明を行い、委員から意見がだされた。
 
(意見)
【委員】  EY様、それから文科省の事務局様、ありがとうございます。EY監査法人様のスライドを見て、やはり今回は、先生方が利用されることを念頭に、分かりやすい、固くない、柔らかいガイドラインというのがいいのかなと思いました。そしてQ&Aも、そういった方向を目指すべきかと思っております。EY様の資料15ページにあるような、水産分野のガイドライン、非常にビジュアルライズされていて分かりやすく、データの利活用や、プライバシーへの配慮ということも求めているのかなと思うので、こういったものも参考になるのかなと思いました。
 それから、事務局から御説明がありましたとおり、教育データについて一番厄介なのは、国立、公立、私立というように、公的分野、民間分野、それからハイブリッドのようなところにまたがっており、個人情報保護法においてもその取扱いが違いますので、その点を先生方に分かりやすくという点で、どこまでガイドラインとして示すのかということが1つの課題だと思いますが、欲張って言えば、やはり国立、公立、私立、全てをリカバーするようなガイドライン、Q&Aになってほしいなと思っております。
 また、各省のガイドラインを見ると、義務と努力義務に分かれており、この教育データの分野においても、その点を明確にしていく必要があるのではないかと思いました。感覚的には、「~こととする」というのは何となく曖昧なので、表現として、「努力義務」、「望ましい」、「努める」、そういった言葉が分かりやすいかなと、個人的に思いました。
 最後に、Q&Aは、先生方の日常の疑問や過剰反応に答えて、個人情報、プライバシーの利用についての過剰反応を防止するという面もあるかなと思いました。以上でございます。
 
【委員】  越塚先生のお話とか鹿児島市の例を踏まえながら、課題の整理というわけではないのですが、少し考えてみました。
 今の学校の現状より随分未来志向の話が多いので、今の学校の現状で考えてみると、学習系ネットワークと校務系ネットワークは、大ざっぱに言うと分かれていて、多分ここのデータのやり取りができないことが、いろいろな個人情報保護を回避しているというか、問題が起こらないようになっているのだなと思います。ただ、黒魔術の原因が、多分こういうところの制限にあって、ここを接続していくという議論を今後もやっていくのだろうと思っています。
 越塚先生が具体的なテーマで考えたらいいとおっしゃっていることから考えると、第一に、この統合のところのデータの考え方はどうするのかと感じたところです。ですので、鹿児島市の例で言えば、ITを統合してシステムを統合したが、その後、データはどうなるのかという話になると思います。本会議で結構話題になるのは、第3のデータと私が書いておりますが、新しく生まれてくるだろう、学習プロセスに関するデータや一層詳細なデータ、新観点などのデータ、ある意味見たことも聞いたこともないようなデータをどうするのか。そして、ここが統合されているような状態で扱っていくということをどう考えていくのかということを明らかにすることで、Q&Aも、随分考え方が変わるのかなと思っております。私からは以上になります。
 
【委員】  論点1について大賛成です。いろいろ議論は大変かと思いますが、ぜひ整理していただきたいと思います。
 論点2について、個人情報保護法を基にすると、特に学習履歴データはどう扱うのという議論、例えば、誰がいつ何ページを開いたといったデータをどのように扱えばいいのかという議論がいろいろできると思います。また、今、学習者のIDをUUIDなどで出そうという話がありますが、UUIDを含む履歴データは個人情報に相当するのだろうか、もしそうだったら、同意や安全管理が必要であるといった話とか、あと、顔画像や音声データも、施行令の中では実は個人情報として扱われていると読みました。そうすると、マルチメディアデータが履歴として残っているのだったら、それも個人情報として扱わなくてはいけないというような議論もできると思います。それから、データの管理者に対して、教育委員会等が契約するわけですが、例えば、その契約を外国の企業に対して委託契約が可能であるかなどについても、論点になると思いますので、御検討いただければと思います。以上です。
 
【委員】  資料2-2について大きく2点申し上げたいと思います。
 まず、5ページの論点1の基本的な考え方について、留意事項の整理に当たって、学校の教職員や学校設置者の担当者等の一次利用する主体を対象にすることはよいと思いますが、今後、事業者を含めたステークホルダーとの連携を含め、全体的な運用に支障が出ないようにカバーしてほしいと思っています。
というのは、本市の取組を振り返ってみると、特に大手の事業者などは、独自の社内規定等で、個人情報等の取扱いについてより厳しく定めているという場合がございます。その場合には、市の条例に基づいた手続きだけでなく、別途匿名加工などの作業が必要になります。これがシンプルな二次利用の場合であれば、それでもよいのですが、前の議題で白水先生も御指摘されているように、より良質な実践研究で進めていくという上では、一次利用をはらむ開発者や研究者、また学校との協働が必要になり、取組の大きな制限にもなりかねません。
 具体的には、論点2の6ページ、サービス提供事業者との契約の項目に関連するかと思いますが、事業者にかかる項目は、様々な連携があることを前提にして、連携を推進する上でそれが障壁とならないように、事前に企業等の理解も得られるように議論を進めていただければと思います。
 最後に、7ページですが、データ提供の具体的な場面と留意点の3つの項目について、先般行った本市のアドバイザリーボードにおいても、個人情報や分析結果等の保護者への情報開示については、大きな課題として指摘をされたところでございます。もちろん、本市としても議論は独自に進めていきますが、ぜひこの会議でも、この点を深掘りして議論していただき、自治体が今後判断に困らないよう、ガイドライン等に具体的に示していただきたいと思います。以上です。
 
【委員】  監査法人様の資料で、それぞれのガイドラインの整備状況などを御説明いただいたところですが、例えば総務省の電気通信事業分野のガイドラインが対象外になるのはなぜかであるとか、ガイドラインを選ばれた基準が分からないところがありましたので、時間があれば御教示いただければと思いました。
 資料2-2については御整理いただいているとおりではありますが、個人情報保護制度に関わるところとプライバシーに関わるところをそれぞれ整理しておく必要があるかと思いました。
 ほかの先生がおっしゃっていたように、公立学校、私立学校、それぞれ全てに適用されるQ&Aを作っていくことが望ましいと思います。児童生徒も、転校したときに、公立学校から私立学校へ移る場合や、その逆もあるかと思いますので、全ての分野を包含するものを作るのが望ましいと思います。とは言いながら、特に公立学校は過渡期にあるのかと思っています。現状の個人情報保護条例で定められている内容に基づいて個人情報を取り扱ってきたところが、新法に統一されるということで、対応が変わってくる面があると。それから、私立学校との関係で違いがあることは既に御指摘いただいているところですが、例えば保有制限や利用提供の制限などのところに違いがあることは否めないので、この辺りは制度的な話とも関わってくるかなと思います。
 もう一つ、プライバシーについてですが、情報、取扱い方、同意のところが、差し当たり大きな論点になると思っています。情報については、個人情報保護法上、要配慮個人情報として定義されていなかったとしても、機微性の高い情報を教育分野で扱うことが多く、プライバシーに配慮しなければならない場面が多いのではないかと思います。情報も3種類に分けていただいていますが、要配慮個人情報に限らない、プライバシー性の高いものを吟味する必要があるだろうと思います。
 それから、使い方については、先ほどプロファイリングに問題があるということでコメントさせていただきましたが、個人情報保護法に明示的に定められていないものについて、そういう取扱いに留意しないとならないことが数多くある、そういう場面が多いだろうというのがこの議論だと思います。
 最後が同意の話でして、保護者の同意があれば全て許されるのかということと、本人の意思に反する形で親御さんが同意をしてしまう場合がありうるということ、また、その逆パターンもあると思います。誰が同意の主体となるのが望ましいのか、適切なのかというところも、この分野の難しい論点の1つになろうかとは思います。以上になります。
 
【委員】  先ほどの私の発言とも半ばかぶるところはあるのですが、市町村とか都道府県を超えてデータを連携するというケースは2つあります。
1つは、本人のメリットがあるというようなケースであれば、本人ないしは保護者がデータを持っていればいいわけです。引っ越し先で、地元のシステムとつなぐということができればいろいろな問題が解決すると思います。そうではないのは、誰かが集中管理してアルゴリズムでもって分析してアラートを出して介入するといったケースで、つまり、本人ないしは保護者が、そのメリットを認識していないか積極的に協力してくれないというようなケースは、学校設置者等がデータを集中管理して介入する必要があるということで、その場面で、どこまでやっていいのかということは法律的に問題になるかと思います。ということで、1つは、積極的に本人に、あるいは保護者にデータを渡してしまいましょうということと、そうではないケースをどうやって、それでは済まないケースをどうやって扱うかというような観点が必要ではないかと思うのです。
 もう一つ、具体的なユースケースに即してということをお願いしたいなと思います。先ほど、レッテルを貼るといった議論がありましたが、教育ですから選別は必然的にするわけなので、それが不当なレッテル貼りになるのかそうでないのかということを具体例に則して説明されるといいのではないかと思います。以上です。
 
【座長】  お時間のない中で御協力いただきまして、ありがとうございました。ほかにもいろいろ発言したいこともあったのではないかなと思います。チャットにも有用なコメントを幾つもいただいていますので、ぜひこの後、事務局にメール等でお伝えいただければ幸いでございます。
 この(2)のほうは非常にデリケートな議題ではございますが、毎回皆さんに御意見をいただいております。文部科学省に検討してほしいというばかりでなく、私どもの有識者会議で検討しなくてはいけないわけで、私の考えで申し上げますと、これは公教育データという言い方をしているので、これがどこからどこまでなのかということを考えると非常に広うございます。その中には、様々な設置者の違いによって適用される法律の違い等もございます。これを1度に解決しようとすると、越塚先生がおっしゃるところの変数の多い方程式、多次元な方程式を一度に解くという話になって、これは難しいと思います。
 本日、事務局が資料2-2で出しましたが、やっていいことと明らかにやってはいけないことを明示し、まだ審議中、議論中、これから考えなければならない、進めながらではないと分からない、そういうことはこういう範囲にありますということも明示していくというやり方しかないのかなと思っております。それらを少しでも進めていかないと、現在は、公教育、特に公立学校ですが、過剰な規制、過剰な警戒、高橋先生でいえば第三のデータが生まれないようにすることで安全を保とうとしているというような、その結果、利用したこともないし見たこともないのでイメージが沸かない、具体的なユースケースが沸かない、さらには、ただ怖いというような感じになりがちなところがありますので、どうしても、まずはやれるところからやっていくというやり方で、明らかなところはここですよということをアピールしていくのかなと思います。そのために、このQ&Aは非常に重要で、私どもは専門家が集まった有識者会議ですから、だんだん細かい話になっていくわけですが、そもそも教育データは何ですかとか、個人情報保護法はどういうものですかとか、そういう辺りから説明しなければならないと考えておりまして、このQ&Aをできる限りカジュアルに提示できると、普及啓発につながると思います。様々な自治体が、ちょっとおそれおののきながらやっていた整備、運用を、このカジュアルなQ&Aによって、もう一歩踏み出してみようというようになっていくといいなと考えております。
 皆さんにこれからたくさん御協力いただかなければならないことがあります。特にQ&AのQのところは、事務局も一生懸命考えていただいていますが、それだけでは十分ではない部分がありますので、ぜひ皆さんからたくさんの御意見をいただければと思います。
 次回の会議日程は、もうお知らせしているとおり9月5日の月曜日、15時から17時となってございますので、よろしくお願いいたします。今度の4月から改正個人情報保護法が動きますので、年度内に私どもでできることをきちんとアピールしていく、そのために、あと半年ぐらいでしょうか、しっかりと議論していければと思います。
 本日、大変時間が過ぎてしまって申し訳ございませんでした。ここまでとさせていただきたいと思います。御協力ありがとうございました。
 

(以上)

お問合せ先

 総合教育政策局教育DX推進室

(総合教育政策局教育DX推進室)