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新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議(第7回)議事要旨

1.日時

令和2年5月21日(木曜日)15時00分~18時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、WEB会議にて開催

3.議題

  1. 幼児教育段階・高等学校段階における障害のある子どもの学びの場の在り方について
  2. 障害のある外国人児童生徒の支援や指導の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

宮﨑主査,岡田主査代理,朝日委員,阿部委員,石橋委員,市川宏伸委員,市川裕二委員,大出委員,金森委員,木村委員,熊谷委員,滝口委員,竹中委員,田村委員,成澤委員,野口委員,日詰委員,松倉委員,真砂委員,山口委員,山中委員,吉藤委員

文部科学省

蝦名大臣官房審議官(初等中等教育局担当),八田特別支援教育課長,佐々木特別支援教育企画官,分藤初等中等教育局視学官,若林特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

本後オブザーバー(代理田中調整官),西牧オブザーバー,梅澤オブザーバー

5.議事要旨

【委員】特別支援教育の教師の専門性に関して、学校教育の段階でも就労を見据えた教育が必要と感じている。そういう意味で、教師としての専門性に加えて、社会人あるいは企業における働き方の知識や経験が必要だと感じるので、生徒の就労につながる教育ができる教員を養成していただきたい。

【委員】全ての特別支援教育を担う教員に求められる専門性の全体像が体系的に整理されるべきというのは理解できるが、ポジティブな行動的介入や支援、機能的アセスメント、といった専門的で、具体的な内容まで提言に記載するかどうかについては、整理が必要。

【委員】幼児教育段階の特別支援教育について、早期発見・早期支援の重要性は従前に比べて浸透しているが、早期発見して専門機関につなげるところで力尽きたり安心してしまったりすることで、その後は自分たちのこととして受け止める現場が少ないと感じている。専門機関につなげた後に、保育現場での早期支援につなげていけるような支援や実践の蓄積・活用が望まれる。
また、巡回等の相談員に来てほしくてもなかなか来てもらえない状況があり、相談業務を担当する職員の養成と配置といった人的体制の整備が強く望まれる。実際に、特定の相談員が定期的に赴いた園では、3年程経つと、園内でどのように対応していけば良いかを考える体制が整い、それ以降は特定の相談員が園に伺わなくても特別支援を要する事例への対応が可能になるという取り組みを聞いたことがある。
幼児教育現場では、個別の教育支援計画や指導計画の作成がまだ浸透していないという批判を受けることがあるが、年間、期案、月案、週案、日案等様々な計画を立てているので、こうした計画を活用しながら、個別の教育支援計画等を立てていただければよいのではないか。
小学校への円滑な接続の観点からの情報連携として、要録の作成や送付は浸透しているので、他に何が不十分なのかということを明らかにして対応していくということが今後は求められる。
最後に、保育者の早期離職がこのところの課題となっており、保育者が継続して勤務することが可能となるような職場環境の整備も考えていくことが必要。

【委員】小規模な県で5歳児健診が機能したケースもあるが、5歳児健診で障害があるかどうかをチェックしようとした大規模自治体では保護者が抵抗感を感じうまく機能しなかった。子供が大きくなってからは、保護者は、「障害の存在を、早く教えてくれればよかったのに」と言うが、子どもが低年齢であればあるほど、「自分の子供に、発達障害等がある」ということに抵抗がある。5歳児健診で障害を発見するのではなく、「友達が作りにくい」とか、「先生の話が聞きにくい」とか、障害としてではなく課題への対応のために実施していくのであれば、保護者の理解が得やすいのではないか。

【委員】株式会社LITALICOでは保育所等訪問支援や児童発達支援を行っているが、子供の成長の観点でも保護者支援の観点でも、療育・発達支援と幼稚園・保育園との連携や役割分担が重要で効果的と考えている。こうした福祉事業について幼稚園の先生方にもっと知っていただけるような機会を提供していただけると良いと思っている。
今後は、ICT機器を活用した個別の教育支援計画、指導計画の共有や、オンラインでのケース会議等も推進していく必要があると感じている。

【委員】インクルーシブ教育システムが進み、盲学校の在籍数が少なくなれば、もともと専門家の少ない視覚障害教育では、特別支援学校による地域支援が厳しくなる。地域支援を考慮した教職員定数の見直しを行い、教職員定数を確保した上で副籍や支援籍が行われるようになれば、視覚障害のある幼児が幼稚園でも盲学校でも両方で学べるようになり、地域の子供達とのかかわりを持ちながら専門的な教育を受けられるようになると考える。
また、教育相談や就学支援に関わる市町村のレベルアップが必要だと感じている。北海道では、道立特別支援教育センターが直接各地で行う巡回教育相談や、特別支援学校が行う教育相談パートナー・ティーチャー事業等があり、市町村の教育相談や就学支援のレベルアップのために、道立特別支援教育センターが市町村と連携して研修会を開催している。こうした取組をさらに展開することが必要。

【委員】公立の幼稚園や保育園と私立の幼稚園も同じ境遇にあり、発達障害等による支援を必要とする幼児在園数の増加によって、個々の課題の実態に即した指導計画や専門的知識の修得が求められているので、特別支援コーディネーターや特別支援員の配置等の整備のための公的な補助が私学にもあると良い。併せて、保護者との連携や、幼稚園や保育園が就学前や就学後に関係機関と十分に連携の取れる体制を作ることが必要。

【委員】幼稚園や保育所は、公立か私立かで小学校や教育委員会との連携の取りやすさが異なるため、私立の幼稚園や保育園と小学校等との連携がもっととれるよう働きかけていくことが重要。

【委員】盲ろう児にとって、言葉や概念の獲得が何よりも必要であり、早期教育が重視されなければならないと考えるが、ろう学校幼稚部への入学を希望しても受入れ体制がないと断られるケースが多いと保護者から聞いている。親が希望する学校への進学が可能となるよう、幼児教育段階からの体制整備を急いでもらいたい。

【委員】3歳児で入園した子供について、発達の遅れなのか、その子の特性なのかが判断のつかない子供の保育をどうするかという問題がある。医者が、もう少し様子を見ましょうといって診断しない過程で、幼稚園の先生が障害があると断定的な言い方をすると問題になる場合もある。
こうした場合に、保護者に対して、特別に手厚く保育をするということを伝えることによって、保護者のほうも我が子を見つめる目も変化し心構えもできてきて、仮に、後に障害があると診断されたとしても、その後につながっていく。

【委員】定時制・通信制の生徒たちの中には、発達等で課題のある生徒が多く在籍しており、発表のあったインクルーシブ教育の実践推進校以外でも多くの生徒が共に学んでいる。前任校では、外部の支援等も頂きながらインクルーシブ教育に取り組んだが、その中で一番大きかったのは、職員の心のハードルが下がり、職員一人一人が障害のある子供に対する気持ちが変化したことであった。それにより、職員の生徒への対応が確実によくなり、様々な支援を頂く中で職員の見聞も広がり、社会との接続や就労支援を学校設定科目の中でどのように設定するか等の理解が進むことで生徒の就職率も上がっていった。
高校では障害に関する知識が本当に足りていないと感じており、研修の充実が必要と考える。
今の新型コロナウイルス感染症に対する取組として、ICTを活用した指導も必要だが、対面を伴う職員による指導によって、心のつながりをつくることも非常に重要。

【委員】病気の子供たちには、病弱特別支援学校のほか、中学校の病弱・身体虚弱の特別支援学級や通常の学級に在籍している。こうした生徒が高校進学後も必要な受入態勢や支援体制を作るためには、中学校からの情報の引継ぎにより切れ目のない支援を行うことが重要。状況によっては、病弱の特別支援学校がセンター的機能を発揮して、高等学校の支援に入ることも必要。
高校入学後に病気で長期の入院や長期の自宅療養が必要になった高校生たちへの学習継続支援についても多くの課題がある。第一の方法として、特別支援学校の高等部、病弱特別支援学校の高等部に編入学するという方法があるが、元の高校とのカリキュラムや単位の互換、単位認定等の照合に加えて、退院後に元の高校に復籍できるかという問題もあるため、本人と保護者との合意形成が重要となる。特別支援学校の高等部に転籍することの抵抗がある場合は、第二の方法として、もとの高校に在籍したまま病院や自宅を学校とをつないだ遠隔教育を受けるという方法もある。病気の子供たちには、高校生活や学びを途切れさせないということが、病気に向かったり克服したりしようとするエネルギーにつながる。
現在、コロナ等で学校休校となり、オンライン授業等の実施が急激に進んでいるので、今後、これを病気療養中の高校生の学びの場の保障に生かしていくことが重要。

【委員】通信制高校は発達障害の子供たちが多く、支援体制がないまま生徒を受け入れる学校も多く見受けられる。そうした場合に生徒が自殺してしまうリスクがあったり、昼夜逆転してしまったりする子供たちも多く、支援体制が整備されていないというのは深刻な課題。
このため、通信制高校や定時制高校において、どれぐらいの子供たちに支援のニーズがあるのかという実態把握が必要であり、その結果を踏まえてアドバイザーの派遣や、研修の実施、ハローワークや就労支援施設との連携を義務づけるなどの対応が必要。

【委員】呼吸器をつけていたり気管切開をしていたり基礎疾患があるなどの肢体不自由のある生徒は、この状況下で不安を覚えながら生活しているが、こうした生徒も含めて、多くの肢体不自由のある生徒が高校受験や大学受験に挑戦している。
大学受験の場合、大学入試センターが障害のある生徒に配慮して、全国どこの会場でも同質の配慮が受けられるようになっているが、高校受験の場合には、それぞれの高等学校毎の選抜になる。文部科学省から出た医療的ケアに関する検討会議のまとめには、特別支援学校だけでなく、全ての学校に医療的ケア児が在籍していることが想定されている。医療的ケア児に限らず、障害のある子供は全ての学校に在籍しており、幼児教育段階から高等学校段階まで必要な配慮や支援が受けられることが必要。

【委員】盲ろう児は、その障害の特性から学習に時間がかかる。余裕を持って学校での学習に取り組み卒業後の活動の場に円滑に移行するために、例えば、盲ろう児については高等部を3年ではなくて5年にするとか、あるいは高等部修了後の専攻科を活用して実質的に修学期間の延長を行うなど、高校段階での就学期間について、柔軟な採用をお願いしたい。

【委員】高校で特別支援教育が広がっていく際にネックになるのは、単位修得だと思う。義務教育とは異なる、単位取得についての考え方やその課題についても、報告書にも盛り込んでいただきたい。

【委員】知的障害のある生徒は、知的障害特別支援学校高等部に進学することが可能であるが、知的障害がなく、自閉症等により中学校の特別支援学級に在籍していた生徒が高校段階で進学できるのは高等学校のみである。こうした生徒の進学先が高等学校における特別支援学級でよいかどうかは分からないが、進学先はどうあるべきかについて、しっかり議論する必要がある。

【委員】※会議後提出意見
支援計画の記録様式は、各地域や事業所等独自のものではなく、統一されることが好ましく、その作成に当たっては、児童生徒の正確な実態の把握と適切な支援、指導目標の設定と適切な内容と方法による実践、教育効果の評価とPDCAサイクルの精度を高めることが必要。
多様な学びの場があるが、個別の教育支援計画から、障がいのある幼児児童生徒が最も育つ環境や条件を備える教室、学級、学校を、本人や保護者の意志や意見を尊重して選択できる柔軟な形態をとれると良い。通常学級に在籍していても特別支援教室の一部又は殆どの時間を利用できたり、通常学級においても特別支援学校の授業や作業学習を学べるような形態が取れる仕組みができたりすると良い。
高等学校3年間修了後も社会への不安がある生徒、更に学びたい生徒には専攻科に進学するという選択肢もあり、全国では、国立1校、私立9校に2ヵ年、3ヵ年、4ヵ年制の特別支援学校専攻科が設置されている。私立特別支援学校専攻科の在席者数は全生徒数の20%を少し超えており、中には高等部、専攻科一貫した教育を行っている私立特別支援学校や、専攻科の定員数の8割、9割に達している学校もある。各校の高等部本科に入学した生徒、保護者は専攻科の存在は理解しているものの、全国の特別支援学校の中でも専攻科の絶対数が極めて少ないため、未だにその存在は周知いない。高等部卒業後の進学率も上がってきている中、義務教育段階において、専攻科も選択肢の一つである旨の情報提供も必要。

【委員】障害のある外国人児童生徒への就学先決定や合理的配慮について、日本語が第1言語でない保護者は、情報へのアクセスが非常に難しい状況がある。外国にルーツのある保護者や子供にとって、就学先決定の在り方や合理的配慮について、どのように学校に伝えたら良いか、日本の制度が分かりづらくて難しいと伺っているので、多言語でハンドブックを作ったり易しい日本語で情報提供したりしていく必要がある。
特別支援学級に在籍する外国籍の子供は、日本人の子供と比較して2倍という調査結果が出ている。外国籍であり特別支援教育の対象の可能性がある児童生徒へのアセスメント方法など、まだノウハウがない状況だと思うので、エビデンスに基づく手法を導入できるよう今後研究等をしていく必要がある。
日本語指導教師に対して、特別支援教育の必要性を感じる児童生徒がいたときの対応方法、特別支援教育コーディネーターや支援学級担任との連携方法に関する研修を実施する必要がある。研修動画等にそういった内容を含めていただけると良い。
特別支援教育を担当の教師についても、日本語が第1言語でない児童生徒がいる場合は、日本語の指導教師と連携して個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成していく必要があること等を伝えていく必要がある。

【委員】外国にルーツのある支援が必要な子供たちの教育について情報収集をしているが、良質な資料がなかなか周知されていないのが課題。また、外国に住んでいる障害のある日本人の教育も課題があり検討が必要。

【委員】地域における障害領域でのスポーツ大会に学校が参加することによって、余暇活動としての地域の様々な活動と学校がつながることがあり、教育と福祉との連携といったときに、スポーツ大会のような福祉のイベントに学校が参加する機会があれば、学校卒業後にもつながるのではないのか。

【委員】群馬県では、特に太田市周辺地域に外国人在住者が多く、その児童生徒が通常の学級や特別支援学校に在籍しており、このような地域では、外国語によるコミュニケーションが可能で特別支援教育への理解もある人材の配置が必要。これは児童生徒との関係だけではなく、その保護者への適切な説明や学校への理解、協力を求める場合にも重要であると考える。
多国籍の児童生徒の指導・支援では、国ごとにやはり風習が異なるために、緩衝材、人との間を取り持つ役割を果たす人材も必要。教師に限らず、同じ国籍の外国人に理解者として入っていただいたり特別支援教育の推進をする役を担っていただいたりすることも考えられる。
大学の養成課程で、外国語学科を履修する学生も含めて、語学等によるコミュニケーションの習得や外国人児童生徒が在籍する特別支援学校での実習や研修の機会を設けて、実践を積み上げていくことも有効。

【委員】神奈川県でも外国籍の生徒が非常に多く、母語の問題なのか発達の課題なのかの見立てが難しく、適切な判断が困難だと感じている。この点について専門的な知見を取り入れて、それぞれ生徒に、より適切な対応ができていけば良い。

【オブザーバー】国立障害者リハビリーテーションセンターでは、発達障害に関し、多言語で外国人保護者向けリーフレットを作成している。学習が進まない原因が母語の問題なのか障害の問題なのかという問題は非常に大きく、同様に、例えば聴覚障害と発達障害を併せ持つ場合等も同様の問題がある。この場合は、早期に様々な方法を組み合わせた評価を行い、早期に支援を開始することにより、有効な支援の方法がとれると感じており、このような知見を広めていければと考えている。


――了――

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係

(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係)