学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議(令和2年度)(第3回) 議事要旨

1.日時

令和2年7月13日(月曜日)  13時00分~14時00分

2.場所

Web会議にて開催

3.議題

  1. 「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」審議のまとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

 伊藤委員、上沼委員、竹内座長、玉田委員

文部科学省

 丸山初等中等教育局長、蝦名審議官(初等中等教育局担当)、大濱児童生徒課長、鈴木児童生徒課生徒指導室長、伊藤児童生徒課専門官、打田男女共同参画共生社会学習・安全課専門官

5.議事要旨

※議事に先立ち、丸山初等中等教育局長より挨拶があった。

【座長】 「審議のまとめ(案)」について、事務局から説明をお願いします。
【事務局】 前回の資料から一部修正があります。まず、4ページ「(ア)小学校」の3段落目に、「ただし、従前通り」から始まる一文を加えております。また、5ページ「(イ)中学校」の5段落目、「具体的には」から始まる一文に、「例えば、携帯電話を登下校時の緊急時の連絡手段として活用したいといった保護者の要望があることなどを理由に」という文章を加え、前提を明確にしました。
続いて、6ページ「3.おわりに」の3段落目、「その際」から始まる一文に、「児童生徒が話し合う機会を設けたり、PTAにアンケートをしたりするなど」という文章を追記するとともに、「地域社会全体で議論を行い、学校や教育委員会、児童生徒、保護者との間で共通理解を深めていくことが重要である」という文章に修正しました。また、最後の段落の、「ルールを自分たちのものとしてとらえ、自主的に守っていこうとする素地が醸成されていくものと考えられる」という文章は、より強調された表現に修正しています。
【委員】 小学校については、報道では原則禁止ということのみ報じられていたので、全く変わっていないという認識が広がる懸念もあったところ、今回は例外的にこのような場合については認めるという前置きを具体的に示していただいたので、少し踏み込んだことが分かると思います。
【委員】 小学校について、禁止という言葉のみがクローズアップされているようだったので、今回の追記で例外がありうることがわかりやすくなってよかったと思います。加えて、自主的なルールづくりの部分を改めて追記したことで、保護者に「持たせたい」という積極的なニーズがある場合には、ルールを自ら主体的に考えてくださいねという基本的な考え方が明確になったと思います。
【座長】 報道では、「小学校は禁止、中学校は容認」と出てしまったので、そこばかりがクローズアップされてしまいました。その点、今回の修正で趣旨が明確になってよかったと思います。
【委員】 条件も明確に書かれているし、「3.おわりに」でルールを皆で作っていこうということが具体的に書かれているので、今後は、このポイントを報道で取り上げていただければと思います。
【座長】 本来、審議のまとめをしっかり読めば分かることではありますが、「小学校は禁止、中学校は容認」という報道が出ると、「今後は全ての中学校で全面的に誰でも持ってきていいのか」という反応もあると思いますが、実際はそうではないということを明確に伝える必要があります。
特に、小学校で持込みを認める場合と中学校で持込みを認める場合について、整理しておきたいと思います。今の表現でも十分に分かると思いますが、どうでしょうか。
【委員】 中学校で持込みを認める場合の条件として、(1)~(3)の条件が明確になっていることは、学校や教育委員会で話し合うべきポイントが明確になるため、とてもよいと思います。一方で、条件(1)に「責任の所在を明確にすること」とありますが、現場ではこれをどのような形でクリアしていくのかが問題になると思います。方針としてはまさに妥当なものですが、現場で実際に対応する際には、やはり何かあれば学校の責任になるという懸念は残っていくので、この点はしっかりと対処していかなければならないと思います。
【委員】 このルールづくりが難しいという話があることは聞いています。ただ、結局、ルールが決まらないと持ち込めないので、難しくてもそこは決めなくてはいけない。その点は、どのように決めるのかも含め、学校の実情に合わせて判断していただくしかないと思います。今回の検討において、具体例は幾つか挙げられていますので、今後も具体例や実例の共有に関し積極的に検討していただければと思います。
【座長】 大阪府が示したガイドラインと同様のものを文部科学省が出せるのかと言われれば、難しいと思いますが、保護者へ説明するときなどに、ひな形でも構わないので、何かあれば説明しやすいという声はあります。
【事務局】 学校によって保管方法なども様々で、本有識者会議でもそれらの例を提示してきたところです。金庫に保管する学校もあれば、鞄に入れておくという学校もありました。そうした具体的な取組については、やはり学校によって千差万別です。そのため、これらの具体的な取扱いについては、各学校で判断していただくのが適当だと思っています。
【委員】 ひな形は難しいだろうと思いますが、具体例を幾つか絞って挙げられるのであれば、それでも役に立つと思います。例えば、大阪府の事例については、本有識者会議のホームページに資料として載っていますし、そういったものを自分の学校の実情に合わせて、参考にすることもできるかと思います。
【事務局】 文部科学省としても、教育委員会と情報交換する場として、生徒指導関係の各種会議を開催していますので、そういった場を活用し、今回の携帯電話の件についても情報共有することが考えられます。その際、グッドプラクティスを共有するということもできるかと思います。
【委員】 文部科学省のホームページ等にリンク集などを作り、分からないときはここに先進的な事例があるという形で整理しておくことができれば、現場が取り組みやすいかと思います。公立小・中・高等学校の事例や、都市部、周辺部の事例を幾つか集めて、リンク集などが作れればよいと思います。
【座長】 それから、「3.おわりに」については、非常に重要な議論だと思っていますが、ここにについて、報道などではあまり触れられていないので、事務局から再度説明をお願いします。
【事務局】 今回、中学校については、持込みを認める場合の考え方を明確化したところですが、この考え方は、全学校種にも関わってくると思います。携帯電話はあくまで家庭が与えるものであって、持込みを認めるのは学校現場ですが、所持するのは生徒で、それぞれがしっかりと自分の問題として考えなければならないという考え方を、中学校における取扱いの部分でお示ししました。同様に、「3.おわりに」においても、学校だけでなく、生徒自身、そして保護者自身が、自分ごととして考える必要があるという点について、先生方のご意見も踏まえ、明確にお示ししたつもりです。
【委員】 「自分ごと」という言葉を入れて、児童生徒が主体的に考えるという点を強調したことは、非常によいと思います。私が情報モラル教育に関わっていたときに特に大事にしていたのは、「一度ルールを決めれば終了」ではないというところです。例えば、○○小学校のSNSルールという形で、作ったときにはとてもいい議論がなされてルールが出来上がることもありますが、それがそのまま飾ってあるような状態になってしまうと、自分ごとではなく飾り物のルールになってしまいます。
ですから、やはり定期的にルールを更新していく必要があると思います。例えば、生徒会が中心になってルールを決めた場合、次の学年の生徒会に引き継ぎ、毎年ルールについて改めて考える機会を作ることが重要だと思います。
【委員】 情報機器については、時代による変化が極めて大きいので、この審議のまとめも過渡的にならざるを得ないと思っています。「自分ごと」という言葉に、時代が変わっていく中でルールも見直し続けていくという意味合いが込められているというところまでは読み込めなかったので、非常に深い言葉だったのだなと思いました。
【委員】 情報化の進展とともに技術は進化していくため、自分たちでネット社会の変化を捉えて検討する必要があるということを、どこかに加えていただけるとよいかと思います。
【事務局】 修正する箇所は、「3.おわりに」でよろしいでしょうか。
【座長】 中学校における取扱いの部分に、3つの条件を列挙していますが、この3つの条件をどのようにクリアするかということが、重要になってくると思います。例えば、ここに条件(4)として、「3.おわりに」で述べられていたような、児童生徒等にしっかりと話し合わせるという条件を追加した方がいいと思います。中学校において持込みを認める場合の条件が、着目される箇所になりますので。
【委員】 「3.おわりに」で述べていた事項を、中学校において持込みを認める場合の条件として追加する場合、全学校種ではなく、中学校のみにおける考え方のように読み取られてしまうのではないでしょうか。
【座長】 修正するとしても、中学校における取扱いの部分だけでなく、「3.おわりに」にも同様の記載は残すべきだと思っています。
【委員】 特に今回、中学校における取扱いは大きなポイントになっているかと思います。そのため、しっかりと自分たちで考えながらルールづくりを進めていって、課題に対する解決策を見つけていく必要があるということを、持込みを認める前提として明確に示していくという意味でよいと思います。
【委員】 修正するのであれば、条件(3)を「携帯電話の危険性や正しい使い方に関する学校及び家庭における指導や、自主的なルール作りが適切に行われていること」と修正する形はどうでしょうこの部分を修正した上で「3.おわりに」の記載も残すのがいいのではと思いますが。
【委員】 持込みを認める場合の条件だけを読まれる方も多いと思うので、目立つように何らかの形で条件に入れておくとよいと思います。
【座長】 条件(4)として、項目を追加するのはいかがでしょうか。
【事務局】 「(イ)中学校」の持込みを認める場合の条件(1)~(3)の後に(4)を追加して、先ほどお話があった、社会状況を踏まえて不断の見直しを図るというような文章を追記する形でしょうか。
【座長】 中学校において持込みを認める場合の条件として追加した方が、目立つと思います。重要な部分ですが、報道ではあまり触れられていませんので。
例えば、「児童生徒及び保護者に話し合う機会を十分に確保すること」といった項目があればいいと思います。
【事務局】 条件(3)は、学校及び家庭による情報モラル教育や指導についての項目になりますので、話合いが大切という要素を入れるのであれば、条件(4)を追加するのがよいのではないしょうか。
【委員】 条件(3)における指導の中に、自主的なルール作りも入っていると思ったので提案しました。
【委員】 今回、この有識者会議で様々な議論をさせていただいて、学校における携帯電話の取扱い等について、現状、学校でどのように考えるべきかという点に関して、私たちはもちろん、教育委員会や学校現場でもう一度考え直すいい機会になったと思います。この有識者会議では、グレーゾーンだったところを明確にしながら進めていくことが、これからのあるべき姿だということを示すことができました。このことが有識者会議の一番の成果ではないかと思っています。
【委員】 学校における携帯電話の持込みに関して、非常に難しいのは、登下校時に児童生徒の安全を守りたいという保護者の意思がある一方で、ただ、登下校時に持参するということは、学校に持ち込まざるを得ないという点だったかと思います。その点、今回の審議のまとめでは、保護者の意思で持たせているから保護者がしっかりと考えようということで、学校のみが負担を負うわけではなく、あくまで保護者の責任の下で持たせるという考え方が示せたので、非常によかったと思っています。
【委員】 情報通信機器は日々進化しています。子供たちはインターネットで広い世界を見ていると思っていますが、自分のスマートフォンの中で、どんどん自分の興味のある世界だけに閉じ込められていっています。現在概ね20歳以下の子供たちは、情報モラル教育が小中高で徹底されているため、ある程度良識のある子は自分のSNSへの発信について気をつける世代になっていると思います。しかし、気がつかないうちに、自分の興味関心のある情報だけを見続けることによって思考が偏ったところに追い込まれていく可能性があるということを認識させたいと思います。端末を持ち歩けるようになることの安全面もありますが、ただ自分好みのネット情報のみに触れるようになることへの懸念も訴えていかなければならないと思いました。
【座長】 6月25日付で教育新聞がネットに上げているアンケート結果があります。「中学校は容認、小学校は原則禁止」という方針に、「賛成」が33%、「反対」が44%で、「中学校だけではなく小学生も容認すべき」という意見を含めれば、55%が賛成している。どれだけ購読者がいるかという点までは調べられませんでしたが、こうした空気が世の中にはあると思いました。私はもっと反対の声が上がってくるかと思っていたのですが、実際はそうではなくて、コロナの影響もあるのか、時代がかなり進んできたのだと思います。
前回も言いましたが、低年齢からの携帯電話の使用がどんどん増えていて、平成29年には5歳児の37%が使用しています。右肩上がりですが、この使用率は4歳児の方が高いです。これは多分、スマホネイティブ2世の子だと思いますが、さらにこれが平成30年度になるとぐっと上がりました。そのため、この子たちが1年間で3割も増えたというような状況です。就学前の子たちが増えました。この子たちは平成30年に5歳、今は7歳です。今ではもっと増えているだろうと思います。さらにその流れが、コロナ禍で加速したのではないかと思っています。このように、携帯電話の使用の急激な低年齢化が起こっていますので、学校における携帯電話の取扱いについても、今後、すぐに見直さなければいけない可能性が出てくるかもしれません。その事実をしっかりと把握した上で、現段階ではとてもよい審議のまとめになったのではないかと思います。
私は、当初、小学生に携帯電話を持たせるのは危険だという意見もあるし、今でもやはり危険だという気持ちはあるので、現状の取扱いのままでよいのではと思っていたのですが、時代の変化の中で、考えていかなければならない方向性が、今回の有識者会議における議論である程度示されたと思いました。もしかすると、近い将来、また皆さんと同様の検討をすることになるかもしれないと思っています。
SNSに起因する被害に遭った児童についてまとめた、警察庁の資料がありますが、モバゲーとかGREE、ガラケーによる被害はどんどん減っていきました。出会い系サイト規制法ができてから、そうした被害は減りました。平成29年でこの調査自体が終わりましたが、ここで出会い系からSNSに変わって、被害はまた増えていくことになります。さらに増えていくけれども、その後、努力の甲斐あって減少傾向に転じます。そして、LINE、ツイッター、スマホが出てきてからというものの、またぐんぐんと増えていき、現在に至ります。
特に、平成24年に出てきた携帯電話が子供たちに与えた影響は大きいと思います。不登校率を調べても、平成24年を底にぐっと上がっています。この間に2万8,000人増えています。これが携帯電話のためだけかどうかは分かりませんが、かなりの影響を受けていることは確かで、しかもそれがコロナ禍でさらに進んだのかもしれません。そこははっきりと分かりません。とはいえ、携帯電話だけではなく、この問題には、他にもいろいろな要因があると思います。核家庭化であるとか、それから貧困化であるとか。その辺りを踏まえながら、先生方と一緒に、日本社会のこれからを考えていきたいと思っています。
【事務局】 「3.おわりに」の部分で、アンケートについての論点に触れなくてもよろしいでしょうか。
【座長】 「3.おわりに」の部分に、「児童生徒が話し合う機会を設けたり、PTAにアンケートをしたりするなど」とありますが、このまま読むとPTAにアンケートをするだけでよいと思われてしまわないかという懸念があります。そのため、保護者も主体的に話し合うことのできる機会を用意するということが分かるように、修正していただければと思います。
【事務局】 それでは、本日いただいたご意見も踏まえ、今後、「審議のまとめ(案)」を修正したいと思います。具体的な修正内容につきましては、事務局及び座長に一任いただいてもよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【座長】 以上をもちまして、「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」を終了いたします。
―― 了 ――
 

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初等中等教育局児童生徒課