高校生等への修学支援に関する協力者会議(第2回) 議事録

1.日時

平成29年6月19日(月曜日)10時00分から12時30分

2.場所

文部科学省 5F5会議室

3.議題

  1. 前回の指摘事項について
  2. 埼玉県,長野県,京都府,大阪府からのヒアリング
  3. その他

4.出席者

委員

大橋弘委員,小河光治委員,小川正人委員,小林雅之委員,柴田悠委員,濱中淳子委員(敬称略・五十音順)

文部科学省

藤原誠初等中等教育局長,瀧本寛大臣官房審議官,伊藤学司財務課長,塩田剛志高校修学支援室長

5.議事録

高校生等への修学支援に関する協力者会議(第2回)

平成29年6月19日


【小川座長】  おはようございます。定刻を1分ほど過ぎてしまいましたけれども、ただいまより高校生等への修学支援に関する協力者会議の第2回目の会議を開催したいと思います。本日も大変お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございました。
 きょうは4府県からヒアリングを予定している関係で、通常より30分ほど長く時間を設定しております。お忙しいと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 前回欠席だった大橋委員もただいま到着しましたので、よろしくお願いいたします。
 また、柴田委員には、前回と同様、スカイプにて参加いただいております。よろしくお願いいたします。

【柴田委員】  よろしくお願いいたします。

【小川座長】  本日は埼玉県、長野県、京都府、大阪府から、職員の方々に御出席いただいておりますので、事務局の方から御紹介いただければと思います。

【塩田室長】  それでは、御紹介申し上げます。
 まず、埼玉県総務部の廣川学事課長でいらっしゃいます。

【廣川課長】  よろしくお願いします。

【塩田室長】  同じく埼玉県教育局教育総務部財務課の二見副課長でいらっしゃいます。

【二見副課長】  二見でございます。よろしくお願いいたします。

【塩田室長】  続きまして、長野県県民文化部の青木私学高等教育課長でいらっしゃいます。

【青木課長】  青木でございます。よろしくお願いいたします。

【塩田室長】  同じく長野県教育委員会事務局の塩野参事(兼)高校教育課長でいらっしゃいます。

【塩野課長】  塩野でございます。よろしくお願いします。

【塩田室長】  続きまして、京都府文化スポーツ部の中地文教課長でいらっしゃいます。

【中地課長】  中地でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【塩田室長】  同じく京都府教育庁指導部高校教育課の常田修学支援担当課長でいらっしゃいます。

【常田課長】  よろしくお願いいたします。

【塩田室長】  続きまして、大阪府教育庁の土佐施設財務課長でいらっしゃいます。

【土佐課長】  大阪府の土佐です。よろしくお願いします。

【塩田室長】  同じく大阪府教育庁の河野私学課長補佐でいらっしゃいます。

【河野課長補佐】  河野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【塩田室長】  以上でございます。

【小川座長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、議事に入る前に、最初に配付資料の確認について、事務局からお願いいたします。

【塩田室長】  それでは、配付資料でございます。資料1-1が「修学支援について(考えられる論点例)」という1枚紙、資料1-2が資料集であります。資料2-1が埼玉県からの資料、資料2-2が長野県の資料、資料2-3が京都府の資料、資料2-4が大阪府の資料と。あと、参考資料の1と2があります。不備がございましたら、事務局までよろしくお願いいたします。

【小川座長】  よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入っていきたいと思います。

【塩田室長】  すみません。手違いがありまして、資料1-3というのが入っています。これは、削除してください。

【小川座長】
 それでは、議題1に入っていきたいと思います。これは前回の協力者会議で各委員から御指摘いただいた事項について、事務局の方で追加資料等々含めて整理していただいた内容についてです。これは事務局から説明をお願いいたします。

【塩田室長】  まず、資料1-1であります。これは前回お配りした論点例に、前回の御指摘を追記したものであります。
 (1)の最初の丸でございますけれども、本制度によって機会均等がどの程度進展したかと。これを見るために必要なデータということで、長期欠席者、中退者、教育費支出等々の御指摘を頂きました。これにつきましては、後ほど資料1-2で御説明させていただきます。
 2つ目の丸でございますが、優先順位の高い支援ということで、前回の御指摘で、入学時の費用ということを追記しております。
 また、(2)で、支援対象でありながら支援を受けていない者、いわゆる情報ギャップ問題という御指摘を頂きました。これについても論点として追記しております。
 続きまして、資料1-2であります。資料1-2のまず4ページをごらんいただければと思います。これは前回で宿題いただきました、生活保護受給世帯は奨学給付金が、この部分は灰色の部分が出ていないのですけれども、生活保護でどの程度もらっているのかということであります。ここに書いてございますように、奨学給付金の単価よりも手厚い額が出ているという実態でございます。詳しくは割愛させていただきます。
 続きまして、5ページでございます。5ページが、生活保護と義務教育段階の就学援助と奨学給付金の対象の比較であります。詳細な説明は割愛しますが、1点御説明しておきたいのが、一番右の方でありまして、いわゆる義務教育段階で準要保護世帯と言われているところで、特に課税世帯につきましては、義務教育段階では地方の方で税源移譲の下に地方事業していただいているという状況でありますが、高校段階につきましては、高校生等奨学給付金は対象となっていないと。このような現状があるということであります。
 続きまして、次の6ページであります。これも前回御質問いただきました準要保護の認定基準で、各自治体がどのような数値を設定しているのかというところでありますけれども、灰色の部分にございますように、1.1、1.2、1.3と、こういったところで倍率を設けて設定していると。こういう自治体が多いということであります。
 続きまして、9ページをごらんいただければと思います。これは前回、学習費について御指摘いただいたものに対応いたしまして、学習費についてのデータを御用意してございます。まず、9ページが学習費の推移でありますが、左側が公立、右側が私立でありますが、公立・私立とも、制度が創設されました平成22年から緑色の授業料というのが減少しておりますが、一方でオレンジ色の学校外活動費というのが22年度に比べて、26年度は1万円以上上昇していると。このような結果であります。
 続きまして、10ページであります。先ほどの学習費を所得層で分けたものですが、同じ所得層でも私立が公立を大きく上回っているという実態であります。
 続きまして、12ページをお願いいたします。学校外活動費を所得層に分けた推移でございます。制度導入の平成22年からおおむね学校外活動費も増加傾向ということでございますが、私立の方の24年、26年を比べますと、所得制限が導入されました26年は、紫色の層と、青の高所得層が少し減っていると。このようなデータになっております。
 13ページが、学校外活動費を、塾代などの補助学習費と体験活動などのその他学校外活動費に分けてみたものであります。先ほど見ていただいた私立の2つの層、紫と青の層ですが、補助学習費の方はそれほど低下しておりませんけれども、その他の学校外活動費の方が減少しているというのが分かるかと思います。
 続きまして、14ページであります。補助学習費をさらに細かく見たものでありますが、学習塾費というのが公私ともに増加しているということが分かるかと思います。
 続きまして、17ページをごらんいただければと思います。教育費の捻出方法ということで、これは日本政策金融公庫が調べられている捻出方法を書いたものでありますが、多いのが1、2、3、4で赤囲いで囲っているところが捻出方法として多いということであります。
 続きまして、19ページをごらんいただければと思います。これは前回御指摘いただきました長期欠席者の関係の資料でありますが、長期欠席者、在籍者に占める割合とも平成22年以降減少傾向にあるということがまず分かるかと思います。
 20ページをごらんいただければと思います。長期欠席者数の理由別のものでありますが、平成23年以降、経済的理由による長期欠席者数は減少しているということが見てとれるかと思います。
 続きまして、21ページが中退者数の推移でございますが、中退者数は一貫して減少しているということでありますが、25年度から通信制が調査対象となっておりますが、通信制につきましては、27年度に増加しております。
 続きまして、23ページをごらんいただければと思います。これは中退者数全体の推移でございます。中退者数、在籍者数に占める割合とも減少しているということが分かるかと思います。
 次は、25ページでございますが、これが中退理由の構成比でございます。経済的理由で中退されているのは、公立では1%、私立では6%、国立では0%という形になっております。
 次の26ページが、課程別に見たものでありますが、経済的理由による中退が、全日制が1%、定時制が1%、通信制は9%という形になっております。
 次の27ページがフリースクールでございます。フリースクールは、在籍者数ということで、これは文科省において把握できた限りの数字ということでございます。一応、このようなデータがありましたので、掲載しております。
 28ページが、通信制高校の学校数、生徒数であります。これも、前回のフリースクールとかサポート校と長期欠席者の関係という御指摘を頂きましたが、手元にデータがなかったものですので、手元にあるデータを御提示したものであります。
 続きまして、30ページでありますが、これも前回議論になりました公私協であります。一応、東京都、神奈川県、大阪府の方に、どんな現状になっているかというのをお伺いしたものであります。東京都は、受け入れの分担比率を59.6対40.4としているということであります。神奈川県は、2つ目のポツですが、25年度以降につきましては、これまでの経緯を勘案し、公私おのおのみずからの責任において目指す定員目標を設定するというふうに切り替えているということと、大阪府も、ここに書いてございますように、2つ目のポツでございますが、7対3というのを見直しまして、現在は公私トータルで進学予定者数を上回る募集人員が確保されているかということを確認する仕組みに変えております。これは、網羅的には調べられていないのですけれども、差し当たって3つの府県さんに聞き取りしたものを書いております。
 続きまして、31ページであります。入学定員の推移でありますが、入学定員は、公立・私立とも減少しているということでありますが、定員全体に占める私立の割合が微増しているというような状況であります。
 32ページが、入学志願者数の推移ですが、こちらの方は、私立の割合がちょっと増加していると。これも微増でありますが、増加しているということになっております。
 続きまして、34ページをごらんいただければと思います。これが初年度納付金の各県ごとの平均額であります。前回、授業料だけお示ししたのですが、入学料、施設整備等も加えたものがこれになりまして、かなり都道府県で差があることが見てとれるかと思います。
 続きまして、36ページでありますが、就学支援金給付金の受給割合といいますか、受給状況でありまして、まず、就学支援金自体は、支給実績としては全体で77%。77%の方が就学支援金を受給しているということであります。加算区分別に見ると、私立については2.5倍加算の250万円未満の層が、少し薄い青で書いておりますが、10万人、4.3%ということと、2倍加算、これが250万から350万の層でありますが、これが7万人、3%と。これぐらいの方が私立ではもらっていると。公立につきましては、加算がないので、所得階層別に数字をとっていないので、公立については、支援を受けている人の全体の数しか出ていないということになっております。
 上の方で、高校生等奨学給付金の支給割合でありますが、公立については21万人、9.1%と。私立については8万9,000人、3.8%という数字がございます。これで、前回、情報ギャップという御指摘がございました。これについて見ると、給付金の私立は9万人ぐらいがもらっていて、同じ対象であります就学支援金につきましては、2.5倍加算のところで10万人ということで、ここに1万人の差が出ております。給付金の方が、同じ所得層なんですけれども、1万人ぐらい少ないという現状がございまして、ここにもしかすると何か問題があるのではないかということであります。これにつきましては、就学支援金の方は生徒が通う高校が存在する都道府県が支給すると。一方、給付金の方は、生徒が在住している都道府県が支給するということで、少し制度が違っておりまして、このようなことが何らかの影響を及ぼしているのではないかと推測されますが、もう少し実態の調査が必要かと考えております。
 続きまして、37ページでございます。37ページは、私立の所得階層別割合の推移でありますが、青色の250万円未満の層は微増傾向ですが、赤の250万から350万の層は、平成22年に4%であったところ、27年には8.9%まで増えているということで、赤い層の割合が年々増えてきているということが分かるかと思います。
 続きまして、最後に38ページが、各都道府県における就学支援金の確実な申請のための工夫ということで、どのような周知方法をとっていただいているかというのをまとめたものであります。公立と私立で担当部署が異なるために、母数が94となっておりますけれども、生徒全員の意思確認のために、対象外の生徒からも申請しない旨の書類を出してもらっているというのが82の支給者で実施されているという状況であります。
 あと、参考資料を2つ付けておりまして、これも併せて御紹介いたします。
 参考資料1が、これは小林先生から頂いたデータでありまして、7ページに、高卒進路と教育費ということで、先生におまとめいただいているデータを御紹介させていただきます。
 7ページの上の方ですけれども、1点目は、私立大学進学率ですが、所得層が高いほど、私立大学進学率が高いと。この高いことに大きな変化はないということであります。
 あと、3点目ですけれども、所得だけでなく、資産によっても進路に格差が見られるということが分かるということであります。
 あと、4点目でございますが、進学に与える要因といたしましては、親の学歴とか、学業成績に加えまして、高3の学習費ですとか、子供の数ということが考えられるということであります。
 5点目は、とりわけ低所得層では、進学のための費用に預貯金を取り崩して対応していると。このような傾向が見られるというような御指摘を頂いております。
 もう一つ、参考資料2の方でございます。これにつきましては、超党派の議員連盟であります子どもの貧困対策推進議員連盟がございまして、議員連盟の方から松野文科大臣に御提言を頂きましたので、これを御紹介させていただくものであります。特に関係が深いのは4ポツでございまして、高校進学についての特別な配慮ということでございまして、一般家庭であれば私立という選択肢があるのだけれども、生活保護世帯など困窮家庭におきましては、経済的な理由からその選択肢がないために、絶対に失敗しないレベルの公立高校を受けざるを得ない事情があると。この点についても何らかの対応を求めると。このような御提言を頂いております。本議連につきましては、あすのばの代表理事というお立場で小河委員が御出席されておられるということでございますので、御紹介させていただきます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【小川座長】  ありがとうございました。前回の委員からの御指摘を受けて、論点例の中に、幾つか加筆したことと、それに関係するような資料を新たに添付していただいたということですけれども、今の説明の内容について、何か御質問ございますでしょうか。これに基づいた意見交換というか、議論については、後ほどヒアリングが終わった後に、全体として50分ほど時間をとりますので、そこで議論したいと思います。ここでは今の説明の内容についての御質問とか確認したいことがあればお受けしたいと思いますけれども。よろしいですか。
 柴田委員、よろしいですか。

【柴田委員】  大丈夫です。ありがとうございます。

【小川座長】  それでは、議題1についてはこれで終わらせていただきたいと思います。
 それでは、議題2で、4府県からのヒアリングに入っていきたいと思います。4府県のヒアリングについては、こういう手順で進めさせていただきたいと思います。最初に15分ほど御説明いただいた後に、その後に5分程度、報告の内容についての質問の時間を設けます。そのような手順で、4つの府県からのヒアリング全体が終わりましたら、残り最後の50分ほど全体の意見交換の時間という形で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 順番は、埼玉県、長野県、京都府、大阪府の順で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、最初に埼玉県より御説明をお願いいたします。

【二見副課長】  改めまして、埼玉県教育局財務課の二見と申します。よろしくお願いします。
 私からは、公立高等学校を中心に御説明させていただきます。まず、資料をごらんいただきたいのですけれども、埼玉県は公立と私立、1ぺーパーでまとめております。まず、公立の方ですが、埼玉県における高等学校を取り巻く状況について御説明します。ごらんのとおり、学校数については国立1校、県立139、市立が8校ということで、生徒人数については、平成28年度末で県立約11万5,000人、市立が約6,700人ということになっています。
 次に、その下をごらんください。高等学校入学者の国公私別進学率でございますけれども、平成28年3月の中学校等卒業者の進路状況調査によりますと、国公立が64.6%、私立が35.4%となっております。これは高等学校全日制で、埼玉県から県外の国公立、県外の私立学校入学者の方も含んでおります。
 同じ調査によりますと、高校への進学率ですが、下のグラフをごらんいただきたいのですけれども、グラフを見てお分かりのとおり、平成18年度以降のデータでは、進学率が右肩上がりに伸び続けまして、平成27年度は99.0%ということで、過去最高となっております。
 次に、その下のグラフですけれども、埼玉県高等学校における児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査という、ちょっと長い名前の調査があるのですが、その調査結果ですと、経済的理由で中途退学した生徒数は、平成20年度以降のデータでは減少し続けまして、平成27年度は全日制、定時制ともに3人となっております。
 この中途退学の減少については、全国的にも同じ傾向であること、また、埼玉県においては、独自に中途退学防止事業を実施しており、その効果も考えられますので、授業料無償化や修学支援制度の影響がどの程度あったかということについては、このデータだけでは明確ではないということで考えております。
 次に、真ん中の欄をごらんいただきたいのですけれども、2番目に、埼玉県における高校進学の教育費負担制度に関する取組についてです。まず、就学支援金について、就学支援金、それから奨学のための給付金については、26年度から制度を開始しましたので、学年進行で人数と金額は増加をして、支援金については、平成28年度、約10万4,400人、認定率が85.5%、支給額が約116億2,700万円となっております。認定率は、一応、この3年間だけ見ると、微増の傾向です。奨学のための給付金については、平成28年度が認定者が約1万4,000人、認定率が12.4%、支給額約11億円となっておりまして、認定率については、この3年間だけでは増加とも減少とも言えず、ほぼ横ばいと考えております。
 3番目が、県独自の制度ですけれども、一番下のピンクのところです。埼玉県高等学校等奨学金制度というのを行っております。平成14年度から18年度まで、県が直接無利子で貸与した奨学金制度がございましたが、こちらを改正しまして、平成19年度から、金融機関と連携して奨学金を無利子で貸与する制度を実施しております。対象は公立と私立両方、財務課の方で所掌しております。
 現在の奨学金制度については、本県独自のものということで、貸与に当たって、まず、連帯保証人が不要、また、金融機関が債権管理を行い、貸与上限額も全国トップレベルとなっております。
 また、新入生の奨学金が、入学前に申込み可能であること、また、学力要件を撤廃していることなどの特徴がございます。
 平成28年度、この1年間では、約5,400人に対して約23億円を貸与しております。
 最後になりますが、一番右の欄、制度上の課題と今後の支援の在り方ということで、支援金と給付金、2点、挙げさせていただいております。
 まず、就学支援金制度につきましては、教育の機会均等を確保するという観点から、支給月額制限の撤廃や、受給資格要件の緩和が必要であると考えております。現行制度では、長期療養などやむを得ない理由による原級留置や、あるいは全日制から定時制へ転校した場合、卒業前までに就学支援金の支給が終了してしまいます。就学支援金制度は、法律においても、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的とすることとなっておりますので、こうした支給月数の制限など、支給制限を撤廃することで、制度の趣旨に沿ったものとなるよう配慮する必要があるのではないかと考えております。
 また、所得要件を上回って授業料を納入している世帯の場合、保護者が職を失うことなどにより家計が急変した場合、保護者の収入が全くなくなるか、あるいは著しく減少した場合、授業料の減免の対象となる場合がございますけれども、そういった場合を除いて、翌年の課税証明が出るまで支給要件を満たすかどうかの判断ができないために、それまで就学支援金の支給を受けることができません。こうした家計急変によって所得が低くなった世帯に対しても、柔軟に対応して、就学支援金の対象とする必要があると考えております。
 次に、奨学のための給付金制度についてです。現行制度では、国庫負担3分の1の国庫補助事業として、予算の範囲内で補助金を交付し、残りの3分の2が交付税措置となっております。低所得者の生徒の修学の機会が奪われないように、また、事務費も含めて、国が責任を持って十分な財源を確保し、国庫負担を拡充していただく必要があるというふうに考えております。
 また、今年度、第2子の支給額の引き上げを行っていただいたところですけれども、依然として第1子と第2子の支給額に差がございます。第1子であっても、第2子であっても、学用品などに要する経費はほぼ同じと考えておりますので、全ての学習意欲のある生徒が安心して教育を受けられるように、また、第1子と第2子の差を解消するよう、引き続き見直しをしていただきたいと考えております。
 最後、若干事務的な話にはなってしまいますが、現在、文部科学省におきまして、マイナンバーに対応した高等学校等就学支援金事務処理システムの開発を進めていただいているところですけれども、高校において、保護者のマイナンバーを収集して県に提出する際に紛失等の事故が起こらないよう、今でも所得証明等個人情報を扱っていますけれども、セキュリティー面で一層気を付けなければならないなという懸念をしているところでございます。
 それから、先ほどの周知のところで、やはり奨学のための給付金については、在住主義ということで、県内に保護者が居住しているというのが条件になっておりますので、埼玉県においても、FMラジオの番組や、県の広報紙でPRしているところですが、なかなか制度の周知が行き届いているかという心配がございます。県外の高校に在籍する生徒の状況把握のための調査、あるいは制度周知について都道府県として手が届きにくいところがございますので、国により必要な措置、支援を構築していただければ幸いというふうに考えております。
 以上で公立についての御説明は終わります。

【廣川課長】  続きまして、私立関係の方を説明させていただきます。まずもって、こういう機会を与えていただきまして、本日はありがとうございます。
 資料2-1の2枚目でございます。私学に対しましては、前回、山形県さんの方からも同じような御説明があったと聞いておりますが、埼玉県におきましても、就学支援金制度に上乗せをするような形で、県独自の支援をさせていただいております。といいますのも、やはり公私格差がございまして、初年度の納付金などを比べますと、まだ公立と私立で70万弱の負担の差がある中で、やはり就学支援金だけでは負担が大きいという声が大きく、特に本県におきましては、低所得層を中心に県の上乗せ補助をしていまして、37万5,000円という金額が左側の表に書いてあるのですけれども、県内の授業料の平均額を目安にしまして、そこについて基本的には賄えるように上乗せの補助をしています。
 さらに近年、格差をさらに埋めていただきたいという声が強まっておりまして、そこの上の表に丸印で26、27、28、29と書いてございますが、施設費等に関しましても、上乗せで拡充を年々続けておりまして、直近では、29年度から年収609万円未満の世帯まで授業料については、実質無償化ができるようにそこの拡充を行いました。609万円というのは、厚生労働省「国民生活基礎調査」の児童がいる世帯の所得の中央値を活用させていただいております。それによりますと、本県におきましては、理論的にはそれ以下の方が約35%となりますので、3人に1人は実質無償化を実現できているというような形にしています。そのような形をとりまして、経済的な状況に左右されず、私立高校を選択していただける環境を県としても整備を続けているというところでございます。
 右側に行きまして、その効果ですけれども、先ほど申しました公立と同じで、なかなかいろいろな要因が絡まっておりますので、直接こちらの制度の効果ということをどこまで言えるか分かりませんが、数字的には特に私立高校の定員の充足率などを見ていただきますと、1.05ということで、確実に私立高校を選んでいただけるような環境が整備されてきているというふうに考えております。また、経済的な要因の退学者も、28年度の数値はまだ出ていないのですが、27年度に既にゼロになっておりまして、経済的な要因についても一定程度フォローができていると考えております。
 そして、今後の課題ですが、下の欄にありますように、やはり就学支援金のベースの部分の充実を引き続き御議論いただいて、何とか底上げをしていただけないかと考えてございます。といいますのも、左側の図のような事業を本県でしておりますが、就学支援金も含めまして、大体114億円ほど掛かってございます。そのうち県の上乗せの部分が47億ほど掛かっておりまして、予算的にも県財政が厳しい中、かなり限界に来ております。
 さらに支援を求める声は強まっておる中で、やはりベースの部分の底上げを御検討いただけると本当に助かります。支給の技術的な部分の論点もあって、そこについても御議論いただいて、本当にありがたいんですが、やはり私学に関しましては、最初に申し上げた公私間の格差がありますので、支給水準をどのようにするのか、そこのところをよく御議論いただきまして、できればそこの底上げという形をお願いできればというふうに考えてございます。
 2点目は、扶養親族等の人数に応じたということで、多子世帯とか、少子化対策につながるような仕組みを何か考えていただけないかということでございます。なかなか私学助成というこの枠でどこまでやるのかというような問題もございますが、少子化対策は国全体の課題ということですので、先ほどの底上げをしていただく部分に関しましても、国民的な御理解が得やすいような部分ではないかというふうにも考えてございます。
 また、多子世帯といっても、公立高校に通うお子さんを複数抱える方と、私立高校で複数抱える方とか、そこによっても状況などは違いますし、また、ある程度基準を緩和するとしても、年収の基準を緩和するのか、それとも、支給額を緩和するのか、そういった論点などもあると思います。基本的に、就学支援金の国のベース部分がどのような制度になるかという制度設計は、上乗せする県の方にも大きな影響を与えますので、その辺の御議論を十分にしていただけると助かります。
 最後ですが、生徒や父母への修学支援制度の広報の充実ということで、県ではこういった県の税金を使って上乗せをして補助を行っている関係上、もちろんベースの部分も大切な国の税金なんですけれども、バウチャーとして修学支援券というのを、生徒さんにお配りして、そこにこの補助金の趣旨をしっかり書いて御理解いただいた上で、意義を感じていただいた上で、その支援を受けていただくという作業をしております。手間は掛かるのですが、まさにそういった趣旨で行っております。現在新たなシステムの導入について、国の方で開発というか、移行作業を進めていただいておりますが、申請が便利になるという点については、マイナンバーの活用とか、非常にいい面も多いと思います。しかしながら、やはりオンライン申請までになりますと、申請者の負担が非常に軽くなるので、補助金のありがたみといいますか、意義について、受ける側が感じることができにくくなるようなことにもなります。こうなるとまたそれについては本県がやってきた施策と反することがありますので、その辺の工夫も、あえてアナログの部分を残すのかどうかというのはありますけれども、その辺の意義を受ける方がしっかり感じられるような仕組みづくりにつきましても、論点として一つ御議論いただけるとありがたいなと思っております。
 駆け足ですが、以上でございます。ありがとうございます。

【小川座長】  ありがとうございました。
 今の埼玉県の説明の内容について、質問とか確認があれば受けたいと思いますが、いかがでしょうか。いかがですか。内容、よろしいですか。
 私の方でちょっと質問というか、もしも実数があれば教えてほしいのですけれども、私学に対する就学支援金等々で、私学の入学者数は増えているのは確実ですけれども、私学の受験者数の実数というのも把握されていますか。

【廣川課長】  申し訳ありません。今、手元に用意してあるのが入学者数でして、受験者数は、後ほど。

【小川座長】  分かりました。ありがとうございました。
 どうぞ。

【大橋委員】  御説明ありがとうございました。この補助の効果について、なかなか取り出して見ることは難しいけれどもということで、2つぐらい指標を頂いたのかなと思っていて、1つは、進学率なり入学者数が高まっているのだという数字と、あと、退学者の数が減っているのだという数字の2つを頂いたと思うんですけれど、これらのそれぞれについて、例えば、世帯収入で見たときに、どういう人たちが増えた部分について入ってきているのかというのは、見てとれるのかどうかというのを教えていただけると、効果を知る上で若干助けになるのかなと思うのですけど。

【小川座長】  いかがですか。

【二見副課長】  まず、公立については、世帯収入ごとのデータでどういう傾向があるかというところまではまとめたデータはございません。

【廣川課長】  私立につきましても、本県のデータが手元にないのですけれども、先ほど国の方で用意されたデータで、低所得の部分の方が私立において受験が増えていると。そういった傾向が、まさに低所得層に対する県単補助を厚くしておりますので、そこら辺の層の方が私立を受験し入学できる環境が、数字的にもそういうことになっていると思うのですけど、すみません、今資料がないのですが、そういう傾向にはあると思います。

【小川座長】  ありがとうございました。今の点は、前回も、そういう階層別のという話もありましたので、これは恐らく後で議論のところであればまた意見交換してみたいと思います。ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、なければ、時間も追っていますので、次の長野県の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【塩野課長】  お願いいたします。長野県、公立の方を担当しております、高校教育課長塩野から、まず説明を申し上げます。
 資料を1枚めくっていただいて、目次をごらんください。まず、長野県内の高等学校の状況等について説明をさせていただき、その後、公立、私立それぞれの修学支援制度対応状況等について説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、資料を1枚おめくりください。2ページです。長野県の高等学校等への進学率の年次推移を示しております。およそ進学率98%から99%の間で推移しておりますけれども、26年度制度導入後、進学率、若干、徐々に上がってきている状況も読み取れるかと思います。
 続きまして、資料の3ページをごらんください。こちらは長野県で行っている貸与型の奨学金の貸与状況を示しております。概要は上に記載してありますとおり、月額、公立1万8,000円、私立3万円という形で貸与をしておりますけれども、21年度が貸与率1.6%とございますけれども、をピークに、22年度以降、貸与者数は年々減少している状況であります。特に就学支援金、奨学給付金制度が導入されました26年度以降はその傾向が顕著に見られ、就学支援金等の制度は一定の成果を上げているというふうに思われます。
 続きまして、公立高校の修学支援制度について御説明を申し上げます。資料、続きまして4ページをごらんください。上の表は、平成28年度の奨学給付金の給付実績を示しております。給付者数は全体で5,920名、これは全生徒の約12%に相当いたします。
 また、下の表ですけれども、同じく28年度の就学支援金の支給の実績です。支援金の支給実績は全体で、合計の欄のとおり85.89%となっておりまして、それ以外の生徒からは授業料を徴収している、そんな形になっております。なお、この表の就学支援金の支給者数でありますけれども、年度の途中で授業料から支援金の対象に変わった生徒も1人という形で数えた人数となっております。
 続きまして、資料5ページをごらんください。保護者、学校からの意見を簡単に御説明申し上げます。まず、奨学給付金について意見が多く出されております。保護者からは、第1子と第2子以降で給付額に差があることへの疑問、それから、通学費や修学旅行費等についても、経済的な負担感が大きいといった意見が出ております。また、学校からは、奨学給付金は経済的負担の軽減に貢献しているという声もある一方、扶養人数の確認など事務が煩雑であるという声も出ております。
 その下に参考資料を示しておりますけれども、先ほど第1子、第2子の給付額の差について意見が出ていると申し上げましたけれども、昨年度、28年度の奨学給付金の受給者数内訳が、参考1のとおりになっております。第1子の世帯が最も多いという状況になっていることから、第1子の世帯に対しても第2子世帯と同様の支援をすることが必要と考えております。
 また、参考2ですけれども、当県で行っている遠距離通学費貸与制度の実績を示しております。長野県においては、表にありますとおり、144名の高校生が遠距離通学費の貸与を受けておりまして、通学費の経済的負担が大きいと感じる世帯は多いと言えるかと思います。制度の内容等はそこに記載してあるとおりであります。こうした課題から、奨学給付金のさらなる充実をお願いしたいと思います。
 なお資料にはございませんけれども、就学支援金に関しましては、制度導入から3年が経過して、保護者への周知や高校での事務処理もおおむね順調に進んでいるところです。
 また、長野県では、今年度よりマイナンバー制度を導入しまして、課税証明書を提出する保護者の負担や、高校の事務負担を軽減しようと準備をしてまいりました。実は今年度、7月の収入状況届提出の時期の利用開始に向けてシステムの改修、あるいは保護者への周知を進めてまいったところです。しかし、7月より3か月間は試行期間ということとされて、マイナンバーを提出された場合には、併せて課税証明書の提出も求めなければならないというふうにされたところから、本県でも本格的な利用は延期をしたところであります。生徒の保護者からも利用に関する問い合わせがありますので、今後は国でマイナンバーの本格実施となったところで、本県でもマイナンバーの利用を開始したいと思っております。
 公立高校の説明については以上であります。
 続きまして、私学、青木課長から私立高校の状況について御説明申し上げます。

【青木課長】  では、続きまして、長野県の私立高校生等への修学支援制度について御説明いたします。資料6ページをお願いいたします。
 長野県も埼玉県さんと同様で、就学支援金と奨学給付金に加えまして、授業料等軽減事業ということで、学校の授業料から就学支援金等を除いた額を学校が減免した場合に補助をしております。最大年額35万6,400円までの授業料に対応しているところです。本県の私立高校の授業料は、インターナショナルスクールを除きますと、最高で32万4,000円ですので、市町村民税の所得割額の非課税世帯の全てがカバーされている状況でございます。また、全日制高校15校中12校が授業料30万円以下ですので、市町村民税の所得割額が5万1,300円以下の世帯において、ほとんどがカバーされているという状況でございます。
 なお、全日制高校の8割が授業料30万円以下ということで、市町村民税の所得割額が非課税の世帯のほとんどが、就学支援金で授業料のほぼ全額がカバーされているという状況にございます。このため、一番下にございますように、授業料等軽減事業補助金の対象経費に、先ほど埼玉県さんからもお話がありましたけれども、施設費その他の学校納付金に拡充してくれという要望が私学関係者からは一つ求められているという状況でございます。
 1枚おめくりいただきまして、7ページです。こちら、支援の実績になります。1の就学支援金ですが、生徒数1万2,730人に対しまして、9,760人が受給して、76.67%の支給率となっております。生徒数につきましては、先ほど公立の生徒数がありましたが、比較しますと、公立8対私立2というふうになっています。また、支給率は、今の76.67%ということで、公立の85.89%よりも低くなっているところです。
 2の奨学給付金につきましては、1,346人、3の授業料等軽減事業補助金のうち授業料につきましては、2,185人が受給をしています。
 資料の右下ですけれども、訂正で、3の(2)の入学金の表頭に、収入額250万円未満程度と書いてありますが、590万円未満程度の間違いですので、訂正をお願いいたします。
 次に、8ページ、保護者からの声と学校からの声です。まず、1の保護者等からの声としまして、例年、入学時期の3月から4月にかけてが多いわけですが、当課の担当者に多く寄せられるものとしまして、支援制度の対象、特に施設整備費や部活動の費用に対する支援制度があるかといった照会がございます。
 また、学校の声としましては、修学支援制度における奨学給付金の支給時期、11月頃というのと、保護者の学校への納付時期、4月とのずれがあるために、年間8%ほどの生徒に延納を認めている高校もございます。その解消に半年から1年を要しているとのことです。とりわけ奨学給付金対象外の世帯では、学校納付金の未納期間が長期化する傾向があり、学校としても対応に苦慮することがあるといった、保護者、それから学校両者の苦労というものが伝えられているところでございます。
 また、マイナンバー対応システムの導入後につきましては、保護者等から提出いただいている課税証明書等の提出が不要となり、所得の手続が簡略化されるというメリットがございますが、一方で、学校が事前に市町村民税の所得割額を把握できなくなることから、入学当初に授業料から就学支援金を差し引く対応が難しくなると。その結果、保護者負担が重くなるのではないかという危惧の声もございます。
 なお、経済的困難を理由に退学する生徒というのも、年間数名いるという実態がございます。
 9ページをお願いいたします。最後に課題と要望でございます。修学支援制度導入後、先ほども奨学金貸与率が減少するなど、低所得世帯の保護者負担が軽減されて、進学率の向上につながっているのではという評価もできますが、一方で、ただいま学校の声で申し上げましたように、支援金の支給の時期と学校への納付の時期のタイムラグから、保護者、学校双方とも資金繰りに苦慮しているという実態がございます。
 また、マイナンバー対応システムの導入後は、高校での課税情報の把握が現在よりも時間を要するものとなることから、年度当初の保護者負担の増加が危惧されるところです。そこで、今後、年度当初の費用負担が可能となるような支援が望まれるというふうに考えておりまして、具体的には、奨学給付金の判定を前年度の課税証明書で対応していただけると、支給時期を前倒しができて、学校へ代理受領をさせることで、年度当初の納付金の負担、保護者の負担というのが軽くなるのではないかと。それを検討いただければなという思います。
 加えて、マイナンバー対応システム導入後も、入学時においては課税証明書の提出を頂くことで、先ほど声として説明しました、学校としては入学当初に授業料から就学支援金分を差し引く対応が難しいといった問題も同時に解決できるんではないかと考えております。
 なお、本県では、昨年6月、県議会の定例会におきまして、私立学校生徒の学費負担軽減についての請願が採択をされております。全国知事会等を通じまして、修学支援制度の拡充を国に要望しているところでございます。
 説明は以上です。よろしくお願いいたします。

【小川座長】  ありがとうございました。
 それでは、今の長野県からの説明について、御質問とか内容確認があれば、委員の方からいかがでしょうか。

【小林委員】  長野県に限ったことではないと思うのですけど、マイナンバーの問題についてお伺いしたいのですが、マイナンバーは基本的に個人のものになりますので、世帯の情報をとるとなると、どういう形でとるかということが問題になるかと思うのですけど、そのあたりのことはどのように御検討されているのでしょうか。

【塩野課長】  長野県のマイナンバーの手続におきましては、平成25年に法律が施行されて、高等学校就学支援金の支給事務ができるということで、その後、様々な方面で実施方法の検討をしてまいりまして、27年度には専用のネットワークの整備をし、それから、システムの改修等を実施して、27年の議会でも個人情報の利用及び提供に関する条例等を制定しまして、そこで学び直しの支援金から授業料の減免、奨学給付金等を併せて利用できるような形で、ネットワークも含め、学校においても、個人情報取扱要領の改正の指示等をして、そういった条件を定める中で、保護者から提出いただくというような整備を進めてきているところであります。

【小林委員】  私がお聞きしたかったのは、マイナンバーは個人一人一人が対象になっているわけです。ですから、世帯で把握するというのは非常に難しくなるのではないかということです。そのあたりのこと、マイナンバーとの関係でどういうふうに対応されているかということなのですが、私もよく分からなくて、マイナンバー自体がまだよく分からない制度になっておりますので、ただ私が聞いているところでは、扶養、被扶養の情報というのはマイナンバーからとれると。しかし、世帯というのをどういうふうに捉えるかという、これは少し大きな問題になるんのですけれど、そのあたりのことがマイナンバーで捉えられるかどうかということがよく分からないのですけど、そのあたり、もしお分かりでしたら教えていただきたいということなのです。

【塩野課長】  制度の整備はしてきておるのですけれども、実質的には、現在、止めているところですので、状況的なところは分からないです。

【小林委員】  分かりました。

【小川座長】  よろしいですか。恐らく今の問題は、全体で検討せざるを得ないような問題かと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

【濱中委員】  ありがとうございました。保護者からの声のところで、私立のところですけれども、施設整備費や部活動の費用、それに利用できる制度はあるかというような問い合わせがあるという話がありました。部活動は高校生活の中で、私もいろいろ調査してみますと、かなりの比重を占めているものだと認識しているのですけれども、これに対しては一体どういうふうに対応されているのかということと、あと、そういう問い合わせをしてくるような所得の層が、現実として部活動にどのように対応しているのか、ちょっと状況を教えていただければと思います。

【青木課長】  そもそも対象経費になっていない部分ですので、今回お答えするとすれば、対象経費になっていないという話ですけど、あと、奨学給付金について言えば、文部科学省さんから頂いているものも、積算の根拠ってありますけれども、実際使う中身というのは、保護者自体に行きますので、それはこちら余り関与するところではないので、対応はできるのだろうと思います。
 ただ、部活の経費自体は、本当に大きなものが、長頻度側も負担はあると思いますけれども、費用負担するという意味では、部活動によって非常に格差があるので、何をやられるかによって全く違うのでというのは、県としてはそこの部分というのは対応はできていないというところです。

【濱中委員】  ありがとうございます。

【小川座長】  ほかに。よろしいですか。
 なければ、長野県はこれで終わりにして、次、京都府にお願いいたします。よろしくお願いします。

【中地課長】  それでは、京都府から発表させていただきます。よろしくお願いいたします。
 資料の方、3ページから始めさせていただきたいと思います。京都府は公立と私立をまとめて資料を作っておりますので、京都府の特徴だけ概略を簡単に、前半、御説明させていただきたいと思います。
 京都府の高等学校を取り巻く状況ということでございまして、まず、学校数でございます。平成元年から平成28年までの数字を置かせていただいております。学校数は、平成元年、これは生徒数がピーク時の頃でございました。その頃から平成28年までほぼ変わっておりません。そういった特徴がございます。中身としましては、公立高校で、平成27年に清明高校という、昼間定時制という形で新しい定時制が創られたり、また、平成28年には、京都工学院高校、これは2つの工業高校を統合するというような動きがございましたけれども、大きな動きは特にないというのが一つでございます。
 そして、4ページでございます。次、生徒数の方をごらんいただきたいと思います。こちらも昭和55年から平成28年の数字を置かせていただいております。公立高校は平成元年、私立高校は平成2年というところがピークの生徒数でございますけれども、平成28年の段階におきますと、公立高校は約48%減、そして、私立が33%減というところでございます。そして、公私の割合で申しますと、ほぼ6対4の割合で推移をしてきているところでございます。
 続きまして、5ページ目でございますけれども、そちらの方の資料が直近の方の数字を置かせていただきました。先ほど申し上げました6対4という数字につきましても、公私立高等学校協議会で協議した上で適正配分を図るということをずっとやってきておるということと、一つの特徴ではございますけれども、府独自のあんしん修学支援制度を23年度に創設しております。こちらにつきましては、今、国の就学支援制度の上乗せの方で、府が単独で学校負担もなくして、京都府の単費で上乗せしている制度でございます。そういったものを平成23年度からして、低所得層の方も進学の選択が広がったということがございまして、府内生徒が伸びていって、そして、府外から来られる生徒さんが若干ダウンしているというのが傾向として見られるというのが直近の動きでございます。
 続きまして、6ページでございますけれども、そちらの方は高校への進学率の方の推移を書かせていただきました。こちらの方は99%で平成23年度から28年度までほぼこの数字を維持してきているというところでございます。
 続いて、めくっていただきます。7ページでございますけれども、そちらが就学支援金の受給率でございます。平成26年、27年、28年の推移を置かせていただきました。学年進行というところでございますけれども、受給率の方はほぼ公立が83%前後、そして、私立の方が67%、68%というほぼ同じような受給率で推移しているところでございます。
 そして、こちらの方では府の単費の方の説明を詳しくさせていただきたいと思います。もともと導入経過といたしまして、平成20年のリーマンショック以降ということで、不況が長引いたということもございます。これまで京都府でも授業料減免制度は持っておりました。非課税世帯の方でありますとか、所得の低い方が、私学に来られたときにも学校が減免したり、そして、それに対して京都府が3分の2の補助をしているというような制度もございました。そういったものもあったのですが、リーマンショック以降の長引く不況の影響で、かなり私学の授業料と公立の差が大きく広がりまして、修学することが厳しいという状況が各家庭で見られてきたということがございます。そういったこともございまして、平成22年度にも制度拡充をいたしまして、そして、さらに23年度からなのですけれども、先ほど申し上げました3分の2を京都府が見て、そして3分の1が学校負担というものでやっていた制度も、学校負担なしということで、年収500万円未満程度の世帯に対しまして、府内平均授業料等、65万円としておりますけれども、これは施設整備費も含んでおります。府内の授業料のみで平均をとりますと、約53万円ほどだと思いますけれども、それにプラスアルファで授業料以外の施設整備費も込みで、保護者負担の軽減を図るという制度を拡充させていただきました。
 そして、その次のページでございますけ。図を書かせていただいておりますけれども、9ページに図がございます。国の就学支援金の上乗せということで、500万円の年収、おおむね、目安ですけれども、それの所得の部分の上の方の授業料減免のところに①と書いておりますけれども、65万円までを減免する。上乗せして単費でやらせていただいております。
 生活保護の世帯におきましては、65万円を超える部分におきましても、京都府2分の1、そして、学校が2分の1負担をすることで協議しまして、92万9,000円、これが京都府の私立高校の一番高い学校の額でございますけれども、そこまでは授業料無償化といいますか、全額を見ようという動きでやってきております。
 そのほかに、学費軽減は②という番号を付けております。500万円から590万、そして、590から910万円のところでございますが、そこの上乗せで、一律でございますけれども、5万円の学費軽減というところをやらせていただいているところでございます。これら全体で大体単費持ち出しで約40億を超える補助を出させていただいております。
 次のページをおめくりいただきますと、その推移を、対象者数と受給率を書かせていただいております。授業料の減免につきましては、先ほど申し上げた平成22年度完全施行の前の対象者数が3,783人、平成28年度現在で10,752名が対象ということになっております。学費軽減におきましても、前は平成22年度時は年収が1,200万円未満を対象としておりましたので、10,540という数字でございますけれども、その後、制度の見直しも図ってきまして、今現在、平成?年度は6,732という数字になっております。
 そういったことで、府内の府立生徒数が2万4,960名でございますけれども、そのうちのこの減免制度を使っている生徒が1万7,484人ということで、約70%の生徒がこういった減免で軽減措置を受けているという状況でございます。
 その下、11ページから効果の方を書かせていただきました。1つが、私立高校の非課税世帯でございますけれども、年収250万円未満の世帯の割合で23年度の制度ができる前と比べますと、受給率が11.7%から23.7%まで約2倍に上がりました。ということは、つまり、年収が低い御家庭の生徒さんでも、非課税世帯の方でも、私学を選んでいただける、スポーツとか、また、学力、進学を考えて、いろいろな選択肢を選ぶことができるようになったというふうに考えております。人数におきましては、2,258名から5,927名というところで、3,700人ぐらい、今、増えているというところでございます。
 12ページが、中退者の数でございます。ここは直近でとらせていただきました。平成18年から22年までの直近の平均の中退率1.8%、その中退者数が1,294名と。23年から27年の5年間の平均1.46と、そして1,058名ということで、人数にしますと、平均ですけれども、236人の中退者が減ったというふうに考えておりまして、効果としまして、やはり1,000人以上、5年間で中退者を減らすことができたんじゃないかというふうに考えております。これにつきましては、やはりこういった制度を取り入れることによって、私学の関係者におきましても、こういう制度を導入して、それで、やっぱり子供たちを簡単に中退させるわけにいかないということで、学力、いろいろなことも含めて、手当て、生徒指導も含めまして、いろいろな努力をしていただいているところでございます。
 それと、もう一つ参考となる資料でございますけれども、効果としまして、転・退学者の減少ということで1枚作らせていただきました。13ページでございますけれども、こちらは1年から2年とか、2年から3年へ進級するときの生徒減少時、そういった減少数がどれだけあったかということを3年間の累計比較をさせていただきました。制度開始前ということで、19年から21年度という数字をとらせていただきました。それが3年間で5,075人の転・退学があった、移動があったという数字でございます。制度開始後、直近でございますけれども、26から28年の3か年で3,585人ということで、この3か年平均で比較しましても、30%減少しているというところでございます。これにつきましては、やはり各生徒さんが、自分が行きたい学校を選べるようになった、そして、希望する学校に入学できることで、卒業まで一生懸命勉強しよう、そして、修学しようという意欲が出てきたという一つの表れかなというふうに私どもは分析しております。
 次、14ページでございますけれども、これは一つの参考でございますけれども、犯罪発生率の関係、ちょっと残念なお話ですけれども、京都府にとってはかなり少年非行が多いということがございました。そういった中でも、こういった検挙率、そして、不良行為におきましても、制度を始めてからのこの数年間でかなり減少傾向が見られるというところもございます。1つは、学校への行き場という場所がある、そして、それによって、いろいろな子供を取り巻く親たちの目が、先生方の目があるということが一つ大きな原因かなというふうに、私ども思っております。
 次のページが、高校生等の教育費負担の軽減の部分でございます。府外通学生への就学支援ということで、私ども京都府においても、他府県との相互支援というのを行っております。京都府民の子供さんが他府県の学校に行かれたときに、やっぱりその府県からこちらに来られる生徒さんもお互いに支援しましょうという、相互に支援するということを他府県さんといろいろお話しさせていただいて、今、兵庫県と奈良県と一緒にそういった支援の制度をとっております。
 人数はわずかでございますけれども、平成28年度は2,100人いる府外へ通学する生徒のうち167名という、兵庫県と奈良県との相互支援によって、子供たちの支援をしているところでございます。ただ、やはり府県間の相互支援というのは、なかなか制度の違いもございまして、ほかの県さんとの話し合いが十分にいかないというところもございます。ただ、保護者の方の要望としましては、京都府でこれだけ府内の学校に通学する生徒に対して支援をしているのであれば、他府県に行く子供たちにも支援してほしいという声も多く寄せられているところでして、それについて一つの課題として私どもも考えているところでございます。
 続きまして、16ページでございます。こちらの方が、奨学のための給付金ということで、状況を書かせていただきました。26年から28年の3か年の数字でございます。学年進行というところで、28年度、公立が5,794名、私立が5,173名ということで、ほぼこれぐらいの数字で推移しているところでございます。
 続いて、17ページが、高校生等の教育費の負担軽減に関する取組でございます。貸与型の修学資金の貸与の件数でございます。ここの部分の特徴といたしましては、私学への進学がやはり低所得者の世帯が増えているということもございまして、ほかの修学金や修学支度金は国公立なんかは減少傾向にあるんですが、私立の修学金の貸与の件数だけは増加の傾向にあるというふうな動きが若干見られているということでございます。
 18ページにまとめという形で書かせていただきました。京都府のあんしん修学支援制度の効果と課題ということで、低所得世帯の生徒による学校選択の幅が広がったというふうに考えております。低所得層の御家庭でも、進学やスポーツ推薦等々、いろいろなところの選択が増えてきたというふうに考えております。
 それと、府内生徒の私立高校への入学者数も増加しまして、進路保障が向上してきたと。そして、中途退学者と少年犯罪件数の減少、そして、生徒に選ばれる魅力ある私学となるように、学校関係者がかなり生徒指導も含めまして、教育内容の充実を図ってきているという点、そして、転・退学が減少することによりまして、収入計画、事業計画を立てやすくなったというようなことも、学校関係者からも伺っております。
 課題といたしましては、京都府外の生徒の府内私立高校への入学者の減少、これも課題の一つといいますか、それと、2つ目の他府県の私立学校を選択する生徒への支援というふうに書かせていただいておりますけれども、こういったものは、全国一律、若しくは広域な範囲で支援が広がることによって、同じ制度でできることによって、こういったものが解消されるのではないかというふうに考えているところでございます。
 最後のページ、19ページ、文部科学省様にもお願いしたいというところで書かせていただいておりますけれども、教育費負担の公私間格差を軽減する仕組みの構築、また、今回の就学支援金の増額ということで、私ども、単費でやらせていただいています制度というのが、低所得者の子供さんたちにとって、保護者にとっても有効な成果が出てきておりますので、こういったことをまた国の制度として支援していただきたいというふうに思っております。そのためにも、まずは非課税世帯、そして、低所得者世帯について、授業料の無償化というものを実現していただきたいというふうに思っています。
 そして、3つ目といたしまして、高校生等の奨学給付金について、前回の会議の場でもお話があったようには聞いておりますけれども、積算上、修学旅行費も積算はされていないというふうにはお聞きしましたけれども、そういったことも含めまして、さらなる増額というものをしていただきたいなというふうに思っております。
 以上でございます。

【小川座長】  ありがとうございました。
 それでは、今の説明について何か御質問、確認したい点があれば、お願いいたします。
 なければ、私の方から。これは京都府だけじゃなくて、恐らく全体で議論すべきテーマだと思いますし、これも前回の会議で幾人かの委員の方からも指摘された問題なのですけれども、私学に対する就学支援金を拡充すると、それをベースにして私学が授業料を値上げするという、全国的な傾向を見ると、やはり就学支援金の拡充に対応して、各私立の授業料が大体値上げする傾向というのが生まれてきているのですよね。私学に対する就学支援金の拡充が授業料の更なる値上げを促すという、これが変に循環するとすごくまずいなというふうに委員の方も感じられているのですけれども、こうした傾向というのは、例えば京都府さんなんかでは見られるのかということと、仮にそういうふうな傾向があった場合、そうした傾向に対して京都府としては何かお考えになっているのかということと、あと、基本的には、いわゆる機関に対する私学助成の在り方にも関係するような問題なのですけれども、こういう私学への就学支援金の拡充に伴って、私学の機関補助に関する問題は少し意識されているのかどうかというようなことも含めて、少し何かあれば教えていただきたいのですが。
【中地課長】  京都府のケースでございますけれども、まず、授業料のお話でございます。そういった動きは、全くないわけではございません。確かにそういう相談も日々ございます。ただ、それにつきましては、私ども、かなり厳しく学校に対しまして、対外的に説明できる理由を整理するように、簡単には値上げさせるということはございません。ましてや国の制度がそういった充実したからといって上げるというような、そんな理由は全く、それは私どもはそういった形では認めるわけにはいかないというやり方で、やらせていただいております。
 それとあと、機関の助成の、多分、全体の助成費との兼ね合いということ、かなと思いますけれども、それについては、私ども、意識はしております。いろいろこういったことで助成することによって、学校側が充実してくるというような動きというのに併せて、やはり学校側の経営の部分で伸びている部分、そして、困っている部分というものはしっかりと私ども、把握しようと思っております。ただ、今、ここ数年、まだこの制度ができてから4年ぐらいですので、そこまで学校からすごくこれで助かっているとか、そういうお話はございませんで、まだこれからこの先、この辺を見極めながら、そういった制度の中で、全体の中で見ていかなければならないというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

【小川座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 なければ、次の大阪府さんの方に移っていきたいと思います。よろしくお願いします。

【土佐課長】  大阪府です。大阪府の方からは、修学支援制度の現状と課題という資料に基づきまして、説明をさせていただきたいと思います。
 まず、修学支援制度の現状ということで、大阪府内の高校入試の状況を記載してございます。冒頭、文部科学省の方からも説明の中で、大阪府の公私協の考え方というものの記載があったかと思うのですが、もともと大阪府におきましては、府内の公立中学校の卒業生、この見込みを公立と私学が7対3という比率で、長らく公私協の協定の下、受け入れの募集人員を決めてまいりました。
 平成22年度から、実は大阪府においては当時、橋下府政が誕生しまして、大きな維新改革の中で、教育改革にも取り組んできたと。そういった中で、教育に関しましては、公私の切磋琢磨ということで、ともに競争を働かせながら大阪の教育を上げるという考え方の下、そういった制限比率というものを解除して、併せて私学の助成制度、実はこのときに国の無償化に合わせて、私学についても公立と同様に無償化にすることで、選択の自由というものを拡大する制度を創設し、現在の形になっております。
 府内の高校への就学状況の数値の経過を、推移を示してございますけれども、公立中学校卒業者数につきましては、昭和62年の14万7,907人というのが、大阪府におけるピークの数値でございまして、現在、約その半分ということで、大体7万台で推移をしているというような状況でございます。近年は若干落ち着いていましたが、26年以降はまた減少が顕著になってきております。
 公立・私立の比率ですが、私学助成の効果もございまして、22年度以降、7対3の比率が徐々に私学の方が比率を伸ばして、現在、平成29年度、今年度におきましては、公立が65.8%、私学の方が34.2%という状況になってございます。
 進学率につきましては、年々、各団体と同様に右肩上がりということで、現在は93.9%という状況になっております。
 また、一方で、この中には詳細は記載してございませんけれども、大阪府におきましては、子供の数が減ってきている中で、平成15年度以降、府立高校の再編・統合というのに取り組んでございまして、そういった中で、現在では公立学校の方の学校数がそういった計画に基づいて減少ということで、数値が、これを見ていただきますように、子供が減った分が、私学が子供の数を大体維持しつつ、公立の方で減少しているというのは、そういった状況によるものだというふうに思ってございます。
 次、2ページですが、就学支援金制度の状況でございます。3か年の平均を右端に、上の表のところに入れてございますけれども、公立で84.7%、私立の方で75.8という数値になってございます。それぞれ各年度、数字を入れてございますけれども、実は各学校によって、いわゆる受給権者の割合、受給率ですけれども、これにかなりの差がございます。多い学校がほぼ100%に近い学校もあれば、3割に満たない学校というのも、26年度には私立では生じていると。公立においても、約50%から100%ということで、倍の開きがあると。
 その左下、区分別で見てまいりますと、それぞれの率が60%未満から90%以上まで、各、非常に散らばっているというのが見てとっていただけるかというふうに思います。
 右側の下の方には参考ということで、奨学給付金の受給者の割合を入れてございますけれども、私立の方で12.7%、府立高校の方で17.8%という数値になってございます。
 1枚おめくりいただきまして、府内の中退率なのですが、これ、文科省データをそのまま全国は入れさせていただいて、それに大阪府のデータを重ねてございます。過去から徐々に緩やかに減少ということで、とりわけ20年、21年にかけて率が大きく下がっているのですが、このあたりは当時からいじめ、不登校とか、そういった対策の強化ということで、中退防止策をかなり強化したことがございまして、そういうことも重ねながら、今回の就学支援金等のような状況も併せて、徐々に下がっているものというふうに考えてございます。
 しかしながら、理由別を見ますと、足元で、先ほどから説明ありましたけれども、経済的理由が非常に少ないのですが、過去からも実は低所得者に対しては、授業料の減免制度というのが、22年の完全無償化以前からございまして、実質、授業料に関しては、公立高校においてはほぼ無償化という状況が続いてございまして、過去からやはりどちらかというと、不適応という方が非常に中退の中では占める割合が多く、経済的理由というのは限定されるのではないかというふうに考えてございます。
 それから、次の4ページですが、進学の状況でございます。大学等ということで、大学以外の専修学校等も含めた数字という形になってございますが、全体平均で60.5%、内訳を申し上げますと、私立の方で73%、公立学校の方で51.4ということで、青い縦の点線がちょうど22年度無償化と、26年度の就学支援金制度の導入という形で、その辺をちょっと区切ってみてきたんですが、大体過去から同じようなペースで、右に上がっているというような状況でございます。
 それから、次の5ページ、これが大阪府の授業料無償化制度になってございます。国の就学支援金制度の上乗せという形になりますけれども、大阪府の特色として、キャップ制を引いてございます。これは58万から上は対象としないということで、学校負担という形になりますので、58万円まではすき間を大阪府の単独で支援をするというような状況になっています。ですので、表で見ていただきますと、590万未満の年収の世帯におきましては、無償、負担がなく私学へ通えるということで、公立高校と私学への入学時における、入学金の問題があるんですが、それを除けば、ギャップを解消しているというような状況になります。
 併せて、入学金につきましては奨学金制度の方で拡充してございまして、そういう形も含めて、基本的には公私の選択というものが受験者側の方で行われる仕組みというものを作り上げているという状況でございます。
 それから、次の6ページ以降については、就学支援金制度の課題ということで、現在の制度における問題点等を大阪府の中で議論してございまして、そういったことも併せながら、国の方へも見直しに合わせて意見を申し上げる機会を得たということで、作らせていただきました。
 まず、6ページでございますが、就学支援金制度の制度適用期間の延長というふうに書かせていただいてございます。これにつきましては、現在、学び直しの制度というのがあるんですが、高校に入学した後に、そのまま1つの高校で途中で留学とか病気等で、休学をすればいいんですけれども、休学をせずに休んでしまいますと、学年が上がらずに原級留置が行われるケースがございます。そうなってしまいますと、36か月を卒業までに超えてしまいますので、超える期間が制度から外れてしまうということで、そういう子供に対する救済をどのようにするのかというのが、今回、ちょうど制度が3年たちまして、29年度から原級留置の子が実際に有償になってしまうという事態が予測されましたので、昨年度の予算の議論の中におきまして、制度の適用者が原級留置によって37か月目に入った場合の措置としまして、卒業の意志があるという、これは絶対条件ということで、学校において担任から校長の方へ申し立てをしていただきまして、それで、学校長が子供の状況を確認した上、必要だと認める者を推薦いただきまして、そういった者に関しては、卒業までの1年間、制度の延長を大阪府の方が肩代わりで行うという制度を作ってございます。今回、平成29年度は、145名の子供がこの制度の申請を行っておりまして、全員を承認したというような状況になってございます。
 こういった事象等を考えまして、やはり制度見直しにおかれましては、期間をやむなく超えてしまうケースが存在するということで、こういった子どもたちの救済の制度、仕組みについても御検討いただけたらと考えてございます。
 それから、次の7ページ、こちらは要望ということになります。大阪府におきましても、先ほど申し上げましたように、国の就学支援制度と私学助成制度を併せまして、基本的には、学校の直接学費、授業料等に相当するものについては、それなりの措置を講じるところでございますが、やはり多子世帯の方になると、先ほど文科省の冒頭の説明にありましたように、学習活動費、いわゆる塾代であったり、通学費、様々なコストがかさむということで、国の方の学習費の調査を見ましても、これは大阪府の方でそれを基に単純に年収ごとに子供が2人、3人、4人と増えていったケースを想定してシミュレーションしたものですが、赤い枠の囲みを見ていただいたところのように、やはり所得が低い層におきますと、子供の数が増えますと非常に家計を圧迫するということで、家計に対する教育費の占める比率が、右の方へ行けば、3割4割というような数字になるということもございますので、こういった世帯に対して手厚い措置が必要ではないかというふうに考えてございます。
 それから、資料にはないのですけれども、同じように、大阪府の現状においてもう一つだけ申し上げておきますと、今の修学支援制度に関しましては、申請主義ということで、本人からの、親権者からの申出によって所得を証明いただいて、審査の結果、承認をするという仕組みになってございます。しかしながら、実は制度を必要とする家庭の中で、市町村の課税証明がとれない方がかなりいらっしゃいます。これはどういうことかということで、各学校において家庭訪問等で調べていただいたところ、自営業の方なんかで、月々所得に大きなばらつきがあったり、所得のない月があるということで、それまで長らく所得を市町村に申告してこられなかった方がいらっしゃる事実が確認されました。中には、市町村の国民健康保険とか年金とかを滞納しているケースも多く見られ、役所に行っても、そちらを強く指導されるので役所に行きたくないということで、結局、役所の方も、所得の申請がなければ、非課税の所得であったとしても証明のしようがないということで、そういった子が、この制度のブラックホールのようなすき間に落ちてしまう。実際、そういった子が滞納者の中にかなりの数を占めていまして、現在、当然、卒業までに滞納の対策ということでいろいろやるのですが、やはり親御さんが家に戻ってこられないとかいった子も散見されまして、こういった子供たちを、先ほどの36か月超えと同じように、何らかの形で学校長がやむを得ないときっちり証明したものに関しては、救済制度を講じるような措置が行えないかというのが、資料外ですが、併せて機会ですので申し上げておきたいと思います。
 それから、最後の8ページにつきましては、これは大阪府の中で、様々な財政対策の議論をする中で出てきたことなのですが、このことは国の就学支援制度だけではなく、他の国制度、大阪府の単独制度においても同じことが実は生じております。まず、右側の個人市町村民税の税額決定の流れというフローを示してございます。まず、所得金額から、法定控除と言われる所得控除が行われます。これにつきましては、各納税者の個人的事情というふうに書かれていますけれども、世帯構成であったり、世帯人数であったり、家族構成による違いを補うもの。また、医療費控除のように、その時々の状況を加味する必要のあるようなものについては、いわゆる法定控除の中で控除された後のものが課税所得額というふうになります。
 この課税所得額に法定税率を、市町村民税の場合は6%ということですので、6%を掛けた数字が税額ということになります。その税額に対して、税額控除と言われる、政策減税であったり、二重徴収を防ぐ意味での調整であったり、そういったものが行われた後が決定住民税額という形になります。
 この仕組みの中で、一番下段の税額というもので年収を推測した形で、現在は審査の基準はこの額をもって行っているという状況になるのですが、今度、左側の見直しの趣旨というところで、所得要件の判定基準として今申し上げた税額を用いるということに関して、近年、税制等の大きな改正等が相次いだ関係もございまして、本来の所得が大きく乖離してしまうケースが見受けられるということがございます。実際、背景のところに記載していただいておりますけれども、1つは、所得の判定と無関係な税控除の増大ということで、住宅ローン控除、それから寄附金税額控除、これは本来、所得捕捉の趣旨とはまた異なる意味での政策減税が拡大されたということ、それから、2点目としまして、市町村による税率差ということなのですが、1点目は、記載のとおり、義務教育県費負担教職員制度の見直しが平成30年度に行われることが予定されてございます。これによりまして、現在都道府県が負担しております教職員の給与費が政令市に移管される、移譲されるということで、併せてその税源として、都道府県民税から市町村民税2%、併せて税が移譲されるという形になりますので、今現在6%のところが、一部政令市になりますと、これが8%という数字になると、そこの見直しが将来必然に必要になってくるというようなことです。
 もう一点は、大阪府でも実は田尻町が該当するのですが、いわゆる不交付団体が独自に住民税を減税するケースがございます。そうなると、やはり決定税率が全く違った形で、さらに数値が低く見えてしまうということもございまして、そういったものを見直してはどうかという提案をさせていただいてございます。大阪府の見直しの提案に関しましては、右側の、ピンクの矢印を入れてございますが、現在の税額というところを課税所得金額というところの額に改めるのが、所得として捕捉として適当ではないかというふうに考えてございまして、実際、今、大阪府下の市町村におきましては、基本的には市町村が実施主体となっている国制度、例えば、保育料の徴収であったり、それから医療費等の給付、こういったものは全て市町村は独自に住民の所得をチェックすることが可能ですので、全て所得において判定されているということで、市町村においてはこういった問題が起きておりません。実際、右側の一番下の吹き出しに入れていますように、都道府県が実施主体となっている事業に関しましては、都道府県において所得捕捉ができないということがございまして、市町村民税の課税証明で確認が可能であるという、今、税額が用いられているということなのですが、実際、大阪府下においての市町村を見ますと、岬町以外の全ての市町村は、上の課税所得金額というものの表記がございまして、一部の市町村を除けば対応は可能ではないかと。また、将来的にマイナンバーが導入されることによりまして、こういった課税データが集約活用されるという形になれば、そのあたりのタイミングをもって、見直しをお願いしたいと考えてございます。
 以上、ちょっと長くなりましたけれども、大阪府の方からの説明となります。

【小川座長】  ありがとうございました。
 それでは、今の大阪府の説明について、何か御質問、確認した点があれば。

【小河委員】  ありがとうございました。2点ございまして、まず1点は、先ほども申請主義というか、なかなか保護者の方が大変な状況でというようなお話がありましたが、これらの制度に対して、こちらの就学支援金制度、あるいは奨学給付金の制度、これの告知というか、周知の仕方については、どのようにされていらっしゃるのかというのが1点です。というのは、1つは、就学給付金の方が、公立で12%、私立で17%ぐらい。大阪府の方は、就学援助を中学までは25%受けていらっしゃると。これはかなりギャップがあるなというふうに思っております。大変御苦労されているんだと思いますが、その点が1点です。
 それから、もしかしたら御担当じゃないかもしれませんが、大阪府の場合は、こういう中退予防というか、そういうことで、居場所的な、校内にカフェというような居場所を持って、それも府が独自で支援をされていらっしゃるというような、非常にそれ、全国で広がっているモデルケースだというふうに伺っています。これ、お金の問題だけではなくて、子供たちのそういうサポートというんですかね、そういったものも非常に重要ではないかなと思いますが、その点も少し教えていただければと思います。

【土佐課長】  まず、1点目の告知、周知の方法なのですけれども、大阪府におきましては、入学時に説明会を、合格者に対して入学前に行ってございます。まずそこで申請書の様式、それから制度の説明、そういったもので、まず1回目の周知を図ります。後に提出までに提出されない子供に関して、やはり担任の方から、忘れているのではないかということで、改めて保護者の方に可能な限り対応いただいて、所得が超えていることが明らかなのでやりませんという言質がない限りは、基本、提出がなぜされないのかというあたりについて、しっかりと各学校で取組をお願いしているということで、先ほど説明させていただいた一部の子、そういった、市町村に学校職員とか教員が出て、親を連れていってとるケースも含めて、ほぼ可能な限り対応させていただいていると思ってございます。
 それから、2点目の中退予防、今、カフェのお話がありましたけれども、居場所づくりということで、もともと大阪府の中で、府民文化部という、教育委員会ではない部局の施策として、そういった青少年の居場所づくりが必要ということで、NPO等を活用した、学校になかなかなじめないような子供たちの居場所を作るということで事業をスタートしましたが、実際は、やはり学校内にその場所を作るのがいいのではないかと、学校自身の持つ、例えば教員であったり、それから学校の中でスクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカー、そういった者をうまく活用した方がいいのではないか。
 それから、特に定時制に関してはそういった方が多いということで、手厚くそういったフォローをしていることもございまして、併せて使用料が掛からないというメリットもあり、本年度から教育庁の方に所管を変えまして、府立学校を場所として活用する制度を受け継いだ状況です。
 また、そういった制度の中で中退防止としての効果というのが、まだ子供たちの実際の数が少ないので、どの程度あるかというのは、それを実際やられている方、若しくは参加された方の意見という形になりますけれども、参加された方々からは非常にいい評価を頂いていると聞いてございます。

【小河委員】  すみません、1点目のところ、多分、今、授業料の話はおっしゃるとおりだと思うんですけど、給付金の方の話の方も、やっぱり同じような方法をとられていらっしゃるんですか。

【土佐課長】  ええ。同じような形で、併せて……。

【河野課長補佐】  私立学校の方なんですけれども、特に私立学校の方は公立に比べて低い数値になっております。これにつきましては、各個人の保護者の方から大阪府に直接に申請書を出していただくという手法をとっておりましたので、ある意味、学校が一旦集めて、今申し上げたような公立のような投げ掛けであるとか、働き掛けというのがちょっと抜けておったのもありまして、今年度からは、学校を経由して集めるようにしました。
 ただ、事務費の方がございませんので、今年度、その制度を途中から変えたということもありまして、事務費に関しては、お願いできる点があれば、お願いしたいと考えております。

【小河委員】  ありがとうございました。

【小川座長】  ほかに。濱中委員。

【濱中委員】  ありがとうございました。大阪の場合は、進学率がそもそも、この7年間で1.8ポイント上昇ということでしたが、そもそも全国的に見てそんなに高くはないといえるかと思います。その点を踏まえますと、今回のこの制度を使うと、もうちょっとまだ伸びしろがあるのかなというような理解もできるかと思います。そこでお尋ねしたいのは、この制度について、入学前に周知するような場を作っているということだったんですけれども、それ以前、まだ中学段階のところに対しても、ここに進学する場合にはこういう支援があるんだよという情報を提供はなさるようなことをされていらっしゃるのかどうか、ちょっと教えていただきたいんですけれども。

【土佐課長】  すみません、私ども、小中の指導について詳細には実は存じ上げていないんですが、同じように制度に関しては、奨学金の申請については、高校に進む段階で各中学校において制度周知がなされるということで、併せてそういう機会の中で、こういった学校に、高校の進学に必要な制度については、各中学校において説明をしていただけているというふうに理解しております。

【小川座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。
 では、なければ、今まで4府県から発表していただきましたので、この後は自由な意見交換という形で議論を進めさせていただきたいと思います。4府県に対する確認とか質問事項もあれば、当然、それも併せて御意見を頂ければと思います。残りおよそ40分ぐらいありますので、よろしくお願いします。
 あと、文科省の事務局の方も何か御意見、御質問があれば、よろしくお願いします。
 それでは、いかがでしょうか。どうぞ。

【小河委員】  あすのばの小河です。先ほど文科省の方から御紹介がありましたように、私も先日呼ばれまして、子どもの貧困対策推進議員連盟の方に出席させていただきました。その場でも、ここにもありましたけれども、議員の先生方から、特に通学にお金が掛かるということで、先ほど長野県の方では、通学に関しては貸与というような形だと思うのですけれども、そういう制度を作っていらっしゃるというようなお話がありましたけれども、やはり私もほかのケースでも、実はある公立の校長先生から、授業料はそもそも掛からないのだけど、通学費がなくて、それで退学を考えている生徒がいるというようなお話を直接伺ったこともございます。ですので、通学の部分に関しては、議連の中でも是非通学に対して、定期代とか、そういったものの支援というのをもう少し手厚くする必要があるかという議論も中ではありましたけれども、ここの部分をしっかりする必要があるのではないかなというふうに思います。そもそもこれはできる限り、ユニバーサルな制度の方がいいとは思うのですが、昨今、交通に関してもICカード等も使えるようなところもあるので、余りスティグマの問題もないのかなというふうな感じもしますので、そういったものの中でさらに上乗せがなど定期代そのものに対する支援をしていくだとか、いろいろな方法を考えながらしていく必要もあるのかなというふうに思っております。

【小川座長】  そのあたり、4府県に対する質問とか、そういうことでもなくて、今のは意見ということでしょうか。

【小河委員】  今の、特に長野県の場合は、先ほど言ったように支援があるということなんですけれども、できれば多分、給付の方がいいという部分もあるかもしれませんが、こういった制度の、どのような形でこういうものができていったかということも、少し教えていただければと思います。

【塩野課長】  制度のこれまでの成り立ちというのは把握はしていないのですけれども、数字の方に示させていただいたとおり、貸与が現在144名ということで、長野県の場合は地理的な状況も幅広いものですから、他県とどう比べるというのは何とも分からないんですけれども、それぞれの学校に通うのに、やはり距離的なもの、交通の不便さもございますので、そういった場合への貸与をしているところで、現在はアンケートもとりまして、この制度自体の周知もまだ足りない部分もありますので、周知もいろいろな方法で図っているところで、現在、制度が動いている状況ということになります。

【小川座長】  よろしいですか。

【小河委員】  はい。

【小川座長】  ほかにはいかがでしょうか。
 なければ、先ほどの京都府に質問した質問内容をほかの府県にお尋ねしたいんですけれども。質問の中身は、先ほど県の私学に対する就学支援金を拡充することに伴って、全国的な傾向を見ると、私学の授業料が上がる傾向があるのですが、そうした傾向に対して、京都府以外のほかの3府県では、どういうふうな対応をされているのかということと、もう一つ、これ、大阪府にお聞きしたいんですけれども、大阪府の資料の5ページに、58万以上のところはキャップ制ということで、学校負担ってありますよね。これはどういう仕組みですか。

【河野課長補佐】  まず、58万円というのは、制度導入時の加重平均による授業料平均の金額にしておりまして、その当時から実は金額は変わっていないのですけれども、それより上の授業料につきましては、800万未満の世帯に対しては、学校が授業料を負担していただくというような制度になっております。ですので、各学校によって、58万円を超える授業料は設定されているんですけれども、超える部分については全て学校負担ということでやっていただいていると。現在、58万円が59万8,000円まで平均授業料が上がっておるんですけれども、現時点でも58万円という形でキャップ制をはめておるという形です。

【小川座長】  そのキャップ制を導入したことの効果みたいなものは何かございますか。私学の方の対応とか、動きとかみたいな。

【河野課長補佐】  大阪府としましては、授業料無償化ということを旗印に上げて施策を進めておりますので、完全にそれを担保する形にはなっていると思います。ですので、そういう意味で、保護者、生徒さんに対して、安心して学校を選択していただけるというのが、この58万円の担保かと思っております。
 ただ、学校側からすれば、自由、特色ある教育の阻害する要素になるというような意見は一部ございます。

【小川座長】  ありがとうございました。
 私学の授業料値上げのそういう動きなんかに対する点について、ほかのところはいかがでしょうか。

【廣川課長】  埼玉県ですけれども、基本的に、私学助成は大きく2本の柱でやっていまして、1つが運営費の補助ですね。先ほどこちらで説明させていただいたのは、もう一つの柱の授業料の負担軽減ということで、先ほどバウチャーなんかをお見せしましたけど、父母に対しての授業料負担軽減が、ひいては、私立の生徒を集めることにつながるということで、学校への支援にもなります。例えば、本県は財政的に厳しいので、学校への運営費補助というのは、残念ながら、都道府県の中でも47位なんです。ただし、父母負担軽減については、かなり費用を掛けていまして、全国でも3位といった水準になっています。
 納付金については、運営費の補助金を配る際に、値上げが抑制される仕組みとしています。納付金の値上げの相談がありましたら、しっかりと理由を伺って、しかるべき理由、当然、就学支援金が増えたからということでは認められませんし、経営上の理由などを説明していただいています。
 実際、埼玉においては、就学支援金の制度の導入と納付金の増減というのはリンクしていません。ほぼ同じような水準で、若干、逆に下がっているような状況もあるので、多分、都県によってかなりその状況が違うんじゃないかというふうに思っております。

【青木課長】  長野県でございますが、全日制の高校で、今、授業料が、先ほど一部申し上げましたけど、22万円台から32万円台ということで、そんなに差がないところです。生徒、先ほどこれも申し上げましたけど、授業料軽減自体で、今の授業料は所得の低い方についてはカバーしているので、要望としては、施設費その他にというお話です。もともと授業料の制度は、就学支援金とか授業料軽減の制度が改善されてきて、もともと保護者が負担する金額がその枠の中に入っていくという過程の中で、施設費の部分も施設整備費じゃなくて授業料にすれば、同じ枠の中で見られるじゃないかという議論というか、という動きもあるかなというふうに思ったのですけど、それがなくて、それがないというのは、結局、高校同士も競争がありますので、授業料というのが一番、受験生とか保護者にはインパクトがあって、授業料というのを上げてしまうと競争に勝てない、受験のベースに勝てないというのがあって、そこを上げないのかなという感じは持っています。
 現状で、逆に授業料を減らして施設整備費の方が増えているというところもありますので、恥ずかしい話なんですけど、授業料軽減の制度自体が、他県さんに比べて長野県はそんなに重視されていないというふうに、まさに重視されていないのでそういう動きがないのかもしれませんけれども、現状としてはそういう状況です。

【小川座長】  ありがとうございました。
 ほかに。事務局の方、何かありますか。伊藤課長、どうぞ。

【伊藤課長】  せっかくの機会でございますので、御意見を各府県の皆様からお聞かせいただければと思うのですが、1つは、本当に各府県で独自に私立学校への給付金のところ、就学支援金のところも相当上乗せをしていただいておりまして、大変充実した制度になっているというふうに思っておるのですけれども、例えば、埼玉県の表を見させていただきますと、609万のところできれいな崖の状況になってきていると。これが我々もいろいろ制度を構築するときに、所得の微妙な差によって大きな逆転が生まれてしまうのではないかということで、かなり階段的に作るということを今までやってきているんですけれども、埼玉県は支援を拡充するときに、階段的な形ではなくて、こういう崖的な形になってしまっていることに関して、わずかな差で結局逆転しているじゃないかというような不満の声というのが実際に出ているのかどうかというような点、これは他府県でももちろん構わないんですが、お聞かせいただければという点が1点と、もう一点は、第1子の額を引き上げるべきではないかというようなことを埼玉県さんから頂いて、大阪府さんの方からは、むしろ多子世帯の方が、実際に掛かるお金ってやっぱり所得に対して相当厳しいので、多子世帯対策の方をしっかりやるべきではないかということで、両方の考え方があると我々も思っているわけでございますけれども、他府県でも、どちらか選べというような話になった場合には、現実の声としてはどういう方がいいのかということで、すみません、これは長野県と京都府の方からちょっとお聞かせいただければありがたいと思っています。

【小川座長】  ありがとうございました。長野県の方からよろしくお願いします。

【塩野課長】  長野県の場合には、意見の中では、多子世帯についてどうかというお話が直接的には来ていないものですから、具体的な議論はしていないというのが現状であります。

【中地課長】  先に京都府ですけれども、多子世帯のお話ですけれども、先ほどのどちらかというお話でしたら、私どもは、どちらかといいますと、やはり多子世帯の御家庭というのは教育費も非常に掛かるだろうということと、やっぱり今の少子化の流れの中で、多子世帯の御家族を応援していかないといけないというような動きももちろんあります。そういった中で、やっぱり貧困対策も大事なんですけれども、少子化対策を目指して、そういった多子世帯については支援していきたいというふうな思いでおります。
 それと、先ほど埼玉県のお話にもありました、うちでいいますと、500万でかなり支援が変わってくるというところの保護者等の御意見は頂戴しております。できるだけやはり500よりも600、700、そういったところに伸ばしてほしいという御意見もあります。確かにそういったところに多くの、先ほど申し上げた多子世帯の御家族がいたりすると、やはり我々も何とかしたいなと思うわけであます。

【小川座長】  お願いします。大阪、埼玉でお願いします。

【土佐課長】  大阪の状況におきましては、所得の低い方への支援ということと、また、一方で、多子世帯、いわゆる子供が多い世帯が教育費が非常にかさむということで、なかなか子供の数が、産みにくいというような背景もございます。確かに京都府の方からお話があったように、政策論的な部分として多子世帯というのもあろうかというふうに思うんですが、実際、とりわけ低い所得の方が多子世帯という形で多くのお子さんをお持ちですと、一層それが厳しいということもございまして、そこはクロス表のような形で、例えば、所得と子供の数というものを、マトリックスのように変えていくということも可能かというふうに思いますので、うまく組み合わせた制度ができればというふうに思っております。
 それと大阪府の場合は、国の制度と私学の制度というものを、22年、完全無償化のときに私学助成をかなり充実したということもございまして、うまく国の制度と階段式に所得に応じて手厚い制度というふうになっていますので、そこに関しては一定理解を頂いているのかなというふうに思います。
 それと、一番冒頭の質問の中で、マイナンバーの世帯所得に関する捕捉の話があったと思うんですが、大阪府では、マイナンバーの導入時に、申請書に、例えば個人番号、マイナンバーを入れていただきますと、親権者としての確認作業というのをどちらにしても必要としますので、そこで例えば両親が親権者であれば、両親の合算の世帯所得という形になりますので、その捕捉は可能なのかなというふうに思っております。
 以上です。

【二見副課長】  埼玉県は、冒頭の説明でも申し上げましたが、まずは第1子と第2子の金額をそろえるようにというのもありますが、第2子の額も給付額そのものもアップしつつ、第1子と第2子の差をなくすというのが理想的かなと思っております。
 以上です。

【廣川課長】  あと、私学の609万円の崖ですけれども、本当に悩ましいところで、まさにそこの基準に掛かっている方に関しては、そういった方から、なぜもらえないのかというような声はあります。まさにそこのところは非常に悩ましいんですが、どこかで基準を置かなくてはいけないということと、この表にもありますように、やはり低所得者の方から、年々段差を埋めてきて、崖の方をなるべく実質無償化になるように努めているというところもありまして、こういう形になったと。そうすると、やはり先ほど言いましたけど、特に基準のところで多子世帯などについては、少し基準を広げることができないかとか、そういった議論を是非期待しているところです。
 あと、京都府さんにありましたけど、本県の私立高校に通っていれば、県の上乗せ補助が受けられるのですけれども、他県の私立高校に行かれている方の場合は、税金は埼玉に頂いているのですけど、そこの支援が国の就学支援金だけになってしまいますので、そこについてもいろいろな御意見を頂いています。ただし、先ほど言いましたように、県内の例えば私学に出す運営費の方を少し抑えながら、本県の私立高校に通われている方の授業料の負担軽減に、重点化しているというような事情もございまして、本当にどこに重点化するべきかいつも最後まで悩んで決定をしているという状況でございます。

【小川座長】  伊藤課長、よろしいですか。

【伊藤課長】  はい。ありがとうございました。

【小川座長】  小林委員。

【小林委員】  4府県の事情、非常によく分かりまして、ありがとうございました。これは事務局で全体でまとめていただけると思うのですけれど、きょうも非常にいろいろな事情がだんだん分かってまいりまして、1つ言えることは、かなり都道府県によってやり方が違うということもきょうはっきりしてきたので、そのあたりをどういうふうにするかということ、これは別に統一することがいいというわけではないので、各都道府県の事情によってやられていることだと思いますけれども、その辺を見ながら、どういうふうにするかということを考えなければいけないということだろうと思います。
 その上で、ただ、状況の把握として、やはり47都道府県がどういうふうになっているかということを把握しておかないとまずいのではないかというふうに思いまして、きょうもいろいろな問題が出てきましたけど、一番最初に出てきたのは、所得別の世帯年収別の分布ですね。これがやはり今のところまだ把握できていないということだろうと思いますので、そこをどうするかというのが大きな問題だろうと思います。
 それから、先ほどありましたように、府県内への進学者をどういうふうに考えているかというのも、これも各都道府県によって違うようなので、そのあたりを全体がまず――きょうは山形を含めまして、まだ5府県しか聞いていませんので、それをどうするかということも考えていただきたいということです。
 それからさらに大きな問題は私学助成との問題で、これもかなり府県によってどうも違うようだということが分かってまいりました。それに関連して、授業料値上げとか、そもそも公立と私立の割合とか、それからそれをどういうふうに規制しているのか、あるいは授業料についてもどのような規制を持っているかというのもかなり違ってきているということが分かりました。そういうことです。
 それから、大阪府の方から提起された問題といたしまして、やはり課税所得を使うべきではないかと。これも非常に大きな問題ですので、実際使っている例があるかどうかということも含めて調べていく必要があるのではないかと思います。
 それから、貸与奨学金です。これについてもかなり違っているようなので、そのあたりのこと、各都道府県で独自にやられているものもあるようですので、そのあたりを含めて、貸与奨学金との関係ということです。
 それから、きょうは余り出てこなかった問題といたしまして、高等教育機関への進学状況がどうだったかということです。そのあたり、特に22年度以降の変化ということになるかと思いますけれど、それがどのように変わってきているかということも調べていく必要があると思いますし、それに関連しまして、中退とか休学、あるいは非行とか犯罪の減少ということも紹介がありましたけど、ほかのところはどうなっているかということも調べる必要があると思います。
 あと、教育費負担の軽減の効果なですけれど、これだけはお伺いしておきたいのですが、きょうのところではこれについては特に御報告なかったと思うのですが、各府県で独自に、例えば保護者の家庭の教育費の調査とか、あるいは生徒の学費の負担軽減効果について検証されているようなところがもしあるとしたら教えていただきたいということなのですけれど、いかがでしょうか。

【小川座長】  ありがとうございました。最後の点だけ4府県にお伺いするということでよろしいですか、小林委員。

【小林委員】  はい。

【小川座長】  教育費の負担軽減等々について何か効果があったかどうかについて、各府県で独自の調査データがあれば教えていただきたいという小林委員からの御質問ですけれども、いかがでしょうか。

【中地課長】  京都はないです。

【小川座長】  ないですか。埼玉は何か。ないですか。大阪府、どうぞ。

【河野課長補佐】  大阪では私立学校の無償化をやっていますので、そちらの観点からなんですけれども、保護者に対して満足度調査というのをやっていまして、この補助金があるから私学を選択できた割合というのを毎年出しております。ただ、全体ではなくて、高校1年生と高校3年生を抽出調査という形でやっています。

【小川座長】  今のデータは、ホームページか何かでアクセスできるものですか。

【河野課長補佐】  はい。できます。

【小川座長】  そうですか。
 ほかに。時間も大分迫っているんで、ほかの委員の方、きょうの4府県を聞いて、何か感想を含めて、濱中委員、お願いします。

【濱中委員】  ありがとうございました。今回の4府県というのは、小林先生もおっしゃったように、本当にそれぞれでして、多分、私学の位置付けに関しても、授業料に関しても全部様々ですので、なかなか頭の中を整理することができないということがあります。ただ、それぞれせっかく4つの自治体さんがいらっしゃっているので聞いてみたいのが、経済的援助について2段階で考える、例えば、機会均等のための、機会を提供するための経済的援助、それがまず第1段階だとすれば、第2段階に、より充実した高校生活を送るための援助、例えば、まず、高校の選択も私学も含めた選択ができるとか、部活動だったりとか、あとは修学旅行だったりとか、経済的な理由であきらめるということなく経験することができる。部活動とか修学旅行では学ぶことがとても多いですから、そういったことも考えると、まずは機会均等という段階があって、その先にさらにより充実した高校生活のための援助というところを含めて考えますと、お聞きしたいのが、各都道府県さんで今回は機会均等というのは、例えば、進学率が上がっていますとか、中退率が下がっていますというようなデータを御提示いただいているので、機会均等というところに関しては、すでにある程度結構問題が解決していると御判断されているのかどうかということと、あと、より充実した高校生活への援助という段階にもし仮に入っているんだったとしたら、その現実はまだ遠い道のりだというふうな感覚でいらっしゃるのか、それとも、もうそれも大分達成しつつあるというふうに御判断されているのか、ちょっと感覚の御質問で申し訳ないんですけれども、その点をお聞かせいただけたらなと思います。

【小川座長】  これも長野県さんの方から順番にお願いできればと思います。

【塩野課長】  長野県の公立につきましては、機会均等という点で言うと、現在ある制度を最大限利用して、支援金、それから奨学給付金等で最大限のことをやってきているのかなというところにプラスして、先ほど通学費について申し上げましたけれども、遠距離の通学費、上限等もございますけれども、に加えて、奨学金の貸与もしておりますので、そういう意味で、どこをもってより充実したというのは難しいのですけれども、まずは機会均等という面で言えば、できる限りのところを援助あるいは給付、貸与をしているかなというふうに、公立としては考えております。

【青木課長】  私立も、先ほども申し上げましたけれども、授業料の部分は、所得の特に低い人については、長野県の場合は枠に入っているというイメージを持っていますけれども、所得が多少多くなってくると、あるいは授業料以外の部分というのは、全く足りているというふうには思っていませんで、他県さんと比較しても順位的にも低いので、私学の関係者とか保護者からの要望というのは非常に高くて、そこは何とかしなきゃいけないと思っていますが、県の財政だけだとどうにもならない部分というのはありますので、優先順位もありますので、それは国も支援をしていただきたいなというところが本音です。

【小川座長】  ありがとうございました。

【常田課長】  京都府でございますが、私どもの方では、資料の中で、17ページに貸与の件数とかを出させていただいておりますけれども、平成22年の授業料無償化以降、公立の方は、月額の貸与の方、あるいは入学時の修学支度金、これはいずれも減少しております。授業料、年間12万円ぐらいを国費の方で出していただいているということで、その分の負担が完全にないという状況でございます。これは貸し付けの奨学金、私どもの方は年収が472万円未満ぐらいの方にお貸し付けしておりますけれども、低所得の方の世帯については借りなくて済んでいるというような状況が大分増えてきているということかと思っております。私学の方につきましても、入学時に25万円借りていただくのが修学支度金でございますけれども、こちらの方も減少しているということでございますので、そういう意味で言うと、今、先ほど委員がおっしゃられた機会均等という部分では、かなり効果が上がってきているのかなと思います。
 ただ、部活動とか、そういうもの、私学の特色に応じて必要になる部分というのが私学は結構ございますので、その部分で低所得の方が私学に入学されて、足りない部分があるということで、月額の修学金の方をお借りになっている世帯が増えているというふうに、私どもでは、数字だけですがここ何年か見ていると、そういうふうな形が考えられるのかなと考えております。
 以上でございます。

【中地課長】  ちょっと補足でございますけれども、私学の方は、本当に今おっしゃったみたいに、機会均等を維持するために一生懸命ここ数年やってきました。一応、効果は見えてきたなという感触はあるんですけれども、それを維持するのにやはり40数億の単費を持ち出すというのは、府としては非常に厳しい状況が毎年続いておりまして、そこで何かを減らしてそちらに持っていかなきゃいけないという状況がありますので、やはりまだ今、機会均等を維持するのに苦労しているというのが現状でございます。
 以上でございます。

【土佐課長】  大阪府におきましては、私学助成を基本完全無償化にしているということで、機会均等、いわゆる修学保障に関しては一定の制度の成果があるというふうに考えています。
 いろいろ意見があるところなのですけれども、例えば、通学に掛かるコスト、それに関して、大阪の場合は都市部にあるということもあるのですが、実は自転車通学の子供の率が80%から90%の学校というのがあります。ただ、そういった学校は、逆に通学時間が1時間とか1時間半、学校案内を見ても、1時間半でここまで通えますと。普通、毎日1時間、しかも雨が降っても自転車というような、実はそれの裏側には、やはり通学定期代の負担が厳しいといった家庭の状況が恐らくかなり影響しているんではないかなというふうに思っています。
 ただ、一方で、そういった部分に関してどこまで支援ができるかということなんですが、実は御記憶にある方もいらっしゃるかと思うのですが、就学給付金の制度ができたときに、大阪府は実は資金使途を明確にすべきだという議論をかなりして、ただ、全国一律の制度になじませる必要があるということで給付という形にしたんですが、やはり都道府県での給付というのは、なかなかつかみ金的に出すのは、今の財政状況の中でかなり厳しいということで、一方で、そういった通学のための支援が必要だという声も大きいんですが、例えば、自転車で通っている子は出さないのかとか、電車に乗れば出す、それであれば定期代の証明が要るか要らないかとか、またそれに掛かる事務コストとか、手続をどうするかとか、かなり個別に議論すると、なかなか実現が難しいのかなというのが正直なところですので、修学旅行の問題とか通学定期の問題というのは、国の給付金制度のベースのところで、一定、基本的な部分として見ていただけるというのが、我々個別の自治体の行政としては、議論しやすいのかなというふうに考えてございます。

【二見副課長】  埼玉県の公立ですけれども、おおむね長野県さんと同じような感じかなと考えております。いろいろ制度の周知の話も先ほどから出ていますけれども、本県の場合は、例えば、就学支援金はとにかく全員申請書を提出して頂き、不申請をする場合は、不申請の申出書というチェック欄があって、なぜ申請しないのか確認をとっています。1つは、市町村民税の所得割が、要件を超えているというチェック欄と、もう一つその他というチェック欄があります。必ずそうやってチェックを入れていただくことによって、申請しない理由を申請者に自覚していただき本来なら受けられるものが受けられないことがないように様式を工夫しています。
 それから、給付金については、先ほど説明したとおり、ラジオや県の広報紙で周知を行っていますが、まだ完全に周知しきれていないという懸念もありますが、いずれにしても、この支援金と給付金は制度を十分知っていただいた上で利用していただいているということと、県の奨学金についても、先ほど説明したように、全国トップレベルということで、埼玉県独自の方式をとって多くの方に利用していただいていますので、機会の均等ということに関しては、おおむね確保できているのかなと考えています。
 それから、より充実した高校生活への援助については、県の奨学金がそれにどのくらい寄与しているかの分析を行ってはいないので、何とも言えないところです。

【廣川課長】  埼玉の私学ですが、京都府のお話なのですけれども、やはり先ほどありましたように、609万円以下の世帯については授業料の実質無償化を実現しておりますので、機会均等という面では、かなり全国的にもトップレベルの制度を作っているというふうに自負を持っております。ただし、県単独補助で47億円を上乗せして実現している制度ですので、そこにつきましては、就学支援金の底上げも含めた御議論を是非していただければということでございます。
 あと、充実の面につきましては、各家庭のストックの部分、資産の部分などにも関係してきますが、奨学金という制度の中で、子供の学習費調査で必要となるような部分については、借りられるような制度設計をしてセーフティーネットを作っています。実際、お借りになるかどうかは、ストックも含めて御家庭の判断なので、私学の方が若干利用率が高いんですけれども、全体の国の、例えば大学進学者の半分が奨学金を借りているような状況に埼玉の高校ではなっておりません。やはりそこは大学と高校では状況がかなり違うので、奨学金も一律には判断できないという状況でございます。

【小川座長】  時間も迫っていますので、最後、大橋委員の方から一言お願いします。

【大橋委員】  ほとんどコメントに近いような感じなのですけど、きょうはお話を伺って大変勉強になったんですけれど、高校卒業というのは、その後の社会生活を営む上で、出ているか出ていないかは非常に大きいので、そういう意味で、経済的理由で高校に行けないということがあってはいけないということは改めて認識させていただきましたし、また、できれば学力に見合った高校に行けるのがいいのだろうなというふうに思いました。
 ただ、この制度において、やっぱり家計のお金の使い方はコントロールするのは非常に難しいので、何をもって機会の均等というのかというのは、若干難しいなというふうな印象は持っています。結局、課外活動のお金が増えたりとか、いろいろなところででこぼこがどこかで出たり、完全な機会均等って何だろうかということは、ちょっとお話を聞いて思った次第なんですけれども、ただ、やっぱり見るべきは家計の負担において、この制度がどれだけ資しているのかというのを、先ほど、小林先生がおっしゃったのかもしれませんけれども、そこが本来本質的なところなのかなというふうに思います。そういうところも含めて今後議論していければいいなと思います。
 以上です。

【小川座長】  ありがとうございました。
 もう予定の時間、ほぼ来てしまいましたので、これで終わらせていただこうと思います。本当にお忙しい中、4府県の関係者の方、きょうはありがとうございました。
 あと、事務局の方には、きょうまた様々な意見が出されましたので、改めて整理して、次回、また御提案いただければと思います。
 次回の日程等々について、事務局から御説明をお願いします。

【塩田室長】  次回でございますけれども、7月7日金曜日の13時から、場所は合同庁舎4号館108会議室を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【小川座長】  7月7日金曜日ですね。1時から、場所は文科省ではなくて、合同庁舎の4号館ということですので、よろしくお願いします。
 それでは、これで終わります。ありがとうございました。

── 了 ──

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