主権者教育推進会議(第9回) 議事録

1.日時

令和2年1月14日(火曜日)

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(東館3階)

3.議事録

【篠原座長】 定刻になりましたので、では始めます。新年最初ということでございまして、まず、明けましておめでとうございます。本年もまたよろしくお願い申し上げます。
 早速議事に入らせていただきます。
 本日も御多忙の中お集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は11名中9名に御出席いただいております。
 また、本会議につきましては、報道関係者より会場の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきいただければと思います。
 それでは、本日の配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。
【大内主任学校教育官】 おはようございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 配付資料につきましては、議事次第にございますとおり、資料1、それから資料2を配付させていただいております。また、委員の先生方の席の方には、机上参考資料といたしまして、訪問した学校より御提供いただきました視察当日の授業の指導案など、関係する資料を配付させていただいております。過不足等ございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。
 以上です。
【篠原座長】 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、前回はいつでしたか、これは。
【大内主任学校教育官】 前回は、昨年の9月17日火曜日になります第8回ということでございます。
【篠原座長】 その後は学校訪問を行っていたのですよね。
【大内主任学校教育官】 さようでございます。
【篠原座長】 こうやって集まるのは9月以来ということですね。
【大内主任学校教育官】 さようでございます。
【篠原座長】 前回の主な意見などについて、ではまず事務局から御説明をお願いします。
【大内主任学校教育官】 それでは、資料1をお手元に御用意ください。今ほど申し上げましたとおり、前回第8回でございますけれども、昨年9月17日に開催いたしてございます。日本公民教育学会の栗原教授、それから本会議の委員でございます小玉委員の方から、主権者教育の推進の在り方や課題等について御発表いただいたところでございます。その際の主な意見として御紹介させていただきたいと思います。
 資料1の8ページをお開きください。資料1の8ページの上から2つ目の中点以降でございますけれども、主なものを御紹介したいと思います。ここは、学習内容や指導方法等の小見出しのところでございます。その中で、上から2つ目の中点でございますけれども、例えば、社会科は公民的資質を育成するということを長らく教科の目標として掲げてきたわけでございますけれども、主権者を育てるということはこれまでも社会科のねらいであったと考えているのですが、高等学校公民科の実際の授業の中では教科書の逐次解説をやっているのにすぎなかったのではないかという率直な反省があるという御意見を頂戴いたしました。
 1つ飛びまして、模擬的な活動を導入するということが学習指導要領上に示されたことはよいことと思うが、イベントやごっこではなく、どのように深く学ばせていくかを考える必要があるのではないかという御意見。
 また、その下でございますけれども、専門家や関係諸機関と円滑な連携・協働を図るということが学習指導要領上で明確に示されたが、丸投げではなく、外部の専門家と連携し、その知見を得ながらやっていくには工夫が必要ではないかという御意見。
 さらに、模擬選挙を単なるイベントに終わらせないようにするには、自分たちが選んだ結果と現実の結果が違ったのはなぜかなどの振り返りの機会が必要で、そのときに深く学ぶような問いを立てるというような工夫が必要なのですが、そういった時間が十分とれていないのではないかという御意見。
 さらには、その下、学校教育は時間が限られているので、他教科との連携をどのようにするかが課題であるという御意見。
 その下、カリキュラム・マネジメントの考え方の下、公民科と総合的な探究の時間、生徒会、学校行事といったものを有機的に組み合わせるということが学校単位で工夫されていくとよいのではないかという御意見を頂戴しております。
 また、1つ飛びまして、8ページの一番下のところですが、国や国際というレベルよりも、地方自治の方が興味を持ちやすい生徒もいる。このため、国や国際を扱う公民科を補完的に捉えて、地域をテーマとした総合的な探究の時間を中心に据えて、小中学校との連携を充実させていく考え方もあるのではないかという御意見。
 9ページでございますけれども、主権者教育、あるいは18歳選挙権となりますと、投票者というスタンスで考えがちなのだけれども、地方というレベルまで持ってきたら、自分が候補者になるという立場での政治参加も考えた方がよいのではないかという御意見を頂戴しております。
 また、主権者としての行動をどうとるかということは、一方的に教えるという話ではなくて、思考を喚起し、判断力を身に付けさせるような教育にすべきではないかという御意見。
 他方、その下ですけれども、主権者教育に限らず、思考や判断をさせるときには、それができるだけの材料が必要であって、基礎的な知識を教えた上で判断、考えさせるというステップが重要であり、ここはバランスをとらなければならないのではないかという御意見を頂戴したところです。
 また、その下でございますけれども、主権者教育では、争点をきちんと知ることで、世の中には複数の考え方があって、むしろ争い事がなぜ起こっているかを考える、争点を考えるということを中心にして組み立てていくことが必要ではないかという御意見を頂戴したところです。
 それから、そのほかの項目でございますけれども、1枚おめくりいただきまして、11ページのところの上から2つ目です。ここはメディアリテラシーに関わるところの御意見として頂いておりましたが、SNSやインターネットは自分に都合のいい意見だけを見がちで、自分と異なる意見と向き合わなくなることが欠点である。それが悪い意味でのポピュリスト的な動きにもつながっていくので、こうした環境下での主権者教育の在り方についても検討すべきではないかという御意見を頂戴しております。
 また、少し飛びますけれども、16ページ、選挙関係の見出しのところでございますが、ここの一番下の中点のところでございます。前回の参院選において、ある市では、10代全体としては20%・30%台の投票率であったが、高校3年生に在籍している生徒に限定すると50%を超えるデータもある。高校3年生に限定してみたら、全体として見ても投票率が高くなるといった可能性はあるのではないかという御意見。このため、必ずしも18歳そのものが政治参加に対する意識が低いと見るべきではなくて、高校を卒業後、大学や社会に出てからの問題と一貫して考える必要があるのではないかといった御意見を頂戴したところでございます。
 前回の主な意見として御紹介させていただきました。以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 それでは次に、昨年の11・12月に委員の皆様、ここにいらっしゃる方もかなり参加していただいたのですけれども、学校訪問ですね。これについて、全部で4校を訪問させていただいたのですけれども、全部の視察にお出掛けになれなかった方もたくさんいらっしゃいますので、その視察時の感想なども含めて、今後主権者教育を推進するに当たり、視点やポイントなどについて御意見を頂きたいと思います。本視察に関わった田村座長代理、小原委員、また本日は御欠席ですけれども、足立区長の近藤委員におかれましては、学校を視察させていただきましたこと、誠に感謝申し上げたいと思います。また、お忙しい中御参加いただいた委員の皆様も、ありがとうございました。お礼申し上げます。
 それでは、まず事務局より学校訪問の概要について報告をお願いします。
【大内主任学校教育官】 それでは、お手元に資料2を御用意ください。学校訪問につきましては、昨年の11月から12月にかけまして、公立、それから私立の中学校・高等学校ということで合計で4校を訪問させていただきました。また、その際には、社会科あるいは公民科の授業が中心ではありましたけれども、主権者教育に関わる授業ということで、それぞれの学校において授業を実施するとともに、その後、時間の許す限り、授業を受けた生徒との懇談、また学校で授業を実施していただいた授業の実施者、先生方との懇談という形で視察を実施させていただきました。
 授業の概要について御報告させていただきます。概括いたしますと、この4校のうち、(1)の玉川学園の高等部さん、それから(2)渋谷教育学園の中学校さん、それから(4)足立区立第四中学校さん、この3校の授業につきましては、いわゆる選挙に関わる内容を中心とした授業でございまして、このうち(1)の玉川学園の高等部さんにおいては、この夏の参院選での選挙公報等を基にした各党の政策比較という形で議論を行い、個人として実際の現実の政党に投票するというような模擬投票を視察させていただきました。
 それから、(2)の渋谷教育学園さんですけれども、こちらにつきましては、渋谷教育学園さんの中学校の方だったのですが、架空の市の市長を選ぶというような内容でございまして、当該市に関わる様々な情報の中から、例えば、人口構成とか、財政、それから駅周辺の状況とか、地理的環境、こういったものなども含めて、様々な情報を基にしながら、個人として考える、あるいは50年先を見通して考える、様々な立場から考えるというような形で、3度投票していくという授業内容が特徴でございました。また、足立区立第四中学校さんについては、自分たちの住むまちである足立区について事前に調べ学習を行っておりまして、その上でまちの課題の解決に向けて、足立区長に立候補するということを念頭に置きながら、グループで議論する、あるいは候補者を擁立、投票するといった模擬投票の授業でございました。これら3校については、模擬投票という形で授業を実施したということでございます。
 1校、玉川学園の中学部さん、それから(3)の都立国際高校さんについては、玉川学園の中学部さんについては、権利と義務について、それから都立国際高校さんについては、選挙や多数決以外の決め方について、それぞれ授業が行われました。いずれも、まずは個人で考えまして、その後、議論し、様々な立場から多様な視点に立って考察を深めるという授業でございました。視察した学校はいずれも、生徒は熱心に興味・関心を持って積極的に取り組んでいる様子がうかがえましたし、また視察させていただいた授業を行う前までの授業の中で、基礎的な知識に関わるような内容が比較的しっかり身に付いていたのではないかなと。そういったものを基にしながら、例えば当日配られました多数の情報が網羅されたプリントをベースにしながら、そこから情報を読み取る、あるいは友達のプレゼンテーション、発表をしっかり聞き取っていくということができていたのは、一定程度その前までの授業というのがしっかりなされていたのではないかなという印象を受けました。
 ちょっと前置きが長くなりましたが、具体的に少し資料を御確認いただきますと、資料2でございますけれども、玉川学園の高等部さん、中学部さんについて、委員の皆様方のお手元には机上参考資料ということで、こちらの方でございますと、5ページをお開きいただければと思います。この5ページの資料を使いまして、玉川学園の中学部さんの授業で実施されましたのが、権利と責任について考えるという内容でございます。まずは、自分自身でこういった権利を付与され、権利を実行する際には、どういった年齢になれば、あるいはどういった義務が求められるのかということを個人で考えた上でグループで議論し、実際にいくつになったらこうした権利は実行できるのかという学習を行う内容になっております。車を運転する、アルバイトをする、携帯電話を持つ、選挙で投票する、結婚をするといった5つの権利について子供たちに試行錯誤させる。最後には先生方から、権利には責任が伴うことについて説明がなされ、権利についてどのような責任を自分たちとして担っていくのかということを考えさせるという授業でございました。
 それから、資料2の方でございますと2ページ目になりますけれども、第12学年(高校3年)公民科の授業でございます。こちらは、冒頭御紹介を少しいたしましたが、2019年の参院選の選挙公報を使用してグループで疑問点を出し合った上で、各政策についての様々な意見を踏まえて、模擬投票を実際に行うという授業でございます。
 上から5つ目の丸のところですけれども、まずは個人で考えさせた上で、その後3~4名でグループを作り、令和元年7月の参議院議員通常選挙の際の政党の重点政策、それから公約の比較表――これは民間の団体が作成しているものですが、いわゆるまとめサイトに当たるものだと思っておりますけれども、こういったものを基にして政党の主張を概観し、話し合いながら疑問点を出していく。グループごとに様々な意見が出るわけですが、その意見を踏まえまして、再度自分自身で投票先を検討し、模擬投票を実施するという授業でございました。授業自体はここまででしたので、次以降の時間で開票されるということでございます。
 それから、その際の生徒との懇談の様子ということで、4ページのところに主権者教育推進会議委員と生徒との意見交換の様子ということで掲載させていただいております。各委員の先生方から授業を受けた生徒に対して質問・意見等の交換がなされたわけですが、その際には、例えばですけれども、投票に関する周囲からの影響について、メディアと切り離して自分の意見を持つということを意識しないと難しいのではないかという生徒からの意見、それから家族と話している内容については、やっぱり影響を受けていると思うという意見が挙げられました。また、授業を通して変わったことについては、授業を通して人と議論することで自分では思わなかった批判的な見方、多面的な見方、そういったものがあるということに気付いたという御意見を頂きました。また、若者が政治に参加できるように社会に期待することについては、各政党が政策を分かりやすく伝えて興味を持たせるような工夫をしてほしいということ。例えばですが、憲法改正の議論では、改正されたら社会がどう替わるかイメージが持てない等の意見が寄せられたところです。
 それから次に、5ページのところですが、(2)の渋谷教育学園渋谷中学校さんを6名の委員で視察させていただきました。枠で囲っておりますけれども、2時間続きで構成しておりました授業で、そのうちの1時間目においては、候補者の政策のメリット・デメリットについて、こちらの資料の方ですけれども、机上配付資料の16ページになります。机上配付資料の16ページのところでX市の概要というのがございまして、この資料を基にして――この資料というのは、X市の状況で、人口比とか、あるいは財政の状況、主な産業、市内にある施設、航空写真――地理的状況、そして市民の声が寄せられている資料ですが、この資料を基に、ちょっと戻りますが、資料の12になります。AからFの6名の候補者がおりまして、この主張とこのX市の状況、社会的な状況も踏まえて、まずは個人として誰に投票するかということを検討させた授業でございます。
 最初には個人として考えさせるわけなのですが、その後に、50年後この市に自分が住んでいるとしたら、どういった政策を実際に実行してほしいかという観点から検討させまして、そのメリット・デメリットを附箋に書きながら黒板にみんなで張っていく。さらにそのグループワークをした後に、各グループごとにほかのグループの状況も見ていくという授業展開がなされました。その上で、その次の時間には、家族構成ですね。資料の方で申し上げますと、参考資料の14ページになりますが、こちらの方で7家族の構成が例示としてなされていて、各班ごとにこの家族構成に従って、それぞれの家族の置かれている環境や状況を自分なりにグループの中で話し合って設定した上で、それぞれの立場から、ではこういった政策を実施する候補者に対して、誰に投票するのがいいのかという形で、立場を変えて、世代を変えて考えさせるという授業の展開がなされました。
 その後に再度、3回目になりますけれども、投票を行うということで、いずれも挙手による投票ではあったのですけれども、その様子が描かれておりますのが、あちこちにいって恐縮ですが、資料2の方の6ページ目の授業の2というところで、委員の皆様にお配りさせていただいております資料の方には写真を掲載させていただいております。こちらの方で、A・B・C・D・E・Fの候補者について、どのように投票結果が変わっていったかという様子が示され、先生の方からは、将来を見直した視点とか、様々な立場から考えることの大切さについて指導がなされたということでございます。この図でまいりますと、当初は太陽光発電、ショッピングモール等が多かったのですが、その後多くなったのが病院という形で変遷していったということでございます。
 7ページのところで、主権者教育推進会議の委員と生徒との意見交換の様子ということで、授業後に委員と生徒との意見交換を行った際に、例えば、選挙に関することについては、選挙権年齢が引き下げられ、自分の意見を間接的にでも政治に反映できることが楽しみであるという意見とか、今回の授業について、地方の首長選挙だったので関心を持てたが、国政選挙になると有権者と候補者との距離感があって、若者の関心が低くなると思うといった意見が挙げられました。また、関心のある社会問題としては、少子化や年金の問題で、自分たちが大人になったときにどうなっているのかという不安があるという意見が寄せられました。家庭教育に関しましては、保護者と一緒に投票に行ったことがあるということや、ニュースを見ながら政治に関して話したことがあるといった意見が生徒の方から寄せられました。
 次に、9ページでございます。東京都立国際高校さんでございます。こちらにつきましては、「決め方」をテーマに、選挙の多数決以外にも様々な方法があるということを体験させるような2時間連続の授業でございました。資料といたしましては、机上参考資料の方の19ページになります。
 現代社会の授業でございましたけれども、資料2の方の上から3つ目の丸ですが、政治参加については、選挙に行き投票することだけが政治参加ではなく、日本であれ世界であれ、自分たちの社会をどのような社会にしていきたいかということを考えることが重要であって、「決め方」をテーマにして2時間続きの授業を行っていきますということで先生から御説明を頂きました。
 その際には、参考資料の19ページにも出ておりますが、卒業式前の給食のメニューをどうするか、どのように決めるかということをテーマに議論がなされ、その際の情報として、各学年が選んだ1位と2位のメニュー、これは全部で6つのメニューがあるのですが、その中から2つのメニューが1位と2位として選ばれ、その人数と、併せて、児童会ということを念頭に置いてのことだと思いますが、各学年の代表者からの意見がその下に情報として与えられている。この中でどのように決めていくのが最もいいのかということをみんなで話し合いをしながら決定していくという学習が設定されておりました。
 この中で、まず初めに、資料2の10ページにも出てまいりますけれども、個人で考えさせて、個人として何を1位のメニューとして選ぶかと。その1位に選んだメニューとして、数の多数で選ぶ子もいれば、卒業式前なので、6年生に配慮して選ぶというような選び方もあるのではないかという意見などが個人としてはまず寄せられ、その後グループに分かれて、グループの中で話し合いをしていく際に、参考資料の20ページになりますが、今御覧いただいています1年から6年までのプリントの次のページに、決め方について考えさせるというものがありまして、これをグループワークの際に読みながら考えさせるといった授業を行っておりました。
 具体的には、ボルダルールといいまして、選択肢によって点数化して表す方法で、その点数の配置の仕方によっては、一番得点を得るメニューが変わってくるというようなことを考えさせて、決めるにしてもいろいろな決め方があるのだと。その決め方の中からどのような決め方を選ぶかによって結論というのは変わってくるのだ。こういったことの学習がなされました。
 その後、こうした学習も踏まえまして、次の授業においては、特に外国における女性の政治参加や制度について、どういった制度や政治参加の仕組みがあるのかというのを学んだ上で、アファーマティブアクションを基にして、各個人で考え、その後グループで議論するという授業が行われました。
 これについて最後に、13ページのところですけれども、主権者教育推進会議委員と生徒との意見交換ということで、授業後の感想として、男女平等は大切なことだが、女性専用列車などは決定に至るまでのプロセスが大切だと思ったというような感想とか、政治への関心については、親と一緒に投票に行ったことで雰囲気が分かり、投票に行こうという気持ちにつながったということ、それから、選挙立会人のアルバイトを経験した子もいたようで、興味・関心が増したということなどの意見が寄せられました。また、政治に関心を持った時期や理由については、幼児期に自分を取り巻く人々や所属するコミュニティに触れたので幼児期だという生徒さんや、消費税が5%から8%に上がったときである、あるいは税理士会の方から出前授業を受けていたようなんですが、そういった授業を受けて、自分たちが支払っている税がどのように使われているかを考えるに至ったときであるというような意見が寄せられたところです。
 最後になります。ちょっと長くなりまして申し訳ございません。最後は足立区立第四中学校さんです。資料2でいきますと15ページです。足立区立第四中学校さんにつきましては、15ページに枠で囲っておりますとおり、「模擬区長選挙(区長になろう!)」ということで、全部で6時間の授業のうち、この視察をさせていただいたのは5時間目の授業でした。この授業の中では、候補者を支援する班員と、それから政策について、これまで検討してきたことを踏まえて、立会演説会をそれぞれの班の6名の代表者から行っていると。聴衆である生徒については、その6名の候補者の政策演説を聞いた後、質疑応答を行うという形で進められました。
 15ページの1つ目の丸にございますように、特に質問と答弁、立会演説会の演説が終わった後に質疑応答の時間があるのですが、その際に政策の内容についてかなり踏み込んだ質問もありましたが、各候補者においては、政策に対して出た質問に対して、例えば区の財政データを引用しながら説明するといった形で、かなり綿密に準備がなされた上で、調べ学習をした上で、こうした立会演説、それから模擬投票に臨んでいるといった様子がうかがえたところです。
 本日の会議の配付資料で、机上参考資料の方には残念ながら、個々人の名前も入っておりましたので、個人情報に当たるため、学校の方から配付は控えて欲しいということで、今回の資料には付いておりませんけれども、6名の候補者の具体的な内容としては、例えば食に関する内容とか、それから防犯も含めた安全・安心に関わる内容、それから景観に関する内容、区内の地域活性化に関する内容と子育て支援、こういった内容について公約に掲げていたようで、これらの公約というのはどのように導き出されたかというと、これは5時間目の授業なのですが、その前の授業までに、区の課題について、例えば事前に区の財政状況とか支出の状況、それから足立区が実施しております足立区政に関するアンケート調査と同じ項目で、自分たちの第四中学校の生徒や保護者の結果と区民に対してのアンケート結果を比較した上で、自分たちが保護者や、あるいは自分たちができることの視点から、候補者としてはどういう政策を講ずるか、あるいは保護者、区民が望んでいるようなことについてどのような政策を講ずるか。暮らしやすさ、暮らしにくさといった点に着目しながら公約を作成して、その上で発表というような授業でございます。資料がないものですから、口頭で補足させていただきました。
 第四中学校の生徒さんの御意見といたしましては、16ページになります。主権者教育推進会議委員と生徒との意見交換というところでございますけれども、例えば、今日の立会演説会に向けて、班の中で相談をしながら政策内容や政党名を考えてきたこととか、収支についても生徒たちが調べてまとめるといった取組をしたというような紹介がありました。
 また、この授業を通しての変化としては、足立区について調べたということで、区の現状について興味が持てるようになり、調べて分かったことを発信していきたいという思いになったこと、人に分かりやすく伝えるということを意識して発表した経験が自信にもつながったといったことが挙げられたところでございます。
 ちょっと長くなりまして、申し訳ございません。4校についての視察の状況は以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 それでは、今回の学校訪問を踏まえ、今後の主権者教育を進める上での視点やポイントなどについて意見交換をしていきたいと思います。実際に訪問した委員においては、特に印象に残っていることや御感想などがあれば、そのことも併せて御紹介いただければと思いますし、日程の都合などであいにく訪問されなかった委員においては、お気付きのことやお考えについて御意見を頂ければと思います。
 それでは、どなたからでも結構ですから、どうぞ御自由に御発言を頂ければと思います。どうぞ。
【小玉委員】 小玉です。私は、4つのうち、玉川学園と渋谷教育学園、それから足立区立第四中学校を訪問させていただいたのですが、ごく簡単に感想ということで、2つほど述べさせていただきたいと思います。
 1つ目は、私が訪問した3校に関しましては、今伺ったら都立国際高校も割とそういう感じだったと思うんですけれども、いずれにおいても、2015年の通知で、具体的で政治的な事象を取り上げることが推奨されるということが大きな特徴として出されておりますが、その現実の具体的な政治で争われている事象を学校の授業で正面から取り上げているという意味で、非常に重要な実践をされているという特徴があると思いました。
 それからもう一つは、学習指導要領で新しく出された模擬的な活動ということの具体的な事例が取り組まれているというのも、共通している特徴だと思います。この具体的で政治的な事象を扱うということと模擬的な活動を取り入れるということの2つを、どのような形で行うのかというときの2つのバリエーションというか、タイプというのがあるということが今回の例からも分かったかなと思います。
 それは、一つは、具体的で政治的な事象を生の形でそのまま取り上げるというやり方と、それからもう一つは、私は可能世界と現実世界という言い方を時々するのですけれども、学校というのは、現実世界を多少アレンジして架空の設定をして行うことができるという特徴を持っているので、そういう学校の特性を生かして、具体的で政治的な事象を踏まえながらも、それを少し架空の設定でアレンジしてやってみるという形を導入するという例と、2つの事例が今回紹介されておりまして、玉川学園の2時間目の高校3年生の公民科の授業は、昨年行われた参院選の具体的な政党のマニフェストを使って具体的な政治を取り上げたという事例ですので、これは現実政治そのものを取り上げた例だと思います。それに対して渋谷教育学園の方は、自治体の設定も、それから候補者とか政党の設定も、架空の自治体で架空の政党を使って、しかしそこで争われているテーマそのものは、例えば大学の誘致とか、病院の増設とか、新幹線の導入とか、太陽光発電とか、具体的に今、日本の社会で問題になっているようなことを盛り込みながらも、自治体や候補者、政党の設定は架空にすることで、議論が活発になりやすいような工夫をしているというところが特徴かなと思います。足立区の場合には、その両者の中間というか、足立区という地域そのものは今住んでいる具体的な地域ですけれども、そこで立候補して争われる候補者の所属している政党とか候補者というのは架空の設定で行われているという形で、両者の中間形態を取り入れているという形になっていると思います。
 いずれにいたしましても、具体的で政治的な事象を模擬的に取り上げるときに、現実そのものを取り上げるというやり方と、少しアレンジして架空の設定にし直してやるというやり方の2つのやり方の両方を今回見られたというところが重要な成果であって、これはいろいろな学校に実際に拡大していくことができる実践事例なのではないかなと思いました。それが1点目です。
 それからもう1点目は、今回、4校の訪問で非常に重要だったのは、生徒自身との意見交換の場が設けられたということだと思います。そこで、今、大内さんの方からもお話がありましたように、生徒自身の声が聞けたということが非常に重要なポイントで、特に、例えばなんですけれども、資料2の4ページのところ、これは玉川学園の高校生との意見交換で、篠原先生や田村先生と一緒に写真に写っていますが、後ろ向きになっているのが高校生ですけれども、高校生と委員との間で活発にいろいろな意見とか議論がありました。たまたまこの11月1日という日が、文部科学省が大学入学共通テストで英語の民間試験の導入を今回は見合わせるという発表をした当日であったということもあって、早速、高校生の方からそれに関する意見もあがりまして、非常に議論が盛り上がって、重要であったし、それから近年、成年年齢と選挙権年齢が18歳に引き下げられたということを受けて、若者の政治的な発言をどのように聞くのかということが国際的にも、それから国内的にも話題になっていますけれども、まさに一有権者として、高校生が自律的に物を考えて発言していくということの一端が示される場にもなったと思います。
 それから、ただ自分の意見を言うだけではなくて、人の話を聞くことで自分が今まで考えもしなかった見方があることに気付くことで、意見そのものが人と議論する中で変わり得るのだということをこの主権者教育あるいは政治教育の場で学ぶことができたということが生徒自身からの発言として出てきたということも、非常に重要なポイントだと思いました。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。総括的ないろいろな御感想、コメントを頂いて、ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。どうぞ、中村さん。
【中村委員】 私自身、渋谷学園と足立区立第四中学校の方に行かせていただきました。両校に言えるのは、先生たちがかなり頑張って教えるというところから考えさせるという方向へ皆さん変わっているなという部分で、私はいまだに先生は教えるだけかなと思っていたら、意外とみんな、生徒たちに主体性を持たせて考えさせているという授業をやっているということで、非常に感心しました。
 渋谷学園は、これも本当に先生たちの我慢かなという部分を感じたのですけれども、なるべく生徒たちの自律性を尊重しながら、考えさせるプロセスを大事にしていくということを大事にしているなと。こういうことが本当に全国の中学校などに導入されれば、もっともっとおのおのの生徒の個性、自主性、こういうものを大事にして、考えさせるということをやっていけば、これは本当に主権者教育の肝だと思うんですね、まさに考えさせるということ自体が。だから、その辺はとてもいいことではないかなと。
 それと、最近SNSみたいなものが多くて、対面でなかなか、人と人が顔を合わせて話し合うということが苦手な子供たちが結構いると。けさのテレビでも何かやっていましたけれども、もうまさに本当に、神奈川県かな、SNSを制限することを条例化するという、また条例まで何でいってしまうんだろうという部分があるのですけれども、まさに数年前から、会社でも、目の前の人とメールでやりとりしているとか、一声掛ければいいのに、画面を見ながらメールでやりとりといったことが言われていて、人と人との会話がなかなかしづらいという、苦手といいますか、そういう社会があるのですけれども、渋谷学園さんはその辺をなるべく、グループなどでどんどん話して、面と面を合わせて話し合うということを大事にされているなと感じました。
 それと、驚くべきことは、模擬投票の結果、勝った方が組閣をし、負けた方がシャドーキャビネットを作って、それで論議する、そこで世の中の妥協点というのを見付け出していくという訓練もされているということは、特にSNSなどが発展すると、オール・オア・ナッシングみたいな世界が多いんですよね、最近、見ていると。ではなくて、オール・オア・ナッシングではなくて、妥協点を見付け出すことが社会の一つの条件であるということを教えているのかなと、この辺も非常にいい教育だなと感じました。
 それから、足立区の方も、「区長になろう」ということでいろいろ準備をして、グループで1人の候補者を守り立てるために、何人かの班に分かれて、その政策のグッドとバッドとをいろいろやっているということで、特にいろいろ、ここも先ほどの渋谷学園と同じように、候補者を守り立てるために、みんなで意見を言い合う、意見が出せる。出せない部分というのは、これまた附箋で書いていく。なかなか声を出して言えないことも附箋だと言えるのかなという部分を感じて、いい方法かなと。こういう教育を区という地元のことで、こういう関心があることを繰り返すことによって、今は特に地方自治の議員になり手がなくて、議会が崩壊しそうな世界がある部分については、こういう訓練で将来身近なところで政治家として政治参加するという子供たちができればいいななどという感じがいたしました。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ほかに、いかがですか。では、佃委員、どうぞ。
【佃委員】 私は、玉川学園と、それから渋谷学園を見させていただきました。正直言いまして、大変感心いたしまして、これらの事業の事例紹介を、これは行政の方で、ほかの学校に事例として参考にするように広げていっていただけるようなことをしていただいてもいいのではないかと思いました。ちなみに、私はある私立の学園の理事長をやっているのですが、早速、学校に帰りまして、うちの中学校・高等学校の先生に相当発破をかけました、「これはえらく負けているぞ」と。勝ち負けというのはおかしいのですが、やっぱり先生が問題なんですよね、生徒の問題というよりも。だから、これは是非いろいろな学校に紹介していただければというような気がいたしました。
 まず、玉川学園では、中学校では、権限と責任という認識を子供たちはしっかり持てと。今は権限ばかり喧伝される世間の風潮になっておりますので、権限を持つということは責任を持つということだというのを、これは具体的に、車の運転はいつからしてもいいか、そういう権利、権限を持ったら、どういう責任を負わなければいけないかいうようなことを、結婚等、いろいろな事例を挙げて議論させたというのは、これはすばらしいことだと思います。
 したがって、高校の授業は、具体的な生の政党の政策討議から入っていったわけですが、これは小玉先生も御指摘されましたように、生の政策を議論したわけなのですが、これは大人に聞かせた方がいいのではないかというような意見が生徒から出て、僕はびっくりしました。すなわち、各政党の公約の実現可能性と、それから各公約の整合性がどれだけとれているかというのを我々選挙する者はしっかりと見極めなければいけないという意見が、これは高校生から出ました。僕はびっくりして、大人に是非聞かせてやりたいなと思った、大変立派な教育ができていると思いました。
 その後の渋谷学園の方ですが、これは中学校の授業を見せていただいたのですが、これも先ほど事務局の方から紹介がありましたように、立派な授業だったと思いますが、僕が一番びっくりしたのは、最初に校長先生が、これは副校長先生ですかね、「政治は妥協である。これをいかに子供たちに納得させるかということだ」と、いきなり先生が「政治は妥協である。異なる施策のベストミックスをどうやって選ぶのか、これが政治である。それを子供たちに教えるのだ」と言われたので、実はびっくりしました。これは、多様な意見、異なる意見というものをそれぞれ大事にするのだということにつながるわけで、これも大変立派な先生の見識だと思って、大変感心いたしました。
 それで、これは実際に私は見ていないのですが、足立区の報告を見ていましたら、社会科の教員の方々の中にはいろいろな考え方があって、生の公約とか施策を取り上げて議論するということには難しい面があるというのが資料2の19ページか何かにありまして、これを見て、大変、そういうことがあるだろうなと。実は、私が関係している、理事長をやっている学校でも、そういう意見が大変出まして、これについて私の意見を申し上げますと、先ほど小玉先生からの御指摘もあったように、生の政策を取り上げて議論するというのは、非常に現実的で、家庭でも恐らくそういう話は出ているから、大変いい教育になるということは、私も小玉先生の意見に賛成で、こういうことは是非やっていくべきであると。
 それから、また、いつかの会議のときにも申し上げましたけれども、先生というのは、先生の意見を持っているのだから、自分の意見をはっきり言って、私とは反対の意見も、こういうものがあるというのを紹介して、公平性・公正性を保つ。自分があたかも中立であるかのようなことを言うのは、これは無理だろうというお話をしたのですが、これを見て、社会科の教育の中には、なかなか生の政策を議論したがらない、授業でもしたがらない人がいるということだろうと、この足立区の資料を見て思ったのですが、僕はむしろ、主権者教育というのは、社会科の先生がやらなくてもいいのではないかと。公民的な資質を広く育てるというのは、これはまさしく社会科の使命であり、社会科の先生がやらなくてはいけないことですが、こと具体的な主権者教育、どう選挙するか、どう政策を選んでいくかという主権者という教育に絞った場合は、社会の先生はやらないで、むしろ物理や化学の先生が教えていいのではないか。
 すなわち、主権者教育というのは、先ほどから委員の方々から意見が出ていますように、長期的な視点か、短期的な視点か、あるいは理想的な視点で言うか、現実的な視点で言うかとか、そういういろいろな対立する命題を論点整理して、そしてベストミックスというか、妥協というか、要するに施策としてまとめ上げる、その考え方のプロセスを教えるというか、プロセスをみんなで議論していこうということですから、これは社会科の基本的な考え方とは独立して考えていいのではないかというような気がしたものですから、むしろ社会科の先生が、自分の考え方を非常に強烈に持っているので、「私は嫌だ」と言うのであれば、この足立区の資料を見て感じたのですが、それだったら物理・化学の先生にやってもらったらどうかというような気がちょっといたしました。こういうことはできるものかどうか、また文科省の方でも考えていただいてもいいのではないかと思いました。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。では、植草さん。
【植草委員】 植草でございます。私の方は、渋谷学園さんと足立四中さんを見させていただきました。
 渋谷学園さんは、まず非常に驚いたのは、この授業案自体が実は生徒の手でベースが作られたという、これにはすごく驚いています。生徒自身がこういう形で作り始めたものが授業の中に生かされているというのは、本当に理想的な姿なのかなと。さらにこれが、渋谷学園さんと、あと岐阜でしたか、遠くの方の公立の中学校さんとの間で同じように展開して意見を交換するという、非常に渋谷学園さんのところは、多様性、その授業内容も時間軸の対応ですよね。今の自分、50年後の自分、それとあと自分とは違う架空の市の架空の政策について考える。非常に多様な考え方というものに焦点化されているような気がしました。最後に、自分たちとは違う中学校、しかも都市部ではなく郡部の方の中学校と聞いていますので、そういったところとの違いということをまたさらにそこで練り上げているなと、ですからこれがすごく印象にありました。
 一方、足立四中さんの方も、中学生が今度は逆に自分の立ち位置、今住んでいる足立区というところに非常に調べ学習を徹底していって、その上で今の足立をどうするのだということで、それを分かりやすく説明するというところがすごく、これは逆にそこに焦点化しているという感じがとてもして、これもまたおもしろいなと思いました。中でも、子供たちがすごいなと思ったのは、これは聞いたのですけれども、先生から財政について必ず言えと言っているわけではないのだけれども、ほとんどの生徒が財政ということを念頭に置いている。ですから、ただ単に理想論だけではなくて、財政とか、政治にはそういうものが掛かるのだよということも分かった上で子供たちが政策を作り上げているということは、なかなか中学生はよく研究し、分かっているなという感じがしました。
 この2つは、そういう意見を持ちました。
 あと、都立国際は見に行けなかったのですけれども、アファーマティブアクション等、この辺は、実は次の指導要領の最初の「公共」の扉の中で非常にいい材料になるのではないかなと思って、見られなかったことは非常に残念に思いました。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。小原委員と田村委員は、それぞれ訪問を受けた立場の面もあるわけですが、いかがですか。何か御意見を。どうぞ。
【田村座長代理】 ありがとうございます。自分のところが入っていたものですから、申し上げるのをちょっと躊躇していたのですけれども、私は実はどうしても時間の都合で、都立国際が見たかったのですけれども、見られなかったのが残念だったのですが、ほかの3つは参加させていたでいて、率直な感じで言うと、順調に子供たちの世界では、政治の問題、取り上げ方から考え方、その他、進んできているなというのが率直な印象で、安心したというか、これならいいだろうという感じぐらいなので、大変申し上げるまでもないなというところであるのですが、実は現実には、こういった育て方がされている中で、若者の投票率が下がっているという現実があるわけですね。ですから、その問題もここで取り上げて、中高段階で解決できるのかどうかということがあるような気もしますので、少しその辺についての議論は是非進めてみていただければと思います。
 今のところでは、順調に学校教育の中に政治というものをテーマとして取り上げるということは、実は非常に、やる方からすると、やりにくい、すごく大変なことなのですけれども、頑張って先生方はやってきてくださっているという実感があります。ただ、これは、にもかかわらず、どうして若者の投票率が下がっていくのかという、これはまた、もしかすると違うところに原因があるのか。こういった実態が世の中には余り知られていないということが原因なのか。伝わっていないというのでしょうか。その辺のことも是非今回はこの委員会で検討していただく必要があるのではないかという気がしております。
 感想的なことも申し上げましたが、そんなことでございます。ありがとうございました。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 小原委員。
【小原委員】 幾つか感じたことがあります。今現在、私どもがやっているのは、選択授業としてやっております。したがって、その担当者の数もさほど用意しなくて済むという面があると同時に、これを全員必修にするとなると、果たして教員の数と時間が確保できるのかなという懸念は一つ持っております。
 しかし、いずれにしろ、こういった形で有権者教育とも言われるものを進めなければいけないのですけれども、私どもが考えるのは、では高等学校でやったことをどのようにして大学につなげていくのかという問題があります。実際、18歳の投票率は上がったのですけれども、大学1年生になったら下がってしまったという現象も起きています。そうなると何のための主権者教育だったのかということが改めて問われることになってきます。そこで我々として考えなければいけないのは、高等学校、それから大学に入って18歳になる子供たちへの教育、これをいかに結び付けていくかということを考えなければいけないのではないかなということが一つあります。
 玉川学園の場合は、K-12と大学が同一キャンパスにあるため、大学の主権者教育の中に高校生を参加させることが可能です。篠原座長も実際に高校生も呼んで主権者教育をやったのですけれども、これが一般の大学ですと、高等学校と大学とが離れていますから、そのつなぎを今後どう持っていくかということが一つ考えなければいけないことです。
 もう一つは、議論ということです。議論をやっていく上にはいろいろなルールがあります。このルール、例えばロジックなり、ファラシーをどの時点で、つまりどの学年にそれを教えるかということも次に考えていく必要があります。そうでないと、単なる、わーわー言う、あるいはSNSから意見をもらってきていうだけということに終わってしまって、本当の意味で相手の意見を聞きながら、エビデンスを使いながら反論していくとか、あるいは賛同していくプロセス、いわゆる民主主義の議論のプロセスに欠けてしまいます。その教育をどの時点でやるのかという問題が一つ出てきます。私立の場合は、小中一貫あるいは中高一貫ということで、学年を長く教えることが可能ですけれども、通常の6・3・3で分かれている場合は、非常につなぎというものが大きな問題になってくるのではないかなということが考えられます。
 最後になりますけれども、私が懸念するのは、担当者の問題です。先ほど佃委員の方から出ましたけれども、社会科の教員以外がやればいいという可能性もある一方で、それを担当する教員をどこでどのように養成していくかという課題があります。これは文科省に対する不満でもあるのですけれども、やることと、それを担当する人の教育がうまくつながっていません。ですから、科目はどんどん増やすけれども、それを担当する教員養成との関わりがうまくいっていないという問題があります。今後これを我々の問題として考えなければいけないのは、主権者教育の内容がある程度定まってくる、それから進め方も定まってきたときに、これをどう教員養成側に落とし込んでいくのかということを含めて考えていかないと、文科省は言うだけで、はしごも用意してくれないということになってしまいます。
 この一つの例として言えるのが、英語教育です。小学校で英語教育をやれやれと言って、私も中教審の教員養成部会でタッチしていたのですけれども、そのときに全然上がってこなかったのが、それをどこでどのように養成していくかという教員養成につながっていなかったんです。だから、今後この主権者教育もそんなことにならないように、推進側と、それを実際に担当する教員養成を併せて検討していく必要があると考えております。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ほかに、神津委員、佐藤委員は視察には参加されていない……、佐藤さんもされていませんかね。
【佐藤委員】 私は、ないです。
【篠原座長】 でも全然構いませんので、きょうのお話を聞きながら、何か感想なりコメントがあれば、どうぞ。
【神津委員】 残念ながら1か所も行けずに大変失礼してしまったのですけれども、報告内容をお聞きして、私もこれは、日本全国でこういうことができれば、私は本当に何か大きく物事が進むのではないかということは強く感じました。であるだけに、これは実際にどの程度……。今回は、ですからそういうことをやられているところが当然視察の対象になったと思うのですが、日本全体の中でこれはどの程度やられているものなのかという検証は当然必要なのだろうと思いました。
 それと、私は、こういうことはできるだけ繰り返しということも必要だと思いますので、欲を余り言ってはいけないのかもしれませんが、頻度の問題もそういう意味で取り上げていく必要はあるのかなと思いました。
 それと、既に何人かの方から御指摘がありましたし、佃委員が具体的に御指摘されたこととも関わるのですが、広がらないことの制約というものがあるのかどうかです。これは、そういう意味で実際に表面化しているもののみならず、不文律みたいな形になっているようなことがもしあるとすれば、そういうこともえぐり出していく必要があるのではないのかなと思います。
 それと、これは取組として息の長い取組にはなろうかと思うので、今すぐにということではないのですが、今、冒頭申し上げたように、私はもうこれが本当に進んでいくのだったら、若い人たちというのは、ある意味、打てば響くというところが私はあると思っているので、これまで若い人の投票率がどんどん下がっていってしまったということの背景には、なかなかこういうことができていなかったということもあると思うので、やることとその効果との検証というのも今後に向けては相当意識をしていく必要があるのだろうと思います。というのは、こういうことをお互いに競い合って、こういうことができれば、随分意識が変わっていくし、世の中もこういう広がり、あるいは展望を持てるというような、そういうことが世の中の常識になっていけば、これは随分事態が変わっていくのかなと思いました。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 佐藤さん、何か御意見はございますか。
【佐藤委員】 佐藤でございます。今のお話を聞いていて、私は中学校のPTA会長も同時にやっているのですけれども、茨城県の牛久市というところの小さい学校で、やはり同じような授業を見ることがありました。そのときは、総合病院を誘致しようとか、いろいろなお話が出ていましたけれども、財政的な裏付けなどというのは一つも入っていませんでした。自分たちが欲しいものを子供たちがグループ討議をしながら決めていたので、きょうのお話を聞いていて、足立区の取組とかはすばらしいなということを考えながら、先ほど小原先生がおっしゃったように、教員の教え方とか、誰が教えるのかとか、どこまで踏み込んでやるのかという、これは最も大事なところで、子供たちは今グループワークでも何でも学び合いの学習とかをさんざん学校でやっていますので、こういうものには多分慣れているはずなんです。大分慣れてきている。ところが、先生方がそれをちゃんと教える環境がないと、これを各学校で全国的に展開していこうとなったときには、地方によってばらつきが相当出るのではないかと考えます。
 また、先ほどから出ている18歳の投票率についても、高校3年生は、データを見ると、かなりいいのだけれども、大学に行ったときというお話もありましたが、大学若しくは就職をして自分の家を離れたりして、その住民票をどうしているのか。住民票は実家に置いたままというパターンはよくある話ですから、そういったところをどうするのか。また、地方自治に関して言うと、例えば自分の住んでいる地元から就職先や大学に行ったときに、全く関係のないところに行ったときに、そこの地方自治についてどう思うかといきなり4月、5月とかに言われても、恐らく興味は湧かないだろうと思うんです。そこについても、そうではなくて、それでもそこで投票に行くべきだといった指導もしっかりと中学校・高校でしておかないと、いきなり親元を離れたときにその指導をする者がいなくなるという形があると思うので、その辺も大事かなと思います。
 また、議論の在り方についても、子供たちにどのような議論をするのかというのは、私たちもいろいろな勉強をしながらやっていくのですけれども、子供たちにとって、それが違う意見とか、例えば攻撃されるような意見があったときに、それをどのように寛容に捉えて、「そういう意見もあるのだね」と持っていけるかというのも、やはりファシリテーターというか、先生方の導き方というのがとても大事になるかと思うので、単に議論を闘わせるのではなくて、人格否定やそういうことではなくて、そもそもの議論についての話し合いをどうするのかというのは、僕はPTAなどをやりながら見ていると、僕らは40代ですけれども、余り得意ではない方が多いというか、そういう訓練をされた方はうまいのですが、論破してしまうというのがあるのです。議論というのは、別に論破することが目的ではなくて、相手の意見を捉えて、どのように考えるかというところが大事なのですけれども、どうしても勝つことに専念してしまうというところがあるので、それはもう選挙を見れば明らかで、いかに相手の揚げ足を取って論破していくかという世界になってしまいますから、そうではなくて、先ほど言った妥協点をどう見付けるかというのは大変すばらしいお話だなと思いますけれども、皆さんで、日本という国に住みながら、いかにみんなで共存していくかと考えて、しかも国の方針とか方向性を見誤らないようにというところですね。ポピュリズムがどんどん進んでいったら、全然違う方向性に行く可能性だってゼロとは言えないわけですから、そこをしっかりと両論併記しながら、授業でどう取り組んでいくかということを、これを、では文科省さん、お願いしますと言ったところで、これもなかなか大変な話になりますので、この会議というのは大変大事でありますし、私たち親もその辺をしっかりと理解して、学校に行ってそういう話を聞かないと、親も理解していないという時代ですので、しっかりと議論を進めて深めていきたいと感じております。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ほか……。どうぞ。
【中村委員】 主権者教育ということではなくて、渋渋のときに感じたのは、この授業自体をどう評価するのかといったら、評価はしない、子供たちの変化を見守っていくのだみたいな雰囲気だったんです。ちょうど渋渋をお訪ねするちょっと前に、「カンブリア宮殿」だったと思うんですけれども、麹町中学の工藤先生の宿題なし、テストなしなどについて、結局生徒自体の自主性を重んじることによって、生徒が点数を付けられるプレッシャーから解放されてしまうものですから、どんどん伸びていくというようなことがあったので、それを見た後に渋渋へ行ったら、やはり評価しない。だから自由な発想がいろいろ出てくるのだなと、それを非常に頼もしく思った。ちょっと付け加えさせていただきます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。私は、立場上もありまして、この4か所全てをお伺いしたのですけれども、今いろいろな委員の方々から意見が出ているような、似たような感想を私も持ちました。それぞれ中心になるタレント性というか、そういう先生がいらっしゃる学校は、非常にそこを深掘りしていろいろなものができているなと。そういう人材をどうやって全国でもっと確保していくのかというところが一つ課題だなと。これが全国的な波及、広がりにもう一つつながっていないのは、そういうのも一つ影響しているのかなという感じを実は持ちました。
 それからもう一つは、中学・高校。あれは小原先生のところは、高等部というのか、高校部というのか、中学部、中等部、どっちですか。正式には中学部と書いてありますね。
【小原委員】 教育委員会には小学部・中学部・高等部と登録してあるのですけれども、学内的には5・3・4の組み合わせになっているんです。ですから、6・3・3とは違う制度でやっているので、1年生から12年生まで、通し番号でやっているんです。
【篠原座長】 なるほど、なるほど。門の入り口のところに書いているあれと、これはちょっと違う感じですね。
【小原委員】 違うんです。
【篠原座長】 なるほど、分かりました。それはそれで、よく理解できました。
 それともう一つ、玉川学園などは典型だと思うんですけれども、これは小学校段階、それからもっと言えば幼児の段階ですね。だから、先ほど皆さん方から投票率の低下を懸念する意見が出ていたのですけれども、これは中・高から始めるだけでいいのだろうかと。もっと幼児・小学校というところから一つ助走して、それで中・高、最後は高校に今度は「公共」という必修科目が新しい学習指導要領で出てきますけれども、そういうものにつないでいく、何かそういう一貫した流れが必要なのかなと。
 それは、佐藤委員のおっしゃるように、住民票の問題などがあるんです。18歳になって大学へ入ると、お母さんに「住民票はうちの田舎に置いておいてね」などと言われると、結局東京の大学へ行って、こっちでは投票できないとか、そういう問題も確かにいろいろあるのですけれども。それと、18歳の投票率がそれなりに若い人の中では高いというのは、初めて選挙権を持つので、一回ぐらいやってみようかというところも結構あるんですよね。継続性というよりも、そのときの置かれているポジションで、これはせっかくだからやってみないと損だなといったように、そういうものをどうやって継続させていくのかというようなことをこの視察訪問をしながらすごく感じました。
 それから、渋谷学園だったと思うんですけれども、生徒との意見交換で、ある生徒から「実は父親から夜NHKの7時のニュースのときに一緒に食事をしようと言われて、ニュースを見ながら夕食をとる。これが我が家で慣習化されている」という話がたしかありました。「お父さんは毎日、ふだんも7時に帰ってくるの」と僕が聞いたら、「いや、週末が中心です」とはおっしゃっていましたけれども、そういう家庭教育というものと学校の教育をどうリンケージさせていくかというところも一つの課題かなと。これは非常に難しいところがあるのですけれども、何かそういうものができないのかな。例えば、金曜日ぐらいに先生が、あるテーマを出して、課題を出すんです。「これについて、お父さんやお母さんと週末に話し合ってきて、月曜日にレポートでもいいし、口頭でもいいから発表してくれないかな」とか、何かそういう投げ掛け方をしてくれば、両方のコラボというのが出てくるのかなと。そういうことをやっている学校も一部あるようですけれども、そういうのが広がるといいなという感じを視察して思いました。
 それと、中村さんがさっきおっしゃったように、政治家のなり手ですね。特に地方議会の議員のなり手不足というものは本当に深刻だと思うんです。僕は、主権者教育というのは、選挙ではなくて、いわゆる社会に関心を持ってもらうところから始まるのだということを常々思っているのですけれども、それが、選挙のときに投票に行き、それも投票率だけではなくて投票の質を高めるところにつながっていけば一番いいと思っているのですけれども、もっと先を読めば、「このままではだめだ。俺も立候補して、ひとつ、この国を、あるいはこの地域を立て直そう」というような志に最終的にはつながっていってもらえれば、主権者教育というのは意味があるなと、それは余り前面に出しては言えないのですけれども、実は私はそう思っていまして。
 そんなことを視察していろいろ感じながら、これだけ活発な子供たちが、18歳のときはともかく、それ以後、投票率がぐっと落ちてきているのは何でだろうなと。それから、住民票の問題などもあるでしょう。それで、だんだん若い人が政治離れというか、政治に関心を持たなくなるという今の傾向ですね。一部のSNSやネットでやっている若い人たちは政治に関心を持ち続けるのですけれども、そうではない一般の人は関心を持たなくなってきて、まず新聞を読まないですよね。それで、テレビのニュースも、最近はみんなほとんど見なくなっています。本当にネットやSNSでみんなやってしまっている。
 だから、先ほど大内さんの紹介のこれまでの意見の中にありましたけれども、主権者教育を進める上でのツールとして、新聞だけでいいのかと。やはり、SNSとか、そういうものがこれだけになってくれば、それと主権者教育の在り方をどうつなげていくのかということも一方で考えていかなければいけないのかなと感じております。
 それから、小原先生が言うように、僕はさっきから幼児・小学生の頃からの地ならしが必要ではないかということを申し上げたのだけれども、小学校は、プログラミング教育だ、英語の必修化だといって、もう大変でしょう、今。そこにこの主権者教育のあれももっとやれやれと言っても、どこまでそれをこなせるかというキャパの問題もあると思うので、そういうものも頭に描きながら、今後いずれ中間報告、最終報告を作っていかなければいけないのかなと。そういう意味では、この4つの学校は、僕は都立の国際高校がすごく新鮮でした、行ってみて。ただ、そこにも先生が、かなりタレント化した先生がいらっしゃって、そこを引っ張っているんです。だからできているのだなというのを感じました。
 ちょっと長くなりましたけれども、私の感想と意見をちょっと申し上げさせていただきました。
 あとまだ10分ぐらいありますので、どうぞ御意見があれば、言ってください。
【小玉委員】 では、ちょっといいですか。
【篠原座長】 どうぞ、小玉委員。
【小玉委員】 一つ、今座長から言われていたタレントのある先生がいるというのは、たしかに4校に共通していて、タレントのあるキーパーソンの先生がいるということが、それぞれの学校の実践が成立していることの条件になっています。逆に言うと、もしかしたら、そういう先生が増えていっていないというところが、実践が広がらないことの一つの原因かもしれないと思いました。そこは教員養成課程のカリキュラムや、あるいは教員の研修のところに主権者教育的な視点、教員の政治的教養、あるいは市民的教養を育むといった視点をもっと組み入れていくことによって、タレントを持っている先生方を増やしていくということが、政策的には非常に重要な課題になっていくのかなと思います。
 それからもう一つは、投票率が高校3年生までは高いのだけれども、高校を卒業してしまうと下がるということは、昨日「成人の日」でいろいろ報道されている中で、日本財団がいろいろな調査をしていて、日本だけが突出して、18歳で自分が大人だと思っている率が格段に低いという調査が出ていましたけれども、あれは18歳の当人たち自身の問題ではなくて、学校教育や社会が18歳を大人扱いしていないのでそうなっているということだと思います。それは、日本の学校教育のシステムが生徒を大人扱いしてこなかったということが非常に大きくて、しかもそれは学校の問題というよりはむしろ高大接続の問題で、基本的に、日本の学校というのは受験で生徒を学校に縛り付けるシステムでずっと今まで来ているので、このたび高大接続改革でそれを変えていこうという動きになっていることを生かし、高大接続改革と結び付ける形で主権者教育の在り方を考えていくということが必要だと思います。
 そのこととの関連で、センター試験復活論みたいなものが出てきたりもしている状況を、私はちょっと危惧しておりまして、ちょうどセンター試験が今年は来週ありますけれども、センター試験はもう今年度で終わりなので、来年からは新しい高大接続改革のシステムにシフトしていくのだという議論をむしろ止めないということと連動させる形で、この主権者教育の議論を進めていくということが重要で、それは高校生自身の政治的な発言がこれだけ強まってきているという状況を考えると、待ったなしなのかなと思います。
 以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 ほかに何か御意見。どうぞ、植草委員。
【植草委員】 今までの議論の中で、教員のタレント性というのは、本当にそのとおりだと思います。私の学校などでも、本当に一人の教員の発想で大きく展開するような事例があります。ただ、それを押しなべてとなると、なかなか難しい。教員養成の課題が一つあるかなと思います。
 ただ、一方で、非常に世の中にたくさんの材料、特に今までいろいろなところで聞いた、この会のところでも出てきたのですけれども、様々なところが様々な取組をやっていて、それが学校の中に入り込めていないという部分が非常にある。それを教員がタレントの一つとしてそれをキャッチしてというところもあるのですけれども、例えば、学校外でそういったものをコーディネートする人というか、そういうのがあると、すごく学校の立場とすると、ありがたいな。こういう材料がたくさんありますよと。聞くところによると、今度は社会教育士というのが、ごめんなさい、詳しくは分からないのですけれども、制度化されるというような形もあるかと聞いているのですけれども、そういったところも例えば主権者教育みたいなものにも少しタッチするという形で、そうすると、どうしても小・中・高の中で、先ほどからもお話があったように、分断されている。特に小中までは市町村が担っていて、高になると都道府県というところの設置者の大きな違いみたいなものというのは、これもなかなか大きなバリアになっているというところもありますので、そういったところも非常に網羅するには、そういう外部でそういう立ち位置の人がいるというのが一つ必要なのではないかなと。これ以上いろいろな人を作っていくという予算的なものもあるのでしょうけれども、そういったところが一つ考えられます。
 それと、先ほどの18歳の高校生は非常に投票行動をするけれども、大学生になるとしないとなるのですけれども、前にもちょっと御紹介したのですけれども、うちの学校で、主権者教育というか、模擬投票をやる前と後で生徒のアンケート調査をしたんです。模擬投票をすると、「投票しなければいけない」という生徒は確かに増えるんです。ただ、それは決まりだからとか、義務だから、義務というか、そのように権利としてあるから、こういうのをやらなければいけない。では政治に興味があるかというと、そこには動かないのです。ですから、模擬投票とかというのも大事なのですけれども、そこに興味というか、どうしたら政治が自分たちで動かせるのかというところ、何かやった感みたいなものがあると、子供たちは「おっ、政治っておもしろいな」というところに持っていって、それが投票に結び付くのではないかなと思います。
 すみません、雑駁ですけれども。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 大体時間も迫ってきて、よろしいですか。ほかに何か特にあれば。よろしいですか。
 では、本日予定した議題はここまででございます。
 最後に、事務局から次回の予定などについて。
【大内主任学校教育官】 ありがとうございました。
 次回第10回以降の日程につきましては、調整の上、改めて御連絡させていただきます。また、お気付きのことなどございましたら、毎回のことで恐縮でございますが、メール等により事務局の方まで御意見をお寄せいただければと思います。
 以上でございます。
【篠原座長】 次回、また日程調整を皆さん方に事務局から図っていただくのですけれども、次回からは中間報告に向けての議論に入っていきたいなと。ヒアリングも一通りやりました。学校訪問も一通りやらせていただきましたので、中間報告をどういう形でまとめるかという議論に入っていきたいと思っています。それを作った上で、またそれを受けて、いずれ来年に向けての最終報告と、こういう2段階で今考えておりますので、きょうもいろいろな御意見を頂きましたので、是非また事務局の方でも、次回から日程等及びどういう取りまとめに向けてのステップを踏んだらいいかという、その辺の論点整理的なものもちょっと検討しておいていただくとありがたいと思います。
 ということでございます。よろしいですか。神津さんも、何か、いいですか。
【神津委員】 いいえ、ありません。
【篠原座長】 お忙しい中、いいですか。
 そういうことでございまして、本日はこれにて閉会とさせていただきます。きょうは本当に忙しいところをありがとうございました。

―― 了 ――
 

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