教育データの利活用に関する有識者会議(第8回)議事要旨

1.日時

令和4年4月11日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

※Web会議での開催

3.議題

  1. 教育における情報連携・活用について
  2. 教育データ利活用に係る留意点について
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、藤村座長代理、梅屋委員、緒方委員、小﨑委員、佐藤委員、三部委員
白水委員、高橋委員、田村委員、中村委員、橋田委員、戸ヶ崎委員
 

文部科学省

藤原総合教育政策局長、出倉大臣官房審議官、安彦社会教育振興総括官
桐生教育DX推進室長、板倉学校デジタル化PTリーダー、松本教育DX推進室室長補佐
野口教育DX推進室室長補佐

オブザーバー

大阪市教育委員会
尼崎市
個人情報保護委員会事務局
デジタル庁、経済産業省、総務省

一般社団法人 ICT CONNECT 21
一般財団法人 全国地域情報化推進協会(APPLIC)
 

5.議事要旨

議事1.教育データにおける情報連携・活用について

※資料1-1「調査研究報告(教育情報システム、先進自治体の取組等)」について教育DX推進室、資料1-2「こどもに関する各種データの連携について」についてデジタル庁、資料1-3について尼崎市、資料1-4について大阪市教育委員会よりそれぞれ説明を行い、委員から意見がだされた。
 
(意見)

【委員】  本市では、これまでの授業や生徒指導を科学することをコンセプトに、個別最適な学びの実現やEBPM、これらを推進するための教育データベースの構築を目指してきたわけですが、この度、デジタル庁の実証事業の実施団体として内定をいただき、身が引き締まる思いでございます。
 本市の教育政策シンクタンクの外部有識者から御意見等をいただきながら、教育データベース構築を加速化していくことにより、教育分野を軸としたデータ連携の展開モデルを創出していきたいと考えています。
こうした教育データの利活用に当たりまして、文部科学省に一つお願いがございます。教育分野における個人情報保護のルールやポリシー等を、ガイドラインの形で学校現場にお示しいただき、教育委員会や学校が安心・安全にデータ利活用に取り組めるようにしていただきたいと思っています。国では、個人情報保護法や、これに基づくガイドライン等があります。医療等の分野では所管省庁が独自にガイドライン等を作成しておりますので、学校現場を所管する文部科学省として、こうしたガイドライン等を速やかに示していただけるとありがたいと思っております。教育データの一元化という誤報から生じた誤解が払拭されないままでは、今後、教育データの利活用が進まないと強く懸念しておりますので、是非、御検討をお願い申し上げます。
 次に、教育データ利活用の意義や目的化について、意見させていただきます。本会議当初から申し上げているのですが、まずは教育データの利活用の意義や目的が、教育委員会や学校に腹落ちして、浸透するための方策を今から準備しておく必要があるのではないかと思います。現状、資料2-1にも一部記載がございますが、データ利活用については、必要な支援なく基盤だけ作っても、「監視や管理が強化されるのではないか」、「漏洩や複製などの安全面が心配ではないか」、「温かみのない教育が展開されていくのではないか」などのよくないイメージが、教育関係者にあるのではないかと思います。教育データをなぜ利活用する必要があるのか、その目的を何なのかについて、学校現場を含めた関係者全員が共通認識できるように、何らかの対策が必要であると考えています。
 例えば、共通認識の一つとして、データ利活用によって見えないことが見えてくるというメリットが挙げられると思います。誰一人取り残されない教育のためには、データ利活用はなくてはならないものであって、そのための支援施策もセットになってくるとか、将来的には教員免許更新に代わる新たな研修制度と関連付いていく可能性など、教職員にとっても必要感のある心構えや受皿が必要になるのではないかと思っています。
 例えば、本市では、これまでの事例から、生徒指導と特別支援教育を一体的に進める必要があるということの共通理解を図っています。もし、データにより、子供の行動をあらかじめ分析でき、適切な支援につながることが期待されると考えます。現場では、ワーキングメモリーや関連するデータ等が蓄積されることで、見えないことが見えるようになり、それらを基に適切な対応ができるようになるなど、データ利活用によって、誰一人取り残されない教育の一助にもなるのではないかと考えています。
 また、学習履歴を収集し、テクノロジーが進化することによって学習評価の在り方にも影響があるのではないかと思います。例えば、本市では、授業中の子供の発話をセンシングして定量化しています。表面的には、発話をたくさんしている子供が、発話をあまりしない子供よりも主体的に課題に取り組んでいるかもしれないと考えるわけですが、一方で、データの向こう側でどのような認知過程があるのか、評価に関わる担当者間で、丁寧に議論を続けていく必要があると思っています。もしかしたら、発話は積極的ではなくても、聞きながら学んでいる子供の存在が見えてくるのかもしれませんし、学びの見方も変わっていくのではないかと思います。改めて、学習の本質に立ち戻った、根拠に基づく授業デザインや評価の在り方といったものが求められるのではないかと思っています。
多くの学校現場の教師は、教育データがなくても何も困っていないのが現状である。学校現場では、効率的に子供の特性を把握したり、効果的に指導改善を進めたりする上で、教育データの利活用が有用であるという体験はまだまだ意識していないのではないかと思います。教育データの利活用は、子供たちの学びを豊かにしてスキルアップにも有効であるということなどの意識を、現場の教師が今から持っておかないと、ここでせっかく議論して、何かしらのコンテンツとかシステムを現場に落とし込んだとしても、活用につながっていかないのではないかと危惧しております。以上です。
 
【委員】  先ほどの教育データの利活用のガイドラインやポリシーを作成するという意見に大きく賛同いたします。ぜひ進めていただきたいと思います。
 私からは2点あります。1点目は大阪市の発表にあったように、日々の教育が学習活動データを扱うということが大事であると考えております。これがあるからこそ、日々、先生や児童生徒に対してフィードバックができ、その時点で最適な指導ができるのだと思います。もちろん成績アンケートなどのデータも大事ですが、現状は、AIドリルやデジタル教科書等のデータが学校に集まっていないという問題、いわゆるデータのドーナツ化現象があり、データが学校外に集まっているので、まずは、企業がデータを囲い込みせず、学校に集めてもらうといった政策が必要だと思います。
 2つ目が、システムごとにいろいろなログデータが出てきますので、フォーマットなどを統一して集まるようにしていただきたいと思います。そうしないと、データの分析をシステムごとに違った方法で行うとなると困難になりますので、特に活動情報のデータの標準化を行うということが大事になってくると思います。私からは以上です。
 
【座長】  私の意見を少しだけ申し上げますと、これから、いくつかの企業のシステムを子供たちが使うようになった時、それらのデータを横断的に可視化する仕組みを個別の企業が作るのは意外と難しいという現実があります。また、役所では個人情報の保護の関係もあって、簡単に部局をまたいで情報提供を共有するということが難しい状況がありますし、今まではあまり想定されていなかったと思います。
その結果、個別のデータベースがたくさんできて、それぞれの中に有用な情報があったとしても組み合わせることはできないという現実があります。
 今日、御紹介いただいたいくつかの例は、これらの課題に向けて挑戦し、乗り越えようとしている例だと思います。私たちは、教育データの利活用といったときに、単品のシンプルな教育データの利活用や再利用をイメージしますが、そういったことにとどまらず、いろいろな情報の組合せによって総合的に子供たちを支援することが大切だと思います。こういう事例が増えること、こういう考え方が打ち出されることによって、例えば戸ヶ﨑委員がおっしゃった学校現場への訴求、必要感の醸成みたいなことにつながっていくのかと思っております。これからこういう議論がさらに深まるといいなと願っておるところでございます。
 

議事2:教育データ利活用に係る留意点について

※資料2-1「教育データの利活用にあたっての安全・安心の確保に向けた論点」について教育DX推進室、資料2-2「1人1台端末活用方針とセキュリティの確保等について」について学校デジタル化PTよりそれぞれ説明を行い、委員から意見がだされた。

(意見)
 
【委員】  資料2-1に、そもそも何のために教育データを利活用しようとしているのかということが書かれてあるが、既にいろいろな実証実験が行われたり、本会議でも様々な事例が紹介されたりしているので、そこはもう役に立つのだと言い切っていただきたいと思います。
 その上で、様々な懸念を払拭するためには、具体的にどういう目的で、どのようにデータを使うのだというところが重要です。これまで紹介していただいた事例は非常に素晴らしいと思いますが、データを使った事例は、それが本当に役に立っているのかということが問題になってくると思います。教育である以上、学習者をモニタリングする、成績を付ける、合否を決めるといったようなことを必然的にするわけですが、それが、監視だったり、不当な選別だったりといった教育目的から逸脱してしまう使い方もあり得なくはないという点を皆さん気にされているのではないかと思います。
 先ほど、御紹介いただいた尼崎市の事例で、目的外利用のための条例改正の説明がありましたが、部局を渡ってデータを名寄せすることによって、もともと想定されてなかった使い方をすることが増えてくると思います。今回は、安全性とか有用性が吟味されて、条例改正をされたのだと思いますが、一般には、この辺りにすごいリスクが潜んでいるのではないかと思います。ですから、本委員会のミッションとして、ガイドラインをつくるときに、どこまでが教育目的と言えるのか、また、どの線を越えると逸脱してしまうのかということを明確にすべきではないかと思います。
 それを自治体ごとに別々にやらせたのでは駄目で、全国統一的な基準をつくり、全国どこに行っても同じようにデータ活用できるようにするために個人情報保護委員会とうまく連携するということが必要になると思います。そのような議論が整った上で、技術的にはどのようにすればいいか、どのようなセキュリティにしましょうといったことに進めるのではないかと思います。
 一方、二次利用に関しては、割と自由なのでそれほど気にする必要はないと思います。問題になるのは一次利用です。つまり、各個人、個々の学習者に個別に介入するようなデータの使い方が問題になるわけで、統計分析は割と自由にやってもいいわけです。学術研究は法律の適用除外がありますので、データの第三者提供を受けたりとか、あるいは、最初に想定した目的以外にデータを使ったりということもかなり自由にできるわけです。もちろんデータの安全管理はしっかりしないといけませんが、一番重要なことは、現場で教育の一環としての業務として、データを一次利用する際にどこまでだったらよいのか、どこからまずいのかといった基準を決めるということではないかと思います。以上です。
 
【委員】  主に資料2-1に関してですが、他の資料との関係で思ったことを申し上げます。まず、座長がおっしゃるとおり、資料2-1の議論というのはユースケースに基づいて行うということが不可欠だと考えます。ユースケースがどれかということが分からないことには、関わる当事者、あるいは関係者が誰かということも特定できませんし、それらがどういう利害を持って、何を言ってきそうかということも全く異なってくるということになります。そういう意味で、どのようなユースケースについて議論をしていくのかということについて、特定いただいたほうがよいのではないかと思っているというのが1点でございます。
 それと関連してですが、全国統一の基準をつくった方がいいという点は、一面ではそのとおりだと言えます。なぜかというと、個人情報保護条例、2,000個問題に代表されるように、データの使い方がばらばらだと、活用が上手く進まないということが望ましくないからということになります。ですが、抱えるユースケースがそれぞれに違うということかもしれなくて、資料1-2の9ページとかで実証事業計画に上がっている団体を拝見させていただいても、どこまでの範囲を連携させるのか、あと何を目的にするのかというのは、違いそうだと思います。
 結局、資料2-1によって問題提起された議論の結果がどういう形に結実していくということを目指すのかというあたりにつきまして、もし、事務局でお考えがあったらお伺いしたい。法律にするのか、ガイドラインにするのか、それよりも緩やかなソフトローの中でも緩やかめのものにするのかというあたりについて伺えたらと思うというのが2点目でございます。
 3点目は、資料1-1ですが、調査研究報告の中で非常に貴重な報告だと思うのですが、イギリス、デンマーク、アメリカの州、アメリカ連邦の中で、資料2-1の議論に盛り込めそうな何かというのがおありなのかどうかというあたりにつきまして伺えたらと思っております。
 最後になりますが、資料2-1のところで、そもそも何のために教育データを利活用しようとしているのかというところで、目的が有用だということ自体はそのとおりだと思います。後は目的の個々の違いというのを考えていかないと、ユースケースの違いというところに表れてきて、検討しなければいけない人、検討しなければいけない利益の違いというところに表れてくるかと思いますので、この辺りの目的というのを見定める意味でもユースケースの特定というのは必要なのかと思っています。
 あとは、資料2-1の中で書かれてある、例えば、在学時のデータは卒業後もずっと残ってしまうのか、あるいは子供の教育データが見ず知らずのうちに勝手に利活用されることがあるのではないかというあたりも、どこまでどういうデータを残すのかということの必要性とかもユースケースによって異なってきますので、なので、この辺りにつきましても、ユースケースとして想定されるものというのを上げていただく必要があるのかと思ったという次第です。以上でございます。
 
【デジタル庁】  ありがとうございます。先ほど、尼崎市からも、我々の事業の活用についてお話があったかと思います。皆さん既に、こういったデータ連携を進められていられるので、それの延長線上という形でこの事業を活用していただくのは、素晴らしいことだと思っております。
 一方で、私の説明ではあまり触れませんでしたが、恐らく先生の問題意識にも合っているのではないかと思います。この後、全国展開という形で、いろいろな自治体にぜひやってほしいと思っております。そのために、実証事業としては、このデータ項目を見るとこういった子供が見えるといった点を明らかにしていきたいと考えています。基本的には、先生に御指摘いただいた安全面について、我々の方でも議論していく必要があると思っています。また、ガイドラインやいろいろな段階については、事業の進捗といいますか、全体を見ながら相談だと思うのですが、少なくとも各自治体から上がってきた課題というものを、事業の成果報告としてまとめようと思っております。そして、それらの課題に対応するのに、ガイドラインがよいのか違うものがよいのかについては、少し整理が必要だと思いますが、そこはできるだけ課題をしっかり明らかにするとともに、いろいろなところで使えるものにしていくということが大事だと考えております。
 
【委員】  これから、実証事業を行っていく中で、検討すべきユースケースというのも出てきて、それを踏まえ、ある程度全国展開できるような形で、どういう形をつくっていくのがいいのかということも含めて、今後議論の対象になっていくと理解いたしました。ありがとうございました。
 
【事務局】  御意見ありがとうございます。資料2-1の対応は、我々として今のところ想定しているものがあるわけではございませんので、今出てきている心配の声からユースケースを捉えて、論点を整理した上で、どういった対策があり得るのかといった形で議論を結びつけていただければと考えています。
 また、資料1-1に関してのアメリカの話がございましたけど、資料1-1の調査研究自体は、どういったデータ連携ができるのかといった観点で、教育情報システムの連携という形でされていたものでして、安全・安心の確保に向けた形という個別具体的な点では、ここにインプットする話がございませんでした。ですが、今後、この議論を進めていく上で必要な知見というものが文部科学省内の調査研究ですとか、また、諸外国でもありましたら、また、適宜御報告させていただこうと思います。
 
【委員】  ありがとうございます。ユースケース等の情報が出てくるのを待って議論ということになると理解いたしましたので、引き続きよろしくお願いいたします。
 
【座長】  ありがとうございました。座長として一言申し上げますが、資料2-1には、何のために教育データを利活用しようとしているのかと書いてありますが、このことが十分に周知されていなくて心配の声として上がっているということであります。私たちには確信はありますが、それらを有効なのだと言うだけでは恐らく声が届かないので、具体的なユースケースを決め、それが法的にも問題がないということも含めた効果を示していくということを、やっていくということかと思っております。ありがとうございました。
 
【委員】  私からは、教育データをどういう目的に使うのかということの理解を深めさせていただきたく、資料2-1に関して、事務局へ質問を一つさせてください。その後、教育でどのようにデータが役に立つかということについてコメントを一つさせてください。
まず、最初は、今日の大阪市と尼崎市の例を、資料2-1のポンチ絵に当てはめると、どのように考えたらいいかという簡単なお答えをいただければ幸いです。具体的には、大阪市の例の場合というのは、左上の一次利用、目的外の情報提供と利用というのに当たるのかどうか、それが企業のドーナツ化を防いで、企業から提供を、この場合だとやるKeyですとかリアテンダントのデータを提供していただいて、それも今ざっくり、公教育データと書かれているのですが、そこに入れるとなると、民間の方から見ると二次利用ということになってくるのかというあたりが分からなくて、一次利用の公教育データとは一体、何を指しているかということが一つでございます。
 尼崎市の場合は教育研究所が二次利用に当たって、前半の方であったスクールソーシャルワーカーがデータも扱えるように条例を改正したことによって、一次利用のケースに当てはまるようにしたと理解していいのか、この図の読み取りをお願いできればと思っております。それが1点目でございます。
 2点目は感想ですけれども、教育でデータがどのように役に立つかということに対して、例えば、今日、心の天気の例が出ていましたけれども、心の天気で、子供たちが素直に自分の天気を言ってくれるほど人間は簡単ではないかもしれないと考えると、心の天気のデータをそのまま信じるというよりは、それで何を概括して、それを大人がどう解釈して、だから心の天気というデータの取り方はこういう役に立つのだという検証そのものを、データを通してできるとよいかと思いました。
 今日の全般的な感想ですけれども、資金的に、経済的に苦しい御家庭にはプッシュ型で支援をして、学力が不足している児童生徒には個別指導をして、元気がない子供たちには声かけしてというモデルになってしまうと、弱い個人を同定して支援するということだけにデータが使われてしまう、個人の選別のためにデータが使われてしまうという印象を与えるように思いました。善意でやっていることだと思うのですが、それしかないという誤解を招くのは避けたい。データの利用を、私たちがやっていることそのものの是非や、フィードバックの仕方そのものを見直すためにもデータが役に立つということができていくといいのではないかというのが所感でございました。1点目の質問だけ、お答えをお願いできればと思います。以上です。
 
【事務局】  御質問ありがとうございます。こちらの図でいくところの一次利用と二次利用の定義ですけど、定義自体がくっきりと定められていたわけではないのですが、当時の議論としましては、一次利用というのは目に見える形のもの、特に児童生徒の個人情報の名前が入っていて、その名前を使って支援をしたり、教育をしたりといった形のものを想定しており、二次利用というのは名前なり属性というのはなくなっていって、ほぼ統計データとして扱えるような、学術研究目的として使うものをイメージしていたと考えています。
 そういったことからすると、今回、御発表いただいた尼崎市さんと大阪市さんの例は、どちらも一次利用に当たるかと考えています。一次利用のうち、大阪市は学校でのシステムが別々のシステムのものを1つに統合して見せるといったデータ連携であり、尼崎市は教育委員会と首長部局と執行機関のシステムが分かれていても共同して使うといった形の展開だったと考えておりまして、今回の御発表はどちらも一次利用だと考えてございます。以上です。
 
【委員】  受け止め方、非常によく分かりました。それでよいかどうかというのは今後の議論ということになるのかと思いました。ありがとうございました。
 
【委員】  本日の発表、大変勉強になりました。ありがとうございました。今日、お話いただいた内容は、校務支援システムを中心としたプッシュ型支援といった側面が大きかったように思うのですが、つくば市では、現在、学習eポータルからのダッシュボードづくりを進めております。ただ、つくば市には校務支援システムもございまして、実は、そちらでもダッシュボードという話も出ております。さらには、つくば市は様々なデジタルコンテンツを抱えておりますので、個別の企業が持っているデジタル教材データからのダッシュボードというのも検討しているということで、どこにダッシュボード機能を持たせることがよいのか、まだまだ迷いながら進めているところです。
 ただ、つくば市が目指す一人一人がよりよい幸せな人生を送るということを目的にしたときに、子供たちは学校に学びに来て、その学びがよりよい学びになっていけば、子供たちのよりよい幸せにつながっていくだろうと考えております。まだまだ機微情報の多いデータにつきましては敷居が高いところから、今は学習eポータルを中心としたダッシュボードづくりを構築するという段階を進めているのですが、本日の話を聞くと、校務支援とも連携しなくてはいけないのかと考えた場合、どこに最終的にデータを集めていったらいいのか、迷ってしまっています。本日の尼崎市の取組を聞くと、確かにそのような側面で行う場合には、校務支援側の情報というところにも重きを置いていかなくては思ってしまうところです。今、私の困り感というところで、そこはというような御示唆をいただいけるとありがたいと思いました。
 もう一つの困り感として、これだけたくさんのデータを利活用していこうといったときの、先生方のデータの見取り方や、データを受け取ったときに利活用できる先生方の情報活用能力を育成するための研修の在り方です。
皆様から、様々な学び、御意見をいただきながら、検討していきたいと思っているところです。以上です。
 
【委員】  よろしくお願いいたします。データ活用やGIGAスクール構想、1人1台端末活用というのは、先が見通しにくいと思っております。私自身は、こういう教育データをたくさん活用してほしいという立場であり、DXやイノベーションとは、最初から計画できるものではなく、環境に慣れ、たくさんの試行錯誤の成果で、後からこれがDXの最初の一歩だったのだと分かっていくような、そういう気持ちの立場で申し上げさせていただきます。
 そういった意味では、教育データの利活用の5番目の法則であるスモールスタートとか逐次改善というのが非常に重要だと思っております。本日、プレゼンテーションいただいた尼崎市とか大阪市では、現場の先生方の創意工夫にあふれたアイディアが出てきて、こんなこと思いつかなかったということを、私自身、たくさん知ることができました。したがいまして、ユースケースを考えるというのは、ルールをつくる上では非常に重要かもしれませんが、これをつくるのは非常に大変で、現実的なアイディアとかDXの芽みたいなアイディアは現場にあると思いますし、現場の創意工夫というものをいかに想起するかということが、データ活用の本当の活用という意味では重要かと思います。
 最終的に、非常に丁寧で詳細なユースケースができてしまえば、がちがちなシステムで、それ以外には使えないようなデータ活用になってしまうかもしれませんし、かといって、自由なルールではいろいろな問題も起こるかもしれないと考えておりますので、現場の先生方が、創意工夫や業務改善に結びつくというアイディアとの、そういったところのバランスから考えていくということからも試しにやってみるみたいな、実証事業の今日、お話がありましたけど、そういうところに期待したくなるわけです。私からは以上になります。
 
【委員】  ありがとうございます。私も混乱をしているので1つ質問をさせていただきたいのですが、デジタル庁に質問がございます。
 まず、大臣が、国は個人の教育データを一元的に管理することは考えていないという発言があったかと思うのですが、これは行き過ぎた国のデータ管理というか、個人情報の管理を懸念しての声かと理解しておりますが、では、これは誰が管理をするという状態に今はなっているのかということを、端的にいただければと思っています。その上で、もう一つ意見がございます。
 
【デジタル庁】  分散管理が原則です。
 
【委員】  分かりました。ありがとうございます。資料2-1で文科省が提示されている個人利用のデータの利用もあり、恐らくそういった形で、分散で管理するということが今の現状だとしたときに、いわゆる、校務も含めた校務データ、教育データというものに関しては、今、議論しているような各自治体を中心とした、設置者である自治体を中心としたところで安心・安全に管理をすべきかと思います。利用に関しても、ある種の制限で、ルールをつくって管理すべきだと思っています。
 問題は、先ほど社会の意見として出てきた、行き過ぎた管理を懸念するということに関して言うと、これは学習者個人のデータの件かと思います。そこについての答えが、まだこの会議の中でも着手されていないような気がしております。つまり学習者データ、学習データ、個人の先ほどの学びのデータの部分について、恐らくこれが中心になり、教育校務データの方にそれがシェアされ、どう管理するのかという懸念だったり、管理を求められていたりするような気がするのですが、まず、個人というのがどういう形でデータを持つべき、個人が管理をする、これは親である代理人も含めて、管理をする、個人の管理が安心・安全管理をどうできるのかというところが、今回の議論の中でも少し抜けているパーツかと思っておりまして、今後のステップというお話も以前あったかと思いますので、ぜひ個人学習データの部分についての着手についても検討いただけたら幸いです。以上です。
 
【座長】  ありがとうございました。他にも御意見いろいろいただきたいところですが、お時間の関係もございますので、ここまでとさせていただきます。ユースケースについては実証事業もありましたので、幾つか始めているところですし、もちろん有効でございますし、何に気をつければいいかもいろいろ出始めているところでございますので、ステップの話も今ありましたけども、前に進んでいくような形で運営していきたいと思います。
 ダッシュボードをどこにするかの問題はチャットでも議論されていますが、子供たち自身がアクセスできるところに、子供たちの学習の記録が残るということに個別最適な学びの、とりわけ自己調整の観点から言えば非常に重要なところがあると思いますので、そういうことも踏まえながら検討してまいりたいと思います。
 ただ、今日、前半で出てきた事例の中であったように、既有のというか、保有されているいろいろなデータの組合せによって、いろいろなことが明らかになるのですが、残念ながら、今のところそれぞれを相互に利用する仕組みになっていないので、それが検討されていないという現実もありますので、こういう積極的なデータの組合せについても、私たちは推奨、推進する方向でやっていきたいと思いますし、もちろん外してはならないのは安全と安心でございますので、ここについて、セキュリティも含めて今後、議論してまいりたいと思います。
 学校の設置者は自治体ですので、自治体の自由度、判断はある程度、残す必要がある一方で、教育データというのが全国で、必ずこれとこれは入れますということが、国から責任を持って示されるということもまた重要かと思います。この塩梅をどうするかということについても、これから検討してまいりたいと思います。また今後とも、委員の皆様の御協力をお願いしたいと思います。
本日の会議、少し時間延びてしまいましたが、ここまでとさせていただきます。どうも皆さん御協力ありがとうございました。


(以上)

お問合せ先

 総合教育政策局教育DX推進室

(総合教育政策局教育DX推進室)