主権者教育推進会議(第7回) 議事録

1.日時

令和元年7月26日(金曜日)

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(東館3階)

3.議事録

【篠原座長】 皆さん、今日はどうも御出席ありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまから、第7回主権者教育推進会議を開催いたします。本日も御多忙の中お集まりいただき、まことにありがとうございます。
 後ほど事務局から委員の追加などについて報告がありますが、本日は5名の委員の皆様に御出席いただいております。また、本会議につきましては、報道関係者より会場の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 まずは、本日の議題に入る前に、事務局に異動があったということですので、事務局から紹介をお願いいたします。
【大内主任学校教育官】 それでは、御紹介させていただきます。総合教育政策局長に浅田が着任しております。
【浅田総合教育政策局長】 浅田でございます。よろしくお願いいたします。
【大内主任学校教育官】 また、初等中等教育局長に丸山が着任しておりますけれども、本日は出張のため欠席でございます。
 また、総合教育政策局地域学習推進課に課長として水田が着任しております。
【水田地域学習推進課長】 水田でございます。よろしくお願いします。
【大内主任学校教育官】 以上でございます。
【篠原座長】 では、浅田局長もあと余りお時間もないようなので、一言御挨拶をお願いします。
【浅田総合教育政策局長】 7月9日付で総合教育政策局長になりました浅田でございます。これまで、初等中等教育、それから高等教育、生涯学習も担当してまいりましたし、平成21年度からの3年間、東京都内の公立中学校の校長を務めた経験もございます。いろいろなものをこれからの仕事に生かしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 それでは、本日の配付資料について、事務局から説明をお願いします。
【大内主任学校教育官】 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第にございますとおり、資料1から4を配付させていただいております。また、委員の皆様方の机上の方には、先日、21日日曜日に行われました第25回参議院議員通常選挙に関する投票率の記事、こちらの関係資料を参考までに配付させていただいてございます。過不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
【篠原座長】 資料の方は、皆様よろしいですか。過不足ありませんか。大丈夫ですか。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 冒頭、少し触れましたけれども、初めに委員の増員及び交代などについてでございます。これまで、6回の議論を重ねてきましたが、より幅広い観点から御意見を頂くため、今回より委員を2名追加いたしました。具体的には、第2回会議で御発表いただいた、日本労働組合総連合会、第5回会議で御発表いただいた経済同友会の2団体においては、これまでも主権者教育の推進に熱心にお取り組みいただいたところであり、今後、そうした知見を是非お借りして、議論を深めたいと考え、新たに委員への就任をお願いいたしました。具体的には事務局より御紹介をお願いします。
【大内主任学校教育官】 それでは、お手元の資料1といたしまして、新しい委員名簿を配付してございますので、こちら御用意して御確認いただければと思います。今ほど座長から御紹介いただきましたが、本会議における議論をさらに深めていくという観点から、上から3番目でございますけれども、神津里季生日本労働組合総連合会会長、それから、下から2番目になりますけれども、中村公一公益社団法人経済同友会2018年度政治改革委員会委員長、このお二方に新たに委員に御就任いただいたところでございます。なお、本日は神津委員の代理ということで、日本労働組合総連合会の相原康伸事務局長に御出席いただいております。また、経済同友会の中村委員につきましては、用務から御欠席ということでございます。
 次に、本名簿の上から5番目でございますけれども、日本PTA全国協議会におきまして役員の改選がございました。6月より新会長といたしまして、こちらの名簿にもございますとおり、佐藤秀行会長が就任いたしております。このことに伴いまして、寺本委員と交代いたしまして、今回より委員に着任されておりますので、併せて御紹介させていただきます。なお、佐藤委員につきましても、本日は御欠席でございます。
 このほか、令和元年7月の時点で、小玉委員、それから佃委員の役職等に変更がございましたので、併せてお知らせさせていただきます。
 以上でございます。
【篠原座長】 今、御紹介させていただいたとおりでございます。
 それでは、日本労働組合総連合会より神津会長の代理として、本日、相原事務局長に御出席いただいておりますので、一言御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
【相原連合事務局長(神津委員代理)】 皆様おはようございます。今、篠原座長からも御紹介賜りました連合でございます。本来ならば委員に御選任賜りました会長の神津の方が出席をさせていただくところでございますけれども、どうしても今日出席がかないませんでしたので、代理ということで事務局長の相原が参加をさせていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 文科省の関係では、学校における働き方改革特別部会などで長年にわたりお世話になっておりまして、都度、大変有意義な意見交換に参加をさせていただいています。先ほど、18歳、19歳の投票結果も速報されたところですが、私どもとしても、社会に参加していくこと、若しくは地域に参加していくことについて、皆で悩みながら、答えは1つではないのだということも含めて、主体的に取り組む態度を育んでいくということが大変重要だと思っています。この主権者教育の取組にも全力で参加していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【篠原座長】 ありがとうございました。今後、私も含めて11名の体制でこの会議を進めてまいりますので、委員の皆様、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 次に、前回の主な意見などについて、事務局から御報告をお願いします。
【大内主任学校教育官】 それでは、お手元に資料2を御用意ください。前回第6回でございますけれども、第6回におきましては、品川区教育総合支援センター、神奈川県教育委員会高等学校教育課から、それぞれ小・中・高等学校教育における主権者教育の充実に向けた取組ということで御発表いただいたところでございます。その主な意見ということで御紹介をさせていただきます。
 まず、資料の5ページ目でございます。上から2つ目の中点以降から、前回の主な意見となっておりまして、上から5つ目の中点のところでございます。高校における模擬投票が単なるイベントで終わらないよう、事前事後の指導が重要であるといった御意見、そのため、例えば、選挙における政策争点を生徒自身に設定をさせるということをした上で、架空の政党あるいは政策を立案するといったような活動を行って、その後模擬投票を行い、選挙結果を振り返るというような取組を行ったということですが、なぜそのような結果になったのかというようなことを、生徒自身が選挙結果と向き合うことによって、社会へ参画する意識を持つというような取組になるのではないかと、そのような御意見がございました。
 それから、1つ飛びまして、その次の次の中点ですが、明るい選挙推進委員会と大学と連携した取組ということで、小学校における模擬選挙の例を御発表いただきました。その中でも、子供たちが自分の意見を述べるというような活動をまず最初に行いまして、その上で、大学生は子供たちの意見に基づく候補者を立てる。その子供たちの意見を踏まえながら、マニフェストを作るなり、作成をするなりをして説明をしていく。その後、子供たちと大学生との意見交換をした上で、自分たちの意見を最も取り入れてくれている候補者はこの人なのだというような実感を持って模擬選挙を体験するといったような取組も御紹介を頂いているところでございます。実際に、自分たちの意見を吸い上げてもらって、さらに候補者とやり取りをするというようなことを、小学校段階からやることによって、自分たちの町をよくしていくのだというような当事者意識を育てるということにもつながるのではないかというような点でございますとか、また、こうした体験が、後の中学生になったときに、生徒会活動でありますとか、進路の選択、こういったことにもつながっていくのではないかというような御意見を頂戴しました。
 次、6ページ目でございます。上から2つ目の中点ですが、大学と小学校が連携して、大学生が関わりながらマニフェスト作りを行っているというような取組が発表にあったわけですが、これに対して、高校の生徒も参加するというような場面設定があると、高等学校側、生徒の側にとっても勉強になるのではないかというような御意見、さらに、その次の中点ですけれども、小学校の教育課程において、外国語やプログラミング教育など、新たな内容も入ってきていると、こういった中で、主権者教育を新たに上乗せするというようなことではなくて、どう位置付けるかといったような工夫が必要ではないかというような御意見を頂戴いたしました。
 少し飛びます。8ページになります。上段の方に、外部の専門家や関係機関等との連携という項がございまして、この項の一番最後のところになります。外部との連携については、例えば、税務署から、地方と国の税の違いについての資料を頂いたり、今後の社会保障費の負担に関する最新のデータを提供してもらったりというようなこと、あるいは、子供たちが話し合っている場面で、専門性に基づいてアドバイスをしてもらうなど、考えを深めさせる際に関わっていただくというような、講義以外の手法での関わり方、こういったことも重要なのではないかというような御意見を頂戴しております。
 それから、8ページ目、その下、家庭教育との連携の項でございます。項目としては9ページ目になりますが、この家庭教育との連携の項の一番最後の中点です。学校での生活、友達との過ごし方を含めて、家庭でこういった会話を子供に投げ掛けてくださいと呼び掛けるような家庭教育ハンドブックを各家庭に配布するような取組を行っているというような御報告も頂いたところです。
 こういった御意見あるいは御報告を頂いたということで報告させていただきます。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございました。
 では、次に、本日は家庭教育に関する取組についてということで、2つの団体よりヒアリングを頂く予定になっておりますので、まず御紹介いたします。
 埼玉県三郷市教育委員会より、益子敏幸生涯学習部長。
【益子三郷市教育委員会生涯学習部長】 お願いします。
【篠原座長】 それから、三浦直美青少年課長。
【三浦三郷市教育委員会生涯学習部青少年課長】 よろしくお願いいたします。
【篠原座長】 それから、佐久間大指導課指導主事。
【佐久間三郷市教育委員会学校教育部指導課指導主事】 よろしくお願いします。
【篠原座長】 それから、公益社団法人日本PTA全国協議会より、五十嵐智浩参与。
【五十嵐日本PTA全国協議会参与】 よろしくお願いいたします。
【篠原座長】 それでは、初めに、埼玉県三郷市の教育委員会より御発表いただき、続いて日本PTA全国協議会から御発表いただいた後、この2つを終えて、まとめて質疑応答と意見交換という段取りにしたいと思います。
 三郷市教育委員会では、親の学習事業として、親同士のコミュニケーションの場を作ったり、親子合同の講座を開催したりしておられると聞いております。その内容や今後の課題などについて、約20分程度で御発表いただきたいと思います。
 それでは、益子部長ほかお三方、御発表よろしくお願いいたします。
【益子三郷市教育委員会生涯学習部長】 皆様、おはようございます。
 本日は、第7回主権者教育会議という貴重な場をお借りしまして、当市の取組発表の機会を頂き、まことにありがとうございます。
 これまで、地方自治体が実施してまいりました主権者教育の推進については、選挙管理委員会における取組が主だったところであると、当市におきましても認識しているところでございます。しかしながら、今般、投票率の低下と、先ほど資料にもございましたが、この傾向を鑑みますと、今後ますます若い世代への働き掛けが重要であることは、当市としても大変課題であるというふうに考えたところでございます。本日は、表題のとおり、三郷市の家庭教育支援・主権者教育についてということで、当市の取組、今後の展開方策等について御紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、三郷市について簡単に御紹介させていただきます。三郷市は、埼玉県の東南部に位置する人口約14万人の市です。東京都葛飾区、そして千葉県松戸市、流山市と隣接し、市の東側を江戸川、西を中川が流れており、川に囲まれた緑豊かな町です。都心から約20キロの距離にありまして、市の中心部では区画整理による新たなまちづくりが進められているところです。2005年、つくばエクスプレス線の開通に伴い、秋葉原駅から約20分でアクセスできるという状況になりました。その結果、市外からの転入者が増加し、年々人口が増加傾向にあるという状況でございます。この人口増加に伴いまして、子供たちの数も増加しております。年齢別人口推移を見ますと、5歳から14歳の子供は、平成26年において1万1,643人でした。平成31年4月現在においては1万1,968人と、少子化の時代でございますが、5年で約300人の増加をしているというところです。このような賑わいのある魅力あふれるまちとして、「きらりとひかる田園都市みさと、人にも企業にも選ばれる魅力的なまち」を目指しているところでございます。
 市の主な取組として、ギリシャ共和国とスポーツ交流による関係を築き、東京オリンピック・パラリンピックのギリシャ共和国のホストタウンに登録されております。現在、事前キャンプの誘致活動により、ギリシャ共和国と一層の友好的な交流を図っているところでございます。
 また、平成25年3月、日本一の読書のまちを宣言いたしました。読書活動を通して、人と人とのきずなを結び、誰もがいつでも読書に親しみ、心豊かに暮らすことができる文化の薫り高いまちを目指し、市民総ぐるみで読書活動を推進しているところでございます。
 続きまして、三郷市の家庭教育の支援についてでございます。当市の取組を広く先に御紹介させていただきまして、本日の本題でございます、先ほど篠原座長からも御紹介いただきました親の学習事業の詳細の説明に入ってまいりたいと思います。
 取組の紹介に入る前でございますが、既に皆様、十分御承知でいらっしゃいますが、家庭教育支援の重要性について触れたいと思います。家庭教育は、子供の豊かな情操や基本的な生活習慣、家族を大切にする気持ちや、他人に対する思いやり、命を大切にする気持ち、善悪の判断などの基本的倫理観、自制心、自立心などの、生きる力の基礎的な資質や能力を育成するものであり、全ての教育の出発点です。しかし、近年、都市化、核家族化、少子化に伴い、育児不安の広がりや、子供の教育の仕方が分からないという親の増加など、家庭の負担感の増加、家庭の教育力の低下が危惧されており、当市としましても課題であるというふうに考えております。家庭教育支援と主権者教育の推進という点につきましては、その重要性が高まっているものと認識をしております。
 それでは、まず、三郷市の家庭教育支援について、特徴的な事業でございます、学校担当部局においては学校での取組となりますため、今回は生涯学習部の取組を紹介させていただきます。
 生涯学習課では、生涯学習、社会教育の推進を担っております。生涯学習課で実施している取組のうち、子ども大学みさとでは、市内の専門学校などを会場に、子供の知的好奇心を刺激する講義や体験活動を行っております。
 青少年課は青少年健全育成の総合的な施策、青少年施設の管理運営を行っております。親の学習事業、こちらは青少年課が主管しておりますが、後ほど詳細の御説明をしたいと思います。
 スポーツ推進課では、市内のスポーツ推進全般を担っており、市民団体と共催し、ファミリーバスハイクなどを通じた各種交流事業を行っているところです。
 日本一の読書のまち推進課では、図書館を所管するとともに、市内の読書活動の推進を担っております。子供を対象とした取組は、図書館での各種講座の実施とともに、小学6年生を対象に、子ども司書養成講座により、地域の読書リーダーの育成を行い、市内イベント等において、親子を対象とした読み聞かせ事業を実施しています。
 家庭教育支援は、一般的に、生涯学習に類する担当課が所管することが多いと思います。当市においては、各課がその役割に応じ、家庭、親子を対象とした事業を実施しております。生涯学習事業につきましては、各種事業を幅広く実施することで、多くの御家庭にアプローチする機会を増やしながら、支援の充実を図っているところでございます。
 続きまして、親の学習事業でございます。親の学習事業は、平成19年度から埼玉県が推進している取組で、主に保護者を対象とした講座を市町村の主催により開講するというものです。家庭の教育力の向上を図り、子育てに悩み孤立しがちな親をなくし、地域ぐるみで子育てができる社会作りを目的とし、親の学習プログラムを市が作成するとともに、親の学習講座の指導者である埼玉県家庭教育アドバイザーを養成し、市町村へ講座開設を奨励しております。保育園・幼稚園や学校では、保護者向けの講座を開催することが難しい、あるいは、教員から保護者へ伝えることが難しい内容について、県の養成研修を修了したファシリテーターに協力を頂きながら、保護者や児童・生徒が自ら考える場を提供しております。
 三郷市では、子供は家の宝、地域の宝であるとの考えを念頭に、県の作成したプログラムと、三郷市でアレンジをしたプログラムを基に、平成20年に当事業を開始し、今年度は事業開始から12年目となりました。昨年度は263講座、延べ1万1,315名の方に御参加いただき、地域に根付いた実施ができているのではないかと実感しているところでございます。
 続きまして、詳細について御説明いたします。三郷市における親の学習の大きな目的は3点ございます。
 まず、1点目でございます。我が家の子育てについて自らの気付きを促すことです。各家庭に応じた問題や課題を直接的に解決することが目的ではなく、保護者が人に強制された考えを持つということでもなく、自分自身の考えを持ち、実践できるようになることが、この事業のねらいです。
 2点目といたしましては、親同士のきずなをつなぎ、相談し合える関係を築くことでございます。親同士のきずなについては、主に乳幼児の保護者に必要であると考えております。乳幼児期は、子育てについての悩みが最も多くなる時期ではないかと感じているところでございます。
 3点目は、命の大切さ、子育てなどの理解を図ることを目的とするもので、赤ちゃん抱っこ体験などの事業を行っているものです。
 以上の事業目的を掲げ、当該事業を実施しているところでございます。
 先に申しましたが、当該事業は保護者や児童・生徒を対象にした講座を開催するものです。その特徴といたしましては、教師や保育士など、教育現場の担当者ではなく、地域の方を中心としたファシリテーターが進行役となり、意見交換やロールプレイを行う参加型学習であるという点が挙げられます。講座の種類は参加者に応じまして4種類ございます。乳幼児の保護者を対象、小・中・高校生の保護者を対象、小学校親子合同のもの、中学生・高校生を対象としたものでございます。詳細は、また後ほど説明をいたします。
 いずれの事業におきましても、講座参加者同士の意見交換、気付きが重要であるという点は共通しています。ファシリテーターは指導は行わず、また、子育ての仕方を押し付けるというものでもなく、日頃忙しい中で考える機会を持てない方に、体験的な学びで考えてみることを大切にしているものです。事業の成果を具体的に提示することは大変難しいことであると考えております。教育委員会と学校が連携することで、講座数、受講者数は伸びている状況にはございます。また、参加した方の感想も非常に好評で、多くの方が子育てへの気付きを持たれているということが、アンケート等で感じられているところでございます。
 次に、親の学習開催までの流れについて御説明いたします。図に示しましたとおり、3つのステップで実施しております。開講のおよそ1か月前に学校などから日時、場所、対象、内容などの依頼を受けまして、担当である青少年課が依頼内容に適したファシリテーターを手配しております。おおむね開催日2週間前頃から、依頼内容や、当日の流れの確認、クラス担任との役割を明確にするため打ち合わせを行い、当日を迎えるという流れとなっております。この際、打ち合わせに教育委員会青少年課担当者が入りまして、現場で必要とされる内容と、ファシリテーターからの提案との調整を補助しているところでございます。実施する講座の主なプログラムテーマは、この資料の下のとおりでございます。保護者にとって不安に感じることを考えてもらうプログラムから、保護者に考えてほしいプログラムまで、対象に応じた学習のテーマを用意しております。この中でも、②の小・中・高校生の保護者対象の講座におきましては、社会のマナーやルールは家庭からというテーマの下に、しつけにつながる重要なテーマであるというふうに考えております。
 それでは、個々の講座について概要を説明します。
 乳幼児の保護者対象講座でございます。こちらは、幼稚園や保育施設からの依頼のほか、公共施設や商業施設でも定期的に開催をしております。乳幼児期は子育てについての悩みが最も多い時期で、子育てに孤独感を感じている方も多いのではないかと思っております。子育て中の方が集い、参加者同士が子育ての疑問や悩みについて話す機会を持つことができたらという思いで行っております。親子での参加になりますので、乳幼児に合わせた内容になっているところでございますが、親同士が話し合う機会を意図的に作るようにしております。
 続きまして、保護者を対象とした講座は、本来の親の学習となります。就学時健診や、保護者懇談会の機会に実施をしていますが、自由参加となっておりますので、これを受けないという方もいらっしゃるところでございます。大人だけの集まりなので、子供の前では話しにくい内容の悩みや問題について話し合ったり、学校から保護者に伝えたいことを、ファシリテーターが代わって伝えてもらったりということもあります。例えば、子供の前で学校や先生の悪口を言うと、子供は学校でどんな態度を取ると思いますかなど、保護者としてのマナーやルールに話が及ぶこともあります。
 続きまして、小学校親子合同講座でございます。こちらは県の提案するプログラムの種類にはなく、三郷市のオリジナルの講座でございます。親子で一緒に課題に取り組み、考えることで、お互いの立場で考え、相互の理解を促すものでございます。
 続きまして、中学生・高校生を対象とした講座の代表的なものとしましては、赤ちゃん抱っこ体験です。乳幼児の保護者の方にボランティアとして参加をしていただいております。赤ちゃんを抱っこすることで、小さい命とその尊さを感じ、お母さんの苦労や楽しさなども直接聞くことができる貴重な機会となっております。ボランティアとして参加していただく保護者の方にも大変好評で、中学生でこの体験ができるのはとてもよく、私も中学生のときにこの体験がしたかったという御意見や、中学生の保護者からは、赤ちゃん抱っこ体験後、子供が優しくなったなどのお言葉を頂いております。
 以上、駆け足でございましたが、親の学習事業についての説明でございます。親の学習事業は、三郷市の家庭教育の充実を図るための重要な施策の1つで、家庭に対する具体的な支援を行っている事業ですが、これは保護者に寄り添い、促すことができているためであると感じているところでございます。保護者を孤立させないということは、昨今の子供を取り巻く深刻な報道にあるような事件を抑止するという点で、大きな意義があると考えております。家庭での教育を担うのは保護者の方でございます。その保護者を支える家庭教育支援の取組は、とても重要なものでございます。
 主権者教育との関係を考えますと、親の学習事業において、保護者や児童・生徒に政治や投票について考えてもらうことを講座に取り入れることは、子供の発達段階に配慮する必要があることや、学校教育との関係がございますので、検討すべき課題は多いものと考えております。しかしながら、保護者や児童・生徒が自ら考えるきっかけとなるような講座を提供するという趣旨から鑑みれば、課題に対して自らの意見を持つこと、互いの意見を交換し、自分とは異なる意見があるということに気付くことは、親の学習事業におきましても大切にしているところでございます。
 続きまして、学校における主権者教育の取組について御紹介いたします。
 三郷市の学校における主権者教育の取組についてでございます。主権者教育は、単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や、地域の課題解決を、社会の構成員の1人として主体的に担うことができる力を身に付けさせることが肝要であります。三郷市では、その視点から、主権者教育充実の手段として、NIE教育に着目し、その推進に取り組んでおります。日本新聞協会が指定する埼玉県内20校の実践指定校のうち、本市からは3校、中学校が1つ、小学校が2つでございます。3校が指定を受け、市内小・中学校にNIE教育を拡充させています。教室での学びが、学校、家庭、やがては義務教育終了後の自身の生き方につながるよう意図した段階的な実践を4点御紹介いたします。
 初めに、教室での学びでございます。スライド左上を御覧ください。授業においては、新聞を教材として積極的に活用しています。新聞をより身近に、必要感をもって読めるように、発達段階に応じた活用の仕方を工夫しています。新聞そのものへの興味が社会への関心につながるよう、系統性を意識することで、児童・生徒の発達段階に応じて主権者教育を醸成しています。
 続いて、スライドの右上を御覧ください。学校図書館に新聞活用の機会を広げた取組です。三郷市では、小・中学校ともに、学校図書館司書配置率100%を達成しています。学校図書館と連携し、学校全体に新聞活用の学習支援を充実しています。新聞を自ら手に取る機会が教室の外にもあることで、児童・生徒が社会の出来事を知る機会を広げています。
 続いて、スライド左下を御覧ください。校内での取組の充実を家庭との連携、家庭学習の推進にもつなげています。夏休みの宿題や自主学習の課題では、新聞記事について、親や友達と感想を交流し、自分の考えを書く活動に取り組んでいます。家庭で新聞の内容を話題にすることで、他者の意見を傾聴する力や、尊重する力を養うことができます。家庭と連携し、社会の一員として協働する態度の醸成を目指しております。
 最後に、スライドの右下を御覧ください。義務教育のまとめ段階となる中学校では、新聞社主催の切り抜き作品コンクールへの応募を奨励しています。生徒が社会の問題に自らテーマを見付け出し、自分なりに意見をまとめた活動は、主権者教育の醸成に直結します。三郷市では、このように新聞を活用した主権者教育の取組を推進しています。今後、さらに取組が拡充していくよう努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、選挙管理委員会が主体となり実施しているデザート選挙について御紹介いたします。こちらは、市内の小学6年生を対象に、給食に出すデザートを、投票から開票まで、本番さながらの手順で選ぶことを通じ、公正な選挙はどう実施されているか体験してもらう取組です。選挙管理委員会の職員が学校に出向き、選挙について解説しております。模擬選挙で選ばれたデザートを3学期の給食で実際に食べるということで、子供にとっても身近なものであるという感覚を持ってもらうことが、この取組のねらいです。また、子供の思い出に残り、家に帰って保護者と選挙について話し合うきっかけになればという願いもございます。こちらについては、アンケートなどを実施していないところでございますので、家族と選挙について話されたかどうかというところまでは確認はできておりませんが、子供の教育にとどまらず、三郷市全体の意識向上につながればと考えているところでございます。
 続きまして、今後の課題でございます。最初に御紹介させていただきました親の学習でございますが、これを普及に向けて講座数を増やすために、親子を対象とした学習機会を増やすということとともに、学校の授業時間内で学習の成果を求めてまいりましたが、こういったことによりまして、保護者を対象とした講座数が、一方では減少をしております。また、プログラムを掘り下げるための時間というものが、授業時間内では足りていないというところが課題と捉えております。この点を踏まえまして、学習内容と質の向上を図ることが重要と考え、今年度、取組を進めております。
 次に、参加しない方に参加してもらうのはどうしたらよいかということでございます。参加しない方こそ、この親の学習が必要な方であると考えており、この課題の対応には大変苦慮しているところでございます。アイスブレイクやロールプレイといった導入の仕方で、学習への興味や関心を持てるようにし、参加してよかったと思ってもらえるようにすることが、次への参加につながるものというふうに考えているところでございます。
 最後に、主権者教育と家庭教育支援のつながりについて、今後の展開に必要な課題を考えますと、大きく2点挙げられます。
 1点目としましては、各教育の指導者、親や教師、指導主事、社会教育主事などでございますが、既に取り組まれているものであっても、それが主権者教育の一翼を担っているという意識の醸成が必要であろうと考えております。今回、この発表の機会を頂きまして、篠原座長が執筆された記事や、文部科学省主権者教育の推進に関する検討チーム最終まとめなどで、主権者教育について改めて考える中で、主権者教育と一言で言っても、選挙活動の推進にとどまらず、地域課題をはじめ、身近なことについて自身の意見を持ち、他者との交流を通じて考えを深めることを促すということも、主権者教育に含むものであると勉強をさせていただいたところでございます。
 続きまして、2点目です。家庭教育、学校教育、社会教育の全てのステージにおいて、主権者教育を一体となって推進していくため、関係者が主権者教育について共通の認識を持つことが重要であるということでございます。家庭教育支援は、家庭に寄り添うものです。各家庭がそれぞれに身近な問題を自らの問題として考えるきっかけを提供することも、重要な支援の1つです。主権者教育の趣旨を教育現場に立つ者が念頭に置き、保護者や児童・生徒を取り巻く問題を身近に感じてもらい、自分の力で考えるきっかけを提供するということが重要であると考えております。又は、そのための取組や研修の方法も模索していく必要があろうかというふうに考えているところでございます。
 今年度でございますが、新たな取組としましては、三郷市教育委員会におきまして、子ども大学みさとという、先ほど冒頭でも御紹介させていただきましたが、この中で、関東財務局の協力を頂き、財政教育プログラム特別事業を開催する予定となっております。財政教育プログラムは、小・中・高校生の主権者教育の一環として日本の財政に興味を持ってもらい、財政を自分たちに関わる問題として捉え、国の未来について考え判断できる子供たちを育成することを目的に、財務省財務局が全国で展開しておりますアクティブ・ラーニングを取り入れた事業でございます。今回の実施は、本市の主権者教育に一定の成果があるものと期待をしているところでございます。
 当市の家庭教育支援における主権者教育の推進の取組は、まだまだ醸成されているという段階に至っておらず、委員の皆様におかれましては、やや物足りない点も多かったのではないかというふうに存じておりますが、地方自治体という立場からアプローチする家庭教育支援へ主権者教育の推進という観点をどのように具体化させていくか、委員の皆様の御意見、アドバイスを参考とさせていただけましたら幸いに存じます。
 本日は貴重なお時間を賜りまして、ありがとうございました。これで、三郷市家庭教育支援主権者教育についての発表を以上とさせていただきます。御清聴いただきまして誠にありがとうございました。
【篠原座長】 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本PTA全国協議会に御発表いただきたいと思います。日本PTA全国協議会におかれましては、総務委員会で、各協議会の取組状況の調査を行っていただいたというふうに聞いております。それを踏まえた現状や課題などについて、これも20分程度で御発表いただきたいと思います。いいですか。
 それでは、五十嵐参与よりよろしくお願いいたします。
【五十嵐日本PTA全国協議会参与】 日本PTAの参与の五十嵐でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 今ほど篠原座長の方からお話ありましたとおり、私ども日本PTAでは、昨年度になりますけれども、日本PTAの代表者会の前に委員会を毎回行っているのですけれども、4つの委員会に分かれます。全国の64協議会の代表の者が4つの委員会に分かれて、年4回行っている委員会になります。その中の総務委員会において、昨年、この主権者教育という部分にもスポットを当てて、実際、全国的にどのようになっているのか。正直言いまして、私ども日本PTAの代表者も、主権者教育という部分に対して、どういうことを言うのかとか、それから、取組というのはどういう取組を主権者教育というふうに扱えるのかというところも、正直よく分からないというところがありましたので、昨年、ここの部分についても、1つの委員会で具体的な課題として取り上げようということで、こちらでもお世話になっていました寺本、それから、昨年まで会長を務めておりました東川の方で、委員会で取り上げるという方向で、昨年取り組みました。その中の総務委員会において、参加している委員の協議会においてどのような状況かというのを、まず状況を調べ、そしてそれを持ち寄って、委員会の中で発表しようということがありました。それが、こちらの実施状況調査という形でこちらの方に載せさせていただいております。主には、各協議会の、県ですとか、あるいは政令指定都市、そちらの教育委員会の方で実際にヒアリングをさせていただきまして、どのような内容があるかというところを行っています。PTAではどういうところがあったのだろうというところを、それぞれのところで見ましたけれども、特に主権者教育というものを柱に活動しているPTA活動というところは、なかなか今の段階では存在していなかったかなというところで、関連してというふうに関連付けられるものはいろいろあったということでの報告はありましたけれども、そういう状況でした。
 具体的には、山形県では、こちらは具体的な部分だったのでこの次に報告も入れていますが、合同の教育懇談会の中で主権者教育を取り上げたものがありました。福島県は小・中学校の中学校では、放射線教育等の部分の取組などのものがありまして、なかなか授業時間として主権者教育まで取り入れることは難しいというようなお話が、教育委員会とのヒアリングの中であったそうです。
 それから、栃木県におきましては、未来の有権者育成推進フォーラムというものが開催されて、ここの部分が主権者教育についてはかなり取り上げているような内容のフォーラムであったというような報告がありました。
 それから、富山県においては、これは平成10年ぐらいからやっている部分らしいのですけれども、子どもとやま県議会というような取組で、小・中学生に対しての取組の部分も教育委員会の方で行っているというものがあったそうです。
 それから、京都市においては、京都市独自の体系的な指導案集の作成ということ、それから、徳島においては、出前講座の中で模擬投票というものが、主権者教育の部分として当たるかなという報告がございました。
 山形県、先ほど、具体的なものがあったということで、報告がありましたので、こちらで報告をさせていただきます。主権者教育の視点から小・中学校に求められるものということで、公的な資質の育成というような部分、こちら、どういうふうな方たちの参加でこの懇談会を行ったかというと、教育長、各課の課長担当者、小・中学校の県P連の会長、副会長、理事、母親委員、事務局、それから、高校の県Pの会長、副会長、理事、事務局が一同に集まって、この懇談会を実施したということでございます。
 そして、先ほどの部分になりまして、具体的な内容の部分になりますけれども、PTAの役割ということをテーマにいろいろと懇談をしたということです。子供たちが政治や社会、世の中の出来事などに興味や関心を持つことができる有効な手段や方法を考える。学校で取り組んでほしいこと、それから家庭で取り組んでほしいこと、それぞれにどのようなことがあるかというのを意見をいろいろ双方出し合ってというようなことだったそうです。それから、自ら考え判断できる自立した社会人を育む家庭の在り方を考えるということで、やはり、小学校から中学校に上がると、より思春期等もありまして、親が子供に対する接し方の中で、特に、大人として扱う部分と、子供としての部分の難しいところがありますけれども、そういう中で、主権者という部分の意識を持たせ、自立した社会人にということを、家庭の中でどのようにしていくのかということを考えたというような内容でございます。
 その中で意見が出たものとしては、世の中で大切にされていることを体験させたらいいのではないか、あるいは、親が政治に関心を持つことが大事なのではないか、教師は政治的中立性を確保しなければならないため、自分の意見を言えないというような意見、学校での統一した授業はなかなか難しいのではないのかというような意見もされました。
 要は、先ほど、家庭の在り方の部分については、まちづくり等のボランティア活動を通じて成長していってほしい、子供の意見を待ち、親が決め付けない、それから、保護者が手を出し過ぎるため、社会で生き抜く力が養われない、大人が変わらなければいけない、子供の力を信じるということで、主には、過保護とか、あるいはどうしても親の言うとおりにしなさいということが、暗黙のうちにそういうことをしているのではないか。そうすると、自立とか主権、自分自身がどう考え、どう行動するかというようなところがどうしても養われていかないのではないかというような意見が出されまして、家庭の中で、保護者としてもその辺を意識しないといけないのではないかというような意見でございました。
 その中で、我々日本PTAの委員の中で、そういう全国の事例を受けた中で出た意見としては、どうしても、高校での教育の部分が、主権者教育の場合はメインとなっているので、小・中学校での取組の充実というのは、今からの課題であるというようなところが共通の意見としてありました。
 主権者教育を初めて耳にした委員も、正直おりましたし、高校中心だなというような報告は、各県の報告の中でも結構ありました。
 それから、時代を担う自立した大人、社会人を育成していくために、小・中学生が関心を持てる学校での指導・教育だけでなく、家庭、地域とそれぞれ何ができるかを密に連携していくことにより、さらなる主権者教育の推進を図ることができるということで、我々PTAは今までも家庭、それから学校、地域という部分と連携しながら、いろいろな活動・取組はしておりますが、そういう部分の中で、より主権者教育というところの、我々PTAの方も、言葉も、それから内容も意識をして、そして、今までの活動に同じようにしながら、その中にそういう意識を持って取り組むと、あるいはそういう発言を入れていくということだけでも、我々PTAの方からも主権者教育に対してのいろいろなサポートをしていくことは、できることはあるのではないかというような話が出ました。
 各協議会、その中にまた各学校がありまして、学校ごとの単位PTAと呼んでおりますけれども、その単位PTAの活動としては、地域住民参加型の多様な活動の実施や、地域の多様な人材を構成員としたネットワークの構築、それから、子供の生活習慣作りを推進すること、こういったものを行っているものは多数あります。その中に、この主権者教育をそういう活動の中で広げていくことができるなということは、結論として出てきました。実際に、これまで行った事例で、私ども、平成28年と平成29年に、それぞれこういったPTAの事例集というのを本にしまして、全国のPTAの取組の具体的なものを事例を集めて冊子にまとめたものがあります。この中で2件ほど、先ほど言ったように、地域の活動、それから学校、保護者、地域、それぞれ一緒になって行っている活動の中に、主権者教育という観点から言ったときに、この活動は生かせる部分としてあるのではないかなということを、2件、こちらの事例集として集めた中に、そういった部分が見られましたので、紹介します。
 1つは、こちらの新居浜市の泉川中学校のPTAで行っている活動です。こちらは愛媛県ということで、愛という言葉を結構入れたものになっておりますけれども、地域とともに学校を支えるPTA活動ということで、こちらにあるような5つの活動の報告が事例の方で出ております。
 「あいさつ日本一運動」ということで、毎朝の挨拶を、登校してくる人たちに、PTA、それから家庭、地域の見守り隊、住民の皆さんが一緒になって取り組んでいるというような活動がございます。
 それから、奉仕の日ということで、全校生徒240人が資源回収を行うこと、もう20年以上前から行っているということですけれども、こちらの活動、いろいろと地域の人と協力して、見守り隊の方と、保護者と連携した活動というようなことで行っているそうです。
 それから、「愛ロード」美化活動ということで、こちらも国道バイパス沿いの環境をきれいにしましょうということで、児童・生徒、それから地域住民、皆さん一緒になってきれいにしているという活動で、写真の紹介でもありますが、結構大々的に行われているというようなものがございます。
 それから、親子クラスマッチということで、体育祭というようなものに似たような部分ですが、親子で行うというところがポイントでございまして、親子でスポーツを通してコミュニケーションを取るというような活動です。
 それから、地域との情報協議会ということで、私は宮城県の仙台におりますが、仙台でも、こういった地域との情報交換会みたいなものは、各中学校区ぐらいの単位でありますけれども、こちらでも、PTA、自治体の長、児童委員の皆さん、あるいは議員さんなども一緒になって、地域の問題をいろいろと考えているというような活動ですね。こういった中で、PTAがパイプ役になったり、あるいは、その活動の先頭に立って活動をしたりというようなことで行っているということでございます。
 そういう中で、生徒の変容ということで、この活動の中でどういうふうな変化があるかというようなことも紹介されておりますが、規範意識の高まりというのが、大人と一緒に行動、いろいろな活動をする中で高まっているというものがあるようです。地域の変容としては、やはり、子供たちは地域で育てようというようなものが、一緒に活動する中で出てきていると。PTAとしては、校区の中で他のPTAとも連携しながらできないかなというところで、そういう連携の意識というのが、こういう地域の活動の中では、行うことによって高まっているということが言えるということでございました。
 もう1つが、岐阜県の八幡西中学校の取組になります。こちらで、地域との絆ということで、たくましさを身に付けさせ、自立させることこそ大切ということを目標とした、次の3つの視点からのPTA活動、こちらを読んだときに、ああ、これは主権者教育につながるところがあるなというところを感じましたので紹介しておきます。親として、子供たちにできること、それから地域に働き掛ける子供たちに育てること、災害に遭遇したときに自分から動ける子供たちに育てることという視点で行っている活動でございます。
 こちらでは、公民館活動への参加ということをしまして、それは、地域に働き掛ける子供を育てるということで、自分たちが受動的ではなく、地域に積極的に、自分たちで働き掛けができる、そういった子供を育てようということで、公民館活動へ参加させているということで、イベントのボランティア、あるいは事前の会議にも出席をさせて、その内容を中学生理事というような名前で報告がありますけれども、そういったことで行っていると。予備軍として、小学生サポーター制度というものも取り入れてやっているということで、地域の方々が温かく、時には忍耐強く見守り、チャンスを与えることで、子供たちの自信につながっているということで、なるべく子供たちに動いてもらうことを、ぐっと大人は我慢してやらせているということでございます。
 それから、防災について学ぶということで、公民館活動で自信を獲得した子供たちに、次は、危機に遭遇したときに自分たちは何ができるのということで、防災について学んでもらうということを展開しているそうです。
 学校の取組としてはふれあい参観の中で、学校全体で、学年ごとに防災についての授業を実施し、そこに参観に来ている保護者も含めて、家族の皆で考える意識を持ってもらいましょうということで行っているそうです。
 PTAとしては、災害時に即戦力となるための活動ということで、こちらはPTAとしては具体的に防災キャンプを実施したり、炊き出し訓練、それからAEDの講習会、こういったものをPTAの活動の中で実際に行ったりしているということです。
 この中で、生徒の変容としては、地域の一員としての意識がやはり高まったという効果がございました。そして、公民館中学生理事の登録がその後増加したということが、報告として事例の方で載っております。
 我々、日本PTAは、各単位PTA、そして、県とか政令指定都市の連合協議会、その代表者たちが集まって、この日本PTAというものを構成しておりますので、日本PTAは日本PTAなりの活動を今後もしていかなければいけないという中で、今年度、本日は欠席をしておりますが、佐藤秀行会長の下、動き出しました。今年の委員会の中では、委員会名としても、家庭教育支援委員会という部分、4つの委員会の1つをそういう命名にしました。その家庭教育支援委員会において、主権者教育をPTA活動にどう組み込んでいくかということを、今年度議論しましょうということでテーマに入れております。今年度、その委員会の中で、主権者教育をPTAとしてどのようにしていくかということを議論しますので、その結果の方は、また佐藤の方から御報告させていただきたいと思います。
 それから、委員会の議論を受けて、会議等で全国会員に向けPTA活動での主権者教育の実施方法を伝えるということで、当然、日本PTAとして、このように主権者教育にPTAは取り組みましょうというものが何か出てくれば、こちらは、全国組織であるという利点を生かしまして、例えば全国大会の分科会の1つのテーマにしたり、あるいは、全国の事例集、いろいろな声を集める中の紹介に、その主権者教育を入れたものを発刊したりするとか、そういったいろいろな取組が、今後も日本PTAとしてはできるかなというところで考えております。
 以上で、日本PTAの御報告とさせていただきます。ありがとうございました。
【篠原座長】 ありがとうございました。
 それでは、この三郷市と日本PTA全国協議会のそれぞれのお話をお聞きしたわけでございますから、それを踏まえまして、どちらの発表に対してでも結構ですので、委員の皆さんから御質問、また御意見など、どうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。30分ぐらいそういう質疑の時間を取りたいと思っていますので、どうぞ。どなたからでも。
 それでは、田村委員。
【田村座長代理】 どうも、大変いい御報告を頂戴しまして、ありがとうございました。非常に、活動の内容について理解ができるようなお話だったので、大変ありがたいというふうに思っております。感謝申し上げます。
 ただ、1つ聞きたいのは、主権者教育の切り口で考えますと、既にいろいろなところで言われていますけれども、若者の投票率が下がっているという理由がたくさんあるのですけれども、間違いなく1つのこととして言えるのは、若い時代に自分たちが行動したことがいろいろないいことになっていくという経験が少ないのではないか。実際に自分たちがやってみて、意見を表明するなり、交流するなり、何らかの行動をすることで、結果的にとてもいいことがあったというようなことを体験することが少ないのではないか。教えられる一方で育ってきているのではないかというような意見を耳にします。私もその点については感じるところがありますので、PTAの岐阜県の公民館の中学生理事ですね。これなどはすごくいい試みだなと思って、すばらしいと思っているのですけれども。そういう意味で、学校という場を通してですけれども、生徒はどうそこに関わるのかということについて、いろいろ体験させる仕方ですね。つまり、生徒の意見が、何らかの形で自分たちの日常生活に影響があるか、これはよかったというようなことを意図的にお考えになって計画を作られておられるかどうか、三郷市の教育委員会としては、それについてはどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いできればと思って質問させていただきました。
【益子三郷市教育委員会生涯学習部長】 ありがとうございます。
 三郷市におきまして、子供たちが体験をどのようにして、それがどう子供たち自身を取り巻く社会の中で反映されているかとの御質問をいただいたと思います。こちら、教育委員会で、学校の現場で、あるいは社会教育である生涯学習の分野で、とエリアが分かれているところでございますけれども、生涯学習の分野においては、今、教育委員会としても課題として捉えている1つの事例としましては、子供たちの携帯やスマートフォンの所持ということについて、親の立場からは子供の居場所が分かるということの安心感があり、持たせたいと思う一方で、子供たちがスマートフォンを使う時間が多くなってしまうということが課題となっております。三郷市では、先日、各中学校でスマートフォンを持っているか、持っていないか、あるいはそれをどのように使っているか、具体的には何時間使っているか、各中学校で代表者の生徒が意見を集め、それを市内8中学校で、ケータイ・スマホ子どもサミットという形で発表をする場を持ち、そこで、こういった現状を踏まえて自分たちでどういうルールを作っていくか、現在のルールをもとに、それを現状にどう合わせていくかというところを見直したということがありました。
 学校現場の方では。
【佐久間三郷市教育委員会学校教育部指導課指導主事】 失礼いたします。御質問ありがとうございました。
 学校現場において、特に特別活動においては、主権者意識の向上につながるものが多いかと存じます。例えば、学級活動(1)と呼ばれる学級会の時間では、主張したり、折り合いをつけたりする活動がございます。また、児童会活動、生徒会活動は、三郷市においても、年間指導計画に基づきまして、正確に、時数、質ともに確保しているところです。自主的な活動を学校の中で行えるように、市の教育委員会としましても管理しているところです。
 以上です。
【篠原座長】 よろしいですか。
【田村座長代理】 はい。
【篠原座長】 どうぞ。御意見あれば。
松川委員、岐阜の話が出ていましたよ。
【松川委員】 ありがとうございます。岐阜のことを紹介していただきまして。
 資料10ページなのですけれども、ここに出ている写真が、滋賀県の近江八幡市というので、ここは違いますよね。お話しいただいたのは、岐阜県の郡上市の話だと思うのですけれども、ここの写真は滋賀県近江八幡になっているのですが。
 郡上市の学校でございますよね。
 写真だけが違うということだと思うのですけれども、それは小さなことなのですけれども……。
【篠原座長】 松川さん、岐阜の教育長をやられているから。
【松川委員】 今日、2つのお話を聞かせていただいて、三郷市の方は人口14万人ぐらいあって、増えていて、子供の数も1万人を超えているということなのですけれども、郡上市は多分10分の1くらいで、子供の数はもう100人台だと思うのです。ここはもう市として大変危機感があり、小学生のときから郡上学という独自のふるさと教育をやっておりまして、とにかく子供たちが育っている基礎自治体が将来なくなっては困るという意識が非常に強いので、子供の頃からふるさとに愛着を持って、最終的にその地域を支える人材になってほしいという意識が非常に強いわけです。高校生になり、大学生になり、外へ出て行く人はもちろん多いわけですけれども、それにしても、最終的にある程度の人が戻って来ていただかないと成り立たないわけです。主権者教育というのは何かというお話がずっとされているのですが、これは、やはり都市部と地方とでは大変意識が違いまして、三郷市の場合は、東京近郊のところであって、住んでいる町がなくなるというような意識は全然皆さんお持ちでないので、主権者と言っても、地域のために自分たちが何かしなければそこが存続していかないというような意識を持たせることが非常に難しいと思うのですね。ですから、最終的に主権者になって投票して、その地域を残してどう盛り立てていくかという意識をどう持たせるかというところが、やはり、主権者教育の中ではかなり大きいところを占めていると思うのですね。そういう意味では、やはり都市部の学校は非常にやりにくいというか、何もしなくても自分たちの暮らしは守っていけるだろうというところでは、なかなか自立した人間を育てると言っても、そこは普通に大学に行っていいところに就職して、できればいいわというようなところに、親の意識もとどまっているわけですよね。
 ところが、地方ではそういう問題ではなくて、過疎化がどんどん進んでいくわけですから、その中で、地域の産業を起こしながら残っていく人材を育ててという、自分の有力感みたいなもの、有効感みたいな、例えば中学生ぐらいになれば、この例に出ていますように、防災リーダーとしてかなり役立つわけですよね。そういう役立ち感みたいなものを持たせてということがない限りは、なかなか、自立せよ、自立せよと言っても、親やら大人が回りにいっぱいいて、おんぶに抱っこでは、なかなかできないということの現実が表れていると思うのです。
 だから、親子で勉強すると言っても、どうしても学校の中でいじめられたら困るとか、そういう話にとどまっていて、子供が学校を卒業してから、生きていくこの地域はあるのかとか、地域のために何ができるのかという、そういうことに結び付いていかないところが一番問題だと思うのですね。
 主権者教育というのはことさら大掛かりなことをやらなくても、例えば、プラスチックの問題から、ごみの問題から、それから人手がなくなって新聞などが最終的にうちまで配達されるだろうかという問題だとか、幾つか考えて、親子ともども考えていただくような課題というのはいっぱいあると思うのですけれども、なかなかそれが、それぞれの自治体格差と言いますか、それが非常に広がってきている中では、一律に主権者教育と言っても大変難しいものがあるなということを、改めて今日のお話を聞いて思ったところであります。ですから、大人の方にどれだけ切実感があるか。親ですよね。親が、その地域に住んでいるわけですけれども、親がそもそもその地域のために自分は何ができるのかということを考えているのかどうかということが、やはり子供の意識にも伝わっていくのではないかというふうに改めて思ったところでございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 では、ほかにどうぞ。
 では、植草委員。
【植草委員】 三郷市、日本PTA、両方ともありがとうございました。
 私の方から、質問というか、高校現場からすると、実は非常に、前に篠原座長もお話しされていたのですけれども、主権者教育はどうしても高校を中心的に考えがちなのですけれども、やはり小・中学校からの流れというのがどうしても必要になってくる。特に、18歳の投票、さらに成人年齢ということを考えると、高2段階ではもうある程度そこは固まっていなければいけない。そうすると、高校の中だけでというのはとても難しい話になるので、そうすると、やはり小・中学校段階からというのが必要になってきます。
 ただ、高校現場からいくと、これはどうしても学校設置者が違うので、例えば、いろいろな部分で、分断とまではいかないまでも、大きな流れの途絶えみたいなものがあります。小・中学校は1つのパッケージになっているような気がするのですけれども、そこから高校というつながりがすごくない感じがします。
 そういう中で、今日お話しいただいた三郷市がやってらっしゃるファシリテーター、非常に私は可能性があるのではないかなというふうに思っています。1つ、気付きを中心にしているというのはすごく大事かなと思っています。質問としては、ファシリテーターというのはどういう方がなっていて、その辺の養成などというのはどういうふうにやってらっしゃるのかが1点と、このファシリテーターが、例えば具体的に学校種を越えて、特に小・中・高と、高を入れたような格好での取組が何かあるのかということ、この辺を御質問させていただきたいと思います。
 また、日本PTAの方の、山形県の合同教育懇談会、これはまさに小・中学校のPTAと、高校のPTAの連合のお互いで話をする、すばらしい取組だなというふうに思っているのですけれども、これが例えば、単位PTA、単Pですね。単P同士の、何かそういう本当に地域に根差したような取組などというところにも広がっている例があるのかどうか。特に、主権者をめぐって、主権者というふうに大上段に構えないまでも、地域課題を見付けるという形で、小・中・高のPTAが一緒になって考えている例みたいなものがあるのかどうか、そういったところをお聞きしたいと思います。
 以上です。
【篠原座長】 はい。それでは、お答えできますか。
【益子三郷市教育委員会生涯学習部長】 はい。
【篠原座長】 それでは、よろしくお願いします。
【三浦三郷市教育委員会生涯学習部青少年課長】 三郷市教育委員会、三浦でございます。
 ファシリテーターについての御質問を頂きましてありがとうございます。ファシリテーターは地域の方なのですが、県で行っている家庭教育アドバイザーという研修を修了した方にファシリテーターをお願いしております。ファシリテーターの方には、県の研修もありますが、市で独自の研修も行っております。高校の方へも、依頼がございましたら、親の学習ということで赴きまして、先ほども出ました赤ちゃん抱っこ体験というもののほか、親の気持ちを、親に実際に、話はなかなかできないのですけれども、親の立場になって考えるという体験活動などもやっております。
 県の事業としてファシリテーターを育成しておりますので、ファシリテーターになった方には県への登録というのがございまして、県から派遣の依頼がございましたら、三郷市以外の市町村に赴きまして、親の学習というものをほかの市でも実施することがございます。
 以上でございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 それから、五十嵐さんの方かな。
【五十嵐日本PTA全国協議会参与】 ありがとうございます。
 小・中・高のPTAという部分なのですが、まず、組織として、小・中学校のPTAが各県とか、あるいは政令指定都市の方では協議会とか連合会を作っております。高校は高Pというのがあります。ただ、その組織が、高Pも、あるいは幼Pですね。幼稚園。ここも含めて1つのつながった団体としているのが、例えば鹿児島とかは高Pも含めて同じ組織になっております。ですから、鹿児島県PTA協議会の会長というのが、高Pの会長が務めていたりとか、そういったところ、あと、ほかにも栃木もそこの連携が取れているような形があります。そうすると、実際の活動も、幼・小・中・高と一貫してやるということにも取り組めるところはございます。まず、組織上の部分でいくとそういったところもあるということと、あとは、山形とか、私は仙台ですけれども仙台、あるいは宮城県なども、高校との懇談を必ず年1回は持つということを行事でやっているところもあります。
 あと、私の個人的な地域の部分でいきますと、私は仙台市の一番港側というか海側の方のエリアでございまして、そこの中学校区では、毎年、年1回、高齢者の方600人ぐらいをお招きして、地域でその方々に、敬老の日近くに、ふれあい交流会ということで、1,000人ぐらいの規模の人が中学校の体育館に集まって、炊き出しをしたり、あるいは劇を見せたりしているのですけれども、ここが、近くに仙台育英学園という高校がございまして、ここの高校もうちのエリアだということで、そこも一緒になってこのイベントの取組をやっております。そして、その効果としては、やはりチアリーダーの方がそこで演技をしてくれたりするのですけれども、小学校のダンス部、中学校の人たちもあこがれて、是非自分も高校に入ったらチアリーダーになりたいなどと言いながら、その活動に一緒にそこで取り組むというようなことで連携が取れているところが、実例でいくと、自分がやっているところということで、思いついたのでお話しさせていただきましたが、そういうことは恐らく全国のエリアの中で、自分の中学校区の中に高校があったりすると、やはり一緒になって取り組むというようなことは結構あるのかなと。
 あるいは、この間、新潟県新潟市のPTA会長研修会に呼んでいただきまして、お話をさせてもらったのですが、その中で、新潟市のある地域の取組としても、やはり高校と一緒になっているという話の発表がありました。また、その会場自身が新潟市の高校の会場を使って、小・中学校のPTA会長の研修会をやらせていただいたということで、恐らくここは高校との連携もきちんと取れているのだろうなと、高校の方も逆に小・中学校のPTAの方をいろいろ支援しているような、そういったことがあるのだろうなということも想像できたなということで、そういったことはあるのかなというところでございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
 田村委員、どうぞ。
【田村座長代理】 ありがとうございます。
 今のお話をお伺いしていて、私どもで実際に経験したことを少しお話ししてもいいかなと思って申し上げるのですが、実は、文科省のスーパーグローバルハイスクールという、5年間の1つの事業というか、があったのですね。5年で一応、昨年で終わったのですが、そこで私どももそれを受けて5年間やって、最後のまとめとして、実は高校生による国際会議を昨年行ったのです。これは、テーマが「Water is Life」という、水をテーマにして、そういう組織がありましたので声を掛けたところ、最終的には18か国が集まりました。外国の高校生が150人ぐらい来て、水をテーマに1週間会議を持って、非常に会議そのものの成果が上がったのですが、実施にあたりいろいろ調べてみると、ファシリテーターは絶対に必要なのですね。それで、2年ぐらい前から、学内でファシリテーター講座というのをやりましたら、これは時間がないから夏休みにやるのですけれども、希望者が殺到してくるのですね。高校生は知っているのですね。そういうこと。今年ももうSGHは終わってしまったのですけれども、校内で一応、夏休みに、今までの習慣ですから、希望者をと募りました。専門にしてくださる方やそういう組織から人が来て、いろいろ話をしてくれる時間があるのですけれども、一定時間やると、高校生でファシリテーターとしての一応力が付く。
 実際に、その講習を2年間やって、校内にファシリテーターを養成して、会議をやるとしたらもう絶対に必要だということがよく分かった、そういう経験がありました。これはまた、その後も校内でやっているのですけれども、そのことで分かったのですが、実は主権者教育も同じでありまして、もう御存知だと思いますが、国際会議をやって痛感するのは、日本の高校生が非常に子供っぽいのですね。もう全く感覚が違うのですね。向こうは18歳投票なんていうのは、今頃やっているのというような感じですよね。話をしていると。もう16歳が今議論になって、既に16歳になっている国もあるという状況です。ですので、子供たちが問題について、いろいろな問題、ただ、学校関係も含めたいろいろなものについて、高校生になると積極的に議論をするし、もう、大学生と全然変わらないというような実感があるのです。ですから、そういう意味で言うと、少し日本では学校が面倒見過ぎるという言い方はおかしいのですけれども、教える対象としてしか見ていないというところが、この主権者教育となると弱みになるのかなということを実感しています。
 PTAで総務委員会を開いて会議されるのは非常に重要だと思うし、いいことだと思うのですが、やはり、世界がどうなっているのかということは、1つの参考として議論を展開されるべきですね。国内だけの状況でやると、日本の国内では20歳前は子供だという、こういう扱いで済んでしまうのですけれども、世界はそうはいかなくなってきているということは踏まえて、主権者教育もそれを前提とした考え方をしていかなければいけない。我が国でももう20歳ではなくて18歳で成人と、民法も改正されるという話が進んでいますし、投票権も18歳で終わるわけがないと、私どもは見ているのですけれども、そういうことで、未来を考えた場合は、やはり未来を創る子供たちを教育する側としての学校は、その点について少し積極的に、前向きにいろいろなことをやっていかなければいけないということを、少し感想を申し上げました。ですから、そのきっかけとしては、この主権者教育というのは非常に大事だと思って、一生懸命お手伝いしていますけれども。
【五十嵐日本PTA全国協議会参与】 ありがとうございます。
【田村座長代理】 よろしくお願いします。
【篠原座長】 相原さん、どうぞ。
【相原連合事務局長(神津委員代理)】 ありがとうございます。代理ですが発言を許していただきましたので、よろしくお願いします。
 三郷市の事例報告の携帯・スマホ子どもサミットは、取っ掛かりやすいテーマで大変いいなと思います。ほかにも、町で、善意で猫のえさやりをやっているけれども、増えてしまって困るという問題など身近で、なかなか答えが見出しにくいテーマでも皆で悩もうよという話などもテーマ感としては最適だろうと思います。事例の御報告に感謝します。
 もう1つ、三郷市から、参加しにくい方、しない方という表現があったと思うのですけれども、これも実感するところです。家庭教育の大事さは今さら言うつもりもありませんが、家庭の姿自身が変化しています。これにどう対応するかというのも、様々な分野で今、1つの課題になっています。単身世帯は2,000万世帯。家庭の姿が、相当変化しています。PTAからも事例が御報告された、親子は、1つのキーワードですが、教育段階、職場、地域、これはもう重層的にかつ階層的に、ネッティングしていかないと、点ではなかなか押さえにくいというのが実感です。
 最後に、私どもの組織も高校や大学に出向かせていただいて、寄附講座なども全国で実施しています。田村座長代理からもあったところですけれども、大学生とお話ししていても、たとえば法律を改正できるということ自身主体的に受け止めていない皆さんもおられます。主権者教育と名付けて運動、活動するわけですが、ややもすると、サプライサイドの力が強くて、押し付けている感はないか。受ける側も教育と言った瞬間にもう思考停止していないか。先ほど三郷市がおっしゃったような、赤ちゃん抱っこ体験など、デマンドサイドから考える方が、本来の主権者教育、サプライサイドに立たない感じでいいのではないかなと。結果、振り返ったら主権者意識が育まれていたというアプローチの仕方や温度感というのもどこかにあっていいかなと思います。教育と言った瞬間に、やはり、正しい解を求めるのではなく、多様な解があるということに気が付けばいいわけです。その辺のところが、主権者教育という難しさだなと実感します。これは感想です。
【篠原座長】 ありがとうございました。
 そちら側から何かコメントされることはありますか。特にありませんか。
 それでは、時間も迫ってきたので、私の方から一、二。
 今、お話をずっとお聞きしていて、2つのことを私は感じました。相原さんから、デマンドサイトに立って考えるべきだというお話がありましたけれども、やはり、主権者教育という、言葉自体をどう捉えるか、それによってどういう教育が主権者教育に当たるのかとか、そういうところはまだ今、模索の段階のような感じがするので、やはり現場のニーズを聞きながら進めなければいけないという感じが1ついたしました。
 それから、植草委員からもお話があった、小・中学校の段階からやらなければいけないということですね。ただ、田村委員からも、世界を見据えながら、いずれ選挙権が18歳からもっと下がってくるかもしれないとかいうことも踏まえますと、小・中学校からの教育というのはやはり大事だと思うのだけれども。この小・中、高校は結構皆、討論を御発表いただいたときも、結構具体的に取り組まれているのですけれども、小・中学校段階でどう取り組むのかということでは、まだこれも模索の感じがいたします。
 なおさら、ではそれに関連して、家庭でどういうことの取組をしたらいいのかと。これも、もっともっと、まだ確たるものがつかめていない中で、手探りでやっているという感じがいたしました。そういう意味で、そういう手探り、模索をやりつつ、1つの解を求めていくということで、僕は今の段階はそれでよろしいと思うのですね。余り決め付けてこうだ、こうだということではなくて。ただ、選挙教育と同じだという主権者教育は、僕は是非やめていただきたい。やはり、社会の動き、それは田村委員がおっしゃるように、社会の動きも全部含めてですね。そういうものに、まず子供の頃からどう関心を持たせて、自分が社会の中にどうこれから関わっていくのかという意識を持たせることが、主権者教育の僕は入り口だと思っていまして。選挙はあくまで出口であるということで、是非、PTAも三郷市の自治体も捉えていただきたいなと。
 そういう面からすると、1つは、公職選挙法が改正されて、子連れ投票というのが全国どこでもできるようになっています。是非これを活用して、PTAの方にもお願いをしたいし、自治体にもお願いをしたいのですけれども、これは、保護者がそういう意識を持たなければ、子連れ投票というのはありません。学校が幾ら言ったってそれは無理ですから。そういう面で、保護者の方々に、そういう意識をしっかり持ってもらう働き掛けを。これは、やはり子供は現場体験というのが将来一番生きてくると思いますので。現場に宇宙があるというのが私の持論なのですけれども、それのためにも、まず選挙に、投票所に連れて行って、こんなものだよという現場を見て体験する、させるということは非常に大事だというふうに思うので、そのためには、親御さん、PTA、保護者が、投票にまず行かなければだめですよね。僕なんか、大学で教えていても、どうして行かないのと聞くと、だって先生、親が投票に行った姿を1回も見たことありませんからなどと言って返されると、こちらも言葉を失ってしまうのですよね。そういうこともないようにするためにそういうことを是非やってほしいと。
 それから、学校と家庭のコラボというのも僕は非常に大事だと思っています。これは、だから、例えば学校が週末にある世の中の動いていること、テーマについて課題を出して、それで週明けずっと、土日でお父さんやお母さんと週末このテーマで話をしてきて、その話した状況を週明けに1枚紙でもいいからレポートで出してよというような投げ掛け方も、学校と家庭の1つの大きなコラボになっていくし、いろいろ工夫があると思うのです。僕は今日、家庭教育の話が皆さんからヒアリングということでお願いをしたのですけれども、やはり学校、家庭、地域というのは全部コラボしていますから、そういう中で、家庭の役割をどうすべきかということは、引き続き検討していただきたいと。
 もう1つは、出口の選挙につきましても、これも選ばれる側と選ぶ側のコラボなのですよ。だから、選ぶ側の主権者意識を高めてもらっても、選ばれる側にもそういう意識がないと、これはコラボにならないと思っているのですよ。選挙というのは、あくまで選ぶ側と選ばれる側のコラボですから。今、そこで席上に御配付をしています各党、3党の子供向けの政策集というのを参議院選挙でも、自民党、公明党、立憲民主党から出していただいて、そのことを報じた新聞記事のコピーですね。読売新聞、共同通信も流していただいて、地方紙にも結構大きく載りましたので、そちらにありますけれども、こういう選ぶ側の取組というのも、是非、今後継続してもらいたいと私は思っておりまして。これは、自民党が一番先にこういう取組を始めてくれました。自民党が1つのパイオニアなのですね。2010年の参議院選挙からずっと国政選挙のたびに出していただいています。今、ここにたまたま、回し読みになるかもしれませんが、実物があります。自民党、公明党、それから立憲と。そちらの方でずっと回し読みで。それを取り上げたのがこの新聞の記事でございますけれども、公明党の方も2013年、2010年の参議院選挙から自民党が始めて、2012年の衆議院選挙から公明党もPDF方式でやってくれるようになりました。そして今度、その両党はずっと国政選挙のたびに、ここの記事に出ているような子供向けの政策集を出してくれているのですけれども、今回の参議院選挙に当たっては、それに立憲民主党も加わって出していただきました。だから、そういうことも、また是非大いに活用して、親子で話す1つの材料になると思いますので、活用してもらいたいなというふうに思いまして、自民党などの話を聞きますと、非常に、保護者の人に受けがいいと。子供にやさしいだろうと、こういうことをやっているのだというような話で、大変評判がいいということなので、だから続いているのだろうと思います。これは親子で話をする良い材料にも私はなるというふうに思っていますので。子供がこういうのを読んで、主権者意識の第一歩みたいなものが、何が問われているのかというのをイラスト入りで、漢字にルビを振って、小・中学生が読めるような内容になっておりますので、是非そういうのも活用されたらいいのではないかなというふうに思っております。
 何しろ、先ほど投票率の話がありましたけれども、今回の投票率の低さということだけではなくて、2016年の参議院選挙のときの投票率から、そのときは18歳の人の投票率、2011年衆議院選挙のときの19歳の人の投票率、がくっと落ちているわけですよね。そういうことを全部合わせますと、先ほど来お話が出ていましたように、18歳、高校生になってから急いで主権者教育、選挙教育をやるのではだめだと。やはり、小・中学生の頃からしっかりとした、まず社会に関心を向けさせるというところから始める必要性があるなというのを、改めて私は感じたところでございまして、今日は両団体からお話を伺いました。大変参考になりました。今後また、我々の案の取りまとめの際に、是非参考にさせていただきたいなというふうに思っております。
 あと、委員の方から何か一言ずつありますか。よろしいですか。松川委員、よろしいですか。
 では、時間がほぼ参りましたので、何かそちらの方のコメントございますか。もし一言あれば、どうぞ。
【益子三郷市教育委員会生涯学習部長】 委員の皆様におかれましては、三郷市の事例につきまして、いろいろ御意見やアドバイスを頂きまして、誠にありがとうございます。1つは親の学習を中心に、今日発表させていただきました。目的の中に、当市の主権者教育というもののキーワードがない中ですが、その行っていくプログラムの中には、社会のマナーですとか、しつけという中で、保護者の方に考えていただくというものを進めていくところで、結果として主権者教育が達成されている部分もあるのではないかというところを持ちながら、本日臨んだわけですけれども、委員の皆様からそういった部分が、もうこれから主権者教育に結果としてなっていくというようなことを、いろいろな現場のニーズを捉えながら探っていただければという御意見を篠原座長からも頂きまして、大変ありがたく思っているところでございます。
 また、三郷市は人口が増えている状況でございますけれども、今後、全国的に人口減少傾向にあるとのことでございます。ふるさとに誇りを持つというところは、三郷市におきましても、これから子供たちがふるさとを意識し、大事にして、自分たちが構成員になっていくということを考えてもらうことは、とても大事なことと思っているところでございます。
 本日は大変ありがとうございました。
【篠原座長】 どうもありがとうございました。
 何か、五十嵐さん、一言ありますか。
【五十嵐日本PTA全国協議会参与】 本日は貴重な時間をありがとうございました。
 1つすごく思ったのは、我々大人が、子供に常々、大人の背中を見せましょうということで、いろいろな大会とか、研究大会等で言っていますけれども、投票、本当におっしゃられるように、我々大人がきちんと投票に行って、投票率をきちんと上げなければ、子供に行きましょうということはとても恥ずかしくて言えないなということをすごく感じましたので、我々そういう意識もPTAの方でも自覚しましょうということは言いたいなというふうに思いました。ありがとうございました。
【篠原座長】 どうもありがとうございます。
 だから、そういう意味でも、先ほど申し上げた子供向けの政策集などは、家庭でよく活用させて、各党のいろいろな主張を子供の頃から、子供向けに作っていますからね。テーマもそうです。イラストも入っているドキュメント。だから、そういうものにならしていって、それで、できれば僕は全部の政党に出してもらいたいと思っているのですけれども、読み比べて、子供たちがリテラシー能力を付けると、そこまでいけば一番いいのですけれども、そこまでまだ行っていません。今、3党しか出ていませんので。だけれども、これはやはり自民党が率先してこれをやったのですよね。そういう面で、僕はパイオニアには大変感謝をしているのだけれども。あと、公明党もやってくれたし、今度、立憲もやってくれたし。これがもっともっと広がるといいなと思うので。
 ただ、これができたときに、恐らく、余り御存知なかったでしょう、これ。だから、もっとそういうプロパガンダというか、周知をもう少し、政党側もやってもらわないといけないのだけれども、何か聞いてみると、学校とか自治体から、選挙が終わった後、何か欲しい、教材に使いたいとか言って、かなり問い合わせがあるそうです。終わってから。終わってからでも大いに活用してもらっていいと思いますけれども。PTAも特に、やはり学校の先生と保護者が一緒になっている組織というのはほかにないですから。これはだから、そういう面で、学校教育と家庭教育の両輪を考えて、そこはコラボするという意味で、PTAの役割は大変大きいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
【五十嵐日本PTA全国協議会参与】 はい。
【篠原座長】 それでは、本日予定していた議題はここまででございまして、最後に次回の予定などについて事務局から説明をお願いします。
【大内主任学校教育官】 ありがとうございました。
 次回、第8回の日程でございますけれども、調整の上、改めて御連絡をさせていただきたいというふうに思います。また、お気付きのことなどありましたら、メール等によりまして事務局の方まで御意見をお寄せいただければというふうに思います。
 以上でございます。
【篠原座長】 はい。ありがとうございました。時間が10分ほどオーバーして、少し私がしゃべり過ぎたかもしれません。本日はこれで閉会とさせていただきます。
 今日は、委員の皆様も両団体の方も、御出席いただきましてありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程総括係

03-5253-4111(代表)(内線)2073