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新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議(第10回)議事要旨

1.日時

令和2年9月30日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 特別支援学校の設置基準の在り方について
  2. 特別支援教育を担う教員の専門性の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

宮﨑主査,岡田主査代理,石橋委員,市川宏伸委員,市川裕二委員,一木委員,大出委員,金森委員,北村委員,木村委員,滝口委員,田村委員,成澤委員,野口委員,東内委員,佛坂委員,松倉委員,真砂委員,山中委員

文部科学省

瀧本初等中等教育局長,浅田総合教育政策局長,蝦名大臣官房審議官(初等中等教育局担当),髙口大臣官房審議官(総合教育政策局担当),八田特別支援教育課長,佐々木特別支援教育企画官,分藤初等中等教育局視学官,若林特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

梅澤オブザーバー,河村オブザーバー,西牧オブザーバー

5.議事要旨

【委員】特別支援学校の教育環境の改善のため、その一つの理由として教室不足があるのではないかと思うが、設置基準を作られるのは非常にありがたい。
特別支援学校の形態は非常に複雑で多様であり、特に複数の障害種別等を併設している学校も少なからずあり、学校によって障害種の組み合わせが違っている。特別支援学校は、このような複数の障害を併せ有する児童生徒も含めた様々な障害のある児童生徒に対応するために設置される学校だと思っているので、それが駄目にならないような設置基準にしていく必要がある。個別具体的な設置基準を作るのは難しいと思うが、基本となるベースを作るとともに、様々な障害種別があることを踏まえて、最も妥当なところに収めていただけるとありがたい。
次に、現存する特別支援学校が使えなくなると困るという点については、そのとおりだと思うが、校長会からは、現存の特別支援学校の教室数の不足解消のために設置基準には非常に大きな期待が寄せられているため、設置基準を適用しないということではなく、できる限り適用を図ることや、今後も引き続き特別支援学校の教室の不足解消を重要課題として改善に取り組むということはお示しいただきたい。
また、設置基準に直接関わらないかもしれないが、特別支援学校は地域の障害のある方のための文化・スポーツ活動の拠点や、災害時の避難所としての活用が大きく期待されている。こういった活用は今後も増加すると考えており、災害時の避難所機能については、特別支援学校施設整備指針に触れられており、文化・スポーツ活動としての活用については、今のところは学校開放のための空間として触れられているが、このような視点も加えていく必要があると思う。

【委員】設置基準がこれまでなかった特別支援学校が、他の学校と同様に設置基準を設けられるようになることは大変重要であると考えている。
その際にできるだけ、学部あるいは障害種別に共通した内容を定めて示されるべきと考える。特別支援学校は大変多様な実態があり、例えば私どもの学校では、分教室があったり、あるいは病院内の教育があったり、病院内だけで成立している学校も病弱にはあるため、基本となる形を示した上で、多様な形態を抱合することが重要である。
そしてもう一つは、新しい時代の特別支援教育の在り方の議論の中で出てきた内容であるため、これからの特別支援教育の目指す方向が分かる設置基準であってほしいと願っている。単に現状を全て認めるだけではなく、次の段階として、こういう特別支援学校であるべきというところが分かる、希望の持てるものをお願いしたい。その際、特別支援学校が地域の特別支援教育のセンター的機能を発揮できるような内容や、重複障害のお子さんも多数いて複数障害種が併置化することで、より総合的な支援ができるような機能が盛り込まれることを期待している。加えて、医療的ケアのあるお子さんの教育の充実が大変大きな課題になっている中で、そうしたお子さんが通うための駐車場や送迎スペースの確保等も含めて、きちんとあるべき姿を盛り込んでいただいたい。
今あるべき機能がきちんと果たせる設置基準とともに、新しい時代を見据えたものであることを願っている。

【主査代理】特別支援学校の設置基準は幼小中高の設置基準に並んだ形で作っていく必要があると考える。また、あまり個別的な内容を細かく書き込むのではなく、それぞれの都道府県で実態に応じて弾力的な運用ができるようにしていっていただくことが非常に重要である。
例えば、流山高等学園等では、通常の特別支援学校の形ではないようなスタイルを県として独自に十分に検討した上で、当時としては非常に画期的な設備施設や学校の面積等を持ったものを作っており、また、他の特別支援学校では、小学校の空いたスペースの中に特別支援学校を設置した場合もあった。それぞれ都道府県によって事情と工夫があろうかと思うので、そこが柔軟に対応できるような設置基準になっていっていただければと思う。
それと併せて、他の学校の設置基準同様、既に作ってある学校に遡っていかないことは大事である。それぞれの都道府県がかなり苦労、工夫しながら、高等学校の空きスペースや小学校の空きスペースの中に特別支援学校を設置したりしている中で、それぞれの工夫を大事にしていく必要がある。
また、直接の基準とは関係はないかもしれないが、国庫補助や財政的な負担、あるいは国有地の活用、整備指針を考慮するような観点も必要であると考える。

【委員】設置基準が策定されるということは大変重要で必要なこと。今回は必要な最低基準のものを定めるということについても、それが基本であり前提であると思っている。
病弱の特別支援学校は地域の実情によって形態が違っており、病院の中にある学校や病院と併設されている学校など様々である。現在、実際に運動場や体育館がない学校も多くあり、学習環境の改善という点で設置基準の策定は本当に必要であるが、病弱の特別支援学校の特質の違い等も考慮していく必要がある。
その学校がどのような教育を今後目指し、役割を担っていくか、各都道府県の状況によっても、設置基準に寄せられる意見も違ってくるかと思う。例えば、胃ろうや導尿あるいはインスリン等の自己注射が必要な子供たちにとっては、保健室のみならず、別の処置室等も必要な状況があると思う。
各障害種に共通する最低基準を設定すると同時に、それぞれの地域の状況や特別支援学校が目指す方向性の違いにも対応できる基本となる基準作りができればと思う。

【委員】特別支援教育を担う教員の専門性の在り方について、基本的にはお示しいただいた改善の方向性に賛成する。その上で、細かな点かもしれないが、表現の工夫に関して1点申し上げる。
発達障害の専門性という表記について、「発達障害の子供にはこんなふうに対応すれば良い」という発想が教師に定着してしまうことを懸念している。同じ障害でも子供の実態は多様で、必要な対応も、授業の目標、場面によって異なる。適切な対応を判断するためには子供を理解することが非常に重要で、現場の先生方には障害へ対応するという発想ではなく、まず子供を理解していただきたい。そのために必要な子供の見方、理解に必要な考え方が何であるかを自覚した上で研修に臨んでいただくということが重要である。
今後、都道府県へメッセージを送る際には、例えば、自立活動の視点による発達障害の子供の理解と指導に係る専門性のような表現になると、教職課程で新設された1単位科目のコアカリキュラムと現職研修の関係も踏まえて検討いただけるのではないか。

【主査代理】各都道府県の教員育成指標の現状には少し驚いた。特別支援教育、発達障害のことを明確に位置づけて、研修で扱うよう求める必要がある。

【委員】まず、全ての教員に求められる特別支援教育に関する専門性というのは今、小・中学校でも発達障害のある児童生徒に通常の学級で担任が対応していくことが当然であるため、発達障害に関する専門性は必須であると考える。今様々な形で進められている研修を更に深めていくことは非常に重要である。
ただ、特別支援学級や通級による指導を担当する教員に求められる専門性については、現実に特別支援学級や通級による指導という学びの場があり先生が配置されているため、その先生たちが研修を受けているだけではなく専門性を担保するものが必要である。自閉症という免許が良いのか、LDという免許が必要なのかというような障害種は別としても、基礎免許に加えて更にそこに専門性がプラスされる免許や資格というものは必要である。
特別支援学級の先生方の特別支援学校教諭免許状の保有率が3割という状況が続いていて、それが上がっていかない。オンライン研修も含めて様々な研修が各自治体で準備されていても、なかなか研修を受けられなかったり、研修を受けるモチベーションにつながらなかったりしている。免許や資格があれば、それを取ろうというモチベーションにつながるが、そういったものが無ければ研修を受けるモチベーションにもつながりにくい。免許制度を動かすことは難しいということは分かるが、何らかの手を打たなければ、このままの状況でずるずると行ってしまうのではないかと心配をしている。

【特別支援教育課課長補佐】先ほどの御指摘、ごもっともだと思っている。事務局の説明が不十分だったかもしれないので、もう一度、確認的に説明させていただきたい。まず、特別支援学校教諭の教職課程の中に一部、発達障害等の内容を位置づける。現状、特別支援学級の先生が特別支援学校の免許状を取得することについては、非常に負担も大きい部分もあるとは思うが、新たにそういった発達障害等についての内容を位置づけた上で、その部分の単位をしっかり取っていただくようになれば、基礎免許状プラス特別支援学校の教職課程の一部の単位で、より専門性を担保していくことができるのではないかというのが事務局の案である。
現状、様々な研修が行われたり、大学における履修証明プログラムが開発されたりしている例はあるが、教職課程の単位となれば、ある程度全国的な質の担保ということも仕組みとしては可能になると思っているので、まずはそういったことを足がかりに特別支援学級、通級による指導の先生方の専門性というものをしっかり確保していきたいというのが事務局としての趣旨である。

【委員】趣旨は分かったが、特別支援学級や通級の指導の教員は非常に増えているので、本当にこれからの課題だということでお話しさせていただいた。

【委員】免許状創設については事務局の説明に同意する。ただ、全ての教師の専門性向上を図ることのみでは、この現状の課題解決につながるのかといったところを私は懸念している。
例えば現状の課題で言うと、特別支援学級や通級による指導における教育課程の編制や個別の教育支援計画・指導計画が形骸化してしまっているような状況を解決していくことを考えると、全ての教師の専門性向上や特別支援学校の教職課程の一部にそういった内容を入れ込んでおくことで、果たして本当に解決ができるのかというところが心配である。
例えば、小学校などの教職課程プラスアルファで特別支援教育に関わる専門性を修得できるような仕組みが作れないのかと考えている。単位数は最低限にして、例えば、集団における特別な教育的ニーズのある子供への指導や支援方法、自立活動に焦点を当てた特別支援学級や通級による指導における教育課程の編制方法、個別の教育支援計画と個別の指導計画の作成方法、更には行動問題に見られる子供たちに対するエビデンスのある効果的な指導方法、障害のある子供の保護者への支援方法、ICTを活用した指導方法や校務におけるICTの活用方法といった内容の単位を教職課程の中で、小学校等の免許プラスアルファで取得させることができないか。こうした内容を履修することが、採用時に勘案されたり、給与に反映されたりする等の現職教員を含めたインセンティブを得られないのかと考えている。
発達障害等を特別支援学校の教職課程の中に入れ込むという説明があった。特別支援学校の教職課程を全てを受講しなければそれが学べないとなってしまうと、やはり負担が大きい。小学校等の教職課程プラスアルファで最低限の単位を取得することがインセンティブをつけていくというのができないのかと考えている。
もう1点、特別支援学校教諭の教職課程といったところだが、センター的機能をより強化していくといったところで、そこの専門性がまた鍵になってくると考える。ただ、やはりセンター的機能を実施していく上で、小中学校に助言やスーパーバイズをしていくという役割になると思うが、教職課程の段階でそういった内容まで学ぶことが果たして本当に適切なのかと考えている。学生が免許状取得時に小中学校に助言するためのスキルを習得するという設計ではなく、現職の先生方がそういったプラスアルファを学び、スーパーバイズする力を身につけられる機会を設け、それに対しても何かしらのインセンティブをつけていくといった設計ができると非常に理想的であると考えている。

【特別支援教育課課長補佐】8ページ目の特別支援学級や通級による指導、あるいは発達障害の専門性を担保するための改革の方向性の枠囲みの中の下から3行目の免許法認定講習を活用した特別支援学校の教職課程の一部の単位の取得の推奨とある。特別支援学級や通級による指導の担当教員あるいは全ての教員に特別支援学校の教職課程を全て履修していただくことは、非常に負担が大きいですので、特別支援学校の教職課程の中で、例えば特別支援学校にも発達障害のお子様はいらっしゃいますので、特別支援学校でも小中学校にも求められる必要性とも言える部分をしっかりと特別支援学校教職課程に位置づけた上で、一部というのはまさにその部分を小中学校の先生たちにも取っていただくということで、ある程度現実的な負担が大きくなり過ぎない中で、専門性を担保していけるのではないかというのが事務局としての案である。補足させていただく。

【委員】中央教育審議会の初等教育分科会の中間まとめにおいて、個に応じた指導と個別最適な学びの中で専門性の高い教員が、より支援が必要な児童生徒に重点的な指導を行うことを効果的に実現していくのだと書かれている。私の理解では、この「専門性の高い教員」というのは、恐らく特別支援教育を担う教員であり、このような期待に応えられるレベルまで専門性を上げていくことを考えなければならないのだと思っている。
特別支援教育を担う専門性というのは、個別の指導計画の作成や障害の特性の理解、自立活動を実践する力などと言われており、整理すればこのようなことが専門性だと思うが、正直な言い方をすると、準ずる教育課程ではない知的障害特別支援学校や知的障害特別支援学級では、先生一人一人が学習指導要領に基づいて発達や学習修得状況を把握して、障害の状態や特性等を踏まえた個別の指導計画を作成し、各授業等の具体的な指導目標や内容、指導方法を自分で組み立てている状況があり、自分で組み立てる部分が多い。
私は専門性というのが何なのかということをもう1度考えたほうがいいと思っており、各教員が子供の発達や学習の習得状況を把握するツールや知的障害や発達障害の方に対する指導方法、学習指導要領の内容を踏まえた教科用図書や教材等を、文部科学省や教育委員会が公的に提供して、それを使いこなせる専門性というのが特別支援教育を担う教員の専門性になるのではないかと考える。特別支援教育の専門性の向上のために、大学の教育課程を充実させたり、研修を充実させたりすることも重要であるが、子供たちに教える内容は何で、先生には何を学んでもらうのかという部分が実ははっきりしていないと思う。特に教科用図書というのは非常に重要で、発達の状況等を把握するツールや教材等も含めて、公的機関が作成して、先生方が使っていくようになることが重要で、その使い方について習得していくことが専門性だろうと思う。
現行の特別支援学習指導要領に基づく連続性を重視する、教科学習の充実という言葉が先ほど事務局の方からも出たが、充実させるために、国語と算数、音楽しか作成されていない文部科学省著作教科書を全教科にわたり作ったり、ICTを活用した教材を開発したりするなど、そのような具体的な教材があって、それをどう使いこなすかということについて、専門性を発揮していくことにつながると考えている。
また、特別支援学級や通級による指導の先生方の免許は創設しないが、特別支援学校の教職課程に発達障害を入れていくという話は、以前発言した、知的障害と発達障害の捉え方をどう捉えるかという点に関わってくると思う。特別支援学校の先生方が発達障害についても学ぶようになれば、それはセンター的機能の発揮等にも非常に有効と考えるが、発達障害の勉強を加えるだけで良いのかという気はする。

【委員】教育実習に行った学生は現場に行くとやはり違うと言っており、教職課程で知識を身に付けてすぐに即戦力になるわけではないと思うが、それでも基礎的な知識があることは非常に重要であると考える。
学校現場の先生方には支援技術やICTの活用は必要だと考えるが、全ての教員が様々な障害のある子供の対応をするような機器を使えることまでは必要ではないと思うが、知識を持っていることと、周りで支える人たちとうまく連携できるということが必要である。教員自身が学ぶ力をつける部分と、外部の人材をうまく使う部分と両方併せて、学校としての専門性が高まっていくことが重要で、その中でICTの役割が大きいので、それを意識して専門性に加えていただければと思う。

【主査代理】特別支援学級、通級による指導、発達障害等の免許状に関して、国全体を考えたときに、資格や免許はある程度分かりやすくしておく必要があると思っているため、様々な資格を作るのではなく、現行の免許制度をうまく使っていったほうが国民にとって分かりやすいのではないか。
教職課程の中で、発達障害の内容ということは当然のことだと思う。発達障害について勉強してもらう必要はあり、例えば、免許法認定講習で特別支援学級や通級による指導を担当する先生に学んでいただく必要があると考えている。
また、工業系や産業系の学部の出身者は、在学中に特別支援教育の単位を取得する機会や学習する機会がないまま教員になることが多く、そういう人たちに特別支援教育についての見識を持っていっていただく方法を考えていく必要がある。

【委員】学校種や教科によって免許を設けてきた歴史があり、その枠組みの中で、少しずつ特別支援学校教諭免許状の取得率を上げてきている状況がある。過程で、発達障害への対応は大きな課題ではあるが、その視点だけで教育課題にターゲットを当てた免許をピンポイントで創設してよいのか。学校経営の視点からは、肢体不自由学級、知的障害学級、言語障害学級もある中で、発達障害、あるいは例えば自閉症・情緒障害学級だけ免許があってよいのかということに突き当たる。学校種という縦軸と障害種や学級の種別という横軸をどこに置いていくかということをしっかり見据えていかなければならない。公教育として障害のある人数が多いからそこだけ置くという訳にはいかない。特別支援学級の教員も他の障害種別の特別支援学級や他の特別支援学校への異動もあるため、異動面・養成面・教育内容面を俯瞰して、全体像を作った中で発達障害対応を考えていくべきである。特別支援学級や通級による指導、発達障害の免許状の創設は、場合によっては担当者間の分断を招いてしまうことにもなりかねない。発達障害のお子さんは通常の学級にも様々な形で在籍しているのであるから、全ての教員の専門性の向上について、更に工夫してアプローチをする中で免許制度についても考えていくべきである。
また、特別支援学校の教職課程の中で、発達障害の部分の単位を取るということは負担が少なくて良いが、そのインセンティブや履修したことのメリットが職務経験上生かせるようにしていくことが単位取得のモチベーションアップにつながっていくと考えている。
免許法附則15項については、人事交流が重要であるため、今後も維持しつつ、引き続き特別支援学校教諭免許の取得率の向上の取り組みを継続していく必要がある。

【委員】特別支援学級等や特別支援学校の教員の専門性向上についても、御提案いただいた改善の方向性に基本的に賛成である。
特別支援教育への転換に際し、特別支援学校が小中学校支援等への役割を果たすことで、特別支援教育全体の充実を図るという制度設計がなされたということを踏まえると、特別支援教育を担う教員の専門性を検討する際にも、中核的な役割を担う特別支援学校の教員の専門性を「養成-採用-研修」の中でどのように担保するのかということが重要になると考える。
事務局からお示しいただいたとおり、小学校等の教員については「養成-採用-研修」の一体化が図られている一方で、特別支援学校の教員については、一体化へ向けた議論自体が十分とは言えない現状にある。その要因の一つに養成段階の課題があり、今回、養成段階で共通に修得すべき資質能力の整理や養成段階で共通的に修得すべき資質能力を審議すること、更には、特別支援学校教員の教員育成指標や研修を検討することは大変重要なポイントを指摘していただいていると思う。
この特別支援学校の教員の「養成-採用-研修」との関連において、特別支援学級や通級による指導を担当される先生方の専門性についても、今回お示ししていただいた改善の方向性を含めて検討していくことが重要である。

【委員】発達障害の方は、厚労省は人口の1割と言っているぐらい、非常に数が多い。
教育は今までそういう方を見逃してきているので、先生方の中には「また、君か」「何回言ったら分かるんだ」というような注意の仕方をしている人がいるのだと思う。発達障害は同じ障害という名前がついているが、他の障害と同次元では扱えないところがあり、盲やろう、身体障害等については非常に対応が進んでいると思うが、発達障害については非常に遅れている。
今議論されている内容を発達障害の方々が聞いたら喜ぶと思うが、時間をかけてやればよいということではなく、現に今非常に困っている人たちがいるというのが正直なところである。福祉や医療の中でもやっぱり遅れている部分があり、例えば福祉の統計では、40代、50代のスタッフが一番、発達障害の人に対する虐待的な対応を取ると言われている。それは、発達障害があるということを知らないままずっと育った方で、かえって若い先生、若いスタッフの方がそういうものに対してある程度対応できるというような統計も出ている。これから新しく教員になる方には、ぜひ発達障害について学んでいただきたいと思うし、私は専門の免許状も作ってほしい。教育関係者向けに発達障害に関する講演会を行うと熱心な先生方が通常の学級からも聞きに来てくれて、発達障害の話を聞くと学級運営がうまくいくという話をしている。
発達障害は明確な線引きがなく、特定の場で教えるのではなく、全ての場で教えなければならない。時間がかかっているうちに、お子さんが中学校に行って、高校に行って、大学に行って、社会に出て困っている人が出てきてしまっている。発達障害のある子供が知的障害の特別支援学校に入るのはけしからんという考えもあるが、発達障害のある子供の受皿を作っていくことも重要である。

【委員】免許の取得方法について、1点お話ししたい。特別支援学校でも準ずる指導を行っている場合、特に盲学校あるいはろう学校等では、専門障害種の免許のほかにも必要な免許取得者の配置が難しい場合がある。
具体的には、採用者の所有している免許が教科の免許状に偏りが見られたり、あるいは幼稚園免許の所有者が少なかったりなどの課題がある。採用時の工夫はもちろんであるが、採用後の免許状取得に向けて、免許を取得しやすくするための負担軽減、例えばICTの活用等を今まで以上に進めていく必要があると思っている。また、このことによって、小中学校等の先生方の特別支援学校教諭の免許取得にもつながるのではないかと考えている。

【委員】特別支援教育を担当する教員の専門性を高めていくために、事務局の資料にもある通り教員の育成指標に可能な限り特別支援教育や発達障害を明確に位置づけて、研修や教員への支援を行っていくことが必要である。
また、特別支援学級や通級による指導に関して、市区町村の教育支援委員会等において、学校教育法施行令の第22条の3に該当すると判断された児童が、公立の小学校へ一定数就学しているという調査結果から、特別支援学級等では、より幅の広い障害の実態への対応が必要になっていることが伺える。専門的な免許の創設という話あったが、様々な障害種に対応が必要になるということや、校内の特別支援教育の推進役を担う教員に求められる資質や専門性を明らかにして、自己研鑽に努められるような研修体制等を整備していくことも必要と考えている。
特別支援学校については、特別支援学校教諭の免許を保有している教員が指導を行うというのが基本であると理解しているが、人事異動のときに免許保有者を優先的に配置したり、免許を持っていない教員には免許法の認定講習の受講などで取得を求めたりするなどの対応を行い、徐々に免許の保有率は上がっている。しかしながら、やはり視覚障害、聴覚障害については養成課程がない地域があることや他の障害種に比べて、保有者が少ないといったような状態があり、附則の第15項を直ちに削除するということではなく、これからまた研修を進めたりしながら、状況を見ていくということも必要ではないかと考えている。

【委員】設置基準については、特別支援学校は様々な年齢のお子さんや、幅広い障害の特性のある児童生徒が学ぶ学校であるため、その設置基準の策定はとても難しい作業になると思われるが、小学校などの設置基準の示し方に倣いながら、全ての部と障害種に共通した内容を定め、実態が多様化していることに対しても弾力的に運用ができるようなものにする必要があるのではないかと考えている。
また、現在、教室不足の解消に向けて、集中取組計画を策定しているが、今後、こういった計画に沿って進行させる作業への影響が出ないようにしていただければと考えている。
さらに、既存の学校施設については、適正な施設の水準になるように努めることはもちろんではあるものの、今回策定する設置基準が既存の施設に適用され、違法状態になり使用できなくなることは避ける必要があると考える。

【委員】免許の保有に関して、附則第15項の廃止を見据えていくということについては必要なこと思う。ただし、免許保有のことが主となって、人事交流が停滞し、自治体の教育の質が低下するということがないように、人事交流の教員については、免許取得の予定やその計画を明らかにした上で、その方々を除いて、別途、所有率等を算出していくということがよいのではないかと思っている。

【主査代理】免許法附則第15項については、特別支援学校の教員の専門性として、特別支援教育に関する専門性と教科領域の内容に関する専門性がセットで特別支援学校の教員の専門性と考えられる。
ところが、人事を担当していた時、新規採用の教員の60%から70%の基礎免許状が社会と体育と福祉であり、特別支援学校教諭の免許状を所持していることを前提に考えると、教科・領域に関わる部分が成立しなくなってしまう。職業教育や芸術系の教科のみならず数学や英語の学習内容の専門性が、盲学校やろう学校や病弱の学校、肢体不自由の学校に留まらず、知的障害の学校においても担保できなくなることが一番大きな問題であった。そのため人事交流や採用の際に併願をかける等の工夫を各都道府県が行っている。
また、人事交流者で特別支援学校に来た教員は、元の学校に戻った後に小中高等学校等における特別支援教育推進のキーマンになっていく。そういうキーマンになっていく人を育成していくという意味においても、人事交流の教員を別カウントで扱っていくということは非常に重要なことであると思う。

【委員】「免許法附則第15項の廃止を見据え」と、目標としては廃止をしていく方向だけども、なかなかそこへ進めるまでにもう少し時間がかかるという意味で理解し、これは現状を踏まえると妥当な話だろうと思う。
そのうえで、免許法認定通信教育の実施主体の拡大や特別支援学校免許状の取得に向けた今後の教員の単位等の取得状況を把握していき、特別支援学校の教員免許を全員が持つ方向へ国としても進めていくということをしっかり記載していただければよいと思う。

【委員】広島県では、校務支援システムが導入され指導要録が電子化されている。さらに、今年度は個別の指導計画や個別の教育支援計画についても、この校務支援システムを使っていくために今は様式等が検討されている状況である。これが入ってくると、各学校で計画の項目や内容の充実が図られていくのではないかと期待している。各学校がそれぞれ研究し積み重ねてきていたものを集約してもらって、こういう形が作られていくのは、今後、全国の特別支援学校でも必要ではないかと思っている。
もう1点、幼児期から切れ目のない支援を行っていくためのサポートファイルというものがあり、広島県においては11年ぶりに刷新された。これは福祉と学校と卒業後のものもつなぐツールとして保護者に手渡されるものであるが、その後のフォローがなかなかなく、学校に入学するときにも渡されないことや必要な内容が書き込まれていなかい場合も多かった。こうした状況も踏まえ、新たな取組として保護者向けハンドブック等も作っていくのも重要であると考えるが、今あるツールを有効に活用していくことも重要であると考えている。

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係

(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係)