全国的な学力調査に関する専門家会議(平成31年4月12日~)(第7回) 議事要旨

1.日時

令和2年12月18日(金曜日)10時~12時

2.場所

Web会議(文部科学省 東館9階 総合教育政策局会議室)
※YouTubeにて公開

3.議題

  1. 令和3年度全国学力・学習状況調査について
  2. 学習科学のアプローチによる全国学力・学習状況調査「教科に関する調査」の質的向上に関する分析検証委員会 報告
  3. その他
  4. 令和3年度全国学力・学習状況調査 児童生徒質問紙、学校質問紙、保護者に対する調査 調査項目について【非公開】

4.出席者

委員

耳塚座長、大津座長代理、青木委員、青羽委員、鎌田委員、川口委員、柴山委員、土屋委員、戸ヶ﨑委員、益川委員、松谷委員、村山委員、吉村委員

5.議事要旨

議事1: 令和3年度全国学力・学習状況調査について

・資料1、2、3に基づき、事務局より説明があった。

議事2: 学習科学のアプローチによる全国学力・学習状況調査「教科に関する調査」の質的向上に関する分析検証委員会 報告

資料4に基づき、国研より説明、資料5に基づき、益川委員よりご説明があった。委員の主な意見は以下のとおり。

【委員】
・15ページについて、正答率だけではなく、それぞれの児童生徒の解き方を検証することは、個別最適な学びを実現し、学びをより確かなものにするために非常に重要な視点である。正答率のみからは見えない、児童生徒のつまずきの箇所が見えてくるだろう。この資料の中で、式、数直線とも正解できているが、説明ができていない、いわゆるレベル1に分類されている児童生徒のように、確かな理解ができていないと思われる児童生徒に対しては、何らかの支援が必要になる。たとえば、県の学力調査は好成績だが、リーディングスキルは大変低いといった児童生徒が一定程度存在している。いうなれば、テストワイズネスという、このことだけで正答してしまっている可能性がある。資料の4の2の(1)には、「より認知過程の実態を把握しやすい解答類型を提案する」とあるが、今後、このような提案に基づいた作問に大きな期待をしたい。これからGIGAスクール構想を推進していく中で、まさにペタゴジーファースト、テクノロジーセカンドというのは学習指導の肝である。
・第3章では、資質・能力をベースにした授業改善に大事な示唆が含まれている。例えば、これまでも「割合」の指導には課題があって、様々な教材開発が行われてきたが、今回の分析によって、また違ったアプローチを見つけられるのではないか。また、他領域の学習や他教科の学習とのつながりによる、つまずいている児童生徒へのアプローチが可能になるかもしれない。特に中学校においては、今後、教科等横断的な学びを推進していくカリキュラムマネジメントについて、全国学力・学習状況調査をベースに充実させていくというアプローチになる可能性があると感じた。
・18ページ右上にある、各問題でつけたい力やねらい、問題の内容や発問、回答の仕方がねらいとどうつながるのかといった作問意図を作成するという提案だが、これは国として目指していく学びの在り方を実際の授業の現場まで落とし込むために、非常に有意義な支援だと考える。ねらいに沿ったよい発問、つまり、問うべきを問う、こういった発問の在り方や、児童生徒の具体的な解答のイメージを持つために、大いに参考になるのではないか。

【委員】
・今回のご報告は、問題作成時の1つの視点として、学習指導を行ったり、問題を作ったりするときに参考になるだろう。
・一方で、施策のために学力調査を実施することになった場合には、問題は基本的に非公表になる。そういった目的をもった全国学力・学習状況調査を考えた場合、施策と指導の矛盾が起きてしまうことについて、どういうふうに考えているのか。

【益川委員】
 現場と施策をつなげていくような問題の公開の在り方が大きな鍵になってくると思っている。現行の全国学力・学習状況調査では、悉皆調査であり、そのため実施前に試行は難しく、調査後にはすべて問題が公開されるという設計なので、今回の報告書では悉皆調査を前提として過去に出題した問題を活用して改善につながるという枠組みで提案している。今後の全国学力・学習状況調査をどう設計していくかという検討の中で、その設計の枠組みに合わせて現場と施策とをつなげていく情報提供の在り方について、個別に議論していく必要があるだろう。

【委員】
 出題された各問題における課題ではなく、例えば成績が中位の児童生徒に集中して授業をやっているので、成績上位の児童生徒を伸ばし切れていないといった、授業の課題が考え得る。そういう意味で、今までの分析は、問題の分析や個々の設問単位で、課題を検討していたが、学校としては、特定の問題だけではなく、算数の授業の何がいけないのか、どこを変えればいいのか、といった点も知りたいだろう。今回報告していただいたことはとても大事なことだが、個々の問題から視野を広げて授業などに目を向け、追求していただきたい。

【益川委員】
 個々の学校だけではなく、学校を超えていろんな情報を共有していくことも大事ではないか。その中で、多様な子供たちの反応に基づき、各領域の単元や授業を設計するときに、どのような見取りをもとに授業改善を進めていけばよさそうかというような、そういった特定の問題に対する改善だけでなく、幅広い授業改善につながるような枠組みも検討していく必要があると思われる。

議事3: その他

・資料6、7に基づき、事務局より説明があった。
 

お問合せ先

総合教育政策局参事官(調査企画担当)付学力調査室

(総合教育政策局参事官(調査企画担当)付学力調査室)