学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議(令和2年度)(第2回) 議事要旨

1.日時

令和2年6月24日(水曜日)  11時00分~13時00分

2.場所

Web会議にて開催

3.議題

  1. 「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」審議のまとめ(素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

 伊藤委員、上沼委員、竹内座長、玉田委員

文部科学省

 蝦名審議官(初等中等教育局担当)、大濱児童生徒課長、鈴木児童生徒課生徒指導室長、伊藤児童生徒課専門官、打田男女共同参画共生社会学習・安全課専門官

5.議事要旨

※事務局から資料について説明があった。

【座長】 本日は「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」審議のまとめ(素案)について意見交換を行ってまいりたいと思います。初めに、審議のまとめ(素案)について、事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】
まず、学校における携帯電話の取扱い等に関する検討の経緯についてです。(1)のこれまでの学校における携帯電話の取扱いについてですが、ちょうど10年前になりますけれども、「学校における携帯電話の取扱い等について」という形で平成21年1月に通達を出したところです。これによって、教育委員会・学校に携帯電話の持込み・取扱いについて取組の基本を示したところです。具体的にこの通知の中身に関しましては、小中学校では携帯電話の持込みは原則禁止、高校においても校内における使用制限を示しております。また、学校における情報モラル教育の充実やネットいじめに関する取組の徹底についても、周知を図ってきました。
その上で、平成30年6月に大阪府教育庁で携帯電話の持込みに関しまして検討が図られたところです。(2)で示してありますが、実際、緊急の際の連絡手段、それから犯罪の抑止力ということで、携帯電話の活用の検討が開始されたところですが、大阪府では検討の結果、登下校時に限り携帯電話を所持できるよう、持込禁止の方針を一部解除するという方針を定めたところです。前回、大阪府からもこの件でヒアリングを受けたところですが、全部の自治体がその一部解除というわけでもなく、大半のところは原則禁止という現状があったとヒアリングで聞いております。
(3)の学校における携帯電話の取扱いに関する文部科学省の検討というところです。携帯電話を緊急の連絡手段として活用することに関しては、やはり昨今の災害発生、それから犯罪に巻き込まれるといったときに活用することが期待されています。また、やはり携帯電話は相当普及しておりますので、そういった意味でもこの連絡手段として携帯電話を活用する視点から、学校における携帯電話の取扱いについての検討が必要であると考えました。
このような状況を踏まえまして、令和元年5月、省内にこの「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」を立ち上げたところです。この会議におきまして、学校への携帯電話の持込みを認める高校、それから教育関係団体、保護者団体、そして携帯電話やインターネットの利用環境に関しての専門的な知見を持つ団体の方々からヒアリングを行ったところです。
(4)の携帯電話の範囲・定義ですが、一義的に言えば、通話を中心としたものと考えております。今回の検討に当たっては大阪府のガイドラインも参考にしましたけれども、ただ、昨今は携帯電話の機能を使っていろいろなことができるようになっております。そういった中でも、例えば教育活動に用いるBYOD、要は個人の携帯電話のような情報端末を学校で用いて、実際に活用するということがありますが、今回の議論に関しましては、登下校時の緊急の連絡手段の確保のため、携帯電話をどのように活用するかという検討に絞って議論しましたので、今回の議論に関しましては対象から外すことにしております。ただ、ICTの利活用に関しましては、積極的な利活用に向けた取組を進めていくことが望ましいということではあります。
また、そもそも携帯電話の範囲・定義につきましては、いわゆるガラケー、スマホ、そして子供向け携帯電話が対象になります。
また、最近ですと携帯ゲームに関しては、Wi-Fi、Bluetooth等で連絡手段、通信手段があるわけですけれども、ここに関しましては、今回の議論における「携帯電話」には含めないとしております。タブレット型端末等もありますが、今回に関しましてはガラケーやスマートフォン、そして子供向けの携帯電話という、特に通話やメールといったものを中心とした端末について議論していこうということにしております。
続いて、学校における携帯電話の取扱いに関する考え方についてです。携帯電話の社会的な範囲がだんだん時代とともに変わっていきますし、実際、そういったことに伴って課題やその課題に対応する方法が考えられてきたわけですけれども、ここにおいては学校における携帯電話の取扱いに関する考え方を示しております。
(1)に関しましては、携帯電話をめぐる社会環境の変化、それから学校における携帯電話の位置づけについて示しております。前回の通知からもう10年たっておりますので、前回の通知においても一部あったわけですけれども、もう今はスマートフォンが主流になっています。こういったスマートフォンについて、持込みを無条件に認める場合は様々なトラブルが発生し得ると考えられます。ただ、こういった携帯電話を正しく利用できれば、児童生徒や保護者に対して大きなメリットになると考えますが、間違った扱いがあれば、ネットいじめのようなことがあったり、最近ですとSNSでの誹謗中傷というものがあったりしますけれども、その負の影響が大きいところがあります。特にSNSに関しましては、最近でも問題になりましたけれども、やはり不特定多数の者とつながることができます。スマホに関しましてはインターネットが使用可能になりますので、間違った使用があればその負の影響は大きいと言わざると得ないと思います。
ただ、大阪府での議論でもありましたけれども、自然災害や犯罪の発生、そういったものを鑑みると、やはり登下校の緊急時の連絡手段として活用したいという保護者の方も一定数いるのは否めないところです。この点でさらに携帯電話を所持させる家庭がどんどん増えておりますので、そうしたニーズもどんどん高まっていることが予想されます。平成21年の通知のまま考えて引き続き持込禁止というところにしても、実際は許可なく持ち込まれているような状態も考えられ、きちんとしたルールがなければ様々なトラブルが懸念されているところです。
3ページに移りたいと思います。こうした状況を踏まえまして、従前どおり原則禁止という考え方の整理とともに、持込みを認めた場合のトラブル、その課題をあらかじめ把握して、実際に各学校、教育委員会において必要な措置や体制が整備され、かつ登下校時の緊急時の連絡手段として持込みを認めるという場合における考え方も整理しておかなければならないところがありまして、今回の審議のまとめ(素案)におきましては、いずれについても整理すると。ただ、この審議のまとめ(素案)について、前回の通知でもそうだったのですけれども、やはり判断するのは各学校であり、そして各教育委員会、設置者だということになります。各学校、教育委員会、学校法人が判断するための材料として考え方を整理しているところもありますので、その各学校が持込みを従来どおり原則禁止とするか、もしくはある程度限定的に認めるかという整理の一助として、この審議のまとめ(素案)を作成したところもあります。
持ち込む場合の留意事項について、(2)以降で整理しています。まず、トラブルや責任の所在についてです。マル1 にありますが、携帯電話を持ち込むことによって直接発生するトラブルは、おもちゃでもそうですけれども、学校の授業に関係ないものを持ってきた場合、必ず紛失だったり盗難だったり、また壊したり、同じものを持ってきてしまえば取り違え、こういった責任の所在に係る問題が発生します。
また、マル2 にありますのは、持ち込んだ携帯電話を使うことに関して発生し得るトラブルです。授業の妨げとか、ネットいじめとか盗撮といった問題行動が増えてしまうことや、それからこれはもう大人でも問題になっていますけれども、例えば歩きスマホというようなマナー違反が増加することが考えられるだろうと。
またマル3 に関しましては、持込みを認めるとすれば、実際にどういった影響が発生するかということについて、インターネット依存度が高くなってしまうのではないかというところです。また、今はないのかもしれませんが、従前は2年縛りといった新規の機種の購入をサイクルのようにせざるを得なくなる。そうすると家庭で経済的負担が生じてしまうことがあります。また、小学校でもやはり5割ぐらいしか所持していないというデータもありますので、持っている者と持たない者の分断ということが考えられるでしょうというところです。
こういった整理をしましたけれども、では対策としてはどう考えられるかというところです。最初は、ルールの設定や責任の所在の明確化です。このルールの所在に関しましては、やはり家庭でお子さんにスマホを持たせるときに、家庭内ルールをちゃんと決めてくださいということは、文部科学省でもネットキャラバン等で示しているところではあります。ですが、やはりルールの設定に当たり、学校への持込みを考えるに当たっては、学校や地域の実情・実態を考えると。例えば学校と家庭との通学路の距離感といったこともありますし、それぞれの地域的な状況も考えられる。そうした実態を踏まえてルールの設定を考えるわけですけれども、その際には、学校が一義的に押しつけるという話ではなく、スマホを児童生徒に持たせるのは、やはり保護者、家庭が持たせるわけですから、そういった意味でもルールを決めるときには必ず児童生徒本人や保護者が何らかの形で議論に参加する方がよいと。また、児童生徒、保護者そして学校の間で、こういうルールを決めるときには共通理解を図ることが望ましいと。ルールを決めるとき、そして運用するときには、学校だけが責任を負うもしくは学校だけが決めるという話ではなくて、実際に持たせる家庭、使用する児童生徒、そしてそれを持ち込ませる学校がきちんとルールを設定する、そして運用することが大事であるということになります。
また、責任の所在がありますので、保護者に対してですけれども、持込みを認めるに当たっての留意事項、それから物理的になくしたとかそういったトラブルが発生した際の責任の所在について、同意書等の書類の提出を保護者から求めることも考えられるということが提示してあります。
また、マル2 は指導体制の整備です。実際に携帯電話のメリット・デメリットについてあらかじめ十分に指導を行うと。文部科学省でも情報モラル教育も行っておりますけれども、学校単位でも児童生徒が自らを律する、自覚を促すところまで含めて、こういった情報モラル教育等を行う。そういった前提で、持込みについてルールを定めることが考えられます。また、このルールづくりについては保護者にも協力を求める必要があるということになります。
また、マル3 の保管についてですが、これは学校によって様々です。大阪のヒアリングで聞いた方法では、児童生徒が自分自身で保管するという事例も提示されました。また、鍵つきのロッカーを学校自身が用意して保管したり、高校ぐらいになりますと移動教室がございますので、そういった場合には教室にそのまま置いておきますと盗難・紛失等の危険がありますから、きちんと教室を施錠したりといった工夫、もしくは学校が回収して1か所に集めて保管するような方法が考えられますという事例について、保管方法についてはそれぞれで考えるところでありますが、こういった事例が考えられるのではないかと整理しました。
続いて、では学校ごとに携帯電話をどのように取り扱うかというところを(3)で整理してあります。実際に緊急の連絡手段としての携帯電話を活用する視点で学校種ごとの取扱いを整理した場合、それぞれについてどう考えるか、活用する状況にあるのかどうかをまず考えました。その活用の状況に関しましては、1番目に普及状況です。学校種ごとでどれぐらい普及しているのか、持っている子・持ってない子はどれぐらいいるのか、というところ。それから2番目には、通学区域です。通学路の状況によっては安否確認を学校自身が責任を持って行っている場合もありますので、そういった点も関係団体からヒアリングを行いましたので、この平成21年の通知も踏まえつつ、学校種ごとの取扱いについての再度の見直しを行ったところです。
まず、アの小学校についてです。平成30年度の内閣府のインターネット利活用の状況調査の結果を見ますと、小学校段階では5割の小学生が保有しているということです。また、小学校の通学距離は、法令上おおむね4キロ以内とされておりますので、地域差はありますけれども、それほど長い通学距離ではないことが指摘されております。
こういった状況を考えてみれば、小学校は引き続き原則禁止が妥当ではないかという指摘がありました。
ただ、緊急時の連絡手段として、例えば遠距離通学をする小学生だったり、中には小学校でも電車を使って通学する家庭があったりすることも想定されますので、その場合に関しましては、保護者から学校に対して携帯電話の持込み許可の申請をさせるといったような、限定的な形で持込みを認めることが考えられますといった取扱いになります。また、こういった場合には、学校内では使用を禁止させたり、登校時に一時預かりをしたりするとか、学校での教育活動に配慮する必要があるということも指摘されております。
ですので、小学校に関しましては原則禁止と。平成21年から従前どおりのような形になっています。
また、中学校ですが、同じく内閣府の実態調査によりますと、7割近い生徒が携帯電話を保有しています。また、法令上の中学校の通学距離ですが、小学校は4キロでしたけれども、中学校では6キロぐらいになります。多少通学距離が延びていくところはありますが、やはり多くの中学生に関しましてはそこまで距離・時間はかからないのではないかという指摘もありました。
ただ、実際保有率は相当上がっていることがありますし、やはりインターネットに接触する割合が高くなっています。中学校ぐらいになりますと、例えばインターネットいじめに関しましては、問題行動調査におけるいじめの種類に関しますと、ネットいじめも8%ぐらい挙がってきますので、そういった意味でもインターネット関連のリスクは小学生よりも高くなっている現状が考えられます。
また、中学校になりますと部活動の問題がありますので、帰宅時間が遅くなるところがあります。平成21年の通知では小学校も中学校も原則禁止としたところではありますが、実質認めている学校もあったというところは指摘もありましたので、こういった状況を鑑みますと、中学校は持込みを原則禁止としつつも、一定条件の下で持込みを認めることも妥当ではないかということで今回は整理しました。ここが一番、平成21年と違うところです。
具体的に持込みを認める場合、生徒自身が自ら律することができるようなルールを、学校が保護者や生徒自身と協力してつくることを検討した方がよいのではないかと整理されています。
これは大阪の事例でもありましたとおり、大阪で携帯電話に関しての生徒のサミットが開かれた時に、中高生の間から我々にはルールが必要だと、携帯電話を持ち込むにはルールが必要だという声もあった事例がありました。そういった意味でも、実際に自ら律することができるようなルールを、保護者、学校と協力してつくることが重要ではないかと考えます。その上で、一定の条件として、学校、生徒、保護者の間で、(1)から(3)までの事項を合意して、そして学校側も必要な環境の整備、措置を講じていくことが求められると考えております。
この3つの条件ですが、まず1つ目は紛失のトラブルなどが起きた際の責任の所在をしっかり明らかにすること。また2つ目に関しましては、フィルタリングなどについて、保護者の責任の下で適切に設定されているようにというところです。また3つ目、これは携帯電話の危険性や正しい使い方に関する指導が、学校だけでなく家庭においても適切に行われていることが重要ではないか、というところを整理しました。
やはり、中学校に関しましては一定の条件で持込みを認めることもあり得るのではないかということで、今回このように整理しました。その前提としては、学校だけが一方的に決めるというわけではなく、携帯電話を与えるのは家庭でありますので、家庭においてもきちんとした教育や指導を行いつつ、生徒自身が携帯電話の取扱いについて、自ら律してルールづくりができるような体制を整えるという形で整理しました。
次に高校ですが、高校に関しましては、携帯電話の保有率が相当高いです。もう100%近い形で保有しています。そのため、持込みを認めることはもう従前どおりではありますけれども、授業中に取り出したりしないようにとか、そういったところはきちんと配慮する必要がありますので、高校に関しましては従前どおりと同じような扱い方としました。
また今回、特別支援学校に関しましても整理をしております。ただ、特別支援学校に関しましては、内閣府の携帯電話の保有率のデータがないのですが、ヒアリングにおいては、児童生徒の障害への対応という観点から携帯電話はやはり必要である、それから各学校において取扱いを定めている実態があるという指摘がありました。また、特別支援学校につきましては通学区域とかも各児童生徒で異なるものですから、距離や通学に関する時間も様々ですので、このようなことを考えれば、特別支援学校における児童生徒の携帯電話の持込みに関しましては、各学校において定めることが妥当と。その際には教育活動に支障がないようにということは従前どおりです。
最後に、「おわりに」についてです。学校を取り巻く社会環境や児童生徒の携帯電話の保有率等は10年前と違っておりますし、学校種においても実態は様々だというところが分かりましたので、それぞれの学校や教育委員会で、学校における携帯電話の取扱いについて定めることが必要になります。国がこのような審議のまとめや通達を出していくとしても、やはり最終的に判断するのは、各学校や教育委員会になります。
また、その際には、学校や教育委員会だけで一方的に定めるのではなく、携帯電話を持たせる保護者と、それから実際にそれを保持する生徒自身との間で共通理解を深めて、学校と一緒になって議論をしていく機会を設けることが重要であると考えております。
【座長】 私の方で再度簡潔にまとめますと、今回はまずBYODについては議論の対象外とすることが大きな前提です。コロナ禍において学校でICTを活用するという議論とこの議論を混同する部分があるけれども、これは違うと。今回は登下校の安全についての判断をするということが確認事項の1つ目。
もう一つは、今回の携帯電話はガラケー、スマホ、子供向け携帯、キッズケータイ等に限定して、携帯ゲーム機とかタブレットを除外するというのが2つ目の大きな前提でした。
それから3つ目は、判断するのは最終的には学校、教育委員会、学校法人等で、今回のこの審議のまとめは考え方の整理をするということです。
それと非常に大きいなと思ったのは、かなり踏み込んだと思うのですけれども、児童生徒、保護者、学校の共通理解が必要、特に、子供たちを含めた自律とか、それから自覚を促す教育が必要だという指摘がありました。
その上で、最終的に、小学校は従前の方針のままでいこう、高校もそのままの方針でいこう、中学校に関しては原則禁止としつつ、一定の条件の下で持込みを認めようと。その一定の条件については、自ら律するということが大きなポイントではないかとの指摘があったと理解しております。
【委員】 1点気になる点があります。小学校では登下校にそれほど長い距離や時間がかかるわけではないという前提自体には異議はないのですけれども、ただ、原則禁止としてしまった場合に、従来のヒアリングでいきますと、例外的に認める場合が潜在的になってしまう傾向があるという点を気にしています。例えば今回に限って言えば、接触確認アプリなどは携帯電話にインストールするという話なので、学校の場合だと多分実際のクラスターの調査などは学校単位でできるから大丈夫だとは思いますけれども、例えば保護者がどうしてもと言った場合に、駄目だとなかなか言う理屈もないのかなと思います。そのため、原則禁止という言い方については、基本的には必要はないとは思うけれども、特別な事情がある場合に認めるというそのニュアンスをもう少し分かりやすくしてもらった方がいいかなと思うので、検討いただければと思います。
【座長】 非常に重要な指摘で、特にコロナの関係であるとか、危険な状況もあるので、中学校で認める一定の条件と小学校で認める一定の条件で何が違うのかということですよね。ここの記載は非常に難しいところだと思います。
【委員】 確かに、こういう場合はこのようにするというQ&Aではないですけれども、いくつか段階的に指針を例示するというか、でもそれを示すと文部科学省がこれはいいと言っている、よくないと言っているというように言われてしまうリスクがあるとは思いますが。何かないと現場の判断はなかなか難しいのかなとも思っています。
【座長】 最終的に決めるのは学校、教育委員会、学校法人だけれども、文部科学省の通知というのは金科玉条のようになってしまうということですよね。
【委員】 そういう意味でいうと、確かに非常に通知が重要視されるので、原則禁止と言ってしまうと、基本的に認めないけれども、要するに特別に認める場合もこっそり認めるという運用になりがちなところを気にしていて。そのため、例えば小学校の場合は、必要となる場合は基本的にはないと思うけれども特別な事情がある場合は認めるとするとか。原則禁止と言うと禁止が前面に出てしまうし、特に組織の裾野に行けば行くほど禁止の方に流れるという傾向があるものですから、その辺りの書きぶりをどうするかという点ですね。
【委員】 小学校における原則禁止についても、許可する場合は、許諾書の提出をもって許可することになると思っています。そう考えると、小学校も中学校も考え方としてはかなり近いかもしれないと思っています。
その上で、小学校については、原則禁止の中での「どうしても」という場合の許可であり、中学校についてはそこの部分をもう少し柔軟に考えながら、でも同様に許可制を取るという辺りが違いなのかなと思います。
【座長】 この点は一部報道が先走った部分があって、小学校は禁止のまま、中学校は認めるぐらいの記事が出たのですが、実際はもっとグラデーションのある内容になりますね。
【事務局】 私の家でも2週間前に小学校の許諾書を書いたことがありまして、その時の学校とのやり取りとしては、全家庭に対して、こういう特段の事情がある場合は、この申請書を書いて携帯電話の持込みについて申請してくださいという、一般的な家庭への連絡と一括して連絡が来ました。学校とのやり取りがきちんとあれば、小学校は原則禁止だけれども認めるという形なのだと思い、個人的にはこの小学校の取扱いについては納得がいったところがありました。
【座長】 原則禁止としつつも、例外を認めないということは実はないけれども、やはり少し禁止のイメージが強いので、書きぶりをもう少し丁寧にすればいいのではないかという提案ですよね。
【委員】 そうですね。どうしても原則禁止というところだけが独り歩きするということですね。そうすると、今までも原則禁止だったわけなので、そのままのニュアンスで、小学校は今までと同じでいいという方向に流れるのではないかなと思います。
従前どおりではなくて、今回の検討の結果では、もう少し実際の状況に応じて、学校と話をしましょうという形だと思います。そういう意味でいうと、従来の原則禁止とはニュアンスが違うのではないかなと思っていて。であれば、原則禁止と言ってしまうと、従来のものと同じなのかというようになってしまうのではないかなと思います。
【委員】 これまでのヒアリングから、小学校ではグレーゾーンといいますか、きちんと手続をしてやらなければいけないのだけれども、指導や、保護者とのやり取りも十分にしないままにしていたという状況があると思います。この辺りを明確にやり取りしていこうという考え方は、今回打ち出すことができるのではないかと思っています。
【座長】 今まで勝手に行われていた部分をもう一度議論の俎上にのせていこうということですよね。
東京のある小学校では、クラスの9割ぐらいの子が申請書を出して持ってきていると。逆に、ある田舎の学校では、携帯電話を持ってきているのは4%とのことです。このように、全国的に大きな地域差がある。その点でいうと、今回のような表現が国としては妥当ではないかという判断がありつつも、地方のまだ全く携帯電話の普及が進んでいないところからすると禁止のニュアンスが強いので、もう少し書きぶりを工夫したらよいということですね。
【委員】 私も地域差の問題がやはり大きいかなと思いますので、都会と地方では全然普及率も違うし、家庭の考え方も違うので、現状の表記でも大丈夫かなと私は思うのですけれども。
【座長】 その辺りは今後議論していきたいと思います。
それと、もう一つ問題提起があるのですが、今回は小学校と中学校で差をつけましたけれども、東京や大阪などでは、もはや小学校5、6年生とそれ以下という分け方が適切かもしれません。この辺りについて、今は過渡期だと思います。
【委員】 今回の審議のまとめも、非常に過渡的なものだと思っていまして、どこかでもう一回見直しとか検討は必要なのかなとは思っています。
そういう意味で、携帯電話の定義のところも、その他とか、もう少し含みを入れた方がいいのではないかとは思ったのですけれども、どのくらいの期間、これが通用するかというのは微妙かなとは思っています。
【委員】 小中の線引きはなかなか難しいというところから今回の議論が始まったと思うのですが、過渡期的なものも当然あると思います。この小中の線引きが難しいというのは、5、6年生はやはり中学生に近いため、実態に応じた対応になってくるのではないかと思います。そのため、小学校では低学年は原則禁止といったところがより強く出るだろうし、一方で高学年になると、中学生と同じように必要に応じてというニュアンスが強くなってくるだろう。それを踏まえ、小学校全体としては、原則禁止ということに落ち着いたのかなと思います。
【委員】 通信機器も非常に多様なものが出てきているところで、ガラケーとスマートフォンとか、通話中心のものというような切り分けについては、この一、二年の間にまた変わっていくところではないかと思うので。通信機器の話は重要になってくるのではないかと思います。今までだと10年前に通達が出て、今回の見直しとなりましたが、もう少し短い期間に新たな整理をしていかないといけないのではないかと思います。
【座長】 10年で変わったのが、今度は5年になるのか、二、三年になるのか分からないですけれども、見直す機会も必要かなと思います。
私も資料を提示しようかなと思いますが、平成29年の5歳児のネット利用率が内閣府の調査では37%で、5歳、6歳、7歳、8歳と利用率が増えていきます。4歳の場合はずっと右肩上がりなので、4歳の利用率は増えています。これはなぜかと聞き取り調査をすると、母親がネットネイティブ、スマホネイティブで、その辺の影響なのかなと思っています。
ということは、この世代の子からまた新しい時代が始まっていまして、この世代の子が平成30年にどうなったかというと、40%が68%まで利用率が上がっています。1年間で3割近く上がっていて、しかも就学前の子たち。この子たちがこれから大きくなったときに、別の社会になってくると思います。その辺りについて、私たちはどう考えていったらいいのかということが、重要な問題ではないかなと思っています。
【委員】 未就学児の話ですよね。ここ20年以上、情報モラル教育をやっているので、今の30代以下の人たちはある程度の情報モラル教育は受けてきているところなので、それより上の世代の人たちとは違った感覚を保護者としても持っているのではないかなと思います。確かに、これからは未就学児のネット利用の問題をどうするかということがメインになりつつあります。でも、きちんとした情報モラル教育をどこかで受けている子たちが保護者になっていくので、そこのところはよいかと思います。将来この情報モラルの話というのは、今までもメディアリテラシーの話でいろいろありましたけれども、テレビで子育てをさせるのかという時代から、ネットの話になって、昔は電話のかけ方から教育していたところ、メディアを巡る環境が変わっていくと、この情報モラルの話もあと10年たてば、当たり前にリテラシーとして身につく話なのではないかなと期待しているところです。
ちょうど2004年辺りに中学生になった子たち、情報モラル教育が学校教育の中で一番力を入れて行われてきた世代が、今は30代になっているという状況です。
【委員】 携帯電話の持込みに関して言えば、もしかしたら保育園とか幼稚園に持っていかせる親が増える可能性もあって。そうすると、小学校になったときに持込み不可ということについて疑問を持たれるような保護者が増える可能性も、今後は出てくるかもしれないなと思います。
【委員】 幼稚園は保護者が登園等の時に一緒に子供を連れていくので、この時期に保護者への理解を深めることが小学校につながると思っています。
その上で、今の議論を踏まえながら、現場サイドから事務局にお聞きしたいことがあります。今回の審議のまとめ(素案)の3ページの一番上のほうにあったのですけれども、学校や教育委員会において必要な措置や体制が整備されている場合に「限り」と書いてあります。それから5ページのところで、学校が必要な措置を講じるという説明があって、(1)、(2)、(3)で責任の所在を明確にすることとか、危険性等についての家庭等での指導ということが入っています。この辺りは学校現場あるいは教育委員会の立場で考えたときに、書いてあることはまさしくこのとおりだと思っています。一方で、それを国として支えていただく具体的な手だてはないのか不安に思うところがあります。今回文部科学省が明確に考え方を示していただいたことはありがたい。ただし、そこから先の具体的な取り組みは一切よろしく頼むと言われているように、学校現場、教育委員会サイドは受け取ると思います。この辺りを国として支えてもらうことはできないか。保護者等に対しては例えば国からのリーフレットの配布や、各種啓発というようなことをしていただけるとよりありがたいなと思います。
それから、責任の所在を明確にするとなると、大阪府が提案されたような確認書のように、参考でいいのですけれども、こういったものなども国の方から提示していただくとともに、これも大阪府が非常に丁寧に作っている、保護者向けあるいは児童生徒向け、教育委員会向けの、具体的なガイドラインを参考例として示していただけると、学校、教育委員会は実態に合わせてアレンジして配布できるのかなと思います。
国が示す審議のまとめと、学校、教育委員会の間をつなぐ部分について、ぜひもう一つ手だてを講じていただけると、これは現場サイドとしてはありがたいなということです。
【事務局】 児童生徒に対する情報モラル教育と、それからそれを教える教職員に対する指導と、そして家庭における教育というか、指導助言のようなものに関しては、文部科学省として用意はしています。ただ、教育委員会レベルでそれを用意しているかどうかについては、やはり地域差はあるのかなという気がしています。
具体的に言えば、教職員用の指導資料は用意されていますし、新しい学習指導要領でも情報モラル教育に関して、新しい時代に向けた対応が書いてあるところです。そして家庭に関しましては、ネットモラルのキャラバン隊の取組を文部科学省では前から推進していて、保護者を対象としてキャラバン隊で啓発する取組は行っています。
ですから、国ではやっているのですけれども、それをまた地域でもちゃんとやっているかどうかというところが、やはり家庭につながっていくのは学校であり地域ですから、その辺りをもう少し整理していかないといけないのかなというところはあります。
【委員】 今仰っていただいた点については、学校現場も、それから教育委員会も分かってはいるのですけれども、それを例えば大阪府の例のように、具体的にこのようなものを保護者に通知するとよいとか、具体例を国の考え方とセットにしていくと、より効果があると思います。もっと言うと、家庭の方も国の指針が出てきたわけだから、よく考えなくてはいけないよねと、見直しを促進できるチャンスなのではないかなと思っています。
【委員】 ルールづくりについて、現状では、家庭でルールを設定してというところが書かれているのですが、具体的にどのようにルールをつくるかという視点、例えば使用時間とか、保管方法とか、人とのやり取りについての何らかの指標があるとよいのではないかと思います。
大阪府のガイドラインについては、文部科学省としてこれをセットで出されるのか、それとも大阪府のものは大阪府で、文部科学省として何かそういう具体的なものを出されるのか。ルールはどのように決めればいいのかという点を相談されるので、その点は何らかの指針を示した方が親切かなと思いました。
【座長】 非常に難しいところで、国として、具体的なルールを決めるのは学校でと言いつつも、具体例を出してしまうとそれに縛られるという面もあるので。
【事務局】 文部科学省としても、審議のまとめを踏まえて通達を出すと思うのですが、昔のように出すだけではなく、今後も学校等への周知が必要だと思います。確かに、大阪のガイドラインは参考にした経緯もありますので、やはり通達を出した後に、例えば全国の会議とか、いろいろな場でこの通達について説明する機会は設けていくと思います。そういった時に、大阪の取組を紹介していくことはできると思います。通達において、大阪の取組だけを紹介するというのは、これが正解と言っているようなもので、多様な取組の工夫を阻害してしまう可能性もあるので。ただ、そうはいっても、国が全国の教育委員会の方々、生徒指導の先生の方々と会う際に、今、委員の先生方からご指摘があったような内容を伝える、もしくは大阪の取組は参考になるということを伝えることはあり得ると思います。
【委員】 実際に、学校から確認書を渡されればすんなりと同意できたというご説明があったと思います。今回これまで曖昧にしていて、責任の所在が不明確だった部分をお互いに理解しながら対応していく。そういう機会を経てやっていくことがとても重要だし、それを経ることによって保護者あるいは児童生徒も理解して、自分事として考えて問題解決を図っていくことにつながっていくのではないかなと思います。今回をその機会にできたらと思っています。
【座長】 持込みを認めた場合の携帯電話の保管方法について、大阪の場合は子供に持たせているのですけれども、そこでトラブルがあったらどうするのかという声も実際にあります。そこについて、例えば金庫やかばんを買うときの財政的な負担にも踏み込んで、国から支援するというのは難しいでしょうか。
【事務局】 4ページに、保管方法については具体的に例示させていただきました。実際のところ、なかなか一義的な財政措置は難しいかなと思います。ただ、大阪のように自己管理をきちんと徹底できているところもありますので、そうした工夫を促せればと思っています。
【委員】 今後、各子供にパソコンを支給するという話があれば、どのように保管するかという話も出てくると思うので、今ここでそこまでしなくても、その辺りは具体的な実態に応じて、でいいかなと思っております。
【座長】 分かりました。現場の先生方から「金庫がなければ難しい」という声もありましたので、今回はともかく、今後視野に入れながら進めていただければと思います。
また、今回の審議のまとめ(素案)のポイントの一つとして、子供たち、それから保護者の自律的な使用に向けての話合いの重要性という点があると思いますが、その辺りについていかがでしょうか。
【委員】 ここはすごく重要なところで、今までは学校と保護者の関係について、例えば保護者側での責任、学校側での責任が、曖昧になりがちというところがあったと思います。学校側としては全部学校の責任にされたら困るから、なるべくいろいろなことをしないという方向になってしまいがちなところを、今回、話合いでそれぞれ決めましょうということで、要するに責任を恐れてやらないという方向ではなくなるのは、非常にいいのではないかなと思っています。
【委員】 この点が重要な部分であることは、学校、教育委員会も認識していたところであり、これまでも工夫してきたわけです。東京都においてもSNSに関する家庭におけるルールをつくろうということで、家庭におけるルールづくりを学校から保護者に依頼して、家庭で子供と一緒に話し合って定めてみましょうということをお願いしてきたところです。
一方で、実際に何かあったら、やはり学校に責任が来るのだろうなというところは変わらないような気がします。だから、話合いは促していくのだけれども、その上で、今のような部分を支えてあげられる取組があるとありがたい。具体的には、先ほどの財政支援も一つだろうし、前にもお話をした保険の制度ではないけれども、学校で背負わなければいけない負担を少しでも軽くしてあげられるようなものがあるとありがたいなと。
【座長】 保険については、定時制とかでは学校で保険に入れるところも一部あります。その辺りの、学校だけに負担を負わせない工夫というか、その一つとしての話合いは非常に重要かなと思います。そういう意味でいうと、子供たちに自主的に考えさせる、まさに情報モラル教育の究極の状況が必要になってきますよね。
【委員】 大阪府でも保護者から議論に加わりたいという声があるという話をされていましたが、保護者の方が学校と議論するという場面が具体的にどういう場面なのかが明確になっていないのですが、実際に保護者の方と学校で、学校への携帯の持込みについてのルールを一緒に考えるという場面はどのようなものになるのでしょうか。PTAでしょうか。
【座長】 学校がPTA会長としゃべったことで話し合ったというところもあれば、保護者集会を開いてやるところもあるので、まさにその具体的な部分がこれからの私たちの社会の課題だと思います。
【委員】 子供たちが話し合う場面というのは学校がつくり出すことができると思ったのですが、困っている保護者とか意見を持っている保護者の方々との話合いというのは、具体的にうまくいけばいいなとは思うのですけれども、場面設定が難しい。今回の通達がちゃんと実効性のあるものになるためには、そこのところが気になるのかなと思いました。
【座長】 PTAの集まりに来られるのは本当に一部で、一番来てほしい子供の親は来ないという実情があります。これは他の問題でもそうですけれども。来ないけれども、不満を抱えている保護者もいれば、そうでない保護者もいる。だから、その辺の話合い方について私たちも考えないといけないというか、それは各学校のやり方であるし、各教育委員会、各学校法人の問題ではありつつ、モデルケースがないので難しいというところですよね。
関西でいくつかの都道府県の話合いに参加しているのですけれども、PTAをその会に呼ぶことがまず難しいという現状があります。働き方改革もあって、別の会に入れると猛反対が来る。とはいえ、学校でやると集まらない。だから、どのような形で保護者の意見を吸収するのかが問題となります。
【委員】 今回のコロナで、こうやってオンライン会議ができるようになったら、この議論というのは、保護者の方もテレビ会議でお仕事をなさっている方は多いと思うので、これで進むのかもしれないですよね。
【委員】 今、子供たちの情報モラル教育について、家庭における指導が議論になっていると思うのですけれども。入り口として、学校が関わるのは当然のことではあるのですけれども、ただ一方で、どこまで関わるのかということです。
これも現場サイドの意見としてお話しさせていただくと、家庭への指導というのは、場合によっては家庭の教育に踏み込む部分があると思います。それを学校が全て担うのは違うと思います。子供たちの指導はできる限り責任を持って学校で進めていくけれども、例えば保護者への指導、今回は理解を図るというところかもしれませんが、そこまで話が及んでくると、それは学校の指導の範囲を超えてくると思います。
歩きスマホの話題も出ていましたけれども、これって周りを見たときに、子供というよりは大人の方が目につくわけなので、こういったところについては、国全体で啓発をやっていかないと、学校は苦しくなってきます。情報モラルについては、当然、学校も指導は行いますが、学校だけに負担が偏らないような体制づくりをお願いできるとありがたいと思います。
【座長】 とてもいい問題提起だと思います。あるユニセフの方が、携帯電話は道路と一緒だと仰っており、道路を使わなかったら事故は起こらないけれども、そんなわけにいかない。だから交通安全教育をするんだと。まさにその感覚で、国を挙げて取り組んでいかないといけないなと思います。
【委員】 今回の話は要するに、本来、例えば小学校でいえば必要性がないと思っているものを、保護者から使わせてくださいという言い方で申出をするところが重要で、そこでまず自覚の機会ができるかなと。
さらに進んで、PTA同士の話合いとか学校のルールの話にどう関わっていくのかはまた難しい問題ですけれども、それはまた次の課題として考えられることかなとは思います。
【座長】 特に、学校で道徳教育を含めた情報モラル教育であるとか、メディアリテラシーの教育をどうするか。やはり一番重要な、来てほしい親が来ないという問題があるので、学校にいる子供たちに教育し、一緒に考えてルールをつくることについては、これからもやらざるを得ないと思っています。
1点情報提供しますと、これは兵庫県でネット依存傾向の有無について調査しました。ルールを破ったことがある子は、ネット依存傾向のない子では比較的少ないのですけれども、ネット依存傾向のある子には多い。保護者がルールをつくっても破る。でも、やはり子供たち同士でルールをつくると一番いいのではないかという意味で、学校の中で子供たちに主体的にルールについて考えさせるのが重要なのではないかと思っています。
兵庫県では、子供たちのネットのルールづくりを大人は支援しなければいけないという条例があります。昨年度でいうと、89%の学校にルールがあるのですが、問題になっているのは、そのルールは学校が勝手に決めたことなのか、子供たちが決めたことなのかが重要だろうと。だから、主体的に考えさせたらいいのではないかというのが一つ。
もう一つは、保護者が決めたルールといっても、無意味なのかというと実はそうではなくて、保護者との話合いがなかった子供たちはルールを何度も破っているけれども、話合いがあった子はあまり破らないという結果が出ています。この辺りが重要な示唆かなと思います。
さらに、話合いがあるとネット依存も少ないのですが、高校生になると意味がありません。小中学校ぐらいできっちり話し合っておかないといけない。特に、小さいうちから話し合っておかなければいけないというのも考えられるのではないかと思っていて、その辺りについては問題意識として持っています。
何が言いたいのかというと、ルールをつくらないといけないけれども、最終的には文部科学省が今回示したような「自律」ですよね。子供たちが自ら考えるような、そういう自律した子供をつくっていくきっかけとして、このスマホの問題、ネットの問題を考えていくことがあると。それはやるのは、学校だけでは無理なので、社会全体で考えていかないといけないということが、大きな問題提起かなと思います。
【委員】 情報モラルの話も道徳の話もそうなのですが、実際に先に使い始めるのではなくて、使い始める前にネットがどういうところかという心構えをつくっておくというのがすごく重要で、親子での話合いというのは、携帯電話等を与える前に親が「ネットにはこういう特性がある」というところをきちんと話すことが重要。後づけでいろいろなことを教育してもやはりもう手後れなので、早いうちにネットの仕組みや機器の仕組みとか情報モラルの話を教えていくのが重要なのだろうなと思います。今回、この通達が出ることによって、低年齢からの教育を推進する重要なタイミングなのではないかと思いました。
【座長】 携帯電話の所持・利用率というのは小学校で55%ですけれども、その前のネットの利用率ということでいうと、もう4歳児で半分持っているので、ネットを使う前ということは3歳からやらなければいけない。ということは、学校教育だけに任せているわけにはいかない問題になってきます。
以上をもちまして今年度第2回の会議を閉会したいと思います。

―― 了 ――

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