外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(第8回) 議事録

1.日時

令和2年1月21日(火曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省5階 総合教育政策局会議室

3.議題

  1. 報告書骨子(案)について
  2. その他

4.議事録

【佐藤座長】
 それでは定刻になりましたので,ただいまから外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議第8回になりますけれども,開催させていただきます。
 お忙しいところお集まりいただきまして,ありがとうございます。
 なお,カメラ撮影は冒頭の頭撮りのみとさせていただきます。終了のタイミングについては,また,お声を掛けさせていただきたいと思います。
 では,配付資料,議事の確認等に移りたいと思います。事務局よりお願いいたします。

【林調査官】
 本日の配付資料は議事次第のとおりでございますけれども,追加で,次第には出ておりませんが,横長の外国人児童生徒の予算の関係の資料,左上とした資料と,高橋先生から,「日本語教育の推進に関する国の基本方針」への10の提言ということで,資料を二つ,追加で配付をさせていただいております。また,前回の会議終了後に,浜田先生から,追加で御意見を頂戴しましたので,その御意見については,資料2の議論のまとめの一番後ろに,浜田先生の御意見ということで,そのまま付けさせていただいております。また,これまでの有識者会議の資料は,机の上に置いておりますドッチファイルにとじておりますので,議論の際に,適宜,御参照いただければと思います。
 議事につきましては,本日,資料1ということで,報告書の骨子(案)を作成させていただきましたので,これに基づいて,本日は議論をお願いできればと思います。
 また,カメラ撮影等はここまでになりますので,これ以降はカメラの撮影は御遠慮いただければと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 まず初めに,骨子(案)の構成が出来上がっておりますので,これについて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【林調査官】
 それでは,資料1の報告書の骨子(案)を御覧いただければと思います。時間にも限りがございますので,細かいところまでは説明しませんけれども,まず,構成としては,検討の背景がありまして,総論,各論で,おわりにということになっていまして,1枚めくっていただきまして,総論のところで,まず,現状と課題,取組の方向性などを記載させていただきました。
 3ページ以降が各論になりますけれども,この柱立てについては,以前,この有識者会議の議論を中教審初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会に報告するに当たりまして,論点を座長とも相談させていただきながら作成したんですが,その論点については,以前,委員の皆様にもメールでお送りさせていただいているところでございますが,その柱立てに合わせて作らせていただいています。
 3ページ目を御覧いただきますと,各論の部分,指導体制の確保・充実のところですけれども,それぞれの柱立て,全部同じ作りになっていますが,まず,取組の方向性を書かせていただきまして,その下の1番左に課題,真ん中に速やかに実施すべき施策を記載しています。右の実現に向けて取り組む課題ということで,ここについては,今後,2年,3年ぐらいかけて結論を得るような事項ということで整理をさせていただいています。全ての柱について,このような作りにしてございます。
 もう1点,予算の方も説明させてもらえればと思いますけれども,こちらの横長の資料を御覧いただければと思います。追加で配付させていただいた資料です。こちらが外国人児童生徒の関係の予算で,当課で持っている予算ですけれども,本年度が5億400万円で,令和2年度の政府予算案として,7億6,600万ということで拡充しております。一番左,幾つか枠がありますが,左の指導・支援体制の整備ということで,これがメインの補助事業ですけれども,一つ目が帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業ということで,自治体の日本語指導者とか母語支援員の派遣などに対して,補助を行う事業でございます。それと,その下の定住外国人の子供の就学促進ということで,主に就学促進などに関する調査等,自治体が取り組むものに対して補助を行う事業でございます。これらについては,本年度,4億9,000万のところ,7億1,200万まで拡充をしております。
 真ん中の教員の指導力向上ですけれども,ここを拡充しておりまして,一つが教員等に研修の際に使っていただけるような短めの動画コンテンツを幾つか委託で作って,例えば,「かすたねっと」等に掲載をして,教員の方々に見ていただこうという新しい事業でございます。もう一つが,日本に来たばかりの外国人の子供に対して,要は,日本の学校というのはこういうところだよというのが分かるような動画コンテンツを多言語で作成したいと思っています。これは拡充事業でございます。
 一番右の集住・散在地域に係る調査研究ということで,これについては,今,集住地域については,小学校1年生のクラスの7割,8割が外国人になっており,学級運営にも支障を来しているような学校のあるところもございますので,例えば,そういう集住地域,あとは,これまで全然,外国人がいなく,取組をどうしていっていいか分からないような散在地域について,それぞれの課題について先進的なプログラムのようなものを,教員養成を置く大学へ委託をしまして,調査研究をしてもらって,全国で展開していくというような事業が新規で3,600万ほど政府予算案に盛り込まれております。
 簡単ではございますが,骨子と予算について,説明させていただきました。議論をよろしくお願いします。

【佐藤座長】
 指導体制の確保・充実,日本語指導担当教師等の指導力の向上,支援環境の改善,就学状況の把握,就学の促進の柱で,中学生・高校生の進学・キャリア支援の充実,そして,異文化理解,母語・母文化支援,幼児に対する支援というような柱立てになっております。
 そして,速やかに実施すべき施策として,この有識者会議でアクションプランを作ろうよという話をしていたと思いますので今すぐに対応できること,それから,実現に向けて取り組む課題,これは二,三年をかけて結論を出して,その実現に向けて取り組む課題というようなところを,ここに挙げてあります。
 そして,おわりにというところで,中長期的な課題というのをつけています。すぐに実施すべき課題,さらに,二,三年後を視野に入れた解決すべき課題,それから,中長期的な課題という構成です。
 早速ですが総論のところは,また後ほど最終的なところで立ち返りますので,指導体制の確保・充実のところから,御意見を伺っていきたいと思います。
 少しお目通しをしていただきながら,取組の方向性,それから,課題,速やかに実施すべき施策,実現に向けて取り組む課題というのを書いてございますけれども,これについて,どうぞ自由に御意見を頂ければと思います。どなたからでも結構ですから,どうぞ。

【松尾委員】
 高校における指導体制の充実という内容を加えることができないかということです。高校への進学率も高くなっておりますし,一方で,中退率が非常に高いということがありますので,特別の教育課程の適用等々を含め,外国人児童生徒の高校における受入れ体制を整備する方向というのは,かなり緊急な直近の課題ではないかと思うので,それを入れたらどうかと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 6ページを御覧ください。中学生・高校生の進学・キャリア支援の充実の実現に向けて取り組む課題の二つ目の丸のところに,高等学校における外国人生徒等への充実を図るため,「特別の教育課程」の適用を含め,取り出しによる日本語指導方法や制度的な在り方について引き続き検討という項目があります。さらに,高等学校版JSLの策定についても順次検討とあります。それとまた別ということでしょうか。

【松尾委員】
 指導体制という点なので,そこに記述がございますので,簡単でいいと思いますけど,ちょっと触れていただくと,やはり,進路というのはすごく重要な課題ですので。

【佐藤座長】
 速やかに実施すべき施策として,これが載るかどうかですね。高等学校における受入れの指導マニュアルみたいなものは必要だろうと思いますので,この辺のところをどうするかを,後ほど議論したいと思います。非常に重要な点ですので,ありがとうございます。
 ほかにどうぞ,何かございますか,指導体制の確保・充実のところで。
 御意見がなければ,私から,日本語教師の積極的活用ということについてです。学校の教員が責任を持って日本語指導に当たるということを特別の教育課程の実施に当たった強調をしました。ただ,学校の先生の労力を考えたときに日本語教師との連携が必要になります。チーム学校ということが強く叫ばれている時代でもありますので,日本語教師の積極的活用というのを,この二,三年間かけてしっかりと議論をして,結論を得るのが重要と思っています。
 特別免許状,特別非常勤講師等の制度の活用も視野に入れながら,日本語教師の積極的活用というのが,ここでは重要な提案になるかなと思っているんですけれども,そのようなことも含めて,何か御意見があればお願いします。

【村松委員】
 簡単に2点ですけれども,指導体制の確保・充実ということで。これまでも,特に課題を抱えている地域では取り組んできたと思います。でも,余り現状が変わっていないというところが,改正されたという実感をなかなかみんなが持てていないというのが現状だと思います。総論のところで,取組に差が生じている状況があるということも書かれているんですけれども,やはり,ここの格差をなくすための指導体制の確保というか,そちらの視点も必要ではないかなと思っています。それを各自治体でやるというところに少々無理があると思いますので,それが1点です。
 もう一つは,「日本語教師」という表現がございました。特に一番上の速やかに実施すべき施策というところで,「日本語指導担当教師」という表現がございますけれども,発達段階によりまして,日本語指導担当教師の役割が違うと思います。年少者を担当する者,それから,高校に入って担当する者,本当にこの言葉でいいのか,あるいは,その役割を精査しなければならないのか。特に,小学校,中学校におきましては,学習内容にも関係するところがございますので,日本語を教えるというイメージが,各学校に少し狭いイメージを与えているのではないかという懸念を持っております。その辺りも何か考えられないかなという気がいたしました。
 以上でございます。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 村松委員,格差をなくすため,実際に担当されている立場として,施策として何か具体的に挙げるとしたら,どういうことがありますかね。

【村松委員】
 各自治体が,なかなか難しいですので,ここを国のアピールではない,アピールという言い方しか今はちょっと思いつかないんですけれども,もう少し,全国でやらなければならないというような,一歩前に進んだ提言というか,そういうものがあればいいなと思うんですけれども,すみません,ちょっと今,何という言葉で表現したらいいのか。

【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 ほか,どうでしょうか。今,格差をなくすための一つの具体的な方法だということでしたが,日本語教師という,この概念が何を意味するのかという点をもう少し明記した方がよろしいのではないかという御指摘だったと思います。重要な指摘だと思いますけど,関連するもの,あるいはほかに何か。
 はい,どうぞ。

【オチャンテ委員】
 以前も話が出たと思うんですけど,日本語指導の補助者とか,母語支援員の不安定な立場,何時間しか仕事ができないとか,非常勤としての立場でいることが多い。やはり,学校とかで支援するより企業に入った方が安定した収入が得られるわけです。そうすると,そっちの方に流れていくので,正規の職員とか,教育委員会の中,毎日同じ学校にいなくても巡回でできるような,必ず毎日働けるような労働的に安定したところが,これから求められるのではないか。いい人材がいるけれど,やはり,何時間だけの仕事だと生活ができないとかで,ほかのところに行ってしまうという現状があります。母語支援員,日本語の指導とかをできる方たちのスキルをもっと生かせるようなことができないかなということ,それをどういう形でするのか,例えば三重県では,県や市の常勤の職員として,きちんと給料ももらえて,学校を巡回し支援をする。私もそれを5年間行ったんですけど,公務員として,しっかり給料ももらえて,母語の支援員とか日本語の支援員を行ったんです。安定するので,彼らたちも研修を行ったり,スキルを上げようとしているので,やっぱり,そういうモデルを参考にしていけたらと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 具体的にどう記載するかというのはなかなか難しいですが,国の補助事業の継続支援というようなところで,その中身も含めて書き込めるかどうかを検討したいと思います。それから,日本語教師の積極的活用は,特別免許状,特別常勤講師の制度を導入するということにつながり正規の雇用としても保障したいという意味合いが込められていると思うんですね。確かに,おっしゃるようなこと,非常によく分かりますので,何かの形で表記ができればと思います。
 ほかに。はい,どうぞ。

【高橋委員】
 今のそれぞれの担当の方の名前,日本語教師とか,日本語指導担当教師とか,その下に日本語指導補助者,それから,母語支援員等の配置ということで,この辺一連,人的な配置,体制というところでの確保ということは記載はされているんですけど,現場の声を聞くと,その先生方がいかにうまく連携をするかということも大きな課題で,人的配置ができていればそれでいいというような,そうは思っていないと思うんですけど,もっと効果的な人の配置と指導体制の在り方みたいなところまで突っ込んで,効果的に取り組んでいるところの事例を集めるとか,そういうのを発信するとか,伝えるみたいなことが,やっぱり必要だと思うんですね。それぞれの先生方がそれぞれの役割でやっているんですけど,なかなか他の先生方にうまく共有できないとか,日本語教師だけが抱えていて,ほかの先生方が知らないとか,そういう現場の話をよく聞きますので,学校体制も含めて,やはり,効果的な体制作りというのが必要かなと思います。
 それについては,ICTも私も同じように見ているんですけど,ICTも,現実にギガスクールという,今,ネット環境を学校の中に作ったり,タブレット端末を一人ずつというような目標で掲げていると思うんですけど,それも実際に,先生方とか現場でどうやって活用したらいいのかみたいな活用例がないんですよね。物があっても,どうしていいか。例えば,ポケトークがあっても,どういう使い方がいいのかとか,その辺がまだまだ,十分効果的な活用法が伝わっていないというか,知らない状況にあるので,その辺も含めて,効果的な方法をうまく収集して発信するような取組も是非入れていただきたいと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 実践事例の分析,情報提供といった中に,実践事例をただ紹介するだけではなくて,今,高橋委員から出た,それを効果的にどう活用しているのかというようなところまでも含めた実践事例の分析,情報提供が必要だという話だと思います。今は箇条書になっているだけですので,その辺のところ,前後をうまく文章化すればよろしいかなと思いますけれども。
 ほかに。はい,どうぞ。

【松尾委員】
 今の座長の御発言等の関連ですけれども,地域の関係機関との連携ということで,大学との連携を入れておくというのが非常に大事だと思います。実践研究を一緒にやっていくでありますとか,エビデンスベーストで改善していくとか,モデルを開発していくとか,そういった面で,一緒に大学の研究者が連携していくというのが非常に大事ではないかと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 今年の予算の中にも,多文化共生に向けた日本語指導の充実に関する調査研究ということで,指導体制も含めて,大学との連携というところが打ち出されていますので,この辺のところに入れようということだと思いますので,よろしいと思いますね。
 ほかにいかがでしょうか。はい,どうぞ。

【藤巻委員】
 最初に,5ページですけれども,就学状況の把握,就学の促進の……。

【佐藤座長】
 すみません,一つずつ,やりましょうか。まず,指導体制の確保・充実をした上で,それとの関わりであれば,どうぞ御発言していただいて。

【藤巻委員】
 では,一つだけ,指導体制の確保・充実のところで,特別免許状,特別非常勤講師制度の活用,これはいいと思うんですけれども,中長期的な課題として,「日本語」の教員免許の創設について議論する,すぐに実現するということではなくても,そういうことも検討してみるというのを入れたらどうでしょうか。

【佐藤座長】
 これはこの会議の中でも随分出てまいりましたので,中長期的な課題として,そういうところに向けたことを検討していくということは,是非,明記した方がよろしいのではないかと思いますけれども。
 それでは, 4ページの日本語指導担当教師等の指導力の向上,支援環境の改善というところです。取組の方向性,課題,速やかに実施すべき施策,実現に向けて取り組む課題についてどうぞ,御意見があれば。
 はい,どうぞ。

【櫻井委員】
 先ほどのことにも関連はしてくるかなと思うんですけれども,ICTとも関係してくるし,「かすたねっと」のところでも関係してくるかなと思いますが,遠隔授業というのを考えていかないといけないかなと思っています。ただ,どこの学校に入るか分からないという状況の中で,うちも集住と散在が分散しているような状況ですので,分散している全ての学校にその設備を作るわけにはいかないとなると,遠隔授業でやる1時間の授業が,例えばDVDに落ちていて子供たちにそれを見せる人がいて,ちょっとフォローしてあげる人がいればできるのかなとは思います。それが例えば,「かすたねっと」のコンテンツの中に入っているとなれば,日本語基礎指導というと,何十時間という項目があると思いますけれども,この子はこの時間はこれをやりましょうということで,そばについている教員がそれを見せて,少しフォローする,そういう仕組みができれば,散在地域でも生かせるかなとは思います。
 母語支援員もそうですけれども,やはり,学校では即戦力として欲しいんですね。でも,なかなか即戦力として働く人がいないという状況で,育成するような機関があると,本当に助かるなと思います。
 それはその前の指導体制の方につながってきてしまうんですけれども,育成するためのものに,きめ細の事業としてお金が使える,そうなると,人が増えるのではないかなと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。納得できるお話だったと思いますのでどこかで入れ込めるところがあるといいかもしれませんね。
 ほかに。はい,どうぞ。

【古沢委員】
 こちらの4ページ目にも研修のことは書かれているんですけれど,前のページも含めて,地域での研修の強化といいますか,実施について,もう少し明確に書いていただいてもいいのかなと思います。
 前のページに戻ってしまいますけれど,確かに,18人に一人で加配――加配ではないですね,基礎定数化されているんですけれど,必ずしも,日本語指導にスキルとか経験がある教員が置かれている学校は非常に少ない,一部にとどまっていると思いますので,やはり,明確に担当の教員を置いた上で,地域での研修,あと,校内での研修と情報共有というのも大切ではないかなと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 分かりました。ありがとうございます。
 研修の必要性というところで,ここでも初級者向けの研修用動画サイトのコンテンツの作成が新規の予算,令和2年度の予算に計上されているようですけれども,もう少し広い意味での研修というようなところを強調した方がよろしいのではないかという御指摘だと思います。これはもっともだと思いますので,是非,どこかに書き込めればいいなと思います。ほかにどうぞ,ここのところで。
 はい,どうぞ。

【村松委員】
 障害のある外国人児童生徒への対応というところです。実際にこれはやらなければいけないと思うんですけれども,本当に難しいというのが実感です。これ,本当に誰も手を着けていないというか,なかなか手が着けられていないというか。受入状況調査等を通じた特別支援学校の学級における実態把握は,本当に慎重にしなければ,本当に私たちが知りたい実態が出てこないのではないかと思います。
 それから,発達障害支援センター等の福祉・医療部門との連携というところですけれども,これまで,やっていただいているところの情報から集めていくことから始めないといけないのかなと思います。ニーズはすごくあることなので,実施すべき施策と書いてあるんですけれども,どの辺りまでを目標としているのか,目標とするのかという辺りが難しいと感じたところです。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 特別支援を必要とする子供の実態について,特に外国人の子供についての実態が全く分からないためその実態把握を急ぐべきだということですよね。それをどのように,施策として載せていくのかということについて,ここ二,三年かけて検討するという記載の仕方ですので,今の先生の御懸念も組み込みながら,そこは対応していく必要があるかなと思いました。
 ほか。

【林調査官】
 今,先生が見られている資料は,多分,先週の暫定版でお送りした資料で,本日の資料は中身を若干修正しております。

【佐藤座長】
 分かりました。ほか,どうでしょうか。
 はい,どうぞ。では,内田委員。

【内田委員】
 少し特別支援から離れてしまうんですけれども,先ほどの研修体制と,それから指導体制の両方に関わるんですが,加配として配置されている母語支援員の方や日本語指導補助の方たちというのは,授業当たりで計算されて,配置の基準ですね,授業幾つ分ということだけで配置されていることがある場合に,そうすると,自治体によると思うんですけれども,雇用形態によっては,研修をする時間とか,それから,先生方と連絡はとりたいんだけれども,そこは仕事をする時間の中にうまく入っていない,組み込まれていないということもありますので,そういうことも含めての加配というか,母語支援員の方の雇用であるというような,補助している時間以外のしなければならないことという職務範囲を明記するのが必ずいいかどうかはちょっと確信がないんですけれども,もし,授業に入っている時間だけしか認めていないようなことが多いのであれば,それ以外の研修についても,その方たちの職務として明確に位置付けておくだけでも,少し変わるような自治体もあるのではないかということを思いました。どうなっているか,実態をしっかり把握しないままのお話で申し訳ないんですけれども。

【佐藤座長】
 分かりました。私自身も実態はよく分かりませんので,実態を踏まえながら,どういうふうにして組み込めるか,少し検討したいと思います。田中委員,どうぞ。

【田中委員】
 今,櫻井先生がおっしゃったことに加えてですが,やはり,実際に研修のコンテンツができたとして,研修時間が確保できるのか。それを各担当になったときに,研修動画がある,見ようと思って時間を確保できるのかという実行性の部分に,やや疑問が残るところがありまして,それは先ほども出ていた動画サイトへのアクセス,セキュリティーの面での制約なんかも含めて,せっかく作ったものなので,必要とする先生方が速やかにアクセスができるような環境の整備というものも同時に進行していく必要があるかなと思います。
 ただ,その部分も関連して,やはり日本語教育の指導力をつけようという,あるいはつけさせようという,何らかの形でのインセンティブを持てるような環境整備を目指していかないと,結局,後ろ向きな気持ちのまま,しようがないから研修に行く,あるいは目の前にいるので仕方ないとなっていくと,多文化共生という観点からも,よい学校環境というのが進まないのかなと思います。せっかく研修を受けるのであれば,きちんと,前向きに研修に取り組めるような,何らかの形でのインセンティブないしは必要性に対する理解というものも促進をすべきだと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 話が少しそれますが,昨年,三重県の研修で私がお話をしたところ,受講者からコメントがありました。この忙しいのに,多文化共生,人権など,これ以上何をやらせるんだという内容でした。外国人の日本語指導で手一杯だというような声もあったんですね。それを聞いて,確かに,もっともな部分もあるんですよね。だから,研修時間をいかに確保するかという,働き方改革にも関わってきます。ということは,研修が効果的に受け入れられるような,そういう実践の在り方まで含めて,提案できればいいと思います。研修時間の確保は非常に大きな課題です。作ったら作りっぱなしではなくて,それをどういうふうにして活用していくかが重要ということだと思います。その活用の仕方についても,何か提案ができるのであればいいなと思います。
 ほかに何か。はい,どうぞ。

【高橋委員】
 今の教員研修の部分で言うと,すごく積極的に関わろうという先生もいらっしゃるのは事実なんですよね。だけど,やっぱり忙しい中で,ちょっとできないという先生もいらっしゃる。正直,結構,差があるのかなと思うんですけれども,やっぱり,積極的に関わろうという先生方は,積極的にいろいろな情報を得たいという方が,実は,もしかするとキーパーソンというか,そういった中で,積極的に,ある意味,そういう方がマジョリティーになると変わってくるのかなという部分がありますけれども,例えば,「かすたねっと」の利用なんかも,多分,積極的に利用されている方はいらっしゃるんでしょうけれども,そこの中で,一部なのか,どのくらい利用されているかがちょっと分からないんですけれども,多言語の情報とかを積極的にアップしていくと,もしかしたら地域間格差もあるのかもしれないですけれども,うまいモニター制度みたいなのができないかなという気がするんですね。こういう形で積極的に参画して,「かすたねっと」とか,こういうコンテンツの利用促進のために積極的に関わっていただいて,それを地域に発信するような役割の方を養成するという意味では,モニター制度みたいなので募集をして,これだったら,多分,ほとんどお金もかからないと思うので,そういった方を少しネットワークして,情報共有してみたいなところが発信力になるような気がするんですね。地域に行くと,そういう方,結構いらっしゃるんですけど,その方たちが,実はそんなにつながっていない。各学校では,孤立とまではいかないですけど,孤立無援状態になっているケースもありますから,そういう方がつながる仕組みとして,何か,モニター制度的なところが考えられないかなというのは一つのアイデアです。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 そういう具体的な活用も含めて,例えば中核教員の活用など研修がうまくいくような在り方を含めて,書き込めればいいと思います。
 どうぞ。

【浜田副座長】
 働き方改革について,基本的に基礎定数を改善していくということがすごく大事なのではないかなと思っているんですけど,その一方で,日本語指導の必要な子供たちに対応するということは,もちろん,非常に負担であるという先生方のお気持ちは非常に理解しつつも,でも,この経験を通して,教師としての力量そのものを上げていくような,その実践に関わることそのものが,教師にとっての現場での研修になっていくという見方をしていくことも必要なのではないかと思っているんですね。
 特に,ここにおられるような先生方は,そういうことを実際に体験してこられたと思うんですけれども,その意味で,例えば,今,各都道府県で教員育成指標を作っていますが,そういったものの中に外国人児童生徒に関わる文言を入れていただいて,そういったものも実践の中で体験をしていきながら,教師として成長していくんだという,そういう見方というか,考え方というか,そういうものを少し現場の先生方に持っていただけたらなと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 こういう形で議論して,いい方向に行けばいいと思いますね。
 研修に際して教員育成指標を作るというような提案もありましたし,中堅教員を活用できるのではないかというような提案もありましたので,研修の在り方について,少し具体的に書き込むといったことだと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは,就学状況の把握,就学の促進ということで,課題,速やかに実施すべき施策,実現に向けて取り組む課題,それから,中長期的な課題というようなことも含めて,少し御意見を頂ければと思いますので,どうぞ,積極的に発言していただければと思いますが。
 どうぞ。

【櫻井委員】
 就学状況の把握ということで,不就学の恐れがある子供たちが2万人ということが出ましたが,やはり,一番の元になっているのは,就学義務がないというところであると思います。実現に向けて取り組む課題として,引き続き慎重な検討が必要だと書いてあります。もちろん,そうだと思います。外国の子供たちにとって,外国人学校を選ぶということ,それもアイデンティティーの確保のために必要だと思います。そういう子供たちは,今後取り組むべき課題として,就学義務を親に課していくというときに,例えば,就学猶予とか就学免除とかという方法もとれるかなと思います。就学の義務を課すということが,学校側も,それから,もちろん保護者も意識が変わるきっかけになるだろうし,学校の体制作り,それから,もちろん,国の体制作りというところにも影響を与えていくのではないかなと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 いろいろ議論があると思いますので,ほかにどうぞ,まず,御意見を。
 どうぞ。

【藤巻委員】
 「外国人の子供の保護者に就学義務を適用することについては引き続き慎重に検討する」という箇所ですけど,「慎重な」という文言は要らないのではないでしょうか。「慎重な」という言葉が入ると,やらないというようなイメージが先行してしまうので。もし,本当に慎重に検討するのであれば,先ほど指摘された外国人学校の問題の調整とか,何を慎重に検討するのか,具体的な問題をはっきり入れた方が伝わるのではないかなと思いました。
以上です。

【佐藤座長】
 ほかにいかがですか。はい,どうぞ。

【松尾委員】
 取組の方向性の一番上の文章ですけれども,ここに書かれているのは,不就学ゼロを掲げて取組を進める先進的な自治体の取組を参考に取り組んでいきましょうという形で書いてありますけれども,今回,こういった形で調査も実施されておりますし,やっぱり,目指すのは不就学ゼロだと思うんですね。ですから,書き方として,「先進的な自治体の取組を参考に」,最後に,「不就学ゼロを目指す」という形で書いた方がいいのではないかと思いました。

【佐藤座長】
 分かりました。
 ほか,いかがですか。どうぞ。

【高橋委員】
 基本台帳の部局や出入国在留管理庁等々だと思うんですけれども,二つ目のぽつの「出入国在留管理庁と連携し」というところが,もうちょっと具体的に,「就学に関する情報が保護者に伝わるよう取組を推進」というのが,これが速やかに実施すべきとしては,ちょっと具体性に欠けるかなという気がするんですね。それで今,出入国在留管理庁には,新しく4月から調整官という方が配置されていて,私どものNPOにもヒアリングに来られて,連携をしているんですけど,出入国在留管理庁の積極的なこういった問題についての今後の取組とか関わりというのも是非お聞かせいただきたいのと,就学に関する情報とか,そういったところをどのように提供していただけるかみたいなところの具体的な情報提供いただきたいんですけれども,こういう話でも大丈夫ですか。

【佐藤座長】
 可能ですか。

【矢野法務専門官】
 具体的なことはまだ全然お話しできないんですれども,この問題は,入管庁としても大切な問題だと思っておりますので,文部科学省さんと御相談して,今後,決めていければと考えているところでございます。

【佐藤座長】
 いいですか。

【高橋委員】
 はい。

【佐藤座長】
 ほか,どうですか。どうぞ。

【村松委員】
 「連携して,就学に関する情報が保護者に伝わるよう取組を推進」のところです。今は,多分,入国したときに,ガイダンスのペーパー,チラシなどを渡すという取組をしてきたということを踏まえて,「推進」ということもあるかなと。今までやってきたことをもう少し徹底してやるのかなと,今お聞きしながら思ったわけですけれども。今,2万人が不就学であるという調査結果は衝撃的というか,これだけの子供が学校に行けていないということは,本当にゆゆしき問題だなと思っています。ですから,できるだけ子供たちの実態が分かるようなシステムにしていただけたらと思います。外国人保護者の義務の有無の議論があるわけですけれども,ただ,日本の場合は,国際法に基づいて,子供たちを就学させるという方向で取り組んできていると私は認識しています。そのことからも,やはり就学をさせる取組をするということはとても大事だと思いますし,そのための国による自治体への指導,助言ですとか,あるいは出入国管理庁と,各自治体の住民基本台帳関係部局,そういうところと連携して,学校にどこまで情報提供をもらえるかという問題はあるかと思うんですけれども,その辺りのシステムを構築できればいいのかなというところはあります。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 是非,皆さんの御意見も伺ってみたいんですが,就学義務についてこれからの大きな課題になっていくと思います。今,不就学2万人という数字が出ています。これは2万人かどうかというのは問題がありますが,今いる子供たちに対する就学促進を促すために何が必要かという議論が必要です。今回,「学齢簿」というような言葉が出てきているんですね。就学義務の話というのはかなりハードルが高くて,様々な法律の壁があります。就学の義務化の議論は必要ですが,今いる子供たちの就学をどう保障していくのかという議論も進めていく必要があります。今回,学齢簿に準ずるものを作成するという提案をしています。学齢簿を作るということであれば,当然,制度的な対応も必要になってくるはずですね。二,三年先までにこのことを実現させていきたいという,ある種の意気込みだと捉えられると思いますが,今いる子供たちの就学をどう保障していくのかということを,ここで議論する必要があります。就学義務を見据えることは大切ですが,その実現は何年先になるか分からない。今いる子供たちの就学を保障するには学齢簿の作成が必要だということが出てきています。ただ,学齢簿と簡単に言っても,制度的な検討が必要になってくると思うので,恐らく,検討すると,二,三年先になっていくと思います。いかがでしょうかね,この辺は。
 さらに,中長期的な課題であるとすれば,これは全く個人的な意見ですけれども,義務教育年齢の子供を帯同する親たちに教育の義務を課す,あるいは在留条件の一つとして教育を受けさせることを条件にするという提言も考えられます。そうすれば,公立学校だけではなくて,外国人学校であるとか通信教育,何でもいいんですけれども,そういう教育を必ずさせるということを在留条件にするということも,提言としてはあり得るわけですよね。これは就学義務というよりは,もうちょっとハードルが低くなるかもしれません。子供たちの教育をどう保障できるか,しかも,この有識者会議の中で何が提案できるかということをしっかりと議論すべきだと思うんですけれども,そこはどうでしょうかね。
 どうぞ。

【オチャンテ委員】
 関係しているかどうか分からないんですけど,不就学生徒が今2万人いるという,とても驚きの数字ですけど,実際そうなのかなと,不思議なんです。きちんとエスニック学校に通っているので把握されていないのではということも気にはなるんです。しかし,実際どこまでの調査をされているのかということも疑問が残ったまま,2万人という話になっているんです。ですので,すぐできなくても,今後の課題としては,やっぱり,きちんと外国人学校,エスニック学校との連携をとっていくような,人数把握できるようなこともしなければならないかと思っています。

【佐藤座長】
 各種学校として認められている外国人学校の就学は分かるだろうと思いますが,認められていない外国人学校については全く不透明なので,引き続き,「就学状況調査の継続的な実施」とここに書いています。実態が分からないと何も始まりませんので,今般,文部科学省が就学状況調査を実施していただきましたので,それを継続的に実施していただくということと,それから,日本語教育推進法の教育方針に就学促進に関する事項を位置付けるということが挙げられているわけです。そのほか,どうでしょうかね。
 どうぞ。

【高橋委員】
 今の就学義務というところが,目標としてというか,今後取り組むべき課題としてというところは,私もそういう方向が必要だと思うんですけど,同時に,やっぱり,保護者に対して,子供の権利として,日本の教育を受けるべきであるというところを,きちんと伝える必要があると思うんですね,親の都合で来た子供に,教育を必ず受けなければいけないよと,こちらだけが提案しても,やっぱりそこは,両方あって,初めて,就学義務と,親がそれをきちんと意識して日本に来るとか,日本で生活をしていくということの意味を理解するということにつながるので,ですから,最初のところと,あと,次の就学情報とか,教育の情報とか,きちんと最初の段階で,多言語で情報提供をして,日本として,どういう理念で子供たちに教育を求めていくかというところが,もっと明確に,両輪として必要ではないかなと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 それから,今回,学齢を超過した者への配慮として,夜間中学への入学案内,夜間中学設置促進ということがうたわれていますけれども……。

【高橋委員】
 田中さんが手を挙げています。

【佐藤座長】
 どうぞ。

【田中委員】
 就学状況の把握に関して1点,行政さんが,もともと居場所すら分かっていないようなお子さん,全く見えなくなってしまっているお子さんも存在しているはずなんですね。親御さんが不法に滞在している間に生まれたお子さんですとか,あるいは特定の自治体に住居は置いているものの,国内転居をしたり,DVなんかで逃げて,親戚や知り合いのところに身を寄せているというような家庭もあります。こうした,本当に見えなくなってしまう子供たちの確認というのは,どうしても,役所では限界があると思うので,地域の目,民生委員さんですとか,あるいは町内会ですとか,昼間,ここに子供がうろうろしていたよというような情報を役所に集約していけるような体制整備というものも検討すべきなのではないかなと思います。虐待の通報窓口のようなイメージで,学校に行っていない子供がいた場合に,何らか情報提供がしやすいような仕組み,加えて,不就学のお子さんというのは,就学手続の云々(うんぬん)だけで発生する訳ではなくて,学校さんからはねられてしまうというケースもあるわけです。例えば,小学校に入ったものの,この日本語レベルでは,ちょっと中学校はきついんじゃないみたいなことを言われて進学を諦めてしまう,あるいは学校で受入れ体制がないので,日本語ができるようになってから就学手続に来てねと言われて,宙ぶらりんになってしまうというようなこともあって,この項目の中に,就学の促進の一環として,受入れ体制の整備も同時進行すべきというようなところを強調して記載をしていく方が,就学は就学の手続だけというようなイメージを回避できるのではないかと思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。よく分かりました。是非どこかに入れ込めればいいかと思いました。
 はい,どうぞ。

【古沢委員】
 先ほども出た話ですけれど,やはり,学齢簿に準ずるものを作成するというのは,今の段階では非常に踏み込んだ体制になると思われまして,自治体でばらつきがあると思いますので,有効ではないかと思います。
 民間の外国人学校で,自治体が把握していないものもあるということですけれど,都市部だと,確かに難しいところはあるかもしれませんが,できるだけ把握,今の制度の中で,できる範囲で,教育委員会なのか,あるいは県であれば知事部局なのか分かりませんけれど,それはできる範囲で把握することを呼び掛けるというのはできるかなと思いました。
 学齢を超過した者への配慮というのが,諸事情を勘案した公立中学校での受入れの配慮ということで,実際,一,二歳オーバーしていたときに,校長の判断でという話は今までも幾つか聞いたことはあるんですけれど,どの程度まで可能なのかと,弾力的な受入れができるんだよということをもうちょっと具体的に書くことで対応ができるのではないかなと思いました。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 そうですね,外国人学校の所管は,教育委員会ではなくて,首長部局の仕事だと思いますけれども,是非,その辺のところも連携して把握していくということと,それから,諸事情を勘案したというのは確かに分かりにくいので,具体的に文章化すれば,もう少しはっきりしてくるのかなと思います。ここは公立中学校でも弾力的に受け入れていきましょうということだと思いますので,その辺のところが文言として出てくればいいのかなと先ほど聞いて思いました。
 それでは,その次,行きましょうか。中学生・高校生の進学・キャリア支援の充実ということで,これも今随分議論になりましたし,先ほど松尾委員からもお話をしていただきましたけれども,公立高等学校に具体的にどういう施策をしていくのか,それから,実現に取り組む課題として,具体的に三つほど挙がっております。総論のところを御覧いただきたいんですけれども,現状と課題のところで,これまでの施策は,義務教育段階における指導体制の構築を目的とした内容が中心だったが,これからは就学前段階,高等学校段階,それから,高等学校卒業を見据えた体系的な指導・支援が必要ということをこの総論でうたっています。具体的にそれを受けて,ここでこういう形で提案をされているわけです。ここについても御意見を頂ければと思います。
 先ほど松尾委員から,速やかに実施すべき施策として,2ぽつ目のところに入れたらどうかというような御指摘を頂いたところですけれども,この辺も含めて,すぐにできるかどうか,あるいは,少し余裕を持って,二,三年先をめどにこういうものを作るんだというようなことを目指すのか,この辺のところも併せて御議論いただければと思いますけど,どうぞ。
 もちろん,この中に載っていないことでも結構です。この中で,もう少しこれを入れたらいいのではないかというようなこともあれば。ここでの議論が最終的にこの有識者会議の報告書になっていきますので,今の段階ではこの2ぽつ,速やかに実施すべきところとして三つ,実践に向けて取り組む課題として三つ挙げられていますが,いかがでしょうか。
 どうぞ。

【高橋委員】
 高等学校の入学資格については,かなり都道府県マターのことになるので,どこまで,ここで突っ込んで,こういうふうにすべきだみたいに言えるのかがちょっと微妙で,本来的に各都道府県で高校進学の支援をしている団体の方からは,特別枠の設置とか,日本語によらない入試制度の在り方とか,細かいところではいろいろ,都道府県,自治体とやりとりしているんですけど,なかなかうまく進行していけないというところがあって,例えば,最初のぽつの「各地域の実情に応じた取組」というところ,各地域の実情が,高校は,ある程度,日本語力がなければ,入っても続けられないだろうというような一定の適格的な条件を課して入試をしているようなところがあるのでなかなか難しいんですけど,神奈川県では,今,インクルーシブ教育ということが非常に推進されていて,来年度から,県立高校14校で,インクルーシブで,知的障害のある方が高校に入って一緒に勉強するという取組が推進されているんですよね。特別な支援教育の一つとして,高校のステージでも,外国人生徒も含めて一緒に学ぼうという取組が進んでいるんですけど,他県を見ると,なかなかそういう価値観にならないところがあって,ですから,特に高校辺りでの教育の在り方というのは,もっとインクルーシブ的な,又はグローバル的な,学校の中でいろいろな生徒が学び合うことの意義とか必要性みたいなところからいかないと,制度だけすべきだと言っても,なかなか難しいのかなと,ちょっと感想めいた話で申し訳ないですけど,そういう気がします。

【佐藤座長】
 今の高橋委員のお話は,その次の,異文化理解,多文化共生の考えに基づく教育の在り方についてと関わります。令和2年度の予算案として計上されています。実践の在り方や実践の指針みたいなものができればいいのかなというお話ですよね。

【高橋委員】
 そうですね。

【佐藤座長】
 なるほど,そういうのもありますね。
 ほかに。はい,どうぞ。

【田中委員】
 東京都ですと,特別枠というような拡充の傾向にあって,割と突然,ある高校さんが,特別枠の新規設置校に指定をされて,高校側はびっくりして,何をやっていいのか分からない,戸惑うという段階にあります。実現に向けて取り組む課題として,特別教育課程等の適用を含めて高等学校の中の日本語教育等の体制整備を位置付けてはいるんですけれども,結構早い段階で,速やかに実施をしていく,あるいは実施に対して,例えばモデル校的なものを設置するなど,具体的な道筋が見えるような情報の書き方をしていかないと,高校の先生方も,急に受入れを迫られて,入ってきてみたら,日本語が全く分からなくて,右往左往して,重荷になるというようなネガティブな経験が積み重なっていってしまう可能性が高いなと思っています。国として,時間はかかるけれども,整備の途上にありますよということをしっかりお示しした方が,高校さんの受入れ体制というものも,安心して,国がこういう方向であるのであれば,私たちも前向きに捉えていこうというような形になっていくのではないかと希望的観測を含めて思います。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 実現に向けて取り組む課題の2ぽつのところ,「在り方について引き続き検討」という,「引き続き」ではなくて検討する,ある一定の結論を出すというようなことが必要なんだという話だと思います。
 どうぞ,松尾委員。

【松尾委員】
 関連で,具体的な提案ですけれども,高校版の外国人生徒の受入れの手引を作成するというのは,一つの方向として,非常にいいのではないかなと思います。

【佐藤座長】
 これも必要だと思いますので,是非,検討できればと思います。2ぽつのところとどうつながるかも含めて議論をしましょうか。単なる総論のマニュアルを作ってもしようがないので,特別の教育課程の運用の仕方,小・中学校版の受入れの手引きのように担当教師ごとにどういうことをやったらいいのかというような内容あるいは取り出しによる日本語の指導方法といった内容が有効だと思います。そうしたマニュアルがあればいいように思います。
 はい,どうぞ。

【オチャンテ委員】
 最近,外国につながる子供たちで日本生まれの子供たちが増加してきているし,こういう特別枠の条件に当てはまらず,一般で受けているんです。もちろん会話はできるけれど,学習面ではついていけないため結果的には退学するというケースが少なくないんです。そのため,先ほどマニュアルとかの話が出ましたけれど,小学校と中学校,今のところは連携が整っていて,ある程度,子供の情報交換があるけれど,中学から高校に入ってくると情報が少なく日本語ができるからついていけるというような先生の判断で,結局,ついていけてなくて,辞めてしまうというようなケースが多いんです。子供たちの情報というか,先ほどいろいろ話が出ましたけれど,もう少し分かるような,名簿ではないんですけど,子供のある程度の情報,日本語力,その子自身の家族構成とか,いろいろ分かるようなデータ化したものがあるような形で,それを高校の先生が見て分かるようなものがあればと思うんです。そういうようなことを課題として,すぐにできるか分からないけれども,もう少し連携をとっていくような形があればいいなと思います。

【佐藤座長】
 よろしいですか。
 どうぞ。

【古沢委員】
 手短に申し上げますが,取組の方向性では,「入学者選抜時の配慮の実施等を通じ,外国人生徒の高等学校への進学を促進する」と明確に書かれているんですけど,実現に向けて取り組む課題のところが,やっぱりちょっと限定的な印象が強くて,外国人学校卒業者の受験資格について取扱いが異なる中で,より適切な配慮とあるんですけれど,可能であれば,もうちょっと幅を広げて,自治体ごとに取扱いが異なる中で,適切な配慮や特別枠の在り方など検討を促すぐらい書いていただいた方が分かりやすいかと思います。

【佐藤座長】
 はい,分かりました。
 浜田委員どうぞ。

【浜田副座長】
 国の施策として,ちょっと適切かどうか分からないんですけれども,実は,公立高校での対応が遅れている中で,一部の私立の高校では,少子化の中で,むしろ外国人の子供たちへの対応はビジネスチャンスだという捉えの中で,多様な入試ですとか,多様なコース設定の中で外国人の子供たちを受け入れているというようなことがあります。ですので,例えば,そういったものに何らかのインセンティブが与えられるようなことが考えられてもいいかなと思っています。

【佐藤座長】
 なるほど。ありがとうございます。
 はい。

【高橋委員】
 速やかに実施すべき施策の二つ目のぽつのところで,「日本語指導が必要な外国人生徒等の高校進学率」というところがあります。これは多分,議論の中でも話題になったと思うんですけれども,まず,上のぽつのところにあるような外国人生徒等の高校進学率がありきだと思うんですね。「日本語指導が必要な」というところも,実は,学校の判断とか,都道府県の自治体の判断とかで,どういうふうに判断しているかが見えない中で,日本語指導が必要だというところに限定してしまうと,高校進学率も,全体像との関係で,外国人生徒等の高校進学率も明らかにして,両方で判断することが必要だと思うんですね。それは外国人生徒が持っている特有のキャリア支援の対象として外れてしまう可能性があるんですね。特に在留資格の関係もありますから,外国人生徒というところをしっかり把握をしないと,実は,高校,それから,その後のキャリア支援に漏れが生じている可能性があるんですね。だから,外国人生徒というのは,在留資格も含めて,かなり,把握しなければいけないというのがあるんです。例えば,学校は職業あっせんの委託を受けていますから,本来,例えば家族滞在の生徒でも,きちんと就職のあっせんをやらなければいけないというところは労働局から与えられている義務だと思うんですけど,残念ながら,それが漏れてしまって,実は昨年から配慮事項はできてきて,進路担当も知らないために,本人が就職できないと思ってしまって,進路指導に乗れないみたいなこともありますし,それから今後,例えば大学教育のところでも,無償化等にどういうふうに関わってくるかというところも,在留資格の関係で,やっぱり,進路担当は正確に知っていかなければいけないところがあるので,高校段階で,外国人生徒というところをしっかり把握する必要は,半ば義務化しなければいけないところではないかなと思っています。

【佐藤座長】
 この二つ目の黒丸のところを少し,外国人の生徒というところも前提として,こういう実態把握をしたらどうかというお話だったと思います。
 はい,どうぞ。

【内田委員】
 先ほどのオチャンテ委員のお話から連想してですけれども,中学生,高校生の進学ということですが,入学の時点のお話が多いんですけれど,日本で生まれてきている人たちが,先ほど,特別枠にかからない,でも進学率が上がらないというところの背景に,学習言語としての日本語が,中学校の辺りの言葉の教育が十分でなくて,入学試験に適応できないという子がもし多いとしたら,この項目の中にも,中学校時点での言葉の教育,初期指導とか日本語指導ではない,その次の部分をどうしていくかという部分は入れなくても大丈夫でしょうかと疑問を持ちました。
 以上です。

【佐藤座長】
 そうですね。恐らく,今,内田委員のお話しされているのが,本来であればJSLカリキュラムとか,そういうものの中でやるべき話だと思いますので,JSLカリキュラムが,10年前に作られたものが果たしてどうなのかどうかという議論は,どこかでする必要があるかもしれませんね。
 それでは最後のところを御覧ください。異文化理解,母語・母文化支援,幼児に対する支援というところがここには掲載されております。
 ここでも,速やかに実施すべき施策が四つ,実現に向けて取り組む課題が四つ書かれておりますけれども,ここも皆さんから御意見を頂ければと思います。何かございますか。
 では,どうぞ。

【藤巻委員】
 最初の日本文化の理解促進や多文化共生の考え方に基づく教育の充実というところですけれども,多文化共生社会というのは,これから,日本社会全体が取り組んでいく課題だと私は思うんですね。これまでの議論の中でも,日本語教員,学校で外国人指導をしている先生が孤立するとか,周りの支援が余りないという話だとか,あるいは散在地域等で専門の先生がいないところで,英語や国語の先生が外国人指導に当たる場合に,熱意がないという話も出たかと思います。そういうことを踏まえると,やはり,これから日本全体でこういう問題に取り組むには,教員養成課程で,多文化共生に関する科目を必修化することも検討するということを,実現に向けて取り組む課題の中に入れていただけたらいいかなと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございます。
 どうぞ。

【浜田副座長】
 まず1点目ですが,先ほど内田委員からも,日本生まれの子供の課題がこれから非常に大きくなってくるのではないかというお話がありました。その意味で,中・高の教育もそうですし,それから,幼稚園からの言葉の教育を,これからもっと充実させていく必要があると思っています。ですので,幼稚園,就学前の部分について,もう少し,そういった部分も含めて,幼稚園からの切れ目のない支援というか,言葉の教育という観点も入れて書いていただきたいですし,そういう意味では,例えば,幼児に対する支援を,今だとその他みたいな形になっているので,一つ独立した課題として立てていただいてもいいかなと思っています。
 それからもう一つですけれども,「異文化理解・多文化共生の考え方に基づく教育」とありまして,これは予算との関係で,もしかすると変えるのは難しいのかもしれないんですけれども,異文化を理解するだけでは駄目だというようなことは,かなり前から議論はされているんですけれども,前回も松尾委員からありました。今,多分,理解するだけではなくて,例えば,多様な集団の中で交流するとか,異なる他者との協働という力をつけるということが大事だという視点になっていっていますので,そういった考え方も,ここの中にもう少し盛り込んだ形で書いていただけたらと思います。正確にどういう言葉がいいのか,松尾先生に,是非,教えていただきたいと思います。

【佐藤座長】
 今,大きな変更としては,幼児に対する支援を一つ起こせないかというお話だったんですけれども,これはちょっと検討させてください。決して,幼児に対する支援の必要性をここで弱めているというような話では全くございませんので,予算上であるとか,幼保の問題があり具体的な項目として,これが立てられるものなのかどうかというのは,事務局と相談させていただければと思います。内田委員,何かないですか。積極的に発言をしていただき,ヒアリングにも応じていただきましたけれども,プレスクール,就学前の支援について,今挙がっておりますけれども,これ以外に何か。浜田委員からもお話を頂きましたけれども,何かあれば。

【内田委員】
 ありがとうございます。
 幼児教育は重要だというのは全く同意するところでありまして,ほかのところで,委員というか,文部科学省委託の研究で,就学前の研修の実態把握といった委託研究をしているメンバーでもありまして,そこの中で,多文化共生ですとか,外国人の子供に対する研修がどの程度されているのかというのをちょっと滑り込ませて入れさせていただいて,そして,どういう実態があるかとか,いろいろな方法でやっていくことはできるのかなと思います。幼児期の場合は,私が発言させていただいたときにもお話ししたんですけれど,言葉の教育という時間というよりは,総合的に行う,生活の中で学んでいく時期ですので,幼児教育全体を概観した中で,いかに言葉の教育を入れていくかという発想も大事になると思いますので,もしかしたら,ここでこうして取り上げていただくのも大事ですけれども,ほかの中でも全体で取り上げていくという働きかけも有効なのかなと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 今見ましたら,取組の方向性のところに幼児のところがないので,少なからず,幼児に対する支援を取組の方向性には是非入れるべきだろうと思いました。これから,年齢別の外国人の構成比率なども見ると,0歳から5歳までの子供の数は非常に多いということも分かっておりますので,この子供たちに対して,何ら教育の手を差し伸べないということはあり得ないはずですので,まず,これから幼児に対する支援というところを,是非,この取組の方向性にも入れていけばいいかなと思いました。
 一応,一通り伺いました。また戻っていただいて,今度は最初から,総論のところからお目通ししていただきながら,あるいは今まで,全体を通して何か,もう少しこういうところがあるべきだというようなところ,それから,先ほど冒頭でもお話ししましたように,中長期的な課題としても,この有識者会議の中で当然提案すべき点があるだろうと思いますので,それも踏まえて,少し御発言いただければと思いますが,どうぞ御自由にお願いいたします。
 はい,どうぞ。

【松尾委員】
 総論のトーンですけれども,もう少し,多様性というのは価値があるというところを打ち出せないかなというのを非常に感じました。
 全体的な印象として,外国人の児童生徒には特別なニーズがあるので,それを克服していかなくてはいけないというメッセージのみが書かれているような感じがして,やはり,外国人の子供たちというのは,バイリンガル人材になる可能性もあるし,国と国との架け橋になれる人材であり,グローバル人材としても捉えるべきだと思います。そういったメッセージが感じられるような書き方ができないかなということで,例えば一つ目のぽつのところですけれども,「他方」以下で,「社会で自立していくためには」という表現であれば,自立していない児童生徒が多いので,していかなくてはいけないみたいなニュアンスになってしまっていると思いますけれども,例えば,「自立して,グローバル人材として育んでいくためには」と表現を工夫したりとか,あと,三つ目のぽつで,最後に,例えば,「外国人児童生徒の強みを生かす教育実践はなかなか広がっていない」とか,そういう課題を挙げておくとか,そういうポジティブな側面を強調していった方が,実際に,すごく可能性を持っている子供たちだと思いますので,その辺も強調した方がいいのではないかなと思いました。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。重要な指摘だと思います。
 以前の有識者会議の報告書では,かなり,その辺のところは強調していたんですね。それをまた踏まえて,ここに書き込むということと同時に,今回は,その理念を具体的な施策にどうおろすかというところがかなり重点的だと思いますので,こういう書きぶりになったと思いますけど,今御指摘いただいたことは,是非,検討したいと思いますし,検討していくべきだと思いました。
 ほかにどうぞ。全体を通してで構いません,項目ごとでも,言い残したことでも結構です。
 はい,どうぞ。

【高橋委員】
 遠隔教育については,やっぱり,もっと踏み込んだ取組が必要なのではないかなと思うんですね。ICTの活用のところで,さっき,ポケトークとかボイスビズ,ボイストラーというところが紹介されましたけれども,あれも最終的には,やっぱり企業とつながって,企業側がああいったコンテンツを売り出しているというか,やっているところがあるので,遠隔教育も,コンテンツとしては,もしかしたら企業も巻き込んでやっていく方向性もありなのではないかなと思うんですね。やはり学校が,例えば,田中さんのところみたいにNPOがしっかり遠隔をやっているといっても,それが全国に広がるかというと,多分,相当無理があって,パンクしてしまうのではないかと思うんですね。ですから,もうちょっと,本当に必要なところに必要な遠隔教育を進めるためには,何らか,企業も巻き込んだ取組が必要なので,モデル事業も含めてですけど,そういった方向性とか,今回,多分,大学に委託する事業も,そういうことを視野に取り入れられていると思うんですけど,そういうときに,企業の参画みたいなところを是非検討していただきたいなと思います。

【佐藤座長】
 3ページの指導体制の確保・充実のところで,「ICT教育の活用,遠隔授業の実施等を推進」というところがありますが,ここをもう少し膨らませてはどうかという意見でした。GIGAスクール構想だけが前面に出てきてしまっているので,外国人の子供たちの指導時に当たっての遠隔授業というようなものをもっと積極的に打ち出すべきではないかというお話でした。企業等との連携を図るというようなことで検討できればいいかなと思いました。
 ほかにどうぞ,何か。遠隔もございましたし,いかがでしょう。
 はい,どうぞ。

【田中委員】
 重なってしまうかもしれないんですが,今,教育の在り方自身が日本人向けのものが中心になっています。教科書についても,日本人が学ぶべき教育内容というものが組まれていて,当然に多様性が存在する社会に生きる子供たちにとって,どのような教育が必要なのかというようなことも,日本語教育等も踏まえて,必ず外国人児童生徒が存在するという前提で,もう一度,大きな部分で教育の在り方を考えていけるような機会が,今後,長い目で見れば必要になってくるなと思います。
 あと,もう1点,遠隔教育ですけれども,ICT教材の活用とかも含めて,単体で存在しているわけではなく,日本語の教師の方も,遠隔教育を使うためのトレーニングなんかも必要でありまして,これだけで特化するというよりは,ICTも活用した中で,受入れ体制をどう整理するかというような視点を持って,学校さんに対してコーディネートしていけるような機会があるといいのかなと思いました。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 今,田中委員の発言の前者については,7ページ目のところに,「異文化理解,多文化共生の考え方に基づく教育の更なる普及・周知」というのが書いてあります。ここは学習指導要領などに,こうした視点が強く打ち出されていくことによって,学校って変わっていくのだろうと思いますので,中長期的な視点としては,学習指導要領等に,異文化理解,多文化共生といった考え方に基づく教育についての記載を求めていくことは,中長期的な視点としては当然あり得るだろうと考えます。
 今般の学習指導要領には,日本語指導について書き込まれましたけれども,更に多文化共生というようなことについてはまだまだ不十分だろうと思いますので,そこについて,中長期的な観点から,多文化共生の教育を学校教育を挙げて実施していくというようなことが書かれると大変いいなと,今の御発言を受けまして思いました。
 ほかにいかがでしょうか。
 はい,どうぞ。

【櫻井委員】
 教員養成系の大学で,講義の内容として日本語指導の内容が入るということで,これから,その大学を出てくる子供たち,学生というのは,教員になるときに,そういう資質が培われている可能性があるわけですが,今いる先生たちの意識を変えるということで,やりたいという思いを持ってやっている方々というのは,いろいろなところから情報が欲しくて手に入るわけですが,学級担任の先生たちの意識を変えるためには,例えば,必ず誰しもやらなければいけない免許状の更新講習,そのときの必修の科目の中に,入るような機会があれば,10年に一度は免許状更新講習がありますので,必ず目に触れることになるかと思います。やはり,担任の先生たちの意識,管理職の意識というのを変えていく,深めていく,広めていく,そういうことが必要ではないかなと思います。
 それから,7ページのところにあるんですが,プレスクールの実施ということで,本市も今年始めていくわけですが,2月,3月ということで,年度末に近くなって実施することになります。本当に事務的なことで申し訳ないんですけれども,このきめ細の補助事業の実施を4月1日から3月31日までやれるようにしていただけると,ほかの市町でも,多分,そこのところは生かしていけるかなと思います。本当に実質的なことで申し訳ないです。

【佐藤座長】
 多分,予算関係だと思います。
 ほか,いかがでしょうか。はい,どうぞ。

【村松委員】
 先ほど申し上げましたけれども,本当に随分と議論が重ねられてきているようにも思いますが,学校現場や教育委員会の意識というのは,まだまだ十分ではないなと思うところです。先ほど,現職の教員の研修という話がありましたが,浜田副座長がおっしゃったみたいに,指標に入れるということであると,必ず研修の中にも入ってきます。今,学校現場は課題が多く,ややもすると,後回しの課題になりかねないということがあります。ですので,指標に入れるとか,今おっしゃったような必修化みたいなこともしながら,まず,教育委員会,学校の意識化を図るということが必要かなと思っています。そこから予算の意識も生まれてくるのかなと思っているところです。
 それから,先ほど,高校入試のところの話もありました。総論の現状と課題の義務教育段階における指導体制の構築で,義務教育段階の内容が中心と書かれていましたけれども,私としては,引き続き中学校への支援が必要だと思います。中学校は教科担任制というところで,特別な教育課程をやるとしても,なかなか難しい。また,小学校段階で来日した子供たちでない場合は,特別の教育課程の対象にも乗らないというところもあるかと思います。中学校独自の課題があると思うので,中学校頑張れ,中学校の先生頑張れという思いがあります。
 それから,オーバーエイジで来られた方たち,あるいは母国の学校を卒業して,日本の高校に入りたいと思って来た子供たちの一番初めの受入れの場所というのがないんですね。学校でも受け入れられない,NPOさんで,日本語ということだけではなくて,入試のための勉強をしたい,入試の準備をしたいという子供たちの受入先がなかなかないというのは,これは相談窓口でもとても大きな課題があったりしますので,この辺りも少しどこかでできればなと。今は地域の団体さんとかNPO等の団体が引き受けてくださっていることも多く,報告の中では地域団体とかNPOのことが書かれていないなと思いましたので,そういうところも入れていただけると有り難い。
 あと,幼稚園の部分ですけれども,公立の幼稚園,それから保育園でしたら,補助金というようなことがあるんですけれども,私立の幼稚園に入っているお子さんを支援するための体制というのが何かあるのかなと。漏れなく,就学前の子供たちが支援できる体制というのが必要ではないかなと思いますので,もしかすると,その辺りも,地域の方たちの支援というところも視野に入るかなと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 今,村松委員のお話の中で,具体的に書き込むとすると,どの辺になりますかね。NPOの重要性というのは認識しているわけですけれども,国の有識者会議がどういう形で言えるのか,あるいは,どういうふうにすれば効果的なのかと言った方がいいのかもしれませんけれども,今のお話はどこに入れ込んでいけばよろしいでしょうかね。とても大事な話なんですけれども,どこか……。

【村松委員】
 少し考えます。

【佐藤座長】
 よろしくお願いします。外国人の子供の教育は,やはり学校だけでは対応しきれませんので,様々な連携が必要です。是非今の御指摘は入れていきたいと思いますが実際に施策としておろすときにはどういう形の施策がいいのかについて検討したいと思います。ほかはどうでしょうかね。どこかあります?
高橋委員,どうぞ。

【高橋委員】
 今の村松委員のお話は,就学状況の把握,就学の促進の最後の学齢超過した者への配慮等というところになると思うんですけど,教育機会確保法ができて,そこで,例えば中学校を形だけ卒業した方も,希望すれば,学び直しという形で,夜間中で勉強できるとか,どうもそういう拡大が図られていますから,そういった意味でいうと,こういった外国人生徒についても,教育機会確保法に照らして,学ぶ場の提供というところで,一つは夜間中の促進もありますけれども,やっぱり,NPO等がやっている,私どももやっていますし,田中さんのところもやっているようなフリースクール的なところ,不登校の子たちも来たりしますし,今おっしゃったような学齢超過――学齢超過というか,中学校も卒業してしまって来た子たちですね。うちのフリースクールでも,今年も25名ぐらい,もうすぐ受験なので,日々,一生懸命勉強していますけど,むしろ,中学校を卒業していますから,平日の時間を有効に使って,日本語と教科の指導をやったりしていますので,そういったところの支援とか,それから,自治体側(がわ)にそういったことの意識を向けさせて支援体制を構築してもらうとか,そういうものがあると非常に有り難いです。自前でやっているものですから,当事者というか本人たちからお金をもらってやるということで,そうすると金額的にも高くなりますから,何らか支援していただくと,フリースクールでの就学促進になると思います。教える場もきちんと免許を持っている者がやっていますから,一定程度,賃金等も支払える状態にしたいなと思っています。

【佐藤座長】
 高橋委員から,とても重要な点を御指摘いただきました。現実に不就学になっている子供に対する支援が不足しています。学齢を超過した者への配慮ということで「夜間中学」という言葉が書かれています。二,三年で可能かどうか分かりませんし,中長期的になるかどうか分かりませんけれども,フリースクールであるとか,いわゆる地域における就学の保障というようなことを現実に検討していく必要があります。
 ほか,いかがでしょうか。
 4ページの日本語指導担当教師等の指導力の向上の実現に向けて取り組む課題の最初に,「大学等における履修証明制度を活用し,日本語指導担当教師等が専門的な知識を得られる仕組みを構築」ということが書かれ,先ほど藤巻委員からもありましたが,日本語指導なり日本語教育という免許の創設を提案する必要があるという点です。しかし,それもかなりハードルが高い,中長期的課題になってしまいますが,差し当たって可能なことを提案しようというものです。これは皆さん,いかがでしょうか。学校図書館司書のようにある一定の単位を積み上げていけば,日本語担当教師としての履修証明を出していくということです。要するに,日本語教師としてある程度の専門性を担保しようということです。実現すれば,これもかなり大きな前進だろうと思うんですね。浜田委員も関わっておられる日本語教育学会が提案しているモデルプログラムが役立つのではないかと思います。何単位必要なのかとか,制度設計としてはかなり難しいのかもしれませんけれども,この二,三年に向けて対応すべき課題として,提案されているということは大きな前進なのではないかと個人的に思っています。浜田委員,どうですか。

【浜田副座長】
 是非,そういったシステムを作っていただきたいんです。ただ,大学の通常の授業は平日の昼間にやっていますので,現職の先生がそこに参加できるような仕組みが必要だと思いますし,あるいは大学院ですとか教職大学院の中でそういったものを実施していくということも含めて,是非,御検討いただければと思います。

【佐藤座長】
 各大学,基本的に学校司書の資格を取るためには,夏休み20日間ほど出て,資格を取っているんですね。これは形骸化しているという話もありますけれども,夏休みに,それぞれの大学が授業を提供しています。大学における履修証明制度,あるいは教育委員会と連携した何か仕掛けができればいいと思っています。こういうのも一つずつ見ていくと,かなり積極的な提案がこの中でされていると思います。そんなことも含めて,ほかにまた,どうぞ。もう少し時間がございますので。
 はい。

【高橋委員】
 浜田委員から頂いた資料2の17ページの最初の方のぽつのところ,「各都道府県に中学既卒者のための進路相談窓口を設置する」という提案があるんですけど,これについて,実はこの間名古屋に行ったときに,名古屋国際センターは,ワンストップセンターの相談窓口に教育相談という看板が掲げられていて,教育相談の窓口があったんですね。名古屋では,そこの教育相談の窓口に中学校既卒の方の相談が来るために,名古屋国際センターで,ボランティアの方が,そういった方の日本語指導をやっているみたいな流れが出来上がっているんですけど,一つの考え方として,ワンストップセンターというのは,どうしても大人の多言語相談だけというところがほとんどではないかと思うんですけど,ここにもう少し幅広く,教育相談みたいなものも取り入れていくことを少し推進することも必要なのではないかと思うんですけど,この辺,浜田委員にも,この趣旨等をお聞きしたいんですけれども。

【佐藤座長】
 どうぞ。

【浜田副座長】
 先ほど村松委員からありましたように,やはり,既に中学校,義務教育を終えてから来日している青年たちが,今,行き場がない,居場所がないというところが非常に大きな課題になっています。まず,どうすればいいかということも分からない,何となく,日本に行けば,簡単に高校に進学できるんだろうという考えで来られて,実は全く支援がないというようなところで,取りあえず,そういった方たちの対応,相談ができるような窓口ですとか,あるいは,どうすればそれが可能になるかという情報をどこかで蓄積をして提供できるような仕組みがあるといいかなということでございます。

【佐藤座長】
 非常に重要な指摘ですけれども,具体的な国の支援として,どこに落とし込んでいけばいいかを少し検討する必要があるかなと思います。中学既卒者の進路窓口というのは,確かに,ないですね。今,ほとんどNPOでお願いをしているわけですけれども,具体的に施策として,入れられるかどうか分かりませんけれども,中学・高校生の進学キャリア支援の充実というところ,あるいは中長期的な課題として提案することも考えられます。中学既卒者の子供たちの将来を考えたときに,更に社会的な損失にもなるので,国としても,ある一定の方向性が打ち出せればいいかなと思いました。
 どうぞ。

【オチャンテ委員】
 それと関連ですけど,同じく,高校を中途退学した若者が大勢いるんです。インタビューとかでは後悔しているんですと語る者が多い。誰にも止められなかったとか,でも,どこへ行ったらいいのか分からないと言うんです。そういう若者が再チャレンジできるような,同じような進路相談窓口とか,共通している部分もあるかと思うんですけど,今後の課題としては,そういう窓口設置とかも必要になってくるのではないかと思っています。

【佐藤座長】
 中学既卒者あるいは中途退学者の進路相談の体制について,今後の在り方について検討するというようなことが中長期課題でも入ってくればいいかなと思いました。
 ほか,もう少しありますので,どうぞ。

【田中委員】
 既卒の若者ですとか,中退後の若者については,若者というくくりで捉えれば,厚生労働省系の施策というのはかなり多く出ているので,縦割りが越えられるのであれば,そうしたところとの連携も模索し,海外にいる若者というカテゴリーで,教育か,就労か,はっきり分けずに,できれば対応をしていった方がこぼれないのではないかという点と,あともう一つ,やはり厚生労働省マターになりますが,保育園等で未就園の子供たち,不就園とでも呼ぶべきかと思いますが,今,外国籍の幼児の場合は,就園せずに,いきなり小学校に行くケースが多いという調査報道も出ています。今後もプレスクール等に組み込んでいくべき存在ではあるので,何らかの形で,就園していない外国籍の子供を,不就学の子供の把握と合わせて確認できていくと,いきなり学校に来て困ったというようなことも減らせるのかなと思いました。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 そこをどうするかですね。先に厚生労働省マターというようなお話もありましたけれども,どういうふうに考えられるか。いずれにしても,実態を把握するということはとても大事な話ですので,そこをどうするかというところ,どこまで対象として広げるかという話でした。
 あとお一方,お二方ぐらいは御意見を頂けると思いますが,何かございますか。いかがでしょうか。
 では,どうぞ。

【オチャンテ委員】
 6ページのキャリア教育,キャリア支援のところで,「大学進学」とは書いてあるんですけど,やはり,在留資格によって奨学金も借りられないような状態とか,進学はしたいけど,経済的な面ではできない若者も多いですし,留学生枠はあるけれど,外国人枠というのが少なくて,なかなか進学できない状況があるんです。ここでは「大学進学」と書いてありますけれど,速やかに実施すべき施策が,実施に向けて取り組む課題の中に,もう少し,外国人の特別枠を推進できるような項目が得られないかなと思って。今後も大学の進学は増えていくんですけど,今,実際に大学に行っている若者は,非常に苦しい生活をして,奨学金を借りられても,食事は1日2回しか食べられないような,毎日アルバイトして,でも,進学しているんです。もう少し,こういう若者へ支援できるような奨学金とかが計画的にあればなといつも思うんです。何かそういう項目があればいいと思います。
 以上です。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。
 確かに「大学進学」というのはあるんですけれども,具体的な項目,施策として大学がないというのが,どこが何ができるかというのは,私自身も,具体的な施策としてどうするかというのは今思いつきませんが,どうでしょうか。大学進学についても,少し何か項目が入れば,入れればいいかなとは思います。
 はい,どうぞ。

【高橋委員】
 日本語教育等と,こういった課題についてのフォーラムとかシンポジウムとかというところが,大学発であったり,それからNPO発であったり,私ども,この間,文部科学省の後援を頂いて,名古屋でシンポジウムをさせていただいたんですけど,そういった取組って,やはりどうしても首都圏とか大都市圏に集中しがちで,もうちょっと散在地域のところで,大学発とか,今回,モデル事業が二つ入っていますけど,それは多分,もしかしたら,フォーラムとかそういったものはやることは前提としていないかもしれないんですけど,地域でこういった課題を掘り起こして,そして,そこでNPOなり,学校なり,大学なり,いろいろな地域の関係者が,単なる一つの自治体ではなくて,もう少し広がったところで課題共有をして,お互い,その地域で先進的な取組をしているところも,地域で,近くで共有するというような枠組みで,少しフォーラム的なものを,教育委員会発なのか,文部科学省発なのか,共同なのか,定期的にそういったものを全国で順番にやっていくような仕組みが必要なのではないか。でないと,一部のところは課題が掘り起こされていくけど,意識があっても,そういう場が全然ないから共有できないという地域が結構あるのではないかなと思うんですね。何かそういったものができないかなというのは,ちょっと思っているんですけれども。

【佐藤座長】
 ありがとうございました。大体,全体的な御意見を伺ってまいりました。もし,まだ必要であれば,林さん,どのぐらいがよろしいでしょうか。メール等で必要であればお知らせしてください。

【林調査官】
 1週間程度。

【佐藤座長】
 1週間ぐらいで,是非,御意見があればお寄せいただければと思います。
 きょう積極的な御意見を頂きました。改めて繰り返しませんけれども,速やかに実施すべき施策として予算要求に乗るようなもの,さらに二,三年後に解決をすべき実現に向けて取り組む課題,それから,中長期的な課題というようなところを皆さんから発言を頂きました。感謝申し上げたいと思います。
 それでは,事務局より連絡事項があれば,お願いいたします。

【林調査官】
 ありがとうございました。
 今後のスケジュールですけれども,資料3を御覧いただければと思います。
 次回の予定については,2月27日木曜日の10時から12時,場所は同じ,ここですね,総合教育政策局の会議室を予定しておりますので,よろしくお願いいたします。
 また,本日の資料につきましては,席に置いておいていただければ,後日,郵送させていただきます。
 以上でございます。

【佐藤座長】
 すみません,最後に,忘れていました。机上に配付された資料について,高橋委員,何かございましたら。

【高橋委員】
 きょう,「日本語教育の推進に関する国の基本方針」への10の提言という冊子を配らせていただきました。これは12月にJICA横浜でフォーラムを実施して,その参加者で提言をまとめたもので,中島和子先生に基調講演をしていただいて,特に母語と日本語との関係で,言語教育の重要性をいろいろお話しいただいたんですけれども,その提言のものと,それから,最後の9ページですけれども,上田で「うえだ宣言」が,外国人集住都市会議で出ていますので,それも入れて冊子にしたものをお配りしたので,是非,お目通しいただければと思います。

【佐藤座長】
 それでは,次回は2月27日ということで会が予定されております。きょうの御意見を反映したものが今度は文章化して出てくると理解しておりますので,また,積極的な御意見を頂ければと思います。ただ,基本的な骨子は,きょう,皆さんから御意見を頂きましたので,これをベースにして文章化したものが出てくるだろうと思います。
 それでは,本日の会議はこれにて閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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