通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(第4回)議事録

1.日時

令和2年6月23日(火曜日)15時00分から17時00分

2.議題

  1. 高等学校通信教育の質の確保・向上について
  2. その他

3.議事録

【荒瀬座長】 皆さん、こんにちは、荒瀬でございます。どうも御無沙汰しております。
定刻となりましたので、ただいまから通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議の第4回会議を開催いたします。
本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためにウェブ会議方式にて開催させていただきます。
なお、本日は傍聴者の方々にもビデオとマイクをオフの状態で接続していただいておりますので、御承知おきください。
それでは、会議を始めるに当たりまして、ウェブ会議を行う上での留意事項と本日の配付資料につきまして酒井補佐から御説明を頂きます。
【酒井参事官補佐】 事務局の担当補佐しております酒井と申します。この4月から通信制課程についても担当補佐ということで、この会議、担当させていただくことになります。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、荒瀬主査からございましたように、ウェブ会議方式の開催ということになっております。こちら、文部科学省の方には私ども事務局と荒瀬主査にお出でいただきまして、委員の皆様は、御自宅・御職場等からウェブでつないでいただいているという状況になってございます。
ウェブ会議を円滑に行う上での留意事項ということで5点ほどお伝えさせていただきます。よろしくお願いします。
1点目でございます。御発言に当たりましては、インターネット上でも聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただくなどの御配慮を頂きたいと思っております。
2点目でございます。御発言の都度、御自身のお名前をおっしゃっていただきますよう、お願いいたします。
3点目は、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくということをお願いしたいと思います。
4点目は、御発言に当たっては、手を挙げるボタンを押していただくようお願いいたします。
5点目は、御発言の後は手を下ろすボタンを押していただきますようお願いいたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
また本日は、傍聴者の方々にもウェブ会議、このZoomミーティングに御参加いただいておりますが、ビデオとマイクはオフの状態で傍聴いただきますようにお願い申し上げます。許可なくビデオやマイクをオンにし、会議の進行が妨げられることになった場合には、ウェブ会議からの退室等の対応させていただくことがございますので、あらかじめ御了承ください。
本日の配付資料でございますが、あらかじめ資料を委員の皆様にはメールでお送りをさせていただいております。また傍聴者の方には、昨日付でインターネット上に、文部科学省のホームページ上に資料をアップさせていただいておりますが、資料は、1及び2、また参考資料といたしまして、参考資料1から参考資料11までを御用意をしておるところでございます。
御不明な点等ございましたら事務局の方にお申し付けいただきますようお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。それでは、議事に入ります。
前回会議というのは、実は2月21日でしたから、随分間が空いておりますが、その議論を踏まえて、中央教育審議会「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」においても、この会議の議論の状況を共有いたしましたところ、資料1のとおりの検討の方向性に関して御意見を頂いております。その上で、事務局に更なる検討のための具体的論点を資料2として用意していただいておりますので、事務局から資料の説明をお願いしたいと思っております。
なお、本日の御議論は、7月9日に開催予定としております。中央教育審議会「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」においてもまた共有させていただきたいと思っております。
あわせて、新型コロナウイルス感染症対策の影響を踏まえた通信制課程の学習指導等につきましては、文部科学省から通知が発出されておりますので、昨今のお取組として御紹介を頂きたいと思います。
では、酒井補佐、よろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 まず最初に、新型コロナウイルス感染症対策の影響を踏まえまた通信制課程の学習指導等につきまして、文科省から発出させていただきました事務連絡を御紹介させていただきます。
参考資料の3を御用意いただけますでしょうか。参考資料3、5月18日付で、「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できなかった生徒に対する高等学校通信制課程の学習指導について」と題しました事務連絡を発出させていただいてございます。この事務連絡につきましては、臨時休業に伴いまして学校に登校できなかった生徒に対する通信制課程の学習指導についての留意すべき事項を取りまとめたというような位置付けでございます。
2ページをお願いできますでしょうか。2ページには、登校できなかった生徒に対します面接指導等の実施に対する考え方についてお示しをさせていただいているところでございます。やむを得ず学校へ登校できず面接指導を受けることができなかった生徒に対しては、当該生徒が学校に登校することができるようになった時点で、可能な限り補充のための面接指導等の実施によりまして、生徒の学習の機会を保障する取組を講じることが重要であることということをお示ししております。
その際には、感染防止対策を徹底した上で、学校の空き教室や社会教育施設等も最大限活用して、分散登校を実施するなどして、段階的に教育活動を開始し、面接指導その他の学校における教育活動を充実していくことが必要であること。
また、分散等を行う際には、進学や就職を控えた最終学年の生徒等に配慮するなど、最終学年の生徒が優先的に学習活動を開始できるよう配慮することを示させていただいているところでございます。
なお面接指導につきましては、ラジオ・テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習及び当該学習による面接指導等時間数の免除が高等学校学習指導要領に基づきまして規定をされているところでございますけれども、学校再開後の面接指導に際しましては、その特例の規定を活用することも考えられるというところでございます。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により、各種の取組を行い、学校による指導を充実したとしても、なお年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難である場合には、5月15日付で初等中等教育局長通知でお示しをさせていただきました「学びの保障」の方策2.(2)で示す特例的な対応をとることにより、子供たちの学びの保障を進めていくことも考えられるということを示させていただいております。
2.(2)、5月15日付の初等中等教育局長通知の内容につきましては、3ページでお示しをさせていただいているというところでございまして、次年度以降を見通した教育課程編成ということで、特に高等学校1年次・2年次に相当する学年の生徒さんに対しましては、令和3年度または4年度までの教育課程を見通して検討を行い、学習指導要領において指導する学年が規定されている内容を含め、次学年、または次々学年に移して教育課程を編成する、こういったことを御検討賜ればというところをお示しをさせていただいたところでございます。
続きまして、資料1の御説明をさせていただきたいと思います。資料1につきましては、冒頭主査から御紹介がありましたように、中央教育審議会の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の中で、通信制課程の在り方についても御議論いただいたところでございまして、その際に出た御意見について御紹介をさせていただきたいと思います。
まず5月21日に開催されました会議におきましては、まず1点目といたしまして、通信制課程の授業日数については、近年はいわゆる通学型という、通信制本来の趣旨とは異なるものが増えてきていると。こうした通信制課程では、学習指導要領上の面接指導ではない、サポート校での補習指導や予備校での受験指導などが行われているケースも随分と見られるところ、本来の面接指導とサポート校等で実施されている教育活動とは明確に区別されるものでなければならないにもかかわらず、特に広域通信制高校ではその区別が不明瞭ではないかといった御意見がございました。
次に、通学型においては、本来の面接指導以外の教育活動に相当な時間を充てているという実態がある一方で、教職員は5名以上でよいという基準や、施設・設備が必ずしも十分とは言えないことから、通学型の広域通信制の教育環境を整えるために、生徒のためにも通信制の設置基準をその実態に合わせて全日制のようにすべきではないかという御議論もございました。
また、現在の定時制・通信制課程には勤労青少年はほとんどいない一方で、大変多様な生徒が入学をしていると。こうした生徒たちの通信制へのニーズの高まりというものを強く感じるといった御意見もございました。
まだ、ICTの利活用が通信制においても非常に有効であり、個別の生徒に対する指導の中で対話的な取組がICTを通じて可能となった。一方で、通信制の生徒については、ICTの活用や添削指導だけではどうしてもうまく機能しないところがあり、生徒の様々な状況に応じ、教員や他の生徒とのコミュニケーションの中で様々な課題を回復していくということも多く経験したという御意見でありますとか、次に、他の都道府県で認可されている通信制高校のうち、サテライト校が設置されている地域が、その設置について何も意見を言えないという点については、国全体で規則を作ってほしいといった御意見。
更には、通信制高校において面接指導は非常に重要だと思う。オンラインで全て授業を進めているという学校もあるが、それで本当に子供が育っていくのかという疑問を持っているといった御意見。
2ページに参りまして、通信制高校には特別な支援や合理的配慮が必要な生徒が多く在籍しており、そうした子供たちのセーフティーネットになっている。全日制には合わなかった子供たちのセーフティーネットになっているという観点も踏まえて支援をしていきたいといった御意見。
次に、例えば外国の学校では教員1人当たりの生徒数を公表しており、教員・生徒の適正人数という点についても質保証として触れていただきたいといった御意見。
次に、コロナの状況の中で、面接指導の重要性というものが改めて浮き彫りとなった。通信制においても質の保証をしっかり制度化していくことが必要だと思っているといった御意見。
更には、都道府県の私立学校担当のスタッフの数等は非常に限定的で、私立の通信制高校でちゃんとした教育活動ができているかどうかについてのチェック機能を果たすことはなかなか難しいというのが今あるのではないかといった御意見がございました。
次いで、6月2日の会議におきましても、引き続き通信制課程についての御意見がございまして、1点目としましては、教職員の配置基準や、定時制・通信制高校におけるケアの在り方についての望ましい教職員配置の考え方がないのではないかといった御意見。
次いで、広域通信制の面接実施施設について、認可基準の緩やかな都道府県ではマンションの一室で行われるようなこともあるため、基準を統一することにより教育の質が保たれるのではないかといった御意見もあったところでございます。
この中教審の高校ワーキングの御意見、またこれまでの本会議の御意見を踏まえまして、事務局の方で更なる回答を行うこととした方策に関する具体的論点という論点の整理を行わさせていただきます。引き続いてでございますが、資料2をお手元に御用意いただければと思います。
資料2でございますけれども、まず1ページ目は「検討の視点」ということを記させていただいているところでございます。前回の会議資料1より抜粋をしておりますが、今後の検討をしまして、面接指導等実施施設としてふさわしい教育水準の確保でありますとか、面接指導実施施設の設置認可等に係る権限の強化、更には多様な生徒にきめ細かく対応するために必要な教育環境の整備に向けた方策については、更なる検討を行う必要があるのではないかということをさせていただいたところでございます。
こういったことを踏まえまして、まず2ページをお願いできますでしょうか。2ページは、面接指導の在り方について少し論点としておまとめをさせていただいているところでございます。
2ページの(1)「面接指導の意義及び役割について」整理をさせていただいているところでございます。
1つ目の丸でございますけれども、学校教育法の逐条解説によりますれば、「面接指導とは、スクーリングといわれているものであり、生徒が学校に登校して、直接教師の指導を受けるとともに、集団の中で共同学習をする場を提供するもので、生徒の人間形成の面においても重要な意義を持つ指導方法であるといえる」と解されているところでございます。
そして面接指導を実施する際でございますけれども、平成30年3月に文科省の方でまとめましたガイドラインの中では、「面接指導においては、個別指導を重視して一人一人の生徒の実態を十分把握し、年間指導計画に基づき、自宅学習を行う上で必要な基礎的・基本的な知識について指導したり、個々の生徒のもつ学習上の課題について十分考慮し」、「自宅学習への示唆を与え」るなど、「計画的、体系的に指導すること」とするよう留意を求めているところでございます。
こうした面接指導の意義・役割については、通信制課程の開始当初から強く意識をされてきたところでございます。
2ページには昭和23年2月の「中等学校通信教育指導要領(試案)」の中の文章も書かせていただいてございますが、通信教育の特質、これは自学独習を中心とする個別指導であるということを位置付けた上で、通信教育においては、学校としての教育的環境や共同学習の点で大きなマイナスがあるという短所も併せて述べつつ、こうした特質に応じた長所短所を踏まえながら、各学校・教職員に研究と工夫を求めたというところでございます。
3ページをお願いいたします。その後昭和30年、35年等で様々制度改正が行われてきたことがございますけれども、その当時においても面接指導の重要性というのは再三にわたって強調されてきたところでございます。
3ページの下段の方には昭和55年の「高等学校学習指導要領解説総則編」も記載させていただいているところでございますけれども、通信制課程においては、全日制・定時制の課程におけるような授業は原則として存在しないと。通信制課程の面接指導はいわゆる授業ではなく、生徒の自学自習の過程での面接による個別指導が原則と述べ、授業とは異なるものであると明確にされてきたところでございます。
4ページお願いいたします。さはさりながらというところで、4ページの一番上段でございますが、本来的には個別指導が原則であるということを示しつつも、現実的には一斉指導形式とならざるを得ない場面もあることを踏まえて、そういった場面であっても個々の生徒の持つ学習上の弱点、これを十分考慮しなければならないといったことが、昭和55年の学習指導要領改訂の中で示されていたというところでございます。
面接指導の意義・役割でございますけれども、昭和の制度化当初から変わることなく基幹的な存在であり続けるということはもとより、予測困難な時代に直面する中でもその重要性はより一層高まってくると考えているところでございます。
おめくりいただきまして6ページをお願いいたします。これまでの経緯等を6ページまでおまとめさせていただいておりますが、本調査研究協力者会議においても、面接指導の意義・役割を改めて整理させていただく必要があるのではと考えております。その上で、3点、お示しをさせていただいております。
1点目でございます。面接指導とは、高等学校通信教育の基幹的な部分であり、直接教師の指導を受けるとともに、集団の中で協働的な学びを実現する場を提供するものである。生徒の人間形成の面においても極めて重要な意義を持つ指導方法であるというふうにお示しをさせていただいております。
2点目でございますけれども、面接指導の実施に当たっては、いわゆる授業とは異なるものでありまして、個人差に応ずる指導の徹底を図ることが求められるものであるというところでございます。すなわち個別指導の原則を踏まえまして、それまでの添削指導を通して明らかになった個々の生徒が持つ学習上の課題を十分考慮しながら、きめ細かな指導を行えるよう、少人数で行うことを基本とするものであるということでございます。
3点目でございます。対面により行う面接指導は高等学校通信教育に欠かすことのできない基幹的な存在であり、その意義はこれからの時代にもより一層高まっていくものであるというところでございます。
そうしたことを踏まえまして、(2)でございます。「現状の課題及び対応方策について」でございます。これまで文部科学省の方でも様々な課題が明らかになってきたことを踏まえまして、いわゆる点検調査を実施してきたところでございますが、7ページにありますように、この点検調査の中では以下のような指摘が行われているというところでございます。
まず1点目でございますが、100人を超える生徒に対して教員が1名で面接指導を実施している場合があるといったようなこと。
2点目は、一部の科目について、面接指導の時間の中で生徒に添削課題に取り組ませている事例があるということ。
3点目は、特別活動が面接指導の実施計画等に位置付けられていないという例があったこと。
4点目は、生徒が独自に行ったアルバイトを特別活動の時間に認定することができるとしていたこと。
5点目は、試験について、面接指導の単位時間内で実施し、1科目につき20分で行うなどの運用がなされていたということ。
6点目ですが、多様なメディアを利用して行う学習の成果の確認に当たっては、視聴報告に対する評価が「合格」「再提出」のみなっているというようなこと。
おめくりいただきまして8ページでございます。8ページの一番上のポツでございますが、集中スクーリングの時間割が極めて長時間にわたるものになっているということ。
また、スクーリングで試験を行い、年度末には試験を行わないという運用が見られたといったこと。
こういった指摘がなされていたところでございます。
面接指導の意義及び役割を踏まえましては、ますますこういった面接指導の重要性が指摘されているところでございます。こういった課題に対しまして対応方策としていたしまして、8ページの6点を明確にすることとしてはどうかと御提案させていただきます。
1点目でございます。面接指導につきましては、添削指導や試験との相互の関係も踏まえながら、その意義・役割が的確に発揮されるよう、計画的かつ体系的に計画するものであること。そのため、高等学校通信教育を実施するに当たりましては、各年度における添削指導の年度計画、面接指導の年間計画とその実施予定内容、多様なメディアを利用した指導等の実施方策や報告課題の作成等の基本的な実施計画、試験の日程、学修成果の評価の基準等を記載した体系的な計画としての「通信教育実施計画」といったものを策定いただき、あらかじめ生徒や保護者に対して明示すべきであるといったことでございます。
2点目でございます。面接指導は、全日制課程及び定時制課程の「授業」とは異なるものであり、個人差に応ずる指導の徹底を図ることが求められるものであることから、少人数で行うものを基幹とすることでございます。
3点目でございます。面接指導は、高等学校学習指導要領に規定される各教科・科目等の目標・内容を踏まえて、計画的、体系的に指導することが必要であること。とりわけ、特別活動については、様々な集団活動に自主的・実践的に取り組み、集団や自己の生活上の課題を解決することを通して資質・能力の育成を目指すものでありまして、通信教育の特性を踏まえれば、集団活動の場として欠かすことのできないものであるということ。また総合的な探究の時間についても、横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方・生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力の育成を目指すものであることに、それぞれ改めて留意し、その目標・内容を踏まえた適切な学習活動を行うということ。
4点目でございます。面接指導を集中スクーリングとして実施する場合には、全日制課程の高等学校では1日当たり6単位時間程度の授業を実施する学校が多いということも踏まえますれば、生徒・教員の健康面や指導面の効果も考慮して、例えば8時半から17時15分までとしたり、多くとも1日あたり8単位時間までを目安に設定したりするなど、1日に実施する面接指導の時間数を適切に定めるといったこと。
5点目でございます。多様なメディアを利用して行う学習により面接指導時間数を免除する場合には、本来行われるべき学習の量と質を低下させることがないよう、免除する時間数に応じて報告課題の作成等を求めるなど、高校教育として必要とされる学習の量と質を十分に確保する方策を講じること。その際、新学習指導要領に基づいて、観点別学習状況の評価が可能となる報告課題の作成等を確実に求めること。
6点目でございます。試験は、添削指導及び面接指導の内容と十分関連付けて行うよう配慮した上で、添削指導や面接指導における学習成果の評価と相まって、単位を認定するために個々の生徒の学習状況等を測るための手段であることから、試験に要する時間及びその時期を適切に定める必要があること。
以上6点でございます。
また最後の丸でございますけれども、ICTを基盤とした先端技術を効果的に利活用した新しい学びの形が生まれてきていることを踏まえれば、今後国においては、ガイドラインに準拠する通信制高校を対象とした新しい時代の指導方法の研究開発に向けた実証研究を実施する。こういったことが適当ではないかということで御提案をさせていただいたところでございます。
続きまして、11ページをお願いいたします。2.「面接指導等実施施設の基準及び所在都道府県の関与の在り方」についてでございます。
(1)「面接指導等実施施設の位置付けについて」でございます。平成29年の「高等学校通信教育の質の確保向上方策について」を踏襲しますれば、指導のサポート等を実施するためのサテライト施設については、以下のとおり分類・整理されるところでございます。
1つ目は自校の施設、2点目は協力校、3点目は技能教育施設、4点目はサポート施設といったところでございます。
これらの現状の数でございますが、いわゆるサテライト施設といったところで、自校の施設に分類されるものが、平成28年度と比較しても約300件以上の増加、またサポート施設というものも約300件程度の増加をしているという状況でございます。
おめくりいただきまして12ページでございます。通信教育、通信制課程におきましては、昭和20年代の制度発足当初においては、面接指導、試験等については、実施校を除けば、教育の機会均等を保障する観点から、高等学校の本校・分校を基本とした協力校で行うということを念頭に置かれていたところでございます。
しかしながら、平成18年でございます。高等学校通信教育規程の一部を改正する省令によりまして、こうした面接指導や試験を行う施設に関しましては、生徒の負担軽減等の観点から、特別の事情がありまして、かつ、教育上及び安全上支障がない場合には、他の学校等の施設及び設備を使用することができることとしたところでございます。
その省令の内容につきましては、四角囲みの中を御参照いただければと考えてございます。
このような経緯の上で、面接指導等を実施する施設、13ページでございますけれども、実施校及び協力校のほか、他の学校等の施設を用いることが認められるということが明確になったところでございますが、通知にもありますように、どのような施設・設備の仕様であっても許容するという趣旨ではなくて、この通知のとおり、生徒の通学可能区域に本校がなく、かつ、協力校を設けることができない等の特別な事情が認められるかどうか、大学・短期大学、専修学校、指定技能教育施設等の普及活動に適した施設であると認められるかどうか、更には、教育上及び安全上支障がない施設として認められるかどうかを踏まえ、適切に判断されなければならないものと考えられるものでございます。
なお、こうした面接指導等を実施する施設とは異なりまして、法令上の位置付けはなく、通信制高校と提携して添削課題のサポート等の学習支援活動を行う施設も存在するところでございます。
これらの施設につきましては、面接指導等実施施設とそれぞれ分けて考える方がいいのではないかと考えているところでございます。この両者を含めた通信制高校を展開する全ての施設を「サテライト施設」として呼称することとし、概念整理につきましては14ページの方で改めて整理をさせていただければと考えてございます。
14ページの表の中でございますが、自己所有か借用かというところで、自己所有の実施校・分校、借用の協力校、技能教育施設、更には、通信制教育規程第11条に定められております他の学校等の施設があるというところでございます。
これらが面接指導等実施施設でございまして、面接指導等実施施設には入らない、いわゆる広義の意味でのサテライト施設については「サポート施設」と呼称させていただければと考えている次第でございます。
14ページをお願いいたします。通信制課程の面接指導等実施施設の基準等につきます現状の課題・対応方策でございますけれども、1つ目のポツでございますが、例えば本校と連携施設との間で締結された文書において、連携施設の生徒への面接指導等の教育活動が連携施設任せとなっている点が見受けられることでありますとか、業務マニュアルにおいて面接指導等実施施設において、本校の教員を派遣する際に、当該施設に対して派遣料金を請求することとしておりますけれども、この取り扱いは不適切であるといったようなこと。
また15ページでございますけれども、学校評価について、自己評価と学校関係者評価を実施し、その結果については公表していないといったような事例があるということ。
更には、担当教科・科目の教員によらない指導、学習支援の時間があり、そういった時間を当該教科・科目の面接指導時間数に算入している運用があったというようなことがございます。
このような課題が生じる背景といたしましては、高校通信教育規程第11条の規定に基づきます都道府県の設置認可基準は様々でありまして、面接指導等実施施設に求められる教育環境の水準が所轄する都道府県によって大きな差異があることに起因するものではないかと考えているところでございます。
加えて、都道府県がサテライト施設の設置状況等を適切に把握する仕組みが十分に構築できていないということも上記の課題が生じる背景の1つではないかと考えているところでございます。
そういったことを踏まえまして、16ページをお願いいたします。こういった課題に対します対応方策といたしまして、以下の16ページの点を御提案させていただきたいと考えております。
まず1点目でございますが、面接指導等実施施設に求められる教育環境の水準が所轄する都道府県の設置認可基準によって大きな差異が見られるところでございます。そういったところで、①でございます。面接指導等実施施設を実施校・分校及び協力校のほかに設置する場合には、校地・校舎を長期にわたり使用できる保証があることを基本とするとともに、高等学校通信教育を十分に実施することができる環境を確実に整備するため、教職員や施設整備等に関し、実施校と同等の教育環境を備えるものとすること。
マル2でございます。先ほど大きな1番で御説明申し上げた「通信教育実施計画(仮称)」につきましては、面接指導等実施施設ごとに、面接指導等に関する必要な実施計画を策定し、あらかじめ生徒や保護者に対して明示すべきであることでございます。
2つ目の丸でございます。また前回の会議で、運営上、学校運営に関する情報の公表について御提案させていただいたところでございます。このことにつきましては、平成19年の学教法改正によって、高等学校について学校運営に関する情報の積極的な提供が義務付けられているところでございます。高等学校通信教育を特性を考慮しますれば、通信制課程の各学校が公表すべき情報といたしまして、面接指導等実施施設ごとに、教員に関することでありますとか、入学者数、卒業生の進路状況、中途退学者等に関すること、教育課程に関すること、施設及び設備その他の教育環境に関すること、教員1人当たりの生徒数など、高等学校として公教育を担う立場から社会への説明責任を果たすために必要となる項目を設定することが必要ではないかということを考えてございます。
更にこのページの一番下のところでございますが、高等学校通信教育の質の確保向上のためには、通信制高校や所轄庁等を対象とした研究協議会等の場を設けるといったことも必要ではないかと記させていただいてございます。
17ページの丸でございますけれども、加えて、広域通信制高校においては、所轄する都道府県の区域を越えて面接指導等実施施設が設置されているところでございますが、教育環境の水準が異なる状況が生じているといったところでございます。このことに対しましては、平成30年3月に学則認可に当たって参照すべき指針といったものを策定させていただいているところでございます。参考資料13でございますけども、こういったことを見直しを含めまして、面接指導等を実施する場合に必要となる基準について、教育水準の確保が共通に図られるよう必要な措置を講じることが適当ではないかということでございます。
最後、長くなってすいません。18ページお願いいたします。「多様な生徒にきめ細かく対応するために必要な教育環境を確保される基準の在り方」についてでございます。
通信制高校に在籍する生徒の実態、対応方策についてでございます。生徒の状況が大変多様になっておりまして、生徒の若年化が進んでいるといったことが18ページにお示しをさせていただいているところでございます。
一方で、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、特別支援教育コーディネーターの指名等については、一層の充実が求められる状況であるといったこともお示しをさせていただいているところでございます。
こういったことを踏まえまして19ページをお願いできればと思いますが、19ページ、1つ目の丸でございます。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの充実でありますとか、関係機関等の連携促進、学び直しなど補習等の支援と外部との連携・協働を行うための職員の配置促進を支援する。こういったことが必要ではないかということでございます。
2点目の丸でございます。面接指導を実施できる教育環境を整備するために、教員等を適切に配置するといったことがやはり必要になってくるのではないかということを考えてございます。その際には、生徒数に応じた具体的な教員等の人数をガイドラインに明記する等の措置を講じることも考えられるのではないかということでお示しをさせていただいているところでございます。
すいません。長くなって大変恐縮でございますが、御用意させていただいた資料の御説明は以上でございます。御審議のほどどうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今、大変丁寧に、しかし駆け足で御説明いただいたわけでありますが、資料2の方に関しましてこれから御議論いただきたいと思っております。ただ、内容が、今御説明いただきましたように、非常にたくさんありますので、まず、1番の方ですね、2ページから10ページまでのところでありますけれども、「個々の生徒のもつ学習上の課題を十分に考慮した面接指導の在り方」という、この部分に関しまして御意見を頂戴したいと思います。この中では8ページから9ページにかけまして対応方策の案というものもお示しいただいております。
御発言いただく際でありますけれども、手を挙げるのボタンがお分かりいただけますでしょうか。それを押していただきますとともに、もし私が気がついておりませんようでしたら、皆さんのお顔、私見えますので、本当に手を挙げていただくということも含めてお示しいただきたいと思います。
御意見いただく際には、申し訳ありませんが、ページ数とどの位置の内容についてのことかということをまず言っていただければと思います。中西委員、お願いします。
【中西委員】 最初に手を挙げたのは、大分時間が空いているということで、いろんなものが後ろ倒しに日程がなっていると思うんですけれども、今後の進め方の若干の説明はありましたけど、もともとのお話よりも後ろ倒しになっていくのかということと、コロナ絡みで、やっぱり高等学校のもう1個の協力者会議でもいろいろな御意見が出たようですが、この案だとコロナのことはほんの一言触れてあるだけなんですが、それでいいのかなという。大分ドラスティックに高校教育自身も揺るがされているわけですから、通信制のプラスマイナスの面、改めて皆さん、いろんなことを実感されているところだと思いますし、そのあたりのことを、いずれ、次の機会かもしれませんけど、ちゃんと議論すべきではないかという気もいたします。なので、ちょっと最初に発言させていただきました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。じゃあ、酒井補佐から。
【酒井参事官補佐】 今、事務局の方で考えております御検討いただきたい内容といたしましては、まず、今回、この有識者会議の中では大きく諮問事項が2点あったかと思います。1点は、現状の通信教育の質の確保ということ。もう1点は、今後の新しい時代の通信教育の在り方についてという、大きな2点があったかと考えております。
このうち1点目につきましては、とりわけ中央教育審議会の議論の中でも諮問事項の中で含まれているものでございまして、冒頭主査からございましたように、次回中央教育審議会の方が7月9日に予定をされているものでありまして、また中央教育審議会の方では今後、中間まとめ、答申というふうにつながっていくと伺っております。
そういったことを踏まえまして、まず一定、質の確保といったことを御議論いただきまして、それを中教審の方でも報告し、文科省の方に全体として御提言を頂くといったことをお願いしたいと考えております。
今中西委員からありました、コロナを踏まえた通信教育の在り方というのは、もともと恐らくこれはこの会議の諮問事項の大きく2番目に該当するようなものなのではないかと考えております。会議の立ち上げ時点では、いわゆるICTといったところで少し御審議をお願いしたところでございますが、まさに状況が変わっておりますので、コロナも踏まえて、新しい時代の高校教育の在り方が何かを踏まえて、これからまた御審議を賜ればと考えているところでございます。
【荒瀬座長】 中西委員も皆さんもよろしいでしょうか。具体的に現状の課題をどうよい方向に持っていくのかということと、それともう一つは、当然のことながら、この状況の中でどう考えていくのかという両面があると思うんですけれども、今、酒井補佐のおっしゃったような整理でよろしいでしょうか。
では、御意見をどうぞ頂戴したいと思います。日永委員、お願いします。
【日永委員】 おおむね賛同できる中身であると思いましたし、また中教審のワーキンググループとも情報共有ができて、私たちがこの間ずっと議論してきたことがやっと広く、もっと広まりつつあるなということを実感しております。ありがとうございます。
その上で、今の資料について発言するとすれば、まずこれ、学習の評価のことについて1つお話をさせていただきたいなと思いました。評価の話を少し体系的にまとめて書いたほうがいいかなというのをちょっと思ったんですね。1つ目は、6ページの真ん中あたり、②のところに、これは評価のことは書いていないようなんですが、実際には添削指導を通して明らかになった個々の生徒の学習上の課題を考慮しながら指導するというふうに、これ、実は形成的な評価のことが書いてあると思うんですね。それに対して、10ページの⑥のところは試験のことが書いてあります。これはある種総括的な評価のことが書いてあります。
こういう評価の組み合わせをするというのがすごく大事だということは私もすごくよく分かることなんですが、実際今回の御提案の中の対応方策の①、9ページの一番上のところですが、ここに「学修成果の評価の基準等」というふうなことで書いてあるんですけども、もし可能であればというくらいでいいんですが、「評価の基準等」としてしまうのではなくて、もうちょっと評価の方法についても何か書き込めればいいんじゃないかなと、読みながら、あるいは説明を聞きながら伺った次第です。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。大変重要なことを御指摘いただきました。ありがとうございました。
【大河原委員】 大河原でございます。読ませていただきまして、私もよくまとまっているなという印象がまずございました。その上で、1つあったのが、(1)の方で面接指導の在り方をいろいろと御検討されていて、課題・対応方策ということでまとめられているんですけれども、これをどう担保するのかというところがもう少し書かれていたほうがいいのかなと思います。
具体的に私が想定しているのは、第三者評価ですとか、自己評価もそうなんですけれども、そういったものでこういった面接指導のあるべき姿をきちんと担保していくということをもう少し検討を深めていって、記載をしていくということがよろしいのかなと考えております。
それから、2点目なんですけれども、これ、御質問になるんですけれども、基礎的なことで恐縮なんですが、まず前提として面接指導を行う主体、人というのは、実施校の教員に限られているということでしょうか。
【荒瀬座長】 御質問1つだけですか。
【大河原委員】 はい。
【荒瀬座長】 じゃあ。
【酒井参事官補佐】 事務局から御説明をさせていただきます。今の大河原委員の御質問に対しましては、法令上は、実施校の教員が担うということで、実施校の教員に限られているというところでございます。
【荒瀬座長】 よろしいでしょうか。
【大河原委員】 ありがとうございます。それを前提なんですけれども、14ページになりますけれども、本校の教員を派遣する際に派遣料金を請求することとしていると書いてございますが、これ、本校の教員の方が面接指導をされるという前提で、面接指導を実施する施設に赴いて、派遣料を頂くということについて、何かそもそも問題があるものなんでしょうか。
【荒瀬座長】 御質問ですね。14ページの下から4行目の右のあたりから、「本校の教員を派遣する際、当該施設に対して派遣料金を請求することとしているが、面接指導は実施校の責任において、実施校の教員としての身分を有する教員が校長の監督下で行うべきものであることから、当該業務マニュアルの取扱いは不適切」だという、そこのところが、どうしてそうなるのかということですよね。では、お願いします。
【酒井参事官補佐】 こちらの趣旨としましては、いわゆる派遣料金を請求するということが、そもそも本来であればそこは当該実施校が実施をしている教育施設というふうに管理をされていて、そこは指導されているのは当該実施校の教員であるはずなのに、別の組織から教員が来ているように見える。そういった契約形態になっているのではないかというところが御指摘があった趣旨だと受けとめてございます。いかがでしょうか。
【大河原委員】 ありがとうございます。どういう意味かは理解いたしました。ひとまず大丈夫でございます。ありがとうございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。では、お待たせいたしました。原口先生、お願いいたします。
【原口委員】 よろしくお願いいたします。原口です。今回一番初めの質問者の方の質問が全く聞こえなかったので、もしかしたらかぶってしまうかもしれませんが、1つ質問がございます。まず、面接指導における、6ページの2丸目の②番、「きめ細かな指導が行えるよう、少人数で行うことを基本とするものである」と書かれております。そして、9ページの②番、同じ内容ですけれども、やはり面接指導は、「少人数で行うことを基幹とすること」とあります。この少人数というものをどのくらいの人数で想定されているのか教えていただければと思います。お願いいたします。
【荒瀬座長】 原口先生、最初の質問の方とおっしゃったのは、中西委員のことでしょうか。
【原口委員】 そうです。
【荒瀬座長】 中西委員がおっしゃったのは、これからいろいろな流れが後ろ倒しになっていくのかとか、あるいはまた、コロナの関係のことをどう盛り込むのかという、そういった御指摘でありましたので、先生が今おっしゃったこととは違います。ありがとうございます。
では、事務局の方から答えていただきます。
【酒井参事官補佐】 この少人数の趣旨でございますけれども、通信教育の様々な制度化当初の文書でありますとか趣旨等を踏まえて、原理原則といったことを考えれば、それは恐らく個別指導もしくは数人程度で行うのがそもそもの面接指導の始まりであろうといったことで想定をしているところでございます。ただ、途中、資料の中でもございましたように、年限の経過によって、現実的なところで、一斉指導方式を採用せざるを得ない場面もあるだろうといったところも過去の経緯の中であったというところでございます。
こういった中で、恐らく本来の趣旨は、数名程度でやるのが面接指導のそもそもの趣旨でございますが、時代の変遷であるとか、例えば教科・科目の特性、そういったことを踏まえて、どの程度が少人数であるかというのは、まさに御検討いただくべきところかなというところで考えているところでございます。
【荒瀬座長】 原口先生、いかがでしょうか。
【原口委員】 ありがとうございます。時代の変遷は大きく、やはりここは数人というのは現在の通信制高校教育現場においては無理だと考えております。一遍に100人をというのはあり得ないことだとは思うのですけれども、今、分散登校を実際にやっているわけですが、1教室、普通は、全日制などは40名入りますけれども、多分全国の公立の通信制においては、通常のスクリーニングでは20名前後なのではないかと考えております。
以上でございます。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。まさに我々のこの会議の名称にもなっておりますけれども、質の確保・向上というのをどう図っていくのかというところで、そこのところを忘れてしまって、単に何人ならいいとかいうことにはもちろんならないわけだと思うんですけれども、今後またいろいろと考えていきたいと思います。ありがとうございました。
では、内堀先生、お願いします。
【内堀委員】 長野県教育委員会の内堀です。荒瀬先生、全体で幾つかあるんですが、全部申し上げていいですか。それとも1個ぐらい言って、またあとにした方がいいですか。
【荒瀬座長】 御質問はおありでしょうか。
【内堀委員】 質問は1個、後ろの方であります。
【荒瀬座長】 じゃあ、まとめておっしゃっていただければと思います。
【内堀委員】 ありがとうございます。私もこれ読ませていただいて、この会でこれまで議論してきたこととか、直近の高校ワーキンググループで出た意見とかを非常によく反映して、本質を突いた形でまとめていただいて、おおむね賛同いたします。
その上で幾つか申し上げたいことがあります。1つ目は、ちょっと感想めいたことになるんですが、2ページの、昭和23年に出た試案の中身のところで、通信制というのは、「教室学習と違って学習における個人差が無視されることはない」と言っていて、じゃあ、逆に言えば、教室学習というのは、学習における個人差が無視されているんだというような、かなり踏み込んだことが書かれております。戦後すぐの時代で、全日制、定時制、通信制の役割がそれぞれ明確にあった時代ですので、そういう意味でこういうふうにおっしゃっているということだと思うんですけれども、同時に今、改めてこういうことが、全日制の課題、通信制の課題となる時代が来ているのかなと感じています。
そういう戦後に作られたシステムが、これまでもいろんな見直しをされてきたわけですが、また今、かなり大きな見直しを迫られている時期かなと。全日制においては、個別最適というような言い方もしますけれども、個々に応じた学びを取り戻していくこととか、通信制においては、高等学校段階で育むべき資質・能力を育むためには、どうしたって通信教育だけではだめで、集団の中の協働的な学びだとか、人と人との関わり合いだとか、あるいは哲学対話のような、いろんな人の意見や考えを傾聴しながら自分の考えを創っていく機会だとか、そういったことがなければいけないということがあって、そういう意味では、面接指導の重要性について書かれている点も的を射ていると思っています。
その上で、論点整理の2の面接指導等実施施設の基準云々というところですけれども、1つは、サテライト施設の分類について見直しをしていただいています。すごく分かりやすくなったと思います。11ページの一番下のところにある表でいくと、自校の施設として、借用している施設が含まれているというふうにはこの表を見ただけでは分からないんですよね。自校の施設というんですから、自前の施設だろうと思っていて、よくよく読んでいくと、借りているところも入っているんだということが分かってくるのですが、最初から14ページに書かれているようなこういうわかりやすい分類をしていくことが重要であろうと思います。
それから、16ページから17ページにかけての対応方策のところですけれども、今後、質を担保していくためには、まずは、各学校ごと、自己改善を図ったり自己点検をしたりするということが重要だということが16ページに書かれていて、それは私も重要なことだと思います。いろんな団体が学校教育に参画できるようになりましたけれども、やっぱり公教育といいますか、学校教育というものが社会においてどういう役割や責任を果たしているのかということをしっかり考えてやっている学校とそうでない学校が現実的に存在しているということが大きな問題ですので、公器といいますか、社会的に極めて大切な施設として、通信制がどうあるべきかということを自分たちで日常的に考え、点検していくということがひとつ必要だと。
同時に、17ページのところの丸、「加えて」のところですけれども、これは是非やっていただきたいと思いました。所轄庁によって設置の基準が異なっているということ。それが1つの県に収まっていればまだしも、それが県を超えて適用されているという実態は、どう考えてもおかしいと思います。この会議の中でも申し上げましたけれども、例えば長野県であれば、長野県の中学卒業生とか長野県に住む方々が通う学校のルールが長野県でないところで決められていて、おかしいと思っても直せないということが矛盾になってしまっているんだろうなと思いますので、17ページの丸のところに書かれている、面接指導等実施施設の所在地の都道府県が点検できる仕組みとか、生徒のサポートができる仕組みというのは重要であろうと思っています。
ここには書いていませんけど、前のページで、通信教育の実施計画、仮称ですけれども、それを面接指導等実施施設ごとに策定して開示することとしていますので、そういった点では、例えば長野県なら長野県の方が、長野県にある施設がどういうことをしているのかということが分かるような仕組みを構築していただいています。ここに付け加えるとすれば、16ページの丸のところに書かれていた連絡協議会みたいなものをやっていくということですけれども、是非全部の都道府県が集まって、都道府県独自に設けている設置基準なんかを持ち寄って、研究協議して、やっぱりここは自分の県でも取り入れていかなきゃいけないなというようなことを感じながらやっていくということを、毎年のように繰り返しながら、いいところは取り入れ、よくないところは改善していくということを所轄庁においても実施していくことが必要だと思いますので、この丸のところにはその点を加えていただければありがたいなと思います。
最後です。ここで質問が1個ありまして、高等学校通信教育規程で5人以上という教員等の数を決めていますよね。別のところに書かれていますけれども。その5人以上というのが、お聞きすると、株式会社立なんかができたときに、規制緩和の流れの中で、それ以前は一定の数を定めていたところを5人以上という形で統一したというようなことも聞いているんですけど、どのような経緯で5人以上となっているのかということと、この5人ということの意味はどういうことなのかということが、もし今分かりましたら教えていただきたいと思います。その上で意見を申し上げたいと思います。お願いします。
【荒瀬座長】 いいですか。じゃあ、今答えていただきます。
【酒井参事官補佐】 今の5人以上につきましてですけども、改正の経緯は、今内堀委員から御指摘がありましたように、平成10年代の後半に、いわゆる規制緩和といいますか、この設置基準が最低基準性、従前はもう少し詳細に決まっていたんですけれども、国としては、最低基準性を設けて、作って、その後の基準については、各所管長、設置者にお任せをすべきではないかという御議論の中で、こういった5人以上という最低基準の規定が設けられているというようなことをお聞きをしているところでございます。
なぜ5人なのかどうかというのは、すいません、ちょっと手元にないので、その経緯は調べさせていただきたいと思います。
【内堀委員】 ありがとうございます。その上で、19ページの対応方策の2つ目の丸のところですが、これまでもガイドラインを始め、いろんなところで、教諭等を適切に配置するとか、教育環境の充実を図るとか書かれていても、結局それが個々の学校の判断の下に一部不適切な形で運用されてきたという事実があるということなんだと思うんです。だとすれば、ここに書かれているように、生徒数に応じた具体的な教諭等の人数をガイドラインに明記するということは、仕方ないというか、必要なのかなと思います。
ただし、その場合に、数字を示すと数字がひとり歩きといいますか、絶対的なものになっていきますので、例えばその人数を下回っても、こういう工夫でうちの学校はやっていくから同じような教育効果を出せるんだというようなことがあれば、その基準を下回って教員を配置するようなところについてはきちっと説明をして、それで運用上、それが適切かどうかというようなことを所轄庁が判断するというような、数字を示すことによって思考停止にならないような、創意工夫がその後でも行われるような仕組みは担保しておいていただきたいなということと、もう一つは、公立学校の教員数については、ガイドラインで書くとなると、関連する法令として、標準法があると思うんですね。場合によってはそこのところに、必要があればですけれども、手を入れていただくということが大事なことかなと思います。ここでガイドラインだけを示されても、公立学校の場合は、教育委員会だけの判断で教員の数を増やすということができにくい仕組みになっていますので、そういった点では標準法自体もいじっていただく必要があるのかなと思います。
以上であります。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 宮城県の佐藤です。3月まで所轄庁の方におりましたので、ちょっとお話をさせていただきます。
他の都道府県が設置認可した広域通信制のサテライトキャンパスについては、例えば宮城県にそれを設置されても内容が分からないということで、対応が難しいというのを1月にお話をさせていただいたとおりです。
それで、参考資料の9番、10番を御覧いただけますでしょうか。こちらの方を見ていただきますと、サテライト施設の設置状況があると思います。宮城県でも、収容定員が4,060ということで、かなりの高校生が広域通信、サテライトキャンパスの方の人数に持っていかれているというような状況があります。
これは先ほど内堀委員がお話しされたように、規制が明確に定められていない状況の中で、ほかの都道府県で設置認可しているサテライトキャンパスが宮城県に出来てしまった。当然その逆の現象も起きているわけですね。ここについては明確な線引きが是非必要じゃないかと感じています。
これは1つの都道府県の設置基準が変わったことで改正される問題ではなくて、国全体でもって一定のラインを引いていくというようなところが考え方として必要だと思います。そういう中で、先ほどの教員定数の関係も出てくると思いますが、ある程度教育の水準を保つためには教員の数が必要と考えます。そういったようなことを明確に捉えた上で、基準の引き直しというのは当然考えるべきじゃないかなと思っています。
面接施設に関しては、先ほど言ったように、いろんな形で、宮城県に設置されていても、他県が設置認可したサテライトキャンパスだとなかなか見に行けないという現状もありますので、連絡協議会を設置するとかすれば、情報交換もできて、なおかつ指導に行ける手前ぐらいまでやれれば、必要なアドバイスもできると思っておりますので、その辺の条件整備も是非この会議を経て提言していただければありがたいなと思っております。
話はちょっと戻るんですけども、面接指導に関しての話です。面接指導そのものも、多分教員の数に直結するような話じゃないかなと考えております。実は昨年度、宮城県に設置された広域通信高校の実態調査に文科省の方と一緒にお邪魔したとき、そこの話の中でちょっと出てきた話、面接指導の数学という時間割で、この中に数学の科目を複数、並列で入れ込んで、それで面接指導を行っていた。担当が、数学の先生が1人いて、その人が数学Ⅰと数学Ⅱと数学Ⅲと面接指導を並行して行っている、そんなふうな状況です。
ただこれは、例えばさっき言ったように、少人数で実施している。例えば面接指導に参加している生徒が5人しかいなくて、そこの5人に対して個別でもってきちっと指導していれば、複数の科目であっても、面接指導の展開は不可能じゃないと私は考えるんですけども、そのようなやり方自体もよくないという指摘がありました。
ここに関しては、いろんな通信制関係の本を読んでも、例えば面接指導の時間割を作るときに科目でもって設定しろというふうなことは明確に書いていないです。そういうところも含めて、面接指導の内容を充実させるというのであれば、面接指導の時間割を組むに当たっても、きちっと科目として表記させる。また複数科目の同教室内での並行指導は行わない、と明記してほしい。ただし、教員の数が非常に必要になりますので、面接指導の在り方と教員の数、この辺は絶対直結するものと考えて、是非御議論いただけるとありがたいなと思います。
私からは以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。森田先生、どうぞ。
【森田委員】 ありがとうございます。論点を整理していただきまして、問題点が非常にクリアになりましたし、議論も進みやすくなったと思います。委員の先生方が御指摘くださったこと、本当当然かなと思いながら聞いておりました。特に定員の関係につきましては、ちょっと繰り返しになりますが、コメントですけれども、個別指導、なるべく少人数でやっていこうとすればするほど、大人数の通信制教育の在り方と矛盾している形になってくるわけで、やはりその辺については再検討が必要なんだなということで、私も同意いたします。
それから一方で、今回、視点を変えて考えますと、初めから通信制を選んでくる生徒さんがいればいいわけですが、大抵は全日制から移動をされてくる、転入されてくる方が多いと思うんですね。そういった場合に、先ほどお示ししていただいたような学校の指導の計画がきちんとあったとしても、どういったところで入ってくるのかということによって、非常に先生方も指導に困るように思うんです。その生徒が一体どういった学びをしてきたのか。そのためのeポートフォリオの仕組みだと思うんですけれども、その観点というのは、ここに入れる必要はないかもしれませんが、むしろ全日制を含めて、全ての高校においてやっていかないと、そういったところで移動した生徒さんをきちんと指導できないんじゃないかなと思っています。
特に進学校なんかは、逆に、むしろそこの部分について指導につなげていくという意向はあるかもしれませんけれども、学びが余りうまくいっていない子供たちに一体どこに問題があるのかということをきちんとつないでいくような仕組みというのはこれから求められるんじゃないかと思いました。
それから、もう1点なんですけれども、やはり日本の教育の特徴として、これはすぐには解決しないので、私の単なる独り言というか、意見として聞いていただければいいんですが、全て時間で規定しているがために、いろいろなところでひずみが起こってきています。そもそも到達度で測っていくというのが、最近の教育の在り方において重要な観点ではないかと思っています。
そういった点も含めて、ある程度評価、先ほど形成的評価という言葉も頂きましたけれども、テストが全てではないんですが、多角的な評価をすることによって、知識の習得だけではなく、能力を育成していくような形でのある程度の到達度を持った形で生徒さんをより伸ばしていくという方向で、規制を厳しくするというのは1つの方向性かもしれませんけれども、伸ばしていってあげるような法改正があるといいなと希望しております。
最後はコメントです。以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。今森田先生がおっしゃったのは、いわゆる履修主義と修得主義といったようなことも関わるお話かと思うんですけれども、どううまく使っていくのかということが、子供たちのこれからの成長ということのために役立つような評価の仕方を考えていく必要があると思います。ありがとうございました。
賀澤先生、先ほど途中でお話が聞けなくなってしまったんですけど、いかがでしょうか。
【賀澤座長代理】 じゃあ、私は、原形に戻りまして、広域通信制と言うからには、様々な県境を越えた施設を持っているんだと思いますよ。6月23日の通信制会議の資料2ですかね、「更なる検討行うこととした方策に関する具体的論点」。その中で、施設に関して記述があります。今さら持ち出すのかというふうに叱られそうですけども、質の保証が叫ばれているときに、自治体を2つ3つまとまってやるものが当然だと思います。当然やっていると思います。
ただ、面接指導実施施設に関して何らかの規制をしていかないと、これは子供たちが逆に苦しめられるだろうと思うところであります。具体的にどのような関与が可能なのかは一度御教示いただきたいと考えているところで、広域通信制が成り立っていくときに、隣に小さなビルの1室を借りると。そこでの教育が、とても私は学校ではないと思っていますけれども、そういったことに対する一定の基準を作り、厳格に指導できないか。その基となる記述を何らかの形で入れてほしいなという思いです。御教示いただければありがたいと思います。以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。事務局の方でまた検討をしていただくことにいたします。では、吾妻先生、お願いいたします。
【吾妻委員】 ありがとうございます。東海大望星高校の吾妻です。今回も拝見させていただきましてこれまでの協力者会議のいろいろな議論をしっかりとまとめていただいて、おおむね私も内容に賛同をさせていただきました。
今回、こういう新型コロナの問題で、学校の実際の運営が非常に大変な状況ではある中ではございますが、本校では、通信高校講座を配信しているものですから、比較的順調に教育活動を進めることができてきておりました。スクーリングは3回ほど実施ができていなくて、今月からプラスしながらやっているというような状況でございます。
そういった中で、改めて生徒が登校してスクーリングに参加をし始めて、今、記載にもありますように、対面での面接指導の大切さを改めて痛感をしている状況でございます。
スクーリングと、それから講座と、それから添削指導ということで、9ページにも記載がございますが、「通信教育実施計画(仮称)」のような形できちっと体系的に教育の質を保証していくということは私もおおいに賛成をさせていただきたいと思います。
ただ、面接指導に関して、資料を読ませていただいて危惧をしているのは、少人数で行うことを基幹とするということの表現もされているところではございます。通信制、単位制の高等学校ですと、教科・科目によってかなり履修の生徒数が大きく異なっています。本当に数人の履修者しかいない、二、三人でやっている科目もあれば、比較的大人数が集まってしまうというようなところがございます。全日制でいうなれば、40人のクラスの中で、決められた時間割で教育活動を展開することができると思っておりますが、通信制の場合にはなかなか、そういった状況の中で、科目によって、あるいはその年によってもかなり履修者の数が違っているというようなところがありますので、少人数という形でくくってしまうと、現実的にそれが私立の学校が経営上成り立つのかというところが、併せて考えていかなければいけないところかなと思います。
例えば対面指導の中での、いわゆる面接指導の中での一斉指導としての経験と、それから個別の指導の在り方というのは、その場だけではなくて、メディアを使った相互的なやりとりを生徒と日常的に行うとか、そのような機会を設けることでもいろいろと補完することができるのではないかと感じました。
冒頭のところでありましたが、通信制の中で登校型が増えて全日制と変わらなくなってきているという状況の背景の中には、どうしても経営上、通信制の授業料が比較的全日制に比べると低いというところ、それから、補助金等も全日制の学校と同じ程度に至っていないというところの問題点も併せてあると思っております。
この協力者会議での議論ではないと思いますが、こういった点の支援も併せてやっていかないと現実的な変化は起きないなと思いました。感想で申し訳ございませんが、以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。少人数については、原口委員もおっしゃいましたし、またこれとの関わる教員の人数ということについては内堀委員からも御指摘のあったところですので、総合的に考えていくということが必要かと思いますが、あくまでも、さっきも言いましたけれども、質の保証をどのように図っていくのか、更にはそれをどう向上していくのかということが一番のポイントかと思いますので、その点を踏まえた具体的な取組になるようにということを私も思っております。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。では、中西委員、どうぞ。
【中西委員】 ありがとうございます。これも今更の話かもしれませんけど、サポート施設に関することなんですが、これ、俗にサポート校と言われているところとイコールと考えていいんでしょうかね。サポート施設には、法令上の規定は何もないということは一覧表の中にもあるわけですけど、でも、質を保証する上で、サポート施設に対して、それは通信制の高校、本校を通してなんだと思うんですけど、とにかくものを言うようなことを、今回何か盛り込むことができないのかというのは、数を改めて見ていると、やっぱり非常に極端に多いので、その辺のところはどうお考えなのか、文科省の方に伺いたいと思います。
【荒瀬座長】 どうぞ。
【酒井参事官補佐】 事務局でございます。今の中西委員の御指摘でございますが、大変重要な御指摘だと思っておりまして、そして大変難しい課題だというのを率直に申し上げようと思っているところでございます。
いわゆるサポート施設というのが、法令上位置付かないものということで、所轄庁の設置認可のときから、基本的にはいわゆる学校教育という範疇ではなくて、通信教育の中のサポートをするというところで今行われているといったところで、そういったところで行政上の権限が及んでいないというのが率直なところでございます。
かなり、そういったところで、様々な、実はその点、課題があるというのは、中西委員からの御発言も恐らくそういったことだと思いますし、これまでの会議とか、各所からいろんな御指摘を頂いているところであるんですけれども、こういったところを、まさに行政であったりとかがどこまでそういったところに関与していくべきか、いわゆる独自で行われている教育活動に関与すべきなのかどうかという根本的なところがあると思うんですが、そういったところを含めて御検討いただくべきところかなと思っております。
そういったところで、本日のところは、まだ我々、その辺は御提言ができていないというのが率直なところでございます。
【荒瀬座長】 いかがでしょうか。
【中西委員】 何らかの形で最終的には物申すというかですね、報告を最終的にまとめるんでしょうけど、やっぱり取り出して言うべきぐらいの数ではないかなという気がしますので、難しいことは重々分かっているわけですけど、そこは今後検討いただければと思います。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。森田先生、どうぞ。
【森田委員】 面接指導のところに限らず、全体で質問を出してよろしいという認識でよろしいですか。
【荒瀬座長】 そうですね。全体を通じてお願いいたします。
【森田委員】 今こういった形で、質保証を担保した形で作り上げていく。非常にいい方向だと思うんですが、最終的に、これ、どのような形で確認していくのかというのが一番の問題になってくると思います。先ほどの中西委員も全くそのとおりだと思うんですけれども、資料の1番に戻ると、親のワーキングの方で、第三者評価よりも重い認証評価のものも考えられるのではないかというのが2ページの中段ぐらいにあるんですけれども、今はまだ考えておられないのかもしれませんが、結果的にこういった形で、いろいろな形で整備をしたときに、これをどのような実施をしているかどうかというのをきちんとモニタリングしていくのか。第三者評価機構が立ち上がったところではありますけれども、文科省の方で何か計画等、先ほどの中西委員の回答によるとまだ考えていないのかもしれませんが、もし方向性等あるようでしたら、教えていただけますと幸いです。
【酒井参事官補佐】 高校ワーキングの中でも御議論ありました認証評価なんですが、これは委員の皆さんも御案内のとおり、大学で盛り込まれているいわゆる規定になっています。大学の方がいわゆる事後評価というのが根本的な考え方になっていて、事前規制なのか、それとも事後的な評価で教育の質を担保していくのかといったところ、その根本的なところがあると考えています。
この設置基準を、そのものの基準を上げたりとか、様々な規制を設けていくというのは、どちらかというと実は事前評価なのかなと我々では考えておりまして、いわゆる学校設置したりとか、様々な教育活動をする上で、事前に所轄庁なり設置者が様々な基準の下で行っていくというのは、どちらかというと事前規制。これは通信制教育に限らず、小学校、中学校、高等学校の初等中等教育全般に通底する考え方だと思うんですが、その中できちんと質保証していくという考え方に立っているということです。
大学を初め、認証評価というのは、これはどちらかというと欧米の考え方だと思うんですが、事後評価的、教育の質をいわゆるピアレビューの中で、大学人の相互理解の中で質の担保をしていくというのが事後評価になると思うんですが、これは今、現状では日本では高等教育の分野、世界的にもかもしれませんが、入っているというところで、これを通信教育というか、いわゆる初等中等教育で該当すべきかどうかというのは、かなり根本的な転換に関わる問題なのかなと考えています。
これまでの御議論で我々思っておりますのは、どちらかというと事前に設置なりというところで所轄庁が御判断いただくというのは事前評価のところなのかなというふうに、事前の規制というか、設置基準なのかなと考えておりまして、今、様々お取組の中で、通信制課程の各団体の方が、第三者評価なり、様々御努力を頂いているところだと考えておりますが、そういったところから、認証評価、もう一歩踏み出すということなんですが、踏み出すとなると、かなり初等中等教育の考え方の根本的な転換につながるといったところになりますので、我々としては、抜本から転換するという整理、哲学的な変更が必要になるかと思っています。少々長くて申し訳ございません。
【森田委員】 ありがとうございました。
【荒瀬座長】 よろしいでしょうか。そういったことも踏まえて、16ページの点線囲み、対応方策の丸の2つ目の下の方ですけれども、いろいろな形で具体的に、所轄庁も含めて、連携協議会なんかをやっていく中で、どう質を向上していくのかというのを考えていくという、これは本当に学校にお願いするということになるわけですし、所轄庁にお願いするということになるんですけども、こういったものも必要ではないかということだと思います。
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。原口先生、どうぞ。
【原口委員】 原口です。少し話が飛んでしまうかもしれないのですが、面接指導の質保証にも関わると考えているので、発言させていただきます。
今回、コロナ渦における緊急時の学習保障ということで、通信制においてもICTの利活用は非常に有効な手段であることが分かりました、例えば県の方で、家庭にWi-Fiの状況がない、整わない生徒には、Wi-Fi環境を整えるようにということで、全部ピックアップして貸すことができました。そして、スマホもない家庭にはChromebookも貸し出しています。
これからの新しい時代を新しい生活様式で生きていく生徒たちにとって、今回初めて、スマホを持っている生徒はスマホを使ってなのですが、それ以外のICT機器を操作することができ、オンラインでスクーリングに参加をすることもできたんです。そういうことで生徒は自信が持てたのではないかと思っております。
一方で、ここに書いてありますとおり、教師の対面による指導もまた不可欠だということが十分に再認識できました。
特に通信制は個別の伴走型支援を必要とする生徒が多く在籍しております。ICT機器の扱いについても、隣にいて丁寧な説明が必要です。説明書だけを渡して、さあ読んでやってくださいと言っても、使えるものではありません。そばにいて、レポートの分からない部分を丁寧に教えるように、個別の指導が必要である生徒は、教員が伴走的支援をすることによって、知識を学ぶだけではなく、他者と関わる重要な機会となると考えております。
ですので、その両方、ICTの利活用とそれから対面による面接指導の両方のバランスがとても大切なのだろうと考えております。
今回、10ページのマル6の下の丸のところの3行目、「ICTを基盤とした先端技術を効果的に利活用した新しい学びの形が生まれてきている」。こういうことも、実証研究を実施することが適当なのではないかとあります。まさにそのとおりで、今、自分の学校でも実施しているところです。全日制が今まで取り組んでこなかったオンライン授業を、どの県でも一生懸命取り組んでいます。少し先端を行っていると思っていた通信制があっという間に抜かれているような感じもします。
そこで、オンデマンド型、ライブ型、両方ありますけれども、本当に通信制教育の質の保証を考えたときに、対面の面接と、それからICTの利活用をともにやっていくこと。これが新しい生活様式における質の保証になると考えておりますので、10ページの丸の中に書かれておりますが、研究開発でということで収めるのか、またもう少し発展させていくのか、また議論もできるかと思っております。
以上です。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。今おっしゃったこと、是非今後も議論をしていければと思っております。これ、高校ワーキングもそうですけれども、それのみならず、初等中等教育全体で、ハイブリッドというような言い方がされていますけれども、使ってみた結果、本当にいいところと悪いところといいますか、足りないところがよく見えてきたということもありますので、両方をどう生かしていくのかというのを考えていく必要があるように思います。
さっき原口先生もおっしゃっていましたけれども、これは多分特別部会だったと思うんですけれども、不登校の生徒がこのコロナ渦の中で学校の教育に参加できるようになったという、そういったような報告も頂いておりますし、是非今後考えていきたいと思います。ありがとうございました。
ほかにはございませんでしょうか。日永先生、お願いします。
【日永委員】 全般にわたってコメントしていいということでしたので、今ちょうど取り上げられた10ページのところの上から2行目なんですが、これまで私たちはわりと子供たちの学習環境という面からいろんな議論をしてきたと思うんですが、今回、私がこれまでもしかしたら見落としていたかもしれませんけれども、教員の健康面という文字が初めて入ってきたように思います。実はこの間、ある通信制高校の学習センターに勤める、正確には勤めていた教員の方から個別に連絡を頂きまして、やっぱり心身両面にかなりきめ細かい対応しなきゃいけないということ。それから、どうしても不安定な勤務形態になりがちだというふうなことなどから、結局その方は、心身両面、病んでしまわれて、御退職されたということだったんですが、今回こういう健康面への配慮というのが、言葉が出てきましたし、子供たちの学習条件ということなんですが、教員1人当たりの生徒数であるとか、あるいは配置すべき教員の専門性であるとかということについてはかなり細かく出てきました。
どこにどう含み込めばという具体的な意見は持ち合わせていないのですが、こういうきめ細かな対応をしなきゃいけない教員の労働環境というか、そのようなことについて、今回すぐにでもなくても、何か将来的に盛り込んでいくようなことをもう考え始めてもいいのかなというようなことをちょっと思ったので、発言させていただきました。よろしくお願いします。
【荒瀬座長】 ありがとうございました。おっしゃるとおりかと思います。かつまた、教員というのは、生徒にとってみたら最大の教育条件でもありますので、教員が元気で、健康で、しっかりできるということが質の確保・向上にも欠かせないと思いますので、そのようなことは是非盛り込んでいただきたいと思いますね。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。森田先生、どうぞ。
【森田委員】 度々すいません。ありがとうございます。原口先生がおっしゃってくれたことについて付加的に意見を述べさせていただきます。今回のことがすごく大きく響いているんですけれども、各学校がオンラインの授業というのをよさを見つけ出してきて、通信制と全日制が非常に近くなってきているように思います。
その中で、通信制は通信制の質の確保とその特徴を出していくということだと思うんですけれども、その中で、先ほどの研究の指定の部分があったんですが、実はここ以外にも、文科省、それから内閣府の、そういった遠隔授業の委員に僕は入っているんですけれども、これからそういった研究実証的な、実証研究的なプロジェクトというのは非常に重要になってくると思うんです。通信制高校の指定校のようなものを作って、そこで先進的に何か取組をする。これは公立に限らず、私立であってもよいとする形で、何か公募のような形で、基金、資金ですかね、いわゆる科研費のようなものですかね、そういったものを何か設置して、先生たちのやる気を喚起するような、そういった取組というのは何か計画があるのでしょうか。
もしなければ、何かそういったものを作っていただくという方法をちょっと教えていただければ、我々のほうでも考えたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 事務局でございます。今森田委員から御発言がありましたようなそういったプロジェクトというのは、例えば国の方では、国の方のいわゆる研究開発事業、調査研究事業というような形で実施をするというようなことがございます。これは財政当局に認められるかどうかというのが大前提にはなってまいるんですが、私どもの方で、こういった御意見も踏まえて、例えば予算要求をして、そういったプロジェクト研究ができるようにできるかどうかというのは、財政当局との相談というのが必要になりますけれども、検討させていただきたいと思っているところでございます。
【森田委員】 ありがとうございました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。なければ終わりますか。中西委員、どうぞ。
【中西委員】 何もなさそうなので、今のお話は、恐らくチャンスだと思うんですよね。今年こういうことがあって、通信制高校を含む指定校のようなものというのは。こういうときに何か作り出さないとという気はするので、ちょっと一言だけ発言しました。
【荒瀬座長】 ありがとうございます。中西委員も、またいろんな方法で是非御発信をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
時間はまだ少しありますが、また思い出されるようなことがあったりとか、後から何かお気づきのことがありましたら、メール等で事務局にお届けいただくということにさせていただいてよろしいでしょうか。
そうしましたら、ありがとうございました。いろんな御意見頂戴いたしまして、更にまた具体的に進めてまいりたいと思います。
では、今日はこのあたりにしたいと思います。
第2回の会議で整理をしたのでありますけれども、検討事項の1として、高等学校通信教育の質保証方策についてということで、もう一つが、先ほどからも出ています御意見とも関わりますが、検討事項の2といたしまして、新時代の高等学校通信教育の在り方ですね。新しい時代の高等学校教育の在り方というのは、ワーキンググループでも検討していますけれども、そこにもまた関わるような話として、通信教育の新しい形というのをどう考えていくのかということも、2つの柱として検討することになっております。
次回は、本日の御議論を踏まえまして、検討事項1に相当する質保証に関することの取りまとめを一旦行うことにしたいと思います。その上で、検討事項1の議論も踏まえながら、検討事項2の検討の方を順次進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、次回以降の予定につきまして、事務局からお願いいたします。
【酒井参事官補佐】 次回の日程につきましては、主査と御相談の上、追って御連絡させていただきたいと思います。
また、本日、大変私ども事務局の不慣れなで点がありまして、大変御迷惑をおかけしました。大変申し訳ございませんでした。また今後ともよろしくお願いいたします。
【荒瀬座長】 それでは、終了いたしたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――







 

(初等中等教育局参事官(高等学校担当)付)