外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(第9回) 議事録

1.日時

令和2年3月16日(月曜日)13時~15時

2.場所

旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 「外国人児童生徒等の教育の充実について(報告)」(案)について
  2. その他

4.議事録

【佐藤座長】
 それでは定刻になりましたので,ただいまから外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議第9回,最後の回になりますけれども,開催させていただきます。本日は,お忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日の会議ですが,新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐために,傍聴は報道関係者に限っております。また,後日,報道関係者以外の方にも会議の様子を公開するため,動画撮影を行っておりますので,あらかじめ御了承いただきたいと思います。
 なお,カメラ撮影は冒頭の頭撮りのみとさせていただきます。終了のタイミングは,またお声を掛けさせていただきたいと思います。
 それでは,早速議事に入っていきたいと思いますが,その前に,まず配付資料,議事の確認等に移っていきます。事務局よりお願いいたします。

【林調査官】
 本日の配付資料ですけれども,議事次第のとおりでございます。不足等ございましたら,事務局までお申し付けいただければと存じます。
 また,本日欠席の村松先生から,この会議を振り返ってということで書簡を頂戴しましたので,参考に資料の一番後ろに付けてございます。また,高橋委員から,都道府県立高等学校における外国人生徒・中国帰国生徒等に対する2020年度の高校入試の概要ということで,メイン席のみですけれども,お配りさせていただきます。
 また,これまでの有識者会議の資料は机上に用意しておりますドッチファイルにとじておりますので,議論の際に適宜参照いただければと思います。
 では,報道のカメラ撮影は,ここまでになります。これ以降はカメラの撮影は御遠慮願います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは,はじめに事務局より,資料1,報告書案と参考資料「外国人児童生徒等における教科用図書の使用上の困難の軽減に関する検討会議(報告)」について説明をお願いします。よろしくお願いします。

【小林専門官】
 それでは,説明させていただきます。
 まず,短時間で説明の終わる参考資料の方の御説明をさせていただきます。右肩に参考資料とあります,薄い左肩をとじたものを御覧いただければと思います。
 こちらが外国人児童生徒における教科用図書の使用上の困難の軽減に関する検討会議――というのは,外国人の子供たち,日本語指導の必要な子供たちが教科書を使いやすい配慮などのために検討会を行っていたんですけれども,そちらの報告書が取りまとまりましたので,参考に配付させていただいております。
 この会議では,特に,今,障害のある子供たちのために使用されている音声読み上げなどの機能の付いている音声教材ですとか,また,4月から制度的に使用が可能となりましたデジタル教科書などの使用についての議論が行われました。今後のICT環境の充実に伴いまして,そういった教材ですとか教科書などの有効性などが論じられたところでございまして,特に音声読み上げの機能などが付いている音声教材につきましては,著作権法などの規定により,現行では,障害のある児童生徒以外は使えないこととなっておりますので,そういった制度改正に向けた今後の検討などが行われると担当課から聞いているところでございます。
 こちらは,またお時間ありましたら御確認いただければと思います。
 それでは,資料1の本会議の報告案につきまして,簡単に御説明させていただきたいと思います。お手元に御準備ください。
 1枚めくっていただきますと,1ページ目に目次がございます。大きな柱立てといたしましては,1から4まででございます。1番で検討の背景,2番でこの報告案取りまとめの基本的な考え方,ローマ数字の3のところで分野ごと,テーマごとの課題と現状と施策などについてまとめる形となっております。最後は,おわりにということで,1から3までで論じてきた施策の実施に関する留意点ですとか,そのほか先生方から頂いた意見ですとか,今後の対応などについてまとめる形となっております。
 それでは,時間も限られていますので,ごく簡単に順番に御説明させていただきたいと思います。
 まず1番,検討の背景,2ページ目からになります。こちらでは,この会議を立ち上げた検討の背景について書かせていただいておりまして,日本語指導が必要な児童生徒が5万人を超える状況にあるということですとか,そういった子供たちの国籍なども非常に多様化が進んでいること,また,平成30年12月に入管法などが改正されまして,新しい在留資格も創設されたこと,それを踏まえて,今後更なる在留外国人の増加が予想されることなどを書いております。
 また,入管法の改正に伴いまして,総合的対応策の取りまとめですとか,文部科学省におきましては,外国人受入れ・共生のための検討チームを立ち上げて,その報告の取りまとめ,また,4月の中央教育審議会で,外国人の子供たちに対する教育の在り方を含めた諮問が行われたことなどを背景として書いております。
 次に,3ページ目のローマ数字の2,基本的な考え方のところでございます。ここでは,まず現状と課題ということで,これまで文部科学省で様々実施してきた施策については,義務教育段階での指導体制の構築などを目的としたことが中心でありましたけれども,今後は,やはり就学前の段階ですとか,高等学校段階,さらには高等学校卒業後も見据えた体系的な指導・支援が必要であるということですとか,また,令和元年度に初めて実施いたしました「外国人の子供の就学状況に関する調査」におきましても,約2万人の外国人の子供たちが就学していない可能性がある,又は就学状況が確認できていない状況にあるという結果が出たことなどを挙げておりまして,現状としては自治体の取組は,いろいろな事情から取組に差が生じているところではありますけれども,こうした状況に対応していく必要があるということを書いております。
 4ページが,この基本的な考え方の中で,取組の方向性として書かせていただいているところでございますけれども,やはり外国人の子供たちも共生社会の一員として今後の日本を形成する存在であることを大前提に置きまして,関連の施策の制度設計を行う必要があるという考え方に基づいています。
 また,先ほども申し上げましたけれども,義務教育段階だけにとどまらず,学校の内外を通じて,日本語指導はもちろんですけれども,キャリア教育ですとか相談支援などのような包括的な支援を提供する必要があるということも併せて書いているところでございます。
 また,さらに,子供たちのアイデンティティの確立を支えるために,母語,母文化の学びに対する支援の充実ですとか,また,外国人の子供たちが支援を受ける立場だけではなく,複数の言語や文化,価値観の下に生まれ育った経験を生かして,グローバル人材として育っていくことができる,そういった取組についても書いております。
 また,外国人の子供たちだけではなく,日本人の子供たちにとっても,学齢期から様々なルーツ,母語に触れる機会があることから,こういった多様な価値観や文化的背景に触れ,ひいてはグローバル人材の育成につながるというようなことも位置付けさせていただいております。
 そのほか,日本語教育の推進に関する法律が昨年6月に成立いたしましたので,その法律に基づいて定めることとされている基本的な方針において,外国人の子供の就学支援に関する施策の方向性を示すことですとか,また,こちらは様々な委員からも御意見いただきましたけれども,施策の実施に当たりましては,エビデンスに基づく政策立案を進めることが重要でありますので,データの明確化,収集,各自治体の実施状況のモニタリングなどについても書かせていただいているところでございます。
 以上が,基本的な取組の方向性,全体的に報告書に係ってくる内容でございますけれども,5ページからは,ローマ数字の3の分野ごとの施策ということで,幾つかのテーマごとに更に深掘りをして書いております。
 ここからの構成ですけれども,5ページの1番,指導体制の確保・充実のところを御覧いただければと思いますが,まず現状と課題を書いております。その次に,全体としてのこの項目の中の取組の方向性を書いておりまして,8ページの中ほどを御覧いただきますと,速やかに実施すべき施策というまとまりがございます。また,10ページを御覧いただきますと,実現に向けて取り組む課題というまとまりがあります。
 速やかに実施すべき施策も,実現に向けて取り組む課題も,いわゆる施策の提言のような形になっているんですけれども,速やかに実施すべき施策につきましては,もう既に実施していることの継続ですとか,若しくは,4月以降速やかに実施すべきような内容を書いております。
 一方で,10ページにある実現に向けて取り組む課題の方は,その取組には検討が必要で,少し時間を掛けまして検討した上で施策化していくような内容を書いているというふうな整理にしておりますので,御理解いただければと思います。
 まず5ページからの指導体制の確保・充実のところでございますけれども,こちらは現状と課題のところで,文部科学省として,公立の学校において外国人児童生徒の受入れ・指導体制の構築を進めるために,これまで様々な取組を行ってきたことですとか,一方で,まだまだ自治体においては日本語指導が必要な児童生徒の全てに対しての指導体制が構築はできていないような,調査から明らかとなっている現状ですとか,また,日本語指導を担当する先生方に対する研修などについても,まだ各自治体それぞれ独自に実施するところまでは至っていないようなところを書いてございます。
 6ページの後段からの取組の方向性では,日本語指導のための教員の配置の件ですとか,また,文部科学省がこれまで実施してきております補助事業などを活用した学校での日本語指導の体制の構築のことですとか,また,多言語翻訳システムや,ICT教材,遠隔授業などのためのICTの活用ですとか,又は,国際交流協会,NPO等が実施される支援員の派遣や初期集中支援などの実施,そういった地域の団体,関係機関との連携などについて,取り組むべき方向性について書いているところでございます。
 8ページの速やかに実施すべき施策におきましては,まず基本的には,文部科学省がこれまでも実施してきております補助事業の活用促進に加えまして,「チーム学校」の観点に基づいた学校組織としての体制の構築ですとか,また,散在地域などの支援体制が課題になっておりますので,文部科学省において,大学や教育委員会などと連携して,実践的な研究を行い,モデル構築を行う点ですとか,また,先ほどICTの活用というところで教科書の方の報告書の御紹介をさせていただきましたけれども,そういった音声教材の活用,学習者用デジタル教科書の活用などについても,速やかに実施すべき施策として書いているところでございます。
 そのほかにも,地域の関係機関との連携につきましては,様々な関係機関との連携に加えまして,外国人を多く雇用する企業と地方公共団体が連携し支援を行うようなことについても書いているところでございます。
 さらに,10ページは,実現に向けて取り組む課題ということで,少し時間を掛けて検討を進めなければいけない内容でございますけれども,例えば,今,大人の方に対する日本語教育,若しくは地域の日本語教室などで日本語を教えるような日本語教師の方について,こういった方が学校で教員と同様に「特別の教育課程」による日本語指導を担うことができるような方策について,特別免許状の活用ですとか,特別非常勤講師制度の活用について,そういった必要性も含めて検討を行う必要があること,また,これに関しましては,現在,文化庁において日本語教師の資格の在り方についての検討が進められているところでありますので,そういった状況を踏まえた上での検討が必要ではないかということを書いております。
 また,そのほか,学校における日本語指導の体制構築の中には,初期集中支援の重要性などがございますので,そういった取組につい,更に自治体の方で進めていただけるように,文部科学省で支援の在り方の指針を整理してお示しするようなことですとか,ICTの活用につきましては,今現状で取り組んでおります「GIGAスクール構想」もございますので,これにより,児童生徒一人1台のコンピュータ環境の実現ですとか,更なるICT教材の活用,遠隔授業の実施等の一層の推進について位置付けさせていただいております。
 次に,2番の教師等の指導力の向上,支援環境の改善ということで,ここは現状と課題のところでは,なかなか研修が十分に自治体ではできていないこと,また,大学における教員養成課程でも,外国人の子供たちの教育に関する内容が,これはもう大学の実情に応じて取り扱われているものですので,必ずしも全ての教員の方が学んではいないことなどを現状と課題の中では書いております。
 取組の方向性が12ページからありますけれども,こちらでは,教育委員会における現職教員の方のための研修の実施に加えまして,法定研修ですとか免許状更新講習,校内研修など,様々な場で学べるような仕組みづくりということを書いております。
 そのほかにも,たくさんの教員の方が短い時間で最低限必要な知識が得られるような機会を設けることが望ましいということですとか,また,教員養成課程の段階につきましては,13ページに記載していますけれども,教師を目指す全ての学生に対して,外国人児童生徒の教育に関する基礎的な内容を学ぶことができることが望ましいということを書いております。
 そのほかにも,日本語能力の評価と,それに基づく指導方法ですとか,障害のある外国人の子供たちに対する指導・支援の状況ですとか,そういったところも踏まえながら,充実の方向性を示しております。
 13ページ後段の速やかに実施すべき施策の中では,文部科学省が開発しております研修充実のためのモデルプログラムの普及ですとか,また,動画によりいろいろな地域の先生方が短時間で必要な知識を得られるような研修用のコンテンツの作成ですとか,14ページ以降は,教員養成課程における外国人児童生徒等に関する教育の現状の把握,また,日本語能力の評価の充実のために,文部科学省が開発いたしましたDLAによる評価結果を生かした指導方法について,教員研修の中で更に充実して取り扱えるよう,例えば,現在文科省で派遣を行っております日本語指導アドバイザーを活用することなどを記載しているところでございます。
 また,障害のある外国人児童生徒等への支援に関しましては,文部科学省の補助事業の活用ですとか,また,文科省が実施している調査などを活用して,学校での在籍状況や指導・支援の状況などを把握することについても提言させていただいております。
 同じく15ページですが,こちらが実現に向けて取り組む課題といたしまして,教員に対する研修機会の充実ということで,大学等における履修証明制度などを活用して,日本語指導を担当する教員の方が専門的な知識を修得することですとか,また,教員養成段階につきましても,現状での各大学の取扱いなどを踏まえまして,今後の教員養成における外国人児童生徒教育の内容の位置付けについての検討などについて提言をさせていただいているところです。
 また,DLAに基づいたアセスメントについては,引き続き学校での活用を図っていくところではございますけれども,なかなか実施するのに時間が掛かるとか,御負担もあるようですので,例えば,学級での児童生徒の姿を基にしたJSL評価参照枠の基準に従った判定の促進ですとか,又は,プレースメントテストのようなものを新たに開発するというようなことも考えられるのではないかということを記載しているところでございます。
 次に,16ページが,3番,就学状況の把握,就学促進ということで,こちらでは現状と課題といたしましては,文部科学省の外国人の子供の就学状況等調査の結果を踏まえまして,更なる就学促進の在り方ですとか,特に岐阜県可児市,静岡県浜松市のように,外国人の子供の不就学をなくすことを目標に掲げて,かなり先進的な取組をされている自治体と,一方で,特段の取組を実施していない自治体,そういった取組に差があるということを記載しております。
 17ページ後段からが,取組の方向性でございますけれども,ここでは全ての学齢期の外国人の子供が就学するということを目標に掲げまして,国としても,自治体としても,就学促進の取組を実施すべきであるということを記載しております。
 また,そのためには,教育委員会だけでなく,同じ自治体の首長部局との連携ですとか,又は,出入国在留管理庁等との連携,また,そういったことを通じまして,外国人の子供の学齢簿に準じるものの作成ですとか,それに基づいた就学案内を行うことが重要であるという内容を記載しております。
 同じ18ページの速やかに実施すべき施策でございますけれども,まずは,文部科学省が昨年実施した調査において,各自治体の様々な先進的な就学促進の取組などを把握しましたので,そういったものを事例として整理をして,自治体に情報共有させていただくことですとか,また,外国人の子供の就学促進の取組状況などについては,継続的に調査を実施すべきであることですとか,先ほども少し申し上げましたけれど,日本語教育推進法で定めることとしている「基本的な方針」においても,就学促進に関する事項を位置付けることが必要であるということを提言させていただいております。
 そのほかにも,教育委員会と住民基本台帳部局の連携を促進するための方策ですとか,また,文部科学省と出入国在留管理庁とが連携し,例えば,自治体が開設されている一元的相談窓口で,就学に関する情報提供を外国人の方に行うですとか,幾つかの取組などを書かせていただいているところでございます。
 19ページが,実施に向けて取り組む課題を前段で書いておりますけれども,ここでは,文部科学省におきまして,自治体が講ずべき事項,外国人の子供の就学促進のために講ずべき事項に関する指針を作成するということを書かせていただいています。これは,例えば,外国人の子供のための学齢簿に準じたものの作成ですとか,就学状況の確認など,自治体として取り組んでいただきたいことを指針の形で整理するという意味で記載しております。
 また,さらに,自治体の取組が進むように,例えば,外国人の子供に関して,住民基本台帳に基づいて学齢簿に準じるものを編製することですとか,そういったことを制度的に位置付けるなど,更なる対応の在り方についても検討すべきではないかということを提言させていただいております。
 また,外国人の子供の保護者に,日本人と同様に就学義務を課すことにつきましては,子供の教育に関する義務と権利の在り方ですとか,片や外国人学校を選択するような保護者のことですとか,又は,国際的な動向などを踏まえつつ,引き続き慎重な検討を行う必要があるということを書いております。
 次に,4が,同じ19ページ,中学生・高校生の進学・キャリア支援の充実ということで,現状と課題につきましては,いろいろと自治体及び文部科学省で,高校進学ですとか,高校段階の支援の取組などを行ってきているところですけれども,昨年実施した文部科学省の調査からも,高校での中退率の高さですとか,大学・専門学校等への進学率の低さなどが指摘されているところです。
 20ページの取組の方向性では,外国人生徒がまずは高校に進学できるように,公立高校の入学者選抜における配慮の実施ですとか,また,入学した後の日本語指導そのほかのキャリア教育や相談支援などの充実について記載をさせていただいているところでございます。特に,進路指導やキャリア教育に当たりましては,外国人生徒等本人だけでなく,その保護者の方に対してもきちんと情報提供を行う必要があるということも併せて記載しております。
 21ページの前段が,速やかに実施すべき施策ということで,まずは公立高等学校入学者選抜で外国人生徒を対象とした先進的な取組を行われている自治体もありますので,こういった取組事例について,自治体に情報共有をすることですとか,また,教育委員会・学校と様々な関係機関が連携して,高等学校において日本語指導を行う,又は,適切な進路指導やキャリア教育を行うような取組が一層進むように,これまでも実施はしているところですけれども,補助事業の継続実施についても書いているところでございます。
 同じ21ページの後段が,実現に向けて取り組む課題でございますけれども,外国人学校を卒業した後,高等学校への進学を希望する外国人の生徒について,現状では高等学校の判断によって,その学校の入学者選抜の受験が認められるような状況にありまして,都道府県によって取扱いが異なっている中で,より適切な配慮が行われるための方策を検討すべきであるということを一つ書かせていただいております。
 そのほかにも,高等学校段階で日本語指導などの充実を図るために,例えば,「特別の教育課程」の適用をすることとか,また,JSLカリキュラムの高等学校版の策定などについても,検討を行う必要があるということを提言として書かせていただいております。
 次が,5,異文化理解,母語・母文化支援,幼児に対する支援ということで,22ページ以降です。ここでは,現状と課題では,多文化共生の在り方ですとか,また,母語・母文化の習得の重要性ですとか,幼稚園・保育所などの就学前の教育段階でも,外国人の幼児,又は,日本国籍でも日本語を話すことのできない幼児が増加しているとの指摘を踏まえまして,こういった子供たちの支援についての課題について書かせていただいているところでございます。
 取組の方向性について,23ページの終わりの方からですけれども,学校においては,日本人を含む全ての児童生徒が,我が国の言語や文化を学ぶことはもちろんですけれども,多様な言語や文化,価値観についても理解し,互いを尊重しながら学び合えるような環境づくりですとか,また,特に外国人児童生徒については,母語・母文化について,基本的には家庭での学びではありますけれども,学校内外での取組が期待されるということを記載しております。
 24ページの中ほどに,速やかに実施すべき施策といたしまして,異文化理解・多文化共生の考え方に基づく教育の在り方について,特に外国人集住地域で調査研究を行うことですとか,また,就学前の外国人幼児等に対するプレスクールの実施ですとか,幼稚園などで日本語指導や母語支援員などの配置を行うための補助事業の継続した実施ですとか,外国人の幼児の就園に向けて,就園ガイド等の作成,又は,多言語での就園案内の取組の推進などについて記載しております。
 その後が,実現に向けて取り組む課題ですけれども,ここでは,異文化理解・多文化共生の考え方に基づく教育の更なる普及・充実ですとか,また,外国人学校や国際交流協会などの地域の関係団体と教育委員会が連携して,母語・母文化を尊重した取組が一層進められることですとか,また,プレスクールにつきましては,取組のある自治体と,そうでないところも今現状としてはありますので,こういった取組が推進されるよう,文部科学省で取組指針の作成などの方策について提言をしているところでございます。
 また,外国人の幼児については,幼児期の特性を踏まえた教員研修プログラムの作成ですとか,指導上の留意点の整理などを行い,全国に共有することなども提言させていただいております。
 25ページ以降が,ローマ数字の4の「おわりに」でございます。1で,施策の実施に関する留意点といたしまして,何点か記載していますけれど,PDCAサイクルの考え方に基づいて,エビデンス等の情報収集や実施状況の把握・分析を行うことですとか,又は,文部科学省が実施している調査を通して必要な情報が得られるように,その調査につきましても継続的に改善を図ることなどを記載しております。
 また,この報告書で提言しております政策につきましては,文化庁や他省庁,文科省の中の関係課が実施する施策と連携することにより,一層の政策効果を発揮することが期待されますので,幾つか,特に現状で取り組んでいる各関係課・関係省庁の施策などについて記載しております。
 26ページですけれども,ここでは,2,その他委員からの意見といたしまして,今まで御説明してきた提言の部分にはなかなか入れることはできなかったんですけれども,頂いた意見について幾つか書かせていただいているところでございます。
 例えば,外国人児童生徒等の教育の全体の基本指針の策定ですとか,又は,各学校若しくは外国人の子供たちが集住している学校に,外国人児童生徒に対する支援の推進の担当者ですとか,コーディネーターとなる先生を明確にするということも考えられる。そのために,日本語指導の中核を担う教師の新しい職種を創設することですとか,又は,教員養成課程において,異文化理解や多文化共生に関する履修内容を充実することなど,幾つか先生方から御提言いただいた内容を書かせていただいているところでございます。
 3番で,今後の対応といたしまして,今説明をしてきました提言の中の,「速やかに実施すべき施策」,「実現に向けて取り組む課題」のそれぞれの位置付けですとか,また,この報告書を取りまとめた後には,中教審の方に報告をするということについて書かせていただいているところです。
 すみません,かなり駆け足になりましたが,以上でございます。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それでは,きょう最後ですので,この報告案についてそれぞれ御意見を伺っていきたいと思いますが順に皆さんの御意見を伺っていきたいと思っております。
 最初に,検討の背景,基本的な考え方について御説明いただきました。基本的な考え方,5ページの頭のところまでですけれども,ここからまず伺いましょうか。何かあれば御意見いただければと思います。

【高橋委員】
 ありがとうございます。
 基本的な考え方の,3ページの上の1個目の丸のところに,外国人児童生徒等教育というところで言えば,3番ということで注釈が付いているんですが,これは,実は前回の有識者会議で出たところだと思うんですけど。その外国人児童生徒等教育というところで言うと,下に書いてありますけど,単に日本語指導を行うだけではなく,児童生徒の文化的な背景を踏まえた学校生活への適応や学力保障の観点からというところが書いてあって,日本語と教科の統合指導とか,生活指導等を含めた総合的・多面的な指導を意味するというのが書いてあるんですけど,今回の報告書を見ると,この辺の,外国人児童生徒の教育に関して,特にこれが反映しているところは,4ページの真ん中辺りの丸の3番目なんですけれども,丸の3番目の3行目に,学校の内外を通じ,日本語教育のみならず,キャリア教育や相談支援などを包括的に提供する必要があるということで,ここのところは,実はやっぱり教員として,学力について,学力保障という言葉がいいかどうか,最低限の学力を保障するというようなイメージがあると思うんですけど,実は,むしろ積極的に学力の定着とか伸長みたいなことの取組を各学校現場で取り組んでいくよということの基本的な姿勢が必要かなと思うんですね。
 やっぱりどうしてもこの取組について受け身と言ったらあれですけれども,一人一人の教員が,こういった外国人児童生徒を現場で抱えているときに,いろんな支援という枠組みは当然必要なんですけど,でも,より一歩,グローバル人材に向けて取り組んでいくという姿勢の中で,やっぱり学力というところをきちんと,一般の生徒もいる中で,外国人児童生徒がいても学力をきちんと保障していく。そのためには,実は,日本語も大事なんですけど,教科との統合指導というのはすごく重要だと思うんですね。そこがきちんと明確化されていないと,日本語指導だけ任せておけばいいやとか,そうは思わないかもしれないですけど,でも,何となく日本語指導だけが必要なのかなというふうに誤解されかねないところがあって,やっぱり教科の中できちんと日本語を意識しながら,学力の定着・伸長を図ることが教員に求められているということを,どこか,概要のところでも入れた方がいいかなと思っているんですけど,必要かなと感じました。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 ほか,いかですか。どうぞ。

【松尾委員】
 今の高橋委員の意見に賛同するものなんですけれども。やっぱり状況を変えるには,子供たちのニーズというのが,日本語をやればいい,それだけに狭く限定されないというのがすごく大事で。だから,全ての教員が関わるべき問題だという視点がすごく大事だと思うのと,やっぱり在籍学級でしっかり教科の中で力を付けていくという視点が大事だということで,是非,そういう全体の外国人児童生徒の教育の方向性なんですけれども,そういう方向で考えていけたらなと私も思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。どうぞ。

【田中委員】
 表記の中で,「外国人児童生徒等」と「外国人の子供」という表現が混ざっていまして,恐らく学校の中につながっている子供のことを「外国人児童生徒等」,それ以外を包括的,あるいは,外国籍の子供の就学に関して表すときには「外国人の子供」を使っているのかなと思うんですが,この意図をまず確認させていただきたいです。どういうふうに使い分けをしているのか。
 「外国人の子供」という表現というのは,割と子供たちにとって,あるいは,支援者にとってはインパクトのある表現で,できれば前向きなメッセージを表すために,何らかその辺りを,外国につながる子供ですとか,ルーツを持つ子供ですとか,そういったところに改めるところで,より包括的に対象を日本社会の一員として育てていくんだよというようなメッセージを出すことが大事かなと思いました。
 その上で,例えば,義務教育の対象外になる外国籍のお子さんについては,そのように明記をするというような書き方が望ましいのかなと思います。

【佐藤座長】
 事務局,いかがですか。その使い分け,例えば,4ページのところに「外国人の子供」という表記があります。どうぞ,説明してください。

【小林専門官】
 今,田中委員おっしゃったとおりで,「外国人児童生徒等」のところでは,外国籍の児童生徒と,日本国籍でも日本語指導が必要な子供などを,いわゆる外国にルーツがあるとか,外国につながる子供などを含めて書くときに使っております。
 「外国人の子供」,若しくは「外国人児童生徒」,「外国人生徒」と書いているときは,外国籍の子供に限定して言及すべき際に使うというふうな使い分けをしております。

【佐藤座長】
 例えば,4ページを見ると,「外国人の子供」という表現があります。基本的に学校教育の場面での支援・施策の場合,「児童生徒」と表記していると思います。日本の学校に就学していない子供たちを含めて広く対象を捉えて教育を構想する場合には「子供」といった表現をしていると理解できればいいと思います。もしそれ以外に表記があれば,後で修正していただければいいと思います。
 お二方から出た学力の保障については,どこかに文面を入れることは検討していきたいと思いますが,入れるということについてはよろしいですよね。取組の方向性の二つ目の丸の中に,学校の内外を通じ,学力の保障,あるいは日本語教育のみならず云々(うんぬん)という言葉を入れるか,一つ丸を起こすか,その辺のところは是非検討しましょう。
 ありがとうございました。それでは,個別の話へ入っていきましょうね。分野ごとの施策として,1番,指導体制の確保・充実のところからいきましょうか。ページ数で言うと,5ページから10ページぐらいのところですね。
 事務局から説明があったように,速やかに実施すべき施策というのは,すぐにやるべきこと,実現に向けて取り組む課題というのは,ここ3年ぐらいの間に制度改革も含めて方向性を定めていこうということと,そして予算要求もしていこうということだったと思いますので,それを踏まえながら御意見いただければと思いますが,どうぞ。

【高橋委員】
 ここのところ,記述として,日本語指導担当教師のいろんな,特に7ページに,手引から役割が書いてあったり,それから,日本語指導の体制の構築等,非常にきめ細かく丁寧に書かれていると思って,これについてはすごく日本語指導の教師が必要だということが明確化されていると思うんですけど。一方で,これはやはり日本語指導担当教員に責任というか,荷が非常に重く見えてしまって,他の一般教員が関わるべき役割とかですね。記述の中で,8ページの速やかに実施すべき施策のところの丸の二つ目に,「チーム学校」の観点に基づき,管理職のマネジメントの下,日本語指導担当教師,日本語指導補助者,母語支援員,在籍学級担任,関係教職員と書いてあるんですけど,そういったいろんな方々が連携し合って,「チーム学校」の観点に基づき取り組んだというところも書かれてはいるんですけど,どうしても日本語教師に求められるものだけが強く印象付いてしまって,もっと一般の教員というか,教科を教える教員とか,先ほどの教科指導とも関わるんですけど,それぞれの教員に何を求められているかというところがないと,余りにも一方で責任が非常に重かったり,抱え込んでしまったり,他の学校の教員の協力がなかなか得られにくくなったりみたいなところが懸念されるところなので,一般の教員の役割というのももうちょっと明確に訴える。
 特に概要としては,文部科学省が出す提言というところで言うと,見る方は日本語教師だけではないので,一般の教員ももっと明確に分かる,我々は何をしたらいいのかということが分かるようなメッセージ性を是非考えていただきたいと思います。

【佐藤座長】
 ほか,どうぞ。

【内田委員】
 失礼します。同じようなことを思っていまして,一つ,そういう印象を持ってしまう原因として,現状と課題のところには,日本語指導担当教師について中心に書かれていて,そこで,実はそういう「チーム学校」としての取組が必ずしもうまくできているとは限らないとか,何かそこの課題があって後ろにまたあれば,後ろに書いていただいている「チーム学校」の観点のところももう少し浮き出せたと思うんですけど,それが,実際にしてほしいのは,こういう,ここまでやってほしいんだけれども,そうではないというところがもう少し見えるようにならないかなと思いながら読みました。
 以上です。

【佐藤座長】
 ほか,いかがですか。どうぞ。

【浜田副座長】
 私も,先ほどの高橋委員の御指摘に非常に賛同するところです。
 例えば,「受入れの手引」の中の日本語指導担当教員の役割のところを引用していただいているんですけれども,この手引の中には,例えば,学級担任の役割ですとか,管理職の役割についても明確に記述されていますので,ポイントだけで結構ですので,その抜粋なんかもここに一緒に入れていただくということができればと思います。

【佐藤座長】
 今のお話を受けて言うと,7ページの日本語担当教師の役割というところの手引の抜粋が日本語担当教師だけになっているので,強調され過ぎているという印象だろうと思いますので,ここに在籍担当や管理職の役割を入れるということですね。
 危惧するのは,「チーム学校」が余りにも理想過ぎて,日本語担当教師の役割が学校で曖昧であった分,何をするかが分からないということも多々あるので,そのバランスを取る必要もあります。
 ただ,今の話はすごく大事ですので,在籍学級担任の役割とか,管理職の役割を入れればいいと思いました。
 ありがとうございます。2番目,教師等の指導力の向上,支援環境の改善というのは,11ページから15ページまでのところです。ここのところで何か御意見があれば伺いますが,どうぞ。

【高橋委員】
 すみません,1点気になったところがありまして。13ページなんですけれども,外国人児童生徒等に対する特別な配慮等のところですけれども,丸の二つ目,「外国人児童生徒等について,障害による困難が疑われる場合には,日本語能力とともに,その障害の状態等を丁寧に把握し」とあるんですけど,障害が疑われる場合って,日本語能力もありますけど,母語の能力も同時に見ていかないと分からないところがあって。これ,よく言われることですが,日本語ができないからいろんなテスト,心理テスト等に答えられないというケースも考えられます。母語なら答えられるかもしれない。でも,母語でも答えられないケースも考えられるということで。多分,いろんなそういった心理検査等をやるところは,やはり母語の能力も同時に考えながら配慮していかなければいけないというところがあるので,是非,母語能力というのも加えていただきたいと思います。

【佐藤座長】
 どうぞ。

【オチャンテ委員】
 それに関連してなんですけど。やはり今まで私が確認していたところでは,全てのアセスメントは日本語で行う場合が多くて,中身は通訳の方も入るんですけど,どうしても通訳とかもそういうアセスメントの研修を受けていない方が多くて,それで,やっぱりどうしても通訳の方の判断とかも入ってしまうのもありますし,あと,その後,保護者への説明をするときも,結局,その通訳の判断も入ってしまうというようなことをよく聞きます。
 もちろん外国語で行われるような場合であっても,その子も母国語ができないこともあるので,どこまで判定できるのかというのはものすごく難しいところなんですけど。今後も恐らくこういうアセスメントをする機会が増えると思うので,そういう通訳をする方とかの研修とか,実際にアセスメントをする側(がわ)からも,ある意味では研修は必要だと思いますよね。日本人にアセスメントする場合と,外国の子供たちの文化配慮とかをして,改めて知ってからのアセスメントをすると,大分判断が変わっていくと思うので,そういうこともやっぱり今後検討していかなければならないかなと思います。そういう今までいろんな違いとかいろいろあるので,やっぱりこれを今後ないように,保護者にも分かりやすく説明できるようなことも今後必要になってくるのではないかなと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 ほか,いかがですか。どうぞ。

【古沢委員】
 同じ今の言及があったところなんですが,ここは非常に大切なところかなと思うんですけど。事務局にお聞きしたいんですけど,一般的に医療機関と連携することというのは,必ずしも余り行われていないのかどうかということですね。
 全ての件について必要ということはないのかもしれませんけれど,一言,適宜医療機関などと連携してということもあった方がいいのではないかと思うんですけれど。よろしくお願いします。

【佐藤座長】
 医療機関との連携というもっともな話ですけれども,これ,どこか連携のところに載せていましたっけ。医療機関との連携って。

【小林専門官】
 医療機関ではないんですけれども,地域の発達障害者支援センターとの連携については,14ページの下から2番目の丸のところには記載しています。

【佐藤座長】
 14ページの?

【小林専門官】
 14ページの外国人児童生徒等に対する特別な配慮等の枠組みの一つ目の丸です。

【佐藤座長】
 なるほど。
 分かりました。今,御意見として出てきたのは非常に重要な点だと思います。13ページの外国人児童生徒等に対する特別な配慮等のところで,日本語能力だけではなくて,母語能力というのは言語能力で通じると思います。
 それから,オチャンテ委員がおっしゃったのは,研修の必要性ですね。障害のある児童生徒に対する研修は,どこかにあればいいと思います。
 それから,医療機関との連携は必要ですね。地域の発達障害者支援センターという,これは31番のところにありますけれども,そこに医療の関係者がいるならいいですが,医療機関との連携は検討したいと思います。
 3点御意見を頂きました。日本語能力だけではなくて母語能力を含めること,障害を持った外国人に対する指導をしていくときの研修のり方,それから,医療機関との連携です。入れるべきところには入れて,新しく起こすべきところは起こしていければいいと思います。
 ほか,どうぞ。よろしいですか。
 それでは,3番のところへ行きましょうか。就学状況の把握,就学促進というところです。16ページから19ページの真ん中ぐらいまでですね。どうぞ,ここについて御意見承りたいと思いますが,いかがですか。

【高橋委員】
 就学状況の把握のところですけれども,17ページの丸の一番上のところに関連するところではないかと思うんですけれども。「地方公共団体において就学促進の取組が十分に進んでいない状況については,外国人の保護者に対し,その子供を就学させることが義務付けられていないことも一因ではないかとの指摘もある」という記述で,義務教育化の観点,そういう意見もあるというところが指摘されていると思うんですけど。
 義務教育という段階の考え方も一つあると思うんですけど,逆に,最初のところの基本方針の中にあった,子供の権利を保障する国際条約で認められていますということで,書いてある記述が印象的なんですけれども。4ページの上の段にある,国際人権規約に基づく確固とした権利として,「誰一人取り残さない」という発想に立ちという観点で書いてあるんですけれども,一方で,国内法がきちんと整備されていないということが,こういった就学促進というところがなかなか進まない要因の一つではないかと思うんですね。だから,国際条約ということを言いつつも,やはり国内法の整備ということが求められるのではないかなと思うんですね。
 特に,外国人の子供の教育については,外国人学校との関係で,外国人学校の学齢簿等を使った在籍把握というようなところも記述はあるんですけれども,結局,公立学校と外国人学校との行き来をすると漏れてしまって,不就学状態が発生する可能性もあり,そこできちんとした教育を受けるというところが,一つは法律的な整備というところと,それから,外国人学校の教育内容についても,日本語教育も含めて,やはり国として,等しく誰も取り残さないという観点に立てば,そういった子供たちもきちんと教育の保障というか,日本語教育も含めて,母語・母文化教育も含めて,何らか連携するというか,何か一緒に考えていくみたいな立ち位置が必要なのではないかなと思うんですね。
 ですから,そういった意味では,一つは,教育を受ける権利を保障する国内法的な部分と,それから,外国人学校と公立学校の行き来というところで,不就学が発生しないようにうまく連携するというところを是非検討していただければと思います。

【佐藤座長】
 ほか,どうぞ。

【田中委員】
 今の高橋委員の御意見に賛同しつつ,補足というか,これが追加できるかどうかは分からないんですけれども。不就学の状態にとどめられる子供たちって,必ずしも全く行政にアクセスしていないわけではないんですね。行政にアクセスしたものの,日本語指導体制が整っていないから,受入れ体制が整っていないからということで,どこかで日本語を勉強してから就学手続しましょうということになることも多いんです。やはり体制整備と連動して就学促進の取組を行っていくことが重要だなと思うので,その辺りの関連をひも付けて書いていただけるといいかなと思います。

【佐藤座長】
 今の話は,例えば,具体的にどういうところに可能性がありますか。

【田中委員】
 ごめんなさい,もう一度お願いします。

【佐藤座長】
 具体的にはどこに入れ込めるかということです。例えば,何ページのどこに関連付けるかという質問です。あるいは新しく項目を起こすのかということです。

【田中委員】
 例えば,現状と課題等について,丸の2番目,不就学の子供たち,就学していない可能性がある,又は就学状況が確認できていない状況にあるという結果が示されたと。そこに,例えば,事例的なケースとして,中には行政にアクセスを試みたものの,受入れ体制の整備がというような形で続けていただくようなことはいかがでしょうか。

【佐藤座長】
 分かりました。
 ほかに,いかがですか。ここに関しては。
 不就学の問題,不就学に対する対応というのが必要なので,不就学に対する対応についてできる限りのことはしようということで,今回いろいろ提案をしているところですけれども。
 就学の義務化はまた別で,例えば,外国人学校にも学習要領を適用するのか,外国人学校の教員には日本の教員免許は必要なのかといような議論が必要になります。制度的な改革が必要なのでそこについては引き続き検討するということになっています。
 不就学に対する対応について,より積極的な対応が必要であるということであれば,当然追記する必要があるかと思いますけれども,その点いかがですか。
 今回すぐにできることと,3年ぐらいの間でできることを提言しようとしています。特にアクションプランを作ろうということでやってきています。最後のところに長期的な視点からの外国人児童生徒等教育の指針が必要であるという話が書き込まれていますが,今できることは不就学に対する対応ということです。これは積極的にやるべきだろうと思いますけれども,いかがでしょうか。

【内田委員】
 今,気が付いたんですけれど,18ページの取組の方向性のところで,二つ目の丸のところに,就学案内で回答が得られなかったり云々(うんぬん)かんぬんのところに,有効な活用先として,乳幼児健診や予防接種の受診等,就学前の様々なサービスへのアクセスの記録とか,そこでアクセスがあった方たちがいるという,これは使えるだろうとあるんですけれど。その後の速やかに実施すべき施策のところで,住民基本台帳とか学齢簿システムを作ってというところに,教育委員会が結び付きにくい部分ではあると思うんですね。医療系のところですし,管轄も違う部分,厚生労働省側のものなんですけれども,そこをどうにかして結び付けると,いろんな情報が得られるというようなことは,自治体レベルであれば速やかにできるのではないかと思うんですけど。そこにどう入れていいか,今,ここについては具体的に出てこないんですが,どうでしょうか。御検討ください。

【佐藤座長】
 言わんとしていることは分かりました。どういうふうに表記するかですよね。もし可能であれば,どこかに是非入れておけばいいと思います。
 そのほか,どうでしょうか。どうぞ。

【高橋委員】
 前回の有識者会議で,外国人の子供等の就学・進学・就職の促進という項目立ての現状及び課題というところに,こういう記述があるんですね。域内の学校や外国人学校への在籍者との照合による継続的な就学状態の把握,戸別訪問の実施等,様々な就学促進の取組が行われており,不就学減少の効果があるとする事例も報告されていると書いてあって,いわゆる外国人学校の在籍者とのもっと具体的な照合とか,先ほどの学齢簿との連携とか,そういうところが今回どこにどう反映されているかが見えないんですけれども。一般的なところは書いてあるんですけれども,外国人学校との連携が,やっぱり不就学を生んでいる可能性がかなりあるのではないかなと思うんですね。そういうところでの,もう少し具体的な取組があった方がいいのではないかなと思います。

【佐藤座長】
 分かりました。ありがとうございます。
 外国人学校との連携というのは,どこに書き込めるか。速やかに実施すべき施策のところでしょうか。外国人学校との連携による不就学の把握をどういう形で入れられるかどうかという話ですが,是非検討したいと思います。
 ほか,よろしいですか。
 それでは,最後,4番目のところへ行きましょうか。中学生・高校生の進学・キャリア支援の充実というところで,19ページから21ページまでですけれども,ここについて是非御意見いただければと思います。よろしくお願いします。いかがですか。

【高橋委員】
 単純な文言のあれかなと思うんですけど。21ページなんですけれども,実現に向けて取り組む課題の丸の1個目で,「外国人学校等を卒業後,高等学校への進学を希望する外国人生徒等について,各高等学校の判断により」と書いてあるんですけど,現実は,各高等学校では判断は多分していなくて,都道府県とか自治体のマターではないかなと思うんですね。この辺が各高等学校で判断しているのかなというのは,現実どうなのかなというところを確認したい。

【佐藤座長】
 これは,事務局,どうですかね。大学については,各大学の判断という話になります。私立学校であれば,各高等学校の判断だろうと思いますけれども,確かに,言われてみれば,この判断は都道府県単位で行うのでしょうか。
 都立高校・県立高校の場合には,都立高校・県立高校の学校長の破断によって,希望する外国人生徒の受験が認められるのかどうかというのは,いかがですかね。どうぞ。

【三好課長】
 担当課の方にももう一度確認はしたいと思いますけれども,私どもの認識として,都道府県によっては,要するに,現場の校長判断ということで,個別に入学資格を認めているという扱いにしているという整理になっているところもあると承知しております。
 ただ,高橋委員がおっしゃるように,そういう運用の下で,本当に個別の学校の校長先生が,個別事案に即して入学資格を認めるというようなことが実際にやれているかどうかというところは,まだ課題としてはあるのではないかと思います。

【佐藤座長】
 じゃ,これは確認していただくということで,よろしくお願いします。
 ほか,いかがですか。どうぞ。

【オチャンテ委員】
 すみません,確認なんですけど。前回の報告書では大学という項目があったんですけど,せめて課題のところには,国立大学の外国人枠の取組ではないですけど,何か項目を入れていただけないかなというような。やっぱりどんどん大学に進学する子供たちが増えてきているんです。私立大学になってくると,まだその壁が大きくて。しかし,こういう外国人枠の大学が少し増えてはいるので,可能性として,一つの進路として大学はなってくるので,そういう項目も入れていただけないかなという要望なんですが。

【佐藤座長】
 21ページ,実現に向けて取り組む課題のところに,大学の役割があったらいいという話だと思います。前回ありましたでしょうか。

【オチャンテ委員】
 前回,恐らく大学という項目はあったような。

【佐藤座長】
 それがあれば,検討して,入れていただければいいと思います。いかがでしょうか,課長。
 これから子供たちが日本の社会で生きていくために,どうしても高等学校から更にその先の高等教育機関の問題も出てきますので,どこまで書き込めるかについては,検討したいと思います。
 前回の28ページのところに,国は,大学に進学した定住外国人学生等についても,留学生・日本人学生と共に学び合う環境を充実させる等,それぞれの個性を伸長させるための各大学の自主的な取組を促すことが重要であろうということが出ていますが今回はどこかに入っていますか。
 前回提言したことが,今回消えているのでどこかに復活してほしいという御意見だと思います。どうぞ。

【三好課長】
 今,前回とおっしゃっていただいているのは,平成28年6月に,当時の国際教育課で取りまとめた有識者会議の報告のことを指していると理解しておりまして。基本的には,そのときの議論はベースにあって,それはそれとして進めなければいけないという中で,今回は特に不就学の問題等が一番明らかになってきているので,そういったところにアジェンダを設定して議論したというところですので,議論した内容を今回の報告書にまとめているというのが基本スタンスです。
 ただ,その上で,今回の報告書だけ見たときに,そこの部分が抜けているねというのは,やはり見た目も良くないのではないかという,そういう御指摘だと思いますので,どういうふうな書き方は……。

【佐藤座長】
 じゃ,是非お願いします。検討しましょう。
 よろしいですか。じゃ,最後に,異文化理解,母語……。どうぞ。

【田中委員】
 すみません,取組の方向性の下から2番目で,在留資格変更の記載がありまして,出入国在留管理庁から,例えば,家族滞在から定住への変更等について情報提供等の一層の充実が求められるという記載があるんですが。情報提供先として,地方公共団体だけではなく,そうした高卒者を雇おうとしている企業に対しても情報提供をお願いしたいと思います。
 高卒の家族滞在の若者を雇用しようとする中小企業の方々,定住への切替えができるということを知らないことが多いです。当事者や外国人保護者もその辺りの理解が進んでいなくて,チャンスを逃すといいますか,かなり右往左往して,結局うまくいかなかったというようなケースも出ていますので,地方公共団体に限らず,広く情報提供を推進するように記載していただければと思います。

【佐藤座長】
 分かりました。これは当然そうでしょうね。地方公共団体等には。
 これ,何かございますか。何かあればコメントをお願いします。

【矢野法務専門官】
 はい。

【佐藤座長】
 出入管理庁から地方公共団体等に対する情報提供等の一層の充実が求められるということであれば,当然,それは企業だけではなくて,いろんなところも関わってくるかもしれませんので,というお話だったと思います。
 それでは,5番のところへ行きましょうか。異文化理解,母語・母文化支援,幼児に対する支援ということで,実現に向けた取組,25ページの上の2行目までですけれども,お願いいたします。

【高橋委員】
 22ページなんですけれども,現状と課題等の丸の二つ目ですが,ここの「ダブルリミテッド」の記述があるんですけど,一つは,下の注釈は,ダブルリミテッドの定義を確認したんですけど,若干違うかなという感じがするので,訂正してほしいと思います。
 下の39番ですね。二か国語をある程度話すことはできるが,どちらの言語でも年齢相当ではなくて,相応――定義でよく使われるのは相応だと思うんですね――のコミュニケーションは,ダブルリミテッドの中には多分入らないと思うんですね。コミュニケーションが苦手になる結果として取れなくなったりするんですけど,厳密にダブルリミテッドの定義としては,学習に困難を来している状況で,相応に変えて,コミュニケーションを取っていただくのがいいかと思います。
 それで,上の記述のところで,丸のところですけど,「外国人児童生徒等のアイデンティティの確立や日本語の習得のためには,母語や母文化の習得が重要である。しかし,日本で生まれ育った外国人の子供や」というのは,ちょっと乱暴かなと思うんですね。日本で生まれ育ったら,こういう状態に陥っちゃうみたいな誤解を招きかねないので。もう少し丁寧に言うと,日本で生まれ育ったが,母語が未発達というか,未習得とか,未確立とかということで出会ってしまった外国人の子供や,母語を習得する前に来日した子供が,いわゆるダブルリミテッドの状態に陥ったり,母語しか話すことのできない家族とのコミュニケーションが取れなくなったりするという課題が指摘されているというところで,やはりこの辺の記述が,日本で生まれ育っても,普通に習得する子もいれば,母語との関係性の中でダブルリミテッドになるようなケースがあるという部分が,もうちょっと明確に書いてあってもいいかなと思いました。

【佐藤座長】
 はい。
 この辺いかがですか。
 まず,ここについて,ダブルリミテッドという,浜田委員,これ,学術的定義ってあるんですね。

【浜田副座長】
 いろんなものがあるので,なかなか一つに定義は難しいというような状況です。

【佐藤座長】
 「しかし,日本で生まれ育った」というところから,「取れなくなったりするといった課題が指摘されている」という表記の仕方と,ダブルリミテッドの解説のところについて問題が提起されました。これは調べれば分かりますので,そうしましょうね。より一般的に使われている定義をこの注のところに入れるということと,「年齢相応の」というお話を頂きました。一般的な概念をここに記載するということと,「日本で生まれ育った外国人の子供や」云々(うんぬん)という,これが乱暴なのではないかという話でしたので「外国人の子供の中には」といった表現にするか,あるいは子供の中にはそういう子が出てくる可能性もあるというような話だと思いますので,表記を修正するということでよろしいでしょうか。
 そのほか,いかがですか。
 速やかに実施すべき,実現に向けてということで,特にここで両方,異文化理解,母語・母文化支援という話と同時に,幼児の話がありますけど,
 では,どうぞ,浜田委員。

【浜田副座長】
 母語と母文化の習得については,かなり書いていただいて非常に有り難いと思うんですけれども,直接に母語を教えたりするということ以外に,やはり周りの人たちが母語が話せるということについて価値を置いているということが,母語の習得に非常に大きな役割を果たすと言われていまして。そういうことであれば,母語ができない学校の先生であっても,幼稚園の先生であっても,そういう取組ができると思うんです。恐らく,この異文化・多文化共生の考えに基づく教育の中に入っているとは思うんですけれども,もし明言化してそういったことも書いていただけたらと思います。

【佐藤座長】
 とても大事な話なので,どこかの文の中に入れば,是非一言入ればいいですね。例えば,どの辺ですかね。浜田委員,今のようなところを入れ込むとすると。
 取組の方向性ですかね。

【浜田副座長】
 例えば,取組の方向性の二つ目の丸の辺りへ入れていただけると思いますし,実現に向けて取り組む課題の中に一つ新たに立てていただくということもしていただければと思います。

【佐藤座長】
 そういう御意見がありましたので,反映していこうということでございます。
 ほか,どうですか。どうぞ。

【内田委員】
 今の御発言に関連して,そのすぐ下のところの指導体制づくりや研修の実施の中に,項目の中にも母文化,家庭の文化を尊重する意識なんていう項目を入れていくことはできるかもしれないなということを,浜田委員の意見に賛同しています。上にも入れられるんですけど,研修の内容として,学校の中でも,上が地域のいろんなリソースを使ってということも生かしましょうということが強いような気もするんですけれども,学校や園の中でいかに先生方が意識を高めておくと,母語を尊重したり母文化を尊重するということが実際実現するかどうかということに関わるというような,そういう書き方で,方向性のところで入れてもいいのかなということを思いました。
 ここでいろいろ幼児期のことを取り上げていただいて,本当にありがとうございます。とても大事な問題で,現場に近い人間として,課題たくさんだなと思いながら拝見していました。
 是非,就園案内の取組を,速やかに実施すべき施策のところと小学校以上のところと比べて見ると,やっぱり一周遅れている。ここでまず就園ガイドを作って,それを配布しなければいけないという,周回遅れのような状態にありますので,是非これが実際に進むようになっていったらなと思って拝見していました。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。どうぞ。

【田中委員】
 取組の方向性,24ページの一番下の丸で,「外国人幼児等については,生活上の様々な課題が,言語・文化等の違いによるものか障害や発達の状況によるものかについて」という部分があるんですけれども,これに家庭の環境ですとか,周囲の生活状況なども,外国人幼児の落ち着きのなさ等に関わってくる場合があるので,そうした言語・文化の違い,あるいは,障害かどうかというようなもの以外の要素についても,配慮がなされるような記載が含まれると望ましいかなと思いました。
 あと,もう1点,速やかに実施すべき施策ですが,母語の喪失って,意外に年齢的には早いなと思っていまして,もう既に小学校入学前で母語での親御さんからの語りかけを嫌がったりというような様子が見られるので,就園前ですとか乳幼児健診と,早い段階での機会活用を,母語習得の重要性を伝えるために,そうした接触の機会を使っていっていただけた方が現実的なのかなと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。そうですね。
 ほか,どうですか。どうぞ。

【オチャンテ委員】
 それに関連してなんですけど,どうしても小学校になってから人権教育とか外国語教育とかをするので,わりといろんな国の人と文化を知る機会が増えるんですけど,やっぱり幼稚園とか保育園とかで多国籍の子供たちがいる中では,「何で英語じゃないの?」とか「スペイン語話せるけど英語じゃない」とか,そこから結構いじめが始まるんですよね。なので,幼稚園の中での多文化共生とか異文化理解ということも非常に重要には,先ほど先生方がおっしゃったようなことにはなるんですかね。やっぱり幼稚園とかの中での異文化理解教育の授業を定期的に行うことの重要性についてとかを,今後かどこかにそういう言葉を入れられるようだったら有り難いなと思っています。

【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 そうですよね。幼児期から差別・偏見等も形成されていくというような研究もありますので。
 どうぞ。

【内田委員】
 そうですね。私は,「速やかに実施すべき」の一番初めに書いてあるところに幼稚園や保育園も入れて読んでいたんですけれども,そうやって言われてみると,弱いのかなと思います。
 それから,同時に,先ほどの家庭の環境を考えて,実際に幼児期の子供の指導をするとかいうことは,実は基本として,外国のお子さんであろうとなかろうと,それはしなければいけないことだとして,ここで特別に言うべきこととして入れていくべきなのか,そこはちょっと迷うところではあります。当然,幼稚園・こども園の教員であれば,家庭の環境は見るべきであろうと。
 あと,もう一つ,幼児期の多文化共生の考え方については,幼稚園教育要領ですとか,幼保連携型認定こども園教育保育要領で,やりなさいというふうに告示文の中で入れていただいているんですね。ですから,ここで入っているんだということを言っておくということが強調になるかなと思います。するべき内容として,項目として入っていますので,それがもっと徹底されるべきという,そういう課題かなと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 今の24ページの最初の丸ですけど,幼児期において,そういうところに今のような文言が,多文化共生のように取れるような文言が入ればいいというような話だと思いますけれども。
 どうぞ。

【高橋委員】
 今の御意見と重なるんですけど,同時に,多文化保育みたいな概念って,今,少しずつ生まれてきていて,その先進的な取組をしているところもあると思うんですね。多文化保育という概念で言うと,結構外国ルーツの保育士が保育に携わったり,育成をやっているところもありますし,それから,保育園の中,幼稚園もそうかもしれないですけど,中で,今おっしゃったような多文化共生の取組をしているみたいな。
 ですから,そういった先進例みたいなものも,あとは連携なんかも取り入れてやっていた方が,幼稚園の方の指導体制づくりと研修というので,具体的にどうやっていいか分からないというような状況に陥る可能性があって,やっぱり先進例をもう少し取り入れることも必要なのではないかなと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 そうですね。先進的な事例を,24ページの最後のところに入ってくると思います。研修を踏まえながら,多文化共生の実現を幼児教育の中で図っていくということの重要性が指摘されましたのでこのことは入れていきたいと思います。
 ほか,よろしいですか。
 それでは,最後の「おわりに」というところで,留意点と,それから,その他委員からの意見ということで幾つか挙げられております。そして,今後の対応等というところがございますけれども,ここについて何か御意見があれば伺いたいと思います。どうぞ。

【古沢委員】
 細かいことかもしれませんが,その他委員からの意見の小さい丸の四つ目で,「教員養成課程において,異文化理解や多文化共生に関する履修内容を充実すべきではないか」というところなんですけれど,その他委員からの意見で分けると,すぐには実施が難しいことを書いてあるのかなと思うんですが,この点については,例えば,今の前項の多文化共生のところでもいいですし,教員養成段階における学びの場の提供に一言入れてもいいようなことで,抽象的な文言でもありますし,充実させていただきたいなと思いました。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 これ,いかがですか。今の中で,ただ,この書き方,何をここで……。
 「教員養成課程において,異文化理解や多文化共生に関する履修内容を充実すべきではないか」という,この項目は,速やかに,ないし実現すべき課題のところに入れてもいいのではないかというお話でした。これと同じような文言は,教員養成課程の中にありませんでしたっけ。
 13ページのところに,教員養成段階における学びの場の提供ということで,基礎的な内容を学ぶことのできる機会が提供されることが望ましいという。要するに,全ての学生に対して,外国人児童生徒に関わる教育の項目を是非入れてほしいという話ですよね。

【小林専門官】
 こちらは,まず今,現状,外国人の子供の教育の取扱いがどうなっているのかを,各大学の教員養成課程において,それはまず把握するということを速やかに実施すべきに位置付けています。それは飽くまで外国人児童生徒の教育の関係の内容ということで。その現状把握をした上で,それを踏まえて,今後どういうふうに検討していくかということを,実現に向けて取り組む課題の中に書いております。

【佐藤座長】
 ということね。

【小林専門官】
 はい。
 多文化共生とか異文化理解の考え方に基づく教育の在り方に関する内容の取扱い,教員養成課程のところについては,まだここまでの対応が現状としてできていないので,その他委員からの意見の中に位置付けているところではあります。

【佐藤座長】
 どうぞ,藤巻委員。

【藤巻委員】
 ここのところの異文化理解や多文化共生に関する履修内容を充実というのは,これ,委員の直接的な意見としては,多文化共生科目を教員養成課程において必修化すべきという意見が出たんですね。それを私も言いましたけれど,ほかの先生も何人かがおっしゃっていまして,それがこういう表現になったと私は承知しているんですが。

【佐藤座長】
 これは,現実的にはどうなんですか。教員養成課程の中で,異文化理解や多文化共生の履修内容を充実すべきだというのは,教員養成系大学であるところはありますよね。

【藤巻委員】
 ここで報告した愛知教育大学の中では,そういうふうになっていたと理解しています。

【佐藤座長】
 そうすると,これだと,実施すべきではないかというと,例えば,全ての教員養成課程とかだったら分かるけれども,ここはどうですか。

【藤巻委員】
 確かに,言われてみれば。

【佐藤座長】
 多分,現実的に教員養成課程において異文化理解と多文化共生に関する履修内容を充実するというのは,どういうふうに読むかは別ですけれども,愛教大であるとか,他の大学にもあるはずですよね。結構,現実的には。

【小林専門官】
 そうですね。実際に,愛知教育大学のように,必修として置いているところもあります。
 ただ,今後,全ての教員養成課程,どこの大学でも必修というのはちょっと難しいかもしれませんけど,それがあって,必修もあれば,必修ではない取扱いの大学もあるという意味で,履修内容を充実すべきではないかという記載にしております。

【佐藤座長】
 ここの部分は実現可能ではないかという話だと思うんですよね。現実的にどうなのか,現状を把握する必要があります。
 愛教大や他の大学でも現実的にやられているわけです。つまり,多くの教員養成課程において,異文化理解や多文化共生の履修内容を更に充実すべきではないかというような話だったら,文言としては分からなくないですけれども,こういう抽象度の高い,教員養成課程の中で充実すべきではないかというと,既に愛教大であるとか,幾つかの大学ではやっている可能性があるので,これがここに来るのはちょっと違和感があるという,そういう話だったと思います。
 いずれにしても,ここについては検討して対応したいと思いますが,よろしいでしょうか。
 ほか,どうぞ,何か。

【オチャンテ委員】
 その他委員からの意見の一番後ろの,高等学校を中退した外国人の若者のところなんですけど。こちら,高校を中退した外国人の若者に,再チャレンジできる情報提供は必要なんですけど,同時に,日本で生まれ育って,高校の入学試験はしたけれど不合格だった若者は結構多いんですよね。この子供たちは,もちろん次にチャレンジするという思いで仕事をし出していたら,その受験を忘れてしまうんですよね。結局,大きくなって子供ができて,でも,やっぱり高校へ行きたい,高校へ行かないと就職がうまくできないというような若者が最近増えていると思いますので,ここの項目に,そういう別な項目を作るか,高校に入学できなかった若者への再チャレンジできるような情報提供が求められるというようなことも書き加えるか,下に書くかというようなことができたらと思います。

【佐藤座長】
 要するに,高等学校を中退しただけではなくて,高等学校に行けなかった人という話ですよね。ここは両方入れていただければいいと思いますので,是非そうしましょう。
 ほか,どうぞ。

【藤巻委員】
 その他委員からの意見のところで,細かい個別のところは,既に事前にメール等で意見を言わせていただいたので,ここでそれを繰り返すということはしませんけれども,概論的というか,概括的な意見を申し上げたいんですけれども。
 新しい政策を作るというときには,どうしても前例とか,これまでの仕組みといいますか,ハードルがあるとか,制度の壁があるということで,なかなか難しいねということになって,そういう提言というのは消えていくと思うんですね。そういう意味で,委員からの意見というのがここに載ったということ自体は,私は評価したいと思うんですけれども。
 外国人労働者がこれだけ増えていくというのは,大きなグローバル化,グローバリゼーションの大波が来ているということだと思うんですね。そういう大きな転換期の中で,これから外国人児童の教育をどうするかという,そういう大きな転換期なので,今,コロナウイルスも,これもグローバル化の大波の中で,政策を今作っているところだと思うんですけど。そういうときは,やはり思い切った大胆な政策というものを作る必要があると思うんですね。
 そういう意味では,駄目だ駄目だというのではなくて,いろんな壁や課題があっても,そこをクリアしていく,そこをどう乗り越えていくかというアイデアをやっぱり出していくべきではないかと私は思います。
 そういう意味で,このその他委員からの意見というのが一応載っているわけですけれども,ちょっと難しいねという形でここに載っているのかなという気はするんですけれども,ここに,「文部科学省等において引き続き議論や検討が行われることを期待したい」という一文が入っていますけれど,正にそれを期待したいと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 この議論は引き続き何らかの形で,実現の方向に向けて,どのような課題があるか,そして,その課題を解決するためにはどうすればいいかというような議論が行われていけばいいと思います。
 ほか,いかがでしょうか。

【田中委員】
 細かいところになってしまいますが,その他委員からの意見で,したから2番目,「各地域において,NPO等が提供する多様な学びの場を活用し」というところ,恐らく主に日本人の子供を念頭にNPO等が提供している学び場に外国人のお子さんをというようなことかなと思うんですけれども。9ページの中で,「地域の関係機関との連携において,放課後子供教室ですとか地域未来塾等,幅広い地域住民等の参画を得て子供たちの学びを支援する場においても」というところで提案がある部分と重なるものなので,こちらの方に統合していただくような形で,9ページの表現にNPO等というようなところを入れていただいて,その他委員からの意見からは削除していただいてもいいのかなと思います。

【佐藤座長】
 分かりました。それも検討しましょうかね。貴重な意見ですので。実際に,可能であれば,是非そうしていきましょうか。
 ほか,いかがですか。
 今回は最後の方針ということで,今伺いましたが,あるいは,全体を通しても,何か言い残したこと,あるいは,もうちょっとここはというようなところがあれば。よろしいですか。
 以前の有識者会議のところでかなり理念的な方向性を打ち出しているので,それを受けまして,具体的なアクションプランを作りたい,作ろうということで,今回,具体的な直接の政策に結び付くようなもの,あるいは,二,三年ぐらいの期間の間に課題解決を図っていくようなものに焦点を当てながら,我々は提案をしていきたいと思いました。最後の委員からの意見というところで,従来の枠組みの中でやると,どうしても限界が出てきてしまうので,新しい方向性を示すということも必要だろうと思います。是非これが第一歩になってくれればいいかなと思っているところでございます。
 どうぞ。

【浜田副座長】
 この報告書の中に入れていただくのはちょっと難しいかもしれないんですけれども,やはり外国人の子供の課題というのは本当に多岐な領域にわたっていまして,今回,文部科学省の取組ということで,いろいろ提言をまとめていただいたんですけど,実は,文科省だけでは解決できないことが本当にたくさんあると思うんですね。
 先ほどの発達の問題についても,もちろん母語の支援員さんの方にも関わっていただくということは大事ですけれども,バイリンガルの子供の発達については,モノリンガル用の発達検査では明らかにできないというようなことも言われていまして,それを考えると,例えば,バイリンガルの子供のために,どんな発達の検査の仕方がいいかというようなことを改めて開発し直したりすることも必要ではないかと思うんです。
 それだけではなくて,福祉の分野ですとか,就労の領域ですとか,本当に多岐にわたっているので,公共団体でのいろんな諸機関の連携については,この中に書いていただいたんですけれども,省庁として,文部科学省が中心になっていただいて,いろんな省庁と連携をしていただいて,外国人の子供の問題をどの省庁でも重要な課題として考えていただくというようなことも大事ではないかなと思っています。
 報告書に入るかどうか分からないですけれども,是非よろしくお願いいたします。

【佐藤座長】
 おっしゃるとおりで,外国人の子供の問題は,もう学校だけで対応できませんので,様々な連携が必要だと思います。そのためにも,施策そのものが今回は文科省ということに限定しておりますけれども,文化庁や在留管理局からも御同席いただいていますけれども,更にほかの省庁とも連携することでこの教育が充実していくことを願いたいと思っております。
 それでは,限られた時間ですけれども,皆さんから今御意見いただきました。頂いた御意見等の修正については,座長に一任させていただければと思いますので,よろしいでしょうか。
 それでは,9回にわたって,皆様から,ヒアリングも踏まえて会を進めてきました。きょう,積極的な意見も頂きましたので,事務局とも相談して,最終的な報告書を取りまとめしていきたいと思っております。報告書はまとまり次第公表したいと思っておりますので,よろしくお願いします。
 それでは,最後に,平野審議官より一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。

【平野審議官】
 大臣官房審議官,総合教育政策局担当の平野でございます。
 中教審の検討会の方が中止になっているにもかかわらず,こちらの方は,こういう状況の中できちっと先生方に御議論いただいているということは,この有識者会議がいかに大事なものかということを,文科省としても強く受け止めておるということの証左であるとお考えいただきたいと思います。
 私も昨年の1月ぐらいから,現場の方に出向きまして,優良な事例,あるいは難しい事例等,現場で見させていただきました。それで,これは特に中部地方の先進的な地域だったんですけれども,中学校で一月間の初期集中支援をやることで,その中学生のお子さん方が,一か月間で,漢字仮名交じり文で作文をして発表ができるというようなところまで行っていらっしゃるという事例を見せていただきまして,やっぱり日本の教育現場が,あるいは,先生方が持っていらっしゃる現場力,あるいは,熱意の高さというものを大変強く感じた次第でございます。
 日本の教育現場の力が高いというのは,世界的にも十分評価されているところでございますし,私どもも自信を持っているところでございますが,何分にも,外国人のたくさんのお子さんを受け入れていくということが我が国として初めてのことでございますので,まだまだ戸惑いもあるんだなと認識してございます。
 そういった中で,専門家でございます先生方から,現場でどういったことをやったらいいか,あるいは,文部科学省として将来どういうことを検討していったらいいか,あるいは,我が国日本として,グローバル化が進む中でどういう視点を持ち続けるべきかというような形で,いわゆるはやりで言いますと,虫の目,鳥の目,また魚の目で見ていただきまして,大変包括的かつ体系的な報告書を書いていただいたのではないかと思っております。
 これから,これを私どもの指針といたしまして,中教審の方にも報告させていただき,また検討に付させていただきたいと思いますが,大変立派な報告書をまとめていただいたと思っております。どうもありがとうございました。
 この有識者会議が終わった後も,引き続き,文部科学省として,皆さんの御指導,御鞭撻(べんたつ)を頂きますようお願いいたしまして,私の挨拶に代えさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

【佐藤座長】
 どうもありがとうございました。
 では,事務局より連絡事項があればお願いいたします。

【林調査官】
 本日は,どうもありがとうございました。
 先ほど佐藤座長からありましたように,本日の御意見等を踏まえまして,座長と相談しつつ,報告書の修正作業を進めてまいりたいと思います。
 公表日については,後日改めて連絡をさせていただければと思います。
 また,本日の配付資料につきましては,机上に置いていただければ,後日郵送させていただきますので,よろしくお願いします。
 以上でございます。

【佐藤座長】
 それでは,きょうの会議,これにて閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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