幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第7回)議事録

1.日時

令和元年11月26日(火曜日)15時00分~16時30分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 特別な配慮を必要とする幼児への支援について 発表
  2. 意見交換
  3. その他

4.出席者

委員

無藤座長、神長副座長、東委員、新山委員、遠藤委員、古賀委員、佐々木委員、岡林委員 

文部科学省

蛯名審議官(初等中等教育局担当)、森友幼児教育課長、湯川視学官、西平企画官、河合幼児教育調査官、澤田子育て支援指導官、高橋専門官

オブザーバー

厚生労働省子ども家庭局保育課大月企画官、内閣府子ども・子育て本部参事官付(認定こども園担当)本田参事官補佐
発表者:滝口教授(金沢大学)、発表者:岡上顧問(全国幼児教育研究協会)

5.議事録

【無藤座長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより、幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第7回)を開会いたします。お忙しい中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。
 今回、報道機関等から写真撮影の希望を頂いてございます。議事に入るまでの間、これを許可することといたしますので、撮影を希望される方は、どうぞお願いいたします。
 それでは、その間、事務局より資料の確認をお願いします。

 【髙橋専門官】  それでは、資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第に加えまして、資料1及び2、参考資料は1から6までございます。過不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 なお、補足でございますけれども、本日は参考資料3として、11月21日に開催された中央教育審議会の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」における論点取りまとめの素案になります。及び参考資料4として、第4回、第5回特別部会における幼児教育関係の主な御意見について配付してございます。今後、同論点取りまとめにつきましては、12月13日に予定されている初等中等教育分科会にて審議がなされることとなってございます。
 以上でございます。

 【無藤座長】  ありがとうございました。写真撮影は、ここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは議事に入ります。本日、お二方に御発表をお願いしてございます。まず、滝口圭子金沢大学教授、そして2番目が岡上直子全国幼児教育研究協会顧問でございますけれども、お二方に御発表いただきまして、まとめてその後に意見交換を行いたいと思います。
 滝口先生は、心理学が御専門でありますけれども、幼稚園、保育所の巡回相談などを通じて現場の実態にも精通しておられるということであります。本日は幼児期における特別支援教育の現状と課題について御発表をお願いしたいと思っております。
 続きまして、岡上顧問から御発表いただくわけでありますが、岡上顧問は全国幼児教育研究協会の理事長として平成28年度に、外国人幼児の受入れに関する文部科学省委託研究に携わってこられました。本日、この委託研究の概要と、そこから見えてきた外国人幼児の受入れにおける現状と課題についての御発表を頂きたいと思います。
各委員ともに、20分程度で御発表いただきまして、その後まとめて意見交換に移りたいと思います。まず滝口教授よりお願いいたします。

 【滝口教授】  ただいま御紹介いただきました金沢大学の滝口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は幼児期における特別支援教育の現状と課題についてということで御報告に参りました。
 簡単な自己紹介なんですが、専門は発達心理学です。私自身と特別支援教育との出会いというのは広島大学院時代でございまして、当時まだ特別支援教育開始前だったんですが、仲間と勉強会、研究会を立ち上げまして、文献を読み合ったり、かつその流れの中で、実際教育相談を立ち上げて運営するということもしてまいりました。その後、大学に職を得ましてからは、市町の巡回相談員として地域の幼稚園、保育所、こども園、それから学童、そして小学校の方に伺っております。現在も、その業務を続けているというところでございます。
 本日は、幼児教育と特別支援教育、それからここ10年ほどの成果と課題、そして今後の展望という3つのセクションについてお話ししていきたいと思っております。
 まず、幼児教育と特別支援教育ですが、やはり折々に語られることとしましては、とても理念と信念を共有している、とても親和性が高いということが言えるかと思います。
 例えば、一人一人を見取りながら、発達に即して支援、実践を開発していくといったことですとか、遊びや生活を通して、あるいは具体的な活動を通して、学びをしていく環境を整えていく、学びの環境を整えていくといったことが共有できるかと思います。
 そちらの表は、幼小接続期を研究対象としている研究者が各所で言及しておられる違いというのをまとめたものでございます。もちろん、これ厳密に確固たる違いがあるというよりは、幼児教育の特性を小学校教育でも取り入れたり、その逆もまだございますので、そのあたりは御理解いただけますとありがたく思います。
 ざっと簡単に御紹介しますと、方法の面では、幼児教育の方では環境を通した教育が中心であるのに対して、小学校の方では教材・教具を通した教育が中心であるといったことですとか、カリキュラムの方ですと、幼児教育の方は経験カリキュラムであるのに対して、小学校の方は教科カリキュラムであるということが挙げられるかと思います。
 以上のように、大変親和性が高いということで、どういったことが生じるかと申し上げますと、子供の抱えている困難であったり、困難に適した支援を講じているということ、自覚がなくても結果的に特別支援になっているということが時に生じるということでございます。
 こちらにまとめておりますが、こちら子供が抱える困難、それから保育者が講じる支援ということなんですが、困難、どういう難しさがあるかをしっかり自覚しているし、それに適した支援も自覚して、認識して実施しているという場合も、もちろんございます。
一方で、だんだん下に下がっていきますけど、困難は分かっている。分かっているんだけど、それに対して支援をどうしたらいいのかということが曖昧なまま、あるいはそこまで自覚されないまま行われているということもございますし、一方で、何に困っているかはいま一つ分からないけれども、結果的に適した支援をしていたということもあるかと思います。
 一方で最後、4つ目の欄になりますが、何に困っているかは分からない、また具体的にどうしていいか分からないけれども、子供の集団の力であったり、園の力であったり、保護者の力であったり、地域の資源の力であったりということを活用しながら、結果的に課題が表面化しにくいということも時にはあるかと思います。
 それは、幼児教育の豊かさ、あるいは奥深さを示すことですので、このことを否定したということではもちろんございません。でも、その一方で、どうしたことが起こるかというと、実践を振り返ったり、検証したり、成果を蓄積したりということが少々難しくなる可能性はあるかなとは思っております。
 あるいは実際、時々生じることとしましては、幼稚園のときには課題はそこまで表面化しなかったんだけれども、小学校に上がると問題が浮かび上がってきて、そこで子供も困るし、教師も困るしということが時に生じるということもあるかと思います。
 こちらは現在、各園で障害、特別に支援を要する園児がいるという回答、いると答えた園の選択率、回答率でございます。
 一番左の濃い青いバーが07/08年調査、隣の薄い青色のバーが12年調査、黄緑のバーが18年調査ということで、徐々に支援を要する園児が増えているということが分かるかと思います。それは幼稚園、保育所、こども園でも同じような率で、特別に支援を要する園児が存在している、在籍しているということが言えます。
 同じ調査なんですが、そういう支援を必要とする子供たちがいるということで、特別支援の体制をどんなふうにとっているかということのデータなんですが、上のこの項目、御覧いただきますと、行政の補助金を利用して特別な要員を配置しているという項目に関しましては、私立、私営の園が活用しているようでございます。
 1つ飛ばしまして、この真ん中ですね。自治体が雇用した要員が派遣されているといった支援に関しましては、国公立、公営の機関、施設が運用、活用しているという傾向にあるようです。
 もう一つ、この下のクラス担任を持たないフリーの保育者や園長、主任が対応をしているという体制に関しましては、どちらかというと私立あるいは私営の機関、施設が活用しているということで、何か少ない資源の中の資源を工夫しながら、やりくりしながら対応しているという苦しい様子が見てとれるかと思います。
 ここから成果の方に参りますが、滝口が感じている、考えている成果です。発達障害の理解の促進、それから保護者支援の重要性の理解の促進、そして小学校との連携の推進、また周囲の資源の活用、そして実践の開発といった面で、10年前に比べますと成果が蓄積されているのではないかと感じております。
 その一つの根拠となるデータでございますが、特に実態把握、それから巡回相談の活用といった、この2項目に関しましては、かなりの達成率が認められるかと思います。このバーの説明ですが、左側は国立。これ幼稚園のみのデータですので、国立幼稚園、隣のえんじ色のバーが公立幼稚園、隣の黄色のバー私立幼稚園、そして隣の一番右の薄い青色のバーが全体となっております。
 ほかの項目に関しましては、ちょっと設置主体間に差が見てとれるんですが、ここでは、この実態把握、それから巡回相談ですね。つまり、滝口の成果でいきますと、発達障害の理解の促進であったり、周囲の資源の活用という点では、10年前に比べると、かなり推進されている、達成されているということが確認できるかと思います。
 これは小学校との連携ということで、幼稚園が努力した、小学校が努力したというデータではないんですが、かなり資料も充実してきているかと思います。
 これ一部なんですけど、小学校就学に向けて何らかの課題を抱えた子供たちが、あるいは保護者が不安に思うこと、心配していることに本当に、かゆいところに手が届くではないんですが、そうした資料が本当に充実してきていると感じています。
 例えばこれ、『はじめての小学校生活』という書籍の一部なんですが、かかとを踏まないようにしますとか、左右が分かりにくい場合にはイラストを描くといいでしょう、あとはほうき、ちり取りの使い方。これ結構大事なんです、こういうことが。あと雨具の扱い、傘をどこに差すかといったこととか、雑巾、これはとても大事ですね。雑巾の使い方ということで、見落とされがちな部分も丁寧に分かりやすく、視覚的な情報も充実している資料というのがどんどん出てきておりまして、大変感銘を受けているところでございます。
 ただ、こうした資料を実際の幼稚園の現場でどう活用しているかといったことに関しましては情報を持ち得ておりませんで、どうぞお許しください。
 こちら、ここから課題に移ってまいりたいと思います。
  1からですね。個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成と活用、それから園間差、設置主体間差と言えるかもしれません。それから実態把握の方法、より複雑な課題への対応、経験や情報の蓄積の不足、担当者の不足。具体的には巡回相談員であったり、特別支援教育コーディネーターであったりが含まれます。
 個別の教育支援計画、皆様御存じの方も多いかと思うんですが、簡単に御紹介いたします。
障害のある子供を生涯にわたり継続的に支援するための計画でして、家庭、福祉、医療、保健等が連携し、学校が中心となって作成するものと定義付けられております。具体的な内容は以上、御覧ください。
 こちらの個別の教育支援計画の作成状況なんですが、こども園、幼稚園の方のデータが上に囲ってある部分でございます。ただ、作成が必要であると判断している人数もちょっと少ないので、なかなか一概に小学校は中学校と比べるの難しいところはあるんですが、作成が必要であると判断し、かつ実際に作成しているパーセンテージは6割ぐらいという実態は見てとれるかなと思います。
 続きまして、もう一つです。個別の指導計画というのは、一人一人の状態等に応じたきめ細やかな指導を行うための計画、指導目標や指導内容、指導方法をより具体的に設定するものとされております。また具体的な項目は後で、以上です。
 こちらの方の作成状況も同じように、これは7割ですかね。ただ、同じですね。作成が必要であると判断している人数がちょっと少ないのは気になるところではあるんですけれども、6割、7割ぐらいの達成、作成状況であるということが言えるかと思います。
こちらの計画は、今回の学習指導要領改訂により、小学校の特別支援学級に在籍するお子さん、児童一人一人には作成義務化、作成し活用する義務化がされたところでございます。
 幼稚園の方、今回の新しい幼稚園教育要領の方では、義務ではありませんが、努力しましょうと。作成して活用するふうに努力しましょうと初めて明記されたところでございますので、これからこの計画をどう作成し活用するかということは、これからの課題として立ち上がってくるかなと思っております。
 これは設置主体間差です。国公立と私立で、ちょっと実施率に差がある項目を囲って、赤のオレンジ色で示しているところでございます。校内委員会の設置ですとか、特別支援教育コーディネーターの設置、あるいは研修の実施といった項目に関して、少し設置主体間差が見てとれるかなと思っております。
 実際、皆さんも御存じかと思いますが、我が国の幼稚園、認定こども園に関しましては、国公立に比して私立の方が圧倒的に今多い。在籍する子供の人数もとても多いということで、これだけの差がありながらも、先ほどの項目、このあたり、ここ差があるということは、ちょっと対応を講じていく必要があるのではないかなと思うところでございます。
  それから実態把握の方法ですが、これは、認定こども園、幼稚園、小・中・高、全ての学校種の合計ではございますが、注目していただきたいのは、ここです。どんなふうに実態把握をしているかというところで、担任あるいは特別支援教育コーディネーター等による見立てが9割。これ複数選択ですので、幾つか、複数選択のデータではあるんですが、一応9割選択されているということで、次8割は保護者からの聞き取り、あと並んでおりますけれども、滝口が伺っております巡回相談ですね。これですかね。外部機関と連携した見立てで、ここで仕事していると言えるかと思いますが。
 何が言いたいかと申し上げますと、つまりは担任あるいは保育者、教師が、どれだけ適切な見取りができるかということが求められているというところで、保育者であり教師が見立てるしか今のところ手だてがないとも言えるんですが、やはり一人一人の解釈であったり、そういう力が求められる、そこを充実していく必要があるということが言えるかと思います。
  幾つか並べておりますけれども、より複雑な課題への対応ということで、特別支援が必要なお子さんと虐待のケース。幼稚園では、まだそこまで多くはないんですけれども、関連あるところでございますし、一方で、いわゆる教育虐待という言葉も出てまいりましたが、教育熱心であるがゆえに、なかなか一人一人、保護者の方が適切な支援がしづらいという現状も報告されるところでございます。
 一方で、睡眠障害であったり、デバイス依存。発達障害をお持ちのお子さんの場合、やっぱりゲームであったり、YouTubeであったり、デバイスをとても好む傾向がありますので。全員ではございませんが。そこでやめられない。そして睡眠不足に陥って、朝、睡眠不足のまま登園して、なかなか問題行動が起きてしまうというようなことが関連しておりますので、最近やはり睡眠障害、あるいはデバイス依存に対する支援方法を勉強したいという要望も、保育士あるいは支援者から上がっているところでございます。
 ⑥に行きまして、担当者の不足は、これ恐らくは全国的な傾向ではないかと思うんですが、やはり私が在籍しております金沢市でも、相談員がとても不足しておりまして、園からは来てほしいと要望は上がるんだけれども、伺える、回れる相談員が不足していて、すぐに対応できない。せっかく助けてほしいと声上がってきたのに、すぐ動けないとなると、声を上げる機会をなくしてしまうんじゃないかと、ちょっと個人的にも不安を感じております。
 展望ですね。効果的な対策といったものが思い当たるわけではないんですが、やはり研修を増やせばいいものではないと自覚しておりますけれども、一つは有効な園外研修ではないかと思っております。
 ①は計画の方を書いておりますが、計画に関しましては、皆さん御存じのように、幼稚園、保育所、こども園ではたくさん計画を立てています。年間指導計画もあるし、ありますように、月案、週案、日案を書いて、かつ個別の計画を書いていくというのは、なかなか難しい面もあるかなと思うので、重複する情報を整理するとか、そういったことの工夫も必要なのじゃないかなと思っております。
 それから一方で、園外研修で得た情報を園内研修を通して共有するということも必要であろうと思いますし、やはり特別支援というのは園全体で、保育者全体で行うことが望ましいものですので、保育者集団づくり、助けてと言える、いいよと言えるような保育者集団づくりとして、引き続き実現していきたいと思いますし、そのためには離職率を下げるといいますか、保育者が、幼稚園も、もちろん保育所もそうですけれども、続けて働いていける、働き続けられるような環境づくりというのも併せて考えていきたいなと思っております。
 最後ですね。こちら、設置主体間差に関しましては、やはり行政がある程度積極的に連携とっていくような形の、介入という言い方はちょっと違うのかもしれませんが、働き掛けは必要なんだろうと思いますし、担当者の不足ですね。巡回相談員であったり、コーディネーターの不足といった面に関しましても、これやはり行政であったり関係機関との連携が必要なところであろうと思っているところでございます。 以上、報告を終わります。ありがとうございました。

 【無藤座長】  ありがとうございました。では続きまして、岡上顧問よりお願いいたします。

 【岡上顧問】  失礼いたします。ただいま御紹介いただきました岡上と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  私が所属している団体は、公益社団法人全国幼児教育研究協会でございます。全国の幼稚園、保育所、こども園の保育者や、その保育者の養成に関わる教員が会員となっていまして、2,500名ぐらいの会員を現在擁している団体でございます。
 本会が文部科学省の委託を受けて、平成28年度に「幼児期における国際理解の基盤を培う教育の在り方に関する調査研究」を行い、外国籍等の幼児が在籍する幼稚園の教育上の課題と成果について研究いたしました。その成果につきまして御報告申し上げたいと思います。
 この研究は二つの方法で行いました。質問紙調査と訪問調査。これで、質問紙調査の方につきましては集住地域。外国人がたくさんまとまって住んでいる地域として、群馬県、愛知県、滋賀県。そして都市型分散地域として、多くの多国籍の子供たちが在園、人々が住んでいる地域として東京、神奈川、大阪、福岡を選び、そして少数地域、岩手県を代表に選んで調査いたしました。
 対象数ですけれども、幼稚園、認定こども園の数が1,079で、回収率が50.4%。それから、その地域内の市町村教育委員会等、397教育委員会、回収率54.7%でございます。
 内容については、後ほど詳しく御報告します。
 それから訪問調査の方も同じ地域で、岩手県、少ないところですので、除いて、その中から9園調査いたしました。面接調査によるものでございます。
 それでは、質問紙調査から、まず御報告申し上げたいと思います。 回収率申し上げました。 在園数ですけれども、外国人幼児が在籍する園数は267園で、有効回答数の54%でございます。そして都道府県別に、その在籍の割合を見ますと、こんな形で、東京都、それから愛知県、そして神奈川県、こういったところが多く、在籍率が高い地域でございます。
 そして、調査年度は28年度なんですけれども、過去、合わせて3年ぐらいを見てみないと、回答、中身の数が確保できないと思いましたので、3年間の数も確かめております。こんな形になっております。
 そして、その対象の1園当たりの外国人の在籍者数の平均と、それから国の平均数ですけれども、このようになっていて、東京、神奈川、そして群馬、愛知となっております。それから国数につきましては、東京3.2、神奈川3.0、群馬2.4という形の順になっておりますけれども、ここで一つ、神奈川が高い、ちょっと数値は影響しているかなと思うので御報告しますが、最大値、幼児数が59名。園の中に中国籍のお子さんが多く集まる園がございましたので、そのことが神奈川の在籍数や国数に関連しているかなと思うところがありますので、ちょっとそのことだけ、お断りしておきます。
 これも3年間全部見ましても順位はほとんど変わらずですけれども、当然のことながら3年間、数値は少しずつ上がっておりますが、ほとんど順位は変わっていないかと思います。
 そして、その在園にしている外国人の幼児の姿ですけれども、教師が最も気になるのは、この「教職員からの指示が分からない」というのがやっぱり気になっていて、あとほとんど同じ数で、絵本や歌に興味を持たないとか、並んだり順番を待ったりしないとか、話をしようとしないということで、教師は子供たちの姿に困り感を感じたり、心配したりしているような姿がありました。
 そして、その具体的な自由記述の中に出てきた例ですけれども、こんな形でいろいろなものが出ております。言葉の理解等でも、やっぱり反応が少なくて理解できたかどうかが不明だとか、集団行動の中で集団の意味が分からない。要するに、例えばお部屋を、あっちのホールに行きましょうというときに並んでいくというような、子供たちの中に並んで移動するということが分かりづらかったようで、それとか園生活についても、上履き下履きの区別を、履き替えなければいけないことがなかなか分からない。それから食生活についても、文化の違いがありますので、そういったところで、いろいろなことで困り感を感じている子供たちがいたり、教師が戸惑ったりしている姿がありました。
 そして、そういう子供たちに対して保育者は、どんなふうに教師は感じているか。その9割で、日本語をゆっくり、はっきりと話すように配慮しています。それから近くに座る、手をつなぐとか、個別の働き掛けを行ったというのも、それから学級担任だけでなくて園全体で見ていますよというようなことが約9割回答されています。そのほかはイラストとか、周囲の子供たちが外国籍の幼児に声を掛けるということも相当数出ております。
 それから、そういった子供たちに対して、教師がいつ頃から気にならなくなりますかということに対して見たものです。これは、下に凡例がありますけれども、2か月以内、4か月以内、6か月以内、6か月を超えた、未解決という例で見ますと、ここの大体50%、半数ぐらいがクリアできたなという数字が、このグレーと黄色の境になろうかと思いますので、そういった意味では、半数ぐらいの子が6か月ぐらいで大体安定してくるんじゃないかと読み取ることができました。
 それから逆に今度、教師がどのような配慮したかと。先ほどの質問ですね。そういう配慮をしている教師がこの、例えば「教職員からの指示が分からない」という幼児がどれぐらいでクリアしているのかといった先ほどのグラフを、さらにクロス集計で見てみると、こういう、例えばケの母国の文化とか生活に関する教材、保育を入れたとか、あるいは近くに座るということが大きい。話したり、イラストで表示したというのが大きくなっていますし、その中で、4か月以内だとこういう形、6か月以内だとちょっと動いていくんですね。この2か月と6か月以内で、こんなふうに、ちょっとずれていきます。
 そして未解決率が低い、つまり指示が分からないということに対しては、日本語をゆっくり話すとか、あるいは個別の言葉掛けを行ったというのが、未解決率が低くなって、つまり、だんだん解決している率が高いということになります。
 それから、これは「話をしようとしない」という子供に対してですけど、どういう配慮が有効だったのかなというと、ケの幼児の文化を入れる、遊びや教材を保育に取り入れるというのが24.5%で、そして「おはよう」とか簡単な挨拶、言葉掛けを母語で行ったということ、それからサポートする大人が近くにいるようにした、園全体で当該幼児に配慮する体制にした。そういう形のが、2か月以内だと、少しですけど、高くなってきています。ところが4か月になると、こういうふうに動いてくる。そして6か月後には、6か月以内で気にならなくなったという総計が多いのは、このケの遊び文化に関する教材や遊びを入れて、母国の文化の遊びや教材を入れていった、それからイラスト表示をした、ゆっくり話すようにしたということになりますけど、未解決見ていただくと、このサポートする大人が近くにいるようにした(通訳を含む)というのは、当初19.0%になっていますけど、最終的には未解決率がこういうふうになっているんですね。ですから、そういった当初有効なものと、総じて見ると未解決率が高くなっているようなことがあるということを御紹介しました。
 同じようにこれも、「友達と遊ばない」ということに対しても、こういう形で出ています。文化を取り入れたもの、園全体での体制にしたもの、そしてイラスト。それに対して最終的に、やっぱり未解決率が低いのは、こういった形になっているし、近くにいる、手をつなぐ、ここら辺で伸ばしてきていますけど、そういうものが有効だなということが読み取れるかと思います。
 今度、保護者に対する気になる行動で、どんなことが気になるのかということですけれども、これは「強く感じた」という割合見てみると、印刷物の内容が分からないとか、園の決まり、欠席連絡の必要性。欠席は連絡してねと言っても、なかなか連絡してくれない。それから育ちや生活の様子を伝えられないとか、保護者との交流が少ない、こんなこと。つまり、伝えたいことをうまく伝えられないことに困難を感じている割合が高いということになります。
 その具体的なものを見てみますと、やっぱりこの休みの連絡がないとか、保護者の思い、個別性、こういうところでは、日本では自分は頑張っているんだということを分かってほしいというような、そういう思いも受け取れました。それから保護者同士の関わりでは、保育者はやっぱり関わってほしい、関わってあげたいというような心配事が、こんなふうな数値に出てきているのかなと思います。
 次に、じゃあ一体保護者に対する心配はどんな配慮をしているのかということですけれども。保護者に対する配慮では、こんな「おはよう」とか簡単な挨拶、言葉掛けを母語で行うとか、子供の様子や個別の働き掛けとか、いろいろありますけれども、日本語をゆっくり、はっきり話すようにしたとか、個別の働き掛けをしたとか、学級担任だけでなく園全体で当該保護者に配慮する体制にしたというような、こういうことが9割近くになっています。こんなことを、やっぱり教諭は配慮しているということになります。
 こういったような保護者や子供に対する配慮をしている学級ですけれども、その一緒にいる子供たちはどんなふうに影響を受けているかということですけれども、こうやって見てみますと、どんなふうに周りの子供たちが変わっているか、言葉が分からなくても遊びの中で自然に関わる姿が多く見られるようになった、あるいは困っている様子を見ると助けようとする姿が多く見られるようになった、こんなことが9割を超えています。つまり、子供たちは、言葉は通じなくても、一緒に遊ぶ中で互いに思いを通じ合わせて、子供なりに援助性を発揮しているのかなと、そんなことが読み取れます。
 これは、それぞれの働き掛けをする、いろいろな働き掛けを工夫している保育者、教員が行ったことが、どれだけ子供たちに影響しているかというのを、グラフで表してみると、こんなふうになっています。
 実際に、そういう外国籍を受け入れている幼稚園等がどんな支援を受けているか。つまり、母語を話せる人が通訳してくれる人というのは40、これぐらいいるし、それから文化、伝統についての情報提供や、いろいろな配慮を学ぶ機会を得ているというのは、こんなふうな形になっていますし、その内訳を見ると、支援の提供者は、母語を話せる人というのは、たくさん得ているというけれども、多くは保護者が話せる人がいて助かっているというような状況ですかね。それから、文化や伝統の情報提供も保護者の方が多い。
 この青い、行政がやってくれていることの一番多いのは、やっぱり言語や配慮などの方法を学ぶ場や機会を提供してくれているのは行政が多いですということになります。
 幼稚園等が、じゃあ、どんな支援を必要としているか。求めている支援は、やっぱり必要なときに応じた通訳の派遣であったり、それから幼児等の指導に関わる補助者、それからアドバイザーですね。そういったことが求められています。そして、言語や配慮などを学ぶ研修は14%と、そういう形になっています。
 こういったことをまとめてみますと、ここに書いてあることはほとんど今、数値の中で申し上げましたので、時間の関係で省略したいと思いますけれども、またお読みいただければと思います。
 この調査のことも、大体今お話ししたことが書いてありますので、お読みいただければと思います。
 今度、市町村に対する調査です。市町村の教育委員会、あるいは市町村によって教育委員会が担当としているときと、首長部局が対応している場合、担当している場合とありますので、その回してくださいというお願いをして調査いたしました。
 その中で見てみますと、少数地域も高いんですけれども、集住地域が大体一体的に高いです。都市型分散の方が、比べてみると、どの関係でも低くなっているのかなと、そんなふうに思います。
 園種で比べてみると、保育所の方が把握している、教育委員会が在園数と在園児数とか把握している割合というのは高い傾向があるように見られました。
 それから支援の、じゃあ一体、行政がどんな支援をしているかということですけれども、子育てに関する情報とか、多言語で紹介しているとか、子育てについての外国人専用の窓口、それから就園に関する情報案内を多言語で作成しているとか、通訳や翻訳の手助けをするNPO法人を紹介しているというようなこともありますけれども、全体的にこの集住地域の方が高いですかね。そして、ここの部分だけ都市型の方が高くなっていますけれども、大体で言うと、このような割合になっています。
 これも同じように、やはりいろいろな研修を実施していたり、いろいろな指導資料を作ったり、今の中身ですね。そういうことを詳しく見てみても、やっぱりこんなふうに集住地域が多くなっているということが言えます。
そういったことをまとめてみると、文章にすると、今申し上げたような、今お示しした数値は、こんな形に文章ではまとめておりますので、後ほど、お時間のあるときに見ていただければと思います。
 今度、訪問調査です。訪問調査は9園で行いましたけれども、事例で明らかになったこと等を含めながら、質問紙とちょっと違うところだけ紹介していこうかなと思います。あるいは質問紙から出てこなかったことですね。
 ②の同じ言語、母語を話す幼児が複数在籍すると、母語で子供同士が話し合ってしまいますので、日本語を修得するチャンスが少なくなるというようなこと。それから、先ほども言いましたね。決まりに対する理解というのが教えにくい。そんなところが訪問調査からも分かりました。
 それから、調査による事例。日本語指導が必要な幼児に対する指導上の留意点ですけれども、外国人幼児が安心感を持てるように言葉掛けの中に母語を入れてみるとか、あるいは日本語で言わなきゃいけないと思い込んでいる子供もいますので、そういった意味で、母語で話してもいいんだよということを感じ取らせるような取組。あるいは先ほど数値の中でも言いましたが、通訳の活用に当たっては、日本語を覚える必要性。つまり、何でも通訳してしまうのではなくて、子供自身が日本国を覚える必要性を持たせていくことが大事だし、そのためには担任教師との通訳との連携が必要になってきます。
 また、小学校との接続の視点から言うと、日本語の理解の程度を確認しておく必要があります。これ、就学前に突然やるのではなくて、5歳児の初めぐらいには、この子は本当に日本語を理解する力があるのかどうか、その程度を理解しておくことで、この⑦の段階的に日本語指導を行うことができます。そのことが大事です。
 特に幼稚園で、子供同士が日本語で遊んでいるようなときでも、子供の様子や人の動き見てまねていることもありますので、本当に日本語が分かっているかどうか。あの子は普通に仲良く楽しく遊んでいるから、園生活しているから大丈夫と思い込まないで、日本語が分かっているかどうかの確認をする必要があります。
 それからもう一つは、絵カードなど視聴覚があれば何でも通じるかというと、絵で何を表しているのかが分からないということもありますので、工夫が必要かと思います。
 それから童歌とか、言葉と動作が一致しているようなもの、そのことが言葉を覚えるのに有効ですし、楽しい遊びの中で言葉が理解されていく。
 そして大事なことは、外国人の幼児への関わりを教師がする姿が、子供にとっては関わり、友達を助けるモデルになっていくかと思います。
 そして日本語指導が必要な幼児の保護者への対応としましては、この保護者同士の支え合いを促していくということは大事です。ただそのときに、この⑤に書いてありますけど、子供のことについて話す際には、外国籍のお子さんの保護者が、こんなことは人前で言われたくないということもありますし、個人情報もありますので、そういったことへの支えのお願いは、きちんと考えて、個人情報の保護をしていく必要があります。
 またもう一つ、外国人の保護者の方はすぐ、いろいろ説明すると、「大丈夫、大丈夫」とよく言うんですね。でも、「大丈夫」というのが「分かりました」という意味ではなくて、「もうそれ以上言わないで。分かっているから」というような意味で「大丈夫」と言っている場合もありますので、その本当の保護者の「大丈夫」の意味を理解していくこと、そういったことと、あとはその国の文化や風習に関心を寄せていくこと、多言語のガイドブックを活用することなどがあろうかと思います。
  今後、外国人幼児の在籍、増えていくことが予想されますので、言葉の問題で困ることとか気になることを、様々な工夫をしています。でも、それ以上に、そのときにやっぱり通訳の活用の即効性とか、そういったことを自らが話したくなる工夫とか、遊びを通して子供たちは安定してきますので、周囲の幼児の多様性を受け止める力とか、そんなことが必要かと思います。
 また、外国人幼児の国の言葉とか文化を取り入れることは国際理解教育の基盤を培うことにもつながるということが、数値からも、訪問調査からも分かったかと思います。
 今後の課題ですけれども、やはり一人一人の困り感に的確に対応するコミュニケーションツールの開発。それから、これは外国人幼児の滞在の目的、それからずっと小学校、日本語の学校に就学するのか、あるいは母国語の言語で運営する学校に就学するのかでも違ってきますので、そういう今後の見通した母語の尊重と日本語の指導。そして保護者とのコミュニケーションに関する支援の充実と適切な活用ですね。やはり個人情報の保護と、あとお願いねということのバランスだろうと思います。外国の言葉や文化等を学ぶ研修の機会が充実することが、やっぱり保育する教師たちの力を支えることになるのかなと。そんなことが今後の課題になるかと思います。
 以上で発表を終わります。ありがとうございました。

 【無藤座長】  ありがとうございました。それでは、お二人から発表していただきましたので、それぞれ御意見、御質問、お出しいただきたいと思います。
 主に前半については、滝口先生の御発表といいますか、特別な配慮を必要とするということについてを中心に、まずしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。御質問、御意見。いろんな、それぞれの関わりの中での体験も多い領域だと思いますが。どなたからでも委員の皆様、お願いいたします。どうぞ。

 【東委員】  失礼します。美晴幼稚園の東と申します。私、私立幼稚園の立場でもありますので、滝口先生の御報告、様々な統計、調査に基づいたお話でもあったんですけれども、実態を反映しているなというのが率直な感想というか、思いであります。
 中教審の場でも申し上げているんですけれども、やはり合理的な配慮や教育的な支援を必要とする子供たちの就園、就学の機会というものが十分保障されていないのが日本の国の実態であると認識しています。それは国公立園で比較的受入れが進んでいるという実態は、もちろん御報告のとおりなんですけれども、私立、民間の幼稚園、こども園、保育所については、やはり様々な理由が、要因があるわけですけれども、就園、就学の機会を求めている子供たちや保護者がいても、その期待に応えられないという実態があると考えているわけです。
 それと一方で、必要としていないというんでしょうかね。統計上は、その園には在籍をしていないという整理がされていても、実態としては全ての幼稚園、保育所、こども園に合理的な配慮や教育的な支援を求めている子供って必ず在籍しているという認識に立って施策を、これから講じていく必要があるのではないかなと考えています。
 後ほどの資料で、文部科学省の来年度の概算要求資料もありますけれども、都道府県を通じての特別支援教育に対する予算も講じられていますし、その支援事業を活用して受入れを促進している幼稚園等、こども園も、数多くありますので、その支援体制を今後も継続していくということが、大きな視点で捉えると、必要なことかなと考えているところであります。
 もう一つ危惧するところは、地域の市町のリソースとして公立園が今まで、受入れに際しても、あるいは教職員の要請ということに対しても資してきたわけですけれども、新制度以降、とりわけ、この公立園の統廃合ですとか、廃園が著しく進んでいるということ。あるいは私、札幌から来ていますけれども、札幌市の教育委員会は二十数年前から新卒採用をしていないという実態があって、支援員だとか巡回指導を担当する方の人材不足ということがありましたけれども、現場を知っている、幼児教育、保育の現場にいて実践を経験している上での巡回指導だとか支援をする方の不足といいましょうか、今後は今以上に、その不足が予想されますので、公立園の支援であり、財政的な支援も含めて支援を講じることだとか、各都道府県の教育委員会。今、首長部局に幼稚園所管が移っているところもありますけれども、もう一度見直して、公立園が、その園ばかりではなくて、その地域の幼稚園、こども園の支え手になっているということを、もう一度考え直す必要があるのではないかなと考えているところです。
 以上です。

【無藤座長】  後で滝口先生まとめて、お答えとかコメントを頂くので、お願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【神長副座長】  ありがとうございます。大変興味深いというか、関心を持っていた内容でしたので、いろいろ勉強することがありました。
 1点なんですけれども、先生が最後に園の体制づくりがとても大事ということを思う御発表をなさったんですけれども、おまとめにお話しなさっていたと思うんですけれども、先生のお立場から見て、やはりその支援体制で、園なりに、どこの園も努力なさっていると思うんですけれども、こういう体制づくりになったらいいなというような、各先生方の役割分担もあるかもしれませんし、姿勢もあるかもしれませんし、また特別な要員という、その要員の方が、どういう方がそこに入っていけば良いのかというようなことも含めまして、園の体制づくりで先生からお話を頂ければと思っております。

 【無藤座長】  それも、じゃあ後でまとめてということで。ほかにいかがですか。どうぞ。

 【新山委員】  全国国公立幼稚園・こども園長会の新山と申します。きょうは遅れて申し訳ありませんでした。実は、遅れた理由も、今の特別な配慮が必要なお子さんの絡みがちょっとあって遅れてしまいました。申し訳ありません。
 国公立幼稚園・こども園でも、配慮が必要なお子様、前々からお預かりしています。たくさんいます。ここのところ、国公立幼稚園・こども園の数が減ってきているんですけれども、園数も減っていますし、その分子供の数も減っていますが、配慮が必要なお子さんの割合は増えています。かなり園数や子供の数が減っているのに割合が増えているということは、どれだけそういうお子さんが増えているか、それの受け皿になっているかということの証拠かなと思っています。
 それぞれの園で、とても苦労して対応してくれています。外国籍のお子さんも多いので、同じようなことなんですけれども、僕が今申し上げたいのは、今、東先生もおっしゃってくださいましたし、滝口先生の話の中にもあましたけれども、各園がその子たちをしっかり支援する力も必要ですけれども、それを支える、例えば指導主事の先生とか、アドバイザーの先生ですとか、そういう方たちを我々の仲間が各地で担ってきた部分があります。今、無償化のこともあって、子供の数も減ってきていて、統廃合してしまって、しかも、もう民営化してしまおうとか、公立がどんどん、どんどん削られてきてしまうことで、そういうことを養成するための、輩出するための国公立としての役割が、これからどうなってしまうんだろう。現時点でも足りないわけですよね。
 相談員が足りないって、本当にそうなんです。月に2回でも3回でも来てほしいけれども、月に1回しか来てもらえないとか、何か月に一遍しか来てもらえない。そのときには、もう何人も並んで相談したいみたいな状況が続いているんですけれども、そういう相談員の方たちを現場から育っていってもらうと。
 そういうことすらも今、危機的な状況になっているということを、これは我々だけのことではなくて、幼児教育全体、それから日本のこれからのことを考えたときに、せっかく幼児教育が教育の土台として大事だということが国民的には理解されて、子ども・子育て支援新制度もできて、消費税の増税分をそこに充てようとなったにもかかわらず、そのお金が、そこにきちんと使われているんだろうかというところにまで、とても危惧しているところです。今ここで手を打たないと、我々が実際に動いていって、社会の方々が、やっぱりそこにお金を付けなきゃだめだねと思ってもらわないと、日本の将来、これだけ課題が出てきているところに対応していくことがとても難しくなってきてしまうんじゃないかなと強く強く危機感を持っているところです。

【無藤座長】  はい。遠藤さん。

 【遠藤委員】  貴重な御発表ありがとうございました。先生の課題として挙げてくださっていること、一つ一つ全て納得のいくところでございます。
 その中で、特に実態把握の方法というところで、基本的には、やはり担任の先生、そういった先生方が9割ぐらい見立てを行っているということ、それが実態としてあるという中で、近年、発達障害あるいは特別な支援を要する子供さんの数が年々増えているという。
 ただ、この増加傾向ということに関しては、御存知のように、様々な解釈可能性があるということで、現実的に増えているという部分も確かにあるのかもしれないわけですけれども、一方では、本来、その障害というカテゴリーでは考えるべきでないようなお子さんたち、場合によってはグレーゾーンと呼ばれるようなお子さんたちが、基本的には障害という名の下で、言ってみれば特別なルートの方に回されてしまうというようなことが比較的多く生じているということが危惧されるような気がいたします。
 そういう中で、いわゆる事例性と疾病性ということですね。医学的な部分では疾病障害と言うべきお子さんたちが必ずしも、それこそ事例化しないということがある一方で、基本的にはその逆もあるわけで、本来では、医学的な意味では疾病障害ではないお子さんたちが、その園の、言ってみれば教育機能という部分のその水準の低さであったりとか、あるいは大人の側の関わりのまずさということによって問題化し、事例化し、それが言ってみれば、そのお子さん自身に内在している問題の現れだと判断されてしまう。そして言ってみれば、そのお子さんが障害という形で、その後ケアを受けてしまうというようなことが、実はやはり心配される事態としてあるような気がします。
 そういう中で、事例性と疾病性ということの、その重なりとずれというあたりは、本来やっぱり保育における、あるいは幼児教育における研修の部分で、しっかりと伝達される必要があるんだろうということ。
 一つは、保育者の先生方が現実的に見立てを行っているという実情を考えたときには、やはりその保育者の先生方が、より正確な知識を持ち、そしてそのお子さんの行動というのをどういう基準から見て判断すればいいか。そして分からないときは、どういう人に、どういうリソースというようなものに頼って、より適切な判断というようなこととか、実践計画をその後立てていけるかという部分での支援が非常に重要になってくるのかなという気がいたします。
 当然そのリソースの中には、幼児教育アドバイザーであったり、特別支援コーディネーターであったり、指導主事の先生であったり、巡回相談の先生方のお力というようなことが考えられるわけですけれども、先ほどからいろいろと御指摘があるように、そうした人材が現実的には不足しているという状況の中で、そこをどういうふうに公的にバックアップすることができるか、サポートすることができるか。そのあたりは今後、こういった場も含めて多分検討して、うまくシステマティックに、そこがうまく回るように、多分うまく変えていく必要性があるんだろうなという気がしております。
 そういう意味で、事例性と疾病性という部分というところが、その重なりとずれの問題が、実はすごく今深刻化してきているような気がいたしますので、そういったところを今後どういうふうにうまく認識した上で、子供たちにとってよりよい支援ができるようにするか。そのあたりの検討を続けていければなと思ったりするところでございます。

 【無藤座長】  ありがとうございます。じゃ、佐々木さん。

 【佐々木委員】  鳴門教育大学附属幼稚園長の佐々木と申します。自分は徳島県の保育・幼児教育アドバイザーもやっておりますので、徳島県の取組で二つ、この話題に関連したことがあるので御報告したいと思います。
   一つは、具体的な訪問支援ということでは、なかなか人材不足なので、徳島県の教育委員会では幼稚園、こども園から高校まで、特別支援コーディネーターという研修をしております。ほとんど義務付けられておりまして、1年目の初級から5年までの中級までのプログラムがあるので、それぞれの学校、園から1人ずつ、その役割の人が出ていって研修をするようになっております。そうすると、どういう関係所管部局と連携していくのかとか、あるいは、ちょっとこれっておかしいのではないかというような初期発見が大変スムーズにできているというような報告があります。私立幼稚園の先生方の参加も少しずつ増えてきております。
 二つ目は、徳島県の幼児教育・保育アドバイザーの派遣なのですが、30人のうち2人が特別支援教育のスペシャリストであります。特に私立幼稚園とか保育所の方からの訪問の希望が大変多いのが、この特別支援のことであります。徳島県でも2人しかいないので、もうパンク状態なので、もっと増やすということについて考えております。外国籍の人については、所管がそれぞれの市町村の生涯学習等のところなので、その辺については十分な知見がないのですけれども、私どもの町では、そのような感じで進めておるようなところです。

 【無藤座長】  ありがとうございます。ほかにございますか。岡林さん。

 【岡林委員】  高知県教育委員会幼保支援課の岡林です。御報告ありがとうございました。
 御報告いただいた数値や傾向が、全て高知県も同じ傾向であると思いながら聞かせていただきました。そういった現状の中で、臨時やパートの保育者も非常に多いという現状と併せ、これまで研修の機会が少なく学ぶ機会が得られなかった保育者もおります。そこで高知県では、来年度、約4,700人の臨時、パートを含めた保育者に、悉皆研修という形で、特別支援教育の学びをしていただくよう計画しているところです。
 お話にもありました、保育者一人一人がお子さんの状態を見ながら、どういった見立てができるのか、専門的な見立てをしていける力を付けていけるかという点では、研修を受けたらそれで可能になるのかといえばそうたやすいことではありません。しかし、これまで学びの機会が少なかった先生方にもしっかりと学んでいただきながら、報告の最後にも展望としてありましたように、職員同士の集団づくり、チームとして進めていくというところを、更に高知県としても強化していきたいと思っております。
 また、研修にどうしても参加できなかった方については、事務局の幼保支援課、特別支援教育課や特別支援学校の教員による専門家チーム等、全ての人を動員し、個別に訪問支援をしていけるよう準備をしているところです。
以上です。

 【無藤座長】  ありがとうございました。じゃ、古賀さん。

 【古賀委員】  失礼します。京都教育大学の古賀です。きょうはどうもありがとうございました。
 今まで委員の先生方の御発言とちょっと重なるところもあるんですけれども。教師の見立てに依存していることや、それから離職率を下げるということも滝口先生の方から御指摘があったところと関連しているんですけれども、また前回のこの委員会での御発言とも重なるんですが、そういったことを考えると、やはり幼児教育・保育の無償化のところで、公立施設の財源負担が市町村と10分の10となっているところが今後大変危惧されるなというところを非常に思っているところです。
 それともう一点は、幼小接続の研修などをしておりますと、いろいろな、例えば支援シートであるとか、ツールがあったり、それから共有の機会はかなり持たれているんですけれども、そもそも、その幼児教育の側の保育者の方が共有したいと思っていることと、小学校の先生が欲しいと思っている情報が、かなり食い違っていて、小学校の先生から、いや、いろいろ言ってはもらうんだけれども役に立たないというようなことを言われたりする、そういった現状がある中で、どういうふうに間をつなげていったらいいのかというところが、現場としては大きな課題かなと思っております。
 以上です。

 【無藤座長】  はい。一通り、いろいろな委員の御意見、御質問ありましたので、逐一ではなく、何かまとめた形で適宜お願いしたいと思います。

 【滝口教授】  貴重な御意見頂きまして本当にありがとうございました。勉強になりました。
 まとめて大変難しいなと思いながら。感じたことを一つ一つというか、幾つかお話しさせてください。
 公立園の統廃合に伴う、生じるもろもろというのは本当に感じておりまして、お話あったように、公立園に発達障害、特別な支援を必要とする方も多いですし、虐待ケースのお子さんもとても多いというのは、恐らく全国的な傾向にあると思うんですが、本当にそういう受け皿、セーフティネットとして機能しているところがどうしてもあるかと思うんですが、そのあたり、引き続きというんですかね、存在意義をしっかり認めて訴えていくことが本当に必要なんだろうということをとても感じました。ありがとうございました。
 それから、園の体制づくりというところで、いかんせん幼稚園は大変に小規模で。大規模な園は違うかもしれませんが、公立の場合は本当に数名ですよね。三、四名、四、五名等で運営されておりますので、役割分担も既に幾つも重複して持たれている中で、さらに特別支援教育コーディネーターとして働いていただくというのは、そうせざるを得ないとは思うんですけれども、難しいところもあるだろうと思っております。
 でも、これからでも恐らく義務付けられていくとなると、どなたかがコーディネーターとして、その役を担って支援に関わっていくことになると思うんですが、やはりどうしても園外の支援ですよね。巡回相談員であったり、アドバイザーであったりという方をどんどん引き込みながら、連携しながらしていくことが、どうしても必要になってくると思います。
 それから、事例性と疾病性の重なりとずれというところで、本当におっしゃるとおりであると思います。そこを考えたときに二つ思い浮かびますのは、発表の中でも何度も申し上げたところですが、やはり、とても効果的な。効果的なって、あれですかね。すばらしい、すてきな実践をされる先生って、いらっしゃるんですよ。でも、その事例がその年で終わってしまって、なかなか蓄積されないという実態も見聞きしております。そういう先生が一人いらっしゃると、ああ、数年前に同じような事例あったよということで、あのときにはこうだったから、こうしたらいいんじゃないかなとか、もう少し待ってみないという形で、その一言があるだけで、先生も楽になるし、運営もすごくスムーズにいくことがあるということもありまして、やっぱり園や保護者の考え方であったり、地域資源であったり、風土であったりということが異なりますので、その園ならではの大切な資源リソースとして蓄積されていけるといいのになというのは、常に巡回相談で回りながら思っているところでございます。
 もう一つは、研修の中身ですよね。多分、こういうこと言っては何ですが、いろいろな研修が恐らくあって、研修をされているけれども、先生がおっしゃったような事例性と疾病性の重なりとずれに切り込んでいける、理解して支援していけるような、例えばそういうことを触れた研修内容であるかどうかというのは、多分、差が大きいところがあると思いまして、恐らく今後は。余りに研修内容を規定していきますと窮屈になり過ぎるので難しいところであると思うんですが、じゃ、どういう研修をしていくと良いのか、望ましいのかということは、やはり折々に丁寧に見ていく必要があるのかなと思ったところでございます。
 すみません、簡単ですが以上で、ありがとうございました。

 【無藤座長】  ありがとうございました。いろいろ、本格的にもっとすべきことはあると思いますが、今日のところはこのぐらいで、岡上先生の方の御発表という、要するに外国人のお子さんの保育の問題でありますけれども、いかがでしょうか。これも、どなたからでもお願いします。どうぞ。

 【古賀委員】  失礼します。京都教育大学の古賀です。
 非常に京都でも関心の高い問題でして、御発表、関心を持って聞かせていただきました。ありがとうございました。
 この問題については、保護者の課題が非常に大きく影響するということで、子育てに関する情報へのアクセスをどう良くしていくのか、それから外国人幼児の幼児教育へのアクセスをきちんと保障していくということ、そして教職員の研修情報へのアクセスという、この三つのアクセスをどういうふうに保障していくのかが、まずは大事かなということを考え、感じさせられました。
 それから特に、例えば岡上先生の資料の25ページのところにあります、外国人幼児や家庭への支援の実施率というものがありますが、こういった情報へのアクセスというのは、かなり改善できるものではないかと思いますので、この割合を高める方策が必要なのではないかとも思いますし、また地域格差が大きいということも、その下の26ページのところでも感じられますので、そういったところをいかに全国的に解消していくのかということが、まずは取り組まれるべきかとも感じました。
 それから、京都でも本当に様々な工夫を、先ほどの特別支援の問題とも同じような問題があるんですけれども、本当に個別にケースが様々という状況でして、その園の中でも様々ですし、園の状況も様々ですし、幼児の抱えている状況というのも多様なので、本当にケース・バイ・ケースで対応していて、そこに、孤立したというか、ぽこっと専門性の知識・技能が蓄積されていて、それが共有されていないというような状況にあります。そこで必死にやっていて、それは共有されていない状況なので、例えば保護者とのやりとりに使える資料の共有化であるとか、事例の収集と研修での活用ということが、これからどんどん進んでいかないと、かなり現場は苦しい状況にあるなということが実感としてあります。
 それから、最後の今後の課題の②のところに関してですけれども、母語で生活する教育を受ける権利を保障するというような流れがあると思いますが、同時にその子が、日本でこれからずっと長い間、学校教育を受けていくということの中で何をどう指導すべきかというのは、かなり現場は混乱している状況にあるかと思います。学校教育の中で、やっぱり日本語を使っていくということが主になっていくことを考えると、どうにか支援したいと思うんだけれども、家庭が、いやいや、うちの子はバイリンガルだからということで、そこに割とプライドを持っておられたりすると、その個別のケースに応じて、どこまで踏み込んでいくべきなのかというのが、なかなか現場では判断が付かなかったり、踏み込めないでいたりするうちに、もう年長児さんぐらいになると、他の幼児との発達差がかなり開いていくというような実態があると思います。
 そのあたりで、この外国籍等の幼児に関しても、その専門のアドバイザーというのが非常に必要とされている領域になってきていると思います。なので、幼児教育センターのアドバイザーの一つの専門性として、この外国籍等の幼児に対するフォローであるとか、保護者対応の在り方に関しての専門性を持ったアドバイザーというのが、これから配置されていってほしいというか、そういったところでの研修や養成が必要なのではないかと思いました。ありがとうございました。

 【無藤座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。どうぞ。

 【東委員】  報告ありがとうございました。美晴幼稚園の東でございます。
 私立幼稚園団体の研究機構の仕事もしておりますので、その立場で、ちょっとお話をできればなと思うんですけれども。我々、課題意識としてなかったわけじゃないんですけど、実は、この外国とのつながりある幼児の受入れについて、余り具体的な調査研究をしてまいりませんでしたので、大変有益な資料になると考えています。
 それと、障害のある子供たちとつながる要素がたくさんあると感じた一方、やはり外国語を母語としている子供たち、つながりのある子供たち、それからその保護者、家庭との環境の違いというのもありまして、きちんと整理をして対応していく必要性を強く感じました。
 さらに、地域性だとか、その地域。市町の中でも外国とのつながりのある子供の在園している園施設等の偏在という問題もあると思いますので、そこら辺は個別の園の課題というよりも、先ほどともつながるのかもしれませんけれども、地域の課題として、やはり行政を中心としたリソースが有効に機能していくような体制整備をする必要性をすごく感じたところであります。
 私立幼稚園団体としても、やはりこの問題には中長期的に関わっていかなければならないと思いますし、個別具体的に支援体制を整えなければならないと考えた次第です。
 ありがとうございます。以上です。

 【無藤座長】  ありがとうございました。ほかにはいかがですか。どうぞ、遠藤さん。

 【遠藤委員】  貴重な御発表ありがとうございました。様々な問題が山積しているというようなこと、御発表を通して十分理解できたつもりでございます。
 ただ、ちょっと別の視点で考えていきますと、これは先ほどの滝口先生の御発表の特別な支援を要するお子さんとも関わることなんだと思うんですけれども、ある意味、そうした障害をお持ちのお子さんであったりとか、外国籍のお子さんと、そういうお子さんが園内にいるということが、周りのお子さんたちの当然その発達というところにも少なからず影響していくということが想定されるわけです。
 そういう場合に、これからの日本の幼児教育の最重要課題の一つとして、やはりインクルージョンという部分とダイバーシティという部分ですね。包括と統合というところに、そうしたお子さんたちの存在というようなもの、それを要するに、これからの子供たちの教育というところに、言ってみれば活用していくという、そういったお子さんたちとの相互作用というようなものを積極的に教育の中でうまく実現していくというようなことと、そういう方向性というのも一方では、やっぱり目指されるべきなのではないかなという気がしておりまして、そういう意味では、そういったことの実践をされている、いろんな園が、もしかしたら、もう既に全国にはあるのかもしれません。そういったモデルケースのようなものを広く知っていただくような、そうした機会であったりとか、あるいはそうしたお子さんたちと今、一般のお子さんたちがどういうふうに相互作用していくという中で、そのお子さんたちの学びがどんなふうに成立していくのかとか、そういったところの調査研究とかも、いずれは必要になるのかな、なんていうことを思いながら聞かせていただいた次第でございます。

【無藤座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。

 【新山委員】  国公幼の新山です。岡上先生、ありがとうございました。
 先ほどの滝口先生のお話と、この外国籍のお子さんのこと、とてもつながるところがあります。いろいろあるんですけれども、先生たちの力量ということをまず考えたときに、昔に比べて、子供一人一人の課題もすごく増えてきている。それから、その保護者にも説明しなくちゃいけない、保護者の思いも酌み取らなきゃいけないというところもありますので、今その幼稚園、保育所、こども園の先生たちに求められる力量が、とても高い力量を求められるようになってきている。昔に比べて課題がとても多いですから、そういうことが今、現場には求められている。でも、処遇としては余り、社会のいろいろな職種の中ではお給料が安い。そういう矛盾があるということです。
 それから、外国籍のお子さんが来たときでも、それから特別支援のお子さんを受け入れるときにも、アドバイザーの人に、先生方に来てもらうために、資料を作ったりすることがあります。それも、普段の普通の学級の週・日案書いたりするのとは別に、また資料を作らなくちゃいけない。そこもまた、仕事量としては、やっぱり増えてしまっているというのも現状です。
それから割合の問題があって、国公立、子供の数が、地方に行くと少子化の問題があって園数、園の在籍数も少なくなっている。その中に特別支援の子が多かったり、外国籍の子が多かったりすると、ちょっとなかなか園経営というか、学級経営自体も難しくなっているところもあるという話も聞いています。
 あと、僕は港区なので、港区だと、夏にインターナショナルスクールの人たちが夏の間だけ、ちょっと一月ぐらい入れてくれないかみたいなことがあるんですけれども、すごい人数、在籍数いるところの割合に匹敵するぐらい入ってきちゃって、ちょっと数週間、学級ぐちゃぐちゃになりかねないということがあって、先生たちも大変ですし、保護者の方たちも、いや、そんなに受け入れて、その3週間で、せっかく落ち着いた学級がぐちゃぐちゃになりはしないかと心配されるというような事例もあったりします。
 なかなか多様性が大事なことになってきているので、もちろん特別な配慮が必要なお子さんですとか外国籍の方が入ってくることで得るものもたくさんあります。我々教員もそうですけれども。ただ、数が余りにも多くなり過ぎてきていることも課題だったり、先生たちの負担も、ある程度はフォローしてあげないといけないなというところが大きな課題で、結論として何ができるかというところは、本当に皆さんのお知恵を集めていかなくちゃいけないかなと思っているところです。
 以上です。

 【無藤座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。どうぞ。

 【岡林委員】  高知県の岡林です。御報告ありがとうございました。
 高知県は、報告にありました案件に比べると、非常に外国籍等の幼児というのは少ない県だと思いますし、県としましても、まだ手を入れられていない部分だと思いますので、御報告を受けて非常に勉強になりました。
 29ページからの結果の成果・課題にもありましたように、やはりお子さんが安心して生活ができるというのが一番大切なことだと思いますが、そこに関わる先生方が安心して保育ができるということも非常に大事になってくるかと思います。県としても、そのような環境が作れるような支援をしていきたいと思っております。
 そういった意味では、個別対応のための人材も必要であり、これからの課題でもありますので、今後も情報収集に努めていきたいと思っております。
以上です。

 【無藤座長】  ありがとうございます。もうよろしいですか。じゃ、お願いします。

 【神長副座長】  ありがとうございます。本当に貴重な報告を頂きまして、勉強しております。
 皆さんの意見と非常に重なってはくるんですけれども。半年である程度その園の生活に慣れていくという、そこはほっとする部分なんですけれども、恐らくそこに、それぞれの園の持っているとか、その担任の先生の持っている力が、こう働いていくんだろうなと思っています。特別支援とまた同じところも、特別な配慮を必要とする子供に、園の支援という意味では同じことなんだと思うんですけれども。
  ここに幾つかボランティアという項目がありまして、外の資源を活用するというようなことが何か所か書かれているんですけれども、こういったボランティアの活用などで、先生が思っていらっしゃるものでよろしいんですけど、具体的にどんなところで。それは都市部には多いとか、地方には必ずあるとか、何か活用がいつどこでもできる。人が動くわけですので、できるわけではないんですけど、ボランティアというのは、どの程度使えるというか、活用できるものなのか。持っている情報で良いんですけれども。やっぱり外の資源を活用しながら。もちろん行政的な支援が受けられるということはすごく大事なことだと思うんですけれども、そのきめ細かさという意味では、やはりその地域で必要なもの、資源を活用していくことが大事だと思うので、例えばでも結構なんですけれども、ボランティアってどういう人たちなんだろうかということを教えていただければと思います。
 それで1点、これは質問なんですけれども。ここにサポートする大人が近くにいることがとても大きな要因だという、ここであえて大人というのを、先ほどのボランティアとも関連するんですけれども、どんな方を想定しているのか、教えていただければと思います。

 【無藤座長】  はい。じゃ私も、ちょっと感想程度の意見なんですけど。
 岡上先生の御報告にありましたけれども、今その外国人の幼児の保育の問題の、いわば過渡期というんですかね、変化の時期なんだろうと思うんですけれど。つまり、以前はいかに、外国の子供が極めて少数派で、日本文化あるいは日本の学校になじんで適用してもらうかという視点だと思うんですけれども。それは今でもありますが、それに加えて今は多様な文化の理解とか、そちらの文化へのリスペクトを持ってということに広がってきて、恐らくオリンピックイヤーを得て、その方向は非常に広がるべきだと思うんですね。
 そういう意味では、外国籍のお子さんなどが日本人のように振る舞うことは一方で必要ですけれど、一方で複数文化の背景を持つ人たちが今後の日本にとっての一種の財産になると思うし、小さい時からそういうお子さんに接する日本人の子供もまた、これからの日本にとって大事な存在になり得ると思うので、その辺の根本認識をもっとはっきりさせていく必要が多分あると思います。そういう意味で、様々な援助の資料や関わり方も、更に一歩二歩進められるんじゃないかなということですね。
 もう一つは、非常にこれ、細かい技術的な問題ではあるんですけど、今までは比較的中国の方、韓国の方が多くて、今も、まあ、そうではあるんですけど、しかし、地域によっては、インドとか、ベトナムとか、インドネシアとか、東京の一部のところは十数か国のお子さんが一つの学校へ集まりますけれども、そうなると、単に中国の人なら大体ボランティアに来てもらえますけれど、じゃあミャンマーの人どうするんだという話なんですよね。幸いにして、そういう国の人が増えてくると、実はネットでやりとりしているから、ある程度日本のこと分かるようですけれども、でも、かなり細かい支援をやっていくとなると、地域を超えた連絡組織みたいのがないとやっていけないかなということも最近思っています。
 すみません。じゃ、まとめて、そういう形でお願いします。

【岡上顧問】  ありがとうございました。それじゃ、時間が残り少ないので、質問からまずお答えしておこうかなと思います。
 1つは、今、神長委員から御質問のあったサポートする大人という意味ですけど、これ通訳だけではなくて、園に、要するに言葉が分からないときに支えてくれる補助の人とか、そういう人も含めて大人という表現にしました。通訳だけだと、通訳としては派遣されていない市町村も多いので、そんな意味でサポートする大人。例えばそれが、もしかしたらボランティアで、英語なら分かるから、保護者が付いてくれるとかあるかと思います。そういうことも含めて、サポートする大人としました。
 ただ、そのボランティアで一番の課題は、先ほども発表で申し上げましたけれど、やはり個人情報の保護という点で、その子供の状況を外部に漏らしてはいけないわけで、そのことが約束できる程度のボランティアでないといけない。そのことを確認しておきたいと思います。
 じゃ、実際にどういうところで。保護者のボランティアが一番近いわけですけれども、あと地域でその言語ができる信頼できる人ということと、それから私が教員、園長、教育委員会にいたときでしたかね。世界中から外国から留学生が来て、その留学生を活用した国際理解を進めたいという団体がありまして、その中で、やはり言語の、子供と遊んでくれる。小学部で総合的な学習の時間が始まって、国際理解の内容が増えてきたときに、そこを留学生にさせたい。それから、もちろん幼稚園でもさせたい。そして、そのときに援助をくれるという形の団体もありました。
 ただ、いずれにしましても、どれも確かなボランティアというところが確認の要点かなと思います。
 あと、質問項目の中にもありましたNPO団体とか、ある程度信用のできる団体を、私どもも研究の報告書の中にも載せておりますけれども、今インターネットを活用して、いろいろな情報が得られますので、一つはそういう大人のサポートと、それからリソースの活用という点におきましては、インターネットにたくさん出ています。これもやはり正確な団体が確認できるものというところがありますので、文科省と関連しているような団体とか、そういうところで選ばれるという形で、活用していただくという形になろうかと思います。
  まだ調査の中でも、NPOの活用とか情報提供というのは少ないです。また市町村もなかなか、本当に確認できないと、それを、こういう団体さんがいらっしゃいますよ、活用してくださいというのが言いにくいような状況もありますので、そういったことがこれから、先ほど無藤先生が言われた今後への対応の中で、そういったところを確実にしていく工夫が必要なのかなと思いました。
 質問としては、それでよろしいでしょうか。
 御意見等の中では、やはり子供同士の相互作用というのは報告の中でもいたしましたけれども、本当に子供たちって必死になって困っている子供を助けようとしますので、そういった力をどううまく利用していくか、教員の力量が問われますし、そういった意味で力量を高めるような研修は必要です。
 報告書の中にも研究園の、9園ですけれども、それの実践についてもいろいろな工夫、今日報告で挙げました中のものなんかも出ておりますので、もし御活用いただければありがたいかなと思いますし、また、今後も私どもも事例の収集に努めていきたいと思っています。
 そして一番悩むところが、やはり家庭の方針。つまり、その子がどこで生きていくのか。日本で生きていくのか、あるいはこの子は日本で生きていくけど、こういう育て方をしたい、言語についてもバイリンガルにしたい、トライリンガルもありますし、いろいろな形で家庭の考えをどれだけ尊重し、だけど日本で就学、日本語で進んでいく学習を修学する子供について、やはり日本語の修得というのは園で工夫していく必要がありますし、尊重という点では、そのバランス感覚。これもこうであらなければならないではなくて、先ほど多様性とおっしゃいましたけれども、やはりそれぞれの考えをお持ちの保護者に対応して、お子さんをどう園生活で、そして見通しのある小学校生活へとつなげていくかというのは、バランスの問題があろうかと思うんですね。一つで答えは出ないと思いますが、そういったことを判断し進めていく力というのが、やっぱり教員の力量、あるいは園長等管理職がそこら辺を判断し進めていくということも必要ですし、行政の研修が是非充実されるといいかなと、そんなふうに思います。
 こんなことでよろしいでしょうか。

【無藤座長】  ありがとうございました。ちょっと時間を過ぎて申し訳ございません。
では最後に、事務局から今後のスケジュールについての御連絡をお願いいたします。

 【髙橋専門官】  本日はありがとうございました。
 次回の日程につきましては、来年開催することを予定しておりますが、詳細につきましては、追って事務局より御連絡をさせていただきます。

 【無藤座長】  ありがとうございました。
 以上もちまして、幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第7回)を終了いたします。
本日はありがとうございました。

―― 了 ――
 

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