主権者教育推進会議(第10回) 議事録

1.日時

令和2年7月9日(木曜日)

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(東館3階)

3.議事録

【篠原座長】 定刻となりましたので、ただいまから第10回主権者教育推進会議を開催いたします。皆さん、大変お久しぶりでございます。
 まず、この冒頭、今日もそうなのですけれども、西日本を中心とする豪雨による被害がいろいろなところで出ております。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますと同時に、被災された方々にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。これは主権者教育会議の総意としてコメントさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、本題に入りますけれども、本日の会議はコロナ感染対応の観点から、対面会議とウェブ会議を組み合わせた方式にて開催することとしました。ウェブ会議での御参加は近藤委員、松川委員ということになります。近藤委員は10時半からウェブにて参加いただくと御連絡をいただいております。このため、本日は全ての委員に御参加いただく形になりまして、開催することとなりました。多忙な中、御参加いただき、ありがとうございます。
 また、本会議につきましては、報道関係者より会場の撮影及び録音の申し出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の配付資料について事務局から説明、確認をお願いします。
【石田学校教育官】 4月1日付で教育課程課に着任いたしました石田と申します。よろしくお願い申し上げます。座長から御紹介がございましたように、本日は対面会議とウェブ会議とを組み合わせた方式で開催させていただきたいと思います。御不便をおかけすることが多々あるかと思いますけれども、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 開催に当たりまして4点、お願いでございます。1点目は、御発言に当たりましては、インターネットでも聞き取りやすいよう、ゆっくり、はっきり御発言いただければ幸いでございます。2点目でございます。御発言の都度、名前をおっしゃっていただければ幸いでございます。3点目は、このウェブ会議で御参加の方ということでございますが、御発言以外はマイクをミュートにしていただければと考えております。4点目でございます。御発言に当たりましては、ウェブで御参加の方は手を挙げるボタンを押していただきまして、会場にいらっしゃる委員の先生方は札を立てていただくという御配慮をいただけるとありがたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、資料の確認を申し上げます。配付資料は議事次第にございますとおり、資料1から資料4までを配付してございます。また、委員の皆様方のお席にファイルがございますけれども、これは机上ファイルということで主権者教育推進会議のこれまでの配付資料をとじたものをお配りしております。また、審議の場におきまして適宜御参照いただければと思います。また、併せまして先生方に御意見を頂戴してまとめました主権者教育推進会議としてのメッセージ文、「児童、生徒、保護者、学校教育関係者の皆様へ」、を机上に参考としてお配りをしているところでございます。不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 資料の方は、よろしいでしょうか。メッセージについては、事前に皆様方に御確認をいただいた上でまとめていますので、そのことも特に御意見ございませんね。大丈夫ですね。では、よろしくお願いします。
 それでは、議事に入ります。まず委員の交代がありましたので、事務局より御紹介をお願いします。
【石田学校教育官】お手元の資料1を御用意いただければと思います。新しい委員名簿ということで、資料1の2ページ目におつけしてございます。このたび佐藤秀行委員が日本PTA全国協議会会長から退任されました。退任に伴いまして、主権者教育推進会議の委員につきましても併せて御退任されるという旨の御連絡を事務局から頂戴しているところでございます。これを受けまして日本PTA全国協議会並びに篠原座長に御相談を申し上げまして、新しい会長が決まりますまでの間、北川和也代表理事に委員として御審議に参加をいただくこととなりました。先般のこの協議会の中で代表理事という役職が決まったということでございまして、本日、お配りしている名簿は少し前の肩書になってございますので、後ほどこの代表理事という形で変えさせていただきまして、名簿としてまとめたいと考えてございます。このほか令和2年4月時点で植草委員の役職に変更がありましたので、併せて反映をしているところでございます。
 以上でございます。
【篠原座長】 それでは、北川委員から御挨拶をいただきたいと思います。
【北川委員】 皆さん、おはようございます。本日は、石川県金沢市から参りました。日本PTA全国協議会の、実は昨日、理事会がございまして、代表理事の選任を受けました。古くは寺本、そして佐藤がお世話になったところでございます。公立の小・中学校の保護者で構成する団体でありまして、いわゆる県Pとか府Pとかというところの保護者が会員として、代表で集まる会です。団体の性質上会員が役員となりますので、どうしても数年の任期というところでなりまして、皆様には御迷惑をかけているのかなと思っております。特に今回はコロナ禍の中、我々の団体も活動がなかなか立ち行かないという中で、その体制の強化に当たっているというところでございます。
 主権者教育については、諸先輩方からレクチャーは受けているものの、何分追いついていかないのが現状だと思います。是非御指導をお願いしたいと思います。本日は、よろしくお願いいたします。
【篠原座長】 ありがとうございます。よろしくどうぞ。
【篠原座長】 それでは、次に前回の主な意見などについて事務局から報告をお願いします。
【石田学校教育官】 資料2をお手元に御準備いただけますでしょうか。第9回は学校訪問の御報告した後に意見交換を頂戴したということでございます。お手元の資料、9ページをお開きいただければと思います。ここは学習内容、学習方法に関することについての御意見を整理した部分でございますけれども、真ん中ほどのところ、でございますけれども、具体的で政治的な事象を模擬的に取り上げるときに、実際の政党のマニフェストを使って現実の具体的なものを取り上げる方法とアレンジして自治体や候補者、政党などを架空の設定にした上で現実の社会で問題になっていることを盛り込みながら取り上げる、こういう二つの方法がある。これをいろいろな学校に普及していくと良いのではないかという御意見。
 二つ下でございますが、教師が教えるという授業から、生徒に考えさせるプロセスを大切にする、こういう授業に変わってきているので、主権者教育を進める際の教師の役割というものも、こういったところを重視していくべきではないか、これが主権者教育の肝ではないかという御意見。一番下から2行目でございますが、学校訪問をした学校では、どういう権利を持ったら、どういう責任を負わなければいけないのかについて事例を基に議論させながら、権利と責任という認識を子供たちに持たせる、これを意識して授業を行っている。こういう点は、ほかの学校にも広めるべきではないかという御意見。
 10ページ目の四つ目のポツでございますが、訪問した中学校では、ある政策について考えさせる場合に、今の自分、50年後の自分、自分とは異なる世代などの立場から考えさせる。都市部、郡部の立場からそれぞれ考える。理想だけではなく、財政も含めた実現可能性の視点から考えさせる、こういう多面的・多角的に考えさせる工夫や仕組みが大切である。また、生徒が単に理想を求めるだけではなく、財政等も考慮しながら自分たちで政策を作り上げている。この点がよく研究され、分かっていると感じたと、これらの御意見を頂戴したところでございます。
 少し飛びまして12ページでございます。12ページの一番下、これはメディアリテラシーについての御意見を整理したものでございますが、主権者教育を進める上でのツールということで言うと、新聞だけではなく、近年あるSNSをどう活用していくかということも考えていくことが重要との御指摘を頂戴したところでございます。
 13ページでございます。外部の専門家や関係機関等との連携ということでございます。この一番下のポツ、家庭教育との連携の上でございますけれども、様々な取組が行われていて、外部専門家もいるのだけれども、それが学校の中に取り込めていないのではないか。学校外でこれらをコーディネートする人がいると、小・中・高の学校としてのつながりも出てくるのではないかという御意見を頂戴したところでございます。
 また、次に、更に飛んで16ページは家庭教育との連携というところでまとめさせていただいているところでございますけれども、上から二つ目のポチでございます。家庭教育と学校教育をどう関連づけていくかが課題である。例えば学校において、あるテーマを設定し、そのテーマについて週末にお父さんやお母さんと話し合って、月曜日にレポートや口頭で発表していく、こういう学校教育と家庭教育というのを関連づけていく、こういう取組が良いのではないかという御意見を頂戴したところでございます。このほか、教員養成、研修、選挙に関する御意見、様々頂戴しているところでございますけれども、時間の関係上、こちらの御紹介でもって代えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 次に、昨年度実施した主権者教育実施状況調査の結果について、同じ事務局から報告をお願いします。
【石田学校教育官】 引き続きの御説明で恐縮でございます。お手元の資料3を御用意いただけますでしょうか。主権者教育実施状況調査について概要ということでございます。1ページ目の左上に今回の調査の概要を掲載しております。今回の調査、学校に対するもの、そして教育委員会に対するもの、それぞれ実施してございますが、学校に対する調査は抽出調査という形で1,587課程を対象にいたしました。有効回答数は1,299課程、有効回答率は81.9%となってございます。教育委員会対象の調査につきましては、都道府県・指定都市を対象としておりますけれども、全ての教育委員会から御回答を頂戴したということでございます。
 調査結果の概要ということでございますが、この1ページ、真ん中上にございますように、令和元年度に第3学年に在籍する生徒の主権者教育の実施状況ということで言いますと、調査時点で主権者教育について実施した学校の割合は実施予定を含めて、全体の95.6%となってございます。赤い枠囲みがございますが、実施していないという御回答だったところは、国公立学校では特別支援学校、そして私立学校では通信制課程というところに多い傾向が見られたということでございます。
 また、取組の内容ということで下段でございますけれども、実施した教科は公民科が74.4%、特別活動が46.3%、具体的な指導内容といたしましては公職選挙法や選挙の具体的な仕組みというのが84.6%、模擬選挙等の実践的な学習活動は47.3%、現実の政治的事象についての話し合い活動というのが34.4%、こういう状況になってございまして、様々具体的な活動を入れながら取り組んでいただいているということかと思います。また、教材につきましては、教科書、副教材の使用というのがそれぞれおおむね6割程度、その他が3割程度ということになってございます。その他の内容につきましてお伺いしましたところ、教師の自作資料、新聞記事、選挙管理委員会が作成した資料ということで回答をいただいておりまして、教科書、副教材に加えて多様な教材を用いて指導を行っていただいている状況があるというふうに考えてございます。
 また、指導に当たっての連携状況ということでは、選挙管理委員会と連携いただいているというところが4割程度ということでございます。前回の28年度の調査がおおむね3割ということでございましたので、連携が非常に進んでいるというところがございます。一方で、連携していないとの回答が5割程度あるということでございます。この新学習指導要領で関係機関との連携というのを入れてございますけれども、そういったものをしっかり前に進めていくということが必要かと事務局としては考えてございます。
 次に2ページ目でございます。これはただいま御紹介しました令和元年度に第3学年に在籍した生徒がそれぞれ第1学年、第2学年、第3学年に在学していた際に主権者教育にどのように取り組んでいたかということをまとめたものでございます。実施割合ということで言いますと、第1学年、第2学年は7割弱、第3学年では8割半ばの実施状況となってございます。取組の内容につきましては、後ほど適宜御参照いただければと考えてございます。なお、一番下、これが今回改めて取ったところでございますが、昨年度、ちょうど参議院選挙と重なる年度でございましたので、参議院選挙を題材とした主権者教育の実施状況ということで取らせていただいたところ、約4割強で題材として主権者教育を実施したという御回答を頂戴しているところでございますので、御紹介申し上げます。
 3ページ目でございます。これは教育委員会の取組というのをまとめたものでございますけれども、約9割の教育委員会におきまして、高等学校の主権者教育の取組を支援いただいているということ、具体的な内容としては教員研修を実施しているというのが約5割、独自の指導資料や事例集を提供していただいている教育委員会は約3割、授業で利用できる資料を作成いただいているところが約2割、こういった傾向になってございます。
 あと、特色ある取組ということでまとめてございますけれども、例えば福井県さんでは話し合いや討論による合意形成を目指すということで、実際に学級ごとに設定したテーマについて情報収集、分析を行って、市役所に課題解決策を提案し、そして市役所職員から問題点を指摘いただき、改善して練り上げて校内で発表する、こういった取組を行っておられるということでございます。また、連携、関係機関との連携ということで埼玉県、新潟県を取り上げてございますが、地方検察庁と連携した模擬裁判、税務署との連携、市の選挙管理委員会と連携して模擬選挙実施、実際に市議会議員から議員になった動機や立候補の手続等々、話し合っていくという取組がございます。
 また、学校全体でこの主権者教育を進めていく、こういう取組では三重県、校内委員会を設置して主権者教育を学校全体の取組として推進しています。あるいは、これは生徒の主体的な取組ということでございますが、鹿児島県では新聞同好会が7月の参議院議員選挙に併せて第3学年の生徒に対して主権者としての意識調査を行い、それを基にした記事、あるいは投票の仕方、選挙に関する記事を掲載した学校新聞を作成して配布している、こういう取組があるということでございます。また、長野県では大学との連携ということで、大学生も交えて合宿形式で社会問題について話し合い、提言としてまとめていく、こういった取組をされているということでございます。
 報告は以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 今の報告、いい調査をしていただいたと思いますけれども、今いろいろな説明がありました。それを受けましてこれから議題に移りたいと思いますけれども、その前に石田さん、お願いした今回の東京都知事選挙における投票率、若い人がどれぐらい行ったかとか総務省の方に尋ねておいてほしいということを申し上げましたが、どうなりました。
【石田学校教育官】 まだ選挙が終わったばかりでございますので、どこまでまとめているかというところもございますが状況はお伝えしておりますので、もし総務省さんの方でお答えできることがありましたら、お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
【篠原座長】 今の段階で分かる範囲で、総務省の方。
【嶋選挙部管理課長】 管理課長の嶋と申します。
【篠原座長】 この段階で分かる範囲で御説明いただいて、また確定値が出てきた段階でデータをいただければと思います。よろしくお願いします。
【嶋選挙部管理課長】 事前にお尋ねいただいていたということなのですが連絡が悪くて申し訳ございません。端的に結論を申し上げますと、直近の都知事選挙の年代別の投票率については、まだデータがございませんので、本日、御紹介できるような数字は持ち合わせておりません。
【篠原座長】 何もないですか。
【嶋選挙部管理課長】 はい。選挙の直後ということもありますので、そちらの数字については持ち合わせておりません。
【石田学校教育官】 私の方でもしっかりお伝えできていなかった部分がございますので、また御相談して御報告できるようにしたいと思います。
【篠原座長】 確定値の前に速報値みたいのが出るんですか。
【嶋選挙部管理課長】 年代別の投票率については、悉皆の調査というのは基本できませんので、抽出で推計値というのを出す形になります。どれぐらいの時間で都選管の方が公表できるかについて、今、情報を持ち合わせておりません。
【篠原座長】 じゃあ、分かった時にお願いします。
【篠原座長】 それから、前の都知事選挙、4年前と比べてどうだとか、そういう推移も、傾向、トレンドも分かるような形で資料をいただきたいと思います。
【嶋選挙部管理課長】 分かりました。
【石田学校教育官】 失礼いたしました。
【篠原座長】 それでは、次の議題に移りたいと思います。主権者教育推進会議も、今日は10回目ですから9回にわたって御議論をいただきました。本日は事務局と相談し、これまでの議論を踏まえた取りまとめに向けての議論の柱と論点を皆さん方に提示させていただきたいと思います。事務局より説明をお願いします。
【石田学校教育官】 資料4に基づきまして御説明いたします。資料4-1、4-2を御準備いただければと思います。まず、資料4-1でございますが、これは先ほど座長からも話がございましたが、これまでの9回の議論を踏まえて、座長と御相談し、事務局案として主な議論の柱ということで三つ立てさせていただいております。具体的には、そちらにございますように一つ目が各学校段階での主権者教育の充実、二つ目が家庭や地域における主権者教育の推進、三つ目がメディアリテラシーの育成ということでございます。本日は、このうち各学校段階での主権者教育の充実ということにつきまして御議論を頂戴できればと考えてございます。
 資料4-2ということで、本日の議論の参考といたしまして事務局で資料を準備してございます。各段階での主権者教育の充実ということ、趣旨につきまして枠囲みでお示しをしております。新しい高等学校の学習指導要領では、現実社会の諸課題について追究したり解決したりする学習を通して、自立した主体として社会の形成に参画するための資質・能力を育成する「公共」という新しい必履修科目を設置しています。小・中学校においても主権者教育に関わる内容の充実が図られたところでございますが、しかしながら、高校卒業後の19歳の投票率が18歳時に比べて低い傾向にあるといった形で、知識や意識が剥落しているのではないか。高校段階では遅く小・中学校段階からの主権者教育の涵養につながるような取組を充実すべきではないかとの御指摘を頂戴しているところでございます。このため、特に小・中学校段階からの主権者教育の継続的な充実に向けて、各学校において指導する際、どのような工夫等を行うことが考えられるのかということでございます。
 こういった趣旨に基づきまして論点を4点お示ししてございます。まず1点目は小・中学校ということでございますが、こちらにお示ししておりますとおり、小・中学校では、学習指導要領に基づき、主として社会科において国や地方公共団体の政治の仕組みや働きについて学習しています。児童生徒が政治や経済に興味や関心を持ち、社会の形成に参画する基礎を培うには、自分たちの住む市区町村の政治や経済、地方自治など身近な地域に関わる学習を一層充実することも求められるが、その際、どのような工夫や留意点が考えられるか。社会で起きている事柄について、実感を持って考えさせる観点から、具体的な事象を模擬的に取り上げることが考えられるが、例えば同じ模擬選挙を行うにしても実際の選挙で用いられている政策や公約などを活用する手法、全ての設定を架空のものにする手法、現実の社会で課題となっていることを取り上げつつも、候補者や政党などは架空の設定する手法など取り上げる事象等によって設定を工夫することが考えられるが、特に小・中学校段階においては、どのような工夫や留意点が考えられるかということでお示ししてございます。
 これまでにいただいた主な意見も、その下に整理してございますが、1点目、新学習指導要領に示されたことをどのように具現化するのかが課題。特に小・中学校において政治や経済が自分の生活に身近に感じられるような指導が必要ではないかとの御意見。2ページにまいりまして、2ページ目の1行目の後半でございますが、子供たちが客体から主体になる、こういう実感のある学びができるよう地方自治を身近な素材として扱うべきではないかとの御意見。また、高等学校で急に主権者教育を実施しても、そう簡単には身につかない。特に効力感を高めたり、議論をする能力を身につけたりするには高校からでは遅過ぎるので、初等教育や就学前教育から取り組んでいくべきではないかとの御意見。次のポツでございますが、1行目、後ろの方、実際の政党のマニフェストを使って現実の具体的なものを取り上げる方法と架空の設定にした上で、現実の社会で問題になっていることを盛り込みながら取り上げる。この二つの方法を普及していってはどうかということ。
 また、二つ下のポチでございますが、これは先ほども御紹介申し上げましたが、教えるという授業から生徒に考えさせる、こういうプロセスを大事にしながら教師の役割ということ、生徒自身が考えるということを重視しながら主権者教育を進めていく、これが肝ではないかという御意見。また、次のポツの2行目、事例を基に議論させながら権利と責任という認識を子供たちに持たせることを意識して授業を行っている、こういう点をほかの学校に広めるべき。次のポツでございますが、ある政策について考えさせる場合に、様々な立場から多面的・多角的に考えさせる工夫や仕組みが大切であるということ。次のポツ、2行目でございますが、新しい若い先生方が張り切って取り組んでいただけるような資料集や実践事例のようなものを具体的に示す必要があるのではないかという御指摘を頂戴しているところでございます。
 二つ目でございます。高等学校ということ。高等学校に関する論点ということでは、高等学校では新しい必履修科目「公共」というのを設定したわけでございますが、この公共においては、現実の具体的な社会的事象等を扱ったり、模擬的な活動等を行ったりすること、関係する専門家や関係諸機関などとの連携・協力を積極的に図ることが学習指導要領上明示されたが、こうした指導を推進する観点から工夫すべき点や留意点については、どのように考えるべきか。
 主な御意見ということでございます。模擬選挙、模擬請願、模擬議会、高校生と県や市の職員との意見交換会、市町村議会議員との対話集会、市町村職員の出前講座、検察庁、裁判所への見学などを行うことがあり、こうした活動は社会科や公民科の先生だけではなく、学校を挙げて全体として取り組んでいく試みが必要ではないかとの御意見。二つ目のポチ、2行目でございますが、丸投げではなく外部の専門家と連携し、その知見を得ながらやっていく、そういう工夫が必要ではないか。模擬選挙を単なるイベントに終わらないようにするには、自分たちが選んだ結果と現実の結果が違ったのはなぜか、こういう振り返りが必要ではないかとの御意見。講師となる各分野の専門家が主権者教育ということをしっかり頭に置いて授業を行っていただく、こういう出前授業が重要なのではないかとの御意見。様々な取組が行われていたり、外部専門家もいるのだけれども、この学校外でこれをコーディネートする人がいると小・中・高のつながりというのも出てくるのではないかというような御意見を頂戴してございます。
 続いて、学校間や教科間の連携ということで三つ目の論点を立ててございます。小・中・高校間や関係する教科間での連携など、学校種や教科間での連携を引き続き推進することが求められるが、工夫すべき点や留意点についてどのように考えるべきかというところでございます。これまでの主な意見ということでございますが、例えば模擬投票につきましても、小学校、中学校、高等学校でやっている。ただ、それぞれの学校種でどこまでやるべきなのか、連携はどうあるべきなのかが問題ではないか。このため、例えば小・中・高まとめて研究指定したり、学校外のコーディネーターを活用したりすることについて実践研究を行うこととしてはどうかとの御意見。
 また、4ページにまいりまして中学校の事例でございますが、村役場や地域の方々からのお話を聞く。自分たちの課題として地域の問題を捉え、そしてその解決策を班ごとにまとめて発表して学級の中で意見交換を行った、こういう学級活動というのも有効なのではないかということ。市職員、市議会議員、商工会議所等をつなぐNPOの協力を得て、高校生が市議会議員と討議したり、議会で話し合ったりする取組、こういったことも有効ではないかということ。
 また、政治が時事問題を含め、全ての社会問題と密接に関わっているということを主権者教育で伝えることが重要。例えば就職活動や消費税増税、環境など児童生徒が関心を持ちやすい身近なテーマも、実は政治と密接に関係している。政治を中心に真剣に議論されており、決して自分に無関係なものではなく、自分事として伝えていくことが重要ではないか。カリキュラム・マネジメントの考え方のもと、公民科と総合的な探究の時間、生徒会、学校行事を有機的に組み合わせるということが学校単位で工夫されていくとよいのではないかとの御意見を頂戴したところでございます。また、四つ目の論点ということで、令和元年度における抽出調査の結果を踏まえた対応策ということでございますが、こちらにつきましては、先ほど御紹介、御報告申し上げました調査結果、これを受けてまたお気付きの点、御審議をいただければと考えてございます。
 御説明は以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ただいま近藤委員が御参加されました。本日は、御多忙の中、大変ありがとうございます。聞こえていますか。
【近藤委員】 よろしくお願いいたします。
【篠原座長】 よろしくお願いします。リモートで、ウェブで参加は松川委員と近藤委員のお二人ということで先ほど御説明を受けております。
 それから、今、事務局から御説明がありましたけれども、本日は各学校段階での主権者教育の在り方、どう充実、拡充をしていったらいいかということをテーマにして御意見をいただきたいと思います。次回以降は、先ほど説明のあった家庭教育、あるいはメディアリテラシーの問題、その他、選挙というのは選ぶ側と選ばれる側のコラボレーションですから、僕は選ばれる側の役割というのも大事だと思っているので、どういうものが考えられるか。そんなことをまた次回以降議論をしていって、できればこの10月ぐらいをめどに中間報告をまとめたいと思っております。その中間報告を受けて来年の春までに最終報告を作りたいと思っております。コロナの問題がございますから、多少日程がずれるかもしれませんけれども、一応、目途としては、そういうふうなことを今考えておりますので、皆様方の頭の中に入れておいていただきたいと思います。
 では、今日は、各学校段階での主権者教育の在り方について皆様方から御意見を随時いただきたいと思います。先ほど事務局が言ったように発言する場合、ウェブの方はどうするのでしたか。
【石田学校教育官】 発言ボタンを押していただくということになります。
【篠原座長】 発言ボタンを押す。それから、ここの対面で出席されている方は名札で、それぞれ名前を。
【石田学校教育官】 はい。御発言の際は、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただけましたら、ウェブの方もどなたが御発言されているか分かるということを御理解いただけると思います。
【篠原座長】 はい。分かりました。それからもう一つ、付言いたしますけれども各学校段階ということで、一応、小・中・高と書いてあるのですけれども、これは小原委員などが前から言われていますように大学生はそのままでいいのかというような問題もあると思うし、あるいは3歳から5歳の幼児教育の段階、そのところは一切触れなくていいのかという議論もありますので、別に小・中・高ということに限定せずに、それぞれの段階でどういうことをやったらいいのだろうかという幅広い観点で御意見をいただければと思います。それでは、よろしくお願いします。小玉委員、どうぞ。
【小玉委員】 簡単に3点ほど意見になると思いますけれども、第1点目は、この資料4-2の小・中学校のところ、二つ目の丸ポチのところで、具体的な政治事象を模擬的に取り上げるということが、これは小・中だけではなくて高校も含めて非常に重要だと思います。先ほどの抽出調査の高等学校の事例の方で、資料3の1ページ目のところの高等学校における取組の内容で言いますと、具体的な指導内容というところで1、2、3というふうにあって、現実の政治事象についての話し合い活動というのが34.4%と一番低い割合になっていて、本来、18歳選挙権以降の主権者教育ということで、一番強調されているのは、具体的政治事象を正面から取上げ、生の政治を取り上げるというところであったわけですけれども、そこが一番低い実施の割合になっているというところ、ここをもっと上げていかなければいけないというのが非常に重要な課題だと思います。
 選挙の仕組みの学習であれば、例えば選挙管理委員会の人を呼んで話をすれば、それで主権者教育をやったということになりますが、それだけだと、実質的な主権者教育にはならないと思いますので、この2の「現実の政治事象」の割合をいかに高めていくかという、しかも、それを小・中学校の段階から取り上げるという意味で、この2番目の丸ポチ、これは非常に重要なポイントなのかなと思います。これが1点目です。
 それから、2点目は、この資料4-2の最後のところのカリキュラム・マネジメントというところがやはり重要だと思いまして、これも高等学校における抽出調査で、実施した教科のところを見ますと、公民科が74.4%、こちらの資料4-2の方の高等学校のところでも公共という科目を中心にして具体的な政治的事象を扱うということが書かれているわけなのですけれども、しかし、実際に高等学校における公共を担当する教員は、公民科の教員のみになりますので、高等学校の教員全体が主権者教育を取り組むという仕組みを考えようとするならば、必然的に公民科以外の教科でも、あるいは特別活動とか生徒会とかでも主権者教育を位置づけていくということが重要になりますから、この公民科だけではなくて総合的な探究の時間や、あるいは特別活動のところでも主権者教育を位置づけて、しかも、それを小・中学校の段階から位置づけていくということをやることで、このカリキュラム・マネジメントの考え方で、これらを有機的に組み合わせるというところをもっと強化していかないといけないのかなと思います。
 それから三つ目は、今の点とも関わるのですけれども、特に特別活動における生徒会の活動というのをもう少し重視した方がいいのかなと。いろいろ高校生の話とかを聞いても、生徒総会をやっている学校とやっていない学校があって、生徒総会をやっている学校でもほとんど生徒の発言は出ない、あるいは生徒総会で生徒の発言があまり出ない方がいいみたいな形で生徒総会の運営などがなされているということもお聞きするのですけれども、生徒総会で意見が活発に出るというところを文科省としても積極的に推進していけば、もう少し各学校、教育委員会、私立も含めてですけれども、生徒総会が活発になって、しかも、それが小学校の児童会も含めてそういう形になっていくということが主権者意識の涵養ということにつながると思いますので、そういう生徒会や児童会活動の充実、総会での発言の活発化を促していくということが重要なのかなと思いました。
 以上、三つほど意見を述べさせていただきました。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 他に御意見ございませんか。どうぞ、中村委員。
【中村委員】 ある面では、この主権者教育というのは、教育改革的な要素が非常に強い。今までの我々の学生時代には、現実的な社会事象についてはなるべく触れないようなという形で文科省から指導が出ていた部分があって、それを18歳、選挙権を付与ということから少し主権者教育、どうしたらいいのだという話になって、教育改革だと思うので、教育改革ということは相当長い時間軸というものが必要になってくるのだと思うんですね。
 今、小玉先生が言われたように教員の指導がまずあってみたいな、それをステップ1として、ステップ2としてという、このステップをしっかり分けた中での時間軸というものをしっかり設定して、かなり長い時間軸で変容をさせていくという覚悟がある面、必要なのかなというように思っています。それがしょっちゅうマイナーチェンジ的にこの方針が変わると、現場は大変だと思うんですね。先生たちは。ではなくて、ここで大きく捉えた形の大きな方向性を出して、それでステップ1では何をする、ステップ2では何をするという、それが大きな目標点を設けてバックキャスティングでこの時点は何をやるというような論理が必要なのかなと思っておりますので、よろしく御指導をお願いしたいなと思っております。
【篠原座長】 大事な御指摘だと思います。
 他に御意見ございませんか。どうぞ、では、神津委員。
【神津委員】 ありがとうございます。今、中村委員がおっしゃったこととも関わってきますが、取りまとめに向けた観点で、議論の柱立てについて、そもそも、なぜ今こういうまとめが必要なのかということをまずは触れておく必要があると思います。前々回に小玉先生から、これまでの歴史的な経過、いきさつの話がありました。
 かつて、なかなか主権者教育が進まなかったのは、それなりの背景があったということですが、時代状況も変化する中でこれをどう克服していくのか、ということから、この議論があると思います。また、イギリスやドイツの具体的な事例など、世界の動き、進化についても我々は意識しておく必要があります。長い時間軸の中で、ステップ感をきちっとバックキャスティングも含めて作っていくということが重要ではないかと思います。
 そこで、資料3の具体的な指導内容で、現実の政治的事象についての話し合い活動や、模擬選挙等の実践的な学習活動の数字が低いというのは、なかなか学校の現場で主権者教育が実質的には進んでいない、ということを象徴的に表していると見ざるを得ないと思います。学校の先生も大変な努力をされる中で、前回、御報告いただいた様々な好事例をどう横展開していくか、という観点も非常に大切です。
 また、分かりやすさが大事だと思いますので、映画や動画をうまく使うということも、生徒、学生の動機づけに向けて考えるべきではないかと思います。足元でのオンライン教育についても、必要に迫られた部分もありますが、その功罪を見極めながら、今申し上げたことをどう位置づけるか、ということも必要だと思います。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございました。
 冒頭言われた、なぜこういうことがこれから必要なのかということについては、それはこれまでにも議論で大体コンセンサスがあるという前提で、今こういう各論の話をしているのですけれども、神津委員御指摘のように報告をまとめるときには、改めてそこのところにきちんと触れておくということが必要かなと思っております。
 ほかに御意見ございませんか。松川さん、どうぞ。
【松川委員】 松川です。ウェブで参加させていただきます。聞こえますでしょうか。
【篠原座長】 はい。聞こえます。
【松川委員】 先ほどから御発言の委員さんとも共通するのですけれども、先ほどの実態調査の結果を見ても、高校3年生の段階ですと主権者教育というのが限りなく選挙についての教育というのに近くなっているなという印象を持っております。主権者教育の成果が具体的な投票行動に結び付くことの重要性というのはもちろんなのですけれども、それに至るまでの地域課題とか政治課題について問題を把握して、自分の意見を形成するという過程は、地道に小学校段階から重ねていかないと、一挙に高校生の段階になって具体的に選挙で投票することにはなかなかつながっていかないと思うんです。そういう意味では、主権者教育の中で選挙に関する教育が重要性を持つことは確かですけれども、もう少し広がりを持った教育として考えていく必要があると思います。
 例えば小学校、中学校とだんだん自分の身の回りのことから、住んでいる町、市、県、それから、国というふうに関心段階が広がっていくわけでして、その都度、やはり自分の意見を地域課題について形成できるような教育を積み重ねて連携していくということが最終的に投票行動にも結びついていくと思うんです。例えば身近なところですと、自分の住んでいる市で新しい市役所を建設する。そして、古い市役所の跡地をどのように利用するのかということなどについても、やはりいろいろな意見があるわけでして、そういうところから関心を持っていくということを一つ一つ積み重ねていくということが必要で、先ほどの調査の中でも大変気になりましたのは、他のところとの連携の中で、地方自治体、地方公共団体との連携というのが非常に少ないですね。やはり自分の住んでいる町とか市についての状況を具体的に知るためには、そういうところと連携していくことも大事だと思います。そういう意味では、小・中・高とどういうふうに連携しながら、広がりを持った主権者教育を作っていくのかということが大事かと思いました。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 今、松川委員が御指摘になったことも大変重要な点だと思います。やはり選挙に全部、目が行きがちなのですけれども、私は、選挙で投票するというのはあくまで主権者教育の出口だと思っています。松川委員と全く同じ意見で、そういう観点も盛り込みながら、今後検討させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 他に。小原委員、どうぞ。
【小原委員】 いくつか疑問があります。まず一つ、19歳、投票率低下の件なのですけれども、これを高等学校での主権者教育に原因をつけて、そこが不十分だから小学校、中学校の教育でやるということに私は疑問を持ちます。というのは、高等学校3年でやっても、1年後にはそれが薄れているというのであれば、その投票からもっと離れた小学生、中学生にやったって、そんな効果が長続きするはずがないですね。それから、投票率が低いから、小学校、中学校の教育に求める根拠というのがまず一つはっきりしていないと思うんですね。もし投票率を上げるということに限定するのであれば、私はむしろ、大学で行っている一年次教育の中にその主権者教育というものを、少なくとも選挙に関して入れるべきであって、もう一つの主権者としての意識を持たせる、あるいは民主主義の在り方を考えさせる、知識を与えるということであれば、それはそれで架空の教材を作りながら、小学校、中学校教育に求めることは考えられます。
 一方、今回の状況で分かったように、小学校、中学校は学習時間を確保するのに精いっぱいです。この上にまた抽象的な勉強を加えることの物理的な可能性を考えると、安易に小学校、中学校から主権者教育をやれというのは非常に難しいのではないかなという気がします。実際、小学校の場合、週28時間、上限がありますから、その中にあれもこれもと入れるのは物理的に無理です。だから、現場というか、実際に小学校、中学校の教育を見ていて、これはもう限界に来ている。そこへこういったことを入れることよりも、むしろ、私は大学の1年生、2年生を対象にした教育の中にこういったものを入れるべきだろうというのが私の考えです。
 併せて、もしその小学生、中学生を対象にということであれば、例えば小学生の家庭限定に親子で実際のそういう、いわゆる選挙活動に参加させる。そのために小学校を一時開放して、そこでいろいろな政党なり候補者がああでもない、こうでもないということを言う。それを子供に見させる。それをもって家に帰ってやれば、具体的な議論というのができると思うんですね。ここで言われている小学校で家庭に帰ってどうのこうのと言っても、親が何で突然そういうことをやらなければいけないのだというようなことを不信に思うので、であればやはり実際に親にもそういう選挙活動といったものに参加させるということで、共通の話題がそこで取れるのではないかなと思います。したがって、小・中学生を対象に主権者教育を始めるというのであれば、親子ともにその場を体験させるというような時間を確保していけばいいのではないかなという考えを持っております。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 教育現場を随分御覧になった上での御意見だと思うので、そういう御意見も尊重しながら進めていきたいと思います。今、家庭の問題が少し出ました。次回以降、また家庭の問題も取り上げたいと思っているのですけれども、小・中の段階というのは学校段階だけではなくて、家庭とのコラボが僕は非常に大事だと思うので、例えば今おっしゃったように、投票所に子供を今連れていけるようになっていますから、投票というのはこんなものだよと。しかしながら、その大前提として親がそういう気持ちがなくては、子供を連れていくこともできません。今、法律改正で、いつでもどこでも連れていけるように、嶋課長なっていますよね。公職選挙法が改正されましてね。
【嶋選挙部管理課長】 はい。
【篠原座長】 私たちも働きかけをやったんですよ、当時。だから、そういうのを大いに使ってもらっていけば両立できるのかなという感じもします。小・中だけでは難しいというのも確かにそうで、今、プログラミング教育も、英語教育の実施などいろいろなものがあると思いますので、よく事情を踏まえながら、とりまとめの段階で議論させていただきたいと思います。
 ほかにどうぞ。どうぞ、植草委員。
【植草委員】 植草でございます。私、今のいろいろな議論を聞いていまして、小・中段階だと、主権者教育についての知識とか意識、両方大事になってくると思うのですけれども、その中でも特に意識というか、意欲がすごく大事なのかなと。実は高校段階になってきて、生徒の方に話をする、いろいろ生徒に勉強させると、選挙が大事だということなので、選挙の投票は行く。なのだけれども、自分の力で政治が変えられるかといったときには、何の動きも示さないんですね、アンケート等取っても。ですから、生徒の中で、自分で考え、自分の考えとか、そういうものが世の中を変えるのだというようなところを小学校段階ぐらいから入れていけばいいかなと思います。
 それは、ただ、応用の問題ではなくて、例えば小学校のある町内会の方と一緒に児童会、先ほど小玉先生からありました児童会等が一緒になって、何か地域のことについて考える。そうすると、子供たちの考えたことが町内会のものに反映する。そういうことで子供たちにとってみると、その意欲がものすごく涵養される。それは子供一人の意見ではなくて、子供たちの中では、その意見をまとめるときの合意形成の手段とか、あと、あの子がこういう意見が通って、こういうふうに言ったことが実際なったんだ。波及効果もすごくあるのかなと。ですから、そういうような、学校で小・中学校から積み上げていくというのが大事かなと。それが1点。
 今までも何回か申し上げているのですけれども、どうしても小・中学校というのが公立の場合には設置者が市、高校の場合は県ということで、そことのつながりの途切れ方というのは、現場にいると本当にすごくあるなと、そういうふうに感じています。そこはやっぱりフォローするためにも学校から一歩外れたコーディネートをする役割というのはすごく必要なのかなと。
 以上2点です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 最初に小玉委員から、今、植草委員からもお話があった生徒会活動は確かに、主権者教育で重要な役割を果たせるのではないかと思っているのですけれども、もう一つ、一歩踏み込んで、例えばボランティア活動といったものを含めて、そういう意欲をどう養っていくかということも一方で、もう少し考えた方がいいのかなと感じます。では、佃委員、どうぞ。
【佃委員】 先ほど松川委員からも御指摘がありましたけれども、投票に至るまでの思考のプロセスをきちんと教えるというのも非常に大事なことだと私も思っておりまして、資料4-2の2ページの中ほどで、良い例ということで学校訪問したところで、どういう権利を持ったら、どういう責任を負わなければならないかというのを議論している学校がございまして、非常に感心しました。ここに書いていただいているのですが、もう一つ、私、感心した例がございまして、公益と私益のバランスをどう取っていくのか。これを身近なごみ集積所とか、ごみ焼却炉をどこにつけるのか、これはまさしく私益と公益のバランスをどう取っていくかという、そういう議論を中学校か何かでしておりまして、僕は大変感心いたしました。
 これは恐らくそういう議論が、公益と私益ということになるとだんだんそれが大きな国の問題になったら、今、最近のあのイージスアショアの問題などというのも、まさしくそういうのにつながっていくのだろうと、こういうふうに思って、これは非常に大事な視点だと。だから、権利と責任、それから、公益と私益という、このバランスをどう取っていくかという、そういう思考のプロセス、判断のプロセス、公約の評価のプロセスというのを身近なところから教育するというのは、非常に大事なことだと思って先ほど松川先生のおっしゃったこと、そのとおりだと思いました。
 それからあと2点目は、今までの議論であったと思うのですが、先生方の不党不偏中立の立場をきちんと守ってこういう議論をリードしようとすると非常に堅苦しくて、議論がある程度以上踏み込めない、踏み込みづらいという御意見があったと思うのですが、教えるときにどこか偏った考え方をリードするような、そういう教え方というのがいけないのであって、自分自身がある意見を持って、俺はこう思うよという先生がいてもいいのではないか。俺はこう思うけれども、隣の先生は全く違った意見、こういうのを持っている。君たちはどう思うかと、こういう議論の発展のさせ方をすると議論が深まる。
 あまりしゃちほこばって、その不偏不党、絶対中立という議論を先生自身がリードするということは、これは無理だし、空疎な議論になるという気がいたしますので、これは文部科学省の方針に抵触するのかも分からないけれども、先生もそういう、かなりフレキシブルな立場で指導してもいいと、そういうふうに言ってあげないと先生、かわいそうだと、こういうふうに思います。それを僕はここへ書き込んでいただけたらすごいなと、こう思っているのですが、それは難しいかも分かりませんが、よろしくお願いしたいと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 今の最後の部分で、そういう御意見、よく分かるのですけれども、なかなか現下の政治情勢を考えると、政治的中立性、現場での教え方の中立性をどう担保するかということの方がやっぱり、何となしに関心を持つ人が多いものですから、この間、視察でドイツに行ってきましたけれども、ボイテルスバッハ・コンセンサスという超党派の委員会が国会の中にありまして、そこが例えば教材などを全部チェックするんですよ。何かそういうものにぼちぼち日本も踏み込んでいったらいいのか。その辺はこの報告書の中でどの程度書き込むかという問題もあると思うので、また御意見をいただきたいと思います。
 近藤委員、お待たせしました。どうぞ。
【近藤委員】 ありがとうございます。松川先生がおっしゃったように、大学になってからでは遅過ぎるというのは、私も同じ意見です。確かに小学校、中学校、非常にカリキュラムが厳しい状況は理解しておりますけれども、その中で今それぞれの教科が持っている、また、例えば租税教育で税理士さんが現場に行かれる。そういった時々にこの主権者教育というものをどのように絡められるか。何か特別に主権者教育という科目を作って行わなくても、関連科目の中できちっとその手法というか、このように絡めてやってくださいという道筋さえ示せば、決して過度な負担にはならないで落とし込めるのではないかと思います。
 先ほどから投票率の話が出ていますけれども、投票率を上げることを単に目標とするということではなくて、投票行為というのは一つの主権者としての選択肢の一つであって、選挙以外にも主権者として意思表明、意見表明ができる様々な場面がある。また、選挙権がない小学生、中学生にとっても主権者という立場でこういうことができますよという手法を教えていくということは非常に重要だと思います。以前にもお話ししたことがありますけれども、何か地域のこと、学校のことで課題と感じたら、区役所の担当に自分の意見を手紙に一本書く、ファクスを送る。それも一つの意思表明であるということで、いろいろな手だてがあるということを子供の頃から教えていってもらいたいなと思います。
 それと、政治的云々という話が出ましたけれども、一つのテーマを決めて右寄り、左寄り、異なった立場でディベートをするようなトレーニングを入れていってはどうかと思います。立場が変われば、状況が変われば今まで右と思っていたことを左と感じたり、考えたりするようになる。だから、自分の考え方が全てではなくて、いろいろな立場の人がいろいろな意見を持っているのだと。一つのことに対しても。そういう多面性というようなものは小学生、中学生のときから是非教えていく必要があるだろうと思います。
 模擬選挙のところでまたお話が出るかもしれませんけれども、そういうことを考えますと、小学校、中学校のときから国政レベルの話をするのではなくて、身近な自治体レベル又は学校がある学区の範囲の中での身近なことをテーマにするということになれば、うちの中学校でやっているような「区長になろう」、区長を目指すための模擬選挙というようなことも一つの、あまり政治にとらわれずに身近なことを素材としてみんなで議論ができるという意味では、模擬選挙のテーマに向くのではないかと考えております。
 以上です。ありがとうございました。
【篠原座長】 どうもありがとうございました。
 今、近藤委員の言われたこともみんな大事な点でございまして、小原委員、結構、小・中からやるように何か工夫できないかという御意見が多いのですけれども、いかがですか。今の近藤委員も松川委員もそうなのですが。
【小原委員】 言うは簡単、実際は無理となると思います。というのも、他にやらなければならないことはどんどん増えているわけです。その上に時間制限をさせたまま注ぎ込んでも、それはあふれるに決まっています。私立の中学校受験、あるいは県立、区立高校受験、大学受験に何の役にも立たないとなったらば、ますますそういうのはやらなくなってしまいます。やるのであれば、1週間の28時間を30時間にしてスペースを設けなければ、言うだけで終わりますよ。
 現に例として英語がそうですね。英語2時間、それを28時間の時間内でやりなさい。今まで28時間でやっていたときに、プラス2なのに、普通なら30にしなければいけないのを28という上限を設けている。結局、あれはやるだけ無駄。私にとって、ならば、やらない方がいいということですから、大人が考える、あれやれ、これやれというのは、現場から見たら絶対物理的に無理なんですよね。それをやらせようとすると、結局、中途半端になってしまうと思うんですよ。もしやるのであれば、総合的な学習の時間や道徳科に権利と、先ほど言っていた権利と責任であるとか、公益と私益とかって、そういった類いのものをそこに入れていくということは必要ではないかなと思うんですね。そういう意味で、先ほど出た教育改革ということにたどり着いていくと思います。
【篠原座長】 はい。分かりました。
 北川さん、どうぞ。
【北川委員】 ありがとうございます。私からは2点でございます。まず、学校教育として小・中学校でというところなのですが、先ほど資料4-2での高校の話が出ていましたけれども、公共の授業を高校で取り入れていくというところでございます。その要素を小・中学校にも少しでも取り入れることができるのではないかと考えています。先ほど委員の方々からありましたように、緩く意識を植えつけていくことが必要ではというふうに思っています。今、小原委員が発言されているように、次回以降、家庭や地域にもつなげていくというところも重要ですけれども、何か本当に緩く植えつけていくということができるのではないかなと思いました。
 もう1点ですけれども、模擬選挙の話が出ていますけれども、先ほど委員から御発言がありましたように、自分が主人公となって当選した暁には自分の考えで世の中を変えられる。夢を持つことができるのではないかという意味で、経済団体が行っている子供議会が実際に議場で行われているという事例があります。実際に議場に立つことによって、その議論の中で自分が、先ほど先生方も言われているように、違う意見を理解し取り入れたり、いろいろな意見を総合してまとめるという力も身に付くのではないかなと思いました。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 国においても参議院などが子供国会みたいのものをやったり、実践もして自然に現場で身につけていくようなものができ、もっと広がってくるといいなと思いました。
 田村委員どうぞ。近藤委員と小原委員の小・中の問題では、意見がかなり異なるのですけれども、その辺も含めて御意見をいただきたいと思います。
【田村座長代理】 ありがとうございます。主権者教育の中身は何かというと、学校で扱おうとする中身としては、アリストテレス以来言われている「共通善」、社会の活動ですから、共通善をいかに意識させるかという、それが学校の目標だろうと思いますね。共通善というのは、つまり、今までいろいろな御説明、御意見がございましたように、人それぞれいろいろな意見があるわけですが、共通する善、良いものがあるのだという、この考え方ですね。これを求めていくというのが基本的には主権者教育だろうと思います。共通善というのは、どの教科がやるということではなくて、全ての教科で扱えるテーマなんですね。ですから、どこの学校のどの部分で何をやるというのではなくて、教師として次の世代に伝える時間に、知識のもついろいろな能力、知識、考え方、価値観、いろいろなものがあるのだろうと思いますが、そういう中で共通して伝えなければならないものは、共通善に関わる意識だろうと思います。
 みんながいいと思うことは何だろうかと。これはいろいろな言い方があるのですが、例えばアダム・スミスですと、それを「シンパシー」という言い方をしていまして、時代、時代でいろいろな人がその言葉をいろいろな言い方で伝えています。自由経済の中でもシンパシーだけは守って譲ってはいかん。これがアダム・スミスの自由経済の考え方ですね。フランス革命のときに「自由」と言い出した革命政府にコンドルセという貴族が公共圏ということを強調して、基本的には自由だけれども、そこは自由に譲ってはいけない。公共圏は守っていかなければいけないのだと言っています。そこは、これは実は自由社会で活動していく要諦だろうと思います。いろいろな意見があることを認めない社会ではなくて、認めるということであれば、全員が共通善に対する意見を持ち寄っていく、それが社会を形成していく。これが主権者教育だろうと思っていますので、高校だろうが、中学だろうが、小学校だろうが、いろいろなところで、いろいろな教科でそのことに触れる。
 それは象徴的に出てくるのが、小学校であれば児童会、中・高であれば生徒会なんですね。これは生徒が自分たちでやっているということを確認するチャンスの場なのですが、それがほとんどない。学校生活の中でやろうとすれば、それが一番いいのですけれども、実際、生徒会、あるいは児童会の活動というのは、ものすごく低調なんですね。教員がそれを意識して指導して頑張らせなくてはいけない。それで何をやるかといったら、みんなが納得するものは何だろうか。別の言い方をすれば、コンセンサスというんですか、もっと具体的に言えば、アメリカが独立当時に「コモンセンス」ということを非常に大事にしたと言われていますが、これは「共通善」ですよね。それを身につけていれば主権者としては、もう充分なんですね。ですから、そういう意識を学校で植えつけるという、その手続とか知識というのは必要要件として取り扱う必要はあるとは思いますが、一番大切なのは、そこの「意識」なんですね。
 人間が社会を創るためには、それがないと創れないわけですから、その際自由であって、それぞれがやりたいことをやるというのが、僕は一番いいと思っていますので、それができるためには全員が共通善についての意識を共有する。有名なトクヴィル「アメリカの民主主義」という本の中で、これを別の表現「心の習慣」という言い方をしていますね。これは共通善のことなんです。何となく、それはみんな守るという、それを伝えていくということが学校でやるべき仕事だろうと思いますから、これは幼稚園から、始まると思います。そういうことを先生が全部意識して、関係者がみんな意識して、それをやっていくことが民主主義社会を創る基本だと思いますので、これはアリストテレス以来言われていることですから、よろしくどうぞ。私の考えを申し上げました。
【篠原座長】 何か議論の全体が収れんできそうな田村委員から御意見、ありがとうございます。共通善、善悪の善ですね。
【田村座長代理】 そうです。
【篠原座長】 一通り皆さん御意見をいただいて、まだもう少し時間がございますので、どうぞ、自由討議で御意見を出していただければと思います。教える先生方の研修というか、きちんとどういうふうに取り組んでいかれるのか。だから、教員レベルの何かそういう処置も必要なのかなという感じもするのですけれども、その辺はどうでしょうかね。
【小玉委員】 先生方の初年次研修とか、10年研修とか、そういう中に主権者教育というのをプログラムとして取り入れていくというのは一つの案としてあり得るかと思います。特にこの具体的な政治的な事象、生の政治を取り上げるというところで、政治的中立性を保ちつつも、どうやって萎縮せずに、政治をタブー視しないで積極的に取り上げていけるのかというところについては、そういうことが主体的にできる先生方とそうではない先生方がおられますので、そこは研修の中で、先生方の中で相互に刺激し合いながらやっていけるような仕組み作りが重要だと思います。
 それからもう一つ、教員免許を取るための大学の教職課程がありますけれども、あの中には社会科や公民科の免許以外については、主権者教育や政治教育のための科目がまだ存在していないという実態がありまして、そこに何らかの形で、例えば教育実習の事前事後指導のところであったり、あるいは総合的な学習の時間の指導法を学ぶための科目など、教職課程のコアカリキュラムの中に主権者教育の内容を位置づけて、公民科の教員免許を取る人だけではなく教員免許を取る全ての人が履修する教職課程で主権者教育について学べるようにしていくということは重要なのかなと思いました。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 何か御意見、他にございませんか。植草委員、どうぞ。
【植草委員】 植草です。教員の研修等、すごく大事だなと思っています。ただ一つ、現場の方の例として、昨年、私がいた学校でクロスカリキュラムということで家庭科の授業の中に政治・経済の教員が入り込んでいくというのをやりました。家庭科の方のライフデザイン、これがすごい盛んにやっているんですけれども、そこの中の部分、部分で政治・経済に関係する内容等非常に多くあります。そういう形でやったときにやっぱり、非常に家庭科と政治・経済というか公民科が、親和性が高いなということと、あとお互いに非常に影響し合うなということ、教員同士がすごく勉強になったという場面があります。ですから、現実的にはどうしてもカリキュラムというところがあるのですけれども、そういうクロスカリキュラム的なものというのは効果があったかなと思っています。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ほかに御意見。どうぞ、中村委員。
【中村委員】 同友会でまとめた提言書にも少し載せさせていただいたのですけれども、現在、大人社会にあまり主権者教育を受けた実感のない人が非常に多いんですよね。いざ主権者教育、家庭も含めてといったときにどうなんですか、北川理事にお聞きしたいんですけれども、迷ってしまうのではないかと思うんですね。主権者教育、何をすれば子供たちって、PTAの段階でのベースで、実際、受けていない、提言書では空白時代と呼んでいるんですけれども、その世代を、我々のことを。だけど、そこでいきなり科目的に主権者教育、公共みたいな科目があって、PTAも含めて頑張ってくださいと出されたとき、どう反応されるのかなって、北川委員にお聞きしたいなと思って。
【篠原座長】 どうぞ。
【北川委員】 先ほど申し上げましたように、突然ということになると大変迷いますし、我々も主権者教育を受けてきたかというと、そうでもなく、空白の世代だと思っています。ただ、今議論されているように避けては通れないとは思いますので、何か仕掛けをして子供たちにも分かりやすいように、教えていく必要があると思います。先ほど先生から国民の義務である納税について、租税教室など納税団体が行っている事例が紹介されました。教えるのが実は先生ではなく、地域の納税者とかなんですね。そういうことをまねするというか、絡めてやっていくのも一つの手かなと思っています。そうすると、先ほど来、少し私もこだわるのですけれども、ガンッと来られるとなかなか取っつきにくいですけれども、緩くという話でいけば入りやすいのかなと。だんだんと積み重なっていって、主権者とは何たるやというところに気付くことになるのかと思います。
 以上でございます。
【篠原座長】 中村委員のおっしゃるように、昔は自然に何か例えば地域のことに関心を持ち、国のことにも関心を持ち、親、家庭、そういうものも含めて、地域を含めて、何かそういう雰囲気がずっとあって、だから、投票率もずっと高かった。特に投票権というのは勝ち取ってきた歴史があります。特定の人しか投票できないとか、そういうものが順次、男女平等で勝ち取ってきた。だから、本当はこういう主権者教育などというのは、大上段に構えてやらなくて済むのが一番いいのではないかとも思います。
【中村委員】 特に最近、情報が氾濫しているような状態の中で、どの情報を捉えていくのかとか、自分の判断で捉える力というのがある意味では有権者の主権者としての素地ではないかと思うんですね。テレビが言っていたからとか、新聞に書いてあったからというだけで判断をするとおかしいし、SNSを一つ見出したらそっちを、みんなが右の方向へというのがどんどん追加で出てくるとかいう世界ですから、これは一つまた極端に走るケースが出てくるのかなと。だから、本当にいろいろな情報源がある中で、その選択をしていく力、この辺を大人も含めて子供たちにもどうつけていくかということが一つの肝なのではないかなという感じが少ししております。
【篠原座長】 メディアリテラシーの問題もまた次回以降、取り上げさせていただき、またそのときに御意見を賜ればと思います。他に御意見ございますか。どうぞ、佃委員。
【佃委員】 先ほど先生方も少し自分の意見があるのであれば、ちゃんと言う自由があってもいいのではないかというお話をしたのですが、これ、お役所は堅過ぎるのではないかと思うんですよね。今からDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代になったら学年と学齢というのが、何歳になったら何を勉強するということも、これはだんだん崩れてくる、そういう点ではどんどんフレキシブルになってくるのではないかと思うんです。そういう意味で例えばつい最近、昨日とか一昨日とか、e-Portfolioが駄目になりましたよね。もう使わないと。せっかくああいう学校の入試の点数だけで評価するのではなくて、日頃の行動も評価しようという試みの第一歩がe-Portfolioだったと思うのですが、それが何か公平性が保てないとか、みんなが使わないとか、金がかかるとかというので駄目になってしまいましたね。
 それから、英語の試験も駄目になってしまいました。みんなああいうのが非常に四角四面に、非常に几帳面に評価するがために全部潰れていくというのは、これは非常に残念で、もう少し、先ほど緩やかにというお話が、役所の方から話がありましたけれども、もう少しこういうことを緩やかに評価していいのではないかという気がするのですけれども、是非そちらの方向に少し、お役所もそういうふうに考えていただけるようになるといいなと。最初は、そういうふうにすると一般の親たちからも、うちの子は4年生なのに隣の同じ子はもう5年生に進んでいる。どうしようなんていう人が出てくるかも分かりませんが、これはきっと慣れます。だから、そういうふうに、小さい子供というのは成長スピードというのが人によってものすごい違うわけですから、だから、それは極端な例ですけれども、もう少し緩やかにという、寛容な気持ちでというのを是非役所の規則にはお願いしたいと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。佃委員は教育再生実行会議の委員をやられているんですか。
【佃委員】 はい。副座長をやっております。
【篠原座長】 9月入学の問題も、そちらで取り上げるんでしょう。
【佃委員】 ええ、そうです。
【篠原座長】 東大の濱田元総長が打ち出した、あの構想、大賛成でして、大学だけでも9月入学という形で先行してやる考え方もあると思います。
【佃委員】 そうですね。ギャップタームもね。
【篠原座長】 あのギャップタームという考え方、一番大事だと思います。主権者教育にも関わるんですけれども、高校を出て大学に入るまでのあの半年間に社会活動とかボランティア活動とか、そういうものをしっかりやってから大学に入るという流れ、がギャップタームなんです。あれは主権者教育のまさしく肝の一つになるので、是非そういう観点も考慮しながら議論して進めていただきたい、これは私の個人的な意見です。
【佃委員】 分かりました。
【篠原座長】 今年18歳になって東京都知事選挙が初めての投票だったという人がいっぱいいるわけです。18歳になって投票した人の投票率が幾らぐらいかという年齢別のデータはいずれ出ますよね。
【嶋選挙部管理課長】 まず東京都選管の調査になるということなのですが、ただ、前回については、各年齢は基本的に5歳の年齢ブランケットで取っているのですが、20歳以下のところ、18歳、19歳、20歳については、それぞれ年齢ごとに前回調査を都選管の方ではしておりますので、今回も恐らく同様の形で調査をされるのではないかと思っております。
【篠原座長】 出てきたらまた事務局を通じてこちらにもお教え願いたいと思います。
【嶋選挙部管理課長】 そのようにさせていただきます。
【篠原座長】 ほかに御意見何かありますか。よろしいですか。
 では、ちょうど時間が来ました。こういう議論を次回以降も続けさせていただきたいと思いますので、どうぞご自由にいろいろな意見を出していただいて、議論を活発にしていい報告書につなげていければと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から、あと何かありますか。
【石田学校教育官】 次回以降の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。御審議、ありがとうございました。お気付きの点がありましたら、メール等で事務局にお寄せいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【篠原座長】 では、皆さん、今日はお忙しい中、今日は皆さん出席も多くて、ウェブ参加の近藤委員、松川委員も、どうもありがとうございました。また次回以降、よろしくお願いいたします。それでは、これで会を閉じさせていただきます。


―― 了 ――

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