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新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議(第9回)議事要旨

1.日時

令和2年8月31日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 関係機関の連携強化による切れ目のない支援の充実について
  2. その他

4.出席者

委員

宮﨑主査,岡田主査代理,阿部委員(代理竹下氏),石橋委員,市川宏伸委員,市川裕二委員,一木委員,大出委員,金森委員,北村委員,木村委員,滝口委員,竹中委員,田村委員,野口委員,東内委員,日詰委員,佛坂委員,松倉委員,真砂委員(代理山下氏),山口委員,山中委員

文部科学省

瀧本初等中等教育局長,浅田総合教育政策局長,蝦名大臣官房審議官(初等中等教育局担当),髙口大臣官房審議官(総合教育政策局担当),八田特別支援教育課長,佐々木特別支援教育企画官,分藤初等中等教育局視学官,若林特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

梅澤オブザーバー,河村オブザーバー,西牧オブザーバー

5.議事要旨

【委員】うまく連携できるかどうかというのは、相手のことをどれぐらい知っているかによると考えており、福祉の側は教育の内容がどういうふうになっているかを知らなければ、いい連携は取れないし、教育の側も福祉の内容がどうなっているかを知らなければ、うまく連携が取れない。

【委員】学校としては、各事業所への進路開拓や実習での巡回指導で福祉等の事業所との連携が取れている。特に私立の特別支援学校では、教員が異動しないため生徒が卒業した後も長期に渡りそういった関わりが持てるというところは非常に大きい。また、事業所や実習先との連携は進路担当に任せたままになってしまう傾向がある。
個別の教育支援計画について共有できれば、非常にありがたいと思う。それぞれの学校が個別の教育支援計画を作成しているが、様式がばらばらであったりするので、それが共有できるようなものが一つでき上がると、非常に大きいものだと感じている。

【委員代理】埼玉県の方に教えていただきたい。福祉と教育の連携のところで「保護者からの発意」という言葉があったので驚いているが、保護者が連携を必要としたときに、それを学校長あるいは教育委員会に申し出るということか。学校長等がそれを受け入れなかった場合には、連携は実現しないということか。この福祉と教育の連携の動機づけ、契機となるところをもう少し詳しく教えていただきたい。
また、人事異動もあるため毎年研修を実施しているということは理解できるが、巡回で個別の障害児の支援を行っていることとの関係についてお聞きしたい。すなわち、研修によって専門性を身に付けた教員が配置されている学校において、巡回の個別支援を行うということは考えているか教えていただきたい。
最後に、その巡回がどういう形で継続的に行われているのか、巡回支援の継続性についての具体的な方法についても御教示いただきたい。

【発表者】まず1点は、保育所等訪問支援は保護者等の申請に基づいて学校等に訪問するため、発意という言葉を使いました。一方の巡回支援は、学校や幼稚園、保育所の先生方からの依頼に基づき専門職である作業療法士や臨床心理士が学校等を訪問する形なので、保育所等訪問支援に比べて受入れもスムーズである。
2点目の人材育成と巡回との関係については、研修で人材育成を行った先生方の申出に基づいて、専門職である作業療法士や臨床心理士が学校や園を訪問して研修の結果をフォローアップするというような形で巡回する場合と、研修とは連動しない形で学校や園からの希望に基づき専門職が巡回の個別支援に入る場合もある。

【委員】病弱の児童生徒にとって、切れ目のない支援は大変重要である。入院治療のために特別支援学校に学籍を移した場合や、治療が済んで退院して元の学校に戻るときにも、前籍の学校と連携した学業面や心理面での支援が大変重要になる。また、復学時の連携では特別支援学校がセンター的機能を発揮している。
医療との連携という点では、病弱の特別支援学校においては、医師の治療方針に基づいて支援方法や指導方法を決定していくことが大切であるため、教育と医療が、互いに場所や時間の制約がある中でも、ウェブなどを利用して、できることから連携をしていく必要がある。
現在、切れ目ない支援ということで最も課題となっているのは、高等学校段階の生徒が入院治療あるいは自宅療養している場合である。病弱の特別支援学校では半数以上の学校で高等部はなく、高等学校には特別支援学級は設置されておらず、入院中の高校生の学習を継続させるという点で様々な課題がある。2018年に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画でも、特に高校教育段階の取組が遅れているということを指摘されており、現在、調査・研究が進んでいるところである。がん患者に限らず、様々な病気の児童生徒が治療を受けながら学業を継続させられるような切れ目ない支援が求められており、そのためには、遠隔教育の活用によって学習や人間関係を切らさないということが大切である。

【委員】特別支援学校在学中の福祉機関や医療機関との連携は、本校は医療機関への訪問も行っているなど概ねできていると考えているが、学校に入学する前と学校卒業後の関係機関との連携はより充実させるべきと考える。
例えば、就学時においては、就学相談の体制整備をしっかり作っていくとこが重要で、市町村では就学支援チームの設立や就学相談体制の構築のモデル事業が進められているが、そうしたモデル事業の成果が、現状どのようになっているかということを把握する必要がある。また、近年、発達障害のお子さんたちが増えたことによって、就学前に連携する機関は非常に多岐にわたっており、幼稚園、保育園に加えて発達支援センター、療育センター、LITALICOさんのような児童発達支援事業所、民間の塾など、非常に多岐にわたる機関との連携もこれから考えていかなくてはいけない。区市町村は今、非常に多くの就学相談の事例を持っており、多いところは年間300~400件の相談を行っている。それだけの就学相談に対応するためには非常に事務的な就学相談になってしまい、連携を深めるような就学相談を行えているかというとやはり課題がある。こういったケースについては何らかの支援をしていかないと、すべての就学相談にしっかりと対応することが難しくなっていくのではないかと思う。そういうことを考えると、就学相談についてはしっかり体制をとるとともに、区市町村が充実した就学相談を行うための予算的支援や指針を明示するとともに、今までやってきたモデル事業で構築した体制の定着・充実・発展させるような仕組みが必要と考える。
卒業後については、特別支援学校の場合には、制度等に基づくものではないが、どの学校も卒業後3年間程度はフォローアップを行っている。本校の場合も、1年目に電話連絡をしたり、8月に訪問したり、また、残念ながら退職したお子さんについてもフォローしている。ただ、これらは学校独自の取組として行われているものであり、こうした取組を制度として充実させる必要があると思っている。
また、学齢期においては福祉機関との連携として、地域の「要保護児童対策地域協議会」や「障害者虐待防止ネットワーク会議」に、本校の場合は管理職が参加している。ただし、全ての通学区域にある市町村が開催している会議に参加しているわけではないので、行政が開催する会議については、どの会議に参加するのかをしっかり定めておく必要がある。
あと、放課後等デイサービスとの関係では、特別支援学校1校当たり20から40事業所ぐらいを対応しており、100近くの事業所と関わっている学校もある。非常に多くの事業所と対応する中で課題も多く、連携はしていきたいが現実的には難しいというところもある。児童生徒も、一人が複数の事業所を利用している場合もあるので、それらとの連携というのは、実際問題としては難しい。こういうことを踏まえて、どういうふうな連携をしていくかを考える必要がある。

【委員】学校と医療機関とがどのように連携していくのかということも非常に重要である。学校は医療からの助言を生かした対応を取っていくことが重要と考える。
それから、放課後等デイサービスについては、先ほど市川委員からも話はあったが、小中学校も特別支援学校同様、複数の事業所と関係しており、その中にはLITALICOさんのような組織もあれば、小さくて地域に根差している事業所も多く、事業所毎に活動内容等が異なるため、そもそも放課後等デイサービスはどのような活動をしているのかということをもう少し整理したうえで、それぞれの事業所が組織化されてこないと、学校と連携するのはなかなか難しいと思う。
1人の児童が曜日を変えて複数の事業所を活用している場合もあるので、そうすると、どの事業所とどのように連携するのかを学校の担任が全部把握していくのは難しいと思う。
今、埼玉県の話でもあったが、放課後等デイサービスが、例えば、それぞれの自治体の発達センターや相談センターの中に食い込んで、そこを通しての連携だったらうまくいくと思うが、各自治体で巡回相談や通級による指導もあり、特に発達障害等のお子さんは、巡回相談や通級による指導を利用しているため、どういう役割分担をしていったらいいのかという点も、学校では判断が難しい。
最後に、個別の支援計画について、今は、通常の小中学校でも個別の教育支援計画を作るようになってきたが、形骸化していたり、様式の中身がいま一つで関係機関の記述が十分でなかったりするものが多い。個別の教育支援計画があるから関係機関との連携が進むというような計画にしていかなくてはならず、今後は計画を作る段階から、計画を活用していくという段階に入っていく必要があると思う。

【委員】学校間の連携は大分進んできているが、他機関との連携については足踏みになっていると思う。県内で連携がうまくいっているところは、教育委員会の指導主事など、立場は様々であるが、中心になってつないでいく人がはっきりしており、そうした人たちが時間に融通を聞かせて動いている場合である。
学校サイドでは、特別支援教育コーディネーターが担っている役割は大きいが、対象児童生徒が増加していたり、1人の児童生徒がつながる機関の数が増えてきたりしているということもあって、かなり多忙だという声が聞こえている。学校サイドで情報収集や、コーディネートしていく方の時間の確保や切り出しをしていく必要があると感じている。
個別の教育支援計画の活用については、特別支援学校のセンター的な役割として、小中学校における計画作成の支援を行ったり、学校に出向いて教育相談を行う際の資料として計画を活用したりすることで、相談を行った内容を計画に記載していくという使い方をしている学校もある。誰がいつまで何を支援するかといったあたりがはっきりしていて、計画作成の効果があったと実感できたているところは、計画作成の必要性に対する意識がずっと続いているように見える。また、様式については本当に各所ばらばらで、学校毎に変わっており、機関によっても必要な情報が違っているが、恐らく共有する情報項目のベースのようなところは整理がつくのではないかと思うので、例えば、学校で使っていた進路の部分が、卒業後にこう埋まっていくというような、うまく連携していけるような枠組みができていけばいいと思う。

【委員】「特別支援教育資料」によれば、幼小中高全体としては、個別の教育支援計画を作成しようとする子供のうち、約85%の子供たちには作成していることがデータとして上がっている。ただ、その連携に際し不十分ということが指摘されるということをどんなふうに理解したらいいのか。
先ほど来、必要な内容が記載されていない、あるいは記載されたことが十分生かせてないという指摘があるが、そのことを考えるときに、個別の教育支援計画と個別の指導計画をしっかり区別して議論していく必要があると思う。私は、個別の教育支援計画が作成されていても、うまく機能していないという状況があるとすれば、問題の所在は、学校の先生方が個別の教育支援計画を介して共通理解を図った情報を個別の指導計画にどう落とし込んだらいいかということで悩んでおられるのではないかと思う。
個別の教育支援計画の書式が自治体や学校によってバラバラであるという話があったが、私が持っている実感は、個別の教育支援計画が膨らみ過ぎていて、本来、個別の指導計画に記載すべきことを、個別の教育支援計画に盛り込む傾向があって、これが様々な問題をもたらしているということがないかと考えている。
実際に個別の教育支援計画を活用しながら外部機関の方と共通理解を図ったものを学校の中に取り込むといったときに、実際の制度のことなども話の話題になってくるので、ここでは、障害の状態、学習上又は生活上の困難へ対応していこうとすると、外部の方に頂いた情報を自立活動の観点で咀嚼する力が教員に求められると思う。特別支援学校の先生がセンター的機能で小学校等をカバーしてサポートしていくことも必要と思いますし、特別支援学校において外部機関の力を活用する時にも同様に、言われたことをそのままやるのではなく、その助言をどう自立活動に生かしたらいいかという視点が重要である。
この現状の背景にある問題の所在がどこにあるかという共通意識に立って議論していくのか、そこから個別の教育支援計画、個別の指導計画を明確に区別した上で、どこに焦点化して議論していくのかという整理が必要である。

【委員】個別の支援計画とトライアングルの関係など様々な取組をしていただいている中で、様々な課題を持った生徒さんたちが高校学校に入学されるが、幼稚園または保育園、小学校、中学校まで積み上げられてきた貴重な情報が高等学校にはあまり入ってこない。
また、先ほどの発表であった学校連携の課題と提案のようなものを高校段階でも共有していただけると、それが生徒たちの支援につながっていくのではないかと感じている。

【発表者】私どもが行っている人材育成と巡回支援の関係に関して、発達障害総合支援センターの職員が巡回支援を行う場合には人材育成と連動しているが、それとは別に行われる市町村が実施する巡回支援や保育所等訪問支援と人材育成は必ずしも連動はしていないという状況である。

【委員】厚生労働省から提出いただきました資料3-2の5ページの発達障害者への支援のための体制整備という図について、真ん中の黄色で囲まれた部分にある発達障害者支援地域協議会の内容としまして、困難ケースへの対応という記載があるが、これは、要保護児童対策地域協議会の性格も幾らか有する組織であるのではないかと推察している。
特に深刻なケースにおいて、それぞれが個別に対応していてうまく連携できていないというケースに遭遇することがあるので、要保護児童対策地域協議会のように、チームを組んで個別ケース検討会議のような役割を担い、協議会を活用して地域がつながっていくということを期待したい。

【主査代理】どの都道府県でも、視覚と聴覚に関する専門性があるのは、視覚や聴覚障害者である児童生徒を教育する特別支援学校であると思う。乳幼児の教育から年齢が高い人たちの再教育、中途障害となってからの学習に関する相談や保護者に対応するための相談など、様々な支援等の専門性を特別支援学校は持っている。また、障害のある子供は特別支援学校だけではなく小中学校や幼稚園に通っている場合も多く、その子供達や家庭に対してどのような支援のネットワークを作るかが重要である。
千葉県でも多くの都道府県と同様、県庁所在地に盲学校や聾学校があり、全県の子供達の支援を行うため、各市町村に特別支援学校の出先機関であるサテライトを設けて、小中学校の通級による指導を特別支援学校の教員が行うような形をとっている。また、基幹となる地域毎に基幹の学校を設けて、全県的に視覚障害あるいは聴覚障害のあるお子さんたちに支援をするためのネットワークを作り上げている。そのときに、地域毎に中心となるドクターの方たちに御協力いただき、例えば、眼科に行けば、盲学校での相談や支援について、千葉盲学校や基幹となる学校で行っているなどのお知らせをしていただき、相談支援につなげるという形をとっている。更に、盲学校や聾学校については、市教委、学校、進路先になる筑波技術大学等にも協力いただいている。
それから、就労支援についても同様に、ネットワークを作って各地域で就労支援に関わるところ、具体的には千葉労働局、経営者協会、特例子会社連絡会、中小企業家同友会、本庁の障害福祉課、市町村の首長部局とも連携を取りながら進めている。その際、各特別支援学校は、全県の就労先の情報をデータベース化して持っているので、ある会社では何人ぐらい実習受け入れ可能か、何人ぐらい就職の募集をしているか、募集定員に対し残り何人となっているかがわかったり、他にも、例えば、特例子会社であれば、特例子会社の連絡会のネットワークの中に呼んでいただいて、一緒に研修を行ったり、学校に来てもらったりというやりとりができるようなネットワークの仕組みを作っている。

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係

(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係)