幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第8回)議事録

1.日時

令和2年2月17日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 地域での幼児教育の質向上のための取組について 大畑 明美 北海道教育庁幼児教育推進局幼児教育推進センター センター長からの発表
  2. 議論のまとめ(素案)について
  3. 意見交換
  4. その他

4.出席者

委員

無藤座長、神長副座長、東委員、新山委員、遠藤委員、岡林委員、 古賀委員

文部科学省

丸山初等中等教育局長、森友幼児教育課長、湯川視学官、西平幼児教育企画官、河合幼児教育調査官、澤田子育て支援指導官、高橋専門官

オブザーバー

厚生労働省子ども家庭局保育課大月企画官、内閣府子ども・子育て本部参事官(認定こども園担当)八田参事官
発表者:大畑幼児教育推進センター長(北海道)

5.議事録

【無藤座長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第8回)を開会いたします。お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。
 今回、報道機関等から写真撮影の希望を頂いているということでありますので、議事に入るまでの間、これを許可することといたします。撮影を希望される方はお願いいたします。
 それでは、その間に事務局より資料の確認をお願いいたします。

【髙橋専門官】 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、議事次第に加えまして、資料1、資料2、参考資料は1から7までございます。過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。
 なお、本日は参考資料3、4としまして、昨年12月に中央教育審議会初等中等教育分科会にて取りまとめられた「新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ」を配付してございます。参考資料1、2にもある、昨年4月の諮問事項を踏まえまして、幼児教育の質の向上についても論点の1つとして記載しているところであります。また、参考資料5として、令和元年度幼児教育実態調査についても調査結果がまとまりましたので、配付してございます。幼児教育関連の基礎的なデータとなりますので、併せて御参考にしていただければと思います。
 加えまして、机上配付でございますけれども、幼児教育課で作成しております幼稚園のパンフレットについても御参考で配付をしてございます。
以上になります。

【無藤座長】 ありがとうございました。写真撮影は、ここまでとさせていただきます。
 それでは議事に入ります。本日は、前半と後半、1時間弱ということですが、2部構成という形で進めます。
前半でありますけれども、大畑明美北海道教育庁幼児教育推進局幼児教育推進センターセンター長より、「北海道における幼児教育の質の向上に向けた取組について」の御発表を頂き、その後、意見交換をしたいと存じます。
後半でありますが、これまでの本検討会の議論のまとめということで、事務局から御説明を頂きまして、その後に皆様に御議論を頂きたいと思います。
 それでは、まず、大畑センター長に御発表いただきたいと思います。
北海道では、令和元年6月に幼児教育推進センターを設置し、まさに幼児教育の質の向上の取組を進めていこうということをされていると伺ってございます。本日は、こうした北海道での取組についての御発表をお願いいたします。
 20分程度で御発表いただいた後に意見交換に移りたいと思いますので、センター長、よろしくお願いいたします。

【大畑センター長】 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。着席のまま説明をさせていただきます。
 まず初めに、北海道の幼児教育をめぐる課題等でございますけれども、まず、北海道は、やはり広域性がございます。例えば、園外研修を構想しようとしたときに、札幌で半日の研修を行うときに、東の端の根室から参加するとなると、列車で8時間強、2泊3日掛かるような計算になります。飛行機でも1日です。ということで、我々が園外研修を考える際には、まずは各地域が参加しやすいかどうかということを第一に考えるということになります。
 また、道内には1,400を超える幼児教育施設がございますけれども、実はその中で道教委の立場、あるいは市町村教育委員会から幼小連携の核としやすい公立幼稚園というのは、今52で、4%未満となっております。これはどういうことかというと、うちは14管内に教育事務所があるんですけれども、公立幼稚園がない管内もあって、それは、職員の人材育成にも若干影響しております。というのは、北海道では、他県もそうかもしれませんけれども、なかなか幼児教育施設で働いた経験のある職員、あるいは幼児教育を専門に業務してきた職員がほぼおりませんで、そのような中、各地方の出先機関の教育局の職員が地教行法を根拠にして幼児教育施設に入るということが、1つ勉強の機会となっていたんですけれども、それがだんだんなくなってきているということがあります。
 それから、もう一つは、下のところですけれども、小規模な自治体が多い。このことは、1市町村の中に1施設しかない市町村が51もあるということで、何か迷いが生じたときに、ほかにすぐ相談できるような施設がない。また、我々としても、市町村に対して、おたくで研修、助言の機会を設けてくださいねということがなかなか難しいということがあります。
 また、各市町村における所管でございますけれども、大まかには認定こども園、保育所は首長部局、幼稚園は教育委員会というのが多いですけれども、いろいろばらけております。
 また、私立の場合は、それぞれの自治体によって関わり方の違いもございます。
ですので、例えば、ある自治体で公立の保育所がある。窓口は首長部局だとしたときに、隣の町では、うちには私立の認定こども園が1園だ。さらに隣のところでは、うちは私立幼稚園と認定こども園が1つずつだというように、比較的小さい町が多いので、近隣でも同じような所在形態がなくて、そのことによって、なかなか課題を共有しにくいという問題がございます。
 さらに幼小連携接続の状況も、まだステップ0から2までが8割5分を占めるというような状況にあります。
 また、北海道庁の所管に目を向けますと、やはり私立幼稚園は総務部、認定こども園、保育所は保健福祉部といったように、それぞれ所管がばらけております。このことで、今まで保健福祉部の保育士に対する研修の情報が、なかなかこちらで把握することができない、研修の全体像が見えないという課題もございました。もちろん道教委でも法定研修を行っていて、公立、私立の幼稚園を対象としているわけですけれども、認定こども園、保育所は、つい近年、やっとその対象に加わってきたので、なかなか幼児教育施設の方々が、今、何を求めているかということを把握するのに時間が掛かったということがございます。
 また、我々、園内研修の悉皆調査を行いましたところ、びっくりしたのが、0回というところが6%ぐらいありまして、さらに0から3回が37%もございます。これは、理由を聞いてみると、多忙化もございますし、同じ時間に職員が全員そろわないといった発言が聞かれるところでございます。
 こういったもろもろの課題を踏まえて、北海道としてはとにかく公私、園種を超えて、全道レベルで質の向上を図る拠点がないとだめではないかということで、センターの設置に着手したところでございます。
次に、センター設置までの経緯でございます。きっかけとなったのは、平成28年11月から国のモデル事業を受託したことに始まります。このことは、当時、子ども・子育て支援新制度が導入されて、これで保健福祉部、知事部局と教育と幼児教育の質、量、両方、そして、内容面についても、ともにやっていくということを内外に示すきっかけにもなりました。ですので、我々はこの頃から、とにかく幼稚園、保育所、認定こども園、全ての幼児教育施設の質の向上が大切だよということを合い言葉にしながら、もろもろの施策を進めてまいりました。
 中でも、すごくいいきっかけになったのが、この事業の中で有識者会議を設置しました。今まで道教委では、やはり教委連や小学校長会といった方々からはよくお話を聞く機会が多かったんですけれども、ここで初めて私立幼稚園の団体や保育団体等から直接お話をお伺いする機会ができたことで、本当に全道の就学前の実態やいろいろな課題が初めて見えてくるようになりました。
 さらに、全ての園種が一堂に会して研修を行うということを14管内で進めるという目的で、こういった「幼児教育を語る会」という研修を始めました。ここには、小学校も参加していただいて、それぞれの教育活動について共有するということをいたしました。
 最初の年は、とにかく皆さんにたくさん気付いていただきたかったので、実は無藤先生にもお越しいただき、たくさんの方に集まっていただいて、それで大分「語る会」というのが少しずつ知られていって、現在は、小学校の学習指導要領の全面実施に向けて、幼小接続を中心とした協議、演習を行って継続しております。
また、助言の制度でございますけれども、やはりこれは公立だけではなくて、施設種を超えて要請のあった幼児教育施設に入れる制度にしようということで、北海道庁に常駐の指導主事やアドバイザーを置くという形ではなくて、それぞれ14の管内ごとに相談員を委嘱することにしました。委嘱先としては、大学の教員や施設長等を置いております。
 さらに、方針の策定など、もろもろのことを共有するために、知事部局と教育委員会との連携を強化するための体制を作っていったところです。課長級や主幹級、局長級など、重層的に様々な会議体を作って、主に方針の作成、それから、センターの設置の内容について協議を重ねてまいりました。
 その中でも、一番ぐっと知事部局を動かしたのが、総合教育会議でございまして、実は平成29年のときに、これも無藤先生にお越し頂いて、非認知的能力の育成と、このときに他県の幼児教育センターの役割等についてもお話を頂いて、この後、方針策定に向けての準備を進めるきっかけにもなりました。
今、少し触れた方針でございますけれども、これは、オール北海道ということを打ち出して、庁内外でいろいろな協議を重ねていくのに、すごく有効なツールとなったものです。
 内容については省略いたします。
 特に方針を策定したことで、議会議論が多くなり、ここでまた、道民の方々にも広く幼児教育というものを意識していただくことにつながりました。
 よく教育で幼児教育を扱うと、教育だけで収まって収束してしまうことがあるんですけれども、このときは、あえて保健福祉部の委員会の方に、同じ方針の骨子や素案などを報告してもらうようにいたしました。そうすることで、本会議でもいろいろな道議会議員の方々から御質問を頂くようになり、最終的に平成30年11月、これは方針を作ったときですけれども、そのときに幼児教育センターを設置に向けて取り組むという前向きな答弁を知事、教育長からするような流れになったということでございます。
 こうして出来上がったセンターなんですけれども、センターの概要について、少し御説明させていただきます。
センターは、幼児教育推進局長、局長級を筆頭に置きまして、選任は私、センター長、課長級を含めて7人の職員で運営をしております。そして、総務部や保健福祉部は、いまだに認可や補助といった業務を持っておりますので、ここにも併任として入っていただいて、これで合わせてセンターと総称しております。
 今、ここで見ていただいたときに、指導主事が1ということで、多分、他県等から比べると随分少ないなという印象をお持ちの方も多いと思うんですけれども、実は、先ほどもお話しした14の教育局にも指導主事を配置するということもあって、なかなか本庁の割合が少ないという事情もございます。それをフォローするために、もちろん行政職員が一生懸命専門的知識を勉強して頑張るというのもあるんですが、他課との連携によって、かなりフォローをしていただいています。例えば特別支援教育課、それから、生徒指導・学校安全課というのは、今年から我々の研修の講師をしてくださっているんですけれども、彼らにとってみれば、保育所の先生方に対する研修というのは初めてなので、ここの指導主事の先生方が0から3の部分も勉強して、今、対応していただいているという状況です。
 また、義務教育課は、幼小連携の小の方へのアプローチ。また、生涯学習課。ここには社教主事もいらっしゃいますけれども、家庭へのアプローチ。とにかく我々だけでできないことが多いので、関係課のノウハウや人材などをフルに活用させていただいて、センターの業務を進めているという状況です。
 また、設置前から置いていた有識者会議ですが、ここに、今回は首長、市長会、町村会の方々にも入っていただいて、いろいろな御発言をしていただいています。
 また、部会も新たに設置しまして、特に研修、幼小連携というのは、具体的にどのようなものに改善していかなければいけないかという具体の話になるので、それぞれの園の方々からいろいろなアドバイスを頂いているところです。
 また、北海道の特徴として、14管内ごとというのを何回かお話しさせていただいていますけれども、今、それぞれの管内ごとにネットワーク会議というものを今年度から作っていただきまして、主に教育局が事務局になります。振興局というのは、知事部局の出先機関です。それに市町村の首長部局、それから、教育委員会、この4者で集まって、各地域の現状、課題等について共有する場を作りました。まだ、多い管内でも2回目ぐらいの開催で、顔合わせぐらいのような状況ではございますけれども、次の段階からは、ここにさらに、私立も含めて幼児教育施設の方々に入っていただいて、そういうところとどんどんネットワーク強化されるような形で進めていきたいという考えであります。
 センターは、今、26ページから29ページまでお話しさせていただいた体制づくりをうまく機能させながら、研修、助言、幼小連携、情報提供という4つの施策を進めていこうとしているものです。
 次に、施策ごとの課題でございます。まず、研修につきましては、何といっても育成指標というか、どういう幼児教育が求められて、そのために保育者をどのように育成するのかということを共有することが必要です。そうしたときに、センターは各団体と連携して、効率的・効果的な研修を提供し、こういった全体像を施設の側では確認しながら、身近な地域で計画的に研修を受講させる。そして、受講者は、こういったところで得た学びを園内研修を通して還元するということを理想として考えております。
 ただ、まだ、ここまでは全く至っておりませんで、今、特に課題となっているのが、こちらです。北海道内では、道や道教委よりも団体の方がかなり充実した研修を行ってくださっているんです。それでも、やはり地域や施設の多忙さ等で、なかなか研修機会が得られないという差がございます。そこで、今、道としては、とにかく出先がございますので、そこの協力を得て、地方開催を少しでも充実させていこう。
 それから、オンディマンド教材というものを作成して、何とか忙しい幼児教育施設にも、少しでも学ぶ時間を確保していただこうということを進めています。
 少しここで例なんですが、遠隔システムを使った研修というものを始めました。これは、センターの職員と生徒指導の職員なんですけれども、本庁側でこのようにカメラの前に座って説明をします。こちらが、地方側。札幌-函館も特急で4時間弱掛かりますので、これが函館側の画面なんですが、これは特別支援の先生と資料です。こんな感じで映ります。この資料を基に、若干講義を受けた後、演習に入るんですけれども、実は、この演習のときに、集音マイクをこの辺に置いておいて、ここのグループで何が話し合われたかというのがこちらに聞こえてきます。それを踏まえて、最後に少しまとめをしたり、アドバイスをしたりという形の研修をしております。北海道の場合、例えば、この人に全部の管内に出張で研修に行ってもらうと1か月掛かってしまうので、そういった意味で、この遠隔システムというのは物すごく有効なツールとなっております。
 もう一つ、オンディマンド教材でございますが、こちらは、とにかく都合のいい時間に使ってもらおうということで、今、実践編で、子供たちの様子を収めたものを、これは札幌市の幼児教育センターと国公立幼稚園協会さんに協力してもらって、これは札幌の園なんですけれども、ここで撮影をさせてもらっています。
 また、理論編で講義みたいなものも作っておりまして、これは、うちのスーパーバイザーの先生に話してもらっているんですが、先ほどのネットワーク会議などでも、行政職員の理解促進のために活用したりしています。
 ただ、まだこれもいろいろな課題がありまして、やはり団体主催分もたくさんあるし、道内で受講できる全体像が未整理で、保育者の方々がどういうものがあって、その中から何を取ればいいのかというのが、ぱっと一覧で見にくいという課題がありました。それで、今、一覧を整理しているんですけれども、その一覧が整理されれば、恐らく、もっとこの地域が足りないのではないかとか、この内容がかぶっているのではないかとか、この内容はこちらでやった方がいいのではないかということを現場からも、また、関係団体からも御意見を頂きながら整理をしていきたいなと考えています。
 次に、助言ですけれども、これは北海道の広域性もあり、道教委から派遣するということをずっと継続するというよりは、各地域に相談できる複数の人材が存在するという状況まで持っていって、それぞれの地域の課題を地域で解決するという形になればいいなと理想を描いています。
 この幼児教育相談員派遣事業というのを始めましたけれども、この右側にあるようないろいろな環境構成の工夫や小学校との連携など、こういったテーマで幼児教育施設からは派遣要請が来ます。それに対して、センターで管内ごとにストックしている相談員の中から幼児教育施設に派遣をしております。相談員が初回のときに戸惑う場合もあるので、道庁又は教育局から職員が同行しています。
 また、相談員の中には、少しこのテーマは苦手だわという方もいらっしゃるので、スーパーバイザーという、養成大学の先生方に何人か講師役となってもらって、相談員に対する研修を行っております。ただ、これについては、いろいろ課題の共有や育成と書いてありますけれども、まだ全然この段階まで至っていない。本当に緒についたということなので、これからたくさんの課題を整理していきたいと思っています。
 特に課題と思われるのが、やはり現場のニーズに対応した相談員を配置できているかというところでございます。これは、例えば大きな管内ですと、当初はECEQのコーディネーターのような、本当に何でも指導、助言できるような方をはめていったんですが、なかなか小さい管内にまで、全て網羅できているわけではないので、そうしたときに、もしかしたら若手というところは、アドバイザーというよりも、どちらかというとピアサポート的というか、そういうことで困っているのね。うちはこういうやり方をしていますよというような対応を取る相談員がいてもいいのではないかなと、少しシフトチェンジしまして、こういったものも含めて、今、体制を整えているところでございます。
 また、次に幼小連携・接続に関しましては、とにかく公立・私立、施設種を超えて、小学校とつなげていかなければいけないということが大きな課題と考えています。
 今、うちで行っているモデル事業、全道で5地域で行っているんですけれども、あえて公立幼稚園のないところに指定しています。配置校に置いた加配教員が私立の幼稚園や保育所などに入って、そこで学んだことを連携校、配置校に持ち帰って、スタカリ、引き継ぎの充実を図っているところです。
 ここの課題ですけれども、よく現場の方から言われるのが、やはり一部の地域や一部の学校に偏っているのではないかということを言われますので、まずは、研修も併せて行って、先ほどの「幼児教育を語る会」のようなところで、小学校の教員の方にも広く幼小接続の重要性を理解していただくということを行っていかなければいけない。
あと、このメリットの周知も必要だと考えております。施策の情報提供のところと重なるんですけれども、とにかくいい事例、実践事例を収集して掲載していこう。
 実は、この金曜日に、先ほどの遠隔システムを使いまして、各管内とネットでつないで、市町村の方々にも集まっていただいて、こちらのモデル事業の取組状況を発表してもらったり、あるいはその他の市町村も、うちはこんな取組をやっているよということで、少し情報共有する場を予定しております。とにかくセンターは、そういう情報発信に力を入れていきたいなと考えています。
最後になりますが、センターを設置しましたけれども、本当に今、スタート地点に立ったばかりと考えております。器はできたけれども、中身はこれからという状況です。
 どうも、道教委もそうですけれども、自治体も含めていろいろな課題が出てきますけれども、それでも、やはり幼児教育は優先度が高い施策なんだということをいろいろな形で発信をし続けて、とにかくここに人的なものも含めて投資されるように進めていかなければいけないなと考えています。
 それから、もう一つは、センターができて一番よかったのは、やはりいろいろな課題が初めて見えてきたというところで、それは幼児教育の狭い分野の課題だけではなくて、そこから学校教育、福祉、社会教育など、いろいろなところの課題が集まってくる。そうしたときに、やはり我々は、これはセンターの仕事ではないというセクショナリズムに陥ることなく、知事部局等と一層連携を強化しながら、窓口として、とにかく前向きに仕事を進めていきたいなと考えております。
 私からの説明は以上です。ありがとうございます。

【無藤座長】  御発表ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御発表につきまして、御意見、御質問を伺いたいと思います。30分ちょっとあるかと思います。全員に御発言をお願いできると思います。どなたからでも結構ですけれども、いかがでしょうか。

【東委員】  それでは、地元が北海道なので。ただ、実は、先週もセンター長とお会いする機会はあったんですけれども、それまでなかなか具体にどういう動きをしているかというのは、知り得る部分と、なかなか行政内の動きについては、現場の人間はなかなか知り得ないところもあるんです。最初の委託研究からスタートしたという経緯はあるとは思うんですけれども、特に北海道の構造的な特殊性をしっかり押さえていただきながら、着実に進められているということがよく分かりました。
 他県と決定的に違うのは広域性ばかりではなくて、先ほど、振興局という話。教育は教育局でしたか。結局、余りにも広域な行政単位なものですから、道庁が札幌以外に14か所、出先といいましょうか、各振興局並びに教育局が配置されていて、そこを中心拠点としてネットワークを結んでいくという特殊性があると思うんです。それだけ14の振興局があっても、先ほどセンター長からお話があったように、十分な人員配置ができるかというと、特に幼児教育に関しては難しいという状況がおありだと思います。
 それは、いつもこの会議でお話しさせていただいているんですけれども、実は2月になって、私の足元の札幌市も10の行政区、各区に1園体制で公立幼稚園があったんですけれども、どうも5園に統廃合するという方向がほぼ固まったということがあります。これは、財政的な国の施策の転換もあるんでしょうけれども、国公立幼稚園が統廃合して縮減していくという傾向にある中で、人的確保と機能をどのように維持していくか。こども園や保育所も含めて、幼児教育の人材育成や支援体制をどう構築していくかというのは、どこの地域においても、非常に大きな課題だと思います。
 特に北海道は、札幌市の大都市部と町村部という社会構造的な地域差が激しい土地でありますので、その中で一定水準の施策を維持するという御苦労は、本当に行政の立場でも十分理解しているところであります。
 1つだけ、私の立場で、補足ではなくて、北海道のいい面でお話ししたいのは、実は保育士と幼稚園教諭の養成校の協議会というものが、もう12年前から立ち上がっていて、保育者養成協議会と違って、専門学校まで含めて、大学、短期大学、専門学校まで含めて、幼稚園教諭と保育士を養成している養成校が一体となって連携協力する体制ができています。そんなこともあって、大学教員等の人材派遣の円滑化に寄与しているのではないかと思いますし、加えて、養成校協会と北海道私立幼稚園協会が連携協議会を当時から発足していて、密接な連携体制が整っている。各委員会にも相互に乗り入れて、委員構成をしているという経緯がありますので、地域の支え手ということに関しては、体制が養成校でも私立幼稚園でも、一定、整っている環境があったということは申し添えておきたいなと考えているところであります。
 私からは以上です。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 小さい、当たり前の質問なんですけれども、北海道庁の管轄というのは、札幌市は政令市だから別で、それ以外の北海道のところを扱うということなんですよね。

【大畑センター長】  研修などについては札幌市が除かれます。子ども・子育て支援新制度については、政令市とは別になっていないという話は聞いたことがあるんですけれども、文部科学省の政策に関しては、札幌市とは別でございます。

【無藤座長】  この幼児教育推進センターは、札幌市以外を管轄するわけですよね。

【大畑センター長】  はい。

【無藤座長】  要するに、札幌市にもセンターがあるから、協力するみたいなことなんですか。

【大畑センター長】  はい。

【無藤座長】  分かりました。
 何でも。ほかにいかがでしょうか。
 お願いします。

【岡林委員】  高知県の岡林です。御発表ありがとうございました。
 2点、質問させてください。15ページの「幼児教育を語る会」。非常にすばらしい会だなと思って聞かせていただきました。是非高知県も参考にさせていただきたいと思いますが、下に書かれております対象者の方にどういった呼び掛けで、また、どういった内容で実施されているかを少し詳しく教えていただきたいと思います。特に小学校・特別支援学校の教諭等が参加できる会をどのように呼び掛けて集まられているのかということを教えてください。
 2点目が、27ページのセンターの概要のところで、一番下の保育所等への研修を初めてされている指導主事たちが、今、学びながら進めているというお話がありました。そういった指導主事の皆さんが学ぶ機会というのは、どういった形で保障されながら学びを深めていっているのかというところを教えていただきたいです。

【大畑センター長】  最初の「語る会」の呼び掛け等についてでございますけれども、これは機構の話に戻るのですが、実は機構改正をするときに、学事課という私立幼稚園を担当している部署や認定こども園等を担当している保健福祉部などから、職員をセンターにもらうか、もらわないかということで、道教委として迷いました。そのときに、1人もらうというよりも、組織全体で関わってもらった方が、よりいいのではないかということで、実際は別の部から教育に異動してくる方はいなかったんですけれども、組織全体として関わっていただいている分、こういった周知なども、センターから私立幼稚園や保育所などに直接行くのではなくて、必ず幼稚園担当の部署、それから、保育所・認定こども園の許認可等の担当の部署を通じて周知をしています。
 それが、いい面と悪い面、メリットの面とデメリットの面があるとは思うんですけれども、やはり我々よりも、例えば学事課であれば、様々な場面で幼児教育施設の方々とお会いになる機会も多いので、そういうときに、重ねて働き掛けるということをやっていただいています。
 それから、小学校と特別支援学校については、実際、各管内にあります教育事務所、教育局の職員が、これもいろいろな機会に市町村教育委員会や市町村部局に入っていくことがあるので、そのときに、「ところで」という感じでチラシを持って、本当にゲリラなんですけれども、そういった形で周知をしてきたところです。
 もう一つの御質問の他課の指導主事の方々の学びの機会ということなんですけれども、しっかりと整備されたものはないんですが、1つ、参考としてお話しさせていただきたいのは、少なくとも各教育局の指導主事の中で、主査か次席クラスというのが、一応、幼稚園も担当する。幼稚園だけの担当ではないんですけれども、幼稚園も担当しておりまして、その方々を集めて、年1回なんですけれども、幼児教育について勉強する、指導主事の研修会というものがございます。
 今、お話を聞いていて、そういうところに他課の指導主事の方々も、今後は入っていくようにした方がいいなと思ったんですが、実際には、それぞれが保育所、保育士の解説などを見ながら、それぞれで勉強していただいているという状況にあります。
実は、私も行政職員なんですけれども、行政職員も同じで、例えばオンディマンド教材を担当が作成したときに、それについて、この切り取り方でいいのかどうかというのを判断するに当たっては、私なんかは、本当に幼稚園教育要領の解説に書いていることを1つ1つ見て、こういう部分が不足していないだろうかということで、互いに言い方は悪いんですけれども、素人同士が解説を片手に勉強しながら進めているという状況です。
 もう少し、何か制度的に整理していきたいなと思っております。
 以上です。

【岡林委員】  ありがとうございました。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 ほかに、どなたでもどうぞ。
 では、古賀さん。

【古賀委員】  京都教育大学の古賀です。きょうはどうもありがとうございました。
 16ページのところなんですけれども、簡単な質問なんです。要請のあった幼児教育施設に派遣されているということなんですけれども、要請のばらつきがあるかどうかということと、これから先のことですが、質向上のシステムを考えていくときに、要請の有無に関わらず、全園に広げていくような取組を展開させるようなアイデア等がもしあれば教えていただきたいということです。それが1つです。
 33ページのところの、今も少しお話が出ましたけれども、オンディマンド教材なんです。利用率や効果検証を何かいらっしゃったら、そのことについてお話しいただけたらと思います。
 それについては、いろいろなところで取組が始まっているかとも思うんですが、要は主張をするということで終わりという研修でよいのかというか、往還的なやり方にしていくという方向性があるかとか、もし研修履歴を取られていたら、その研修履歴等の関係を教えていただけたらと思います。
以上です。

【大畑センター長】  まず、幼児教育相談員派遣事業の活用のばらつきなんですけれども、実際のところ、まだそんなに要請数が多いわけではないので、ばらつきもそんなに多く出ているわけではないんです。やはりこれも先ほどの話に関わるのですが、掘り起こしをしやすい公立幼稚園が多くなる傾向にはあります。
 ただ、中には、市町村、自治体が、ちょっと苦情の多い幼児教育施設なので、こういう相談員という制度を使ってみないかいということで、幼児教育施設に働き掛けてというようないい事例もございますが、まだまだ本当にこちらから働き掛けてという状況でございます。
 これに関して、実は、特別な支援を要する子供の働き掛けについて学びたいという声が多かったので、14管内ごとに道立の特別支援学校があるので、そちらと連携して、各園で特別支援をテーマにして園内研修を行う場合には、特別支援学校の先生を派遣しますよということで、今年度から始めてはいるのですが、実は全然要請がありません。
 ところが、この子を見てくださいという要請はすごく多いと現場から聞いているので、なかなか園内研修という縛り、条件を付けると、ぐっと要請が減る。そのあたりに何らかの働き掛けの工夫をしなければいけないかなと考えています。
 それから、オンディマンド教材なんですけれども、これは恥ずかしながら、今初めて作っているというか、実は平成29年度に無藤先生や岡田先生などにいらっしゃっていただいたときに、講演の様子をオンディマンド教材にしたというのはございます。それは、一定、市場はあるのですが、子供の様子、実践編みたいなものは、今初めて作り始めているところです。
ただ、お話になったように、それをどのように使うか、どのように検証していくかというしっかりとしたスキームを持たなければならないなと思います。
 少し話が飛躍するんですけれども、例えば先進的な取組をしている他県では、園外研修と園内研修をリンクさせるというか、園外研修と園外研修の間に必ず園内研修を入れてから、その報告を次の園外研修に持ってきてくださいというような、本当にしっかりした構成で研修を行っているところが多いので、このオンディマンド教材もそういう形も含めて、活用の仕方を検討しなければいけないなと考えています。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがですか。
 どうぞ、新山さん。

【新山委員】  全国国公立幼稚園・こども園長会の新山です。きょうはありがとうございました。
 まず、感想ですけれども、オール北海道でいろいろな部局の方々が幼児教育の大事さ、大切さを共有して、組織的に行っていらっしゃることは本当にすばらしいなと思いました。緒についたばかりというや、幼児教育専門の方々が少ないということが1つ課題だというお話もありましたけれども、そこのところを乗り越えるための努力を是非していっていただきたいなと思いますし、そのためにも、私たちの組織も全面的に協力できると思います。
 我々、国公幼が、今回の無償化の影響でいろいろなところで園児数が減ったり、統廃合されていったりするような話があちこちで出ています。先ほども札幌が10から5になるという話も聞いて、残念な思いでいるんですけれども、幼児教育に関しての専門的な知識をもち各地の中核、中心となる先生方が指導主事になり、指導的な役割を担うためにも、公立がしっかりとある程度の数残っていかなくてはいけないのではないかなということを、今のお話を聞きながら、改めて思った次第です。
 これは、北海道だけの話ではなくて、全国どこでも、今までずっと積み重ねてきた幼児教育のパブリックな保育をしっかりと進めていくという、国公幼がやってきた実績が、園児数の減少や人口減少や財政的なことでなくなってしまっては、取り返しの付かないことになってしまうのではないかなということを考えています。
 いろいろな予算のことがあろうかと思いますけれども、各自治体に地方交付金がしっかりと配分されている。それを財源として幼児教育に充てることはできるはずと聞いていますので、公立施設は10分の10自治体の負担だから、公立はやっていけないということではなくて、きちんと核となる園を残していって、そこが中心になるといいなと思っています。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。 
 何か今のことでありますか。よろしいですか。
 ほかにいかがですか。  

【遠藤委員】  では、済みません。

【無藤座長】  遠藤さん、どうぞ。

【遠藤委員】  御発表どうもありがとうございました。
 先ほどの御質問にも重なるところなんですが、派遣要請、現段階では、まだそれほど多くないというお話だったかと思います。その派遣要請をする場合に、やはり自園の問題を認識して、整理して、言語化して、さらに必要な助言を求めていくということ自体に一定のスキルが要るような気がいたします。そういう意味では、北海道ということに限定された話ではないんだと思うんですけれども、助言を求めていくためのスキルというところに焦点化した、それ自体が、多分研修の1つの目的とされないといけないところがあるような気がするんですね。
 せっかくそういう派遣要請、助言というシステムを設けても、基本的には助言、派遣要請を求めていくというところが、非常に限られてしまう。そして、偏りが出てしまうということが、現実的には、当初掲げている全ての園に関して質を向上するという目標からどんどん離れて、言ってみれば、特定の園だけがその恩恵を被るということになってしまいかねない状況が懸念されるような気がいたします。
 そういう中で、まずは、自園の問題ということ、先ほどのお話だと特定のこの子がすごく手が掛かってという、それは全ての園でそういう認識は成り立つと思うんですけれども、だったら、園全体の構造の何が問題であるかということを分析して、やはり言語化して、必要な助言を求めていくためのスキルというところに焦点化したような研修の体制。これは、北海道に限定する話ではなくて、そういったことを幼児教育の質向上ということに関連して考えていかなければいけないところが1つあるのではないかなという気が、お話を伺わせていただきながら考えたところです。
 もう一点は、やはり派遣要請、助言というところに関して、アドバイザーということではなくて、ピアサポートのようなものが有効なのではないかというお話があったかと思うんです。私ども、発達保育実践政策学センターの幼児教育アドバイザーの調査の中でも、アドバイザーとして参加した園長先生であったり、主任の先生が、アドバイザーとして関わる中で、むしろ保育や幼児教育に関しての新たな気付きを得て、それを今度は自分自身の園に持ち帰るという有効性が、その調査を通して、一部示されていたわけです。そうすると、ある意味、ピアサポートという部分を充実させていくという方向性が1つあるのではないかなと。
 先ほどの北海道ならではの難しさということがございましたので、そういう意味からすると、やはり適材適所という形でアドバイザーの先生方を派遣するというのは難しいような気もします。そういう中で、相互に学び合う機会という意味では、ピアサポートといったことであったり、場合によっては公開保育というようなシステムを構築したりといった形での質向上。いわゆる助言ということとは少し違ってくるとは思うんですけれども、相互に問題を共有していくということに、1つ大きい意義があるというお話もあったかと思いますので、そういうピアサポートという道筋の充実。そのあたりが、もう一つ、これから考えていくべきことなのではないかなと、お話を聞かせていただきながら少し思った次第です。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 大畑先生から何か今のことで。

【大畑センター長】  前半の、そもそも派遣を要請すること自体にスキルが要るというお話でございますけれども、確かにそれは感じております。先ほど、資料の中にもありました園内研修の実施状況を見ていれば、もしかしたら、多くの園ではそれどころではないとか、どうやったらいいか分からないという状況にあるのではないかなと思っていて、その中で、1つ、有識者会議等からお話が出ていたのが、今までは1園から要請があって、そこに対して派遣するという形でしたけれども、核となる園の近隣の園と合わせて要請していただく。ですから、通常、1園ではなかなか園内研修ができないところも、そういったことに慣れた園のやり方を学びながらという活用の仕方も進めていかなければいけないのではないかなと思っているところです。 

【無藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがですか。どうぞ。

【神長副座長】  神長です。大変充実したというか、行政のいろいろな関連する部署と協働してというのは大変なことなんだなということ、また、着々となさってきたなというところをよく学ぶことができました。
 ページで言えば、研修体制の充実で、33ページに団体研修との連携による効率化という形で、今1か所で幾つかのメニューを持つというよりは、それぞれの得意とする分野を研修企画して、広く参加者を求めるというのは、とてもいい方向として示されるんですけれども、実際にこういうことに参加することが可能というか、配慮なさるんですか。
 例えば幼稚園でやる場合には、保育所もどうぞというのもありますし、公立でやる場合に私立もどうぞ、私立でやるときには公立もどうぞと、そういうものを開く際に、特別な何かをなさるのですか。

【大畑センター長】  各団体が行っている研修も、今、会員の園だけではなくて、広く周知をして、他の園種なども含めて参加できるような形に徐々になってきているのではないかなと思います。
 あと、私どものセンターが行う研修については、基本的に全ての園種ということで考えていますけれども、例えば、今まで食育について行っている研修があったとすれば、幼児教育施設の先生方が対象になっていない場合もあって、そういうものを私どもで、せっかくいい研修をやっておられるのであれば、幼児教育施設の先生方も参加対象に含めてくださいというようなお願いを少しずつ進めてきているところでございます。
何か済みません。

【神長副座長】  仲介をするというような意味ですね。

【大畑センター長】  はい。

【神長副座長】  その仲介をしていくというような役割を果たすということでよろしいですか。

【大畑センター長】  そうですね。はい。

【無藤座長】  よろしいでしょうか。

【神長副座長】  はい。

【無藤座長】  はい。

【東委員】  私、北海道なので、先ほどの広域性の話、半日研修でも、遠隔地の場合は2泊しないとというお話がありました。もっと現実的に言うと、地方の町村部の幼稚園、こども園の保育士さんでも、例えば国が定めた9つの領域の研修を計画的に受講できるような体制にない地域がたくさんあるんですよね。
 今、センターさんの方で進められているのは、まず、いろいろな団体が行われている研修を一覧にして、どの保育職の方でも、園外研修でこういうものを実際にやっているんだよということを知るところから始めていらっしゃるんですよね。
それは、実は札幌のように子ども未来局でも、構造的に年間の研修計画があって、ただ出ていれば、結果的に十分いろいろな領域の研修ができるという地域はほとんどなくて、例えば園単位でも、個人の単位でも、自分で求めていろいろなことを計画的に受講していかないと、改善ばかりではなくて、キャリアパスにつながるような体系的な研修を担保できないところの方がむしろ多いという現状があると思うんですね。
 それは、北海道ばかりではなくて、他県でも地方にある園、1行政1園というところはたくさんあると思いますので、そういうところは他園の仲間に聞くこともままならないという状況があるわけですから、実はそういうところから始めていっているというのが現状だと思うんですね。
それを、周りの人に関わらず、専門職としての保育職員の研修体制をバックアップするというのが、やはり行政や教育委員会、もちろん我々団体の役割でもあるというのは、これからの限られた地域資源の中で最大化、最適化していくということが求められていくんだと思います。
 以上です。

【無藤座長】  そうですね。
 キャリアアップ研修を保育所、保育士、幼稚園も認定こども園にも広がっていますけれども、やらなければならない。やらなければならないというのか、一定程度の給与を増やしてもらうには必要になっていきますよね。だけど、北海道のように広いところで、現実問題として、研修できない場合も多いですよね。それは、どうしようという見通しなんですか。

【大畑センター長】  実際、保育支援の方については、保育の団体が14管内で研修の機会を設けてはいるんですけれども、幼稚園、認定こども園の方は、正直、多くは幼稚園協会等の団体に委ねているところではあるんですけれども、やはりそういう出席の機会が多ければ多いほど、例えば、この日に来られないときに別の日の設定があれば、そこで参加できるということになりますので、そういう意味で、私どももなるべく可能な限り、14管内等で受講できる研修を確保していかなければいけないなと考えています。
 例えば今、「幼児教育を語る会」というと、幼小連携接続の分野というか、そちらの振替ができるのではないかなと思っているんですけれども、そこに出席した人に修了証書を発行して、最終的に実際に申請をするときに、それで読替をしていただくとか、あとは中堅研修と、教育課題研修という、先ほど少し写真を見ていただいた、遠隔等のいろいろな特別支援や学校安全など、そういうテーマを絞り込んでやっている研修があるんですけれども、それも14管内ですので、そういうところに参加していただいて、その時数を取りためていただくというか、そういう形で考えています。

【無藤座長】  多分、センターだけでできることではないでしょうけれども、いろいろな研修を重ねていく仕組みや、あるいは園内研修の一部を単位化するとか、国の制度としては柔軟化し始めているので、それをやらないと、ちょっと現実的には大変ですよね。
 あと、幾つか気になることを申し上げたいんですけれども、これは、北海道は本当に広いなと思ったのは、言及していただいたときに、実を言うと、函館に行って、札幌に行って、旭川に行ったんですけれども、私はすごく安易に考えていて、地図で見ると近いよねと。距離が分かっていなくて、とんでもないことで、移動に1日に掛かるということが分かっていなかったんです。なので、本当に大変だと思います。
 そういう意味で言うと、やはりオンディマンドやビデオ、インターネットなどを進める必要が大いにあると思うんですが、ただ、それも、教材づくりというのはかなり専門的なことのような気がするので、講演記録を90分撮って、それを見ればいいというのは、かなり無理があると思うんですね。私の経験でも、30分を超えるとつらくなるみたいなんです。ですから、いろいろな団体や大学、あるいは場合によっては民間会社などと協力していく必要があるのではないかということを1つ思います。
 それから、前にここでも議論がありましたけれども、幼児教育センターのあちこちに関わっておりますけれども、やはりまず最初に目標とすべきことは、そこの自治体における全ての公立、私立幼稚園、保育園、認定こども園が何らかの形で参加する。そこだと思うんですよね。それが第1ステップみたいなことで、何らかの形でというのは、どこかの研修にとにかく1度は来るぐらいでいいから顔を出す。裏返せば、全くそういう研修に出てこない園が、実は何割か分からないけれどもあるということなんですけれども、そうやって、まずはコミュニケーションが通じなければいけないなということを思っています。
 それと、いわゆる講義やワークショップも大事なんですけれども、やはり保育を見合うというところと組み合っていく必要があるので、既にアイデアが出ていますけれども、地域ごとの割と中心となる園の保育と近隣の園が互いに交流するみたいなところに行くといいと思うんですよね。そのときに、余りレベルが高い、国立の附属幼稚園みたいな発想ではなくて、ふだんの保育を見て、お互いによくしていきましょうねというところで、私立幼稚園では全国団体で公開保育を推進していますけれども、気楽に見るとか、多くの園は外部の助言者というか、外部の人に見られるとか、意見を言われるということ自体に慣れていないので、別にそこで批判される必要はないので、とりあえず見てもらうという経験ですよね。それをどう開くか。見てもらうと、何かよくなるなという実感をどう広げていくかだと思うので、その辺をまず最初に、派遣要請だけではなくて、保育を見に行った相談員なり何なりが、どうやってその園のよさを引き出すかというところが非常に重要な気がしています。
 もう時間になりましたけれども、先生の方から何か追加なり、感想なりがあればと思います。

【大畑センター長】  器はできたんだけれども、中身は課題だらけという状況でしたので、きょう、いろいろ御示唆いただいて、本当に頂いた御意見を1つ1つ施策に反映させながら進めていきたいなと思っております。ありがとうございます。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りますので、大畑センター長におかれましては、ありがとうございました。
 では、ここで御退席をよろしくお願いいたします。
 それでは、私どもは次の議題でございますけれども、これまで本検討会におきましては議論を続けて、きょう、事務局より議論のまとめ(素案)というものが出てございます。それにつきまして、事務局より御説明を頂き、その後に皆様に御議論を頂きたいと思います。
 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

【髙橋専門官】  それでは、お手元の資料2をごらんください。今回の前半もそうでございますけれども、様々なテーマについてヒアリングなどを進めてまいりました。今回、報告案の策定に向けまして、これまでの議論のまとめ(素案)ということで、事務局で整理してお示ししてございます。こちらをたたき台に、報告案に向けた御議論を頂ければと存じます。
 なお、次回会議にて、中間報告(案)という名称で取りまとめに向けた議論をさせていただければと考えているところであります。
 まず、1ページ目、「目次」であります。括弧書き(はじめに)の部分は、次回、また御記載いただくということで、今回は空欄にしております。
続きまして、ローマ数字の1とありますように、現状について触れた後、ローマ数字の2にあるとおり、1ポツから5ポツまで、5本柱にて各論を記載しているところです。この5つの柱につきましては、以前に第6回会議にて論点メモとして提示した際と同様でありますけれども、「1 幼児教育の内容・方法の改善・充実」、「2 幼児教育を担う人材の確保・資質及び専門性の向上」、「3 幼児教育の質の評価の促進」、「4 家庭・地域における幼児教育の支援」、「5 幼児教育を推進するための体制の構築」として、それぞれの項目ごとに整理をさせていただいてございます。
 次に、2ページ目をごらんください。まず1ポツ、「幼児教育の重要性」についてであります。言わずもがなでございますけれども、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであるということで、平成18年に全面改正された教育基本法において位置付けられております。加えまして、学校教育法の改正もなされ、幼稚園が学校教育の始まりとして各学校種の中で最初に規定をされたのは、記憶に新しいところであります。諸外国においても、幼児教育の重要性についての認識が高まっていると言えます。
 続きまして、2ポツは、「幼児教育を巡る近年の政策の動向」になります。平成27年度からスタートした子ども・子育て支援新制度、さらには昨年10月からの幼児教育・保育の無償化がスタートし、特に量の拡充に関する施策が進んできているという状況と言えるかと思います。
 3ページ目をごらんください。幼児教育の重要性については、これまでも再三うたわれてきているところでありますが、これほどまでに幼児教育分野に対する公的投資が大きくなった時代はないのではないかということでございます。
一方で、同時に、それに見合うだけの質の高い教育が提供できているのかという幼児教育の質向上を求める声も強くなっていると言えます。
 3ポツになります。近年の制度改正として、幼稚園教育要領等の改正などを挙げてございます。
 最後の丸になりますけれども、こうした国の制度、施策の状況、幼児教育施設を取り巻く現状を踏まえ、個々の教職員が子供と直接関わり合いながら、幼児教育の実践の質向上に向けて一層取り組む必要があり、関係団体とも連携・協力しながら、さらによりよいものにしていく必要があるとしてございます。
 次に4ページ目になります。ここから各論になります。まず、幼児教育は、幼稚園、保育所、認定こども園といった幼児教育施設だけでなく、家庭、地域等のあらゆる場を通して行われるものであり、それら全てを通じて、子供の健やかな育ちを目指すということを述べております。
 加えて、国、地方公共団体は素より、幼児教育に関わる全ての者が相互に協力しながら、良好な環境を整えることを目指すとしております。
こうしたことを踏まえまして、幼児教育の質の向上の実現に向け、総合的に施策を展開する観点から、さきに申し上げました5本柱にて具体的方策を整理してございます。
 まず、1ポツ、「幼児教育の内容・方法の改善・充実」についてです。前提としまして、委員の先生方には言わずもがなでございますけれども、幼児教育は幼児の自発的な活動としての遊びを発達の基礎を培う重要な学習であるとして、環境を通して行う教育を基本にしてございます。さらに、教職員は適当な環境を計画的に設定し、幼児が主体性を発揮して活動を展開できるよう援助することが求められています。教科書のような教材がないため、特有の難しさというものが存在するということであります。
また、近年では、障害のある幼児、外国につながる幼児への対応など、幼児教育現場の課題は多様化、複雑化している状況にあるとしてございます。
 5ページ目になります。(1)「幼稚園教育要領等の理解推進・改善」になります。新幼稚園教育要領等に基づき、各園の創意工夫を生かした質の高い教育が求められている中、2つ目の丸でございますけれども、その趣旨、内容について、研修や研究協議会等による理解増進、さらに、次の丸ですけれども、参考資料の作成、調査研究等の実施が必要であるとしてございます。
 (2)「小学校教育との円滑な接続の推進」になります。まず、最初の丸ですけれども、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということで、10の姿になります。これを手掛かりに、子供の成長を幼小で共有し、幼小接続を強化していくということであります。
 6ページ目になります。2つ目の丸、小学校教育における生活科を中心としたスタートカリキュラムの編成について触れてございます。
 また、その次の丸ですけれども、幼児と児童の交流だけでなく、幼小の教員が両者の教育について理解を深めることが重要であって、このため、幼小の合同研修は素より、人事交流、相互派遣研修等の推進についても記載をしてございます。
その際、教育委員会や幼児教育センターといった行政がリーダーシップを発揮することの重要性についても触れております。
 (3)「教育環境の整備」になります。
 7ページ目をおめくりいただきまして、先端技術の活用について、これは、幼児の発達段階に留意することが前提であるわけですけれども、取り分け幼児段階については、教職員と幼児との関わりも深いことから、教職員の発話や行動と併せて、保育の実践知を可視化するといったICTの活用について触れてございます。
 また、耐震化をはじめとした安全対策であったり、業務のICT化の推進についても記載をしてございます。
 (4)「特別な配慮を必要とする幼児への支援」になります。まず、障害のある幼児等への支援になります。近年、個別の教育支援計画や指導計画の作成が必要と判断されている幼児は、増加傾向にあります。こうした中、これまでも体制の整備について支援が講じられてきたわけですが、引き続きの支援が求められているところです。
一番下の丸については、医療的ケア児についても触れさせていただいております。
 8ページ目。特に幼稚園における受入体制が十分とは言えず、私立幼稚園については、受け入れニーズに応え切れていないという声もあり、私学助成をはじめとした支援を活用し、園内体制の充実を図ることが期待されるとしてございます。
 また、公立幼稚園については、これまでも特別支援関係の受け皿になってきた。さらには、こうしたことに知見を持つ者の担い手の養成にも貢献してきたというところでありまして、引き続き、その役割を果たすことが期待されるとしております。
 上から4つ目の丸、国においては、幼児期の特性を踏まえた研修プログラムの作成、指導上の留意事項の整理等に関する検討を行うべきとしてございます。
 次に、ページ中頃、海外から帰国した幼児や外国人幼児といった外国につながる幼児についてであります。これも今後、増加が見込まれています。地方公共団体における就園、就学支援の充実が求められるとともに、保護者との円滑な意思疎通のため、通訳の活用であったり、連絡文書の多言語化などが望まれるところです。
 最後の丸ですけれども、国においては、例えばプレスクールの実施といった、各自治体での取組の支援とともに、就園ガイドの作成、研修プログラム、指導上の留意事項の整理等を検討すべきとしてございます。
 9ページ目に移っていただきまして、2ポツ、「幼児教育を担う人材の確保・資質及び専門性の向上」になります。まず、現状ですけれども、幼稚園教諭等については、平均年齢が若い、平均勤続年数も短い、中堅職員が少なく、若手への専門性の継承がされにくい現状があると言えるかと思います。
 また、よく保育士の人材確保が言われますけれども、同様に幼稚園教諭の確保も厳しい状況で、女性比率の高い職場でもありますので、多くの職員が出産・育児を経験するという現状があります。
そういった中、まず(1)「処遇改善をはじめとした人材の確保」になります。こちらは、まず、給与や職員配置の改善など、処遇改善の重要性について触れております。
 また、幼稚園教諭等の人材確保ということで、新規採用であったり、離職防止、再就職の促進といった先導的な人材確保の取組への支援についても記載をしてございます。
 10ページ目、(2)「研修の充実等による資質の向上」になります。通常の保育活動、園内外の研修、法定研修、関係団体の研修、様々なものがあるわけでございまして、それぞれの機能や位置付けを構造化し、効果的な研修実施を行うことが重要であるとしてございます。
 このため、例えば研修俯瞰図を基に、一人一人の教職員が研修履歴を記録できるようにしていくことは有効であって、さらに経験年数というくくりだけでなく、園で担っている役割に応じた研修プログラムを構築することが重要であるとしてございます。これは、初任、中堅、管理職といったものを想定してございます。
 また、こうしたキャリアステージに応じた研修のみならず、出産・育児からの復帰という女性のライフステージに合わせた研修プログラムの提供も必要であるとしております。
 11ページになります。(3)「教職員の専門性の向上」になります。ここでは、より上位の幼稚園教諭免許の取得であったり、小学校教諭免許、保育士資格との併有促進について記載をしております。特に幼稚園教諭は、二種免許状所有者が中心でありまして、都道府県において養成校等と連携し、免許上進のための認定講習等の開設が期待されるとしております。
次に、3ポツ、「幼児教育の質の評価の促進」になります。
 12ページ目に移っていただきまして、幼稚園は比較的、他学校種に比べて規模が小さく、教職員の数も限られていることから、専門家の派遣であったり、近隣の園との合同研修といった外部の視点を取り入れた活動の見直しは重要であると言えます。各園の独自性を確保しつつ、こうした評価を通じた園運営の改善・発展を図り、質の高い幼児教育を提供するためのPDCAサイクルを構築することは極めて重要であるとしてございます。
 ここでは、公開保育の取組の有効性についても触れておりまして、保育実践の可視化、共有化により、研修内容の高度化にもつながるとしてございます。
 (1)「幼児教育施設への適切な指導監督等の実施」であります。各施設類型ごとの所管法令にのっとった適切な指導監督が必要であって、効率的なものにすることが重要であるということであります。
 (2)に移りまして、「幼児教育施設における評価等を通じた運営改善」になります。まず、園運営の状況を評価し、その成果を環境づくり、教育課程、実際の指導へと生かすというPDCAサイクルを構築することが必要ということはさきに述べたとおりであります。
 13ページに移っていただきまして、学校評価は、評価自体が目的ではなく、教育水準の向上が目的であるということであります。そして、評価結果の情報提供に努めることが望まれるとしてございます。
 また、公開保育について、専門的知見を有する者が園の課題抽出、保育実践の改善に向けた具体的な取組を支援する仕組み、こういったものは有効であって、学校関係者評価にも活用できるのではないかということを記載しております。
 (3)「幼児教育の質の評価に関する手法開発・成果の普及」になります。質の評価手法の仕組みづくりは重要であって、その開発に当たっては、日本の幼児教育の特徴を踏まえた検討が必要であるとしてございます。
 次に、4ポツ、「家庭・地域における幼児教育の支援」になります。
 14ページに移っていただきまして、近年では預かり保育や子育ての支援などのニーズが高まっているとともに、2歳児受入などの取組も広がってきているところであります。今般の幼児教育・保育の無償化においても、保育の必要性のある子供に限り、預かり保育の利用もその対象に含まれております。
 こうした中、まず、(1)「保護者等に対する学習機会・情報の提供」になります。子供の発達や学び、各園での実践の意図や狙いを保護者や地域住民に知ってもらうことは重要であり、10の姿を活用して伝えることも有効であるとしております。
 また、子育て広場の開催、相談体制の整備、保護者への訪問相談など、地域における家庭教育支援の重要性についても触れさせていただいております。
 (2)「関係機関相互の連携強化」になります。経済的困窮や虐待といった支援を必要としながら、支援が届きにくい家庭に対しては、幼児教育施設だけでなく、教育委員会、福祉部局等の関係機関の連携強化が重要であるとしてございます。
 15ページ目ですけれども、自治体内においても教育委員会と首長部局の緊密な連携が重要であるとしてございます。
 (3)「幼児教育施設における子育ての支援の促進」になります。地域の幼児教育の中心として幼児教育施設が、その専門性やノウハウを生かすことは重要であり、親子登園や相談事業、一時預かり事業といった取組の充実が必要としてございます。
 また、預かり保育については、幼稚園のその多くが取り組んでいるわけですけれども、教育活動としての質の向上を図りながら、利用者のニーズにも応えられるよう、一時預かり事業、私学助成双方での支援の充実が必要としてございます。
 最後に5ポツでありますけれども、「幼児教育を推進するための体制の構築」になります。幼児教育段階は、幼稚園、保育所、認定こども園といった複数の施設類型、さらには私立が多いという現状がございます。
 また、自治体における幼児教育の担当部局も公立、私立、施設類型に応じて異なることが多く、一体的な取組が必要不可欠です。さらには、他の学校段階と比べ、幼児教育段階に係る体制も手薄な状況であるということが言えるかと存じます。
 こうした中、16ページですけれども、(1)「地方公共団体における体制の構築」になります。この検討会でも、多くのお時間を頂戴して御議論いただきましたけれども、幼児教育センター、アドバイザーについてであります。幼児教育センターの設置については、公私合同研修の実施であったり、幼小接続に向けた活動の推進に効果があるというところでして、まず、その重要性について記載してございます。
 さらに、幼児教育担当の専門性のある指導主事の配置は素より、幼児教育アドバイザーの育成・配置が重要であるとしております。
17ページ目でございます。こうしたセンター、アドバイザーの取組はもちろん、地域の実情に応じてということでありますが、都道府県を中心に幼児教育センターを設置し、市町村を中心に幼児教育アドバイザーの配置が進むことを期待されるとしてございます。
 また、例示として、市町村所属のアドバイザーが園訪問を行い、都道府県所属のアドバイザーが域内のアドバイザーの育成を行うという役割分担の考え方も一例として書かせていただいてございます。
 さらに、アドバイザーの役割が多様化しており、研修等の実施も求められているとしてございます。
 また、各地域、園によって課題も多様であることから、複数人のチームでの派遣が効果的であるとしております。
 採用源の多様化についての重要性についても記載しているところです。
 こうした自治体における幼児教育の推進体制の構築、充実、活用について、国が必要な支援を行うとともに、アドバイザー活用に当たっての留意事項の整理や、好事例の収集等の検討を行うことが必要であるとしてございます。
 最後に(2)「調査研究の推進」になります。まず、エビデンスベースでの政策形成の重要性、そして、国立教育政策研究所、幼児教育研究センターにおいては、大学研究機関、幼児教育施設等における調査研究やネットワーク構築を担う研究拠点としての役割が期待されるとしております。
 最後、18ページですけれども、幼稚園の教員養成課程を有する大学・学部における教育研究への期待、さらには、国立大学附属幼稚園において附属学校の特性を生かした実験的・先導的な教育課題への取組の成果の普及が期待されるとしてございます。
 駆け足の説明となって恐縮でございますけれども、以上になります。よろしくお願いいたします。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの議論のまとめ素案でありますけれども、どの点についてでも結構ですが、御質問、御意見、お願いしたいと思います。
どうぞ。

【東委員】  美晴幼稚園の東です。失礼します。
 最初の段階で、まとめの柱が出たときから違和感はなかったんですけれども、1点、欠けている項目があるなと考えていますのが、安全・安心に関する項目なんですね。教育要領改定等から全体の計画となり、安全計画と保健衛生等の計画もきちんとという、これはこども園、保育所では当たり前のことになっているんですけれども、どうも幼稚園の場合は、なかなかこの事への認識が浅かったり、指導監督体制も、まだそこまで来ていないというところがあると思うんですね。
 幼稚園教諭も含めて保育職のいろいろな課題があると思うんですけれども、実は先週14日に埼玉県の地裁で、これは保育園ですけれども、プールの事故に関して地方裁判所の判決が下りて、園長と、担当の保育士は派遣業者の保育士であったわけでありますけれども、いずれも有罪判決が下りているということがあります。これは、国のガイドラインや文部科学省が示す様々なガイドラインの準拠に完全に至っていない中で、保育や教育がされているというケースはままあるわけで、そこに対する啓発活動や、実際の指導とまでは言わないまでも、十分でないところに対して、何か行政、教育委員会の関わりというものも、今後は違ってくるのではないかなということがあります。
 多様な子供たちが生活し、学ぶ場であるという保障とともに、その安心と安全が保障されているというところも、施設が多様化していく、あるいは先ほど来、出てきていますけれども、幼稚園、保育所、こども園の場合は施設規模が非常に小さく、小規模ということがありますので、様々な体制を整え切れないという特殊性もあると思うんですね。その辺りの項目がないままでいいのかどうかというのが、私自身の課題でもあって、今さらながらではあるんですけれども、少し事務局でも御検討いただけるといいのかなと考えた次第です。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 そのあたりは、ここにも出ているけれども、未就園の子供や2歳児、あるいは幼稚園型の認定こども園や預かり保育などで広がっていますから、余計に必要だと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。

【古賀委員】  京都教育大学の古賀です。
 幼小接続、「小学校の教育との円滑な接続の推進」のところで、私も教員養成の仕事をしておりまして、今、課題として学生の方からも言われているのは、小学校の主免の学生が幼児教育の課程を取りに来たときに、ああ、幼小接続はこんなことをやっているんですかとか、重要なんですねみたいなことが初めて分かるという内容になっております。要は、小学校の課程の中に幼小接続の内容や入学期の生活科を中心とした効果的、慣例的な指導についての取扱いがほとんどなされていないという課題が現実的にはまだ多く散見されるのではないかと思っております。そういった養成校時代に幼児教育との接続ということも、きちんと小学校の免許課程の中に内容として入れ込んでいくようなことを、今後、是非推進していっていただきたいということ。
 もう一つは、幼小接続絡みなんですけれども、研修をやって、いろいろな研修が進められている中ではあるんですが、主にその研修に出てこられる方というのは、小学校1年生、2年生、低学年の担任という方が多くて、校園長のリーダーシップの発揮につながりにくいということがあります。
 ですので、現場の担任レベルの先生方が、やっているうちにだんだん重要だと思ってくださるということは起こっていると思うんですけれども、校園長のレベルでそれを推進していこうとなかなかなりにくい構造にあるのではないかと考えています。
 京都市は、3年前ぐらいから校園長の悉皆研修で幼小接続の研修を取り入れられています。そういったことも、幼小接続に関しての校園長のリーダーシップの発揮につながる重要なことかなと思っているところです。
 ですので、養成校の課題として、小学校の免許課程の内容に幼小接続の中身を入れて考えていくということと、小学校の教員研修の中身としても、校園長のリーダーシップにつながるような構造を中に入れていただきたいなと感じているところです。
 それから、もう一つは、幼稚園の教諭に女性が多いというところに絡むんですけれども、今、非常に人材不足で、2月、3月の私たちの主な仕事は、人を見つけるということだったりするわけです。そういったときに、もう一つ課題として感じているのは、免許更新をしていないというケースですね。復職をしていただくときに、御自身の子育てをして、離職されている間に、免許更新を受けていないというケースがまま多くて、復職していただきたいし、本人にもその希望があったりするのに、免許更新していなくてできないというケースに会うことが結構多くあります。そういったことを、今後どのように解決していけるのかということは、課題として感じているところです。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 小学校の教職課程そのものを、今ここで強く言うことは難しい気はしますけれども、一応、既に改定したばかりなわけです。幼小の接続のところは、概論で扱うだけではなくて、多分、生活科の科目では扱わなければいけないはずになってはいるんですが、どのぐらいちゃんとというのは失礼ですけれども、やっているかは分からないというのが正直なところですね。
 それから、後のところは、私もいろいろなところで最近お聞きします。例えば、勤務してからの研修でもよければ、随分楽になるんだけれども、一応ルールとしては4月から勤務する場合に、その前のところで受けなければいけないんですよね。多分、まだ変えていないかな。その辺の検討は、多分どこかでしているという気はいたしますけれども、どのぐらい融通を図るかは、制度の根幹に関わってすごく難しいのと、免許更新講習そのものの検討も中教審でなさっているようなので分かりません。でも、どのぐらい明瞭にここに書けるかは分からないけれども、離職に対する復職のための支援とか、離職防止のことに触れることはできるわけですよね。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

【神長副座長】  関連してよろしいですか。

【無藤座長】  はい。

【神長副座長】  小学校と関連してなんですけれども、先日、草加市の幼小連携で伺った際に、小学校の国語や算数の指導資料の中に、例えば、報告文を書くという3年生か4年生の教材だと思うんですが、そこに幼稚園、保育園の幾つかの場面が書いてあって、「先生、あのね」と言って、体験したことを言葉で伝えるという体験が、実はこの報告文を書くという3年生か4年生のところに生きているんですという、本当にワンポイントなんですけれども、そういうものは、もちろん合同の研修の中で意見交換することもすごく大事だし、接続というところに焦点を当てることも必要だと思うんです。
 一番勉強になったのは、幼稚園、保育園の先生方が、あっ、日常やっていることがそこにつながるんだという、その実感を持つことによって、「先生、あのね」という言葉に対する対応の仕方を考えることができるという報告を聞いたときに、やはり何らかの形で小学校に行って、どんなところにつながっていくのかということを学ぶ機会を提供したり、そういうところに積極的に参加したりということが必要なのかなと思いました。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ。

【新山委員】  国公幼の新山です。
 最後の方に「地方公共団体における体制の構築」というところが16ページからあります。先ほどの北海道の例もありますし、各地で幼児教育センターを作ったり、首長部局と教育委員会が連携して、幼児教育に力を注いでくださったりしていることがよく分かります。
 ただ、前に遠藤先生が報告してくださったように、意外と幼児教育センターが増えていない。思った以上に増えていない。そこの財政的な支援がまだまだ必要なのではないかなと思っています。
 文部科学省で補助事業がまだまだ続くものと思いますので、今回の取りまとめを各地の首長部局の方や教育委員会の方々がこれを見て、では、うちもちょっと頑張ってみようかなと思ってもらえるような発信になるといいかなと思います。
 私どもで作っている『幼児教育じほう』という機関誌があるんですけれども、今回、3月号に徳島の教育長の美馬先生に幼児教育に寄せる思いということで書いていただきました。徳島は鳴門教育大もしっかりしていますし、幼児教育にとても古くから力を注いでいらっしゃいます。特別支援教育もしっかりとやっているところです。そういうところを我々の会としても発信していきたいなと思っています。
 それから、17ページに「調査研究の推進」というところがあります。実は、きょう、僕は来る前に東京都の教育研究員の発表があって、それを聞いてから、途中で抜けてきたんです。公立の先生たちが集まって研究をして、発表をしてくれていました。日常的な実践の中に教育要領の改定の柱になっているところ、みずから進んで前向きに取り組むためにはどんな指導をしていったらいいかという、当たり前のようなことですけれども、そこに視点を当てて、非常に細かく研究を進めて、きょう、実践で公開保育をしてくれていました。
 それから、これも『幼児教育じほう』の3月号に載せようと思っているんですけれども、ソニー教育財団の幼児教育支援プログラムの保育実践論文や日本生態系協会の全国学校・園庭ビオトープコンクールでも、実は我々の会員の園が、今回たくさん受賞させていただきました。いい研究をして、実践をして、それをまとめて発表しているところがたくさんあります。
 先ほども申し上げましたけれども、やはり公的なお金を使って、幼児教育の質をしっかり守っていくんだということを各自治体、都道府県がしっかりそこに腹を据えてお金を出します、しっかりやりますと。公立を残すだけではなくて、公立が核となることで、地域の幼児教育全体の質を上げていくんだというふうにしていただきたいなと思いますし、今あるところをしっかりと有効に活用していただきたいなと思います。
 小学校との連携のところに関しては、公立園はそこがとても強みとしてありますので、さきの北海道の例では、公立園がないところでモデル事業をやられたということですけれども、公立園と公立小学校と一緒にやっているところが好事例をたくさん持っていると思いますので、そこも是非活用していただけるといいかなと思います。
 最後に、女性が多い。僕は自分が男で、担任をしながら、今、園長をやっていますけれども、やはり周りを見て、女性が多い。結婚、妊娠、出産、子育て、とても難しい仕事を何とかクリアしなければなりません。きょう、先ほどまでの研究会で発表してくれた先生も、本当に何度も辞めようと思ったと話していました。家庭でお母さんが手伝ってくれたり、いろいろな支えがあったりしたから、何とかここまで来たけれども、制度的な支援がなければ、なかなか続けていけないですよという切実な声も聞いています。
 是非そこのところを含めて、今回の取りまとめが各自治体や幼児教育関係者の皆さんにしっかりと届いて、先生たちがこの仕事に誇りを持って取り組んで、子供たちの健やかな育ちにつながることを祈っております。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 ほかにはどうですか。
 では、遠藤さん。

【遠藤委員】  済みません。今、御指摘のあった点にも関係するんですけれども、「調査研究の推進」、非常に重要なところだと思うんです。もちろん国立教育政策研究所であったり、各大学や研究機関がそういう研究を推進していくという一方で、やはり園がデータを集めて、それを分析して、そんな高度な分析ということではなくて、園の現状ということについてしっかりと把握して、それに基づいて保育方針を見直していったり、あるいはプラニングをしていくというためのスキルも、いわゆる専門性の向上というところで重要なところなのではないか。
 さらには、ここに保護者に対して基本的には様々な情報を提供していくという役割が盛り込まれているんですけれども、やはり保護者に対して説得的に、例えば保育内容や幼児教育の内容の重要性を伝達するという部分のスキルが、実はなかなか養成されていないというところがあるような気がいたします。そういった意味では、専門性の向上というところに、そうした自園の状況を分析して、言語化して、さらには保護者、あるいは地域といったところにしっかりと発信していくというスキルも、少し含めていただくことがあっても、個人的にはいいのかなと思うところが1点ございます。
 あと、これは、こういった議論の中に入れるべきことなのかどうか、少し迷うところもあるんですけれども、やはり「幼児教育を担う人材の確保・資質及び専門性の向上」。これから最も重要な課題の1つであるということだとは思うんですが、もちろん人材の確保といったときには、養成校の先生方との連携を深めて人材を確保していくということが考えられるんですが、もう少し長期目線で考えていったときに、言ってみれば保育や幼児教育に関して豊かな適性を備え、さらにはモチベーションを持った学生さんが実際に養成校に進学して、そして、保育、幼児教育の現場で職を得ていくというようなキャリアがしっかりと実現される状況を作っていくことが1つ必要なのではないかと思うところがございます。これは、私どものセンターそのものの研究ということではなくて、センターが大学院生の方を支援してやっていただいているような研究の中で少し見えてきたところなんです。
 実は、中学、高校の段階でも、依然として、保育者や幼稚園教諭というのは、人気の職業であるということ。これは、男性も含めて、それなりにそうした職に就きたいという人たちはいる。ただし、言ってみれば、そういうモチベーションを持った人たちが現実的に大学の進学の段階で保育者、あるいは幼稚園教諭の養成の大学に進学するかというと、実際のところは進学しない場合の方が非常に多いという実態が少し見えてきたところがございます。
 それは、1つは進路指導という部分で、高校の先生方に保育や幼稚園教諭の職の重要性、あるいは具体的な職の中身、あるいはその職に就いた場合の将来展望、あるいは待遇なんかも、現実的には、ここ数年の間に大分変わってきているという状況があるんですけれども、そういう正確な情報が必ずしも伝わっていないという状況があって、言ってみれば、適切な進路指導がなされないまま、せっかく高いモチベーションを持ったり、あるいは豊かな適性を持っているような学生さんが保育、幼児教育の職に就いていないという現状も、一部あるような気がいたします。
 そうすると、すごく長期目線で考えていった場合には、人材の確保という部分では、もう少し早い段階からの正確な情報の提供であったり、あるいは保育、幼児教育の重要性、魅力をしっかりと若い世代の人に伝達していくと同時に、あとは高校の進路指導の改善を求めていくというか、場合によっては、進路指導の先生方に保育や幼児教育の実態を知っていただくような機会を設けていくということも、長い目で考えると必要なのではないかと個人的には感じるところがございます。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 その辺は、進路指導の問題や、中高の保育に関わる授業が多少あるわけですが、その問題や、あるいは養成校側の教員の在り方、それから、高校の先生に実際に説明に行くのは養成校の教員が主なんですけれども、養成校の教員がするのは、大体自分の養成校の授業のよさを言うけれども、その先の就職の状況までなかなか説明できない、しないことが多いので、そういう状況のことまで含めてどうするかですね。やれることはありそうな気がいたします。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

【岡林委員】  高知県、岡林です。6ページの接続のことについてです。高知県は今年度から指定地域を中心に、保幼小連携・接続を進めているところです。しかし、高知県では、「生活科を中心に」というところの「生活科」の部分について、生活科が始まって30年になると思いますけれども、なかなか公開授業をしていただきにくいという現状があり、どうしても国語や算数が主たる公開授業の教科に偏りがちになっていると思われます。小学校教諭に、今後さらに生活科について学んでいただければ、幼児教育の重要性、必然性というものが自然と小学校教諭にも伝わっていくのではないかと思うところです。さらに高知県でも、他課や養成校の先生方、また保育士や幼稚園教員等とも連携を取りながら、どのようなことを幼児期に学んでいるのかといったことを情報発信をしながら、この事業に取り入れていきたいと考えております。

【無藤座長】  ありがとうございます。
そこら辺は、小学校側と一緒に考えていく必要がある。難しいところですけれども、ほかにはいかがでしょうか。

【東委員】  よろしいですか。

【無藤座長】  はい。

【東委員】  美晴幼稚園の東です。先ほど来のお話を伺っていて、特に中長期的な視点と直近の課題と共通することだと思うんですが、園長のリーダーシップと幼児教育に対する理解と発信力というものが非常に問われていると感じます。
 例えば幼保小連携接続の推進に際してスタートカリキュラムを議論するに当たっても、小学校の学びの実態や、生活科が本来、合科科目ではなくて、総合的な学習の時間であったものが、理科・社会の合科となったときに、今、本当は課題として幼児期の生活や学びから小学校教育への接続ということに違和感を持たれるようなことになってしまっていることについても、しっかり幼児教育の立場で見識というか、考えを述べられることがないと、接続の議論が本当に深まっていかないということになっていくんだと思います。
 私、もう一つの私立幼稚園団体の立場で言うと、いつも課題として挙げられるのが、園長や園長に代わる保育を計画し、実践し、評価する立場のリーダーの養成といいましょうか、研修プログラムの充実が非常に必要なのではないか。そこが、免許状更新講習からも、キャリアパスからも漏れているところで、実は一番そこがチーム保育を実現するためとか、分散化したリーダーシップを発揮するような機能を持たせるためにも大事なところではないかと考えているんですが、なかなかそこに踏み込んでいけない。
もちろんこの会議で、この報告書に書けるかどうかは別なんですけれども、やはり園長等の研修や資質向上ということについても、もう一度見直すことが必要ではないかなと考えるところです。
 もう一つ、中長期的な観点からすると、いつも遠藤委員がおっしゃっていることに非常に共鳴するんですが、実は、きょうも午前中、私の園に関東の国立大学の教員と大学院生が来て、本当に短い時間、話をしたんです。修士論文に外国のつながりのある子供の受入れについて、質問紙調査等で書き上げた院生が、実は他の省庁に入省するというお話をされていました。文部科学省に来ないのが悪いということではないんですけれども、中長期的に研究のリソースや資質を持った若い研究者、教育実践者が、実は就職していない、就業していないという実態が顕著にあると思うんですね。これが、やはり10年、20年、もっと先になったときに、日本全体の幼児教育や保育の質の維持向上に関すると、非常に大きなマイナスになるということが考えられます。
 それは、国研もそうなんですけれども、やはり他省庁とも連携して、幼児教育や保育に従事する実践者もそうですし、研究者の養成みたいなことに本腰を掛けて、予算的な裏付けも必要かもしれないんですけれども、取り掛かっていかないといけないのではないかなと実感するところであります。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 今の最後の御指摘、私も常々思うところなんです。幼児教育に関わる様々な研究ベースをどう作っていくか、維持していくかということなんですね。
 その1つは、当然、現在養成校に勤務している教員たちの何らかの意味でのレベルアップということで、これは、教職課程の問題でもあるので、常々、提案はされていると思うんですけれども、なかなかそれを実現させていくのに難しいことがたくさんあります。それは、まず、全国各地でそういう場を作っていく必要があるんだろうと思います。
 それと、例えば、きょうの素案にもありますけれども、幼児教育の質の評価の手法や、あるいは現場の先生を中心として実践研究を進めていくべきであるとか、それから、直接的にはここにありませんけれども、いわゆるエビデンスベースみたいなものをどう作って、それを政策の立案、評価に反映させていくか。そのあたりは、今、世界的に言えばですけれども、かなり専門的に随分深まってきているところなんです。
 日本で言うと、そのあたりは非常に弱い。いろいろな意味で弱いように思うんですよね。そういうところをちゃんとやっている研究者は少ないとか、それがやれる大学、大学院が少ない。特に幼児教育に関わっては、極めて少ないということだと思いますよね。
 そういう意味で言うと、例えば「国立教育政策研究所ができたんだからやりなさい」と言えばそうなんだけれども、私は現実に関わっているので、「やりなさい」と言っても、そう簡単にできるような陣容ではない。今、精いっぱいの仕事をしているわけですので、それをどのようにしていくかというのは、どこかの研究所でやって、ここで言うのは簡単なことだけれども、現実には無理がある。
 だけど、実際には、あちこちに少しずつやっている人がいるはずなんだから、そういうことをもう少しネットワーク化していく。あるいは大学院も東大だけではなく、いろいろな大学院で少しずつ、小さい規模ではありますけれども、養成はしていると思いますし、養成科の教員で頑張っている方もいるわけだから、そういうところをもう少ししっかりできるとか、質の評価なり、実践なり、エビデンスなり、もう少ししっかり理解をやってもらえるといいと思うんですね。
 例えば、エビデンスベースについては、経済学の関係の何人かの著名な先生が、幼児教育、保育についても関わっていただいているんですけれども、それらの先生、研究者以外の、自分で言うのは何ですけれども、保育系、幼児教育系でエビデンスベースの研究がちゃんとできる人はいるかというと、私はゼロだと思うんですよね。相当統計的な訓練、その他が必要なんです。
 ですから、このままでいくと、エビデンスベースについては諸外国に既に圧倒的に遅れているんです。私は極めて危機的状況だと思います。文部科学省としては、エビデンスベースでやりますよと局まで作って頑張ろうと言っている中に、幼児教育が入れるのかということも非常に危機感を覚えるので、この議論のまとめにそういうことまで入れるかどうかは別ですけれども、非常に危惧しているということです。
 それと、ついでに違うことを申し上げたいんですけれども、最後の方で幼児教育センターの設置等についてたくさん書いていただいていいなと思うんです。次の段階として、幼児教育センターのネットワークを作っていく。それは、必ずしも文部科学省が全部仕切る必要はないので、お互いにネットワーク化するということを少し推進というか、プッシュするというか、それはやったらいいのではないかと思うんですよね。
 実を言うと、インフォーマルには、皆さん互いに連絡し合って情報を得ていると思いますけれども、それを何らかの形でやっていく。これも、国立教育政策研究所である程度やれるかもしれませんけれども、先ほど言ったように人手がない中でちょっと難しいところもあるので、幼児教育センターが互いにつながるようにということは、ただセンターのサイトをつなぐぐらいのことから、あるいは様々なノウハウがあると思いますが、それを交換する場などができると思うんです。
 それから、もう一つは、幼児教育センターに限らないんですけれども、今、各市の団体や、場合によっては民間の会社、大学など、いろいろなところで幼児教育に関わる実践的な情報、あるいはドキュメンテーションやノウハウを文章や映像でネットに出してきていると思うんですね。あるいは国立大学の附属幼稚園も、いわゆる企業も出していますけれども、それをネットに載せることもかなり増えてきました。
ただ、それが互いに連絡が付いていないので、埋もれていることが非常に多いと思いますので、それを何らかの形で結び付けていくようなことですね。
 諸外国といっても広いですけれども、幾つかの国はほとんどの情報がネットで見られて、公の幼稚園教育要領的なものももちろん見られますけれども、それ以外の、例えばビデオで保育のポイントが全部出てくるものも見られるようにしているところがあります。
 それを文部科学省がやるということではなくて、いろいろなところで既にやっているものをつなぐだけでも相当役立つのではないかと思うので、その辺についての示唆が出てくるといいかなとも思いました。
 済みません。勝手なことを申しましたが、あと5分ほどでありますけれども、何か最後に是非ということがあればと思います。
 どうぞ。

【神長副座長】  よろしいですか。済みません。 

【無藤座長】  はい。

【神長副座長】  私、先ほどの園内研修の話が出てきたときに、37%が0から3回という、多分北海道が特別ではなくて、やはり幼児教育を行う施設の中の園内研修に対する考え方には物すごく差があって、20回以上というところのピークと、12回のところは、多分、月1回やって12回なのかな。丁寧にやるという、それぞれのこれまでの取り組み方があるし、ましてや長い時間、子供をお預かりするとなると、そこにはなかなか時間が取れないというのもあると思うんですね。
 でも、園内研修で全員が同じ場所でそろわなければ研修にならないというわけではないし、自己評価、自己点検にしても、カリキュラムマネジメントするにしても、やはりそれが回っていないと、どうにも動かないというか、カリキュラムを実践する人たちが話し合わないと回っていかないんだと思います。
 この中の10ページには、効果的な研修とか、それぞれの機能の位置付けの構造化と書いてあるんですけれども、そういった園内研修の実績がまだまだ十分でないというところには、なかなか構造化と言っても伝わらないなという思いがあります。
 だからと言って、何をするというわけではないんですけれども、やはり園内研修の支援体制を、特に幼児教育センターにしても、確かにアドバイザーを派遣するのは支援の1つだと思うんですが、ある意味では園内研修を自分たちで進めていくとか、先ほどお話がありました、自分たちの 園のよさをもう一回確認するとか、そういったことに関して活性化するような取組を充実させていくことも必要かなと思いました。

【無藤座長】  そうですね。園内研修を月に1回でも入れるかは、今いろいろな幼稚園や保育園でも働き方改革とともにという感じですけれども、やはり片方で業務を削減しないと出てこない時間なので、そういうことで努力されている園もかなり出てきたと思います。
 私が思うのは、もう一つは、園内研修とまではいかないけれども、例えば1日15分、20分の時間を作って、少し話し合う時間、見直す時間を作るというのは、園内研修をしていますと丸を付けるかどうかは微妙な時間なんだけれども、結構有用だと思うので、そういうものの呼び名があるといいなといつも思うんですよね。「園内研修をやっています」と言うほど自慢はできないけれども、毎日15分、何人かが集まれるようなものぐらいでも相当違うので、そういう幾つかの現実的な仕組みの提案ができるような資料が出てくるといいなと思いました。
 済みません。もう時間になりましたので、とりあえずきょうはここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に事務局から今後のスケジュールについての御連絡をお願いいたします。

【髙橋専門官】  本日はありがとうございました。
 次回の日程につきましては、3月又は4月の開催を予定しておりますが、詳細については、追って事務局より委員の先生方とも調整の上、御連絡をさせていただきます。
 議題としては、今回頂戴した御意見を踏まえて、また、反映したものをお諮りしたいと考えてございますので、よろしくお願いいたします。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 以上をもちまして、幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第8回)を終了いたします。本日はありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局幼児教育課