高校生等への修学支援に関する協力者会議(第3回) 議事録

1.日時

平成29年7月7日(金曜日)13時00分から15時30分

2.場所

中央合同庁舎第4号館 1階 108会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

3.議題

  1. 前回の指摘事項について
  2. 関係団体からのヒアリング
  3. その他

4.出席者

委員

大橋弘委員,小河光治委員,小川正人委員,小林雅之委員,柴田悠委員,末冨芳委員,濱中淳子委員(敬称略・五十音順)

文部科学省

藤原誠初等中等教育局長,瀧本寛大臣官房審議官,伊藤学司財務課長,塩田剛志高校修学支援室長

5.議事録

【小川座長】  定刻になりましたので、ただいまより第3回目の高校生等への修学支援に関する協力者会議を始めたいと思います。本日も大変お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 本日も4団体からヒアリングを予定しておりますので、前回同様に通常より30分ほど長く会議の時間を設定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、今回より協力者会議の委員として、新たに日本大学文理学部教授の末冨芳教授に御参加いただくことになっております。一言、末冨先生からよろしくお願いします。

【末冨委員】  日本大学の末冨でございます。内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議の委員をさせていただいておりまして、高等学校の就学支援金制度の見直しが、より高校生や、その世帯にとっての充実する方向での検討に加わらせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川座長】  よろしくお願いいたします。
 また柴田委員には、スカイプにて参加いただいております。よろしくお願いいたします。

【柴田委員】  よろしくお願いいたします。

【小川座長】  本日は全国知事会、全国都道府県教育長協議会、全国高等学校長協会、そして日本私立中学高等学校連合会から、それぞれ御出席いただいております。事務局から御紹介をお願いいたします。

【塩田室長】  それでは、事務局より御紹介申し上げます。
 まず全国知事会より秋田県教育庁、太田総務課長です。

【太田課長】  太田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【塩田室長】  続きまして、全国都道府県教育長協議会の奈良県教育委員会事務局、中西学校支援課長です。

【中西課長】  中西でございます。よろしくお願いいたします。

【塩田室長】  続きまして、全国高等学校長協会・常務理事の東京都立日本橋高等学校、岡本校長です。

【岡本校長】  岡本でございます。よろしくお願いいたします。

【塩田室長】  同じく全国高等学校長協会・理事の東京都立千歳丘高等学校、小野村校長です。

【小野村校長】  小野村です。よろしくお願いいたします。

【塩田室長】  続きまして、日本私立中学高等学校連合会・常務理事の順天中学高等学校、長塚校長です。遅れていらっしゃるということでございます。
 続きまして、同じく日本私立中学高等学校連合会の福島常任理事・事務局です。

【福島事務局長】  福島でございます。よろしく、どうぞお願いします。

【塩田室長】  以上です。

【小川座長】  それでは続けて、本日の会議の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【塩田室長】  それでは、配付資料の確認です。資料1-1が考えられる論点例です。資料1-2が参考資料(3)となっております。資料2-1が全国知事会の説明資料、2-2が高等学校長協会の御説明資料、2-3が中高連の御説明資料、2-4が4団体からのアンケート調査の御回答になっておりまして、参考資料として大阪府から頂いた資料を提示しております。以上です。不備がありましたら、事務局までよろしくお願いいたします。

【小川座長】  ありがとうございます。それでは、議事に入ります。
 最初に前回の指摘事項についてです。これは1回、2回の協力者会議で、委員の方から様々な指摘や関係資料等々についてご指摘を受けて、新たに整備し添付していただいておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

【塩田室長】  それでは御説明させていただきます。まず資料1-1をごらんください。下線部が追記したものであります。
 (1)ですけれども、教育の機会均等の進展度合いを見るために、貸与型奨学金との関係、高等教育機関への進学率との関係、また公立私立の定数割合ですとか、都道府県ごとの取組状況やデータ、世帯収入別の分析、こういったデータが必要であるという旨を追記しております。また次の丸ですが、支援拡充の優先度が高いものとして通学費というものを追記しております。
 (2)ですけれども、いわゆる情報ギャップ問題の対応として、現在どのような周知がなされているか、このようなポイントの把握が必要であるということであります。
 (3)ですが、所得基準の在り方につきまして、他の制度の状況把握が必要だと御指摘を追記しております。
 続きまして、資料1-2をごらんください。1-2で、御指摘を踏まえまして、事務局で用意できた資料を御説明させていただきます。
 まず、資料1-2の2ページですが、高校段階の貸与型の奨学金は、平成17年から学生支援機構から都道府県に移管されておりますので、都道府県が実施しております貸与型奨学金の状況で枠囲いにありますように、就学支援金制度が平成22年に導入されたわけですが、貸与者数、貸与金額、1人当たりの貸与額ともに減少してきているといった状況です。
 続きまして、3ページです。高等教育機関への進学率等の推移であります。先ほど申し上げましたように平成22年に制度が導入されましたので、支援を受けた卒業生が高等教育機関に入学するのは平成25年度からということになります。青線で現役志願率がありまして、大学と短大への現役志願率、これをまず見てみたいと思います。25年度の数字は、表には書いておりませんが、60.4%となっておりまして、25年度は前年比で言うとマイナス0.2ポイントということになりますが、その後、この合わせが微増傾向にあり、28年度の数字は、導入前の24年度と比べると0.5ポイントであり、増加しております。
 進学率で見ますと、進学率2というのが、オレンジ色の線です。これが25年度は55.1%で、前年度比でマイナス1.1%となるのですが、26年度は増加いたしまして、その後、横ばいという状況になっております。24年度と比べますと0.6%の増になります。
 進学率1です、高専と専門学校を更にプラスしたものの進学率も、先ほどの進学率1と同様の傾向で、25年度は77.9%で、前年度比マイナス1.4%になるのですが、26年度に増加いたしまして、その後横ばいとなり、24年度と比べると0.7%になります。ということで、微増傾向となります。
 次のページをごらんください。高卒後の進路、進路状況を把握したものであります。これについては、先ほどの表からうかがえない就職部分を見ますと、就職者の割合ですが、就学支援金を受けた者が卒業するのが25年度ですので、25年度は、灰色のところは16.9%で、前年よりも0.6%減っておりますが、その後、増加しておりまして、28年度では19.7%になっております。この数字をどう読むかというのは、今後の検討事項であると考えております。
 次のページが学習費の推移でございます。通学費についての御指摘がございましたので、通学費についてもデータを見えるように書いております。オレンジ色のところでありますが、通学費につきましては、公立では7万4,735円、私立では11万1,000円と、このような費用が掛かっているということでございます。
 続きまして次のページです。就学支援金の周知方法ということで、これは前回も御説明いたしましたけれども、就学支援金が多くの自治体では支援対象外の生徒も含めた意思確認等々が行われているということであります。一方で奨学給付金の方は網羅的には把握できておりません。また支援金が生徒、保護者の居住地にかかわらず、通学する高校が立地する都道府県からの支給ということなのですが、給付金の方は居住地、在住地主義をとっておりますので、県外の高校に通う場合、捕捉が難しいと、こういった問題点が指摘されております。
 次のページが、所得基準を見るときの課税額以外の所得基準を用いている例ということで、児童手当と学生支援機構の例を挙げております。
 11ページをごらんください。フロー図で御説明いたします。現在の就学支援金は、一番右の納付税額で判断しております。所得控除ということで枠囲いにある配偶者控除ですとか扶養控除、このような控除をした後で、さらに税率を掛け、さらに税額控除を除いた、こういった数字で今、計算しておりますが、前回の大阪府のヒアリングにおきましては、ここに書いている課税所得の金額、ここで見てはどうかという大阪府からの提案を頂いたところであります。
 児童手当においては、その隣の前年中の給与所得の金額を基本として判定されております。
 具体的には、8ページを見ていただければと思います。児童手当の場合は、前年中の給与所得の金額をベースにするのですが、扶養親族の数によって38万円ずつ基準額を上げてきているという形になります。ここでの扶養親族は、15歳以下でも入っているということでございます。さらに先ほど11ページで申し上げた、この扶養控除は15歳以下の子供は考慮されませんので、現在の就学支援金については15歳より小さい子供を持っていても、所得判定には影響されない、影響しないということでありますけれども、児童手当は、その辺を反映した仕組みになっております。
 学生支援機構の方は、11ページですと、前年中の給与収入という一番左のところで見ているということでありますが、10ページにありますように、これも世帯の数ですとか、自宅とか自宅外とかで、かなり細かく基準を分けているということで、相当工夫されたような判定の仕組みになっております。
 資料1-2は以上で、次に資料1-1の2ページをごらんください。資料1-1の2ページは、これまで山形、埼玉、長野、京都、大阪といった自治体からヒアリングを行いましたけれども、その際に頂きました主な意見をまとめたものです。
 (1)の就学支援金関係でありますが、支給期間や単位数の上限の撤廃や低所得世帯への支援の充実、授業料以外の施設整備費等の支援、また国の支援の増額というような御指摘を頂きました。
 また(2)の給付金の関係でありますが、1子と2子の差をなくすべきということや、通学費や修学旅行費の手当、また支給時期の前倒し、また事務の合理化、さらには県外に通う高校生への周知の仕方と、こういったような課題の御指摘をいただきました。
 (3)ですが、公私間格差の軽減、縮減ということで、特に初年度納付金における差が大きい。私立の支援水準を引き上げるべきだという御指摘です。
 また(4)では、多子世帯支援ということで、扶養親族の人数に応じた支援など、少子化対策につながる仕組みの導入を考えるべきだという御意見ですとか、家計負担軽減。どうしても家計が重いので支援を増加すべきだということの御指摘です。
 また(5)で、所得判定の基準で、先ほど御説明した大阪府からは、課税取得金額とすべきというような御指摘を頂きました。
 もう一点、参考資料で、大阪府から満足度調査というのを頂いております。これは前回の委員会の中で御指摘があったものです。参考資料で1ページです。例えば1ページの枠囲いの2つ目の丸でありますが、大阪府で実施している無償化制度があったから私立高校への進学を選択したとする割合は、590万未満世帯では77.2%。入学生の保護者を対象とした調査だということです。このような調査について、他の年度についても添付しております。
 11ページにつきましては、27年度の数字であり、同じような数字を付けておりますので、御参照ください。
 説明は以上です。

【小川座長】  ありがとうございました。
 それでは、今の資料に基づいた前回からの補足内容について、皆さんから質問や確認したいことがあれば、いかがでしょうか。議論については、また最後、一括して時間をとりますので、そちらの方に回していただくとして、今の説明された資料の内容について確認、質問ございますか。では小林委員、どうぞ。

【小林委員】  全体の状況は、これで非常によく分かるのですが、前回から問題になっているのは、各都道府県によって相当状況が違うということなので、都道府県別の進学率の資料とか用意していただけると助かります。かなりの差、40%程度差があると思いますので、よろしくお願いいたします。

【小川座長】  よろしいですね。

【塩田室長】  はい。都道府県別は、また改めて。

【小川座長】  はい、そうですね。どうぞ。

【大橋委員】  今の御指摘に関連するのですが、この支援金、給付金の効果を見るという観点で言うと、この頂いた指標、図は参考にはなるのですが、ただ効果では恐らくないのだろうと思っています。その効果というのは恐らく、実施したケースと実施していないケースで、どういう差があるのかというのが効果なので。
 先ほどの小林先生がおっしゃられた都道府県別に金額に差があるのであれば、その差と、これらアウトカムの差をリンク付けすることで、何か言えるかもしれないかなというところは、恐らくあるという気はしますので、都道府県の状況を見るのは一定程度意味があると私も思います。

【小川座長】  ありがとうございました。今言ったような様々な分析は、委託研究の方にお願いしているような内容なのでしょうか。

【塩田室長】  事務局で追い切れないところは、委託研究にて御相談させていただきながら行いたいと考えております。

【小川座長】  委託研究の作業が進めば、今言ったような質問に対する必要なデータを含めて、この場でまた御提供いただいて、意見交換することになるということですね。

【塩田室長】  はい、おっしゃるとおりです。

【小川座長】  はい、分かりました。そういうことですので、よろしくお願いします。
 ほかに何かございますか。いいですか。では、なければ、議題1については、これで終わらせていただきます。
 それでは、本日の本題である議題2の関係団体のヒアリングに入りたいと思います。これは前回と同じように、初めに関係団体から15分ほどの御説明を頂いて、その御説明いただいた内容について、その後5分程度、内容確認のための質問の時間を設けます。それ以降、各関係団体に同じように15分の説明と5分程度の内容確認を繰り返していただき、最後に残り1時間程度、全体に関わっての意見交換をすると、そういう進め方で、本日もやらせていただきたいと思います。
 今日の関係団体のヒアリングは、全国知事会、そして全国都道府県教育委員会連合会、全国高等学校長協会、そして最後に日本私立中学高等学校連合会、この順番で進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、最初に全国知事会より、お願いいたします。

【太田課長】  それでは、全国知事会の説明をさせていただきます。資料2-1をごらんください。限られた時間でありますので、1と2、効果とその影響と課題、この2つに絞って、知事会の要望も踏まえまして、ポイントを幾つか説明させていただきます。
 また公立高校に関する支援につきましては、全国都道府県教育長協議会さんと、考え方に違いがほとんどありませんので、私立に関する支援の部分が多くなるかと思います。
 事前に全国知事会、各構成県にお聞きしましたら、なかなか効果と影響について検証している調査やデータはなく、秋田県のデータについて少しお示ししてありますけれども、今回、資料の1、2、3につきましては、文科省が実施しております全国調査、全国会議で配付されたものを利用させていただきました。
 それでは、2枚目ですが、制度改正の効果ということであります。最初に就学支援金制度についてですが、私立学校に関しましては、制度改正で加算区分が2.5倍というのを新設されましたし、また所得の刻みも変更となりましたので、その結果、中低所得者世帯の経済的負担は軽減されたと考えております。
 掲載しました表は、平成27年度の支給金給付実績、私立分の概要です。私立では全国で53万5,261人の生徒さんが就学支援金を受給しておりますし、また加算別の割合は記載のとおりですが、全体で66.1%が受給しております。
 資料の1をごらんください。先ほど説明した表が真ん中に掲載されておりますが、各都道府県別の支給状況が掲載されております。先ほど小林委員からも各都道府県の状況、それぞれ違うというお話がありましたけれども、全国平均でいきますと66.1%ですが、私の秋田県、見てみますと85.2%と、全国平均よりも高くなっております。また逆に、全国平均を下回って50%以下という都道府県も見てとれます。
 次のページをごらんください。制度の創設、改正により、経済的理由による中途退学者数がどのように変化したかという視点で考えてみました。
 資料の2をごらんください。これは出典を下に記載しておりますけれども、毎年、文科省が実施しております児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、その中から事由別の中途退学者数の構成比の推移を抽出してあります。表の中の数値は中途退学した生徒数で割り返したパーセンテージであります。
 理由別の中ほどに経済的理由の欄がありますが、平成22年度のところをごらんいただくと1.9%となっております。前年度の数値が2.9%ですので、1ポイント下がっております。また平成23年度、24年度も1%台で推移しております。過去においても前年度比1ポイント減少ということがないため、平成22年度の就学支援金の創設、この効果が大きいのではないかと捉えております。
 しかし25年度になりますと、この調査の集計方法が変更となりまして、通信制の生徒も含む形で集計されているため、増加に転じております。現行の集計方法では、就学支援金との因果関係が分かりませんが、当方でも分析できませんので、従来の平成24年度以前の集計方法で再集計することで、影響・効果、把握できるのではないかと考えております。
 次のページは、先ほどの全国の資料もありましたが、秋田県における高校生の貸与型奨学金の推移であります。下の表が平成20年度から28年度までの奨学金の貸与を受けた人数を公立、私立別に記載したものです。
 秋田県の高校の学校数ですけれども、公立で50校、私立は5つ、5校しかございません。生徒数の割合も、公立9に対して私立が1という状況でありますので、結果として公立高校の貸与者の人数が多くなっています。
 ちなみに秋田県の私立高校が5校というのは、全国で徳島、沖縄に次いで3番目に少ない県であります。
 奨学金の貸与のピークは平成20年度でありまして、表からも確認できますが、平成20年度では貸付枠500人に対して453人、貸付率90.6%でしたが、それ以降は減少にあります。
 次のページ、上のグラフは、貸与者の人数の推移をグラフ化したものであります。一番上の折れ線が公立、私立の合計になります。ごらんのとおり、平成22年度から23年度にかけて人数が大きく減少しております。また平成27年度から28年度にかけても減少しております。
 下のグラフは、その貸与を受けた人数が前年度比でどのぐらい減少したかを表したものです。左から3つ目、平成22年度から23年度にかけて、対前年度比20ポイント大きく減少しておりますし、一番左、平成27年度から28年度にかけて11ポイント減少しております。ちょうど就学支援金の創設の時期と制度改正が浸透してきた時期と符合することから、秋田県においては就学支援金制度の効果が表れているものと考えております。
 次は奨学のための給付金制度についてです。給付金は平成26年度に新たに創設されておりますので、その対象となった生活保護世帯、市町村民税所得割の非課税世帯にとりましては、経済的負担の軽減に寄与したと言えると思います。
 平成27年度の給付実績ですが、全国で30万3,800人の生徒が受給しております。就学支援金の対象となる生徒数に占める割合は全国で12.8%となっております。
 資料の3をごらんください。各都道府県別に給付者数、給付割合を示した表であります。これも就学支援金と同様、各都道府県の経済状況、県民所得等に違いがあることから、給付割合には地域差が生じております。
 続きまして平成26年度の制度改正の影響・課題に移ります。本日、資料4として知事会からの要望案を添付しておりますが、要望は影響・課題の裏返しでもありますので、要望内容の中から主なものを、ここでは記載させていただきました。
 最初に就学支援金制度についてでありますが、(1)今後の方向性。これにつきましては、各都道府県の経済状況、公立高校と私立高校の置かれている立場、運営状況、それぞれ条件が違いますので、今後、制度の中で、どの部分を充実させていくべきかという点については、知事会各構成県それぞれの回答でした。そういった中にあっても、各県の声を聞きますと、低所得世帯層への支援を拡充、充実するべきだという要望が多かったことは確かです。
 次のページ、(2)支給月数に関して修学年限の超過部分や単位超過部分が対象外となっていることについてです。例として挙げましたのは、本人の責めに帰さない病気等で年度途中から休学を余儀なくされた生徒が、次年度に再度同じ学年をやり直す原級留置となった場合を、ここでは記載しております。
 秋田県においても今年度、平成29年度に授業料を自己負担しなければならない生徒が2名現れることが既に判明しております。勉学の意思があって、一生懸命勉強している生徒を支援できないものかと考えております。
 次の(3)、マイナンバー制度を利用した事務処理システムの導入についてです。現在、文科省において平成31年度の運用開始を目指してマイナンバー制度を利用した事務処理システムの構築が進められております。これまでの説明ですと、都道府県において一括してマイナンバーを利用した事務処理システムと伺っております。
 一方、就学支援金の認定権限を学校長に委任している都道府県では、学校において認定事務を実施しておりますので、マイナンバーを利用した認定事務になった場合であっても、学校の段階で円滑に処理できるようにしていただきたいというものです。
 次に、奨学のための給付金制度に関してです。昨年も知事会の要望として出させていただいておりますが、第1子と第2子以降の給付額に差があること、この解消が課題と捉えております。本年度、第1子と第2子以降への支給額の差は縮小されてはおりますが、既に通信制において給付額の差が解消されていることから、また申請、認定における事務負担の軽減という点も鑑みますと、給付額の差の解消ということが必要かと考えております。
 次の(2)についてですが、現在、奨学金のための給付金の申請は保護者の住所地で行うということとされております。しかし県外の高校に通っている生徒に対する、この給付金制度の周知、なかなか難しい問題がありまして、結果として申請できずにいる生徒がいるとも考えられます。
 現在、給付金制度の周知の方法としましては、他の都道府県の教育委員会、私学担当部局に対しまして、秋田県ですと「秋田県出身の高校生への制度の周知をお願いします」という文書を年2回発出しておりますし、またホームページでも制度の周知は図っております。真に給付金の支援を必要としている生徒、保護者の方々が、制度の存在を分からない、申請できないでいるようであれば、その不具合を解消しなければならないと考えております。
 次に3、共通事項ということで、2つの制度に共通したものを2つ記載させていただきました。
 1つ目は事務手続の更なる簡素化です。両制度ともに申請、認定時期が集中しております。高校入学時の4月、5月、それから給付金の申請と生徒からの収入状況届の事務が重なる7月、8月と、大きい波が年度の前半に来ておりますので、学校、都道府県ともに事務量が一時期に相当増えてございます。また認定に関わる添付書類も多いことから、生徒、保護者の負担にもなっておりますので、なお一層の工夫、見直しが必要と考えております。
 最後の(2)所得の判断基準の在り方についてですが、現在、世帯の収入把握のために課税証明書を添付させて、市町村民税所得割額で判断しております。確かに、ほかの税額控除などの影響で、正確な額が把握できないのではないかという指摘があることも承知しておりますけれども、全ての生徒、保護者が提出できる公的な証明書として、ほかに代わり得るものが何かあるのかといいますと、具体には提案できません。
 例示しておりますのは、給付ではありませんが、保育料の徴収基準ですとか、そういった福祉サイドにおいても、課税証明書を用いて市町村民税、これを判断基準としているものもございますので、生徒、保護者、学校等の担当者にとっては分かりやすい手法なのではないかと考えております。
 また制度創設後3年経過して、ようやく制度が浸透してきているこの段階で大幅にやり方を変更するということになりますと、現場での混乱につながるのではないかと思いますので、現行制度を基本としつつ改善点を探っていくのがベターなのかと思っております。
 以上で説明を終わります。ありがとうございました。

【小川座長】  ありがとうございました。今の全国知事会からの説明について、何か御質問、確認したい点があれば、よろしくお願いします。議論は、また後で一括してやりますので、質問、確認に限らせていただきます。では末冨委員、どうぞ。

【末冨委員】  御説明の資料の7枚目ですけれども、支援への優先順位については地域差があるということでしたが。例えば秋田県のように私学の比率がかなり小さい県と、それから東京都が最も大きい都道府県ですけれども、そうしたところで、どのような主張のポイントがあるのかということをお教えください。

【太田課長】  例えば先ほど支援金の各都道府県の支給実績ありましたけれども、高い県――秋田県も高い方ですけれども――、秋田県の方でいきますと、私立の授業料、2万4,000円から2万8,000円ぐらいで、ここ数年ずっと収まっております。そうしますと加算金、2.5倍の加算、プラス軽減補助制度を使いますと、ほぼクリアできる。そういう県からのお声は、もっと低所得者層の支援を厚くするべきだということでございます。
 一方、その支援金の支給の比較的低いところでいきますと、やはり私学の授業料が高いので、もう少し上の層まで見てほしいと、そういう2つに意見が分かれるような回答でしたので、なかなかここでは知事会として一本で、どちらの層ということは、ちょっと御紹介できませんでした。

【末冨委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  よろしいですか。

【末冨委員】  はい。

【小川座長】  ほかにいかがでしょうか。小林委員、どうぞ。

【小林委員】  これは知事会の方に御質問というより事務局の方になるかもしれませんけれど。都道府県をまたいで移動する生徒がいることが一つの問題だというお話で、それはそのとおりだと思うのですが、それについて、学校基本調査等でデータがあるのでしょうか。大学の場合には、そういうデータがあるのですが。今でなくても、また調べておいていただければ結構ですけど、特に公立と私立に分けたデータが必要です。ですから、そういうものがあれば、どの程度の規模かということも分かりますので、よろしくお願いします。

【小川座長】  文科省の今の時点では、すぐにデータはお分かりになりますか。

【塩田室長】  すぐには御提示できません。

【小川座長】  分からないですね。では、また調べていただければと思います。
 ほかに。では末冨委員、続けてどうぞ。

【末冨委員】  今の点に関連してですが、高校進学後の周知は、県境をまたいぐと、かなり難しいことですよね。このときに、中学校の進路指導等からの連続性というのがかなり重要になってきまして、市町村によってですが、高校の進学後に、こういう制度があってこの書類はどこへ、この書類はどこへ出しましょうということを、教職員やスクールソーシャルワーカーの連携の中で、かなり丁寧に低所得世帯に支援されるケースもあります。そうしたことについて、例えば秋田県ですとか、全国の中で、取組状況など御存じでしたら教えていただきたいです。

【小川座長】  どうぞ。

【太田課長】  他県の状況、把握できておりませんが、秋田県ですと、秋田県、立地が非常に北の方に位置していますので、例えば千葉から東京とか、埼玉から東京と、そういう通学というのは、まず、ほとんどないです。県境、秋田から山形へとか、秋田から岩手とか、あとは本当に下宿して他県にというような割合ですので、ここ3年ぐらい見ますと、大体1%ぐらいが県外の高校に進学しています。スポーツ等で行かれる、ありますけれども。ですから1%の方に、どれぐらい市町村がフォローできているかというのは、データないのですが、多くは地元に進学しますので、そこまで手厚いフォローをしていないかもしれません。

【末冨委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  よろしいですか。どうぞ、続いて何か確認あれば。

【末冨委員】  内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議でも問題提起はしているんですが、市区町村の方から言わせると、高校に進学したときに1つ支援の切れ目があると。それは義務教育までが市区町村所管であるということと、高校行政になると都道府県行政になりますので、なかなか支援がうまくバトンタッチできない。高校の方からも、その進学した生徒が住んでいる自治体にサポート状況を聞きたいのだけれども、つながり方が分からないというような状況がありますので、秋田県に限らないことなのですが、義務教育と高校進学の間の切れ目をなくすときに、恐らく中学校の進路指導ですとか、進学時の各家庭、生徒への申し継ぎですとか、進学先への引継ぎというのは、丁寧に整理されると、連携調整のコストも多少はございますが、受給漏れですとか、支援の切れ目がなくなるなと個人的には考えておりますし、子供の貧困対策の、国の方でも問題提起はしておりますので、少し意識していただけると、より多くの子供に支援が届くことと存じます。

【太田課長】  ありがとうございます。

【小川座長】  それに関わる意見交換について、また後で行いたいと思います。
 ほかにいかがですか。では私から1点確認いたします。もしも正確なデータあれば教えてほしいのですが、8ページの就学支援金の認定権限を学校長に委任している都道府県もあることからとありますが、これ確かに今までも申請書類をいろいろな事情で準備できない場合等々もあって、こうした学校長に委任しているという話も幾つか聞いたのですが。これ具体的に何県ぐらいの都道府県が、こういう仕組みをとっているかというのは、お分かりですか。

【太田課長】  秋田県では全国の状況は分からなくて。まして秋田県の事情、先ほど御説明しましたように、5つしか高校がありませんので、委任することなく、全て県教委で認定していますので。どうですかね、文科省の方で。

【小川座長】  分かりました。文科省は、そういうデータ、把握していますか。なければ、これも後で。

【塩田室長】  整理させていただきます。

【小川座長】  次回、整理していただければと思います。

【塩田室長】  はい。

【小川座長】  ほかにいかがですか。
 では、なければ、全国知事会の説明についての質問等々については、これで一旦終わらせていただきたいと思います。また後ほど時間をとって、議論については行いたいと思います。
 では次に、全国都道府県教育長協議会より、お願いいたします。

【中西課長】  それでは、全国都道府県教育長協議会から御報告をさせていただきます。資料2-4の4ページからです。
 まず1点目の現行制度による効果・影響についてですが、各都道府県の教育委員会にも照会させていただきましたけれども、効果について具体的数値で検証したものはございませんが、この給付金の創設によって、特に授業料以外の教育費について、給付金によって保護者の負担が少なくなるというようなことで、一定の効果があったという評価が得られております。
 そして次に、今後の修学支援の方向性についてのアンケートがございました。1、2、3につきましては、これは低所得者を中心に就学支援金の加算が拡充されたということで認識しておりますけれども、この1、2、3につきましては、私立高校等を対象としておりますので、当会としては優先度について回答を差し控えております。
 ただ、6、その他に書いておりますように、これは、この5の所得制限の緩和、撤廃を今後していただく場合には、定時制、通信制に通学される、学習される生徒は、学びのセーフティネットということで必要なところでありますので、ここの無償化を先行的に実施いただきたいと思います。
 次の(2)の奨学給付金の充実の方向性として、どういった方向性については、 1つ目として、一番優先的には、まず第1子の支給額の引上げ。2番目には、第2子以降の該当範囲の拡大です。それから、その次に第2子以降の支給額の引上げを要望いたします。これは、その他のところにも書いておりますけれども、まず、全ての意思ある生徒が安心して教育を受けられるよう、給付金につきましては所得制の緩和で支給対象範囲の拡大を行うことを求めます。第1子、第2子の支給額差については、まず低額となっている第1子の支給額を第2子並みに引き上げること、そしてその次に、多子世帯への給付額の充実を図るというような優先でしていただくべきとの意見がありました。
 (3)の就学支援金、それから奨学給付金等の現行制度について見直すべきと考える課題や要望についてですが、まず1つとしては、就学支援金の制度について、修業年限超過部分、それから単位超過部分等を対象外とせずに、その部分についても支給対象となるような制度にしていただきたいと要望いたします。先ほど知事会からの同様の意見が出ておりましたが、宜しくお願いいたします。
 就学支援金制度につきまして、所得制限の関係で発生します人的経費や事務費。これは、各都道府県の教育委員会に照会しましたところ、意見が非常に多くありました。この点の財政負担を是非、国の方で措置頂きたい。
 奨学給付金制度につきまして、保護者が在住している都道府県が給付金を給付するという制度になっておりますが、都道府県外の高等学校等に通学する生徒の保護者等の把握が非常に困難であるため、就学支援金制度に合わせて、生徒が在学している学校のある都道府県が給付する制度、これを統一化していただきたい。 
奨学給付金について、現在3分の1の国庫補助になっている。これも国への要望となりますが、全額国庫負担にするとともに、就学支援金制度と同様に人件費、事務費等の経費についても地方に財政負担をさせないような措置をお願いしたい。
 仮に全額国庫負担とした場合には、在校地主義・在住地主義の区別がなくなりますので、就学支援金、それから奨学給付金の申請先を在学する学校に統一することで支給漏れの防止、それから周知の簡素化を図ることが可能となります。
 現場におりますと、保護者等からの問い合わせの電話が来ます。かなり保護者の方々、この制度自体を理解していただくのが非常に難しいという点がございます。そういった点で、保護者に分かりやすい制度とするよう強くお願いします。
 それから、これは家計急変の問題です。保護者の失職、それから倒産などで家計急変が起こったときの経済的理由から授業料の納付が困難になった方に対する支援ですが、住所地によりまして支援の認定状況が変わる状況となっております。これはそれぞれの都道府県で対応しているというところですが、全国で統一した基準を設けていただきたい。併せて国に対して財源の措置もお願いしたい。
 (4)の所得制限についての問題です。先ほどからも、このことは出ておりますけれども、収入状況の把握の点で言いますと、現在のやり方といいますのは、生徒、保護者への説明としては非常に分かりやすいというのは、確かでございます。基本的には現行の収入状況の把握方法を基本にすることがいいと思われますが、次のような問題点が挙げられます。
 義務教育の県費負担教職員制度の見直しに伴う政令指定都市へ税源移譲により、政令指定都市とその他の市町村との間で市町村民税に差が生じるということが予定されているとお聞きしておりますが、そのことによって、市町村民税に差が出るということ。それから問題になっております寄附金税額控除です。これによる課税額の変動に伴いまして判定結果に不公平感が出るのも確かです。
 それから、そういった点で、この所得割額を基準とするのではなくて、課税所得金額を基準とするような改善の方法もあるのではないかという意見が出ております。
 次にマイナンバー制度導入についてですが、このマイナンバー制度導入に併せて、こういった先ほどの所得の測り方について、公平かつ容易に認定基準を計算できる仕組みを考えることが重要であるとの意見が出ております。
 仮にこのまま市町村民税、所得割額を用いるということであれば、判定基準を税額控除前の額としてはどうかというような意見が出ております。
 現行の把握方法を基本としながら、以上のような問題点について、対応をいただきたいと思います。
 また、所得確認に対する事務の負担が増加しており、生徒・保護者の申請手続が大変だというような保護者からの意見もあります。それと所得控除の対象外となっています16歳未満の子供のいる世帯の教育費負担を考慮した基準とはなっていないということで、そういったものが必要ではないかという意見が出ています。
 これは基準日時点の収入状況の把握の問題ですが、所得割額は当然、前年の1月から12月までの収入状況が反映されているということでありますが、奨学給付金基準日であります7月1日時点におけます収入状況は反映していないという問題があります。ここも分かりやすいという点では、現行の収入状況の把握の方法でやむを得ないのかなという意見はありました。
 それから、これは最近、私ども奈良県の方でも何人かの生徒が出てきておりますけれども、海外在住の保護者の方の問題です。保護者個々の事情がありまして、事実婚、それから別居状態というような状況。これは、こういった状態自体が経済的なものにストレートに影響するような話ですけれども、必ずしも現実の収入の状況と一致しない世帯があるということで、これらの改善策の検討が必要であるというような意見もあります。これも、こういった問題点があるということを指摘させていただきます。
 最後に、自由に記述してくださいということで、それぞれの事務方も含めての意見を書かせていただいております。先ほど末冨委員からありましたけれども、本制度全般についての基本的な考え方として、子供の貧困対策の観点から修学支援の充実を今後とも図ることが基本と考えます。先ほど私ども奈良県の事務局で言いましたけれども、生徒、保護者からの問い合わせが非常に多くなっているという点では、分かりやすい制度にすることが望ましいのかなという意見であります。
 それから、いろいろ御議論いただいている中でございますけれども、制度検証等にあたってはパブコメが必要ではないか、との意見もありました。
 地方の負担増大の実態ということで、この制度になってから非常に事務員の負担が大きくなっているというようなじょうきょうにあります。
 制度の見直しに当たってその他の留意点というところをお願いしたいと思います。今後のことも含めてなのですが、生徒、保護者の経済的負担が生じる時期に給付等の対応可能なスケジュールの支援制度となるよう、この辺については一度、精査が必要と考えます。
今後のこういった制度改正、見直のスケジュール感をお示しいただきたいというのが、現場の意見が出ておりました。適時の説明、広報についてもお願いしたいということであります。
 何度も出ておりますけれども、保護者の方の課税証明書等を発行してもらうために市役所等の窓口に出向くことが負担になっているということであります。これはマイナンバーも含め、ほかの方法というようなことも出てくるかと思いますけれども、そういうことが意見として出ております。
 教育費については、授業料のほかに学年諸費、通学費、それから塾代、それらの負担が重く、それから世帯所得と子供の数によって教育費負担に大きな格差があり、ますます大学進学、私立高校入学によりまして、負担は増大しているということで、特に多子世帯への支援を充実していただいたらどうかという意見も出てございます。そのためには奨学のための給付金とセットで見直しを検討していただきたいということであります。
 それから所得の申請がなされていない保護者の方。そもそも所得の申請を出されるかどうかという問題はあるのですが、そのことによって課税証明書が提出できていないというような現実の問題があります。ここでは都道府県からは、学校長の裁量で認定できないかというような意見が出ておりますけれども、そういった実態があるということであります。
 最後に、学び直し支援金について、就学支援金の修業年限超過分、それから冒頭でも申し上げましたけれども、単位超過分の撤廃をしていただいて、就学支援金に統一していただいてはどうかというような意見が出ておりました。
 あとは、給付型奨学金制度の推薦方法について、日本学生支援機構から、来年度から本格実施いただきます給付型奨学金についてですけれども、これが高等学校等におきまして推薦事務を行うということになっております。この辺の事務負担が増大するので、推薦方法については御考慮いただけないかというような意見も出ておりました。
 非常に雑駁で申し訳ございませんが、現場の意見として、配慮をお願いいたします。
 以上でございます。

【小川座長】  ありがとうございました。今の御説明の内容について、何か確認したいこと、質問がございましたら、いかがでしょうか。柴田委員、もしもあれば、よろしくお願いします。

【柴田委員】  大丈夫です。ありがとうございます。

【小川座長】  はい。いかがでしょうか。末冨委員、どうぞ。

【末冨委員】  6ページのところで御説明いただいたと思うのですが、保護者にとっても分かりづらい点があるとおっしゃっておられたのですが、具体的には、どのような点が分かりづらいとか、問い合わせがあるのかというところをお教えいただきたいのですけれども。

【中西課長】  まず分かりづらいという点では、従前の授業料免除の制度を御存じの方、特に分かりにくいようで、所得制限に伴って低所得者に対しての支援ですよという点で、具体的に基準を申し上げても、支援金の方ですけれども、自分がその対象になっているかということが、なかなか即座に判断できないようなところがあるようです。
 市町村民税のその額等、いろいろ見れば分かる話なのですが、その前に、自分はまず、そういう低所得者ではないというような感覚をお持ちの方がちらほらおられます。そういう点では、やはり、そういった表現の仕方が分かりにくい。丁寧に説明をさせていただいて、理解いただくようにはしておりますが、そういったことがございます。
 御質問いただきましたので、申し上げますと、この制度のことを十分に認識いただいて、申請の漏れがないようにというのが一つあると思います。制度を十分理解いただいて、これを活用いただくというのが大事なことだとは思うのですが、そういった点で、私どもとしてはチェックリストを作って、各生徒さんに全部配付をして、それを必ず出していただくというような取組はさせていただいているところであります。

【末冨委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  よろしいですね。いかがでしょうか。では、先に進みたいと思います。
 では次に、全国高等学校長協会より、お願いいたします。

【岡本校長】  全国高等学校長協会、管理運営研究の委員会を担当しております岡本と申します。私どもの委員会では毎年、管理運営に関する課題を調査研究しておりまして、この中で人事制度であるとか人材育成、施設設備、喫緊の課題等を調査しているところでございます。
 今回頂きました高校生等への修学支援の件につきましては、全国からの意見集約という形ではないものですから、そういった点を御考慮いただきながら、お話を聞いていただければと思っております。
 資料2-2につきましては、小野村の方から御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【小野村校長】  よろしくお願いいたします。資料は2-2、A4、1枚の方にまとめてあります。
 岡本から今、話ありましたように、全国校長会の方から年1回のアンケートをとっておりますが、このことについてのアンケートではありませんので、そこを鑑みながら事務局と相談をしてまとめたものであります。一部、我々の東京都の方の意見が反映し過ぎている面あるかもしれませんが、お聞きください。
 まず大きく2つに分けてお話ししたいと思います。1つ目は内容あるいは考え方について、2つ目は事務手続上の課題といったことで、2点に分けていきたいと思います。
 まず前提として、この修学支援の制度については、多くの世帯にとっては大変ありがたい制度で、ますます進めていただきたいものと思っております。その前提の上で、まず内容、考え方です。ここでは効果・影響・課題として一くくりにしてしまいましたが、まず方向性として、ほとんど、かなり多くの中学生が高校に進学するようになって、こういった制度、活用できる世帯が増ましたが、やはり高校は義務教育ではありませんので、義務教育と高等学校の教育との大きな差があります。将来的に高等学校も国として義務教育化していくというような方向であるのであれば、この制度を活用して進めていただくことはいいと思うのですが、現在の段階で高等学校として考えると、一律にこのような形で経済的な支援を各世帯に与えるというのは、かなり様々状況が変わっているところもあって、全部の保護者にとって有効な支援かどうかということは疑問です。つまり、内容とか考え方というのはそのようなところなのです。
 先ほど全国知事会さんの資料の中で、文科省の調査で、中途退学の事由別のデータが載せていただいておりますが、やはり高等学校の中途退学というのは大きな課題なのですが、必ずしも経済的な問題で中途退学する生徒が多いかというと、決してそうではない。それ以上に、意欲とか、生活習慣とか、そういったところで高校を途中で辞めていく、あるいは来なくなるという生徒が非常に多くなっています。
 そのような中で、もともと高校進学をそれほど希望していないけれども、こういう制度があるのであればいいかなという程度で進学してくる生徒の定着率は、やはり、それほど良くないのではないか。これは今データとっておりませんので、数値としてお示しするわけにいかないのですが、いろいろと聞くところでは、やはり初めから高校進学の意欲というところで課題がある生徒は定着率が低いと思われます。
 そうなってくると、収入とか家庭の状況によって修学支援するという、その考え方とともに、また別の方法で、能力や意欲や、そういうところを判断して厚く支援していただいた方が、伸びる生徒はいるのではないかと。これはかなり大胆な言い方ですけれども、そのような印象を持っています。
 東京都には公立で200校、私立もそれ以上ございます。各都道府県、人口によって、かなり多くの学校があると思うのですが、特色化を図っておりますので、学校によって大きく差があります。
 こちらも、もちろんデータはとっていないのですが、東京都にある、例えば進学指導重点校という学校と、それから生活指導困難校という言葉が正しいかどうか分かりませんが、そういった学校と比べると、保護者の経済状況も大きく違うという印象があります。そのような中で今、例えば大学とか上級学校に進学するときにも、高校の勉強だけではなくて、家庭教師を付けたり、塾に行ったりと、そういったことで実現している。この制度が今どこまで全ての生徒に効果を与えているかということは、まだ判断しにくいと思います。
 それから、家庭の状況が非常に様々あります。なかなか、先ほどもお話出ていました、所得等だけでは判断し切れない部分がありまして。レアケースなので、ここでそれを取り上げて議論するというのは適切とは思わないのですが、生徒がアルバイトをして保護者を養っているような、そのような家庭も実は散見される中で、保護者の経済状況によって、あるいは第1子、第2子など、そういうくくりの中で支援が決まっていくというのは、ひずみも出てくるのかな、そんな印象を持っております。
 2番目に、事務手続の課題についてお話しします。先ほど随分お話出ていたと思うのですが、事務作業上、気を遣う作業なので、作業量も多いですので、この時期、かなり厳しい状況があります。東京都の場合は特別に、この作業をするという目途で人的な配置を一定期間配置してもらっていますが、それでも、その配置の時期とか、期間とか、そのようなことを考えると、必ずしもうまく機能していない。
 大体、各学校、7クラス21学級規模の学級ですと、行政系の事務職員が4人ないし5人というのが通常です。そのうちの1名が、ある時期、2か月から3か月ぐらい、この作業にとられると、ほかの学校業務が滞るという現象は起きております。
 さらに、先ほど保護者の理解が難しいというお話がありました、そのとおりで、十分な書類がそのまま出てくるとは限らない。むしろ不備な書類が非常に多かったり、それを審査して、チェックして、管理して、また書いてもらってということが大変煩雑になっております。個人情報を含みますので、経由する担任、そして事務方の職員、かなりこのことについて時間も神経もとらわれているところがあります。もっと分かりやすくしていただけたらありがたいなと思います。
 例えば、これは一部の行政系の意見を聞いただけなので、もちろん全体の意見ではないのですが、学校で手続をしなくて、初めから減税の形でできないだろうかと、そのような意見も出ているところであります。
 以上、雑駁ですが、 以上です。

【小川座長】  資料2-2の2、3、4、5とか、要望の1のところについては、御説明なくてよろしいですか。

【小野村校長】  はい。御一読いただければ結構です。

【小川座長】  はい、ありがとうございます。それでは、今の全国高等学校長協会の説明について何か御質問、確認したい点があれば、お願いします。かなり大胆な見直しの提言もありましたけれども、これは後で議論するとして、何か内容についての確認したい点、御質問等あれば、いかがでしょうか。柴田委員、どうですか。大丈夫ですか。はい、分かりました。では、大橋委員、どうぞ。

【大橋委員】  どうも御説明ありがとうございました。大変参考になったのですけど。
 1点確認なのですが。東京都においてというところの御説明だったと理解していますけど、東京都においては、経済的な事由で高校に進学できない人は、それほど問題ではないというか、余りいないという御趣旨でよろしかったでしょうか。

【小野村校長】  いえ、そこまでは思っておりません。確かに、そういった生徒も多くいると思うのですが、それ以上の事由で進学を断念したり、あるいは途中で中途退学したりする生徒の方が多いといった趣旨であります。

【大橋委員】  やはり、その後者を増やすことの問題の方が、前者の問題よりも、より深刻であると。一種の統計的過誤の問題だと思うのですけど。

【小野村校長】  はい、そうです。数からして、別の側面の課題解決の方を急いだ方がいいのではないかと、そういう趣旨であります。

【大橋委員】  理解いたしました。ありがとうございます。

【小川座長】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 では、なければ、私の方から2点教えてほしいのですが。資料2-2の効果・影響・課題の3のところに、経済状況により私費(学校徴収金等)の未納の家庭が増えている。そのような私費未納金の対策も必要になっていると。これの具体的な背景等々について、どのようにお考えかをお聞きしたいのですけれども。
 授業料が無償になったことで、いろいろな層の、所得層の子供たちが高校に進学してきた。そういう、授業料は無償になったけれども、ほかの諸経費のところでなかなか、授業料で浮いた、家庭における経済的な余裕というところが、うまく私費の納付金の方に回らないという趣旨なのでしょうか。
 授業料無償化等々によって、例えば学校外の教育経費が増えていると、そういうデータもあるのですが、これは今回の授業料無償とか、支援金とか、給付金と、どういう関係で、私費が増えたという説明なのでしょうか。

【小野村校長】  これは今に始まったことではなくて、修学支援の制度とはまた別のところに存在する課題なのですが、学校徴収金という私費と言われているもので、授業料は納めていても、あるいは支援してもらっていても、例えば教材費が、家庭科の実習をするときの材料費を払っていない、あるいは修学旅行に行く積立てができていない、遠足に行くお金がないといった、そんなことで、教育活動に全て参加できない生徒が少なからずいます。
 この問題は、もちろん修学支援とは違うのですが、授業料と。要するに学校に進学についての支援できているけれども、その他のところが結局十分でないために、ほかの生徒と同様の教育活動が受けられない現実がたくさんあるということで書きました。それでも学校に来れているわけですから幸いなことだとは思うのですが、現場では今、そのようなところは苦しんでいるところです。

【小川座長】  一定層の低所得層に対しては支援金、授業料無償のほかにも奨学給付金という形で、今言ったような諸経費は支援されていますよね。そういう中にあっても、やはり、こういう私費の未納は増えていると理解してよろしいのですか。

【小野村校長】  正確なデータで増えていると言い切れるかどうか分からないのですが、一定数の生徒が未納世帯があって、それを督促しても納められない。決してお金がないわけではなくて、納めない家庭があったりとか、そんな課題を今、現場は抱えております。
 岡本の方からも補足をいたします。

【岡本校長】  失礼いたします。なかなか私費の問題につきましては、それぞれ東京都でも新たにやっていただいているところなのですが、実際に、これはまた別の話になるのですが、健康上の管理なども、なかなか生徒たちで厳しいという生徒がいます。
 自治体によっては、中学校までは医療費が無料で、何かあったときにはお医者さんに掛かるということがよくあるのですが、高校生になると、それができなくなって、なかなか医療に掛かれないということもあります。具体的にどういう形で出せないのかというところまでは、調査をしておりませんので分かりませんが、そういった状況もある中で、私費についての負担ができていない状況もあるという趣旨で、今回書いておるところです。
 以上です。

【小川座長】  ありがとうございました。
 ほかに。では末冨委員、どうぞ。

【末冨委員】  恐れ入ります。かなり東京都の都立高校の事情が反映されているなと思っておりまして。私も都立松原高校、定時制の学校運営連絡協議会委員もやっているのですが。まさに効果等の2点目でおっしゃっておられたように、今、一人親が多いのは当たり前ですけれども、外国籍ですとか、親子別居とか、親御さんが所在不明になられるケースなどもございまして。この会議自体は高校就学支援金の仕組みを良くするための会議ではあるのですけれども、こういった際に、例えば外国籍ですとか、親御さんの所在が分からない、あるいは親子別居といういろいろな形がありますが、といったときに、具体的にこういうサポートが国としてあればいいというようなことがありましたら、是非お教えいただきたいのですけれども。

【小野村校長】  そうですね、他県でも同じような事例は聞いていますので、東京都特有のものではないと思うのですが、最近こういった事例が増えていることは確かです。ついては、やはり自治体の方で親代わりのようなことをしてもらえるような制度が欲しいなと思っております。お答えになっていますか。

【末冨委員】  それは、すみません。手続上、例えば代行権を、委任をもらうということにすぎず、高校生の生活支援的な側面も含むという理解でよろしいでしょうか。

【小野村校長】  もちろん生活についても支援してほしいのですが、まずこの制度のことで言うと、書類作成とか、そんなことも含めて、できない家庭が結構あります。ですから、修学支援という今のこの会議の中で言うと、そういったサポートを自治体の方でしてもらえるとありがたいということです。

【末冨委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  よろしいですね。家庭の状況の多様化という中で、今のような申請手続とか云々と、そういう制度だけで対応できないような問題もでてきているのでという話も含めて、今の問題提起があったと思っています。その辺も含めて、また後で、意見があれば、いろいろ意見交換してみたいと思います。
 よろしいですか。ありがとうございました。
 では、最後ですけれども、日本私立中学高等学校連合会より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【福島事務局長】  日本私立中学高等学校連合会でございます。よろしくお願いいたします。
 本日でございますけれども、2名で参加しておりまして、まず東京の順天中学高等学校校長で、私ども連合会常任理事の長塚と、私、事務局長の福島でございます。それぞれお話をさせていただきます。
 まず私から、私立高校の立場から考える制度改正の効果・影響、さらに見直しの方向、さらに見直しの方向に対する我々としての要望ということの概要をまず申し上げて、その後、長塚常任理事からは、私立高校の教育と費用の関係という観点で御説明を申し上げてまいります。
 制度改正による効果・影響について、資料の方にもお出ししておりますが、言葉で若干簡単に申し上げます。
 制度改正が加算という形で行われまして、これに呼応する形で幾つかの都道府県で私立高校への上乗せ支援が行われました。その結果、授業料については、先ほど全国知事会の先生から御説明があったのですが、低所得者層の250万未満世帯は、形はどうあれ、私立高校の授業料という観点で見ると、実質的な無償化がほぼ実現がほぼされているという状況になっております。さらに、その上の350万世帯でも実質的な無償化が拡大をしていると、こういう数値的な効果があるということです。
 それで、これらの加算、あるいは各県による上乗せ支援というのは、これはどういうことになるのかといえば、私立高校の立場で考えれば、中学生の進路選択に際しては、これまでは経済的理由で対象外となっていた私立高校も進路の対象校となったという事実はございましょうし、それによって、中学生にとっては進路の幅が広がったと、こういうことも事実だと思います。これは制度による効果・影響ということだと思います。
 それで、その数値を裏付けるものとして、私立高校のいろいろな数値が上がったという実績はございます。これも資料の中にありますけれども、22年に、この制度、民主党政権からですけれども、始まりそれで3年前に改正が行われたわけですが。22年度当時、私立高校の1年生入学の定員充足率というのは全国で86.5%であったわけですが、その後、徐々に上昇いたしまして、一番近いところで28年度で見ますと、89.6%という数値に上がっております。さらに高校1年生の公私、公立と私立の比率で見ますと、これも全国ですけれども、22年度当時は私立高校の割合は全国で29.9%であったものが、年度を追うごとに増えまして、26年31.4、27年31.6、28年度は31.9と、俗に言うシェアという面で見ますと、私立高校のシェアが増加しているということが、数値としては表れております。
 ただこれは、具体的な名前を言って申し訳ないのですが、大阪、京都というような大規模な自治体が大幅な上乗せ支援をしまして、公立高校入学するのと、ほぼ同水準の負担で私立高校入学も可能になる形をとったという影響が大きくて、この2県で、かなりの私立高校入学者数が上がったと。これが全国の比率を押し上げているという側面があります。
 逆に、この間、29年度はまだ分かりませんが、この28年度までの間では、神奈川、東京は数値を下げているという実態もございます。それが第1点の問題です。
 さらに見直しの方向について申し上げますと、現行の支援金制度は、我々の私立高校の立場で申し上げますと、そもそも支援金の基準額というのが、制度発足時の平成22年度の公立高校の全国のモデル数値、1万8,800円、それをそのまま私立高校もその分を支援金として出すいう形でございまして、この基準額が私立高校の実際の授業料、あるいはその他プラスアルファの施設設備費等も徴収しているわけですが、それを負担する私立高校生にとっては格差があるということです。
 この格差を埋める措置として、加算措置というのが私立高校には導入されまして、加算措置が22、3年前から大幅に増額、拡充されたわけですけれども、それでもなお、まだ私立高校生徒は一定水準以上の負担をしているという現実があります。
 それで、方向性として我々がイメージしておりますのは、当面の問題としては、例えば最近の例としては、自由民主党の教育再生実行本部が提言として出しておりますが、この就学支援金制度が、全国の私立高校授業料の全国平均額、約39万円なのですが、これを上限額として全ての高校生を対象にして、設定すれば、私立、公立、国立を問わず、全て授業料は全て何とかカバーできると。県によっては、これを上回る平均額となっているところもありますが、それはその分は県が考えるということになると思いますけれども、そういうプラン。さらに年収制限というのも撤廃を検討すべきだという方向を我々は考えております。
 それから奨学給付金のことなのですが。これは先ほどの御説明の中にも幾つかありましたけれども、同じく、これは、やはり私立高校の場合は負担が授業料以外にもありますが、これも少しでも拡充をお願いしたいということを申し上げるほかはないわけで、具体的な問題は、この奨学給付金が居住地の当局から直接給付されるということで、学校サイドとしては、なかなか実態の把握ができないということでございますので、アンケート調査では優先順位という回答は、しづらいということであります。
 それから制度見直しの方向性の要望ということで、これは先ほど申し上げました見直しの方向と幾分か重複いたしますが、現行制度の基準額が、22年度当時の公立高校の授業料相当額ということであります。もっと厳密に言えば、地方交付税の単位費用の控除額となる単なる数値でしかなかったということであります。これをいまだに基準にしているというのは、我々としては、なかなか納得し難いものがあるということは事実でありまして、私立高校の負担する差額分について、各都道府県が上乗せ支援をしているという現実が出ております。この上乗せ支援は、財政力の豊かな県は、そういうことができるということですが、財政が厳しい県では、そういう上乗せができないと。そうすると新たに、この上乗せ支援の競争とは言いませんが、そういう形でなされていくと、都道府県間で修学支援水準の新たな格差が生じていると、こういう現実がありますので、この格差は何によって生じたかというと、今、国の支援金の現状が現実に即していないということの一つの反映だろうと思いますので、この制度を創設した国によって全国一律の一定水準以上の基準額の見直しが、是非実行していただきたいということであります。
 さらに、先ほども、これ申し上げましたけど、年収の制限を撤廃するような御検討を頂きたいということも併せて申し上げておきたいと思います。
 それにもう一つ、さらに申し上げると、今、政治の世界も含めて教育の無償化ということが議論され始めておりますので、この行く末をよく見定めながら、公私間の負担格差、我々の私立高校の都道府県間の負担格差是正に資するような制度に改正していくことも視野に入れて、更なる基準額の増額ということを私立高校としては申し上げたい。私立高校の学納金といいますか、学費は、授業料だけでなくて施設整備費等も生徒が負担しなければいけないという現実がございますので、そういうことを今現在の数値で考えますと、39万円余りの授業料の平均額プラス約17万円の施設設備関係の費用も負担しております。計56万円という数値がありますが、そういうことも念頭に入れながら、更なる見直しも考えていただきたいということです。
 それから、もう一つだけ付け加えて申し上げますと、就学支援金制度ができたことによって、私立高校が、それにもかかわらず授業料値上げしているではないかという御指摘もあるやに聞いておりますが、これについて私どもの立場から申し上げてみたいと思っております。
 そこで、よくよく考えてみますと、就学支援金制度というのは、今まで、この高校生が学ぶことについて要する費用を誰がどの割合で負担するかという問題を、今まではこれを親御さんがほとんど負担していました授業料の一部を国あるいは都道府県が肩代わりをするという仕組みでありまして、私立高校の側からすれば、この就学支援金の代理受領をしておりますけれども、その分はそのまま授業料と相殺するという仕組みでございまして、何ら就学支援金によって学校の収入増につながっているということではありません。これは誤解なきよう、お願いしたいと思っております。
 それで、これに関連して、さらに申し上げますと、この制度が発足しました22年度当時、文科副大臣名で通知が発出されまして、その中で就学支援金制度導入に伴って合理性のない値上げは好ましくないという見解が示されたわけですが、それに対して我々の連合会としては、文科省の担当部局に、このことについての説明を求めたと同時に、私立高校の授業料は、どういう性格と理解すればいいかということを照会したところ、資料の中にもありますけれども、私立高校の授業料の決め方、設定は、設置者の権限と責任において行われるものであるという御見解を頂いております。これは至極当然の御見解だと思いますけれども。ということになりますと、就学支援金制度において、公費によって保護者の経済的負担の軽減策が全国的に実施されているという趣旨は重く受け止めるとしても、それは私立高校設置者の側からすれば、授業料を値上げするに際しての重要な判断要素の一つであることは間違いありませんが、例えば学校の財政状況、あるいは値上げすることによって生徒募集への影響、それから、その学校の所在する地域の状況等々と併せて一つの判断要素として、この就学支援金によって国全体で高校生の学びを支援するという崇高な趣旨を勘案するという意味では、重要な意味だとは思いますが。
 ただ、私立高校が、やはり自立的な経営を続けていかなければいけないということになると、自らの授業料をどうするかという瀬戸際の判断に至れば、先ほど申し上げたとおり、あくまでも自らの授業料設定は権限と責任において行うと。その権限、責任の中では、それもまた判断要素として重要視して考えるということであります。
 それで、もう一つだけ申し上げますと、私立高校にとって授業料はどういう位置付けになっているかというと、これは、やはり私立高校の収入のうち、およそ半分が授業料収入ということになります。それで、その授業料収入を何に使うのかといえば、教職員の人件費、あるいは諸経費の支払い等でありまして、この6年間、7年間の間に人件費も、少しではありますけれども、それぞれの年度で当然上昇しておりますし、諸経費も上がっていると。それを何によって賄うかというと、50%を占める授業料に手つかずでやれるということは、なかなか難しいという状況も間違いなくあると思います。ここのところも御理解いただきたいと思います。
 それで、実績として申し上げれば、この6年間、7年間で、私立高校の授業料はどれだけ上がったかと。これはトータルで申し上げて5.8%でして、年率に直しますと、授業料は年率0.97%。それから、私立の場合授業料だけではありませんので、全ての学校に納付していただくお金の合計では、この間1.64%上がっていますが、年率に直せば0.27%にすぎないという実績がございます。これも資料に入っております。
 ということですので、是非この辺りのところも御理解をいただければということです。
 それでは私の方から、概要のことでございましたが申し上げました。長塚にお話しいただきます。
【長塚校長】  本団体からアンケートに回答する形で申し上げたいことは、ただいまの福島の説明とおりでありますけれども、私から、本連合会からヒアリング資料一覧ということで2-3の資料、添付しておりますので、これを用いて若干補足をさせていただきたいと思います。委員の先生方には既に御案内のことかもしれませんけれども、念のための確認という意味でもあります。
 2-3の3ページに教育費(生徒1人当たり)イメージという図があります。こちらをごらんいただきたいと思うのですが。これは、その次の4ページの平成27年度公私立高等学校(全日制)の生徒1人当たり教育費の比較を基にして、その概要をイメージしたもので、これについて私からは説明をさせていただきます。
 まず公立高校の運営には、イメージの下の方の図でありますが、当然ながら公費がほとんどを占めております。119万円ほどの公費が支出されております。一方、私立高校に対する国や自治体による公的補助というのは、その上の図のところにありますが、39万円弱ほどでありまして、公立との公費の差異が約80万円になっております。
 また1人当たりの教育費は、公立が119万円であるのに対して、私立はそれより約19万円下回り、約100万円、全体のこのグラフの長さで分かるかと思いますが、私立が公立を大きく下回っております。一般に私立の教育費が公立よりも上回っていると理解されているようでありますけれども、それは授業料負担のことと取り違えているのではないかと思われます。もちろん、これは平均額でありますので、私立学校ごとに異なりますけれども、実は、それは公立学校でも全く同じでありまして、近年とみに公立学校間の教育環境などの格差が発生していると考えております。公立学校の場合には、学校ごとの施設環境や教員の増加配置などの全てが公費で支出をしております。学校ごとに明らかになっているわけではありません。
 最後に、もう一点ですが、保護者の負担する教育費は、先ほど来、福島も言っておりましたように、教育費は授業料だけではありません。授業料は約39万円でありますけれども、それ以外に、初年度ですと入学金や、あるいは施設整備費などが毎年ありまして、約33万円となっております。その合計は72万円ほどになります。就学支援金だけではなくて、この自治体ごとに異なる授業料軽減も、そのほとんどが、いわゆる授業料のみを対象にしておりますので、無償化などと言われると、私立高校については誤解を生むものとなるのではないかとさえ思っております。
 本来ならば、高校授業料の無償化を目的としたものであれば、公立高校では現状の支援金額で良いのでありますけれども、私立高校では、まずは全国平均の授業料である39万円を支援すること、そして高校の無償化というのであれば、その他の学納金を含めたものとすべきではないかと考えるところです。
 以上、補足的に申し上げたいと思います。
【小川座長】  ありがとうございます。それでは、今の説明について内容の確認、質問があれば、委員の方から、どなたでも構いません。いかがでしょうか。末冨委員、どうぞ。
【末冨委員】  頂いた資料の下に5ページとページが打ってある、私立高校(全日制)の授業料等についてとあるのですが、こちらの方で教えていただきたいのですが。この資料を見ますと、授業料値上がりしているのですが、入学料、施設設備費は値下がりしておりますよね。大阪府の仕組みですと、大阪の私学無償化の仕組みは、なるべく施設設備費などは授業料に含めていただきたいという形で、授業料にトータルに含み込むシステムをおとりなんですけれども、それ以外の都道府県の私学さんでも、なるべく施設設備費等を縮減して授業料に一本化していくような動きがあるのかどうか。だとすれば、授業料が値上がりしていることの意味付けも分かりますということなのですが。それを、まずお教えください。

【福島事務局長】  授業料と私立高校独自の施設整備費の関係なのですが、確かに例に出された大阪府については、その授業料と称するところに、ほかの県で言うところの施設設備費も込みで、かなり高い単価が設定されて、それで全てを賄っているという形になっております。それで実は、この就学支援金制度がスタートした時点で、この就学支援金の対象になりますのは、授業料という名称で徴収した金額ということになっておりましたので、私立高校の場合は徴収する名目が学校によって、極端に言えば、てんでんばらばらということでございまして、授業料というのは共通項としては徴収項目にありますけれども、その授業料として取っている金額が少ない学校もありますので。そうすると、就学支援金の対象になる金額が非常に少ないという現実がありました。
 それで、当時の文科省の、これも御担当に質問したところ、授業料という名前に、そこに寄せたらどうか、集約したらどうかというアドバイスを頂戴しまして、その当時の、今、塩田室長が担当されているようなセクションの、お名前も分かるのですが、その室長さんから、そういうアドバイスを公開の場で頂戴いたしました。もっと言えば、その方のお話は、都道府県の主管部課長会議の席上でも、そういう御説明が、各都道府県の行政に向けてありました。
 そういうことでございましたので、就学支援金の対象になるように、授業料に集約する方向ということは、我々の立場としてはお勧めをしましたけど、あくまでも、それぞれの私立学校の独自性に係る問題でございますので、これを集約しろという命令を発する権限は全くありませんので、そこは公立高校とは違うところでございます。そういう御紹介は各私立高校にした実績はあります。
 以上でございます。

【小川座長】  よろしいですか。

【末冨委員】  はい、大丈夫です。

【小川座長】  では、どうぞ。

【小河委員】  小河と申します。今の授業料のお話、御説明の中で、授業料、要するに全額で、総額どれだけの負担があるかということが、これで言ったら3%というところで、今御説明あったとおりだと思うのですが、これも例えば都道府県格差というのがあるのでしょうか。都道府県によって非常に抑えているところ、あるいはその逆というような部分もいかがか、教えていただければ。

【福島事務局長】  これも私立高校の、かなり学校によっていろいろな内容で。はっきり言うと、レベルとか、それから都道府県の公私の力関係とか、そういうのが影響していますので、これも一概に言えないのですが、都道府県の格差はありますね。同じ都道府県でも学校間格差がありますね。

【小河委員】  要するに、伸び率にも格差もあると。

【福島事務局長】  だから、それは個別の学校をとっていけば、その伸び率は把握できませんけれども、全体でトータルすれば、こういうことになります。

【小川座長】  よろしいですか。

【小河委員】  もし何か資料。それは県ごとに……。

【福島事務局長】  県ごとの資料はあります。

【小河委員】  ありますか。

【福島事務局長】  数値だけですけれども。

【小河委員】  じゃあ、また、もし見せていただければ。

【小川座長】  では、文科省の方でも、今関係するような資料があれば、後で収集して私たちの方に提供していただければと思います。
 ほかにいかがでしょう。柴田委員、何かあります?

【柴田委員】  はい、大丈夫です。

【小川座長】  そうですか。はい。ほかにいかがでしょうか。ないですか。
 では、なければ、これで一旦、4つの団体からのヒアリングを終わらせていただいて、これから今までの内容を踏まえて少し意見交換を委員の間でやっていきたいと思いますし、また意見交換の中で改めて関係団体に対する質問があれば、その都度やっていただいて構いませんので、よろしくお願いします。また、文科省の事務局の方からも何かあれば、御質問、御意見頂ければと思います。
 それでは、残り40分ほどありますので、委員の方から自由に御意見、御質問を出していただければと思います。いかがでしょうか。柴田委員。

【柴田委員】  では、私からよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 幾つかの団体から共通して挙がった大きな問題が、現場での事務的な負担の問題というのがあったかと思います。そこが恐らく現場から非常に要望としては共通して大きい声かと思いますので、そちらは、やはり国の方で、もう少しサポートする人員を増やすための予算を付けるとか、そういうのが今後必要になるのかなと。
 さらに、その現場の職員の方々の負担だけでなくて、現場の保護者の方々も書類作成が非常に大変。特に、そういう余裕のない貧困世帯の親御さんの場合は、その書類をそろえるのも非常に大変だったり、そもそも理解が浸透していなかったりということで、保護者へのサポートも非常に欠けているというのが、複数の現場から分かるところかなと思いましたので、現場の事務への人員サポートと、あとは保護者へのサポート。これも恐らく現場でやれというのは難しいと思いますので、国の方で、やはり貧困世帯の保護者に対する書類作成のサポートなり、あるいは、そもそもの支援のシステム自体を、例えば一つ減税という形で、もっと全国統一的に、あるいはマイナンバー制度を活用した形で、もっと効率的に自動的に学費が軽減されるような、あるいは給付金がそのまま自動的に支給されるような、そういうシステムにすることができれば、現場の問題と、あと保護者の問題、両方とも解決するところもあるかと思いますので、ここら辺のシステムづくりは、やはり文科省の方、国の方でしかできないことかと思いますので、マイナンバーを活用したシステムづくりによって現場の事務負担の軽減と、あと理解のない保護者、あるいは余裕のない保護者へのサポート、これの両方が改善する面があるかと思いますので、そのシステムづくりを私からは特に御意見として要望したいと思います。
 以上です。ありがとうございます。

【小川座長】  ありがとうございました。今のような意見について、文科省の方で今の時点で考えていることとか、何かありますか。

【塩田室長】  先ほど柴田委員からも言及がありましたように、マイナンバー制度を導入したシステム開発というのを今やっておりまして、それができれば、ある程度の負担軽減になるとは思うのですが、できるだけ扱い勝手のよいシステム開発をしていきたいと考えております。
 以上でございます。

【柴田委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  ほかにいかがでしょうか。では、濱中委員、どうぞ。

【濱中委員】  4団体の皆様、どうもありがとうございました。とても貴重なお話を伺うことができました。
 今回の4団体の皆様のお話と、あと前回、前々回のお話をずっと眺めておりますと、どうも検討すべき柱が3つほどあるのではないかなというような気が、私の方ではしてきました。
 まず1つ目の柱が、金額の妥当性、基準の妥当性といったようなもの、それの見直しというようなところを、まずやらなくてはいけないということ。
 2つ目の柱が、先ほども柴田委員からもお話にありましたけれども、やっぱり事務のことも含めまして、システムとしての効率性をより高めるための微修正といいますか、制度の修正といったもの、それをどういうふうにやっていくのか。マイナンバーの話もそうでしたけれども、きょうもお話に出ました、例えば申請先を学校にしたらどうなのかとか、そういったことも含めまして、効率的に動かすためにはどうすればいいのかということが2つ目の柱としてあるかと思います。
 3つ目としては、国と自治体と、あと学校の役割分担の見直しというところもあるのかなと思いながら伺っておりました。本日も、例えば一人親世帯への対応の話など、そういうところ、いろいろ話が出てきたのですけれども、やっぱり国ができること/すべきことと、自治体ができること/すべきこと、学校がすべきこと/できることというのは、生徒さんとの距離、家庭との距離によって決まってくるところがあると思います。
 例えば一人親世帯に対してのケアは、もちろんとても大事な課題なのですが、それを、文科省ができるかといったら、おおきな限界があるという話になると思います。より生徒さん、生徒さんの家庭に近い学校関係者か自治体でないと、対応は難しい。こうした例をはじめとして、やはり役割分担ということを改めて考えた方がいいと思いますが、せっかく本日4団体の皆様がいらっしゃっているので、役割分担についてのお考えについて少しお聞きしたいと思います。
 先ほども自治体が親代わりになれないかというような、お話もありましたけれども、例えば、こういうところを自治体に任せてほしいだったりとか、むしろ文科省がこういうことをすべきだと思うのだけれども、まだやっていただいていない、そのような御指摘があれば、お伺いしたいと思いました。

【小川座長】  ありがとうございました。
 では、先ほどの各4団体から、説明の中身と若干かぶることもあるかもしれませんけれども、いま一度、濱中委員から出された点について、各団体から少しお考えがあれば、お聞かせいただければと思います。では、今度は逆の方向で行ってみましょうか。では私学の方から。

【福島事務局長】  私学の場合、特にこういうことを、今のようなテーマで話し合いをしたことも実績としてございませんので、どういう考えを、それで学校単位ということになるんですけど、お持ちなのかというのは把握できておりませんので、この意見を申し上げる立場にありません。

【長塚校長】  東京だけであれば。

【福島事務局長】  東京だけなら。長塚先生、お願いします。

【長塚校長】  東京は、学校数多いものですから、各学校ではなく、東京私学財団というところが一手に全て行っております。ですから、各学校は、保護者から預かった資料を厳封のまま財団に送るだけで、あとは全て財団の方で事務処理をするということで、学校の負担は余り掛からないという仕組みになっております。全国でも都道府県によって差があるので、これからお調べになるということでしたけれども、そのような仕組みが学校にとっては、やはり、ありがたいことなのではないかなと思っています。

【小川座長】  失礼ですけど、今の東京私学の私学財団が一括処理しているという、その処理やるために、どれぐらいの人員を配置されているのですか。

【長塚校長】  詳しくは手元資料ないのですが、相当の人数を配置しています。

【小川座長】  そうですか。制度システムを考える際、一つの参考になると思うので、後で構いませんので、文科省の方に、そのデータ出していただければ。

【長塚校長】  そうですね。はい、分かりました。

【小川座長】  よろしいですか。よろしくお願いします。
 それでは全国高等学校長協会からは、何かありますか。
【小野村校長】  これも東京都、しかも私の知っている少ない数の事例かもしれないのですが。例えば保護者との連絡がとれないケース、あるいは書類を送付しても戻ってこないというケースのときに、やはり学校が家庭訪問をして話すのは限界もありますし、余りそういうことで家庭に行くのはいいことではないケースがありますので、それを市区町村で担っていただけるとありがたいなという要望があります。

【岡本校長】  同じような話になりますが、都立学校の場合は、学事担当が経営企画室、つまり事務室にいるのですが、その学事担当と、配置された外部の支援の方と、2人で一緒にやっている状況です。問い合わせ等については、基本的には学事担当がやる。

事務作業的なものは外部の方が中心にやっていて、交渉であるとかは学事担当がやっているという状況が多いかと思います。
 なかなか勤務時間外に連絡がとれるかというところが一番大きいところだと思います。事務職員の勤務は8時半から5時まででありますが、その間では、ほとんど連絡がとれないという状況があります。そういった場合には、担任等が代わって夜間などに電話をして、昼間のこの時間に電話してほしいとか、連絡していますが、なかなかそれも難しいところがあります。
 以上です。

【小川座長】  それでは教育委員会連合会、何か。

【中西課長】  連合会ですけれども、意見集約しておりませんので、これも私ども奈良県の状況でお話しさせていただきます。事務、それから特に生徒、保護者の方とお話をする機会というのは、やはり学校の教職員の方にあります。その点で、私ども審査する立場なのですが、やはり直接話をするのではなくて学校の教職員の方とお話をしていただくという点で、この辺は内部的にも、どういうすみ分けをしているのかというのは重要なことかなと感じております。

【小川座長】  では最後、全国知事会からお願いします。

【太田課長】  秋田県の事情を申し上げますと、5つしか高校がございませんので、毎年、学校法人全部訪問という形でさせていただいたときに御意見、御要望、伺うことはございます。
 県に上がってくる書類は一覧表、あとは課税証明書等を付けた文書しか上がってきませんけれども、学校の特に事務の方は直接保護者、生徒と何回もやりとりして、何回も書類を出させてという御苦労があろうかと思います。学校からの疑義照会については県でも、その都度、お返しはしていますけれども、国でも、全国からたくさんそういった情報が上がってきているかと思いますので、そのようなときに、どう対応したらいいのかというのを全国にフィードバックしていただければなと思います。

【濱中委員】  Q&Aみたいなものでしょうか。

【太田課長】  そうですね。他県でどういう処理の仕方しているのかも分からないですので。「あっ、そこまでしなくていいんだ」というの、もしかすればあったり。学校によっても違いますし、その都度、非常に丁寧に説明はしているのですが、多分そこが説明不足というふうに御家庭に思われているのかもしれませんし。記載例、その都度、各学校で用意していたりしますけれども、やっぱり今の申請書が、やたら文字ばかり書いていて、それ見るだけで多分、親御さんとかが、もう書けないというふうに諦めてしまうとか。いろいろ工夫改善する余地はあろうかと思います。

【小川座長】  どうぞ。

【濱中委員】  すみません。まだ制度が始まった間もないというところは多々あるとは思うんですけれども、ほかの学校さんだったりとか、ほかの自治体さんの状況が見えない中で、完全に現場の判断でお答えをされているので、本当にここまでやらなくてはいけないのかみたいな、そういった努力をされている学校もきっとあるので、何か標準化みたいなものがされると、現場としては助かるという感じでしょうか。

【小川座長】  どうぞ。

【太田課長】  補足申し上げますと、先ほど4月から年度の前半に事務がものすごい集中している関係で、確かに人を雇えばいいだろうというお話もありますけれども、雇用した者に教えている時間が惜しいというか。教えている間に、もう1か月、2か月。ですので、なかなか人員は確保できない中で、残業しながらやっているという事実はありますので。雇用してできるのであれば、そういったやり方。様式なのか、システムなのか。そこも併せて検討していただければと思います。

【小川座長】  今まで4団体からの回答聞いて、濱中さんの方で、もう一度、何かございますか。いいですか。

【濱中委員】  とりあえずは大丈夫です。はい。

【柴田委員】  これに関して私から少しよろしいでしょうか。

【小川座長】  どうぞ。

【柴田委員】  国、自治体、学校という3つでどう負担していくかということなのですが、この高校生への支援というのは、将来的には、高校生が社会人になって納税をする、その税収としてフィードバックされるわけですね。それはどこで税収が入るかというと、自治体は替わってしまうわけですよね。高校生が、例えば東京都で高校卒業しても、ほかの自治体で働くかもしれない。とりわけ地方の自治体であれば、東京に出てしまうかもしれない。となりますと、せっかく支援しても、その支援した高校生が働いて、そこから得られる税収のメリットというのは、基本的には、やっぱり国に税収として来るのであれば、自治体の負担を国が肩代わりするのが筋であるように思います。もちろん実働は自治体がやる必要があるのですが、その人員配備のための予算は国が支援するというふうにしないと、自治体の負担ばかりが増えてしまっています。でも最終的な税収としては国にかなり所得税として入ってくるところが大きいのではないかと思われますので、実際、親へのサポートとかは、自治体が人員配備して親や学校へのサポートをするとしても、その人員配備のための予算は、国の方で積極的に将来の税収を見込んで投資すると、そういう見方が必要ではないかと思いました。
 そのあたり、文科省の御見解といいますか、自治体への人員配備のための予算の今後の増額だとか、そういったところは御検討されているかどうかというのを少しお伺いしたいと思います。
 以上です。

【小川座長】  柴田委員から文科省の方にも御意見聞きたいということですが、今の時点で何か。恐らく自治体だけではなくて、私学に対する支援のことを含めてのことかと思いますけれども、何か。今後検討していくことだと思いますけれども。

【塩田室長】  御指摘ありがとうございます。予算の現状を申し上げますと、事務費交付金ということで、事務費についても予算は計上しておりまして。どういう経緯か分からないのですけど、実際といたしまして、不用額も出ているような状況になっております。ただ、事務費が足りないという現場の声がもしあるのであれば、なぜそうなっているのかということを洗い直さなければいけないのですが。予算制度としては事務費交付金が、就学支援金については付いている形になっております。

【柴田委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  それ、次回以降、データについて具体的に出してください。よろしくお願いします。
 ほかにございますか。はい。

【小河委員】  ありがとうございます。きょう4団体の皆様からも御意見頂き、ありがとうございます。私は前回の議論の中でも、前回の自治体の方からもお話あった中で、濱中委員の御質問で、いわゆる就学の機会均等がおおむね図られているかどうかというような御意見の中で、前回、いろいろあっかと思うのですけど、大体図られているのではないかというような御意見も多かったように思うのですが。
 実は私自身、いろいろその後も高校の現場の先生方にお話を聞いたり、あるいは直接、私の団体で生活保護を受けていらっしゃって、高校で、実は進学したかったのだけれども進学できなかったという子供たちの声だとか、そういう声などを聞いていると、非常にギャップを感じるという部分もあります。
 きょう、校長先生からのお話があったように、アルバイトの話をされていたかと思うのですが、NHKの4月にあった番組で、千葉県では51%。どのレベルで調べたか分かりませんが、高校生の51%がアルバイト代の使途を、生活のために使うためにアルバイトをしているというような報道もあってですね。これ、前職のあしなが育英会でも、奨学金を受けている高校生の、3年前にやった調査でも、3分の1以上がバイト経験があると。月に3万5,000円ぐらい稼いでいて、月、公立2万5,000円、私立3万円の奨学金を借りているにもかかわらず、それだけバイトをしていると。そのときの調査では、複数回答ですけれども、4分の1が生活費に充てている。4割が学校へ行くためのお金でバイトを使っているんだと。まさに自分の携帯代とかそういうのもあるのですが、本当に学校に行くため、生活するために、奨学金借りていても足りないという実態もあるわけですね。
 そういったようなことも考えると、一人親の家庭のお母さんたちについても。特にきょう、貸与型の奨学金の話ありましたけど、これ将来、返さなきゃいけないわけですから、これを借りるぐらいだったら、やっぱり子供がバイトをする、あるいは私がもう一つダブルワーク、トリプルワークで仕事をするということで家計負担を何とかやりくりをしながら生き抜いているというか、何とかかんとかやっているような状況も、実際のところは少なくないのではないかということを感じます。
 1つはそういうことで、このアルバイトの問題というのも、今後調査をされることもあると思いますので、このアルバイトの実態とか、あるいは親が何らかのそういう仕事を例えば増やしているだとか、本当にそういうところまで、しっかり見ないと。特に低所得者世帯の家計状況がどのように、本当にこれだけで十分足りているのかと。今の就学支援金と、この奨学金で足りているのかという部分は、そういうところまでしっかり見ないと分からないのではないかと強く思っているということです。
 それから、きょう先ほど、これも濱中委員が3点まとめていただきまして、非常に分かりやすくまとめていただいたなと思っているのですが。その中で、先ほど柴田委員からもありましたように、いかに、やはり、この当事者の方々にも分かりやすい制度にするということと、そのシステムをどういうふうに簡略化していくかというか、そういう部分が大切な一方で、もう一つはさらに、実際には当事者の方というか、そういう方々に対してソフト面での支援というのも、すごく重要になってくると思うのですね。
 実際、先ほどおっしゃったように、やっぱり学校現場で先生方、とにかく大変なので、先生方にそれをとか、事務職員の方々に、なかなかそれをプラスすることもできない。そうなると、やっぱり高校においてもスクールソーシャルワーカーとか、そういう方々が、より手厚く、そういうところでのサポートをするような役割も、また出てくるのかなと思いますので、こちらの方も、また併せて検討していくことも必要かと思います。
 それから、この制度を知らせるということで、先ほど末冨委員からもお話がありましたように、やっぱり中学からの連携はすごく大切で。大体、特に奨学給付金に関しては、ほぼ、中学まで就学援助を受けていた方は、そのまま対象になると。その給付金の対象になると考えていいと思えば、中学校のときに就学援助を受けていらっしゃった方には漏れなく、こういうふうに高校に上がったら、こういうものがあるというような、中学段階でそういう周知をすれば、かなりの部分で漏れがないのではないかというようなことも考えられるかと思いますので、こういうあたりも今後大切にしていただければなと思いました。

【小川座長】  ありがとうございました。末冨委員、何かございますか。全体に関わる、あと今後の審議に関わっての論点等も含めて、何かございましたら。

【末冨委員】  何から申し上げるべきかと思っているのですが。きょういらした団体関係で申し上げますと、私自身は高校就学支援金制度というのは、より手厚い仕組みにとは思っているのですが、同時に、この仕組みが長続きするものでなければならないと。
 そうしたときに、先ほど私学団体、私立中高連の方からの御指摘ありましたが、例えば通信制高校の不正受給問題というのは、この制度の根幹を揺るがしかねない、かなり危ない案件でして、財務運営上の透明性が厳しく求められるだろうと思います。それは文科省の中のロジックというよりは、この制度自体は国民の租税を使っての将来への投資であるということを考えますと、その使途の透明性について一層の努力が図られなければならないということが気になっております。
 例えばイギリスでは、一つ一つの学校の財務データはホームページ上で必ず、政府の支援を受けている学校であれば、私学助成という形であっても、やはりアクセスすることができるのに対して、日本の学校は、公立、私立含めて、特に高校段階の財務データというのは、なかなか表には出てきません。ただ、授業料部分の支援の一部を支援されているにすぎないとしても、そこに租税が入っているのだとすれば、今後、授業料についてというか、支援金については、きちんと使っているという説明責任を今まで以上に改善していただく必要もあるだろうと思います。それを文科省の中のロジックというより、繰り返しますけれども、国民の租税を使うことへの説明責任を果たすという意味では、少しそうした説明責任の果たし方についても考えた方がよろしいかなと思います。それは不正受給を防止していくという意味においても、制度を長もちさせる仕組みとして、今後の論点にも付け加えていただきたいですし、各団体としても少し意識していただくと、私自身はうれしいなと思います。
 この制度自体、研究者としては、多分かなり大切に思っている人間の一人ですので、財政上の説明責任のことを意識していただけるとよろしいかと思われます。
 それから、所得制限の在り方についてなのですが、この間、違和感を拭えないのが、実は全国一律で、モデル世帯、910万円というような上限を導入されているのですが、以前頂いた資料で、やはり都道府県の中での、そもそも就学支援金の対象となっている世帯の比率が違い過ぎるということ、それから給付金の部分についてなのですが。私自身が手元にあるのが平成25年度データで申し訳ないのですけど、中学校までの要保護、準要保護率と比べると、例えば秋田県などは、要保護、準要保護率を上回る形で、恐らく給付金を受けておられる世帯があります。これ要保護、準要保護、1学年単位のデータでとっていないので、正確な比較ではありません。恐らくは高校の支援の方が、より手厚いゾーンに与えられていると。
 それに対して東京都の公立、私立、特に私立なのですが、給付金の利用率は低くて、大丈夫なのだろうかと。とりわけ、この仕組みというのは、考えてみますと、都市部における中所得層から低所得層の間にいるゾーンに対して、かなり厳しい仕組みになっているのではないかなという不安が拭えません。大阪府や京都府の説明でもあったと思いますが、大阪府や京都府の就学保障の在り方というのは、実際の都道府県の所得分布に従っている部分がありますよね。そうしたことを考えると、所得制限そのものを外す議論とともに、各地域の所得差をどのように考えるかということがないと、とりわけ都市部の子育て世帯にとっては、かなり厳しい現状があるのではないかなという心配をしておりますので、このあたりも今後の論点としてお考えいただけるとよろしいのかなと思われます。
 あとは、よりきめ細かい支援については、さっき小河委員からも言っていただいたので。特に基礎自治体さんとの連携の在り方については、恐らく何がしかの連携の仕組みを開発すれば、今までと同じ経費を投入して高い効果を上げることができるはずです。制度の周知ですとか、例えば東京都の方から御指摘ありましたが、意欲の低い進学層へのサポートシステムとかですね。そうした部分も、就学支援金とも並行しながらの改善の在り方というのも探っていただくことが大事かなと思いました。
 以上です。

【小川座長】  ありがとうございました。時間も余りないのですが、ほかにまだ追加の御意見あれば出していただきたいと思います。
 では、私もいろいろ話をしたいのですが、一、二点。私学の関係団体の方がいらしているので、少し御意見をお伺いしたいのですが。
 この会議で初回から私学への就学支援金や奨学給付金の支給と、これまでの私学助成と、私学の授業料の問題は、すごく重要な論点だということで、これまでいろいろの論点から、ある程度議論してきたのですが、きょうのお話で私学の思いというのも非常に理解しました。
 少しお伺いしたいのは、私学の授業料値上げというのは、それは当然、設置者のいろいろな考え方で授業料値上げすることは当然あっていいと思うのですが、ただ、更なる授業料の値上げが、せっかく低所得者層への様々な支援でもって、低所得者層が私学へのアクセスを非常にできるようになった、せっかくそういう状況になったにもかかわらず、例えば私学の授業料が更に値上げされていった場合に、そうした低所得者層が私学にアクセスできないような水準まで行くということは、非常に大きな問題ですよね。
 その点については国が支援すればいいのではないかという一方の考え方があると思うのですけれども。今言ったような問題を考えていく際、前回、大阪府の私学の授業料のキャップ制という考え方があって、これは御存じかと思うのですけれども、年収800万以下の場合に、授業料値上げした分についての、その値上げ部分については保護者負担とはせずに学校負担にするというのが、大阪府の私学の授業料キャップ制ですよね。
 これというのは意外と、私の考え方とすると、今言ったようないろいろな隘路がある中で、私学の授業料値上げも認めた上で、なおかつ授業料値上げにもかかわらず低所得者層が私学へのアクセスもできるという、その両方をカバーする、非常に考えられた仕組みなのかなと私自身、前回の大阪府の意見を聞いて思ったのですが。
 ただ、こうした大阪のキャップ制のような考え方について、私学の関係団体はどう評価されているのかというのを、率直に聞いてみたいなと思っていたのですが。

【福島事務局長】  今のお話でありますが、大阪府のキャップ制については、大阪府の私立学校のアンケートをとったわけではないのですが、いろいろな関係の方々に聞いて、やむを得ず同意書みたいのにサインさせられたのですね。橋下知事、もっとはっきり申し上げると、踏み絵を踏まされたという状況でございまして。私学の場合、一方で私学の自主性、独自性というのもあるわけで、これとの関係も重要な論点としてありますし、その他の抵触部分もあるので、やむを得ずそうしたと。そういう踏み絵のようなものを踏まされて、それも踏まなかった学校もあるのですね、大阪府の場合。このキャップ制というのは、我々としては、ほかの都道府県で、議論をその当時しましたけど、押しなべて私学に対するあるまじき行為ということであります。

【小川座長】  どうぞ。

【長塚校長】  その踏み絵を踏まなかった1校というのは国際高校でインターナショナルスクールとの連携校です。やはり年間200万円ほどの学費が掛かるわけです。公立でも今、インターナショナルバカロレアスクールを作ろうとしていますけど、同じぐらい掛かると聞いております。公立に行くか、私立に行くか、それは自由なのですが、掛かる費用は同じです。私学はキャップ制では、とても教育はできないということで、補助金は頂きたい、支援金の対象にしたいということはあるのですが、致し方なく外れたとということです。
 ほかの学校は同意したのですけれども、それでも大阪の場合は、いわゆる経常費補助、公的補助を25%減らして、それを保護者の授業料負担軽減に回したというようなことがありまして、じつは、相当経営上は痛手を食っております。ですから、1人当たりの教育費が向上したんじゃなくて、非常に教育環境は低下した中での話だと言わざるを得ません。

【小川座長】  ありがとうございました。何かありますか。どうぞ。

【末冨委員】  今の点について、私も私立の学校法人勤務になっておりますので、ちょっと事情を申し上げますと、現在進行中の高大接続改革などは、これまで以上に学校の学習環境を改善させるための設備投資が必要になってまいりますよね。そのときに、公立さんと違って私立は独自の投資をしなければならないということになりますので、授業料については基本的に値上げが基調になっていくだろうと。それは国の改革がそうだから、もう仕方なく。学校法人として授業料転嫁できないとすると、今度、教職員の給料ですとか、教育水準そのものに影響していきます。クラスサイズですとか。ですので、授業料キャップについては、私も大阪だからできた面があると判断しております。ただ、大阪だからできるので、大阪と同様の判断ができる県と、そうではない県とがあると考えておりますので。いろいろな論点含んでおりますが、授業料キャップが普遍的かどうかという点については、私も個人的にはというか、私学財務にある程度通じておりますので、かなり厳しいものがあるかなとは思われます。

【小川座長】  ありがとうございました。今後、恐らく。

【福島事務局長】  先生、1ついいですか。

【小川座長】  はい、どうぞ。

【福島事務局長】  今のお話、私から、付け加えさせていただくと、大阪だからできたのですが、大阪のあの当時の政治情勢の中でできたということだと思います。

【小川座長】  はい、分かりました。この制度と私学助成とか、授業料の問題についてって、本当にこの制度の重要な検討の論点の一つだと思いますので、今後、この会議で検討を進めていきたいと思います。
 ほかにございますか。
 あと、もう一点。文科省の方に、これはお願いなのですが。先ほど高等学校長協会の御報告ところで出ていた問題ですが、学校徴収金の未納の家庭が増えているとかとありましたけれども、仮にそういうデータがあるのであれば、そういう低所得者層の私費未納が増えているということは、恐らく今の奨学給付金の金額とか費目が妥当かどうかと、そういう検証にも関わるようなことだと思いますので、高等学校長会が指摘するような、この制度がスタートしてからの、そういう私費、学校徴収金等の未納の状況は本当に増えているのか、増えていないのか。また所得階層別に、その辺のところのデータも、もしも分かれば、ちょっと整理して出していただければと思います。恐らく奨学給付金の金額とか費目の、そういう妥当性に関わるような、論点の一つに関係するようなことだと思いますので、よろしくお願いします。
 ほかに。時間がほぼなくなったのですけど。はい、どうぞ。

【小野村校長】  せっかくこの場に出していただいたので、制度とは多分全く違う部分なんですが、一言お願いしたいのですが。
 高校生は、高校生活は、こういったもの以上にお金が掛かることがあって。つまり、部活動の帰りに、ちょっとコーヒー飲んでいこうかといった、そんなことをしないと、また仲間に入れないような、そんなケースもあります。しかも、高校生のくせにと言うと語弊ありますが、300円、400円するようなコーヒーを飲まなければいけないような、そんな付き合い方もあったり、以前なかったことだと思うのですが、例えば忘れ物とか、落とし物とかが、それこそジャージであるとか、結構高価な文具であるとか、とりに来ない。要するに物を大切にしない、そんな高校生も非常に増えていると思います。ですから、せっかく支援して頂いているお金を大切に使おうという意識を教育しなきゃいけないと。それは現場としては非常に切実に感じるところです。
 もちろん学校は、そういうことを指導しなければいけない、するのですが、そこには限界があります。先ほどアルバイトの話もありましたが、限界がありまして、もうちょっと物を大切に、お金を大切にということを、御家庭とか、それから国を挙げて、そういったことを若者に教育していかないと、せっかくの支援が無駄遣いになっていくのではないかという懸念がありまして、制度とは違う部分ですが、是非この場でお話ししたいと思いました。
 以上です。

【小川座長】  ありがとうございます。非常に教育論としては重要なご指摘だと思います。
 文科省の方から何かいいですか。伊藤課長、いいですか。はい。
 では、なければ、もう時間になりましたので、これできょうの審議は終了させていただきたいと思います。
 きょう、また様々な論点とか、事務局への要請等も、いろいろ出ましたけれども、その辺、また対応、よろしくお願いいたします。
 それでは、次回の日程について事務局から御連絡ください。

【塩田室長】  次回ですけれども、8月31日木曜日の13時から、場所は文部科学省6F3会議室を予定しておりますので、御対応、どうぞよろしくお願いいたします。

【小川座長】  次回は8月31日木曜日の1時からということですので、よろしくお願いします。
 それでは、これできょうの会議は閉会といたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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初等中等教育局財務課高校修学支援室企画係

(初等中等教育局財務課高校修学支援室企画係)