通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(第7回)議事録

1.日時

令和3年2月25日(木曜日)16時00分から17時30分

2.議題

  1. 高等学校通信教育の質の確保・向上について
  2. その他

3.議事録

【荒瀬座長】 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議の第7回会議を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日はウェブ会議方式にて開催をさせていただきます。なお、傍聴者の方々にはYouTubeでのライブ配信を通じて傍聴していただいております。
それでは、会議を始めるに当たりまして、ウェブ会議を行う上での留意事項と、本日の配付資料につきまして、事務局の酒井補佐から御説明をよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼します。事務局の参事官付の酒井でございます。本日もウェブ会議方式ということで、ウェブ会議を円滑に行う上での留意事項を、改めてお伝えをさせていただきます。
5点ございます。1点目は、御発言に当たっては、インターネット上でも聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただくなどの御配慮をいただくということ、2点目は、御発言の都度お名前をおっしゃっていただくということ、3点目は、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくということ、4点目は、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただくということ、5点目は、御発言の後は「手を下ろす」ボタンを押していただくなどの配慮をいただけるとありがたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
本日の配付資料でございますが、議事次第にございますように、資料1、また参考資料といたしまして1から3まで御用意をしております。御不明な点、不足等がありましたらお申つけいただきますようにお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。
前回の会議では審議まとめ骨子案について御議論をいただきました。本日は審議まとめ(案)の取りまとめに向けて、最終的な御議論をお願いできればと考えております。
この会議も7回を数えるところでありますけれども、今日が最後になる予定であります。よろしくお願いいたします。
委員の皆さんから頂きました、これまでの会議の場での御意見や会議後に事務局へお寄せいただきました御意見等を踏まえまして、事務局において審議まとめ(案)を準備していただいているところです。
まずは事務局から、その御説明をお願いしたいと思っています。
また、本調査研究協力者会議で、これまで議論してまいりました高等学校通信教育の質保証に向けた方策につきましては、文部科学省において制度化に向けた措置を並行して検討いただいております。その省令改正案について、現在パブリックコメントの募集を行っているとお聞きしておりますので、その件に関しても併せて御紹介をお願いできればと思います。
酒井参事官補佐、よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 失礼いたします。事務局でございます。私のほうから、座長から御紹介のありました審議まとめ(案)について御説明をさせていただきます。
まず、その前に、前回、審議まとめの骨子を御説明させていただきまして、御議論いただきました。前回の意見の概要につきましては、参考資料1として、おまとめをさせていただいております。
御説明の詳細は割愛させていただきますが、前回の会議で御指摘いただいた点踏まえまして、改めて審議まとめといたしまして、おまとめをさせていただいている、御提案させていただくものでございますので、資料1を基に御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
資料1が審議まとめの案でございます。2枚目、おめくりいただきますと目次がありまして、構成は「はじめに」から第1章、第2章、第3章ということでございます。少し後ほど御説明さしあげますが、大きく2つのパートで分かれています。高等学校通信教育の質保証に関するものを第2章としまして、また、これからの通信教育の在り方の方向性。少し今回の会議は結論というよりは次回に向けてというところもあろうかと思いますが、それを第3章でということで、おまとめをさせていただきました。
まず、「はじめに」でございます。ページ数で申し上げますと1ページ、2ページになりますが、主として2ページを御参照いただければと思います。
本会議を通じて、7回の議論を通じてというところですが、2ページの1行目からであります。これからの時代の高等学校通信教育の発展を考えた際に、通信教育の役割、責任を再確認する上で、時代の変化・役割の変化に応じながら、もともとの制度である勤労青年を生徒像として念頭に置くという制度化当初の考え方から転換を図り、今日的な生徒像に応じたきめ細かな教育を実現すると。その際にはICTを効果的に活用して、通信教育の特徴を生かした学びの在り方を絶えずアップデートしていく、こういうことが期待されているというのが、この本会議の前提条件であったのかなと考えておりますので、「はじめに」というところで記させていただいてございます。
ただ、次のパラグラフで、「しかしながら」でございます。高等学校通信制課程の中には、いまだに不適切な学校運営や教育活動等が行われる学校も一部に見受けられるのも事実であるというようなところでございます。
この会議の中でも御指摘をいただいておりましたけれども、こういった一部の学校の不適切な事案が、通信制課程全般に関します社会の信頼を揺るがして、ひいては通信制課程で懸命に学んでいただいている生徒さんであったりとか、生徒一人一人に真摯に向き合う教職員の方々、そして関係の皆さんにとって、疑念の目が向けられる状況になっていると。こういうことは、やはり決してあってはならないということでございますので、早急に改善を図っていく必要があるであろうというところでございます。
そういった観点から、本調査研究協力者会議におきましては、高等学校通信教育の質保証方策と新時代の高等学校通信教育の在り方といった2点を中心に検討を進めてきたところでございます。
次、3ページ目でございます。第1章というところでございますけれども、この2点の検討の前提条件で、第1章は通信制課程を取り巻く現状ということ、これまでの会議を通じて確認をさせていただいたことを少し整理をさせていただきました。
通信制課程に在籍する生徒の状況が大きく変わっているということで、この3ページのほうはデータ的なところが中心になりますが、その中でも4つ目のパラグラフ、4つ目の丸になります。「また」というところにありますけれども、高等学校通信制課程に在籍する生徒の特徴といたしましては、勤労青年等のみならず、職場等での社会的経験を有しておらずに、これから社会的・職業的自立を目指していく中学校卒業後の段階の生徒が多く在籍をしていると。そして個々の抱える課題も様々なものがあるといったことが確認をできたのではないかというところで示させていただいています。すなわち、生徒の若年化・多様化が進む中で、制度発足当初とは大きく異なった様相、こういったことを前提に考えていく必要があるのではないかといったところを、その趣旨を記させていただいてございます。
そういった中で、次、4ページ目に入ります。(2)ICTの活用を通じた学びの充実というところでございます。
この会議の一連の中で、ICTの活用というのが大きなテーマであったと受け止めてございます。近年のICTの急速な進展に伴いまして、高等学校通信教育の質を飛躍的に向上させ得るような、ICTを効果的に活用した新しい学びの形が生まれてきているという点、高等学校通信制課程における学びの在り方が変革しつつあるという点、こういったところが確認をされたのではないかと考えています。
例えばヒアリングを通じましても、情報端末であったりとかデジタル教材を活用して、生徒が自らの疑問について深く調べたりとか、繰り返し学習をしたり、自分に合った進度で学習したりするなど、一人一人の能力や特性に応じた学習を実現するといったことが可能になっているとございます。これからの時代、ICTを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実、こういうことが期待されるのではないかというようなところで記させていただいています。
また4ページの一番下の丸、一番下のパラグラフでありますが、ICTの活用は、生徒の学びの質の改善はもちろんのこと、教職員の業務改善にも資するものであるというところであります。統合型校務支援システムを導入を始めまして、業務負担を軽減できるというようなところは可能になりますし、データを活用したりして様々な教職員の指導事務の改善、こういったことが期待されるのではないかというようなところが確認ができたのではないかというところでございます。
少し繰り返しになりますが、(3)にあります不適切な学校運営や教育活動等に係る実態もあるというところであります。
この通信制課程に関する議論の出発点でありますけれども、2つ目の丸になります。平成27年12月のウィッツ青山学園の事件であります。その経緯について記させていただいております。
(3)の4つ目の丸、平成28年6月といったところでありますが、そういった事案を受けて、「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」、これが発足をしたところであります。28年9月には、いわゆる「ガイドライン」と呼ばれる「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」、これも策定をさせていただいて、所轄庁と文科省は全面的に協力しつつ、広域通信制高校に対する実地による点検調査等を通じた質の向上方策、こういったものが確保されてきたというようなところであります。
しかしながら、5ページの一番下の行から始まりますが、いまだに不適切な学校運営や教育活動を行っている学校も、残念ながら少なからず見られるといったところもあるというようなところかとかと思います。
そういったことを踏まえまして、6ページ目の(4)でありますけれども、本調査研究協力者会議で御審議をいただいたということでありますが、ちょうどこの協力者会議の審議と並行いたしまして、中央教育審議会で文部科学大臣のほうから「新しい時代の初等中等教育の在り方について」という諮問が行われたところであります。そして、新しい時代の高等学校教育の在り方については集中的に調査審議が行われてきたところでありまして、この中央教育審議会の審議と軌を一にして、本調査研究協力者会議についても御議論いただいて、そして特に質の保証方策につきましては先行的に中央教育審議会のほうに報告をし、先般1月には「『令和の日本型教育』の構築を目指して」という答申を得たというようなところでございます。
ここまでが若干、経緯的なところでございますけれども、次、7ページ目でございます。まず、ここは高等学校通信教育の質保証方策というパートでございます。
(1)問題の所在というところでございます。
7ページ目、1つ目の丸でございますけれども、2行目以降であります。非常に不適切な事案が一部にあるところでありますけれども、しかしながら、ガイドラインの策定・改訂、点検調査等の取組を通じまして、各学校において、学校運営や教育活動の改善に向けた取組が浸透してきた、こういった認識は恐らく共通理解として図られるのではないかというところで記載をさせていただいています。しかしながら、不適切な事案も、やはり見られるというようなところであります。
7ページのございますけれども、例えば添削指導について、試験前に添削指導は、まとめて添削指導を実施しているような事例であったりとか、添削指導の進捗管理が十分でなくて、面接指導を全く受けていない状態で期末試験を受けさせているような事例とか、野外活動と称して自然散策に「生物基礎」や「化学基礎」等の面接指導を受けたこととするような事例であったり、生徒が独自に行ったアルバイトについて、その目的・内容にかかわらず特別活動の時間としてカウントするというような事例があったり、また試験の実施を面接指導の時間数としてカウントするとされていたような事例、多様なメディアを利用して行う学習の成果物に対する学習評価について「合格」と「再提出」のみとなっていたような事例、100人を超える生徒に対して教師が1名で面接指導を実施する事例、4泊5日の集中スクーリングにおいて、8時10分から1限目が始まり、21時30分に13限目が終わるというような事例、さらには6月に集中スクーリングを実施し、年間の添削指導が全て終えていないにもかかわらず、面接指導と試験を全て、その6月に行っているというような事例も見受けられたところであります。
さらにはサテライト施設に関してでも、サテライト施設での面接指導について、施設・設備の面の制約から理科や家庭等の教科における実験・実習、これが十分に行われているということは言い難いような事例であったりとか、8ページ目に入りますけれども、サテライト施設において、実験・実習、体育の面接指導を行うための施設・設備が不十分な事例、法令上義務づけられている自己評価の実施、公表がなされていない事例、サテライト施設に所属する生徒への面接指導を当該施設にサテライト施設任せとしている事例、サテライト施設において、担当教科・課目の教師によらない指導、学習支援の時間を、当該教科・科目の面接指導の時間数としてカウントしているような事例が見受けられたところです。
次、8ページ目の丸、1つ目であります。この状況を令和元年度においても、やはり若干見受けられたところであります。サテライト施設において、学期が始まって2か月以上も教科書や添削課題が生徒に配られていないというような事例であったり、本年度においても、野菜を周辺の店舗に配ったり、生徒同士で将棋を指すということで単位認定を行おうとしていた、そういった疑いのある事例も報告をされているところであります。
また昨年度、令和元年度においては、茨城県つくば市に設置されていた株式会社立学校が、財政上の理由により令和元年度末をもって学校を閉鎖することになったというような事例がございます。この場合には、つくば市教育特区審議会から、経営状況についての改善が再三にわたり指摘をされていたという状況でありますけれども、最終的には株式会社の経営状況の悪化を理由に学校閉鎖の判断がなされたというようなところであります。これについては、つくば市の審議会からも、法令に定められている表簿を整えていなかったなど、学校を経営するために必要な知見、姿勢が経営側に十分備わっていなかったという点も指摘をされているところであります。
このような状況がいまだに生じる背景には、一部の学校関係者の中に、制度や法令についての知識が不足しており、本来の趣旨を逸脱した独自の解釈を行っていたり、法令順守を徹底するという意識や公教育を担うというような責任の自覚、こういったことも不十分であったりすると。高等学校通信教育に求められる水準について学校関係者の間で共通理解があるとは言えないというような課題があるというところが考えられるところであります。
「また」ということで、本会議の中でも話題になりましたけれども、私立の高等学校通信制課程を設置認可する所轄庁といたしましては、都道府県は、所轄する高等学校通信制課程において適切な学校運営が行われるよう指導監督を行うことが求められますが、広域通信制高校においては、全国に多数のサテライト施設を展開しており、所轄する都道府県の区域を越えて生徒募集活動や面接指導が行われている実態があり、地理的にその指導監督は困難である。都道府県の区域内に所在するサテライト施設であっても、他の都道府県が設置を認可する高等学校通信制課程が展開する施設であれば、当該施設に対して行政指導等を行う権限を有していないというようなところ、さらには、その施設にどれほどの生徒数がいて、どういう教育活動が行われているか、状況を把握することすら困難であるような状況だというところでございます。
そういったところの対応方策から、4点に分けて対応方策を整理させていただきました。
1点目は教育課程の編成・実施の適正化についてであります。
特に鍵となりますのが、9ページの一番下の丸でございます。教育課程の編成・実施の適正化を図る観点から、高等学校通信教育の特性に鑑みて、添削指導、面接指導の年間計画であったりとか実施予定等を記しました体系的な計画である「通信教育実施計画」を策定し、あらかじめ生徒や保護者に対して明示することが適当というようなことを御提言をまとめさせていただいているところであります。
また10ページでございます。例えばということで、各学校において、関係法令を恣意的に解釈するような運用を除くために、学習指導要領、ガイドラインの改訂等で関係法令の解釈を明確化する観点から、例えばということで進めながら、面接指導については、個々の生徒に応じたきめ細かな指導が行われるよう、少人数で行うことを基幹とすることや、2つ目の丸であります、面接指導は、学習指導要領に規定する各教科・科目等の目標、内容を踏まえ、計画的かつ体系的に指導することが必要であること。
3点目は、面接指導を集中スクーリングとして実施する場合には、全日制課程では1日当たり6単位時間程度の授業を実施する学校が多いことも踏まえまして、多くとも1日当たり8単位時間までを目安に設定するというようなところ。
さらには、多様なメディアを利用して行う学習により面接指導時間数を免除する場合には、免除する時間数に応じて報告課題等の作成を求めるなどの取組。
最後、11ページでございます、試験についてですが、試験に要する時間、その時期を適切に定める必要がある。こういったことが必要ではないかというようなところで取りまとめをさせていただいているところであります。
マル2、サテライト施設の教育水準の確保についてであります。
通信制高校につきましては、本校とは別に、面接指導や添削指導のサポート等を実施するためのサテライト施設、これが数多く存在しているというようなところであります。
12ページでございますけれども、12ページの3つ目の丸であります。
高等学校通信制課程で学ぶ生徒さん、これは本校で学ぶ生徒さんとサテライト施設で学ぶ生徒さんがいるという状況でありますが、いずれの施設でその教育を受けるかにかかわらず、高等学校教育の実施にふさわしい教育環境の下で受けることができるような、そういった教育水準の確保を図っていくことが必要ではないかというようなところで、おまとめをさせていただいております。
また、実施校による各サテライト施設の実地調査の実施や連絡会議の開催というようなところを通じて、実施校がサテライト施設の活動状況を把握・管理する、そういったところが必要ではないかというようなところをまとめさせていただいています。
次、「とりわけ」というところの丸なんですけれども、とりわけ面接指導等実施施設については、高等学校通信教育の基幹的な部分であるというようなところでありますので、その実情に応じて、実施校と同等の教育環境が整備されるべきものであるというようなところで、おまとめをさせていただきました。
そして、この教育環境の向上に向けてですが、12ページの一番下の丸であります。所轄庁が都道府県において面接指導等実施施設を認可するという場合でありますけれども、その認可に当たって、都道府県において認可のための基準を設けているところもあれば、そうでないところも存在しており、このことが面接指導等実施施設に求められる教育環境の水準について、所轄の都道府県によって差異が生じているというようなところが原因かと考えております。所轄の都道府県の区域を越えて面接指導実施施設が設けられた場合には、当該面接指導実施施設が所在する都道府県の設置認可基準が想定する教育水準と特段の関連もなく、その区域内での学校教育活動が行われているというところがありますので、13ページになります、こうした現状を踏まえということで、国において、面接指導等実施施設が備えるべき教育環境について、当該施設での面接指導等の実施内容やその規模等に応じながら、実施校と同等の教育環境が整備されるよう、全国共通の教育水準を担保するための必要な措置を講じることが必要というふうに、おまとめをさせていただいたところであります。
「さらには」というところで、面接指導の設置認可後においても、当該施設が所在する都道府県が、当該施設における活動状況等の把握が可能となることにより、所轄の都道府県と当該施設が所在する都道府県との一層の連携・協力、こういったことも期待されるのではないかというようなところで、まとめをさせていただきました。
13ページのマル3、多様な生徒にきめ細かく対応するための指導体制の充実であります。こちらについても、多様な生徒がいるという通信制課程の実態が確認をされたと思っております。
13ページの一番下の丸の3行目であります「例えば」以下でありますけれども、教育相談体制を確保するために必要な養護教諭であったり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、個に応じた指導を実現するために必要な教員の配置等、必要な取組が促進されるよう、国においてガイドラインの改訂等によりその趣旨を明確化する、そういったことが必要ではないかというようなところであります。
14ページの一番上の丸で「また」以下でありますけれども、1科目も履修していない、いわゆる「非活動生徒」についても、この会議の議論の中では焦点の当たったものと考えています。その数は全体の13%に上っているという実態も確認をされました。
すみません、実は資料の共有を予定していたんですが、少し遅れてしまっておりました。今、資料の共有をさせていただいておりますので、ぜひ御参照ください。
この非活動生徒の問題でありますけれども、やはり当該生徒を受け入れた学校としては、個々の生徒の抱える困難、課題等に応じたきめ細かな指導・支援に向けて努めることが必要であるということでありますので、国においてガイドラインの改訂等により具体的な対応策の例を示していくことも必要ではないかというようなところを記させていただきました。
14ページのマル4であります。主体的な学校運営改善の徹底であります。
そういった中で、この通信制課程の学校運営をいかにして改善していくかというようなところであります。そういった中では、やはり説明責任、学校、家庭等との連携協力は図っていく必要があるであろうというようなところが、まず大前提にあるところでございます。
15ページでございますけれども、15ページの2つ目の丸であります。学校評価については当然、通信制課程についても全日制、定時制と同様に行っていくことが必要でありますけれども、高等学校通信制課程における学校評価の実施状況については、自己評価の実施、その結果を公表する学校が約5割、学校関係者評価の実施、その結果の公表を実施する学校は約2割というような状況でございます。そういった中で、点検調査の中では、当該法令を踏まえた取組が必ずしも十分に行われていない学校も見受けられる状況です。
そういった状況を踏まえまして、各学校における主体的な学校運営改善を図る観点から、関係法令やガイドラインを踏まえた学校評価への取組が確実に行われるような、各設置者・所轄庁が学校に対して適切に指導助言を行っていくことが必要だと。その際には、国において、関係法令やガイドラインに基づく自己点検項目、自己点検基準を整理した「自己点検チェックシート」の策定・周知が必要ではないかというようなところであります。
さらには、15ページの下から2つ目の丸でありますけれども、高等学校通信制課程における教育活動の状況については、高等学校通信教育の特性のために、この教育活動の状況について、活動実態が必ずしも明らかでないというような状況があります。そういったところで保護者や地域住民からの理解が深まりづらいという面もありますので、必要な情報の公開を求めるというようなところで、おまとめをさせていただいたところであります。
さらには、16ページでありますけれども、16ページの上から2行目以降であります。高等学校通信制課程の特性を踏まえれば、この教育活動の状況の公開についてはサテライト施設ごとに行うことも必要ではないかというようなところで、おまとめをさせていただいております。
さらには、この16ページの一番下の丸であります。この公開された各学校の基礎情報を参考にしながら、各通信制高校の間で互いによりよい通信教育の研究協議をしていくことも有効であるというようなところでありますので、国において研究協議会等の場を積極的につくっていくことも必要ではないかということが、これまでの御議論かと思います。
すみません、少し長くて恐縮でございます。17ページの第3章でございます。この会議のもう一つの柱の新時代の高等学校通信教育の在り方であります。
(1)といたしまして、ICTを活用した新しい学びへの期待ということでまとめさせていただきました。
特にこの章の基本的な考え方は、2つ目の丸の後ろの2行であります。今の時代の生徒像に合った令和の時代の高等学校通信教育の在り方は一体どうあるべきかというようなところで、3つ目の丸であります、この会議におきましては、ICTを活用した指導等の取組状況について、複数の学校からヒアリングを行わせていただいたところ、以下のような実践事例を報告いただいたところであります。
例えばでございますが、添削指導の一環として、教科書や学習書等による自学自習を支援するための解説動画の作成や配信、ウェブ会議システムを利用した同時双方向型の個別の学習相談を行ったりする事例であったりとか、添削指導と映像授業を組み合わせ、映像授業として複数のチャプターを視聴した後に確認テストを実施し、そのテストに合格したら次の映像授業を視聴できることとし、その繰り返しを行うことで学習内容の定着を図るというような事例、さらには面接指導の場面において、自らの考えや意見を口頭で発表することに困り感のある生徒であっても、情報端末を活用することによって、他者の意見を踏まえた自身の学びの振り返りにつなげることができたような事例、こういったところが報告をされまして、これはまさに高等学校通信制課程の特色とICTを活用した指導事例の非常に顕著な実践事例ではないかと考えてございます。
次、18ページであります。高等学校として有する多面的な役割の再認識でありますが、新型コロナウイルスの感染症の拡大ということであります。
高等学校通信制課程においては、2つ目の丸であります、きめ細かな指導・支援を希望する多様な背景を持つ生徒が多く在籍する中で、生徒や保護者の不安に正面から向き合い、個々の生徒の状況に応じた学習相談、教育相談のきめ細かな対応が必要なこと、これがより一層実感されるようになったと考えております。
そして、このことが高校生、高等学校通信制課程についても、3つ目の丸でありますが、学習機会と学力を保障する、そういった役割のみならず、全人的な発達・成長を保障する役割であったり、一人一人の生徒にとって安全・安心な居場所を提供するという福祉的な役割であったり、さらには、生徒が切磋琢磨することで社会性・人間性を育むといった社会的な役割も有している。高等学校として有する多面的な役割についても改めて再認識をされるといったところかと思います。
18ページには、こういったきめ細かな指導の実践事例、ヒアリングを通じてお聞きをしたものであります。
例えばソーシャルスキルの育成を図ることを目的といたしまして、高等教育機関と連携してカリキュラム開発を行ったり、義務教育段階の学習内容の確実な定着に向けて学び直しの科目を設けたりする事例であったりとか、2つ目の丸です。これまでの不登校経験によって入学初年度から毎日登校することには困難がある生徒についても、まずは通信制課程に在籍して週1回の登校を通じて学校に慣れさせた上で、定通併修制度を介して、定時制課程の科目も取り入れながら、最終的には毎日登校するという措置で、徐々に生徒のペースに応じてステップアップをするというような事例、さらには通信制課程の生徒が定時制の科目を受けることができるようにして、生徒の多様な進路希望に応じた指導を行っている事例、さらには学校外学修制度を活用して、地域の方々と連携したボランティア活動や就業体験を行って、自らの在り方・生き方を考えて努力した結果を評価するような行っている事例、こういった様々な事例が見受けられたというところであります。
それを踏まえまして、(3)通信教育の特徴を生かした今後の学びの在り方であります。
マル1、高等学校教育として共通に身につけるべき資質・能力であります。
これにつきましては、19ページ下から2つ目の丸であります。Society5.0でありますとか様々な指摘がされる中、社会への出口に近い高等学校教育は、初等中等教育の総仕上げを行う学校段階として、生涯にわたって探究を深める未来の創り手として送り出していく、これまで以上に深く強く求められているということであります。そして、このことは通信制課程においても同様であるというようなところであろうと考えております。
20ページでございます。20ページの2つ目の丸の「こうした考え方は」から始まるところであります。通信制課程においても、学習者本位の視点に立って、教育課程全体や各教科の学びを通じて、「何ができるようになるのか」という観点から、生徒の具体的な学びの姿を考えながら構成していく、こういうことが必要であろうというところであります。
マル2は新高等学校学習指導要領の着実な実施であります。
21ページであります。21ページの1行目以降であります。今回の学習指導要領の改訂に伴いまして、高等学校においても、学習評価の中で観点別学習状況の評価の充実というのが言われておりますが、これについては通信制課程においても同様であるといったところを記させていただいています。
さらに次の丸、「加えて」以降でありますけれども、例えば、そういった資質・能力のバランスの取れた学習評価を行うためには、指導と評価の一体化、こういったことが必要であるということであります。例えばパフォーマンス評価であったり、ペーパーテストの結果にとどまらない多面的・多角的な評価が大変求められるようになってきているというようなところであろうかというところであります。
そういった中で、3つ目の丸です。「こうした観点から改善を進めていくに当たっては」というところでありますけれども、各学校の実情に応じながら通信教育全体を再構成していく視点が重要であるというところで、その際にICTを基盤的ツールとして効果的に活用するところも必要であろうというようなところを御指摘をさせていただいています。
最後、22ページであります。「今後更なる検討が必要な論点」というところでありますけれども、本会議におきましては、そうしたところで、やはり各学校が育成を目指す資質・能力について、新学習指導要領の趣旨、内容を踏まえて、学習指導、学習評価の改善を図っていく、このことは大変重要であるということは共通理解でないかと考えています。
こうした取組を進めていくためには、ICTが急速に進展する時代において、全日制・定時制・通信制のそれぞれの意義、役割をどういうふうに考えるか。そして、その際には、多様な背景を抱える生徒一人一人に寄り添った指導・支援を行うための教職員等の体制の在り方をどういうふうに考えていくかというようなところが御指摘いただいたところでございます。
そのためにはということで、一番最後の丸であります。高等学校通信教育の在り方について実証的に研究し、先導的な事例の創出・共有を図っていく。そして、この研究成果が得られた知見を今後の検討にしっかりと生かしていくことが必要であるというようなところであります。そういった観点では、この会議でおまとめいただきました各学校の事例、高等学校として有する多面的な役割の認識であったりとか、ICTを使った新しい学び、こういったものを、研究を進めることで先導的な事例を創出・共有し、また、それを基に今後の検討、さらなる通信制課程の発展に向けて進んでいくべきじゃないかというのが、この審議まとめとして、おまとめをさせていただいたところであります。
すみません、長くなって恐縮です。最後は参考資料3を御参照ください。
1月に中央教育審議会答申が出していただきまして、特に質保証方策につきましては、その際に、答申の中でも盛り込ませていただいているところであります。
そういったことを踏まえまして、文部科学省では、年度内に関係の省令改正等を行うためのパブリックコメントを先週金曜日、2月19日付で案を公表させていただいたところでございます。
通信教育の質保証関係につきましては、2ページから4ページにかけまして、この調査研究協力者会議での御議論であったりとか、また中央教育審議会での御議論を踏まえた文部科学省としての案をお示しをさせていただいているというところでございます。
私からの説明は以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。大変多岐にわたる議論をまとめていただきまして、それを丁寧に御説明いただきました。
今、後から御説明いただきました参考資料3の省令改正案につきましては、御説明がありましたように、現在パブリックコメントの手続に入っておりますので、本日の会議では、こちらの省令改正案はあくまで参考資料という位置づけにさせていただいた上で、審議まとめの取りまとめに向けました御協議をお願いできればと思います。
では、御発言をお願いしたいと思います。先ほど酒井補佐からも御説明がありました。毎度のことではありますが、「手を挙げる」のボタンを押していただきまして御発言をいただくということで、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
では、中西先生、どうぞ、お願いいたします。
【中西委員】 すみません、ブラウザからしか入れなくて、後ろも背景が見苦しいと思いますが、御容赦ください。
すみません、なかなかつながらなくて、最初のほう聞けなかった面もあるんですが、審議のまとめ案についての意見を言っていいということでしょうかね。
【荒瀬座長】 はい。お願いします。
【中西委員】 何点かあるんですけれども、昨日頂いているもの、そう多くは変わっていないと思うんですけれども。まず3ページの、通信制が随分多様化、変わってきたよという部分、現状認識の部分なんですけれども、今まであまり話にも出ていなかったとは思うんですが、今、通信に籍を置くアスリート系の生徒というのも、それなりの割合いると思うんですね。数はどの程度の割合なのかというのは私も知りませんけれども、少なくともスポーツの大会に出てきたりとか、そういうのもあったりしますので。全国大会に出てきたりもしますので、そういう生徒もいるということを、現状認識なので、何か一言あってもいいのかなと思いました。
それから、この間、途中で失礼したこともあるので、まとめて言わせていただきたいんですが。10ページ辺りで。こっちでも10ページですね。面接指導を少人数で行うことを基幹とするというくだりがあって、欄外でいろいろと書いてあるんですが。この辺りですね。この辺り、何か一部報道もあったようですが、ここ、この部分に40人とかということに、もしこだわるのであれば、これを欄外に置いておくというのは、何かちょっと違和感を覚える。もし少人数ということがもう少し具体的に打ち出すというスタンスであれば、本文にうまく取り込むべきではないかなという気がいたしました。
それから12ページなんですけれども、真ん中辺だと思いますが、面接指導等実施施設の教育環境の向上に向けてという丸のところですけれども。ここで、新たに設置する場合、所轄庁の認可云々とあるんですけれども、前の協力者会議からずっと議論のあった所轄庁の役割ということに関して考えたときに、これ、あくまで提案ではありますけれども、所轄庁だけじゃなくて、その施設が存在する場所ですね。そちらの何か関わりというかですね。例えば情報を提供するとか、同意をもらうとか、そういうようなことも考えていいのかなという気がいたしました。その所轄庁の役割のところを、ちょっと気になりました。
最後にもう一点は、なかなか前向きな話が後半部分で出てくるわけではあるんですけれども、最後のくだり辺り、最後22ページの今後のさらなる検討が必要な論点辺りなのかもしれませんが。そこに先導的な事例の創出・共有といった記述もありますが、通信制が高校教育全体に影響を与える可能性も持っていると、そういうようなくだりがどこかに入らないかなという気がします。
つまり、コロナ後には、やっぱり通信制の受け止め方というのは大分変わっていると思いますので、そういうところの通信制の可能性ですね。それを、高校教育全体に影響を与える可能性もあるというようなくだりが一言入ってもいいのかなと思いました。
長くなりましたが、以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。4点、今、御指摘をいただきました。ありがとうございました。事務局から御説明いただく部分についてはお願いをしたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
じゃあ、今の中西委員からの御発言につきまして、酒井補佐、お願いします。
【酒井参事官補佐】 失礼します。事務局でございます。今、中西委員から4点、御指摘を賜りました。いずれも具体の御指摘でございますので、この修文につきましては、主査と御相談させていただいて、その盛り込み方とか反映の仕方について御相談して、取りまとめのほうに少し検討させていただければと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。特にあれですね。今、具体のことを申し上げることはできないですけれども、最後におっしゃった通信制教育が高校教育全体に対して影響を与えていくであろうということは、これは、この会議の最初の会議のときにも、そういった御意見も出ていまして、それもあって、今回のこの審議まとめも現状認識、そして質保証、さらには今後という、この現状認識を除けば2本立てといいますか、2つの論点で議論をしてきたところです。
2つ目につきましては、時間的に十分にできたかどうかということも、いろいろと宿題といいますか、次に引き継ぐことがあるということを示したものですけれども、その中で、中西委員のおっしゃったことについても考えていく必要があるなということを思って伺いました。
ほか、いかがでしょうか。お願いいたします。
【時乗委員】 すみません、私の画面、「手を挙げる」ボタンがないもので。
【荒瀬座長】 すみません。お願いします。
【時乗委員】 まずは、今の中西委員の通信制高校における将来の位置というのは私、非常に大事だと思っていますので、この通信制高校が本当に新しい高等学校の在り方について一石を投じる可能性が非常に高いと思いますので、ぜひ何らかの工夫をして文章を盛り込んでいただけるとありがたいと思っています。
次なんですけれども、特に質保証のところについて何点か、お願いします。
全体的には非常によく書かれている内容だとは思っていますけれども、例えば8ページに書いてあります、つくばの学校が閉校したという、そういったケースなんか、まさにそうだと思うんですけれども、基本的に、その学校が持っている課題に対して、改善しなさいね、こういう点まずいですよという指摘がなされているにもかかわらず、それが一向に改善されずに、ずるずる、ずるずると来た結果、多くの生徒に迷惑をかけたというようなケースだと思うんですね。
また今回、私が所属しているNPOが、全国の通信制高校に対して、ちょっとした調査を、文科省の委託事業の一環としてやったんですけれども、そのときも自己評価の報告を所轄庁に出している学校と出していない学校が大体半数だったんですね。だから、基本的に、いろんな点検調査とか学校評価とかやったとしても、それが実質的な改善に生かされていないという実態があるんだろうと思っています。
したがって、一番質の向上とか質の確保にとって大切なことは、定期的な点検をちゃんとやって、そこでなされた指摘事項の改善を確実に行うということが質向上への第一歩だと思っているんですね。
だから、今回のつくば含めて、こういった事態を防ぐためには、基本的には文部科学省がこれまでやってこられた点検調査等で指摘された内容を含めて、それぞれ課題が起きたところが確実に改善されているんだよねという、その辺の確認をする作業というのは、どうしても必要だろうと思っているんですね。
だから、そういったところが制度的に所轄庁がきちんとした指導が入れたりとかできるような、そういう仕組みづくりというのを、やはりやってほしいと思います。
それをガイドラインに書くのか、何に書くのかは、いろいろ工夫はあるかとは思うんですけれども、要は、点検調査やった、自己評価やった、その結果ちゃんと改正しているよねという、そこを担保できるような仕組み、また、そこがきちんと指導できるような仕組みというのを入れてほしいと思っています。
そういった意味では、以前、文部科学省が出された学校評価ガイドラインというのがあるんですけれども、あの学校評価ガイドラインというのを、もう一回、各学校はきちんと読み直して、再認識して、学校評価の在り方を見直す必要があるんだろうと思っています。
また、先ほども14ページ以降の対策というところで書かれてはいたんですけれども、特に株式会社立なんかは、ある意味、手探りの状況で学校運営をやっているんだろうと思います。
また、ある程度の歴史を持った学校は、これまでやってきたから、これでいいんだという認識の中で教育活動をやっているというところがあるように思います。
こういった問題を防ぐためには、特に学校評価の中で位置づけられている第三者評価という部分を活用していく必要があると思うんですね。それで、評価者と学校、場合によっては所轄庁、そういったものが、お互い対話を重ねながら着実に改善をしていくというようなところも必要になるんだろうと考えています。
そういった意味で、第三者評価の活用というのを、もう少し位置づけていただけるといいかなと思っています。
最終的にはガイドラインの改訂の中に何らかの形で、学校評価ガイドラインに基づいた活動で教育活動の質を上げていくんだというようなことを位置づけていただけるといいかなと考えています。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。具体的にいろいろとありがとうございました。ぜひ、本当に質が保証されるように前に進むということが大事ですので、そこに向けた具体的な御指摘をいただきました。
ほかに。森田先生、どうぞ、お願いいたします。
【森田委員】 では私、森田のほうから少しコメントさせていただきます。書いていただいたこの資料、非常によくできておりまして、これに関する議論というわけではないんですけれども、先ほどの時乗委員の話を受けて、少し補足的に私からもコメントさせていただきます。
まず1点目としましては、先ほど出てきましたとおり、第三者評価に関するところです。本当に、この書かれている内容というのは適切だとは思うんですが、今のところ、義務というところまで行っていないわけで、先ほど出てきたとおり、結局のところ、第三者評価機関として立ち上がってはいますが、そういったところに任意で依頼が来る程度であると。現状のほうを確認しますと、5校程度が認定を受けている状況であるということですね。5校につきましては、やはり専門家が入って、実地検分をし、その中で適切な運営をされているのかということを、もちろん確認するんですけれども、不適切な部分についてはコンサルテーションをしながら、よりよい学校に向かって改善をさせていくというプロセスを踏んでいるということになります。
こういったところに、結局のところ、店を開いても来てくれないんじゃしようがなくて、かといって、例えば第三者の評価の専門家が集まったところというのは国の機関でもありませんし、何の義務の発生するところでもありませんし、かつ活動のために、やはりお金を取って、ある程度回していかなければいけない部分もあると。これについて、ここの中に入れるというのは、どうこうするというわけではないんですが、やはり何らかの仕組みをつくっていただくというのが非常に重要なのかなとは思っています。
そういった形で他者の目を入れていただくというのが、まずは1つのお願いかなと思います。もちろん文科省の方が実地に行かれるというのが一番いいと思うんですけれども、さすがに全部、毎回回っているわけにはいかないと思いますし、そのための機関だと思いますので、ぜひ、その仕組みづくりのところで、この会議が終わった後、どういった形で実現されるのか分かりませんが、やはり実行していただきたいなと考えています。これが1点目です。
2点目は、これは、やはりここに書くのかどうかというと、なかなか難しいところがあって、私も先ほど発言はしなかったんですけれども。前回の会議でありましたように、例えば横浜修悠館を、非常にいい例があったと思うんですよね。その中で地方の教育委員会が、何年かたった教員をトレーニングするために通信制高校に回すという仕組みがあったと思います。つまり、教員が通信制高校を知らない状態で言うのではなくて、教員養成の段階なのか、それとも教員になってからなのか、学ぶ場として、やはり通信制高校を活用していくというような仕組みのことが最後どこか一言あると、先ほど出てきた新しい高等学校としての在り方、それから未来に向けて、子供たちが安心して通える通信制高校という形で回っていくんじゃないかなと考えた次第です。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。今、後のほうのお話というのは本当に大事なことですね。ですから、いろんな子供たちに接するということ。
ついこの間、テレビの番組ですけれども、「クローズアップ現在+」という番組で神奈川県の高等学校が映っていましたが、本当にいろんな高校があって、いろんな高校生がいて、その子たちがみんな学んで、これからの社会で生きていこうとしているという、その姿を教員が知ることによって、また教職の魅力というのも増していくのではないかと思いますので、今の御指摘、本当に大事だと思います。ありがとうございました。
ほかには。吾妻先生、お願いいたします。
【吾妻委員】 吾妻です。よろしくお願いいたします。多岐にわたる議論を本当に分かりやすくまとめていただきまして、ありがとうございます。
先ほど中西委員から御意見があったところについて、私もちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。
先ほど10ページの面接指導の少人数ということについて、具体的に明記をされたほうがよいのではということで、中西委員のほうの御意見がございました。趣旨としては、面接指導は授業とは異なって、個別指導の原則を踏まえて、丁寧に少人数で行うということの趣旨は、非常に私も賛成でございます。
ただ、やはり通信制、そして単位制の展開を具体的にしていますと、学期ごとの履修にとって、単位科目が多ければ多いほど、その学期によって生徒が履修をしていくという数に、かなりばらつきが出てきます。かなり多く履修をする科目、その時期もあれば、非常に少ない、本当に数人で1つの科目が行うというようなばらつきもあって、なかなか運営上、それから経営上、非常に難しいところがございます。なるべく選択科目を増やして、生徒の希望に沿った学習を目指していくということを考えますと、私は、40名というところの後でただし書きがございますが、このぐらいの表現のほうがよろしいのではというような思いがございまして、ちょっと意見を述べさせていただきました。
また、皆さんがおっしゃっているように、通信制の高校の教育は高校全体の教育への影響をこれからも強く及ぼすのではないかというのは、私も同じ意見でございます。
そういった中で、やはり心配も一方ではございまして、全日制の学校と通信制の学校が本当にお互いに協力し合いながら、今後も関係を続けていかなければいけない。そういったところに対して、それが影響が強過ぎると、あつれきを生んだりするということも、心配なところでございます。
そういった意味でも、最後に今後の課題としてあります全日制・通信制・定時制の意義、役割ということを、これも検討しながら、今後の教育の在り方について進めていくのも非常に大切であり、急務であるのではないかなと感じましたので、意見を言わせていただきました。
以上です。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。では、日永先生、お願いいたします。
【日永委員】 日永です。よろしくお願いします。これまでも既に委員の皆さんがお話しされているように、非常に多岐にわたる話題を的確にまとめていただいて、この取りまとめ自体について、私も何かを変えてほしいというようなところまでは意見としては持ち合わせていません。
ただ、今までの何名かの委員の皆さんからの御発言を聞いていて、評価のこと、それからこれからのことについて一言ずつ意見を述べさせていただければと思って手を挙げました。
まず、荒瀬座長もおっしゃったように、やっぱり少しずつ少しずつこの問題、本当に前進してきたなという感じがしています。2013年に文部科学省の委託調査も、委託事業を受けて調査をしたときに、全く何の法令的なものもなく、ある種、一番規制緩和が進んだ時代でしたので、非常に問題が山積していたのですね。
先ほど閉校になったつくばの学校も実際には行ったのですが、何かやっぱり、おっしゃっていることとやっていることの乖離みたいなことを非常に感じながら帰ってきた覚えがありました。
その後、少しずつガイドラインができ、ようやく今回、法令ですね。法令として、今もパブリックコメント取られているということもあって、こういう質の維持、確保について、この10年で、かなり進んできたなということを改めて確認をいたしました。
その一方で、第三者評価について、時乗先生からも御発言ありましたけれども、実は今の文部科学省が示している学校評価のガイドラインは、あくまでも、どちらかというと義務教育段階に焦点が当たっていて、しかも、ここの目標を明確に立てて、それに向けた改善をするというタイプの学校評価が主に重点を置かれています。そのため、今、通信制高校が抱えているような、要は最低限の質をきちんと確認するというタイプの評価には、実は今のガイドライン、十分なじむものではないというのが私の考えです。
そういうこともありますので、もちろん今の学校評価のガイドラインを踏襲しつつということはあるんですが、よくよく考えると、2013年に受けた委託事業のテーマは、通信制高校の評価基準の開発というのが実はテーマだったんです。ところが、その報告書の結論では、こういう法令も何もない状況で、第三者評価の基準なんかつくりようがないという、とんでもない結論を僕自身は書いたのですが、改めて、そういう状況がようやく実現しつつある中で、学校評価の仕組みを使うというのはもちろん賛成なんですが、そのときに、今のガイドラインにある評価の基本的な考え方、あるいは第三者評価に対する基本的な考え方は、実は、恐らくそのままは使えないと思うので、新たに組織を立てて、きちんと検証する。しかも、教育活動の評価ですので、同業者によるピアレビュー、同僚評価というのが最も望ましいんだろうと思うのですが、今回に限っては、まだ、やっぱり行政的な規制の部分を考えていく上で、また、今日もありましたけれども、都道府県を越えた、そういう水準の維持、確保をしていく上では、各県の通信制高校に関わる、行政に関わる方々の参画もしていただけるような第三者評価を求める必要があるのかなということを感じました。
これをそのまま、このまとめに書けとは言いません。今後の方向性として何か、どこかにメモでもしておいていただければいいかなと思います。
あと、今後の可能性も本当にいろいろありまして、実はこの間、各地の公立高校がどんどん統廃合されていく中で、地域から高校がなくなっていくという状況があるんですね。小中学校ではコミュニティ・スクールなんかをやりながら、地域と連携して、地域に愛着を持って、地域を支えてくれる子供たちを育てようとして、いざ高校になった途端に、みんないなくなってしまうという状況がある中で、実は通信制高校をそこにつなげることで地域の存続をかけようというような動きも出てきています。そこで通信制高校、すごく生きるんですね。要はPBL的な活動を通して、地域の本当に貢献をするという活動をしながら実際に高校の学びをするというようなことも可能なわけで、そういう意味でも今後の、今のコロナ禍での分散社会を改めてつくっていくという上でも、実は通信制高校、すごく役割が大きいなということを感じておりました。
これも入れていただく必要はありませんが、そういうことを感じましたので、発言させていただきました。長くなりまして申し訳ありませんでした。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。それでは内堀委員、お願いいたします。
【内堀委員】 内堀です。お願いいたします。今まで、ほかの委員さんも発言されているように、これまで本当にいろんな角度から議論をしてきたものを、こういう簡潔で的確な形でおまとめいただいて、そうそうと思いながら読ませていただきました。
しかも、こういった方向性の上に、例えば通信制とか定時制の研究協議会のようなものも既に実施していただいていて、そういうところも本当にすばらしいなと思っているところです。これについては、ぜひ今後も継続していただいて、もちろん管理しなきゃいけない部分もあるんですけど、通信制高校の内から、自らよくしていこうという気持ちになるような、そういう会議も、うんと大事なことだと思いますので、そうなっていくように引き続きお願いできればと思います。
通信制が、かつてつくられたときと現在とでは、明らかに様子も違っているし、役割も違ってきているというまとめをして、その中でこういうことが必要だということが書かれているんですが、それに関して1点だけ、お願いしたいことがあります。13ページぐらいになるかと思うんですが、14ページかもしれませんが、質保証のための方策のマル3のところの指導体制の充実というのが、3つ目で、一人一人を大事にしていこう、一人一人がきちっと学べる体制を整えて、例えば生徒が沈んだりしたときも支えていくような仕組みが通信制においても、これまで多少弱いところがあったけれども、一層やっていかなきゃいけないだろうということで、スクールカウンセラーとか、スクールソーシャルワーカーとか、ICT支援員とか、あるいは養護教諭とかが必要だから、配置してくださいねというのをガイドラインで書くと書かれています。その中に、個に応じた指導を実現するために必要な教員等の配置というのが書かれていて、前回の議論のまとめの中でも、教員定数も含めて云々ということが書かれていました。
ここで、こういう人たちを配置していくことが望ましいということを記載するならば、それを担保するための最低限の保証が必要になってくるんだと思うんですね。それは、設置者がそれぞれやるべきものもあれば、国として支援をするものもあるんだろうと考えていて、そうなってくると、一番最後のページの「今後更なる検討が必要な論点」の、2つ目の丸の一番最後のところですけれども、多様な背景を抱える生徒一人一人に寄り添った指導・支援を行うための教職員等の体制の在り方をどのように考えるべきかといった論点も挙げられたとなっていますが、どのように考えるべきかの後ろに、その際、国の支援はどうあるべきかみたいなところですかね。そのようなことをお書きいただけると。本当は教職員定数と書いていただければ一番ありがたいんですが、そういったところが難しいとなれば、国の支援の在り方という表現で示していただいてもいいのかなと思っています。全国一律の通信制の仕組みの中で、プラスアルファのところは別として、最低限必要になってくるであろうものを、やっぱり一定程度、国のほうで支援していただくということが必要かと思いますので、そんなことを書いていただければと思います。
それ以外のところは、我々から出された様々な意見を本当によくまとめていただいて、感謝とともに、すばらしいなと思って読ませていただきました。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。では、大河原委員、お願いいたします。
【大河原委員】 大河原でございます。ありがとうございます。こちらの審議まとめ(案)、読ませていただきまして、大変分かりやすく的確にまとめてくださって、本当にどうもありがとうございます。
私、1回目のこの会議でも申し上げたんですけれども、一応、法律家という立場で参加しておりますので、やはり不適切な事例について、どうやってきちんと処理というか、きちんと是正していくのかということに主眼を置いて、この会議に参加してきたつもりです。それでいくと、この報告書、よくまとめられていて、私が想定していたのは、やはり事前のルールによる一定の規制、それから事後のチェック、この2つが大事だと思っていまして、事前のルールという面では、ガイドラインの要改善点、がこの報告書に具体的に記載されているということでよろしいかなと思っていますし、事後のチェックという意味では、先ほど時乗先生、森田先生、日永先生はじめ先生方おっしゃっていましたように、所轄庁の関与ということと、あと第三者評価というこの2つがチェックの仕組みとして、この報告書にも挙げられておりまして、項目としては、すごくよいと思っています。
この報告書の内容を変更するということを申し上げたいわけではないんですが、まさに森田先生おっしゃっていましたように、この第三者評価のプレゼンスを向上させるということが大事かなと思っています。1つには、やはり評価機関なり評価者の能力等を向上させるということが大事ですので、評価機関を支援していくような仕組みが必要だと考えております。もう1つには、これは森田先生おっしゃっていたとおりなんですけど、評価機関を使ってもらわないと意味がないので、評価を義務的にするのか、あるいは評価機関を利用することに何かインセンティブを付与するのかはさておき、やはり評価機関を使っていただくような仕組みをつくっていっていただけるといいのかなと思っております。
感想めいた話ばかりで申し訳ありませんが、以上になります。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。それでは原口委員、お願いいたします。
【原口委員】 よろしくお願いします。まず本協力者会議の立ち上がった目的が2ページに改めて書いてございますけれども、2ページの真ん中辺の期待と疑念ですね。高等学校通信制課程に寄せられる期待と疑念。この期待のほうが後半の新時代の高等学校通信教育の在り方なのだと思います。そして疑念のほうは、高等学校通信教育の質保証の方策なのだと思います。
この疑念が払拭されない限りは、先にはなかなか進めないかなと思っておりますので、先ほど来出ています、時乗委員、森田委員の御発言のとおり、ぜひ第三者評価等をしっかりやっていただけるとありがたいと思います。
この審議のまとめが、すごく読みやすくなったと感じています。それは、29年に書かれた審議のまとめも、やはり主語は国はで、述語は、それら何々が必要であるだったんですね。前回まで、それがなくて、ぜひ主語と述語はっきりしてほしいなと思っていたところ、御意見申し上げたところ、はっきりさせていただいてありがたいのですが、1点、12ページの3つ目の丸、高等学校通信制課程で学ぶ全ての生徒が、いずれの施設でその教育を受けるかにかかわらず、高等学校教育の実施にふさわしい教育環境下で受けることができるように云々とあるところの最後のところで、国において、ガイドラインの改訂等によりその趣旨を明確化することが適当であるになっているんですね。ここは適当である。
それから14ページの上のほうの1つ目の丸の養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー云々というところは、国において、ガイドラインの改訂によりその趣旨を明確化することが、適当であるを消して、必要であるになっているんですね。
これは、ぜひ必要であるに統一していただけるとありがたいのですが、事務局のほうはいかがでしょうか。まず1点、お願いします。
【荒瀬座長】 先生、ほかにも御指摘があるんでしたら、どうぞ、たくさん出していただきまして、まとめて答えていただこうと思いますから、お願いいたします。
【原口委員】 はい、分かりました。2つ目は、14ページのところにあります若年化・多様化に係る在籍生徒の問題から、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、個に応じた指導を実現するために必要な教諭の配置等々、ICT支援員とか、たくさん書かれているんですが、現場にいる私が感じている一番必要な場所と人というのは、実は保健室だと感じているんですね。保健室の必要性を少しだけ述べさせていただきます。
以前、都立新宿山吹高校のヒアリングにもありましたように、養護教諭のいる保健室の存在は、通信制課程に通う多様な生徒たちにとって、まさに安心・安全な居場所にほかならないんです。本校は通信制の独立校で、専任の養護教諭が1名と非常勤が1名おりますが、スクーリングのある日は毎回、生徒、毎回ですよ、五、六十名が保健室に立ち寄ります。まさに部屋はいっぱいになることが珍しくありません。スクーリングに行く前に立ち寄り、スクーリングから帰ってきて、クールダウンするためにも立ち寄ります。様々な生徒がハードリピーターとして安心を求めて保健室に立ち寄り、養護教諭と一言二言話すだけでも、そこで落ち着き、自分の力を少しずつ伸ばして卒業にまで至ります。不登校からの育ちの発達段階において、必ず学校内の決まった場所に保健室があって、そこにいてくれる養護教諭の存在というのは、SCやSSWは専門性が高いですけれども、それ以上の存在だと考えています。
本校で非常勤のいない夕方や朝早くは、たった1人の養護教諭では賄い切れないので、そのグループ、所掌する分掌の人間が一緒にいたりして、担っているところでございます。
ぜひ、現場はどこも同様の状況だと思いますので、その重要性というのが伝わるといいと思いますし、教育の質保証の最も重要な部分だと考えております。
まずは以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今の文言の話ですけど、これ、引き受けさせていただいた上で検討させていただくというのでよろしいでしょうかね。使われている場所によって、適当であるということが適当な場合もあるとも言えるかもしれません。ちょっと時間を頂きまして、最後にまたお願いしようと思っていましたが、今日頂いた御意見で、修正するべきところはさせていただこうというのはもちろん思っておりますので、少し預からせていただくということでよろしいでしょうか。
【原口委員】 はい。お願いします。
【荒瀬座長】 今おっしゃった保健室というのは施設の問題になってくるわけで、養護教諭とは、またちょっと質の異なるものでありますので、部屋も要れば人も要るということですよね。
【原口委員】 そうですね。
【荒瀬座長】 そういうことですよね。はい。
では、賀澤先生、お願いいたします。
【賀澤委員】 遅れましてすみません。私としては、ありとあらゆるところまで手を伸ばしてまとめをいただいたので、本当に喜んでいるわけですけれども。こういう構図を考えたときに、ウィッツ青山のときから、ずっと思ってきたことが2つあって、認可庁というか、認めたところの地方公共団体ですね。そこの位置づけが、どうも、法的に無理なのであるということなんですけれども、当たり前のことですけど。つまり、認可庁の管理監督がきちんとしていれば、もともと文科省も手を出しませんし、あちこち調査にも行かなくていいことなんですけれども、ここが何とかならないかというのが。ならないということを書いてありますけど。難しいと書いてありますけど。
それと2つ目は、これだけの指摘をされ、これだけの的確な方向を示しているにもかかわらず、これがどうやって、各課題を抱える学校に行き着くのかというのが、ずっと心配をしておるところです。
つまり、各都道府県ごとなのか、各市町村ごとなのか、あるいは設置権限者ごとなのか。やっぱり学校の設置者を集めて、何らかの形の説明会なり、このまとめについてですね。そうでもしないと、恐らく肝心の課題を抱えている学校が、このことに真っ正面から取り組もうという気に、なかなかなれないんじゃないかという思いがあります。
この間、私、今年13年目ということになりますけれども、通信制に関わらなくなってしまったわけですけど。ただ、この間の大きな動きはやっぱりあって、多角的な視点で自分の学校の通信制教育を展開している学校が増えてきたんですね。恐らく立入調査の結果だと思っています。
つまり、何をしなきゃいけないかということを学校側がだんだん分かってきているんだろうと思います。スクールカウンセラーを複数配置したり、通信制のシステムを新しく、我々が考えなかったようなシステムを考えているところもたくさんありますし、自律的に学び続けている生徒の数も、私は増えていると評価をしているところです。
一方で、通信制は手を抜こうと思えば幾らでも抜けるようなふうに捉えるところもたくさんあると思っています。
ただ、この先、自治体に意識的に動いてもらわないと、通信制の行く末が極めて危ないと率直に思っているところです。
ここ数年、参入して、メガスクールとも言うべきものが増えてきました。しかし、現実に様々なところの話を聞くと、決して宣伝どおりにやっているとは思わない。つまり、十数年前と全く変わらないことを、またやろうとしているところが、私は多少感じるところであります。
一方で、例えば北海道の大規模校は、学校評価を積極的に手を挙げて一定の評価を得ているところ。これは第三者機関だという動きもあるかもしれませんが、相当詳細な評価をした結果が出ています。そういったものに対して真っ正面から受け止めようという、そういった姿勢が、よその学校のことをあれこれ言っちゃいけないですが、数年前とは全く違ってきた。文科省の指導の成果、あるいは第三者評価について真っ正面から取り組んだ人たちの一つの成果だと思います。
ですから、やりようによっては、いろんな学校が、こういった形で生徒を大切にしながら様々な工夫をしていくということができるんだろうと率直に思います。
結論として、これは怒られるかもしれませんが、通信教育課程に関わって何らかの変更なり付加事項があったりするということも期待しているところなので、その結果、最低限、通信制規定については守らせる何らかの強制力が働けないのかという思いがあります。
先ほど評価機構の話をしましたけれども、これを少しずつ、少しずつでも増やすことで、ありようが、評価機構を使わないまでも、出てくるんだろうと思います。同様のことを各公共団体が、どこを使うかは別として、やっていただきたいなと率直に思うところであります。
感想めいたことで申し訳ありませんが、そう感じたところでございます。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。佐藤先生、いかがでしょうか。
【佐藤委員】 ありがとうございます。それでは今、いろいろと所轄庁の件の話いただいたところだったんですけれども、基本的に私も話をさせていただいた中で、私立学校法を、所轄庁の関係性等もありまして、いわゆる所轄庁のほうでの法的な制約がたくさんある部分。実際には、公立学校であれば、学校の設置者は教育委員会ですけれども、私立の学校であれば、学校法人などが学校の設置者になりますので、先ほど賀澤先生お話しされていたように、学校の設置者、特に私立ですけれども、このようなところを集めていただいて御指導していただける機会があると非常にいいのかなと思っています。
学校の設置者については、大学設置法人であれば文部科学省のほうが所管しておりますし、高等学校等であれば所轄庁が都道府県やる場合もありますので、非常に多岐にわたりますので、ぜひ国のほうが、その辺は主導して、私立であれば設置者に、ぜひその辺は強く、いろいろな形で申出をしていただくという形のほうが。特に広域通信の場合、関係のない設置者の学校が別の都道府県に面接指導施設を造るなんていうのも往々にしてありますので、やはりその辺については国が主導してやっていくというようなところを明確にしていただくとよろしいのかなと思います。
私からは以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。委員の皆様、一通りお話をいただきました。今日も、またたくさんの御指摘をいただいたわけでありますが、ほかにいかがでしょうか。
中西委員、どうぞ。
【中西委員】 すみません、1点だけなんですが。先ほど10ページの少人数云々のところで、吾妻委員が、これぐらいの表現でとおっしゃっていましたけど、私も別に、その表現を変えてほしいと言っているわけではなくて、欄外があまりにも大き過ぎますし、本質的な部分であれば本文に取り込むのが筋ではないかと、そういう趣旨での発言でしたので、改めて申し上げておきたいと思います。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。時々この脚注の中に非常に重要な指摘があったりするというのは、これまでも中教審答申なんかでもあって、私も御紹介をするときに、これは脚注にあるんですけど非常に重要な指摘なのでとかいうことがありますが、どうするか考えさせていただくということでよろしいでしょうかね。ありがとうございました。
そうしましたら、時間もそろそろ予定していたところに近づいてまいりました。たくさん御意見頂きましたが、基本的に各委員の御発言の中で、まとめについては事務局のほうでやっていただいたことに対する高い評価を頂戴したのではないかなと思っております。
この後、今日頂きましたもの、私も全てメモさせていただきましたので、あと事務局と具体的に調整を図りたいと思うんですけれども、私のほうに御一任いただきまして、修正を加えた上で審議まとめとさせていただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【荒瀬座長】 ありがとうございます。うなずいていただいているということで、そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、本日の議事はこれで終了とさせていただきますが、よろしいですか。特に何かございましたら。最後であるということもありまして、後からまたメール等で御意見頂くというのはもちろんありですけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、これで今日の議事は切りたいと思います。
何度も申しましたように、今日7回目で最終回ということでありますので、文部科学省の塩川参事官から御挨拶を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
【塩川参事官】 すみません、文部科学省の塩川でございます。会議全体の総括、この後、総括の御挨拶、荒瀬主査のほうから御頂戴したいと思っておりますけど、いわば、その露払い的に、少しばかり御礼も含めて御挨拶申し上げたいと思います。
本日もそうでございますけど、大変貴重で精力的で建設的な御意見ありがとうございました。御意見にもありましたとおり、コロナ禍の中、ICTの可能性について学校関係者、非常に十分認識したところでございます。そうした中で通信制課程については、高校教育全体の中で、どうあるべきかという最先端的な位置づけにもあるところかなと思っております。それゆえに、ICTを使いながら最適な学びをどう実現するのか、当然そういった観点からの不断の検討が必要だとも思っております。
同時に、これは私、思うところでございますけど、そうした不断の検討に当たりましては、特に成長段階の高校教育として、やっぱり未来ある生徒を第一、生徒がしっかりと高校教育の中で学びをちゃんと習得するという観点、そこをぶれない軸にして、全ての通信制課程の関係者が取り組む必要が何より大事かなと思っております。とりわけ勤労青年から多様な生徒の学びの保障の場になってきた中、この点、極めて重要だと思っております。
我々文部科学省としても、その点を、その軸を大事にして、今後の変革の時代の通信制課程についての質の保証、充実に向けて不断に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
そうした中でございますので、今後とも引き続き先生方の御助言等もお願いを申し上げつつ、感謝を申し上げて、私、事務局のほうからの挨拶とさせていただきたいと思います。誠にありがとうございました。
【荒瀬座長】 塩川参事官ありがとうございました。
最後ということで、私も一言申し上げたいと思います。広域通信制の、まさにウィッツ青山の話が出ているわけでありますけれども、この件があって、広域通信制の質保証をどのようにしていくのかということで議論が始まって、そのときから私も参加をさせていただきまして、いろんな委員の方の御意見を聞きながら、また少し勉強もしながら、通信制教育というものに一応向き合ってまいったつもりでおります。
その通信制教育から、高等学校教育というのは一体何なのかというのを改めて考えさせられる機会を頂戴したと思っています。
専ら通信制教育の質の保証ということで言うと、高等学校教育が通信制でも当然行われるべきであって。だから、しっかりと高校教育が行われるためには、学習指導要領がそこで実現していることが大事なんだということになるわけですけれども、ヒアリングをして、いろんな生徒さんの話を聞いていく中で、そういった通信制課程で学ぶ生徒の姿から見たときに高校教育は何なのかというのを、また改めて考える次第です。
多様という言葉は、よく使われる言葉でありますけれども、本来の多様という言葉の意味を改めてしっかりと私たちは考える必要があるのではないかなということを思います。
義務教育という、これは国民として必要な知識・技能、あるいはその活用力等をしっかりと身につけるという上で、全ての子供たちを保護者は通わさなければならないということで行われている時間があります。それから高等学校とか、社会に出て働くというのがありますけど、要は高等学校についてです。大学や社会との間をつなぐ高校教育というのは、何となく当たり前にあって、中学校卒業生の99%近くは進学するわけですけれども、じゃ、その高校教育とは何なのかというときに、1つ非常に大事なことは、義務教育と社会、義務教育と高等教育をつなぐという意味の学び直しも含めた、しっかりとした学びの定着というのがあるはずだと思うんですよね。
だから、高等学校において不十分なところをしっかりとするとか、あるいは高校生という発達段階から考えて、興味のあることに思い切り取り組むとか、そういったことも重要になってくると思うんですが、その辺りも含めて、高校教育とは何なのかということを、この審議のまとめの中の最後にもありましたけれども、通信課程発の視点というところで、また考えを進めていければなということを思っています。
本当に長い間にわたりまして、委員の皆様には大変貴重な御意見をたくさん頂き、ありがとうございました。
今日、会議はこれで終わりますけれども、もちろん高校教育、通信制教育、これからもさらに充実していくべく続いていくのは当たり前でありますので、先生方、またいろいろなお立場から見守っていただいて、御意見を頂戴できればと思います。
ちょっと偉そうな言い方をいたしましたけれども、これで本日の会議を終わらせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
【酒井参事官補佐】 どうもありがとうございました。それでは、これで本会議、終了させていただきます。長きにわたり、ありがとうございました。

―― 了 ――




 

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)