全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ(第12回)議事要旨

1.日時

令和4年4月27日(水曜日)15時~17時

2.場所

Web会議(文部科学省 16F2会議室)
※YouTube配信にて公開

3.議題

  1. 令和3年度全国学力・学習状況調査の CBT 化に向けた試行・検証について(報告)
  2. 令和4年度全国学力・学習状況調査の CBT 化に向けた試行・検証について
  3. 令和5年度全国学力・学習状況調査について

4.出席者

委員

大津主査、石田委員、礒部委員、宇佐美委員、川口委員、澤田委員、柴山委員、寺尾委員、耳塚座長
 

5.議事要旨

議事1:令和3年度全国学力・学習状況調査の CBT 化に向けた試行・検証について(報告)

 資料1に基づき、事務局及び株式会社内田洋行より報告があった。主な意見は以下のとおり。

【委員】  
 ネットワークに関して質問する。
 1点目として、実証報告の詳細な報告書は別途出るのか。
 2点目は、実証校の選定(4頁)について、学校規模やネットワークの種類、OSの種類の観点から実証校を選定となっている。どのようなクライテリアで選んだかについて、詳細な報告書があれば別途見せていただきたい。
 3点目は、実施概要(5頁)について、10月11日から11月12日のうち、実証校が実施可能な日時で実施したということだが、フィージビリティの検証を行うためには、実態としてピーク時の日時、その際のアクセス学校数、学級数、参加者数に関する情報が必要ではないか。
 また、ネットワークの帯域別の表(10頁)データについては、無線LANの規格や1つのアクセスポイントにつながっている端末の台数情報も含めて判断しなければ差異がわからない。
 さらに、推測されるボトルネックの発生原因(13頁)について、「一部の学校」というのは、全体の母集団の中でどの程度の数か。それから、「ログインできずに実施できない児童生徒」の発生割合とその解決方法についても御説明いただきたい。
 
【株式会社内田洋行】
 報告書に関しては別途用意があり、しかるべきタイミングで公開される予定。
 実証校の選定について、「学校規模」に関しては、人数及び学級数、「ネットワークの種類」に関しては、LTE、あるいは、ローカルブレイクアウト、センター集約、「OSの種類」に関しては、Windows、iOS、Chromeで分散するように選定した。
 ピークとなる実施時期に関しては、最大で10校、接続件数に関しては784件で、10月21日がピークであった。
 次に、今回、帯域については、各学校のネットワークに関して、例えばアクセスポイントの様子等までは細かく把握できていない状況である。
 続いて、ネットワーク・システムについて、同一時間帯に実施した際、実施できないという事象が発生した―部の学校は、3校程度であった。具体的なネットワークの構成等に関しては、把握が難しい。
 
【委員】
 おおよそ承知した。
 3校が特定できるのであれば、その3校のネットワーク環境を追加調査してみてはどうか。
 
【委員】
 今回の検証では、特別な支援が必要な子供たちについての検証は、対象になっていなかったのか。
 
【株式会社内田洋行】
 今回は対象となってはいない。
 
【主査】  
 2点質問がある。
 1点目は、ローカルブレイクアウトというのは学校単位にサーバー等を置いたということか。
 2点目は、ネットワーク・システム(11頁)について、有意差はないということだが、何と何の差か。帯域の区分別に行ったときにトラブルの率が違わなかったということか。
 
【株式会社内田洋行】
 ローカルブレイクアウトについては、各学校にインターネット回線を引き、特定の通信以外に関しては、その回線を使うというネットワーク形式をとっているものを指している。一般的に、センターに集約される形では、センターを経由し、インターネットに出ていく点がボトルネックになると言われている。それを避けるため、各学校でネットワークを直接引き、そこにネットワークの帯域を逃がす形式ということで、ローカルブレイクアウトと呼んでいる。
 有意差に関しては、平均帯域と動画の再生状況のアンケートにおいて、「1.再生された」、「2.再生されたが止まってしまった」、「3.再生されたが、画像が乱れたり飛んだりした」、「4.1分待っても再生されなかった」という質問項目をおいている。1以外に関しては、何かしら問題があったと言えるが、どこかの帯域以上であれば問題がなかったと言えるのではないかということを確認したものの、閾値は得られなかった。
 
【委員】
 2点質問したい。
 1点目は、実施中に発生したトラブル(16頁)の「画面が固まった」528人、6.1%については、ハードウエア由来のもの、インターネット由来のもの、ブラウザ由来のものなど様々な要因が考えられる。これを児童生徒がジャッジすることは難しく、全員が「固まった」と思うだろう。児童生徒に聞くのではなく、別の観察手段があるとよい。
 問題(20頁~22頁)については、モードエフェクトや形式の検証をしているが、正答率だけでの比較というのは少しラフな議論になりやすい。例えば、動画を使えばある程度正答率が高くなるということの背後には、識別力は逆に緩くなってしまう、あるいは回答時間は余計にかかるなどあり、ほかの指標についても検討した方がよい。
 
【委員】
 「トラブルにより終了画面まで行けなかった児童生徒」が159人、あるいは、「3分の2以上が終了画面まで行けなかった3学級以外」が64人というのは、児童生徒のアンケート調査による数値か。完全に完了できた児童生徒の割合について、児童生徒の回答からではなく、システムのデータから確認できるのであれば、それとのずれも検討できる。情報はあるか。
 
【株式会社内田洋行】
 実施中に発生したトラブル(16頁)に記載している内容は、あくまで学校からの申告である。また、終了画面にたどり着けなかった数について、システムからも情報は取れるが、その要因までは分からないものの、差分を取ることは可能である。
 
【委員】
 本番環境に移行していくことを考えると、全ての学校にこのようなアンケートを実施するのは難しく、今後はシステムのデータで確認せざるを得なくなってくる。終了画面までたどり着けなかった要因などについても、小規模の実証の際に確認しておく必要がある。
 

議事2:令和4年度全国学力・学習状況調査の CBT 化に向けた試行・検証について

 資料2・3に基づき、事務局から報告があった。主な意見は以下のとおり。

【委員】
 1点目、MEXCBTに関して、その元になったシステムについて教えていただきたい。
 2点目、APIのような仕組みはあるか。たとえば自治体が外からログを取る等はできるか。
 3点目、全国学力・学習状況調査の試行・検証について、10程度の自治体で複数日に分散して実施することを許容すると、考慮すべきファクターが多すぎて試行・検証が難しいのではないか。今回予定している規模であれば、同日一斉実施に絞った方が検証しやすい。
 
【事務局】
 1点目、システム全体の考え方については、基本的に国際標準規格に基づき、一企業、一提供先でしか作れないということがないように組みたいと考えている。その際、IMS Global、QTIの形式、通信規格はLTIの規格で組むことを検討中である。今回はQTIに準じた形のシステムということで、PISA等で広く使われているTAOをベースとして組む予定としている。
 ログについては、様々なパターンがあると思うが、差し当たりMEXCBTの基本的な動作に関しては、xAPIの形でログを取れるようにしている。広く研究者の皆様にも活用いただけるような形式としている状況である。
 
【事務局】
 試行・検証では、ボトルネックがどこにあるのかを把握するということが一番大事な目的だと認識している。先生方の御指摘、御意見を踏まえ、検討させていただきたい。
 
【委員】
 令和4年度の試行・検証では、問題の検証の口述式について、具体的に教科等は限定されて考えているのか。
 
【事務局】
 口述式については、中学校英語の「話すこと」調査があるので、それを念頭に考えている。
 
【委員】
 従来、全国学力・学習状況調査においては、点字問題や拡大問題といったものを使って調査を実施している。令和4年度は、特別な配慮を要する子供たちへの調査や検証も考えているのであれば、英語「話すこと」だけではなく、国語や算数の調査に関しても、実際にシミュレーション画像を見ていくことや、音声の読み上げなどの多様な解答形式について、特別な配慮を要する子供たちだけではなく、通常学級にいる子供たちに対しても検証してみる必要があるのではないか。文字入力等のことも関連し、色々な解答形式が選択できるということも、今後のCBTの方向として考えられるのではないか。
 
【委員】
 令和4年度に特別な配慮が必要な児童生徒への対応をいただけるのはありがたく、期待もしている。礒部委員の意見と同意見である。
 もう1点、実証・検証するに当たり、実施規模の10程度の複数自治体の中にいろいろな障害種は網羅されないのではないか。特定の地域で抽出するなどの方法で検証していく必要があるのではないか。
 
【委員】
 1点目は、資料3の「問題の検証」について。様々な解答形式の検証という点から、回答に必要な時間数などもカウントしておくとよい。CBTになった場合、1時間当たりどの程度の問題数が出題できるのかというめどについて、調査した方がよい。その際には、特別な配慮の必要な子供たちが解答に要する時間についても調べるとよい。
 MEXCBTは我々委員も外部から使うことができるか。どのような問題の出され方がされているのか、ユーザー目線で実際に経験してみたい。
 
【事務局】
 MEXCBTはホームページ上に公開しているが、誰でも見られるという状況にはなっていない。御指摘いただいたように、ユーザー目線でどういった改善ができるかという点はまさに今検討している段階。実施している委託業者とも相談しながら、見ていただけるよう検討したい。

議事3:令和5年度全国学力・学習状況調査について

 資料4に基づき、事務局から報告があった。主な意見は以下のとおり。

【委員】
 「話すこと」調査に関して、大きく4点。
 1点目は、ネットワークに関して。特に音声のファイルをアップロードすることになるが、令和3年度の試行・検証ではアップロードとダウンロードを区別せずに報告いただいた。特にアップロードについてはかなり帯域が必要になるので、環境面のチェックもお願いしたい。
 2点目は、音声データを録音、格納しておく場所に関して。インターネットを使って、オンライン方式で解答を得ることになると、クラウドサーバーに保存しておくという形が自然かと思うが、何かプランがあるのか。
 3点目は、同時に複数回線がアクセスすること、特に、ウェブ会議システムで映像と音声をやり取りするなどの活動が普段から教室内で行われているかどうかという点についても調査した方がよい。
 4点目として、CBTで「聞くこと」は対象とされるのか。
 
【事務局】
 技術面に関する詳細については、引き続き検討させていただく。
 試行・検証段階であるため、この機会を活用して、今後に生かせるような情報も集めたい。ウェブ会議システムを実施しているかについても、考慮させていただく。
 「聞くこと」については、CBT方式ではなく、すべての実施校が、調査日当日に教室内で音声を流し、それを聞き取っていただく形で実施する予定である。
 
【委員】
 学級数の比率の分散に関して、少し回線に負荷をかけておいた方がよい。初めから日にちを分散すると、負荷があまりよく分からないということになり得る。一定集中させた結果、何か問題が起きたとしても、試行・検証なのでやむを得ない、起こり得ることだということを周知した上で実施するということも大事ではないか。
 特定の日時に調査を集中させた結果、何か問題が起きたとしても、試行・検証なのでやむを得ない、起こり得ることだということを周知するということも大事ではないか。
 回線の整備状況に関する教育委員会へのアンケート回答についても、回答をそのまま信じてよいとは限らない。答える方のリテラシーによって回答が変わるということもあり得る。英語調査の回線への負荷の高さを想定せずに答えているかもしれない。次回、教育委員会の方にアンケートをする場合は、負荷の高さも伝えるべき。
 それと回線の整備状況は、財政状況によりかなり違ってくる。回線整備は基本的には市町村の負担になるため、市町村別に回答を整理・検証することも重要である。
 
【事務局】
 学級数分散の関係というところで御指摘いただいた点、よく考えていきたい。ただし、来年度調査は、全国の中学校に参加していただき実施する調査であり、試行・検証段階といえども、できるだけ負担をかけることは避ける必要があり、この点は重々留意する必要がある。
 一方で、令和4年度のCBTの試行・検証事業の中で、英語「話すこと」、口述式の解答方式についても検証させていただくため、試行・検証事業と令和5年度調査とで把握すべき事柄を整理した上で実施させていただきたい。

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総合教育政策局調査企画課学力調査室

(総合教育政策局調査企画課学力調査室)