外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(第4回) 議事録

1.日時

令和元年9月24日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省9階 総合教育政策局会議室

3.議題

  1. ①就学前段階の支援、②日本の生活や文化に関する教育、母語の指導、異文化理解や多文化共生の考え方に基づく教育の在り方、③関係機関・支援団体・企業等との連携(委員からのヒアリング)
  2. ヒアリングを踏まえた意見交換
  3. その他

4.議事録

【佐藤座長】
 ちょっと時間前ですが,ただいまから,外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議,4回になりますけれども,開催させていただきたいと思います。
 本日,お忙しいところお集まりいただきまして,ありがとうございます。きょうは村松委員が15分ほど遅れるという連絡がございました。
 きょう報告を頂く予定にしておりました田中委員におかれましては,青少年自立援助センターの取組について御発表をお願いしていましたが,実はお父様が御逝去されたと伺いました。きょうは欠席と伺いました。御冥福をお祈りしたいと思います。
 なお,きょうは代わりに同センターの多文化コーディネーターのピッチフォード理絵さんが御出席いただいておりますので,後ほど取組について御説明をお願いいたします。
 カメラの撮影は冒頭の頭撮りのみとさせていただきますけれども,終了のタイミングについては,またお声を掛けさせていただきたいと思います。
 では,早速配付資料・議事の確認に移りたいと思います。事務局よりお願いいたします。

【林調査官】
 では,配付資料・議事の確認等に移ります。配付資料でございますが,議事次第のとおりでございます。不足等ございましたら,事務局にお申し付けいただければと存じます。また,これまでの有識者会議の資料は机上に御用意しておりますドッジファイルにとじておりますので,議論の際に適宜御参照いただければと思います。
 議事については,資料3の検討事項を御覧いただければと思いますけれども,このうち,本日は2番の外国人児童生徒等の就学・進学機会の確保の中の一つ目のぽつ,就学前段階の支援の在り方について,それと,3番の日本の生活や文化に関する教育,母語の指導,異文化理解や多文化共生の考え方に基づく教育の在り方,4番の関係機関・支援団体・企業等との連携について御議論いただく予定としております。
 まず資料1,2についてそれぞれ御発表いただき,その後,意見交換ということでお願いしたいと思っておりますけれども,意見交換に当たっては,有意義に進めていただくということで,資料4,事務局でメモを作成しております。簡単に説明させていただくと,一つ目が,就学前段階の支援の在り方についてということで,乳幼児期の教育の重要性についてどう考えるか,また,就学前におけるプレスクール等の支援の在り方についてどう考えるか。
 2番として,日本の生活や文化に関する教育,母語指導,異文化理解や多文化共生の考え方に基づく教育の在り方については,義務教育段階における母語・母文化の支援の必要性についてどう考えるのか,また,教育課程内外での支援をどのように提供していくのか,二つ目としては,異文化理解や多文化共生の考え方とは何か,それらを各教科等の学習の中にどのように反映させればよいのか,三つ目としては,異文化理解,多文化共生を進めていくに当たっては,保護者へのアプローチをどのように行えばよいのか。
 三つ目として,関係機関・支援団体・企業等との連携のところでは,自治体内の関係部署との連携はもちろんなんですけれども,国際交流協会等の外郭団体,NPO等の民間団体,企業等の関係機関との連携をどのように図るか。特に地域にどのような関係機関があり,どのようなリソースを有しているかということを学校側でどのように把握するのかですとか,関係機関側からのアプローチを図りやすくするために,教育委員会,学校側で講ずべき施策はあるのか,次のぽつでは,NPOやボランティア団体で実施されている日本語教室との連携は極めて重要だと考えていますけれども,児童生徒に関する情報の連携を含め,どのような工夫が必要なのか。
 あと,学校内での居場所作りの支援をどのように進めるべきか,又は,地域の連携体制の強化に向けて,行政レベルでどのような制度的な対応が考えられるのかということで,後ろの方にちょっと資料を付けていますけれども,地方自治体では,多文化共生の推進に係る指針・計画の策定をしているのが,今823団体あると。また,先日施行されました日本語教育推進法に基づきまして,今後地方公共団体で定められる,これは努力義務ですけれども,基本的な方針の策定,あとは,企業,事業主の責務として,日本語教育推進法においても,雇用する外国人等及びその家族に対する日本語学習の機会の提供の支援に努めるとされていますけれども,企業との間でどのような連携が考えられるのかということで,これも後ろの方に参考で資料を付けていますけれども,長野県,愛知県,静岡県の例を示させていただいております。本日は,これを中心に御議論をいただければと思っております。
 説明は以上ですけれども,カメラの撮影はここまでとなりますので,これ以降はカメラ撮影は御遠慮いただきたいと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。資料4,かなり膨大な,広範囲にわたる柱立てがされておりますけれども,きょうはこのうち,この後お二方の御報告の中で,できる限りこの課題の解決の方向性が見いだせればいいかなと思っております。
 それでは,議事に入っていきたいと思いますけれども,最初に,資料1,言語文化的に多様な子供たちへの保育・教育と子育て支援について,内田委員の方から御説明お願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【内田委員】
 よろしくお願いします。貴重なお時間を頂きまして,ありがとうございます。
 一つ目のスライドのところに,一応この5点について,この順番でお話をしていこうかなと思っております。一つには,乳幼児期から児童期前期の子供については,より大きいお子さんたちとはまた違う考え方が必要ですので,それについて。それと絡めまして,現在の幼稚園教育要領や保育所保育指針の中で,日本人児童生徒を含む多文化共生に向けてどういう考え方をしているかということを共通理解をしたいと思いまして,御紹介したいと思っております。三つ目に,外国人児童への接続期の支援として,プレスクール事業というものが全国で立ち上がっておりますけれども,私が深く関わっている事例を一つ出して御紹介をして,議論の材料にしていただけたらと思います。それから,外国人保護者と保育者が抱える課題について,既にされている調査がありますので,そちらを少し御紹介していきたいということと,最後に,個人的な考えになりますけれども,就学前後の課題を整理して,今後の取組に向けてこんなことが必要ではないかということを少しお話しして終わりたいと思います。

【佐藤座長】
 内田さん,あれですか。スライドとこれは基本的に同じですか。

【内田委員】
 はい。基本的に同じです。

【佐藤座長】
 松尾さん,大丈夫ですか。よろしいですか。

【内田委員】
 大丈夫ですか。

【浅田局長】
 見えにくいかなと思って。もしあれだったら移動していただいても。

【佐藤座長】
 基本的に同じであれば,これでもお願いします。

【内田委員】
 ほぼ同じで,言葉だけだとちょっと分かりにくいかなと思うところを足したぐらいですので,ほとんど同じです。大きくは変えていません。

【佐藤座長】
 どうぞお二方,もし必要であれば移動してください。

【内田委員】
 すみません。よろしくお願いします。途中でも構いませんので,どうぞ動いてください。
 小学校低学年頃までの子供たちについては,これは一般にこんな考え方でおりますという概論的なことなんですけれども,言語認知発達が著しい時期だということは皆さんも御存じかと思います。その言語発達,認知発達は,生活の中で起きる出来事や関わりの中で学んでいくものであって,それは児童期後期以降の,いわゆる日本語教育,日本語指導というときの学校的なアプローチとは異なる配慮が必要だと考えられます。それから,制度的切れ目である小学校への入学という接続がありますけれども,個々の子供の発達的な区切りの時期とはそれは違っていて,大人の都合で4月になったから上がってもらうんですけれども,もっと早めに準備できている子もいれば,もう少し遅くに本当の準備ができる子もいることを踏まえての接続期であるということ,それから,乳幼児期の教育は環境を通して行うと私たちは考えていて,これはちょっと足したところかな。それは,子供が自分で選んで夢中になって取り組むので,試行錯誤したり,工夫したり,考えたり,互いに協力したりするわけで,だから大人が与えても本当の学びにならないので,環境を通してするべきであるということが共通理解としてあります。
 それから,乳幼児期の子供は言語表現以外の方法も含めて様々な方法で自分の気持ちや意思を伝えます。その際には,家庭の文化的な特徴を含むことがあります。次の点としては,言語認知発達の前提として,社会的関わりや生活経験を豊かにしていくことが大切だと考えられます。大人の働きかけや,ほかの子供との関わりは,子供の育ちの機会を増やす大切な意味を持っています。そして,心理的なきずな・つながりを持つ相手の言語を吸収するのであって,ただ言葉のシャワーの中にいれば言語が身に付くわけではないということは研究的にも言われていまして,ビデオなどを使って言葉を教えようとしても,特に乳幼児期の前半は全く入っていかないという研究結果があったりしています。やっぱり人との関わりがあってのことであると。これは外国だとか日本人だとかいうことではなく,こういうふうに発達している子供であると。その子たちを受け入れていくときに,それが外国人の子供たちであるときに,文化が違うときにどういうことが起きるかと考えていただけたらと思います。
 それを踏まえて,平成29年度でしたよね。幼稚園教育要領,保育所保育指針,幼保連携型認定こども園教育・保育要領という三つの指針・要領のトリプル改訂を初めて同時に行い,その内容はほぼ整合性がついているんですけれども,特に分かりやすい文言のところを拾い上げました。
 最初に拾い上げたのが,幼稚園教育要領の第1章総説の第5節,特別な配慮を必要とする幼児への指導の告示文の中に,二つ目として,「海外から帰国した幼児等への幼稚園生活への適応」という文言があります。そこでは,「海外から帰国した幼児や生活に必要な日本語の習得に困難のある幼児については,安心して自己を発揮できるよう配慮するなど個々の幼児の実態に応じ,指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする」とされています。言いたいのは,こういう方向が,今入ってきているというところまでは来ているんだけれどもという話にこの後なるんですが,このときに,安心して自己を発揮できるようにというところで,参考として,こういうイメージなんですけれども,子供たちがいつ日本語環境に入ったのかということですとか,どのような経緯で入ったのか,どのような園や小学校で過ごしてきて,今ここにいるのかということがとても大事で,ゼロ歳で入ってきたのか,1歳で入ってきたのか,2歳で,3歳で,状況はみんな全く違うことが御想像いただけるかと思います。ある園で受け入れたときに,それまでにほかで集団生活の経験があったのか,なかったのか,母国で実はあって日本に来た子供でありますと,集団生活とか生活経験はいっぱいあって5歳で入ってきた子を受け入れたときのアプローチと,ずっとうちにいて,4歳ぐらいになってそろそろ日本語の園でも大丈夫かなと思って入ってきた子たちというのはやっぱり違います。だから,いろいろ経緯ですとか,外から来ただけではなくて,日本にいて入ってくる子とか,様々なタイプの子たちを考えて,先ほどのスライドの「安心して自己を発揮できるような配慮」というのが必要なのではないかと思います。
 この疾風怒濤(しっぷうどとう)の時期とか,生活の流れになれてきた時期とか,みんなと行動できるようになった時期というのは一般的に言われていて,外国から来たときに,最初はとにかく何とかしようと。生活はできるようになったんだけれども,はて,みんなと同じようにはまだできないなと。やっとできるようになった,この後に学習言語があるのかなというイメージです。
 大ざっぱに言ってもこれだけありますけれども,次のスライドを御覧ください。細かい字のところは本日は細かく読みませんけれども,言語文化的に多様な子供たちと言ったときに,こんなに要素が……,思い付いたものを私がちょっと並べてみただけなんですが,親が何歳のときに来たのかとか,どのぐらい親がいるのか,親の国籍,親の文化,母国,宗教。国籍と文化や母国が同じかどうかも分からないんですよね。親も国を動いてどこかに行った後に日本に来ているかもしれませんし,宗教も国で決まるわけではありませんので,いろいろあるかと思います。親の要素があって,プラス子供の来日年齢とか成育歴,先ほど申し上げたようなことがあります。今,家庭でどんな言語が話されているか,母親の言語が何か,家族がこれからどうしたいと思っているのか,ビザの状況ですとか,職業とかで大きく状況が変わります。プラス園や集団生活上の子供の生育歴ですとか,その子の個性や発達の状況というものが言葉と関係ないところであります。
 それで,このような様々な要素を持った子供たちを受け入れるんだということをよく理解していないと,保育者の方でも,初めて受け入れると,「外国の子にはどうしたらいいんだろう」から始まってしまうんですけれども,実はこういう細かい要素があってということがあるかと思います。
 幼稚園教育要領の告示文ですと,先ほどの大きな言葉なんですが,解説が付いています。次のスライドに少し解説を紹介しております。ここを読みますと,私はこれが出てきたときに,ああ,よくぞ書いてくれた,有り難いことだと思って拝見したんですが,先ほど申し上げたようなことが,この解説のところには反映されているんです。一人一人の実態は,その在留国や母国の言語的・文化的背景,滞在期間,年齢,就園経験の有無,さらには家庭の教育方針などによって様々である。それから,一人一人の実態を的確に把握し,指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うとともに,全教職員で共通理解を深め,幼児や保護者と関わる体制を整えなさいとか,まず教師自身が幼児が暮らしていた国の生活などに関心を持って理解しようとする姿勢を保たなければいけないと。一人一人の幼児の実情を把握すること,その上で,その幼児が教師によって受け入れられ,見守られているという安心感を持ち,次第に自己を発揮できるように配慮するんだと。教師やほかの幼児との温かい触れ合いの中で,自然に日本語に触れたり,日本の生活習慣に触れたりすることができるよう配慮しなさいと。そして,様々な背景を持った幼児が生活を共にすることは,異なる習慣や行動様式を持ったほかの幼児と関わり,それを認め合う貴重な経験につながる,ここの部分が外国人の子供以外の全ての子供たちに向けての言葉なんですが,そのことは幼児が一人一人の違いに気付き,それを受け入れたり,自他の存在について考えたりする全ての子供にとってよい機会にもなり得ると。その後に,保護者は自身が経験した幼稚園のイメージを持っているために,丁寧に園生活や園の方針を説明したりすることなどが必要だから,それを考えて準備しなさいということは書いてあるんですが,ここであえて読ませていただいたのは,なかなか解説まで全ての人が読まないというところもありまして,でも,こんなにいいことが書いてあって,ここに方向性が実は示されているということを共通理解させていただければと思います。
 次のスライドに参ります。幼稚園教育要領だけではなくて,保育所保育指針の第2章の4にも保育の実施に関して留意すべき事項がありまして,アから始まっているんですが,保育の全体に関わる事項の中の後半部分のオというのが,「子どもの国籍や文化の違いを認め,互いに尊重する心を育てるようにすること」,これは全ての子供に対してです。そして,カ,「子どもの性差や個人差にも留意しつつ,性別などによる固定的な意識を植え付けることがないようにすること」と書かれています。
 これが,この下の枠のところ,お話だけにしようと思っていたんですが,文字もあった方がいいかと思って書き加えてしまったんですが,このようにトリプル改訂された指針では,多文化共生教育とか,多様性の中で生きる者としての育ちを支えることが大事だという共通理念とか方向性が示されているんですけれども,残念ながら,私のフィールドでの課題としては,じゃ,どうしたらよいかという議論は未成熟な状況にあります。ここに入っているという点では,随分ここまで来たというところがあるんですけれども,ちなみに指針のこの部分は,前回の改定からも入っています。どうしたらいいかというところがまだちょっと不十分であり,これから考えなければいけないところがあります。
 保育所保育指針にも解説がありまして,そこの中にも,子供の国籍や文化の違いを認めて互いに尊重する心を育てるためにはこんなことが大事ですよと,いろんな子供の家庭の多様性を十分に認識して,積極的に認めて互いに尊重し合える雰囲気を作り出すよう努めることが求められるとあるんです。でも,この雰囲気を作るために具体的にどうするかというのは,保育士や幼稚園教諭に任されております。そこをどうするかというところが,まだ目の前に子供たちが来るまで深く考えていなくて,来たときに慌てるという状態になっています。それを何とかしないといけないかなというところがあります。そういった国籍,文化が違うお子さんがいらっしゃったときには,ほかのお子さんや保護者も異なる文化に触れる機会を作ると,お互いに多様性に気付いて,こんなにいいことがあるとかいうことも書いてあるんですが,ちょっとこの後データも御紹介しますけれども,やれているところとやれていないところがあるようです。
 そして,特に保育所の場合は,家庭の支援ということを幼稚園以上に,幼稚園よりもゼロ歳からということがありますので,強くこの指針に書かれているんですが,保護者は子育てに困難や不安や負担感を抱きやすい状況にあると。外国の人はよりそういう状況にあるので,各家庭の状況に応じた個別の支援が必要になるとあります。
 次のスライドに参ります。複言語環境で発達する子供にとって,その後,就学前から就学する小学校への接続のところです。そこについて,特に課題がはっきり見えてくるところかと思います。幼稚園や保育園では何となくなのか,何とか一緒に過ごせていたんだけれども,小学校に行って,具体的に課題になってきて大変になるとか,あるいは幼稚園や保育園にいたのにということをよく言われるんですけれども,家庭の文化と小学校の文化の差というのは,両親が日本人の御家庭のお子さんたちでも大変なことがあります。それがほかの子供よりも大きい。
 それから,園の仲間集団で支えられてきた子供たちが,小学校で新しい友達の仲間集団に入ったときに,今までは自分のことを分かってくれていた子供の中で過ごしていたのが,新しくその関係を構築していかなければいけないという状況に置かれます。ですから,具体的に分かりやすい環境作りというのが大きな支援になります。そのときに,こちらの受け入れる保育園,幼稚園の保育者もそうですし,小学校の先生もそうだと思うんですけれども,そもそも集団登校って何だろうと。おやつが小学校でもある国は幾つもあります。宿題が最初のうちあるかないかも国によって違うので,日本の常識は世界の常識じゃないということをこちら側がよく分かっていることが必要かと思います。それを保育者が知っていれば,伝えておいてあげることもできるのかなと思うんです。だから,小学校の先生にというばかりではなく,こういうことが日本の小学校ではあるんですよということを事前にお伝えしておくと,随分変わるんじゃないかと。
 それから,保護者の学校との関係というのは,子供の教師への信頼感に反映するので,やはり保護者と学校,保護者と園の関係というのはとても大切になるかと思います。そして,こちらがある意味を持ってやっている行動が,文化が違う保護者にとっては違う意味に見えたり聞こえたりすることがあります。だから,日本語が通じるからといって,それでよいわけではなく,文化が違う場合,言葉が通じていても,同じ日本語でも意味が同じとは限らないということも含めて考えていかなければいけないかと思います。
 そして,最後,家庭の持つ条件の影響をより大きく受けるとちょっと控えめに書いたんですけれども,不利な状況にある御家庭ほど,こういう接続期の移行のときに課題が強くなります。例えば経済的な支援が必要な場合,特別支援のニーズがあるお子さんの場合ですとか,当然外国につながりがある御家庭で,文化が学校文化と大きく違う場合も不利な条件の一つになるかと思います。
 この接続期に特にフォーカスを当てて何とかしなければということは各地で考えられてきていて,それを2006年に愛知県がまとめてくださった愛知県プレスクール実施マニュアルというものがあることを御存じの方も多いかと思います。ここで次のスライドにお願いします。ウエブで誰でもダウンロードできるようになっているんですが,2006年からモデル事業を踏まえて作成されて,2009年にウエブで出版というか,公開されまして,2010年に改訂になっています。この接続期の先ほどの課題を何とかしようということで,就学直前の半年程度で,就学に向けて基本的な日本語と学校文化を学ぶ機会を提供するためのカリキュラムを作成するんですけれども,それを日本語が理解できない小学校入学直前の外国人の子供を対象にということで愛知県が作成して,小牧市,半田市,豊橋市,知立市などでモデル事業として行われて,以下,その後,西尾市とか名古屋市港区,豊田市,東浦町とかでモデル事業が行われています。
 私は,実はこのモデル事業の報告会に,西尾市に見せていただきに行ったりとか,当時名古屋で働いていましたので,伺っておりました。そのモデル事業で出会った岐阜県大垣市というところが,これからやるんだけどといって,行政の方が将来指導員になる方と一緒に勉強に来ていらしたんです。私が出身地がそこだったものですから,たまたまおしゃべりをして,じゃ,私,見に行きますということで関わっているというか,していらっしゃるのは大垣市の方々で,私は行って勉強させていただいているような状況なので,私はやっている者ではなくて,第三者としてできることを,ちょっとボランティアとしてお手伝いしているような立場でおります。ほかにもプレスクールの例がいろいろあって,ここに書いておきました。資料とか広報を見付けられただけで,ほかにもやっていることは知っているんだけれども,ウエブ上では私が見付けられなかった自治体ですとか,ほかにもあると思いますので,これはたまたま私が見付けられたものだけが載っていると御理解ください。
 次のスライドです。プレスクールもいろいろな自治体でしているんですけれども,いろんな形があるようで,今現在幼稚園にも保育園にも通っていない未就園の子供を対象にしているものと,岐阜県大垣市はその下の二つ目になるんですが,幼稚園や保育園,こども園などに既に通っている子供を対象にしている場合と,それから,両方の子供たちを対象にしている場合があります。その中でも,地域内にいる子供たちを1か所に集める,地域内の拠点で行う,パターン1のところですけれども,頻度を多くして集団活動に重みを持たせているところが多いように思います。特に未就園のお子さんたちで,拠点で行っているところは回数を多くして,集団生活になれさせたいという意図も入っているのかなと思います。それから,パターン2としては,就学直前に集中的に,週末に学校なんかで1回でも何かをしてあげたいとか,2回か3回ぐらいでというところはあります。就園している子供たちを対象にしているところも,個別で各園に回っていっている地域もあります。パターン4としては,週末に拠点での集団指導をしているところがあります。それから,パターン5としては,園内での集団指導を行っているところもあります。上記の混合などもあります。どういったパターンが選ばれるかというのは,地域のリソースの問題もありますし,園がどれぐらい散らばっているかですとか,交通機関の問題もあるかと思います。
 では,その次のスライドで,大垣市がどんなところかということを申し上げます。人口はそれほど多くないんですけれども,集住というほど一つの学校にはたくさんいないんだけれども,でも市内に散在していて,10パーセントから20パーセントの子供が外国籍の学校があるような地域です。こちらはきらきら教室と呼んでいまして,2012年からで,今年もやります。最初は10人前後の子供から始まって,今年度も対象児童が多分40人を超える予定だそうです。主な運営は国際交流協会というところが運営しています。そこを仕切っているのはまちづくり推進課です。こども課でも教育委員会でもなく,接続期なので,どこがやるかということが最初は課題になったんだそうです。それで,小学校の準備で,小学校のことなんだから,こども課の業務ではないのではないか,小学校に入る前なので,幼稚園はこども課に属している市町ですので,ちょっと手を出しにくいというところで,放課後の学習支援もまちづくり推進課でしていましたので,そこの方が国際交流協会に依頼をして運営するという形で始まって,続いています。
 この市は,対象児童は全て在園なんですけれども,付け加えておきたいのは,待機児童がほとんどおりません。公立の幼稚園がありますので,幼稚園にはいつでも入れます。ですから,実は未就園の子供もいるんですけれども,見付けると入れて就園していただいて,このプログラムに参加していただくということができる場所ですので,就園児です。もちろん全ての対象の未就園の児童を見付けられているかどうかは分からないんですけれども,住民課とか,それから,小学校に入る健康診断に来たときに,未就園の子供がいたときに連絡が来るとか,いろんな方法をとって,何とかして全員ここに入れようということで努力をしています。指導員は教員の資格がある人が主で,幼稚園教諭の免許か,元小学校の教員だった方や,日本語教育の経験があって,初期指導教室が以前からこの市でありましたので,その経験者の方が10月から3月のみ非常勤雇用で6か月します。ここは個別指導と,それから集団指導の両方を行っています。指導の流れが次のスライドに図にしてあります。
 10月頃に対象児童調査をして,園長会で今年もやりますよと。最初の年は大変だったんですが,こういう意図でこういうことをしますから,あなたの園に伺わせてくださいということをお願いして御理解いただいて,対象になるかもしれない児童全員に個別の語彙検査をして,保護者に対してこんなことをしますよという説明会をして,そうして対象児童を決定して,何回ぐらいそれぞれの子供にどういうふうに指導するかということを決めて,個別の巡回指導を全体の時期に6回から15回,それから,集団指導を5回やっています。市がやると,記録ができたときに,それを小学校へ申し送りをすることがしやすいです。一応こんなふうに指導してきましたということは送っています。
 ちょっと具体的なイメージが湧きにくいかと思いまして,写真入りで,大垣市に提供していただいている写真なんですけれども,用意してみました。一番左が巡回指導の様子なんですけれども,園の中のスペースをお借りして,ほぼ生活言語としては習得している子も対象児童としていますので,週0.5というのは2週に1回,でも学校文化はまだ初めてなので,それを習得してほしい,分かってほしいというレベルの子から,ほとんど日本語が話せない子までいますので,0.5から2回の範囲で回数が変わります。1対1か1対2程度,少人数といっても1対2なんですが,グループで関わる機会を持って,自分のペースで日本語を使う機会が持てます。宿題を出して,家庭での学習支援を保護者に意識してもらって,勉強って楽しいよということを分かってもらいたいなと思いながら宿題も出しています。そして毎回の進度や様子は記録チェックシートがあって,それを園の先生に伝えます。園によっては,これをよく見ている園と,ちらちらと見てくださる園とありまして,よく見ている園とか,指導員の方で,きょうはこういうことが分かったんだけれども,こういうことは分からなかったなんてお話をすると,また園の中でいろいろ働きかけをしてくれることもあります。
 右3枚が全て集団指導の写真です。2時間やるんですけれども,最初の1時間は上,子供の部屋と,下の大人の部屋に分かれています。上の子供の部屋では,巡回でやったことをみんなでここでします。月1回地域の学校文化に触れることを目標にしていますので,学校の先生がやるような,なるべく学校の先生が使っている言葉で御挨拶の指示とかいろんな指示をします。下は親に向けて母語通訳付きの子育て支援講座をしていきます。そして後半は親子一緒になって,母語と日本語両方を使って,通訳もいる中で活動をします。ただ,ここに含まれていないのは,見学に来た方によく言われるのは,母語・継承語を大事にしなさいと子育て支援講座で言っているんですけれども,でも,実際にはそういうリソースはないですね,地域ネットワークはどうですかと言われるんですが,それはちょっと本当に,地域の方たちに,今お任せしている状態です。
 その結果,どうだったかということで,プレスクール実施当初一,二年の地域の変化について,少しまとめてみました。保育者へのインタビュー,それから,小学校の先生にアンケートで答えてもらったり,指導員の方にインタビューしたり,保護者のアンケートの結果を基に見てみますと,保育者は,子供の指導や保護者対応について指導員に初めて相談できたと言っていた方もいらっしゃいました。そして,子供が日本語を使おうとするようになったとか,それから,子供が日本語をどのぐらい使えているかということを,第三者が入ってきたことによって保育者がより意識するようになったようです。小学校の先生方は,きらきら教室ができた後,外国の保護者が学校に連絡をしてくれるようになったと言われました。ただ,校長先生が替わったりすると,報告書を担任が見ていないことがあったりすると。それから,指導員から見ると,最初はなかなか対象児童が園から上がってこなくて困ったこともあったんだけれども,協力があるということがありました。
 ちょっとまとめていきますと,これがないので載っけたんですけれども,ここのプレスクールがやったことは,恐らく指導員とか,それから園長会で,外国籍の子供たちには特別に指導が必要なんだということを園に意識してもらったりということから,孤立しがちな担任保育者が周りのリソースとつながったということと,それから,親がほかの外国籍の親同士とつながったり,ほかのリソースがあることを知って,地域に助けてくれる場所があるということを知る,地域リソースやネットワークとつながるということが大きなポイントだったのではないかと思います。
 子供たちも,1対1のときは結構お話をしたりする,ふだんはしゃべらないんだけれども,1対1だとしゃべる子たちも結構いまして,子供の日本語使用意欲とか自己肯定感ができたかなと思います。
 次に行きます。ただ,このモデルがどの地域でも有効とは限らないということもあります。当然このサイズの市町ですので,全部の園を個別の指導員が回ることができますが,前回お話があった浜松市のような大きな市町では,全市1か所で拠点園で何かをするとか,もっと広いので回ることが難しいかもしれません。それから,この市は以前から外国人の人たちがいて,それが低年齢化してきたという流れの中でプレスクールができました。ですから,初期指導等の経験があります。だからリソースがありました。ということで,じゃ,どうしたらいいのかなということを考えると,やはり保育所,幼稚園,こども園,どの保育者も対応できる力を付ける必要があるし,かなり質の高い保育というレベルまで持っていって,質の高い保育ができていれば受入れがうまくいくんじゃないか。ただ,どうしても養成課程や現場研修を行える人材が不足しているのではないかということが考えられます。
 次に,グラフをスライドで,後でざっと見てもらおうと思うんですが,どうしていいのか分からないで困り感や焦燥感が高くなっている保育者が多いということが,実はあります。グラフを細かく御説明していると,時間を随分とっていますので,下の方の,この調査から分かってきた要点のところ,下の文章だけ読ませていただきます。保育者から見た外国人幼児の入園直後に気になった行動と,それがいつ頃なくなっていったかという調査を,全国幼児教育研究協会というところが文科省の委託で2016年にした研究があります。
 私も,実はメンバーで,データを一緒に見させていただいていたんですけれども,そのデータからは,気になる行動は3歳よりも5歳に多かったです。それだけ期待があるからかなと思うんですが。6か月後も,半数近くが解決していませんでした。でも,解決していた園が取り組んでいくこととしては,園全体で配慮する体制を作るとうまくいきやすい。それから,保育者が日本語をどのように話すか意識するようにしていくといいということで,若干の相関がありました。
 保育者が外国人保護者をどう思っているかというのが次のスライドです。保育者が最も気になっていることは,保護者に伝わらない困難感です。外国人幼児の保護者の行動はなかなか変わりにくく,いろいろ配慮したという自由記述,その他あったんですけれども,その配慮によって効果の違いは識別できませんでした。保護者の個人差が大きいということも考えられます。
 そして,三つ目のグラフです。保育者から見たほかの幼児への影響についてです。全体に協調性の芽生えに肯定的な影響があるようです。保育者が,当該幼児の国の文化や生活に関する遊びや教材を保育に取り入れたり,様々な外国の文化理解や言語に関する研修をした割合というのは実は少なかったんですが,実践した園では子供たちが変わったという答えがありました。ですから,先ほど指針要領の前にされた調査なんですけれども,あのような方向性はあるんですけれども,実際に取り組んでいる園はまだまだ少ないということが分かります。
 ほかに,グラフには書いていないんですけれども,自由記述から出てきたこととしては,特別な支援が必要なのか,文化的な要因なのか判断が難しい。人的資源が足りないとか,個別対応をしたいんだけれども,なかなかできないですとか,保育者自身が多様な文化や日本の文化の特徴について学ぶ必要があるんだけれども,必要があることをなかなか気が付いていないということがあります。
 そして,就学前の困難さとしては,小学校以上と違って保育施設が多様にあります。管轄省庁も違います。独立性も高いですし,民間運営も多いですので,保育施設間の連携,連絡が,今,難しい状況にあるかと思います。

【佐藤座長】
 すみません,そろそろ。

【内田委員】
 長くなりまして,すみません。あとは読んでいただくことにしまして,実際,日本には,子ども・子育て支援制度と外国につながる子ども・家族のこのような制度があります。でも,これに外国の方たちがアクセスできているかというと,なかなかできていない部分があります。それをつないでいくために,このようなことができるのではないかということを最後のスライドにまとめてあります。
 既に申し上げたことも多いですので,1点だけ,就学前の子供たちが健全に発達していくためには,家庭の協力が不可欠で,家庭と園がどう結び付くか,家庭をどう支援するかが大切かと思います。今,飛ばしたスライドの中に,また愛知県ですけれども,子育て支援グループをどう作ったらいいかというマニュアルを作って,ウエブ上に出しているところがあります。御紹介してありますので,また御覧ください。そういった取組も必要かと思います。それから,通訳を配置してほしいですけれども,なかなかそういうこともいきませんので,保育者もICTを活用して保護者との関わりに努力していく必要があるかと思います。
 以上です。長くなって申し訳ありませんでした。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 就学前の支援についてどうしたらいいのかということで,なかなか難しい問題がありますけれども,きょう,具体的な地域の取組を通して報告を頂きながら,課題を提示していただきました。ありがとうございます。
 後ほど一括して皆さんと質疑をしたいと思いますので,続きましてNPO等地域団体による支援について,資料2に基づいて,青少年自立援助センター多文化コーディネーターのピッチフォードさんの方から説明をお願いしたいと思います。30分程度で,よろしくお願いします。

【ピッチフォード多文化コーディネーター】
 皆様,こんにちは。御紹介いただきました,青少年自立援助センターのコーディネーターをしておりますピッチフォードと申します。
 本日,本来であれば田中がこちらでお話をする予定になっておりましたが,田中の父親であり,私たちのNPO法人の理事長である工藤が,けさ,他界しましたために,急遽(きゅうきょ),代理で伺わせていただいております。けさ,引継ぎをしまして,スライドだけ渡されてきましたので,不備があるかとは思います。ただ,主に多文化コーディネーターという仕事についてまとめておりますので,私が実際に日々やっていることの実践報告に近い形だと思って,お聞きいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 御存じのように,当法人,福生市という所にございます。2010年に定住外国人子弟支援事業部というものを作りまして,文部科学省の虹の架け橋事業の受託させていただいたタイミングで,この事業部を発生させまして,今日に至っております。それまでは,主に日本人のニート支援,ひきこもり支援,福祉的な支援と,いろいろな面で困難を抱えている若者の自立をお手伝いしましょうというコンセプトで動いていた法人でございます。
 見ていただけば分かりますが,教室風景です。ほかの部署とも連携しまして,運動会であったり,文化祭であったり,様々な行事を入れております。幅の広い年代の子供,若者たちが通っている現場ということになります。
 私たちの教室の大きな特徴として,常設の教室で,月曜日から金曜日まで,朝9時から夜7時まできっちりプログラムが動いているという特徴があります。日本語学校と,高校進学予備校と,フリースクールと,塾を一緒にしたような現場と田中は書いておりますが,ここにもう一つ学童クラブが入る感じだと思っていただければと思います。
 時間割はこうなっておりますけれども,昼間の9時から3時ぐらいまでの時間帯にこちらに通ってきている子供たちというのは,この時間帯に来るということは,私たちの教室以外に行く場所がない子供たちになります。来日直後で日本語がゼロなので,学校から押し出されてしまった子供,既に中学,若しくは高校1年,2年までを修了したタイミングで日本に呼ばれて,高校進学をするために勉強できる場所がほかにないというような子供たちです。それから,不就学のお子さん,不登校に陥っているお子さんというような,様々なニーズを持った子供,若者が常に集まっているという形になります。
 サービスの提供範囲は,見ていただくように,日本語教育と学習支援,高校進学支援,就学復学支援ということになります。そして,当法人の他部署との連携により,みんながみんな,お勉強が好きなわけではない子供もいると思いますので,本当にその子供に必要であれば,就労という方向性に向けての就労自立支援も行っております。
 職員の配置ですが,責任者,こちらは田中になるんですけれども,常勤で1名おります。それから,PR/企業連携担当の非常勤のコーディネーターが一人,オンラインの配信事業を行っておりますので,ICT事業担当のコーディネーターが常勤で一人おります。多文化コーディネーターというポジションで,私と,もう一人,若いコーディネーターと,それからアシスタントがおります。コーディネーター二人は常勤になります。そして,日本語教師が常勤と非常勤,学習支援担当が常勤と非常勤というような形で,1日当たりこのような人数で回っています。
 見ていただくとお分かりいただけるんですが,実際に日本語や学習の支援に当たる人数よりも,それ以外の仕事に携わる人数の方がやや多いというのが一つの特徴でもあります。ここは,やはりコーディネーターという人間がどのように機能していくかが大きなポイントになります。
 支援の流れですけれども,これはYSCグローバル・スクールという私たちの現場に限らず,NPO法人青少年自立援助センターが常に掲げているプロセスになるんですけれども,「発見」「誘導」「参加」「出口」,これに乗せて支援を行っています。
 まず,発見です。ニーズのある子供,若者を発見していくこと。そして,その子供たち,若しくは家庭と相談して,私たちの教室にまず誘導する,つなぐということです。つながったら,今度は参加です。日本語が必要であれば日本語,教科指導が必要であれば教科,日本生まれ,日本育ちでおしゃべりは上手だけれども,勉強はさっぱりという子たちも放課後支援でやってきますので,この子たちには学習支援。そして,イベントであったり,社会体験であったり,キャリア教育であったり,様々なものを組み合わせて参加して,出口に送り出します。教育への現場ですので,多くの場合が段階的に復学をする,若しくは就学をする,そして高校進学をする。就労希望であれば,内外のリソースへのリファーをするという流れになっています。
 この支援の流れを支えるのがコーディネーターになります。やはり日本語を教える人が,数学も教えて,学校とつないで,自治体とつないでというのは,非常に厳しいものがあります。なので,私たちのように実際に授業を担当しない人間が,自由に動ける立場で,そして,これも一つ,民間であることで,非常にフットワークよく動けるというところが大きなポイントであると思っています。
 この発見したところから出口までを,コーディネーターがずっと伴走する形になります。そして,ステージごとに外部の必要な関係機関とつなぎながら一歩一歩進んでいく,というのが私たちの教室の支援の形の基本になります。
 具体的にケースを御紹介しようと思うんですけれども,フィリピンルーツ(日本国籍)の男の子です。これ,さらっと書いてありますが,非常に厳しい状態に陥っていたお子さんです。保護者が,日本人配偶者とフィリピンで知り合って結婚して,フィリピンで事業をしている日本人配偶者だったので,お母さんと子供はフィリピンにいるままで,お父さんは通っているような形,お母さんはお父さんの会社の事務所で働くということだったんですけれども,お母さんが知らない間に離婚届を出されてしまいました。お父さんの会社も閉鎖されて,一時,子供とお母さんがホームレスになるというような状況でございました。
 どうにかして子供を連れて日本に行こうということで,ここもお母さんがちょっと判断を誤って,お子さんは日本国籍なので,ある程度動きはよかったはずなんですけれども,お母さんが就労のことと住まいのことを心配して,ブローカーに多額のお金を払って親子で来日しました。成田に着いた瞬間に,親子はばらばらにされて,それぞれが強制的に就労という形になりました。子供は,岐阜の山奥の温泉旅館に売り飛ばされて,布団の上げ下げ24部屋分を一人でやって腰を悪くして,働けなくなって帰されたというケースです。
 お母さんは養鶏場に住み込みで,そのとき2,000円だけお金があったので,ファミリーレストランに行って,そこで二人で思い詰めて,多分,本当に死んでしまおうかという顔をしていたんだと思うんだけれども,たまたまフィリピンルーツの店員に声を掛けてもらって,市役所に相談しなさいと言われて市役所に相談しました。ここで,市役所の生活支援課がすぐに自立支援,生活支援を行っているNPO団体とつなぎ,そのNPO団体が子供の進学の件でうちにリファーを送ってきました。
 そこから,私たちのNPOと,自立就労支援,生活支援のZというNPO団体と,市の生活支援課,この三つのポジションで連携を取りながら話を進めていきました。今現在は,無事に高校に進学して,住まいもきちんとあって,お母さんもZの方から紹介してもらった仕事をしながらという形になっています。自治体と直接つながっていたNPOと,そのNPOから,うちのNPOへというような形で生活支援と学習支援を,私たちは生活支援に対しては余り強くありません。Zという団体は,逆に学習支援に関しては全く分からないところなので,それぞれが必要な支援をしながら連携を取ってと,うまくいった事例の一つであります。
 次に,もう一つ事例を御紹介したいと思います。こちらは,オンライン配信の日本語授業につながったケースです。東京からはかなり離れた所,かなりの田舎に,日本人のお母さんで,お子さんは海外で育っていたんですけれども,こちらも離婚に伴って,お母さんが子供を連れて御自分の実家に戻ってきました。本当にかなりの田舎に戻られて,日本国籍者ですので,一応,中学校に入りました。加配による日本語支援も受けたんですけれども,子供が日本の生活に抵抗感があり,もう帰りたい一方なので,全く日本語も伸びず,お母さんと学校がうまくコミュニケーションを取れなくてなっていました。お母さんも,子供も完全に孤立した形になっていました。
 そこで,お母さんが必死にネットで探して,うちのNPOの遠隔教育プログラムにコンタクトをしてきました。お母さんから私たちのNPOに連絡があったことで,私たちの方から学校へ働き掛け,国際交流センター等々,お母さんが見付けることのできなかった地域リソースが実はたくさんあったんです。お母さんは,もうここには何もない,学校は私たちの言うことは聞いてくれない,何もしてくれないということで,完全に周りに目が行かなくなっていました。ただ,こんなところもあります,こんなところもありますと御紹介させていただく,そことつなぐ,学校と保護者の間の関係を修復,調整をしました。
 初めは学校の方も,お母さんとの関係がこじれていますので,訳が分からない東京から配信されるオンラインの動画なんて見てどうするんだというようなことを学内でおっしゃっていたんですけれども,やはりそこで丁寧にお話を進めることで学校の御理解を頂いて,最終的に彼は学校の教室で日本語のオンライン授業を受講することができるようになりました。それによって学内での人間関係もよくなり,先生方との信頼も徐々に回復して,お母さんと学校との関係も徐々に上向きになっていったという結果が生まれています。オンラインであっても,遠隔であっても,やはりつなぐことはできるんだということを,この事例で私たちも強く感じたところでございます。
 実際に,それぞれどのような形で連携しているかといいますと,まず,学校につながっている年齢のお子さんが一番多いので,学校で集中的な日本語の初期指導ができない場合には,YSCの方でお預かりして,40日間,朝の9時から3時まで,50分授業が5コマあるんですけれども,初期指導をこちらの教室で行います。これは,学校は全て出席扱いを頂いて,学校にはこちらから授業報告,出席管理のレポートを提出させていただいております。
 私たちの教室,無料ではありません。ボランティア教室ではないので,有料で料金を頂いているんですけれども,その料金に関しては,学校から強制的に送り出されてくる場合は自治体から補助が出ているケースもあります。学校の学級担任であったり,管理職には,こちらから生徒情報を細かに共有いたします。学校というのは,なかなか個人情報の壁が高くて,実は子供の国籍も分かりませんというケースが多いんですけれども,こちらの入所時点のインテークで,細かくいろいろな情報をきちんとつかんでおりますので,それを学校と共有しております。そして,学校と保護者間のコミュニケーションに関しても,やはり誤解であったり,行き違いということがたくさんありますので,その間に挟まって面談であったり,説明会であったり,保護者会に同行するケースが多いです。
 そして,自治体関係機関とは,福生市の場合,支援連絡会議というものが2か月に1回,開催されています。これは,子ども家庭支援センター,民生委員,市民児童委員,警察の少年課,児童館,学童クラブ,放課後の学内の学童クラブ等々の担当が集まり,あとスクールソーシャルワーカー,教育相談室も入ってくるんですけれども,あらゆる問題につながりそうなケースを実名で共有いたします。これは外国につながる子供だけではなくて,日本人のお子様も含めたシステムの中に私たちのYSCを入れていただいて,外国ルーツの子供たちの問題を自治体としてみんなで共有していただいております。
 その中で,それぞれの役割に応じて,子供,及び家庭の支援が実施できています。そこで状況を共有することによって,子ども家庭支援センターが生活支援に入り,民生委員,児童委員が見守りと学校の支援に入り,SSWが登校支援にというような形で,全体の会議は2か月に1回ですけれども,それぞれのケースに関しては細かに連携しながらつないでいます。
 自治体の中の地域資源に関しては,福生市というエリアはボランティア団体が非常に少ないです。御存じのように,米軍の横田基地がありますので,外国人との交流というと,ボランティアの日本語教室がある地域も多いんですが,福生市の場合は反対でして,アメリカとのお付き合いのみが国際交流という形になっていまして,日本人のお子さんたちが基地の中に英語を習いに行くという逆のパターンがあります。福生市は,今,活動しているボランティアの日本語教室は,実は一つしかありません。なので,ボランティア教室と連携をしまして,ボランティア教室に通う日,ボランティア教室がない日はこちらに来る日というような組合せを組んでいます。保護者の学習指導はボランティア教室に,子供は学習支援なのでYSCヘという連携を取っています。
 遠隔指導の場合は,やはり直接できることがないので,日本語指導,それから高校進学の学習指導に関してはオンラインで流しますけれども,それ以外の部分の支援に関しては,まず,コーディネーターが地域のボランティア教室,国際交流協会等々と連絡を取り,連携をして,そこにつなぐということを行っています。企業,大学,個人等々とは,皆さんがお強いそれぞれの分野と連携を取らせていただいております。特に,私たちの教室は有料でお金が掛かります。そうすると,金銭的に余裕がないので受講が難しいというケースが発生しますが,そこに関しては,個人の方々から御寄附を頂いて,それをプールして学内の奨学金を作っております。家庭の経済状態に応じて奨学金を支給することで,金銭的に余裕がないので教室につながれないというケースはありません。
 飽くまでも私たちのYSCグローバル・スクールの中で,コーディネーターがどういうように動いているかが,このスライドにまとめてあります。ネットワーキング,包括的支援の実現,当事者支援,この三つの大きな柱になるかと思います。私たちのコーディネーター,私も2010年の虹の架け橋事業のときからコーディネーターという仕事をさせていただいているんですけれども,今の動き方はやはり虹の掛け橋事業時代に蓄積された経験が非常に大きいと,私も感じております。
 教室は,9時から7時まで授業があります。勤務は2部制になっていますので,スタッフは8時半から8時半までおります。なので,常勤で,とにかくいつでも連絡が取れる,そして学校の教員や行政の職員,国際交流協会,様々な方々が外国人対応で困ったというときに答え得る専門知識と情報を持っている,地域の外国人対応専門家というようなポジションでの活動になります。これは,学習支援が主ですけれども,学習支援だけでなく生活に関しても様々な支援を,直接できないものは全てつないでいく。それぞれ得意,不得意がございますので,そこにつなぎながら包括的に支援を行っていくことができます。
 それができるのは,やはり民間であることが大きいです。どうしてもそれぞれ基礎自治体の中に入ってしまうと,例えばSSWはフットワークに制限が掛かる場合が多いです。私たちはやはり民間ですので,特に縛りはありません。小さい自治体ですので,それぞれの自治体からはお金を頂いているわけではないので,幅広いセクターと柔軟な協働が可能であります。
 それから,支援領域を超えた協働が可能であります。それは,同じ法人の中に障害福祉も,自立就労も,ニートも,ひきこもりもあります。今,特に集合が重なってきていまして,外国人の子供と発達障害ということもありますし,外国人の子供が機能的な障害を抱えている場合,それから外国人のニート,ひきこもりも多くなっています。そういう中で,様々な形で協働しながらの支援が可能であること。必要に応じて自らの立ち位置と役割を変化させやすいということは,そのときによってうまくこちらとあちらをつないでいくといいますか,余り型にはまらないで動くことができるというのが一つのポイントです。
 そして,不就学であったり,特に学齢超過,自分の国で中学校を卒業してきたという学校の外にいる子供たち,枠の外にいる子供たちは,枠の中にいる方々からはなかなか見えづらいということがあります。そういう方々に,いち早く対応することも可能かと思っています。
 地域支援の傾向として,今,いろいろなところに外国人支援団体というものがあります。国際交流協会だったり,一生懸命やっていらっしゃるんですけれども,やはりどうしても人材不足になります。そして,明らかな高齢化があります。やはり民間で支える人々を,うちの若いコーディネーターのように,これが仕事で,細々とではあるけれども食べていけるポジションが,今後,できていくことが大切だと,私たちは思っています。
 後からゆっくり見ていただければと思いますけれども,小学校から高校までこのような流れで,日本人のお子さんも,外国籍のお子さんも流れていくんですが,真ん中辺りにある赤い丸,不就学の方々,不登校の方々,中学校を進路未決定で出てしまった人たち,中学校を卒業して日本にやってきた人たち,高校には入ったけれども,足が向かなくなってドロップアウトしてしまう人たち,高校は卒業したけれども,進路が未決定の人たち,こういういろいろなところからこぼれてしまう人々をどう支えていくかというと,やはり民間のNPOが様々なところとつながりながら,支援のネットワークを組んでいく必要がある。
 そのときに,やはりキーパーソンとして自由に動けるのは多文化コーディネーター,多文化と付かなくてもいいと思いますけれども,コーディネーターという人間,つまり日本語や数学や英語を教える人ではない,支援が必要な人間の状況をきちんと把握して,正しいところに,正しいタイミングでつなぐことができる人間が必要で,それをやっていかないと,なかなか包括的な支援は難しいのではないかというのが,私たちが考えているところであります。
 人材も足りません。これから,どんどん外国人につながる子供,若者が多くなってくる中で,既存の外国人支援の枠組みだけでは全く足りないということになります。なので,既存の支援と,様々なほかのセクターであったり,今,やっている公的な支援だったり,民間事業,無料の日本人対象の学習支援だったり,子ども食堂,フードバンク,いろいろなものがあると思います。こういうものを上手に掛け算しながら,ネットワークを組んで全体で支えるということが,私たちの考えるゴールの一つであります。
 すみません,長くなりましたが,この辺で終わります。ありがとうございました。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。突然のお願いにもかかわらず,的確にまとめていただきました。NPOの役割の大切さというものが,改めてきょうの報告から浮かび上がってきたのではないかと思います。
 今,お二方の報告を頂きましたけれども,それぞれのきょうの発表も踏まえて,そして先ほど事務局の方から提案のあった資料4を基にしながら,それぞれ御意見を伺っていきたいと思います。まず,古沢委員は20分にお出になるということで,何かございましたら是非お願いします。

【古沢委員】
 どうもありがとうございます。お二方の発表を非常に興味深くお聞きしました。
 お一人ずつ,1点ずつ質問と意見なんですが,まず,内田委員の方から,未就学の支援というのは,確かに今まで小学校,中学校段階に比べても抜け落ちていた部分があるのではないかということで,きめ細かい支援が必要であるということがよく分かりました。もし御存じであれば,大垣市で未就学の子供を保育園,幼稚園につなぐことをしているということですが,どの程度そういうケースがあるのか,ざっくりでもお聞きしたいと思いました。
 YSCについても,ピッチフォードさんの発表を非常に興味深く拝聴しました。その中で,これは意見ですけれども,個人情報ということで学校が子供の国籍であるとか,日本力などを承知していないという話は,私も非常によく聞くことがあります。やはり的確な支援をするためには,サポートをするためには,そういった基本的な情報をしっかり把握する必要は本当にあると思いますので,その辺りの仕組みや周知などを各教育委員会ができるように何か対策が必要だと思いました。
 内田委員への質問だけお願いします。

【内田委員】
 先ほど申し上げたように,外部のボランティアのような立場ですので,中の正確な数字は分かりません。ただ,何が起きているかといいますと,人口規模がそれほど大きくありませんので,例えば学校の支援に入っている初期指導ですとか,放課後支援の方たちとか,そこで育って大きくなったお母さんたちが,ボランティアとして就学前の健康診断などに入っているんです。その方たちのネットワークがしっかりしていて,名簿になかったとか,プレスクールの指導員の方も就学前の健康診断のお手伝いに行っているので,名前を知らない子が年に三,四人いて,一本釣りと呼んでいるんですけれども,先ほど申し上げましたように,あそこはそれほど大きくないので人の顔が見えるんです。園の数も少ないので,園長先生の名前をみんなが全部言えるんです。そんな関係で顔が見えるので,いたよねとか,近所にほかにもフィリピンから来た人がいると友達が教えてくれるとか,そういったネットワークを使って四,五人出てきた。あと,住民課で子供の年齢を見て,こういうものがあるから入りなさいとパンフレットを渡してほかの課につなぐとか,そんな感じです。正確には分からないですけれども,方法としては,顔が見えるのでそんなことが起きるという例です。大きいところに汎用性がないお話で,すみません。
 以上です。

【佐藤座長】
 ピッチフォードさん,個人情報についてどうぞ。

【ピッチフォード多文化コーディネーター】
 個人情報の壁というのは,もちろんきちんと守らなければいけない部分ではあるんですけれども,うちの方では支援に必要な情報は確実に取ります。在留資格に関しても,学校は全く把握していないケースが多くて,高校の場合,大学進学であったり,就職のときに,特に家族滞在でいらしていると難しいケースがありますので,それに対しても早め早めで,必要な情報は学校にきちんと提供するようにしています。いろいろな話をした挙げ句,生徒カードに国籍欄をこっそり作ってくださった定時制高校があります。
 情報管理に関しては,うちの法人自体,プライバシーマークに入っているので,非常に厳しく管理しております。

【古沢委員】
 分かりました。どうもありがとうございます。

【佐藤座長】
 よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは,御自由に,御質問も御意見も一緒に承っていきたいと思います。では,松尾委員,どうぞ。

【松尾委員】
 では,内田委員にお願いいたします。興味深い御発表,ありがとうございました。2点あります。
 1点目は,乳幼児期の重要性ということですけれども,諸外国の取組などを見ておりましても,やはり乳幼児期が鍵になるという形で,すごく力が入れられているんですけれども,なぜ乳幼児が重要なのかという辺りを教えてください。
 2点目ですけれども,言語の指導についてお伺いしたいと思います。日本語指導が必要な子供という言葉は出てきませんでしたし,母語指導についても余り触れられていなかったと思いますけれども,乳幼児期の望ましい言語指導とはどういうものなのかを教えていただければと思います。

【佐藤座長】
 では,どうぞ。

【内田委員】
 難しい御質問を頂いたかと思います。乳幼児期の重要性の話,とうとうと述べて長くならないように,人と関わるとか,物と関わるとか,そもそもいろいろな物事の基礎が作られるということで,周りにいる人を信頼して,自分を発揮して,自己肯定感を持っていく基礎を作っているのがこの時期だと思うんです。
 外国にルーツを持つ子供たちの大きくなった姿を見ていると,自己肯定感の低めの子たちが結構いる,認められた経験が少ない子たちがたくさんいる。そういう子たちを見ていても,最初に人と関わっている時期に,人に認められて,自分はこれでいいし,やってみて失敗しても,またやり直せばいいとか,そういった粘り強さとか,非認知的スキル,最近,キーワードで言われているものですが,それが身に付く時期なんです。その後に全く身に付かないわけではないんですが,一番基礎ができる時期だと言われていて,そういう意味で学習の基礎ができる時期だと言われています。
 そういったことも含めて就学前に身に付けたいと思うと,日本語さえ就学前に教えてあげれば,その後,学校に行って全て解決するというわけではないと考えられています。それもあって,日本語をどう指導するかという発想で,就学前はできないのではないかと思うんです。
 ただ,言語発達自体はきちんと保障していかなければいけないです。もし,家庭の母語環境がとても豊かで,しっかりしていらっしゃるのであれば,まず母語をしっかり育てて,徐々に日本語も小学校に向けて付いていくと思うんですけれども,先ほどYSCの事例も出てきた,途中で落ちこぼれて日本で育った子たちも,今,親になっていて,例えば家庭の言語環境が十分ではないときには,もう園での言語環境だけになります。でも,今は,園では日本語しか与えることができないので,だから日本語で豊かな言語環境を保障していくという考え方になるのではないかと思います。
 先ほど理想はと言われたんですけれども,理想としては,母語,おうちの言葉も大事にしながら,もし日本語を学んでいるのであれば,そのときは母語でいろいろなことを考えていますので,思考力は母語で付けている。その間に日本語を学んでいて,両方ができるようになってきたら,恐らく日本語でも思考力というところに行けますけれども,そうでないかもしれない時期なので,この時期はどちらかというか,どの言語でもできるだけできる人がたくさん言葉掛けをしてあげるという言い方しか,ちょっと曖昧になるんですけれども,決められない。個別性が強過ぎて,この家族にはこうがいい,この家族にはこうがいいという対応になっていくのかなと思います。すみません,途中から二つ目の質問に移ってしまいました。
 だから,日本語指導という日本語を教えるよりも,言葉の力を増やすためにどうしていくかという発想が就学前の場合は必要なのかなと思うんですが,何か補足などありますか。

【松尾委員】
 ありがとうございました。学習指導要領や解説の中には,心構えなどは書かれているんですけれども,今のようなお話に基づいて,幼稚園,保育所が終わったときに具体的に何をどこまで,どういう力を付けるのかとか,そういうことが明確にされているのかが見えてこないので,先生方は保育に悩まれているのではないかと思うんですけれども,その辺のことについて何かあれば教えてください。

【内田委員】
 ありがとうございます。正直,その目安を,私たちははっきり持っていない,明確にこうですと言い切れない。それは,外国のお子さんだけではなくて,日本人のお子さんでもすごく幅がありますし,しゃべる言葉を数えて,幾つしゃべれればいいではなくて,多ければ多い方がいいし,豊かであれば豊かである方がいい。飽くまでも到達目標ではなくて,目指す姿,こういう方向で育ってほしいという考え方で幼稚園教育要領は書かれていて,そういう時期だという認識がありますので,必ずしもそういう目安がないんです。
 ただ,外国につながるお子さんでも,どのぐらい話せるのかをどうやってチェックしたらいいか,どのぐらいは必要だろうということで,先ほどの愛知県のプレスクールマニュアルでは,語彙の100語だけ取り出して,日本人の子供なら誰でも知っている100語をどのぐらい知っているかを目安として,語彙検査をしています。だから,一つにはそういうものがあるかと思いますが,それだけではちょっと足りない部分もあるかもしれないので,私の研究課題でもあるんですけれども,そういう目安になるものと,最低限こういう活動をしていくといいという枠組みなどをもう少し用意できるといいということで,まだそこまで行っていません。私たちが欠けている部分です。ありがとうございます。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。今の議論,とても大事で,プレスクールというのはどうしても日本の小学校に入る準備教育になってしまう危険性がある。つまり,乳幼児期の子供の発達をどう支えていくのか,外国人の子供たちの発達を,言葉の発達も含めてどうしていくのか。それがはっきりしないと,実は検証も何もできないとなってしまって,日本の学校への準備教育に極めて短絡的になってしまう危険性もあるので,今の議論は少し大事にしていきたいと思っております。
 ほかに,どうぞ。では,高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】
 いいですか,すみません。いろいろとありがとうございます。
 プレスクールの取組も,グローバル・スクールの取組も,やはり先進的で,多分,いろいろなところから見学に,私もこの間,グローバル・スクールの見学に行かせてもらったんですけれども,モデルとしていろいろな地域で,自分たちの地域でも始めようとか,そういう取組が進むといいかなというのはあるんですけれども,この会議でもやはり話題になるのは,散在地域というか,なかなか取組が進まない地域に対して,どういうようなアプローチをしていくかとか,どのような作りをしていくかというところが非常に重要な課題だと思うんです。
 そういう中で,一つは,プレスクールとか,グローバル・スクールを見学,モデルにして,ほかの地域でうまくいったとか,やはり求心力ですよね。最初に課題共有というか,何か問題に対してどういう求心力で活動が生まれていくか。多分,いろいろな地域でやるにしても,求心力,地域連携の作り,課題共有みたいなものがないと,誰か一人でやろうといってもできないですし,行政がやろうといってもなかなかできないでしょう。だから,その辺の何か求心力的なもの,これはお考えも含めてですけれども,地域でどういう何かがあって求心力が生まれてくると,そういう活動が生まれてきて,更に拡大していくのかみたいなところが,もし経験からイメージがあったら,是非お聞かせいただきたいんですが。

【佐藤座長】
 では,ピッチフォードさん。

【ピッチフォード多文化コーディネーター】
 東京の多摩地域は完全な散在地域でして,私たちだけでできることというのは,とても小さいところから連携というように始まったんですけれども,やはりそれぞれ地域によって核になるものは違ってくるのではないかと思うんです。学校が核になって,そこから広がっていくようなケースもあると思います。
 福島県郡山市の日本語教室は,もともと福島県の場合は福島県の国際交流協会が中心になって連携して,毎年,県が主催で日本後教室ネットワーク会議をなさっていて,日本語教室同士がみんな顔の見える関係になっていて,福島県から文化庁の地域日本語教育コーディネーター研修に行ったり,JIAMのタブマネに行かれたりというような形をしながら,今,郡山市の日本語教室がちょっとハブになりながら,福島大学とも連携してサマーキャンプなどを,大学生がボランティアに入ってというような形になっています。
 郡山市のケースなどを見ていると,行政,民間,大学にかかわらず,逆に言えばいろいろな機関が有機的に関わることでネットワークができていくかなと。それが学校や官だけで賄えないところを,うまくつなげるのかなと思います。核になるものというのは,本当に地域によっていろいろ違うんだろうなと感じているところであります。

【佐藤座長】
 高橋委員は,御自身がコーディネーターになっているわけですから,御自分の参考資料もあるようですので,それも踏まえて,御自分で回答をお持ちでしょうから,少しお話しください。

【高橋委員】
 いいですか。この間,中教審の生涯学習分科会の方で発表させていただいた資料が参考資料1にあるんですけれども,では,ちょっとお時間を頂いて説明させていただきます。

【佐藤座長】
 5分ぐらいで。

【高橋委員】
 はい。
 後で細かく見ていただけばと思いますけれども,神奈川県の取組は,ネットワークからスタートしたんですけれども,一つは学校外の居場所,日本語指導,学習指導の場所としてCEMLAというものを作ったということが10ページに書いてあります。これは,学校外ですけれども,教育委員会と,県立高校11校と,大学3校と,私どものNPOが運営協議会という形式を作って,学習センター的な役割を担っています。その場所は,大学生や高校生のボランティア活動の場になっていて,いわゆる人材育成の面もあります。もちろん当事者の支援もあります。
 もう一つは,高校の教員が輪番で来ているので,教員の実践的な研修の場になっていると思います。やはり話題になるのは,日本語教育というところで言うと,もちろん系統立った日本語教育の必要性もありますけれども,教科を教える教員が意識すればかなり変わるだろうと。例えば,抽象的な言葉についても,すっと流すのではなくて,かみ砕いて説明するみたいなワンクッションを置くことで,外国につながる生徒だけではなくて,日本の子たちも,今,本当に抽象的な言葉が分からないまま過ぎていく子たちが多いので,教科学習の中で日本語的な語彙の学習,少し丁寧な取組などを取り入れるとか,そういうことがこういう学習センターに来ると教員の中で共有できるよさがあると思って,これは教育委員会や高校側も積極的に関わってくれているところです。
 もう一つ,学校内で行っているのは,16ページ,定時制高校でのキャリア支援です。これは,学校の中にカフェを置いて,そこに社会資源というか,地域のいろいろな人たちが一緒にスタッフとして参加することによって,定時制の子たち,外国につながる子たちも多いんですけれども,日本の子も含めて,社会資源とのつながりを学校の中で行って,より支援の必要な子が外に出た後にそこにつながるということを,やはり学校を出てから,こういうところがあるよ,こういうところがあるよと言っても,特に相対的貧困の子たちというのは社会資源を使うのが非常に苦手なので,学校の中からそういうところにつなぐという役割で校内カフェを行っています。
 それをつなぐ役割が,11ページ,実は今,私どもが26校の高校に派遣している,我々は多文化教育コーディネーターと呼んでいますけれども,多文化教育コーディネーターの高校の中での活動が包括的にいろいろな活動につながっています。CEMLAを案内したり,先ほどのカフェをつなげたり,社会資源につなげたりということで,いろいろな意味でコーディネーターの役割はかなり大きいです。
 そういう包括的な支援をしていますけれども,では何ができたかというと,県内全域でやっていますから,いろいろな活動をされている,又はいろいろな活動に関わっている方が緩やかに参加してくれたというネットワークです。こういうやり方もあると思うんですけれども,これを地域にどう広げるかといったときに,コアになるものに対して制度的な,予算的な,会議の仕組み,会議の仕掛けみたいな切り口があるといいなと。私どもは,毎年,教育委員会とネットワーク会議というものをやって,課題共有をしています。課題共有の中で,教育委員会自身もこういう課題を考えていると。やはり同じ課題共有に立たないと,何をやってもすれ違ってしまうところがあるので,課題を一緒に共有するための何か場が必要ではないかと思っています。
 ちょっと長くなりました。すみません。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 資料4で,今,高橋委員の方からお話しいただいた学校内での場所作りという話,あるいは関係機関側からアプローチを図りやすくするために,教育委員会,学校側で講ずべき方策はあるかというような話につながっていくんだろうと思うんですけれども,櫻井委員はどうですか。きょうのお話を踏まえながら,少しつなぐというのが,なかなか学校の壁が高いというようなことも聞きますので,浜松市の実際の取組を踏まえながら,ちょっとお話しいただければ有り難いです。

【櫻井委員】
 つなぐということに限ってではないんですけれども,浜松市でも今年度からプレスクールを始めることにしました。そのために昨年後半,岐阜県大垣市,神奈川県大和市,愛知県西尾市に視察に行き,それぞれいいとこ取りをさせてもらおうというような感じで,今,ちょうどカリキュラムを組んでいるところです。三つの市町を見に行って思ったことは,小学校に入って役に立つことを直接的に先回りして教えてしまえばと思ったのですけれども,それは違うなと感じました。
 子供たちが活動しているときにとても印象に残ったのは,一つの事柄を,みんなで作るというような活動をしていました。例えば模造紙で大きな木を作ろうみたいなことをやっていたんです。大垣市では,いろいろな幼稚園から来ている子供たちが初めて会い,5回集まって,集団で勉強する。それぞれの幼稚園,保育園でやってきたことをおさらいするという意味もあるんですけれども,一つのものをやりとりしながらみんなで作り上げ,そのやりとりをしている中で友達と関わり,日本語も覚えていきます。例えば色の名前なども覚えたりするんですけれども,やりとりすることがすごく大事だなと感じました。
 直接的に何かを教えるということだと,きっと入らないと思うんです。子供たちにこれから必要になるのは,友達と関わる力,先生と関わる,分からないことを分からないと言う,みんなのことを見ながらまねして何かやってみるという力です。浜松市では,未就園の子供たちを対象に,それから就園していても6か月未満の子供たちを対象に,これから実践していくわけですが,そういう意味のある活動をする中で日本語を覚える。そんなカリキュラムを組んでいきたいと考えていますので,先生のおっしゃったことはなるほどと腑(ふ)に落ちました。
 2点目として,高校のことですけれども,やはり浜松市でも定時制高校に行く子供たちはとても多いです。定時制高校に受かって4年間勉強していったとしても,その先の出口がどうしてもない。とはいっても,以前と比べると求人なども高校に来ているという話を聞きますが,定時制高校は外国の子供たちだけのものではありませんので,やはり企業からすると,同じ子供たちがいて,一方は日本人で,日本語が全然不自由なく何を言っても分かります。一方は外国の子で,日本語も分かるんだけれども,不完全なところがありますというと,企業の方はどうしても日本人の子供たちを採ってしまうということがあるそうです。
 ハローワークで日本語を勉強するなど,手に職を付ける機会があるんですが,そこは定時制の子供たちが対象となっていないということがあります。就労のためハローワークに出掛けていった人たちが対象です。その講座を受けたくても,3月まで待っていないといけないわけです。卒業するまで就職は待っていなければいけないので高校生は対象ではないと。日本語が母語ではない子供たちにとって,何か武器になるようなものを身に付ける機会として,ハローワークの講座も最終学年の子供たち,高校生が受けられるようにしていただくと,またそこでも道が広がるかなと思っています。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。非常に貴重なお話で,これからの参考になるだろうと思います。
 オチャンテ委員,どうですか。どうぞ。

【オチャンテ委員】
 お二人の方,御発表ありがとうございました。
 まず,YSCグローバル・スクールの方からですけれども,やはり自治体,NPO,国際交流協会などの連携は非常に大切なことです。私が関わっている三重県伊賀市は,小さなまちであるため,市役所,教育委員会,NPOが何かあるとすぐに電話で,例えば「あの子が学校に来ていないんだけど,どうしたの」とか情報共有ができる,それは本当に小さい田舎町なのでできることかもしれないけれども,それがあるおかげで進学率も90パーセントまで来ていますし,やはり連携が大切だと思いました。
 そのためには,やはりNPOのコーディネーターの役割とか,日本語支援,日本語教員の立場の安定,日本語教員を求めてはいるけれども,勤務時間が数時間とか,非常勤だと非常に不安定です。そうすると,ほかのところに行ったりする。どこの支援員もそうです。数時間かだけ必要ということだと,その人たちはやはりほかの企業とかに行ったりします。そちらの方が安定した職業を得られるからです。それも一つの課題になっているところだと思います。
 あとは,本来,教育委員会が行わなければならない,例えば初期適応教室が不十分なためNPOにお願いしたりとか,そこに行ったら何とかなるというようなこともよく聞きます。NPOなどの役割は非常に大きく,大切ですけれども,本来であれば市教委や国がやらなければならないことが確実にされていない部分があります。
 行くところがない子供たちとか,落ちこぼれている子供たちとか,15歳以上で年齢超過している子供たちは,今,本当に勉強する場所がないんです。そのためには,やはりNPOの役割とか,遠隔教育とかは,もっと普及しなければならないとすごく思っています。実際,勉強したい,高校に行きたいけれども,たまたま16歳で来ると教育を受けるチャンスが本当に少なくなるんです。今後,日本で育って,日本の社会を担っていく者になっていくので,彼らの教育を受ける権利もあると思っているので,そういう支援をもっと考えなければならないと思っています。
 そして,内田委員のお話を聞きながら,今まで関わってきたいろいろなケースを思い出していました。私も,よく保護者から,何語で話したらいいのかとか,日本にいるのだから日本語で話さなければならないと思う保護者が多いです。そうすると,保護者が下手な日本語で子供たちに話すんです。長年見ていくと,子供が15,16歳とかになると母語ができず,親は片言の日本語で,時々,母語で,でも子供は日本語で返す。結局,親子のコミュニケーションの大きなツールとなる母語ができないまま,親子関係が壊れていくというようなケースも見てきました。
 恐らくほとんどの子供たちは,日本語と出会う場所というのは幼稚園,保育園となると思います。うちでは,お母さんが話す言語とか,お父さんが話す言語とかを聞いて育ってきているんです。でも,何もしないで,そのまま自然に覚えるわけではないんです。小学1年生で日本人の子供たちと同じようにスタートしたとしても,スタート時点でもう既に差があるわけです。その差が,2年生になって,3年生になって,どんどん広がっていくんです。
 ですから,小さいときからできるだけ日本語の語彙を増やす。彼らにとって日本語を学ぶ場所は,保育園,幼稚園しかないんです。うちではほぼできないですので,例えば小学校1年生の教科書を見て,ちょっとでも分かるような,それこそ先ほど先生がおっしゃっていた自分のしたいことなどが言えるような力まであったら,少しスムースに行くのではないかと思います。感想になったのですが,これで終わります。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 村松委員,どうぞ。

【村松委員】
 きょうは遅れて失礼いたしました。簡単に3点だけ。
 外国人の子供たちの情報をどこが集約するのかというお話があったかと思います。セーフティーネットとして,乳児から大人まで必ず支援が必要だということでは,どこかが把握しなければならないと思っています。そういう意味で,学校は支援するために,家庭背景ですとか,言語背景というものを知る必要がある。午前中に出席していた会議でも,それを市教委がするのか,学校がするのかというような議論がちょうどあったところです。やはり住民登録担当窓口に来たときに把握して,それを学校に情報提供したらという話もありました。これについては,時間の関係でお話ししませんが。
 先ほど申しましたように,乳児から大人までの支援ということを考えると,行政サービスの視点で,どこが情報を持って,それをどこにどのように情報提供していくのか考えていくことも必要かと思います。ただ,やり過ぎると,外国人の方たちの情報を行政が把握することによって生じる危険性もありますので,その辺も考えながら情報を集約し,必要な情報はどこが持つのか,あるいは,どこにつなげていくのか。幼稚園で知り得た情報は,先ほどカルテという話がありましたけれども,やはり学校としては欲しいと思います。私立の園の情報は得にくいため,特に欲しいと思います。今後,情報の集約や共有の仕方というのは考えていかないといけないと思いました。
 次に,母語教育ですけれども,はっきり申し上げて母語教育までは学校ではなかなか難しいです。時間的にもそうですし,多言語化しているということで,一つ一つに対応がしにくいところがあります。一つのリソースとしては,働きながらでなかなか忙しいとは思うのですが,家庭で本当に豊かな母語による会話を通して,家庭でできる部分と,ネイティブのNPO団体にお願いしたいとは思っていますが,学校には,母語を使っていいんだと,母語を話していいんだという多文化共生の視点が必要です。子供たちは,自分たちが特別な存在だと感じてしまうから母語を封じてしまうのだと思います。お母さんが母語で話をすると恥ずかしいとか,自分は特別な存在だと思うのではなく,共に学ぶためには,この方はこういう環境にいる,こういう存在なんだということを,やはり学校の中,あるいは幼稚園などで,多文化共生の視点を持ちながら両方で支えていく。堂々と,自分の言語に対して誇りが持てるような環境づくりをすることが学校や園の役割かと思っています。
 幼児教育の保育者に関しては,保育士が言語環境そのものだと思っております。今の幼児教育の現状,私も詳しいわけではございませんが,二,三年ぐらいで離職する傾向もあるとお聞きしています。NPOは高齢化しているというお話がありましたので,やはり人材育成がとても必要だと思っています。その仕組みの中では,先ほどおっしゃっていましたけれども,仕事としてやり切ることができる出口といいますか,保障ということも含めて人材育成を考えていかなければ,幼児教育,NPOでの支援はなかなか難しいのではないかと思ったところです。
 以上です。

【佐藤座長】
 時間がありますので,どうぞ,最後に。

【浜田副座長】
 すみません。きょうは,本当に貴重なお話,ありがとうございました。
 今まで出てきていないところで,行政に期待されることは何かということと,きょうは子供たちへの直接の支援ということだったんですが,周りの日本人の先生方とか,子供たちに対する,それぞれの機関なり,プレスクール,幼稚園の段階で期待されていることをちょっと伺いたいと思っています。
 きょう,散在地域ということで,顔の見える関係ということが何回もキーワードとして出ていて,それは散在地域の強みとして,今後,やっていくということなのかなと思っていて,行政に私自身が期待することとしては,顔の見える関係を作るためのプラットフォームを作ってほしいということを,きょう,ちょっと感じました。ピッチフォードさん御自身が行政に期待されること,例えば各都道府県にYSCがあれば全ての問題が解決するのか,行政としてこういうような働きをしてほしいということがおありだったら教えてほしい。
 それから,大垣市の場合は,行政が主導権を取って非常にうまくプレスクール事業をされていると思うんですけれども,そういうことができるようになったのはどうしてか,そういったことがあれば教えていただきたい。
 あとは,日本の人たちへの教育ということで,それぞれ関わっておられる事例で,もし御存じのことがあったら教えてください。

【佐藤座長】
 すみません,ちょっと時間がありませんので,簡潔にお願いできますか。どちらからいきましょうか。どちらでも結構です。どうぞ。

【内田委員】
 端的に。なぜうまくいったのかというのは,行政の方が地域にいる人材を御存じで,やはり顔が見える関係なので,元小学校教員で,ポルトガル語が話せて,初期指導をやっている人がいたり,人材がいる。この人とこの人をここに配置すると,うまくいくのではないか,カリキュラムを作る力もあるのではないかという配置をしてくれる人がいたということと,実際にキーパーソンになるような人たちがそこにいたということで,やはり先ほどに戻るんですけれども,人材です。もし,いない場合は,どうやって勉強し合っていくか。そうすると,勉強し合うためのネットワークがあること。どこでも人材があるわけではないので,そのネットワークが地域になかったら,外のどこにあるのか,どこに尋ねれば分かるのかということが分かっていると,すっと行くので,先ほどのネットワークにつながるのかなと,質問を聞きながら思っていました。
 周りの日本人への働き掛けもとても大事で,それがしやすいのは就学前の幼稚園や保育園なのかなとも思うんです。だから,違う親と出会う場所で,子育て支援の場所で,違う親同士が出会う姿を見ている,受入れがいい親のお子さんはやはりいろいろな子に対して優しいという事例をあちこちで聞きます。親の考え方がどうしても子供にというのはあるので,やはり子供,子供と言っていないで,子育て支援の場をいかに使うか。親が,家庭がしっかり安定すると,家庭の言語環境が安定する。小さいときの言葉の力は,どちらの言語でもトランスファーするんです。子供たちは賢いので,こちらの言語で知っていることを,こちらの言語に直すことはできますから,とにかくどちらかで,相対的な語彙の数が増えていくことを大事にしたらどうかと思います。
 すみません,長くなりました。

【佐藤座長】
 では,ピッチフォードさん,お願いします。

【ピッチフォード多文化コーディネーター】
 自治体にというか,お上に期待することは,まずお金と場所です。繰り返しますけれども,うちの場合,虹の架け橋事業が非常に機能したのは,多摩地域はすごく小さい自治体が多いんです。例えば,福生市からお金を頂いてしまうと,福生市の子にこれをしてあげてください,羽村市の子は入れないでくださいとかいうことが起きてしまうので,やはり虹の架け橋事業で自治体の壁がなかった,どこからでも参加できるということが一番よかったと思っています。
 正直,これだけのことをするのに,かなりお金が要ります。お金がどうしても要ります。うちの場合,体力のあるNPOということが一つありますので,これをほかに作るというのはなかなか難しいところがあるとは思うんですけれども,そこを解決するのがまずかなと思います。やはり顔の見える関係と,先ほど福生市の例でお話ししましたけれども,支援連絡会議みたいなものはどこの自治体でもできるのではないかと思うんです。子ども家庭支援センターだったり,教育委員会だったり,民生委員だったり,警察,学童クラブだったり,あと子育て世代包括支援センターというものがあると思うんですけれども,そこは幼児から18歳まで関わっているようなので,そういうところで情報交換をするような関係ができると,次のステップに行くかなと思っています。
 日本人に関しては,やはり私たちも地域に出ていくことを積極的に,すごくつまらないことですけれども,例えばまちのお祭りに参加するとか,学校では教員研修をさせていただいたり,保護者会に保護者と一緒に参加することもあります。実際,うちの昼間のクラスも,放課後のクラスも,日本人も受入れをしています。不登校になっている日本人のお子さんを,昼間,完全にお預かりしたようなケースもありますし,放課後の時間帯は,日本生まれ,日本育ちで,日本が長いお子さんが多いので,普通の塾として日本人のお子さんが来るときもあります。YouではなくてWeにしないといけないので,国際交流ではなくて多文化共生なので,Youと言っている限りはいつまでもYouなので,そこをWeにしましょうということは,地味に地味に進めていっているところではあります。すみません。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。ちょうど時間が来てしまいました。積極的に御発言いただいて,ありがとうございます。
 資料4に基づきながら,踏まえながら,もう少しこういう点をしたらどうかとか皆さんの御意見があれば,メールで,今週末ぐらいまでにお願いしてはどうでしょうか。

【林調査官】
 ええ,今週末ぐらいまでに御意見等をいただければと思います。

【佐藤座長】
 今週末ぐらいまでに,皆さんの御意見を担当の方にメールしていただければ,メールの内容も意見として取り上げていきたいと思いますので,是非そうしていただければと思います。
 それでは,5時になってしまいましたけれども,事務局より御連絡があればお願いいたします。よろしくお願いします。

【林調査官】
 ありがとうございました。
 今後のスケジュールについて御報告いたします。資料5を御覧いただければと思います。次回以降の開催日については,前回の会議でもお示ししましたけれども,第5回を10月28日,月曜日の10時から12時,第6回を11月26日,火曜日の15時から17時,場所は共に同じ総合教育政策局の会議室を予定しております。
 また,本日の配付資料については,そのまま席に置いておいていただければ,後日,郵送させていただきます。
 以上です。

【佐藤座長】
 それでは,本日の会議はこれで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
 お二人,どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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