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全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ(第1回)議事要旨

1.日時

令和2年5月21日(木曜日)10時~12時

2.場所

Web会議(文部科学省 東館9階 総合教育政策局会議室)
※YouTube配信にて公開

3.議題

  1. CBT化をめぐる状況について
  2. TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)におけるCBT実施事例について

4.出席者

委員

大津主査、礒部委員、宇佐美委員、川口委員、柴山委員、寺尾委員、冨山委員、耳塚座長

5.議事要旨

議事1: CBT化をめぐる状況について

・資料2-1、2に基づき、事務局より説明があった。関係委員の意見は以下の通り。

【委員】  まず、何のために全国学力・学習状況調査にCBTを取り入れるのかについて、明確にした方がよい。社会的にパソコンの活用を推進するために、とりあえず教育だけ、特に調査だけCBT化すればよいという話ではないはずだ。また、PCを使用した調査では、筆記方式とは違った想定外のトラブルが増える。また、CBTシステムの開発や維持に、膨大な整備費用がかかる。そのことを踏まえ、それらを上回るCBTの利点を押さえる必要があるのではないか。さらに、学校PCを使うことが前提になっているようだが、私用PCも使用できるならば、学校に来られていない児童生徒も調査に参加できる可能性がある。

【委員】  仮にCBTの運用を進めていくという前提に立った際、実際どういった利点があるのかを調べるための予備調査などが重要であり、その点について述べる。
 まず、システム上のオペレーションが一番重要な問題であると認識している。予備調査において、児童生徒の情報活用能力や普段のPC利用頻度等を確認し、これらの違いによって問題の正答率等が変わるのかを検討することが考えられる。
 また、CBTならではの作問の在り方がある。ただし、解答の形式や解答方法の違いが、実際に測定している能力や評価の結果に反映されているのかということは、区別して考える必要がある。つまり、実際にそれが評価の中で反映されているのかどうかは、予備調査によって質的にも量的にも検討できる部分があるので、検討する必要がある。
 やや離れた論点かもしれないが、問題の公開や実施規模(悉皆・抽出)について、改めて検討する必要があるのではないか。これは、CBTというよりも、調査理念や学力調査の設計という枠組みで考えるべき問題であると考える。仮にIRT(項目反応理論)のようなテスト理論に基づいた設計を進めていくのであれば、問題の非公開が前提になる。
 調査の目的について、国、教育委員会、学校という3つの立場が考えられるが、国や教育委員会は、児童生徒の学力分布や実態等を把握することが重要な目的になる。その目的のためには、従来の悉皆実施や問題公開は必要ないかもしれない。そういった点も含めて、議論を深めていく必要がある。

【座長】  まず、「国として何のために調査を行うのか」という調査目的の整理が不可欠である。これはワーキンググループではなくて、親会議である「全国的な学力調査に関する専門家会議」にて議論していく必要がある。調査目的に適した調査方法を検討する中で、CBTが方法の1つとして出てくる。
 仮にどこか一部でもCBT化するならば、CBTの利点を最大限生かすような方向が望ましい。ただし、実行可能性という点からの検証、あるいは試行が非常に重要で不可欠だと考えている。

【委員】  平成29年度末にとりまとめられた「全国的な学力調査に関する専門家会議」の報告書等でCBT導入に言及されているが、このワーキングで議題とするのは、経年変化分析調査も含むのか、本体調査だけなのか。それとも、どの調査をCBTとするかも含めて議論するのか。また、このワーキングで扱うCBTは1人1台構想の環境の中における個別学習に対応していると考えていいのか。

(事務局)  このワーキングの対象は全国学力・学習状況調査なので、本体調査と経年変化分析調査の両方を対象とすることを考えている。まずはCBTの論点整理を行ったあと、それぞれを対象にしながら在り方を検討する。また個別学習については、個別の関心や理解度に応じた学習が今より加速するだろうという認識である。個々人がバラバラに学習すればよいという観点ではない。現在の教育実践の蓄積にプラスして、1人1人のつまずきや、理解度に応じ、さらに深堀した学習ができるようになることを想定している。全国学力・学習状況調査に対しては、プラスアルファになった部分も含めて、個別学習の観点だけでなく、トータルの観点で議論していただきたい。

【委員】  CBT化は突き詰めていくと、現行の紙筆方式に比べて技術的には、個別最適化学習のための学習支援ツールにもなり得るシステムであり、その意味で文部科学省が目指している教育につながる可能性はある。

【委員】  GIGAスクール構想についての包括的な説明について、よく理解できた。PCについて、都市別や都市の規模別など、どのようにICTの整備状況をモニタリングしているのか。

(事務局)  GIGAスクール構想について、まだ執行段階に入っていない。現状として把握しているのは資料2-2のとおり(毎年度末に都道府県、設置管理者ごとに整備状況を把握)。これから整備を進めていく段階であり、国費で今年度2台/3人分の導入予定(地方財政措置は1台/3人分)。国費の環境整備をすべて投資すれば、遅くても令和4年度中に全員分そろうという算定である。

【委員】  GIGAスクール構想にしても、現下のコロナ感染症拡大防止のための臨時休業にしても、児童生徒のICTでの学習環境の格差が広がりつつあると感じている。CBTを取り入れることは賛成だが、可能な限り、情報活用能力とは別で問題設計をしないと、今生じている差が、調査結果の大きなバイアスになるのではないかと懸念している。ICT機器の扱い方に限らず、例えば国語では、「紙をめくって文章を読むこと」と、「画面を切り替えたりスクロールしたりしながら読むこと」自体、ICT機器の利用頻度によって、調査結果に差が生じるのではないか。そういった問題意識を持ってやっていかなければならない。

【委員】  教育現場へのCBTの導入は、学校教育においても、家庭教育においてもニーズが高まっていると感じている。全国学力・学習状況調査へのCBTの導入を前提とすると、大きく2つの利点が考えられる。
 1点目は、現在のスケジュールに比べて、教育現場が非常に早い段階での結果公表・評価が得られる可能性があること。これは、調査結果をふまえた学校での検証や指導改善が一層加速する可能性を大きく持っていると考えている。
 2点目は、児童生徒のニーズとも相まって、不登校の児童生徒を含めて、等しく調査に参加できるようになること。  

 

議事2: TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)におけるCBT実施事例について

・義務教育段階におけるCBTの実施事例として、国立教育政策研究所教育課程研究センター総合研究官(我が国におけるTIMSS研究代表)より説明があった。関係委員の意見は以下の通り。

【委員】  国立大学附属中学校で実施してもこれだけトラブル(児童生徒の所感を含む)があるのに驚いた。TIMSSは、4年後本当に全面CBT化に移行できるのか。

(国研)  本日報告した内容は、2019年国内調査(国立大学附属中学校66校)の様子のみではなく、2017年のパイロット調査(公立学校含む21校)等も含んでいる。次回の2023年調査についてはこれから議論を行う。現段階では、2019年調査の結果もまだ出ていないため、次回調査の検討まで着手できていない。

【委員】  いくつか質問をさせていただく。
 ・TIMSSの解答方式は、多肢選択か。
 ・今回はオンラインでの実施を断念し、USBでの実施ということだが、最終的にはオンライン化できそうなのか。
 ・コンピュータ使用型調査の利点のうち、「解答のログをとる」とあるが、どういった処理をするのか。例えば、認知プロセスモデルを前提に処理をしているのか。
 ・筆記型では取得困難なデータが得られる」とあるが、どのようなデータなのか。IRTに持ち込めないということか。

(国研)
 ・TIMSSでは、選択式のみだけでなく、記述式も含む。これまでの調査と同様の出題形式。
 ・今回はUSBとタブレットで実施した。当初からオンライン化実施の予定はなかった。ただし、会議の場では他国一部の国・地域からオンラインでの実施についてのリクエストも見られたのは事実。当初の計画どおりに実施できなかったのは、システム開発が間に合わなかったためと推測される。
 ・解答のログについては、これからTIMSS2019の結果公表に向けて分析・議論が進む。当方の予想としては、児童生徒がどのような時系列で考え、記入したのか、解答の記入までどの程度時間がかかったのか、といったデータが取得できると考えている。PSIもそうだが、児童生徒が解答を入力して、次の問題で枝分かれする部分を他の児童生徒と比較できる可能性もある。今の筆記型では取得困難なデータとして、インタラクティブをベースにしたPSI等も含まれるのではないか。

【委員】  この調査に参加した立場から、今後の全国学力・学習状況調査に生かすために3点述べる。
 1点目は、児童生徒の発達段階や情報活用能力等をふまえ、現在の小学校6年生と中学3年生という調査対象を見直すことも一案であるということ。調査対象学年に応じた調査問題の設計等を考える必要がある。
 2点目は、TIMSSは、原則として調査問題は非公開だが、実際に予備調査に参加した学校からは、「調査を通じて把握できた児童生徒の様子をすぐに指導に生かしたい」という声があった。このCBT化とテスト理論の応用、問題を公開にするかどうかなどに関しては改めて議論を進めていく必要がある。
 3点目は、CBTで学力調査を行う場合、筆記方式に比べて、結果が出るまでの時間が短くなると考えられる。学校が少しでも早く調査結果を指導改善に生かせるようにするという観点から、A問題(主として知識・技能)とB問題(主として活用)を統合した出題を前提としてCBT化を進めるのではなく、即時のフィードバックが可能となる短答式、選択式の問題(例えばA問題)のみをCBT化するといったような問題設計や出題方法についても考えていくとよいのではないか。

【委員】  発表を聞いて、CBTの場合、日本の小・中学生は記述の問題に対する解答が困難な状況があるということについてはよく分かった。現場にいると、最近の若者のキーボード離れが進んでいると感じており、キーボードを使うにしても、特に記述問題において児童生徒に入力をさせることについては、慎重な検討が必要ではないか。学力測定の問題とも関わるが、例えば、記述内容を見るならば、筆記方式として手書きでもいいのではないかと思う。キーボード等で入力しなければいけないということになると、情報活用能力の有無が影響してしまう。

【委員】  解答のログについて、例えば、自分がかつて携わった小規模の実験では、ログデータを使って解答時間の分析や解答経路の社会的ネットワーク分析を行ったが、分析しやすい状態にするためのデータの前処理の技術や、時刻のデータを正確に扱うための専門性が求められる作業であった。全国学力・学習状況調査にCBTを導入する場合にも、解答のログの分析にあたっては、かなり専門的なデータ分析のできる人材が必要になる。そうしたデータ処理のあとで、認知科学的な検討、アチーブメント関係の検討が想定されるのではないか。
 また、CBTに関して、技術的にサポートする体制が必要だという話には同感している。サポートには、人的なサポートとシステム上のサポートがある。USBで実施する場合、調査問題の配布や回収は現場の先生や支援員が行うだろうが、LANやWANを使ったネットワークでの調査だと、中間サーバーの使用や、解答状況をリアルタイムで観察することが可能になる。USBだとそこまで及ばないところもあるため、システム上のサポートが必要である。
 キーボードに関して、手書き入力も可能にするような枠組みを認めるのか、キーボード入力限定なのかという点も議論のポイントになるのではないか。
 最後に、情報格差の問題は、正答率や、その他統計的な指標にも関係してくるだろう。そうなると、児童生徒がキーボード入力に慣れてから、CBTで調査を行うという発想が、ごく自然な流れではないかと考える。CBTを前提に、キーボードでも手書きでも可にするという観点もあるが、小・中学校の段階でキーボード入力スキルを育成するカリキュラムがあった上での、CBTによる教育的評価があるという方向性もあるのではないか。

【主査】  TIMSSは、記述式問題の解答方法について、手書きとキーボードはどう考えているのか。

(国研)  資料3にも掲載しているように、手書き入力のシステム開発が間に合わなかったので、キーボード入力になった。小学校からは手書きができるといいという要望があるが、国際調査では様々な言語の解答があるため、処理や採点の面でなかなか実現が難しい。

【委員】  CBT化することによる作問上の欠点、やりにくいところとして、例えば数学の式を伴う説明や、証明の記述、作図問題等が出題しにくくなることが挙げられるのではないかと考えるがいかが。
 情報活用能力について、児童生徒がICT機器に慣れていない場合、測りたい学力を実際に測定できないことや、バイアス等への危惧がある。実際には調査対象者の情報活用能力に関する情報を取得すれば、個々の項目の正答率との連関分析をするといった、定量的な分析で、測れていない学力がどの程度あるのかということを調べられる可能性があるのではないか。

(国研)  国際会議での議論から、プルダウンや選択肢の配置といった、作問上の制約はたしかにある。例えば、算数・数学の場合、補助線の追記ができるようなシステムの開発が必要である。現在は、その開発ができていないため、メモ用紙に解答したものをPCで入力する、という二度手間になっている部分もあった。

【座長】  PCを用いた日頃の学習がなされることがまず大前提である。機械さえ導入されれば、すぐにCBTでの調査が実行可能になるわけではない。
 調査の規模は、実現可能性に大きく影響する。例えばTIMSSの規模(全国から数十校程度を抽出)だと、CBTへの完全移行が現実問題として検討できるが、全国学力・学習状況調査は、約200万人が一斉で実施するため、状況が全く異なる。また、TIMSSの規模でも、2017年以前から準備を始めて2023年の実施なので、全国学力・学習状況調査のCBT化にはさらに時間が必要になるのではないか。

(国研)  PC操作に対する慣れは必要。その慣れに関しても、さらにいくつかの類型があって、デバイス・操作に対しての慣れ、その調査のアプリケーションに対する慣れ等が考えられる。調査の規模についても重要なご指摘。資料に示しているように、TIMSSは2014年から開発を公にして、進めてきた。
 

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