教育データの利活用に関する有識者会議(第5回)議事要旨

1.日時

令和3年3月19日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館15階 15F特別会議室 ※Web会議での開催

3.議題

  1. 教育データの利活用に向けた最近の主な動向
  2. 論点整理(中間まとめ)案

4.出席者

委員

堀田座長,藤村座長代理,梅屋委員,緒方委員,楠委員,小崎委員,佐藤委員,三部委員,白水委員,高橋委員,田村委員,戸ヶ崎委員,中村委員,橋田委員
 

文部科学省

塩見大臣官房審議官(初等中等教育局担当),浅野初等中等教育企画課長,桐生学びの先端技術活用推進室長,佐藤学びの先端技術活用推進室室長補佐,三木健康教育・食育課長,今井情報教育・外国語教育課長,神山教科書課長,中川初等中等教育局視学委員

浅田国立教育政策研究所所長

オブザーバー

経済産業省サービス政策課教育産業室,総務省情報流通振興課,個人情報保護委員会事務局


一般財団法人 全国地域情報化推進協会(APPLIC),一般社団法人 ICT CONNECT 21,一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)

5.議事要旨

議事1.教育データの利活用に向けた最近の主な動向


※資料1「GIGAスクール構想の最新の状況」に基づき、情報教育・外国語教育課から説明を行い、委員から意見が出された。

(意見)

【座長】GIGAスクール構想で全国一斉に予算がついて、各自治体で一生懸命、整備、導入を図られているところでございますが、スムーズにいくところと、なかなかスムーズにいかないところがあるということはよく知られていることです。なぜスムーズにいかないかといったときに、具体的な対応の方法を判断できていない場合があって、そのために文部科学省がこういうチェックリスト等をお出しになられたということかと思います。成功事例を共有していくような仕組み、人的ネットワークもこれからしっかりとつくっていくということでございますので、ぜひ自治体の皆さんが、そこに参画されることを望む次第でございます。

※梅屋委員より、資料2「梅屋委員提出資料」に基づき、海外における教育ビッグデータの民間利用の事例の説明を行った。

(説明内容)

【梅屋委員】教育に関しては、いわゆるEdTechという分野が今、海外で非常に伸びています。具体的に言うと、コロナの状況などのおかげで、特に新興国を中心に様々なテクノロジーを使った教育というものが非常に伸びています。例えばインドとか中国で様々な企業が新しい教育のサービスを提供すると同時に、ある意味では資金をきちっと調達していろいろやっているというのが今増えつつあります。
 ちょっと具体的に中国での例です。これは今回の議論にも非常にある意味、密接に関わるのかなということで、中国での事例というのがたまたまありましたので、これをお話をさせていただきたいと思います。
 中国は御案内のように、非常に教育に関して、特にこのところは非常に熱心だということと、アリババさんとかAlipayなどにより、ITを活用するサービスというものが非常に伸びていると。その中で、いわゆるEdTech、教育に関するテクノロジーの活用、それもAIとビッグデータを組み合わせたEdTechというのが急速に普及しつつあります。
 これは何社も実はいろんな形で提供しているんですけれども、その中で非常に特徴的な会社さんを今日は御紹介したいと思います。作業幇という会社、中国読みがうまく読めなかったんですけれども、この会社さんはもともと宿題の支援アプリというものからスタートしています。中国の場合、非常に教育熱心で、なおかつ毎日毎日大量の宿題が子供たちに与えられると。それを解くのが一苦労だと。親も共働きが多いということで、なかなか宿題を手伝ってあげることができないという中で、実は少し前から、この宿題を解くのを支援するアプリというものがビジネスとしてスタートしました。
 ちょっと一番下に書いていますけども、例えばここで書いていますような算数の分数の宿題が学校で出されたとします。子供たちが家に帰ってきてスマホでこの宿題を撮影します。そうしますと、画像を自動的的にAIで認識して、そして、この問題に対する解き方と解答といったようなものを表示してくれるというアプリがあります。
 こういったものからスタートしまして、その後、解き方もAIのほうで自動的に教えてくれるんですけれども、やはり有人でもいろいろ話を聞きたいという場合には、有人で、講師のオンラインの授業とか家庭教師という形までやっていると。この部分に関しては有料です。宿題の解答を返信するところまでは無料なんですけれども、その先、有人対応に関しては有料ですと。逆にここでマネタイズするというビジネスモデルになっています。
 現在、利用者が約1億7,000万人という形で、日本の人口より多い方々が今、利用者になっています。その半分は地方都市です。これは理由がありまして、大都市になりますと、様々な教育機関、塾などを含めた教育機関があるんですけれども、地方都市はなかなかないということで、地方都市からこういったものを使っているという方が多いです。そして有料会員も、1億7,000万人のうちの数百万人以上という形です。
 コロナ禍でこういったものが非常に伸びていまして、既に資金調達もかなり伸びています。具体的には、この会社、1社さんだけで約2,000億円以上の出資を受け入れています。これに関しては、例えば日本のソフトバンクグループのビジョン・ファンドの出資があったりとか、グローバルにこういった方々に出資が入っています。当然、非上場のユニコーン企業なんですけども、企業価値は約1兆円以上という形で、まだまだこれから伸びていくという形の会社さんです。
 ここに書いていますけども、先ほどちょっと言った宿題支援ですけども、小、中、高校生まで宿題の設問をスマホで撮影し送信すると、設問のビッグデータ、これが約3億件ありますけれども、ここからAIが解析して、解答を数秒で返信すると。併せて、類似の練習問題を提供して理解度向上を支援しますという形です。
この会社のビジネスモデルというのは、宿題という反復行為に関して、ユーザーとのやり取りを記録、分析することで、逆にこの子はどこで引っかかっているかといったようなことまで実はAIでデータベース化しています。ですから、この会員の方々、子供たちがどういうところが苦手で、どういうところを強化すると伸びるだろうかということまで含めてアドバイスの精緻化とかコンテンツの拡大を図ると。そういう意味で、苦手分野や理解の仕方などに関する理解も提供できる、これは有人でもアプリでもできるということと、さらに重要なのは、実はこの会社さんは学校別の過去データ分析も行っていまして、定期テスト向けの予想問題など、この学校でいい点数取りたかったら、こういう予想問題を解いておけば、君、成績上がるよみたいなことを実際に提供しています。
 この会社さんは、基本的には、学校とは一切関係がないんです。あくまでも外側にいます。ただし外側にいて宿題を撮影する、過去の例えば定期テストの問題も写真を撮って取っておくという形で、利用者と学校のデータまで含めた教育ビッグデータを公教育の外側に構築しているというのが特徴です。
 こういう意味で、普通、教育ビッグデータをつくると、学校が入って、学校の中でいろんなデータを蓄積するということなんですけれども、これは実はインドでも似たようなことをやられているみたいなんですが、学校教育の外側で、現実的には教育ビッグデータを構築できているという形になっています。
 こういうことをちょっと御紹介したのは、日本でもこういうことが起きるんじゃないかなと。実は先ほど言いましたように、こういう会社さんは、日本も含めて様々な国からお金を集めています。しかも数千億単位のお金を集めていますので、日本に進出して同じようなことということも起きる可能性があるだろうと。これに関しては、児童生徒から宿題とかプリントとか単元テストというものを集めて、そしてそれを解答するとか、アドバイスするとか、いろんな予想問題を作る。さらに言えば、これは中国でもやっていますけども、保護者から様々な情報提供を受ける中で、家庭教育へのアドバイスなどを行うと。さらに言えば、これは学校というよりも教育産業だと思いますけれども、例えば成績情報などを子供たちに提供すれば、学校での習熟度を踏まえた指導支援ということができます。
 結果的にそうすると何が集まるかというと、これは学校の一切タッチしない、学校の外側で児童生徒に関する情報、成績とか得意・不得意分野、習得アプローチなどが集められる。さらに言えば、どの学校でどの先生がどのようなことをやっていたということも結果的に快適に集めることができますから、定期考査とか特徴とか単元別巧拙とか傾向など、さらに言えば設問等に関する情報というものが教育ビッグデータとして集まると。そうするとこれは、様々なアドバイスを行うだけでなくて、右側にありますような様々な副次的な利用もできると思います。児童生徒の学習支援だけじゃなくて、各種の評価、またスコア、これは単に児童生徒だけじゃないです。学校とか、または教えている先生がどの程度教える能力があるかということに関しても、外的な情報に基づいてかなりのことができるようになると。さらに言えば、それに基づいた児童生徒の評価を踏まえて、企業がそれに基づいて、この子供が、また、この生徒がどのような能力があったのかということを把握して、企業の採用などに使うということにも使えるのかなというふうに思います。
 こういったことが実際にもう既に中国で起きていますけれども、こういったことを日本でも行うことができる。
それから重要なのは、これに関しては、例えば1社が単独でやることも可能なんです。1つの事業者が先ほど言ったような形で集めることができます。そのために必要なコストということでいいますと、例えば中国では既に、1社に対して数千億円単位のお金というものが投資されています。逆にそれだけのお金を投資して、様々な形で情報を集めることが可能なわけです。ということは、日本でもビジネスとしてマネタイズされるという算段がつけば、同じようなことが単独の1事業者がやるということも可能になります。
 そうしますと、論点として下に書いていますけれども、仮に事業者が単独で教育ビッグデータを公教育の外側でつくった場合、これと今まで皆さんと議論させていただいた公教育、さらに言えば公教育とビッグデータとの関係をどう考えるべきかというのが、多分論点としては出てくるのかなと。そういったことが今後、これも遠い将来の話じゃないです。既に中国ですとかインドでやられています。ですから、いつ日本に来てもおかしくないといったようなことで、非常に近い未来にこういったことも検討しなければいけないということも併せて考えていただく必要があるのかなということを思いまして、私のほうから一応、海外事例という形で報告させていただきました。

(委員からのご意見等)

【座長】 ありがとうございました。大変貴重な、そして刺激的な中国での事例を御紹介いただきました。梅屋委員がこういうことを御提案いただいた背景には、私たちが考えるべき、当面は公教育データと言っている、学校の中で取るデータをどうするかということを今私たちは考えていますが、恐らく日本でもすでにこういうことが行われていると思うし、これは個別のユーザーから見れば大変望ましいことが起こっているわけですよね。だから、そのデータとどういうふうに組み合わせていくかとか、再利用していくかとかいうあたりをこれからどうしていくかというようなことの一つの例を梅屋委員が御提案いただき、ある意味、慎重に考えなきゃいけないという部分も御提案いただいたのかなと思っております。
 ここにつきまして、まず、先ほどの情報教育・外国語教育課の御説明と、あと梅屋委員の御説明につきまして、質問や御意見について少し時間を取りまして意見交換をしたいと思います。

【委員】 それでは、梅屋委員、それと、先ほどの情報教育・外国語教育課のGIGAスクールに関するお話について質問と意見をお話しさせていただきます。
 梅屋委員の先ほど御発表ですが、まさにそのとおりでして、私も懸念しており、やはり視野に入れなければいけないというところを端的に御説明いただいたのかなというふうに思います。
 中国に関しては、恐らく民間でいうとまさに世界のユニコーンに入っている企業でiTutorGroup(アイチューターグループ)というところが、民間主導で教育ビッグデータについて非常に進んでおりますので、ぜひそちらも見ていただけると。本当に驚くべき進行具合というところが見てとれると思います。
 ただ中国は、国費で人1台デバイス配布を政策として打っているわけではございません。あるとすれば、まだ小国ではありますが、アフリカのルワンダが1人1台、これは国費ではなく、恐らくMITのネグロポンテがやられているNPOで1人1台というのを実現しているのですが、その先のいわゆるビッグデータの扱いについては、どこもまだできていません。やっぱり民間が圧倒的に主導しています。
 ですので、エビデンスもございませんが、未来を予測すると、民間のいわゆるデータの扱い方というものを、公教育側もかなり参考にしなければいけないんじゃないかなということを感想として申し上げさせていただきます。
 続きましてお話しさせていただきます。情報教育・外国語教育課ご説明のGIGAスクールですが、非常に進んでいるようで本当に安心しました。ぜひ、デバイスのその先、どう使うかというところの議論に入っていければうれしく思っております。
 1点、デバイスの持ち帰りについて質問させてください。GIGAスクール端末の持ち帰りについて、原則自治体主導ということで、文科省からもQ&Aなども今、おつくりになられているということで伺っておりますが、原則、GIGAスクールは持ち帰りも前提、例えば宿題でやってもらうとか、コロナによる休校など、そういったところは当面の活用になると思うのですが、現状の自治体の持ち帰りに対する考え方というか、姿勢というか、私がヒアリングする限り、そこはばらばらのような気がするんですけれども、現状、お分かりになる範囲で教えていただければなと思います。

【情報教育・外国語教育課】 まず、持ち帰りにつきましては、先ほど御説明した3つの対策のうちの利活用のところで、私どもとして基本的に、当然、端末の持ち帰りは有効であるということをお伝えした上で、その準備を進めてくださいということをお願いしております。
 もし資料の共有が間に合えばですけれども、先ほどお配りさせていただいた、例えば資料の15ページからでございますけれども、参考1としてつけさせていただいておりますが、特に例えば端末の整備・活用のところで、そういう基本的には有効であるということを伝えた上で、我々からお願いしておりますは、1ポツの2つ目の黒ポツにありますように、そのために必要な持ち帰りを安全・安心に行える環境づくりを取り組んでほしいということで、数字上、もう少し詳細に書いておりますけれども、特にやはり保護者の御理解とか、あとは端末の扱い方とか、そういったものをしっかりやっていく必要があるだろうということで、そのルールづくりを含めてお願いを今回させていただいているところでございます。
 我々まだデータとして、どれぐらい実施状況があるかというのは、まさにこの4月以降、実際に多くの学校で使い出したとき以降で、データなど取れるものは取っていきたいなということでちょっと考えているところではございますけれども、まず、いわゆるGIGAスクール元年の前夜のこのタイミングであれば、しっかりとそういったお話をしつつも、やはり現場で持ち帰ることに対して不安があるという声も聞こえておりますので、その不安を払拭するためにそういったチェックリスト、もしくは考え方を整理しております。
 また、資料の20ページを御覧いただきますと、これも今回提供させていただいておるのですけれども、先行している自治体では、そこも視野に入れて取組が進んでおります。特に左側には、私どもの有識者の皆様からも御指導をいただいて、優れた例を挙げておりますけれども、特に保護者向け、児童向けでいろいろとリーフレット、説明資料をお作りになっています。例えば右側のつくば市教育委員会さんの取組ですと、パソコンを持ち帰るときの注意事項として、子供たちに分かりやすく伝えるようなリーフレットを作っている例もありまして、こういったことを私どもからは、今、情報提供させていただいております。
 なので、保護者の理解を得ること、また、子供たちに持ち帰った端末をどう扱っていくのか、進んでいる自治体はしっかりとお考えになっておりますので、こういった例と併せて、各自治体の状況に応じて準備に取り組んでいただけたらと思います。
 ただ大事なのは、準備が整っていないにもかかわらず、無理に持ち帰らせたりとか、そういった取組は非常に後で問題が多くなりますので、チェックリストなども活用して、まずは各自治体でしっかり御検討いただくよう、そういったことを促していきたいというのが今の状況でございます。

【委員】 ありがとうございました。よく分かりました。やはり安全性と利便性、このバランスで各自治体も多分試行錯誤されているんだと思います。
 できれば、自治体ごとに、もちろん自治の独立性というのはあるんですけれども、自治体ごとにその扱いについてはあまり違いはないと思いますので、ぜひガイドラインなどを出していただければうれしく思います。

【委員】 今日、たった今取り組まなきゃいけない課題のお話から、随分先に取り組むかもしれない中国の大きなお話ということで、すごく地道なところから未来までを見据えた議題1なんだなというふうに感じました。
 私自身も欧米の展示会も行きますし、中国中心に展示会、このところ毎年行かせていただいて、去年はちょっとコロナで行けなかったんですけれども、正直申し上げて、中国の展示会で展示されている、もう既に商品になっているものが、ちょっと発想が桁違いで、今日御提案いただいたというか御説明いただいたような内容の、あれも様々なバリエーションを私も展示会で見ておりますけれども、すごく進んでいるというか、すごく桁外れ、そっちのほうに進むかどうかということも含めて桁外れな発想の中で進んでいるということは認識しています。
 その上で、我々は我々の中で、そこをにらみつつ、できることからやっていくのかななんていうふうに思いながら感じたところですが、今、先行してGIGAスクール構想を進めている様子を見ると、毎日大量にデジタルデータが生まれているといえば生まれているわけです。子供の作品とか、毎日の振り返りとか、日記みたいなものから、単なる連絡まで。こういったデータについて、そういうデータ分析の専門家から見れば、くずなデータだと、ちょっと相談したら言われたこともあるわけなんですが、ある程度、例えばフォーマットを決めたり、ある程度そういうふうに何らかの意図的な取得の方法があるならば、この後、4月以降、かなり本格的に、毎日毎日莫大なデータが発生するんじゃないかなと。それを何とかできないかななんていうふうには思っています。
 別の文部科学省の先端技術活用のほうで、我々、京都教育の桃山小学校で、汎用のクラウドのところに汎用のデータがたまってきていますので、それを即時にAI分析して先生にフィードバックするなんていう小さい試みはちょっと始めていますが、何か狙いすまして大きな制度をつくって、その制度の中でデジタルデータを集めていくという考え方もありますが、4月以降大量に、いろいろな形になりますけれども、そういうものも何となく活用できるんじゃないのかなというように少し感じたところであります。
 以上になります。

【座長】 貴重な意見、ありがとうございます。
 実際、学校現場あるいは教育委員会レベルでは、いわゆる全国レベルの大きなクラウドにある教育ビッグデータよりも、毎日集まるデータを、すぐに学習指導、あるいは生徒指導に還元できないかという、そういう現実的な話はやっぱりあると思うんです。その辺りは急がれるべきで、これとは別に教育ビッグデータをどういうふうに公教育データの中でうまく取り扱うか、あるいは学校外のデータとどういうふうにつなげていくかというのは次なるステップとして私たちが考えなければならないことかと思います。そのためにも先進事例がやっぱり必要だと思いますので、委員のお取組も注目していきたいと思います。

【委員】 もともとのお二人の説明と、それから、委員の意見と、関連してまとめてになるんですけれども、持ち帰りの点でいきますと、今実際、奈良県でも持ち帰り、持ち帰らないというところの差分のことなんかを見ていると、結局、先ほどから文科省の方が言っていただいているようなコンセプトもやって、セキュリティーのことも考えて、無理しないと言うんですけれども、今、保護者会を始めているんですが、保護者の方は、いきなりルールや同意書や、こうやって使ってくださいという書類が届くと、それにサインをして初めて物が届くと。これはさんざん最初に、いろいろな意味で、こうしないでください、こういう活用だけでいきましょう、ここはやってくださいって言うもんだから、届いたときにはもう既にテンションが下がっているというような声も出ているわけです。
 それは確かに、考えている人間にとっては必要なことで、やるべきことだということで進めてはいるんですけれども、分かったものが分かっていない人に届けた瞬間に、もうそもそもが何のためにとかが伝わっていないんですよ。なので、やることも大事だし、コンセプトも大事だけれども、まずは全体としてこれが何のために、どういう結果を求めている、それのために私たち教育関係者が、大人から子供へのプレゼントとして、こういうふうな意図で端末を届ける、ネットワーク環境を整えることだということをちゃんと理解してもらわないと、とにかく渡すほうも受け取るほうも不安と、ちょっとした拒否感というのが出てしまっているというのが現状です。
 だから、そこを超えたらもう、喜んで使っておられる家庭もいっぱいあるし、もう自分自身の端末を、4歳、5歳の子にも買ってあげたいといって、家庭で端末を買う流れももう始まっているんです。使い古した机と椅子みたいに、上の学年から下りてくる端末じゃなくて、もう入学したら新品の端末を触らせてあげたいんですという親の声というのが物すごい数あるんです。
 だから、そういうことなんか考えると、子供の使っている様子とか、やるべきことのニーズは、子供を見る中で必要だというのが分かれば、先生のほうも親もしっかりとそれをサポートしていく、じゃ、用意してあげようという機運も生まれると思うので、学校で買ったものを貸し出すという発想ではなくて、社会の中で子供たちが、いろんな場面で学ぶために必要だということについては、もう絶対に必要な、そこをまずしっかり周知していくことが大事かなと思っています。
 それから、委員の言ったように、使わなくなったデータをどうするとか、つくって生まれる活用のことばかり、まずは先行して話が行くんですけれども、今、うち、いよいよ卒業生が出ているんです。高校3年生でもう卒業しちゃう、中学3年生で私立に行っちゃうという子が出ていたときに、今までやってきたこのデータはどうするのということが物すごく議論になっています。つまり、量的に、要る、要らない、ごみになっている、有用だというデータがあるにしろ、内と外という発想でデータを扱うのであれば、外に出ていくときに、そのものは誰が持っていて、どうなのと。コンセプトとしては、教育データは個人とひもづいていないといけないので、子供たちが持って、その先で使えないと意味がないといったときに、そのデータの在りかをアカウントに結びつけて、やっておきましょうとかいう発想にならないと、指導要録みたいに校長室の金庫の中に直しといて、必要なとき先生が出すんだというような教育データになってしまうと、そもそものコンセプトが崩れていくと思うので、その辺についてもちょっと見通した上で、じゃ、データの在り方はどうかということを整理しておく必要があるかなというふうに思いました。
 以上です。

【梅屋委員】 先ほどの説明に1つだけ補足したいと思っていまして、私のほうで、この中国の事例紹介という形でさせていただきましたけれども、これは結構、思った以上に早く日本で展開される可能性があるんじゃないかと我々は思っています。
 例えば今、中国で言うと、いわゆる決済でAlipayとかWeChatPayといったようなものがあって、日本はそれに倣って、例えばPayPayとかLINE Payとかいろんなものがスタートしていますけれども、例えば、現実にAlipayとかWeChatPayがビジネスとしてスタートした、まともに立ち上がったのは2015年、16年ぐらいなんです。その2年後、だから2018年の暮れぐらいに、実はもうPayPayというのが日本でスタートしています。ですから、昔に比べると、この手のものって、ビジネスになるとなると、ある意味、非常に短い期間でやるということになります。
 実際、私、今回の中国のものを見せてもらって、中身も見たんですけども、正直、算数・数学とか、英語とか、理科とかという世界であれば、そのまま日本の問題とほとんど、高校生まで含めて変わらないんです。とすると、あとは極端な話、資金だけなんです。ただし、今言ったように、EdTechの世界とか、こういう何とかテックというのは、今、世界中でお金を集めるのが非常にやりやすくなっています。ですから、極端に言えば、数千億集めて、いきなりスタートすることも可能なんです。
 ですから、例えば5年後、10年後ではなくて、もしかすると来年、また、場合によっては今年にいきなりこれが日本でスタートするかもしれないと。そうすると、公教育でこういう議論をしているものとの兼ね合いをどうするのかと。排除するのか、いやそうじゃなくて、どう連携するのかということを、多分かなり早い段階から考えていかないと、いきなり来た後で考えても間に合わないんじゃないかと。そこに関しては、ぜひ、今後の議論の中でいろいろお話があるかもしれませんけれども、そういったところをぜひ議論できればなというふうに考えています。

【委員】 ちょっと先走って恐縮ですけれども、今、皆さんがおっしゃった話と、それから中間まとめの7ページ目の絵がちょっと気になっていまして、この絵を見ると、学校にデータが集まって、それはもちろん本人のところにも来るんですけど、大学とか研究機関には学校からデータを出すというふうになっていますよね。これは違うんじゃないかと。つまり、データを一番集約できるのは本人なので、学校由来のデータ以外のデータも本人のところに恐らくやってきますから、そこでやってくるということは名寄せがされて、いいデータになるので、大学・研究機関としては、本人から直接そういうデータをもらうほうがありがたいはずですよね。それは二次利用の話ですけれども、その前の一次利用の段階で本人にデータが集約されていて、それをフル活用できるという話と、二次利用にもそれが役に立つという話を合わせて考えていただくというか、設計すべきではないかというふうに思います。
 それと、先ほど中国の事例の御紹介がありましたけれども、確かにこういう話はすごく早く広がるので、やっぱりそういうことを想定して考えておかないといけないと。最近LINEの例とかあって、データが中国に流れちゃっているんじゃないかみたいな話がありますが、だから、本人を中心にデータを回すということが前提なんだけれども、そこの基盤、ツールをしっかり整備することで、例えばほとんどのサービスはデータを外に出さずに受けられるとか、手元のアプリで全部やってくれるとか、ほぼやってくれるというふうな仕組みをつくりながら進めるのがいいんじゃないか。
 さらに、データを外部に出す場合でも、全て本人の判断で誰に出してもいいというのではなくて、ある程度、与信の評価みたいなことをして、この業者であれば出してもいいみたいなこともやるべきではないかなというふうに思います。
いずれにせよ、脱学校なんていうことはもう50年以上前から言われていることなので、全く新しくも何ともないわけですよ。ようやくそういう時代が来つつあるということで、慌てずに、当然そうなるということを前提にして進めていくのがいいのではないかと思います。
 以上です。

【委員】私のほうからは、先ほど御紹介いただきました情報教育・外国語教育課のほうからいただいている持ち帰りの点のところで1つと、委員のほうからありましたアカウントの9年生、本市につきましては中学校3年生ですね、9年生のところのリセットにつくところで、ちょっと御提案というかお話しさせていただければと思います。
 つくば市は、先ほど見ていただきました資料につきましては、まず、持ち帰りといった部分では、国が補助をして整備をしてきたGIGAスクール構想というのを市がしっかりやっておりますよ、そしてこういう端末を皆さんこれから学校で使っていきますよ、おうちにも持ち帰れますよということで、まず、ただ見せるというだけの持ち帰りをしたんです。そのときに、市としてはこんな教育をやっていきますよという、先ほどもありましたように、わくわく感を持たせるために、国がこんなふうに整えてくれましたよ、じゃ、これで教育やっていきますよという、持ち帰るという目的だけ、見せるという目的だけで、まず最初におうちのほうに持ち帰らせたんです。そうすると、おうちの方々は、あっ、ちゃんと用意してくれているのね、この状況下において準備ができているのねという安心感のお言葉をたくさんいただくことができました。
 その次の段階として、じゃ、これを使って、家でも学習をするといったときに出てくる課題に対しての、今度、心配感といったところのケアをしていったときに、まず大きく2つの視点、保守の部分とセキュリティーの部分というのが担保できなくてはいけないということで、そこが担保できる約款をつくり、約款の下にあるルールをつくり、ルールの下にある運用の心構えというこの3段構えでつくば市のほうは進めているところです。
 この約款にひもづく部分に関しては、ほかの自治体さんにも参考になるのかなと思いますので、先ほど委員からもありましたように、何か1つのデフォルトの形で、もし必要であれば、つくば市としても御提供できるものかなというふうに思っております。それが提案として1つです。
 もう1つ、先ほど今、中学校3年生がいよいよアカウントのリセットになるんですけれども、このときに私たちも今、議論しているところなんですが、どうやってこのアカウントに保存されたデータを持ち帰らせるかといったときに、総合的な学習の時間になると思うんですけれども、キャリア教育の中で自分たちの9年間の学びのデータを振り返るという単元を位置づけようというふうに考えております。その単元の中で自分たちのデータを振り返るときに、何のデータを見せて、どういうふうに自分たちに振り返させるのか、そのデータは、私たちが目指すのは、就職の段階になったときに、自分は何者なんだというものが自分が示せるようなデータを持たせたいという大きな夢なんですけれども、それを持ったデータ集約をして、子供たちに9年間の学びを持たせて卒業させましょうという話をしていきました。
 それに向かった今、何のデータを取って、どんな形で返していくかというのを、つくば市は具体のところで、学習支援システムと、それからOSが持つデータプラットフォームで何ができるかというのを、今、具体の案を詰めているところです。ぜひこの辺りについても御意見いただければと思っています。
 以上です。

【情報教育・外国語教育課】 委員の先生方、本当に貴重な御意見、御指摘ありがとうございます。今、文部科学省のほうといたしましては、このGIGAスクール、当然5,000億近い経費を投入して、これはともかく積極的にしっかり活用するという方針は、ここに何らぶれはございません。
 ただ一方で、これまで、先ほど御説明したように整備に邁進してきて、何とかめどが立った、ここで今、現場からは、正直申し上げて180度違う意見がいろいろ集まってきているということであります。ぜひ積極的に使っていきたいというお声もあれば、本当に子供たちに今、端末を果たして大丈夫なのかという御懸念の声でございます。
 我々はぶれない、積極的に使うために積み重ねていかなければいけない準備というものがあるだろうということで、まず現段階では、チェックリストとか留意事項、そういったものをお伝えしつつも、この4月以降、本格利用、稼働が始まりますと、恐らくいい事例もそうなんですけれども、多分トラブル事例が全国各所で、起きてこないことを祈ってはおるんですけれども、トラブルは生じ得るだろうと思います。であるがゆえに、そのトラブルがあるから使わないのではなくて、それをどう乗り越えていくのかというところに軸足を置いて進めていきたいと思います。
 なので、先行されている自治体の足を引っ張るつもりは我々全くございませんので、そういったところでどんどん好事例をおつくりいただき、ぜひそういった観点で、どんどんフロントランナーとしてお進みいただけるとありがたいなと。我々はそういった好事例をぜひ全国に展開していく、そういったことを積極的にやっていくことで、やはりその差が出ないように取組をしっかりと進めていければというふうに思っているところでございます。
 貴重な御意見、どうもありがとうございました。

【座長】 それでは、ここまでで議題1をおしまいとさせていただきまして、続きまして、次の議題2、論点整理(中間まとめ)(案)につきまして御検討いただきます。
 

議事2.論点整理(中間まとめ)案


※資料3「教育データの利活用に係る論点整理(中間まとめ)案」に基づき、事務局から説明を行い、委員から意見等が出された。

(委員からのご意見等)

【座長】この論点整理(中間まとめ)の案につきまして、これから議論をしてまいります。事前に委員の皆様には配付されておりますので、お目通しいただいているかと思いますし、これまでの議論を整理いただいて、こういうふうに章立てしていただいているということですので、個別の部分にはさほどの問題はないかと思うんですけれども、大事な観点、あるいは論の進め方などについても御意見はあろうかと思います。
 これから先なんですけれども、時間の関係もありますので、6章までが総論ということでしたので、この総論、つまり教育データとは何で、どういうふうに使っていくべきかみたいな話について、まず議論というか審議をしたいと思います。
 それで、委員の皆様から御意見をいただいた上で、7章、8章、9章について、また後ほど議論するという形で、2段階に分けて話合いをしたいと思いますので、そこをよろしくお願いします。もちろん内容によっては、5章のことなんだけれども、8章に関係するということはあるかと思いますので、それは付け加えていただきながらお話しいただければと思います。
 何より大事なのは、こういう教育データについての議論が、私たちのこの検討会議で行われ、そしてこの会議から、まず中間まとめを年度内に出して、こういう方向でやっていくんですよということを、もちろん議論は途中なんだけれども、そこで一度、世の中にお見せするということが大事なことですので、その残り時間を考えると、大幅に何かを修正するということは難しいかもしれませんが、よりよい中間まとめを報告するという観点から御意見をいただければと思います。

【委員】 多様な意見をまとめていただき座長及び事務局の皆様方にまず敬意を表します。
 それでは、ページに沿って意見を述べさせていただきます。
 まず、3ページ目です。教育データの定義(3)対象についてですが、定性的データの説明に「成果物や協働学習の状況、教師の見取り等」とありますが、「思考・判断・表現や主体的に学習に取り組む態度」など、指導要録の評価の観点で使われる文言を入れたほうがわかりやすいのではないでしょうか。
 4ページの四角囲みです。教育データの利活用の5つの原則について、読む人によっては少しわかりにくい文言もあるように思われますので、原則の見出しを強調せず、そのまま説明に移った方がよいと思いました。
 その際にも、言葉の吟味が必要で、例えば(1)は「技術やデータの利活用自体を目的化しないこと」、(2)は「最新・汎用的な技術を活用すること」、(3)は「簡便かつ効果的な仕組みを目指すこと」、(4)は「受益者の安心・安全を確保すること」、(5)は「可能な範囲で着手し、逐次改善していくこと」など、読み手に伝わりやすい表現を検討していただきたいと思いました。
 続きまして、4ページの(1)の2つ目の丸については、内容が見出しと合致しないので、なくてもよいかもしれません。
 残す場合についても、受益者に保護者を含むのであれば、教育データを用いて学習者のサポートを行うという意味で、同じような立ち位置である教職員や学校も並列で含める必要があると思いました。
 6ページの(1)の4つ目の丸について、9ページの(2)の最後もそうなのですが、学校の教職員の関心についての記載で、これが全国的な総意と捉えられるような書き方はしないほうがよいと思います。
 ここでいうヒアリング等の結果は、校務支援システム導入前後に着目したもののようなので、現在は存在しないデータを新たに作り出すことに関心が低いと言ってしまってよいか疑問です。全体をどれくらい説明できるかわからないのであれば、新たな知見の生成もアナログデータのデジタル化も双方重要であるため、方針を限定しない方がよいと思います。
 最後に、6ページです。2ページで述べられている教育データの定義を「学校教育における児童生徒(学習者)の教育・学習に関するデータを基本とすると記述していますが、5.教育データの利活用の視点(2)では、教育データを「学校教育で活用するデータと学校外教育等で活用するデータ」や「公教育データと個人活用データ」と表現しています。表現が複数あり用語の統一が図れていないように感じるため、論点整理の段階で用語統一を図ったほうがよいと思いました。

【座長】 ありがとうございます。貴重な御意見です。特に公教育データというものはどういうものかというところは非常に、公教育データではないものとの今後の接続、受渡し等を考えますと非常に大事なことかなと思います。

【委員】 今回の中間まとめが出たときに果たすべき機能、役割の観点からコメントさせていただきます。
 2つの大きな役割があるかと思いました。教育データといったときに、アナログではなくデジタルになって取っていけるものがたくさんある-そのためのハウツー、ノウハウについてまとめる役割。この点については、どんどん積極的に進めていけばいいだろうというふうに思いますので、特にコメントはいたしません。
 2点目の教育データといったときに、何がデータになるのかとか、そのデータからどういうことが分かるかということについても、この中間まとめで触れていこうとしているというふうに考えました。この「何がデータたるべきか」というあたりについて、ある種の原則的な考え方ですとか、教育に関する、言わば哲学のようなものがあると、中間報告が外に出ていったときに中身がしっかりと伝わっていくことになるのではないかと思いました。
 まず、この3ページの「対象」というところで、定量的データと定性的データという言葉がありました。先ほど委員から、思考力、主体的態度みたいなこともあったんですが、研究の立場から考えると、定性的なデータに関する、下に5の脚注としてある「数値として表せない質的なデータ」というのは間違っていて、順位尺度など質的なデータも数値では表せますので、演算が可能な数値として表せないのが質的なデータということを指したいのかなというふうに思いました。
 そうやって考えてみると、もしかしてここでおっしゃりたいのは、後で14ページあたりに出てくるんですけれども、「定量的なデータだけではないものに目を向けていこう」ということかと思いました。そう考えますと、定性的データ、定量的データでそれを伝えようとすることよりも、この(3)の2つ目の丸のところ、「利活用目的等によって議論すべき点を区分することが必要である」の後ろに、「その際、どのようなデータであっても、教育に関わる営みの一部を切り出したものにすぎないことに留意すべきである」という留意点がつくと、現実世界で教育に関わる営みからデータを切り出した時点で、まず取捨選択が起きているということが伝わりやすくなって、だからこそ、教育のやり方によって実はデータの生まれ方も変わってしまい、データにしやすいところだけをデータにすることを超えて、データが取りやすいように教育の方が変わっていってしまうというのを防ごうという、そういうことになるかなと思いました。
 次に、3番の絵の下の丸5、行政機関・大学等の研究機関の視点のところでございます。ここについて、この2番目の、これまで分からなかった新たな教授法・学習法を創出と書いてあるんですが、日本語がちょっと分かりにくいというのもありますので、もしかすると、ここで一番、大学等の研究機関がやるべきことというのは、「これまで分からなかった人の学習過程の解明に基づき、新たな教授法・学習法を創出」ということになるかなと思いました。
 それは、実はここの絵全体で、教育データを取る目的というのが、人の学習過程-左上の子供の視点であれば、「僕・私ってどう学んでいるのかな」、丸2の保護者でいうと「子供がどう学んでいるのかな」、丸3の教師でいうと「児童生徒はどうやって学んでいって」、さらに「教師である私自身がどう学んでいるか」。学校設置者が「先生ってどうやって成長していくか」-という学習過程自体が分かっていないということが結局一番大きな問題なので、教育データは学びの過程の解明というもののためにまず使われて、そこから新しい教授法が出てくるという、そうした仕組みになってくると、教育データ利活用の目的がはっきりしてくるかなと思いました。
 以上でございます。

【座長】 ありがとうございました。中教審なんかでも、委員が今おっしゃった、学習というものがどういうものなのかということの解明が、最近の学習科学等の発展によって随分と明らかになってきて、そのことと、だから、授業づくりがどうあるべきか、学びの支援がどうあるべきかということの考え方が随分変わってきて、学習指導要領がそれを反映しているということになりますので、そう考えると、これまで分からなかったのは学習の過程、学習のプロセスであって、それを前提に新たな学習の指導法、教授法等が出てくるという、そういう書き方にするというのはなるほどと思いました。

【委員】全体を通して読ませていただきましたけれども、非常にうまくまとめていただいてありがとうございます。
 細かいですけれども、3点だけですが、まずは5ページ目ですけれども、(4)の教育データの安全・安心の確保というところで、2点、丸がありますけれども、まさにここに書いているように、安全・安心に利活用が図られるような仕組みやルールが必要であるというふうなのは全くそのとおりなんですが、一方で、データを利用して学習を改善するというメリットもありますので、データの利活用によるメリットとのバランスを取ることが大事であるというか、何かそういう1行があるといいのかなと思いました。
 あまりにも安全・安心に寄り過ぎて、簡単に利活用ができると、その現場でですけれども、もっと教育、学習活動がよくなるのに使えないというふうなことにならないように、うまくバランスを取ることが必要ではないかなと思いました。それが1点目です。
 2点目が6ページ目の4つ目、委員も御指摘されましたけれども、学校現場の方のアナログで扱っているデータをデジタル化し、より便利で安全にということで、確かにこういう意識が現場の先生方は高いのだと思うんですが、それだけではなくて、教育データを使って教育改善に、学習改善に利用していくという、そういうことも啓蒙していくことも大事かなと思いました。
 それから、そのすぐ下のところで、二次利用のところです。二次利用の研究等の成果からというところで、最後、同時並行で検討を進めていくと書いているんですが、検討だけではなくて、これをもう実施して、独自に検討を実施していくといいますか、もう少し、検討だけではなくて実際にやっていくという文言にしたほうがいいのではないかと思いました。
 私からは以上です。

【委員】 教育データを活用の流れの中で少し考えてみると、どういうふうに理解したらいいのかが分からないところがあるので、質問というか、少し聞いてみたいなと思います。
 例えば教育データというのは、まず、収集したり蓄積したりするフェーズが最初に大体あるんじゃないかなと思います。その後に、多分それを分析、大量のデータですから、何らかの、AIか何かを使ってまず分析するフェーズがあって、それを何らかの方法で表示したり、表示したものを活用するフェーズかもしれませんけれども、そういうのがあるなというふうに思います。
 そう考えると、もちろん最初のデータを収集して蓄積したところのデータは、誰が所有者なのかとか、誰が権利者のかというふうに考えれば、データをつくったとか発生させた学習者にひもづけやすいとは思うんですけれども、その後、分析して丸まったデータは、一体これは誰のものなのかとか、どういうふうに考えていくのか、さらにそれを工夫して表示するというと、ますます。その辺が接続がうまくいくと、どんどんどんどん教育データの活用がうまくいくんじゃないのかなというふうにも思ったりもするわけです。
 となると、7ページの一次利用、二次利用の個人データという、この個人データのこの図に関しては、収集したり蓄積したりしたデータのことを一次利用、二次利用と言っているのであって、その収集したデータを加工した後の最初の分析データという意味で、二次利用ということではないのかなと思いつつ、その後の8ページのデータサービス層という丸1の部分は、どちらかというと分析も済んだものを表示して、表示したものを扱うことも教育データというふうに言っているようには見えるので、教育データといっても非常に生のデータから、非常に加工が済んだデータまであって、その間いろんな組織がいろんな方々が関与するんじゃないかと思うと、ちょっとその辺りの記述があまりないかもしれないと感じました。
 以上です。

【座長】 ありがとうございました。実際の公教育データの収集から加工、利用、サービスにつながるプロセスが少し分かるように、何とか修正したいと思います。
 一度、6章までの総論部分につきましては、一旦ここまでとさせていただきまして、この後は7章以降の各論の部分につきまして御意見のある方は挙手をいただきまして、修文の案をいただければと思うところです。

【委員】 まず、9ページの7.学校現場における利活用という見出しがありますが、ここでは一次利用についてまとめていると認識しており、せっかく先の整理でも論点における視点の一つとしてまとめているので、見出しに一次利用である旨を補足的に追記してもよいのではないでしょうか。
 そして、(5)だけは、学校現場での活用の内容ではないので、別立てにすると整理しやすいと感じました。それに関連して、19ページからのビッグデータの利活用については、二次利用に関する言及と思われますので、見出しに二次利用である旨を追記してもよいと思います。
 次に、9ページの2つ目の丸です。教育データの活用による効果を、学習者だけでなく指導者が実感する必要性が大きいと思いますので、主語が指導者とわかるようにした方がよいのではと思いました。
 続いて、9ページの下から4行目に事務事業務に負担を感じていると記述がありますが、これは教育現場が調査やアンケートに対する必要性や有用性を感じていないことも一因と思われます。何のための調査なのかというメッセージをきちんと伝えるとともに、調査結果をできるだけ教育現場に還元していく必要があると思います。
 続きまして、13ページの丸2具体的な活用のユースケースの1つ目の文章について、学校現場での主体的な活用を目指すのであれば、非常に重要な点でもありますので、もう少しクローズアップしてほしいと思います。自分たちの経験や実践を帰納的に積み重ねていくことで、主体的なデータ活用者が育つと思います。
 また、15ページの丸3データリテラシーの向上の2つ目の文章で、「データの読み取りや解釈等に係る専門的な知識がなくても」とありますが、この表現だと「専門的な」という修飾語を抜いて読んでしまうと意味するところが大きく変わり、データリテラシーの向上と逆の文脈になってしまうため「データの読み取りや解釈に係る基礎的な知識があれば」と変更してはどうかと思います。
続 きまして、18ページの、最初の丸で書かれている、全国の学校や自治体が標準的に備えるべき仕組みについて、現状学校現場で使われている仕組みを最大限生かせるものにしていただきたいと思います。現在存在するデータの集約については、校務支援システムの活用が位置づけやすいと思われますが、例えば人事事務などでは県から来る様式が年度ごとに異なっていたり、国の書式と一致していなかったりするので、他自治体等との横の連携も重要ですが、県や国との連携の視点でも働き方改革に寄与できるようにしてもらいたいいと思います。
 そのためには、県や基礎自治体のDXも進め、学校現場と一体的にパラダイムシフトを起こす必要があるのではないかと思います。
 19ページの(3)丸1の1つ目の文章についてですが、ビッグデータの分析結果を児童生徒や教職員が直接的に活用することは難しく、何度も申し上げておりますが、現場のスモールデータ、今回の整理で言うと一次利用が重要になります。
 最後に、27ページの10まとめの2つ目の丸で、関係者において、「本論点整理を踏まえ、可能な部分から取組に着手することが期待される」とありますが、本論点のうち、何がすぐに取組に着手することができるものなのか、何がまだ検討が必要なのか、つまり、今後さらに深めるべき論点はどこなのかまで、本論点整理には記載する必要があるのではないかと思いました。

【委員】 後半についてです。11ページです。これは事務局にというより座長代理に御意見を伺いたいんですが、この2枚のスライドというのが、個人の研究者としてこんなふうに整理ができるということをおっしゃりたかったという意味ではよさそうなんですけれども、これが資料として出てしまうと、例えば「AIドリルというのをアクティブラーニングと両立不可」と言い切っているあたりのことや、本当にこの分け方でいいのかどうか、結構、論争的なところでもあるので、座長代理としては、このままお載せしてよろしいでしょうか。
 下のほうのスライドについても、学力向上と人格形成について、スタディ・ログ、ライフ・ログ、それぞれが役に立つというのは、これは当然なんですけれども、両者の間でも相互作用があるのではないかというのも含めて、図の上も下も学び方やデータの利活用を分断していくような形にならないといいなという点で大丈夫でしょうか。こうした点を座長代理に後でお聞きできればと思っております。
 次に20ページの8番のビッグデータの利活用から来ているところなんですけれども、(3)の丸1がビッグデータの意義・効果、丸2がビッグデータ利活用の目的となって、丸3でラーニングアナリティクスとなって、丸4で成果の共有というふうになってきていますので、ちょっと丸3だけほかと性質が違う項立てになっているかなというふうに思いました。
 ですので、例えばこの丸3で書きたいことというのは、ビッグデータの分析・利活用の方法というようなことで、その中にラーニングアナリティクスが入ってくるという、そういう構造かなと思いました。
 そう考えたときに、もしかするとビッグデータの分析・利活用の方法というのは、ラーニングアナリティクスだけではなくて、例えば一文なんですが、データの分析に当たっては、教科教育学、教育方法学など教育学的な分野、ラーニングアナリティクスなどの学習的な知見と教育現場の経験則的な知見を有効に活用していくことが考えられるみたいなことを頭につけて、ラーニングアナリティクスの話をすることによって、先ほど委員からもあったような、ラーニングアナリティクスだけでこのデータ分析をするのではなくて、アナログなデータを扱ってきた過去の分野との融合というのが図りやすくなるかなと思いました。
 それに関連して、その上の委員の参考資料についても、整理の仕方としては非常に納得できるんですけれども、これはビッグデータの利活用のときに、丸1、「授業で多く起きている問題を発見する」の後に、丸2として、研究者が解決方法を提案して、丸3で、先生方あるいは企業が授業で解決方法を実践するというふうになっていますので、研究者だけが解決方法を提案して、それを現場が実践するという方向性になっているというので大丈夫かなというのが若干懸念でございます。
 先ほど委員がおっしゃっていたような、スモールデータの場合は現場でこのサイクルが回って、ビッグデータの場合なのでこのような資料を持ってきているのかもしれないんですけれども、スモールデータのほうには、例えば現場が主体的にこのサイクルを回しているというようなものが、パラレルに入ってくると誤解を招かないなと思いました。
 ということで、ここのビッグデータの扱い方について整理ができると、原則的な考え方みたいなところは示していけるかと思いました。
 以上でございます。

【座長】 ありがとうございます。大変貴重な視点です。
 私どものこの会議では、それぞれの分野の専門家の方に、お考えをいろいろ御表明いただいた上で、それをできるだけ取り入れて、まだ1つに決まり切っていないんだけれどもという形で載せていったときに、今、委員のおっしゃったような、誤解を生む懸念については確かにあり得ると思うので、そこはキャプションのつけ方や、あるいは本文との対応関係で事務的にも少し整理していきたいと思います。

【委員】 各論のところでは、現時点のまとめとして特に異論はございません。
 大きいところの枠でいきますと、この後半に入って読みますと、先ほどの話ともつながってくるんですけれども、データが誰のどういうものということについて、やっぱり個人とひもづいているんですよと。それについては、生涯にわたって教育を学ぶ者を扱っていくという視点で考えているんですよということを、やっぱり示しておけたらいいかなと、それは最終的なところでもいいと思うんですけれども、そう感じています。
 例えば18ページの(5)が、実は7番は、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)と並んでいるんですけれども、実は(5)こそ大きいところのイメージがあって、前半の委員がおっしゃったような、ここは誰のものというような話を含めた上で、こういうことがベースですよねと。資料を見せていただいても、掲載されている委員のデータは、学習者がちゃんと真ん中に据えられていて、いかにも教育データは子供たちが享受して、子供たち自身が扱うようにも見えるような流れであるんですけれども、書きぶりが今何となく、学校側とか教員側がというようなところでの管理的なものが教育データという印象を現時点では与えかねないと思いますので、だから、そこについてはもう少し整理が必要かなと感じました。
 そうなってくると、上のページに戻っちゃうんですけれども、3ページの図なんかも保護者と子供たちがいて、一方には先生と学校があってというふうな構図に見えるんですが、本当は子供たちが教育データ自身を生み出していたり、結びつけられている子供たちを、保護者や学校や先生たちが囲んで扱うというようなイメージに、いずれはまとめていかないといけないのかなと、そんなふうに感じました。
 以上です。

【委員】 27ページのIDの話になるんですけれども、これは中間報告ということで、言ってみれば、何か取りまとまらなかったみたいな感じの印象を結構与えてしまうところを心配しておりまして、この辺の要素を何かもうちょっとうまく両立できる意見としてまとめることができないかなというのをちょっと考えてみたんですけれども、例えば児童生徒ごとのデータを学びの向上や研究等に活用していくためには、学校や地域を超えて児童生徒を一義に識別できると有用であること、係る仕組みは学習者のプライバシーに配慮しつつ実現すべきであること、こうした仕組みを実現する上で、マイナンバーカードの公的個人認証サービスの活用が考えられるとする意見などがあった。なお、国境を越えた学習履歴や学位情報の証明に当たっては、分散型ID等の仕組みも流行しているところですしみたいな形で、ちょっと直せば、それぞれ何か要件として両立可能な形で書けるんじゃないかなというふうに思いまして、ぜひ最終的な結論として、具体的なユースケースを基に検討が必要であるという結論には異議はないのですけれども、もし可能であれば、中間取りまとめで一定の方向性を、それぞれの意見を尊重した形で打ち出せると非常にありがたいというふうに思いまして、ちょっと御検討いただければというふうに思いました。
 以上です。

【委員】 19ページなんですけども、8章のビッグデータの利活用のところで、国全体でというところで、これは最初に、このデータはちゃんと匿名化されて、個人とはひもづかない形で集められているのが前提であるというふうなことが、総論のところで最初に書いておいたほうがいいのではないかと思うんですけれどもと思いました。
 それから、委員から御指摘のあった20ページの図ですけれども、このエビデンスのところ。これはそうなんです、実践現場でもちろん、クラスの中で先生方がうまくデータを使って教育改善に役立てるというのは前提なんですけれども、それを何をしているかということが、教育現場で何が起こっているかということが研究者の方、それからポリシーメーカー、行政の方というのは、エビデンスなどのデータが共有されてないと分からない。エビデンスを共有することによって、実践現場でこういう問題が起きているということが研究者の人、あるいは行政の人が分かる。そうすると、例えば研究者の人が解決方法を提案したり、政策を考えたりすることができるような、そういうイメージで書いております。
なので、文章で多分そういうことを説明していただいたほうが、誤解が生まれないかなと思いました。
 以上でございます。

【座長代理】 まずは、大変活発に御議論いただきまして、どうもありがとうございました。また、文部科学省の皆さんのほうで精力的にこの中間まとめを分かりやすくまとめていただいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 私のほうからは3点申し上げたいと思います。
 1点目ですが、先ほども委員のほうからもお話がありましたけれども、この資料とか参考で出ているものと本文の違いだとか、そういったことについて、中間まとめの性格について、前書きのところで少し整理されるといいのかなと思って聞いていました。
 要するに、一致点として見いだされた部分と、議論の中でこういう議論がされましたというものの一例として出ている参考資料という違いをはっきりと区別していくことが必要かなというふうなことを考えながら聞いておりました。先ほどから聞いておりますと、委員の間でも、やはりまだ一致していない点が多々ありますし、そういう議論が出たということの報告ということで、参考についてはよろしいのかなというふうに思っております。それが1点目でございます。
 2点目です。これは物すごく大きな話だと思っています。本日皆さんの議論を聞いておりまして、多分、まだ全員で共通理解できていない部分もあるし、共通理解できた部分もあるしという、それが中間まとめの現状なのかなと思っています。
 ということは、一番大事なのは3番のところに書いてある教育データの利活用の目的というところについて、ここだけは皆さんで共通理解すべきだろうというふうに考えております。恐らく、公教育のデータの利活用の話と、先ほど私教育のデータの利活用の話が出ていましたけれども、その背景にある哲学が実は全く違っていて、結構皆さんの間でも意見が違って聞こえていたんですけれども、一致しているのは恐らく、将来にわたった子供のウェルビーイングの実現という点では、皆さん一致しているんだろうなと。そのために、例えば先生方、教職員も、保護者の方たちも、教育産業の関係者の方たちも、教育委員会も国も、そのためにこれらの教育データを使って、どうよりよい支援ができるかということで、そういった意味では受益者であり活用の主体でもあるんだろうなというふうに思います。
 ただ、あくまでも子供のウェルビーイングの実現が目標なんだという点は恐らく一致できるのかなと思って、先ほど委員がおっしゃった哲学が必要だよ、ラーニングサイエンスを基にして、こうあるべきだ、教え込みでは駄目で、受け身の子供では、今回の新型コロナでつくづく感じられたような、指示待ちでいると大変困っちゃうけれども、自ら問題発見して、みんなで知恵を出し合って、協働的によりよい問題を解決していくという子供たちを育てるためには、新学習指導要領に書かれたように、問題発見・解決能力が大事なんだ、主体的・対話的で深い学びが大事なんだみたいな、そのためのデータ利活用であるよみたいな点は、ぜひ共通理解できるように、その部分を書いていただくといいかなと。すると、ここの図も若干違った図に将来はなってくるんだろうなと。現状はこれで結構なんですけれども、将来的にはその辺が構造的になるといいのかな、それが2点目でございます。
 3点目です。3点目は、先ほども委員からの御提案で、4つの階層に分けて物事を考えていくといいという話を、私も全くそのとおりだと思っていまして、この目的を達成するために整理しなきゃならないことが、多分後半のこの有識者会議のミッションなんだろうなというふうに考えております。
 それらの課題を整理する部分というのは、別途、後ろにあってもいいのかもしれないなと思いながらもおりました。例えば、先ほどの公教育と私教育との間の関係だとか、それから、私どもスマートスクールの実証実験をやったときには、学習系と校務系のデータを結びつけるということをするために、現状で言うと3階層分離していますので、中間サーバーを一々立てなきゃいけないみたいなのがあったんですが、技術の進歩により、ゼロトラストで(音声途切れ)でも十分安全にできるようなってきたりとか、それでデータの流通がより促進されたりとか、いろいろ基盤部分も考えなければなりません。
 それと同時に、ぜひ情報教育・外国語教育課がすばらしいStuDX Styleの現場支援の仕組みをつくっていただいていますので、今後もさらに、現場がこういう、何のためのデータの利活用か、何のためのGIGAスクールなのかという、その目的が理解できていないがゆえに、うまく活用も進まないというところがあるので、そこにはできる限り教職員の方への支援策や保護者の方への説明といった、今日出たようなことも支援としてお願いしたい。つまり、3点目は、ぜひ支援を明確にするとともに、課題というものを明確にすることもちょっとあるといいのかなということでお話しさせていただきました。
 いずれにしても、本当にすばらしいまとめになったと思います。これが結論ではなくて、あくまでも論点整理なんだということを明確にしていただければと思いました。

【委員】 今日のお話を伺っていて、先ほどまさに座長代理がおっしゃっていただいたように、子供たち、学習者のウェルビーイングを目的にするという、その目的については、本当に共通見解だと思っています。
 その上で、各論については、皆さん御専門の視点がございますので、そこについては、私は尊重いたします。その上で、前半のやはりデータの定義といいますか、その部分というのは改めてちょっと整理したほうがいいのかなと。先ほどの目的に合わせて整理したほうがいいのかなと思っています。
 教育データというのは、学習者のデータです。いわゆる学習履歴とかそういったものを含めた履歴になりまして、それは例えばリフレクション、自分たちがそのデータを見て振り返るとか、まさに学習者のためのリフレクションを使うもので、この赤い部分でしょう。そして、今も一緒に混同されているのがこの青い部分の教育データとか自治体データ、この辺りが混同されていて、ただ、この重なっている部分があるというところがすごく複雑になっているのかなと思います。
 例えば学習者を中心に学習データというのがあって、この中には、例えば先生の指導に当たるような、教育活動に関わるような、当然このデータも関わるでしょう。ただ、ここの中には重なっている部分がうまくちょっと表現し切れないんですけれども、学習者のデータとして学習ログもこの中に含まれていると思います。ある意味、こちら側のものに関しては校務データとかそういったものを指すのかなと思っています。
 今議論すべき学習者のデータというのは、このレンジの部分をお話ししているのかな、この重なっている部分ですね、先生のファカルティ・ディベロップメントに使われるようなデータというのは、まさにこっち側に当たるのかなというふうに思っています。
将来、この学習データというのは子供たちのため、ウェルビーイングのために使われるわけですから、恐らくこういう連携もあると思います。つまり、中村委員もおっしゃっていましたけれども、eポートフォリオのような活動、課外活動のデータなどは、まさにこういう観点で学習データというのを使われると思っています。
今回の委員会の主題が教育データというふうになっているんですけれども、スタディ・ログと教育データというのが結構混同して議論されることがあり、僕はやはり学習データを中心とした議論をここではすべきではないかなというふうに思っております。
 以上です。

【座長】 この中間まとめは年度内に出すことになっておりますので、今日御発言をしそびれた内容や、あるいは今日御発言された内容においても、事務局がこれを文章に加えていきますので、その文章に役に立つような具体的な修文案を、大変恐縮ですけれども、近々のうちに事務局にメール等でお送りいただければありがたいかなと。そのほうが事務局の負担も少し下がるかなと思っておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 まだ中間ですので、議論はまだ尽きないわけですけれども、この中間まとめをこういう形で幾つか文章を直すものの、公表するということについては特に反論はなかったというふうに思いますし、性格づけを明確にするようにという座長代理の話がありましたけれども、それはそのとおりですので、そういうふうにした上で、まだ論点はいろいろ残っているけれども、中間段階でここまでの議論を一旦公表するということにさせていただきたいと思います。
 細かな修正については、残り時間の関係もありますので、事務局と私に御一任いただければと思うんですけれども、それはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 私からもちょっと一言だけ申し上げたいんですけれども、今回のこの有識者会議というのは、幅広い分野の有識者の先生方に御参画をいただきました。そして、昨年の7月から5回にわたって行ってきております。
 難しかったなと思うところが2つあります。1つは、文部科学省においてこういうことを検討するときに、教育以外のデータがどういうふうに標準化されているのかということをしっかりと見ながら、合わせていかなきゃいけない部分がある一方で、文部科学省としてこの公教育は当然ながら子供たちのウェルビーイングのために教師も一生懸命やっているわけですけれども、だけれども、その集まってくるデータが今いろいろあり、既にもうあるデータもあり、その中にはやや定性的なものもあり、そういうようなものをどのぐらい一体として捉えてよいのか、どういうふうに区分けするのか、そういうようなことについて、まだ十分に議論が終わっていないところがあるかなと思います。
 とりわけ、そういうことを議論すればするほど、教育委員会のような設置者の、行政側の体制、そこの情報化が十分に行われていないと結果的に集められないとか、集めてはならないことになっているとか、つまり、それが分析できない、したがって、よい教育を施すことができないということになっているとか、そういうようなことも生じかねないわけです。
 この件については、デジタル庁等もこれからできてきて、随分行政の情報化が進むであろうと思われますが、その前夜である今、GIGAスクールのタイミングの前夜でもあるわけですけれども、そういう今の時期に拙速に答えを出すことが難しく、だけれども、これから慎重に、しかし、やっぱりスピード感を持って議論を進めていく必要はあるというようなことが現状認識かと私は思っております。
 もう一つ難しいのは、保護者やあるいは先生たちから見れば、まだ懐疑的な部分のほうが大きいように思います。それは今まであまりコンピューターも学校になかったし、学習指導でもOECDで最も使われていないわけですから、経験していないことを想像で何かこう考えると、心配事が増えるというふうになるんだと思うんです。
 これは考えてみれば、例えばAmazonで買物するときに、クレジットカードの番号を入れちゃっていいのかなとか、私たちはかつて思いましたし、Suicaで記録が取られているとなると心配したりするようなこともありましたし、でも、これが普及してしまえば、みんなある程度理解して使うようになっていくわけで、そういう意味で少し時間がかかるけれども、このGIGAスクールのタイミングで、学校でこういう公教育のデータが集められ、分析をしてみる事例が幾つか出てきて、その中にはいわゆる公教育ではない教育産業とうまくつながるような事例もこれから出てきて、そういう中で皆さんが理解しながら、納得しながら、だんだん整備が進んでいく部分があるのかなと思います。
 そういう意味で、現段階においては非常に見通しが難しいところもありましたけれども、この5回の議論で、初等中等教育における公教育のデータはどういうふうに分かれていて、どういうふうに使っていくべきかの最初の議論について一定の整理はできたかと思っております。
委員の皆様には、それぞれのお立場でもう少し、今後議論を深めていく必要がありますけれども、いろんなお立場でいろんな見解を御提供いただいたことを感謝申し上げたいと思います。
今年度の会議の開催は今回で終わりになりますが、事務局を代表いたしまして、塩見大臣官房審議官に一言御挨拶をいただきたいと思います。

※塩見大臣官房審議官(初等中等教育局担当)より挨拶があり、その後、事務局より説明があった。

【事務局】 皆様、御審議いただき、どうもありがとうございました。
 こちらの会議は、昨年から皆様に参画いただきまして、任期は2年となっておりますので、来年の3月までが任期となっております。今後、どのような審議の深掘りの仕方をしていくかというのは、今回の中間まとめを踏まえまして、また座長とも御相談させていただきまして、今後お知らせさせていただければと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

(以上)

お問合せ先

 初等中等教育局初等中等教育企画課

(初等中等教育局初等中等教育企画課)