新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議(第3回)議事要旨

1.日時

令和元年11月8日(水曜日)15時00分~18時00分

2.場所

文部科学省13階 13F1~3会議室

3.議題

  1. 障害のある子供たちへの指導におけるICTの活用について
  2. これまでの検討の経過等について
  3. その他

4.出席者

委員

宮﨑主査,朝日委員(代理川口氏),阿部委員,市川委員(代理今井氏),一木委員,大出委員,金森委員,木村委員,熊谷委員,滝口委員,竹中委員,田村委員,野口委員,日詰委員,廣瀬委員,佛坂委員,松倉委員,真砂委員,山口委員,山中委員,吉藤委員

文部科学省

浅田総合教育政策局長,蝦名大臣官房審議官(初等中等教育局担当),俵特別支援教育課長,佐々木特別支援教育企画官,斎藤特別支援教育課課長補佐

オブザーバー

西牧オブザーバー,梅澤オブザーバー

5.議事要旨

(1)冒頭,事務局から今回初めて出席した委員の紹介があった。
(2)障害のある子供たちへの指導におけるICTの活用について、金森委員(資料1-1)及び中野泰志慶應義塾大学教授(資料1-2)から発表があり、その後、質疑応答と意見交換が行われた。
(3)第4回「新しい時代の初等中等教育の在り方に関する特別部会」(令和元年10月25日開催)における特別支援教育関係の発言の概要及び本有識者会議におけるこれまでの検討の経過について、事務局から紹介があり、その後、質疑応答と意見交換が行われた。第5回「新しい時代の初等中等教育の在り方に関する特別部会」(令和元年11月21日)における本会議の検討状況等の報告についての取扱いは、主査一任となった。

(1)の初めて出席した委員の挨拶及び(2)・(3)の質疑応答と意見交換の詳細は以下の通り。


【委員】分身ロボットを作っており、先日、期間限定で「分身ロボットカフェ」を開催した。私自身が不登校で引きこもりになり、3年半ほど学校に通えなかった経験から、遠隔操作型のロボットを使って、入院中でもロボットを通して学校の様子を見て、先生の話を聞き、手を挙げることができれば良いのではないか。入院により病気が治らなければ学校に行けないことは仕方がないが、その上でどうすれば良いか。もう一個体あれば良いのではないか。との発想で、現在、こうしたロボットを作っている。先日、120センチ程度のタイプを作り、ここにいらっしゃる方の中にもお越しになられた方々が何人かいらっしゃるが、「分身ロボットカフェ」として、目だけで動かせるコンピュータの技術を活用し、全国のALSなどで様々な形で外出困難な方々が、耳で聴いて、目で見て、目で操作するロボットを使って、お客さんのいるテーブルに行き、オーダーを取り、キッチンに戻って、キッチンからドリンクを運んでくるという、一連の肉体労働を完全にテレワークで行うことができることを実証した。さらに、成果として、そこで働いた30人の「パイロット」と呼ぶ外出困難者が、その場で企業の方々と出会い、「彼は喋ることができる、当社で雇用したい」と言う方が現れ、実際に働き始めてチーズケーキを売っているような事例が出始めている。基本的に、私自身は昔からできないことが多い人間で、できないなりにどう付き合っていくかを考えてきた。その中で、一つ新しい発明をした。昔から、私は人の顔と名前を覚えるのがとにかく苦手で、今名札があることは有り難いが、名刺交換をしても、誰なのかが本当に思い出せない。そうした障害者は多いと思われるところ、ある物を作った。名刺ケースであるが、頂いた名刺を入れてボタンを押すとスキャンされ、瞬時にスマートフォンにデータが取り込まれるとともに、GPSによる位置情報と日時が併せて記録されるため、後で見た瞬間に、「この人はこの会で出会った方だ」と分かる仕組みとなっている。こうしたことができる福祉機器を作ったら、最近、意外とビジネスマンか要望が上がったため、特許が取れたら製品化しようと思っている。このような発明をしている。

【委員】13の障害者団体から成る代表を務めている。子供の頃、肢体不自由児の施設で、複式学級で違う学年の子供と一緒に学んだ経験がある。「新しい時代の特別支援教育」は大事な問題であり、構成団体もそう思っている。今回、当会でも本会議で検討している内容を基に13団体で勉強会をしていきたいとの要望があり、これからどのように取りまとめが行われていくのか、本会議に出席して13団体の意見をお話しすることも可能、一緒に検討していきたい、そのような機会があれば良い、と言われているところ。現在、13団体では様々な取組をしている。例えば、障害者権利条約に関するパラレルレポートを作成しており、来年8月の終わりから9月の初めに予定されている条約締結国としての審査には、皆で参加したいと考えている。13団体には様々な種別団体があり、言葉を選ばずに言えば、お互いの障害、お互いの団体についての理解が進んできたことも大きな成果。皆で勉強するためにも、本会議の情報をしっかり持ってくるよう言われており、よろしくお願いしたい。

【委員】肢体不自由と病弱のお子さんが通う特別支援学校の校長をしている。お二人の御発表に関する実際の学校現場での様子について、教員から十分聞き取りをした結果も踏まえ資料に整理した。特別支援教育は、非常に少人数で実施する場合が多い。先生方からも指摘があったように、見易く拡大したり、ゆっくり再生したり、注目し易くしたり、マーキングしたりする際などに多用している。それから、ノートを取って、「はい、前回の所」と言っても難しいため、前回の画面を出して時間短縮を図った中身にノートを取る経験をさせたり、文字を書く経験はとても大事であるが、それだけで疲れ切ってしまうため、一旦経験した後はICTを使って非常に簡便に済ませたりしている。その方が実質的に思考の時間に充てることができるため、書くことだけを大事にすれば良いわけではないのが実態。ただし、電子黒板については、拠点校の小中学校ではかなり整備されていて、どこの教室に行っても実物投影機があり、ぱっと先生たちが使えるよう備え付けられているような学校もあるが、特別支援学校の場合は、設置している自治体によって基準が大きく異なっている。1フロアに1,2台設置して、それを使い回したりしている。校内予算で揃えていても厳しいところはあるが、全教室にあって、いつでも使える状況があれば、もっともっと当たり前に使えるのではないかと思う。遠隔授業については、入院のお子さんに関しては、分身型のロボットeなど、機器が進化して使いやすくなる中で使用頻度も増えている一方、肢体不自由のお子さんにとっても広がりつつある。例えば、テーマパークへの遠足や社会見学の場合、内容的には小中高校生の同学年相当で用意されているが、実際に行くと、午前中に到着してから医療的ケアを済ませ、記念撮影をしたところで、午前中に1個、午後も数個しか乗り物に乗れない。通常の小中学校の子供達の場合とは乗り物に乗れる回数が全く異なる。さらに、現地で宿泊する場合、モノレールで移動する場合1車両につき車椅子が1、2台しか乗れず、ホームに上がっていくエレベータは真四角で長い病院型ではないため、高等部のお子さんは1人が乗るのがやっとの広さで、全員が移動するのに1時間はかかってしまう。このように、同じように機会を設けても、実質的な経験量、学習量がとても少なくなってしまう。そもそも、スクールバスで行き帰りの時間が限られ、延長もできない中では、回数を増やせば他の教科学習が減ってしまう。この状況で大事なのは、学校から社会へ出る実体験については既に十分に回数を確保しており、もう一つ、社会を学校に持ってくる仕組みがこのICTである。そうした中で、例えば遠隔合同授業による社会見学では、有志の学校同士を結び、企業のインフラを社会貢献部門から協力してもらうことで、小豆島の醤油蔵を結んで、ただのテレビ中継ではなく、桶に付いた微生物を小豆島に特派した先生がアップして見せるなどのやりとりが可能になる。また、北海道のサケの孵化場に行ってサケがどのように孵化するかを全国の病院の学校や本校などを結んで観察したり、国立天文台の専門家に実際の機器を活用しながら説明を聞いたりするなど、身体障害を含めた障害のある方が様々な制約乗り越えることが可能となる。こうしたことを通して、高齢化社会なども含め様々なハンディキャップを持つ方たちも、ハンディキャップの無い方と同等に様々な情報や経験が得られ、そして、障害等のハンディキャップの有無に関わらずアイデアを一緒に社会の中で出し合ったり、評価をされていったりするチャンスが増えるのではないかなと思っている。これは在宅訪問や病院訪問などの訪問教育でも活用している。
一方、中教審の特別部会でも同じ意見が出たが、、遠隔授業は他の学習形態に比して、他社連携、事前準備、機器調整、当日のスタッフを別に付けるなどという点では準備の負担が大きく、単に機器を買えばよいのではなく、専任のコーディネーターの配置等も必要ではないかと思っています。
また、個別指導においては、様々な入力機器等が必要になる。このような機器は日々進化している。機器が、学校の備品でもある場合は自宅等に持ち帰ることができないが、家庭学習、生涯学習と24時間シームレスに活用するためには、東京都で行っているようにBYOD、Bring Your Own Deviceのモデル事業が始まって、高校生がオンラインでそういうものを使って、そのまま自分のものをつなぐという方法も有効今は学校にiPadが20台あり、予約をして利用することになっている。
最後にタブレット活用では特別支援学校高等部の一年次に就学奨励費が支給され、タブレット等の購入にも利用できるようになった。可能であれば、もっと早い段階から、自分の体の一部のようにタブレット等を使えるよう、小中段階から支給対象となればよいと考える。

【委員】通級指導教室は常時1人の子供が長い時間通級しているのではなく、通常の学級で指導を受けていて、部分的に必要なところだけ来ているという形で、通級指導教室の方もICTがうまく配置されていけば、通級で特化してICTを使って、それを通常の学級にお返しして、こういう使い方ができますよということもできると思いますし、一人一人に応じたものを個別指導あるいはグループ指導の中で使っていくことができるようになると思う。
ICTの活用については、今はもうとにかく早急に学校に入れていただいて、どんなふうに使えるか試行錯誤していくことが大事。
活用例として、通級に来ている子は、難聴や弱視等のお子さんや発達障害、自閉症のお子さん、学習障害のお子さんもいるため学習の見通しが立てにくい子に授業の流れやポイントを視覚化して示したり、なかなか自分の姿を客観視できない子供たちに活動の様子を記録して見せたり、書いたり読んだりすることがなかなかできない学習障害の子供に対して学習のアプリを使って指導したり、自分の考えをうまく発言・発表できない子の支援に活用することで、それぞれ確実に子供が変容しています。

【委員】まず、環境の整備ということで、学校現場としてはWi-Fi環境の整備はハードルがまだまだ高いこともあるため、基礎的な環境整備を早く進める必要があると感じている。
2点目が生徒のICTに関するスキルを高めるための取組で、盲学校関係では、中野先生が開発されたUDブラウザ等を活用しながら積極的に取り組んでいるところ。
社会参加と自立という視点で、北海道の取組例を1つ紹介すると、就労との関連で、障害者就労促進地域連携事業という事業を立ち上げており、この事業では、職域拡大ワーキンググループの会議を開催し、推進方策の検討やICT活用能力育成プログラムの開発に取り組んでいる。また、ICT関係の資格取得に向けた講習会や職業講話を開くほか、小中高一貫したICT活用能力の育成を図る教育活動を行う予定。
今後、ほかの盲学校とも連携をしながら取り組んでいく予定でるが、このような取組が希望する学校で日常的に行われるようになれば、生徒のICTに関するスキルが高まり、社会のニーズと本人の希望がマッチする方向に進むのではないかと期待している。
また、遠隔テレビシステムも会議等で活用できることもありますので、効果的、効率的な推進ができるのではないかと期待している。
課題としては、タブレットなどを使うことができる弱視の方の環境はかなりよくなってきているが、情報格差が生じないように、全盲の方にもさらに配慮が必要と考えている。
3点目は視視覚に障害がある教職員に対する合理的配慮について、教員を目指す生徒もいるというということですので、お話をするんですが、視覚障害者のある方、これは障害者の方全般に言えると思いますけれども、ICTの活用は生活に欠くことのできないものだと考えております。学校への情報保証に関わる備品等の状況をお話しすると、支援機器等には当該教員の個人負担も一部、実はあるというところです。
私たちは、パソコンを無償で利用できているんですけれども、視覚障害者は拡大読書器とか、ピンディスプレイとか、アプリケーションソフト、これは点字編集ソフトなどの購入に一部自己負担をして対応しているところがあります。このあたりも少し改善していく必要があるかなと思っていますし、発出されてくる文書の情報保証、これはテキスト化とか点字化とか、そのものもいろいろ考えていかなきゃならないのかなということも思っているところです。
それから、1回目に教職員定数が話題になったと思うんですが、そういう観点から言うと、全盲の教員のサポート体制の検討というのも必要かなと思っています。単独で指導が難しくて配慮を要する場合があって、複数で担当している場合もありますので、このあたり、定数とか加配等の検討も併せて考えていく必要があるかなと、そんなふうに考えているところです。

【委員】病弱の子供たちを教育している学校の校長を務めています。病弱教育におけるICTの活用ということで、4点御紹介したいと思います。
まず1点目です。ずっと話に出てきておりますが、テレビ会議システムを用いた遠隔授業についてです。これらの授業のことを一言で、つなぐ授業と言っております。学校の教室と子供たちが入院している病棟あるいは病室をつないで双方向の授業を行う、あるいは学校の教室と子供たちが自宅療養している、その自宅をつなぐ、そのような遠隔授業が行われ始めてきております。入院したり病気になった子供たちにとっては、学校の友人関係とか、あるいは学校での学習というものを途切れさせることなく続けることは、病気に立ち向かう大きなモチベーションになってくるものです。このように、遠隔で受けた授業についても、一定条件の下で行われている授業については、科目の単位取得も可能になってきています。
ただ、やはり課題としては、環境設定のこと、病院や自宅でのネット環境、あるいはセキュリティーの問題、あるいは、それを扱う教員の専門性の問題等、課題は多々あるかと思います。
2点目です。病弱の学校には、今言ったように、例えば、無菌室で頑張っている子供、あるいはがんなどの抗がん剤等の治療で自宅で療養している、そういう病気の子供たち以外にも、例えば、精神面での難しさということで、心の病気の子供たちもたくさんおります。例えば、適応障害などの子供ですと、学校に通えなくなることがあります。そういう子供たちについては、同じように遠隔教育を行ったり、その遠隔教育の中で、先ほど紹介された分身ロボットなども用いて、自宅にいながら学校での授業に参加している、学校活動に参加しているという状況を作り出すことによって、学校の中、教室の中の雰囲気が分かるということで不安が軽減されたりして、再び登校に結び付くことも出てきております。
3点目です。病弱教育の学校では、今年度からロボットプログラミング選手権というのを行っているところです。Proroという小さな四角いロボットなんですけど、それに子供たちがプログラムしたソフトを入れまして、ロボットとロボットを対戦させる、そういうロボット相撲の選手権なんですけれども、今、各地区で選手権、地区大会を行っております。きょうまさに、近畿、東海、北陸地区の大会を本校で実施しているところで、参加している学校をICT機器を使ってつないで、ネットでライブ中継を行って、ロボット相撲の大会を今まさに行っているところで、私、そちらも気にはなっていたんですけど、是非この会議で紹介したいなと思って、こちらに参加いたしました。病棟でプログラミングして、それをライブ中継で見る、そういう大会に参加できるというのもICT機器の大きなところではないかと思っております。
最後です。今年度、令和元年度ですけれども、入院生徒に対する教育保障体制整備事業というのが文部科学省で行われておりまして、全国6の教育委員会でその事業を行っております。入院生徒に対する支援ということの中で、ICT機器を活用した遠隔授業についての研究実施というものが今まさに行われているところで、その研究成果に今期待しているところです。病気の子供たちにとっては、学校に登校できなくてもICT機器を使って学ぶことができる環境を作っていくのが、病気に立ち向かう意欲を育てることに大きく役立つと思っております。

【委員】私立特別支援学校の校長を務めています。私どもの学校は、ようやく今年度に入りまして無線LANの整備が出来上がったというところでして、ほかの学校から比べると整備が遅い状況にあります。タブレットの購入につきましても、学校の、いわゆる備品購入という中にはないものですから、みずほ教育福祉財団から定期的に助成金を頂きまして、少しずつ整備をしているという状況にあります。それで、私の方では、地元の県と、あとは市と私立特別支援学校についてということでまとめてみましたので、資料はなく口頭でお伝えさせていただきたいと思っています。
今年度に入りまして、県の教育長さんと特別支援学校長さん、それから、PTAの会長さんということで協議をさせていただく中で、県としての課題としては、管理課長から、ICTの導入については高等学校と同時に行っています。現場に合ったものを二、三年のうちにと考えているということです。
それでは、県のPTA協議会と特別支援学校長会の方で、ろう学校から一つ、現状と課題ということで出てきております。視覚に障害のある本校の幼児・児童・生徒にとって、視覚情報は学習や日常生活を送る上で大変有効なものです。しかし、どこの教室においてもインターネットに接続できる状況になく、まだタブレット等の保有台数も少なく、身近で積極的に活用できる現状ではありませんといったように、群馬県の中でも、やはりこういった差が出ているというところで、現実に整備されているところではありません。
視聴覚教材や教育機器、情報機器は高価なものが多いですが、より指導の効果を高められるよう、インターネット接続や情報機器の整備を計画的に行ってほしいということを県に要望しているところです。
地元の市に関してなんですけれども、市では教育用のネットワーク、MENET、前橋エデュケーショナル・ネットワークを保持しており、センター整備は平成10年に稼働を始めました。市教委が、行政の理解とボランティアの力を得て立ち上げたものです。平成27年には、小中各1校のタブレットパソコン活用モデル校に対して、校内の無線LANの先行整備を実施するとともに、従来の学習者用の41台に加えて、指導者用のタブレットパソコンを整備し、普通教室でもICTを手軽に活用した授業が行えるようになりまして、平成28年にモデル校の成果に基づく69校のICT環境の整備を実施したということです。
そして、平成29年には、特別支援学校、小学校、中学校、これ、前橋市内なんですけれども、71校に無線LANの設置がされたということです。大型モニターの導入については、まだ整備されにくいというところであります。
私立の特別支援学校に関しては、幼児・児童・生徒への最善の教育支援、効果を考えたときに、ICT活用は必要不可欠な時代に入ってきておりますけれども、施設整備に当たり、資金面、またICTを運用するための教員の研修に要する時間の確保、費用を考えますと、現段階では活用、実施、成果までには課題が山積をしている状況であります。
私見でありますけれども、これまで挙手して、生徒の意見を中心に授業が進んできておりましたけれども、意見を出しづらい生徒、満遍なく聞くことができてということで、タブレットを使った授業では、自分の考えをタブレットに書いて、一覧表示や拡大表示することが、多くの意見を視覚的に把握しやすくなると。意図的な指名なども支援に生かせるのではないかと思います。タブレットを使うために使うのではなくて、子供たちの目指す姿を照らし合わせて使うことが大切であると考えております。授業の組み立てでは、教師で変わらずに授業力というところが重要なところかと思っております。
また、外部からの支援に対するセキュリティー対策の実施も必要かと思っております。今後としては、やはり外部職員の配置と、ICTの導入により教職員の業務上の負担にならないようにということで、業務精選のために活用していくことが望ましいのではないかと思っております。

【委員(代理出席者)】 知的障害特別支援学校の校長をしております。障害のある子供たちにとって、写真や映像、あるいはピクトグラム等の視覚障害というのは学びへの支援に大変重要と考えております。そのことに関係いたしまして、ICT機器に関わる現状と課題について3点お話しいたします。
1点目は、その有効性についてでございます。有効性につきましては、今、詳細をお話しいただきましたので、簡単に御説明だけさせていただきます。本校の子供たちにとりまして、文字入力というのは大変難しいものです。キーボードを扱えるお子さんは大変少ない状況ですので、じゃ、文字を読めるのに、それを文章あるいは日記にどうつなげるかということで、最近も給食メニューや作文を書くのにタブレットから文字を選び、文章を作ること、あるいはメニューを作成することができた、自信につなげることができたという例もありました。できないと、保護者の方も、少しそれが苦痛になっていたところが、子供たちの達成によって大変喜ばれたという例もございました。
2点目につきましては、ICT機器は子供たちが学習に便利であるから、あるいは有効であるからということではなくて、子供たちにとっては想像以上に身近な道具になっています。保護者等と面談した場合、障害の重い児童・生徒でありましても、タブレットやタッチパネル、またスマートフォンに関しましては大変身近な道具として子供たちは扱い、自分たちの大好きな映像やコンテンツを探し出しています。中には、電車の映像を出してきたりアイドルの映像を出してきたり、また、おすし屋さんの予約もできるという子供たちもいます。それぐらい大変身近なものなので、子供たちが家庭で即時的に反応して回答を出してくれる、この道具を、今、ほぼ子供たちが家庭で扱っているんですから、学校で、さらに大きな画面で分かりやすく提示して学習に役立てるということは、そのために私たち特別支援学校においても早急に整備を進めなければならないと考え、それが子供たちからの課せられた課題と考えています。
3点目は、様々なデジタル教材の共有、有効活用です。デジタル教材につきましては大変効果的であると同時に、やはり教員が指導上イメージするもの、このようなものを作りたいというものを作り上げるには、情報機器や、あるいはプログラミングにたけた教員でない場合は大変多くの時間が掛かります。ですので、東京都では学習コンテンツ活用システムというのがあり、東京都の教員にデジタル教材を共有又は個人フォルダーを活用して有効活用が図られておりますし、また、各学校におきましてもフォルダーを活用して、教材を共有、あるいは各教室において教材を閲覧、活用できる学校もあります。このデジタル教材使用による効果的な指導に加えて、これは教員の校務改善にもつながると考えています。
新しい学習指導要領の改訂に併せて、文部科学省の著作権の教科書も改訂されると聞いております。本校もこの教科書を使っておりますが、現在のところ、その有効活用あるいは集団でそれを見る場合に、一部スキャナー等を使っての活用になります。これが、デジタル教科書として使えるようになりまして、あるいは関連する教材等を使えることができましたら、全国の特別支援学校などで共有、蓄積ができるのではないかと考えています。
本校におきましても、授業において、各教室における電子黒板化が可能なディスプレーを配備し、また、タブレット端末用の個別学習、大型画面による集団学習、その中での児童・生徒の解答並びに提示等の活用を進めておりますが、その必要な環境、理想とする環境の予算化にはまだまだ年数が掛かると考えています。子供たちの障害の状態や特性による困難が、ICT機器の活用による環境設定により、生きる力を格段に大きく伸ばすのであれば、その整備は急がねばならないと考えております。

【委員】普通高校の校長で、全日制、定時制、通信制、3課程ございまして、2,000人ほどの生徒が在籍しております。特別支援の生徒への様々な今の支援が、通常級の生徒また職員への大きな変容に本校はつながっております。5年前の文科の指定事業、定時制、通信制から始まった事業でございますが、それを昨年からは全日制にも広げまして、学校3課程全てで共通の認識で生徒への支援を行っております。
そしてまた、インクルーシブな社会の再構築というのは、自分たちがやっていることはまさにこれなんだということを非常によく認識することができました。心のバリアフリーというのが、まさに学校の中で今、体現しているというか、実践されていることを感じております。
授業の「ちょっと×2ハンドブック」というものがあるんですが、「ちょっと×2」というのは「ちょっとちょっと」です。これは何かといいますと、まさに先ほどの心のバリアフリーということで、27年に始まった取組、もう5年たちますが、最初に普通高校の教員というのは、全くそこの部分の理解は非常に浅いものがございます。そこを抵抗なく少しずつ、今までやってきたことが間違っているわけではなくて、でも、目の前のいろんな課題を持った生徒さんたちに、どう少し変えていくかという、そこがこの言葉のスタートです。今までと同じようにやるんじゃなくて、ちょっと工夫するんだよね、ちょっと配慮するんだよねと、ちょっと観察していくんだよねということで、それでこの取組を始めました。それが3課程全てにわたって進んでおります。本日、後ほど、資料でございますが、特別支援教室構想という内容の資料がございますが、本県では、それを「みんなの教室」と呼んでおりまして、非常に似たような取組だなと思って私は拝見しておりました。
今、本校でも定時制などには非常に様々な障害を持っている生徒さんがいらっしゃいます。その生徒さんと、本校は一緒に授業をやっているんですね。それでも、特別な配慮をもちろん必要なときには取り出しという形でやったりとか、特別な教室に行くこともあるんですが、基本は一緒です。一緒にやって、普通に生活しております。そのときに、実は非常に変わったのは、普通の障害を持ってない生徒さんたちなんですね。そこが非常に変容しました。
そこで、一緒に生活するのが当たり前で障害のある生徒がここに困っているんだなと思ったら、そこをみんなが支援すればいいという、そういう当たり前の感覚といいますか、それは多分、本校、外国につながっている、外国籍を有する生徒さんが120名以上おりますので、そこの感覚と同じなんですね。その生徒さんたちも同じように日本語が分からなくて困っているときがある。でも、そこは当たり前なんですね。お互い当たり前で、分からないところや困ったことがあったら、それはお互い支え合えばいいわけで、ここは一緒に授業ができるとか、そうやって本校の取組が非常によかったのは、職員も生徒も、障害のある生徒さんもない生徒さんも、そこでお互い成長すると。先ほどおっしゃられていた、障害が治るのではなくて、それを認めながら、お互いどうやって一緒に学校生活を続けていくかと。それ、特別な何かじゃなくて、これは授業だけじゃなくて、全てにわたって、ちょっとちょっとなんですね。生徒も職員も、ちょっとお互いを配慮していく学校に少しずつ変わっていったと。最初は、学校の中のユニバーサルデザインということで、全ての階とか教科とか色を決めて、全部それで表示しておりました。詳しくは中で見ていただければ分かりますが、それを授業に反映しました。授業もユニバーサルデザインにしようと。校舎がユニバーサルデザインなんだから、授業もそうやってということでやってきました。
その取組が、本当にここ数年の中で、まだまだ課題もありますけれども、でも、始めることはとても重要で、ICTも、文科の支援も頂いて、電子黒板も4台ほど入っていたりとか、それも非常に活用しております。そして、先ほど来のお話にもありましたが、本件ではこの夏に公立高校全てにWi-Fiの工事が完了いたしまして、この後、本格的に始まります。全校にクロームブック82台が配備されました。その中で、生徒のスマホ等を使ったBYODを本格的に実施して、小テストであるとかアンケートであるとか、様々なものが授業中もどんどん活用しております。授業でも、教科を教える教員もそれを使いながら、今、どんどん授業がスタートし始めているところでございます。そんなような現状で、先ほど来のお話の、まさに社会の見る目の再構築といいますか、それがスタートしたなというのが、今お話を聞いていて感じました。普通高校の全然違う取組なんですけれども、一例として御報告させていただきました。

【委員】県教育委員会の課長ですが、前職というか、数年前までろう学校に勤務しておりましたので、ろう学校でのICT機器の活用状況について御報告させていただきたいと思います。
ICT機器は、視覚から情報を得ることができるということで、聴覚に障害のある子供たちも本当に楽しく使っております。子供たち自身はICT機器を使って、もちろん調べ学習であるとかプレゼンテーションソフトを使ってまとめるとか、発表するときに、そういういろんな機器を使って意欲的に発表したり利用したりしているんですけれども、それ以外にろう学校でどういう利用をしているか、どういう目的でどんな活用をしているかということについてお話しさせていただきたいと思います。
ろう学校で一番多く使われているICT機器の活用方法としましては、授業中に、授業の内容の理解を助けるとか分かりやすい授業にするためにICT機器を活用していることが多いのではないかと考えております。聴覚に障害のある子供にとりまして、言葉だけ、文字や文章を見ての内容の理解というところがとても難しいとか困難を感じている子供たちがたくさんいます。その子供たちにとって、ちょっとしたイラストであるとか写真、動画を提示することによって、そこに書かれている文章に対する理解が進む、イメージが持ちやすくなります。ということで、言葉だけでの理解ではなく、いろいろなイラスト等を提示することで理解を助けるという使い方。
それから、聴覚に障害がありますと、前で教員がしゃべっていたり、友達が話しているとか、手話をしているとか、口元を見なくては話している内容が分からない。一方、いざ下を向いて教科書を読むということで、そのときに先生であるとか友達が何かを発言していても、その内容が理解できないことが多くあります。
昔は、私どもも教科書の本文を模造紙に全部書いて、それを黒板に張って、それを使いながら、その横で手話を使ったりとか話しながら授業とかをしていたんですけれども、そういうことに関しても、今はICTを使えば簡単に文字を黒板であるとか前に提示して、その横で説明をして話したり、友達の発言もそれを一緒に見ながら聞くことができるというところでは、聴覚障害の子供にとってはそういう使い方は非常に分かりやすい授業につながっているのではないかと思います。
今言った2つのところをまとめたような形では、今、現場の先生たちから便利であるという声をよく聞くのが、指導者用のデジタル教科書の利用がとても便利であるという話を聞きます。もちろん教科書の内容を映すこともできますし、その中の言葉についての写真という、いろんな資料がデジタル教科書の中には入っていますので、それを提示することができ、本当に便利であるという声を聞いております。
2つ目ですけれども、情報保障という観点です。音声認識ソフトを使って、式典とかで、手話通訳ではなく、文字による情報とかも提示しております。今も音声認識ソフトの認識が大分よくなってきたので使えるかなとは思っているんですけれども、まだ本県では古典的にというか、事前に原稿を頂いて、それを前もって打っておいて文字を提示するという形を取っておりますけれども、もう十分音声認識ソフトの活用も考えていけるのかなと思っています。このソフトを使ったのは、式典等のところだけではなく、ろう学校に勤めております聴覚に障害がある先生への情報保障ということでもとても役に立つものではないかと考えております。
それから、情報保障の面では、ろう学校には、例えば、廊下等に文字情報が表示できる装置があります。緊急のときにとか、火事ですとか地震ですという情報が流れるようになっております。最近では、モニター等で画面を作成したものを提示できるところもあるんですけれども、これの問題点としては、やはり機器の維持とか更新というところの問題が出てくるのかと思っています。一度付けた高い機械はなかなか新しいものに替えることができない。そういうところは非常に進歩が速いですので、機器の維持とか更新というところをどういうふうにしていくかというところに課題を感じております。
最後に、コミュニケーションのためのツールとしての利用でございます。聴覚に障害がある子供を育てていく上で、手話が分からない人であるとか、初めて会った人ともコミュニケーションを取りましょうねという学習とかもしているわけなんですけれども、校外学習とか職場体験に行ったときに、その場にいる人とどういうふうにコミュニケーションを取るかということで、よく筆談をしましょうという話をして、筆談を勧めております。筆談をするというときに、やっぱり書いたり文字にしたりするのが面倒くさいなとか嫌だなと感じる子供もいるんですけれども、この頃、筆談のアプリというものがございます。それを利用しまして、タブレット端末で画面の上で画面に書くことができる。画面が2つに分かれておりまして、こちらで書いたのが相手にそのまま反転して自動表示がされるというソフトがありまして、そういうのを使うことで、ちょっとやってみようかなというハードルが下がるといったことで、筆談もおもしろいかもしれないなと子供に感じてもらえるということで、そういうことも使っております。
ろう学校ではいろんな利用の仕方があるんですけれども、どのように活用していけばより効果的であるかということも考えながら実践を積み重ねていくことが必要ではないかと考えております。

【委員】先ほどの、ICT支援員の配置というテーマにおいてなのですけれども、私も様々な病院ですとか患者さんの現場に行かせていただいて研究させていただく中で、本当にそういったことが、小さいときにコンピューターを操作する場を得られていた人と得る機会がなかった人、そういった方々を見てまいりましたので、本当にその重要性を強く思っておるところでございます。ICT支援員という、先生方を指導、教育するような仕組みというのは、今、どういった状況なのでしょうか、教えていただければと存じます。

【委員】実は、特別支援教育に関してのICT支援員というところで言うと、福祉情報技術コーディネーターという資格が以前あったんですね。そういう資格の中で、ICTに関しての特別支援の学校での支援の技術を持つというのもあったんですけれども、その資格が今、停止をされてしまったんです。ただ、実は、厚生労働省のリカレント教育のプログラムの中で、本年度から実証の関係で、似たような名前なんですけど、アシステッドテクノロジーコーディネーターみたいな資格を取得するというのを今、ちょっと考えているところで、実際それを運用する準備をしているところになっています。

【委員】私が特別支援学校の実際の先生方の現場に関してはそれほど詳しくはないものですけれども、実際にそういった先生という人材というところが今、教育であったりとか、そういったプログラムを作成できていないというところに課題があるということでございますね。

【委員】私自身も文字を書くのが非常に苦手でして、あと紙をすぐになくす、方向音痴であるというところがあって、スマートフォンがある時代に生まれてきてよかったといつも思っております。なので、基礎的環境整備として、通信環境を整えたりですとか必要機器の整備をしていくというところは、当然のように今後やっていかなければならないと、先生方のお話も聞いていて思いました。
ちょっと違う観点からお伝えをしたいことがあって、当社においてもICTの活用は日々やっております。教材として活用することも結構多いんですけれども、スタッフの業務支援、利用者のデータの管理、蓄積と引き継ぎ、あとは、例えば、個別の支援計画を作成するんですけれども、それを管理して引き継ぎしていくようなシステムを開発して、例えば、それを導入していくことなどをやったりしています。
ICTの活用がバリアを取り除けるというのは本当にそのとおりだと思っていて、それは今、先生が感じているバリアもテクノロジーで解決できることがたくさんあるのではないかと思っています。なので、先生方の校務支援、負担軽減の観点、あとは特別支援教育の質の向上の施策としてもICTの活用を検討していくべきではないかと思っております。
具体的には、先ほど申したような個別の教育支援計画、指導計画のデータの引き継ぎが今されていない状況かと思います。現場の先生にお聞きしたところ、結構ファイルにしまわれて、キャビネットの奥底に昔の個別の支援計画が眠っている状況であると。それって物すごくもったいないと思っております。特にそのときのその子供の状況、アセスメント結果というところが引き継がれていくためにも、ICT、テクノロジーを活用できるといいのかなと思います。
あとは、教材としてICTを活用することのメリットとしては、自動的に記録ができるというメリットもあるのかと思っています。例えば、きょうも先生方から御紹介のあったパソコンとかタブレット教材を使えば、子供がそれをどれぐらい活用しているかというのが勝手にデータとして残ったりですとか、あとは正答率、そういったものもデータとして残っていくかと思っています。そうすると、そういったこれまでの蓄積を見ながら、支援の質の向上を目指していける、そういったメリットもあるかと思っています。
あと、もう1点、最後に先生の人材育成にテクノロジーを活用していくというのもすごく必要だと思っています。例えば、当社では、ケース会議はほぼ全て動画でやっています。動画というか、遠隔のテレビ会議のシステムを使ってやっています。本部のスーパーバイザーと教室の先生がリアルタイムでケース会議ができる、そういった利点があると思っています。
あとは、スーパービジョンの話を前回もしたんですけれども、スーパーバイズを受けるときって、その場にいなければならなくてコストが掛かると思われると思うんですけれども、当社では、自分の指導している状況を動画に撮影して、それをスーパーバイザーが見てチェックをしていくという、動画のスーパービジョンのシステムというものも導入していたりします。
例えば、通級と在籍校でケース会議をしたりですとか、教育センターと在籍校、あとは支援学校と通常学校が交流及び共同学習をするときにも、計画をするときもわざわざ行くのが大変だと思うので、そういったテクノロジーを使って解決できる部分は大きいのではないかと思いました。

【委員】私、きょうお話を伺いまして、ICTの可能性ってすばらしいなということで、私たちも活用している部分もあるんですけれども、それが現実には、今度、先生方からお話しすると、まだ十分には活用し切れていない、いろいろな地域の温度差もあるのかなということも知ることができました。
それで、今度は私たち、障害当事者団体の役目というのは、やはりそれぞれの可能性の重要性を発信することと、御挨拶のときの繰り返しになりますけれども、13の当事者団体、やはりそれぞれの種別で相談を受けたりすることがありますので、そういうときに発信していく役割をこれからも果たしてまいりたいと思いました。
また今度、ICTの様々な可能性の中で、今度は、例えば、私たちが様々な会議とかイベントのときには、聴覚障害の方、視覚障害の方がいらっしゃる場合も含めて、情報保障をしっかりしていく必要があります。そのようなときに、要約筆記、手話その他、これは今、団体が負担してやっているところで、これは負担するべきだと私も思いますけれども、それで、先ほどお話を伺いましたけれども、音声認識ソフトでかなり進んでいるということを伺いましたので、そういうことを我々も活用できればいいなと思ったり、いろんなヒントを頂きました。
そして、今のお話で、教育の個別支援計画のお話がありましたけれども、やはり学校での学びは生活の中での、ある意味一部だと思いますので、地域とつながる、将来の夢についてイメージを持っていくためにも、これまでの経緯というか、過去が大事だと思いますので、例えば、御本人が作った作品とか夢を語った部分とかを保存できるのもICTの力なのかと思いました。やはり一人一人、障害の種別によって人は違うのではなくて、障害というのは困ったことと金森委員がおっしゃったことはそのとおりだと思いますし、困ったことを解消するための先端的な手段がたくさんある中で、これから私たちも活用していくようなことで発信していきたいと思います。ありがとうございました。

【委員】情報通信と障害の重い方、チャレンジドをつなぐということで30年間やってきました。この30年間で私たちが目指してきたことが、まさにきょうの議論されているICTによって結実されつつあるのだなと大変うれしくも、また心強くも、まだまだだなというところも感じつつ、先ほど、分身カフェ、ロボットカフェのお話があって、私も早速行かせていただいて、ロボットからケーキを呼ばれました。何とロボットがケーキを運んできてくれて、ふたをあけたんですが、そのときに気が付いたのは、その日、私の誕生日やったんですね。そんなこと、全然想像もしてなくて行ったんですけれど、何でケーキ出てきたんやと思ったら、みんなが「おめでとう」とか言って、ロボットが言ってくださったりなんかして、つまり、どれだけICTというか情報通信、科学技術が進んでも、そこでやっぱり大切なのは人の気持ちだったり人の思いだったり、何のために使おうとするのかという、そこが根本なんやなと改めて、自分の誕生日にかこつけてあれなんですが、すごく思いました。ですから、自分たちの活動の中でも、その部分を最も大切にしながらやっていきたいと思います。
それで今、分身ロボットのこと、私、詳しくは知らないんですが、現実にその分身ロボットでどのようなお仕事を想定できるのかと。1個私が考え付いたのは、例えば、語学の非常に優秀だった方が、御病気だったり身体障害になられたと。そのときに、語学の優秀な人とつながる分身ロボットを持って海外に旅行に行かれて、英語でもフランス語でもそうなんですけれども、しゃべれないときに、その方がベッドの上から通訳をしてくださるというようなことってあり得るんじゃないかなとか、そういう突拍子もないことかも分からないけど、あり得るような気がして、やはりパソコンという形ではなくて、形のあるロボットが顔を向けながら周りを見て、そして、動作を、単純なかわいい動作なんですけど、それをすることが、パソコンを通じてテレビ会議でというのとまた違ったというか、深さを感じたりしたんですね。ですけど、具体的にお仕事的にはもうちょっとどんなことが考えられるのか教えていただけたらと思います。

【委員】まず、分身ロボット、様々なところにも使われているんですけれども、今、実際に一番使われているところがどこかと申し上げますと、NTT東日本さんがテレワーク目的で導入しております。この対象者はどういった人かといいますと、もともと福祉機器として開発したOriHimeではありますけれども、今は育児中の女性が子供が保育園に入ったら会社に戻ってこよう、復職しようとは思っているけれども、その間、家にずっといて、ただ、その間、やっぱり話し相手がいなかったら不安であるとか、仕事の顔を忘れてしまって、戻ろうと思っていてもやめてしまうケースは、これは、NTT東日本さんからしても大きな課題となっていたというところ、このロボットを使いまして、もともと仕事をされてい方がそこでそのまま、例えば、フロアマネージャー(※要確認)であったりですとか、そういった仕事をされているケースが非常に多くございます。
ここで何が言いたいかと申し上げますと、今までもテレワークというツールは、専門性を有する方であれば、頼られてそれを回答するといったことで仕事ができてきたのですが、それだけでは、実は一番大事な部分である必要なとき以外のコミュニケーション、それによって帰属意識であったり、自分が何のために、どういうお客さんのために今仕事をしているのかということが分からなくなってきてしまって、やりがいもなくなってしまうケースが多くあったと言われているところ、分身ロボットを使って、一緒に働いている仲間たちがいるという帰属意識というところがよいという点におきましては、今、特別支援学校のお子さんたちも、実は今回、分身ロボットカフェで福岡の女子高生の子と奈良県の男子高校生が2人、今回、特別支援学校の生徒でありながらカフェで働くといったことを行いました。そのときに、やっぱり2人は人生で働いたことが全くないものですから、初め、不安がすごく大きくて、これでいいんですか、これでいいんですかという状態だったんですけれども、やっぱり働いて、といっても肉体労働をロボットを使ってやるというものです。それをやることによって、秘書であったり通訳であったりという難しい仕事しか、私はテレワークでできないと思っていた。けれども、こんな単純な、ロボットの操作ではあるけれども、物を運んできたり、オーダーを聞いたり、あと、お話し相手になるということで仕事ができるという、前向きに、人に必要とされているように感じることができたという変化がありました。
もう一つは、それによって必要とされることを自覚してからが劇的に変わったところでして、それがあったからこそ、本人たちがすごく前向きに自信を持って発言、発信するようになりまして、SNSを始めたりとか。海外の方々がいらっしゃっていたから、そうか、英語の勉強をした方がいいなということで、英語が学べる、今回、オーストラリアの人も分身ロボットを使って働いていたんですけれども、そういった人から、自主的に英語勉強会を実施するようになったりと、そういう変化がありましたので、やっぱり誰かの役に立てるとか、何のために勉強するんだということが実感できるツールとして、こういった分身ロボット、ツールだけじゃなくて、そういったカフェであったり、そういったプログラムは効力を発揮すると感じておるところです。

【委員】今の就労の話につながるんですけれども、自分、厚労省の発達障害の専門官でいたときに、経済団体等でいろいろ発達障害の話をしてくれということで呼ばれて行ったときにお聞きした話が印象的だったんですけれども、企業では個別的な支援は難しいので、学校でやっていたようなことはできませんということを、企業の窓口では今までは答えていたので、学校の先生たちも、企業に合理的配慮を引き継ぐのはやめようと言って、やめてしまう学校が結構多かったとのことでした。ただ、障害者差別解消法がスタートして、きちんと提供しなければいけなくなって、ただ、企業にノウハウがないので、ちゃんと学校から情報を申し送りしてほしいんだという方が最近増えてきたという話を聞きました。それに学校側が逆に付いていけなくて、企業には伝えないようにしようとかいう形のこともまだ多いと数年前に伺ったことがあります。
きょうの話も、学校の中では一生懸命前に進めてこられている。でも、お話をうかがって学校の中だけではなくて、家庭とかまちの中でも学校で学んだことをちゃんと使っていこうということを後押ししていくという方向に進めるべきだというお話を伺って、とてもよい方向だと思っていました。
それで、ここから先は文科省にお願いという形になるかと思うんですけど、例えば、役所の窓口とか警察とか病院とか交通機関とか使いますので、学校で学んできたことをちゃんと使えるように、みんな協力してちゃんと理解して受け止めてくださいと、いろんな省庁にきちんとアナウンスをするという情報発信を強くしていただきたいというのが1つあります。
経済団体等で話をしたときに、よく話に出ていたのが、こういう会に来る、専門窓口になるような人に話をしてもらっても、それは分かるんだけれども、元の組織に帰るとなかなか通じないので、もっと上の幹部の人たちに、きちんとそういうものを使うことを、中野先生の言葉で言うと、それはもう最初からそういうことを想定した社会にしていこうとしたいので、是非役所でも病院でも警察でも交通機関でも、みんなそういうのを前提にした社会になるように協力をお願いしますというのを強く発信してもらうと、学校の中でこれだけ学んできたことが、ちゃんとその後も使える財産になっていくと思うので、そのあたりの発信を是非していただければと思います。

【委員】まず、1つ質問させていただきたいんですが、提言の1点目にありますICT支援員の配置につきまして、少なかったけれどもゼロではなかった、配置している学校区あるいは自治体があったという理解でよろしいですかね。もしそうだとするならば、配置を可能にしていた要因あるいは背景など、共通点などありましたら教えてください。

【委員】調査をしたときの段階になるんですけれども、実際はそこのところは京都市だったんですけれども、それなりに詳しい専門知識を持った人がいたというところも現実にはあったかなと思います。だから、やっぱりそういうことが余り知られてないというか、分からない状況の中では、なかなかそういう人の配置が難しかったかなとは思いますけれども。

【委員】ここから、きょう全体のお話を通じまして、幼小中高教員を養成している立場で、私に何ができるかなということも考えながらお聞きしていたんですが、簡単に4点ほどお話しさせてください。
まず1つ目ですけれども、通常の学級等でICTを利活用できるといいなということはずっと思っています。ですが、授業をしていて思うのは、やはり障害の社会モデルの理解であったり心のバリアフリーがまだまだ高いところがありますので、どうしてもずるいとか甘やかしていることにならないかとか特別扱い的なって、やっぱりすごく根強いんですね。大学のたった4年間、その根強い信念といいますか、それを砕くことは難しいかもしれませんけど、第一歩としてそこを扱っていくことはできるんじゃないかと思いながら聞いておりました。
2点目です。とてもたくさんのICTが活用されていて、活用事例も豊富にあって、感銘を受けながらお聞きしていたんですが、全てを教員養成段階でお伝えすることは難しい中で、これは全員に必修で教えてもいいんじゃないかと思うのは、学習者用デジタル教科書については必ず必修で教えるような形にできるといいのかと思いました。それも、子供の実態と活用事例を交えながら、できれば大学の授業で実演も交えながら、デジタル教科書については絶対学ぶということができるといいな、理想的なのかなと思いました。
3点目です。聞いていて思いますのは、こういったことを専門的に学んでいる方はもちろん大丈夫なんですけど、よく分からないまま、とりあえずICTを使いたいという方が恐らく今後出てくる。でも、それはそういう段階もきっと必要なので、それを全面否定するつもりは全くないです。ただ今後、何に子供は困っていて、それに適したICTはこうであるというような実態把握をセットで、さらに言えば、これも理想なんですけど、子供が何に困っているかを適切にアセスメントする方法を、パッケージというか、でも、これは余り細か過ぎるとまた逆に使えないので、レベルというか、その設定が難しいんですけど、まず今はICT活用について情報提供し、その後に具体的に何に困っていて、そういうとき何が使えるかいうことを実用的な情報が必要かと思いました。
最後は、この会議に関係ないなと思いながら、ICTの活用に本当に感銘を受けたんですけど、例えば、不登校のお子さんに対しても、きょう頂いた情報などが使えるのかなと思った次第です。

【委員(代理出席者)】ICTが議題の会議なので、きっと代理で出てくるのはきょうだけなので、全般的にお話しします。一体学校というのに子供は何を学んでいるのかという点なんですけど、教科学習ももちろんあるんだけど、親御さんたちから聞こえてくる特別支援学校とか学級に対する要望は、学校生活が生徒の人生の足を引っ張らないでほしいということなんです。学校というのは社会だと思うんですね。その社会の中で子供と子供のつながりがあって、そこでいろんなことを学んでいると思うんです。ですから、教科学習だけじゃないことに留意すべきだと思います。ICTのことについては100%賛成なんです。もっと進めたらいいと思っています。同時に、今日の議題じゃなくて結構ですから、だからこそ学校は人と人とのつながりを作る。むしろ、分身ロボットだとか、人と人のつながりを作るという委員の指摘もありましたが、教科学習とはそこが違う点だと思います。
そこで、特別支援教育においても、学校生活が楽しかった、人間っていいなということをどのように学校の中に織り込むかということも是非今後検討していただけたらと思いました。

【委員】教員養成の立場から3点申し上げます。
まず1点目です。小中高等学校の教員免許を取得する学生に対して、コアカリができたところです。ICTの活用につきましては、「教育の方法及び技術」という科目の中で、さらには各教科の指導法の科目の中でしっかり位置付けるようにということになりました。ですので、現場の現状をきょう、いろいろ御紹介いただきましたが、今後、教員になる先生方の実践に変化をもたらすかどうか見ていく必要があるなと思っているところです。
2点目です。きょう、金森先生、中野先生、双方お話しいただいたところですけれども、ICTを使用することを目的とした授業作りではなく、子供の学びを充実する上での手段として活用する力を教員に培っていくことが大事なんだということを改めて感じたところです。
また、分身ロボットの紹介等もしていただいて、機器の開発はどんどん進んでいくんだろうなということを感じたときに、改めて、じゃ、教育の役割って何かと考えますと、それを活用する主体者に必要な思考する力を培っていくことが大事だと思います。障害の軽度、重度に関わらず、みずからの意図を明確にしながら、それを発信していくという、その主体者を培っていくことがとても大事です。
今、教科はと言われたところで、実は教科の見方、考え方を知的障害を伴うお子さんも含めてしっかり培っていくことが大事だと思います。そのために授業の中で、どんな情報を子供に入力し、子供が頭の中で思考し、それをどう整理し、そして出力できるといいか。さらには、教科としての学びに必要な集団の確保ということもありますし、学習レディネスを整えることも大事になってきます。そうしたことと子供の実態を照らし合わせたときに、今回どんなツールが最適か、こういった力がとても重要になります。
そこで最後、お願いなんですけれども、私自身もICTの活用は大切と思っていますが、併せて、そのためには教科の目標を分析し理解する力が教師に必要なんだと。特別支援教育を担う先生方に、是非この点も併せて発信していっていただけたらと思います。
最後、1点です。これは、ICTの活用に直接関係することではないんですけれども、障害のあるお子さんの学びの充実を考えるときに、手だての工夫は不可欠ですが、指導内容の精選、ここに着手しないと、在学期間は一般のお子さんと同じですので、なかなか学びの充実が図れない。今後、機会があるか分かりませんが、この点も是非どこかで話題にしていただければと思います。

【委員】2点ほどあります。1点目、ちょうど私、昨年、コロラド大学からスコッド・クッファーマン教授という方をお呼びしてシンポジウムをしたんですけれども、アメリカで連邦の助成を受けて、ICTを当事者と企業とエンジニアが共同開発するという取組をやっておられるという方でした。数百名の当事者、子供からお年寄りまで、障害を持った方と、それから、アップルとか様々な企業、例えば、リンクトインなんかもそこに入っていて、先ほど他の委員からもありましたように、申し送り、情報の共有というのを、リンクトインやフェイスブックが特別なアプリを、当事者や親御さんと一緒に開発するというような。そこに政府が登録商標を出していくわけですね。そういう商標を作って、それにブランド的な価値も付与していくという取組をアメリカでされているそうです。そういう意味で、当事者のニーズに即した、文脈に適合した形でICTを落とし込んでいく仕掛けを考えていくのは非常に重要なのかと思いました。
教育現場においても、それを実現する上でも重要な役割があるのかと思います。やはりユーザーは必ずしも詳しくないので、最近だと、アメリカだとメイカームーブメントという取組があって、子供の頃からICTを使う側だけではなくて、作る側に回るというんでしょうかね、子供が工作のような感覚でアプリを作ったり、そういうカリキュラムを教育の中に入れ込んでいる活動が注目されていますけれども、そういう教育の一部に、ユーザーではなく生み出す側に障害当事者が回るような仕掛けを考えていくのも1つかなと思いました。
それから、もう1点は、私、小児科でいつも外来で、障害を持ったお子さんの教育の御相談を受けることが多いんですが、どんどんICTを使いましょうということは言っているんですけれども、先ほど委員からもご発言がありましたように、立ちはだかる壁があるというのを感じていて、どうも私なりに整理すると、善意の学校であっても、教育のうちの学習の要素と評価の要素に分けたときに、学習の方は割とどんどんやりましょうと言ってくださることが多いんですけど、定期試験はちょっととか、入試はちょっととか、そういうふうに、教育の中における評価の要素に触れるような部分になると途端に保守的になるという。想像に難くはないんですけれども、それがもしかしたら、先ほど一木委員がおっしゃったような、そもそも何を評価しようとしているのかとか、何が教育の本質なのか、それは時代やテクノロジーの変化によっても変わってくると思うんですけれども、そして、全ての方に対して均質な評価が必要な時代でもなくなってくると思うんですけれども、それを含めて、少し立ち止まって、例えば、私の一例を挙げると、パソコンで解答するのは認められなかったんですけど、代わりに代筆受験ならいいと言われたんですが、漢字を書くときに部首の名前を全部言わなきゃいけないという。聞いたこともないような部首を覚えているわけですね。それは本当に意味のある教育なんだろうかという、部首名なんて知らなくたって漢字書けますもんね。それを回りくどく、部首と作りから説明して、訓読み、音読みも覚えて漢字を言わないといけないというケースがあります。なので、一体何を教育は目的にしているのかということを、テクノロジーが進歩するにつれて同時に考えていかなければいけないのかなということが2点目です。

【委員】先ほど、通級指導教室のICT活用についてお話しさせていただいたんですけれども、私も2点なんですけれども、1点は教員の専門性向上については私もいつもお話しさせていただいているんですけれども、特別支援学級とか通級指導教室の先生は、通常の小学校、中学校の中では、なかなか専門性を培っていくことが難しいわけなんですけれども、それから、小学校、中学校では教科書があるので、先生方は、教科書に沿って指導していけば1年間のそれなりの指導ができていくことがありますけれども、特別支援学級や通級指導教室は、一人一人に応じて計画を作ったり、教科書ももちろんありますけれども、その教科書どおりにずっと体系的に教えていけばいいというものではないわけなんですね。
そういった中で、ICTというのは、教員の専門性の向上というか、一定の専門性向上には役立つと思っています。これがやっぱりきちっと整備されていけば、そういった教材がそこに入っているとか、その教材を初めて来た人でも使っていけば、子供に対して成果のある指導ができるとか、そういった活用もできると思うんですね。なので、ICT機器というものは、子供だけではなくて、特別支援学級、通級指導教室の先生方の専門性向上にも1つ、役に立つということです。
2つ目は、ICT機器というのは、Society5.0時代ということについては、もうなっていくということでは絶対に必須のものであるというのは、皆さん、本当に周知のことだと思うんですけれども、やっぱり機器が入っている入ってないという状況は、今、学校によってすごく大きいと思います。進んでいる学校は、子供が1人1台タブレットを持っているようなところであったり、まだまだそれが進んでいないような地域もあるので、これは是非、それぞれの自治体の優先順位といいましょうか、予算のことになるとは思うんですけれども、この有識者会議で、ここでこれだけ時間を掛けて話し合われるということは、このことが多分、各自治体に伝わっていくことだと思いますので、是非各自治体で、学校におけるICT機器には優先順位を上げていただきたいということも、ここの有識者会議の1つの意見として上げていただければと思います。

【委員】先ほど言い忘れたかなということを幾つかお話をさせてください。今、Society5.0という話をお伺いしたときに、ある学会で、情報教育の学会だったんですけれども、学校現場はSociety4.0にもなっていないと、Society3.0の時代だというような話が出ました。現実、そういう場面を見ることがよくあります。先生方の意識として、実際に、こういうものを使うことが当たり前になってくるというのは、ここの会議の皆様はそういうふうにおっしゃられているんですけれども、なかなか現場レベルで言うと厳しいことも聞いております。
そこで、どういうふうになっていけばいいのかなと思うんですけれども、いわゆる発達障害と言われるようなお子さんたちの学習でのツールとしては、やはりICT、タブレットとかを使うのは非常に便利だなとは思うんですけれども、ああ、それを教えるの難しいなとか、つらいなとかいうような感覚が結構学校の中ではあるように聞きます。
1つ提言としては、先ほど言いましたICT支援員ということとか特別支援学校のセンター的機能とかいうこともあったんですけれども、やはり最終的には、お子さん自身が自分で使えるツールになっていけばいいんじゃないかなと。それを実際に認めてもらえる。つまり、オンデバイスで自分の機器を学校へ持っていって、それを、先ほど話が出てきたように、不平等ではないよというような認識が学校の中に広まった上で使っていけばいいのかなと思っています。
そのときに、現実には子供の状況はそれぞれ違うので、試行錯誤が必要になってくるんですね。あるお子さんの話で言うと、写真を撮ったら、ほかの子供が写り込んだらどうなるのとか、そういうような話になってしまうんですけれども、本当に必要なのは、その子の学びであったりするのであれば、いろいろな試行錯誤が認められるようになってくるといいと思います。その試行錯誤を認めるのは、もしかすると、先生方も試行錯誤していくことができるようになってくるといいなと思います。
最終的にそこにつながることなんですけれども、2年前に総務省の予算を頂いて、特別支援教育でのプログラミング学習を石垣島でやりました。石垣島の子供たちとのプログラミング学習をやっていて非常におもしろいなと思うのは、試行錯誤がそこには許されるんですね。つまり、学習課程の中で様々な、プログラミングって答えが1つ出ているけれども、経過はいろんなルートがあるということで、そういうものも学びとしての多様性を培う1つのツールかなと思っています。

【委員】私は物を作っている者ではございますけれども、私は教育というものに関しては、本当に1人、2人でもいいから、自分を必要としてくれる、必要としてもらっているということを実感できるようになるための準備期間であると、私は教育を捉えております。
私自身の話になりますけれども、私も小学校5年生から3年半ほど学校にほぼ行けなかった経験があり、19歳までほとんど人前で話すことができないような、いわゆるコミュ障と言われるようなタイプでした。なぜそこから学校に戻れたのかというところと、少し私自身の話になりますけれども、やっぱり誰かに学校に来てほしいという願いをされたということであったりとか、世の中には足りてないものがあるということを、広島の障害を持っているおばあさんから電話が掛かってきまして、それで自分に何かできることがあるかもしれないということが、私がある意味、社会復帰であるとか研究者に進んできた経験、もう13年も前の話ではありますけれども、ございます。
そういう点から、今、私、様々なところで、特別支援学校を卒業した後の子供たち、もう二十歳を過ぎた方々と会っていますけれども、彼らはすごく礼儀正しい方が多いです。本当に様々なことに対して感謝を述べたりとか、我慢強い人たちが多いんですけれども、一方で、彼らは、働いている、少し仕事をもらっていることに対してすごく感謝の言葉はおっしゃるんですけれども、誰かに必要とされている、自分だからこそという実感をほとんど得たことがないという方が多く、そういった人たちが、自分が必要とされる、自分のおかげで、今、こういったものが動いていると実感できる仕組みはどうすればいいんだろうというところで、今、我々は、一旦テクノロジーというところだけじゃなくて、働く環境作りというところでカフェをやったりという着手をしているところでございます。
そういったところで、1つ提案といいますか、私が、こういったことがよかったなと思っていることが1つございまして、うちの会社はインターンシップをやっております。高校生や大学生が、今、学校で習っていることが何の役に立つのか分からない、理系大学生がものづくりを学んでいるんだけれども、ゲームを1人で作ってもおもしろくないという人たちが結構うちに来ていたりします。
そういった彼らを、障害を持っているお子さんであったりとか、ALSの患者さんのところに連れていくんですが、そうすると、彼らは、あっ、この問題はこのテクノロジーを使ったら解決できるじゃんとか、ディープラーニングを使ったら、こんなもの一瞬で解けるよということを言い出すわけですね。すると、彼らがそれを卒論にしたりとか、趣味でものづくりをその場で始めたりします。そういった場合は、そのアドバイザーとして、本当に障害として困っている本人がそこに関わって、じゃ、それ、どうやったら解決できるだろうということを二人三脚で開発していくと。
私の作っている分身ロボットや視線入力機器や、先ほどの名刺ケースも全部ヘルパーが名刺交換しているのを申し訳ないから、楽に名刺が取り込めるようなものがほしいという声から実は始まっていたりとか、そういった患者さんたちというか、障害を持っている人たちとともに開発していくということは、本人だけじゃなくて、ほかの大学ですとか理系学生にとっても非常に有効なものかと思っていまして、先ほどおっしゃられていましたように、やっぱり物が作れる人たちというのも、私は割とテクノロジーは知識がある方ですので、見ていたら、これが足りないな、ここ、もっとこれを使えばいいじゃないということがすごく分かる。がゆえに結構あちこちから呼ばれたりするんですが、そういった人は理系の知識を持っている、趣味で最先端技術を集めまくっているアーリーアダプターであれば、そういうのが得意な人たちが生かせる部分だと私は思っておりますので、そういったところとうまく、学校間交流なのか、どういった形がよいのか分かりませんけれども、そういったプログラムを受け入れるような体制があってもよいのではないかと思っております。

【主査】ICTをめぐる様々な新しい動きと現状について語っていただいて、皆さんから御意見を頂戴しました。非常に広がりのある意見交換ができたのではないかと思います。私どもの学びって何なのか、それを評価するというのはどういうことなのか、授業はどうあるべきかというところまで突き詰めていかなければいけないというので、次はこの問題などはまだ考えていかなければいけないことだと思って、いろんな提案も頂きました。今日の第1の議題についてはここまでとしたいと思います。

【委員】第4回の発言概要について、1点お尋ねです。通級の指導を受けているお子さん、発達障害のお子さんが増えているというのは確かにそうなんですけれども、その他の障害について、あるいは特別支援学級についての議論があったのかなかったのかお知らせいただければと思います。

【特別支援教育企画官】全般的な議論というよりトピック的な議論でございましたので、この会におきましては、特に発達障害のお子さんに関する話題を取り上げられた委員の御発言が多かったと思います。あくまでも会議を設置したというところの御報告を踏まえての、委員がお感じになったところをざっくばらんにおっしゃっていただいたところでございますので、そういう意味で、緻密な議論というところとはまたちょっと趣旨が違うところではあると思いますけれども、そういう状況ではございました。

【委員】小学校等の先生方に特別支援教育を理解していただくときの入り口が、やはり通級、そして特別支援学級になっていくと思います。そのときに、発達障害あるいは特別支援学級であれば、情緒や知的というマジョリティーが先行する形での議論になりやすいのはそうかなと思いますが、しかし一方で、対象となる障害はそのほかにもありますので、その全体を取り上げていただいて、小中学校の先生方に共有していただく機会になればと思い、発言いたしました。

【委員】簡単な確認なんですけれども、先ほど、2-1の特別部会の報告の中で、最初のところで、御指摘したのは個別の支援計画だと思ったんですけれども、今、説明で個別の指導計画、別のものだとは思うんですけれども、この辺で特別部会でも個別支援計画の議論はあったのでしょうか。大事なのは個別の支援計画だと思うもので、指導計画は分かりますけれども、そのことを確認したいと思います。

【特別支援教育企画官】議事録を確認しましたが、ここでの御発言は、個別の指導計画あるいは個別計画というような御発言で、ただ、私どもも行政説明を差し上げる中で、さっき言った情報の共有につきましては、個別の指導計画及び個別の教育支援計画、両方大事だと捉えておりますけれども、そういう意味では、前回の会議での御発言では、御発言者の真意は今は確認はできないわけですけれども、個別計画あるいは個別指導計画ということで御発言いただいていると理解しています。

【委員】教育の指導計画ももちろん大事ですけれども、個別支援計画、地域とつながり将来というようなことの重要性も、それが口委員の発言だと思ったもので確認したところでした。

【委員】中身の話じゃないんですけれども、2-1の最初の丸の意味が、私、素人で不勉強なものですから、はっきりつかまえられないんです。それで、これは内部の資料なので結構ですけれども、今度、いろいろ外に出していくときの表現で、専門家しか分からないような表現は避けて、素人でも読める報告書に是非していただきたいということがお願いであります。

【委員(代理出席者)】2-2の方なんですけど、たしか会議の議事録みたいのが回ってきて読ませてもらったら、その中に、専門性の中で、自立活動と強化活動との両方についてかなり議論されていたんだけど、このまとめを見ると、その言葉もないので、そこはまとめる段階でどう受け止められたんですか。あるいは、私が議事録を見たものが正しくなかったのか。

【特別支援教育企画官】例えば、1つ目の丸の中で、基盤的な資質とか必要な専門性というところで包含しているつもりなんですが、御指摘の趣旨はよく分かりますので、確かにトピックとして一番取り上げられたのは、まさに自立活動の在り方ということでしたので、表現は工夫させていただきたいと思います。

【委員】2-1、特別部会の方、私が出ておりますが、そのときに、ここの委員を兼ねている方などは、たしか欠席が多くて、特別支援学校の関係では私だけだったと思うんですけれども、中教審の特別部会の方は大きく捉えています。ですから、特別支援のことを深めてやろうということで、この有識者会議から出ています。私がこの中で発言したところは、LGBT、不登校など様々なお子さんがいる中で、どうしていこうかというところでは、特別支援学校のお子さん、発達障害のある通常学級のお子さんも含めて非常に多様性があるという実態の中で、個別最適化した中身が必要であると。そのときには、一定の基準に達したかどうかではなくて、そのお子さんの丸ごとの教育のプランをチームで共有していかなければいけない。その中では、まず学校の中では、個別指導計画というものが、まだそれぞれの学校が様式で共通化できていなかったり省力化できていなかったり、デジタルのようでエクセルシートに打ち込んでいくだけになっていると。そういうことについても、様々なアイデアがきょう出されたので、よい方向が出ないかということを言いました。
その先としては、当然個別の支援計画にもつながるところなんですけれども、まず、学校の中できちんと指導内容、あるいは方策を共有していくところが大事ではないかということで、特別支援学校や学級の話も含めてお話をしました。ですけれども、この中では、特別支援学校、教育の話だけではないですものですから、ぎゅっとまとめてしまえばこういうことになるのかなと、当日出席した委員としては理解したところです。

【特別支援教育課長】私もこの特別部会に参加をして、そのときは3時間ぐらいあったんですが、いろんな有識者会議だったり部会があるので、その全体の状況を報告しつつ、それぞれのテーマについて意見を頂いたという感じでした。
この有識者会議の状況については、まだ2回しか開催をされていなかったので、僕からは、全体として、9月に立ち上げて、こういったテーマが議論になっていますと。そのこういったテーマというのが、ここの想定される主な検討事項ということで、これもあくまで検討事項例として紹介しました。
その後に、時間としては、多分、10分ぐらいしかなかったので、ある意味、十分な議論になったわけではないのですが、そこで出していただいた意見は、網羅はされていなかったと思いますが、それは、時間もなかったので、ここで示されたような意見が出されたということで、こういう整理をさせていただいています。

【主査】事務局で補足の説明がございました。本日頂いた御意見というのは、もっともな御意見が多いと思いますし、御意見については、主査と事務局で相談して反映を検討させていただくという形で、特別部会での報告については取り扱いは主査に御一任いただけますでしょうか。それじゃ、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。それでは、そのような形でさせていただきます。
最終的な報告内容については、次回の会議で配付をさせていただくことにしたいと思います。ほぼ時間となりましたので、本日の議論についてはここまでにしたいと思います。本日御発言いただけなかった御意見につきましては、事務局にお寄せいただければと思っております。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係

(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画調査係)