主権者教育推進会議(第11回) 議事録

1.日時

令和2年8月7日(金曜日)

2.場所

文部科学省(旧文部省庁舎2階) 文化庁特別会議室

3.議事録

【篠原座長】 今日はメンバー11人の中で2人がウェブで参加。神津会長と松川委員ですね。あとの方はこちらに対面でお越しいただいています。
 本日の会議は、新型コロナウイルス感染症対応の観点から、組合せ方式、対面とウェブということでやらせていただきます。佃委員が今日、御欠席のため、11名中10名の委員の皆様に御出席をいただいております。御多忙の中、ありがとうございます。近藤区長もなかなかお忙しいところで、こちらにお出かけになる時間も難しいところ、よくいらっしゃいました。ありがとうございます。今日はどんどん発言してください。
【近藤委員】 ありがとうございます。
【篠原座長】 なお、本日はコロナ感染症対策のため、傍聴者は別室にて会議の様子をリモートで視聴することになっております。
 それから、本会議につきましては報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知いただきたいと思います。
 まずは本日の議題に入る前に、文科省で異動があったということなので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【石田学校教育官】 今、遅れてございますけれども、初等中等教育局長に瀧本が着任しております。また、オブザーバーとして御参加いただいています総務省自治行政局選挙部管理課でも異動がございまして、清田管理課長に御出席いただいています。
【清田選挙部管理課長】 よろしくお願いいたします。
【石田学校教育官】 以上でございます。また、瀧本が参りましたら御紹介いたします。
【篠原座長】 瀧本さんがいらっしゃったら、また途中のタイミングのいいところで御挨拶を頂ければと思います。
【石田学校教育官】 はい、御紹介いたします。
【篠原座長】 それでは本日の配付資料について、事務局から説明と確認をお願いいたします。
【石田学校教育官】 引き続きよろしくお願いいたします。座長から御紹介がございましたように、前回に引き続き、本日も対人とウェブ会議を組み合わせた方式で開催させていただきたいと存じます。
 ウェブ会議と組み合わせた方式で行いますということで、前回同様、4点お願いしたいことがございます。1点目は、御発言に当たりましては、インターネットで聞き取りやすいようにゆっくりはっきり御発言を頂くということ。2点目は、御発言の都度、名前をおっしゃっていただけましたら幸いでございます。3点目は、ウェブで御参加の先生につきましては、御発言以外はマイクをお切りいただくこと。また、4点目は、御発言に当たって、手を挙げるボタンをウェブ参加の方は押していただき、会場にいらっしゃる方はいつものように札を立てていただく御配慮をいただけるとありがたく存じます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 それでは資料の確認を申し上げたいと思います。資料は議事次第にございますように、資料1から資料4-2までお配りしております。本日、資料3として、総務省様から国政選挙における年齢別投票率の状況についての資料をいただいております。前回会議の中で話題となりました東京都知事選の状況ということがございました。ただ、こちらにつきましては、今、都の選挙管理委員会で集計しているところでございまして、本日は国政選挙における年齢別投票率の状況ということで、過去3回分について資料にまとめたものを御用意いただいているところでございます。後ほど、総務省より御説明いただく予定でございます。また、委員の皆様方のお席には机上資料として、これまでの配付資料をファイルとしてお配りしてございます。不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。
 以上でございます。
【篠原座長】 まあ、札は立てても、立てなくてもどちらでも。これだけの人数ですから結構ですから。あまり札を立てることにこだわりませんので、やってください。
【石田学校教育官】 そうですね。承知しました。
【篠原座長】 では、資料は皆さん、届いていますか。大丈夫ですか。不足のものがありましたら。大丈夫ですね。
 それでは議事に入らせていただきます。ここでまた事務局から。前回の主な意見などについて、前回というのはいつでしたっけ。
【石田学校教育官】 7月でございます。第10回でございます。
【篠原座長】 10回の意見などについて、事務局から御報告をお願いします。
【石田学校教育官】 引き続き失礼いたします。資料2を御準備いただければと思います。前回までの主な意見ということで整理してございます。
 まず3ページをお開きいただければと思います。こちらのページは主権者意識の涵養に関する御意見をまとめたものでございます。上から4つ目のポツを御覧いただければと思います。主権者教育で一番強調されているのは、具体的な政治的事象を正面から取り上げるところであると。一方で、前回御紹介しました令和元年度の調査ではそこが一番低い実施の割合になっていると。ここが重要な課題ではないかという御指摘を頂戴してございます。
 関連して、次のポツの2行目の後ろのほうでございます。具体的な投票行動に至るまでには地域課題や政治課題について自分の意見を形成する過程が重要であるので、地道に小学校段階からこういう経験を重ねていくことが重要であるという御指摘を頂戴してございます。
 続いて11ページでございます。学習内容や指導方法に関する御意見の部分でございます。上から3つ目、学校段階の接続に関することで、小・中学校段階では主権者教育についての知識や意識の双方が大事であると。例えば、自分の考えが世の中を変えるのだといったところを小学校段階から位置づけていくといいのではないか。こういう接続に関わる御意見に加えまして、内容に関する御意見で次のポツでございます。小・中学校の時から国政レベルの話をするのではなく、身近な自治体レベルまたは学区の範囲の中での身近なことをテーマにすることとしてはどうか、こういう御意見を頂戴してございます。
 加えまして、4つ下のポツでございます。これは現状を踏まえた御指摘ということで、カリキュラムが非常に厳しいと。特に小・中学校のカリキュラムが非常に厳しい現状を踏まえて、それぞれの教科の中にこの主権者教育をどう絡めていくか、こういう視点も大切ではないかとの御指摘を頂戴しております。
 その具体策についても幾つか提言を頂戴しておりまして、次のポツの2行目でございます。総合的な学習の時間あるいは道徳において権利と責任、あるいは公益と私益というものを扱ってはどうかということ。また、クロスカリキュラムという御指摘もその次にございました。
 加えて、12ページに参りまして、2つ目と3つ目でございます。生徒会活動、児童会活動、ボランティア活動、こういったところで主権者意識の涵養あるいは社会参画の意識を涵養していくことも大事ではないかということ。また、これまでの会議で御報告いただきました中で様々な好事例がございましたけれども、この好事例を横展開していくこと、こういう観点も非常に大事ではないかという御指摘を頂戴してございます。
 続いて次の13ページでございます。こちらは主権者教育を進めていく上で基盤となる資質・能力でございます。1つ目の黒ポツにありますように、権利と責任、公益と私益のバランスをどう取っていくか。こういう思考や判断のプロセスが大事なのではないかということ。2点目は、立場や状況が変われば異なる視点で考えたりすると。こういう多面性について、小・中学校の時から教えていく必要があるという御指摘。また3つ目の黒ポツにございますように、主権者意識の中身は、アリストテレス以来言われている共通善をいかに意識させるかということが大事ではないか。こういうものに小・中・高の様々な場面、様々な教科で触れていくことが大事ではないかとの御指摘がございました。
 続いて、メディアリテラシーの御指摘でございます。次の14ページ、下の2つの黒ポツでございます。情報が氾濫している状態、あるいは様々な情報源がある中にあって、情報を選択し判断していく力を子供たちにどうつけていくかということが、主権者教育を進める上での肝なのではないかという御意見を頂戴しました。
 さらに家庭教育との連携に関わりまして、18ページでございます。いろいろ飛んでしまって恐縮でございます。地域との連携が書いてあるところの上の2つのポツでございます。現在、大人社会においても主権者教育を受けた実感のない人が多いのではないかと。やはり大人社会も含めて、親子ともにその場で体験させるような時間を確保していくことが大事ではないかとの御指摘を頂戴したところでございます。その他、地域との連携でありますとか教員養成、教員研修をしっかりやるべきではないかというような御指摘も頂戴したところでございます。
 主な意見の紹介は以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 先ほど石田さんから説明がありました国政選挙における年齢別投票率の状況について、まず総務省より御報告をお願いいたします。
【清田選挙部管理課長】 総務省の選挙部管理課長をしております清田と申します。お手元に資料3、国政選挙における年齢別投票率の状況ほか、3枚の資料を用意させていただいております。
 まず1枚目の年齢別投票率の状況の資料を御覧いただければと思います。折れ線グラフが3つございます。赤の点線が平成28年の参議院議員通常選挙、青の折れ線が平成29年10月に行われました衆議院の総選挙、また緑の折れ線が昨年行われました参議院通常選挙の年齢別の投票率の状況でございます。18歳に選挙権が引き下がった後の3回の国政選挙における投票率の状況でございます。
 下の米印にございますとおり、28年の参院選、29年の衆院選の18歳、19歳の数値については全数調査の数値でございますが、総務省の統計上、通常この年齢別については抽出調査という形で行っておりまして、その他は全て抽出調査の数値でございます。
 下にそれぞれ数値と折れ線グラフを御覧いただければと思いますが、平成28年の参議院ですと、18歳の投票率が51.28%でございました。また19歳は42.30%でございました。翌年、1年3か月後になりますが行われた衆院選ですと、これが47.86%、33.24%になっておりまして、さらに昨年の参議院では35.62%、28.83%でございます。全体の投票率も右にございますとおりそれぞれ54.70%、53.68%、48.80%となってございます。
 投票率の状況については、傾向として平仮名の「い」の字といいますか、20代前半が一番低く、それから投票率が上がっていき、80歳以上が落ちてしまうという状況でございます。28年の参院選は18歳、19歳の投票率がその後の2回の選挙と比べると高い状況でございましたが、他の年齢層と比べるとその落ち込みが少し大きいところが特色としてあるのではないかと捉えております。
 続きまして、次の2枚目の資料でございます。都道府県別の国政選挙における10代及び全体の投票率でございます。こちらは全て全数調査ということでございますので、昨年の参議院については、10代の数値は抽出しか持ち合わせていない状況でございまして、全体のみを記載させていただいております。
 例えば28年の参議院選挙で申し上げますと、それぞれ県別、これは投票率も従来の状況もでございますが、かなり違いがある状況でございます。例えば平成28年の参院選ですと、10代の投票率が一番高かったところは東京都の57.84%、逆に一番低かったところは高知県の30.93%でございました。平成29年の衆議院選挙になりますと、10代で一番高かった県は山形県、10代で一番低かったところは31.59%の徳島県でございます。このように、県によってまた状況が異なっているのがこの表でございます。
 続きまして3枚目でございます。御指摘がありました東京都の知事選挙、先月行われましたが、まだ年代別の推定投票率が都選管では出されていない状況でございますので、ここでは今回、前回、前々回とありますが、実質的に前回、前々回、さらにその前と、3回分の状況でございます。18、19歳という点でいえば28年の都知事選のみという状況でございます。ここに全体の投票率の記載がございませんが、例えば28年7月ですと投票率は59.73%が全体の投票率であったと伺っております。その中で18歳が51.83%、19歳が43.65%という推定投票率だったと。この傾向については、先ほどの国政と同じように「い」の字になっている状況でございます。
 また、26、24はそれぞれグラフがございますとおりでございます。平成26年は全体の投票率が46.14%と、28年と比べると低かったということで全体的に投票率が低いと。一方、24年12月については投票率が62.60%と高かった状況でございます。ちなみに24年12月は衆議院選と同日の都知事選だったというような影響もあるかと思います。また、26年については大雪の次の日の選挙であったというようなところも伺っているところでございます。
 以上、投票率の状況についての資料でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 また、今年、この7月の都知事選挙の状況について分かり次第、またこの会で御報告いただけますか。
【清田選挙部管理課長】 東京都からは9月ぐらいに……。
【篠原座長】 9月ぐらい。
【清田選挙部管理課長】 公表できるのではないかと伺っております。
【篠原座長】 そうですか。よろしくお願いします。
 ではこれから次の議題に移りたいと思います。中間報告を10月か11月ぐらいに一応まとめて、来年の春、最終報告という段取りを今、描いておりまして、前回はその中間報告取りまとめに向けての、各学校段階での主権者教育の充実・取組について御議論をいただきました。本日はもう一つの柱である、家庭や地域における主権者教育の推進をどう進めていったらいいのかと。推進をどういうふうにしていったらいいのかということについて意見交換をしていただきたいと思います。学校段階のことでまだ私は言い足りないことがあるからということであれば、どうぞ別に今日のテーマに限らず、幅広く御意見をいただいても結構でございますので、取りあえず今回は中間報告に向けての家庭・地域というところを重点に進めさせていただきたいと思います。
 では事務局より御説明をお願いします。
【水田地域学習推進課長】 地域学習推進課長の水田でございます。
 資料4-1を御覧いただければと思います。この資料4-1につきましては前回の会議資料と同じものでございます。そのうちの2番目にあります「家庭や地域における主権者教育の推進」について御説明させていただきます。
 資料4-2を御覧ください。ただいまの資料4-1にありましたように議論の柱と、論点例としてございます。子供たちの主権者意識を涵養するためには人格形成の基礎が培われる幼少期から取り組むべきではないか、子供たちの意識を涵養するためにもまずは親や大人から始めるべきではないか、等の指摘もある。このため、保護者も含めて家庭における主権者意識の醸成に向けてどのような取組や支援を行うことが考えられるのか。また、社会全体で主権者教育を推進するため、地域においてはどのように学校や家庭と関わったり支援したりすることが考えられるか、としております。
 具体の例としましてはさらにこれを3つに分けておりますので、順次御説明いたします。
 まず1つ目は、家庭教育の取組といたしまして、子供たちの主権者意識を涵養するには、人格形成の基礎が培われる幼少期から、家庭において社会との関わりを意識する機会を増やすことなどが考えられるが、そのためにどのような取組や支援が考えられるか、とさせていただきました。
 これまでの主な御意見としまして、全体は先ほどの資料2にございますけれども、幾つか抜粋させていただいております。まず、家庭は全ての教育の出発点であるということ。保護者と一緒に選挙に行くことは子供の将来的な投票行動につながるということ。新聞というメディアを媒介して、家庭で、争点のある課題について親子間で話し合ったり意見交換したりするなど、家庭におけるNIEにもっと力を入れていただきたいということ。生徒が主権者教育に関わる活動をするところを保護者が見ることの意義という視点から、家庭との連携を捉えるべきということ。保護者向けの講座において、家庭で投票について考えること等を取り入れることは、子供の学習だけでなく親の学習としても大切であるということ。家庭の姿が変化し、必ずしも親子でない世帯も増えており、職場や地域といったことを含め、重層的に考えていく必要があるということなどがございました。
 2つ目に地域の取組といたしまして、身近な地域の課題などを知り、地域の構成員の一人としての意識を育むためには、地域の資源を活用した教育活動、体験活動や地域行事等に、将来の主権者の一人として主体的に参画できる機会を増やすことが重要と考えられるが、そのためにどのような取組が考えられるか、ということで設定させていただきました。
 これまでの御意見としましては、学区の活動としてのイベントで、活動の中身自体を子供たちと一緒に考えて行うと、子供たちに主体的な考えが生まれるということ。まずは社会に対してどう関心を持たせるかというところが第一歩であり、区民だよりを題材にしている例もあり、身近な行政とのタイアップには意味があるということ。学校の所在地である区をどうするか、こういったことをテーマに区長と生徒たちが直接議論する取組も効果があること。小・中・高等学校と大学との連携も大事だということ。町内会の方と児童等が一緒になって、何か地域のことについて考え、子供たちの考えたことを町内会の活動に反映させると、子供たちの意欲がものすごく高まるということ。イベントのボランティアだけでなく、事前の会議に中学生が理事として出席もして運営に携わると、子供たちの自信につながったり、地域の一員としての意識の高まりにつながったりするということ。地方公共団体との連携は自分の住んでいる町や市についての状況を具体的に知るために重要だということ。こういったことがございました。
 最後に3つ目でございます。学校・家庭・地域など様々な主体との連携・協働ということで、地域において社会全体で主権者教育を推進する機運を高めるためには、学校・家庭・地域・企業などの連携が重要と考えられるが、そのためにどのような取組や工夫が考えられるか、また留意すべき点は何か、ということで設定させていただきました。
 これまで御意見でございますが、公立小・中学校と高等学校は所管する行政が異なるため、調整が必要であるということ。家庭教育と学校教育をどう関連づけていくかが課題であり、例えば学校であるテーマを設定し、そのテーマについて週末に家で子供と保護者が話し合ってきて、月曜日にレポートや口頭で発表するといった取組もよいということ。選挙管理委員会の人を招いて模擬選挙を行うだけでなく、税理士を招いて租税や財政について学ぶなど、社会に関わる学習の充実が重要であるということ。市の職員が出前授業をしたり、選挙の際に各投票所の選挙事務に生徒を参加させたりするなど、地域の協力が重要であること。企業も地元の地域社会での活動に関わって行くことが大切であること。地域住民参加型の多様な活動の実施や、地域の多様な人材を構成員としたネットワークの構築、子供の生活習慣づくりの推進等の活動の中から主権者教育を広げていくこともできるのではないか。こういった意見などがございました。
 簡単でございますが、以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 本日は、今、説明があったように、家庭・地域における主権者教育を一つのメインのテーマで皆さん方から御意見をいただきたいと思います。ちなみに、次回はメディアリテラシーの問題だとか、その他ですね。その他というのはどういうことかというと、例えば選挙そのものへの関わりの問題だとか、教員養成や教員研修をどうするのだとか、あるいは政治的中立性を教育現場でどう保つのかとか、いろいろ厄介な問題がこの主権者教育には絡んでおります。そういうところについても少し議論をしたいと思っております。
 という流れを頭に入れていただいた上で、これから議論をお願いしたいと思います。どうぞ御発言をされる方は、ウェブの場合は挙手? ウェブはどうするの?
【石田学校教育官】 発言ボタンを押していただく形になりますので。私どものほうからお伝えします。
【篠原座長】 では、こちらにいらっしゃっているほうは、もう挙手でも札でも何でもいいですから。対面のほうは。ではよろしくお願いします。どうぞ、どなたからでも。
【中村委員】 では。
【篠原座長】 どうぞ、中村委員。
【中村委員】 先ほどもちょっとお話をしかけた部分があって、まさに家庭教育という部分では、今までは家庭を見ても、お父さんやお母さんがなかなか帰ってこないとかいろいろなことがあるのですけれども、今、家庭にみんな閉じ籠もっていて、絶好のチャンスなんですね。全くコロナの中で。そして、話題は豊富だと思うんです。このコロナをどう感染防止なのか、経済再生が優先するのかとか、いろいろな話題が非常に家庭内でそういう論議をしてもらうチャンスなんです。ただ、ぼうっと過ごすのはもったいない気がして、それをどう仕掛けていくかというのが、本来の主権者教育との筋道とはちょっとかけ離れる部分があるのですけれども、何か緊急提言みたいな形でそういうこともあっていいのかなと。そういう感じがしております。
【篠原座長】 ありがとうございます。緊急提言ということで申し上げますと、この間、主権者教育推進会議として緊急アピールを出しました。今、中村委員がおっしゃったような趣旨が大体入っていると思います。
【中村委員】 そうですか。
【篠原座長】 そういうことで、どの程度反響が。どうなんですか、反響は。あまりないですか。
【石田学校教育官】 そうですね、今のところ情報は入っておりませんが、大切な御指摘だと思います。
【篠原座長】 本当に、今、中村委員のおっしゃったとおりなんです。
 どうぞ、ほかに。どうぞ、北川委員。
【北川委員】 家庭と地域ということで、日本PTA、北川でございます。
 まず、この3点について分けてお話ししたいと思います。
 家庭教育の取組ということで、保護者である我々大人が主権者教育を理解し、家庭で折に触れて話題にしていくことが大切だと思います。食事や団らんにおいて話題づくりを心がけるようにしたいものです。また、投票所に一緒に足を運び、主体性を持ち、政治に参加することが大切なことを身をもって体感できるのではないかと思います。これは前の発言にもあったかなと思っています。
 次に地域の取組のところでございます。この世の中が何事においても日本では民主的に進められていることを知るには、公民館活動やPTA活動などの社会教育活動に積極的に参加することもその一つだと思います。そして、その仕組みやその成り立ちが身についてくるのではないかと考えます。例えば夏祭りや盆踊り一つを取っても、その準備段階から大人と子供が一緒に企画し、作り上げていく。そのプロセスの中で意見の対立や意識の違いを知り、主権者意識の醸成につながると考えます。
 最後に、前回の学校においてとの関連にもなるのですが、学校・家庭・地域の連携・協働というところでございます。近年、コミュニティ・スクールを含めた学校運営協議会、地域学校協働本部の設置が進められております。家庭・学校・地域の大人が、社会総がかりで子供を見ていこうというものです。その中で、保護者や地域の方々が学校での授業または土曜授業を受け持って話をする機会があります。前回会議で意見を述べさせていただいたように、租税教室における納税団体と同じく、主権者教育に特化したカリキュラムを先生以外の方が考え、行っていってもいいのではないかという思いでおります。その租税教室では、各団体が趣向を凝らしてパワーポイントや1億円のダミーの入ったジュラルミンのケースなども利用して、インパクトがあり、お金や税についての講義を楽しく行っているんです。その取組のコンクールもあるほどで、ある程度子供たちにも浸透していっているようにも思っています。そのような取組が行えないものか考えてよいのかもしれないというところでございます。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
【篠原座長】 それでは神津委員、お願いします。
【神津委員】 先ほど事務局から御説明があった年代別・年齢別投票率の状況を見ると一目瞭然ですが、若い方になればなるほど投票率が低くなる傾向にあります。ただ、18歳、19歳のところを見ると、主権者教育の効果があらわれているのではないかと思います。
 私は、戦後に政治への関心をつないできたのは、親の背中を見ることに大幅に頼ってきたのではないのか、と思っています。ただ、親の政治への関心自体、世代を経るごとに次第にあいまいになってきているのが実態ではないか、と。したがって、率直に言って、今の子供たちの親の年代も、主権者意識という点については相当厳しい実態にあるのではないかと思います。
 極論を言えば、一緒に教室で学ぶくらいのことでないと難しいのではないか。中途半端なアプローチでは、あまり意味をなさないのではないか、と思います。
 一方で、第4回の主権者教育推進会議の配布資料の海外視察レポートでは、様々な好事例が紹介されています。ドイツの事例の中で、親の代表と生徒の代表と先生で話し合っていることが報告されています。今日は北川委員がいらっしゃっていますけれども、やはり、PTAの役割を担っている方、その代表の方は意識も高いわけで、そういった方々に発信をしてもらうことも一つの方法ではないか、と思います。
 また、ドイツにおける政治教育を担うNGOへの予算配分、あるいはイギリスにおける貧困地域への支援や、地域と家庭の連携、といった参考にすべき事例もあります。
 国内の視察においても非常に好事例があります。家庭の役割自体が大変重要で、親の意識を引き上げることが大切ですが、その担い手として、学校の教員が直接というのはなかなか厳しいものがありますので、担い手として、地域そしてNPO、あるいは親の代表の方、そして子供たち自身が連携することが必要ではないかと思っています。
 私からは以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。特に子供の主権者意識をどう涵養するかということを考えたときに、今、神津委員がおっしゃったように、やはり親の、保護者のほうが覚醒してくれないと、そういう意識をきちんと持ってもらわないと、家庭でなかなか進まないと。例えば選挙に子供を連れていっていいんですよ、投票所まで行けるんですよと言ったって、親がその気にならなければ、子供だけで行くわけにはいきませんからね。そういう御指摘、そのとおりだと思いますので、また今後、そういうものを踏まえて中間報告に入れさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
【石田学校教育官】 初等中等教育局長の瀧本が参りました。
【瀧本初等中等教育局長】 遅参して申し訳ございません。先月28日付でスポーツ庁からこのたび初等中等教育局長を拝命しました瀧本寛と申します。4年ほど前は初中局で審議官もさせていただきましたが、また戻りましたので、先生方から様々御指導をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 では、議事を進めたいと思います。どうぞ、小玉委員。
【小玉委員】 小玉です。
 3番目の家庭・学校・地域などの連携に関してですが、家庭教育の重要性が高まれば高まるほど、家庭による環境格差が顕在化している問題があります。これは主権者教育に限らず、教育全般についてもそうですけれども。この家庭による格差の存在をどう埋め合わせていくのかということを考えたときに、私は家庭と学校ともう一つ、第三の場所、サードプレイスという言い方もありますけれども、学校、家庭とその両者をつなぐ、あるいは家庭の格差を埋め合わせていくような第三の場所として公民館であったり、地域社会であったり、あるいはNPOであったりとか、そういうところに注目していく必要があると思います。今、コロナの状況の中でも子供たちの学習支援とか宿題のサポートとかでNPOの団体が結構たくさん活動しています。主権者教育においてもこの間、主権者教育に関わっているNPOはたくさん出てきています。そこには大学生がかなり関わっていますので、大学生が活躍する場にもそういうところはなり得るということで、やはりそういうところの役割を十分位置づけていくことが重要だというのが一つです。
 もう一つは、先ほど北川委員や神津委員からも話が出ていたのですけれども、コミュニティ・スクールという形で学校運営協議会ですね、学校を保護者と教員とが協働で参加して運営していくコミュニティ・スクールの制度がありますけれども、ここに生徒も参加できるような仕組みをつくることで、生徒と地域の住民と保護者が主権者教育というテーマについて一緒に語り合うような仕組みを考えていけないだろうかと思います。生徒、教師、保護者、地域の住民それぞれが異なる立場から政治について議論できるような場をつくっていくようなことも重要なテーマなのかなと思います。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。では、植草委員。
【植草委員】 植草でございます。私から2点。
 まずはコロナ禍の家庭の中でのいろいろな議論というところにちょっと関連したことなのですけれども。私も今、前の職場から今度移りまして、一教諭として授業をやっているのですけれども、4月5月の学校が休校時に宿題として、とにかく今のニュース、新聞を1枚自分たちで作りなさいというものを出しました。ほとんどがコロナのことについてだけ書いてくるのだろうなというのが気持ちとしてありました。ところが、本校なんかは進路多様校で、本当に勉強が好きな子でない子がたくさんいる学校なのですけれども、非常に生徒がコロナというところからなのですけれども、個々にいろいろなことを考えているんですね。ですから、いわゆる秋入学のところに話を持っていった子もいるし、芸能人の方が亡くなったところを非常に突き進んで考えている子もいましたし、コロナ自体のことを本当に考えていく子も。そういう一つのテーマでたくさんのことをやはり生徒が考えている。それを今度、親御さんたちに見せると、親御さんたちも、「え、こんなこと考えてたんだ、子供たちが」と。すごく親御さんたちも勉強になるところがありました。
 それともう一点。これは以前の学校で、前にもちょっとお話ししたのですけれども、学校がある市と協働で学校の周囲のいろいろな市の課題を提言しようということで、生徒に研究させました。生徒に必ずアウトプットしようということで、ポスターセッション。これはコロナが蔓延し始めていたので、たくさんの保護者に来てもらえなかったのですが、PTAの広報担当の方に来てもらって取材してもらったので、生徒のそういう活動を見て、やはり親がびっくりするんですね。「子供はここまで考えているんだ」と。ですので、多分、親を育てるというふうに外部から考えるよりも、やはり子供たちの発表を親に見せることによって、親もすごく考えるのではないかなと。ということはすごく感じました。
 同じようなことを今度は公民館活動でもやりました。近くの公民館で地域の方に対して生徒が発表する活動をしました。同じように、やはり地域のお年寄りの方が多かったのですけれども、非常にびっくりしていて、「高校生はこんなふうに考えているんだ」ということで、たくさん自分たちの勉強になったということをおっしゃっていただいた。だからやはりそういうお互い発表し合うとか、それを見ることがすごく大事なのではないかということを考えます。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。どうぞ、ほかに。
【近藤委員】 よろしいですか。
【篠原座長】 どうぞ、近藤委員。
【近藤委員】 一つは、家庭と学校とお子さんと保護者を結ぶというイベントで、以前お話しさせていただいたことがありますが、足立区で子ども議会をやりました。ただ、子ども議会といいますと、優等生が出てきて前もって書いた作文を議場で読むだけでは、これで本当にやった意味があるのかということになりますので、直近に行ったときには、PTAの方を巻き込んで、それぞれの学区、学校の周囲の課題について区のほうに提案したいことということで、テーマを絞ってさせていただいて。ですからお子さんだけでなく、保護者も一緒になって当日の発表の内容については御議論いただいて、では自分たちの地域の課題としてこれを区に訴えようという形のまとめ方をさせていただきました。
 ですから区としても、やはり保護者にも子供にも苦労してそこまでテーマをまとめていただいたわけなので、提案していただいたことについて少しでも実現できるようにということで、例えば信号をつけるとか道路を広げる、できることとできないことはありましたけれども、それを一つ一つ地域にこういうことは実現しました、こういうことはもう少し長くかかりますということでお返しをして、達成感を味わっていただくような形の議会を開催したんです。
 非常に評判はよかったのですけれども、さすがに学校もPTAもかなり負担が大きくなるので、直後には来年もやりたいという声はあったのですが、とても毎年毎年この形で続けることは困難だという話も出て、とりあえず10年に1度の区の何周年記念みたいな行事になってしまうような状況にあります。
 そうしますと、先ほど小玉委員がおっしゃってくださった、最近は主権者教育に関わるNPOも出てきているというお話がありましたが、ただ、私たち行政ですとか、または足立区の選挙管理委員会ではそうした存在の認識はまだまだ薄くて、もしそういう方が積極的に関わっていただいて、こうした子ども議会も含めた主権者教育のパッケージのようなものを提案いただくと、それほど現場に負担感なく、いろいろなパターンの主権者教育が地域や家庭を巻き込んでできるのかなと思いますので、ぜひそういう存在を教えていただけたらと思いました。
 それと、20歳のお子さんたちにうちは成人式の実行委員会をお願いしているものですから、そのお子さんで私はこれからもずっと選挙に行きますという珍しい表明をしたお子さんがいて、ではどうしてそういう意識が育ったのかと聞いてみますと、もう親が毎回毎回選挙に連れていってくれて、選挙には行くものだと思っていたということでした。ですので、親の背中を見てと先ほどもございましたけれども、そうすると親がそういう意識でなくても、例えば風船一つでも配れば子供はついていくというような提言もあったのですが、選挙管理委員会に聞くと、そういうものを配ってお子さんを選挙のところに連れてきてもらうような誘導を図るのはあまり好ましくないというような話があったことも聞いています。ですが、そうはいったって、親がそういう意識がなくても「お子さんも選挙に行ってもいいんだよ」とか、「行ってみる?」というようなことで投げかけられるような雰囲気づくり、ものでつることがいいかどうかは分かりませんけれども、子供を連れて選挙に行くのも当たり前のような雰囲気づくりも一つあるのかもしれないなと思いました。
 租税教育には税理士会ですとかこちらのほうからお願いできる、受けていただける受皿があるのですけれども、なかなか主権者教育についてはこれという団体がまだ私どもでキャッチできていません。繰り返しになりますけれども、そういうところにもう少し表に出てきていただいて、いろいろな自治体や学校と主権者教育の経験を積んでいただいて、それを全国にPRして波及していく、こういうやり方もありますよというのがもう少し出てくると、気楽に主権者教育に関われる自治体や学校がもっと出てくるのではないかと思いました。ありがとうございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。小玉委員、今の近藤委員からの話についてコメントはありますか。
【小玉委員】 主権者教育に関わっている団体はYouthCreateとかivoteとか模擬選挙推進ネットワークなど、いろいろあるのですけれども、大学生とか若い人が中心になってやっているところが多いというのもありますので、自治体によっては、なかなかその存在がちゃんと明らかになっていない部分もあると思うので、必要であれば紹介もさせていただきたいと思います。
【近藤委員】 ありがとうございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。足立区は選挙の時の立会人も高校生?
【近藤委員】 高校生に限っている訳ではなく。
【篠原座長】 初めて選挙権を得た人?
【近藤委員】 18~29歳を対象に、なるべく若い方をと。
【篠原座長】 何か回しているんですか。ローテーションみたいな。そうではなくて。希望ではなくて?
【近藤委員】 いや、公募です。
【篠原座長】 公募で。
【近藤委員】 はい。
【篠原座長】 それは結構やはり手が挙がりますか。
【近藤委員】 それは一定程度お支払いをするのですけれども、最初はそれにつられて応募しましたが、まさか自分たちの世代がこんなに選挙に来ていないというのは、一日座ってみて初めて分かったと。で、非常に危機感を覚えたというコメントは必ず毎回出るようです。
【篠原座長】 なるほどね。分かりました。
 それで、最後に近藤委員が言われた親の問題について、私から一言付言させていただければ。やはり親が投票に行く習慣が身についていないと、何をやっても駄目だと思うんです。子供は風船があろうと、「お母ちゃん、行こうよ」と言ったって、それはあめ玉しゃぶりに行くようなもので、やはり親がそういうものがきちんと身についていないと、これはどうにもならないのではないかと。
 だから、これは小渕さんの政権の時でしたが、ある人が子供の教育より親の教育が先だといって物すごい批判を浴びたのですけれどもね。しかし、やはりそういう部分が僕はあるのではないかなと。この主権者教育においてもね。
 田村委員、どうですか。田村委員のところも大学生を使っていろいろやられていますよね。先ほどの近藤委員のお話に関わるのですけれども。
【田村座長代理】 今の近藤委員のお話でちょっと御報告申し上げます。私どもの学校は渋谷の駅から歩いて六、七分のところにありまして、まさに密そのものなんですけれども。その地域の開発で、区長さんが非常に面白い方で、大学生に開発計画の依頼をしたんです。これは慶応だったと思いました。日吉で渋谷に一本で行けますので、そういう段取り、地域のそういう人間関係から慶応もチームがつくられたらしいですけれども。慶応の学生が地域の開発計画を、じゃあ渋谷にある学校の中・高生に聞いてみようと、こういうプランを立てて、いろいろと卒業生が入っていたものですから、ここで協力するよということで。具体的なかなり細かな協力をしている過程で、実はその会に区長さんも来られまして、非常に盛り上がっていい会議ができたんです。まさにこれが主権者教育だろうと、私は見ながら感じました。
 つまり、地域地域の具体的な問題を、実際に責任をもっている人たちが、その地域に住んでいる人たちの意見を聞きながら若い知恵を引き出すという。中身はいろいろな形で実現していくわけです。それを目に見ていると、まさに主権者教育というのはこういうことなんだなと。つまり、自分たちで決めるということを実現していくということです。だから、これはもう主権者教育は学校・地域・家庭、総ぐるみというのはまさにその例を見て、本当につくづく実感したので、何回か前に御報告したんですけれども。
 これは意図的に政治家の方にもぜひそういう意識を持って活動していただくのは非常に大事だということを伝えてほしいという気がします。具体的に言うとどういうことかと。その地域から選ばれた政治家の方、区議会議員でも都議会議員でもあるいは国会議員でもいいのですけれども、その地域の選出されたという人は、やはり地域にある学校の生徒、それからそれを通じて親という感じで、いろいろな機会に積極的に関わる。政治運動になるというか、投票してもらいたがるんだというような見方がどうしても強くなるのですけれども、実はそうではなくて、そういう実際に活動している実態が学校を通じて、生徒を通じながら、親に伝わっていくと。それがまた親からもその反応が出てくるということは、やはり避けてはいけないことではないかと思う。積極的にやるべきなのではないかということを今、思っているんですけれどね。そんな感じの意見になるのですが、よろしいでしょうか。そういうことを世に訴えていくことですね。あまり遠慮してしまっているんですよね、政治家の方々も。
 それから、発言ついでにもう一つ申し上げますと、民主主義という制度は、ギリシャで生まれたと言われていますが、まさに人間のつくった一つの制度なんです。今のところ、それよりいい制度がどうもないみたいだから、みんなそれを取り上げているので、そういう相対的な位置づけみたいなことを、やはりこの主権者教育の中でしっかりと、つまり歴史の学習ですかね、これは非常に重要ではないかと思います。
 実はEUの経済活動の報告の時に、ヨーロッパのEU諸国がギリシャにすごく遠慮しているという報道が出まして、たしか日経の記事だったと思うんですけれどね。それを生徒に話したら、生徒は何でそんなギリシャなんかに遠慮するんだと。それは民主主義の先生だからだと言ったら、生徒が分からないんですね。それはちょっとびっくりしました。
 民主主義というのはやはり絶対的な制度ではなくて、相対的な制度で、幾つかある中の制度だから、よくしていくということ、みんなが支えていかないと続かないんだという、そういうことも非常に重要な観点ではないかと思っています。それは、親を含めて地域を含めて、全ての人が民主主義というのは相対的な、人間が考え出した一つの政治のやり方だけであって、それは絶対的なものではないということ。だから、よくするも悪くするも、ちゃんと投票行動に出るのですけれども、対応をきちんとやらないとうまくいかないんだということを繰り返し伝えていくことが大事だという気がします。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ほかにどうぞ。では小原委員、どうぞ。
【小原委員】 来年の春に向けて報告をまとめるということですけれども、この時点で少し時期的に遅いのかもしれないのですが、総務省のほうで年代別の投票パターンが出ていますよね。それがどうしてそういう数字なのかという原因を調査しているのかどうかお尋ねしたいです。
 それでこのパターンを見ると、「い」の字ということなのですけれども、最初の18歳が高くて、どうして20歳に向けて下がって、それが底を打って反動で上がっていくように見えるのですけれども、下がる原因と上がる原因は別々にあると思うんです。その辺りの調査が必要だと思いますし、また、投票率を上げるための、主権者教育であればでは望ましい投票率というのはどの程度なのという若干の目標値みたいなものがあると、実際に学校で教育していく上でも助かるのではないかという感じがいたします。
 ただ単にみんなが関心がないからどうこうというのではなくて、どうして行かないのか。さらに、70から80歳に向けて下がってくるというのは、実際物理的に動けないからと理由ははっきりしていると思います。知りたいのは、動けるのに何で行かないのかです。その日の行動選択の中で、投票に行くよりも、もうちょっと自分たちにとって身近に便益のある行動を選んでいるのだろうと思うんです。ですからその選択の基準の理由を調査しておかないと、今度具体的に主権者教育あるいは投票に関する教育をやっていく上で、抽象論で終わってしまうでしょう。これは皆さんの権利ですよと言えば、必ず行かない権利もあるんじゃないかとか、そういう理屈が出てくるわけです。もう少し具体的な理由を挙げておくのがこの場でも必要ではないかという気が一ついたします。
 もう一つ、我々が実際に教育をやっていく上で気になる点は、長い間教育と政治は分離という考えがありました。教員がそういった政治事に積極的に関わるのは何となくよろしくない。で、組織票という言葉があるのですけれども、大学あるいは学校は組織として投票のために運動することは禁じられています。ところがほかの組織はそれがない。何で学校、大学がそういう組織票を動かすことを禁じられているのか。この辺もやはり学校が主権者教育に対して一歩退いている背景があるのではないかと考えられます。
 今回の都知事選もそうでしたけれども、大人の教育が必要だろうと話しているように、政治家、政治を志す人の教育も必要なのではないかという気がいたします。
【篠原座長】 ありがとうございます。これは非常に大事なところで。僕は個人的に申し上げたら、やはり若い人で主権者意識がみんな高まっていって、だんだん裾野が広がってくれば、投票率も上がってくるし、投票率も上がってくれば、そこに質が伴わなければ駄目だと思うんです。ただ数字が上がるだけでは。質が伴って主権者意識が身につき、そして投票率につながるという好循環が生まれてくれば、おのずといい人材が政治の場に打って出ようというような流れが僕はできると思うんです。
 それから投票率がなぜこうなのかという、もし総務省のほうと、滝波課長のところで、学校現場でなぜ縛られているかという御説明をごく短くでいいですから。
 投票率が幾らが望ましいかというのは、なかなかあなたも申し上げにくいと思うので、それは結構ですから。
【清田選挙部管理課長】 はい。18から24歳の若年層に対する投票意識という点では、私どもではございませんが、公益財団法人である明るい選挙推進協会というものがございまして、そこで調査を行っております。この18歳から24歳の年齢の差はあまり見受けられないところでありまして、行かなかった理由はやはり一番多いのは「面倒だ」、次に「選挙にあまり関心がないから」、大体同じような状況でございます。あと、3番目としては「どの政党や候補者に投票すべきか分からない」といったところが多いところでございます。
 ただ、一方特徴的な部分として、例えば19歳から22歳、大学生の年になるかと思いますが、今住んでいる市区町村で投票することができなかったと。住民票を移されてないというような状況もあるのではないかと思っております。そういった点についてはしっかり住民票を移していただく、また不在者投票制度についての周知は総務省から各選挙管理委員会を通じてさせていただいているような状況でございます。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。いわゆる期日前投票と違って、住民票が向こうにあっても不在者投票はできるわけですよね。ところが、若い人はその制度を知らないですよ。だからもっとそれを告知して、周知させる必要があるのではないでしょうか。
【清田選挙部管理課長】 はい。その啓発も今までもさせていただいていますけれども、引き続きしっかりさせていただければと思っております。
【篠原座長】 では文科省のほう、先ほどの教育現場の。
【滝波教育課程課長】 教育現場の中立性の問題でございますけれども……。
【篠原座長】 ごく簡単でいいです。
【滝波教育課程課長】 この点は御存じのとおり、教育基本法の中で政治的中立を確保することがうたわれておりますので、まずその点を押さえておく必要があろうかと思います。
 その上で、教員、特に教育公務員の場合は、公務員におきます政治活動の制限がございますことと、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法という法律がまた別途ございまして、そういった体系の中で政治的な中立の確保が要請されているものだと認識しています。もちろん、その上で政治的教養を育むための教育をしっかりやらなければいけないということも一方でございますので、そういった観点から様々な通知なども出して、学校現場における主権者教育を今、進めている段階にあると捉えております。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 では松川委員、お待たせしました。どうぞ。
【松川委員】 松川です。聞こえますでしょうか。
【篠原座長】 聞こえますよ。
【松川委員】 今日のテーマですけれども、ちょっと違った視点から発言させていただきたいと思います。
 家庭で主権者教育がなかなか難しいことについて、親自身が主権者教育を受けたことがないということもあるわけですけれども、子供を地域の構成員として、また自立させていくとか、社会の構成員として自立させていくことを考えたときに、親の思う社会的に一人前になるとか自立するとかという中に、主権者的な意識というのはあまりないんですよね。
 子供を社会的にあるいは地域の一員として育てていくというときに、まず念頭に来るのはいわゆるキャリア教育的な考えであって、子供がどういう形で職業に就いて一人前になっていくのかというところに専ら親の関心、また本人自身の関心もあって。また学校自身もキャリア教育というのは単なる昔の職業教育よりも広いものですけれども、そういうものは非常に分かりやすいけれども、そうではなくて、経済的な自立以外に、社会の一員としてどういうふうに責任と義務を果たしていくのかということについての保護者の意識は極めて薄いのではないかと思います。そのことが、やはり家庭に主権者教育をというのを思っていたとき、なかなかぴんとこないというか、説得力を持っていかない原因だと思います。
 この主権者教育もそうですけれども、キャリア教育もそうで、学校教育の中にいわゆる教科教育以外に「○○教育」というものが年々増えてきていますが、そういうものがばらばらなものとして次々に増えていくということではなくて、いずれも何らかの形で関連しているものでありますよね。例えば情報教育も近いテーマになるという、メディアリテラシーの問題等もやはり新しい課題として出てきている「○○教育」の中の一つなんですけれども、そういうものは根底ではどこかつながっているのに、ばらばらなものとして捉えられがちであるところが、ある意味で主権者教育が特別なもの、ちょっと扱いにくいものとして際立ってしまう原因ではないかということを、今回のテーマを考えながら考えたことです。
 ちょっと感想めいていて、だからどうしたらいいのかという具体的な案はなかなかないわけですけれども。キャリア教育と言えば保護者の方は非常にぴんとくると思うのですが、もう少し公共的な市民として子供を育てていくということが抽象的なものとしかなかなか捉えられないところに、この問題の難しさがあるのではないかと感じたところです。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。今、非常に根源的な問いを松川委員からいただいたのですけれども。今の教育基本法に盛り込まれています、社会に関心を持たせてその発展に寄与する態度を養うという、僕はそれだと思うんです。まず、だから社会に対してどういう関心を抱き、それで自分が社会の中でどういうふうに貢献していくのかと。どういう寄与をしていくのかという、そこがもう、僕ははっきり言って、主権者教育の最大の肝で、その結果、それを子供たちや若い人に持ってもらって、最後の出口として選挙が、意思表示する選挙があるのだと。入り口と出口で考えれば、やはり入り口はそういうふうに。
 先ほど中村委員からもお話がありましたけれども、やはりこういうコロナ禍の時というのは、社会の動きに子供たちが一番関心を持ちやすい絶好の時期ですよね。だからそれをうまく生かしてやる。これも入り口の中の大きな一つの流れになると思うのでね。そういう捉え方をすればいいのでは。キャリア教育の問題も全部その中に入ってくるのではないでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。いかがでしょうか。
【松川委員】 はい、結構です。
【篠原座長】 分かりました。ほかに何か、いいですか。ほかに何か御意見があればどうぞ。
【近藤委員】 よろしいでしょうか。
【篠原座長】 どうぞ。
【近藤委員】 今日のこととちょっと離れて、先ほど小原委員がおっしゃったこのカーブの件で、当初は初めて選挙に行くのでわっと盛り上がる。ところが20歳から24歳はぐっと下がる。これは自治体ばかりではなく国もそうなのだと思うのですけれども、20歳から24歳に対して直接財政的……、行政として直接届くようなサービス、お金を使ってやる部分が一番少ない年代ではないかなと。これからもう少しいきますとお子さんができて、教育を通じて自治体から自分たちが被るプロフィットを実感される。またもう少しいくとさらに医療とか介護が出てきて、まさにずっしりとお金を使っているということなのですが。
 この20から24に対しては、本当に今、なってみると、まちづくりですとか直接ではなく、間接的な意味にはいろいろなサービスは提供していますけれども、直接20歳から24歳に対して足立区がどれだけお金を使っているかというと、これは一番弱いところ。ですから、「これは俺たち関係ないよ」と言われても仕方のない年齢になってしまうなと思うと、もう少しここのところを掘り起こして、私たち自治体もアップするような直接的な働きかけをしていかないと、なかなかこれは届いていかないなということを感じます。
 ということは、小学校、中学校、学校教育を通じて子供にも保護者にも割と私たちはコミットできますけれども、実際に一回社会に出て、働いたりまたは大学生になったりすると、一気に私たち行政からその区民との距離ができてしまって、いろいろお伝えしたりする手段が非常に薄くなってしまう。一番捉えづらい、ターゲットとして捉えづらい世代なので、先ほどは18歳から24歳までというような形でしたけれども、18、19歳と20歳から24歳の幅は逆に分けてきちんと分析していかないと、なかなか18、19歳と20歳から24歳を一緒にすることによってぼやけてしまうかなという気がしますので。これは区としても区選管にお願いしてきちんと見ていきたいと思いますけれども、この20歳から24歳は一つのブラックボックスというか、これを上げるためには個別に何かアタックしていかないと、なかなかほかの世代とは違ってこれを上げるのは難しいかなという気がしました。
【篠原座長】 ありがとうございます。これは小原委員からも前から。大学生にももう少し主権者意識を持ってもらう教育をしないと、高校までいくら頑張ったって、大学に入るとすっかりそういうことを忘れてしまうという流れ。それから幼児教育の段階からやるべきだという考え方もあるし。一方で中卒や高卒の人も大学に行かずにいるわけで、そういう人たちは社会人になる。ではどこまでそういう人たちに意識を持ってもらうのか、とか。何しろなかなか間口は広いのですけれども。今、近藤委員もおっしゃったような観点で取り組む必要は確かにあるかなと思います。20歳から24歳。何と名付けますかね。
【近藤委員】 いやあ、何と名付けるかはあれですけれども。同じ大学生でも、区内の大学に通っている大学生と、区外の大学に行ってしまうと、全く私たちもオフリミットになってしまうので。
【篠原座長】 そうですね。
 ただ、僕らが今、議論している、一つ押さえておきたいのは、2022年4月から18歳成人になるんですよね。18歳選挙権は既にスタートして実現しているのですけれども。今度は成人が18歳に、2022年4月からなると。これも踏まえておかなければいかんのではないか。つまり成人という、大人というものの身の処し方、意識の持ち方ということと、この主権者意識の涵養はかなりオーバーラップすると思うんです。だからそういう点も含めて中間報告、最終報告に方向づけをなさなければいかんなと思っております。
 それからもう一つ、僕から一言言えば、海外でもいろいろな例があるのですけれども、家庭教育ということに切り取ってやる場合に、ここの文科省の方々は学校教育が中心なんですよね。じゃあ厚労省はといったら、これは家庭の福祉なんですよね。つまり家庭教育というものを担う役所がないんですよ。ここが一種のブラックボックスみたいになっていると僕は思っていて、これは海外での例があるのですけれども、やはりいずれ役所の再編をやるときに、子供家庭省みたいな、何かそういうミニストリーをつくる必要があるのではないかと。これは僕の個人的な意見ですけれども。何かきっちり受け止めてくれる役所が、日本の場合、今のシステムの中ではどうしてもポテンヒットになりがちな部分なんです。だから家庭教育をどこが行政的にエンジンを噴かせてアクセル踏むのかというと、どこもはっきりしたところがないんですよね。その辺のところもちょっと今後考えていってもらう必要があるのかなと。これは全く個人的な意見でございます。
 ほかにどうぞ。小玉委員、どうぞ。
【小玉委員】 今、成人式の話がちょっと出たのですが。昨日の報道でも少年法の話が出ていましたけれども、民法と公職選挙法と少年法が三位一体で、18歳成年の社会に日本をしていくという方向性で足並みがそろいつつあるのですけれども。社会全体が18歳を大人と見るというふうにまだ全体としてなっていなくて、例えば成人式も聞くところによると、民法で18歳成年になっても成人式そのものは20歳になってやるというやり方を変えない自治体が多いとか、社会全体がまだ旧態依然のところで動いているというような傾向があると思っています。
 だけども、世の中全体の趨勢としては、やはり18歳が大人になるという社会になっていくので、成人式の在り方も含めて、18歳成年というところをもっとしっかりと位置づけていくことが必要だと思いますし、その中に主権者教育的なものも位置づけていくことが重要になるかと思います。
 自分自身のことを振り返ってみても、高校を卒業して大学に入る時期というのは、初めて区役所に自分が行って住民票をつくる年でもあります。ですから役所的にみても、18歳というのは人生で最初に本人と行政が向かい合う時期にもなると思いますので、選挙管理委員会のパンフレットなども一緒に渡すとか、そういうようなことも含めて考えてみたらいいのではないかと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。では植草委員、どうぞ。
【植草委員】 ちょっと私の前の学校の話で、実は前にも少し話したのですけれども。高校生になると選挙のリアルな場面にどんどんもう参加していいのではないかということで、私が前にいた学校、全校で1学年320人ぐらいいる中で70人の生徒が実際の選挙事務に、選管の協力で行きました。投票券を配ったりとか、そういうのをやりました。その中で一つ面白いことを言った子がいまして、期日前投票と当日の両方にお手伝いに行った生徒なんです。期日前投票のほうは若者が非常に多く来る。当日のほうはやはり年配の方が多い。だからまず期日前投票を充実する必要がある。これはショッピングセンターとかそういうところで今、多くやっているのだけれども、何で駅につくらないんだろうと。特に乗換えをするような駅にあると結構投票とかするのではないかなというようなことを言っているのがいました。
 それと、あと、お年寄りは必ず御夫婦で来ると。若い人たちは割合1人で来たりとかということがある。ですから、若い人たちが、御夫婦で来たり家族で来ましょうみたいなものがあると結構少し伸びるのではないかとか、ということを言って。
 あとは、もう一つはやはりインターネット投票ですね。これはやはり子供たちにとっては非常に身近なので、スマホでぽちっとできるといいよねという話が出てきた。
 結構、やはり生徒はリアルな場面だとものすごくいろいろなことを考えるなという感じがしました。ですから、学校の中の机上のものだけではなくて、リアルな現場のところで生徒に考えさせるのはすごく重要な話なのかなと思った次第です。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 清田課長、期日前はいろいろなところで、今、できるようになっているのでしょう?
【清田選挙部管理課長】 はい。必ず1つは、たしか午前8時半から午後8時の間は1つつくらなければいけないというのはございまして、さらに自由な時間の設定で増やすことができると、制度も変わってきておりますので。
【篠原座長】 デパートなんかでもできるんでしょう?
【清田選挙部管理課長】 はい。その場合のさらにというところであれば、デパートの営業時間に合わせて時間を設定できるような改正もさせていただいています。
【篠原座長】 大学のキャンパスの中もできるんでしょう? やろうと思えば。
【清田選挙部管理課長】 そうですね。あと、やはり複数の期日前投票所になりますと、二重投票の防止からちゃんとシステムをつなげないといけないとか、そういった実務的な課題もあるとも伺っておりますので、そういう条件がしっかり整ったところで各市区町村の選管で増やしていただいていると思います。
【篠原座長】 それは期日前投票ですね。
【清田選挙部管理課長】 はい。
【篠原座長】 本番の投票はもう、いわゆる繁華街でやるとかいうことはできないんでしょう?
【清田選挙部管理課長】 選挙期日の投票日も、共通投票所という制度ができまして、いわゆるそれぞれの、我々は投票区と呼んでおりますけれども、皆さんが所属されている投票所以外に共通のところでできる仕組みもできております。
【篠原座長】 例えば?
【清田選挙部管理課長】 ただ、それも投票所と共通の投票所をつなげないと二重投票の防止とかそういう点で課題が出てきておりますので、まだ一部の団体になっていると伺っております。
【篠原座長】 今、植草委員が言ったのは共通投票所の話ですか。やはりもっとあればいいと言ったのは。
【植草委員】 生徒が言っていたのは、一つは、若い人たちは移動しますから、特に駅の乗換えをする、その乗換え時間とかがあって、駅の中に何で投票所がないんだろうということ。それと、これは子供の意見なのですけれども、いわゆる移動投票所みたいな格好で、バスの中に投票所みたいなものをつくって、駅ごとに何日にはこういうところに行きますよみたいな格好で。そういうような移動交番とかレントゲンの検査車みたいな格好で、それで駅ごとにやってみたら投票率が上がるんじゃないのみたいなことを言って、それは面白いねという話をしたと、そんな感じのことです。
【篠原座長】 面白いけれど、それはなかなか大変でしょうね。
【植草委員】 大変だと思います。
【篠原座長】 駅構内というのは今もありますか。
【清田選挙部管理課長】 ちょっと今、手持ちにはございません。
 期日前投票所ですと、そういったところはたしかあるのではないかというふうに。
【篠原座長】 それ、学生が言っているのは期日前の話か、それとも投票日当日の投票の話ですか。
【植草委員】 期日前のことでした。
【篠原座長】 期日前のこと。
【植草委員】 はい。
【篠原座長】 期日前には若い人は結構行っているんでしょう、今も?
【植草委員】 行ってます。若い人のほうが期日前は行っている。
【篠原座長】 その期日前でそういうものを増やしてほしい?
【植草委員】 もっと。はい。
【篠原座長】 それで最終的にはネット投票ということですか。
【植草委員】 はい。
【近藤委員】 駅については、やはりセキュリティーの問題です。どうしても。
【田村座長代理】 一つよろしいですか。
【篠原座長】 どうぞ、田村委員。
【田村座長代理】 実際、非常に危惧しているテーマが私には個人的にありまして。発言していいかどうかちょっと迷っているのですが。
 まず、外国との比較で、「い」の字になるというのは、外国と比較した資料みたいなものはございますでしょうか。つまり、これは特殊、日本的な現象なんですかね。
【清田選挙部管理課長】 すいません。ちょっとそこは持ち合わせてないところです。
【田村座長代理】 ああ、そうですか。いや、実は先ほどお話があったキャリア教育の問題もそうなのですが、日本の場合はキャリア教育というのは進路指導とか生徒指導とか、必ず「指導」になるんですね。中身が本来は一人一人が自分の人生を考えることがキャリア教育の中身のはずなのだけれども、そうでなくて、指導になってしまうという。表現がそういう形になっているのが実態としてあるわけです。
 それが、生徒をして出された課題に100点満点を答えるのが行動として一番いいことで、その前の段階の選ぶという、自分で選んで決めるということを学校教育が育ててきているのだろうかと。そこが弱いのではないかという、実は個人的な危惧を私は持っているんです。いかがでしょうか。
 そこのところが日本独特の効率的に教育をするためとか、いろいろな先生のほうの都合があるので、早く答えで100点を取るようにするような指導が中心になってしまうという傾向がどうしても出てくるんです。その結果、出された問題に100点を出すのは得意だけれども、出された問題を選ぶ段階が弱い。どうしていいか分からなくなるという。極端な話をすると頭が真っ白になってしまうという子も、私どもは経験したことがあるものですから。
 それが「い」の字の18歳が高いのは、教えて、学校で教わって、投票するのは大事なことだという、それが100点満点だと教わった効果があった。それが18歳ですね。その効果がだんだん薄れてきて地が出てくると、もう20歳前後の非常に低い投票率になっている。社会生活をしながらだんだんやはり分かってきて上がってくるという。こういうことだとすると、私のこれは間違っているのかもしれないです。私の推測ですから。だから、すごく難しいなと。
 実態として申し上げると、既に私は申し上げましたが、生徒会活動とか児童会活動が物すごく弱くなってしまっているんですね、今。これは私としては、日本の学校教育の一つの危機だと思っているのですが。そこが弱くなっているということは、まさに自分で決めるというか、自分でつくるということについて、生徒は必要性を感じなくなっているということがある。そういう点があるのではないかと。これは自分で自分を責めているみたいなことで、発言していいかどうかちょっと迷っていたのですけれども。そういう面があると本当に困るなと、そんな感想になってしまうのですが。どうでしょう。
【篠原座長】 どうでしょうかね。
 先ほどあった、ほかの海外の国の例というのは、今、分からないでしょう? 日本は「い」の字だというのだけれども、ほかの国はどうなっているのかという最初の質問。これは今、分かりませんよね。
【清田選挙部管理課長】 ちょっと私どものほうで各国の年代別の投票率は現在持ち合わせていない状況です。投票率とかそういうところであれば分かる国は分かるのですけれども。
【篠原座長】 次回までに用意できますか。
【清田選挙部管理課長】 そこはあるところが見つかるかどうか、ちょっと調べてみないと分かりませんので。ちょっとそこは……。
【篠原座長】 それ、国会図書館のほうとも連携してもらえば分かると思いますよ。
【清田選挙部管理課長】 はい。国会図書館のほうでもかなり各国の資料をいただいていますので。
【篠原座長】 それと先ほど言った、植草委員から言った投票所の問題。清田課長、期日前と本番の時の共通投票所のことで、今どういう例でどのくらいやっているのか、それをちょっと一覧表みたいなものがもしあったら、次回までに作ってくれませんか。
【清田選挙部管理課長】 ちょっと確認させていただきます。
【篠原座長】 一番多いのはこういう例だとか。それぞれの設置場所とか。共通投票所というのは、各小学校とかの学校区分でよくみんなが投票所でやっているでしょう、それ以外の共通投票所。
 これは駅なんかでも今、やっているんですか。
【清田選挙部管理課長】 いえ。一部の団体でショッピングセンターで。
【篠原座長】 一部の団体?
【清田選挙部管理課長】 はい。あるというふうに……。
【篠原座長】 団体というのは何ですか。
【清田選挙部管理課長】 市町村です。
【篠原座長】 ああ。でやっている。
【清田選挙部管理課長】 はい。
【篠原座長】 それでデパートとか商店街は? 共通投票所。
【清田選挙部管理課長】 商業施設で開いているところは伺っております。
【篠原座長】 足立区なんかはどうやっているんですか。
【近藤委員】 例えば大きなショッピングセンターでということは毎度毎度議会からも出るのですが、選管が固いんですね。ということはどうしてかというと、例えば区長選挙ですとか区議会議員選挙というはほぼほぼ決められた時期にあるのですが、衆議院選挙はいつ解散になるか分からないと。その時にショッピングセンターが何か催物をやっていて使えないとすると、毎回同じ場所が使えないと駄目だというようなことを選管が言うんです。まあ、国の選管がおっしゃっているかどうか分かりませんけれども。
【清田選挙部管理課長】 一番大きな理由は、当日の投票ですと投票所が全国で大体4万7,000ぐらいございますが、例えば全国でやるとすれば、全部そこが何かしら選挙人名簿とつながっていて、それが共通投票所ともつながっていて、要は二重投票を防止するような仕組み、投票したら消し込むという作業をしますので、それが保てないというのが実務面では非常に大きな課題になるかと思います。学校の例えば体育館であるとかそういったところの投票所は非常に多くございますので、そこにネット環境があるのかどうか、無線だとずっとそれが常時大丈夫かどうかとか、それを確実にするところが多分現場の御苦労になるのではないかと思っております。
【篠原座長】 ということみたいですね。
 それで田村委員が先ほど言った各国の今の状況、「い」の字になっているのかどうなのか分からないという話があったけれども、私から言わせると、やはり日本の投票率ははっきり言って低過ぎるんですよ。全般に。各国も昔に比べれば投票率は落ちていますけれども、まだ日本よりは総じて高いです。だから全体の投票率が上がらない中で、若い人だけが投票率をどんどん上げろと言ったって、これはなかなか大変ではないのかなと。だから先ほどの親の話も出しましたけれども、全体的に、有権者全体でやはりレベルアップしていかないと、なかなかこの流れは断ち切れないのではないかと。だけれども、今、若い人たちがこれからどんどん大人になっていって、こういう主権者教育が身について大人になっていけば、まただんだん中長期的には変わってくるかもしれないなという淡い期待は持ちますけれどもね。
【田村座長代理】 そうでなきゃいかんですよね。
【篠原座長】 あと一つぐらいどうぞ、もしありましたら。神津委員や松川委員、何かその後ありますか。神津委員、よろしいですか。
【神津委員】 ありがとうございます。大変幅広い意見で、どれも大事な意見です。
 先ほど、田村委員が言われた、政治家が遠慮しているのではないか、というのは私もそのとおりだと思います。普段、普通の人が政治家についての情報を得るのは、テレビの、しかもワイドショーのようなものが多く、そこでは、目立っている人気者の話や、何かの不祥事である、というものばかりとりあげられていますが、それは政治家の全体像からすると、ごく一部です。やはり、普通の政策のところで、「ああ、政治家ってこういうことをやっているんだな」ということを、しっかりと普通の人が知ることが極めて重要ですから、まさに学生、生徒がそれを知ることは大切だと思います。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 あとどうぞ何かありますか。よろしいですか。
 ではちょうど今、時間も来ましたので、本日はいろいろ活発な御議論をありがとうございました。
 今、神津委員のおっしゃった政治家というもの。やはりメディアを通じてしか普通は政治家というのは分からないわけで、だから僕は、できるだけリアルに政治家の話を聞く機会をどうたくさんつくってあげるかというのも大事なことではないかと思います。だからそういう面では、やはりテレビやリモートで話を聞くだけではなくて、実際にリアルに接して、自分の目で見て確かめていくというようなこと。だから選挙の時に街頭演説とか公開討論会とかいろいろありますよね。ああいうものに若い人がどんどん参加して、自分の目で見極めるようにすればいいのではないかと思うので。ああいうところには行かなくて、ぶつぶつばかり言っているのでは、これはいつまでたっても進まないのではないかと思っています。まあ、回答になりませんけれども、ありがとうございます。
 それではあと、よろしいですか。では本日はこんなところでちょうど時間もいいところになりましたので、閉じさせていただきたいと思います。最後に次回の予定などについて事務局から。
【石田学校教育官】 今日はありがとうございました。次回以降の日程につきましては改めて御連絡をさせていただきます。また、お気づきの点がございましたら、メール等で結構でございますので、事務局までお寄せいただければと思います。
 私からは以上でございます。
【篠原座長】 先ほど申し上げたように、次回はメディアリテラシーの問題、その他いろいろ議論して、それを踏まえて次々回の会合辺りから中間報告の実際の取りまとめに入ろうかなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。


―― 了 ――

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