外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(第6回) 議事録

1.日時

令和元年11月26日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省9階 総合教育政策局会議室

3.議題

  1. ①日本語能力の測定方法と指導への生かし方、②障害のある子どもへの対応、③教材の充実(ヒアリング等)
  2. ヒアリングを踏まえた意見交換
  3. その他

4.議事録

【佐藤座長】
 それでは定刻になりますので,ただいまから外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議第6回になりますけれども,開催させていただきます。本日もお忙しいところ,お集まりいただきありがとうございます。
 なお,カメラの撮影は冒頭頭撮りのみとさせていただきますので,終了のタイミングについてはまたお声掛けさせていただきたいと思います。
 では最初に配付資料,議事の確認等に移りたいと思います。事務局よりお願いいたします。

【林調査官】
 配付資料,議事の確認をさせていただきます。本日の配付資料ですが,議事次第のとおりでございます。不足等ございましたら事務局までお申し付けいただければと存じます。
 また,これまでの有識者会議の資料は,机上に御用意しておりますドッジファイルにとじておりますので,議論の際に適宜御参照いただければと思います。
 議事につきましては,資料4を御覧ください。資料4,主な検討事項を御覧いただければと思いますけれども,本日は,2の指導力の向上の日本語能力の測定方法と指導への生かし方,障害のある子供への対応,教材の充実について御議論を頂く予定としております。
 まずは,資料1,2,3についてそれぞれ御発表いただき,その後意見交換を行いたいと思います。
 また,意見交換に当たっては,今回も事務局作成メモを作成しています。
 資料5を御覧いただければと思います。まず,日本語能力の測定方法と指導への生かし方ということで,文科省が開発しました外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAの活用については,日本語能力の測定を実施するまでに研修等が必要ですとか,実際の実施にもある程度時間がかかる,又は複数人数でも実施できたり,短時間で実施できたりするような工夫が必要等の指摘がある中で,測定方法の普及に向けた具体的な方策として,どのようなことが考えられるのか,また,日本語能力を測定し,その結果を指導へと生かすために,どのような手法や取組が考えられるか,また,課題は何か。
 教材・手引きの充実のところでは,これまでに作成された教材・手引き等を踏まえ,また,民間等において各種教材が多数作成されている中で,教材・手引き等の充実に向けて,国として対応すべきことは何か。また,「かすたねっと」の機能を強化して,先進的な自治体等が作成している教材・文書を全国展開してはどうか。例えば,「かすたねっと」による動画コンテンツの配信。「かすたねっと」の活用促進のため,アクセス数が多い教材・文書(トップ10)などを検索画面に表示するなど。
 これはこの後報告があるかと思いますけれども,障害のある児童生徒向けの音声教材等を,日本語指導が必要な外国人児童生徒等も使用できるように検討が進められていますけれども,使用が可能となった場合,活用の促進や指導の充実のための取組として,どのようなことが考えられるのか。
 障害のある子供への対応としては,義務教育諸学校等に通っている障害がある外国人児童生徒はどの程度いるのか,まず,文部科学省が実施している「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」等を活用して把握する必要があるのではないか。また,調査を行う場合,留意する事項等はあるのか。また,文科省内に設置された「外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チーム」の報告ですとか,あとは総合的対応策の充実について,この資料5の後ろの方に抜粋を付けていますけれども,まずは障害のある子供への対応ということで,その取組を着実に推進していく必要があるのではないかということでまとめさせていただきましたので,この後の議論の参考にしていただければと思います。
 説明は以上ですけれども,カメラの撮影はここまでになりますので,これ以降は御遠慮いただければと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは,議事に入りたいと思います。
 まず,資料1,日本語能力の測定方法と指導への生かし方―「DLA」の活用を中心に―と題して,本日DLAの開発を中心になって進めていただきました国際教養大学の伊東先生にお見えいただいておりますので,伊東先生の方から御説明をお願いしたいと思います。二,三十分程度でお願いできれば有り難いと思います。よろしくお願いします。

【伊東教授】
 今,御紹介いただきました伊東祐郎と申します。本日は20分ほど使って,文科省委託事業の評価法についてお話ししたいと思います。基本的にはパワーポイントの資料1にのっとってお話ししますので,画像を見ながら,どの辺を話しているか,参照しながらお聞きいただければと思います。
 平成22年,文科省から外国人児童生徒の能力測定についてどうしていいか分からないので,3年間の期間を用意しているからテストを作ってくれということを依頼されて,私たちチームを組み,日本語能力の測定方法について検討し,開発したものがDLAでございます。
 当時,私たちはその開発に先立ちまして,現場では,一体どういうことが問題になっていて,評価に関してはどんなニーズがあるのか,やはり現場の先生方に使っていただくものでなければ駄目だろうということで,初年度,平成22年度,いわゆるニーズ調査を行いました。開発に先立って全国の小学校,中学校の先生方に,日本語能力の測定評価でどんなことについて困っているかということを調べた結果,様々な御意見が出ましたが,パワーポイントでは主なものをまとめております。
 まず,話し言葉,会話力はあるんだけれども,学習言語がどの程度身に付いているか分からないとか,あるいは,日頃の観察から,子供たちの日本語能力はある程度分かるんだけれども,いわゆる寄りどころとなる基準がないので不安である,そして,たまたま指導するように頼まれてしまって,学校では私以外の者は誰も担当していない,自分自身の日本語能力の判断が私に全て任せられていて,ほかの先生方と共有できなくて,それでいいんだろうかというようなことの不安等がありました。
 それと同時に,やはり先行きの見えない日本語指導に関して,指導目標の設定や,どこまで指導したらいいかという到達レベル,そして,加配教員や指導担当者を配置しているんだけれども,一体どこまで指導したり,加配教員を手当てしたらいいのかということで,指導終了の目安がなくて,そのことが体制の在り方や指導の在り方で困っているということがありました。総括しますと,日本語能力の判定が分からないというところから先生方は不安に思っていらっしゃるという実態がありました。まずこのことをお話ししておきたいなと思います。
 その年の終わりに,今度我々は小学校,中学校の先生方に,実際どんな日本語能力測定のためのテストを扱っているかということで,文科省の公文書を通して集めました。かなり多くの試験が集まりました。その結果分かったことは,多くの現場で使われている試験等,テストというものが,平仮名の読み書きや片仮名の読み書き,漢字の読み書き,文法ということで,日本語の文法,語彙,そして,漢字,大体多くがその指導と確認するテストで終わっていたということで,このことから我々は暗記を中心とした指導や取り出し指導が行われているのではないかということが推測できました。
 したがって,このパワーポイントの児童生徒の指導と学びの実態から分かったことは,左側,日本語指導や取り出し指導での中身は,日本語の記号やルールという,文法規則の指導に終始していて,子供たちはそれを暗記するということが中心だということが分かりました。
 このDLAを開発するに当たりまして,我々は教科学習や学びの力をどう身に付けているのかという,いわゆる運用能力の測定がやはり必要だろうということで,聴解力,読解力,口頭表現力,文章表現力に代表される4技能の測定を目指す試験でないといけないなということに方向を定めました。そのことによって,いわゆる子供たちの個性や潜在的な力が測定できるのではないかという結論に至った次第です。そうなりますと,ペーパーテストでは限界があるということから,我々は子供たちに対してやりとり中心のテストを作成しないと,子供一人一人が違うがゆえに,個々の能力が測定できないのではないかということも,ここで検討しました。
 また,教科学習という点でいうと,教科に関わる領域にもある程度介入し,その中で子供たちが潜在的に持っている知識や能力を発揮,あるいは,有無を測定するようなテストでないと,彼らの学びの力を全体的に測定できないのではないかということで,いわゆる創造的な学習や力が測定できるテストを作るべきではないかと考えが至った次第です。
 したがいまして,きょう,こちらにお持ちしたDLAはやりとり中心ということと,子供たちの個性に応じた創造的な力を測定できるということを目的に作ったということをまず申し上げておきたいなと思います。
 次のスライドです。
 教育学における評価と申しますと,よく言われている診断的評価,形成的評価,総括的評価というのがございます。このDLAは,診断的,形成的,総括的,全ての評価に対応できるということも,ここで申し添えておきたいなと思います。
 次のスライドに行きます。
 それで,きょうお話しするDLAなんですけれども,全てのお話をするには時間が短いので,ここにいらっしゃる皆様にはどのような子供に一体使うのか,そして,どのDLAを実施したらいいのか,そして,なぜ対話型なのか,この点について御理解いただければと思います。そして,実際に運用するに当たっては,実践ガイドとか診断シートを活用しなければいけませんけれども,それがどんなものか,概要をつかんでいただければと思います。そして,最も重要な点は,DLAには2種類のJSL評価参照枠というものを用意しておりますが,一体これがどういうもので,その活用方法はどんなものかということを是非把握していただきたいなと思います。
 さて,文科省の学習指導要領とか,あるいは,様々な指導において,学ぶ力,教科学習についていく力ということが言われておりますけれども,私たちも,いわゆる創造的な学習や,創造的な力って一体どんなものかということでいろいろと文献に当たりました。もちろん,学習指導要領にも当たりましたけれども,きょうは手っ取り早くベンジャミン・ブルームの教育目標のタキソノミーで,我々の知的活動というものを共有したいと思います。
 この三角形のタキソノミーなんですけれども,下から知識,理解,応用,分析,評価,創造ということで,いわゆる思考力の認知的負担度が徐々に高くなっていくと御理解いただけたらと思います。知識はあるものを獲得するもので,それが理解できたかどうか,そして,応用,分析と高度になっていきますけれども,我々はやはり現取り出し指導で行われているような日本語の文法,あるいは漢字の学習というものでいいますと,暗記ですとか記憶のレベルで終わってしまっている。要するに,知識や理解レベルで終わっているという現実に私たちは直面しましたので,タキソノミーでいいますと,更に高い次元,応用,分析,評価,創造,このような力にやはりメスを入れないと,子供たちの学ぶ力や教科学習についていく力は測定できないのではないか,また,そのことを意識した指導が必要ではないかということで,参考までにこれを紹介させていただきたいと思います。
 それと同時に,やはり母語が日本語ではないわけですから,いわゆるバイリンガル教育の知見を十分に活用しないとテストも開発できないというところから,よく皆さん御存じの,カミンズの氷山説で言われている,深層面,我々が子供たちを見たときに,潜在的に持っている認知能力,思考力,想像力,推測力,ここにどうメスを入れるかということでいろいろと検討しました。日常会話ということで言えば,日本語を話している,たどたどしいとか,あるいは,母語がポルトガル語,スペイン語,タガログ語という点でいうと,表面的なことは,我々,いろんなことで判断できるんですけども,目に見えない潜在的な能力をいかに発揮させられるような,そして,そのことの存在に気付けるような測定法が開発できたらなということを平成22年から23年について議論したということになります。
 では,いよいよ,このような理論背景や状況から私たちはDLAを開発しましたけれども,DLAは本冊と別冊からなっております。本冊の構造は,概要がありまして,実践ガイドがあり,診断シートがあり,JSL評価参照枠<技能別>,そして,本冊等々がございます。そして,カード類も本冊の巻末資料の中に入っております。そのほかに別冊<読む>ということで,いわゆる教材も用意しております。きょうは個々の説明はいたしませんけれども,こんなような構造からなっていると御理解いただけたらと思います。
 DLAの狙いなんですけれども,平成22年度,そして23年度の実態調査から,私たちは日本語での日常会話はできるけれども,教科学習に困難を感じている子供たちを対象にしたものにしようということに至りました。日常会話はほとんど問題ない,しかし,教科学習でいろいろ困難を感じている,先生方が困っていらっしゃるという点で,子供たちの言葉の力をある程度促成でき,指導に役立てられるような情報が得られたらいいかなということに思いをはせたわけです。
 評価は,いかにどのような情報を得るかによって,その情報を生かして,判断や,その後の政策や学習の中身の検討に移るわけですけれども,そのような情報が極力得られるようなということを一つ特徴としました。そして,日常会話ができるかがという,ここも一つの特徴で,会話力には問題ないということですので,最も彼らが得意とする会話力,聞く力と話す力を使って測定できるものにしたいと思いました。話す力を使いつつ,読む力と書く力も測定するということで,ちょっと欲張りではありますけれども,4技能を全て,会話,話す,聞くという力で測定しようということに至りました。この点が,従来型の知識偏重型の,いわゆるペーパーテストではないということで,ある程度の形式が対話型になってきたということになります。
 そのほかの特徴としては,子供たちの異なっている点というのは,母語力,年齢,入国年齢,滞在年数などによって――我々,4大要因と言っておりますけれども――様々でありますので,DLAをすることが子供にとって学びの機会となればいいかなと思っております。いわゆる測定法,テストではありますけれども,対話型であるがゆえに,子供たちとのやりとりから,そのやりとりのプロセス,イコール学びの機会になればいいかなということで作ってまいりました。
 したがいまして,日本語力が十分ありませんので,ある程度忍耐力を持って彼らの応答を待つ,そして,発信したことに関して認める,褒めるということで,学習意欲や興味関心を高めるということが一つの目的にもなっております。それと同時に,教科学習について困難を感じているわけですから,教科学習が楽しいものだ,教科学習に興味関心が持てたというような,そういうことへの機能も盛り込みたいなと思いました。
 いよいよDLAの構造です。先ほどJSL評価参照枠<技能別>と申し上げましたけれども,ここが最も重要なところです。学校の先生方は教育目標の設定が難しい,この子供をどのレベルまで教えたらいいのということで悩んでらっしゃるというところから,我々は支援の在り方をJSL評価参照枠で分かるようにしたいというところで,次のスライドを御覧ください。
 JSL評価参照枠<全体>ですけれども,実はこれが支援の在り方として示したものです。子供たちの日本語能力をステージ1から6まで6段階にいたしました。そして一番右側,支援の段階ということで,1,2が初期支援段階,3,4が個別学習支援段階,そして,5,6が支援付き自律学習段階です。平成22年度に3年かけて作りまして,その後いろいろと検証したり,学校の先生方にお使いいただいて,これまでの先生方の感想から,大体ステージ4まで行けば,あるいは,4ぐらいまでが絶対的に日本語指導が必要なレベルということを私たちも確信を持って今申し上げたいなと思います。ステージ1から4が日本語指導が必要なレベル,特別な教育課程の対象になるのは,恐らくステージ1から4までだろうと私たちは推定しております。ステージ5,6レベルの学生は,やはり私たちも会いましたけれども,目が生き生きとしていて,自律的にある程度勉強できるということで,時折,必要に応じて支援は必要ですけれども,絶対的な個別指導は必要ないと私たちは理解しております。
 したがいまして,このJSの評価参照枠<全体>から,大体どのレベルのステージにいるかによって支援の在り方を決めていただければいいかなと思っております。我々と一緒に開発した中島先生がおっしゃるには,ステージ1上がるごとに大体1年はかかるねと,教科学習についていくには多くのレポートからも5年6年と言われておりますので,このステージの設定は間違ってはいなかったかなと思っております。
 次に,JSL評価参照枠<技能別>です。この技能別がとても重要で,これはもちろんDLAをやっていただいた後お使いいただいてもいいですけれども,お忙しい先生方,また日頃接触していることから,子供たちの特徴がある程度お分かりいただければ,この評価参照枠だけ見ていただいて子供たちのレベルを推定していただいてもいいと私たちは思っております。DLAを作ったときも,やはり時間がなくてできないよという声が多かったです。しかしながら,そういう先生方には評価参照枠だけでもいいので,日頃の観察から子供たちの特徴に最も近いステージを判定し,どのレベルかを見ていただくだけでもいいのでということで,この評価参照枠を是非お使いいただくようにということでお勧めしております。
 またちょっと戻ります。DLAの構造を見ていただきますと,もう評価参照枠がコアになります。これだけでは分からないといったときに初めて,DLAの「はじめの一歩」や,話す,読む,書く,聞くをやっていただければ結構です。ですから,DLAの「はじめの一歩」,話す,読む,書く,聞くは,情報を得るための,子供たちに刺激を与えてどんな反応するか,その出てきた反応に応じて,また再び評価参照枠に戻って判定するわけですから,日頃の観察だけでも,この評価参照枠で十分判定できるということ,なおかつ追加情報で,もっと更に詳しく知りたいと言ったときに,DLAの様々な試験をやっていただければよろしいかなと思っております。
 DLAの中身はこのようなカードが別冊に付いておりますし,付録にも付いておりますので,このようなものが入っているということと,DLAの実践のための実践ガイドです。これはもう対話型なので何を話したらいいのという先生方に対しては,このとおりやっていただければいいということで,この吹き出しどおりやっていただければいいということで御案内しております。そして,出てきた発話から我々は診断しなければいけませんけれども,次のスライド,DLAの評価1,診断シートに基づいて子供のレベルを測定していただければよろしいかなと思っております。
 これが技能別です。4技能全部そろっております。
 そして,実施した後のレポートということで,このようなものを作っております。そして,DLAの記録2,ちょっと早くて申し訳ありません,採点表がございますけれども,これは4技能をやった後,子供たちがそれぞれの観点でどのステージにいるかというものが全体として俯瞰(ふかん)できるようになっております。そして,一番右側は全体と支援の段階ということになります。
 それで,DLAの使用法です。どこで? 学校で,もちろん地域で,いつ? 診断シートということで,診断的評価ということであれば入学時,編入時,そして1年後ということでもよろしいかと思います。誰が? 教員が,あるいは学習支援者がということで,児童生徒に携わっている方であればよろしいかと思います。
 DLAの活用法としては,行政,いわゆる予算,人員配置といったときに,日本語指導が必要な子供たちの数を把握したり,支援の質,ここでいうと,どのレベルにいるかというのがやっぱり質として最も重要な情報として必要になってまいりますので,このことを知りたい行政側にはお勧めかなと思っております。そして,指導上のヒントに関する情報も共有できるということを考えますと,担当指導者,在籍学級担当教師ということで,この評価に当たっては,日本語指導者のみならず,評価した先生のみならず,やっぱり,それに関わる先生と一緒に評価していただくことによって,子供の力を共有できたらいいかなと思います。
 最後に,保護者,地域支援者と情報一部共有というのもとっても重要だなということを,これまでの先生方の報告からも伺っています。特に保護者にDLAの結果を見せることによって,保護者側も会話力は十分だから,自分の子供は大丈夫だと思っている親が少なくないということがありました。したがって,読み,書きも含めた総合的な力をDLAの結果を見せることによって,必要な読み,書きについてはもっと勉強しなければいけない,あとはそこが必要だということを共有するという意味でも,この結果を保護者と共有することも大切なことだと私たちも実感しました。
 あとは,転校時の伝達情報として,やはりこれまで共通の参照基準がございませんでした。しかしながら,子供たちの移動によって,また日本語能力が分からないと言ったときに,共通の指標があることによって,受入先でも同じような情報を共有して,次の指導に役立てられるということを考えますと,いわゆる転校時の情報伝達としても,是非使っていただきたいなと思います。
 DLAの対話の役割です。当時の文科省からは,先生方忙しいので簡単なテストというふうにおっしゃいましたけれども,実は対話がどうしても重要だという結論に至りました。向き合わなければ子供たちは本来の力を発揮しないということです。したがいまして,個性が違う子供たち,多様な子供たち,それぞれ個別に向き合うことによって,子供たちは潜在的な力を発揮するということがDLAを作成し,実践して分かりましたので,対話とはとても重要だなということになります。
 対話をすることによって,子供たちがどこでつまずいているかが発見でき,また,子供たちに今必要なフィードバックが何かが瞬時に分かるんですね。いわゆる対話をすることで,子供たちの学びや,あるいは突っ掛かっているところに支援の手が差し伸べられるので,多様性であるがゆえに個別対応が必要,そして,対話しないと,この違いやつまずきが分からないということですので,やっぱり対話はとても重要だなということと,その対話から子供たちは分かった分からないを実感でき,また,自分自身の潜在能力にも気付いて,学び,そして学習が楽しいと実感できる機会にもなっているというふうに申し上げたいなと思います。
 時間も少ないので,簡単に最後,ヴィゴツキーのことについて話したいと思います。我々もいろいろ作った結果ヴィゴツキーの発達の最近接領域ということの知見がDLAには十分に生かされるんじゃないかと感じました。このイメージ図,「助言なしでできる」。これは会話力とか,普通のペーパーテストでも実現できますけれども,やはり我々は子供たちの学習,そして学びを,発達を支援したいので,そこにはどうしても助言だとか,介入だとか,対話することによって,ヴィゴツキーの言う,助言があれば伸びる力がある,可能性の発達水準がある,ここはやはりDLAが大きな役割を果たしているところだろうと思いました。
 ただ単にペーパーテストは,この丸のコアの助言なしでできる部分ですが,DLAをやることによって対話をする。そして,対話から,助言や,あるいはつまずいているところの介入をする,ここが,いわゆる発達の可能性水準にメスを入れて,このことが新たにまた発達を促していくというシステムです。
 ですから,教師が行う介入とは,児童生徒が行っている推論を探る,子供たちの推論からいろいろと,どんなことを考えているか,どんなレベルか分かっているか分からないか,そして,計画を立てたり,関連した特質に注意を引き付けたりというようなことが可能であり,そして,学びというものが楽しいものである,そして,自分自身の学習の潜在的な能力にも子供たちが気づくというところにも十分介入しているかなと思っております。
 これはテストでいうとダイナミック・アセスメントということで,既にあるものの状態を測定し,評価中にフィードバックを与えない,従来型のペーパーテストとは異なっているよと。ダイナミック・アセスメントというのは,いわゆるテストをしつつ,子供たちの力を引き出すというもので,ただ単に能力評価だけではなく,テストを通して学びも同時に起こっている,だからダイナミックと言うらしいんですけども,DLAは正にこのダイナミック・アセスメントだろうと私自身も感じております。児童生徒の思考能力を明らかにするための介入によって,児童生徒の発達,変化を促進させ,そして先生方に対してはどういうふうにして指導したらいいかということなんですけども,このDLAをやることによって,いわゆる指導方法,要するに介入の仕方や,あるいは助言の与え方がある程度体感できるので,そこからヒントを得ていただければいいかなと思っております。ですから,教科指導をどうするのというよりも,子供に対してどのような介入をしていったらいいか,その指導方法のヒントをDLAをやることから獲得していただければいいかなと思っております。
 最後ですが,潜在的な能力と発達した能力との差,つまり発達した能力が潜在的な能力をどのぐらい反映するかに焦点を当てたのがDLAなので,DLAでは,先生方がどんな介入,そして,どんな助言をするかということがとても重要になってくるということで,このことそのものが指導につながると私どもは考えております。
 そして,きょうはパワーポイントのプリントとは別に学習目標例,これは「かすたねっと」に掲載されたもので,佐藤郡衛先生を中心に作られたものです。これも,学習目標例としてDLAと併せて使っていただければよろしいかと思いますし,あとは,外国にルーツを持つ子供のバイリンガル読書力,A4,1枚のものですけれども,これも本来であれば年齢別枠に,私たちはDLAの評価参照枠を作らなければいけませんでしたけれども,時間がなくて作れませんでした。今,科研でこのことを作っておりますけれども,やはり年齢枠別に作った一つの例として,この表7-4をお使いいただけたらなと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 次に移りたいんですが,まずその前に,このDLAに関して,疑問点,何か確認しておきたいこと,分かりにくいというようなところがあればお受けしますが,いかがですか。よろしいですか。
 では,後ほどまとめて議論をさせていただければと思います。
 伊東先生,どうもありがとうございました。
 続きまして,資料2に基づきまして,発達障害情報・支援センターにおける外国にルーツを持つ発達障害児と家族への支援に関する取組ついて,国立障害者リハビリテーションセンターの与那城発達障害情報分析専門官から御説明をお願いしたいと思います。
 また,同じように30分程度でお願いできれば有り難い。よろしくお願いいたします。

【与那城発達障害情報分析専門官】
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。国立障害者リハビリテーションセンターにございます発達障害情報・支援センターから参りました与那城と申します。
 私どものセンターにおける外国にルーツを持つ発達障害児と家族への支援に関する取組について説明をさせていただく機会を頂きましたので,資料に沿って説明させていただきます。
 こちらは,私ども発達障害情報・支援センターで取り組んでいることを1枚で示したものになっております。中央が当センターの役割で,発達障害に関する国民の理解促進を図り,信頼のおける情報を提供することを目標としています。その目標の下,情報収集,分析,発信や関連機関等との連携,そして教育・福祉連携推進については,トライアングル・プロジェクトの実現を目指した取組などを行っております。そのほか,地域支援推進,普及・啓発,自治体訪問や調査・研究など,センター一丸となって進めております。
 特に情報発信については,私どもセンターの役割として非常に重要な部分となっております。そこで,平成29年度より情報分析会議を設置し,有識者,研究者や当事者団体等との連携の下,有用な情報の収集,分析を行い,エビデンスに基づく正確な情報の発信に努めているところでございます。
 発達障害の支援については,現状としてまだ各地に様々な課題がある中で優先的に取り組むべき課題が何かということを,情報分析会議の中で委員の皆様と一緒に協議検討し,テーマを選定しております。テーマが確定したら,テーマごとに作業部会を設置し,必要な取組を進めると,このような流れになっております。
 そのテーマの一つとしまして,外国にルーツを持つ発達障害児と家族への支援を取り上げることとなりました。現在までどのようなことを進めてきたかということをこの後説明させていただきます。
 まず,現状としては,こちらにお示ししたような課題があると考えられました。近年の時代の変化に伴い,支援が必要な外国にルーツを持つ発達障害児とその家族は今後更に増加することが想定されること。各地の拠点機関――ここでは主に各都道府県,政令市に設置されている発達障害者支援センター等――での対応状況等については,これから整備を進めるところが多いであろうということ。また,外国人保護者に対して,発達障害の基本的内容や国内で利用できる社会資源等に関する情報提供を行う体制が不十分であろうということです。そこで,こちらの作業部会では,外国にルーツを持つ発達障害児や保護者にも適切な支援が届くよう,必要な福祉・教育情報などを提供していくことを目標といたしました。
 こちらの図は現時点まで取り組んできたことや,今後の計画案を大まかに記載しているものです。平成30年度より作業部会での検討を開始し,実態調査の実施や結果のまとめ,報告,そして,多言語版パンフレットの作成を進めてまいりました。パンフレット完成後は,周知や各地での活用推進に向けて,現在注力しているところで,後ほどもう少し詳しく御説明させていただきます。更にその先の予定としましては,パンフレットの活用状況の把握や自治体などでの活用事例のヒアリングも行い,改訂の必要性などについても検討していこうと考えております。
 先ほどのスライドでは,現状の課題として想定されることを幾つか挙げさせていただきましたが,そう考えました根拠の一つとして,こちらの平成29年度の厚生労働省科学研究がございます。本田秀夫先生が研究代表者を務められたこちらの研究の中で,分担研究として,「外国にルーツをもつ障害のある子どもの実態と支援に関する研究」がございました。豊田市福祉事業団の髙橋脩医師が取り組まれた研究で,本日は,その結果の詳細は省略させていただきますが,事業所等への調査や支援関係者へのヒアリング調査などの結果を踏まえ,こちらの提言がまとめられておりました。
 そこで,当センターにおいても実態調査を行うことといたしました。先ほどの厚労科研での調査先には発達障害者支援センター等は含まれておりませんでしたので,まずは全国都道府県,指定都市の発達障害者支援センターと地域支援マネジャー配置事業所を調査対象といたしました。
 実施期間や回収数はこちらにお示ししたとおりです。センターが設置されている全ての都道府県,指定都市,87から回答を得ました。
 結果についてですけれども,詳細は別の資料の中にも御用意させていただきましたので本日は概要を,このスライドを使ってそのまま説明させていただきます。
 まず,外国にルーツを持つ発達障害児ケースへの相談対応について,全国のセンターと地域支援マネジャーがこれまでに対応した件数は合計1,927件でした。相談対応の経験を有するセンターは全体の6割,そのうちの4割弱のセンターでは,実際の対応件数は10件未満でした。その一方,対応件数100件以上というセンターが4か所ございました。最も多かったセンターは相談件数200件を超え集住地域のセンターでございました。
 では,どのような相談内容が寄せられていたかということについて,主なものをまとめました。一つは,「発達障害の特性や対応方法に関すること」です。具体的には,自分のお子さんが発達障害なのかどうかというような相談,あと,集団参加や適応上の問題,保育所や幼稚園,学校だったり,そういったところでの適応上の問題,あと,保護者との課題意識を共有することの難しさ,支援者から見たら気になるお子さんだなと捉えているんだけれども,そこを保護者と共有していくことが難しいというようなこと,あとは子育て観の違い,また,家族間によって使える言語が違ったりという家族間のコミュニケーションの問題などが挙げられておりました。
 もう一つ多かったのが,「社会資源や情報提供に関する相談」です。福祉サービスや制度,国内で使えるそういったのがどういったものがあるのか,あと,医療機関に関する問合せも多いということが結果の中で示されていました。
 次,受入体制の整備についてです。こちらは,各センターでの職員による外国語対応や通訳派遣も含めて,外国語対応の支援情報の提供がどのようになっているかという整備状況についても,調査項目を設けました。そうしましたところ,大半のセンターが必要性は感じている,だけれども,実際は難しいと,今後どういうふうにしたら実現していけるんだろうかということを検討しているというところが多くございました。
 次,支援を行う上で課題となっていることとしては,多い順に言語コミュニケーションの問題,次に発達評価・アセスメントの問題,次,子育てに関する考え方や文化の違い,このような順になっておりました。
 それぞれの施設として,今後,対策が必要だと考えられることについてもお尋ねいたしました。多い順に,利用できる社会資源に関する情報の収集,自分たちの地域で,外国にルーツを持つ親子さんに対してどのような社会資源の情報があるのかということ,そもそもそこの情報収集が必要であるというようなこと。その次に多かったのが,やはり説明用の資料の多言語化,そして通訳の確保となっておりました。
 地域での検討状況についてです。これは,各都道府県などで行われております発達障害の関連会議などで,この課題についての検討や協議がなされているかということを確認したんですけれども,ありと答えたところが1割,なしというところが9割ということで,ほとんどはこれからそういった都道府県単位での検討が進められていくという現状が示されました。
 これらの結果より,説明用資料の多言語化に対するニーズというのは高いということが確認されました。
 そのような結果も踏まえまして,次のスライドですが,多言語版パンフレットの作成に取り組みました。まず,原案となるやさしい日本語版の作成を手掛けました。監修には,先ほどの厚労科研の分担研究を取りまとめておられました髙橋脩先生にお引き受けいただきました。
 パンフレットの対象としましては,日本で子育てをする外国人保護者の方で,特に子供の発達について心配なことがある方というふうにしました。必ずしも発達障害とはっきり診断をされているお子さんだけではなく,発達が気になる,子育てで苦労しているというような方々も含めて,広く捉えてこのような表記にしております。
 本日,皆様のお手元にも,やさしい日本語版と英語版のそれぞれ冊子とリーフレットを配付させていただきました。冊子の主な内容については,後ほど目次も御覧いただければと思うんですけれども,最初の方で,例えばこんなことはありませんかということで,3歳までの乳幼児期の発達の気になるお子さんがよく示す特徴についてまとめたもの,そして,3歳から小学校入学する頃までの特徴ということで挙げたページ,そして次に,市区町村が行う健康診査を受けましょうということで設けました。
 作成をする中で,外国人の保護者の方の乳幼児健診の未受診の問題なども話題に上りました。実は健診にお金が掛かると思って受診をしていなかったことが後で分かったという話などもあって,まずは健診というのはこういうものだよということで,割と詳しく書かせていただいています。
 相談をしましょうということでは,こういうときはどういう機関にこういうときは相談に行ったらいいのかということを分かっていただけるような内容。そもそも発達障害かもしれないというような方々も対象にしておりますので,発達障害とはどんなものかということ。そして,中には,もしかしたら発達障害かもしれない,それをはっきり専門のお医者さんに相談をしたい,病院に行きたいと思われるかもしれません。その場合に,病院について,そのときの例えば予約のことや,気を付けるべきこと,病院では実際どのようなことをしているのかということなども,大まかなことを一通り書きました。もしかしたら,お薬を処方されるお子さんもいるかもしれないので,お薬についても,アウトラインについては触れさせていただいています。
 その次に障害者手帳について,ここでは,療育手帳と精神障害者保健福祉手帳についてのアウトラインをお示しし,最後に参考情報として,外国語での相談サービスや翻訳アプリについてなど,現時点で幾つか参考になるような情報を掲載させていただいております。
 なお,実際の支援場面では,支援者が一緒に寄り添いながら説明を頂くということも想定して,全ての言語版でやさしい日本語版との併記版も用意をいたしました。
 きょうチラシも皆様にお渡ししているかと思うんですけれども,QRコードの付いた,12言語分のパンフレットとリーフレットの両方を作りました。パンフレットが22ページございます。もしかしたら中にはこんなにたくさんは読まないという保護者もいらっしゃるかもしれないという御意見などもありました。また,多く配布するときには,全て印刷するというのは枚数も掛かりますので,それでリーフレットとして,アウトラインをまとめたチラシの用意をさせていただきました。
 次のスライドですけれども,こちらは私どものセンターのウエブサイトになっております。このような形で発達障害に関する情報を発信しており,週1回更新をしております。外国人保護者向けパンフレットにつきましては,結構言語の数が増えてきたので,一番下の方に四角で囲って枠を目立たせております。こちらを言語ごとにクリックしていただければ,希望する言語版の掲載されているところに飛ぶようにしております。
 最後,パンフレットの活用等を通してですけれども,現在,各自治体での啓発の取組を推奨ということで取組をしているところでございます。まずは都道府県や政令市への周知ということでは,こちらの見本を各都道府県と政令市の方には全て送付させていただきました。また,発達障害者支援センターが,全国の各都道府県,政令市にございますので,そちらのセンターのホームページでも是非掲載をしてくださいということを,推奨させていただいているところです。幾つかのセンターは実際そのような形でホームページにリンクを貼っております。
 また,年に1回,世界自閉症啓発デー,発達障害啓発週間がございます。そちらの方で一般の方々や外国の方々向けの配布に取り組んだ自治体も幾つかございます。
 神奈川県では県内の各児童相談所で情報共有をされたということで御連絡を頂きました。
 あと,発達障害者支援地域協議会という,いわゆる各都道府県単位での地域支援体制の整備に向けた施策の推進について検討する場がございますが,そちらの場で情報共有を行ったと愛知県の方からの御連絡を頂いております。
 先ほど医療機関についての問合せも多いということをお伝えいたしました。発達障害の診療を行っている医療機関リストは各地で大分整備されているところですけれども,沖縄県では今年度,発達障害の診療を行っている医療機関について,外国語対応の状況という項目も新たに設けて,社会資源リストとして整備をしております。
 次,より幅広い分野への情報発信ということでは,私どものホームページに載せるだけでなく,それ以外の既存のデータベースなどへも収載していただいております。文科省の「かすたねっと」や,自治体国際化協会,CLAIRの多文化共生ツールライブラリーの方にも載せさせていただいております。
 「日本で暮らす外国にルーツをもつ子ども・子育て支援サイト」にも収載予定と書かせていただいています。こちらは近日中に完成する予定のもので,国際医療福祉大学の森山ますい先生が代表として取りまとめておられます。私どものセンターだけでは12言語分全て翻訳・監修することが厳しいという現状がございましたが,情報交換する中で御協力を頂けることになりまして,多言語化についてはかなりの部分を御協力を得ながら実現できました。
 多言語音声翻訳アプリ等のICTの活用提案ということで,こちらの方も今,情報提供させていただいているところです。調査の中で,各地のセンターでは,まず,そもそも通訳の派遣を対応できるところも限られているですとか,翻訳機が必要だけれども,ないという声もございましたので,こちらの方は,国立研究開発法人情報通信研究機構が作った無償のアプリになっておりますので,こういったものもありますよということを支援機関の皆様にも御紹介させていただいているところです。ある市町村では,実際,保健師さんが健診の場面でこのVoice Traを使いながら,外国人保護者とやりとりをしたり,その支援場面で活用してみたというお声ですとか,あとは発達障害者支援センターのスタッフも,まずはそれぞれ個人のスマホのアプリにダウンロードをさせたという御報告も頂いています。今正に動いている途中ですけれども,どういったところから備えていけるかということを各地で考え始めて,取組を進めていただいている段階となります。
 今後の計画ということも先ほどのポンチ絵の中でお示しいたしましたけれども,支援を要するケースが実際どの程度いるのかということを定期的に把握していくためにも厚生労働省の方と今後,外国にルーツを持つケースへの対応状況を定期的に把握がしていけるような仕組みについて検討させていただきたいと考えます。
 今回はパンフレットの作成について主に御報告させていただきましたけれども,作成して終わりではなくて,現場の課題を把握していきながら情報発信し,地域での取組を広めていただけるように今後も引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 私の方からは以上となります。ありがとうございます。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。大変貴重な情報提供をしていただきまして,我々も参考になるお話でした。何か事実関係でどうしても確認しておきたいことがございますか。後でよろしいですか。一括して御意見と御質問を受けたいと思います。では,ありがとうございました。
 きょうはもう一件,お願いをしてございます。資料3に基づきまして,外国人児童生徒等における教科用図書の使用上の困難の軽減に関する検討会議における主な意見についてと題しまして,教科書課から御説明をお願いしたいと思います。
 10分程度でお願いできれば有り難いと思います。よろしくお願いします。

【季武補佐】
 よろしくお願いいたします。文科省初等中等教育局教科書課の季武と申します。今御紹介いただいたとおり,当課で検討しております外国人児童生徒等における教科用図書の使用上の困難の軽減に関する検討会議における主な御意見について報告いたします。
 資料の方は,資料3と右上に書かれたものと,パワーポイントの上下2分割の資料を配らせていただいております。まず,こちらのパワーポイントの資料から御説明させていただきます。
 当課では,今年6月に浮島前副大臣の下でまとめられた外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チームの報告におきまして,外国人児童生徒等にとっても利用しやすい教材の活用と,ICTを活用した支援体制を整備することについて記載されていたことなどを踏まえまして,今年の8月から,外国人児童生徒等にとって教科書の使用に当たって困難なことなどの解消に向けて検討を始めさせていただいているところでございます。
 最初に,教科書の現在の状況について,簡単に御説明させていただきます。
 まず,資料の右下に1と書いてある最初のページの下段のところですが,こちらにあるとおり,教科書につきましては,教科の主たる教材として使用されるものとなっておりまして,義務教育の児童生徒には無償で給与されているところでございます。また,学校で教科書を利用することについては,法律によって義務付けられているところでございます。
 駆け足で恐縮ですけれども,2ページの教科用特定図書について説明させていただきます。
 障害のある児童生徒がその特性に合わせた学びを行えるように,例えば教科書を点字にしたり,文字を拡大して読めるようにしたりした教材を教科用特定図書と称しておりまして,国においては,その普及ですとか実際に活用していただくことを促進しているところでございます。
 教科用特定図書の中に,視覚や文字の読み書きに課題がある児童生徒に向けて,パソコンやタブレット,ICレコーダーなどのICT機器を利用することで,教科書の内容を読み上げる音声が活用できる,音声教材という種類の教材がございます。3ページ目下段にあるとおり,そういった音声教材の開発につきまして,国が製作団体に対して実践的な調査研究を委託しておりまして,そこで作成された音声教材については,委託事業の成果物として障害のある児童生徒さんに使っていただくようにしています。
 この音声教材については,先ほど御説明したとおり,障害のある児童生徒のために作成され,かつ使用できるのも障害のある児童生徒の学習のためと限定されているところです。しかし,この教材について何度も繰り返し聞ける読み上げ機能や,音声だけでなくて,画面上で実際に教科書の文章や挿絵が表示されるような音声教材もありまして,そういった場合はルビを振る機能等が付いているものもあります。外国人の児童生徒の方が教科書を使おうとするときにそのような機能が活用できるのではないかという御指摘を踏まえまして,現在の教科用特定図書の扱いにつきまして検討を始めたところでございます。
 ページを飛んでいただいて,上下段の下の方に7と書いてある,学習者用デジタル教科書のイメージというところを御覧ください。学習者用デジタル教科書について説明させていただきます。
 学習者用デジタル教科書は,紙の教科書の内容を,レイアウトも含めて全てそのままデジタル化した教材のことを指しております。今年度から,一部制限はありますが,紙の教科書に代えてデジタル教科書を生徒も使えるように制度を改正したところでございます。
 このデジタル教科書に付随している機能は,教科書発行社によって異なってはいますが,教科用特定図書と同様に,読み上げ機能ですとか,ルビ振りの機能等がついているものがございまして,これらについても外国人児童生徒等の学習に役立てるために,どのように対応していくべきかというのを検討するべきと考えております。ただ,こちらについては教科用特定図書と異なって,各教科書発行会社が有償で発行するものになっております。
 これらが今の教科書の活用の状況についてということで,これを踏まえて,資料3で,会議で出てきた意見について主なものを御紹介させていただこうと思います。
 まず,外国人児童生徒等を取り巻く環境ということで,外国人児童生徒等の状況として,まず,日本国籍であっても日本語指導が必要な児童生徒も増えていると。御両親が外国にルーツのある方で,家では全然日本語を使わない御家庭などもあるので,国籍にかかわらず支援をする必要があるということですとか,日本語に通じていないために文字の読み書きに問題がある,課題があるという外国人児童生徒等の読みの困難度というのは,日本人の障害などで読みが困難な児童生徒と同等若しくはそれ以上の困難さにあるといった御指摘もありました。
 次の項目に行かせていただいて,外国人児童生徒等に求められる支援というところで,一つ目のぽつで,こちらの先ほど伊東先生の御発表の中でも言われていましたけれども,個人の状況によって,例えば母国で年齢相当の教育を受けている子であったり,母国ではほとんど学校に行くこともできなかったような子であったり,そういったそれぞれの背景によって状況は大きく異なっていると。そのような子たちに対しては,効果的な支援の在り方というのもまた異なってくるということが指摘されているところです。
 また飛んでしまって恐縮ですけれども,次の項目に行かせていただきまして,ICTを活用した教材等の現状等というところがこの会議におきまして,特に教材に向けた検討ですが,現状としまして,教科用特定図書については,先ほど申し上げたような読み上げですとかルビとかいったところで,外国人の児童生徒向けに役立つポテンシャルがあるのですが,飽くまで障害のある児童生徒向けに製作されたものなので,そもそも外国人児童生徒等に日本語指導などをする先生方に存在を知られていないという御指摘を受けております。
 また,三つ目のぽつのところで,既にお話ししたところとかぶっておりますが,学習者用デジタル教科書については,様々な外国人児童生徒等に活用できるような機能が搭載されていまして,例えばルビを付けたりですとか,読み上げと連動して,どこ読んでいますよというのがハイライトで追えたりするような機能ですとか,分かち書きをするような機能を入れているような会社もあるという状況でございます。どんどんいろいろな会社で入れていただいて,これらが外国人児童生徒等にも使えるようになっていくといいのではないかという指摘がありました。
 次の項目に行かせていただきまして,ICTを活用した教材の活用により期待される効果というところで,まず一つ目のぽつで,音声教材等を発音や読み書きに困難のある外国人児童生徒等が使用することで,読みや内容理解にも役立つということが指摘されています。
 例えば,同じ項目の下から2番目にあるように,ICTを活用した教材を使用することで,何人か外国人の児童生徒がいらっしゃるときに,今まで一人一人対応しなければいけなかったところ,音声教材で音を聞きながら自分で勉強してみましょうといった指導をすることで,指導者側にも一人一人に割ける時間に余裕を持ち,指導を丁寧にできたり,自分でもここが読めたというようなことが自信につながって,外国人児童生徒自身の学ぶ意欲を活性化したりすることにも役立つと指摘をされているところです。
 さらに,一番下の項目ですけれども,日本語を習得するに当たっては毎日継続していくことが重要で,人に読んでもらうとなると,どうしても場面とかが限られたり,何回も呼んでというのが気兼ねしたりしてしまうことが,ICT機器を使うとなくなって,いつでも自分のペースで気兼ねすることなく,何度も反復して日本語の音声を聞けるということで,学習効果が高いのではないかという指摘を受けているところでございます。
 続きまして,最後の外国人児童生徒等の教科書使用等に当たり必要な配慮・課題ということで,今後に向けてどのようなことができるかまとめさせていただいています。まず一つ目のぽつにあるように,音声教材やデジタル教科書を活用できるようにするに当たって配慮,検討することとして,例えば文字のみならず,ICT機器を利用することで,音による指導が今までよりもやりやすくなりますので,そういった音による指導の重要性をしっかりと普及,説明していくことで,ICT機器の活用の普及と併せて進めていくべきではないかといった御指摘ですとか,漢字や単語の意味を,同時に画面の中で音と文字を同期させて掲示することで,関係を学ばせるのみならず,更にその意味を理解させる,実際に使ってみるという力まで高めることが重要であることですとか,そもそも思考するための言語が固まっていないような段階のお子さんの場合は,教科の学習を支える土台となる思考の部分での日本語を培う必要があることなど御指摘を受けているところでございます。
 また,ページをめくっていただきまして,二つ目の丸で,先ほど申し上げたように音声教材は障害のある児童生徒でないと使えないということで,現時点では外国人児童生徒等には障害のある場合を除いて使っていただくことができないので,制度を見直して,外国人児童生徒等でも使えるようにするべきではないかという御指摘を受けているところでございます。こちらは今正に,制度見直しに向けて検討を進めているところです。
 次のぽつに行きまして,そういったデジタル教科書ですとか音声教材等を活用するのみならず,先ほど与那城先生のパンフレットとかで,やさしい日本語版なども配布いただいておりますが,生徒への指導に当たっても,こういったやさしい日本語を使った教材ですとか,図ですとか絵とか,そういったものを活用して,文字だけに頼らないような教材,あと,日本語と母語の対応表とか,母語と連動させたような教材ですとか,そういったものの作成・開発というものも必要なのではないか,促進していくべきではないかという御指摘がありました。
 また,将来的には,日本語指導と教科指導の連携を更に促進していくことが大切ではないかという御指摘も受けております。
 さらに,ここからICTを活用した場合の配慮に強く関わるのですが,外国人児童生徒等が,通常学級の中でその子だけがICTを活用することになった場合に,周りの生徒から,何でこの子だけ使っているのとかというようなことを言われてしまうと使いにくいということで,しっかりとそういった周りの配慮,理解を得られる方策と併せて進めることが重要であるということですとか,ICTの機器の使い方が分からないというような教員に対しての情報提供やサポートなども必要であるというところでございます。
 さらに,先ほど,いつでも気兼ねなく反復して学ぶことができることが利点であるということで,ICT機器の利点を挙げさせていただいたところですが,それを考えると,家庭での学習でも音声教材やデジタル教科書などを使えるような状況になることが望まれるというところでございます。
 最後に,学習者用デジタル教科書については先ほど最初に申し上げたとおり,現在,無償で措置されているものではありませんので,現場における活用にハードルがあると。そういった教科書の制度の全体も含めまして,外国人児童生徒等が使用する際の費用負担の在り方などについても検討していくべきということで,個々の状況に応じて,デジタル教科書や音声教材,適切な教材を活用できるようにしていく必要があるということで御指摘を受けたところでございます。
 かなり駆け足となりましたが,以上でございます。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 3人の方から発表を頂きました。日本語能力の測定のDLA,外国にルーツを持つ発達障害児と家族への支援,それから外国人児童生徒等における教科用図書の使用上の課題についてということでお話しいただきました。
 残り40分ぐらいです。どなたからでも結構ですので,御質問,御意見があれば承っていきたいと思いますので,どうぞ,どなたからでも結構でございます。どうぞ。

【松尾委員】
 伊東先生に御質問させていただきたいと思います。
 DLAというのは非常に可能性のある評価法だなと思って聞かせていただきました。私も一度,研修で経験したこともございます。
 一つ思ったのが,JSL評価参照枠というのが非常に大事で,先生も御指摘でしたけれども,これを今後いかに使っていけるかで,外国人の子供たちの状況というのがかなり変わってくるのじゃないかなと思って質問させていただきます。
 日本語指導が必要である児童生徒というのをいかに定義して,どういう評価基準を設けて測定していくかというのが今かなり漠然としていて,そこをクリアできると,本当にデータに基づいた教育実践であるとか教育政策を作っていけると個人的には思っております。
 JSL評価参照枠ですけれども,先生は経験的にレベル4とレベル5の間に境目があって,日本語指導が必要である児童生徒といった場合は4と考えていいだろうということを御指摘いただきました。それで,もしもこれがデータに基づいてでありますとか,何らかの根拠に基づいてそういうことが言えるということであれば,四つの技能に基づいてそこで境目が引けるわけですよね。そうすると,すごく明確な形でこうした児童生徒が見付けられますし,すごく未来が開けるような気がしたんですけども,経験的ということ以外に,何かアンケートでありますとか,声を聞いたでありますとか,何らかの根拠があれば教えていただきたいんですけれども。

【伊東教授】
 我々,平成22年から24年の3年間は,実はいわゆるパイロットスタディーをやらないまま,3年で作らなきゃいけないということで,余りやっておりません。しかしながら,完成後,普及活動を通していろんな教育委員会や学校にお邪魔してDLAを使っていただき,そして多くの,といっても何人かの先生方には実践していただいて,そのフィードバックから我々は,先ほど申し上げたように大体ステージ1から4ぐらいが日本語指導が必要な子だろうと。5辺りは自立しているということを多くの先生がおっしゃいましたので,それはある意味では先生方の体験や実感からそのようにおっしゃっていたことを,我々があちらこちらで聞いたことをまとめるとそんなところかなと。残念ながら,これについては調査をしておりませんので,普及するだけで精いっぱいだったので,もしするとすればその辺をしていかなきゃいけないかなということかなと思います。
 そういう意味で,DLAの開発者は,特別の教育課程の対象になるのも大体ステージ1から4ぐらいかなということを,特にこのDLAを積極的に使ってくださっている兵庫県とか滋賀県とか,あるいは一部の地方自治体の先生方からそういう御提言を頂いているという,それをきょうは発表させていただいたと御理解いただけたらと思いますが,よろしいでしょうか。

【佐藤座長】
 よろしいですか。
 ほかにどうぞ,何か。
 じゃ,どうぞ,古沢委員。

【古沢委員】
 興味深い発表をありがとうございました。与那城さんと季武さんにお伺いしたいんですけれども,まず与那城さんの,外国にルーツを持つ障害児とその家族への支援状況等に関する調査というのは非常に貴重な調査だと思ったんですけれども,自由記述の中で,資料10ページですけれども,考え方や文化の違いに関することについても困っていることや意見というのがありまして,子育てそのものの考え方が異なるため日本の文化や教育になじめない家族への支援が課題であるとか,学校教育にももっと異文化を尊重するような大らかな支持的風土が必要ではないかと,すごく貴重な意見ではないかと思うんですけれども,もしお分かりになる範囲で,具体的にどういうケースがあって,どういう課題があるかというのをお分かりになれば教えていただきたいということです。
 もう一つ,季武さんの方には,教科書が無償ではないということで,費用負担の在り方は今どういうふうになっているのかというのは具体的に把握されているかという,自治体が負担しているケースもあるのかとも思うんですけれども,それと音声教材は非常に有効だと思うんですが,どの程度外国にルーツがある子のいる学校に普及しているのかというのも,大体のところで結構なんですが,お聞きしたいと思いました。
 以上です。

【佐藤座長】
 じゃ,与那城さんからお願いします。

【与那城発達障害情報分析専門官】
 すいません。具体的な特定の事例というのは難しいですけれども,例えばということですよね。

【古沢委員】
 そうですね。

【与那城発達障害情報分析専門官】
 例えば運動会の練習に参加しようとしない。かけっこでちゃんと走ろうとしない児童がいる、と。日本だと運動会前にみんなで一斉にそろって練習するとか,かけっこでは頑張って走るとか,そういうことを指導するんだけれども,全然やろうとしないし,親御さんもそういったことに対して何もおっしゃらないと。その子の育った地域では,暑い中炎天下で一生懸命走ること自体,考えられないし,そもそも運動会みたいなものがないので,親御さんも育ってくる中で認識しておられなかったという例。あと,例えば自閉の子で,食欲のコントロールが難しく,すごく食べちゃう。そうしたときに支援者がお食事の指導を御家庭でも一緒にやっていただきたいということで保護者の方と共有しようとするんだけれども,その親御さんの国では子供にたくさん食べさせてあげることが大事,その子をかわいがっている印と考えていらっしゃる場合もあるなど。そういったこちらが想像していないもともとの国の文化や子育て観の違いがあるのかもしれないというケースなどです。このぐらいですけれども,よろしいでしょうか。

【古沢委員】
 ありがとうございます。

【佐藤座長】
 じゃ,季武さん,お願いします。

【季武補佐】
 まず,御指摘いただいた費用負担の現状について,先ほどおっしゃったとおり自治体で負担されているとか,あと,私立の学校などでは直接御自身で,タブレット等もBYODで自分用のものを買って,それにインストールしたりという形でやっていることもあります。したがって,学校次第ではあるのですが,主にはデジタル教科書は自治体,学校で購入されて,学校に置いておいて必要なときに使うというパターンが現在は多いと把握しています。
 今,実際に普及の状況,どの程度使われているかというところですけれども,まず音声教材については,今は外国人の児童生徒さんは使えないことになっているので,実際に使われているケースは,外国人で,かつ障害があるという場合のみとなり,まだ普及していない状況です。なので,例えば委員の先生から日本語指導をやっている先生方に「こういう機能があったら使えると思いますか」といったアンケートをとっていただいたりしたデータを基に検討している段階です。
 デジタル教科書は,現在既に全ての児童生徒が使えるようになってはいるんですけれども,こちらも今年度から使えるようになったばかりであり,来年度からちょうど小学校で学習指導要領が切り替わるタイミングで教科書自体も切り替わります。このため,来年度から多くの教科書会社でデジタル教科書を発行されるんですが,今年度はまだ,そもそもデジタル教科書が出ていない教科書もかなりある状況ですので,こちらの普及状況については,把握はできていません。これからその点しっかり把握していきたいと考えている段階でございます。

【古沢委員】
 すいません。

【佐藤座長】
 どうぞ。

【古沢委員】
 紙の教科書については,外国の子供たちにはどのような負担になっているんでしょうか。

【季武補佐】
 紙の教科書は全て外国人の児童生徒にも無償給与されています。

【古沢委員】
 デジタルのところです。

【季武補佐】
 音声教材については紙の教科書を普通に無償給与した上で,国の成果物として無償で使えます。デジタル教科書を使う場合は,まずは少なくとも紙の教科書の方は国から無償給与していて,さらにプラスアルファとしてデジタル教科書を使うかどうかというのを学校や自治体で判断いただく形になっております。すいません,ここは説明不足でした。

【古沢委員】
 ありがとうございます。

【佐藤座長】
 よろしいですか。
 ほかにいかがでございますか。
 どうぞ。

【高橋委員】
 どうもありがとうございました。きょう御発表いただいた三つは私自身すごく関わりがあるものですから,ちょっと感想というか,意見というか,お話ししたいと思います。
 まず伊東先生のDLAですけれども,学校の方で,私も実は今,国際教室の方でいろいろアドバイザーみたいなことをさせてもらっているんですけれども,先生方の,きょう伊東先生にお話しいただいて,よりDLAを普及というか,広める必要があるなと改めて思ったんですけれども,先生方にとってみると,先ほどの伊東先生のお話を伺って,やっぱりアセスメントという側面が強くて,もっと日常的に使えるという感覚がないかなと。今,伊東先生のお話を伺ったら,日常的に飛び出しの授業で,対話型でどんどん使っていく必要があるんじゃないかと。その方がむしろ普及するのかなと。どうしても構えてアセスメント評価してまとめてというところになると,何か特別な時間をとってやらなきゃいけないみたいな感覚をお持ちなんじゃないかなと思ったんです。ですから,その辺の広め方が一つ感じたところです。
 それから,発達障害の与那城先生のお話ですけれども,私も特別支援学校に11年おりまして,それでいろんな外国籍の方の担任をしたこともあるんですけれども,やっぱり保護者の方が一番気にされていることは,私の感覚では,高等部にいたものですから,障害があることによって,他国では将来社会参加がどうなるかということにすごく不安を覚えていらっしゃるんです。日本の場合は福祉制度,福祉的な就労等があって,手帳を持っている方がむしろ有利な場合がある,普通に就職しようと思うと厳しい現実があるということがなかなか理解されにくいところがあって,先々のことを考えると,その子供が障害ということのある程度認定というか,ことになって,特別支援学級から高校,それから社会というところのつながりみたいな先がすごく見えないので不安に思うということを実感してきたんです。だからそこまで御説明しないと,なかなかやっぱり障害の認知とか,障害を持っていることでの不利益のところにばかり目が行ってしまうような気がしました。
 それから,教科書の方は,私も今,生活困窮者向けの学習支援教室をやっていて,やはり一人障害がある外国籍の方をデジ教科書で指導しているんですけれども,非常に有効なんです。やっぱり視覚的に文字を見ながら音声が聞けるということで,しかも区切りが分かりますよね。だーっと平仮名をずっと飛ばさないで続けて読んじゃう子が多いものですから,ちゃんと区切りを理解して読むということで,デジ教科書はすごく必要だと思っていますので,是非,これは意見の中にありましたけれども,早急に利用できるようにしてほしいなと思います。
 最後に,特別支援の学級と,それから国際学級との連携というところで,やっぱり非常に必要じゃないかと思っています。平塚市では,学校に必ず支援コーディネーターという方がいらっしゃって,それで国際学級と特別支援学級,個別支援学級の連携会議を設けているという,学校の中での支援の必要なお子さんということでの入り口と個別のケースを共有することを,学校の中で組織的にやっているんです。そういうのが僕はこれから必要じゃないかなと思っているんです。
 平塚市では,国際教室の先生と個別支援学級の先生は人事異動をさせるんです。だから,そういった意味でいうと,多分基本的に指導の方法ではかなり重なる部分があって,どちらも有益ですし,それからいろんな様々な情報を受け取る受皿としても,やっぱり支援コーディネーター的な人がきちんといろんな情報を受けて校内に広めるみたいな仕組みが必要かなと思いました。感想ですけれども,ありがとうございました。

【佐藤座長】
 伊東先生,何か今の,感想ではありますが,少し御質問になっていたような感じもしますので,よろしくお願いします。

【伊東教授】
 高橋先生がおっしゃったように,やっぱりDLAは試験というイメージが強くて,我々も平成22年は能力評価ということで,アセスメント,試験だということが冒頭の我々の取組だったので,そこはちょっと拭い切れないかなと思います。しかしながら,対話型でやってみると,あの中から子供たちと接することで,子供たちの反応がすごくよかったんです。パイロットスタディーでは知らないおじさんが行ってもちゃんと子供たちは対応してくれたので,そのことは驚きました。やっぱり向き合えば,子供たちはちゃんと向き合ってくれるということを感じましたので,はい,日本語指導,じゃ,平仮名ね,片仮名ねという,つい我々は文字指導に短絡的に行きがちですけれども,それも重要だけれども,それが全てではないというところに先生方には気付いていただきたいなとは思います。

【高橋委員】
 ありがとうございました。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。
 どうぞ,村松委員。

【村松委員】
 きょうは本当にありがとうございました。1点与那城先生に御質問した後,感想のようになるかもしれませんが学校の現状などをお話ししたいと思います。
 まず1点,特別支援が必要な子供たちが診断を受けるに当たって,WISCであるとかK-ABCなどいろんなアセスメントがあって,日本語版,それは日本の文化,背景ですとか,いろんな文脈を考えた上で翻訳されていると思います。実際に今,日本語版のもので子供たちが診断を受けることは難しいとは思っていますが,お医者さんとか医療関係のところで対応されているのかという現状を少しお聞かせいただければ有り難いなと思っています。

【佐藤座長】
 じゃ,お願いします。

【与那城発達障害情報分析専門官】
 今回の私どもの調査対象は発達障害者支援センターと地域支援マネジャーになりますので,医療機関で実際にそういったケースをどのように評価し,診断しているかということを調査したわけではないので,すみません,こちらで適切にお答えするのは難しいかと思います。
 ただ,発達障害の診断を行っていくプロセスでは,生まれてからの生育歴,これまで育ってくる過程について保護者から詳しく聞き取りをして,そしてお子さんの行動観察,現時点でのお子さんの姿を行動観察し,日常場面をよく知っている方からの情報も集めたり。標準化されたアセスメントを実施できるのであればそれをやって,特性の程度,支援がどの程度必要なのかという発達障害の特性に関するアセスメントなども併せて行って総合的に診断をしていくということは,日本のお子さんの場合と同じかと思います。
 発達障害者支援センターでも,実際アセスメントをするときに多言語で対応できる職員が一部のセンターにはいると。でも,全ての言語ということにはもちろんいかないし,通訳の派遣が受けられる場合であれば,そういった方に御協力いただきながらヒアリングをしたりというような現状はあるかと思います。ただ,どうしても言語の問題があるので,参考情報ということにとどまる場合もあるかと思いました。その辺りも今後しっかり調査等が必要なのか検討してまいりたいと思います。

【佐藤座長】
 どうぞ,御意見を。

【村松委員】
 ありがとうございます。ただ,このように外国籍で特別なニーズがある子供たちの支援の環境を整えていただいているということは,とても有り難いと思っています。事務局作成メモの,障害のある子供への対応というところの一つ目のぽつで,調査を行うかどうかということが書いてありますが,何を基準にして先生方に調査するのか不安があります。
 さて,兵庫県でも外国人児童生徒のうち特別な支援が必要な子供たちに支援をしています。例えば特別支援学校に在籍する聴覚障害の生徒には母語支援員がついて,コミュニケーションをとるための支援をしたり,子供さんにはノンバーバルの支援しかできませんが,やはり特別支援教育では家庭との連携が必要だということで,家庭,保護者,学校をつなぐ一つの大きなパイプとして母語支援員を派遣しているところです。それを教育委員会だけで維持できる財源が今後はやはり必要かなと思っています。
 あと,相談業務をしていると,本当に障害があるのか,日本語ができないだけではないかとかいう議論はよく聞くところでございますけれども,特別な支援が必要なので人手が欲しいというところで,そちらに流れていってしまうという懸念もあります。特別支援教育の研修等を重ねているところではございますけれども,まだまだ一人一人の子供たちを支援するためのスキルですとかノウハウ,知識というところは,私たちも学んでいかないといけないところです。やはり初期の支援がうまくいかないと,トラブルにつながったり2次障害が出たりということで,課題が生まれてくるという懸念がありますので,是非ここについても環境を整えるとともに,学校教育での支援というところに少し力も入れていただけると本当に有り難いなと思っているところです。
 それから,DLAの方で少し申し上げたいと思っています。
 前回の有識者会議でも,支援される対象から活躍できる人材へというスタンスで話合いが進んでまいりました。大人ではない,大人であったら第2言語の習得だけで済むわけですけれども,子供たちは学ぶ存在であり,学び続ける力を付けていかなければならないと思います。伊東先生もおっしゃっていたと思いますけれども,言葉を知っていればよいというだけではなくて,安易な語彙テストでは学べる力を測れないというところがございますし,学校では指導につながっていかないと思っております。もちろんDLAを実施することは簡単ではないんですけれども,手を抜いていいと思うものでもございません。実態把握なしに指導はできないと思っております。
 私ども,県教育委員会でも,学びながら見通しや目安が付けられるものということで,先ほど示していただきました文科省のホームページにも上がっているものを,簡単な,こういうチェックリストに作り直しました。先生方がまずはこれでチェックし,次のレベルの目安をつけやすくなります。実際に先生方に活用していただき,弱み,強みを把握した上で,弱みのところを重点的に指導するとか,次にどこのレベルに進んでいけばいいのか見通しをもって指導に当たっていただいたり,学校でも情報共有をしていただいているところです。教師も努力しながら工夫をしておりますし,実際にこのDLAをやることで力を付けている児童生徒もおります。こういう実態だからどのように支援をしていくのか,この参照枠は本当に目安になるかなと思っています。
 もう1点は,学校間格差,そして市町間格差がありますが,このDLAを使うことによって,どこの学校でも支援につなげることができ,格差解消の手立てになると思っています。研修による人材育成ということも各地域で手厚くやっていただけたらと思っています。
 また先生方は,自分たちのやっていることをスーパーバイズしてくださる方がいれば,何とか方向が見いだせる,自分の指導はこれでいいと安心ができるところでもありますので,そういうスーパーバイズができる人材の育成もお願いしたい。また,こういう結果となったので,これはこういう指導につながっていったという実践事例もお示しいただければ有り難い。日本語指導に対する共通イメージのない中でやっておりますので,不安だけが先行ということでございます。ですので,その辺りも含めて考えていただけたらと思っています。
 前回も申し上げましたけれども,文科省調査で日本語指導が必要な子供,でも,その何万人の子供のうち,どういうレベルの子供がここにいるのか,何人なのかというところに踏み込めると,とても普及にもつながるのではないか。大変だと分かっていますけれども,そう思ったりします。
 最後ですけれども,デジタル教科書は本当に有り難いなと思っています。是非特別支援教育の知見を外国人の子供たちに活用できるところはしていただければ,もっと子供たちも安心して学べるのではないかと思うところです。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 まだ御発言のない……,どうぞ。

【オチャンテ委員】
 貴重なお話ありがとうございました。
 まず障害のある子供への対応についてです。私も何回か通訳としてアセスメントの通訳をしたことがあるんですけれども,一番難しいのは,親にどのように結果を伝えるのか,分かりやすいADHDとかだと親もやっぱり懸念して,自分からこういうのは大丈夫なのかとか,きょうだいと比較しながらこれはおかしいんじゃないかという場合だとスムーズにいくことが多いけれども,親が認めないとか,絶対違うとか,あとは最近は,日本の学校ではよく外国の子供たち,障害扱いをしているとか,すぐに日本語が分からないイコール障害のあると言うなどネガティブな情報が回ってきているんです。
 ですので,すぐに私の子供はいじめられているとか,差別されているという考えを持ってしまうため,そこを理解させる必要があります。自分が通訳をしたとき,保護者,学校両方ともの考えが分かる,両方の立場は分かるけれども,というつらい体験をしたことはあるんです。なかなか保護者に理解させる方法として分かりやすい言葉をかけ,説明するが, 1回だけのアセスメントで障害を見極めること,保護者も疑問がたくさん湧くので,そこを本当に慎重にやらないといけないんだと思うので,こういうデジタルの翻訳機を使っていく場面だとむしろ不安になることがあります。そういうときには通訳を入れた方が,文化を理解できるような通訳を間に入れて,もちろん通訳の研修も必要だと思います。
 もう一つのDLAの活用の伊東先生の話は,やはり私としては定期的にこの検査をして,先ほどもおっしゃっていたけれども,共有できるように,例えば小学校から中学校に上がっていくと連携をとっていない分野があるので,その子供がどこまでの日本語力があるのか,どこまでできるのか分からないとかで,中学から高校になってくると更に情報がなくて分からないような状態があるが,例えばこれは定期的にその子供の日本語力がどれだけ上がっていくのかということを実施レポートを残しながら上がっていくと,その子の日本語力がどこまで上がってきたのか,今何が必要なのかというのが割と分かりやすくなるんじゃないかなと思います。
 どうしても,さっき先生がおっしゃったように暗記レベルごと,毎回同じような,気付いたら小学校1,2年生の漢字を何年もずっとやっているとか,なかなか漢字ができないから,でもこれをクリアしないと上に上がれないような状態はたくさんあるので,書けないけれども読めるような方向でもいいのではないかと時々思うんです。なので,そういうレベルで,どうしても暗記する,九九を覚えるとかもできるように,それこそ次の音声教材とかを利用しながら,やっぱりどうしても復習より予習をする方が,子供たちは次に教室に出て教科の授業を受けるときには,一回聞いた内容で勉強するとスムーズに,まだ分かりやすく授業を受けることができると思うんです。
 一番漢字が読めないというので,教科書を開くと漢字だらけで諦めてしまうんです。私も実際,今はやっと読めるようにはなってきたけれども,最初はやっぱり読めないので,勉強する気がなくなるんです。しかしデジタル教科書の音声教材で聞いて,自分で勉強できるんです。聞きながらルビを振って,そこの分からない単語を調べられるんです。まず漢字が読めないなら調べられないです。日本語で何て書いてあるのか分からない。そこから始めないといけないので,やっぱり音声を聞いて,自分で書いて,自分で調べることにはつながるので,非常に重要にはなってくるので,是非この制度を見直していただきたいと思います。すぐに現場で使えるような状態になっていただきたいとすごく思いました。
 感想ですが,終わります。

【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 時間が迫っておりまして,どうしてもきょう御発表いただいた方々に質問しておきたい点があれば,伺いたいと思いますが,いかがですか。御意見はまた次回議論する機会がありますが,きょうはこれは最後ですので,どうぞ,どなたか。いらっしゃいます?

【浜田副座長】
 じゃ,手短に済むと思います。
 デジタル教科書について1点だけなんですけれども,先ほどどんな機能を搭載するかということを今調査をしておられるということだったんですけれども,例えば翻訳機能との連携についてどうなっているかということを教えていただけますか。私たちは普通にデジタル出版されたものを読むときに,知りたい言葉があったらすぐに検索できるみたいな機能が付いていると思うんですけれども,何かそういったものもあるんでしょうか。

【季武補佐】
 今,音声教材は特別支援向けに作っているので,辞書機能といったものがあるわけではありません。デジタル教科書は,現時点で国が一律にこういう機能を付けてくださいといったものは示しておらず,これから検討していく中で,そういった辞書の機能等も加えて対応していただくということがあるかもしれませんが,今の時点では具体にどれぐらいの発行者で搭載されているとかいうところまでは分かりません。ただ,そういった機能として付けることは可能なのではないかと考えているところです。

【浜田副座長】
 是非お願いしたいと思います。

【佐藤座長】
 どうぞ。

【藤巻委員】
 発達障害の児童のところがちょっと気になったので御質問したいんですけれども,支援センターに相談に来る人は学校現場の人なのか,それとも保護者なのか,それともう一つ,発達障害だと認定されたというか,そう思われた場合の後がちょっと気になるんですけれども,特別支援学級に入る子がやっぱり多いのか,不登校,不就学になってしまう子もいるのか,あるいは2次障害で精神障害を発症するようなケースもあると思うんですけれども,ひきこもりとかいうことも心配なんですけれども,その後どうなってしまうのかということについて,何か情報があれば教えていただけますか。

【与那城発達障害情報分析専門官】
 まず,相談に来られる方についてですが,保護者の場合もございますし,あるいは支援者の場合もございます。学校の先生であったり,事業所の方だったり,あるいは保健師さんだったりと複数のところから上がってくるというふうになります。

【藤巻委員】
 それから,その後については。

【与那城発達障害情報分析専門官】
 発達障害者支援センターは,いわゆる診断をするという機能を持っているわけではございませんので,そこで「発達障害ですね」とか「そうじゃないよ」みたいなことを認定してお伝えする機関ということではないんですけれども。例えば学齢期のケースの御相談であれば,周りの子供たちともトラブルがすごく多くて,そのうち学校に行くこと自体が難しくなったケースなど,特性から来ると思われる行動上のいろんな問題から対応がうまくいかずに本人も,周りの人も,支援者も,親御さんも困っているという御相談があったりします。
 場合によってはセンターの職員が出向いて,例えばそのお子さんの通っている学校の先生方向けに発達障害についての研修をし,こういった場合はこのように対応していただけるとよいとお伝えしたり,事例検討という形で一緒に検討させていただくこともあります。社会資源等の活用が必要であれば,福祉での社会資源の検討も含めて提案をさせていただいたりということで関わっていくという形になっているかと思います。

【藤巻委員】
 その入り口のところの相談で,その先のことまではちょっと情報は分からないということですね。

【与那城発達障害情報分析専門官】
 全てのケースを発達障害者支援センターだけでずっと抱えるという仕組みにはなっていません。ただ,発達障害者支援センターは,学校を卒業後も全てのライフステージ,どのタイミングでも必要であれば活用いただけるようにはなっております。例えば社会参加が難しい状況になったり,ひきこもりという状況になっていれば,その時点で必要な支援も変わってきますよね。そこでまた一緒に支援方針を検討したりサポートに入るという役割は各地のセンターが担っていると考えます。

【藤巻委員】
 ありがとうございました。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 本日は,日本語能力の測定のDLA,発達障害児と家族の支援,それから,教科用図書の話をしていただきました。
 私どもは,DLAに関して実際の実施にある程度時間がかかるとか,複数人数でも実施できたり,短時間で実施できたりする工夫が必要といった意見がありますが,この論点の立て方が違っているかもしれません。高橋委員や松尾委員や村松委員,さらにオチャンテ委員からも御指摘があったように,対話が必要で,それが基本だということです。そんな簡単にいけるものではないという理念をちゃんと理解した上で,この活用についての議論が必要だということを確認できたように思います。
 それから,発達障害のお話の中ですばらしいパンフレット等を付けていただいているんですが,実は1990年代に外国人児童生徒への就学案内等もこういう形で出しているんです。ルビを振ったり多言語だったり。ただ,書いてある内容が極めて難しいんです。このリーフレットの情報の内容で分かるのかどうかということについて,受け取る側(がわ)の立場から是非更に検討していただければ大変すばらしいものになると思います。
 それから,教科書については,ここに書いてあるように,音声教材を使用できる制度の在り方は国の役割ですので,是非検討していただいて,早急に解決していただけるような方向で,さらに有償だということですので,費用負担についても何か手がないのかについて,またお教えいただければ大変有り難いと思います。
 そして,最後に特別支援教育と外国人児童生徒教育というのは,方法上の共通性というのはかなりあると思うんです。政策上の共通性もある。しかし教育の理念としては違っていると思うんです。これは確認をしておく必要があるだろうと思うんです。つまり方法上の共通性はかなりある。そして学ぶべき点もある。しかし,その目標であったり理念というのが一致するものなのかどうかということについては,外国人児童生徒教育の固有性というものをきちっと我々も確認した上で,この議論を進めていく必要性があるんじゃないかと感じた次第です。
 今回までいろいろヒアリングをさせていただいて,次回から実際にどうまとめるかの段階に入ると事務局から伺っておりますので,是非積極的な発言を頂ければと思います。きょうは限られた時間ですけれども,お三方,発表ありがとうございました。
 それでは,事務局より連絡事項があればお願いします。よろしくお願いします。

【林調査官】
 資料6を御覧いただければと思います。今後のスケジュールです。前回の会議でもお示しさせていただきましたけれども,次回,第7回を12月17日火曜日,15時から17時で予定しております。第8回は年明けの1月21日,15時から17時,第9回は2月27日,10時から12時を予定しております。皆さんのスケジュールの確保をお願いできればと思います。
 また,本日の配付資料でございますけれども,そのまま置いておいていただければ,後日郵送させていただきます。
 以上です。

【佐藤座長】
 それでは,本日の会はこれにて閉会いたしたいと思います。どうもありがとうございました。
 本当に発表ありがとうございました。

―― 了 ――
 

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課