主権者教育推進会議(第18回) 議事録

1.日時

令和3年2月19日(金曜日)

2.場所

文部科学省(東館15階) 15F特別会議室

3.議事録

【篠原座長】 定刻となりましたので、ただいまから、第18回主権者教育推進会議を開催いたします。
 本日の会議は、新型コロナウイルス感染症対応の観点から、いつものように対面会議とウェブ会議を組み合わせた方式にて開催することといたします。
ウェブ会議での御参加は、神津委員、清水委員、松川委員です。よろしくお願いします。また、小原委員、近藤委員は今日御欠席となっております。よって、11名中9名の委員の御出席となります。御多忙の中、御参加いただき、皆さんありがとうございます。
 なお、本日は、感染症対策のため、傍聴者は本会議の様子をウェブで傍聴することといたしております。また、本会議につきましては、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の配付資料について、事務局から説明、確認をお願いします。
【石田学校教育官】 座長から御紹介がございましたように、本日も前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策のため、傍聴者の方には会議の様子をウェブで傍聴いただくこととしております。
 委員の皆様方におかれましては、対面会議とウェブ会議とを組み合わせた方式にて開催させていただきます。会場にいらっしゃる委員の先生方におかれましては、いつものように、御発言に当たりましては、インターネットでも聞き取りやすいよう、ゆっくりはっきり御発言いただく、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようお願い申し上げます。ウェブで御参加の委員の先生方におかれましては、御発言以外はマイクをお切りいただく、御発言に当たっては「手を挙げる」ボタンを押していただくよう、お願い申し上げます。
 それでは、資料の確認を申し上げます。議事次第を御確認いただければと思います。配付資料は、議事次第にございますとおり、資料1から資料3をお配りしてございます。
 本日は、中間報告で今後の検討課題とされた点につきまして、前半では「その他」について御議論をお願いしたいと考えておりまして、前回の会議での御指摘を踏まえまして、資料1、2をお配りしてございます。具体的には、資料1「各政党の子供や若者に向けた政策の周知に関するアンケート結果」、資料2「主な投票義務制採用国」をお配りしてございます。
 また、後半では、この「その他」を除く部分の最終報告のドラフトについての御議論を頂戴したいと考えておりまして、座長と御相談の上、資料3として最終報告案をお配りしてございます。
 あわせて、机上には資料1に関わりまして、各政党から提供いただいた資料を紙ファイルでファイリングしてございます。あわせて、ドッチファイルで主権者教育推進会議のこれまでの会議資料をお配りしてございます。
 不足等ございましたら、事務局のほうにお申しつけいただければと考えてございます。
 以上でございます。
【篠原座長】 資料のほうはよろしいですか。大丈夫ですね。
 それでは議事に入ります。本日は、今お話がありましたとおり、2つセッションがありまして、1つ目は「その他」についての御議論、それから2つ目は、今日議論する「その他」を除く最終報告のドラフトが皆さんの手元にあると思いますので、その御議論、この2つについて皆さんと意見交換をお願いしたいと考えております。
 「その他」について、まず入りたいと思います。1つ目の議題です。前回も議論をしたんですけども、前回に引き続きの議論ということにさせていただきたいと思います。
 最初に、「選挙における選ばれる側の役割」について、現職の国会議員が在籍する政党を対象に、子供や若者に向けた政策の周知について、どのような取組を行っているのか、書面にてアンケートを行いましたので、事務局より御報告をまずお願いいたします。
【石田学校教育官】 それでは、お手元の資料1をお開きいただければと思います。資料1のタイトルにございますとおり、前回の主権者教育推進会議での御指摘を受けまして、各政党向けに、子供や若者に向けた政策の周知に関する取組につきましてアンケートを行いましたので、結果の概略を御報告いたします。
 まず、1ページの右肩に調査対象を記載しておりますので、御確認をいただければと思います。本調査の対象は、政治資金規正法に基づき総務大臣に設立の届出があった9つの政党でございます。また、表に掲げております政党名、順序は-五十音順でございますけれども-こちらは総務省ホームページの「政党・政治資金団体一覧(令和3年2月5日)」の順序によりまして記載をしてございます。また、1ページ目の右下にございますように、本資料では、各政党から頂きましたアンケートの回答をそのまま掲載したものである旨を御承知おきいただければと思います。
 アンケートの項目は4つございます。1つ目は、1ページ目の一番上に書いてございますように、子供や若者向けの政策集に関わるこれまでの取組をお聞きしてございます。2ページ目が2つ目、3つ目の項目でございますが、2つ目の項目は、2ページ目の左の表にございますように、直近の国政選挙において作成した子供や若者向けの政策集(マニフェスト)の作成状況を、1、平成29年衆議院議員総選挙、2、令和元年参議院議員通常選挙ごとにお聞きしてございます。3つ目は、同じページの右の表でございますけれども、今後国政選挙があった場合の子供や若者向けの政策集の作成予定についてお聞きしてございます。4つ目は最後でございますけれども、3ページにございますように、その他、子供や若者向けに行っている政策アピールの取組についてお聞きしてございます。以上4つの項目につきまして、アンケート結果の概略を御説明したいと思います。
 1ページ目にお戻りいただきまして、子供や若者向けの政策集に関わるこれまでの取組についてでございます。いずれの政党も、自らの政策につきまして、子供ないし若者向けに周知を行っておられるとの回答を頂戴してございますが、このうち特に政策集やマニフェストに関わる回答を御紹介したいと思います。
 公明党様からは、2012年の衆院選以降、国政選挙などに合わせて「こども・子育てマニフェスト」を作成しており、これまで計7回発表していること。本マニフェストは、党のホームページで公開していることについて回答をお寄せいただいております。
国民民主党様からは、マニフェストが長文で難しい印象を受けるため、紙一枚に要約したビラ版を作成したとの回答をお寄せいただいております。
 社会民主党様からは、2016、2019年の参議院議員選挙の際に、若者向けのマニフェストを作成しているとの回答をお寄せいただいております。
 自由民主党様でございます。第46回衆院選(2012年)から政策パンフレットの制作を続けていること、同パンフレットの対象は、主に小学生を想定して作成しているとの回答をお寄せいただいております。
 日本共産党様からは、高校生を含む若者にアピールするとの観点から、2016年から、マガジンという形でのリーフを発行し、働きかけを行ってきたとの回答をお寄せいただいております。
 立憲民主党様からは、前身である旧立憲民主党・旧国民民主党、また、その前の民主党、民進党で、子供や若者向けの政策集などを作成・発表しているとの回答をいただいております。なお、後ほど御紹介申し上げますが、民主党のマニフェストは2014年に公表されているとのことでございます。このほか、インターネット、ツイッター、フェイスブック、シールなど様々な方法によりまして、政策の周知に努めておられるとの回答を頂戴してございます。
 続きまして、2ページでございます。左側の表でございますけれども、直近の国政選挙において作成した子供や若者向けの政策集についての御回答を整理してございます。1が平成29年衆議院議員総選挙、2が令和元年参議院議員通常選挙となってございます。それぞれ該当する資料がある場合には資料名を記載させていただいております。加えて、各政党からは、関連する資料ということで、実際にどういうものがあるかということをお寄せいただいております。こちらは机上の紙ファイルで委員の先生方のお手元にお配りしてございますので、随時御参考いただければと存じます。
 公明党様でございますけれども、1、2ともに子供向けのものを、国民民主党、社会民主党様では2について若者向けのものを、自由民主党様では、1、2ともに主として小学生向けのものを、日本共産党様では、1、2ともに若者向けのものを、立憲民主党様では、2について子供・若者向けのものを、また、2014年に民主党、2017年に民進党で政策集に関連するものをそれぞれ作成しているとの回答を頂戴してございます。
 次に、2ページ目の右側に参りまして、今後、国政選挙があった場合の子供や若者向けの政策集の作成予定についての御回答でございます。9つの政党のうち、継続して作成する予定との回答をいただいた数が5、初めて作成する予定との回答をいただいた数が1、検討中との回答をいただいた数が3という状況になってございます。
 最後に、3ページに参りまして、その他、子供や若者向けに行っている政策アピールについてでございますが、ただいま御紹介しました政策集に関わる取組に加えて、様々な取組をいただいているところでございます。ざっと分けますと3つほどございまして、1つは、子供や若者が日常的に触れている多様な媒体を用いた取組ということが回答の中にございました。YouTubeでありますとか、ツイッターでありますとか、フェイスブック、インスタグラムといったSNSを使いながらの取組ということ、また、2つ目でございますけれども、多様な媒体に掲載するコンテンツも、動画、漫画、アニメーション、ドラマ仕立てといった形で、子供や若者向けに政策を分かりやすく周知する取組を行っておられること、3点目は、テレビ通話などオンラインを用いながら、議員と若者による直接の政策対話の機会を設けておられる、こういった取組をそれぞれ御回答を頂戴しているところでございます。
 簡単でございますけれども、アンケート結果の概略の御報告は以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。続いて、投票の義務化の制度を採用している主な国について、総務省より御説明をお願いいたします。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 総務省でございます。右上に資料2とございます資料を御覧いただければと思います。主な投票義務制採用国についての資料をまとめたものでございます。この資料のおおもとにつきましては、国立国会図書館のほうで調査をされておりまして、その担当課が作成した資料を基に、今回この資料2をまとめさせていただいているところでございます。
 まず、国名のところを御覧いただければと思います。この順番は五十音順ということでございます。採用されている国については、傾向として、中南米を中心に記載のような国で採用されている状況でございます。
 次の根拠法でございますが、憲法に投票の義務について規定されている国が多いという状況でございます。憲法に規定され、さらに選挙法、法律にも規定されているといった国が多いというような状況でございます。一方、一部の国では、法律に基づいて義務制としている国もあるというような状況でございます。
 さらに、投票義務違反に対する制裁等について右にまとめさせていただいております。大まかに言えば、罰則があるところ、ないところというので二分されるような状況でございます。罰則があるところについては、罰金の刑が多いというような状況でございます。中には、一定期間の公職の就任や公務員の任用を禁止するといった規定のある国もあるようでございます。ただ、義務免除規定も、一部この資料の下では確認できるところでございまして、例えば病気等の理由があれば免除される、一定の公務があれば免除される、そういったところを規定されている例があるといったところも確認できたところでございます。一方、記載がないところについて、義務免除規定があるかないかについては、これ以上は不明であったというような状況でございます。
 一方、罰則なしといったところも多いというような状況でございます。ただ、この罰則規定についても、国会図書館の資料では、実際その制裁が適用されているかどうかについて、全てを確認できる状況ではございませんが、例えば、アルゼンチンでは罰則規定がございますけれども、その制裁について厳格には適用されていないのではないか、そのようなレポートも確認しているところでございます。
 大まかな状況としては、この資料2は以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。清田課長、今のこの資料で、2番目のイタリアがあるでしょう、罰則なしとなっているんですが、僕が何年か前にイタリアへ行って取材したときに、例えば公営住宅とか、そういうものへの入居権を失うとか、罰金ではないんだけど、何かあったような気がするんだけど、それは何かつかんでいますか。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 すみません、具体的に今座長が御指摘のところはちょっと分かりませんが、経緯として、従前あったようでございますけれども、1993年に廃止されたという経緯があるということは伺っているところでございます。
【篠原座長】 そういういわゆるペナルティー的なものが廃止になった。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 はい。
【篠原座長】 分かりました。それから、石田さん、資料1の1枚目の自民党の子供マニフェストのところで、子供向け政策集としては、第46回衆院選から一昨年の云々と。始めたのは第46回衆院選、2012年ということだけど。
【石田学校教育官】 はい、そのように御回答いただいております。
【篠原座長】 確か2010年の参議院選挙、1つ前の国政選挙からだったと思います。
【石田学校教育官】 頂いた回答をそのまま掲載しておりますが、確認をいたしたいと思います。
【篠原座長】 確認して自民党に正してもらっておいて。僕はこれは違うと思います。
【石田学校教育官】 承知しました。
【篠原座長】 では、そういうことで、どうぞ皆さんの御意見を。今日は1つは子ども向けの政策集の話です。これは前にも申し上げたように、選挙というのは選ぶ側と選ばれる側のコラボレーションなものですから、選ぶ側のほうに主権者教育をしっかりやると同時に、選ばれる側にもそれをきちんと受け止めてもらわなきゃいけない。やはりそれぞれの果たす役割と責任があるのではないかという意味で、各党にアンケートを取って、今どういう状況か、今後どうするのかと。これを見ると、今までやっていないところも、こういうアンケートを取ると、俺のところもやろうかとか、そういうインセンティブにもなっているようです。また、若者向けも大事なんだけども、まだ投票権を持っていない、先ほどからずっと議論に出ている小中学生の頃からそういうものに触れていくというのが主権者教育の僕は肝だと思っていますので、そういう面で、若者だけじゃなくて子供に対してどの程度政策アピールをしているかというところを僕は重視していくべきではないかなと思っております。
 それから、もう一つの投票の義務化のところについては、ここにずっと一覧があるように、先進国が少ないんですよね、この中ではオーストラリアとかイタリアかな。だから、そういう意味では、ほかの国は日本ほど若者の投票率が落ちていないんですよね。世界的に投票率の低下というのは若者の場合はあるんですけども、まだまだ日本よりは投票率が高めにキープされているということで、先進国でこういう義務化の制度を取り入れているところは少ないんだろうと。北欧なんか何もしなくたって70何%いくわけですから。
 そういう状況を踏まえると、日本の場合、そういうものを入れる必要があるかどうかという議論になってくると思うんですけども、私は、この主権者教育をしっかり充実させて、投票率とか投票の質を向上させていけば、こういう制度は取らなくていいと思うんですけども、もし充実させた上で、やはり若者の投票率が低いな、全然変わらないなというような状況が生まれたときは、将来的にこういう制度も一つ視野に入れてもいいんじゃなかろうかというのが私の意見でございまして、ここにも書いているように、ほとんど憲法の改正を伴って各国やっています。日本も憲法第15条に投票の権利ということで書き込まれていますけど、憲法改正も伴う議論に恐らくそのときにはなるんだろうと思いますので、私の個人的意見としては、ここで投票を義務化しろと打ち出すのではなくて、主権者教育を積み重ねていった上で、それでも投票率が上がらないというようなときは、憲法を変えてでも投票の義務化ということを打ち出す、そういうものも将来的な検討課題になるのではなかろうかというような感じのことが打ち出せれば打ち出したいなと思っています。私の意見は以上です。皆さんの御意見をどうぞお述べいただいて結構でございます。
 どうぞ、小玉委員。
【小玉委員】 ありがとうございます。今回、この政党の話と投票義務の採用国の話を資料として出していただいて、大変よかったなというふうに思いました。
 まず、簡単に3点ほど、この子供・若者についてのところで気づいたところについてのみコメントさせていただきます。
 1番目として、政党の役割が非常に大切だということが改めて今回再認識されたということです。戦後の歴史をたどってみますと、1989年までは冷戦の時代で、イデオロギーと利益誘導の動員による選挙ということがかなり多く行われていたのに対して、1990年代、平成の時代に入って、政策の競い合いによる争点形成型の政治・選挙というものになっていった。そのことが政党の役割を非常に大きく変えてきていて、1994年には政党助成法が制定されて、公費が政党の活動に投入されるようになり、政党そのもののある種の公共財としての役割が非常に大きくなっていった、その成果が表れているのかなと思います。1990年代以降というのは、総選挙による政権交代が3回行われていまして、これは戦後の日本の歴史の中で非常に画期的な30年間だというふうに私は見ることができるんじゃないかと思います。そうした中で、政党自身が自らの活動を問い直して発展させていくということも、一つの成果としてこういう形で資料が出てきているというのは非常に重要なところだと思います。
 それから2番目は、内容について、先ほど座長のほうからもお話があったんですけれども、全体として言うと、それぞれの政党が持っている政策全体を子供・若者に訴えるというよりは、どちらかというと、子供・若者を1つの利益集団として見ているような性格が傾向としては強いのかなと思いました。例えば公明党は、教育の無償化、通学路の安全対策、あるいは社民党の子供の貧困対策、維新の会の教育無償化、奨学金負担軽減、割と子供や若者にとって利益になるような性格をそれぞれに対して訴えるという性格が強くて、もうちょっと子ども・若者に限らない政策全体を子供・若者に訴えるという方向にしていくことが重要なんじゃないか。
 その中で言うと、自由民主党が外交政策とか経済政策全体を子供・若者に訴えるような訴えかけをしているというのは、そうした中で注目されるところであって、今日お手元に配られているこの水色のファイルにとじられたものに、6つの政党について、より具体的なものがありまして、それを見ても、例えば自由民主党と立憲民主党を比較していただけると分かるんですけれども、自由民主党のほうは、経済、外交政策、安保政策から子供・若者向けの政策まで幅広く書いているんですけど、立憲民主党のほうは、子供・若者を対象としたものに特化したマニフェストになっていて、どちらかというと私は、その政党が持っている政策全体を子供・若者に対して訴えかけていくという方向にしていかないと、何か子供・若者の票を取るために訴えかけていくみたいな、どうしてもそういう形になるので、そこは各政党、そういう観点で自らの政策の訴えかけ方を見直していただければいいんじゃないかと思います。そういう点で言うと、自由民主党、共産党あたりは、それぞれの政党が持っているものをあまり手加減しないでというか、子供・若者に届くような言葉で書いているというところがちょっと目を引きました。
 それから3番目は、子供・若者を単なる政策の受け手として見なすのではなくて、政治に参加する主体として位置づけているかどうかというポイントで、この点については、各政党かなり工夫が見られるかなと思います。自民党については、若者の座談会ということが書かれてありましたし、それから、共産党はカフェなどでの働きかけ、それかられいわ新選組も直接の質疑応答を行う、あるいは3枚目のほうでは、公明党はユース・トーク・ミーティングを開催している。国民民主党も全国高校生未来会議に出席しているとかあります。そういう形で、単にマニフェストを発信して、それを子供・若者に届けるというだけではなくて、子供・若者自身を政治参加の主体としてみなして、様々なミーティングとか、街頭の活動とかで一緒に話をしていくという活動のほうに一歩足を踏み込んでいる政党がかなり増えてきているということが注目すべきところかと思います。
 この後の後半の議論に関わって言うと、3枚目の共産党が、若者と政治をつなげるNPOの団体の求めに応じて積極的にそういうものに参加していると書いていただいていて、これは、共産党が主催する取組ではなくて、NPOが全政党に呼びかけて開いているミーティングとか政策討論会のことだと思うんですけれども、そういうものに積極的に参加するようにしているという政党もかなり増えてきているのではないかと思いまして、そういうことに積極的に応じていくような主権者教育の枠組みというのが日本でも可能になりつつあるのかなというふうに思いました。
 最後に、投票義務制についてもちょっと感想ですけれども、改めて、憲法によって各国が投票義務制を採用しているというところが非常に大きいポイントとしてあるということが分かったというところだと思います。これに対して日本の場合には、憲法第15条で、選挙権というのは国民固有の権利であって、選挙人は、その選択に関しては、棄権するということも含めて、公的・私的にその責任を問われないというのが憲法第15条の枠組みになっておりますし、それから、この間の日本のコロナウイルス感染症対策を見ても、欧米に比べると、強制を伴うあるいは罰則を伴う行動規制というものは極力最小にして、国民自身の自主的な行動に期待するというか、そういう形で、今のところそれなりに進んできているというのは、日本の社会が、文化、それから市民社会を含めて成熟しているということの表れなんじゃないかと思いますので、まさにこの会議の役割はその意味では非常に重要で、強制よりも教育である、ということの重要性がここから見えてくるのかなというふうに思いました。
 私のほうからは以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。今、指摘があったんだけど、実は自民党は、もう本当に子供に特化した、漢字に全部ルビを振り、イラストを子供向けに作り、しかも子供が関心のあるようなテーマに絞り込んで、こんな小さなパンフレットを作って、それが日本の政党における子供マニフェストの発祥です。それが2010年なんですよね。その頃からずっと私はこれに関わってきているんですけども、やはり最終的には、できるだけ多くの政党がこういうものを出していただいて、子供がそれを読み比べるというような一つのサーキュレーションが生まれると、小中学生の頃からそういうものに触れて、自分が有権者になったときに備えて主権者意識を持つ大きなツールになるんじゃないかなということで、僕は、この各政党が今やっていただいているようなことは、大変今後意義がある、また、今後も続けてもらいたいと思っているんです。
 ただ、1つ問題なのは、子供と若者が一緒になっているんですよね。若者というと、どうしても高校生以上で、投票権を間もなく持つか、もう既に持っているかという層と、小中学生で将来の有権者、未来の有権者というところがごっちゃになっている。
私としては、むしろ将来の有権者のところにスポットを当てて、主権者意識を持ってもらうかにウエートを置きたいものですから、若者向けも結構だけど、やはり子供向けということにもしっかり軸足を置いてくださいねという呼びかけは今後必要なのかなという感じがしております。僕がいろいろしゃべってすみません。清水委員、どうぞ。
【清水委員】 ありがとうございます。PTA清水です。私のほうからは、資料1について意見を言わせていただきたいと思います。
今回この資料は大変分かりやすいアンケートの資料をまとめていただいたなと思いました。先ほど冒頭の座長の話でもありましたように、子供たち、いわゆる小学生、中学生というところと、高校生というところではまた違うと思うんですね。各政党はそれぞれいろいろとSNSを活用しながらということも書いてありました。確かに、高校生になってきますと、非常にSNSを駆使して情報を取りやすいというような環境下にあるかとは思いますが、やはり小学生であったり中学生ということでいきますと、なかなかそういったところでも情報が取りにくいという中で、各政党の中で紙1枚で要約したビラ版を作ったりとか、あと小冊子を作ってお配りするとか、いろいろと工夫はされてみえるとは思うんですが、いろいろと紙資料で、媒体で配るという方法の中で、たくさんの子供たちというか保護者も含めていかにお手元に確実にそういったものをお渡しできるような方法というか、せっかく各政党がいろいろ工夫をされたものがしっかりと各子供たちや保護者のお手元に届くような、そんなような工夫を今後しっかりとすることで、また子供たちがそういったものを読んで、例えば今度の選挙はお父さん、お母さんと一緒に僕も行きたいというふうに言ってもらえるような仕組みというか、そのようなきっかけになるようなことになればよりいいなというふうに思いました。感想であります。以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。今の清水委員の御指摘は大変重要なので、せっかくこういうものを作っても、周知されないと、子供たちの目に触れるような感じにしないと宝の持ち腐れなんですよね。今は特にSNSがありますから、そういうものも大いに使って、こういうものがあるので皆さん読んでくださいよというような周知みたいなものを各政党に努力してもらいたいので、もう本当に御指摘のとおりだと思います。神津委員、どうぞ。
【神津委員】 やはり調査は大事である、ということを改めて感じました。事務局のご努力に感謝したいと思います。
 まず、子供や若者に向けた政策ですが、調査は大事だと申し上げたのは、調査される側が緊張感を持つことが大事だと改めて思ったところでして、日頃から、若者に向けた、あるいは子供に向けた政策集というものが常にあることが当たり前である、ということにつなげていかなければならないので、そういう意味でも、このような調査が折にふれ行われることが非常に大切だと思います。
 アンケートの結果全体をみると、党によっては、本当に落ち着いた意味での、若者や子供に分かりやすく政策を説明するということにまだ到達できていない状況もあるのではないか、と思います。逆に言えば、そういうものがきちんと提示されれば、これは主権者教育にとっても大幅にプラスになると思いますし、子供に分かりやすく説明できるということは、結果的に大人にも分かりやすいものが提示されるということにほかならないので、調査を契機に有権者にとってより分かりやすい理解につながる政策集が作成されるという意味でも、こういう調査は必要であると思います。
 また、投票義務制の調査についても、ある意味、調べることは大事だなと思いました。篠原座長がおっしゃったようなことというのは、私も非常に同じような感じを持っています。全然知らなかったのですが、これを見ると南米の各国というのは、罰則について、罰金も含めてこのような制度を持っていますが、かといって、それらの国々には、必ずしも民主主義がうまく機能していない側面もあります。先ほどの説明の中で、投票義務違反に対する罰則が形骸化している部分があるというようなお話もあったので、チェックが必要だろうとは思いますが、篠原座長がおっしゃったように、わが国はこのままでいくとこういうことも考えざるを得ない、あるいは採用せざるを得ない、という有権者にとってのある種の緊張感のためにも、常日頃からこのような議論や調査は本当に大切だと改めて思いました。
 以上です。
 【篠原座長】 ありがとうございます。
 松川委員、どうぞ。
【松川委員】 アンケートに関して、1点質問と意見を申し上げたいと思います。
 質問のほうは、先ほど清水委員と座長からもお話があったんですが、紙媒体のもので予想よりも立派なマニフェストができているわけですけれども、これがどのくらいの部数作られていて、どういうルートでどこに配布されているかという疑問です。ことなんですが、あまり日常的に見ていないわけで、例えば、これを小学校に配るというわけには現段階ではいきませんでしょう。全部政党がそろわなければとか、公職選挙法上でどうなのか分からないのですけれども、新聞の中に折込のような形で配るという方法も多分取られていないと思うので、具体的にはどういうルートで手に渡っているのかということ。それから、配った先の子供からのフィードバックとか、あるいは保護者からのフィードバックみたいなものを受け取っているのかどうかということをお聞きしたいというのが1点です。
 それから2点目は、アンケートの中にも出ていましたけれども、紙媒体ではなくて、それぞれの公式のホームページに掲げているとか、あるいはSNSで出しているとかということが出ています。るんですけれども、例えばこの紙媒体のものは、一旦作ったら、なかなかすぐに直すということはできないわけですけれども、ネット上で出すものは、例えば選挙に関わっては、いろいろな動きの中で随時変えていくことができるわけですよね。そのとき非常に論点、争点になっているようなものに特化したようなものに書き換えていくというようなことも、例えば若者向けであればできるわけだし、実際にそうやってこれからSNS上で若者に働きかけていく有効な手段としてこういうものが出てくると思われますうんで。すけれども、各政党がこの紙媒体である程度まとまって安定的に、例えば国政選挙ごとに大きなものを出していくということと、それからSNS上で随時出していけるというものをどういうふうに使い分けて組み合わせていくのかということもこれから問題になってくると思うので、その辺についても、今回アンケートではお尋ねになっていないと思うんですけれども、各政党はそれなりにお考えを持っていかざるを得ないと思ったところでございます。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。どの程度の部数を作って、どういう配布をしているのか。手元に本当にどこまで届いているのかということについては、私もすごく疑問に思っているのですけれども、手応えは相当あるみたいです。作って、保護者を含めて、支持者からの手応えはすごくある。だから継続しているんですよ。松川委員の言うように、選挙時以外でもそういうものをネットを中心に、あるいはSNSで子供たちが見られるようにできないかというのは確かに一つの今後の課題だろうと思います。おっしゃるように、政策集を作ったと言うけど、見たことがないと言う人は結構多いんです。だから、自己満足になっているのは困ると思うのですが聞いてみると、やはり支持者からの反応は結構あるんだということです。例えば自民党なんかは、県連とか支部を通じて配っているんだろうと思うんですよね。だから、それを街頭のときなんかにも一緒に配って、例えば子供の登下校のときに駅で、未来の有権者の皆さんといって手渡して、家に持って帰ってお父さんとお母さんが見るような、そういうサイクルだっていいじゃないかと言っているんですけどね。まあその辺は、今後の一つの大きな課題だろうと思います。そういう浸透のさせ方とか、あるいはどういう見せ方をするかとかというふうに、今後また各政党にもお願いしていかなきゃいかんかなという感じはしています。ありがとうございます。
 ほかにどうぞ。どうぞ、植草委員。
【植草委員】 植草でございます。ありがとうございました。非常にためになる資料でした。
 今、座長、松川委員がお話しになったのは、まさに私もそうだと思うんです。こういうものをせっかく作っても、なかなか浸透しない。本当に極論で言えば、もし浸透させるとすれば、学校でどこまで教材化できるかというところが一つかなと思います。どうしても学校というと、政党名が入っているものに対してアレルギーみたいなものが出てきてしまうのですけれども、何もアクセスしない中立性を守るのか、積極的にアクセスしながら中立性を守るのか、その辺の基準というのは、これは例えば文科省なり、各教育委員会なりというところで、こういう場合は大丈夫だよというものが示されれば、多分これが教材化していって、普及していくんじゃないか、そんなふうに考えました。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。それも各政党が全部そろって出してくれるというのが大前提ですよね。一部の政党だけではという感じがいたします。
 ほかに御意見はございますか。どうぞ、田村委員。
【田村座長代理】 資料を頂きまして、とても参考になりました。ありがとうございました。やはりこういう資料は大事だなと思ったのは、実は、ヨーロッパですとEUの中心がベネルクスですから、ベルギー、ルクセンブルク、オランダかどうなのかなというのが最初に気になっていたんですが、ベルギーはかなりきちっとやっていて、これは移民が多いからということもあるのかなという気もするんですが、先端的な民主主義先進国でも、やはり罰金に類するようないろいろなことをやらないと、投票が維持できないという例があるんだなというふうに、そういう目でこの調査を見させていただきましたが、オランダは同じベネルクスでもやっていないみたいですから、何か理由があるのかよく分かりませんけれども。
 日本の場合、こういった例を見た場合に、どっちに行くのかなという、それが大変気になります。もし、こういった制度を導入しないと投票が十分に確保できないとなると、今までのようなやり方、強制でなくて考えさせる、つまり教育でやるという仕組みを考えなきゃいけないのかもしれないので、そういう例として、ベルギーとかルクセンブルク、リヒテンシュタインとか、その辺のところを参考に、資料として私は受け止めさせていただきました。だから、なかなか難しい問題なんだなというふうに思いました。ありがとうございました。
【篠原座長】 ありがとうございます。田村先生が今言うように、これは難しい問題なんですよ。だから、我々としては、今までずっと中間報告でも出してきましたけど、恒常的な主権者教育をどういうふうに拡充強化していくかということが僕は一番大事だと思って、それでも、先進国の中で若者の投票率の低さというのは日本はかなり際立っていますから、それでも投票率も投票の質もなかなか向上しないというようなときには、そういうことも将来的な検討課題になるのではないかという打ち出し方ぐらいはできるかなと思っているんですけどね。
 どうぞ、ほかに御意見を。どうぞ、中村委員。
【中村委員】 先ほど松川委員がおっしゃったように全部の政党がそろって出して配るという形を取らないと、多分今の状況だと、公職選挙法に触れちゃうのか触れないのか、多分期間もあるんだと思うんですね、選挙期間だと完全に触れちゃうんじゃないかとかいう部分がちょっと気になりました。
 それから義務制について、これも私は昔、経済同友会の中で憲法調査会の委員長をやった時代に、国民の権利と義務という、第何条だったか、ちょっと記憶にないんですけど、まさに義務と権利じゃないかという思いを強く感じたときがあって、何しろ権利主張ばかりで、国民としての義務という部分について、その上にある権利のほうがクローズアップされていて、義務のところがすごく見えづらくなっているというか、権利ばかりという世界がちょっと日本には今蔓延しているのかなと、そこのところが気になっている部分が、そのときにすごく感じた部分があったので、やはりこの部分は、先ほどのいろいろな例を見て、これは結局、先ほど座長のおっしゃったとおり、我々が主張する主権者教育推進ということをやった出口として、投票率がまだ上がらないよねといったときにどうするのかということは、10年後ぐらいにもう一回検討する必要がある課題かなとも思いました。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。今の前段の中村委員の御指摘はそのとおりなんですよね。子供が、さっき申し上げたように手に取り、あるいは見て、各政党の政策を読み比べる、そして自分が投票権を持ったら、この政策を通じてこの政党に投票したいなとかいうようなトレーニングが子供の頃からできる一つの材料になるんじゃないかなと思います。先ほど清水委員や松川委員からあったように、これをどうやって子供の手に届けるのか。その辺の周知徹底をどうするかという問題もあると思っています。どうぞ、佃委員。
【佃委員】 大変すばらしい資料で、感心いたしました。先ほど座長がおっしゃいましたように、若者向けというか、子供向けと、それから高校生以上向けとは、これはやはり全然違う資料にすべきだと思います。大人用の分かりやすい、易しい言葉で書いても、これはあまり意味がないんじゃないかと思いました。
 それは、各資料がある一面的なところに重点を置いた自分の主張を繰り返していても、高校生以上だったら、先ほど申し上げましたように、各政党のものをいろいろ読み比べて、自分で論点整理ができる。
しかし子供は、論点整理ができるだけの能力がまだないものですから、子供向けの資料というのは、論点が何かというのをまず俯瞰的に全体像を示してやって、それでその中で自分たちの政党はこの面について強調したい、この面について一生懸命やりたいということを言ってやらないと、何が論点で、何が争点で、何を取捨選択したらいいのかというのが全然分からないというふうに思います。
 ですからぜひ、これはデジタル教科書なんかの議論でもよくありますけれども、今あるものをそのまま子供向けに易しい言葉でというのでは、これは意味がない。ちょうど教科書も、今ある教科書をそのままデジタルにしただけでは意味がない。それから、我々企業でも、働き方改革、リモートの働き方で、今やっている仕事の方法をリモートにそのまましただけでは全く意味がなく、仕事のやり方そのものを変えなきゃいけないなというのが、よく企業の中でも議論されますが、ぜひ、この子供向けの資料というのは、まず俯瞰的な論点整理から入っていただきたい、それでないと子供たちは理解できないんじゃないかというふうな気がします。よろしくお願いしたいと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。今日の皆さん方の議論を聞いていて、こういう子供向けの政策集みたいなものを出して、小中学生の頃から主権者意識を育んでいく、その大きな材料になるんだという共通認識は皆さん大体お持ちで、問題は、それをどういうふうに子供たちに触れさせるか、手に取らせるか。それから、若者と子供の間というのをごっちゃにせずに、分けて対応してもらうべきだとか、それから、各政党がこぞってみんな、少なくとも主要政党が全部出して、それを子供たちが読み比べるというような状況がどうやったら作り出せるのかというようなことで、この辺は皆さん大体共通項の認識だと思うので、そんな方向で最終報告に向けて。
 それから投票の義務化の問題も田村先生からもあったし、中村委員からもあった、皆さんからもあったんですけど、今すぐどうこうということじゃなくて、今の主権者教育をしっかりやった上で、それでもなお足りないというような状況、僕はそれは十分あり得ると思っているんですよ。だから、将来的には義務化ということも視野に入れておく必要があるんじゃないかみたいな将来的な検討課題ではなかろうかというような打ち出し方ができるのかななんて今ちょっと思っていますので、またそれは最終報告に向けて、ドラフトを作る皆さん方に最終的にお諮りをしたい、こういうふうに思っています。
 では、今日の2番目の議題に入りたいと思います。では、事務局から御説明をお願いします。
【石田学校教育官】 それでは、資料3としてお配りしております最終報告案につきまして、御説明を申し上げます。この主権者教育推進会議におきましては、11月に中間報告を取りまとめていただきまして以降、12月7日と23日、そして1月29日の3回にわたりまして、「その他」以外の部分について御議論を頂戴してまいりました。座長と御相談の上、これまでの3回の御議論を踏まえて、最終報告案をお手元に御準備してございます。
 1ページおめくりいただきまして、目次を御覧いただければと思います。
【篠原座長】 ちょっとその前に。今前半で議論したことは、当然これはまだ入っていませんから、それ以外の、今までの、前回までの議論を踏まえた、それと中間報告を踏まえたドラフトでございます。よろしくお願いします。
【石田学校教育官】 大切な所を押さえていただきましてありがとうございます。こちらは「その他」以外の、前半の御議論以外の部分を整理したものでございます。
 目次にございますように、2の(1)に、4、大学での取組の充実、5、主権者教育の担い手となる教師の養成、研修を見通した取組の充実に係る箇所を新設しますとともに、御議論いただきました政治的中立性の担保の関連の話、記述も大幅に入れ、追記をしてございます。
 それでは本文の御説明に入ってまいりたいと思います。中間報告から記述を見直しました主な箇所に下線を引いてございます。まず、1ページ中ほどでございますが、OECDのStudent Agencyの仮訳が公表されましたので、そちらの定義を修正してございます。
 また、前回、中村委員から、ドイツの政治的中立性の取組について御発表を頂戴しました。座長からも、非常に参考になるとの御発言を頂戴しました。その関連の記述を追記してございます。ドイツにおけますボイテルスバッハ・コンセンサスの下での連邦政治教育センターにおける副教材の開発、また、開発した教材についての超党派の議員による監督などの取組があること、我が国においてもこれまでの取組を踏まえつつ、こうした諸外国の取組を参考に、主権者教育の充実につなげることも重要である旨を追記してございます。
 1ページおめくりいただきまして、2ページから3ページにかけて記述を追記してございます。12月の会議の御議論の中で、政治的中立性の担保に関わりまして、小玉委員、川瀬校長、越智理事長から御発表を頂戴し、共通して正解主義からの脱却ということを頂戴したわけでございますけれども、このことに関連して修正を施してございます。
 まず、2ページの2つ目の丸でございますけれども、3行目にございますように、新しい学習指導要領でも、今後の社会変化の一つとしてAIの飛躍的な進化を挙げ、人工知能ではなし得ない人間ならではの強みを発揮できるようにしていくことと。この人間ならではの強みといいますのは、そこから4行ほど下にありますように、答えのない課題に対して、多様な他者と協働しながら目的に応じた納得解や最適解を見いだすといった、人間ならではの強みを発揮できるようにしていくことを求めているということを追記してございます。
 その上で、次の丸におきましては、そのことと同様に、主権者教育で扱う社会的な課題や政治的な課題にも、唯一絶対の正解があるわけではないこと、したがって、主権者教育を推進する上では、この辺りは佃委員からも御指摘を頂戴してございますが、正解が1つに定まらない論争的な課題に対して、児童生徒が自分の意見を持ちつつ、異なる意見や対立する意見を整理して議論を交わしたり、他者の意見と折り合いをつけたりする中で、納得解を見いだしながら合意形成を図っていく過程が重要となることを述べた上で、主権者教育の目指すところは、新学習指導要領が見据えた2030年の未来社会を生きる子供たちに必要な資質・能力の育成とも重なる旨を記載してございます。
 続きまして、少し飛んで恐縮でございます。7ページから8ページにかけてでございますが、主権者教育をめぐる課題の学校教育をめぐる課題というところでございます。学校教育をめぐる課題につきましては、柱を2本立てさせていただきました。1本目の柱は、7ページにございます各学校段階における主権者教育の充実ということで、次の8ページにかけて記述を追記してございます。8ページを御覧いただきますと、各学校段階における主権者教育の充実という点についての御指摘で追記している部分がございます。まず8ページ目の3行目からは、田村先生、中村先生、篠原座長をはじめ、この会議でも御指摘を頂戴しました児童会活動あるいは生徒会活動、ボランティア活動に関わる記述を追記してございます。具体的には、特に児童生徒にとって身近な社会である学校生活の充実と向上を図ることを目指す児童会活動、生徒会活動やボランティア活動などの活動は、主権者としての意識を涵養する上で大変重要であり、これらの活動の充実を図ることが求められるとしてございます。
 また、その下、2つ目の丸は、12月の小玉委員から、高大接続改革に関わって御発表を頂戴したものを踏まえたものでございます。1つ目の丸では、高等学校の学習指導要領は、生涯にわたって探究を深める未来の創り手の育成を重視していること、そこに向けて、「公共」の新設や「総合的な探究の時間」の設置などの教育課程の改善を図っていること。それとともに、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を図ることを整理して示しております。
 それを受けて2つ目の丸でございますが、大学におきましても、高大接続改革の趣旨を踏まえ、高等学校における探究的な学びを通した主権者教育の成果をつなぎ、学生一人一人に主権者としての意識の涵養を図ることが求められること。さらに、主権者教育の担い手となる教師についても、養成から研修を見通した一体的な取組の充実が求められるという記述を追記してございます。
 また次に、現実の具体的な政治的事象を扱った授業についてということでございます。まさに政治的中立性の担保という点に関わりまして、これまで御議論いただいた点を8ページから9ページにかけて整理をしてございます。
 まず、8ページの下から4行目でございますけれども、これは小玉委員から、中間報告の御議論の時点で御指摘があった点でございますが、国が実施した調査結果では、現実の政治的事象についての話合い活動に取り組むという学校が3割強にとどまること、このことは、8ページ目の一番下の行にありますように、昭和44年通知以来半世紀ぶりに見直した平成27年通知において、9ページに参りますが、政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象を扱うことを積極的に行うことを明確化した経緯を踏まえれば、主権者教育を推進する上で重要な課題を示すものであること。これにつきましては、神津委員からもかねてより御指摘を頂戴したものでございますが、その点を明記してございます。
 それを受けまして、9ページの1つ目の丸にありますように、このような課題を乗り越え、各学校において、現実の具体的な政治的事象を取り扱った授業の展開を推進するために、国において求められる取組を、これまでの御議論を踏まえて、ア、イ、ウの3点に整理をしてございます。
 まず、1点目のアでございますけれども、こちらは、前回、連合の清水副会長からも、この点の御指摘がございましたけれども、ともすれば、政治的中立性を過度に意識するあまり、教師が指導に躊躇する現状を乗り越え、学校における指導を実際に充実することが重要である、こういったゴールを明確にした上で、そのための取組として、松川委員、清水副会長からもこの点の御指摘がございましたけれども、各学校や教育委員会に対し、平成27年通知あるいは「私たちが拓く日本の未来」の教師用指導資料に示した考え方の一層の積極的な周知が必要であること、加えて、それだけではなく、実際に各学校の取組の参考となるような具体的な実践事例の収集・開発、横展開が求められるとしてございます。また、特に中村委員からも御指摘ございましたけれども、小中学校の取組が重要であるという点も追記してございます。
 イでございますけれども、こちらは小玉先生、川瀬校長、越智理事長からの御指摘、先ほどありました、教師は生徒に対し常に正解を伝えるものという、いわゆる正解主義を乗り越えて、学びの主体である児童生徒の力量形成に向けた授業改善を推進することが重要であること。そのために、近藤委員、定野教育長からも御指摘がございましたけれども、国による副教材や教師用指導資料の開発が求められること。加えて、中村委員、越智理事長から御指摘がありましたように、NPOやシンクタンク等との連携の推進が求められるという点につきまして追記をしてございます。
 また、同じページの3点目のウでございますけれども、こちらは田村委員、清水委員、川瀬先生からございました家庭の理解というところでございます。現実の具体的な政治的事象を扱った授業の実施には、特に家庭や地域の理解が重要であることを押さえた上で、家庭への周知の重要性について言及をしてございます。
 また、家庭への周知につきましては、次の10ページにも記載を充実しておりまして、2つ目の丸では、主権者教育の重要性についての保護者への普及啓発についての記述を加えております。
 また、3つ目の丸でございますが、前回の会議で篠原座長から御指摘を頂戴しました、家庭における主権者教育を一層推進するという観点から、家庭教育の支援を担当する部署の拡充・強化が重要という点を追記してございます。
加えて、5つ目の丸にありますように、連携・協働に係る地域の多様な主体として、NPOというものを追記してございます。
 次に、同じ10ページの3、メディアリテラシーの育成についての記述の追記でございます。11ページの上にございますように、先ほど冒頭の最初のところでお話を申し上げましたけれども、中村委員からドイツの連邦政治教育センターの取組を御紹介いただいたわけでございますけれども、こういった取組を踏まえて、現実の具体的な政治的事象を扱った有益適切な教材の活用を、ドイツの例を参考にしながら、外部団体との連携により推進することは極めて重要であり、我が国においても、第三者的な立場にあるNPOやシンクタンク等の外部団体において、例えば政党の選挙公約等の政策を比較可能な形でまとめて、学校での主権者教育の実施に資する取組を行うなど、学校に対してデータに基づく客観的な政策評価や社会的課題に関する情報の提供を進めている取組もある。こうした外部団体の取組は、学校の授業において、現実の具体的な政治的事象を取り扱うに当たり、配慮のなされた教材を提供する上で有効であると考えられる。このような観点から、学校、教育委員会における外部機関との連携による適切な教材活用の取組を支援することが求められるとしてございます。この点は、中村委員からの発表、その発表を受けての小玉委員、今日前半でも小玉委員からはこの点に言及いただいておりますけれども、そういった御指摘を踏まえたものでございます。なお、脚注の16というのを同じページに入れてございまして、実は、主権者会議の委員の先生方に御視察いただいた、小原委員の玉川学園の実際の授業でも、民間団体が作成した政党の重点政策・公約の比較表を基に授業を展開する取組がございました。その点も脚注という形で追記をさせていただいてございます。
 次に、13ページでございます。こちらは今後の主権者教育の推進に向けてということで、それぞれ提言をまとめてございます。ここの(1)の各学校段階での主権者教育の充実についての1、小学校・中学校での取組の充実についてということでございますが、ちょっと細かいところで恐縮ですけれども、提言ということで、モデル校での実践研究、副教材や教師向けの指導資料の作成というところの、「以下の観点から、」というところでございますが、後ほど教員の養成研修での活用というのも出てまいりますけれども、この2の児童生徒向けの副教材や教師向けの指導資料というところは、研修だけではなくて養成でも活用できるものを開発していくということを追記してございます。
 また、研究内容につきましては、先ほど申し上げましたとおり、一番下のポツでございますけれども、児童生徒が学校生活の充実と向上に主体的に参画するということが重要であって、そのための児童会活動、生徒会活動やボランティア活動の取組の充実ということを追記してございます。
 同じく14ページで、高等学校につきましても、生徒会活動やボランティア活動に係る記述を追記してございます。
あと、16ページから17ページにかけましては、大学での取組、そして教員の養成、研修を見据えた取組ということにつきまして、記述を追記してございます。
 16ページは大学段階での取組の充実についてといたしまして、小玉委員、小原委員、松川委員からの御指摘を踏まえまして、記述を追記してございます。具体的には、大学の初年次教育における取組など、全学共通カリキュラムでの取組と、高大接続の観点も重要であるという御指摘がございました。また、教育課程外の学生の自主的な取組ということで、教育課程内外で取組を進めていく。例えば大学と自治体との連携により、有志の学生が地域課題の解決に参画する機会を提供する取組などということにつきまして、好事例を収集し、横展開を進めることとしてございます。
 また、17ページ、教員の養成、研修でございますけれども、こちらも小原委員、近藤委員、定野教育長、小玉委員からの御指摘、こういったものを踏まえながら、国における教師用の研修動画の作成、これは小原委員から御提案ありましたとおり、国の独立行政法人である教職員支援機構での作成を想定して追記をしてございます。これに加えまして、教員の養成や研修の場で、これら教材や教師用指導資料、研修動画の活用を推進していくこととしてございます。
 次に、18ページ、家庭における取組の充実ということに関わりましては、かねてより篠原座長からも、その重要性について御指摘をいただいておりますことに加え、先ほど申し上げましたように、田村委員、清水委員、神津委員からも、家庭の理解というのは重要ですということでいただいております。それを踏まえまして、学校における主権者教育の充実の観点からは、家庭の理解と協力が欠かせないということ、また、具体的な提言の2つ目の丸でございますけれども、主権者教育の重要性についての普及啓発を図るといった点を追記してございます。
 また、19ページでございます。これはNPOやシンクタンクに関わる記述を追記してございますが、小玉委員、中村委員、越智理事長の御指摘もございましたとおり、このNPOやシンクタンクとの連携が重要であるということで、提言の中に、NPOやシンクタンク等の提供可能な教育プログラムの情報などを国のデータベースに登録し、学校や教育委員会等が活用できるよう支援するというところを具体的な施策として加えてございます。
 また、20ページでございます。メディアリテラシーの観点でございますけれども、こちらは中村委員の御指摘を踏まえて追記してございます。具体的な提言ということで、NPOやシンクタンク等が提供する政策評価や社会的課題に関する情報を活用した授業づくりなど、これらの団体との連携を通した教育プログラムの開発ということを盛り込んでございます。
 非常に雑駁でございますが、事務局からの説明は以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。どうぞ皆さん御意見を。まだこれで決まりというわけじゃなくて、これはたたき台でございますから、どうぞ御意見を言ってください。
 小玉委員、どうぞ。
【小玉委員】 ありがとうございます。1ページのドイツにおける中立性原則、それから英国におけるシティズンシップ教育、こういった取組を参考にしてというところが今回出てきていて、これはすごく重要なポイントで、特に中立性原則のところで、―中立原則と中立性原則が出ていて、これはどっちかに統一したほうがいいと思うんですけどー特にこの論争性というところが、これは英国のシティズンシップ教育のクリックレポートでもありましたけど、そこを担保するために、連邦政治教育センターというのがあって、これは全政党がそこに関わっているという前半の議論ともちょっと関連するんですけども、そういうものを日本にどういう形で導入できるのかということが今回の提言で盛り込まれているのがすごく重要だと思いました。この1ページで書かれてあることが、11ページのところで具体化されていまして、我が国においては地教行法とか、そういう制度的な立てつけの中で、直接的に現実の政党が、教育の内容や教育の行政に関与するような形にはなっていないという問題もあるので、そこを一つのクッションとして、第三者的な立場であるNPOやシンクタンク等の外部団体が各政党と関わって、そこで政策比較とかを行う。だから、各政党が、このNPOやシンクタンク等の第三者的な立場にある外部団体と関わっていくので、このNPOやシンクタンク等の外部団体が教材作成等のサービスを提供して、教育委員会や学校と関わっていくという、そういう形であれば、日本の教育行政上の枠組みの中でも、ドイツ的な、あるいはイギリス的な枠組みを導入することが可能ではないかというのがこの11ページになっていて、さらに、20ページのところでそれが具体的な提案として落とし込まれているという形になっていると思います。
 そう考えると、特に提案が出たときに、メディアとかがこういうことを提案したというのがうまく取り上げられるような形で、ここを一つの軸として出すことも結構重要かなと思うことを考えると、20ページのところの提言の書き方を、もうちょっとこの部分を強調するような書き方にできないのかなと。現状ですと、モデル校における効果的な指導法の開発となっているんですけど、このモデル校という言い方は、(1)だったかな、各学校の取組というところについては、モデル校というところで全部書いてあっていいと思うんですけど、この(3)については、むしろNPOやシンクタンクとの連携を通した教育プログラムの開発みたいなものを、むしろこの提言の前面に出して、先ほどの11ページのところにあった、現実の具体的な政治的事象を扱うことが可能になるようなことがそれによって可能になるんだみたいな、そういうことも改めてこの20ページのところで書いていただいて、この提言のところにそれが分かりやすく盛り込まれれば、一つの軸として、1ページに書かれてあることが最後の提言にまでつながっていくという形になるのかなとちょっと思ったということで、御検討いただければと思いました。以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。かなり重要な御指摘があったと思うので、また事務局とも相談しながら対応させていただきたいと思います。やはりこのドイツの例を前に持ってきたのは、これは僕はかなり画期的じゃないかなと思っているんです。今、小玉先生がおっしゃったように。ただ問題は、その後のそれにつながる部分ですね。分かりました。神津委員、どうぞ御発言を。
【神津委員】 ありがとうございます。非常に的確に議論経過を取り込んでいただき、随所に補強がされたと思います。
 私からは、8ページの説明でも掲げられましたが、児童会活動、生徒会活動、ボランティア活動、こういったことについて大変重要だと、これらの活動の充実を図ることが求められることは私どものヒアリングにおいても強調してきたところですので、13ページ、14ページの具体論も含めて反映されたことは非常に大事なことだと思います。
 また、9ページ中段の、「中立性を過度に意識するあまり教師が指導に躊躇する現状」も強調してきたところですので、こちらも議論が踏まえられたものと理解します。
 その上で、細かい点も含めて3点申し上げて、できれば検討いただきたいと思います。3ページの上から3行目、4行目の「新学習指導要領の下で」について、原文は今、「子供たちに、これまで以上に主権者として必要な資質・能力を確実に身に付けさせていくことが喫緊の課題」、となっていますが、これは、基本的な今回の議論の打ち出しからすると、やはり子供たちが主体的に身につけていく、とした方が良いのではないのかなと。「新学習指導要領の下で、子供たちがこれまで以上に主権者として必要な資質・能力を確実に身に付けていくことが喫緊の課題」と。細かい表現の違いですけども、ニュアンス的にはそのほうが良いのではないでしょうか。実際に高校生ぐらいになったらこのぐらいのことを自分から読んでほしい、という気持ちも含めてです。
 2点目は、10ページの、関わる主体についての表現で、2の上から5番目の○で、学校、家庭、地域、企業、にNPOを加えていただいているのは、非常に大事なことであると思います。そこで、この多様な主体の連携・協働というのは、一つのキーワードだと思いますが、同じ主体について触れているところの18ページ、19ページ、ここにはNPOが入っていないので、例えば18ページの上から6行目のところ、「その際、学校、家庭、地域、企業」、も全部統一して、一連の連携すべき主体ということでNPOも入れていただいたほうが良いのではないか。19ページの2つ目の○のところも同様にしたほうが、統一感を含めて良いのでは、と思います。
 前後して申し訳ありませんがもう一点、13ページですが、枠囲みの中の提言の「モデル校での実践研究、副教材や教師向けの指導資料の作成」の具体的な表現のところで、「以下の観点から、」云々とあって、「指導資料の開発を行う」とありますが、細かい表現の話ですが、このタイトルにあるように、作成ということに踏み込んでいくということでしょうから、「開発・作成」とするか、あるいは「作成」に置き換えるのか、その方が読み手にとってもストレートに入ってくるのではないか、と思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。随所に補強がされたところは非常に的確に議論経過を取り込んでいただいたと思います。
 特に私のほうからは、8ページのところの説明でも掲げられましたけれども、児童会活動、生徒会活動、ボランティア活動、こういったことについて大変重要だと、これらの活動の充実を図ることが求められる。これは私どものヒアリングにおいても強調してきたところでありますので、13ページ、14ページの具体論のところも含めて反映をされたところは非常に大事なことだと思います。
それと、9ページのところの真ん中やや上のところの、「中立性を過度に意識するあまり教師が指導に躊躇する現状」、ここら辺りも強調してきたところですので、これについても非常に議論が踏まえられたものとして理解しておきたいと思います。
 その上でなんですけど、ちょっと細かいところも含めてになりますけど、3点申し上げて、できれば検討いただきたいと。3ページのところで、上から3行目、4行目なんですけれども、「新学習指導要領の下で」、原文は今、「子供たちに、これまで以上に主権者として必要な資質・能力を確実に身に付けさせていくことが喫緊の課題」、これは、基本的な今回の議論の打ち出しからすると、やはり子供たちが主体的に身につけていくというふうにしたほうがいいのではないのかなと。「新学習指導要領の下で、子供たちがこれまで以上に主権者として必要な資質・能力を確実に身に付けていくことが喫緊の課題」と。まあ、細かい表現の違いなんですけども、ニュアンス的にはそのほうが、実際に高校生ぐらいになったらこのぐらいのことを読んでほしいなという気持ちも含めてです。
 それから2点目は、10ページのところを見ていただければ、関わる主体についての表現で、ちょうど2の上から5番目の丸で、学校、家庭、地域、企業、それでNPOというものを加えていただいているというのは、これは非常に大事なことだと思います。それで、この多様な主体の連携・協働というのは、一つやはりキーワードだと思うんですが、同じ主体について触れているところの18ページ、19ページあたり、ここはNPOが入っていないので、例えば18ページの上から6行目のところ、「その際、学校、家庭、地域、企業」、これはもう全部統一して、ここもNPOというふうに、一連の連携すべき主体ということで合わせてNPOも入れていただいたほうがいいのかなと。19ページの2つ目の丸のところも同様にして、そういうことにしたほうが、統一感を含めていいのかなと思います。
 ちょっと前後して申し訳ありませんが、あともう一つだけ、13ページのところなんですが、枠囲みの中の提言の「モデル校での実践研究、副教材や教師向けの指導資料の作成」とあって、具体的な表現のところで、「以下の観点から、」云々とあって、「指導資料の開発を行う」とあるんですけど、これもちょっと細かい表現の話なんですが、開発ということももちろんあるんでしょうけど、このタイトルにあるように、作成ということに踏み込んでいくということでしょうから、「開発・作成」というのか、あるいはもう「作成」ということに置き換えるのか、そのほうが読み手にとってもストレートに入ってくるのではないかというふうに思いました。
 私のほうからは以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。今御指摘のあった点を踏まえて、また事務局と相談させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 では清水委員、どうぞ。
【清水委員】 私のほうからは、18ページの1の家庭における取組の充実の中の提言のところになるのか分かりませんが、ちょうど今日、前半で皆さんと協議しました各政党の政策集、例えばそういったものも提言の丸3つの中のどこかに、例えば各政党の政策集なども収集し、各家庭で横展開を図るとか、せっかくですので、何かそのようなことも付け加えるといいのかなというふうに思いました。
 意見です。以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。この点もまた事務局と相談させてください。ほかに御意見ございますか。どうぞ、植草委員。
【植草委員】 植草でございます。18ページの家庭・地域における主権者教育の充実についてというところでは、結構学校との連携ということを家庭教育の中に盛り込んでいるんですけれども、ただ、13ページの小中学校の充実についてのモデル校授業等について、学校と家庭との、学校からの働きかけとかそういうものがここのほうにも少し入っていてもいいのかなと。要するに、学校サイドとすると、やはり最初に目につくのは、小中学校の取組の充実についてとか、高等学校の取組の充実についてというところを学校の教員とか設置者は見ていくと思うので、そこの中にもやはり家庭と連携するというところを盛り込んでいく必要があるのかなというふうに思います。二重になってしまいますけど、それが必要かなと。
 それと、前半の議論とも重なるんですけれども、11ページの真ん中あたりに、「例えば、政党の選挙公約等」云々というのがあります。そういう具体例をデータ化してというところで、そういうことがここにせっかく書いてあるんですけれども、14ページの高等学校の充実のところでは、そういう政党へのアクセスとかというところは入っていないので、せっかく前半にもああいう議論があったので、そういったところを盛り込んでいくと、よりその辺が、政党にアクセスするというところが1つ可能になるのかな、ワンステップ上がるのかなという感じがしました。
 以上です。
【篠原座長】 どうもありがとうございます。今の点もまた踏まえて検討させてください。要するに、小中と高校生というのはやはりあると思うんですよね。だから、その辺を切り分けるのか、両方を包むのかというので、さっきの子供向けなのか、若者向けなのかというのがあるので、その辺はまた検討させていただければと思います。ありがとうございます。どうぞ、中村委員。
【中村委員】 「はじめに」の2ページのところで、正解が一つではないという部分について、せっかくこの「はじめに」のところでうたっているにもかかわらず、例えば、先生たちが、今までは正解を求めて点数をつけるということをやってきたんだと思うんですね。正解がないわけですから、幾つもあったり、なかったりということもありますので、こういう授業があるというプレッシャーになるんじゃないかと。前回の日教組の先生も、そういう部分のプレッシャーみたいな躊躇する世界があったと。その点ぜひ、学習指導要領の中に、こういう正解がないこともあるんだよということをしっかり入れてあげると、先生たちの負担が随分軽減できるんじゃないかというふうにちょっと感じましたので、ぜひそういう部分が、せっかく初めにうたってあるんですけども、学習指導要領の中にそういうことをしっかりうたうということが大事になってくるんじゃないかなというふうにちょっと感じました。以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。その点も重要な指摘だと思いますので、また検討させていただきたいと思います。ほかにございますか。
 ちょっと私から、10ページ目の3つ目の白丸、「家庭における主権者教育を一層推進するため、家庭教育の支援を担当する部署の拡充・強化が必要である。」とありますよね。
【石田学校教育官】 はい、あります。
【篠原座長】 そこに、今も文科省の中のどこの局かな?
【石田学校教育官】 地域学習推進課です。
【篠原座長】 地域学習推進課の中にあるんだよね、家庭教育の担当する部署が。そうでしょう。
【横井地域学習推進課長】 はい。
【篠原座長】 だから、それにとどまらずに、もう少し組織全体で家庭教育に取り組むような拡充・強化が必要じゃなかろうかという打ち出し方なんですけども、1つ足りないと思うのは、今、子供家庭庁みたいなものを創ったらどうだという議論が出ていますよね。だから、そういうものが実現するときは、その中に家庭教育という部局をしっかりと組み込んでもらいたいというようなことをもうちょっと踏み込んでここに記述をしたらどうなのかなというふうに思います。これはまた相談させてもらいたいと思います。ほかに。松川委員、どうぞ。
【松川委員】 17ページなんですけれども、前回のときに教師の養成、研修で申し上げるべきだったかと思うんですけれども、ここでは教職員支援機構が開発する研修動画を配信するというようなことが書かれているんですが、養成の場面での活用場面としてこれこれと書いてあるんですが、既にもう先生になっている人の研修場面としては、一番大きいのは、10年ごとに行われます教員免許状更新講習というのが、幼稚園から高校まで大勢の先生が受ける義務的な研修になっているわけで、そういうところの例えば必修とか必修選択領域の中でやっていただく必要があるのではないかと思うのです。主権者教育というと、ともすれば高校段階の先生を中心に考えられがちなので、小学校でも中学校でも主権者教育というのが行われなくてはいけないわけですので、そういう意味では、そういう機会の活用みたいなことも言及していただけるとありがたいかなと思いました。以上です。
【篠原座長】 確かに、実情を踏まえればそういう表現の仕方というのは必要なのかなという感じがいたします。またこれも後で今後に向けて相談させていただきたいと思います。ほかにどうぞ。まあ今日はドラフトですから、今皆さん方からいろいろ御意見いただいたようなこともできるだけ反映させながら、最終報告に向けてつくり上げていきたいなと思っていますけど、田村先生、何かございますか。
【田村座長代理】 とてもよくできていると思います。
【篠原座長】 佃委員、どうですか。
【佃委員】 よくできていると思います。
【篠原座長】 事務局からいろいろ今お話あった中で、今の段階で答えられるものがあれば、お答えしていただけますか。
【石田学校教育官】 御指摘いただいた点は、また座長と御相談させていただきながら進めてまいりたいと思います。神津委員はじめ様々頂戴しましたように、急いで作ったものですから平仄が合っていないところもございました。そこはしっかり合わせてまいりたいと思います。また、モデル校の取組の書きぶりでありますとか、NPO、シンクタンク等の書きぶり等、様々な御指摘を頂戴しました。これも座長と御相談しながら最終報告にまとめていきたいと考えてございます。以上でございます。
【篠原座長】 塩見審議官、何かありますか。いつも聞いているばかりじゃ大変でしょうから。
【塩見大臣官房審議官】 本日も大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。感想めいたことになりますけれど、主権者教育の目指すところというのは、新しい学習指導要領で追求しようとしている社会の未来の担い手をつくっていこうということで、本当に直に重なる話だと思っておりますし、それがなかなかこれまでいろいろな制約があって、学校の中で思うように進んでいなかったということは御指摘のとおりだと思っております。そこをしっかり見据えて、どうすればこれが学校教育の具体的な改善につながっていくのかという点、様々な具体的な御指摘や御提言も今回頂戴しておりますので、この報告をしっかり受け止めて、我々としてもまた努力していきたいと思っておりますし、また、次回におきまして、ドラフト案の修正につきましてもしっかり取り組ませていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。委員の皆さん、何か御意見、最後にありますか。よろしいですか。 では、少し早めですけれども、田村委員、何か一言最後にいただけますか。
【田村座長代理】 私なりに主権者教育というのは非常に重要な教育だというふうに思っているんですが、つまり、自分の人生は自分が決めるという基本的人権の考え方の発露なんですね。学習指導要領というのは、どちらかといえば教え込むというか、ルールを知らせるというか、一定の長い年月をかけてつくり上げてきた学問体系を順序よく知らせていくという、だから、どうしても教え込むというところが中心になってくるんですけれども、主権者教育になると、正解が1つではないということで表象されるように、どうしても、自分で考えなきゃいけないという、そこのところが実は日本の教育で一番弱いと言われていたところなので、そういう意味で、非常に重要だということはどこかで強く主張していただきたいというふうに思っております。教育にとって、特に日本の教育にとっては、これはとても大事なテーマなんだということですね。それが全体を通して伝わってくるんですけれども、どういうふうに表現したらいいかちょっと分からないですが、そんな思いをいつもしてこの会議に参加していたものですから、どうぞひとつよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
【篠原座長】 どうもありがとうございます。では、そういうことで御意見を皆さんにいただいて、いろいろありがとうございます。またそれを踏まえまして、最終報告に向けて、さっきの最初の「その他」の部分の2つのテーマについてもまた盛り込まなきゃいけないものですから、また私と事務局のほうで相談させていただきたいと思っております。それでまた次回の会議にその案を皆さん方に御提示をいたしまして、そして御議論、御意見を伺いたいというふうに思っております。
【石田学校教育官】 では最後に事務局のほうから申し上げます。次回第19回の日程は改めて御連絡をさせていただきます。貴重な御意見をたくさん頂戴しまして、ありがとうございます。委員の先生方におかれましては、次回の会議までに一度、本日頂戴しました御意見を踏まえた修正案を、座長と御相談の上、お送りしたいと考えております。その旨、御承知おきいただければと考えてございます。事務局からは以上でございます。
【篠原座長】 まだ定刻になっておりませんけども、これにてこの会議を閉じさせていただきたいと思います。ではまた、会合に向けて作業をして御提示をいたしますので、よろしくお願いいたします。どうも本日はありがとうございました。

―― 了 ――
 

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