新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議(第4回)議事要旨

1.日時

令和元年12月2日(月曜日)15時15分~18時15分

2.場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8F会議室

3.議題

  1. 障害のある生徒の就労について
  2. 特別部会における議論の内容等について
  3. その他

4.出席者

委員

宮﨑主査,朝日委員(代理荒川氏),阿部委員、石橋委員,市川委員(代理大塚氏),一木委員,大出委員,岡田委員、金森委員,川髙委員、木村委員,菊池委員、熊谷委員,竹中委員,田村委員,成澤委員,野口委員,佛坂委員,松倉委員,真砂委員,山口委員,山中委員,吉藤委員(代理尾崎氏)

文部科学省

佐々木政務官,浅田総合教育政策局長,蝦名大臣官房審議官(初等中等教育局担当),俵特別支援教育課長,佐々木特別支援教育企画官,青木初等中等教育局視学官,斎藤特別支援教育課課長補佐,井上厚生労働省社会・援護局障害福祉課就労支援専門官

オブザーバー

西牧オブザーバー,梅澤オブザーバー

5.議事要旨

(1)冒頭,事務局から今回初めて出席した委員の紹介があった。
(2)障害のある生徒の就労について、事務局の説明(資料1-1)ののち、川髙委員(資料1-2)及び佛坂委員(資料1-3)から発表があり、その後、厚生労働省から、施策の紹介を行い(資料1-4)、加えて、山口委員から高等学校における取組の紹介(資料1-5)を行ったのち、質疑応答と意見交換が行われた。
(3)第4回「新しい時代の初等中等教育の在り方に関する特別部会」の議論の状況について事務局より報告があり、そのほか、「医療的ケア児の対応の充実について」および「高等学校等におけるメディアを利用して行う授業に係る留意事項」について、説明があった。

(1)の初めて出席した委員の挨拶及び(2)・(3)の質疑応答と意見交換の詳細は以下の通り。

【委員】私ごとで恐縮ですが、2001年生まれ、現在18歳になる肢体不自由を有する長女を持っております。小学生時代は、特別支援学校にて、小学校の学びをさせていただきました。その支援学校は自宅から遠く、私の運転で、朝夕片道70分を目安に送迎しておりました。当時、仕事も家事も、ほかの兄弟のことも差し置く形で、長女の希望する家から遠い支援学校に通っていました。
なぜ遠くまで通わなければいけなかったのか、住んでいた地域の特別支援学校は、検定教科書を使った学年相応の学習の準備がありませんでした。当時、調べましたが、居住地域で肢体不自由児が教科書を使った学習機会をしている、していないという状況は、全国差異、地域格差が大きく存在していました。地域ならではの学校作りは独自の豊かさを育む反面、教育格差も生じております。それは特別支援教育に関しても同じことが言えるところであります。地域からではなく、中央からインクルーシブ教育構築に向けて、また、共生社会の成熟に向けての議論が発展しますことを切に望んでおります。
本日からの参加となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

【佐々木政務官】皆様こんにちは。ただいま御紹介いただきました文部科学大臣政務官を務めております佐々木さやかでございます。本日は、大変お忙しい中、多くの皆様に御出席を賜り、誠にありがとうございます。一言御挨拶を申し上げます。
文部科学省では、障害のある方がその個性や能力を生かして活躍ができる場のより一層の拡大を目指しまして、先ほども御紹介いたしましたけれども、この4月に障害者活躍推進プランを打ち出したところでございますが、これからの共生社会に向けて、教育の分野におきましては、障害のある子供たち一人一人に光を当てる中で、一人も置き去りにしない教育の実現が重要であると考えております。
現在、中央教育審議会におきまして、Society5.0時代の到来を見据えた新しい時代の初等中等教育の在り方に関する議論が行われているところでございますけれども、障害がある子供たちも持続可能な社会の作り手の1人であります。一人一人の適性等に応じた教育を行うことはもちろん、子供たちの持つ能力や可能性を最大限に伸ばしていく、そして自立と社会参加を実現していくための支援を行っていくことが重要であると思っております。
本日は、障害のある生徒の就労について、委員の皆様、また厚労省から御報告いただく予定と伺っております。特別支援教育の在り方を議論することは、障害のある子供たちの将来だけではなくて、我が国日本の未来のありようを考えることであると思っております。幅広い分野で障害のある子供たちに向き合っていらっしゃる委員の先生方のお話もお聞きをしながら、今後の特別支援教育の方向性について、しっかり考えてまいりたいと思っております。
是非、委員の先生方におかれましては、新しい時代の特別支援教育の在り方について、将来像を描いていくための御知見、また忌憚ない御意見を本日は賜れますと幸いでございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

【主査】特別支援学校と事業所の例についてお話をいただきました。その両方の立場をつなぐというようなことで、そういう立場から、厚生労働省から就労に関する各種支援施策等についての御紹介をお願いいたします。

【厚生労働省】私の方からは2点ほど御紹介、それから、お願い等含めてお話をしたいと思います。
まず1点目は、前回、ICTの活用のところで北海道の事業である障害者就労促進地域連携事業についてお伝えをしておりますが、今回はその中でICT関係の資格取得に向けた講習会の取組とサポート企業の取組について若干お話をしたいと思います。
パソコンが生活や仕事に役立つことの理解や基本的な操作という段階から始まりまして、マイクロソフトのワードのPC検定に向けた対策練習など、2年間を掛けてNPO法人の外部講師が指導をしていただくというような形で進むことになりました。今年度は12月から始まりまして、2月までの9回を予定しておりまして、水曜日の放課後、15時30分ぐらいから1時間程度の予定で、教育課程外で行うというような形で取り組んでまいります。
また、サポート企業を募集する取組については、教育活動や技術面でのサポート、体験実習の受け入れ、就職先としての受け入れなど、4種類のサポート企業、これはそれぞれ4つ全て受けていただいても構わないということで、いろいろお願いをしてきたところですが、例えば、サッカーで有名なJ1のコンサドーレなど、新たに15社との連携をすることができました。コンサドーレについては就職も可ということでの連携になります。目が見えない、見えにくいということで難しかった視覚障害とほかの障害を併せ持つ生徒の就労についても、少しずつですが理解の幅が広がってきているということになっております。
それからもう一点は、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師についてです。ICT機器等の視覚支援機器の技術革新、障害者雇用の促進、合理的配慮の浸透等により、視覚障害者の就労の場は大変広がってきているかなと思っております。今後もさらなる拡大が期待されるところです。
ただ一方で、視覚障害者にとって伝統であります、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師は依然就労において重要な位置を占めていることには全く変わりはありません。また、盲学校では、理学療法士や柔道整復師の養成等も行っているところです。見えないからということだけではなくて、この職業をやりがいがあるからこそ選択できるようにしていくということで、キャリア教育の観点からも重要で、各盲学校ではその充実に努めているところです。しかし、この職域が無資格者の市場参入によって脅かされつつあります。持続可能なものにするためにも、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律など、文部科学省と厚生労働省が所管する法律等の維持についても、また今後ともよろしくお願いしたいと思います。

【委員】厚労省の発表で就労について御説明いただいたところなんですけれども、離職の現状やその背景要因に関するデータが何かございましたら、お知らせいただければ幸いです。

【厚生労働省】今、この場にデータを持っておりませんが、障害者の離職も一つの課題となっております。特に精神障害のある方の離職率が高く、就職にあたって就労支援を受けていない、さらに障害をオープンにせずに働いた場合には、離職してしまう可能性が高いというデータもあって、雇用を続けていくための定着も課題の一つとして挙げられているところでございます。
幾つかのポイントがあるかと思いますが、やはり企業側の障害者雇用に関する理解であるとか、本人に合った仕事をきちっとマッチングをさせているかどうか、あとは外部の支援をうまく活用しているかどうか、先ほどジョブコーチという話もありましたけれども、ジョブコーチ支援をきちんと活用していると、精神障害のある方の定着率もより高くなり、知的障害のある方も高い割合で雇用が続いていくというような研究結果として示されております。こういった幾つかの条件をきちっと踏まえて丁寧に就職に送り出していく必要があるということが、今の就労の実情かなと思っております。

【委員】本校は最初にお話をいたしましたけれども、1,600人のうちの400人以上が自閉的傾向を持つ発達障害の子供たちです。過去において、1,000名ぐらいの自閉症児が就労していったわけですけれども、学校教育を考える中で、特に発達障害の子供たちの教育を考える中で、もっと就労に向けた準備教育が、幼稚園、小学校、中学校あたりにウエートとしてあればいいんじゃないかなと思います。
それは実際に企業の方々が求められているもの、ビジネスマナーであったり、清潔さであったり、気遣いであったり、こういったことはもっと学校教育の中でできるんだろうと思います。ですので、家庭教育においてもそれがしかりで、家庭と学校とが、そういった視点を持って基礎教育をしていくということが大事だと思います。
しかし、一方で、学習成績に目が行ったりとか、また、学歴に目が行ってしまいがちなところがあって、もう少しトレーニングした方がいいんだけれども、トレーニングに関しては否定的だったりするということも多くの学校であるようにも思います。やはりうちの子は上級校を目指していくというようなときに、果たして上級校に進学していくことが幸せになるのかなと思ったりするところがあります。トレーニングに否定的というのは、個別の計画を立てる中でもやはり無理をさせるなという考え方が、ある療法では、一方であるわけです。このあたりを少し是正していかなければいけないんじゃないかなと思います。
特に、小学校、中学校の義務教育においては、一人で全てできることを増やしていくとか、得意なことを増やしていくという視点が学校教育にもっとあるといいなと思いました。
きょう発表していただいた委員の皆さんの御説明は非常によく分かって、うなずけるところがありました。

【委員】先ほど厚労省から働くということでお話がありましたので、御質問も加えてお願いをしたいんですけれど、当法人は、情報通信技術、ICTを活用して、重度のチャレンジドの方が在宅で働くということを30年間やってきました。プロップステーションという組織が企業からお仕事を頂き、コーディネーションをし、そして、きちっとその人のできるお仕事を振り分けて、また、取りまとめてお返しして、賃金をお支払いするというような形で、在宅の方が在宅のままで自分が持っている技術でお仕事ができるという仕組みを、コンピューターのスクールも含めて、勉強するところから含めてやってきたんですが、30年やっていますとだんだん課題が明らかになってきて、1つはその雇用率に換算されないそういった働き方に、企業に対する、いわゆる発注率のようなものが今のところ全くないんです。ですから、企業は雇用するということで社会貢献いただけるんですが、そういうチャレンジドの皆さんにお仕事を発注するという形でも貢献していただける、それが率に換算されないかなという課題が一つあります。
それともう一つは、在宅で重度の方というのはほとんど御家族が介護をしていらっしゃるんですが、20年、30年やっていると、もう御家族の介護が限界に来ているんですが、ただ、今、介護の派遣というのは仕事中は使えないということになってしまって、お仕事されている方が休憩しているときに、お水を飲んだり、お手洗いというのは公的介護を使えるんですが、いざお仕事中になるとだめという大変大きな矛盾をはらんでしまっているんです。ですので、在宅でも重度の方がお仕事できるという整備に向けて、是非御一緒に考えていただかないと、例えば、特別支援校卒業生の方というのはほとんど、うちもたくさんいらっしゃいますが、相当重度の方が多いですので、在宅ワークに大変期待も掛けていらっしゃるので、是非その方面の整備について御意見といいますか、方向性があれば教えていただきたいなと思います。

【厚生労働省】まず、前段の雇用率のところ、みなしで雇用するという仕組みが作れないか、そういった御意見もたくさん頂いているところですが、現状では、そこに関してまだ議論が進んでないところではないかと思います。
一方で、雇用率に関して言うと、短時間で働いている方を雇用した場合に、企業側にメリットがあるような形で進めていこうという流れがあります。先般の通常国会の中で、障害者雇用促進法が改正されまして、週10時間以上の雇用をしている企業に対して、特例給付金を支出するというシステムを入れてこうという動きが1つあります。
もう一点に関しては、少しご説明させていただきましたが、今、非常に頻度高く議論しているところです。先ほどのスライドの最後にもありましたが、プロジェクトチームの開催状況を見ていただくと、在宅の就労支援をしている方に御意見をお伺いしたりとか、あとは、いわゆる就労中の支援、海外ではどんな状況があるのか、こんなことを高齢・障害・求職者雇用支援機構の研究員から聞いたりということで、非常にスピード感を持って議論をしているという現状まで報告させていただきます。まだ結論が出ているわけではないですが、非常に喫緊の課題として捉えているということで御承知おきいただければと思います。

【委員】弊社は、全国約80か所の就労移行支援事業所を運営しております。年間1,300人ほどが一般就労をしておりまして、半年の定着率が大体87%です。その中で明らかになってきたことというのが幾つかあるのでお伝えしたいと思います。その前に一点、先ほど一木委員から離職の理由というところをお聞きいただいたかと思いますが、就労を継続するにあたり、大事なポイントとしては、働く前に、自分がどういう環境だったら喜びを感じるのかとか、どういうときに楽しいと感じるのかというところを知っておいて、それに合わせて職場環境を選んでいくことが大切、ということがわかってきています。マッチングというと結構スキル、その人が何ができるかというところに寄りがちなんですけれども、それだけではなくって、何に楽しみを感じるのか、何を喜びと感じるのかというところを把握した上で、職場環境を選べるといいと思います。
実践的なところですごく必要だなと思うのは、先ほど委員の先生からもありましたが、やっぱり自分に必要な工夫とか配慮というものを知っていること、これはただ頭で知っているのではなくて経験していることが重要で、こういう配慮があれば自分はこれができるという自信を自分で持てるというのが結構大事だと思っています。
弊社では、ここまで配慮してもらっていいのかなみたいなことを利用者さんが心配されることが多いです。ただ、こういう工夫や配慮があったらこれができるという事実が先にあったらて面接のときに自信を持ってそう言えます。る合理的配慮の意思表明をして、合意形成をして、それで成功したという成功体験を働く前に得られると非常にいいなというところがあります。
ただ、きょうもお話をお聞きしていて、学校という場のみでは限界があるのかなというふうに思っていて、学校でやることと、あとは福祉でやれることの役割分担をできるというのかなと思っています。
例えば、働く上での動機付けという意味では、余暇支援というのも非常に重要だと思っています。どうしても就労支援というと能力開発の方に目が行きがちなんですけれども、弊社で定着支援をしていく中で、余暇支援をした結果定着率が高まったという実態がありました。これはどういうことかというと、私たちもふだん働いていて、土日楽しいことがあるから頑張れるというのは当然だと思うんですけれども、土日に何にも楽しむことがなければ余り頑張れなかったりすると思うので、直接的につながらなさそうですが余暇支援も重要です。ただ、それも学校でやるのか、福祉でやるのか役割分担をしたいです。
最後に1点、高校段階から福祉とのつながりをより強く持てるといいのかなというのは、先ほど委員の皆さんからもありましたが、私もそう思います。やはり学校が福祉についてより知ったりですとか、福祉が学校についてより知れる、地域によってはそういった協議会を設けてるところもあると思うんですけれども、より多くの地域でそういったことができるといいなと思ってます。やはり川髙委員がおっしゃったように、企業先の開拓を先生がやるって結構大変だと思うんですよね。結構うちの就労支援事業所は実習先を、つながりをたくさん持ってたりするので、例えば京都もあるので、地域で連携をして、お互いに実習先を共有できたりとか、そういったことができると地域全体で一丸となって頑張れるのかなと思っています。
あと一点、これは厚労省さんのお話にもあったんですけれども、今、就労移行支援事業所を利用された後は、基本的に弊社も定着支援事業をしているので、定着支援でフォローしていくという形にはなっていますが、やはり特別支援学校から就労された場合のフォローというところを先生が1人でやるのは結構大変なのかなと思いました。3年間までされるとおっしゃっていたんですけれども、今いる子供たちの支援をしながら、かつ、これまで卒業した子供たちのフォローアップを3年間するって結構大変だなと思っていて、そういった意味では、新しい定着支援事業というのを特別支援学校の卒業生にも例えば活用できるようにするとか、そういった仕組みがあるとよりいいのかなと思ったところです。

( 休憩 )

【委員】ちょっと本題に入る前に、当初から私が感じていたことをよかったら一言だけ、失礼ながら発言をさせてもらえたらうれしいなと思っています。
僕は経営とか、組織とか、事業という観点で、様々な業界のサポートをさせていただいています。そのときに会社やチームをよりよくするために、当初、私がよく皆さんに申し上げることは、基本的に、役職で呼ぶことを各社でやめてくださいと申し上げます。よかったらこの会議も委員と呼ぶのをさん付けとか、百歩譲って先生にすべきだなと僕は思っています。なぜなら委員と呼ぶと、委員っぽいことを言わなきゃいけなくなるんです。そこからは必ずイノベーションは生まれないです。
私 大きく3点考えています。就労支援の現場で大事なことは、1つ目、「近くの異業種、遠くの同業者」とよく申し上げるんですけれども、異業種の皆さんとのディスカッションが重要ではないかなと思っています。異業種、例えばこういうことです。私が指導している会社に、宮崎県でめだかファミリーグループという就労移行とB型の事業所がございます。元学校の先生であった人間が今トップをしているんですけど、この事業所はおもしろいんです。農福連携を超越して、福祉事業所が焼き芋を作って自販機で売っているんです。すごくないですか。芋を作るまではやるんですよ。焼くまではぎりぎりやるんですよ。それを自販機で売っているんです。
今まで我々はクッキーやパンを一生懸命作っていて、それを手売りしていました。そして、それが難しくなったら、ヤフーや楽天など、オンラインショップで売っていました。今まで僕らの福祉事業所のよさだと思われていたものは、恐らく自動販売機にした瞬間、全部消えるんです。でも、そこの中には冷たい焼き芋と温かいコーヒーとか、温かい焼き芋と冷たい牛乳みたいな形にしていて、実は宮崎県県下に数十台しかないんですけど、月間1,500本売れているんです。これは芋を作るところから、焼くところから、そして、これは茶筒に入れて売っているんです。今、茶筒の売り上げが少ないので、茶筒の中に入れてパウチをすれば1、2か月ぐらいもつんです。この焼き芋と自販機はテーマがやっぱり遠いんです。ここに僕はイノベーションの源泉があるかなと思っています。
そしてもう一つ、僕のクライアントの山形県で納豆を作っている福祉事業所があります。皆さん、クッキーを作るじゃないですか。クッキーは毎日食えないじゃないですか。そして、クッキーはある程度日持ちしてしまうじゃないですか。そうなった瞬間売れないんです。でも、我々、納豆であれば毎日食べられるし、日持ちしないので売り続けることができるんです。
1つに、今まで我々が考えていた周辺のことをかき合わせても、新たな就労支援は生まれないんです。そうなったときに我々は焼き芋の自販機みたいな、そして納豆みたいな、こういう就労の作り方をすることが僕は求められているんじゃないかなと1点、思います。なので、「近くの異業種、遠くの同業者」というように、今まで教育や支援の領域が接点も持たなかった領域と就労支援を作っていくことが、僕はとても大事ではないかなと思っていますというのが1つ目。
2つ目、当初のこの会議からも言われているように、ICTの活用というのは、おっしゃるとおり、とてもメークセンスだなと思っています。その中でも私が厚労省、総務省などのアドバイザーをやっているところでいくと、テレワーク、これに期待感をとても持っています。看護師が夜勤をやっていても怒られないんです。工場労働の人が夜勤をしていても怒られないんです。でも、ひきこもりが夜起きていると怒られるんです。僕はこれはおかしな話だなと思っています。そして、我々支援者はこう言います。昼夜逆転はよくないよねと彼らに言うんです。だから、夜寝られるように薬を飲ませ、頑張って昼来られるようにして、昼夜逆転はよくないよねと、多分彼らが一番思っています。僕も2年ぐらいひきこもりをしていたので、よく分かります。
そうなったときに、この時代において、世界中の時差もあります。せんだって申し上げたように、僕は先週、10日間、アフリカのケニアに行っていました。目も見えなくても、英語もしゃべれなくても、ケニアで仕事を作ることで世界が一歩前に進むんじゃないかなというので、向こうの支援学校なども視察に行き、そこのアドバイスもしてまいったんですけれども、ITを活用すること、夜働けることももちろん1つ作れます。
そして2つ目に、私、高知県のアドバイザーをしているんですけど、地方の地方というところがあります。こんなことがあったんです。高知県とは4年前からトライアルをやっているんですけど、年間2回、10日間のテレワークの研修事業というのを地元の就労移行、B、A、サポステ、ハローワークなどで行き詰まっている人たち向けに指導させていただいています。空港から2時間半離れた田舎町で、最終学歴は中卒、幼稚園からいじめられていた、アスペルガー症候群の20年ひきこもっていた、ひどいときは薬を60錠飲んでいた女の子がいました。彼女が10日間の研修を受けて、職歴はなかったんです。学歴も最終学歴は中卒ですよ。大阪の阪和興業というところでテレワークの就職が決まりました。
高知の田舎は最低賃金750円です。そして、大阪の阪和興業の本社は最低賃金950円です。彼女が大阪・阪和興業にテレワークで就職が決まると、スタートの時給は950円になります、750円の町にいても。そうなった瞬間、彼女はブランクは10年、20年あっただろうけど、もし10年、20年働けていたとしても、この200円ぐらい時給が上がるかといったら結構疑問です。そうなったときに、ITであれば、この10年、20年のひきこもった事実をサポートすることができるなと僕は思っています。なので、テレワークみたいなものに非常に可能性を感じています。
そしてもう一つ、今、放デイや自発や就労移行、B、A、定通みたいな学校のサポートをしていますけど、私が言っているのが、eスポーツ部という部活をよかったら作りませんかと申し上げています。僕はインターネットの中が最もユニバーサルデザインでバリアフリーだと思っています。我々はアマゾンを使うときに「大卒ですか」と聞かれないじゃないですか。僕らはメルカリを使うときに「仕事に就いていますか」と聞かれないじゃないですか。なので今、地方でよくありますけれども、北海道の八雲病院に僕の部下も入院をしていますけど、指先1本5センチぐらいしか動かないです。でも、ゲームを作ったりして充実した仕事を彼はしてくれています。重度の身体障害を持つ人たちがこういう自分になりたいなと、いわゆるバーチャルユーチューバーみたいなものでなりたい自分をネットの中で再現して、リアルでは難しかったけど、ネットの中でなりたい自分が再現できたといった瞬間、ちょっと自分の可能性が僕は変わるんだと思っています。
そうなったときにネットの中に思いを寄せる、そんなとき教育の領域が就労する前に何をすべきか、これじゃないですか。チームっていいよなと、仲間っていいよなと感じてもらうことが結構大事です。でも、だからといって毎年、学園祭がないかもしれないし、部活をやらせる余力がなかったときに、このeスポーツ、インターネットの中で1対1、3対3、5対5などでやるスポーツのことを言います。個人の安心・安全を担保しながらもチームとか仲間っていいよなという体験をさせるのに、僕はeスポーツは物すごくおもしろいなと思っています。
実際にアメリカでは、オンラインゲームをやっている子供の方が協調性が高いという研究結果があります。昔、我々の時代であれば鬼ごっこだったんだけれども、きっと多分、今はネットの中で顔を合わせたこともない、そして名前も分からない、その人たちにテキストでコミュニケーションを取りながらゲームを戦う、これこそ僕は協調性かなと2つ目、思っています。
なので、テレワークでもそう、そしてeスポーツみたいなものもそう、より人を早く。多分、この教育の問題を解決するときに、1か所に集中させられないとか、課題が顕在化していないとか、やっぱりプロトタイピングというか、試行錯誤が必要なときに箱を建ててしまったり、人を動かしてしまう、やっぱり費用対効果が悪いので、ネットであれば、すぐ違ったな、これじゃうまくいかないなとできるかなと思うので、2つ目にテクノロジーを活用することが大事かなと思っています。
最後3つ目に、これで終わりにしようかなと思うんですけど、特別支援教育などの養成課程の学生が企業にインターンシップに行くことを必修化することは、1つありかなと私たちは思っています。大体先生方、公務員の方々というのは、やっぱりちょっとずれているんです。5年前、10年前になっているので、僕はそれを否定するつもりは全くありません。皆さんはやって当たり前と思われるか、クレームを受けるかどっちかなので、よくやったと言われることがなかなか少ないと僕は思っています。
そんな人たちに、僕らが出口としている企業はどうなっているんだっけと、皆さんも迷いながら、悪い表現をすると当てずっぽうながら、企業にどうやって出口を作っていくか悩まれていると思うので、僕は1日でもいいと思いますけど、3日でもいいと思いますけど、3つ目に養成課程において、企業でのインターンシップみたいなことをすることで、出口は今こうなっているんだなと。
分かりやすい話、議事録なんかスキルは要らないんです、音声認識でできますので。となった瞬間、それこそタイムカードもどんどん要らなくなってきています、基本的に指紋認証などでいけるので。そうなったとき、今必要なスキルセットは何だっけと養成課程の先生方が教えることが僕は大事かなと思っています。どんどんジェネラルにいろんなことをすべきという時代は終わってきました、テクノロジーがやってくれるので。
なので、私が何か提案をすることができるとしたら、1つ目に、今までなかった異業種とのコラボレーションというのが1点目。2つ目に、テレワークやeスポーツなど、最新の技術を活用することによって、教育や就労に対してイノベーションを起こすこと。3つ目、企業はそんなに悪くないですし、企業の皆さんは一緒にコラボレーションしたいという方がいっぱいいると思いますので、養成課程において、先生方が企業に1日でも3日でもインターンシップに行くことができるのではないかなと思っています。

【主査】私に対する対応ぶりについても御指摘をいただいたんですが、私は委員と申し上げているんですけど、決して委員として御発言というよりは本人の思いをお伝えいただければと思っていますので、きょうは委員で通したいと思います。

【委員】病弱教育における生徒の就労について、現状を3点と課題について1点をお願いしたいと思います。
まず、先ほどからたびたび話題に上がっておりますが、ICT等を活用した在宅就労についてですが、病弱教育においてもICTを活用した在宅就労というのは、今後、大変有効であると思っております。内部疾患や、あるいは慢性疾患、精神障害等のある人たちが働けるときに症状に応じて自分のできる量とか範囲を考えて働くという点で、在宅でパソコン等を活用して業務を行うというのは大変有効であると思います。前回の有識者会議でも、委員さんが分身ロボットを使ってのカフェの開業の話等をされておりましたが、病弱の人にとって、病気のある方にとっても在宅就労は大変、今後必要だと思っております。
また、在学中に事業所等と連携していくという点では、病気の子供たち、本当に例えばの話ですけれども、人工肛門とか、例えば人工膀胱とかがある生徒が就職していったときには、やっぱり職場において、それを自分で処置できる場所があるか、処置用の物品を置く場所を作ってもらえるか、そういう配慮について移行支援していくということは大事ですし、心臓疾患がある子供にとっては、やっぱりその職場がエレベーターがあるところかというのも大変大事なことかと思っております。それが2点目でした。
3点目ですけれども、不安障害とか、あるいはパニック障害、強迫性障害等のある生徒の就労支援という点では、現場実習等、細やかに積み重ねながら学校では行っておりますが、やはり自己理解を進めるということは在学中に少しずつしていく必要があると思っております。自分はこのような配慮が必要なんだと人に分かっていただけるように話ができるかという点など、育てていくべき点だと思っております。先ほど委員さんがおっしゃった、自分が特に何に満足するのかという点は、今回お聞きして、私、学校に帰ってもその視点を生かして指導していきたいなと思う点でありました。
最後、課題についてですけれども、例えば病弱の子供たち、最近、入院ということに関しましても、医療の発達に伴いまして、入院期間というのは大変短くなっております。短期間と言っておりますが、短くなっているけど、何回も入院する頻回化ということが特徴として挙げられます。そうしたときに、もともと在籍している高校、それと入院したときに在籍する特別支援学校、ここが本当に連携していく必要があると思っております。前籍校の連携という点では、教育と教育が、高等学校と特別支援学校、本当にまだまだ今後、連携していく必要があると思っております。

【委員】盲ろう者の就労を考える場合、通勤における支援をお願いしないといけませんし、職場における支援も必要だということで、雇用政策、あるいは福祉政策を抜きにしては考えられないわけであります。そういう意味では、先ほどの説明にもありましたように、教育と就労と福祉、これを一体として考えていかなければいけないと思います。
例えば、盲ろう者の場合、適切な通勤支援の体制がなければ、企業へ就労することは困難でありまして、盲ろう者の通勤支援におきましては、通訳・介助者による1対1の支援が必要であります。
一方で、現行の同行援護等の障害福祉サービスは通勤には利用できないということにされています。この点は先ほど議論があったところであります。したがいまして、盲ろう者が企業へ就労する場合、雇用政策なのか、福祉政策なのか問いませんけれども、何らかの新たな通勤支援策の実施が必要であると思います。
職場における支援につきましても、この1対1の人的支援が必要だというところは変わりありません。また、企業への就労じゃなくて、例えば自宅でマッサージ業に従事する場合においても、マッサージ施療中のお客さんとの意思疎通、コミュニケーションの支援など、この場面で公的支援が講じられる必要があると考えております。
先ほどからお話にあったように、自宅でICTで事務処理をするというのも、盲ろう者にとりましては、今後目指していく分野の1つかもしれないないなと思って今、聞いておりました。
ただ、現在の情報機器、ソフトは盲ろう者にはなかなか使いにくくて、指導していただく上でも、例えば指点字などで会話しながらキーボードの操作をするということで、生徒も先生も大変な状況になっております。また、聾(ろう)から盲ろうになられた方というのは点字になじみがなくて、手話ですので、なかなかパソコンへの切り替えがうまくいかないということも聞いております。この会議で私、盲ろう児教育の専門家を何とか育ててほしいということをずっとお願いをしておりますけれども、加えまして、特別支援学校などで情報処理の専門教育が十分行われれば、可能性が開けてくるのではないかと考えているところであります。

【委員】御発表が非常に印象的で、質問も1点ほど加えさせていただきたいと思います。
どういうところに私、共感したかというと、見える化の対象として、業務を見える化することはもとより、不安ですとか、内面の弱さ、そういった部分もオープンにしていく、見える化していくということが障害を持った方の就労において非常に重要であるという認識は、これは国際的に見てかなり強調されつつある問題だと思います。実は障害がある、なしを越えて、心理的安全性といいますか、自分の強みをアピールするのではなくて、弱みを出していくということが、個人ではなく組織で見たときのパフォーマンスを最大化するというような研究蓄積が様々発表されているところ、これは非常に普遍的な社会モデルの職場のデザインだと認識しております。
そういう意味で非常に共感したのですが、同時に多くの組織が頭を抱えているのが人事制度との関係です。つまり弱さを開示するということの一番の障壁は、弱さを出した瞬間に評価が落ちてしまうのではないかという不安がそれぞれの社員の弱さの開示を阻んでしまうということがよく知られております。そういう意味で、佛坂さんの職場において、何か不安や弱さをオープンにしやすいような人事制度の工夫のようなものがおありなのかどうかをちょっと聞いてみたいなと思いました。
それに関連して、もう一点ほど全体に関してのコメントなんですけれども、先ほどインターンシップをすべきではないかというコメントがありましたけれども、私もそれは非常に共感するところでして、現在、特に比較的重い障害の方の就労支援の1つのパラダイムシフトが起きておりまして、それを非常にコンパクトに標語的に表すと、「トレーン・アンド・プレースからプレース・アンド・サポートへ」というパラダイムシフトです。
どういうことかというと、トレーン・アンド・プレースというのは、訓練して、ある一定水準まで到達したら職場に配置するという順序を守る古いやり方です。それに対して、プレース・アンド・サポートというのは何かというと、まずは職場に出てみようかと、その事後的に何が問題なのかが明らかになるから、それを後手後手でサポートしていく、そこに投資した方が、お金を使った方が結局のところ定着が高まる、そんな研究が蓄積されているわけです。まだまだそれは十分にパラダイムシフトが起きていなくて、相変わらずトレーン・アンド・プレースが続いている。
職場に介助者が付けられないという問題も私は同系列だと思うんですね。一人前にというか、古い意味での一人前です。1人で身の回りのことができるようになってから初めて職場に出るのだという偏見がまだまだ強いと思うんです。人は非常に不完全な状態で職場に出るということを、これは別に障害があろうがなかろうが同じですよね。職場に出てみて様々に失敗する中で、初めて後手後手でいろんなことを学び、強みと弱みをお互いに知り合うというプロセスは、別に障害を持った方に限らない話だと思います。そういったことを是非進めていく必要があるかなと。その一環として介助者を付けるというのは大前提なんじゃないかなと思っています。
これはコメントなんですけれども、多分、学校教育の中でも間違った自立教育がなされると、これがスティグマになって、弱さを出しちゃいけないんじゃないかと、自分で頑張らなきゃいけないんじゃないかということをたたき込まれるのも、教育機関を通して障害児がたたき込まれてしまう場面もあるので、そういった心理的安全性という教育課程の出口の世界、企業の世界では既に弱さをオープンにして、不完全な自分を周囲と助け合ってパフォーマンスを組織として最大化するという文化が定着しつつあるので、教育機関もそれに合わせて、自立の概念を完璧な人間になるわけじゃなくて、むしろ弱さをオープンにできる自立というものを教育課程の中で伝えてほしいなと思いました。

【委員】端的にですね。人事制度というほど大掛かりなものは実はないんですけど、当社で言うと、まず採用するタイミングから、そして入社をしたタイミングも含めてなんですが、いかに依存先を多く作るかみたいなのが定着する秘訣であり、入社後半年の中でいかに多く作れるかが評価であるみたいな考え方を引いているんです。なので、頼る先が多い方が社員にとっては評価されるという考えになるので、結果的に多くの連携先を作れるというところが、あるのかなと思っています。
一方で、新卒の学生さんだと、なかなかその考えはなかったりするので、特別支援学校卒の新卒の方は、あえてゼロベースで3年掛けて支援機関との連携や活用みたいなところを教育している、こんな形でしょうかね。

【委員】先ほど、特別支援学校の取組ということをお聞きしました。その中で、私、以前、特別支援学校相談員というのを県事業でやっていたのに関わっていたことがあるんですけれども、保護者の方々の不安ということと、保護者の方々が生徒さんの力をどこまで捉えるかというのはすごく大事なことだと思っていました。そのようなことから、、障害児福祉サービスを利用している場合に、圧倒的に多いのは放課後等デイサービスでもあると思います。
さて、教えていただきたいんですけれども、特別支援学校と放課後等デイサービスとの連携のようなことが、家庭がその中に入ってどうなのかということと、あとは先ほど山口委員からのお話で、神奈川県の高校の取組の中での図にスクールソーシャルワーカーと書いてありますけれども、特別支援学校では、スクールソーシャルワーカーはどうなっているのか、私が知っているところでは配置されていない地域なんですけれども、それはその地域だけの問題なのか、全体的にどうなのかということもお伺いしたいと思いました。社会に出てこれからの進路を考える、ただし、進路指導担当の先生がいらっしゃるわけだから、その方がスクールソーシャルワーカーに代わっているのかどうかも含めてお伺いできればと思いました。
それから、私が知っている国立病院機構で筋ジスで長期に入院している方々が、自分たちは今ICTを使えるから、そこで仕事をしたい、うまくつながるようにという願いがあることをお伝えして、私の発言というか、質問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【委員】放課後デイと学校と家庭との連携といった御質問かと思いますが、放課後デイを活用される家庭は本当に多いです。本校、8台のスクールバスで、主に小中の子供たちが通っているんですが、行きは満杯、帰りはがらがらというようなところで、放課後デイサービスを活用するところは30、40ぐらいどんどん増えていて、今、ちょっと数が正確に把握できないぐらいです。
基本的には、放課後デイサービスと家庭との契約の中で進めていかれていますので、個々の児童生徒ごとに、利用状況がかなり異なるのが正直な学校の把握でございます。
ただ、家庭によっては、やはり自閉症のいろんな行動を示すお子さんの場合、家庭がすごく大変な場合もありますので、そういったところはケース会議というのを必要に応じて持っております。本校では就学支援部がその窓口となりますし、あと、地域の核となる福祉事業所さんだったり、関係の放課後デイサービスの方々、関係者に学校に来ていただいて、その家庭をどう支援するか、保護者と御本人と話を進めているといった状況でございます。

【委員】先ほど、ほかの委員の方からもございましたが、学校の文化ですと、昔はスクールカウンセラーというものだけで事足りているような世界だったんです。ところが、そこに今、スクールソーシャルワーカー、そしてスクールキャリアカウンセラー、いろんな外部とつながる方を、そこで学校文化に風穴を開けていただいて、そして外部機関との連携が潤滑に行くようにと。定例の会議をいつもそこに、キャリアの担当者だけではなくて、その方たちも毎回参加していただいて、生徒への支援を多方面から見て、そして社会につなげていただくという意味で、とても普通高校では役に立っております。そういう役割を今、担っていただいております。

【委員】スクールソーシャルワーカーさんが特別支援学校ではどういう位置付けがあるのか、それとも配置はされていないのかということをちょっとお聞きしたいです。

【委員】公立の特別支援学校の校長をしておりますけれども、域内に特別支援学校が約60校ほどあるんですけれども、基本的には担任、あるいは学校の中の校内体制としての相談体制ですので、スクールソーシャルワーカーが専門職として巡回してきたりとか、常勤でいたりということは基本的にはないです。
ただ、知的障害軽度の学校に関しましては、そういう専門の者が来るような形はありますけれども、この学校数はすごく少ないですので、大きく言えばそういう状況です。

【委員】障害者を雇用するに当たってということで、企業側では法定雇用率について、これを満たしていくということで、年々上がってきておりますけれども、なかなか達していない企業から納付金を頂いて、満たしている企業に調整金というのが、企業からの財源にということで頼っているというところがあるのではないかなと。企業からすると、能率、効率、合理的にということで生産性が求められてくるわけですけれども、障害を雇用するというところの意識は必ずしも共通保持されているものではないかなと、ずれているなと思っています。
積極的に雇用に至らない企業に関してはペナルティーを払うというマイナス思考の部分で、雇用をするには条件整備をしなければならないところもあると思うんですが、これは企業だけではなくて、国がどの程度企業に保障するかというところ、その辺の必要性もあるかなと思っています。雇用達成企業の公表というのもいいんですが、また、未達成の改善企業についても公表されるということで、これに公表されないようにするためにということで企業側が何とか手を打つというところでは、やっぱり根本の解消にはならないのではないかなと思っています。
本県では、同友会というのがございまして、県庁所在地の市でも30人未満程度の企業の代表者が集まって、特別支援学校と、それからハローワークとの連携にということ、障害者の雇用をどうしていくかという会議が持たれています。その中で、やはり企業側としても積極的にしたいんだけれども、どうしていいんだろうかということで、多いところでは30人未満のところで10名を超える障害者、知的障害の雇用がなされているところがあって、そこは結構成功しているというところでもあります。
中には、眼鏡の企業がイノベーションアワードを受賞した取り組みで企業と農業の取組をしていて、非常にうちの卒業生も雇用しているという形態で成功を収めているところもあるんですが、なかなか企業と学校と、それからあとは行政との連携の必要性があるなと思っています。
そして、本県では、まず盲学校ですけれども、視覚障害のある高等部卒業を受け入れる一般企業、福祉事業所等を探すのに苦労しているということです。進路担当の先生だけではなくて、学校全体、それから市や県を挙げてやはり取り組んでほしいという意向が出てきております。また、はり、きゅう、マッサージ、指圧師の国家資格を取得しても、治療院を開業しても、晴眼者との競争が激しくなるとの危機感、不安感というのを生徒や保護者が感じているということです。
それと、聴覚障害生徒の就業体験等の受け入れも何とかお願いしたいということ、それから、本県の知的の校長会の中では、一般就労率向上を目指したキャリア教育、それから職業教育の充実及び教育課程の編成、実施協力企業の確保が課題とされています。高等部につなげる小中学部教育の一層の充実、それから、作業内容の長期的な視野での見直し、農福連携の推進に向けて、県内普及指導センターの活用、学校と農家が連携しやすい体制の整備といった課題があげられています。
高等特別支援学校の中では、取組として、企業人事対象の見学会ということで、名称としては、企業採用担当者学校見学会というものを年に一度開催して、周辺企業の方たちにそれに出てきていただいているということがあります。群馬県としても県の労働局と、それから民間企業が連携をして、企業のあっせんということをして、本校の生徒も実習先と就業に向けた取組ということでさせていただいています。
また、3年間で高等部が修了するということではなくて、私立の特別支援学校の中には8校ほどの専攻科というのを設置している学校がございまして、一部4年制の専攻科を設置したというところがあります。慌ててということではなくて、やはり子供たちの成功体験とかをそこで多く経験させるということ、その中で自分の好きな取組をしていくことによって、社会に出ていく意欲が出ていくと。ですから、その意欲がどこでできるかということを子供たちの中から選択できるような、そんな環境を作るというのが大事じゃないかと思っております。

【委員(代理出席者)】皆様のお話を聞いていて、就労支援はあるプロセスだと思っています。そのプロセスの中で、ポイントとして3つほど挙げたいと思います。
1つは、教育、福祉、あるいは労働の連携ということの大切さをお話しいただきました。具体的にこれを実現するためには、教育における個別の教育支援計画、福祉におけるサービスの利用計画、あるいは事業所の個別支援計画もありますね。あるいは労働の移行支援計画、これらの支援計画が一体的に提供されるような形が必要かと思います。既に先進的なところでは一体的にやっているんでしょうけれども、これを全国津々浦々でできるように是非モデル事業、あるいは様々な形において実現する、もちろんここにはどういう協議会を作りながら一緒のテーブルに着いてやるということもあるのかもしれませんが、大事だと思っています。
その際のキーワードは、どうしても計画は事務的になるんですけれども、こんな会社に入りたいというような、本人のわくわくどきどきしたような、将来計画としての、将来設計としての計画が重要、このようなものを実現していただきたいと思います。
次は自己決定です。これは京都の方のお話のように自己決定は非常に大切で、様々な就労支援プロセスにおいて自己決定を保障すると定着率が高まるという研究もあるようです。その際に、これも1つのキーワードがあるかもしれません。教員の方や家族による自己決定、あるいは意思決定の支援も大切ですけれども、最終的には児童・生徒同士、あるいは先輩同士の意思決定ということが大切かと思っています。
例えば、あの先輩はこの会社に入った、あるいは同じ学年のあの友達が学校に入ったから私も行きたいと、こういうことが大切で、多分、教員や親による意思決定支援というのは生徒からすれば鬱陶しいということになると思うので、学校の生徒同士におけるいろんな関係性を作るということを、小さいときから、低学年からやっていただきたい。
最後は、多分、生涯教育に通じることだと思っています。将来の設計に向けての相談できる力やコミュニケーションの力を付ける、多分ライフスキルということかもしれません。発達障害の方には特に必要だと思っています。コミュニケーション能力や自己認識、あるいは対人関係ということを、そのためには自己学習の機会を含めて、複数の企業、事業者や生活支援機関での体験学習がますます重要だと、必要だと思っています。変化する社会に対応した生涯学習の機会というのは必須だし、成人期の学びの保障が急務だと思っています。
その際のキーワードは、結局、児童・生徒は地域で生きる、その地域で生きているということですので、地域の人としてみんなが認められるような人として成長する、そういう機会が保障されるべきだと思っています。

【委員】eスポーツの話とかもすごく興味があって、私も今、実際にやっています。、MMDって皆さん、御存じですかね。MMDというのを作っている中学生がいたんですけど、ミクミクダンスというんですけど、そういうのを視線入力のコンピューターで作ってというような、それをバーチャルユーチューバーを作ってというようなこともしているのもあります。
それはそれなんですけど、いろいろ聞いていて思ったのは、視覚障害とか、聴覚障害の学校は専攻科があるんですよね。だけど、知的障害の学校も少しは専攻科があるんですけれども、ほぼ肢体不自由はないです。一般的にはモラトリアムの時代で言うと大学に行くとか、専門学校へ行くとかいうことが大体あるんですんですけれども、そこがなかなか、日本の場合にはないので、高等教育の中(P)で、職業訓練を押し込めているという部分があるのかなと思います。
私の知っているところでは、アメリカのミネソタ州のところでは、トランジションプログラムを3年間やるというプログラムがあって、教育の延長としてそこを位置付けているというところもあるので、専攻科を今これから増やすのは難しいのかもしれないんですけれども、でも、やはり学校の時代に学校の教育があって、プラスアルファで違うものがあるという形も考えてもらえるといいかなと思いました。

【委員】きょう、いろいろな発表をいただいて、なるほどと思ったんですが、高校や特別支援学校の高等部でのいろいろな取組、それから障害のある子供たちが就労していく課程というのは随分いろいろと進んでいるんだなという印象を受けたんですけれども、私からは小学校や中学校、特別支援学校小学部・中学部でのキャリア教育といいますか、進路相談の充実ということをお願いしたいと思います。
特別支援学校にそのまま行って、高等部ですとか、高校ですとか、すぐ就労につながるところだけではなく、それまでのところで障害のある子供の相談というものを充実していただければと思います。といいますのは、特別支援学級や通級による指導を受けている子供たち、特に中学生ですけれども、将来どうなっていくのかという、保護者も含めて、とても先行きがなかなか見えないような状況がありますので、そこの相談やキャリア教育という視点が充実されていけばいいなと思います。

【委員(代理出席者)】手短に3点あります。 まず、就職率の話なんですが、先ほど、30%ぐらいの障害者の方の就職率があるということなんですが、実は我々の調査の結果ですと、肢体不自由な方の就職率は、ここ10年ぐらいはずっと右肩下がりで、今、平成29年で5.8%、30年で6%という現状になっています。これはいろいろな理由があるということは分かっているんですが、そのうちの1つに、通えないこと、これがやっぱりすごく大きいんだなと聞いております。先ほど、パーソルさんの中で社会変化へのテレワークなどの取組というのもありましたけれども、障害を持っている方、特に肢体不自由な方に対しては、テレワークはすごく親和性が高い、ニーズが高いことなのかなと我々は考えています。
そこで、制度的な面で担保する介護との併用みたいのもあるんですが、私どもの活動の中で一番思うのは、やはり障害者の方がテレワークをするという理解をまずは持っていただかないと、そこから対話が始まらないのかなと思っています。理解を持っていただいた企業様に対しては対話をしていく、若しくはどうやったら一番その会社で生き生き働くことができるだろうということを一緒に考えさせていただいているんですが、そこまで行くまでの理解が足らないのかなと感じております。
あと2番目としては、キャリア教育の部分に関してです。特別支援学校の方たちが本当にいろいろやられているということは理解しての発言だと思っていただければいいんですが、私も初め、スキルとか資格を取れば就職はできるんじゃないかなと考えていた者です。ただ、ある特定子会社の社長様に、そんなわけないといわれました。この子たちはずっと小さい頃から親と教師しか会ったことがないのに、いきなり外に出て働けと言われても働けるわけがないと。そこで一番大事なのはコミュニケーション力だと言われました。
私はそれに本当に胸を打たれまして、そこで我々のいろんな活動をしている中で、先ほどから幾つか出させていただいている中で、分身ロボットカフェというのがあるんですが、そこの中での我々の気付きの中では、やっぱり外部とのコミュニケーションをすることが短期間で飛躍的に個人のコミュニケーション能力を上げるということが、我々の中ではあるのではないかなと思っております。なので、キャリア教育の中でも外部とのコミュニケーションをより多く取り入れていくということも少しやってもいいのかなと思っております。
あと、やりがいの部分ですね。「ありがとう」と言い続けてきた人生だと思うんですが、「ありがとう」と言われることによって、どんどん自分のコミュニケーション力を上げていくということもあるのではないかと思っています。そのカフェで働いていた女性は、実は大阪で移植を待って入院中だったんですが、カフェが終わるときにはケラケラ笑っているんですね。「何でそんなにケラケラ笑っているの」と聞いたら、「楽しいからです」と言うんですよね。そうしたら、ずっと来ているお客さんとどんどん話が弾むことができていました。なので、「ありがとう」と言われることは本当にすごく力を持っているんだなと感じました。
あと先ほど、もう一点、労働の意識の部分ですが、親御さんとお子さんも自分が働けると思ってないという方がいらっしゃるということ、それは我々も本当によく聞きます。そういう方たちに我々が1つ提案できると言えば、ロールモデルを作ることかなと思っています。我々の協力者の中に二十数年間、学校にも行けないでずっと寝たきりだった者が一緒に働いていました。彼の存在が、今だと10名以上のそういうロールモデルを作っています。だったら、この10名がもう10名作っていくという活動を続けていけば、いつしかそれが当たり前の世の中が来るのかなと考えておりますので、各方面でロールモデルの構築というところも必要かなと考えております。

【委員】高等支援学校で校長をしておりました。県庁の中でも特別支援教育に関する行政を行ってまいりました。
先ほど、就職の話ですが、これは一応押さえておかなきゃいけないのは、平成12、3年ぐらいから平成28年とか、30年とかというこの時期までに、就労率というのは、先ほどのデータにもありましたが、20%ぐらいから大体40%ぐらいに上がって、特別支援学校の卒業生です。これは文科省さんとか、厚労省さんとかが職業自立ということに相当力を入れて牽引してきた、その成果は非常に大きいと思います。
特別支援学校の卒業生は、平成13年ぐらいは500人、そのうち就職したのは100人です。その100人のうち、流山高等学園の卒業生が45名です。どれだけ少なかったかということが分かると思います。それが平成28年ぐらいですと、特別支援学校の卒業生は1,000人です。そのうち、就職したのが400人です。これは特別支援学校の生徒は15年ぐらいで倍になったのに、就職率は倍になっているわけですから、どれほどリーダーシップを執って牽引してきたかということはよく分かるかと思います。
ただし、私のいた学校で、さっきの離職率を調べました。そうしたら、大体平均就職率が九十四、五%ぐらいの学校です。定員は45人から96人ぐらいです。そういう学校で3年後の離職率が約20%でした。これ、高卒は30から40%で、中卒は70%ぐらいですから、それに比較するといい方という見方もできるんですが、我々としては非常に悔しかったわけです。
離職率を調べたとき、その原因を探ると能力でもないし、簡単に言うとコミュニケーション能力でもないし、仕事の能力でもない。何が問題なんだと。会社は能力的には何の問題もないと言う。マッチングとしてどうか。マッチングも全く問題ないと。じゃあ、何が問題なんだといったときに、その20%の子の約70%ぐらいが何と答えるかというと、個人的な感情ということです。個人的な感情ってどういうことかというと、友人とうまくいかなくなった、恋人とうまくいかなくなった、親とうまくいかなくなったから働く意欲を失ったということなどです。
これはさっき佛坂委員がおっしゃられていた、何となく不安とか、不安とか、それに応えるものがどうしていいか分からなくなる。あるいは、さっき他の委員が余暇活動の話をおっしゃられていましたが、障害を持った子の就労先というのは、土曜日、日曜日に働くことが多いです。そうすると今まで続けていた部活動とか、クラブ活動とか、そういうものをだんだん離れて、みんなばらばらになります。友人同士がくっつく関係が非常に薄れていって、非常に孤立した関係の中で一生懸命働いていって、それでなかなか働くことに力が注がれなくなってくる。ですので、私としても余暇活動、生涯学習、これをやっぱりいかに充実して、相談ができるような環境がくっついていくといいいうことが非常に重要なんじゃないかなと思っています。
発達障害の子供たちがどのぐらいいるかというと、例えば中学校の特別支援学級に、以前は70%、75%が行っていました。今は60%から65%、これは千葉県の数字です。それが要するに、特別支援学級から高等学校に35%とか40%ぐらい行っているんです。千葉県だと、特学の卒業生は1年間に900人から九百数十人ぐらいです。そうすると、二、三百ぐらい高等学校に行っています。その高等学校に行った発達障害の子供たちは、簡単に言うと、今ここの数字に全く乗ってこないんですね。要するに、その子たちのフォローアップが全く圏外に行っている。これを何とか高校さんと厚労省さんと文科省さんとフォローアップする仕組みを作っていかなきゃいけないと思っています。

【委員】きょう、論点に、今後の教育の在り方とあったかと思いますので、そうしますとキャリア教育について、教育内容との対応において、これまでの実施したカリキュラム、達成したカリキュラムの整理が必要かなと思います。文科省が準備いただいた資料の中に、キャリア教育は特別活動を中心に、かくかくしかじかの教育内容を通して行うものだと。それらの学びをどれだけ保障した結果、現在、きょう話題になったような課題が生じているのかと、このあたりの分析に基づく議論というのが今後大事かなと思います。

【委員(代理出席者)】聾学校での現状について少しお話をいたします。
聾学校では大学進学率が随分上昇しておりまして4割程度、また、就労についても資料にある4割程度になっておりますが、かねてより聾学校の卒業生は、就職しても離職率が高いと言われておりました。それについては、現在も引き続きの課題ではあります。私も卒業生をたくさん出しておりますけれども、やはり離職率が高く、原因は何かと聞きますと、コミュニケーションの問題だと言っております。
また、聴覚障害者情報文化センターの施設長の方に、カウンセリングをしている方に少しお話を聞きますと、最近は課される業務のミスマッチで非常に不適を起こしているということが多く、それはどうして起こるのかというと、やはり会社の中での上司とのやりとりがうまくいかないことによって、できないのであるのにもかかわらず、できますと言ってしまったところからミスマッチが発生するというようなことがあるようです。
やはりコミュニケーションの問題が非常に大きいとは思いますけれども、やっぱり学生時代から、学校にいる在学中からしっかり自分自身はどういう支援が必要なのかということをしっかり理解して、それを語れるようになること、それから在学中に最新のIT機器を活用した情報保障についてなれておくことが必要かと思います。
実際、私の勤めております聾学校でもUDトークという音声認識機のシステムを使った、しゃべったことがスマートフォンとかに出る機械を使って情報保障を行うというものですけれども、それは学校の予算で買わなければいけないという状況がありますので、そういう部分は大変遅れている部分かなと思いますので、しっかり在学中に実施できればなと思います。

【主査】ただいまの御説明についての御質問、御意見等につきましては、もう時間的にちょっと無理がありますので、事実確認についてだけ、何かありましたら、御質問があればお受けしたいと思います。よろしいでしょうか。時間調整がうまくいかず申し訳ございませんでした。今、申し上げましたように、御質問、御意見は事務局の方に是非お寄せいただければと思います。また、年が明けてのところでも構いませんので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、長時間にわたりました本日の議論はここまでとさせていただきます。先ほど申し上げましたように、本日、御発言が十分でなかったということについては、事務局までまたお寄せください。
本日の議事はここまでとさせていただきます。なお、本年は、先ほどありましたように、今回をもちまして有識者会議、今年最後になりました。皆様よき年をお迎えいただきますよう、来年もどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係

(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係)