教育データの利活用に関する有識者会議(第1回)議事要旨

1.日時

令和2年7月7日(火曜日)16時30分~18時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室 ※Web会議での開催

3.議題

  1. 運営規則について
  2. 教育データの利活用について
  3. 教育データの標準化について

4.出席者

委員

堀田座長,藤村座長代理,梅屋委員,緒方委員,楠委員,小崎委員,佐藤委員,三部委員,白水委員,高橋委員,田村委員,戸ヶ崎委員,中村委員,橋田委員
 

文部科学省

丸山初等中等教育局長,矢野大臣官房審議官(初等中等教育局担当),蛯名大臣官房審議官(初等中等教育局担当),浅野初等中等教育企画課長,桐生学びの先端技術活用推進室長,佐藤学びの先端技術活用推進室室長補佐,中野教科書課長,平山健康教育・食育課長,小林健康教育・食育課学校保健対策専門官,齋藤情報教育・外国語教育課 課長補佐,田島教育課程課課長補佐,中川初等中等教育局視学委員

浅田総合教育政策局長,岸本総合教育政策局調査企画課長

中川国立教育政策研究所所長
 

オブザーバー

内閣官房IT総合戦略,経済産業省サービス政策課教育産業室,個人情報保護委員会事務局
 

5.議事要旨

※議事に先立ち、矢野大臣官房審議官(初等中等教育担当)より挨拶があり、その後、事務局より本有識者会議の座長及び座長代理の紹介があった。
 

議事1.運営規則について


※事務局より、資料2に基づき、会議の運営について諮られ、原案通り決定された。
 

議事2.教育データの利活用について


※事務局より、資料3「教育データの利活用について」の説明があった。

【座長】
 2つ目の議題、教育データの利活用につきまして、標準化の話は後半でやってまいりますが、そもそも教育データをどのように使っていくことが望まれるのかということにつきまして、それぞれの委員の皆様から、ペーパーを出していただきながら、ご発言をお願いしたいと思います。発表順ですが、オンラインということもありますので、資料1の名簿の順番でご指名させていただきます。なお発言の時間ですが、全体の時間のバランスの関係もありますので、まず最初は2分から3分くらいの間でご発言いただければと思います。

【委員】
 私の資料を見ていただければと思います。野村総合研究所が5月に、コロナによる外出自粛期間に臨時休校の小学校の保護者方々6000名にアンケートを行った結果でございます。
 1ページ目のアンケート調査結果をお話ししたいと思いますけれども、臨時休校中に生活習慣の乱れとともに学習に関する保護者の不安が非常に高く、低学年では学習の仕方について、高学年では学習の遅れについて強い不安が見られました。その中で、学校の指示や独自に行った家庭学習が行われていますが、全体的には紙が中心でございます。ただし一部はオンライン学習を活用し、その多くは初めてオンライン学習を利用した方です。今回の臨時休校をきっかけに初めてオンライン学習を利用した子供が多かったと言えます。学校再開後の不安として学習の遅れを挙げた保護者が多く、特に高学年の子供の保護者に多くみられました。休校による学習の遅れを何らかの形で補うような支援がほしいという方が多いと。また、アンケートではそもそも今回の臨時休業以外に、どのような不安や課題を感じているかということもアンケートをとったのですが、そもそも平時より子どもに学習内容が定着しているかどうかが分かりにくいことについての保護者の不安が高く、平時での学習定着の確認や緊急時の学習機会の提供といった双方の観点で、オンライン学習が学校教育と家庭学習を支えるインフラになる可能性があると考えるのと同時に、学習内容の定着を定量的に把握することが、子供の保護者のニーズが非常に強いということが分かりますので、今後、教育データの利活用を考える際には顧客である保護者、教育サービスを受けるカスタマーである保護者のニーズを踏まえながら検討されてはどうかと思います。
 2ページ目以降も、具体的なアンケートの調査内容を書いていますが、長い資料ですので細かい話は割愛しますが、例えば5ページ目で臨時休校中に学校から案内や指示でオンライン学習を行った子どもの7割は初めて利用したということも分かっています。先ほどの常日頃の不安ということで申しますと、11ページ目で平時より、学習習慣や学習効果の定着に関する不安を感じている保護者が多い、というように分かっています。これについて今回我々はかなり詳細な分析も行いましたので、この議論の中で内容をフィードバックさせていただければと思います。

【座長】
 ありがとうございました。それでは続きまして次の委員お願いいたします。

【委員】
 私の場合はできるだけ早く教育データを利活用するためにということで、述べさせていただきます。自己紹介ですが、学習ログということで言うと、2005年くらいから研究をしています。今回は小学校、中学校、高校、大学とデータを集めて、まずは学校、大学の組織の中でしっかりとデータを集めて利活用することが大事で、できるだけデータを簡便に集める方法を考えていくべきだろうと思っています。特に小学校、中学校、高校は大学と違ってシステム管理者がいないので、できるだけ人的等の運用コストを低くする必要があるだろうと。そして、国全体で教育をよくするためには、フォーマットなどを揃える必要があるということで、我々はこうした教育データを集める基盤システムの研究をずっとしていまして、データを集めるリポジトリとして、データを集めるLRSと呼ばれるラーニングレコードストアを使って各学校で組織的にデータを一括管理する方式を採用しています。具体的には、各学校がLRSを用いて、そこにデータが集まります。その後、自治体単位でうまく集めて、それを匿名加工してデータセンターで集めるということを法律の専門家の先生などと一緒に考えているところです。具体的などういったデータを集めるかということについて、基本情報とオプショナルな付加的な情報に分けてみました。7番目までの黄色の部分が基本的な情報ですけれども、それを集めていったら良いのではないかと。これらを使ってできることと言えば、個人や教育機関、国全体で活用していけるのではないかと。ここから1年くらいで初等中等教育で端末が揃ったところから始めたり、すでに実証事業などで実施しているところから始めるのが良いのではないかと思います。データを集めるためにはまずデジタル化をするということ、1つは教科書・教材のデジタル化、それから試験やノートなど筆記、CBTなども入ってきますけれども、そういったことのデジタル化、連絡ノートなどの基本的なところもデジタル化していって、とにかく情報を集めていくということが大事ではないかと思っています。
 とにかく教育・学習のプロセスを記録していくことが大事になってきます。当然、現場の先生のサポートも必要です。ですので、うまく大学、人的なサポート、例えば学生さんが各学校にサポートに行くなどが考えらますので、地域で連携してやっていく必要があるのではないかということです。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。それでは次の委員お願いいたします。

【委員】
 主な論点の紙をベースにお話しできればと思います。目的とどのような点を期待するかという点につきましては、やはり教育を受ける学習者本人の学習の効率をどうやって高めていけるかという個人の論点と、同時に教材の改善であったり、教授法の改善といったより全体の底上げ両方の面があり、それぞれ重要なんだろうと思うわけですが、具体的場面も同様で、データの活用というとどうしても教材の見直しであったりとか、改善のタイミングで今の教材のフィードバックを得たりというのが良いのではないかと思います。何を標準化するかというと、すでに国際的に様々な標準化が行われているわけですけれども、特にどういうふうに体系化されたカリキュラムの今どこの話をしているのかといった教材や指導要領の話、そういったものだけでなく、個人の学習データがアプリケーションごとに異なる形式で持っていたりするものをどうやって共通に置き換える形で整理していくかというところで、様々な標準化が必要であることは間違いありません。簡便に蓄積していくときに一番難しいのは、教育は非常に長期間にわたって一人一人十何年という長期間がある中で、システムのライフサイクルはどうしても5年~7年くらいが一般的になって、特にこの分野は非常に進歩も速いところだと思うので、一人一人の学習履歴のライフサイクルが長いものに対して、システムは短い、このギャップをどうやって埋めることができるのかということが大きな課題になるだろうと思います。また、従来の学籍番号のようなものは進学の過程で変わっていくものなので、副次的にある程度学校に入ってから社会に出ていくまでの間に一貫したIDで管理できるのか、またそれは個人情報保護の観点で言えばより守ることの重要性は挙がってくるわけですから、ここの両立をどうやって考えていくかというような点が議論されるのではないかと思っております。結果的にこのデータの活用というものが学習者本人に資するというところと、社会全体の学習の質を高めていくという両方の観点があり、それぞれ重要なテーマなので、これらを両立させていくために今後色々と検討が必要になってくるのではないかと思います。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。続きまして次の委員お願いいたします。

【委員】
 本県の場合は、学校のネットワークを校務系と学習系に切り分けています。校務系で扱う情報と学習系で扱う情報の二系統ができることで、それぞれ校務系は先生方のアカウント、学習系は先生方と子供たちのアカウントを県域で付与が終わったところです。そうすると、今表示されていますが、もともとのデータはそれぞれのところに置いておいて、そのデータをつなぐという発想、要するに学校にデータを取り込んでおいて、必要な時に子供たちに見せる、渡すではなくて、そもそもが子供にデータが紐付いていて先生と共有するという発想でいくことを考えています。それと小学校1年生から学習したことを積み上げるにあたって、本県の構想では高校を卒業して大学、場合によっては教員として戻ってきた場合はそれを引き継いで持って行くようなイメージの中で、一人一アカウントを持ち、それは誰がどこにおいた情報で、誰がアクセス出来てどう見られるのかということを、二系統のネットワーク内にあるデータと結び付けて考えるのか、個人IDに個人情報を与えていくのか、その辺についてどのような活用の仕方、ルール、仕組みをもってやっていくことで、データが、本来の意味での「活き」になるのかということをこれから考えようとしているところです。その点につきましても知見がこれから貯まっていけば良いと思っています。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。続きまして次の委員お願いいたします。

【委員】
 私はEdTechというものを推進しておりまして、デジタルテクノロジーを活用した教育のイノベーションと定義しておりますけれども、昨今スタートアップやベンチャーなど民間のテクノロジーの進化に伴い、民間のサービスがどんどん出てきておりますので、それを使いながら教育に変革を起こすということです。どんなことかと言いますと、教育から学びへ変わり、学びが個別最適化するというふうに言っておりまして、特に個別最適化、学習者一人ひとりの個性や特徴、興味関心や学習の到達度は一人ひとり違ってきますので、それに合わせた形で個別最適化を行っていく、そのために必要なのが、このスタディ・ログで中心になる。昨今コロナの影響で家庭での学習も教育の質の保証をしなければならないことから、現在学習指導要領、教員免許、教科書制度、こういったものによって質の保証をしているとするならば、これを学習基盤としてのデジタルテクノロジーを使って、一人一人にあった学習指導要領やサイバー空間を含めた学びの場、こういったことへの教員育成、そして国が教科書と同じようにデジタル教材・動画コンテンツを活用し、そのログを活用した評価の仕組みをつくれるのではないかということで、スタディ・ログを推進しています。今日は2~3分ということで、共有したい資料が2つあります。
 1つは去年5月の教育再生実行会議で、スタディ・ログという中で議論をさせていただきました。論点だけお伝えしたいと思いますが、座長の方からスタディ・ログのプラットフォームに向けたデータの蓄積や管理主体はどうなんだという話もありましたので、基本的な考え方を申し上げました。まず、セキュアでポータビリティのある仕組みであること、データは学習者個人、保護者も含めてですけれども、学習者のメリットのために使うこと、学習者のデータを、学校を含めて第三者が使う場合、パーミッションを取ってください、それと他業種、世界を含めてですが、医療や金融など他の分野も動いていますので、なるべくプラットフォームや技術の面について教育特化型にしないでということ。メリットについてもいくつもあります。リフレクションのため、または教育や学習、教える側の最適化のためなど、こういったものになります。データも、eポートフォリオのデータですけれども、こういったものもどうか、また今日いらっしゃいます田村先生の資料ですけれども、ラーニングアナリティクスの学会で、いろんなことも議論されています。あとはAIを使ったり、手書きのデータなども使ってデジタル化し、それをAIで解析することもできるようになりました。流通の仕組みについても、今日、橋田先生もいらっしゃいますけれども、PDSとかPLRとかもありますし、この辺の議論も今後していくべきだろうと。課題もいろいろあると思います。データの標準化ですとか、それと国民への理解をどうとっていくのかも大きな課題ではないかと思っています。
 もう1つの資料は、経産省の未来の教室とEdTech研究会というところで座長代理を仰せつかっておりまして、約100ページくらいの力作でスタディ・ログに関係するような各国の状況やこうあるべきじゃないかというロードマップの素案までありますので、ぜひ会議のどこかでたたき台として議論したいと思っております。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。次の委員お願いいたします。

【委員】
 弁護士をしており、教育やデータ利活用に関係する役職としては、文科省のSociety5.0に関する委員会や内閣府の学習支援技術に関する委員会の委員、大阪大学の招へい教授、戸田市の教育委員会ロイヤーも兼任しております。よろしくお願いいたします。
 資料に沿ってお話しいたしますが、何を目的とするか、誰がステークホルダーか、事実関係がどのようなものかによって、法的な論点は全く異なってきます。ここでは、現時点で予想される法的な論点の例を述べることにいたしますが、今後のディスカッションの方向性や内容によってさらに検討していく必要がありますので、そのようなものとしてお聞きいただければと思います。
 まず、個人情報について検討しなければならない点が非常に多いと思います。児童生徒の学習データが教師や学校、EdTechに携わる企業、教科書・教材の出版社等に対して出され、学校や企業の方がその情報を使って児童生徒にアプローチをしていく場合、情報銀行やPDSのような仕組みを取るかどうかが論点となります。この点は先ほどご発言があった通りです。また、匿名加工についても先ほどご発言がありましたが、個人情報として蓄積するものと匿名加工できるものの切り分けをどのように行うかも論点になると思います。さらに、個人情報として利活用する場合には、教師、学校や企業側としては、生徒に対して、実質的には親権者に対してかもしれませんが、利用目的をどのように説明してどのように同意を取るか、あるいは同意を取らなくてよい道をどう探るか、という点も論点になります。さらに、教育データ利活用を特定の児童生徒や親権者が拒否した場合はどうなるだろうかということも考えなければいけないだろうと思います。
 次に、個人情報を学校などから別の学校などに移していく場合を想定しますと、現時点では、個人情報保護条例2000個問題や、国立、公立、私立の違いを考えていかなければならなくなります。この点は、「規制改革推進に関する答申」において見直しが提言されているポイントです。
 また、学習データを利用したいと思っている主体は学校や親、学校やEdtech企業だけとは限りません。例えば、奨学金を交付している団体も利用したいと思うかもしれません。また、この会議で議論されるのは初等中等教育ですので実際にあり得るかどうかは分かりませんが、金融機関等が教育ローンの貸付けをするに当たって利用したい、あるいは雇用者が雇用をするに当たって利用したい、というニーズが出てくることはあり得ると思います。私が調べた限りですが、このようなニーズに対応するために教育データの利用目的の中に含めている国もあるようです。また、海外の団体に教育データを提供したい、開示したいというニーズもあるかもしれません。以上に述べたように多様な利用形態があり得ますので、どこまでを今回の議論とするのかも論点になると思っています。
 以上の他にも、学校教育に関する法律も関わります。例えば、どのようにすればオンラインでの教育というのは要件を満たせるのか、ということについては考えなければいけないでしょうし、知的財産権についての対応、たとえばオンライン講義における著作権については対応が進められてきたところです。GDPRなど海外の法律も関係する場合もあるかもしれません。また、AIの利活用に関しては、新しい法律や原則の動きが国内外で出てきています。最近の動きとしては、例えばEUは新たな法律を作りたいと考えていて、意見募集を行い終わったところです。また、AIの原則づくりについては他ならぬ日本が先陣を切って取り組んできたところで、既に原則・ガイドラインが公表されています。それらの動きも関わってくると考えられます。
以上のように、想定されるだけでも多様な論点がありますが、最初に述べましたとおり、目的、ステークホルダー、事実関係に応じて論点が異なるため、その確定が必須です。そして、それらに基づいて仮のユースケースを早い段階で作ることが大切だと思います。仮のユースケースをまず作って、そこから法的な論点はこれだというものを検討し、必要な対策を打つ、というプロセスを早く打ち出すことが大切だと思います。それは、場合によっては新たな立法や既存の制度の改正などが必要になり得るからでもあります。おそらく論点は多岐にわたると思いますので、私からも貢献できればと思います。

【座長】
 ありがとうございました。次の委員お願いいたします。

【委員】
 国立政策研究所を代表してというよりは、個人の意見を述べたものと考えていただければと思います。学習科学を専門にしているのですけれども、その立場から今までのお話をお聞きすると、大事なことが2つあると考えました。1つは、教育というのは学習の支援のためにありますけれども、関係者の中で、「学習というのは一体何か」というビジョンをすり合わせていくことです。もう1点は、今ステークホルダーとの仮のユースケースを使った対話というのがありましたけれども、「学習というのはこういうものだから、こういうデータをそろえると良いのではないか」という仮説ができた時に、それをなるべく早く社会に放り込んで、実際にどういうことが起きるかを見とっていくことが大事だと思いました。今回の論点のペーパーについても、そう考えてみると、1点目の教育データを利活用する目的、どんな良いことがあるかという話と、7点目に飛んで、それを分析して、限られた資源をどう共有していくかをまず考え、実際のユースケースに照らして考えることによって、2番目から6番目、あるいは8番目の各論の技術論の答えを出していくというのが良いのではないかと思います。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。次の委員お願いいたします。

【委員】
 私は実践に近いところで色々と現場に近いことをやっております。今、情報の収集の段階でも結構躓いているなという感じがしております。どんどん活用していきたいと思うのですが、大雑把に分けますと、従来から集めている情報、教育データというものもあるのですが、これも出欠くらいのデータだと分析に耐えられないと、やはり登校の時刻とか、かなり詳細化しないと難しいなというのがAの部分、Bの部分の色んな、新たにとれるような情報、教育のデータもあるなと思っています。学習活動と教育データということで、分けてみますと、今個別最適化で話題なのは、Aのドリルとかのところが多いと思うのですが、Bのような高次な資質の能力を育成し、主体的、対話的な深い学びみたいな学習活動をするときの膨大なデータをどう扱っていくのかという、ここが残された課題だと思いますし、学力や資質能力とは関わらず、学習目標を設定するとか、学習水準をきちんと共有するとか、そういったことにも役に立つ気がしておりますので、Cの領域も考えていく必要があるかと思います。細かくは色々ありますが、具体的に私がやっていることを申し上げますと、教室にカメラを置いていくと、顔表情であるとか、行動を分析できるというようなことであるとか、ビデオ会議を生徒間で自由にやってよいよ、ただし録画を見てるからね、ということで見たら、不登校の子が主催する会議があって、2年も3年も学校に来ていなかったのに、という驚きが得られたり、これは学習スケジュールをお互いに共有して、保護者とも共有していくようなことをやっていったら、カレンダーを使った子の方が、前よりも学習時間が長くなったですとか、意欲が高まったですとか、こういったタイプのデータの活用もあるなと、いうように思っています。
 渋谷区のスマートスクールの方に関わっておりましたが、Cの分析・判断の部分が求められるんですが、実際にはAとかBとかの方がものすごく大変でした。出ていない話題で申し上げますと、システムによっては、Cまで情報を提供するシステムから、Bまでのシステムがあったり、Aでとどまっているものもあったりしてですね、このようなレイヤーを区切って、お互いにデータの標準化というか、どの段階のどういう情報なのかということが、決められていないとですね、システムごとに色んなデータの形式が不統一というか活用する段階も不統一だということを感じておりますので、こういったことも検討課題になるのではないかなと思っております。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。次の委員お願いいたします。

【委員】
 資料13のところになります。1枚目に全部まとまっておりますので、そちらをご覧いただければと思います。私は教育工学の研究もやりつつ、標準化の話もしております。その関係で、様々な標準規格を用いた場合、それをどういうふうに利活用できるかということを今回お話させていただければと思います。まず目的として今回の会議に掲げられていますような、個別最適の学びということ当然1つの目的として考えられると思います。それに加えて、現在例えば学校の教師の方、学校の管理者の方が、非常に事務作業が多くて、こういったものを様々な形で、簡便化する、負荷を軽減するといったことも目的に加えて良いのではないかなと考えています。利活用の具体的な場面ということで、いくつか挙げておりますが、ポンチ絵自体はまだご覧いただければと思いますが、例えば文科省で進めている学習指導要領のコード、ここでは単元IDと呼んでおりますけれども、そういったものを使うと教科書からドリルやあるいは参考の資料といったところに飛ぶことができる。それから学習者ID、例えば全ての児童生徒に学習者IDを振ることによって誰がどういうことを教室でクイズを解いているということが分かるわけですね。緒方先生もおっしゃったような学習の履歴の分析というのはこういう学習者IDがきちんと整っていないとできないということです。それから3番目としてサービス間の連携ということで、あまり標準化にはなじまないんですけれども、例えばお手元のデジタル教科書からリファレンスに飛んだりとか、クイズのサーバーに飛んだりとか、そういうことが自由にできるような規格もあります。それによって閉じた環境での学習履歴だけではなくて、様々なクイズのサーバーで例えばどういうことを解いたというようなことも、履歴を共有する仕掛けができます。また学習履歴の分析については先ほどからもいくつかご紹介がありますので、これは良いと思います。6番目の学習履歴分析の製品ということで、これは昨年度のe-Learningフォーラムで実際の製品が紹介されましたので、後ほどスライドをご参照いただければと思います。ということで、履歴を取る、分析・利活用するということの前段階として、学習指導要領のコード化、それから学習者IDの決定といったようなことが出てくるだろうなと思っています。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。それでは次の委員お願いいたします。

【委員】
 それでは戸田市の教育データの活用という視点からの取組の紹介をもって、自己紹介に変えさせていただければと思います。1ページの下をお願いいたします。これが5年間築いてきた教育改革のコンセプトで、まずは3つのスキルを育成するということです。特に非認知スキルを重視しています。さらに市内だけでなく、広く産官学のリソースを活用してファーストペンギンを目指し、質の高い教育を提供していくことです。それから「3K」つまり「経験と勘と気合い」のみに基づいた指導から「客観的な根拠」に基づいた指導への船出をしていくこと。そのために教員の個人プレーに頼らず、データを活用して教室や授業を科学していきたいということです。2ページ目の上ですが、本市は70近い産官学と極力予算をかけないで連携しているわけですけれども、その理由としてここに掲げている4つのことがあります。1つは単なるステークホルダーにならないで真の協働者になる。2つ目は効果検証ができる基盤づくりに努める。3つ目はClass Labと書いてありますけれども、学校や教室を実証の場として極力提供する。4つ目が積極的な情報発信をするということになります。2ページ目の下ですが、私自身が日々思っていることで、科学捜査とか医師の血液検査のようなデータに基づいた教育施策がこれから不可欠になってくるのではないかなと思います。次は3ページの上です。これが様々なコンセプトに基づいた教育改革のロジックモデルです。下は現在行っているEBPMの取組をまとめたもので、様々な産官学と連携しながら共同研究を進めているところです。4ページの上です。EBPMを推進する核として、専門職からなる教育政策シンクタンクを教育委員会の内部に立ち上げました。アドバイザリーボードの1人としてさきほどの田村先生、それから教育委員会ロイヤーという立場で三部先生にお願いしています。4ページの下です。リーディング・スキルの共同研究も5年目です。子供たちが生涯学び続けるための基礎的な読解力を身に付けさせることを目標に取り組んでいます。ちなみに、リーディング・スキル・テストはCBTによる受験となっています。例えばここで出てきているのが、学力テストの点は高くても、リーディング・スキル・テストの結果が低い子供たちが少なくない、こういった子供たちが将来躓かないように、リーディング・スキルの視点からの授業改善にも取り組んでいます。5ページの下です。研究の成果は戸田市の研究収録にまとめて、HP上にアップしています。6ページの上です。これはすべての教職員に活用してもらっている戸田市の指導の重点に、リーディング・スキルを育む授業改善のポイントを取り上げています。このように得られたデータをどのように日々の授業等に落とし込んでいくか、ということが重要であると考えています。6ページの下です。慶應大学の中室教授との共同研究で、どのような教師のどのような指導が効果的に学力を伸ばすのか、そういった分析・活用を行って、今年で5年目に入りました。この下は子供の学力の伸びにタグ付けしている教師の質問紙調査です。これは指導の効果が定量化されることを期待してルーブリックベースで実証しているものです。7ページの下です。こちらも毎年戸田市の研究収録にまとめてHPにアップしています。8ページの上です。授業への落とし込みのために、赤い囲みのように学力が伸びている子が多くて分散が小さいクラスの担任など、特に学力を伸ばしている教師36名への指導主事による授業分析ですとか、聞き取り調査等を通してグッドプラクティスにまとめて、全校に共有するということもございます。8ページの下ですが、これは珍しい取組だと思いますが、教師自身がデータを活用できるように、民間企業の講師によるデータ活用リテラシーの育成研修会や、全国学調のS-P表活用の研修会を行っています。9ページ上ですが、授業改善のモデルとしてで、埼玉県の学力調査で測られる学力の伸びなどをもとにした量的なエビデンスと、評価シート等で得られた質的なエビデンスを関連付けて効果的な指導方法を追求しているところです。10ページの上、IGS株式会社等との共同研究で、子供たちの発達に影響を与える教師、保護者のコンピテンシーをはじめとした各種データを測定・分析しています。10ページの下ですが、教科別の成績と非認知能力との関係、またコンピテンシー向上の効果的な手法など、いくつかの有効な手法が浮き彫りになってきました。11ページの下ですが、特別支援教育、これは往々にして一部のベテラン教師の経験と勘によって強くリードされるという現状があるわけですが、特別支援教育にこそデータ利活用が重要であると考えて、様々な共同研究を行っています。特に株式会社リタリコとの個別の指導計画作成システムや、PBS導入の共同研究は、特別支援教育のデータ活用の先導的な取組として期待しています。12ページの上ですが、データ利活用を基盤として、「教室を科学する」というコンセプトで、様々な取組を行っていますが、黒丸のところはすでに実証等を行っている取組で、現在コロナ禍ではありますけれども、この歩みを止めないために現在も努めているところです。

【座長】
 ありがとうございました。それでは次の委員お願いいたします。

【委員】
 つくば市教育委員会の立場から現場に即した、そして教師および児童生徒にいかに活用できるかといった視点でお話しさせていただきます。
 まず、つくば市がやっているICT教育の概要からご説明いたします。つくば市は40年前から、ICT教育を行っており、原点は個別最適化学習でございました。またこの時期に一人一人の児童の思考に合わせたCAI教材を作りました。それは何のためかというと、子供たちの学ぶ意欲を向上させるためです。そしてCAI教材を、40年前ですけれども、開発してわかったことは、学習者を知ること、教材を知ること、目標を分析すること、それから目的に対する既有の知識、こういったものを教師がしっかりと分析し、教材に反映をさせていきました。どう反映したかというと、つまずきに応じた指導ができる、そして学習課題に対して、どんな対応をしたらよいのか、こういったことを目指してまいりました。既にこれから議論する教育データの利活用に取り組んできたと思います。
 つくば市がどんな力を付けたいかというと、やはりデータの利活用はどんな資質・能力をつけたいかということが明確であって、このデータからは育成したい資質能力をどう図るか、そういったところの目的意識を明確にしていきたいと思っているところです。どんなデータが取れるかというところで、高橋先生の説明にもありましたように、1つの授業、単元といったときに、課題を解決するまでのプロセスにそれぞれの場面がございます。それぞれの場面で取れるデータというものが違ってまいります。そして今つくば市が行っている教育というのは個別最適化の学習と協働学習のハイブリッドを目指しております。そして個の学習から得られるデータ、そしてこれを基に行われる集団でやっている整理分析を行うなど、対話を活発にすることを目的に、広く多様な意見を収集し、こういったデータ分析をしていきたいと考えています。
 こういったデータ利活用をする上では、しっかりと、授業をどんな思考で子どもたちが取組むべきなのか、場面ごとに見ていきたいと思います。まずは、導入場面です。ここはデータの標準化がしやすい場面かと思っております。なぜかと言いますと、教師は単元計画を作成する際、学習指導要領における位置づけを確認します。学習指導要領自体がデータ化され、授業をしようとしている単元ですぐに確認できるよう、データの標準化がされていると、授業をつくる際に検索する手間が省け、効率的な単元計画が行われます。また、関連する他学年の内容なども参照できると考えます。
 また子供たちの既有の知識データを取る場合、レディネステストのような事前調査が必要となります。そして今度は、子供たちが個々に情報収集した分析を記録したデジタルポートフォリオなど、こういったものが対話的な学びの深い個別のデータになってまいります。さらにそれらが今度は教室の枠を超えて、他の学校、他の地域、他の国と対話が深まり、思考の練り上げも進められていく、そういった場合は他者のデータというものも、互いに活用することができます。そして一旦、まとめをして、さらに最終的に他者に伝えるためのプレゼンテーションをするためのデータの見直しや編集、単元終了の後にも、もう一度学びを振り返る、そういったデータを取っていきたいと考えています。例えばOSがやっているアンケートフォームを活用したり、AIドリル、さらにはクラウドアプリを使ったり、さらにはデジタルポートフォリオ、先生方の行う事前調査データ、校務支援システム、そしてこのiphoneアプリなどでも教育データを取ることができます。
 しかし、課題となるのは、こうしたたくさんのデータにつきましては、粒子が細かく、データが多岐にわたり、負担になると思います。教育にデータを利活用するには、これらが簡便に分析ができるようなシステム化を考えていきたいと思います。また、取得したデータを分析するための教員および児童生徒のデータリテラシー教育も今後、並行して考えております。

【座長】
 ありがとうございました。次の委員お願いいたします。

【委員】
 提出資料は論点が多いので、2つか3つに絞ってお話します。まずは教育データをどういうふうに利活用するかですが、既に何人かがおっしゃっていますが、本人の学習のために使うというのが一次利用です。これは全学習者が対象になります。二次利用はビッグデータ分析でもって指導方法とか教材の開発とかそういう世の中全体をよくするという話ですが、二次利用に使うデータは全員のデータである必要はありません。一部の学習者がデータを提供すれば、OKです。それから全体として見れば一次利用の方が、二次利用と比べればはるかに価値が高いわけです。かつ一次利用ができれば、すなわち各学習者が自分のデータを自由に使えれば、本人同意でそれを提供することもできますので、二次利用もできるということです。データの管理運用のためのコストや利便性を考えても、全員の学習データを集中管理するよりも、各学習者ないし保護者にデータを集約して分散管理するようが色んな意味で良いです。まずセキュリティですが、分散した方が圧倒的に安全です。データを不正使用するコストが圧倒的に何桁も多くなります。それから本人あるいは保護者、代理人がデータを管理していれば、本人同意、管理者の同意だけでデータを扱えるので便利です。それから学習に関連するデータといっても、例えば勉強できるようになるかどうかは結局は生活習慣の問題といったようなことも多いので、学校のデータだけでは足りないわけです。色んなデータを名寄せして使う必要があるわけです。本人にデータを集約すれば自然に名寄せされてデータの価値が高まります。そういった色んな理由があって、本人にデータを集約するという分散管理を進めるべきだろうと思います。かつ分散管理に基づくデータの一次利用は、さきほど申し上げたように全員がやるべきことですけれども、データの二次利用のためのデータ提供はごく一部の人がやればよいですので、全員のデータを常日頃集中管理するようなことはやめた方が良いわけです。全くの無駄です。コストもリスクもかかりすぎます。
 今やろうとしているのは、埼玉県と一緒に高大接続のe-ポートフォリオをこれから運用しようとしています。個人のアプリと埼玉県の高校の校務支援システムをつなごうとしているところですけれども、今年度から現役高校生12万人がそれを使うという準備をしています。これが基になって、学習、教育関連のあらゆるデータを本人が管理して自由に使って、かつ本人同意に基づいて、価値がたまったデータを集めて分析するということが可能になるだろうと考えています。以上です。

【座長】
 ありがとうございました。次の委員お願いいたします。

【委員】
 私は、これまで教育データの利活用ということで申し上げると、APPLICの校務情報の標準化をして、現在全ての自治体でそれに準拠したシステムを利活用していただいております。またICT CONNETCT 21という教育の情報化団体のアライアンスで、校務系―学習系情報連携サブワーキンググループのリーダーもさせていただきながら、各事業者さんたちと議論を重ねてまいりました。そのようなことを背景に少しお話しさせていただきます。まずこの図ですが、世界各国の教育データの利活用ですとか、国内のこれまでの利活用をみていきますと、学習系は学習系で、校務系で分離され、部分部分での利活用となっております。しかし、今後の教育データの利活用を考えますと、エンタープライズアーキテクチャー、つまり全体最適、全体を見渡した教育データの利活用を考えた方が良いのではないかと考えております。そういった意味で、SEIUS(Secure Educational Information Utilizing Systems)として、教育情報を安全に利活用する、日本ならではの構想を考えてはいかがと考えており、この15年研究してまいりました。それに基づいて総務省、文部科学省にスマートスクール構想を説明して採択していただき、実証実験をさせていただきました。文部科学省でスマートスクール構想検討ワーキングの主査をさせていただいて、これまで研究してきたことについて、この後お話し申し上げたいと思います。従来、校務系と学習系は全く別物だという考えがあったんですけれども、私はそうは考えておりませんで、この左側に子供たちがありまして、全ての教育データの利活用は、子供たちのためであるべきあろうと考え、この子供に向き合う学習系の部分をフロントエンド、それを支える校務系等の部分をバックエンドと考えて、それを統合してデータをやりとりすると良いのではないかというのが根源的な発想です。
 また、もう1つは、今スタディ・ログが話題になっていますが、いじめの早期発見ですとか、不登校傾向の早期発見、それから健康的な指標等PHRも今後入ってまいりますので、今後スタディ・ログだけでなく、ライフログの標準化を考える必要があります。また、学術的に言うと適正処遇交互作用が、スタディ・ログ活用の背景となりますが、それに基づくとスタディログで適性情報を収集するだけでなく、先生がどのようにその子に合わせて適切な指導をするのかという処遇情報をを情報収集したアシストログとして、指導方法とその効果の評価を一緒にして収集し、ナレッジベースを形成することが必要となります。それらをアナリティクスによって、データの読み取りが苦手な先生が多いことに配慮し、分析結果をうまく可視化して活用できるようにしたのがスマートスクールの可視化システムがSEIUSの第一歩でございました。今後は、それを「教員支援システム」のような形で、うまくスタディログ・ライフログ・アシストログの3つの教育データを活用して、全ての先生が良い教育をできるということを支援してはいかがかということで提案させていただきました。以上でございます。

【座長】
 ありがとうございました。私から最後に一言申し上げますが、皆さんさまざまなお立場でいろいろな研究をされている方々が今回委員になっていただいているということもありまして、本当はもっとそれぞれのお話しをゆっくり伺いたいところでしたが、限られた時間ということでご協力いただきましてありがとうございます。私の方は、これまでいくつかの政策のお手伝いをしてまいりましたけれども、このGIGAスクール構想というのは我が国の学校教育のICT環境整備においては非常に大きな転換点になるのかと思います。今はハードウェアの導入の話で、教育委員会等みなさんバタバタされているところですが、これはたちまち、どういうアカウントで利用するかといういわゆる学習者IDの問題という次なる議論になるわけです。奈良県はそれを市町村ではなく県がリードしてID付加することをやられているかと思います。また別のところではデジタル教科書の研究、検討が進んでおりまして、こちらは教科書がデジタルすることによって、他のデジタル教材とどうやってうまくリンクできるかというような、これはデータ形式が標準化されていないといけないし、また参照テーブルのような、そういうものがないと、リンクは簡単にはできないわけでして、そうした観点から、学習指導要領が何らかの形でコード化されるということは、意味があると思いますし、そうでなければ学習ログが取られても意味のある解析、内容にもとづいて意味のある解析にはならないと思います。他のいろいろなデータの標準化と合わせて、グローバルスタンダードを目指していくべきだと思いますし、教育にあまりに特化しすぎたデータの標準化は適切ではないと思います。一方で、さきほども出ていましたが、匿名化をうまくやらないと、ビッグデータに加工できない部分がありますので、この辺の個人情報のところは、非常にデリケートです。これまでも学校の先生たちは、子供たちの個人情報をうまく把握することによって適切な指導をしてきたという歴史があります。有効利用と匿名化、個人情報の部分、更にデータの所有権の問題があります。もちろん個人に帰属するわけですけれども、そういうことがはっきりしない限り、自分のデータをうまく開示して、塾とか民間の教育産業で更なる手厚い指導をうけるということも実現しなくなりますので、これがいつできるかはちょっと先の話かもしれませんけれども、データの所有権等についても、世界標準の考え方をうまく援用した教育データの活用について検討すべきかと思っています。本当はここで少し意見交換をしようと思っていたのですが、時間も押していますので次の議題に入らせていただきます。次の議題は教育データの標準化の話でして、まずは文部科学省の方から説明いただいたうえで、御意見のある方に意見を言っていただくお時間をとろうと思います。それでは事務局お願いいたします。
 

議事3.教育データの標準化について

※事務局より、資料4-1「教育データの標準化について」、資料4-2「学習指導要領のコード化について(案)」に基づいて説明があった。

【座長】
 資料4-1でそもそも初等中等教育において教育データをどのように標準化していけばいいかの今の段階の案を例示していただきました。これについては他のe-Learningの世界や民間産業の世界では、もっと細かいことを決めている場合もありますが、これからヒアリングしていきながら、精緻化していくということになろうかと思います。取り急ぎまずは学習指導要領について、ある程度機械的にナンバリングといいましょうか、コードが振れるものについては早々に振って、それを公開していろいろなシステムに用いてもらおうという案が提案されたということになります。これにつきましては委員の先生方のご意見を短い時間ですが伺いたいと思います。ご発言のある方がは挙手のボタンでお示しいただければと思います。

【委員】
 学習指導要領のコード化についてですが、とにかく番号を振っていくことが大事だと思っています。感想が2つくらいありまして、1つはコードという名前が少しきつい気がしますので、機械的に振っていくのであればナンバリングとか、そういうふうにした方が良いのではないかということと、2つ目は先ほども裏で動いているだけで先生や子供は意識しないということをおっしゃっていたと思うので、それであればもっと意味を持たせずに、単に指導要領に端から数字を振っていけば、コンピュータに処理をさせれば一意に振っていけば良いだけですので、そうした方が次の改訂時にもすぐに番号が公表されて、また別のテーブルで知識・技能であるとか、思考・判断・表現力ですとかを紐づけて、別で管理できると思うので、裏で動くのであれば、一意な数字をつけていくだけでも改善されていくのではないかと思いました。以上です。

【委員】
 私の方からは2点お話させていただければと思います。まず1点目は、大筋のことにつきましては、これでよいと思うんですけども、お願いとしては、先ほども桐生室長からもOne RosterとかCaliperとかの国際標準仕様でいくことが、日本がガラパゴス化することなく、様々な知見を取り込めるということでございます。2点目ですが、GIGAスクール構想が急速に進み1人1台端末が導入される中で、様々な教育委員会さんやベンダーさんから、教育データ利活用のための個人を特定するユニークIDの必要性について言及していただいていまして、児童生徒IDをユニークに振るためのルール作り、実はこれICT CONNECT 21での資料を共有させていただきますが、こちらにありますように、文部科学省さんの学校コードに校内ユニークIDを付けて、暫定的にこんなふうにGIGAスクールに向けて個人のユニークIDを振りましょうという合意形成が、学習系と校務系のベンダーさんたちの間でできました。ただ、これは暫定で考えているものですので、最終的には生まれてから一生変わることのない汎用的なユニバーサルIDが好ましいだろうという話になっており、マイナンバーそのものは使うわけにはいかないため、マイナンバーに伴うマイキーIDだとか、そのようなものを将来的に検討いただければありがたいと思いまして、お話しさせていただきました。以上です。

【委員】
 私からは2つありまして、先ほど、ナンバリング自体は表に出ることはなくても良いんでしょうけど、実はその項目ごとには、誰がどこまで理解していたかということを可視化するということは非常に大事だと思っておりまして、そういう研究を我々もしていますので、どういうシステムがどういう第二情報をもてるかということを透明化する意味でも、状態を可視化して先生や学生さんに共有することは非常に重要かと思います。2つ目は、グローバルスタンダードに合わせることは非常に重要ですが、その中で重要なのが、最終成績を表現する、これは今すでに色んな学校でたくさんの成績があると思いますが、そこをまずすることが大事かと思います。これからかと思いますが。以上です。

【委員】
 学習指導要領のコードについてなんですけれども、とても良いと思いますので、進めていただければと思います。それで例えば、デジタル教科書を採用する学校が増えつつあると思うので、例えばそういうところにコードを埋め込んで、それを利用できるようにするということが方針あるいは、これをどういう年度でどのように使っていくとかというタイムラインを引いていただいて、実際に使えるようにしてもらうと良いと思います。以上です。

【委員】
 先ほど藤村委員の方からGIGAスクールでIDの検討をすると、マイナンバーそのものは使えないけれども、という問題提起がありましたが、先週官邸でデジタルガバメント閣僚会議の中のワーキングで、マイナンバー制度の大幅見直しを考えているのですが、その中で明示的にGIGAスクールにおいてマイナンバーカードを認証を含めてどう使うかというアジェンダがあがっていて、本年度中に方針を固める方針でおりますので、ぜひそこでの意見も踏まえながら整合のある話をしていければと思います。以上です。

【委員】
 今回データの利活用ということですけれども、データの利活用をして今回の取組がうまくいったのか、いかなかったのかということに関して、そもそもの数値的な目標をどのように考えるのかなと。せっかくこれだけの議論をしてこれだけのお金をかける以上は、具体的に何を目指すのか、結局何のためにやったのかが見えてこないのではないかと。例えば先ほどの話でいえば、ステークホルダーの方々の課題があって、どれくらいの数値でプラスの効果が出たのかをあらかじめ決めないと、利活用を議論しても、ゴールが無いと何のためにやっているのかが分からなくなるのではないかと。その点に関しては、これからかもしれませんが、ぜひ議論させていただければと思います。例えば保護者から見た時に学力テストの成果が今よりも10点あがる20点あがると、そういったことも目標かもしれません。またはこのデータ利活用によって、教師の負担が減って、教師の残業時間が20パーセント減る、これも目標かもしれません。いずれにせよ、明確な目標を最初に決めておいて、それに対して利活用の取組がどういう効果があり、または後で検証するということもありますので、そうした数値目標について議論させていただければと思います。以上です。

【座長】
 今までいただいた御意見によれば、教育データ利活用の本質的な目的とそれをどういうふうに実装するかという具体的なユースケースとそういったことを考えつつも、そうは言っても教育データの標準化は非常に重要で、更にできるところからやるという観点で言えば、我が国に学習指導要領に、コード化というかナンバリングというか、まずそうしたものを作って公開し、それを使うことを促していくことが望ましいということはみなさんの意見から整理できるかと思います。従いまして学習内容の情報の要になる学習指導要領のデータのコード化というのはぜひ早めに進めていきたいと考えております。本日の各委員からいただいた御意見を踏まえて、もう一度事務局でご検討いただいた上で、更に前に進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 たくさんのお立場、いろいろなところで先進的に取組いただいている方々をお招きしていることもありまして、深い議論にならずに大変申し訳ございませんでしたが、今後さまざまな形で皆さんからもっと詳しい情報提供をしていただきながら、この検討会を進めてまいりたいと思います。標準化は多様な動きを把握して行っていかなければならないと思っていますので、そのように進めたいと思います。

(以上)

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