学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議(令和2年度)(第1回) 議事要旨

1.日時

令和2年5月27日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

Web会議にて開催

3.議題

  1. 大阪府教育委員会からのヒアリング
  2. 「学校における携帯電話の取扱い等に関する調査」の結果について
  3. その他

4.出席者

委員

 伊藤委員、上沼委員、竹内座長、玉田委員

【ヒアリング協力団体】
 大阪府教育庁市町村教育室小中学校課

文部科学省

 蝦名審議官(初等中等教育局担当)、大濱児童生徒課長、鈴木児童生徒課生徒指導室長、伊藤児童生徒課専門官、打田男女共同参画共生社会学習・安全課専門官

5.議事要旨

※事務局から資料について説明があった。

【座長】 大阪府教育委員より御説明をお願いいたします。
【大阪府教育委員会】 それでは、配布資料に従ってお話を進めていきたいと思います。文部科学省からは、現時点でガイドラインを策定している市町村の割合とか、その各市町村で策定されたガイドラインの内容とか、保護者、教職員の反応について説明してほしいという依頼を頂いているのですが、まず、この会議においても、この携帯電話の取扱いに関するガイドラインについて、何度かこの有識者会議で資料として取り上げていただいているというところでもあるというのは理解しているのですけども、策定した当事者である大阪府教育庁から、改めて趣旨等を説明させていただきたいと思っています。
2枚目のスライドを見ていただいたらと思っています。1つは、この策定の趣旨としまして、一昨年になると思うのですが、大阪府北部地震における課題等を契機としまして、それ以外でも全国で登下校中の児童生徒の犯罪被害というのもありました。そういうところから、携帯電話の有用性に着目して、登下校中の児童生徒の安全確保あるいは保護者の安心につなげるというところが本来の趣旨ということになっています。登下校中の安全確保というのが目的でありますので、原則として校内での使用を想定しているということでは全くなかったというところです。あと、その所持に伴いまして増加すると想定される、あるいは増加している校内外でのトラブル、危険、生徒指導上の課題も考慮しまして、学校、保護者、児童生徒のそれぞれについて、どんな課題があるのかというのを整理してみたところです。
このガイドラインについては、あくまでも府としての考えを示したものですので、各学校を所管しています各市町村や、あるいは学校での具体的な方針、運用については、広く議論を行っていただきたいという前提で策定していくことになりました。
実際、そういう趣旨の下、策定をしていったガイドラインの概要ですけれども、もうこれはある程度御存じかなと思っています。あくまでも登下校中の安心・安全の確保のために、登下校時に限り一部所持を解除する、所持を認めるというところが一番初めの中身になります。
解除に伴って想定されるトラブルや危険性についても具体的な例をできるだけ挙げさせていただいて、加えて、登下校時や校内での取扱い、使用時間の目安なども、平日30分、休日60分と具体的に提示させていただいたということになります。
加えて、持たせる保護者の責任、子供に携帯電話との向き合い方について学校でも積極的に指導する必要があるということも明記させていただいた。
最後には、具体的な学校での指導例のようなものも、十数点つけさせていただいたということになります。
このガイドラインの中では、この大阪府のガイドラインも参考にしながら、令和元年度中に学校または市町村教育委員会が学校や保護者、地域と協議して、登下校時や校内での携帯電話の取扱いについて方針やルールを策定し、周知していくという内容になっています。
実際、その令和元年度の1年間が終わりまして、この令和2年度の4月1日段階での市町村の策定状況を調査できました。ということで次のスライドになります。実際、11月段階で中間調査をさせていただいて、そこでは、所持を認めている市町村は全体の41市町村のうち約5%ですので、2つの自治体のみで、あとは半分以上が検討中、あるいは原則禁止だけども申請により可能、いわゆる従来の形の割合が大きかったと思っていますが、この1年間の協議期間を経まして、この4月1日現在の策定状況は、その右のグラフにあるように、所持を認めるのは3市町村、その他は、もともと全面禁止の市町村もありましたが、その大部分は、原則禁止だが申請等により所持を許可するというものになりました。原則禁止、申請により許可という市町村については、ツールとしての有用性は認めつつも、所持によって起こり得るリスクをどう評価していくかというところで苦慮されたのかなと思っています。
府としては、登下校時の所持を推奨しているわけではありませんので、登下校中の安全確保がどのようにできるのか、見守り活動やICタグの活用などと同じように、携帯電話をツールの一つとして提示して、児童生徒の登下校の安全をより確かなものにするように各市町村で議論されたのだなと考えておりまして、策定の目的からすると、一定の理解は進んだのかなと理解しています。
また、昨今のコロナウイルス対応の中で、この原則禁止、申請により許可という方針自体を見直す必要があるのではないか、分散登校とかいろいろなことを考えたときに、変更をしなければいけないのではないかと考えている市町村もあると聞いています。
実際、所持を認めている自治体に聞き取りを行いましたので、その様子が次のスライドになります。
自治体Aと書いてあります。この自治体は、小中学校とも所持を認めています。ただ、保護者が児童生徒に所持させる場合は、必ず学校と面談して、遵守事項を確認した上で、保護者が同意書に署名するという形を取っています。校内での管理は、本人の責任の下、各自で保管する形になっていて、その説明の際にも、学校では責任は負えないと伝えています。現在のところ、所持を認めることによるトラブルの増加であるとか、保護者からの問合せというのは一切なく、許可されたことによって、児童生徒が携帯電話を欲しがって困りますというような話も聞いていない。保護者、児童生徒は至って普通にというか、当たり前のことのように受け入れていると聞いています。保護者、児童生徒が、携帯電話の所持によって緊急時に連絡を取りやすい、安心であるというメリットと、持ち込んだことで起こるトラブル、紛失、破損等の可能性等のデメリットを冷静に判断して対処しているのかなと考えています。
今後、さらなる大規模災害とか、安全とかが脅かされるような事案がもしあれば、所持を希望する保護者は増えてくるかなと。現状は1割に満たないと聞いています。これが自治体Aです。
次のスライドを見ていただいて、自治体Bです。この自治体も比較的早い段階から所持を認めるという方向性を出した市町村ですが、一昨年度までは全面禁止としていた市町村です。ただ、この府のガイドラインを機に、いろいろな課題はもともとあったということで、特に中学校から、これを機にルールづくりをしっかりとしたいという機運が高まったというところで、自治体に対してもガイドラインの作成をボトムアップで求めたと聞いております。この自治体では、小学校は同意書による確認が必要なのですが、中学校では特に同意書等も求めていない。携帯電話が高価であるため、小学校においては、その取扱いについてしっかりと保護者の同意を得るという判断で、中学校は、全校集会等でしっかりと指導した上で、自分で管理させるべきだと考えています。小中学校とも、校内での取扱いについては自分で管理という形になっていると聞いています。この自治体は、比較的広い通学範囲という地理的な条件とか、下校後にそのまま塾に通う児童生徒も多いと聞いていまして、安全のために所持させるということについては、保護者、児童生徒も一定のメリットを感じている。校内で使用したとかトラブルはなくはないと聞いていますが、これは所持を認めたことによるものとは考えていないと聞いています。
加えて、いろいろなトラブルが起こった際でも、このSNS等のトラブルについては、学校はもちろん対応するのですが、持たせる保護者の責任はどうなのかという話は保護者間でも出てくると聞いていますので、その辺についても意識が高まっていると聞いています。
こういった聞き取りとか現状からの考察が次のスライドですが、学校では、やはり安全確保に一定の有用性があるとは認識していますけれども、生徒指導上の課題とか管理面についてやはり不安を感じているということで、原則禁止という姿勢を取る市町村が多い。ただ、その意識についても、地理的な条件とか、交通量の多さとか、犯罪被害の多さとか、その地区の特性とか、校区の防災・防犯体制とか、あるいはICタグ等の設備の導入状況などでその意識は異なるかと思います。
所持が可能になった場合に、学校での秩序が保てないとか、生徒指導上の課題があるのではないかという学校側の心配は、重々理解しているのですが、実際は、動き出してみると、非常に児童生徒、保護者は冷静に見極めていまして、しっかりと持ってくるなり持ってこないなりの判断をしていると思っていますし、2つの自治体で共通しているのは、児童生徒や保護者に、所持する意義とか目的、メリット・デメリットを丁寧に説明しているということは、とても大事かなと思っています。
児童生徒等の安全確保についてまず議論して、実際それで携帯電話を所持するべきなのか、必要なのかというところをまず議論した上で、所持を認めるならば、学校でどのように取り扱うのかという流れで進んでいると思っています。
府としても、児童生徒の登下校中の安全確保が担保できると学校、市町村教育委員会が判断するならば、携帯電話の所持は別に必要ないと思っていますし、実際、Bの自治体では、今後、この状況においてもICタグの導入は検討されていると聞いていますので、登下校中の安全確保をきっちりするという意識の高まりは非常に肯定的に捉えているところです。
まとめというほどではないですが、学校における携帯電話の取扱いに関する議論を進めるためには、やっぱりテーマを焦点化させるべきかと思っています。大阪府の場合は、児童生徒の登下校中の安全をどう担保するかというところに焦点化して、そこで携帯電話の有用性について着目したということになっているので、学校における携帯電話の取扱いについては、いろいろな方面からの議論が要るとは思うのですが、まずは実際、何のために持ち込む必要があるのかいうところをまずしっかり見極めて、焦点化して、テーマを絞って話し合うというのが大事かなと思います。もちろん、いろいろな影響が出てくる話ですし、今の社会状況、今後さらに進むICT社会における生活とか行動様式が変容していく中で、それに応じて指導内容や方法を変化させていく意識というのは特に大事かなと思っていまして、現場の話を聞いたように、自分の経験上も、やっぱり携帯電話によって引き起こされる危険とかトラブルはもちろんあるのですが、携帯電話とか電子機器の技術的な話というよりは、大部分は、陰口とか、人の気持ちに配慮しない表現をしてしまうとか、いじめとか、対面のコミュニケーションが稚拙なことによって起こるトラブルとか、学校が従来から指導している内容で、それが原因で起こっていると思っていますので、携帯電話とかネットは単なるツールかなと思っています。だからこそ、学校もしっかりと、携帯電話というツールの普及に応じた指導内容や方法が必要になってくるかなと。もちろん、指導内容については、従来と同じような指導内容なのかもしれないですけど、このツールの普及に応じた指導内容が必要かなと思っていますし、それを児童生徒や保護者が主体的にどのように考えて議論するのかというところが必要不可欠だと思っています。
要は、そこに最後に書かせていただいているとおり、メリット・デメリットをしっかりと学校が明確に示した上で、学校が携帯電話やネットをツールとしてどのように活用していくかをしっかりと子供たちに伝えていく必要があるかなと。その上で、実際に考えさせて行動に反映させることが重要かなと思っています。
最後のスライドになりますが、実際大阪府でも、子供が主体的に考える取組を行っていまして、それが中学校生徒会サミットです。毎年11月に、各市町村の生徒会代表を集めまして、府議会議場において、いじめをテーマに議論する取組を行っています。昨年度も約90名が参加しまして、テーマは基本的にいじめなのですが、昨年度は「大阪からネットいじめをなくすために」というテーマで議論を行いました。ネットいじめの現状等について交流しながら、課題や要因についてまとめて、その後みんなでディスカッションするという会で、かなり白熱した議論になったかなと思っています。
最終、利便性を捨ててまでネットから離れる必要があるのかという問いに対する明確な答えというのは、あまりみんなも出せなくて、なかなか難しい問いだったなと。それは大人にとっても難しい問いだなと思っているので、子供たちが自分たちの持てるいろいろな経験とか、日頃感じていることを言葉にしていったかなと思っています。最終的に、特に答えは出ない難しい話だなという感じで終わってはいるのですが、いろいろな子たちがいろいろな考えをぶつけて、実際そのためにどうすればいいのか、利便性を捨ててまでネットから離れる必要が本当にあるのか、もっといい使い方ができるのではないかみたいなところに昇華させていくのかなと。将来的にはあの子たちはそうしていくのだろうなと思っています。持ち込ませる、持ち込ませないみたいな話ももちろん大事な話なのですが、この時代にあって、もう将来的にネット社会の中で端末を自由に使いこなして生活していくというのが当たり前の世の中になっていく中で、学校にこれを持ち込ませるか持ち込ませないかという話自体がどうなのかという議論もあるのではないかなと思っていますけども、こうやって実際に子供たちがいろいろな考えを持って、自分たちで主体的に考えていける機会を与えることができたかなと思っています。ぜひともこういう取組は続けていきたいなと思いますし、各学校でこんな取組が広がっていくのがいいのかなと思っているところです。
【委員】 ネット社会で生き抜くための力を育てるために、大阪府が非常によい取組をされているので感銘を受けました。
その上で教えていただきたいのは、持込みを認めているという3自治体の特性についてです。周辺部であるとか街中にある自治体なのか、それとも保護者の要求が激しいところなのかという点と、登下校中の携帯電話の所持については、有用性を認めながらも、所持に伴う指導上の課題について不安があるから原則禁止とされているのが93%と伺ったのですが、持込みを認めているところは、自治体の教育委員会などに、認める方向にリーダー的な役割を果たすような方がいらっしゃるのかという2点についてです。
【大阪府教育委員会】 認めている3つの市町村とは、実は、市町村ではなく町です。大阪府は周辺部に町が一定数あるのですが、南の方や北の方の比較的広い通学範囲の町が2つ。もう1つは、かなり北の方ですが、人口密集地にある町ですけれども、そこは比較的早い段階からなので、全く完全な地理的状況かと言われると難しいのですが、比較的やっぱり通学範囲が広いところの可能性は高いとは思っています。ただ、その市町村内でどんな話があったのかというのは、私たちも細かいところまでは聞いていません。ですけれども、誰かがリーダーシップを持って突き進めたというよりは、先ほど発表させていただいたように、現場からのいろいろな声とか、現状を考えたときに、大阪府のガイドラインを見て、これはこれでしかるべきではないかという意見が高まったのかなと考えていまして、特段誰かのリーダーシップでという感じではないと思っています。
【委員】 伺いたいのは、例えば小学校と中学校で考え方を変えるべきとか、そういう話は特になかったのでしょうか。
【大阪府教育委員会】 策定過程では、評価が見込める端末を、例えば小学校ならばキッズ携帯のみに限定するべきではないかとかという議論があったのは確かですし、小学校とか中学校、学校ごとのいろいろなアンケートも見てみますと、やっぱり中学校には生徒指導上の課題に対する懸念が非常に高いというのがありましたし、小学校の方はどちらかというと自分で管理させるべきだと。中学校はやはり預かるべきだというような、いろいろな背景に従って考え方の違いというのはあったかなと思っていますが、品川区みたいに行政が携帯電話を貸し与えるとかあっせんするような形ではなく、端末自体は自分たちで用意してもらう形になりますので、その端末の違いを殊さら大阪府が際立たせるとなかなか難しいかなという現状があったり、管理の仕方についても小中で差をつける必要があるのかというような意見があったりして、小中の違いはあまり意味がないのかなというところで、今の形に落ち着いたという形です。
【委員】 先ほどの説明では、小学校については申請を出してということですが、中学校は特段そういうものをなしで進めたという報告もあったのですが、この辺りはどうしてそうなっていたか、もし情報がありましたら教えていただけたらと思います。
【大阪府教育委員会】 先ほど御説明したとおり、私たちもそう細かいところまではつかめないのが現状ですけれども、実はその町というのがかなり小規模な町で、中学校が1校しかないという現状もあって、そのため、中学校については、その学校から全体に指導を入れれば多分大丈夫だろうという見込みがあったのか、子供たちとのやり取りの中で大丈夫と感じているのか、その辺の見込みはちょっと分からないですが、そういうことかと聞いています。小学校の方については、やっぱり高価なものなのでというところが、町の考えとしてはあったと聞いています。
【委員】 これも先ほどの説明で、Bの自治体さんが、行き帰りの安全面ということで携帯電話の解除を進めているわけですが、その中で、ICタグも検討しているという話がありました。ということは、登下校時の安全確保ということに特化した大阪府の取組ではあるわけですが、ICタグで置き換えれば安全が確保できるということで、B自治体はICタグも検討しているのか、あるいは、携帯電話の持込みの話と別に、両方を両立させていこうと考えているのか、教えていただけたらと思います。
【大阪府教育委員会】 Bの自治体については、今まさにそのICタグをどうするかという議論をしているところだと聞いていますので、実際この後、ICタグを導入したときに、携帯電話を原則禁止にするかどうかというところまでは確認が取れていないのが現状です。ただ、ICタグと携帯電話を安全確保のためにどっちかにしましょうというような話合いが進んでいるわけではないかなと思っているので、両立をしていくのではないかと思っています。ただ、他の自治体の話を聞いていますと、安全確保という面だと、ICタグなのか携帯なのかみたいな感じで、トレードオフで考えているような市町村もあるとは聞いているので、それは大阪府全体としては、一定数そういう考えでICタグを導入しているところもあるのかなと思っています。
【座長】 当初の考えからいろいろな変化があったのですが、今大体の学校が原則禁止の上で認めていますが、やはりほとんどが自分のかばんで保管することとしているのでしょうか。それか、もし特徴的な学校とか市町村があるのであれば、教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
【大阪府教育委員会】 正確な数字はないのですが、大体、小学校だと6割から7割ぐらいは、個人保管というデータだったと思っています。中学校は、たしか、今覚えている範囲では、自己管理させているのは3割ぐらいだったと思います。残りのところは、教師が預かったりするという印象かなと思っています。
教師が決まった箱に保管したりするのかどうかは分からないですが、そんなに数もないとは聞いているので、担任が直接預かったりするのかなというイメージではあります。特徴的なところで言うと、自治体の方が各企業と話して、保管ボックスみたいなものを買うような予算立てをしようと動いたけれども、実際は学校の方で、自己管理させますということで断ったみたいな話も聞いているので、一様に自己保管させるのが怖いとか、預かるのが嫌だとか、その辺は結構学校の状況によるのだろうなと認識しています。
【座長】 担任が箱に入れて保管するとか、いろいろな形はあるにしても、中学校になっていくと、7割が何らかの形で学校保管、教師保管ということは、やはり子供に自己保管させることは難しいと思っている自治体が多いという感じでしょうか。
【大阪府教育委員会】 学校側の意識をつぶさに聞き取りしたわけではないので、なかなか難しいところもあるのですが、預かっておいた方が、危険性は取りあえず回避できるという思いで動いている学校もあるかなとは思いますし、そもそも学校で管理できないものなので、自分で管理しなさいという形で、それが嫌なら持ってくることはできないですよねという感じで、そこは保護者と本人に自発的に考えてもらうことなのかもしれないとは思っています。
【座長】 大阪府教育庁の問題提起の下、大阪全体でネットのことについて考え出して、いろいろなところでICタグとか保管の仕方とかの試行錯誤が始まっていて、ということは、まだ今回のガイドラインが決定ではなくて、まだ各自治体、各学校が検討を続けているという認識でよろしいでしょうか。
【大阪府教育委員会】 はい、その認識で結構かと思います。
【委員】 今ちょうど保管の話が出ていて、これは、他のヒアリングのときにも同じようなことをお聞きしていたのですが、保護者がしっかりと責任を持つことに関しては、大阪府の場合には、それをきちんと書面で提出し、責任は保護者がしっかり持つということで進めていることはとてもいいことであり、この辺りが東京などでやや曖昧な部分があるので、今後取組を進めるに当たっては、しっかりとこの辺りのやり取りをしていくのが一番よいのかなと思っているのですけれども。保護者の責任といっても、それが壊れた、なくしたという状況が生じたときには、やはり学校が責任問題を問われてしまうということがあるかなと思うのですが、この辺りについての対策というか、乗り切っていく方法といいますか、取組を進めてきたもの、あるいはこれからこうやっていくというのがあったら教えていただきたいと思います。
【大阪府教育委員会】 まさにそれはこの持込み云々の話になったときに大きな課題としてありまして、たとえ同意書を取ったとして、教師側の何らかの過失で壊してしまったりとか、あるいは紛失をしたという場合には、その同意書があるから、何もかも免罪符になることはないだろうということは、スクールロイヤーにも相談しながら議論を進めていました。
ただ、学校がしっかりとした管理とか、例えば戸締まりとか、そういうやらなければいけないことをやった上でなくなったのならば、全てが学校の責任なのかということにもなるでしょうし、学校の最低限の配慮とか管理義務が果たせているならば、全て学校が責任を問われるかというと、そうではないかなという認識の下にはあります。ただそこは、学校は同意書を取ったから全て責任を取らないみたいなことで押し切ろうとすると、そこは難しいだろうなと思っているので、まだそんな事案は起こっていないのでいいのですが、今後もしかしたら難しいケースが出てくるかもしれないと思っています。
【委員】 どうしても、端末1台が10万円というくらい結構高価なものになりつつあるので、学校が一番危惧するのはそこかなと思っています。
そこで、私の考えとしては、例えば、今後学校が安心できるように、携帯電話を学校で預かったときに、ある程度責任に対して担保できるような、保険みたいなものがあるとよいと思います。
【座長】 この保険について、私も一応調べてみたのですが、あるにはあるものの、なかなかこの携帯電話に特化したものがあるのかを含めて、この辺の議論も非常に必要だなと思っています。
私の方から1点ですが、最後のサミット、子供たちが意見交換するという非常にいい例だなと思います。今回の話を進めるときに、周到な議論を踏まえて1年間で結論を出そうということで、その中には保護者、教員、子供、いろいろな意見交流があったと思うのですが、意見交流の中で、こういう意見があってこうなったであるとか、保護者はこうであるとか、大まかな印象、感想とか、お聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか。
【大阪府教育委員会】 正直なところ、個々の市町村の細かい議論の内容は把握できていないです。ただ、大阪府がこのガイドラインを作成したときにも、大阪府のPTAの連合会とかともお話をさせていただいて、そこでお話をいただいたのは、1つは、ちゃんと保護者をコミットさせてほしいというお話は強くいただいたかなと思っています。この議論に参加したい、学校が勝手に決めるのではなくて、ちゃんと議論したいというお話をされていましたし、どちらかというと、PTAの方々からは、学校の仕事ではなくて、ちゃんと保護者が管理すべきなのだから当たり前だという御意見はいただいていたので、そうではない保護者の方も当然いらっしゃるので、なかなか難しいみたいな話にはなったのですが、ただ、情報をしっかりと出してというか、議論の方向性をしっかりと示して議論していただくことで、コンセンサスが得られるのではないかなと思っているので。そこは行政側というか学校側が問題点も含めて提示して、議論しようというテーブルを作るのが大事かなとは思っています。
【座長】 多様な話合いの中で一定の効果があって、主体的に子供たちや親が使い出しているということでしょうか。
【大阪府教育委員会】 そうですね。このガイドラインをつくったときは、もう完全に無秩序に子供たちが持ち込んだりとかして、親はそれに追随して大変なことになるのではないかという懸念があったのですが。
現状を見ていると、皆さん大変冷静に判断されているなと。本当に高価なものなので、壊されたくないので、持って行かせませんと、代わりに安全を担保する方法についてはどうしようか、という議論になるところもあります。しっかりと考えていただいていると思っています。
【座長】 つまり、議論するのは、どういうルールにしたらいいかということ以上に、話し合う中で子供や親の意識が高まるという方に効果が上がったということですね。
私はユニセフと一緒に熊本やつくばの子供たちと、同じようなスマホについての話合いをしたことがあるのですが、非常に面白いことを彼らが言っていまして、高校生は、私たちにはスマホは当然必要だけれども小学生には要らないと言うわけです。中学生は、私たちには要るけど小学生には要らないと言います。小学生は、5、6年生の子たちは、私たちには要るけど3、4年生には要らないと言うわけです。それぞれの立場によって見える地平も違うし、高校生になったら小学生のここが危険だとか、中学生になったらここが危険だとかあるので、聞いていて非常に面白かったのですけれども、今回のサミットで、携帯電話の持込みに関しての議論にはなったのでしょうか。もしなったのであれば、そのときの子供たちの意見を聞きたいのですが、どうでしょうか。
【大阪府教育委員会】 議論の中で、スマホから離れるべきだという意見は確かに出ました。その上で、積極的に使うべきだ、いや、人間はそんなにうまく使えないから離れるべきみたいな意見が出てきて、それに反論する形で最後の質問が出てきて、でも利便性もあるし、少し距離感のあるSNSでのやり取りは、自分たちにとっても必要だという意見も出まして、それに対してうなずく子は非常に多かったかなと思っています。コミュニケーションの一つとして、もう子供たちの中には確立しているかなと思うので、年代の違いはあれ、そのコミュニケーションツールというのは、積極的に認めるべきかどうかは置いておいても、あるものとして認めるべきではないかなと思っています。
【座長】 10年後にはもう普通に持って行っているでしょうね。その上で、今の子供たちにそれができるようなリテラシーがあるのかどうかという感じでしょうか。
【大阪府教育委員会】 そうですね、GIGAスクール構想などがあり、私たちが今話しているレベルではないところでICTの活用は進むと思うので、それにどう対応するかが次の課題だと思っています。
【座長】 少し議論を整理しますと、子供たちに考えさせることが非常に重要で、ICTの構想とかにもいい。ただ、そのICTの流れと今回の持込みは別であり、今回は登下校の命を守るという議論なので、ちょっとそこは整理が必要ですが、子供たちにしっかり考えさせれば、大阪ではいい方向で進んでいるのではないかということです。
今後、国全体の流れを考えていく上で、大きなトラブルというか、これが難しかった、こういうトラブルがあると思ってなかったとか、この辺りのことをこれから考えていくときに知っておいた方がいいかなという事案とか事例について、もしあったらお聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか。
【大阪府教育委員会】 今自分たちを悩ませているのは、特にこのコロナウイルスのこともあったので、例えばカウンセリングとか、普段対面でやっていることをオンラインでやるようになったりとか、不登校の子に対してオンラインでやり取りできるようになるのではないかみたいな議論が出てきていて、それに対する危険性はもちろんあるのですが、それをどう認めていくのかとか、留意点は何なのかという辺りをちゃんと整理しないといけない。こういうことが広がっていく中で、何ができて、何に気をつけなければいけないのかということをもう一回ちゃんと整理すべきではないかなというのはあります。
【座長】 ありがとうございました。続きまして、学校における携帯電話の取扱い等に関する調査の結果について、意見交換を行ってまいりたいと思います。

※事務局から資料に基づいて説明があった。

【委員】 やはり国の方針に即して動くというのが、多くの教育委員会そして学校の対応なのかなと思っています。こちらについては、学校ごとに事情が違う、地域性の違いが大きくあるところならば、それぞれ定めるというやり方があるのでしょうけれども、おおよそ都市部などについては、そんなに変わらないわけで、国の方針等に即してきたというところがあったと思っています。
また、この部分は感想ですけれども、前回調査と大分期間が空いたにもかかわらず、原則禁止という対応が、そんなに変わってないというのは、そこに国の指針があったためで、様々なリスクを回避しようとしてきた結果と思っています。そのうえで、大阪府のように、一定の理由のもとで解除していくという変化が生じたと感じたところです。
【座長】 もともと原則禁止だけれども、個々の申請が増えてきて、申請というか、個々の事情というものを抱える保護者が増えてきたので、特に変化するのはその辺りではないかという読み取りですね。この点について、事務局としてはいかがでしょうか。
【事務局】 例えば16ページの公立小中学校の調査Ⅲ-ⅰで、持込みを認める場合どのような取扱いにしているのかと、それから、持込みを認めている場合、その理由は何かというところに関しましては、やはり災害時の緊急連絡とか、事故に巻き込まれた際の緊急連絡手段の確保というところが4割、5割あります。また、(1)の方には、家庭からの申請により持込みを認めているというところが大半だということが、小中学校とも同じ割合で7割近く出てきています。
【座長】 今回の調査から分かったことは、家庭からの申請によって認めている学校が当初よりも非常に増えてきて、この辺りに大きな特徴があるということですね。この点は、先ほどの大阪府の調査からいうと、家庭からの申請により持込みを認めている場合、その申請数について地域差がかなりあるというのが、今回分かってきた問題でしょうか。
【委員】 17ページの(5)、携帯電話の保管方法について、小学校は48.9%が児童生徒自身で持っている。小学校は半々ですが、中学校では95.5%ということは、小学生は本人が保管できるけど、中学生は本人が保管できないと認識されているというのが分かることが1点です。その次の(6)、取扱いのルールに違反した際の罰則を定めているかというところで、小学校は5.6%が罰則を定めており、中学校は40.0%が罰則を定めているということですが、この取扱いに違反した場合の罰則というのは具体的にどんな罰則かというような自由記述がありましたら教えてください。
【事務局】 罰則の方ですが、具体的なところはあまり調べていなくて、かつ、自由記述でもあまり出てこなかったものですから、罰則の部分に関してはお答えしかねます。
また、保管方法については、こちらも保管方法を調べてみて、初めてこのような傾向があるのかというのが分かったものですから、例えば、先生が籠を持って先生の机の中へ入れているのか、それとも鍵つきの金庫なのかというところの実態把握はできていません。
【座長】 先ほどの大阪府の話では、子供に任すことも多かったということですけれども、国全体で見ると、学校が何らかの形で回収をするところが95%ということで、この辺りをどう読み取るかですよね。
【委員】 思ったのは、小学校の方が禁止の割合が高いから、持ってくる場合には特別だという話なので。だから、その場合は自分でという話になっているのではないかと思うのですが、中学はもっと多くなって、あと、授業に差し支えるという心配もあるから預かっているというのがあって。ただ、その結果、この前も議論になりましたけど、管理能力が低い小学校の方が自己保管で、管理能力が高いはずの中学校のほうが学校保管というねじれ現象が生じている点は、考えなくてはいけないかなと思いました。
【事務局】 31ページの(5)、携帯電話を持ち込む場合、どのような保管方法を取っていますかというところの、その他の主な回答の中で、例えば、3つ目だと、低学年については児童生徒自身で保管、高学年については学校側で回収して保管という、高学年になるほど学校が保管して、低学年自身はランドセルの中に入れさせておくということが事例としても出ていました。
【座長】 本来は、自己管理能力の高い、上に行けば行くほど自己保管だけれども、一番低いはずの小学校低学年に自己管理をさせて、逆ではないかということですよね。この辺りには、携帯電話の持つ何か特別な事情があるのではないかという問題提起をいただきました。
【委員】 この点については、小学校におけるルールの曖昧さということがあったのではないかと思います。というのは、印象ではあるのですが、そこを明確にしないまま子供たちが持込みをしていたというところがあったような気がしていて、中学校については、生活指導の徹底ということで、ある程度、持ってこさせたときにはルールを明確にして、それを条件にやり取りしていたから、預かりが多い。そのような実態の中で、今のような現状が生じてしまっていたのかなと。
【座長】 中学校の場合は持ってくるのを認めると弊害もあるし、こうだよと決めざるを得なくて決まってきた。小学校の場合は、子供なので何とかできるだろうとなし崩しにやっていって、とはいえ、高学年ぐらいになると弊害が起きてきて、高学年は学校が保管するけれども、低学年ぐらいまではまだなし崩しでいける状況で、逆に言うと、高学年ぐらいまでは、中学校ぐらいの基準が要るようになっているのではないかという御指摘でしょうか。だとしたら、なし崩しでないこの時期に、今見直す必要が非常にあるということですかね。
【委員】 そのように思いますね。だから、今ここで大阪府のように、確実に持ち込ませるというようなときに、条件をつけてといいますか、ここで約束事を明確にし、先ほど自分事という話がありましたけれども、それぞれ自分がどう対処していくのか、これを子供たちにも保護者にも明確に自覚していっていただいて許可をしていく、ここの部分がやっぱり重要なのではないかなと思います。
【座長】 難しいところが、小学校の高学年は、日々ネットしている子が8割を超えています、ゲームを加えて。高学年はそうだけれども、低学年はまだ全くそういうのは関係ない。とはいえ、ゲーム、ネットには関わっている。だから、どの辺りまで枠をはめるか難しいなと思いましたけど、何らかの形で、持込みを認める、認めないにかかわらず、なし崩しではないルールづくりというのが必要だというのが読み取れたということですかね。
【委員】 今の御意見には賛成で、この前ヒアリングしたときも、小学校の場合は、本当は駄目だけど、曖昧に認めていると言っていたので。
曖昧に認めている以上は、学校で預かるわけにはいかないだろうと思ったので、その曖昧さが本当にいいのかどうなのかというのはあるなとは思いました。
その関係で、調査結果の概要の確認をさせていただきたいのですが、全体資料の12ページで、都道府県教育委員会の方の資料ですと、定めている場合どのような内容かというのが、原則持込禁止と、持込みを認めているという形になっています。これだと、小学校は原則持込禁止が89.7%となっていますが、14ページの市町村教育委員会に聞いているものだと、原則持込禁止と、一定の理由・事情に限って家庭からの申請により持込みを認めるに分けています。ただ、普通、一定の理由・事情に限って家庭からの申請により持込みを認めるという選択肢がなければ、これは原則持込禁止に入ってしまうものなので。今回重要なのは、誰も推奨して持ってこいとは言っていなくて、保護者が持ってきたいと言っているときに、それを認める場合があるかどうかという話だと思うので、1の(1)の中に例外の場合は認めているというのが入ってしまっていたりしないのかなと思い、確認させていただければと思いました。
【事務局】 14ページの市町村の方で、定めている場合どのような内容かについて、例えば小学校ですと、原則持込禁止は35.7%で、一定の理由・事情に限って家庭からの申請によるが60.2%となっていますが、12ページの1の(1)について、原則持込禁止の中には、一定の事情に限って家庭の申請により持込みを認めるというものも入っています。この都道府県教育委員会に関しては、それを全部丸めて数字を出しています。
25ページには詳細な回答が出ているのですが、12ページはそれをまとめて、概要として出したところです。
【座長】 重要なのは、取扱いが曖昧にされてきた部分です。小学生はまだ小さいし、言うことを聞くから曖昧な取扱いでも何とかなる。中学校は大きくなってくると曖昧なままではいけないと。
【委員】 非常に重要な議論ではないかと思っているのですが、曖昧ではなく明確にする場合に、その論点を明確にしなければならないと思います。自分事として保護者も子供たちも考えるというところと、先ほど大阪府の報告の中で、PTAでは自分たちも議論に参加したいというお話があったので、この有識者会議で何か指針を出すということになった場合は、その辺のところをどのように今回の指針の中に盛り込むかというところが重要なのかと思いました。
先ほど、高校生は自分たちには要るけど中学生、小学生は要らないという議論とすごく似ているような気がして、中学生は自分たちは要るけど小学生は要らないというのと、都道府県は、これは市町村でやればいいのではないか、文科省が決めればそれに従うという、市町村は各学校が決めればいい、そうでなければ文科省に従う、そういう構図が今s回のアンケートから見て取れたので、文科省が何か指針を出したら、ここから先、改定しない限りは、あと10年間この議論に引っ張られることになるのではないかと思いました。前回が10年前ですから、今回はなかなか責任が重い議論なのではないかと思っています。
【座長】 そういう意味で言うと、大阪府が先陣を切ってやっていること、そこで得られた教訓であるとか知見というのは非常に重要だと思います。やっぱり見ていると、国の調査とある程度課題が一緒になってきたとか、そういうものも見えてきました。大阪府の方では、この調査結果を見られていかがでしょうか。
【大阪府教育委員会】 全面禁止とするかどうかはとても大事だなと思っていて、私たちの4月1日の調査も、もともとは原則禁止か、認めるかどうかだけで取っていたのですが、実はその中には全面禁止なのか、許可すれば持込みを認めるのかが重なっているので、そこはきっちり分けないといけないと思います。
学校レベルもやっぱり市町村が決めてくれるとか、大阪府が決めてくれるからみたいな感じで、案外主体性は出さないなという印象も今回は感じているので、各学校も自分事としてどう捉えていくか、ちゃんと保護者とやり取りしていくかみたいなものが大事かなと思っています。
市町村次第ですけども、市町村によっては、ガイドラインを出して、あとは学校の主体性に任せるという考えの市町村もありますし、もう完全に統一してという市町村もあるので、そこは学校独自でちゃんと取り組んで、学校の特性に応じた対応をするということもありだなとは思っています。
【座長】 府として割と大きなガイドラインを示して、そこで各自治体、各市町村が独自に進めていっているという感じでしょうか。その上で、試行錯誤が府の中でいろいろ進んでいて、長所や短所を考えながら、今後も試行錯誤を続けていこうという感じでしょうか。
【大阪府教育委員会】 そうですね、ここが終わりとは全然思っていないので、ここから変わっていくのだろうなと思っています。
【座長】 ガイドラインが出たときには、1年間議論をして1年後に決めると聞いて、そこで決まりかなと思ったが、そうではなくて、1年かけて、まず一つのゴールがあって、そこからさらに一緒に考えていこうという方針ですね。
【委員】 25ページを見ると、やっぱり特別な例外の場合は持込み可というのと、原則禁止(一律禁止も含む)というのが分かれているので、その意味で、まとめていただくときに、そこを分けてデータにしていただいた方が参考になるかなと思うので、御検討いただければと思います。
【委員】 大阪府のガイドラインに、保護者の皆様ということで別添資料1に、学校が同意書の提出についてお願いをしていて、切取り線から下が保護者に書いてもらう同意確認書ですね。こういったものが学校と保護者、児童生徒とやり取りするときには必要で、これをもって曖昧な部分を明確にしていくことが大変重要なのではないかなと前から思っていたところです。大阪府にお聞きしたいのは、これを活用している中で、気がついた点とか、あるいは学校や保護者のから意見等があったとかがあれば、教えていただければと思います。
【大阪府教育委員会】 この同意書自体が既に現場で使われているものをいろいろ集めた結果なので、今のところ、これについて学校が苦慮しているということはなくて、どちらかというと、説明資料として最低限これぐらいは要るかなということで、集約して作ったものですので、コンパクトに、最低限必要な確認事項は載っているかなと認識しています。
【座長】 これを策定する、この例示を示すときに、特にここでもめたとか、特にこの辺りが微妙だったとかを聞かせていただいたら、参考になるかなと思うのですが、いかがでしょうか。
【大阪府教育委員会】 緊急以外で保護者から子どもへの携帯電話への連絡はしないでくださいみたいなこととか、必ず出てくるだろうなと思っていたので、これを盛り込むかどうかとか、本来なら家庭に任せないといけないようなアプリの管理とかにまで踏み込んでいいのかという辺りは、少し議論にはなったかなと思っています。
【座長】 香川県が条例を出したときに、ネット上では、保護者の問題に県が踏み込むなというのがあって、裁判にもなる勢いですが、例えばこういうことであるとか、平日30分、休日60分とか、その辺の具体的なことを示すことが非常に重要だと思います、目安の意味で。その辺を示したときの反響についても教えていただけないでしょうか。
【大阪府教育委員会】 使用時間については、これを出した後もいろいろな御意見を直接いただいたりすることもあったのですが、自分たちとしては、平日子供たちが習い事とかをやった上で、携帯電話を触る時間はそんなにないと。それをやることで必ず睡眠時間を削ってしまうことになるので、それならば、やっぱり平日は30分ぐらいかなと、医者の意見も聞きながら考えたので、これはあくまでも目安として出させてもらったので、これぐらいかなと思っています。
あと、香川県との違いは、香川県は、ゲームはしては駄目とか、何かそういう駄目という感じで発信されているからそんな話になったのかなと思っているのですが、大阪府の方は、使わせてもいいけど管理はちゃんとしてください、それが責任でしょうみたいなところで抑えているとは思っているので、このアプリについても、きちんと家庭で確認してくださいねとお願いをしているので、そこについてはあまり異論がなくて、PTAもそれは当たり前でしょうという反応だったかなと思っています。
【座長】 ポイントとして、だからここは、使うなとか駄目だとかではなくて、使うときの目安として、こういうところを一緒に考えましょうねという提案ベースでいくと、大きなトラブルにも巻き込まれないし、大きな反感も買わなかったということですよね。
【委員】 こちらでガイドラインを決める場合に認める場合の基準というか、どのような指針が必要なのか、保護者の方が持って行きたいと言ったら何でも大丈夫ということにするのか、それとも、緊急の連絡の場合のみのためにというように、基準を限定するのか。基準を限定するとしても、時間の基準がなければというお話だったので、こういう場合は認めるけど、こういう場合は認めないという基準を明示しなくてはいけないのではないかと思います。文科省としてガイドラインを出す場合と、各都道府県、市町村、各学校がどういう独自性で運用するかというのは、文科省だったら都道府県に任せるのか、都道府県は市町村に任せるのか、市町村は各学校に任せるのかというような、独自の運用可能性についても明示しなくてはいけないのではないかと思いました。それから、一番大切だと思ったのが、保護者をどうやって議論に巻き込むか。保護者の方は、勝手に決められるのではなくて議論に参加したいという希望があるということですので、そういう保護者を巻き込みながら、文科省のガイドラインはあるけど、自分たちは自分たちのところでこういう風にそれを運用して、ルールを作ったりするという、そういった指針も必要かと思いました。
また、大阪府の同意書は非常にすばらしいと思うのですが、各自治体が自分たちで考えて同意書を作った方がよいのではないかというところも重要になるのではないかと思います。
【委員】 認める場合の基準は細かくできないので、ある程度のガイドラインみたいなものは、確かにお示しできるのであれば、その方がいいかなとは思うので、例えばみたいな形で付け加えてあげるというのはありかなと思いました。
しかも、もしかしたら学校によって事情が違うような場合もあり得るから、あるいはこれに類するとかとしておけば、必要な場合には融通が利くかなと思います。
【座長】 そうですよね、学校や地域によって事情は全く違うので。
私が一番驚いたのは、調査結果の12ページの、都道府県教育委員会で、高校について持込み原則禁止が18%、2割もあるという点です。
【事務局】 全部の18%ではなく、指導方針を定めているかどうかという問いに「はい」と答えた6割のうちの、高校だと18.2%ということになりますので、全体よりは小さくはなると思いますけれども。
【座長】 高校は持込みを認めているのが100%かと思ったら、県レベルでまだ禁止しているところがあったけれども、現実にはおそらく一般的に子供たちは持ってきている場合が多いと思います。だから、現状、都道府県の18%がまだ原則禁止を貫いていることはすごい状況だと思って、知らないうちに高校生が全員持ってきていて、もう中学生も8割、9割が携帯電話を所持している状況になってきたので、そのうちまた持って行きたがる子が増えてくるので、改めてこの時期に新しい方針を出すというのは非常に重要だなと思いました。
【委員】 でも25ページだと、申請があれば持込み可というのが6で、あと、一律禁止のほうは0だから、原則禁止は禁止だけれども、申請があれば認めるという方に振れている原則禁止ですね。
【座長】 どちらに区切るかという問題はあります。東京が去年、高校生の所持を原則認めるというのを出しましたよね。高校生については原則禁止としていたのでしょうか。
【委員】 持ち込みを認める場合については、本当に必要最小限という取扱いでやっていましたが、どのように認めるかという部分で若干曖昧だったところがあったのは間違いないです。そこの部分を明確にしていくのが、これからの取組と考えています。
【座長】 今日のポイントは2つですね。1つは自分事、自分の問題として考えさせる必要がある。保護者もしかり、生徒もしかり。もっと言うと、教育委員会を含めたそれぞれが自分の問題として、不明確に何となく決まっていたことを、これから明確に、こういう時代だからこそ、いまだに持ってくるなという声もあるけれども、もうそういう時代ではないのかもしれません。アフター・コロナ、ウイズ・コロナで、ICTの活用等にかじを切っていく必要もある時期です。実際、今回はICTの活用とは分けないといけないと思います、登下校の安心安全というところなので。とはいえネットの問題なので、その辺りを私たちは自分事として考える、明確な方針をここで改めて考えていく必要があるということを確認できたことが非常によかったと思います。
それでは、以上をもちまして、今年度第1回の会議を閉会させていただきます。

―― 了 ――

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