幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第9回)議事録

1.日時

令和2年5月17日(月曜日)15時00分~16時30分

2.場所

WEB会議システムを活用して実施

3.議題

  1. 中間報告(案)について
  2. 意見交換
  3. その他

4.出席者

委員

無藤座長、神長副座長、東委員、新山委員、遠藤委員、岡林委員、古賀委員、佐々木委員

文部科学省

蛯名審議官(初等中等教育局担当)、井上幼児教育課長、小久保幼児教育調査官、石川専門官

オブザーバー

厚生労働省子ども家庭局保育課大月企画官

5.議事録

【無藤座長】  じゃあ、いいですか。それでは、定刻を若干過ぎましたけれども、ただいまより、幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第9回)を開会いたします。お忙しい中、こういう形ですけれども参集いただきまして、ありがとうございました。今回の会議でありますが、新型コロナウイルス感染症対策としてウェブ会議での開催となりました。
 最初に、本日の会議の取り扱いにつきまして、事務局からご説明をお願いします。

【石川専門官】  委員の皆さまにおかれましては、本日はウェブ会議の開催にご協力くださいまして、誠にありがとうございます。事務局から本日の会議の取り扱いにつきまして提案をさせていただきますので、ご確認をいただければと思います。
 机上資料をご覧ください。本日の会議でございますけれども、オンラインで開催するというところでございます。1番、2番にあるとおりでございますけれども、新型コロナウイルス感染症対策の観点からウェブ会議システムを活用して実施すると。また、その観点から文部科学省内の会議室に傍聴用の席は設けないということでございます。また、今回の傍聴につきましては報道関係者のみとさせていただいているところでございます。
 ただ、資料につきましては既に公表させていただいておりまして、また議事録もこちらの準備ができましたら公表させていただく予定でございます。
 以上でございます。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 ただいま事務局から本日の検討会の公開の取り扱いについてのご提案がございました。ご質問やご意見はございますでしょうか。特にないようですね。はい。
 それでは、本日の検討会を、先ほどご提案のありましたとおりの取り扱いで進めたいと思います。
 続きまして、事務局から資料の確認をお願いいたします。

【石川専門官】  それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第に加えまして、資料1から3、また参考資料は1から7でございます。過不足等ございましたら、おっしゃっていただければと思います。
 よろしいですか。

【無藤座長】  はい。

【石川専門官】  また、4月1日付で事務局に異動がございました。順次紹介させていただき、各職員から一言あいさつをさせていただきます。
 まず、課長の井上でございます。井上課長、ミュートを外していただいて、ごあいさつをお願いいたします。

【井上課長】  先生方、こんにちは。

【神長副座長】  こんにちは。

【井上課長】  初めてお目にかかるのに、このような形でのごあいさつとなって非常に心苦しいのと、あとやっぱりお目にかかって直接ごあいさつをさせていただければなという思いが非常に強いんですけれども、こういう時でございますので失礼いたします。
 ずっとこの検討会はさまざまな形でご意見を頂いてきたと聞いております。今日ご議論いただくものの中にはコロナのことがございましたので、その辺も少し含めて資料も全部見させていただいております。難局ではありますけれども、幼児教育は非常に重要な部分ですので、今後さらに発展していくための議論を、ぜひこれからもいろいろと、今日も含めてご意見賜れればと思ってございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

【石川専門官】 ありがとうございました。では、ミュートでお願いいたします。
 続いて、幼児教育企画官として山田が着任しておりますが、本日は欠席しています
 続いて、小久保幼児教育調査官のほうからお願いできますか。

【小久保幼児教育調査官】  はい。
 皆さん、こんにちは。河合調査官の後任として4月に着任いたしました幼児教育調査官の小久保篤子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 3月までは現場の園長をしておりました。このコロナの状況で子どもたちや保護者をおいて4月にはこちらに来たのですが、少しでも幼児教育の充実のために力になれたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。

【石川専門官】  ありがとうございました。
 それでは、私は幼児教育課の石川でございます。幼児教育の関係では5年前にOECDのECCの関係で担当させていただいたり、この間までは岡山県玉野市に出向させていただいておりましたけれども、その時には幼稚園と保育所の両方担当でございました。そういったご縁もあってこちらの担当にならせていただきまして、この検討会に携わることができ、大変幸いに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、紹介は以上でございます。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
本日ですけれども、前回の会議におきまして、議論のまとめ素案について皆さまからご意見を頂きました。それらの意見を踏まえた中間報告(案)というものがお手元にございますけれども、事務局からの説明をいただいた後に、ご議論いただきたいと思います。
 それでは、事務局よりご説明をお願いいたします。

【石川専門官】  それでは、資料についてご説明をさせていただきます。
 本日の資料1は概要で、資料2は本文の反映版で、資料3は見え消しになっているところでございます。
 まず、本文の見え消しのところを説明させていただければと思いますので、委員の先生方、資料3をご準備いただけますでしょうか。資料3でございます。
 ご準備いただいている間に、この経緯も含めてお話をさせていただきます。この資料3でございますけれども、見え消し版でございます。前回の会議でご説明をさせていただきましたように、今回の名称につきましては中間報告としているところでございます。現在は中央教育審議会の特別部会におきまして、初等中等教育の在り方ということで議論を進められているところでございますけれども。今後は、この本中間報告につきましても中央教育審議会に報告をさせていただく予定でございます。また、今後のさまざまな動向に応じて、個別に議論を深めていく可能性もございます。そうした状況に柔軟に対応していくために、この検討会の体制を維持するという意味でも、今回は中間報告という形式にさせていただいております。
 それでは、資料3をご覧ください。
 まず、2ページでございます。「はじめに」というところでございます。これまで先生方にご議論いただいた内容をまとめてということで、「はじめに」のところで対応させていただいているところでございます。昨年の10月1日から幼児教育・保育の無償化がスタートしたということで、こちらは質も含めた幼児教育の重要性というところが掲げられているところでございます。また、30年4月には幼稚園教育要領も実施されまして、現場での実践も始まっているというところでございます。会議ではそういった状況を踏まえまして、今後の在り方について議論をしていただいたというところでございまして、そういった内容を「はじめに」で書かせていただいております。
また、さらに新型コロナウイルスの感染症のお話もございます。これについては本日の会議でご議論をいただきたいという部分でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、3ページ以降をご覧いただければと思います。資料3の3ページ目から資料からですけれども、文言の調整を含めて書いているところでございます。文言の調整の部分につきまして省略をしながら、具体的に8回からの反映部分と新たに加わった部分につきまして説明をさせていただきます。
 5ページをご覧ください。まず、「新型コロナウイルス感染症拡大における幼稚園等の取り組み」というところでございます。
 こちらは総論の部分で、ただいまは新型コロナウイルス感染症の関係では各園も含めて大変で、ご対応、ご尽力いただいているところでございます。そうした部分でどういった支援ができるか、そういったことも含めて1つ目の丸でございます。自宅で過ごすことが多くなる幼児、保護者との連携を密に、幼児の健康状態の把握、心のケア等、家庭における幼児の心身の健全な発達に向けた必要な支援を行うことということが1つ目です。
 2つ目でございます。幼稚園等が家庭および地域における教育の支援をはじめ幼児教育の充実に積極的に取り組むことができるよう、園務改善のためのICT化の支援、施設の衛生環境の改善、また行政においても関係機関双方の連携を強化するための体制の整備ということで、こちらのほうは書かせていただいております。ここは本日委員の先生方にご議論をいただければと思っております。
 続きまして、8ページでございます。8ページの丸の3つ目でございます。「園長・校長のリーダーシップの下」ということでの幼小の連携、接続の部分で、第8回の会議でご意見がございました。また、その次の丸でございます。公立幼稚園に関して小学校教育との接続に関する知見を生かして、各地域における幼小連携ということの中核的な役割を担うことという部分につきましても、第8回の会議のご意見の反映でございます。
 9ページをご覧ください。資料3の9ページでございます。○2の安全、安心な環境の整備というところも第8回の会議でご意見を頂きました。こちらの部分で各園の安全対策の部分が9ページの最後にあります。10ページの一番上の丸でございますけれども、幼児教育施設の事故の発生、再発防止のための取り組みを推進といった部分、そして施設の環境整備というようなところがこちらの内容でございます。
 続いて、13ページをご覧いただければと思います。資料3の13ページでございます。幼稚園の人材確保と、こういうような部分で、こちらは離職中のインターネットを利用した免許状更新講習が受講しやすい環境の醸成、そして復職の促進といった部分。また、幼稚園教員の志望者を増やしていくといった部分も、第8回の会議の反映部分でございます。
 また、(2)の研修等以下の部分でございますけれども、短時間でありましても日々の保育の振り返りでありますとか、教職員間での意見交換などという部分につきましても、第8回の会議でのご意見の反映部分でございます。
 14ページをご覧ください。丸の上から5つ目でございます。多くの地域の実態により研修を行うことが困難な場合も考えられることから、大学や幼児教育関係団体等とも連携しつつICTを活用した研修教材等の開発。こちらにつきましても第8回の会議の意見からの反映でございます。
続いて、17ページをご覧ください。17ページの一番下の丸の部分でございます。こちらにつきましても、教職員が自身の園の状況を把握、分析して言語化するといった部分、また保護者、地域住民への発信といった部分も、第8回の意見でございました。
 続いて、21~22ページをご覧ください。21ページの下からの調査研究の推進という項目でございます。幼児教育に関する調査研究に関しまして関係機関間の連携、またネットワークの連携を強化と、こういった連携の在り方でございます。また、幼児教育センター同士が相互に情報交換できるよう、そういったネットワークの構築というような部分も、前回の会議で意見がございました。
 22ページの最後の6番でございます。こちらが新型コロナウイルスの、先ほど説明させていただいた部分の少し具体化したものでございます。少し説明をさせていただきます。
 丸の一番上でございますけれども、下の2行でございます。幼児の健康状態の把握、また心のケア等家庭における幼児の心身の健全な発達に必要な支援を行うこと、こういったことが求められているというところでございます。
 そういった中で、2つ目の丸でございます。まず、こういった幼児、保護者に対する必要な支援、そして感染拡大防止のための教職員の在宅勤務等を推奨したりする観点から、各幼稚園等におきまして園務改善のためのICTの支援でありますとか、教職員の勤務環境の整備というところが必要になっているところでございます。
 丸の3つ目、22ページの最後でございます。そういった部分とあわせて、臨時休業をする場合でありましても、幼稚園等は1人で家にいることができない年齢の幼児が利用していることを踏まえまして、感染拡大防止のための万全の対策を講じた上で、預かり保育等の居場所確保の取り組みも求められているというところでございます。感染予防の観点からも、幼稚園等のトイレや空調設備の改修による衛生環境の改善等の感染防止に向けた取り組みを推進することが必要という状況でございます。
 23ページの、その次の「さらに」というところに移ります。こういう場合です。特に子どもの在宅時間が増加することに伴いまして、家庭での課題が顕在化する場合もあるというところでございます。そういったところで、定期的に幼児の状況把握や心のケア等を行うに当たっては、コロナや家庭の状況に応じて児童相談所等の関係機関との緊密な連携の下、必要な支援を行うことが重要でございます。また、さらに幼児教育推進体制の構築に向けた取り組みも必要というところでございます。
 本文につきましては、こういった内容になっております。特に、C型コロナウイルス感染症拡大につきましては、前回の会議が2月下旬でございましたことから、今回は新たな内容になっております。先生方のそれぞれのご実践でありますとか、そういった部分でのお話も含めてお伺いさせていただきたいところでございますし、また今回の中間は最後の段階でございますので、最後に見直していただきまして、ご意見を頂けますと幸いでございます。
それでは、無藤先生、よろしくお願いいたします。

【無藤座長】 ありがとうございました。
 それでは、本日は、まず新型コロナウイルス感染症に関することからご意見を頂いて、その後これまで議論したものをいろいろとまとめていいただいてありますので、それらについてさまざまなご意見を頂きたいと思います。そして、ご意見などがございましたら、画面上での挙手をお願いします。「手を挙げる」というところをクリックしてください。

【無藤座長】  クリックすると参加者一覧が出てくるんです。そうすると、一番下の「手を挙げる」というところがあります。いいですか。はい。
 では、そういうことで挙手をお願いして、指名されましたらマイクをオンにしてお話しいただきます。そして、話が終わりましたらマイクをオフにしていただくということで、ご協力をよろしくお願いいたします。
 ということで、それではどなたからでも結構ですけれども、いかがでしょうか。手を挙げにくい感じなんです。でも、いずれにしても全員何の形でも発言いただきたいと思いますので。どなたからでも、いかがですか。はい、東先生。

【東委員】  北海道の私立美晴幼稚園園長の東と申します。
 ご承知のとおり北海道は法律に基づかない北海道知事の緊急事態宣言が2月28日に発出されまして、それ以前の27日から道教委のへの休業要請があり、その要請に基づき、私どもの幼稚園は札幌市内にあるんですけれども、札幌市は実は1日遅れたんですが、私どもの園はほかの北海道の学校と同じように27日から臨時休校に入っていました。昨年度中は2週にわたって計6日、分散登園での保育が可能でしたし、3回に分けて卒園式というものをソーシャルディスシングを確保した上で、感染率の低減を確保した上で行うことができました。ただ、新年度に入りましても1週ほどは札幌市内の幼稚園、学校も再開できたんですけれども、私どもの幼稚園は10日金曜日が入園式で、13日の月曜日1日のみ全園児で保育がかなったんですが、翌14日からまた札幌市と北海道が緊急事態宣言に準じるような形で一斉休校の要請が発出されましたので、それ以来今日に至るまで、今の状況ですと5月31日まで臨時休園、休校が延長されるという現状があります。
 ただ、小中学校や高等学校のように遠隔授業というのがなかなか難しい教育・保育の実態でありますので、さまざまな私どもの園ばかりではなくて工夫をして、例えば、教材を郵送で送りながら、家庭と幼稚園がつながりあって保育の継続を図っていったりだとか。私どもの幼稚園も今日からYouTubeの利用制限のある動画配信していますけれども、動画配信をしながら家庭と幼稚園をつなげるという試みをどこの幼稚園もされているという実態があります。
 ただ、3カ月近くほぼ継続的な保育、教育ができない状況であるという、非常に厳しい状況で、できればこのまま、札幌も外出自粛中ということもあるんですが、先週は収束に向かってきていますので、そのまま収束して、できる限り来月6月1日からの保育再開がかなうことをお願いしているというような状況になっているところです。
 以上です。

【無藤座長】  現場の事情、特に札幌の事情、ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。じゃあ、佐々木委員、お願いします。

【佐々木委員】 鳴門教育大学附属幼稚園の佐々木です。よろしくお願いします。
 今回、新型コロナウイルスの感染症拡大防止のために休園をいたしまして、先ほど東先生からお話もありましたYouTube等の、今までは保育の中で活用しない、対面式の保育ということで子どもとの関係を確立させながら進めてきたのとは少し違う保育のありようというものを体験しております。
 子どもたちに、例えば5月5日のこどもの日の時に古新聞でかぶとを折って折り方をレクチャーしたり、一緒にこいのぼりの歌を歌ったり、親子で楽しめる具体的な方略というようなものを提案しました。そういう動きの中で、私たち全附連の附属幼稚園では、こういう良い取り組み例がありますというようなものの情報交換をして、そういうグッドプラクティスをそれぞれがシェアし合いながら子どもたちの家庭に届けるというようなことができました。
 もちろん、自分の園のよく知っている親しい先生がやるのに越したことはないのですが、何かのときに急ごしらえで子どもたちの家庭に支援ができるようなことも、それぞれの県市の幼児教育センターや、あるいは文科省の国研のセンター等、何か情報を集約させながら発信ができたり、教材の工夫とかのありようをシェアできるような取り組みも有効かということを実感いたしましたので、報告させていただきます。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 国立附属幼稚園のいろいろな発信についてお知らせいただきました。徳島県の休園状態は、札幌というか、東京と違いましたか。

【佐々木委員】  はい。徳島県は、感染者が5名という大変に少数でありまして、全国で緊急事態宣言が広がるまで保育をしておりました。私どもの幼稚園も、4月16日まで全国に緊急事態宣言が出るその日までやっておりまして、今は休園中です。現在は県内の幼稚園は預かり保育を除いて休園しておるのですが、5月25日の再開を目標に準備を進めているという状況です。

【無藤座長】  はい。ありがとうございました。
 それでは、ほかの方、いかがでしょうか。私のほうから参加者一覧から全員が一遍に見えないので、ちょっと挙手を見逃すかもしれませんので、画面上でも手を挙げてください。神長先生。

【神長副座長】  今のお話をお伺いしますと、もう園には情報環境が整っているというふうに受け止めているんですけれども。全国の幼稚園、私立や公立も含めてなんですけれども、そういった支援が可能な状況なのか、どうかということが、ちょっと質問なんですけれども、確認したいことです。

【石川専門官】  古賀先生が手を挙げていらっしゃいます。

【古賀委員】  よろしいですか。

【石川専門官】  では、古賀先生に、無藤先生からお願いできればと思います。

【無藤座長】  ごめんなさい。古賀さん、じゃあ、お願いします。

【古賀委員】  はい。すみません。
 京都市の状況などを聞いておりますと、やはりネットワークの整備がなかなか追い付いていないというふうな声も聞こえております。
 具体的には、例えば小学校以上のGIGAスクールの検討の中で出てきていたかと思うんですけれども、園務系、いわゆる校務系のネットワークと、学習系のネットワークを切り離して安全性を確保するというようなことが言われているかと思います。園務系のネットワークはあるんだけれども、学習系のネットワークがないということで、かなり園によってはどうやってYouTubeの配信の作業をしたらいいのかというところで詰まっているというようなところを聞きもしています。
 ですので、直接的具体的体験の重要な幼児教育なんですけれども、それを家庭においても促進する取り組み、今のような状況では非常に重要なわけで、そこをバックアップしていくようなネットワークの整備、いわゆる学習系のネットワークの整備というのも進めていく必要があるのではないかというふうに感じております。
 それから、ちょっと別件ですけれども、Cedepの中間報告を読ませていただいています。こちらは私じゃない、遠藤先生のほうからお話があるかもしれないんですけれども。家庭の個別の安否確認を特に実施していないというケースが23.6%というのがデータで得られています。中間報告ですけれども。そういったことを考えますと、家庭の個別の安否確認というのも少し全園で推進していただくようなことも重要なのかなというふうに思っております。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 園のICT環境は恐らく地域差や園差がすごく大きいと思います。それと、家庭側の要求も多分多様ですので、どう対応していくかということです。
 東先生が挙手されていますか。はい。お願いします。

【東委員】  続けてで申し訳ないんですが、先ほど1点申し忘れていたのが、前回の会議で報告された北海道教育委員会の幼児教育推進センターでも交流サイトを立ち上げていらっしゃいまして、どの保育者、園からもエントリーして応援メッセージ等を配信、共有できるような仕組みを早期に構築されているわけです。報告させていただきます。
 それから、安否確認というか健康状態を確認するということにつきましては、札幌の教育委員会等で健康管理シート、これも文科省が様式例を示していると思いますけれども。そのような形で運用をされている園、学校が多いと思います。私立幼稚園でも、例えば毎日ではなくても、私どもの園ように週1回は必ず担任が電話で家庭の状況や園児の健康状態を確認するということは励行していますので、特段な通信環境がなくても恐らくほとんどの園では、連絡の仕方の問題はあったと思いますけれども、実態としてはほとんどの園で子どもの健康状態の確認というのは行っているというふうに考えています。
 以上です。

【無藤座長】  はい。私立幼稚園などの状況をありがとうございました。
 ほかには挙手されていますか。いかがですか。岡林委員からですか。はい。お願いします。

【岡林委員】  高知県教育委員会幼保支援課の岡林です。
よろしくお願いします。
 高知県では、幼稚園、保育所、認定こども園等、いくつかの園に安否確認について尋ねてみましたが、やはり週1回以上の電話連絡や、お便りの送付、また保育者が家庭訪問して様子を伺うというような安否確認を、どの園もしているということをお聞きしております。
 また、県ではコロナウイルスの感染防止のために、研修につきまして日程調整等をしながら延期にしたり、一部中止にしたりしながら、保育者の先生方の学びの機会をなるべく減らすことのないように研修を実施しております。
 中でも、オンデマンドで研修を実施しながら、なんとか今は実施しているところであります。今後は延期をしながら、できる研修を随時やっていくというような形で、今のところは6月末ぐらいまではオンデマンドの研修を中心に、保育者の皆さんにも学んでいただいているところです。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。高知県の状況と、オンデマンド研修の方向というのは、多分ほかの地域でも同様と思います。ありがとうございます。
 では、委員の方、いかがでしょうか。

【遠藤委員】  じゃあ、1点よろしいでしょうか。

【無藤座長】  私がミュートにしてた。遠藤委員、お願いします。

【遠藤委員】  先ほどお話があったんですけれども、私どもCedep発達保育実践政策学センターのほうで、保護者と、あと園を対象にしたウェブ調査というのをさせていただいております。実際の締め切りは5月12日で明日なんですが、その最終的な取りまとめというのもできるだけ早く提示したいと思うんですが。5月6日の段階までに集まったデータに基づいて、一応中間的な要約版というのをウェブページに出させていただいております。
 先ほどいろいろとどういうふうに園と家庭との連絡が取れているか、全ての家庭とコンタクトを取っているか、あるいは一部の心配な家庭とだけコンタクトを取っているかなど、そういったことに関する5月6日の段階では全国508ぐらいの園にご協力していただいた結果なんですが、そうしたことについての情報というのは一応示させていただいております。
 それから、個別に自由記述というところで上がってきておりますさまざまな現在の問題、あるいは自治体に対する要請とか、そういったことに関してもいろいろと声が寄せられています。一つやっぱり印象的というか、当然ある話だなということで受け止めたのは、やはり自治体からはいろいろな情報が寄せられるんだけれども、基本的には言ってみれば読んでも分からないような、要するに情報の示し方が多くて、具体的にそれに基づいて園で何をやればいいかというところにいろいろな迷いがあるというんです。そういうようなことがあって、情報というものはもしかしたらある程度はもらえているんだけれども、その情報をどういうふうに咀嚼して自分の園に生かしていくことができるかという辺りに、いろいろな課題というのがありそうだということです。そういったところが見えてきているような気がいたします。
 あとは、その保育者の先生方お一人お一人のやはり不安であったりとか、あとは再開した場合には子どもたちをどういうふうに受け入れればいいか。そういったことに関しても、特に全体として国だけではなくて自治体などの方針というのがやはり全然示されていない中で、非常に不安に感じているような園が多いということ、そういったところが浮かび上がってきているかなという気がいたします。
 あと、保護者に対する調査、5月6日の段階で多分1500人以上からご回答を頂いているんですけれども。
そういう中で見えてきたことというのは、子どもたちの生活リズムというのがやはり崩れていて、若干就寝時間、睡眠時間というのが遅くなる傾向があるというようなことがそこで見えてきたことです。
 あと、意外に、しかし子どもの様子はそれほど変化していないというふうに受け止めている保護者の方が割合多くて、ただやっぱり一定割合、2割ぐらいの保護者の方は、例えば少し怒りっぽくなったとか、少しパニックを起こすというような傾向が以前に比べて認められるようになったとか。あるいは、べたべたくっついてくる傾向というのが若干強まったと。大半の保護者の方は以前と変わりなく子どもたちは元気に過ごしているという認識を持っているんだけれども、しかし1割、2割という辺りでは若干子どものネガティブな方向への変化というのを受け止めているような保護者の方もいらっしゃるということです。
 あと、もう一つ、保護者調査というところで見えてきたところです。これはWHO-5という世界基準のどれだけ精神的に健康に生活できているかということを示す指標なんですけれども。一般的にはWHO-5と呼ばれる指標で13点というのが1つの基準になっていて、13点以下になると実は精神的にはかなり不健康な度合いが強いというふうに判定されることがあります。言ってみれば、少し抑うつの度合いが高いというふうな判定です。もともと日本の保護者の方というか、保護者に限らず日本人は大体自分のことをネガティブに評定する傾向があるので、ほかの国に比べると、もともとその点は低く出がちだというふうには言われているんですが。今回の保護者の平均値というのが、平均値で13を下回るものになっておりまして、50%以上の方が13点以下になっております。
 ということで、どれだけ今回のことでそういうふうにネガティブな方向に精神的な状態が変化したかということは、その数値からだけは申し上げられないんですけれども、ただやっぱり少なからず親御さんのほうの不安とか、そういったものは割合高まっているというところがあるのかなというふうな気がしております。
 最終的な結果がまとまった段階でまた詳しくご報告させていただきたいと思いますけれども。取りあえず要約版を今日の5月9日の段階で出させていただいておりますので、まずはそちらのほうを少しご参考いただければというふうに思う次第でございます。
 以上でございます。

【無藤座長】  ありがとうございました。Cedepの調査は今回の緊急事態に対して迅速に対応していただいて、貴重なものだと思います。この中間報告(案)で触れていることだと思うんですけれども、可能なら調査を何らかの形で引用するなり、反映させるなり、より説得力が増すかもしれませんので、よろしくお願いをしたいと思います。
 その辺は、あるいは幼稚園とCedepと幼児教育課と直接何らかのやりとりもお願いできればというような気がいたします。

【遠藤委員】  ぜひ、つなぎをさせていただきます。

【無藤座長】  ほかに委員の方、いかがでしょうか。
 感染症に関わって直接的なことは大体よろしいですか。あとで戻っていただいていいんですけれども。
 それでは、それ以外にこの中間報告、質の向上をめぐってさまざまなことをご相談しているわけですので、どこの点でも結構ですけれども。気付かれたことや加筆すべきこと等があれば、委員の皆さま、意見のある方はどうぞ挙手をお願いいたします。最初にご説明が事務方からありましたけれども、この中間報告(案)が5月末ですか、中教審特別部会に報告されます。中教審の中にここが上がっていきますんで、私どものこの会議からの発言というのは、もしかすると今日が最後かもしれません。どうぞ。
どういうことでも思い付かれたことはございませんか。神長先生、お願いします。

【神長副座長】  國學院大學の神長です。
 私は、ちょっと細かいことかもしれませんけれども、新しく文章を作っていただいたところで、趣旨は非常に、前の会議の趣旨を入れていただいて大変に良かったなというふうには思って、全体は良かったと思っているんですけれども。ちょっと部分部分のことで、細かいことでお話ししてよろしいでしょうか。

【無藤座長】  どうぞ、お願いします。

【神長副座長】  はい。
 例えば6ページのところなんですけれども。2番目の丸のところです。「教科書のような主たる教材を用いないことから」という文章の前に、幼稚園教育ということが入ってきて、何かきちっとした文章になったような気もするんですけれども。ここに言う「幼児教育は特有の難しさが存在する」という、そこの言葉が、逆に言うと、この報告書を幼児教育の多分専門官が見たときには教科書がないから環境を構成しなきゃいけないし、子ども理解に基づいた援助が必要なんだというところに結び付けられるんですけれども。そういう言葉が消えてしまったところから、計画的な環境とか主たる活動が展開できるような援助をするというところが消えてしまうと、むしろこの「幼児教育には特有な難しさが存在する」というところで何か整っちゃうような気がするんです。印象ですけれども。やはり基本のところの教育要領をひいていただくというのはとても大事なことだと思うんですけれども。やっぱりそれにもう少し教科書がない中で、じゃあ、実際に何を教材としていくのかという、例えば先生が子どもの実態に基づいて環境を工夫したりして、いわゆる主たる教材である教科書に代わる教材を作っていると、ちょっと回りくどいですけれども、何か文章が削れてしまったところでもう少し「特有な難しさが存在する」というところで終わらないような工夫が必要なのかなと、非常に細かいところで感じております。
 もう一つ、同じようなところなんですけれども。13ページのところで、研修の充実等による資質の向上というところも、短い時間であっても日々の振り返りについて教職員の意見交換を行うことは重要であるというのは、これはもうごもっとものことで、そういう意見がたくさん出ていたと思うんですけれども。大事なことは、そうしたインフォーマルな話し合いが、やはりそれが園内研修につながったりとか、カリキュラムマネジメントにつながっていくという、そういう集約しながら全体が1つの方向を確認するというようなことが大事なので、何かそこの意見交換することが重要であるというところにもう一押し何かほしいなというような、率直な感想なんですけれども、思いました。
 以上です。

【無藤座長】  はい。ありがとうございました。
 第1点は、主たる教材を用いないという、それはそうなんですけれども。それだけではなくて、もっとポジティブに幼児教育の学校教育としての在り方が端的に分かる表現を入れたいということですかね。もう一点は、意見交換はもちろん大事ですけれども、それをもう一度いわば幼稚園教育要領の趣旨につないで、カリキュラムマネジメントとか指導計画など、いろいろとそこに持っていくことを積極的に書こうという提案と理解しました。ありがとうございます。
 ほかの方、いかがでしょうか。今のように文言の、細かいといえば細かいんですけれども、幼稚園教育の本質に関わるものですので、そういうことでどんなところでもよろしいんですけれども。
いかがですか。岡林委員ですね。お願いします。

【岡林委員】  高知県の岡林です。
 4ページの3番の1つ目の白丸なんですけれども、1行目から2行目にかけて「幼児教育施設における教育等の」という記載がありますが、この「等」の中には何が含まれているのかということを、教えていただきたい。
 それから、もう一つ、16ページですけれども、(2)の1つ目の白丸ですが、こちらの2行目には「各園において」とあります。この15、16、17ページにつきましては、「各園」、下から2つ目の白丸には「園」とあり、この3ページには「各園」という言葉が記載されています。この「各園」が示すものが幼児教育施設と捉えていいのか。もしくは、15ページの3番の3つ目の白丸は、ここは始まりが「各園の」とありますが、こちらはその上の「幼稚園については」とか「幼稚園は」とありますので、この「各園」は幼稚園を指しているのかというようなところが少し混在しているのか、どう捉えていいのかというところを少しご確認していただければと思いました。
 以上です。

【無藤座長】  はい。それでは、石川さんから。

【石川専門官】  では、事務局から説明をさせていただきます。
 まず、4ページの「幼児教育施設における教育等」の部分につきましては、この後に幼稚園の教育要領のほかに保育所保育指針また幼保連携型認定こども園の教育・保育要領も入れておりますので、教育・保育というような意味合いもございまして「等」と入れているようなところでございます。
 その後の15ページ、16ページ、17ページの辺りの部分でございます。特にこちらのところは学校関係者評価、そういった話の部分が中心でございます。こういった話の部分では、特に各園それぞれの園で取り組む内容というような部分も多いところでございますので、そういったその各園、一つ一つの個別の園をイメージしているときには「各園」でありますとか「各施設」というような記載にしております。また、もう少し広い意味で幼稚園が全体としてする部分、こちらについては基本的には「幼稚園は」というような、そういった整理というところでございますけれども。改めてこちらでもそういった考えの中で確認をさせていただければと思います。学校関係者評価等につきましては、そういった趣旨で「各」を入れているということでございます。

【無藤座長】 はい。ありがとうございます。
 よろしいですか。はい。誤解を招かないように、もう一度文章を精査していただければと思います。
 それでは、東委員、お願いします。

【東委員】  ありがとうございます。
 先ほどの6ページの、神長先生がおっしゃったところなんですけれども。やはりとても重要なポイントだと思うんです。やはり幼児教育の特性というんでしょうか、難しいということで文章を置いてしまうと、何かそこが印象に残ってしまうというんでしょうか。特に中教審の部会なんかですと、幼児教育に関係する先生方がほとんどいらっしゃらないので。
幼児教育の特性というか、幼児教育ならではの在り方というものについてご理解いただくためには、やはり丁寧な、中教審の部会だけの説明ではないんですけれども、必要かなというふうに思います。見え消しで消されたり整理されていたところの趣旨は理解できるんですけれども、やはり大事なところについては丁寧な説明の文案でもいいのではないかなというふうに、賛同というか、賛意を示させていただければなと思います。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。確かに中教審に上がっていったときには、幼稚園教育をご理解いただける委員が少ないかもしれないので、丁寧なご説明が必要かもしれません。
 佐々木委員、お願いします。

【佐々木委員】  よろしくお願いします。
 12ページから始まります「処遇改善をはじめとした人材の確保」という点です。文言として書かれているのは、13ページの白丸3つ目の「さらに中長期的な視点から豊かな資質を持つ人材を幅広く確保すべく高校生等の段階から」ということであります。私どもの徳島県は、キャリア教育の指導に力を入れておりまして、自分自身も県内の公立高校の2校にキャリア教育の指導のところで幼稚園、認定こども園、保育所の保育者の仕事や、それぞれの仕事の分限の違い等について説明に行ったり、高校生の質問を受けたりしています。やはりこういうところに、キャリア教育指導に位置付け地域の教育委員会と連携しながらのような文言があると、うまく成果が現れるような取り組みになろうかなと思いまして、ぜひそういう具体的な方略についても何か提案のようなものがあればいいかなと思ってお話をさせていただきました。

【無藤座長】  ありがとうございます。確かにこれは高校等ということで課が違うわけですけれども、中教審を通してご理解いただけると、と思います。
 ほかにはいかがでしょうか。古賀委員、お願いします。

【古賀委員】  私は、ちょっと細かいところです。8ページ目の小学校教育との円滑な接続の推進のところで、8ページ目の上から2つ目の白丸かと思いますけれども、「小学校教育では生活科を中心としたスタートカリキュラムの中で短時間での学習などを含む授業時間や指導および環境の構成等の工夫」というところに全て含まれているのかもしれないんですけれども、この後に「幼児期に総合的に育まれた資質能力を各教科等の特質に応じた学びにつなげていく必要がある」というところで、ちょっとひとっ飛びに行っているような印象があります。合科的関連的な指導の工夫というところが非常に重要かなというふうに個人的には思っていることもあり、その辺りの少し段階的な指導の工夫というところを丁寧に説明していただけるとさらに良いかなというふうな印象を持ちました。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。小学校の学習指導要領の総則にもかなり書き込んであるので、もう少し分かるようにということですかね。はい。小学校関係者が読んでも分かる辺りということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。まだ時間としてはあるんですけれども、特にご意見が尽くされているようなら終了ということになりますが。東委員からありました。お願いします。

【東委員】  すみません。
 1つ、4ページの教職課程のくだりがあるんですけれども。中教審における部会でもそうですけれども、ご意見を述べさせていただいたりするんですが。
コロナウイルスの関係もあって、教育実習の学外実習が2週間に特例的に短縮というような話が、ご配慮の通知があったんですけれども。特に、今は保育士資格と幼稚園教諭の免許の両方を対象とする養成校が多くなってきていて、教職課程とそのコアカリキュラムの保育士資格と幼稚園教諭の免許の重複というか、重なる部分の整理がなかなかできていないですとか、その科目認定の権限の問題もあって。要するに、学生から見ても、教員がカリキュラム編成をするに当たっても、なかなかうまく整理ができていなくて、大学生が卒業要件以外に資格要件も含めて取得すべき単位数が多くなり過ぎて、多くなり過ぎてということは適切でないかもしれませんが、多いことによって学生生活にも、その研究活動にも十分時間が取れないというような実態があるというふうに思います。大学の教員も資格、教職資格の問題ですとか、実際にその科目担当の問題にかなり影響というんでしょうか、窮屈にしているような実態があるというふうに考えています。これから教員免許状更新講習とかリカレントの研修のこともあるんですけれども、養成の段階でももう少し保育士資格と幼稚園教諭の免許に関する科目、カリキュラム内容等の整理というのが進むと、現場の大学の教員を含めて負担が減るのではないかと考えております。この報告書の中でどこまで表現するかということがあるというふうに思うんですけれども。実態としてそれらのことがあるということは周知したいなと思っております。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。2つの養成課程の連携というんですか、重なり重複する問題は何年来の課題なので大事だと思うんです。この中間報告にどのくらい書けるかということは幼児教育課としてお考えいただきたいと思います。それが大事な部分だということは認識を共有したいと思っております。ありがとうございました。
 それでは、ほかにいかがですか。遠藤委員、お願いします。

【遠藤委員】  特に個別の箇所ということではないんですが、全体を読ませていただいた印象といたしまして、基本的にこれが誰に向けての文書なのかという辺りが少し分からないところがございました。というのは、例えば何々に努めたほうがいいというような文言があった場合に、その主体というのがいわゆるそれぞれの園なのか、それとも自治体の例えば幼児教育担当者なのか。実はその実施主体というか、どこが基本的にはその実現に向けて実際にアクションを起こすべきかというのがかなり曖昧な形でしか示されていないところが多々あるなというのが率直な印象としてございます。
 そういう意味では、書ける範囲で結構なんですけれども、特にどういうところが力を入れていくことによって早期の実現であったりとか、より意味のある形での実現ということが可能なのかという部分も、実はできるだけはっきりと示していただいたほうがこういったものはより有効に活用していただける可能性があるのかなと。読んでも、これは私に関係することではないという読み方をされてしまうのは、非常にもったいない話のような気がいたします。文章のレベルで改善できるところはそうした改善を少ししていただけるとより良くなるんではないかなというようなことを、全体をさっと読ませていただいて感じましたので、少しご検討いただければと思います。

【無藤座長】  はい。ありがとうございます。言われてみれば、確かにそのとおりだと思います。この文書が中教審への報告という形になろうと思いますが、それは初等中等教育全般のことでの政策への提言になるかと私は理解していますけれども。
しかし、法改正を必要とする大きなことからもあるでしょうけれども、今の枠でできることや、あるいは文科省ならば予算請求を立てることからの施策ということもあるし、いろいろとあろうかと思います。特に幼稚園の場合には、各都道府県市町村とともに認可外も含みますので、今後自治体への呼びかけもあるように思います。ありがとうございました。
 神長委員、お願いします

【神長副座長】  はい。ありがとうございます。
 今のご意見と重なるんですけれども。例えばなんですけれども、14ページのところに「とりわけ」というところの丸があるところなんですけれども。やっぱり誰に向けて言うのかによって、いろいろに受け止められるなというように思うんですけれども。若い先生が多くなると、やはり園の保育やこれまでやってきたものを継続していくときに、いろいろな手立てがあると思うんですけれども。そのときに、それぞれの園でいろいろな工夫をしていると思うんです。前年度はこんなふうにやってきたよということを写真で残しながら、指導計画の中に張っていったりとかいうような、いろんな工夫をしていると思うんですけれども。ここに、下から2行目に「指導方法等に関する参考となる情報の提供を行う」という、何かすごくイメージが具体的なことを言っているのか、もっとその研修体制という中でこういうものを充実しなきゃいけないよと言っているのかという、先ほどの誰に向けてというところがもう少し焦点化してくると、自分のところの園だったらここまでできるとか、研修センターであればこういうものがあるというような、もう少し何か焦点化したほうがよいのかなというふうに思いました。14ページの下から3つ目の丸のところです。

【無藤座長】  はい。ありがとうございました。情報提供というのは、これは文科省が何か指導資料でやるよという話なのか、あるいはそれも含めて教育委員会その他いろいろなところを含めてなのか。全部かもしれませんけれども。もうちょっと分かるように工夫していくと。ありがとうございました。
 ほかにありますか。佐々木委員。

【佐々木委員】  お願いします。
 私は希望なのですが、19ページの下ほどから始まります「地方公共団体における体制の構築」という中で、幼児教育センターを設置することの大切さがあるのですが、そこに「地域の大学」や、幼稚園のことなんですが「附属施設と連携し」というような文言が入って、私たちの国立大学もお役に立てるところの何かの一端を担いたいというような気持ちが強いので、もし可能でしたら、そのような具体的な連携とか専門家集団のつながりの具体的な方略について示していただけたらありがたいなと思いました。

【無藤座長】  はい。ありがとうございます。確かに全国のいろんな地域の幼児教育センターも単体でいわばできることは限られているので、国立の附属幼稚園も、あるいは公立幼稚園も、さらに私立幼稚園や場合によっては保育所等の団体と連携しているようでありますので、そこら辺について触れていくことも大事だろうと思いました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。東委員、お願いします。

【東委員】  はい。ありがとうございます。
 最初に戻ってというか、今回の会議で新たに追加された新型コロナウイルスの関連のことなんですけれども。これも幼児教育のやはり特性といいましょうか、乳児からの保育所に共通するということだと思うんですけれども。やっぱり遠隔での保育というのは非常に限りがあるというふうに考えます。ICT関係や通信環境がいくら整っても、やはり幼児教育の場合にはあらかじめの通信で伝達するというものではないので、あくまでも子どもが実際に体験すること、経験や対象と関わることによって生成し、仲間同士で共有することによってまた新たな展開が生まれるというか。
 そういう営みの中で体験を重ねていくという形も重要でありますし、そのようなことの教育機会の保障という観点だと、他の学校種と違う側面が非常に強いというふうに考えます。冒頭に申し上げましたように、とりわけ札幌は非常に厳しい状況にありますけれども、その中でも再開をした折には、やはり3密を避けるようによく言われるんですけれども、幼児教育は3密を避けることは意識的には図れますけれども、まさに3密を保障した中での活動が逆に望ましい保育と言いましょうか、3密を避けることは幼児との関係性を構築する上で難しくなってしまいます。どちらが子どもの成長発達にとって望ましいかという究極の判断と言いましょうか、この機に求められてくるということもあろうかというふうに思うんですけれども。そのような意味では、先ほどの幼児への教育、保育の特性というものと、まさにこのような環境状況になったときに、そのことが浮き彫りになりますので、そのための支援でありますとか、新型コロナ感染予防の観点から教育週数が39週を下回ってもいいですよというのがありますけれども、逆にその学ぶべき学習指導要領のような1年間に学ぶべき対象がない代わりに、子どもにとっては日々の時間や経験が非常に大切なものになっていますので、それを保障するような環境というものはやはり大切です。

【無藤座長】  ありがとうございます。非常に今の時期に一番肝心なところだと思います。小中高ももちろん顔を合わせて体験しなければならない面もあるでしょうけれども。幼児教育はまさに園の環境の中でも体験を通してということがほとんどであろうと思います。それを今後の展開の中でどう可能にしていくか。ちょっと私も、あるいは多分全国どなたも、今は悩んでいるところだとは思いますが。少なくともそういう難しさということの中で幼稚園教育の本来をどう実現していくかを考えなければならないということは確かだと思うんで、そこら辺も入れていただければと思います。ありがとうございました。
 ほかには、いかがでしょうか。大体ご意見を出していただけたということでよろしいですか。はい。
  それでは、まだ少しだけ時間がありますけれども。一通り委員の方からご意見、ご発言をいただいたということにさせていただきます。
では、本日はご意見をいろいろ頂きましたけれども、本日の議論の中で頂いたご意見をお聞きする限り、その方向性は固まったというように思いますので、この1の文章の調整等については座長に一任という形を取らせていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、本検討会でございますけれども、一昨年の6月に開催いたしまして、途中、中央教育審議会からの諮問がありまして、これまで9回にわたっての議論を積み重ねてまいりました。これまで各委員の皆さまのご協力により円滑に議事が進められましたことについて、座長としてお礼を申し上げます。
最後に、今回、中間報告ということで、事務局より今後の本検討会の取り扱いについてのご説明をお願いします。

【石川専門官】  委員の先生方におかれましては、本日も含め、また一昨年から熱心に活発にご議論を賜りまして、誠にありがとうございました。
 この中間報告(案)につきましては、本日頂いたご意見を反映させていただきまして、この後の報告ということにつなげていきたいというふうに思っております。冒頭で申し上げましたように、この中間報告につきましては、今後中央教育審議会の特別部会のほうへ報告いたしまして、今後の答申につなげていくというふうに考えているところでございます。
 また、今後もさまざまな動きに柔軟に対応するべくこの検討会の体制を維持させていただきたいということで、この中間報告という形でひとまずまとめさせていただければというふうに思っております。
 委員の先生方におかれましては、今後とも幼児教育の質の向上、さらなる充実に向けまして、引き続きご指導をよろしくお願いいたします。
 最後に、事務局を代表いたしまして、蛯名審議官より委員の皆さまにお礼のあいさつをさせていただきたいと思います。

【蛯名審議官】  初等中等教育担当審議官の蛯名でございます。
 本日は、幼児教育の実践の質向上に関する検討会の中間報告の取りまとめに向けまして、座長をお務めいただきました無藤先生をはじめまして、委員の皆さま方にはご議論いただきまして誠にありがとうございました。
 また、本日ご議論をいただきましたけれども、全国で新型コロナウイルス感染症対策が共通の課題となっている中で、お集まりの皆さまにはウェブ会議での開催にこうした形でもご協力をいただきまして、誠に感謝を申し上げます。
 これから座長とご相談をさせていただきながら修正を適宜加えることとなりますけれども、この中間報告の案にもありますように、子ども・子育て支援制度でありますとか、幼児教育無償化、それから幼児教育分野の公的な投資の拡大の動きでありますとか、あるいは新しい幼稚園教育要領が実施をされる中で、幼児教育の実践の質の向上を図る取り組みというのはますます重要になってきております。
 本日ご議論をいただきましたこの中間報告の案でございますけれども、これを今後中央教育審議会の初等中等教育分科会の特別部会にご報告をいたしまして、特別部会での新しい時代の初等中等教育の在り方についての議論に生かしていただくこととしておりますけれども、文部科学省といたしましても全国で幼児教育の実践の質の向上が図られますように、今後の予算の要求でありますとか、施策の推進にしっかりと生かしていきたいと考えているところでございます。
委員の皆さまにおかれましては、今後も幼児教育の振興につきましてご指導ご鞭撻を引き続き頂きますよう、よろしくお願いいたします。
本日は誠にありがとうございました。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして幼児教育の実践の質向上に関する検討会第9回を終了いたします。本日はありがとうございました。


※会議に出席された新山委員からの追加意見
 小学校教育との円滑な接続について、幼小の連携、接続は国公幼が中核的な役割を担っている。国公幼の園数の減少が続いていくと、これまで築いてきた連携の実績が途絶えてしまうことを危惧している。また、教育委員会が主導して、合同研修の日程調整から始めていくことが大事である。中学校区や小学校区程度のグループを作っていくことが効果的である。
 例えば、港区ではアカデミーと称して、中学校区の幼小中で連携をとっているが、研究会の日程を決めるのが各校園に任されていた頃は、日程調整がうまくいかず大変だったが、教育委員会が研究日を設定してくれるようになって、いろいろなことが順調に進むようになった。
 特別な配慮を必要とする幼児への支援について、公立園が要支援児の受け皿になっているだけでなく、特別支援に関するアドバイザーや指導的な役割、ひいては養成校の教員としても、実質的には公立園出身の先生方が大きな役割を担ってきている。現状で各地域から公立園がなくなることは、地域のセーフティネットがなくなるという危険性がある。
 幼児教育を担う人材の確保・資質及び専門性の向上について、離職率の高さ、出産育児との両立への支援策、幼稚園教諭の子どもが保育園に入りやすくする配慮、一旦現場を離れても戻ってくることができるような、経験者の選考基準に関する配慮が求められる。また、新採・中堅・ベテラン、担任から管理職へのキャリアプランが描けるような体制が整っていないことが大きな問題である。さらに、非常勤講師が担任をしている割合がかなり大きい。20年以上新規採用教員を採っていない自治体もある。結局、退職校長が非常勤の園長をしている例が多いため、キャリアプランが描けないことから、管理職になろうというモチベーションも持ちにくい。小学校長を退職して園長になってくださる園長先生がいることは、幼小連携が進む良さもあるが、幼稚園の現場で保育をした上で管理職を目指して園経営をしていく体制が整わないことは大きな問題である。
 研修の充実等による資質の向上について、スタッフが多く、勤務体制が複雑になっていることで、みんなが集って意見交換する余裕がなくなってきている。
 教職員の資質向上について、担任だけでなく、介助員などの補助教員にも研修の機会が与えられないと質の向上にはつながらない。補助教員などの存在がなくては、現場は動かない。 研修をするための時間や職員配置が課題である。
 ICT環境の向上について、今回のコロナウイルス対応でも、ICT環境によって支援に大きな差がでてきている。北海道や離島が多い鹿児島など多くの地方で研修を実施する際には時間や予算面での課題が多い。ICT環境の充実は、この機会に是非とも進める必要がある。文部科学省の「幼児教育の環境整備の充実」の中で、施設整備、園務改善のためのICT化の支援などの財政支援が予算化されていることが示されている。この予算は、国立や公立園も対象だということだが、公立の現場にはそのことが浸透していないのが現状である。教員に必要なPCが配備されていない園もまだかなりの数あるという状況である。改めて私たちから、各会員への周知もしていくが、文部科学省からも、都道府県や区市町村などの担当部局への周知徹底や、具体的な手続きの方法についての問い合わせにお答えいただけるようご配慮いただきたい。
 幼児教育推進体制の充実・活用強化について、免許状の上進講習については予想以上に希望者があり、現場にとっても養成校にとってもいい成果が得られていると聞いている。質の向上に向けて素晴らしいことなので、それに応えらえる講習を開設する養成校が一層増え、一人でも多くの先生方が学びの機会が確保できるよう、さらなる配慮をお願いする。
 幼児教育センターの開設と幼児教育専門の指導主事、幼児教育アドバイザーについては、補助事業としてバックアップ体制ができているが、まだ我々が期待するほどには増えていないのが現状。その原因の一つに、幼児教育アドバイザーの処遇に問題があるのではないかと思う。アドバイザーの仕事は、日常関わりの少ない園に出向き、時には厳しい指導もしなくてはならない。保育に関する指導力はもちろん、先生たちとのコミュニケーションに関する技術や能力など、高い資質や能力が求められる職種である。その職責に見合った給与や処遇となっているかどうかをご確認いただきたい。幼稚園教諭や保育士などの給与が、全産業の中でも下位に位置していることが問題視され、処遇改善の手だてが講じられてきているが、同じことがアドバイザーにも言えるのではないかと思われる。広域での採用や補助金の有効活用などの工夫も考えらえるのでないかと思う。幼児教育の質の向上に関わる施策の充実を図られたい。
 幼児教育を推進するための体制の構築について、全国各地の教育委員会に幼児教育担当の指導主事が増え、幼児教育センターも確実に増えてきており、幼児教育アドバイザーが現場の指導に活躍しています、と言っていたものの、現実にはなかなかそれが進んでいない。そこで指導的な役割を果たしている方々は、国公立園で中核としての役割を担っている中堅教員だったり、長年現場で実践と理論について学び続けてキャリアを積んできた園長先生方だったりする。女性が多い保育現場では、そのようにキャリアを積んでいくことが簡単ではありません。今、保育の人材不足が問題になっていますが、社会的な地位においても経済的にも、優秀な若者が希望する憧れの仕事になるための措置が必要です。妊娠・出産・育児を経ても仕事を続けることができ、キャリアを積んでいずれ指導的な立場に育っていく道筋を確実なものにするためにも、処遇の改善と勤務条件の改善などについて、なお一層のご配慮をお願いしたいと思います。
 新型コロナウイルスに関する取組について、ICT環境の充実が急務。園でホームページが開設できていない自治体も多い。各教員にPCが配備されていない園もまだある。国公幼は家庭の教育力を高めるために、子育ての支援をずっと続けてきた。今回、ずっと家庭で子育てをしなければならない状況になったとき、国公幼が続けてきた特別事業委員会の子育てを支援する教材(国公幼遊びの紹介)が大きく役に立っている。15年以上の積み重ねで様々な教材やリーフレットを活用していただいており、文部科学省やCedepなどのホームページともリンクを貼って紹介してもらっており、多くの園で家庭の親子が利用してくれている。
 また、園だけでなく、園と家庭とで一緒に子どもを育てるというスタンスがこの状況下でも国公幼の保護者は、このような事態でも家庭で工夫して楽しみながら子どもとかかわっている様子も見られる。子育ての主体者が保護者や家庭であることを前提に、幼稚園などが一緒にそれを支えていくということの重要性を再確認する機会になっている。

―― 了 ――

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初等中等教育局幼児教育課